JP5224100B2 - 変異型ルシフェラーゼ - Google Patents

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本発明は、例えば、ルシフェリン誘導体を基質とする変異型ルシフェラーゼに関する。
BRET(Bioluminescence Resonance Energy Transfer)とは、共鳴により、発光物質であるエネルギー供与体(以下、「ドナー」という)からエネルギー受容体(以下、「アクセプター」という)へのエネルギー転移が起こる現象である。近年、この現象の有無・強弱から、分子同士の近接の度合いをアッセイする手法が開発されている。
BRETでは、ドナーとして発光タンパク質であるイクオリンやルシフェラーゼが用いられる。ドナーとしてルシフェラーゼを用いる場合、その触媒作用により、基質のルシフェリンから生成した励起状態のオキシルシフェリンが発生する。一方、アクセプターとしては、GFP(緑色蛍光タンパク質)やその変異体であるCYP、YFP等が用いられる。この場合、ドナーとアクセプターが適切な配向をもって十分近接すると、励起状態のオキシルシフェリンが基底状態に戻る際に生じるエネルギーの一部がアクセプターに転移する。これによりアクセプターは励起し、その緩和過程でエネルギーを光(蛍光)として放出する。つまり、ドナーとアクセプターが離れている場合には、専らドナー(発光タンパク質)の発光が観察されるが、両者が近接するに従って、その近接の度合い等に応じてエネルギー転移が起こり、アクセプターの蛍光が増していく。アクセプターの蛍光スペクトルは、ドナーの発光タンパク質が発する光のスペクトルより長波長側にシフトしているから、分光学的手法により両者は分離できる。
BRETは生化学・分子生物学の分野においてタンパク質-タンパク質相互作用等のアッセイに用いられる。例えば、BRETは、Gタンパク質共役レセプター(GPCR)等をターゲットとした医薬品開発において重要な手法となっている。相互作用の有無(あるいは強弱)を検討したいタンパク質Aとタンパク質Bがあった場合、タンパク質Aをドナーとの融合タンパク質とし、一方、タンパク質Bをアクセプターとの融合タンパク質とする。適切な条件においてタンパク質Aとタンパク質Bとに相互作用がある場合、BRETが観察され、相互作用がなければBRETは観察されない。
BRET解析において、ドナーとアクセプターとの組み合わせ(BRETペア)には制限がある。まずBRETが成立するためには、ドナー(発光タンパク質)の発光スペクトルと、アクセプターの励起スペクトルがある程度重なっていなければならない。一方、BRETによる信号(蛍光)を分離し感度良く検出するためには、ドナーが発する発光のスペクトルと、アクセプターがBRETにより発する蛍光のスペクトルは、ある程度離れていなければならない。
GFPの発光スペクトルと励起スペクトルの極大はそれぞれ509nm、395nmであるから、両者には100nm以上の隔たりがある。よってGFPをアクセプターとし、且つ395nm付近で効率よく発光する発光物質をドナーとすることで、感度の良いBRET系が構築できる(非特許文献1)。
しかし、395nm付近の近紫外領域に発光極大を持つルシフェラーゼ等の発光タンパク質は天然には見出されていない。変異導入によって発光スペクトルを変化させた変異型ルシフェラーゼはあるものの、それらの中にも395nm付近の近紫外領域に発光極大をもつようなものは従来において知られていない。
しかし、基質の化学構造の一部を置換した「基質アナログ」を用いることで、395nm付近の発光を得ることができる。例えば、レニーラ(Renilla)ルシフェラーゼ(以下、「RLuc」という)はセレンテラジンを基質とし、475nm付近を極大とする光を発する。一方、当該RLucはセレンテラジンの誘導体であるセレンテラジン400a(「DeepBlueC」ともいう)を基質とすると、発光は短波長側にシフトし、極大は400nm付近となる。すなわち、セレンテラジン400aを基質として用いることで、RLucとGFPとによるBRETペアが実現する(特許文献1及び非特許文献1)。この技術を用いたアッセイキットが、パーキンエルマー社の「BRET2βアレスチンアッセイ」等として市販されている。
ところで、ルシフェラーゼには分泌型のものと非分泌型のものとがある。前者は細胞外に分泌され、一方、後者は細胞内に留まる。前述のRLucやホタル(甲虫類)由来のルシフェラーゼは非分泌型であり、一方、ウミホタルルシフェラーゼ(例えばシプリディナ・ノクティルカ(Cypridina noctiluca)由来のルシフェラーゼ;以下、「CLuc」という)は分泌型である。非分泌型ルシフェラーゼの場合には、その基質と作用させるにあたって、通常、細胞の回収と、超音波処理、界面活性剤処理、有機溶媒処理等による細胞の破砕(あるいは細胞浸透性の亢進操作)とが必須となる。それに対して、分泌型ルシフェラーゼは、培養液をそのまま被検液とすることができるので、多数のサンプルを処理するのに適している(特許文献2)。従って、CLuc等の分泌型ルシフェラーゼは、ハイスループットBRETアッセイ系に適している。
CLucの天然の基質は、以下の式(I):
Figure 0005224100
で示されるウミホタルルシフェリンである。当該ウミホタルルシフェリンを基質とした場合、CLucの発光スペクトルピークは460nm付近にあり、GFPを励起するのには適当ではない。上述のように、GFPをアクセプターとするBRETでは、より短波長で発光するドナーが必要である。
特許文献3には、種々のウミホタルルシフェリン誘導体(アナログ基質)を合成し、それらをCLucに作用させ、その発光スペクトルを検討したことが開示されている。その結果、以下の式II:
Figure 0005224100
で示される2-(1-メチルプロピル)-6-(ナフタレン-2-イル)-8-(3-グアニジノプロピル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オン(以下、「SeNa」と称する)を基質とすると、CLucから極大波長390nmの発光が得られることを見出した。このような発光スペクトルはGFPを励起させるのに適している。
しかしながら、SeNaを基質としたときのCLucの発光強度は、天然型ルシフェリンを基質とした場合の千分の1〜数百分の1であった。発光強度はアッセイのS/N比、ダイナミックレンジに直接影響するので、強い発光が望ましいことはいうまでもない。
国際公開第01/46691号パンフレット 国際公開第2006/132350号パンフレット 国際公開第2007/034952号パンフレット Pfleger KD及びEidne KA, 「Nature Methods」, 2006年, 第3巻, p.165-174
本発明は、上述した実情に鑑み、SeNaを基質とした場合に、発光強度(活性)が向上した変異型CLucを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、CLucにおいて、特定のアミノ酸残基を置換することで、SeNaを基質とした場合に、CLucと比較して発光強度活性が向上した変異型CLucを得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は以下を包含する。
(1)以下の(a)〜(c)のいずれか1つのタンパク質から成る変異型ルシフェラーゼ。
(a)配列番号2に示されるアミノ酸配列において、第109番目のリジン、第178番目のメチオニン及び第224番目のメチオニンから成る群より選択される1以上のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列から成るタンパク質
(b)前記(a)記載のタンパク質のアミノ酸配列において、前記第109番目、第178番目及び第224番目のアミノ酸以外の位置で、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列から成るタンパク質であって、SeNaを基質とした場合に、配列番号2に示されるアミノ酸配列から成るタンパク質と比較して、発光強度が少なくとも1.4倍である、前記タンパク質
(c)前記(a)又は(b)記載のタンパク質のアミノ酸配列において、第1番目〜第18番目のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列から成るタンパク質
(2)前記第109番目のリジン、第178番目のメチオニン及び第224番目のメチオニンから成る群より選択される2以上のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されていることを特徴とする、(1)記載の変異型ルシフェラーゼ。
(3)前記2以上のアミノ酸が第109番目のリジンと第178番目のメチオニン、第178番目のメチオニンと第224番目のメチオニン、又は第109番目のリジンと第178番目のメチオニンと第224番目のメチオニンであることを特徴とする、(2)記載の変異型ルシフェラーゼ。
(4)前記第109番目のリジンがアスパラギンに置換されていることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれか1記載の変異型ルシフェラーゼ。
(5)前記第178番目のメチオニンがバリンに置換されていることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれか1記載の変異型ルシフェラーゼ。
(6)前記第224番目のメチオニンがリジンに置換されていることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれか1記載の変異型ルシフェラーゼ。
(7)以下の(A)〜(F)のいずれか1つのアミノ酸置換を含むことを特徴とする、(1)記載の変異型ルシフェラーゼ。
(A)前記第109番目のリジンからアスパラギンへの置換
(B)前記第178番目のメチオニンからバリンへの置換
(C)前記第224番目のメチオニンからリジンへの置換
(D)前記第109番目のリジンからアスパラギンへの置換及び前記第178番目のメチオニンからバリンへの置換
(E)前記第178番目のメチオニンからバリンへの置換及び前記第224番目のメチオニンからリジンへの置換
(F)前記第109番目のリジンからアスパラギンへの置換、前記第178番目のメチオニンからバリンへの置換及び前記第224番目のメチオニンからリジンへの置換
(8)外来タンパク質又はペプチドと(1)〜(7)のいずれか1記載の変異型ルシフェラーゼとが連結された融合タンパク質。
(9)(1)〜(7)のいずれか1記載の変異型ルシフェラーゼ又は(8)記載の融合タンパク質をコードする遺伝子。
(10)(9)記載の遺伝子を含む組換えベクター。
(11)(10)記載の組換えベクターを有する形質転換体。
(12)(1)〜(7)のいずれか1記載の変異型ルシフェラーゼ又は(8)記載の融合タンパク質をSeNaと接触させる工程と、前記工程で生成した励起状態の2-(2-メチルブタンアミド)-3-(3-グアニジノプロピル)-5-(ナフタレン-2-イル)-ピラジンを化学物質に作用させる工程と、を含み、前記化学物質の励起に基づき発光させるか又はエネルギーを放出させることを特徴する、発光又はエネルギー放出方法。
(13)前記化学物質が蛍光タンパク質であることを特徴とする、(12)記載の発光又はエネルギー放出方法。
本発明により、390nm付近に極大があり、且つ改善された発光強度を付与する変異型CLuc及びそれをコードする遺伝子が提供される。BRETアッセイにおいて、当該変異型CLucは、例えばGFP等の390nm付近の光で励起可能な蛍光タンパク質(アクセプター)を励起させる、優れたドナーとなる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る変異型ルシフェラーゼは、以下の(a)〜(c)のいずれか1つのタンパク質である。
(a)配列番号2に示されるアミノ酸配列において、第109番目のリジン、第178番目のメチオニン及び第224番目のメチオニンから成る群より選択される1以上のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列から成るタンパク質;
(b)前記(a)記載のタンパク質のアミノ酸配列において、前記第109番目、第178番目及び第224番目のアミノ酸以外の位置で、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列から成るタンパク質であって、SeNaを基質とした場合に、配列番号2に示されるアミノ酸配列から成るタンパク質と比較して、発光強度が少なくとも1.4倍である、前記タンパク質;
(c)前記(a)又は(b)記載のタンパク質のアミノ酸配列において、第1番目〜第18番目のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列から成るタンパク質。
配列番号2に示されるアミノ酸配列から成るタンパク質は、シプリディナ・ノクティルカ由来のルシフェラーゼ(CLuc)である。また、配列番号1に示される塩基配列は、CLucをコードする遺伝子(cDNA)である。
上記(a)記載の変異型ルシフェラーゼは、CLucのアミノ酸配列において、第109番目のリジン、第178番目のメチオニン及び第224番目のメチオニンから成る群より選択される1以上のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されたアミノ酸配列から成るタンパク質である。該タンパク質は、CLucと同様にルシフェラーゼ活性を示す。ところが、このアミノ酸置換により、該タンパク質は、SeNaを基質とした場合に、CLucと比較して、発光強度(すなわち、ルシフェラーゼ活性)が少なくとも1.4倍(例えば1.4倍〜5倍、特に2.5倍〜4倍)である。特に、第109番目のリジン、第178番目のメチオニン及び第224番目のメチオニンのうち2以上のアミノ酸が他のアミノ酸に置換されることで、当該変異型ルシフェラーゼは、SeNaを基質とした場合に、CLucと比較して発光強度が少なくとも2倍である。当該2以上のアミノ酸の組合せとしては、第109番目のリジンと第178番目のメチオニン、第178番目のメチオニンと第224番目のメチオニン、及び第109番目のリジンと第178番目のメチオニンと第224番目のメチオニンが挙げられる。
ここで、他のアミノ酸としては、いずれのアミノ酸であってもよいが、各アミノ酸位置において下記のアミノ酸に置換されることが例示される。
(I)第109番目のリジン:アスパラギン、グルタミンへの置換;
(II)第178番目のメチオニン:バリン、ロイシン、イソロイシンへの置換;
(III)第224番目のメチオニン:リジン、アルギニンへの置換。
また、置換の組合せ及び置換アミノ酸の例示としては、以下の通りである。
(A)第109番目のリジンからアスパラギンへの置換;
(B)第178番目のメチオニンからバリンへの置換;
(C)第224番目のメチオニンからリジンへの置換;
(D)第109番目のリジンからアスパラギンへの置換及び第178番目のメチオニンからバリンへの置換;
(E)第178番目のメチオニンからバリンへの置換及び第224番目のメチオニンからリジンへの置換;
(F)第109番目のリジンからアスパラギンへの置換、第178番目のメチオニンからバリンへの置換及び第224番目のメチオニンからリジンへの置換。
特に、SeNaを基質とした場合の発光強度の点から、上述の(D)又は(F)の置換の組合せ及び置換アミノ酸が好ましい。
一方、上記(b)記載の変異型ルシフェラーゼは、(a)記載の変異型ルシフェラーゼにおいて、上記第109番目、第178番目及び第224番目のアミノ酸以外の位置で、さらに1又は数個(例えば1〜10個、好ましくは1〜5個、特に好ましくは1〜3個)のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列から成り、且つSeNaを基質とした場合に、CLucと比較して、発光強度が少なくとも1.4倍であるものである。第109番目、第178番目及び第224番目のアミノ酸以外の位置としては、例えば、第181番目、第190番目、第225番目、第226番目、第299番目のアミノ酸が挙げられる。
また、上記(c)記載の変異型ルシフェラーゼは、(a)又は(b)記載の変異型ルシフェラーゼのアミノ酸配列からCLucの分泌シグナルペプチド(配列番号2に示されるアミノ酸配列の第1番目〜第18番目のアミノ酸配列から成る)を除いた成熟タンパク質である。一般的に、CLucを含めた分泌タンパク質は、N末端に分泌シグナルペプチドを有する前駆体の形態で合成される。この前駆体は、膜貫通の過程でシグナルペプチダーゼによって切断され、成熟タンパク質となる。本発明において、成熟タンパク質とは、細胞膜外又は細胞壁外に分泌されたタンパク質のことを意味する。
なお、上述した変異型ルシフェラーゼの(a)記載のタンパク質のアミノ酸配列に対して、各所定のアミノ酸置換を維持し、80%以上、好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上のアミノ酸同一性を有するアミノ酸配列から成り、且つSeNaを基質とした場合に、CLucと比較して、発光強度が少なくとも1.4倍であるタンパク質も本発明に係る変異型ルシフェラーゼに含まれる。
上述の本発明に係る変異型ルシフェラーゼは、外来タンパク質又はペプチドと連結された融合タンパク質とすることができる。ここで、外来タンパク質又はペプチドとは、本発明に係る変異型ルシフェラーゼに対して外因的なタンパク質又はペプチドを意味する。外来タンパク質又はペプチドとしては、例えば、タンパク質精製に使用されるタンパク質又はペプチド(グルタチオンS-トランスフェラーゼ、マルトース結合タンパク質、チオレドキシン、セルロース結合ドメイン、ストレプトアビジン結合ペプチド、ヒスチジンタグ等)、細胞外分泌又は細胞内器官への移行のためのシグナルペプチド(出芽酵母のαファクターの分泌シグナルペプチド(アミノ酸配列:配列番号3)、出芽酵母のインベルターゼのシグナルペプチド(アミノ酸配列:配列番号4)、出芽酵母の膜タンパク質Ste6pのシグナルペプチド(アミノ酸配列:配列番号5)等)、BRETにおいて相互作用の解析対象となるタンパク質が挙げられる。
本発明に係る変異型ルシフェラーゼに対して外来タンパク質又はペプチドを連結する位置は、本発明に係る変異型ルシフェラーゼと外来タンパク質又はペプチドとがそれぞれの機能又は活性を有するように適宜選択することができる。例えば、分泌シグナルペプチドと本発明に係る変異型ルシフェラーゼの成熟タンパク質とを連結した融合タンパク質においては、分泌シグナルペプチドを当該成熟タンパク質のN末端側(すなわち、配列番号2に示されるアミノ酸配列における第19番目のアミノ酸のN末端側)に連結することができる。また、例えばBRETにおいて、本発明に係る変異型ルシフェラーゼをドナーとする場合には、相互作用の解析対象の外来タンパク質又はペプチドを本発明に係る変異型ルシフェラーゼのN末端側又はC末端側に連結することができる。
本発明に係る遺伝子は、本発明に係る変異型ルシフェラーゼ又は上述の融合タンパク質をコードする遺伝子である。これら遺伝子を宿主に導入することで、本発明に係る変異型ルシフェラーゼ又は融合タンパク質を発現させることができる。例えば、形質転換対象の宿主に適した分泌シグナルペプチドと本発明に係る変異型ルシフェラーゼの成熟タンパク質とを連結した融合タンパク質をコードする遺伝子を宿主に形質転換することで、本発明に係る変異型ルシフェラーゼを細胞外に分泌発現させることができる。また、例えば形質転換対象の宿主に適した分泌シグナルペプチドと相互作用の解析対象の外来タンパク質又はペプチドと本発明に係る変異型ルシフェラーゼの成熟タンパク質とを連結した融合タンパク質をコードする遺伝子を宿主に形質転換することで、相互作用の解析対象の外来タンパク質又はペプチドと本発明に係る変異型ルシフェラーゼとの融合タンパク質を細胞外に分泌発現させることができる。分泌された融合タンパク質をドナーとして用いることで、BRETアッセイが可能になる。
宿主としては、特に限定されるものではないが、酵母、大腸菌(Escherichia coli)等のエッシェリヒア属、バチルス・ズブチリス(Bacillus subtilis)等のバチルス属又はシュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)等のシュードモナス属等に属する細菌、COS細胞等の動物細胞、Sf9等の昆虫細胞、あるいはアブラナ科等に属する植物が挙げられる。また酵母としては、いずれの酵母であってもよいが、例えば、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロミセス・ポンベ(Shizosaccharomyces pombe)、ピチア・パストリス(Pichia pastoris)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、ハンセヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)が挙げられ、特にサッカロミセス・セレビシエが好ましい。
先ず本発明に係る変異型ルシフェラーゼをコードする遺伝子又は外来タンパク質若しくはペプチドをコードする遺伝子を準備する。これら遺伝子は、例えば、これら遺伝子が由来する生物(例えば、シプリディナ・ノクティルカ)のゲノムDNA等を鋳型として、該領域の両端の塩基配列に相補的なプライマーを用いたPCRによって容易に得ることができる。ただし、本発明に係る変異型ルシフェラーゼは、CLucのアミノ酸配列においてアミノ酸置換を有するものであるので、上述のように得られたPCR産物に、部位特異的突然変異誘発法等によって変異をさらに導入することによって、本発明に係る変異型ルシフェラーゼをコードする遺伝子を得ることができる。
一旦、塩基配列が確定されると、その後は化学合成によって、又はクローニングされたプローブを鋳型としたPCRによって、あるいは該塩基配列を有するDNA断片をプローブとしてハイブリダイズさせることによって、本発明に係る変異型ルシフェラーゼをコードする遺伝子又は外来タンパク質若しくはペプチドをコードする遺伝子を得ることができる。さらに、部位特異的突然変異誘発法等によって本発明に係る変異型ルシフェラーゼをコードする遺伝子又は外来タンパク質若しくはペプチドをコードする遺伝子の変異型であって変異前と同等の機能を有するものを合成することができる。なお、本発明に係る変異型ルシフェラーゼをコードする遺伝子又は外来タンパク質若しくはペプチドをコードする遺伝子に変異を導入するには、Kunkel法、Gapped duplex法、メガプライマーPCR法等の公知の手法又はこれに準ずる方法を採用することができる。
本発明に係る変異型ルシフェラーゼをコードする遺伝子と外来タンパク質又はペプチドをコードする遺伝子とを連結し、融合タンパク質をコードする遺伝子を作製する場合には、本発明に係る変異型ルシフェラーゼをコードする遺伝子に外来タンパク質又はペプチドをコードする遺伝子を連結したDNAを準備する。このようなDNAは、連結したDNA自体であってもよく、当該DNAを含むベクター等であってよい。本発明に係る変異型ルシフェラーゼをコードする遺伝子に外来タンパク質又はペプチドをコードする遺伝子を連結する方法は、それぞれ精製された本発明に係る変異型ルシフェラーゼをコードする遺伝子及び外来タンパク質又はペプチドをコードする遺伝子を適当な制限酵素で切断し、連結する方法が採用される。また、本発明に係る変異型ルシフェラーゼをコードする遺伝子と外来タンパク質又はペプチドをコードする遺伝子のそれぞれ一部に相同な領域を持たせることにより、PCR等を用いたin vitro法又は酵母等を用いたin vivo法によって両者を連結する方法であってもよい。
本発明に係る遺伝子を含む組換えベクターは、適当なベクターに本発明に係る遺伝子を挿入することにより得ることができる。使用するベクターは、宿主中で複製可能なものであれば特に限定されず、例えばプラスミド、シャトルベクター、ヘルパープラスミド等が挙げられる。また該ベクター自体に複製能がない場合には、宿主の染色体に挿入すること等によって複製可能となるDNA断片であってもよい。
プラスミドDNAとしては、大腸菌由来のプラスミド(例えばpBR322、pBR325、pUC118、pUC119、pUC18、pUC19、pBluescript等)、枯草菌由来のプラスミド(例えばpUB110、pTP5等)、酵母由来のプラスミド(例えばYEp13等のYEp系、YCp50等のYCp系等)等が挙げられ、ファージDNAとしてはλファージ等が挙げられる。さらに、レトロウイルス又はワクシニアウイルス等の動物ウイルスやバキュロウイルス等の昆虫ウイルスベクターを用いることもできる。
ベクターに本発明に係る遺伝子を挿入する方法は、上述した本発明に係る変異型ルシフェラーゼをコードする遺伝子に外来タンパク質又はペプチドをコードする遺伝子を連結する方法に準じて行うことができる。
さらに、本発明に係る遺伝子又は本発明に係る遺伝子を含む組換えベクター(以下、「本発明に係る組換えベクター等」という)を宿主中に導入することにより形質転換体を作製する。
酵母への本発明に係る組換えベクター等の導入方法は、酵母にDNAを導入する方法であれば特に限定されず、例えば電気穿孔法(エレクトロポレーション法)、スフェロプラスト法、酢酸リチウム法等が挙げられる。また、YIp系等のベクターあるいは染色体中の任意の領域と相同なDNA配列を用いた染色体への置換・挿入型の酵母の形質転換法であっても良い。さらに酵母への本発明に係る組換えベクター等の導入方法は、一般的実験書又は学術論文等に記載されたいかなる方法によってもよい。
細菌への本発明に係る組換えベクター等の導入方法は、細菌にDNAを導入する方法であれば特に限定されるものではない。例えばカルシウムイオンを用いる方法、エレクトロポレーション法等が挙げられる。
動物細胞を宿主とする場合は、サル細胞COS-7、Vero、チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)、マウスL細胞等が用いられる。動物細胞への本発明に係る組換えベクター等の導入方法としては、例えばエレクトロポレーション法、リン酸カルシウム法、リポフェクション法等が挙げられる。
昆虫細胞を宿主とする場合は、Sf9細胞等が用いられる。昆虫細胞への本発明に係る組換えベクター等の導入方法としては、例えばリン酸カルシウム法、リポフェクション法、エレクトロポレーション法等が挙げられる。
植物を宿主とする場合は、植物体全体、植物器官(例えば葉、花弁、茎、根、種子等)、植物組織(例えば表皮、師部、柔組織、木部、維管束等)、植物培養細胞等が用いられる。植物への本発明に係る組換えベクター等の導入方法としては、例えばエレクトロポレーション法、アグロバクテリウム法、パーティクルガン法、PEG法等が挙げられる。
本発明に係る組換えベクター等が宿主に組み込まれたか否かの確認は、PCR法、サザンハイブリダイゼーション法、ノーザンハイブリダイゼーション法等により行うことができる。例えば、形質転換体からDNAを調製し、DNA特異的プライマーを設計してPCRを行う。その後は、増幅産物についてアガロースゲル電気泳動、ポリアクリルアミドゲル電気泳動、キャピラリー電気泳動等を行い、臭化エチジウム、SYBR Green液等により染色し、そして増幅産物をバンドとして検出することにより、形質転換されたことを確認する。また、予め蛍光色素等により標識したプライマーを用いてPCRを行い、増幅産物を検出することもできる。さらに、マイクロプレート等の固相に増幅産物を結合させ、蛍光、酵素反応等により増幅産物を確認する方法も採用してもよい。
次いで、得られた形質転換体を生育可能な条件下で培養する。形質転換体の培養物や培養上清をそのまま酵素活性の測定に供する場合には、本発明に係る変異型ルシフェラーゼが失活しない条件下で培養することとなる。例えば、本発明に係る組換えベクター等を導入した形質転換酵母の培養において、酵母が生育し且つ本発明に係る変異型ルシフェラーゼが失活しないように、温度は、例えば4〜37℃、好ましくは20〜30℃に設定する。また培地のpHは、例えば3.5〜6.5、好ましくは5.5〜6.0に設定すればよい。培養時間は、例えば1〜120時間、好ましくは対数増殖期である1〜24時間である。
以上のようにして、本発明に係る変異型ルシフェラーゼ又は本発明に係る変異型ルシフェラーゼと外来タンパク質若しくはペプチドとの融合タンパク質を上述の形質転換体より得ることができる。
本発明に係る変異型ルシフェラーゼの活性の測定では、例えば、上述の形質転換体の培養後、得られる培養物又は培養上清を、本発明に係る変異型ルシフェラーゼの酵素反応が生じうる条件下で、基質である、以下の式(I):
Figure 0005224100
で示される天然型ウミホタルルシフェリン又はその誘導体と接触させる。ここで、ルシフェリン誘導体としては、例えば、上述の天然型ウミホタルルシフェリンのイミダゾピラジノン骨格におけるC2位、C6位又はC8位側鎖の化学構造を、例えば芳香族、脂肪族、あるいはカルボン酸やアミノ基等の水溶液中で電離するような官能基等に置換したものが挙げられる。ウミホタルルシフェラーゼによって発光する限り、官能基の構造や位置は限定されないが、本発明に係る変異型ルシフェラーゼでは、C6位を置換した、以下の式(II):
Figure 0005224100
で示されるSeNaを基質とすることが特に望ましい。SeNa等のウミホタルルシフェリン誘導体は、例えば特許文献3に記載の方法により製造することができる。
また、酵素反応が生じうる条件とは、本発明に係る変異型ルシフェラーゼの活性中心にSeNa等の基質が特異的に結合して複合体が生成され、酵素反応が進む条件を意味する。また、接触とは、培養物又は培養上清中の本発明に係る変異型ルシフェラーゼとSeNa等の基質とが近接し、酵素反応が生じる状態を意味する。また、培養物とは、形質転換体を含む培養液や培地を意味する。本発明に係る変異型ルシフェラーゼが、例えば宿主に適した分泌シグナルペプチドと連結されている場合には、培地中に分泌されるため、形質転換体を含む培養液や培地をそのまま使用することができる。あるいは、形質転換体を遠心分離等によって分離した培養上清を使用してもよい。培養上清は、例えば、希釈、濃縮、透析、精製等に供することもできる。
接触させる条件として、温度は、例えば0〜40℃、好ましくは15〜30℃に設定する。またpHは、例えば4.0〜9.0、好ましくは6.0〜8.0に設定すればよい。接触時間(反応時間)は、例えば1秒〜30分間、好ましくは1秒〜30秒間である。特に種々の緩衝液で希釈したSeNa等の基質溶液を培養物又は培養上清に添加することで、培養物又は培養上清のpHを本発明に係る変異型ルシフェラーゼの酵素活性が高いpHにシフトすることができる。例えば、本発明に係る変異型ルシフェラーゼを含む培養物又は培養上清に対して、2M以下(好ましくは50mM〜200mM)で、且つpH3.5〜9.0(好ましくはpH7.0〜8.0)のトリス塩酸緩衝液(Tris-HCl)等の緩衝液で希釈したSeNa等の基質溶液を添加することで、上述した接触時のpHを設定することができる。培養物又は培養上清に対するSeNa等の基質の濃度は、例えば本発明に係る変異型ルシフェラーゼを有する形質転換体の培養物又は培養上清の濁度(例えば600nmにおける吸光度)0.05以上に対して、SeNa等の基質を0.1μM以上、好ましくは1〜10μMの終濃度となるように添加する。
次いで本発明に係る変異型ルシフェラーゼの酵素活性を測定する。測定方法は、例えば、形質転換体の培養物又は培養上清とSeNa等の基質との混合物を、ルミノメーターを用いた発光測定に供し、相対発光強度(relative light unit: RLU)として酵素活性を測定する。また、活性測定時に酵素活性を補正して測定値を標準化するために、培養液又は培養上清の濁度(例えば600nmにおける吸光度(OD))を測定し、相対発光強度を濁度で除することによって補正した値(RLU/OD)を、酵素活性値とすることができる。あるいは、相対発光強度を標準化するために、形質転換体に含まれるATP量を測定し、この値で相対発光強度を除する方法も好ましい。さらに、形質転換体において、同時に別の酵素やタンパク質を発現させて、その酵素又はタンパク質量を測定し、その値で相対発光強度を除して補正する方法でもよい。また、例えば、宿主がサッカロミセス・セレビシエ等の微生物である場合、形質転換体は寒天培地において生育し、コロニーを形成する。そこで、例えば、形質転換体を含む寒天培地にSeNa等の基質を添加した後、コロニーの発光強度を、例えばCCDカメラ等を有する発光検出器を用いて測定することによって酵素活性を測定することができる。
このようなルシフェラーゼ活性の測定によって、SeNaを基質とし、CLucと比較して有意な(すなわち、少なくとも1.4倍の)発光強度(活性)の向上が見られた場合に、本発明に係る変異型ルシフェラーゼが得られたと判断することができる。
さらに、本発明に係る変異型ルシフェラーゼと外来タンパク質若しくはペプチドとの融合タンパク質を、BRET等に用いて発光又はエネルギーを放出させることができる。
本発明に係る発光又はエネルギー放出方法では、先ず、本発明に係る変異型ルシフェラーゼあるいは本発明に係る変異型ルシフェラーゼと外来タンパク質若しくはペプチドとの融合タンパク質を、SeNaと接触させる。この接触により、SeNaは、以下の式(III):
Figure 0005224100
で示される励起状態の2-(2-メチルブタンアミド)-3-(3-グアニジノプロピル)-5-(ナフタレン-2-イル)-ピラジンへと酸化される。次いで、生成された2-(2-メチルブタンアミド)-3-(3-グアニジノプロピル)-5-(ナフタレン-2-イル)-ピラジンと化学物質とを作用させることで、励起状態の2-(2-メチルブタンアミド)-3-(3-グアニジノプロピル)-5-(ナフタレン-2-イル)-ピラジンが基底状態に戻る際の発光又は発光に関与するエネルギーが化学物質に移行し、励起し、その励起エネルギーに依存して発光させるか又はエネルギーを放出させることができる。ここで、作用とは、励起状態の2-(2-メチルブタンアミド)-3-(3-グアニジノプロピル)-5-(ナフタレン-2-イル)-ピラジンと化学物質とを距離的に、且つ位相的にエネルギーを転移できる位置に配置することを意味する。
当該方法では、本発明に係る変異型ルシフェラーゼはドナーである。また、化学物質とは、発光体の励起エネルギーをエネルギー共鳴によって受け取り、そのエネルギーによって蛍光を発することができる物質を意味する。すなわち、化学物質は、本発明に係る変異型ルシフェラーゼに対するアクセプターである。化学物質としては、例えば、フルオロセイン、FITC、TRITC、TAMRA、量子ドット、並びにGFP(オワンクラゲ由来緑色蛍光タンパク質)及びその変異体(CFP、YFP等)並びにDsRed(カイメン由来赤色蛍光タンパク質)等の蛍光タンパク質が挙げられる。特に、本発明に係る変異型ルシフェラーゼはSeNaを基質することで、390nm付近の極大で発光するので、励起スペクトルの極大が395nmであるGFPが好ましい化学物質、すなわち、アクセプターである。なお、化学物質は、本発明に係る変異型ルシフェラーゼと連結した外来タンパク質又はペプチドと相互作用する外来タンパク質又はペプチドと連結(例えば、融合タンパク質として)していてもよい。このような場合においては、本発明に係る変異型ルシフェラーゼと化学物質とのBRETに基づき、それぞれ連結された外来タンパク質又はペプチド間の相互作用を評価することができる。
以上に説明したように、本発明に係る変異型ルシフェラーゼを用いることで、特定の化学物質の励起スペクトルに合った発光スペクトルが提供され、より高いBRET効率を示し、強いシグナルが得られる。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕ランダム変異導入によるSeNaに対する活性が高い変異型ルシフェラーゼの単離
1. 材料
1-1. プラスミド
プラスミドpCLuRA-TDH3は、サッカロミセス・セレビシエにおいてCLucを分泌発現させる発現ベクターとして、特許文献2に開示されている。
このプラスミドpCLuRA-TDH3は、サッカロミセス・セレビシエのαファクターの分泌シグナルペプチド(アミノ酸配列:配列番号3)とCLucの成熟タンパク質(配列番号2に示すCLucのアミノ酸配列において、1-18番目のアミノ酸配列を除いたアミノ酸配列)との融合タンパク質(以下、「αCLuc」という)をコードする遺伝子(以下、「αCLuc遺伝子」という)を含んでいる。配列番号6に示すアミノ酸配列は、αCLucのアミノ配列である。αファクター由来の分泌シグナルペプチドとの融合タンパク質とすることで、CLucが菌体外へ分泌される。
また、このプラスミドpCLuRA-TDH3においては、αCLuc遺伝子の上流(5'側)に、サッカロミセス・セレビシエのTDH3(系統的遺伝子名:YGR192C)遺伝子のプロモーターが組み込まれている。このTDH3プロモーターによって、αCLuc遺伝子の発現が制御される。
一方、プラスミドpCLuRA-TDH3[αP21L,-(GS)3H6]は、プラスミドpCLuRA-TDH3を改変したプラスミドである。当該プラスミドは、αファクターの分泌シグナルペプチド(アミノ酸配列:配列番号3)の第21番目のプロリンがロイシンに改変され、且つCLucのC末端にGSGSGSHHHHHH(配列番号7)というアミノ酸配列から成るヒスチジンタグが付与されるようにαCLuc遺伝子が改変されている点で、プラスミドpCLuRA-TDH3と異なる。以下では、この改変型αファクター分泌シグナルペプチドとヒスチジンタグを付加したCLucの融合タンパク質を「αP21L-CLuc-HT」といい、それをコードする遺伝子を「αP21L-CLuc-HT遺伝子」という。配列番号8に示すアミノ酸配列は、αP21L-CLuc-HTのアミノ配列である。この改変型αファクター分泌シグナルペプチドは、第21番目のプロリンのロイシンへの置換により、天然型αファクター分泌シグナルペプチドよりも分泌効率の向上をもたらす(国際出願第PCT/JP2007/067525号)。
プラスミドpCLuRA-TDH3[αP21L,-(GS)3H6]は、7635bpの環状プラスミドである。配列番号9に示す塩基配列は、プラスミドpCLuRA-TDH3[αP21L,-(GS)3H6]の塩基配列のうち、αP21L-CLuc-HT遺伝子並びにその5'側及び3'側の一部の塩基配列である。具体的には、配列番号9に示す塩基配列は、TDH3プロモーター配列を含むαP21L-CLuc-HT遺伝子の開始コドン5'上流700bp、αP21L-CLuc-HTのコード領域、及びCYC1ターミネーター配列を含むαP21L-CLuc-HT遺伝子の終止コドン3'下流310bpまでを含む配列である。
なお、以下の実施例において、変異型ルシフェラーゼをコードするDNAを有するプラスミドの説明においても、塩基番号は変わらないので、特に断らない限り、配列番号9の塩基番号によって説明する。
1-2. 宿主酵母
宿主として、サッカロミセス・セレビシエBY4743 PRB1Δ株を用いた。当該BY4743 PRB1Δ株は、サッカロミセス・セレビシエBY4741株(Invitrogen社)及びBY4742株(Invitrogen社)のそれぞれにおいて、プロテアーゼをコードする遺伝子であるPRB1をHegemannらの方法(http://mips.gsf.de/proj/yeast/info/tools/hegemann/loxp_kanmx.html)により破壊し、得られたBY4741 PRB1Δ株とBY4742 PRB1Δ株とを交接することで作製した。
1-3. 形質転換
形質転換は、Zymo Research社の「Frozen Yeast Transformation II」等のキットを用いて行った。
1-4. 培養
平板培養には、ウラシルを含まない合成寒天培地(0.67% Yeast nitrogen base without amino acids(ベクトンディッキンソン)、40μg/mlアデニン、20μg/ml L-アルギニン一塩酸塩、100μg/ml L-アスパラギン酸、100μg/ml L-グルタミン酸ナトリウム一水和物、20μg/ml L-ヒスチジン、60μg/ml L-ロイシン、30μg/ml L-リジン塩酸塩、20μg/ml L-メチオニン、50μg/ml L-フェニルアラニン、375μg/ml L-セリン、200μg/ml L-トレオニン、40μg/ml L-トリプトファン、30μg/ml L-チロシン、150μg/ml L-バリン、2%グルコース及び2.0%寒天:以下では単に「SD-ura寒天培地」という)を用いた。
液体培養には、緩衝作用を有し、且つウラシルを含まない合成液体培地(上記SD-ura寒天培地から寒天を除き、最終濃度200mMのリン酸カリウム緩衝液(pH6.0)を加えたもの:以下では単に「buffered SD-ura液体培地」という)を用いた。
1-5. 基質
基質であるSeNaは、乾固状態のものを0.005N塩酸-50%エタノールに1mMになるように溶解し、-80℃で保存し、要時さらに緩衝液(100mMトリス塩酸、pH7.5)で希釈したものを用いた。
2. 変異型CLuc遺伝子ライブラリーの作製
2-1. N領域変異型ライブラリーの作製
プラスミドpCLuRA-TDH3[αP21L,-(GS)3H6]のαP21L-CLuc-HTコード領域にError Prone PCR(誤りがちPCR)を用いてランダム点突然変異を導入した。
変異を導入する対象領域は、αP21L-CLuc-HTコード領域のほぼ前半部分(配列番号9に示す塩基配列において第900番目〜第1813番目の塩基配列、以下「N領域」と称する)とした。
N領域のError Prone PCRでは、以下のオリゴDNAプライマーを使用した。
mut-CLuc-F: 5'-ATACTACTATTGCCAGCATTGCTGCTAAAG-3'(配列番号10)
mut-CLuc-NR2: 5'-CACGTGTGAGGCTCGCTCGTCTCCACCCAT-3'(配列番号11)
N領域を対象としたError Prone PCRの反応液の組成は以下の通りであった:Taq DNA polymerase(ロッシュ、1 unit/μl)5μl; 10xPCR buffer w/o magnesium ion 10μl; Error Prone PCR用デオキシヌクレオチド混合溶液10μl; 25mM塩化マグネシウム28μl; 5mM塩化マンガン2.5μl; プラスミドpCLuRA-TDH3[αP21L,-(GS)3H6]溶液(150ng/μl)1μl; mut-Cluc-F(配列番号10)(10pmol/μl)3μl; mut-CLuc-NR2(配列番号11)(10pmol/μl)3μl; 滅菌水37.3μl。なお、上述の「Error Prone PCR用デオキシヌクレオチド混合溶液」は以下の組成の溶液である:100mM dCTP 100μl; 100mM dTTP 100μl; 100mM dGTP 20μl; 100mM dATP 20μl; 滅菌水760μl。
Error Prone PCR反応条件は以下の通りであった:94℃で1分(変性)、45℃で1分(アニーリング)及び72℃で1分(伸長)のサイクルを30サイクル。
上記Error Prone PCR反応によって得られたPCR産物を、1%アガロースで電気泳動した結果、約900bpのDNA断片を確認した。この断片を、シグマ社GeneElute MINUS EtBr SPIN COLUMNSで精製し、エタノール沈殿を行った後、20μlのTE緩衝液(10mM Tris-HCl、1mM EDTA,pH8.0)に溶解し、DNA溶液とした。
次いで、サッカロミセス・セレビシエに導入するのに十分な量のDNAを確保するために、上記DNA溶液を鋳型としてさらにPCRを行った(以下、「2nd PCR」と称する)。
2nd PCRの反応液の組成は以下の通りであった:KOD plus DNA polymerase(東洋紡績) 1μl; 10x KOD plus buffer 5μl; 2mM each dNTP mixture 5μl; 25mM硫酸マグネシウム2μl; mut-Cluc-F(配列番号10)(10pmol/μl)1.5μl; mut-CLuc-NR2(配列番号11)(10pmol/μl)1.5μl; 上記DNA溶液1μl; 滅菌水33μl。
2nd PCR反応条件は以下の通りであった:94℃で2分(抗ポリメラーゼ抗体の失活)を1サイクル、並びに94℃で15秒(変性)、50℃で30秒(アニーリング)及び68℃で1分(伸長)のサイクルを30サイクル。
2nd PCR反応によって得られたPCR産物を、1%アガロースで電気泳動した結果、約900bpのDNA断片を確認した。以下、このDNA断片を「N領域断片」と称する。
N領域断片を、アガロースゲルからシグマ社GeneElute MINUS EtBr SPIN COLUMNSを用いて精製し、エタノール沈殿を行った後、20μlのTE緩衝液に溶解した(以下、「N領域断片溶液」と呼ぶ)。
サッカロミセス・セレビシエは、一般に細胞内で高い確率で相同組換えを起こす。そこで、プラスミドpCLuRA-TDH3[αP21L,-(GS)3H6]の塩基配列のうち、配列番号9に示す塩基配列において第967番目から第1703番目の塩基配列を欠いた直鎖状DNA断片(以下、「補N領域断片」と称する)を、上述のように変異を導入した「N領域断片」と同時にサッカロミセス・セレビシエに導入すれば、サッカロミセス・セレビシエ内で環状DNA(N領域に変異が導入された変異型プラスミドpCLuRA-TDH3[αP21L,-(GS)3H6])が相同組換えにより再構成され、サッカロミセス・セレビシエはこの再構成されたプラスミドで形質転換され得る。
「補N領域断片」を、以下に示すPCRにより作製した。PCRでは、以下のオリゴDNAプライマーを用いた。
vec-CLuc-R: 5'-GCTTCAGCCTCTCTTTTCTCGAGAG-3'(配列番号12)
SQ-CLuc-NF2: 5'-TTCTCGAGCCGTACAAGGACAGCTGCCGCA-3'(配列番号13)
PCRの反応液の組成は、以下の通りであった:KOD plus DNA polymerase(東洋紡績)1μl; 10x KOD plus buffer 5μl; 2mM each dNTP mixture 5μl; 25mM硫酸マグネシウム 2μl; vec-CLuc-R(配列番号12)(10pmol/μl)1.5μl; SQ-CLuc-NF2(配列番号13)(10pmol/μl)1.5μl;プラスミドpCLuRA-TDH3[αP21L,-(GS)3H6]溶液(150ng/μl)1μl; 滅菌水33μl。
PCR反応条件は以下の通りであった:94℃で2分(抗ポリメラーゼ抗体の失活)を1サイクル、並びに94℃で15秒(変性)及び68℃で8分(アニーリング及び伸長)のサイクルを30サイクル。
得られたPCR産物を、1%アガロースで電気泳動した結果、約7kbpのDNA断片を確認した。このDNA断片を、シグマ社GeneElute MINUS EtBr SPIN COLUMNSで精製し、エタノール沈殿を行った後、20μlのTE緩衝液に溶解した(以下、「補N領域断片溶液」と呼ぶ)。
N領域断片と補N領域断片とは、それぞれの両末端において配列を共有している。
N領域断片溶液と補N領域断片溶液とを、それぞれ5μlずつ混合し、サッカロミセス・セレビシエBY4743 PRB1Δ株を形質転換した。形質転換に供した菌体を、SD-ura寒天培地に塗沫し、30℃で48時間〜72時間保温した。出現した多数のコロニーを、N領域変異型ライブラリーとした。
2-2. C領域変異型ライブラリーの作製
上述のN領域変異型ライブラリーの作製と同様の手法により、αP21L-CLuc-HTコード領域のほぼ後半部分を変異を導入する対象領域としたC領域変異型ライブラリーを作製した。
変異を導入する対象領域は、αP21L-CLuc-HTコード領域の後半部分とαP21L-CLuc-HTコード領域の3'側非コード領域の約60bp(配列番号9に示す塩基配列において第1554番目〜第2698番目の塩基配列、以下「C領域」と称する)とした。
上述のN領域変異型ライブラリーのN領域断片に相当するC領域断片を、上記第2-1節と同様な手順(Error Prone PCRと2nd PCR)により作製した。ただし、プライマーは以下のものを用いた。
mut-CLuc-CF1: 5'-TCTCTGGCCTCTGTGGAGATCTTAAAATGA-3'(配列番号14)
mut-CLuc-R: 5'-AACTCCTTCCTTTTCGGTTAGAGCGGATGT-3'(配列番号15)
一方、上述のN領域変異型ライブラリーの補N領域断片に相当する補C領域断片(配列番号9に示す塩基配列において第1664番目から第2611番目の塩基配列を欠いた直鎖状DNA断片)を、上記第2-1節と同様な手順により作製した。ただし、プライマーは以下のものを用いた。
vec-CLuc-F: 5'-TCTAGAGGGCCGCATCATGTAATTA-3'(配列番号16)
SQ-CLuc-CR1: 5'-TGGACAACCGTCAAACTCCTGGTTGATCTT-3'(配列番号17)
またPCR反応条件は以下の通りであった:94℃で2分(抗ポリメラーゼ抗体の失活)を1サイクル、並びに94℃で15秒(変性)、55℃で30秒(アニーリング)及び68℃で8分(伸長)のサイクルを30サイクル。
C領域断片と補C領域断片とは、それぞれの両末端において配列を共有している。
サッカロミセス・セレビシエBY4743 PRB1Δ株を形質転換した。形質転換した菌体を、SD-ura寒天培地に塗沫し、30℃で48時間〜72時間保温した。出現した多数のコロニーを、C領域変異型ライブラリーとした。
3. 変異型ルシフェラーゼのスクリーニング
96穴ディープウェルプレート(ウェル容積2ml)に、1mlずつbuffered SD-ura液体培地を分注し、N領域変異型ライブラリー又はC領域変異型ライブラリーのコロニーをそれぞれのウェルに植菌した。なお、対照として、6ウェルには、変異が導入されていないヒスチジンタグ付きCLuc(野生型CLuc)を分泌発現するサッカロミセス・セレビシエ(pCLuRA-TDH3[αP21L,-(GS)3H6]で形質転換されたBY4743 PRB1Δ株のコロニー)を植菌した。
次いで、植菌したプレートを、25〜30℃で42〜48時間振盪(1,200〜1,500rpm)培養した後、遠心分離に供し、各ウェルから培養上清20μlを黒色96穴プレートに移した。さらに、それぞれのウェルに、1.0又は2.5μMのSeNa溶液(100mM Tris-HCl, pH7.5)を80μl加え、10又は1秒間の発光量を測定した。バックグランド補正には植菌していないbuffered SD-ura液体培地を用いた。
プレート24枚分(約2000クローン)についてスクリーニングし、野生型CLucと比較して、約1.5倍を目安に、活性が上昇していると思われる28クローンを選び出した。
これらのクローンについて、菌体からDNAを抽出し、当該DNAで大腸菌DH5α株を形質転換した。得られた形質転換体からプラスミドDNAを抽出・精製し、配列番号9の第1番目〜第2800番目の間の塩基配列をシーケシングし、変異を特定した。
これらのクローンのうち、変異が同定できたクローンについて、菌体を平板培地に画線し、保温して、再度コロニーを形成させた。各クローンについて、それぞれ6〜8コロニーを釣菌し、前述の方法と同様にディープウェルで培養し、再度活性を測定した。その結果、対照の野生型CLucを有するクローンと比較して、活性が上昇していると認められたクローンを3種選んだ。
当該3種のクローンは、それぞれCLucのアミノ酸配列(配列番号2)において、第224番目のメチオニンがリジンに置換されたM224K単独変異型CLucを有するクローン、第190番目のリジンがアスパラギンに置換されたK190N単独変異型CLucを有するクローン、及び第109番目のリジンがアスパラギンに置換され、且つ第148番目のトレオニンがアラニンに置換されたK109N/T148A二重変異型CLucを有するクローンであった。M224K単独変異型CLucを有するクローン、K190N単独変異型CLucを有するクローン及びK109N/T148A二重変異型CLucを有するクローンから得られたプラスミドを、それぞれpCLuRA-TDH3[αP21L,M224K,-(GS)3H6]、pCLuRA-TDH3[αP21L,K190N,-(GS)3H6]、pCLuRA-TDH3[αP21L,K109N,T148A,-(GS)3H6]と称する。
ここで、例えば「M224K単独変異型CLuc」とは、配列番号2において第224番目の位置に相当するメチオニンがリジンに置換された変異型CLucを表す。アミノ酸のアルファベット記号は国際純正・応用化学連合-国際生化学連合(IUPAC-IUB)勧告によるアミノ酸を表す一文字記号である。また、「M224K単独変異体」とは、M224K単独変異型CLucを有するクローンを表す。さらに、M224K単独変異体が保持するプラスミドを「pCLuRA-TDH3[αP21L,M224K,-(GS)3H6]」と称する。以下では、変異型CLuc、変異型CLucを有する変異体(クローン)、及び変異体が保持するプラスミドを同様の様式で称する。
4. K109N単独変異体及びT148A単独変異体の作製
上記第3節のK109N/T148A二重変異体に基づき、K109N単独変異体とT148A単独変異体を以下のように作製した。
先ず、以下に示す鋳型とプライマーの組み合わせで、4種類のPCRを行った。なお、各PCRの反応液の組成は、以下の通りであった:KOD plus DNA polymerase(東洋紡績)1μl; 10x KOD plus buffer 5μl; 2mM each dNTP mixture 5μl; 25mM硫酸マグネシウム 2μl; プライマー1(10pmol/μl)1.5μl; プライマー2(10pmol/μl)1.5μl;プラスミド溶液(150ng/μl)1μl; 滅菌水33μl。また、PCR反応条件は以下の通りであった:94℃で2分(抗ポリメラーゼ抗体の失活)を1サイクル、並びに94℃で15秒(変性)、50℃で30秒(アニーリング)及び68℃で1分(伸長)のサイクルを30サイクル。
(a) PCR A
鋳型:pCLuRA-TDH3[αP21L,K109N,T148A,-(GS)3H6]
プライマー1:mut-CLuc-F(配列番号10)
プライマー2:4037/4063-R:5'-CAGCACAGCCCCCTTGGTTCCATCCAG-3'(配列番号18)
(b) PCR B
鋳型:pCLuRA-TDH3[αP21L,K109N,T148A,-(GS)3H6]
プライマー1:4037/4063-F:5'-CTGGATGGAACCAAGGGGGCTGTGCTG-3'(配列番号19)
プライマー2:SQ-CLuc-CR1(配列番号17)
(c) PCR C
鋳型:pCLuRA-TDH3[αP21L,-(GS)3H6]
プライマー1:mut-CLuc-F(配列番号10)
プライマー2:4037/4063-R(配列番号18)
(d) PCR D
鋳型:pCLuRA-TDH3[αP21L,-(GS)3H6]
プライマー1:4037/4063-F(配列番号19)
プライマー2:SQ-CLuc-CR1(配列番号17)
各PCRによって生じたDNA断片をアガロースゲル電気泳動で分離し、ゲルから切り出し、シグマ社GeneElute MINUS EtBr SPIN COLUMNSで精製した。
次に、以下に示すPCRを行った。なお、各PCRの反応液の組成は、以下の通りであった:KOD plus DNA polymerase(東洋紡績)1μl; 10x KOD plus buffer 5μl; 2mM each dNTP mixture 5μl; 25mM硫酸マグネシウム 2μl; プライマー1(10pmol/μl)1.5μl; プライマー2(10pmol/μl)1.5μl;鋳型DNA溶液1μl; 滅菌水33μl。また、PCR反応条件は以下の通りであった:94℃で2分(抗ポリメラーゼ抗体の失活)を1サイクル、並びに94℃で15秒(変性)、50℃で30秒(アニーリング)及び68℃で1分又は7分30秒(伸長)のサイクルを30サイクル。
(e) PCR E
鋳型:上記PCR A のPCR断片とPCR DのPCR断片の混合物
プライマー1:mut-CLuc-F(配列番号10)
プライマー2:SQ-CLuc-CR1(配列番号17)
伸長反応時間:1分
(f) PCR F
鋳型:上記PCR BのPCR断片とPCR CのPCR断片の混合物
プライマー1:mut-CLuc-F(配列番号10)
プライマー2:SQ-CLuc-CR1(配列番号17)
伸長反応時間:1分
(g) PCR G
鋳型:プラスミドpCLuRA-TDH3[αP21L,-(GS)3H6]溶液(150ng/μl)
プライマー1:vec-CLuc-R(配列番号12)
プライマー2:mut-CLuc-CF1(配列番号14)
伸長反応時間:7分30秒
各PCRによって生じたDNA断片をシグマ社GeneElute PCR Clean-up Kitで精製した。
次いで、PCR EのPCR断片とPCR GのPCR断片との混合物でサッカロミセス・セレビシエBY4743 PRB1Δ株を形質転換した。形質転換体からDNAを調製し、当該DNAを用いて大腸菌DH5α株を形質転換した。
さらに、形質転換体からプラスミドDNAを精製し、配列番号9の第1番目〜第2800番目の間の塩基配列をシーケシングし、当該形質転換体がK109N単独変異体であることを確認した。得られたプラスミドを、「pCLuRA-TDH3[αP21L,K109N,-(GS)3H6]」と称する。
同様に、PCR FのPCR断片とPCR GのPCR断片との混合物でサッカロミセス・セレビシエBY4743 PRB1Δ株を形質転換した。形質転換体からDNAを調製し、当該DNAを用いて大腸菌DH5α株を形質転換した。形質転換体からプラスミドDNAを精製し、配列番号9の第1番目〜第2800番目の間の塩基配列をシーケシングし、当該形質転換体がT148A単独変異体であることを確認した。得られたプラスミドを、pCLuRA-TDH3[αP21L,T148A,-(GS)3H6]と称する。
次いで、pCLuRA-TDH3[αP21L,K109N,-(GS)3H6]及びpCLuRA-TDH3[αP21L,T148A,-(GS)3H6]を用いて、それぞれサッカロミセス・セレビシエBY4743 PRB1Δ株を形質転換した。得られた形質転換体(それぞれK109N単独変異型CLuc、T148A単独変異型CLucを発現する)及びpCLuRA-TDH3[αP21L,-(GS)3H6]で形質転換された形質転換体(野生型CLucを発現する)のコロニーを、上記第3節に記載の方法に準じて、ディープウェルプレートで培養し、発光強度を比較した。なお、SeNa溶液の濃度は、2.5μMとした。
その結果、K109N単独変異型CLucの発光強度は、K109N/T148A二重変異型CLucとほぼ同等であった。一方、T148A単独変異型CLucの発光強度は、野生型CLucとほぼ同等であった。従って、K109N変異が活性上昇に寄与しているものと考えられた。
5. M224K単独変異体に対するランダム変異導入とスクリーニング及び変異の組み合わせ
M224K単独変異体に対してさらにランダム変異を導入して、より高い活性を示す変異体を得ることを試みた。ランダム変異導入とスクリーニングの手法は、上記第2節及び第3節に記載した方法に準じた。ただし、Error Prone PCR の鋳型には、pCLuRA-TDH3[αP21L,M224K,-(GS)3H6]を用いた。またSeNa溶液の濃度は2.5μMとした。
その結果、M178V/M224K二重変異体を得た。このクローンが保持するプラスミドをpCLuRA-TDH3[αP21L,M178V,M224K,-(GS)3H6]と称する。
さらに上記第4節に記載した方法と同様の手法で、M178V単独変異プラスミドであるpCLuRA-TDH3[αP21L,M178V,-(GS)3H6]も作製した。
また、pCLuRA-TDH3[αP21L,M178V,M224K,-(GS)3H6]に、K109N変異を付与することによって、K109N/M178V/M224K三重変異プラスミドであるpCLuRA-TDH3[αP21L,K109N,M178V,M224K,-(GS)3H6]を作製した。
6. 各変異体の活性の比較(1)
以下の各プラスミドで、サッカロミセス・セレビシエBY4743 PRB1Δ株を形質転換した。
(a) pCLuRA-TDH3[αP21L,-(GS)3H6]
(b) pCLuRA-TDH3[αP21L,K109N,-(GS)3H6]
(c) pCLuRA-TDH3[αP21L,M178V,-(GS)3H6]
(d) pCLuRA-TDH3[αP21L,M224K,-(GS)3H6]
(e) pCLuRA-TDH3[αP21L,M178V,M224K,-(GS)3H6]
(f) pCLuRA-TDH3[αP21L,K109N,M178V,M224K,-(GS)3H6]
SD -ura寒天培地上のこれらの形質転換コロニーをループでかき取り、これを、ウェル当たり1mlの buffered SD-ura液体培地(96穴ディープウェルプレート:ウェル容積2ml)に懸濁した(1種類あたり8ウェル)。
次いで、当該プレートを30℃で31時間振盪(1,500rpm)培養した後、各ウェルから20μlを、0.98ml/ウェルで同じ培地が分注された別のプレートに移し、同じ条件下で振盪培養した。一方、残りの培養液を遠心分離に供し、遠心分離後、各ウェルから培養上清20μlを黒色96穴プレートに移した。次いで、黒色プレートの各ウェルに、12.5μMのSeNa溶液(100mM Tris-HCl, pH7.5)を80μl加え、1秒間の発光量を測定し、発光強度とした。バックグランド測定には植菌していないbuffered SD-ura液体培地を用いた。
結果を図1に示す。図1は、野生型CLuc又は各変異型CLucを分泌する酵母の培養上清についてのSeNaを基質とした場合の相対発光強度(RLU)の比較を示す。相対発光強度(RLU)は、野生型CLucの発光強度の平均を1として正規化した。
図1に示すように、K109N/M178V/M224K三重変異型CLucは野生型CLucの4倍程度の活性を示した。
7. K109N/M178V/M224K三重変異体に対するランダム変異導入とスクリーニング
K109N/M178V/M224K三重変異体に対してさらにランダム変異を導入して、より高い活性を示す変異体を得ることを試みた。ランダム変異導入とスクリーニングの手法は上記第2節及び第3節に記載した方法に準じた。ただし、Error Prone PCR の鋳型にはpCLuRA-TDH3[αP21L,K109N,M178V,M224K,-(GS)3H6]を用いた。また、SeNa溶液の濃度は12.5μMとした。
その結果、意外なことに、M224K変異が元のメチオニン(M)に戻ったK109N/M178V二重変異体が得られた。このクローンが保持するプラスミドをpCLuRA-TDH3[αP21L,K109N,M178V,-(GS)3H6]と称する。
8. 各変異体の活性の比較(2)
以下の各プラスミドで、サッカロミセス・セレビシエBY4743 PRB1Δ株を形質転換した。
(a) pCLuRA-TDH3[αP21L,-(GS)3H6]
(b) pCLuRA-TDH3[αP21L,K109N,-(GS)3H6]
(c) pCLuRA-TDH3[αP21L,M178V,-(GS)3H6]
(d) pCLuRA-TDH3[αP21L,M224K,-(GS)3H6]
(e) pCLuRA-TDH3[αP21L,M178V,M224K,-(GS)3H6]
(f) pCLuRA-TDH3[αP21L,K109N,M178V,M224K,-(GS)3H6]
(g) pCLuRA-TDH3[αP21L,K109N,M178V,-(GS)3H6]
SD-ura寒天培地上の、これらの形質転換コロニーをループでかき取り、これを、ウェル当たり1mlの buffered SD-ura液体培地(96穴ディープウェルプレート:ウェル容積2ml)に懸濁した(1種類あたり8ウェル)。
次いで、当該プレートを30℃で48時間振盪(1,200rpm)培養した後、各ウェルから20μlを、0.98ml/ウェルで同じ培地が分注された別のプレートに移し、30℃で21時間振盪(1,200rpm)培養した。当該培養後、各ウェルから100mlを透明96穴プレートに移し、培養液の濁度(OD600における吸光度)を測定した。一方、残りの培養液を遠心分離に供し、遠心分離後、各ウェルから培養上清20μlを黒色96穴プレートに移した。次いで、黒色プレートの各ウェルに、12.5μMのSeNa溶液(100mM Tris-HCl, pH7.5)を80μl加え、1秒間の発光量を測定した。バックグランド測定には植菌していないbuffered SD-ura液体培地を用いた。
発光量を培養液の濁度(OD600における吸光度)で除することによって、菌体量当たりの相対発光強度(RLU/OD)に酵素活性値を補正した。
結果を図2に示す。図2は、野生型CLuc又は各変異型CLucを分泌する酵母の培養上清についてのSeNaを基質とした場合のRLU/ODの比較を示す。RLU/OD値は、野生型CLucのRLU/ODの平均を1として正規化した。
図2に示すように、K109N/M178V二重変異型CLucは、野生型CLucの5倍程度の菌体量当たりの活性を示した。
野生型CLuc又は各変異型CLucを分泌する酵母の培養上清についてのSeNaを基質とした場合のRLUの比較を示す特性図である。 野生型CLuc又は各変異型CLucを分泌する酵母の培養上清についてのSeNaを基質とした場合のRLU/ODの比較を示す特性図である。

Claims (9)

  1. 以下の(a)〜(c)のいずれか1つのタンパク質から成る変異型ルシフェラーゼ。
    (a)配列番号2に示されるアミノ酸配列において、第109番目のリジンからアスパラギンへの置換及び第224番目のメチオニンからリジンへの置換から成る群より選択される1以上のアミノ酸置換を含むアミノ酸配列から成るタンパク質
    (b)前記(a)記載のタンパク質のアミノ酸配列において、前記第109番目及び第224番目のアミノ酸以外の位置で、1又は数個のアミノ酸が欠失、置換又は付加されたアミノ酸配列から成るタンパク質であって、2-(1-メチルプロピル)-6-(ナフタレン-2-イル)-8-(3-グアニジノプロピル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オンを基質とした場合に、配列番号2に示されるアミノ酸配列から成るタンパク質と比較して、発光強度が少なくとも1.4倍である、前記タンパク質
    (c)前記(a)又は(b)記載のタンパク質のアミノ酸配列において、第1番目〜第18番目のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列から成るタンパク質
  2. さらに、配列番号2に示されるアミノ酸配列において、第178番目のメチオニンからバリンへのアミノ酸置換を含む、請求項1記載の変異型ルシフェラーゼ。
  3. 以下の(A)〜(E)のいずれか1つのアミノ酸置換を含むことを特徴とする、請求項1記載の変異型ルシフェラーゼ。
    (A)前記第109番目のリジンからアスパラギンへの置換
    (B)前記第224番目のメチオニンからリジンへの置換
    (C)前記第109番目のリジンからアスパラギンへの置換及び前記第178番目のメチオニンからバリンへの置換
    (D)前記第178番目のメチオニンからバリンへの置換及び前記第224番目のメチオニンか
    らリジンへの置換
    (E)前記第109番目のリジンからアスパラギンへの置換、前記第178番目のメチオニンからバリンへの置換及び前記第224番目のメチオニンからリジンへの置換
  4. 外来タンパク質又はペプチドと請求項1〜3のいずれか1項記載の変異型ルシフェラーゼとが連結された融合タンパク質。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項記載の変異型ルシフェラーゼ又は請求項4記載の融合タンパク質をコードする遺伝子。
  6. 請求項5記載の遺伝子を含む組換えベクター。
  7. 請求項6記載の組換えベクターを有する形質転換体。
  8. 請求項1〜3のいずれか1項記載の変異型ルシフェラーゼ又は請求項4記載の融合タンパク質を2-(1-メチルプロピル)-6-(ナフタレン-2-イル)-8-(3-グアニジノプロピル)イミダゾ[1,2-a]ピラジン-3-オンと接触させる工程と、
    前記工程で生成した励起状態の2-(2-メチルブタンアミド)-3-(3-グアニジノプロピル)-5-(ナフタレン-2-イル)-ピラジンを化学物質に作用させる工程と、
    を含み、前記化学物質の励起に基づき発光させるか又はエネルギーを放出させることを特徴する、発光又はエネルギー放出方法。
  9. 前記化学物質が蛍光タンパク質であることを特徴とする、請求項8記載の発光又はエネルギー放出方法。
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