JP5224760B2 - 断線保護継電器 - Google Patents

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Description

本発明は、電力の送配電系統の地絡を伴わない断線事故を検出して遮断器を動作させることによって断線系統への電力の供給を停止させる断線保護継電器に関する。
送配電系統の送電線や配電線は、地下はもちろん架空に張られるものも近年絶縁シールドした絶縁電線が使われている。このため、断線してもこの絶縁シールドにより導体が大地(アース)に接触せず、地絡事故にならないことがほとんどであり、大地に流れる零相電流(Io)が発生しないため地絡を検出することができず、地絡保護継電器では役に立たず、事故の送配電線を遮断することができないという問題がある。
この問題を図10の系統図を用いて説明する。この図において、電源側の変電所の電源31から3相の送電線32を経由して負荷側変電所へ電力が送られ、さらに変圧器36を介して下位の負荷系統37に供給される。各変電所の送電線の引き出し口には、遮断器33,34が挿入されている。電源側の変電所には、送電線の地絡事故時に地絡保護継電器を確実に動作させるため、中性点接地抵抗器38が設けられている。また、地絡事故を検出して該当する遮断器33を開放する地絡保護継電器40が送配電線に接続される変流器35を介して接続されている。この系統において、たとえば、c相の送電線32cが断線した場合、絶縁電線のため大地に接触せず、零相電流(Io)が流れず地絡保護継電器が動作しない。
従来、この断線を検出する技術が提案されている。たとえば、特許文献1では、3相の電流の少なくとも1相の電流が所定値以上であり、ある相間電流について、最大の相間電流に対する相間電流の比が所定値以下であることより1線断線を検出する技術が提案されている。しかしながら、一般に単相負荷の存在によって負荷バランスが崩れる場合があり、このような不平衡の負荷電流が流れる送配電線では、常に相間電流に差が生じる。このため、上記の技術のように電流の大きさのみによって判定するのでは、1線断線を検出する相間電流の比を大きくして感度を上げることに限界があり、断線の検出精度が上がらないという問題がある。
特開平6―253446号公報
本発明は、上述の係る事情に鑑みてなされたものであり、地絡を伴わない1線断線を精度良く検出して遮断器を開放することによって断線部の活線状態を解消することのできる断線保護継電器を提供することを目的とする。
本発明の特徴は、送配電線の運用状態(1回線運用か2回線運用かの状態)を入力して、夫々の運用状態に応じて位相角の演算方法を切り替えて、正確に断線したことを検出するものである。すなわち、1回線運用時には、残った健全相の電流が、相互に逆相(位相関係が180度)になることを検出し、2回線運用時には、残った健全相での不平衡送電となって、平常時に断線相に流れていた電流が変流器の残留回路に不平衡分の電流として流れ、この電流の位相角が断線相と逆相の関係になることに着目して1線断線が検出するようにした。
具体的には、本発明に係わる断線保護継電器は、電力系統における送配電線の断線事故を検出する断線保護継電器であって、送配電線に装備された遮断器の開閉状態を入力して、1回線運用状態か、2回線運用状態かを判定する運用回線判定部と、回線の運用状態ごとに位相角に関する演算方法および整定条件を保存する整定条件保存部と、各相の電流値を入力し、いずれか一の相の電流値が予め定められた所定値以下になったことを検出する処理起動部と、前記処理起動部によって起動され、前記運用回線判定部によって判定された回線の運用状態に基づいて、前記整定条件保存部に保存されている該運用状態の演算方法を抽出し、該演算方法に従って位相角を算出する位相角演算部と、前記位相角演算部によって算出された位相角が前記整定条件を満たすか否かを判定し、整定条件を満たす場合には、動作検出有りとする動作演算部と、前記動作演算部で一の相について動作検出が有り、かつ、動作検出の有った相以外の相については動作検出が無いときは該一の相について断線検出ありと判定して断線検出信号を出力する動作判定部と、を備えたことを特徴とする。
本発明では、1回線運用と2回線運用のそれぞれにおける位相角に関する演算方法すなわち、どの電流信号の位相角を演算するかの条件および整定値を予め保存しておいて、処理起動部によるトリガの検出によって、各回線運用状態に応じた演算を実行する。これによって、電力系統の運用状態の変化に適応した正確な断線検出が可能となる。
特に、前記位相角演算部は、前記演算方法として、1回線運用状態のときは健全な二相の電流間の位相角を算出し、2回線運用状態のときは、電流値が所定値以下になった相の健全時の電流と変流器の残留回路の電流との位相角を算出する。
位相角演算部の二電流信号間の位相角演算処理を共通にしておき、回線運用状態によって、どの電流信号の位相角を求めるかを設定するようにすることによって、CPUの資源や負荷の低減を図ることができる。
なお、整定条件は、位相変化後の電流位相が位相変化前に対して略180度±5度の範囲内であることが好ましい。
本発明に係わる断線保護継電器は、さらに、前記位相角演算部は、電流信号の各周期における特徴点の時間間隔を用いることによって位相角を算出することを特徴とする。
これにより、電圧信号を用いず、電流信号のみによって、位相角の算出が可能となるため、PT等の電力設備の削減を図ることができる。
以上の如く本発明によれば、1回線、2回線の運用状態において、地絡にならない全ての相の1線断線事故を的確に検出することができる。また、従来の地絡保護継電器の機能に本発明の断線検出機能を加えることにより、絶縁電線を用いた送配電線の地絡事故および断線事故時の保護ができるため設備コストの削減を図ることができる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。図1は、本実施の形態による断線保護継電器の機能ブロック図である。ここで、断線保護継電器1は、送電線(回線)の遮断器の開閉状態を入力して1回線の設備か、または、並行2回線の設備で片方の回線の遮断器だけが閉状態の1回線運用か、両回線の遮断器が閉状態の2回線運用かを判定する運用回線判定部16、運用状態ごとに位相角の演算方法および整定値を保存する整定条件保存手段18、3相の送電線の電流信号を入力する入力変換部11、入力した電流信号をもとに電流が零に変化した変化相を検出する処理起動部13、この電流の変化を検出した条件によって起動し、運用回線判定部16で判定された運用状態に基づいて整定条件保存手段18に保存されているその運用状態に該当する演算方法で位相角を演算する位相角演算部12、この位相角が、予め整定された条件に該当するか否かを判定する動作演算部14,この判定結果と他の相の判定結果をもとに該当遮断器を開放する動作判定部15で構成されている。
また、入力変化部11は、信号をフィルタリングするフィルタ回路111、信号を一定時間保持するサンプルホールド回路112、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路113を備え、サンプリング信号を生成してサンプルホールド回路112に供給するサンプリング信号発生回路115、A/D変換処理された電流信号を時間のデータなどを付加した電流データファイル116へ保存する電流信号入力処理手段114とで構成されている。
図2は、断線保護継電器1の主要な機能を論理回路で表したシーケンス図である。各相ごとに、位相角演算部12の断線検出手段12a,12b,12cと、処理起動部13の電流変化検出手段13a,13b,13cのそれぞれをANDする動作演算部14の第1のAND手段14a,14b,14cを有している。この第1のAND手段の各出力を他の2相の第1のAND手段出力の否定論理とでANDする動作判定部15の第2のAND手段15a,15b,15cの出力を同じく動作判定部15のOR手段15dによりORしたものが、最終的な1線断線検出の出力となっている。
たとえば、b相が断線した場合、位相角演算部12の断線検出手段12bと、処理起動部13の電流変化検出手段13bの両出力が論理的に"1"となり、動作演算部14の第1のAND手段14bの論理"1"が成立し、他のa相、c相の第1のAND手段14a,14cは不成立の論理"0"となる。次に動作判定部15の第2のAND手段15bにより、前記14aと14cの出力の否定論理と、前記14bの論理"1"とのANDが成立し、そのあとのOR手段15dを介してb相の断線と判定される。この出力は、時限継電器17を介して他の保護システムに合わせて時間調整された後、遮断器に出力される。
上記の構成を有する断線保護継電器1について、図3の1回線運用時の系統図、図5の2回線運用時の系統図、および、図4または図6の電流ベクトル図を用いて、1線断線事故の動作を説明する。
図3において、電源31から3相の送電線32a,32b,32cが、負荷側の変圧器36を介して負荷の系統37に接続されている。3相の各送電線には、その両端に遮断器33と34が挿入されている。また、電源側の各回線の送電線引き出し口には、変流器35を介して断線保護継電器1が設置されている。この断線保護継電器1には、変流器35に流れる各相の電流回路35a,35b,35cとその帰還回路である残留回路35xがある。なお、変流器35の各相35a,35b,35cに流れる電流を説明上、送電線の各相32a,32b,32cに流れる電流Ia,Ib,Icというように、同一相の電流は同一記号を用い、残留回路35xに流れる残留電流をIxとする。
次に、この系統での各相の電流ベクトルの変化を図4を用いて説明する。平常時は、各相の電流Ia,Ib,Icは、120度の位相関係を保っている。平衡負荷の場合、残留電流Ixは流れず、不平衡負荷の場合は、その不平衡分だけ残留電流Ixは流れる。いま1線断線が発生すると、残った2線で閉回路を形成するため、その相間は、逆相の180度の関係になる。このような系統で断線保護継電器1が1線断線を検出することにより、その回線の遮断器33を開放して、給電を停止する。
次に、断線保護継電器1の動作を詳述する。
平常時は、断線保護継電器1は、送配電線に取り付けられた変流器35を介して電流信号Ia,Ib,Icを取り込む。その電流信号Ia,Ib,Icは、入力変換部11のフィルタ回路111、サンプルホールド回路112、A/D変換回路113を通して、デジタル信号に変換され、電流信号入力処理手段114によって、系統上の電流にスケール変換されて、電流データファイル116に保存される。
なお、A/D変換回路113の前段にマルチプレクサを設けて、複数の電流データを時分割でスキャンして入力するようにしても良い。サンプルホールド回路112と電流信号入力処理手段114は、サンプリング信号発生回路115から出力されるサンプリング信号に同期して動作する。なお、サンプリング周期は、サンプリングの間隔であるが、例えば、系統周波数に対して30°ごとにサンプリングを実行する。電流データファイル116には、このサンプリングの識別番号あるいは時刻を付して電流データを保存するようにする。また、電流信号入力処理手段114は、サンプリングされた電流データのうち、特徴点として極大値または零クロス点となる電流データについてはフラグをセットする。
以下、電流データのみによる位相の算定のしかたを説明する。
まず、三相の電流データのうち、ある相(たとえばa相)の電流データの特徴点を検出する。ここで、特徴点とは、電流のサンプリングデータに基づく電流波形上の特徴点であり、たとえば、電流波形における極大値、極小値、あるいは、最も零に近い点(ゼロ点)でも良い。なお、ゼロ点の場合は、その前後のサンプリングデータに基づいて、上昇方向か、下降方向かの区別を行い、たとえば上昇方向のゼロ点を特徴点とする。
そして、この特徴点を検出した時刻(サイクル内のサンプリング番号でも良い)をこの回線の三相の共通の模擬基準とする。そして、他の相(たとえばb相、c相)についてもa相と同一の特徴点を検出し、この特徴点と模擬基準との時間差を求める。電流の一サイクルの時間はわかっているため、b相とc相について、a相を基準とした位相を算定することができる。また、サイクルごとの模擬基準の時間的なゆらぎを微調整することによって、絶対的な位相として用いることができる。なお、基準となるa相については、微調整された模擬基準と、サンプリングごとの特徴点との差を計算することによって、位相外れ等の異常を検知することができる。
このように、各相の電流の位相を模擬基準から特徴点までの時間として管理することによって、後述の位相角の演算処理では、この差分を計算すればよく、容易に位相角を求めることができる。
処理起動部13は、変流器35の各相(Ia,Ib,Ic)の電流の零への変化を検出するため電流データファイルから各相の電流値を逐次入力して監視し、ある相の電流の零値への変化を検出すると、その相を記憶し、位相角演算部12と動作演算部14に変化相の信号を出力する。
位相角演算部12は、運用回線判定部16から回線運用状態を入力し、次に図9に例示する整定条件保存部18を参照して、この回線運用状態における位相角に関する演算方法を入力して、位相角の計算を実行する。
たとえば、1回線運用状態において、b相が断線した場合、健全相の電流IaとIcの位相データ(ないし模擬基準点からの特徴点の時間間隔)を電流データファイル116から入力して、両位相データの差すなわち健全相間の位相角(θy)を算出して動作演算部14に出力する。動作演算部14は、この位相角(θy)が、図4(3)に示す電流ベクトル図の所定の整定範囲(180±Δθ度)内で、しかも、健全相(a相、c相)の電流値Ia,Icが、図4(3)の所定の整定値(I)以上の条件で電流が零に変化した相(b相)の断線と判定し(図2の第1のAND手段14bに対応)、b相について動作検出フラグをセットして、次の動作判定部15に出力する。動作判定部15は、上記のアルゴリズムによって、他の相についての断線検出の有無を判定し、他にない場合は、最終的に1線断線事故と判定して(図2の第2のAND手段15bとOR機能15dに対応)、該当する遮断器33を開放制御する。
次に2回線運用状態での1線断線事故時の断線保護継電器1の動作を図5の系統図と、図6〜図8の電流ベクトル図を用いて説明する。
図5の2回線系統図において、図3と同一要素には同一符号および補助符号を付して示す。この図において、電源31から3相の送電線の2回線32a1,32b1,32c1と32a2,32b2,32c2が、負荷側の変圧器36を介して負荷の系統37に接続されている。3相の各送電線には、その両端に遮断器331と341、および、遮断器332と342が挿入されている。また、電源側の各回線の送電線引き出し口には、変流器351,352を介して断線保護継電器1a,1bがそれぞれ設置されている。
このような系統での平衡負荷における平常時と1線断線時の各相の電流ベクトルを図6に示す。図6(1)に示す平常時の電流ベクトルは、2回線とも同じ電流値と位相を示し、平衡負荷の場合、変流器351,352の残留回路351x,352xの残留電流Ix1,Ix2は、零である。不平衡負荷の場合、図8に示すように平常時にも不平衡分の電流が残留電流Ixに流れるため、その分電流ベクトルが現れる。
平衡負荷における1線断線時で、たとえば第1回線のb相32b1が断線した場合、第1回線の電流ベクトルは、図6(2)に示すようにb相の電流Ib1は零になる。また、その不平衡分残留電流Ix=−Ib1となり、b相に対して180度の位相角を持って現れる。第2回線側は、第2回線のb相の平常時の電流Ib2に、第1回線のb相の電流Ib1が加算された電流値で現れる。この不平衡電流により残留回路352xの電流Ix2に、電流Ib2の位相と同じ位相で第1回線のb相の電流Ib1と等しい値の電流が現れる。
このような電流ベクトルの変化を検出して、断線保護継電器1a,1bのいずれかが1線断線を検出すると、その回線の遮断器331または332を開放して、給電を停止する。
以下、第1回線側のb相の1線断線事故時の断線保護継電器1aまたは1bの動作を詳述する。この断線事故により、断線保護継電器1aの処理起動部13が、変流器351のb相の電流Ib1の零への変化を検出し(図2の電流変化検出手段12bの出力に対応)、位相角演算部12と動作演算部14に変化相の信号(b相)を通知する。運用回線判定部16から2回線運用状態を入力している位相角演算部12は、電流データファイル116から健全相の電流Ia1,Ic1と残留電流Ix1の電流データを入力して、残留電流Ix1と、零に変化したb相の事故前の電流Ib1との位相角θxを算出する。平常時には、各相に平衡に電流が流れているので電流Ix1は零のため位相角θxを監視できないが、断線などの事故時は、各相に流れる電流が不平衡になるため残留回路351xにその不平衡分の残留電流Ix1が流れ、位相角θxが算出できる。このb相32b1の断線の場合、たとえば、健全相のa相の電流Ia1の位相を基準として、残留電流Ix1の位相角θax(−60度)を電流の特徴点の位置から算出し、それに120度加算した値が、事故前のb相の電流Ib1との位相角θx(180度)となり、これを動作演算部14に入力する。
以降の動作は、上述の1回線運用状態の動作と同じであり、動作演算部14は、この残留電流Ix1と位相角θx(180度)の図7,8に示す電流値が所定値(I)以上で、断線相に対して位相角が、所定の範囲(180±Δθ)内か否かを演算し、範囲内であれば、b相の断線と一次判定し(図2の第1のAND手段14bの出力に対応)、b相について動作検出フラグをセットして、次の動作判定部15に渡す。動作判定部15は、他の相(a相とc相)や他の回線(32a2,32b2,32c2)に断線がないという条件(図2の第2のAND手段15bの出力に対応)で1線断線と判定し、該当する遮断器331を開放する。
なお、第2回線側の断線保護継電器1bは、処理起動部13において第2回線側の電流が零になる相が検出されないため、位相角演算以降の演算機能は動作せず、第2回線側については断線無しと判定される。
次に、図7,8を用いて2回線運用状態での断線判定の原理を詳述する。図7は、平衡負荷の電流ベクトルを表し、平常時については、上述の1回線での処理で説明したように残留電流Ixは、零であるため図に表れず、各相の電流Ia,Ib,Icは、同じ電流値で相互に120度の関係で現れる。断線時は、断線した相の180度側に残留電流Ixが現れ、その値がI以上で、断線相の角度θxが180±Δθ度内であれば、その相の断線と検出する。図8は、不平衡負荷の例の電流ベクトル図であり、図8(1),(2)は、平常時に各相の電流がIa>Ib=Icの関係の不平衡な電流が流れている場合、残留電流Ixは、不平衡分の差電流がIaと同じ位相で流れていることを示す。そして図8(1)は、a相が断線した場合、b相電流Ib,c相電流Icのベクトル和の値の残留電流Ixが現れ、断線したa相とは、180度の位相角θxを成し、断線の判定範囲の180±Δθ内に入る。
図8(2)は、平常時は同じ不平衡状態でb相が断線した場合、a相とc相の電流ベクトル和の残留電流Ixで、b相に対する位相角θxは、Ia>Icのためa相に少しずれ、完全な180度にならないが、Δθを5度程度に設定しておくことにより、実運用状態において判定範囲の180±Δθ内に入る。
図8(3)は、各相の電流がIa<Ib<Icの場合であり、平常時の残留電流Ixは、各相電流の差分として、図に示すように各相に対した180度の位置よりずれて現れる。ここでb相が断線した場合、上記と同様に、残った相の電流IaとIcのベクトル和となり、事故前のb相の電流Ibとの位相角θxが、正確には180度にならないが、上記と同様に±Δθ内には入り、断線を検出することができる。
以上、本実施の形態によれば、遮断器の状態を入力して回線の運用状態に基づいて、1回線運用時には残った健全相間の位相角を求め、2回線運用時には変流器の残留回路の電流値との位相角を求めることにより、送配電系統での1線断線を的確に検出することができる。これにより、地絡に至らない断線時の保護動作を、精度よく実現することが可能となり、断線部への接触による人身事故などの防止や、停電時の復旧作業を迅速に行うことができる。なお、上記は電流方向の検出を電流信号のみで行うようにしたが、電圧信号を入力し、その電圧の位相を基準にして電流の方向(電流位相の変化)を検出するようにしても良い。
本発明による断線保護継電器の機能ブロック図である。 本発明の実施の形態による断線保護継電器のシーケンス図である。 本発明の実施の形態による断線保護継電器の1回線系統への接続状態を示す系統図である。 本発明の実施の形態による断線保護継電器の1回線系統への接続状態を示す電流ベクトル図である。 本発明の実施の形態による断線保護継電器の2回線系統への接続状態を示す系統図である。 本発明の実施の形態による断線保護継電器の2回線系統での電流ベクトル図である。 本発明の実施の形態による断線保護継電器の2回線系統での平衡負荷時の断線時電流ベクトル図である。 本発明の実施の形態による断線保護継電器の2回線系統での不平衡負荷時の断線時電流ベクトル図である。 本発明の実施の形態による整定条件保存部のデータ構成図である。 従来の電力系統における保護継電装置の接続状態の説明図である。
符号の説明
1 断線保護継電器
11 入力変換部
12 位相角演算部
12a、12b、12c 位相角演算部内の断線検出手段
13 処理起動部
13a、13b、13c 処理起動部の電流変化検出手段
14 動作演算部
14a、14b、14c 動作演算部の第1のAND手段
15 動作判定部
15a、15b、15c 動作判定部の第2のAND手段
15d 動作判定部のOR手段
16 運用回線判定部
17 時限継電器
18 整定条件保存部
31 電源
32,32a〜32c,321a〜321c,322a〜322c 送電線
33,34,331,332,341,342 遮断器
35,351,352 変流器
36 変圧器
37 負荷側系統
38 中性点接地抵抗器
111 フィルタ回路
112 サンプルホールド回路
113 A/D変換回路
114 電流信号入力処理
115 サンプリング信号発生回路
116 電流データファイル
Ia,Ib,Ic,Ix 電流
θx,θax 位相角

Claims (3)

  1. 電力系統における送配電線の断線事故を検出する断線保護継電器であって、
    送配電線に装備された遮断器の開閉状態を入力して、1回線運用状態か、2回線運用状態かを判定する運用回線判定部と、
    回線の運用状態ごとに位相角に関する演算方法および整定条件を保存する整定条件保存部と、
    各相の電流値を入力し、いずれか一の相の電流値が予め定められた所定値以下になったことを検出する処理起動部と、
    前記処理起動部によって起動され、前記運用回線判定部によって判定された回線の運用状態に基づいて、前記整定条件保存部に保存されている該運用状態の演算方法を抽出し、該演算方法に従って位相角を算出する位相角演算部と、
    前記位相角演算部によって算出された位相角が前記整定条件を満たすか否かを判定し、整定条件を満たす場合には、動作検出有りとする動作演算部と、
    前記動作演算部で一の相について動作検出が有り、かつ、動作検出の有った相以外の相については動作検出が無いときは該一の相について断線検出ありと判定して断線検出信号を出力する動作判定部と、
    を備え
    前記位相角演算部は、前記演算方法として、1回線運用状態のときは健全な二相の電流間の位相角を算出し、2回線運用状態のときは、電流値が所定値以下になった相の健全時の電流と変流器の残留回路の電流との位相角を算出することを特徴とする断線保護継電器。
  2. 前記整定条件は、1回線運用状態のときは、前記二相の電流間の位相角が略180度±5度の範囲内であり、2回線運用状態のときは、電流値が所定値以下になった相の健全時の電流と変流器の残留回路の電流との位相角が略180度±5度の範囲内であることを特徴とする請求項記載の断線保護継電器。
  3. 前記位相角演算部は、電流信号の各周期における特徴点の時間間隔を用いることによって位相角を算出することを特徴とする請求項1または2に記載の断線保護継電器。
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