JP5223659B2 - 電力変換装置の試験装置 - Google Patents
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Description
制御回路の誤動作を回避するために、半導体電力変換装置の制御回路に対し、製造工程において電磁ノイズ耐量試験が行われ、ノイズ耐量を所定のレベルに改善する対策がなされる。
図16に示す、従来の電力変換装置100は、電力変換器101と、その電力変換器101を制御する制御回路102によって構成される。
制御回路102のみで電磁ノイズ耐量試験を実施する場合は、制御回路のプリント基板、これに結合されるケーブル類の実装状態、半導体変換装置の電力変換器101の動作によって生じる制御回路102の電位変動、磁界・電界の発生状況が、電力変換装置100に組み込んだ場合と異なる。よって、これらの要因の影響を評価することができない、という問題がある。
この電力変換装置の試験装置は、前記最終製品の電力変換器に換えて用いられて、この電力変換器よりも出力容量が小さい試験用電力変換器と、前記最終製品の電力変換器と前記試験用電力変換器との電気的特性の差分を調整する差分調整部と、前記制御回路の信号の基準となる電位部と前記試験用電力変換器の接地電位部との間にノイズ電圧を印加する高周波電圧印加装置と、を有する。
また、例えば、前記最終製品の電力変換器は前記インバータ回路を構成する半導体スイッチング素子を冷却する第1の冷却フィンを備え、前記試験用電力変換器は、前記試験用インバータ回路を構成する半導体スイッチング素子を冷却する第2の冷却フィンを備え、前記差分調整部は、前記インバータ回路と前記第1の冷却フィンとの間の静電容量C0と、前記試験用インバータ回路と前記第2の冷却フィンとの間の静電容量C1とを一致または略一致させるコンデンサを備えるようにしてもよい。
V0/(dV0/dt) = V1/(dV1/dt)
C0×V0 = C1×V1
なお、上記第1の関係式の代わりに、下記第2の関係式が、前記半導体スイッチング素子のオン時およびオフ時に成立するように、前記各ゲート抵抗または前記各ゲートコンデンサを調整して、前記試験用電力変換器のdV1/dtおよび静電容量C1を設定するようにしてもよい。
V0/(dV0/dt) = V1/(dV1/dt)
C0×V0 < C1×V1
また、例えば提案する電力変換装置の試験装置は、試験用電力変換器に供給する電源電圧を調整する電圧調整部、をさらに有することも可能である。
また、例えば提案する電力変換装置の試験装置は、試験用電力変換器の前段に、系統インピーダンスを模擬した系統インピーダンス模擬部、をさらに有する構成とすることも可能である。
例えば、試験用インバータ回路の出力側に、試験用電力変換器の出力容量よりも負荷容量の小さい負荷を接続するか、または、負荷を接続せずに開放端としても、電力変換器の半導体スイッチング素子のオン、オフによる電圧変動については、負荷を接続した場合と同様なノイズ耐量試験を実施できるために、試験用エリアをさらに省スペース化することが可能となる。
また、例えば、インピーダンス素子を試験用電力変換器におけるインバータ回路の出力端と接地電位部との間に接続することで、最終製品の負荷(モータ等)の浮遊インピーダンスを考慮したノイズ試験が実施できる。
本発明の電力変換装置の試験装置は、例えば、試験用電力変換器の各半導体スイッチング素子のオン時およびオフ時の電圧変化率を、最終製品の電力変換器において対応するそれぞれの半導体スイッチング素子のオン時およびオフ時の電圧変化率に一致または略一致させた場合には、その電圧変化率に比例するノイズを一層正確に再現することができ、ノイズ耐量評価の妥当性を高めることができる。更に本発明の電力変換装置の試験装置は、、例えば、試験用電力変換器の各半導体スイッチング素子のオン時およびオフ時の電圧変化率を、最終製品の電力変換器において、対応するそれぞれの半導体スイッチング素子のオン時およびオフ時の電圧変化率より大きく設定した場合、要求される耐量より更に厳しい条件で試験を行なうことができ、より高い信頼性を実現することができる。
なお、上記第1の関係式の代わりに上記第2の関係式を満たすように、試験用電力変換器のdV1/dtおよびC1を設定するようにした場合は、コモンモード電流Icを最終製品のものより大きくでき、最終製品より厳しい条件下で制御回路が誤動作しないことを確認できる。よって本発明の電力変換装置の試験装置は、ノイズ耐量のマージンを持たせて信頼性の向上を図ることができる。
本発明の電力変換装置の試験装置は、試験用電力変換器に供給する電源電圧を調整する電圧調整部、をさらに有する構成とすることで、その電力変換器の試験装置を、用途の異なる多種多様な設置条件・出力形態を持つ最終製品の電力変換器に対して汎用的に使用できるものとすることができる。
本発明の電力変換装置の試験装置は、試験用電力変換器の前段に、系統インピーダンスを模擬した系統インピーダンス模擬部、をさらに有する構成とすることで、系統インピーダンスの影響を考慮したノイズ耐性試験を行なうことができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る電力変換装置の試験装置の構成図である。
図1に示す、本実施形態の電力変換装置10は、最終製品の電力変換器より小さい出力容量を有する試験用電力変換器11と、その試験用電力変換器11を制御する制御回路12によって構成される。この図1に示す制御回路12は、図16のように、最終製品の電力変換器に接続されるのではなく、最終製品の電力変換器より小さい出力容量の試験用電力変換器11に接続される。
例えば、最終製品の電力変換器が、入力された交流電圧を直流電圧に変換する整流回路と、この整流回路から出力される直流電圧を平滑する平滑コンデンサとを有するコンバータ回路を備え、このコンバータ回路から出力される直流電圧をその最終製品の電力変換器のインバータ回路に直流電圧として与える場合、試験用電力変換器11も、図1に示すように、入力された交流電圧を直流回路に変換する整流回路13と、この整流回路13から出力される直流電圧を平滑する平滑コンデンサ14とを有する試験用コンバータ回路を備え、この試験用コンバータ回路から出力される直流電圧を試験用の三相インバータ回路18に直流電圧として与えることが好ましい。
このことを逆の方向から見ると、精度が高いノイズ耐量試験を行なうために、最終製品と同等の大きな出力容量を有する電力変換器と制御回路12とを接続するには、試験用に広いエリアを確保しなければならない、ということである。これは、コスト面、試験装置作成の手間などから困難である。
なお、図1の試験用電力変換器11の回路構成は、最終製品の電力変換器と同じでもよいが、半導体スイッチング素子をオン、オフすることによって、接続された制御回路12の配線類に発生するノイズが最終製品の電力変換器に接続した場合と同等になる範囲で異なる回路方式としてもよい。このような構成であれば、少なくともノイズを模擬したノイズ耐量試験を行なうことができる。
すなわち、図1の制御回路12は、最終製品に使用予定のものである。上述の高周波電圧印加装置22により、制御回路12の基準となる電位部と、電力変換器11の接地電位部との間に数kVのノイズ電圧を印加して、制御回路12が誤動作した場合(例えば、制御回路12内のCPUが暴走し、安全装置により装置が停止した場合)、制御回路12の改良が行われる。
このうち、前者の電圧変動は、電力変換器が負荷電流を通電しなくても、通電した場合と同様に発生する。このことを利用して、図1の試験用電力変換器11によるノイズ耐量試験において、試験用電力変換器11に負荷を接続せず、試験用電力変換器11の三相インバータ回路18の出力信号が通る導体の先端を開放したり、または、試験用電力変換器11の出力容量より小さい出力容量を有する負荷を接続して、試験用電力変換器11の三相インバータ回路18に流れる電流を小さくしたりする。
なお、負荷を接続する場合は、負荷の設置場所の確保が必要となるだけでなく、負荷の消費電力を熱に変換したり、電源に回生させたりする必要がある。そして、このことに伴って、冷却装置が大規模化したり、電源に回生させるための専用の装置が必要になったりし、煩雑である。提案する手法を用いることで、これらの問題が解決する。
佐々木、玉手、鳥羽:「多重共振点を持つ受動素子の広帯域モデル化法」、平成19年電気学会全国大会講演論文集、4−041(2007)
また他の方法として、出力電圧、電力変換器内部の電圧、電流などを制御、監視の目的で用いる場合には、その出力電圧、電力変換器内部の電圧、電流などを検出して制御回路に入力させる構成となる。つまり、最終製品の電力変換器において、電流、電圧の検出を検出回路で行い、制御回路に入力させているものについては、その検出回路を通じて通流するノイズ電流を試験時にも再現するために、試験用電力変換器においても同様に、その電流、電圧の検出を行い、制御回路に入力させる必要がある。
一方、半導体スイッチング素子15−2の電圧変化率は、その半導体スイッチング素子15−2の両端間の電圧(ソース−ドレイン間電圧)Vの時間変化(時間波形)を検出することにより導出できる。半導体スイッチング素子のソース−ドレイン間電圧Vを時間微分した(対応する出力端の電圧Vを時間微分した)電圧変化率dV/dtは、放熱フィンと半導体スイッチング素子との間の浮遊容量Cの充放電によって発生するコモンモード電流Icの振幅と周波数の決定要因の一つである。
Icの振幅 = C×(dV/dt) ・・・(1)
T = E/(dV/dt) ・・・(2)
なお、コモンモード電流Icはスイッチング素子のターンオン時と、ターンオフ時に通流する。(2)式は、ターンオン時の通電時間Tonと、ターンオフ時の通電時間Toffとをそれぞれ求めるときに適用する式であるということができる。
次に、図7を参照して、電圧変化率dV/dtの調整方法について説明する。
図7において、ゲート抵抗44は、試験用電力変換器のインバータ回路の半導体スイッチング素子(例えばIGBT)46とゲート駆動回路(ゲート駆動信号出力部)43との間に接続される抵抗であり、ゲートコンデンサ45は、そのスイッチング素子46のゲート−エミッタ間に接続されるコンデンサである。
スイッチング素子46としてIGBTを用いる場合、ゲート抵抗44の抵抗値が小さいほど電圧変化率dV/dtは大きくなり、ゲートコンデンサ45の容量が小さいほど電圧変化率dV/dtは大きくなる。
例えば、コモンモード電流Icの通電時間を長くする場合、電圧変化率dV/dtは小さくなることになる。抵抗とコンデンサの双方を使用する場合、動作安定性を確保するために、ゲート抵抗44の抵抗値はそれほど大きくせずに、ゲートコンデンサ45の容量を大きめにとり、電圧変化率dV/dtを小さくする。なお、ゲート抵抗44、ゲートコンデンサ45のいずれか一方のみを追加して、電圧変化率dV/dtを調整するようにしてもよい。
なお、以上のような電圧変化率dV/dtの調整を簡便に行なうために、ゲート抵抗として抵抗値が可変の可変抵抗を用いてもよい。または、ゲートコンデンサとして可変容量コンデンサを用いてもよい。あるいは、ゲート抵抗やゲートコンデンサを簡便に付け替えることが可能な構成としてもよい。
本実施形態では、試験装置の設計を巧妙に行なうことによって、最終製品の電力変換器よりも電源電圧を下げつつ、制御回路のノイズ耐量を評価することを可能としている。その方法を以下に説明する。
コモンモード電流Ic(の振幅)、静電容量C、電圧変化率dV/dt、直流電圧E、(コモンモード電流Icの)通電期間Tの間には、上記した関係式(1)および(2)の
関係が成立することから、電源電圧の低下に伴い、三相インバータ回路18に印加される直流電圧Eが低下すると、上記関係式(2)により、電圧変化率dV/dtが一定の場合、通電期間Tが短くなる。
この問題を解決するには、上記関係式(1)において、静電容量Cを、電圧変化率dV/dtの低下分を打ち消す程度に増加させればよい。これは、具体的には、図2に示した三相インバータ回路18の各段に追加したコンデンサ26、27、28の容量を増やすことに相当する。このようにすることで、最終製品相当のコモンモード電流Icを試験装置において実現することができる。なお、電圧変化率dV/dtが低下しない場合でも、半導体スイッチング素子のスイッチングに起因するコモンモード電流Icを試験装置において、最終製品よりも大きくでき、より厳しい条件でノイズ耐量を評価できる。
試験用電力変換器11と最終製品の電力変換器に対し、電源電圧をV1、V0、インバータ回路を構成する半導体スイッチング素子の電圧変化率の代表値(上述の方法により求める)をdV1/dt、dV0/dt、とそれぞれし、かつ、試験用電力変換器11において、三相インバータ回路18の各段の出力端と放熱フィン25との間に取り付けられた各コンデンサ(図2のコンデンサ26、27、28)と、その各段の出力端と放熱フィン25との間に生じる静電容量との合計をC1とし、最終製品の電力変換器において、三相インバータ回路の各段の出力端と放熱フィンとの間に生じる静電容量をC0とした場合に、下記(3−1)および(3−2)式の関係が半導体スイッチング素子のオン時およびオフ時においてそれぞれ成立あるいは概ね成立するように、試験装置の電圧変化率(の代表値)dV1/dtおよびC1を調整する。
V0/(dV0/dt) = V1/(dV1/dt) ・・・(3−1)
C0×V0 = C1×V1 ・・・(3−2)
実際に、上記(3−1)及び(3−2)式より、C0×(dV0/dt)=C1×(dV1/dt)の関係を導くことができ、上記(3−1)及び(3−2)式が成立している場合は、コモンモード電流が最終製品と試験装置とで一致していることが分かる。
図8は、最終製品(左側)および試験装置(右側)において、インバータ回路の出力端の電流および電圧の時間波形と、そのインバータ回路のスイッチング素子のターンオン時、ターンオフ時に流れるコモンモード電流の時間波形とをそれぞれ示した図(その1)である。
なお、上記関係式(3−1)および(3−2)を、それぞれ次の(4−1)および(4−2)の組み合わせに変更することもできる。
V0/(dV0/dt) = V1/(dV1/dt) ・・・(4−1)
C0×V0 < C1×V1 ・・・(4−2)
実際に、上記(4−1)及び(4−2)式より、C0×(dV0/dt)<C1×(dV1/dt)の関係を導くことができ、上記(4−1)及び(4−2)式が成立している場合は、試験装置の方が最終製品よりもコモンモード電流が大きくなっていることが分かる。
そして、上記(4−1)および(4−2)式の関係が半導体スイッチング素子のオン時およびオフ時においてそれぞれ成立あるいは概ね成立するように、試験装置の電圧変化率(の代表値)dV1/dtおよびC1を調整する。
このような容量C1、電圧変化率dV1/dtについての調整を行なうことによって、図9に示すように、半導体スイッチング素子のスイッチングに起因するコモンモード電流Icを、試験装置において最終製品より大きくすることができる。これにより、最終製品よりも厳しい条件を試験時に制御装置に課すことができるため、試験時に制御装置が誤動作しないことを確認することで、ノイズ耐量にマージンを持たせて信頼性の向上を図ることができる。
電圧を調整する構成について、図10および図11を参照して説明する。
図10は、電圧調整機能を有する出力電圧可変の単巻変圧器(例えば、スライダック(登録商標))51を、系統電源(交流電源)52と整流回路13との間に設けた構成を示した図である。
図10では、系統電源52が出力する交流電圧を出力電圧可変の単巻変圧器51に入力して、それを所望とする電圧まで昇圧して、出力電圧可変の単巻変圧器51から整流回路13に出力している。なお、図10の構成において、当然のこととして、出力電圧可変の単巻変圧器51を用いて、所望とする電圧まで降圧することも可能である。
整流回路の最大直流出力電圧は、整流回路13の入力交流電圧の線間電圧となることから、必要な最大直流電圧が整流回路13に出力できるように逆算をして、昇圧トランス55の巻数比を決定する。
図10および図11に示す構成の場合、電圧調整部分には半導体を使用していないことから、スイッチングに起因するノイズの発生はなく、試験装置による正確なノイズ耐量の評価が可能となる。
昇降圧チョッパ回路57は、図12に示すように、整流回路13による整流後の直流電圧を平滑コンデンサ59により平滑化して、その平滑コンデンサ59の出力を昇降圧する。この昇降圧チョッパ回路57は、その平滑コンデンサ59の他に、スイッチング素子61、リアクトル62、ダイオード63、コンデンサ65により構成される。そして、スイッチング素子61を駆動するゲート信号のデューティー比を調整することにより、後段の回路部分へ出力する電圧を昇降圧チョッパ回路57の入力電圧よりも低くすることも高くすることも可能である。さらに、この昇降圧チョッパ回路57は構成が簡単なことから、これを使用することにより、試験装置の規模の小型化・軽量化に貢献することができるという利点がある。
このように、昇降圧チョッパを構成するスイッチング素子をスイッチングすることで、試験用電力変換器に供給する電圧を調整する場合には、昇降圧チョッパ自体のノイズを低減する対策をとることが必要となる。
以下では直流中間電圧の調整機能として、図10または図11に示す構成を使用した場合を前提として説明する。
直流中間電圧を調整する機能として、図10または図11に示すように、出力電圧可変の単巻変圧器51や巻数比固定の昇圧トランス55を使用する場合、単巻変圧器51や昇圧トランス55のインピーダンスが大きいため、それより系統側(電源側)に設置したインピーダンスは、ほとんど回路に影響を与えなくなる。このような構成の場合、系統インピーダンス模擬部を、図10または図11に示した直流中間電圧の調整部分よりも後段に設けることで、系統インピーダンスの影響を考慮したノイズ耐性試験を行なうことができる。
ここで、通常系統電源は交流であるが、本実施形態では、直流部に系統インピーダンス模擬部を設置するため、系統インピーダンス模擬部内のインピーダンス素子の回路定数は、交流のものを直流の相当するものに変換して決める必要がある。
図13および図14に、系統インピーダンス模擬部として、LISNを使用した構成例を示す。
図14に示す構成では、電圧供給線(図中では「P」および「N」として表記される)にリアクトル85、86を接続して、ノーマルモードに対する高周波インピーダンスを高くしている。また、接地コンデンサ87、88により、高周波のコモンモードノイズのバイパス経路を確保することで、系統側へ漏洩する高周波成分を抑制している。また、図中、FGはフレームグランドを示している。
また、図14において、コモンモード経路のインピーダンスばらつきを低減するために、LISNの対地インピーダンス部分は線間コンデンサ直列回路(線間コンデンサ91−1、91−2、92−1、92−2により構成される回路)の中点に接続し、線間コンデンサを用いて分流する構成としている。つまり、LISNの対地インピーダンスの回路定数は、コモンモード等価回路を構成することで変形できる。例えば、この図14の構成では、最終製品が三相入力機器の場合、各容量成分Cを交流の場合と比較して3倍、各抵抗成分Rを交流の場合と比較して1/3倍にし、単相入力機器の場合、各容量成分Cを2倍、各抵抗成分Rを1/2倍にすればよい。また、直流中点を形成する線間コンデンサは、対地インピーダンスへの影響を十分小さくするために、接地コンデンサの静電容量に対し、約10倍以上の値のものを使用するとよい。すなわち、線間コンデンサ91−1、91−2の容量を、接地コンデンサ87の容量の約10倍以上の値に設定し、線間コンデンサ92−1、92−2の容量を、接地コンデンサ88の容量の約10倍以上の値に設定する。
リアクトルについても図14の構成では同様に、コモンモード等価回路を構成して定数変換すると、通常のLISNの部品定数に対して、最終製品が三相入力機器の場合2/3倍、単相入力機器の場合1倍(変換の必要なし)にすればよい。
LISNは通常雑音端子電圧測定に使用する機器であるものの、上記のように、回路に一定のインピーダンスを供給することができるので、基準となるインピーダンスを供給する系統インピーダンス模擬部の構成として使用可能である。
一方では、最終製品の設置場所の系統インピーダンスを別の場所においても模擬するために、系統インピーダンス模擬部にインピーダンスを任意(可変)に設定できる機能を持たせる必要がある。
図15において、電源のノーマルモードインピーダンス94−1、94−2と、対地インピーダンス95、96の他に、平滑コンデンサ14より上流側の影響を小さくする目的で、電源のノーマルモードインピーダンス模擬部(インピーダンス94−1、94−2により構成される回路)より十分大きな(5〜10倍)インピーダンス93−1、93−2を接続し、これらのインピーダンスの値を可変とする。
このように、任意にインピーダンスを設定できる機能を持たせたことにより、出荷後の製品にノイズトラブルが生じた場合に、別の場所においても、系統インピーダンス模擬部のインピーダンスを調整することで、設置条件を再現することができるため、原因究明に役立つ。
また、ここでは、図示しないが、直流中間電圧の調整機能として、図12に示すような昇降圧チョッパ回路57を用いた場合でも、その昇降圧チョッパ回路57の後段に図13、14、15に示すような系統インピーダンス模擬部を設けることができる。
なお、以上では、半導体スイッチング素子にIGBTを使用した場合で各実施形態を説明したが、半導体スイッチング素子としてMOS−FETを使用することも可能である。
11 試験用電力変換器
12、102 制御回路
13、103 整流回路
14、104 平滑コンデンサ
15、16、17、46、105、106、107 半導体スイッチング素子
18、108 三相インバータ回路
19、109 電流センサ
21、43、111 ゲート駆動回路
22、112 高周波電圧印加装置
23 負荷
24、114 筺体等金属
25 放熱フィン
26、27、28 コンデンサ
31、32、33 インピーダンス素子
35 対地インピーダンス
36、37、38 電源のインピーダンス
39、52 電源
41、42 磁界照射装置
44 ゲート抵抗
45 ゲートコンデンサ
51 出力電圧可変の単巻変圧器
55 昇圧トランス
101 電力変換器
Claims (21)
- 複数の半導体スイッチング素子により構成されて、与えられた直流電圧を交流電圧に変換して出力するインバータ回路を有する最終製品の電力変換器と、
前記各半導体スイッチング素子を制御する制御信号を生成してこれらの半導体スイッチング素子にそれぞれ与える制御回路と、
を具備した電力変換装置を試験する試験装置であって、
この電力変換装置の試験装置は、前記最終製品の電力変換器に換えて用いられて、この電力変換器よりも出力容量が小さい試験用電力変換器と、
前記制御回路の信号の基準となる電位部と、前記試験用電力変換器の接地電位部との間にノイズ電圧を印加する高周波電圧印加装置と、
を備えることを特徴とする電力変換装置の試験装置。 - 前記試験用電力変換器は、試験用インバータ回路を備え、
この試験用インバータ回路の出力側に、前記試験用電力変換器の出力容量よりも負荷容量の小さい負荷を接続したか、または、負荷を接続しないことを特徴とする請求項1記載の電力変換装置の試験装置。 - 前記試験用電力変換器は、前記最終製品の電力変換器と前記試験用電力変換器との電気的特性の差分を調整する差分調整部、をさらに有し、
前記制御回路の信号の基準となる電位部と前記試験用電力変換器の接地電位部との間にノイズ電圧を印加することを特徴とする請求項1または2に記載の電力変換装置の試験装置。 - 前記最終製品の電力変換器は、前記インバータ回路を構成する半導体スイッチング素子を冷却する第1の冷却フィンを備え、
前記試験用電力変換器は、前記試験用インバータ回路を構成する半導体スイッチング素子を冷却する第2の冷却フィンを備え、
前記差分調整部は、前記インバータ回路と前記第1の冷却フィンとの間の静電容量C0と、前記試験用インバータ回路と前記第2の冷却フィンとの間の静電容量C1とを一致または略一致させるコンデンサを備えることを特徴とする請求項3記載の電力変換装置の試験装置。 - 前記差分調整部は、前記インバータ回路の各出力端子と接地電位部との間の対地インピーダンスとそれぞれ等価なインピーダンス素子を、前記試験用インバータ回路の各出力端子と接地電位部との間にそれぞれ接続したものである請求項3記載の電力変換装置の試験装置。
- 前記最終製品の電力変換器は、さらに入力された交流電圧を直流電圧に変換する第1の整流回路と、
この第1の整流回路から出力される直流電圧を平滑する第1の平滑コンデンサと
を有するコンバータ回路を備え、
このコンバータ回路から出力される直流電圧を前記インバータ回路の直流電圧として与える一方、
前記試験用電力変換器は、さらに入力された交流電圧を直流電圧に変換する第2の整流回路と、
この第2の整流回路から出力される直流電圧を平滑する第2の平滑コンデンサと
を有する試験用コンバータ回路を備え、
この試験用コンバータ回路から出力される直流電圧を前記試験用インバータ回路の直流電圧として与えるものであって、
前記差分調整部は、前記第1の整流回路の各入力端と接地電位部との間の対地インピーダンスとそれぞれ等価なインピーダンス素子を前記第2の整流回路の各入力端と接地電位部との間にそれぞれ接続したことを特徴とする請求項3記載の電力変換装置の試験装置。 - 前記制御回路は、この制御回路の作動を司る中央処理装置を備え、
前記信号の基準となる電位部は、前記中央処理装置のシグナルグランドであることを特徴とする請求項1記載の電力変換装置の試験装置。 - 前記制御回路の信号の基準となる電位部は、前記制御回路内の他の回路部分とは絶縁された箇所にある導電部のシグナルグランドであることを特徴とする請求項1記載の電力変換装置の試験装置。
- 前記制御回路に磁界を照射する磁界照射装置をさらに有することを特徴とする請求項1記載の電力変換装置の試験装置。
- 前記差分調整部は、前記試験用電力変換器の各半導体スイッチング素子のゲート端子と対応する各ゲート駆動信号出力部との間にゲート抵抗を備えるか、または、前記各半導体スイッチング素子のゲート−エミッタ間にゲートコンデンサを備え、
前記各ゲート抵抗の各抵抗値または前記各ゲートコンデンサの各容量を調整して、前記試験用電力変換器における各半導体スイッチング素子のオン時およびオフ時の電圧変化率を、最終製品の電力変換器において対応するそれぞれの半導体スイッチング素子のオン時およびオフ時の電圧変化率に一致または略一致させたことを特徴とする請求項3記載の電力変換装置の試験装置。 - 前記差分調整部は、前記試験用電力変換器の各半導体スイッチング素子のゲート端子と対応する各ゲート駆動信号出力部との間にゲート抵抗を備えるか、または、前記各半導体スイッチング素子のゲート−エミッタ間にゲートコンデンサを備え、
前記各ゲート抵抗の各抵抗値または前記各ゲートコンデンサの各容量を調整して、前記試験用電力変換器における各半導体スイッチング素子のオン時およびオフ時の電圧変化率を、最終製品の電力変換器において対応するそれぞれの半導体スイッチング素子のオン時およびオフ時の電圧変化率より大きく設定したことを特徴とする請求項3記載の電力変換装置の試験装置。 - 前記試験用電力変換器における電源電圧V1を、前記最終製品の電力変換器における電源電圧V0より低く設定したことを特徴とする請求項3記載の電力変換装置の試験装置。
- 前記最終製品の電力変換器は、前記インバータ回路を構成する半導体スイッチング素子を冷却する第1の冷却フィンを備え、
前記試験用電力変換器は、前記試験用インバータ回路を構成する半導体スイッチング素子を冷却する第2の冷却フィンを備え、
前記差分調整部は、前記試験用インバータ回路と前記第2の冷却フィンとの間の静電容量C1を、前記インバータ回路と前記第1の冷却フィンとの間の静電容量C0より大きくさせるコンデンサを備えることを特徴とする請求項12記載の電力変換装置の試験装置。 - 前記最終製品の電力変換器は、前記インバータ回路を構成する半導体スイッチング素子を冷却する第1の冷却フィンを備え、
前記試験用電力変換器は、前記試験用インバータ回路を構成する半導体スイッチング素子を冷却する第2の冷却フィンを備え、
前記差分調整部は、前記試験用電力変換器の各半導体スイッチング素子のゲート端子と対応する各ゲート駆動信号出力部との間にゲート抵抗を備えるか、または、前記各半導体スイッチング素子のゲート−エミッタ間にゲートコンデンサを備え、
前記最終製品の電力変換器における電源電圧をV0、前記試験用電力変換器における電源電圧をV1、前記インバータ回路と前記第1の冷却フィンとの間の静電容量をC0、前記試験用インバータ回路と前記第2の冷却フィンとの間の静電容量をC1とし、前記最終製品の電力変換器および前記試験用電力変換器における半導体スイッチング素子の電圧変化率の代表値をそれぞれdV0/dtおよびdV1/dtとした場合、前記各ゲート抵抗の抵抗値または前記各ゲートコンデンサの静電容量を調整して、前記半導体スイッチング素子のオン時およびオフ時に、
V0/(dV0/dt) = V1/(dV1/dt)
C0×V0 = C1×V1
の両式が成立するように、前記試験用電力変換器のdV1/dtおよびC1を設定したことを特徴とする請求項12記載の電力変換装置の試験装置。 - 前記最終製品の電力変換器は、前記インバータ回路を構成する半導体スイッチング素子を冷却する第1の冷却フィンを備え、
前記試験用電力変換器は、前記試験用インバータ回路を構成する半導体スイッチング素子を冷却する第2の冷却フィンを備え、
前記差分調整部は、前記試験用電力変換器の各半導体スイッチング素子のゲート端子と対応する各ゲート駆動信号出力部との間にゲート抵抗を備えるか、または、前記各半導体スイッチング素子のゲート−エミッタ間にゲートコンデンサを備え、
前記最終製品の電力変換器における電源電圧をV0、前記試験用電力変換器における電源電圧をV1、前記インバータ回路と前記第1の冷却フィンとの間の静電容量をC0、前記試験用インバータ回路と前記第2の冷却フィンとの間の静電容量をC1とし、前記最終製品の電力変換器および前記試験用電力変換器における半導体スイッチング素子の電圧変化率の代表値をそれぞれdV0/dtおよびdV1/dtとした場合、前記各ゲート抵抗の抵抗値または前記各ゲートコンデンサの静電容量を調整して、前記半導体スイッチング素子のオン時およびオフ時に、
V0/(dV0/dt) = V1/(dV1/dt)
C0×V0 < C1×V1
の両式が成立するように、前記試験用電力変換器のdV1/dtおよびC1を設定したことを特徴とする請求項12記載の電力変換装置の試験装置。 - 前記試験用電力変換器に供給する電源電圧を調整する電圧調整部、をさらに有することを特徴とする請求項1記載の電力変換装置の試験装置。
- 交流電源からの交流電圧を直流電圧に整流する整流回路と、
前記交流電源と前記整流回路との間に設けられた、半導体スイッチング素子を用いずに構成された電圧調整部とをさらに有し、
前記電圧調整部により、交流電源から出力された交流電圧を、所望とする電圧まで昇圧または降圧して、前記整流回路に出力することを特徴とする請求項1記載の電力変換装置の試験装置。 - 交流電源からの交流電圧を直流電圧に整流する整流回路と、
前記整流回路から出力された直流電圧を、所望とする電圧まで昇圧または降圧して、平滑コンデンサに出力する昇降圧チョッパ回路と、を有することを特徴とする請求項1記載の電力変換装置の試験装置。 - 前記試験用電力変換器は、前記試験用インバータ回路の前段に、系統インピーダンスを模擬した系統インピーダンス模擬部、をさらに有することを特徴とする請求項2記載の電力変換装置の試験装置。
- 前記系統インピーダンス模擬部は、インピーダンスを可変に設定できる機能をさらに有することを特徴とする請求項19記載の電力変換装置の試験装置。
- 前記系統インピーダンス模擬部は、コモンモード等価回路に基づいて定数変換された部品定数を持つ部品により構成されたLISNにより構成されることを特徴とする請求項19記載の電力変換装置の試験装置。
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