JP5223393B2 - リチウム二次電池用電極及びそれを用いたリチウム二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウム二次電池用電極及びそれを用いたリチウム二次電池に関する。なお、本明細書において、リチウム二次電池とは、金属リチウム二次電池やリチウムイオン二次電池を含む用語とする。
従来より、炭素質物質を負極活物質とする負極と、コバルト酸リチウム(LiCoO2)を正極活物質とする正極と、正負極間でリチウムイオンを移動させるための非水電解液とを備えたリチウムイオン二次電池が知られている。こうしたリチウムイオン二次電池は、エネルギー密度や作動電圧が高く、自己放電が小さいという優れた利点を有している。
一方、炭素質物質よりも理論容量が1桁高い負極活物質として、シリコンが知られている。シリコンは、理論容量が4200mAh/gであるものの、充放電過程での体積膨張率が非常に大きいため、比較的短いサイクル数で急激に容量が低下してしまう。すなわち、シリコンを負極活物質として用いた場合、リチウムイオンが最大量吸蔵された状態では、その負極活物質はLi4.4Siで表される。ここで、SiからLi4.4Siに変化したときの体積変化率は4.1倍である。このように、活物質の体積変化が大きいと、活物質粒子の割れ、活物質と集電体との接触不良等が生じるため、充放電サイクル寿命が短くなるという問題が生じる。また、同じ原因により、不可逆容量が著しく大きくなり、電池容量の低減を招く。こうしたことから、シリコンを改良する試みがいくつか報告されている。
例えば、特許文献1には、微細なシリコン相とシリコン酸化物と炭素質物質の3相を含む複合体の表面が炭素被覆されている負極活物質が開示されている。また、特許文献2には、金属酸化物を有するコーティング層によりコーティングされたシリコンコアを有する負極活物質が開示されている。この金属酸化物としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム又はそれらの組み合わせが例示されている。更に、特許文献3には、酸化数0のシリコンと、酸化数+4のシリコン原子を有するシリコン化合物と、酸化数が0より大きく+4より小さいシリコン原子を有するシリコン低級酸化物とを含む負極活物質が開示されている。これらの特許文献は、いずれも、充放電時にシリコンの体積の膨張・収縮を抑制するためにシリコン酸化物などの酸化物を混合した電極を提案しており、サイクル特性を向上させることに成功している。
特開2006−92969 特開2006−190642 特開2005−183264
しかしながら、シリコン本来の理論容量が4200mAh/gであるにも関わらず、上述した各特許文献により得られた電極の容量は、理論容量よりはるかに少ない1000mAh/g以下である。このように電極の容量を低く抑制すれば、シリコンの体積変化も抑制され、サイクル特性が改善されることは容易に想像できるが、電極の容量を高く維持したままサイクル特性が改善されることが望ましい。
本発明はこのような問題を解決するためになされたものであり、充放電を繰り返し行ってもシリコンの理論容量に近い充放電容量を安定して取り出すことのできるリチウム二次電池用電極を提供することを主目的とする。
上述した目的を解決するために、本発明者は、白金板上にカチオン性ポリマー、負に帯電した酸化チタンナノシート、正に帯電したシリコンナノシートをこの順に積層して電極を作製し、この電極とリチウム金属箔からなる対極とを非水系電解液中に対向させて配置した評価セルを用いてその電極を評価したところ、シリコンの理論容量に近い充放電容量を繰り返し安定して取り出すことができることを確認するに至り、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明のリチウム二次電池用電極は、基板上に正に帯電したシリコンナノシートと負に帯電したポリアニオンシートとを積層した構造を有するものである。
リチウム二次電池に用いられている従来の炭素質物質の理論容量は300〜400mAh/gの範囲であるが、本発明のリチウム二次電池用電極を用いると、それよりも1桁高いシリコンの理論容量に近い容量を高い電流密度で充放電を繰り返し行っても安定して取り出すことができる。こうした効果が得られる理由は定かではないが、以下のように推察される。すなわち、本発明のリチウム二次電池用電極は、ナノサイズの厚みを有するシリコンナノシートを活物質としているため、従来の炭素質物質にみられるインターカレーションが起こらず、シリコンナノシート表面への吸着・脱着が起きていると考えられる。このため、体積変化がほとんど起こらず、シリコンの理論容量と同程度の容量を、高い電流密度で繰り返し安定して取り出すことができると推察される。また、仮にリチウムイオンがシリコンナノシートの内部へ挿入したとしても、シリコンナノシートの厚みがナノサイズのため体積変化はほとんど起こらず、また、内部での拡散速度も極めて速いと容易に想像できることから、シリコンの理論容量と同程度の容量を、高い電流密度で繰り返し安定して取り出すことができると推察される。
本発明のリチウム二次電池用電極は、基板上に正に帯電したシリコンナノシートと負に帯電した金属酸化物シートとを積層した構造を有するものであるか、又は、基板上に正に帯電したシリコンナノシートとポリアニオンシートとを積層した構造を有するものである。積層順序は、シリコンナノシートが最表層となるようにしてもよいし、金属酸化物シート又はポリアニオンシートが最表層となるようにしてもよい。
本発明のリチウム二次電池用電極において、基板は、一般的に電極の基板として用いられるものであれば特に限定されないが、例えば、銅、銀、白金、金、ニッケル、ステンレス鋼、アルミニウムなどの金属板としてもよい。あるいは、InSnO2やSnO2,ZnO,In22などの透明導電材を用いてもよい。
本発明のリチウム二次電池用電極において、正に帯電したシリコンナノシートは、層状ポリシラン((Si66n)の水素のいくつかを水酸基で置換した構造を持ち、ζ電位が正の値となるものである。また、シリコンナノシートに含まれるSiは、隣接するSiとsp3結合を形成する4配位の原子であり、Siの結合手のうち3本がSiと結合し1本が水素又は水酸基と結合している。また、バルクの内部という概念がなく、すべてが表面であると考えられる。なお、層状ポリシランは、便宜上、Si66やSiHと表記することもある。
こうしたシリコンナノシートは、例えば、層状ポリシランを無水のジメチルスルホキシド(DMSO)へ分散した分散液をポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製の容器へ封入して加熱処理を施すことにより得ることができる。こうして得られるシリコンナノシートは、厚さが0.3〜5nm、面内長さが0.1〜2μm程度、形状が不定形のシート状物質であり、組成式SiH1-x(OH)x(0<x≦0.5)で表される。また、層状ポリシランは、例えば、ケイ化カルシウムを−30℃以下に冷却した濃塩酸と反応させることにより得ることができる。このとき、濃塩酸とケイ化カルシウムとのモル比(HCl/CaSi2)は1〜1000が好ましく、10〜100がより好ましい。また、反応時間は1日〜10日が好ましく、3日〜7日がより好ましい。また、この反応は、Si−Si結合が光で酸化されてSi−O−Si結合に変化するため、暗室で行うことが好ましい。反応終了後に塩化カルシウムを濃塩酸水溶液により除去したあとアセトン洗浄することにより層状ポリシランを得ることができる。
本発明のリチウム二次電池用電極において、負に帯電した金属酸化物シートとしては、例えば、酸化チタンナノシートや酸化マンガンナノシート、酸化ペロブスカイトナノシートなどが挙げられ、このうち酸化チタンナノシートや酸化マンガンナノシートが好ましい。こうした金属酸化物ナノシートは通常負に帯電している。また、ポリアニリンシートとしては、例えば、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリチオフェン−3−酢酸、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)及びポリアミド酸からなる群より選ばれた1種又は2種以上が挙げられる。
本発明のリチウム二次電池用電極は、基板上に正に帯電したシリコンナノシートと負に帯電した金属酸化物シートとを積層した構造を有するものであるか、基板上に正に帯電したシリコンナノシートとポリアニオンシートとを積層した構造を有するものであるが、このように積層した構造を1段だけ有していてもよいし、多段に有していてもよい。また、このように積層した構造を構築する方法としては、例えば、反対電荷を有する2種類の物質間の静電的相互作用を利用して薄膜を積層するレイヤー・バイ・レイヤー法(LBL法、交互吸着法ともいう)を採用してもよい。
本発明のリチウム二次電池は、正負極の一方に上述したリチウム二次電池用電極を有するものである。例えば、本発明のリチウム二次電池用電極をリチウム二次電池の負極に用いる場合、正極に用いる正極活物質としては、LiCoO2、LiNiO2、LiMn24、LiFeO2及びLiFePO4等のリチウム含有複合酸化物、V25、V613、MnO2、MnO3等の金属酸化物、TiS2、MoS2等の金属硫化物等が好適に挙げられる。正極には、導電材が含まれていてもよい。導電材としては、導電性を有する材料であれば特に限定されない。例えば、ケッチェンブラックやアセチレンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック類でもよいし、鱗片状黒鉛のような天然黒鉛や人造黒鉛、膨張黒鉛などのグラファイト類でもよいし、炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維類でもよい。正極には、バインダが含まれていてもよい。バインダとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)などが挙げられる。また、リチウム二次電池は、正負極の間に非水系のイオン伝導体が介在するが、こうしたイオン伝導体としては、有機溶媒に支持塩を溶解させた非水系電解液のほか、非水系ゲル電解質、固体電解質などが挙げられる。ここで、非水系電解液を例に挙げると、支持塩としては、例えば、LiPF6,LiClO4,LiBF4,Li(CF3SO22Nなどの公知の支持塩を用いることができ、有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、γ−ブチロラクトン(γ−BL)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)など従来の二次電池やキャパシタに使われる有機溶媒を用いることができる。こうしたリチウム二次電池は、負極と正極との間にセパレータを備えていてもよい。セパレータとしては、非水系蓄電デバイスの使用範囲に耐えうる組成で絶縁性を有するものであれば特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン製不織布やポリフェニレンスルフィド製不織布などの高分子不織布、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂の微多孔フィルムが挙げられる。こうしたリチウム二次電池の形状は、特に限定されないが、例えばコイン型、ボタン型、シート型、積層型、円筒型、偏平型、角型などが挙げられる。また、電気自動車等に用いる大型のものなどに適用してもよい。
[実施例1]
(1)シリコンナノシートの合成
まず、層状ポリシラン(Si66)の合成を行った。この合成は、−30℃に冷却した濃塩酸100ml中へケイ化カルシウム(CaSi2)3gを添加し、1週間、−30℃の暗室で静置した。この処理で、黒色のケイ化カルシウムは黄色へ変化した。この黄色固体をAr雰囲気下で加圧ろ過し、脱気塩酸(−30℃)で洗浄し、脱気HF(フッ化水素)水溶液(−30℃)で洗浄し、さらに脱気アセトン(−30℃)で洗浄し、110℃で一晩減圧乾燥して層状ポリシランを合成した。なお、層状ポリシランの合成の確認は、IRで行った。そのIRスペクトルを図1に示す。IRスペクトルでは、2100cm-1にSi−Hに帰属されるピークが観察された。このようにして得られた層状ポリシラン0.5gを無水ジメチルスルホキシド(DMSO)50mlへ分散し、この分散液をPTFE製の容器へ封入して80℃で5日処理することにより、層状ポリシランが膨潤して多数に分離し、シリコンナノシートが得られた。
得られたシリコンナノシートのζ電位をマイクロテックニチオン社製のZC−2000を用いて測定したところ+30mVであったことから、正に帯電していることを確認した。また、このシリコンナノシートについて、Si−K吸収端のX線吸収端近傍構造(x-ray absorption near edge structure, XANES)の分析を行った。その結果を図2に示す。また、シリコンの2pの結合エネルギをX線光電子分光(x-ray photoelectron spectroscopy, XPS)で分析した。その結果を図3に示す。図2及び図3には、Si(酸化数0価)とSiO2(酸化数4価)の結果も併せて示す。これらの図から明らかなように、今回得られたシリコンナノシートは、ピーク位置がSiとSiO2の中間にあるので酸化数は2価と見積もることができる。したがって、シリコンナノシートの組成式はSiH1-x(OH)x(x=0.5)と考えられる。なお、XPSデータは、シリコンの酸化数が0価では99eV,1価では100eV,2価では101eV,3価では102eV,4価では103eVだと経験的に言われている。
(2)金属酸化物ナノシートの合成
金属酸化物ナノシートとして、酸化チタンナノシートを合成した。具体的には、レピドクロサイト型層状チタン酸化合物(Cs0.7Ti1.8250.1754,□:空孔)を出発原料として、酸化チタンナノシートを合成した。この合成は、J. Am. Chem. Soc., 1996, vol.118, p8329-8335に記載された手順に準じて行った。すなわち、まず、Cs0.7Ti1.8250.1754は、Cs2CO3とアナターゼ型TiO2をモル比で1:5.2の割合に混合し、700℃の大気中で10時間焼成後、室温に急冷して合成した。合成した粉末試料を1Nの塩酸水溶液中で1日攪拌し、洗浄後、再び1Nの塩酸で処理を行う操作を3回繰り返すことで、H0.7Ti1.8250.1754・H2Oを誘導した。このようにして得られたH0.7Ti1.8250.1754・H2Oにテトラブチルアンモニウムイオン((C494NOH,以下TBAOH)をプロトンと等モル量作用させて、激しく7日間、室温で攪拌することで酸化チタンナノシートを得た。得られた酸化チタンナノシートのζ電位を測定したところ、−40mVであったことから、負に帯電していることを確認した。なお、酸化チタンは、バルクとして、1.5V(vs.Li)付近に150mAh/gの蓄電容量を保持している。
(3)電極の作製方法
正に帯電したシリコンナノシートと負に帯電した酸化チタンナノシートとを白金基板上にレイヤー・バイ・レイヤー(LBL)法で積層することにより、実施例1の超薄膜電極を作製した。具体的には、まず、カチオン性ポリマー(ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド(PDDA))を対イオンとして選択した。また、自己組織化モノレイヤー吸着が起こるように、PDDAは濃度1mg/mLになるように0.5N NaCl水溶液に溶かした。一方、酸化チタンナノシートは、濃度0.01wt%、pH9になるように塩酸水溶液で調製した。シリコンナノシートは、濃度0.02wt%になるように水で調製した(pH調整は行わなかった)。そして、図4に示す手順にしたがって超薄膜電極を作製した。具体的には、まず、白金基板をPDDA溶液に20分浸漬した後、3回水洗(超純水を使用、以下同じ)してPDDAを白金表面へ吸着させ、表面を正に帯電させた。次いで、負に帯電した酸化チタンナノシートの溶液へ20分浸漬した後、3回水洗して酸化チタンナノシートを1層成膜した。更に、正に帯電したシリコンナノシートの溶液へ20分浸漬した後、3回水洗してシリコンナノシートを1層成膜した。このようにして、白金基板上に酸化チタンナノシートとシリコンナノシートとを積層した構造を有する超薄膜電極を得た。
実施例1の超薄膜電極の原子間力顕微鏡(atomic force microscope)による画像を図5に示す。また、図5における白色線分の高さのプロファイルを図6に示す。図5から、シリコンナノシートが断片状に積層されていることが認められる。なお、図5では、PDDAシートと酸化チタンナノシートは視認できない。また、図6から、シリコンナノシート1層分の厚さは1〜2nmであり、面内長さは1μm程度であり、形状は不定形であることが認められる。また、実施例1の超薄膜電極のX線回折(x-ray diffraction, XRD)のパターンを図7に示す。
(4)電気化学測定法
電解液として、ECとDECとを体積比で3:7の割合で混合した溶液へLiPF6を1Mとなるように溶かしたものを準備した。グローブボックス内でこの電解液0.1mLをセパレータ(東燃化学製の微多孔ポリエチレンフィルム)に含浸させ、上記(3)で作製した電極をφ17mmに切り出して試験電極とし、この試験電極と対極としてのリチウム金属箔(φ16mm,厚さ1mm)とを、セパレータを介して対向させて配置し、アルゴン雰囲気となるようにキャップを締めることにより、加圧セルを作製した。この加圧セルを用いて試験電極の評価を行った。評価は、電位窓0.02−2.8Vとし、電流密度100A/g(Si重量当り)の定電流で充放電を行った。ここで特筆すべきことは、この電流密度は通常のリチウムイオン電池を約100Cで評価するのと同等の値である点である。
実施例1の超薄膜電極の評価結果を図8及び表1に示す。図8から明らかなように、初回の放電容量は13000mAh/gとなった。これは、酸化チタンナノシートを吸着させるために用いたPDDAの還元分解による容量であると推測される。2サイクル〜10サイクルは充電・放電共に7000mAh/gで安定した容量が得られた。この容量は、シリコンの理論容量の1.6倍の大容量である。このような大容量が得られた理由は定かではないが、シートの両面にリチウムイオンが吸着したためではないかと推測される。また、充放電曲線につき容量に対して電位がほぼ直線的に変化していることから、反応機構はキャパシタ的であると推測される。
[実施例2]
実施例1の(3)電極の作製方法において、酸化チタンナノシートとシリコンナノシートとの積層を合計5回繰り返した以外は、実施例1と同様にして超薄膜電極を作製した。実施例2の超薄膜電極のX線回折のパターンを図9に示す。図9から明らかなように、実施例2の超薄膜電極では2θ=8°付近に回折パターンが現れている。これは、酸化チタンナノシートとシリコンナノシートとの周期性を表しており、実施例2の超薄膜電極で設計通りに両ナノシートが交互に積層していることを示している。
こうして得られた実施例2の超薄膜電極の評価を、実施例1の(4)電気化学測定法と同様にして行った。その結果を図10及び表1に示す。図10から明らかなように、初回の放電容量は9500mAh/gとなった。これは、実施例1と同様、酸化チタンナノシートを吸着させるために用いたPDDAの還元分解による容量であると推測される。2サイクル〜10サイクルは充電・放電共に3000mAh/gで安定した容量が得られた。この容量は、シリコンの理論容量の約0.7倍である。この場合のリチウムイオンの反応場は、シリコンナノシートの両面への吸着よりも内部への吸蔵と考えるのが妥当である。また、充放電曲線につき容量に対して電位がほぼ直線的に変化していることから、反応機構はキャパシタ的であると推測される。
[実施例3]
実施例1の(2)金属酸化物ナノシートの合成において、酸化チタンナノシートの代わりに酸化マンガンナノシートを合成した。具体的には、バーネサイト型層状マンガン酸化合物(K0.45MnO2)を出発原料として、酸化マンガンナノシートを合成した。この合成は、J. Am. Chem. Soc., 2003, vol.125, p3568-3575に記載された手順に準じて行った。すなわち、まず、K0.45MnO2は、KOHとMn23をモル比で1:1の割合に混合し、800℃の酸素気流中で60時間焼成後、室温に急冷して合成した。合成した粉末試料を1Nの塩酸水溶液中で1日攪拌し、洗浄後、再び1Nの塩酸で処理を行う操作を3回繰り返すことで、H0.13MnO2・0.7H2Oを誘導した。このようにして得られたH0.13MnO2・0.7H2OにTBAOHをプロトンと等モル量作用させて、激しく7日間、室温で攪拌することで酸化マンガンナノシートを得た。得られた酸化マンガンナノシートのζ電位を測定したところ、−35mVであったことから、負に帯電していることを確認した。なお、酸化マンガンは、バルクとして、2V(vs.Li)付近に約200mAh/gの蓄電容量を保持している。
そして、実施例1の(3)電極の作製方法において、酸化チタンナノシートの代わりに酸化マンガンナノシートを用いた以外は、実施例1と同様にして超薄膜電極を作製し、その超薄膜電極の評価を、実施例1の(4)電気化学測定法と同様にして行った。その結果を表1に示す。表1から明らかなように、実施例3の超薄膜電極によれば、実施例1と比べて10サイクル後の放電容量が約10%低下したものの、従来に比べると良好な充放電特性が得られることがわかった。
[実施例4]
実施例3の(3)電極の作製方法において、酸化マンガンナノシートとシリコンナノシートとの積層を合計5回繰り返した以外は、実施例3と同様にして超薄膜電極を作製した。そして、その超薄膜電極の評価を実施例1の(4)電気化学測定法と同様にして行った。その結果を表1に示す。表1から明らかなように、実施例4の超薄膜電極によれば、実施例2と比べて10サイクル後の放電容量が約10%低下したものの、従来に比べると良好な充放電特性が得られることがわかった。
[実施例5]
実施例1の(3)電極の作製方法において、酸化チタンナノシートの代わりに高分子電解質であるポリスチレンスルホン酸(PSS、アルドリッチ製)を用いた以外は、実施例1と同様にして超薄膜電極を作製した。そして、その超薄膜電極の評価を実施例1の(4)電気化学測定法と同様にして行った。その結果を表1に示す。表1から明らかなように、実施例5の超薄膜電極によれば、実施例1と比べて10サイクル後の放電容量が約20%低下したものの、従来に比べると良好な充放電特性が得られることがわかった。
[実施例6]
実施例5の(3)電極の作製方法において、PSSとシリコンナノシートとの積層を合計5回繰り返した以外は、実施例5と同様にして超薄膜電極を作製した。そして、その超薄膜電極の評価を実施例1の(4)電気化学測定法と同様にして行った。その結果を表1に示す。表1から明らかなように、実施例6の超薄膜電極によれば、実施例2と比べて10サイクル後の放電容量が約20%低下したが、従来に比べると良好な充放電特性が得られることがわかった。
[比較例1]
実施例1の(1)シリコンナノシートの合成においてシリコンナノシートの原料として用いた層状ポリシランを活物質として電極を作製した。具体的には、層状ポリシラン:ケッチェンブラック:PTFE=70:25:5(wt%)で混合したものをSUSメッシュへ圧着して作製した。この電極を80℃で10時間減圧乾燥したあと、実施例1の(4)電気化学測定法と同様にして評価した。その結果を図11及び表1に示す。図11から明らかなように、初回の放電時のみ1300mAh/gの容量が得られたが、それ以降は300mAh/gとなった。各実施例の電極と異なりナノシート化されていないため、リチウムイオンの吸蔵が層状ポリシランのバルクの内部で起きていると推測される。
なお、本発明は上述した実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り、種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
層状ポリシランのIRスペクトルである。 X線吸収分光のスペクトルである。 X線光電子分光のスペクトルである。 実施例1の超薄膜電極の作製手順を表す説明図である。 実施例1の超薄膜電極のAFM像である。 図5における白色線分の高さのプロファイルを表すグラフである。 実施例1の超薄膜電極のXRDパターンである。 実施例1の充放電曲線を表すグラフである。 実施例2の超薄膜電極のXRDパターンである。 実施例2の充放電曲線を表すグラフである。 比較例1の充放電曲線を表すグラフである。

Claims (6)

  1. 基板上に、正に帯電したシリコンナノシートと負に帯電した金属酸化物シートとを積層した構造を1段以上5段以下で有し、前記シリコンナノシートは組成式SiH 1-x (OH) x (0<x≦0.5)で表される、リチウム二次電池用電極。
  2. 前記金属酸化物シートは、酸化チタン、酸化マンガン又はそれらを組み合わせたものである、請求項1に記載のリチウム二次電池用電極。
  3. 基板上に、正に帯電したシリコンナノシートとポリアニオンシートとを積層した構造を1段以上5段以下で有し、前記シリコンナノシートは組成式SiH 1-x (OH) x (0<x≦0.5)で表される、リチウム二次電池用電極。
  4. 前記ポリアニオンシートは、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリチオフェン−3−酢酸、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)及びポリアミド酸からなる群より選ばれた1種又は2種以上である、請求項3に記載のリチウム二次電池用電極。
  5. 前記シリコンナノシートは、厚さが0.3〜5nmである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用電極。
  6. 正負極の一方が請求項1〜のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用電極である、リチウム二次電池。
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