本発明は、同一の継手固定具を使用して、対応サイズよりも外径の小さなサイズの異なる2種類の各継手を固定可能とすべく、当該各継手の一部を収容して部分的に拡径するための拡径スペーサの提供を課題としている。
上記の課題を解決するための請求項1の発明は、継手Aを径方向に押圧することにより当該継手Aを固定する継手固定具を用いて、当該継手Aの外径よりも小さな外径の継手B、若しくは当該継手Bの外径よりも更に小さな外径の継手Cを、前記継手Aの継手固定具に固定可能とすべく、当該継手B又は継手Cの外径を前記継手Aの外径まで拡径するための拡径スペーサであって、スペーサ本体部は、前記継手Aの外径と略同一の外径を有していて、前記継手B又は同Cの少なくとも一部が部分収容され、前記スペーサ本体部の内周には、前記継手Bの外周面に当接して保持する第1当接保持部と、前記継手Cを保持可能とすべく、前記第1当接保持部よりも径方向で内方に突出して除去可能な第2当接保持部とが形成されていることを特徴としている。
請求項1の発明によれば、継手Aの継手固定具により、継手Bよりも外径の小さな継手Cを固定するには、スペーサ本体部に前記継手Cの一部を収容して、当該スペーサ本体部の内周に設けられた第2当接保持部に対して前記継手Cの一部を当接保持させると、継手Aの外径よりも小さな外径を有する継手Cは、前記継手Aの外径と略同一まで拡径される。従って、継手Aの継手固定具により、継手Cが固定可能となる。
一方、継手Aの外径よりも小さくして、継手Cの外径よりも大きな外径を有する継手Bを、継手Aの継手固定具に固定するには、スペーサ本体部から前記第2当接保持部を除去して、当該スペーサ本体部に継手Bの一部を収容させて、前記第1当接保持部に当接保持させると、継手Aの外径よりも小さくて、継手Cの外径よりも大きな外径を有する継手Bは、前記継手Aの外径と略同一まで拡径される。従って、継手Aの継手固定具により、継手Bが固定可能となる。このため、請求項1の発明に係る拡径スペーサを使用すれば、継手B,Cの外径を継手Aの外径と略同一に拡径できて、継手Aの継手固定具により、外径の異なる2種類の継手B,Cをがたつくことなく固定できる。
このように、継手Aと、外径が互いに異なって前記継手Aよりも外径の小さな2種類の各継手B,Cとの計3種類の継手A,B,Cを、継手Aの継手固定具を用いて、がたつくことなく固定できて、継手固定具の共用化が図られる。また、請求項1の発明は、1種類の拡径スペーサの使用により、外径の異なる2種類の各継手B,Cの外径の拡径が可能であって、拡径スペーサが共用化されているので、外径の異なる2種類の各継手B,Cの拡径のために、当該各継手B,Cに対応する2種類の拡径スペーサを使用する必要がなくなって、配管施工、及び部品管理が容易となる。
更に、接続される管の呼径が変化して外径の異なる各継手B’,C’が使用される場合には、当該各継手B’,C’に対応していて、各継手B,Cに対応の拡径スペーサと外径が略同一である別の拡径スペーサを用いることにより、継手Aの継手固定具により前記各継手B’,C’をぐらつくことなく固定できる。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、継手B,Cは、同一外径の給湯管又は給水管がそれぞれ接続されるものであって、前記第1当接保持部は、前記給湯管が接続される継手Bの外径に対応すると共に、前記第2当接保持部は、前記給水管が接続される継手Cの外径に対応することを特徴としている。
請求項2の発明によれば、外径が異なる各継手B,Cに接続される給湯管及び給水管の外径が同一である場合において、即ち、呼径は同一であるが、外径の異なる各継手B,Cを継手固定具に固定して、配管可能となる。
請求項3の発明は、請求項1の発明において、継手B,Cは、それぞれ呼径の異なる給湯管又は給水管がそれぞれ接続されるものであって、前記第1当接保持部は、前記給湯管又は給水管の一方の呼径に対応すると共に、前記第2当接保持部は、前記給湯管又は給水管の他方の呼径に対応していることを特徴としている。
請求項3の発明によれば、外径が異なる各継手B,Cに接続される給湯管及び給水管の各呼径が異なる場合において、外径の異なる各継手B,Cを継手固定具に固定して、配管可能となる。
請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明において、前記拡径スペーサは、断面視で2分割された一対のスペーサ単体で構成され、継手B又は同Cの一部がスペーサ本体部に収容されることにより、当該継手B又は同Cが拡径されて前記スペーサ本体部に固定された状態で、前記一対のスペーサ単体の分割端面の間には僅かの隙間が形成される構成であることを特徴としている。
請求項4の発明によれば、継手B又は同Cの一部がスペーサ本体部に収容されることにより、当該継手B又は同Cが拡径された状態で、スペーサ本体部を構成する一対の半割分割体の分割端面の間には僅かの隙間が形成される構成であるので、継手Aの継手固定具の当該継手Aの径方向に沿った押圧力(固定力)の全てが、一対のスペーサ単体の分割端面を近接させるように作用する。従って、一対のスペーサ単体で構成される拡径スペーサで拡径された各継手B,Cを継手固定具に対して強固に固定できて、給水栓の操作時において、継手固定具に収容されている水栓がぐらつかなくなって、当該給水栓を安定して操作できる。
請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかの発明において、前記スペーサ本体部の軸方向の端部には、前記継手B又は同Cに接続される管の一部を収容して保持する管収容保持部が一体に設けられていることを特徴としている。
請求項5の発明によれば、継手Aの外径よりも小さな外径を有する継手B又は同Cを拡径して、継手Aの継手固定具に固定できるのに加えて、継手B又は同Cに接続される管の一部は、スペーサ本体部の軸方向の端部に接続された管収容保持部により保持されるので、当該管は、継手B又は同Cと拡径スペーサの管収容保持部との双方により保持される。従って、継手B又は同Cに対する管の接続状態が安定化する。
請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれかの発明において、前記第2当接保持部は、径方向への押圧により除去可能に形成されていることを特徴としている。
請求項6の発明によれば、継手固定具に対して非対応の2種類の継手のうち外径の大きな方の継手を拡径する場合には、スペーサ本体部の内周に形成された第2当接保持部を除去する必要があるが、スペーサ本体部に対して外力を作用させ易い径方向の押圧により前記第2当接保持部の除去が可能となるので、当該除去作業が容易となる。
請求項7の発明は、請求項1ないし6のいずれかの発明において、前記スペーサ本体部には、水漏れ確認窓が形成されていることを特徴としている。
請求項7の発明によれば、拡径スペーサは、継手固定具に対して非対応の2種類の継手と管との接続部分の外側に嵌合されるため、スペーサ本体部に水漏れ確認窓を設けることにより、前記接続部分における水漏れの確認を行える。
本発明に係る拡径スペーサのスペーサ本体部は、継手固定具に対応する対応継手の外径と略同一の外径を有していて、前記継手固定具に対して非対応の第1及び第2の各非対応継手の少なくとも一部が部分収容され、前記スペーサ本体部の内周には、前記第1非対応継手の外周面に当接して保持する第1当接保持部と、前記第2非対応継手を保持可能とすべく、前記第1当接保持部よりも径方向で内方に突出して除去可能な第2当接保持部とが形成されている。従って、継手固定具に対して非対応の2種類の継手のうち外径の小さな方の第2非対応継手を固定するには、スペーサ本体部に前記第2非対応継手の一部を収容して、当該スペーサ本体部の内周に設けられた第2当接保持部に対して前記第2非対応継手の一部を当接保持させると、対応継手の外径よりも小さな外径を有する第2非対応継手は、前記対応継手の外径と略同一まで拡径されて、対応継手の継手固定具により、第2非対応継手の固定が可能となる。一方、継手固定具に対して非対応の2種類の継手のうち外径の大きな方の第1非対応継手を固定するには、スペーサ本体部に設けられた前記第2当接保持部を除去して、当該スペーサ本体部に第1非対応継手の一部を収容させて、前記第1当接保持部に当接保持させると、対応継手の外径よりも小さな外径を有する別の第1非対応継手は、前記対応継手の外径と略同一まで拡径されて、対応継手の継手固定具により、第1非対応継手が固定可能となる。
このように、本発明に係る拡径スペーサを使用すれば、外径が互いに異なる2種類の非対応継手の各外径を対応継手の外径と略同一に拡径できて、対応継手の継手固定具により2種類の非対応継手をがたつくことなく固定できる。
また、対応継手と、外径が互いに異なる2種類の非対応継手との計3種類の継手を、対応継手の継手固定具を用いてがたつくことなく固定できて、継手固定具の共用化が図られる。また、本発明は、1種類の拡径スペーサの使用により、外径の異なる2種類の各非対応継手の外径の拡径が可能であって、拡径スペーサが共用化されているので、外径の異なる2種類の各非対応継手の拡径のために、当該各非対応継手に対応する2種類の拡径スペーサを使用する必要がなくなって、配管施行、及び部品管理が容易となる。
以下、本発明を湯水混合水栓Gの給湯管部91及び給水管部92と、給湯源又は給水源に接続された給湯管P1 及び給水管P2 とをそれぞれ接続していて、継手収容固定ボックス(以下、単に「固定ボックス」という場合もある)Jに収容固定される各水栓継手B,Cに対して本発明の拡径スペーサS1 を使用する実施形態を挙げて、本発明について更に詳細に説明する。図1は、縦方向に並列配管された給湯管P1 と給水管P2 と湯水混合水栓Gとが、固定ボックスJ内に収容固定された各水栓継手B,Cで接続された状態の斜視図であり、図2は、壁面Wに固定された基台V、各水栓継手B,Cが接続された給湯管P1 及び給水管P2 、各水栓継手B,Cを拡径する拡径スペーサS1 及び押えカバーKの斜視図であり、図3は、拡径スペーサS1 により拡径されて基台V内に収容された水栓継手B,Cが押えカバーKにより押え付けられた状態の斜視図であり、図4は、拡径されて各水栓継手B,Cが収容されて押えカバーKで押え付けられた基台Vに対して蓋体Lを覆蓋する前の状態の斜視図であり、図5は、基台Vの正面図であり、図6(a)〜(c)は、それぞれ図5のU1 −U1 線〜U3 −U3 線断面図である。
最初に、図1ないし図6を参照して、外径の異なる3種類の継手A,B,C及び拡径スペーサS1 ,S2 との関係において固定ボックスJについて説明する。固定ボックスJは、湯水混合水栓Gの給湯管部91と給湯管P1 を接続する水栓継手A及び湯水混合水栓Gの給水管部92と給水管P2 とを接続する水栓継手(図示せず)を収容して固定するボックスであって、壁面Wに固定される基台Vと、当該基台Vに覆蓋される蓋体Lとで構成される。なお、給湯管P1 は、固定ボックスJに対して非対応であって、水栓継手Aよりも外径の小さな水栓継手(第1非対応継手)Bに接続されるものであると共に、給水管P2 は、同じく固定ボックスJに対して非対応であって、前記水栓継手Bよりも更に外径の小さな水栓継手(第2非対応継手)Cに接続されるものであるため、固定ボックスJに対して対応している本来の収容固定の対象である水栓継手(対応継手)Aに接続される給湯管P5 (図24参照)の呼径よりも小さい。
基台Vは、長手方向の中央部が所定長だけ狭幅となった横長形状であって、幅方向の両端部には水平壁部1がそれぞれ長手方向に形成され、本施工例のように給湯管P1 及び給水管P2 を縦方向に並列配管する場合に対応して、上下一対の前記水平壁部1の一方(配置状態では上方)には、一対一組となった半円状の縦方向管挿通口2が、当該基台Vの長手方向の中央部の狭幅部を挟んで二組形成されている。また、基台Vの長手方向の両端部には、本施工例とは異なって給湯管P1 及び給水管P2 を横方向に配管させる場合に対応して、一対一組となった半円状の横方向管挿通口3がそれぞれ形成されている。縦方向及び横方向の各管挿通口2,3は、固定ボックスJの本来の収容固定対象である水栓継手Aに接続される給湯管P5 及び給水管(図示せず)に対応させた大きさとなっているため、当該水栓継手Aよりも外径の小さな各水栓継手B,Cに接続される給湯管P1 及び給水管P2 に対してはサイズが大きくなる関係にある。一対一組の横方向管挿通口3の間には、仕切壁部4が形成され、上下一対の水平壁部1と左右一対の仕切壁部4とで形成される空間のうち各仕切壁部4に近接した空間が継手収容空間5となっている。また、図5及び図6(b),(c)に示されるように、前記継手収容空間5内には、一対一組の横方向管挿通口3に対応して、給湯管P1 及び給水管P2 を水平方向に沿って案内して収容可能なように、前記水平壁部1の内周面は、水栓継手Aの外径に対応した円弧状に形成されているため、当該水栓継手Aよりも外径の小さな各継手B,Cを収容する場合には、水平壁部1の内周面の円弧形状はサイズが大きすぎることになる(各水栓継手B,Cを収容配管した場合には、当該水栓継手B,Cと基台Vの前記円弧状をした面との間に所定の隙間が発生する)。
また、基台Vの四隅部は、深い座ぐり状に形成されて、当該基台Vを壁面に固定するビス6が挿通される第1ビス挿通孔7が形成されていると共に、前記継手収容空間5内に左右方向に所定間隔をおいて形成された一対の突出部8には第2ビス挿通孔9がそれぞれ形成されている。一対の水平壁部1の上端面1aには、後述の押えカバーKを当該水平壁部1にビス11を介して固定する際に、当該ビス11を螺入されるビス下孔12が成形されている。また、基台Vの長手方向の中央部の狭幅となった部分には、後述の蓋体Lの第1被係合部29と係合される一対の第1係合部13が対向して形成されていると共に、基台Vの底板部14の長手方向の両端部の裏面には、蓋体Lの第2被係合部30と係合される第2係合部15(図2参照)が形成されている。なお、図2及び図5において、16は、湯水混合水栓Gが取付けられる壁面と反対側の面(壁裏面)に固定ボックスJを設置する場合において、水栓継手を挿通させるために基台Vの幅方向に沿ってずれた位置に形成された継手挿通孔を示す。
次に、図1及び図4を参照して、前記基台Vに覆蓋される蓋体Lについて説明する。蓋体Lは、壁面Wに固定された基台V内に収容された給湯管P1 及び給水管P2 の先端部に各水栓継手B,Cが接続されて、当該各水栓継手B,Cが押えカバーKにより基台Vに押え付けられると共に、縦方向に並列配管された給湯管P1 及び給水管P2 が管材保護ダクトM内に収容保護された状態において、前記基台Vに対して覆蓋されて、当該基台V内に収容された全ての配管材を覆う部材である。蓋体Lは、正方形状の正面形状を有する左右一対の蓋体単体部21が連結部22で連結され、各蓋体単体部21の側板部23,24には、ノックアウト可能な閉塞板25で覆われ、当該閉塞板25をノックアウト(衝撃的除去)して形成されたノックアウト孔26(図4参照)は、管挿通孔として機能する。また、各蓋体単体部21の正面板部27には、基台Vの左右一対の継手挿通孔16と対応する位置に接続開口28がそれぞれ形成されている。各接続開口28には、基台Vに蓋体Lを覆蓋した状態で、当該基台Vに収容されて、湯水混合水栓Gの給湯管部91及び給水管部92と接続可能なように、各水栓継手B,Cの接続部97,98が正面側を向いて臨むようになっている。また、蓋体Lの連結部22の内側には、一対の第1被係合部29が対向して設けられていると共に、左右一対の蓋体単体部21の対向する側板部24の内側には、一対の第2被係合部30が対向して設けられている。
次に、固定ボックスJ内において給湯管P1 及び給水管P2 の先端部に接続される水栓継手B,Cの外径を拡径させるための拡径スペーサS1 について説明する。図7(a),(b)は、それぞれスペーサ単体S1'を異なる方向からみた斜視図であり、図8(a),(b)は、それぞれ拡径スペーサ単体S1'及び一対の拡径スペーサ単体S1'を組付けた状態の横断面図であり、図9は、一対の拡径スペーサ単体S1'を組付けて構成される拡径スペーサS1 の分離状態の斜視図であり、図10(a),(b)は、それぞれ給水管P2 の先端部及び直交部を接続している水栓継手C,Eに拡径スペーサS1 を取付ける前後の斜視図であり、図11は、拡径スペーサS1 により拡径された水栓継手Cの軸方向に沿った断面図である。
図7〜図9において、拡径スペーサS1 は、半円筒状をした一対のスペーサ単体S1'を円筒状に組み付けて構成される。このように、拡径スペーサS1 は、同一形状の一対のスペーサ単体S1'を筒状に組み付けて構成されているので、スペーサ単体S1'における拡径スペーサS1 の対応部には、当該拡径スペーサS1 の符号に「’」を付して関連付けることにする。即ち、スペーサ単体S1'は、固定ボックスJに対応する水栓継手Aと同一の外径D1 (図24参照)を有する半円筒状のスペーサ本体部31’と、当該スペーサ本体部31’の軸方向の一端部に当該スペーサ本体部31’よりも外径の小さな管収容保持部32’が一体に設けられた構成であり、スペーサ本体部31’における管収容保持部32’と反対側の端部には、エルボ状の水栓継手Bの一部を隙間のない状態で挿入可能なように当該水栓継手Bの外径D2(図16参照)に対応する内径d2(図16参照)の第1当接保持フランジ部33’が形成されていると共に、スペーサ本体部31’における管収容保持部32’の側の端部よりも僅かに内側の部分には、給湯管P1 及び給水管P2 の外径D4(図11参照)に対応する内径d4(図11参照)の第2当接保持フランジ部34’が形成されている。また、スペーサ本体部31’における第1当接保持フランジ部33’と第2当接保持フランジ部34’との間には、周方向に沿って所定間隔をおいて2本の第1当接保持突条部35が軸方向に沿い、しかもスペーサ単体S1'の端面に対して垂直となるように突設されている。第1当接保持突条部35の内径は、第1当接保持フランジ部33’の内径d2 と同一である。
また、スペーサ本体部31’の内周面における周方向に沿って2本の第1当接保持突条部35の間には、水栓継手Bよりも小さな外径D3 の水栓継手Cの一部を挿入して当接保持可能な第2当接保持部36が径方向に突設されている。第2当接保持部36の内周面は、水栓継手Cの外径D3 に対応する内径d3 を有している。第2当接保持部36は、周方向に沿って両側の各第1当接保持突条部35との間、及び軸方向に沿って両側の第1及び第2の各当接保持フランジ部33,34との間に、それぞれ所定の隙間を有して配置されている。また、第2当接保持部36は、各部の肉厚がスペーサ本体部31’の肉厚とほぼ同一となるように、外周側に深い凹部37が形成されており、内周面が半径d3 となっている横断面が円弧状の部分には、水栓継手Cと給湯管P1 又は給水管P2 との接続部の水漏れを確認するための水漏れ確認窓38が形成されている。また、第2当接保持部36とスペーサ本体部31’との接続部は、当該スペーサ本体部31’の外周側において薄肉部39で連結されることにより、内周側においては、第2当接保持部36の周囲には、全周に亘って連続した中空方形枠状をした深い溝部41が形成されており、後述のように、当該溝部41を破断することにより、スペーサ本体部31’から第2当接保持部36は除去可能となっている。
また、スペーサ本体部31’の軸方向に一体に設けられた管収容保持部32’の内周面には、前記第2当接保持フランジ部34’と同一の内径d4 の別の2本の第2当接保持フランジ部42’が軸方向に沿って所定間隔をおいて設けられている。スペーサ本体部31’の内周に設けられた第2当接保持フランジ部34’及び管収容保持部32’の内周に設けられた2本の第2当接保持フランジ部42’により、先端部に水栓継手Bが接続される給湯管P1 又は先端部に水栓継手Cが接続されるか、或いは直交部が一般継手Eにより接続される給水管P2 の一部が収容保持される。
次に、一対のスペーサ単体S1'を組み付けて拡径スペーサS1 とする場合について説明する。図7(a)及び図8に示されるように、スペーサ単体S1'の端面43における第1及び第2の各当接保持フランジ部33’,34’の部分には、一方側の端面に嵌合突起44が突設されていると共に、他方の端面に当該嵌合突起44が嵌合可能な嵌合孔45が形成されている。しかも、図8に示されるように、半円筒状をしたスペーサ単体S1'の中心(O)は、当該スペーサ単体S1'の端面43と僅かの寸法(ΔN)を有して当該スペーサ単体S1'の外側に配置されている。従って、図10に示されるように、水栓継手C又は一般継手Eの一部をスペーサ本体部31に収容させるべく、当該水栓継手C又は一般継手Eの一部を外側から挟むようにして、一方のスペーサ単体S1'の嵌合突起44を他方のスペーサ単体S1'の嵌合孔45に挿入嵌合させて、一対のスペーサ単体S1'を組み付けて、水栓継手C又は一般継手Eの外側に拡径スペーサS1 を外嵌させると、水栓継手C又は一般継手Eの一部が、拡径スペーサS1 のスペーサ本体部31の内周に対向配置された一対の第2当接保持部36の円弧面に当接した状態において、当該スペーサ単体S1'の対向する各端面43の間には、僅かの寸法(2ΔN)が形成される。このことは、後述するように、壁面Wに固定された基台Vに対して押えカバーKを介して、拡径スペーサS1 により拡径された水栓継手C又は一般継手Eを当該基台Vの底板部14に押え付ける際に、押え力(押圧力)の全てが、拡径された水栓継手C又は一般継手Eを当該基台Vの底板部14に押し付けるのに寄与するため、前記水栓継手C又は一般継手Eを固定ボックスJにしっかりと固定できることを意味する。また、図8(b)及び図10に示されるように、水栓継手Cの一部の外側に一対のスペーサ単体S1'が組み付けられて外嵌されることにより、当該水栓継手Cの外径は、固定ボックスJの本来の収容固定の対象である水栓継手Aの外径D1 と同一となって、固定ボックスJに対して非対応の水栓継手C及び一般継手Eは、当該固定ボックスJに対して収容対応可能(固定可能)となる。
次に、図12〜図16を参照にして、上記した拡径スペーサS1 を使用して、水栓継手Bの外径を拡径する場合について説明する。図12(a),(b)は、第2当接保持部36を除去する作用を説明するためのスペーサ単体S1'の背面図及び横断面図であり、図13(a),(b)は、第2当接保持部36の前後を示す横断面図であり、図14は、第2当接保持部36が除去されたスペーサ単体S1'の斜視図であり、図15(a),(b)は、給湯管P1 の先端部に接続された水栓継手Bが拡径スペーサS1 により拡径される前後の斜視図であり、図16(a),(b)は、水栓継手Bの拡径された部分の縦断面図及び横断面図である。スペーサ単体S1'の第2当接保持部36を除去するには、図12に示されるように、マイナスドライバー93の先端部93aを、第2当接保持部36の周囲に形成された中空方形枠状の溝部41に挿入して左右にこじると、薄肉部39に亀裂が発生する。このようにして、方形枠状となっている薄肉部39の複数箇所に亀裂を発生させ、その後に、図13に示されるように、第2当接保持部36に設けられた水漏れ確認窓38にプラスドライバー94の先端部94aをスペーサ単体S1'の外側から挿入して引っ掛けた状態で、そのまま径方向に強く押し込むと、方形枠状の薄肉部39には、複数箇所において亀裂が発生しているので、前記薄肉部39が破断されて、スペーサ本体部31’から第2当接保持部36が除去されて、当該スペーサ本体部31’の内周面に軸方向に設けられた2本の第1当接保持突条部35が有効に作用する状態となる。そして、図15に示されるように、第2当接保持部36が除去された一対のスペーサ単体S1'を水栓継手Bの一部の外側に嵌め込むと、一対のスペーサ単体S1'を組み付けて形成された拡径スペーサS1 の内周に周方向に沿って所定間隔をおいて軸方向に形成された計4本の第1当接保持突条部35により水栓継手Bの一部が保持されて、当該水栓継手Bの外径を拡径できる。本実施例では、スペーサ本体部31の軸方向に沿って第1当接保持突条部35が形成されているために、スペーサ本体部31に対する水栓継手Bを挿入する際に引っ掛かり部分がなくなって、当該挿入がスムーズになる利点がある。なお、図12(a)において、93bは、マイナスドライバー93の握り部を示す。
そして、図15及び図16に示されるように、第2当接保持部36が除去された一対のスペーサ単体S1'を、水栓継手Bの一部の外側に嵌め込んで取付けると、水栓継手Bの一部の外径は、固定ボックスJに対応する水栓継手Aと同一の外径D1 となって、前記水栓継手Cと同様に、固定ボックスJに対して非対応の水栓継手Bは、当該固定ボックスJに対して収容対応可能(固定可能)となる。なお、一対のスペーサ単体S1'から第2当接保持部36を除去することにより、スペーサ本体部31に対向して形成された開口46は、水漏れ確認窓として機能する。
次に、図17を参照して、固定ボックスJに水栓継手B,C及び一般継手Eを収容して固定するのに使用される押えカバーKについて説明する。また、押えカバーKは、図4に示されるように、固定ボックスJの基台Vに水栓継手A,B,C及び一般継手Eを収容して、当該基台Vに蓋体Lを覆蓋する際に、前記水栓継手A,B,C及び一般継手Eを基台Vに対してしっかりと固定するのに使用されるカバーであって、正方形状の正面形状を有していて、基台Vの上下の各水平壁部1の端面1aに当接する正方形状の当接板部51の四隅部にビス挿通孔52がそれぞれ形成されている。押えカバーKは、90°廻して基台Vに固定することにより、基台Vの幅方向に配置される部分を有する水栓継手A及び一般継手E、並びに基台Vの長手方向に沿って配置される部分を有する水栓継手Cのいずれに対しても対応可能なように半円筒状の一対一組の各継手収容部53,54が直交して設けられている。一対一組の各継手収容部53の一方には、水栓継手A,B,Cの水栓接続部96,97,98を干渉することなく挿入可能な継手挿入開口55が設けられている。各継手収容部53,54の両端部のうち一対一組の継手収容部54の一端部のみは、給湯管又は給水管を押え付け可能なように、他の部分よりも小径に形成されている。押えカバーKの各部寸法は、固定ボックスJに対応する水栓継手Aを直接に押え付けられるように定められている。
次に、図1〜図7を参照にして、給湯源及び給水源にそれぞれ接続された給湯管P1 及び給水管P2 と、湯水混合水栓Gの給湯管部91及び給水管部92とをそれぞれ水栓継手B,Cを介して接続して、壁面Wに湯水混合水栓Gを取付ける施工例について説明する。まず、図2及び図15に示されるように、第2当接保持部36が除去された一対のスペーサ単体S1'を、給湯管P1 の先端部(配管状態で下端部)に接続されたエルボ状の水栓継手Bの垂直配置部の外側に嵌め込んで、当該一対のスペーサ単体S1'を組み付けて、水栓継手Bの垂直配置部に拡径スペーサS1 を外嵌させると、水栓継手Bの垂直配置部の外径は、固定ボックスJの直接の収容固定対象である水栓継手Aの外径D1 まで拡径される。同様にして、図2及び図10に示されるように、エルボ状の水栓継手Cの基台V内に収容される部分の外側に嵌め込んだ一対のスペーサ単体S1'を組み付けて、水栓継手Cの基台V内に収容される部分の外径は、水栓継手Aの外径D1 まで拡径される。また、本実施例では、給水管P2 は、2本の給水管P2 をエルボ状の一般継手Eを介して接続されることにより、直角に屈曲させていて、基台V内に収容される前記一般継手Eの垂直配置部の外側にもスペーサ単体S1 が外嵌されて、当該垂直配置部の外径は、水栓継手Aの外径D1 まで拡径されている。ここで、一対のスペーサ単体S1'を組み付けて、水栓継手B又は一般継手Eの垂直配置部、或いは水栓継手Cの基台V内に配置される部分に外嵌する場合において、周方向に沿った各スペーサ単体S1'の端面43の位置は、前記水栓継手B及び一般継手Eを基台Vに収容した場合に、前記端面43と当該基台Vの底板部14とがほぼ平行となるように配置することが必要である〔図19−1(c),図19−3及び図19−4参照〕。これにより、押えカバーKにより、前記水栓継手B,C及び一般継手Eを基台Vの底板部14に押え付ける場合に、各スペーサ単体S1'の当接保持部が直接に、前記水栓継手B,C及び一般継手Eの被当接保持部に当接するために、押え力の全てが、前記水栓継手B,C及び一般継手Eを基台Vの底板部14に押え付けるのに寄与して、最も有効に押え付けられる。
上記のようにして、給湯管P1 及び給水管P2 の各先端部に水栓継手B,Cをそれぞれ接続したり、或いは2本の給水管P2 を一般継手Eで接続すると、図11及び図16に示されるように、外径D4 の給湯管P1 及び給水管P2 の先端部は、拡径スペーサS1 の管収容保持部32に収容されて、前記外径D4 に対応する内径d4 を有する第2当接保持フランジ部34,42に挿入されることにより、拡径スペーサS1 に対して安定して支持される。
次に、図3に示されるように、壁面Wに固定された基台Vの外側において、給湯管P1 と給水管P2 とを縦方向に並列配管させて、給湯管P1 に接続された水栓継手B及び給水管P2 に接続された水栓継手Cを基台Vの左右の各継手収容空間5に収容させる。この状態では、水栓継手B及び一般継手Eの各垂直配置部に外嵌された各スペーサ単体S1'は、基台V内において並列配置されていると共に、各スペーサ単体S1'の管収容保持部32は、基台Vに形成された断面半円状の縦方向管挿通口2の内周面に密着している〔図19−1(a)参照〕。次に、図3で2点鎖線、及び図4で実線で示されるように、給湯管P1 に接続された水栓継手Bの部分では、継手挿入開口55が水平となるように押えカバーKを配置して、複数本のビス11を介して基台Vの上下一対の水平壁部1の各端面1aに前記押えカバーKを固定する。一方、給水管P2 に接続された水栓継手Cの部分では、継手挿入開口55が垂直となるように押えカバーKを配置して、複数本のビス11を介して基台Vの上下一対の水平壁部1の各端面1aに前記押えカバーKを固定する。いずれの押えカバーKの部分においても、各水栓継手B,Cの水栓接続部97,98は、押えカバーKの継手挿入開口55に挿通されて、手前側に突出している。ここで、上記のようにして、基台Vの水平壁部1の端面1aに対して押えカバーKを押し付けて複数本のビス11により固定した状態で、図19−1(b),(c)及び図19−3に示されるように、基台Vの水平壁部1の端面1aと押えカバーKの当接板部51との間には所定の隙間ΔR(図19−1及び図19−3参照)を発生させることにより、基台Vに対する押えカバーKの押え力を最大にならしめている。
また、図18及び図19−1〜図19−4には、水栓継手B,C及び一般継手Eが拡径スペーサS1 を介して押えカバーKにより基台Vの底板部14に押し付けられている状態が示されている。図18は、上記状態の正面図であり、図19−1(a)〜(c)は、それぞれ図18のY1 −Y1 線〜Y3 −Y3 線の各断面図であり、図19−2〜図19−4は、それぞれ図18のY4 −Y4 線〜Y6 −Y6 線の各断面図である。図19−1(a),図19−2及び図19−3には、一般継手Eの外径D3 及び水栓継手Bの外径D2 が、拡径スペーサS1 によりそれぞれ固定ボックスJに対応する水栓継手Aの外径D1 まで拡径されて、押えカバーKの継手収容部53により基台Vの底板部14に隙間が発生せずに押え付けられている状態が示されている。また、基台Vに形成された縦方向管挿通口2は、水栓継手Aが接続される給湯管P5 の外径D5 に対応しており、給湯管P1 及び給水管P2 の外径D4 は、水栓継手B及び一般継手Eの垂直配置部に外嵌された拡径スペーサS1 の管収容保持部32により外径D5 に拡径されているため、給水管P2 は、拡径スペーサS1 の管収容保持部32を介して前記縦方向管挿通口2に隙間なく収容される〔図19−1(a)及び図19−2参照〕。また、図19−3及び図19−4に示されるように、押えカバーKの各当接板部51が基台Vの一対の水平壁部1の端面1aに近接して、押えカバーKが前記端面1aに一体に取付けられた状態において、水栓継手B及び一般継手Eの各垂直配置部に組付け状態で外嵌された一対のスペーサ単体S1'の対向する各端面43の間には所定の隙間(2ΔN)が形成されているので、基台Vに対する押えカバーKの押え力の全てが水栓継手B及び一般継手Eを当該基台Vの底板部14に押し付けるのに用いられる。この結果、拡径スペーサS1 を介して水栓継手B及び一般継手Eを基台Vの底板部14に大きな力で押し付けることができて、基台Vの底板部14と押えカバーKとの間に隙間が発生しなくなり、基台Vに対して水栓継手B及び一般継手Eをしっかりと固定できる。
また、図19−1(b),(c)及び図19−4に示されるように、給水管P2 の先端部に接続された水栓継手Cに関しても、上記した水栓継手B及び一般継手Eと同様にして、押えカバーKにより基台Vの底板部14に、押付け方向に沿って隙間を生ずることなく押し付けられて、水栓継手Cは、基台Vにしっかりと固定される。なお、図19−1(a),(c)で示されるように、固定ボックスJの底板部14と押えカバーKとの間において、スペーサ本体部31の内周に対向配置された一対の第2当接保持部36は、その内周面が水栓継手Cの外周面に密着当接した状態で当該スペーサ本体部31の径方向(固定ボックスJの底板部14に対して垂直な方向)に押え付けられるので、当該押え力によって、一対の第2当接保持部36がスペーサ本体部31から除去されるのが防止される。
最後に、基台Vに対して蓋体Lを覆蓋した後に、当該蓋体Lの各接続開口28に臨んでいる水栓継手B,Cの各水栓接続部97,98と、湯水混合水栓Gの給湯管部91及び給水管部92とを接続する。また、縦方向に並列配管された給湯管P1 及び給水管P2 は管材保護ダクトMを構成する基台61と蓋体62との間に収容保護される。なお、図1及び図4において、63は、管材保護ダクトMの蓋体62と固定ボックスJの蓋体Lのノックアウト孔26との間の隙間を閉塞する隙間閉塞具を示し、図1において、64,65は、湯水混合水栓において給湯及び給水の停止を行うレバー、蛇口管を示す。
次に、図20〜図23を参照して、別の拡径スペーサS2 について説明する。図20(a),(b)は、それぞれスペーサ単体S2'を異なる方向からみた斜視図であり、図21は、第2当接保持部76が除去された拡径スペーサS2 の斜視図であり、図22(a),(b)は、それぞれ水栓継手C’に拡径スペーサS2 が外嵌された状態の縦断面図及び横断面図であり、図23(a),(b)は、それぞれ水栓継手B’に拡径スペーサS2 が外嵌された状態の縦断面図及び横断面図である。外径D1 の拡径スペーサS2 は、前記水栓継手Bの外径D2 よりも大きな外径D2'(D2'>D2 )の水栓継手B’及び前記水栓継手Cの外径D3 よりも大きな外径D3'(D3'>D3 )の水栓継手B’に適用されるものであって、寸法のみ異なって前記拡径スペーサS1 と同一機能を有する部分には、拡径スペーサS1 について使用した符号に対応する別の符号を付して図示のみ行い、異なる部分についてのみ説明する。図20〜図23において、71はスペーサ本体部、72は管収容保持部、73は第1当接保持フランジ部、75は第1当接保持突条部、76は第2当接保持部、77は凹部、78は水漏れ確認窓、84は嵌合突起、85は嵌合孔、86は開口をそれぞれ示す。拡径スペーサS2 では、前記拡径スペーサS1 と異なって、管収容保持部72の内周面にはフランジ部は形成されておらず、水栓継手C’が接続される給水管P2'が直接に収容される。即ち、管収容保持部72の内径d4'は、水栓継手C’を接続する給水管P2'の外径D4'に対応しており、この点が前記拡径スペーサS1 と異なる構成である。
図22には、水栓継手C’の外径D3'よりも大きな外径D2'の水栓継手B’が給水管P2'と同一の外径D4'の給湯管P1'の先端部に接続されて、当該水栓継手B’の外径D2'( D2'>D3'>D3 )は、拡径スペーサS2 により、固定ボックスJの対応する水栓継手Aの外径D1 まで拡径されている。
このように、水栓継手B’,C’の各外径D2',D3'は、それぞれ前記各水栓継手B,Cの各外径D2 ,D3 よりも大きいが、外径D1 であって、第1当接保持突条部75及び第2当接保持部76の各内径d2', d3'のみを前記各外径D2',D3'に対応させて、拡径スペーサS1 の第1当接保持突条部35及び第2当接保持部36の各内径d2,d3 よりも大きくした拡径スペーサS2 を使用することにより、外径D1 の水栓継手Aが対応する固定ボックスJに、当該固定ボックスJに対しては非対応であって、外径のそれぞれ異なる水栓継手B,B’,C,C’を収容固定できる。
上記実施例では、拡径された継手が収容される「継手固定具」の例として、湯水混合水栓に使用される給湯用及び給水用の2種類の継手を収容固定するための継手収容固定ボックスを挙げたが、単水栓の場合には、本発明に係る拡径スペーサにより拡径された1つの継手が収容固定される継手固定具が用いられる。
また、上記実施例では、湯水混合水栓等の水栓に接続される水栓継手を本発明に係る拡径スペーサにより拡径して、当該水栓継手よりもサイズの大きな別の水栓継手と対応する継手収容固定ボックスに収容固定される例を挙げたが、配管途中のエルボやチーズ等を本発明に係る拡径スペーサにより拡径して、両サドル等により壁面・床面等に直接に固定する用途も挙げられる。
上記実施例の拡径スペーサは、半割分割構造の一対のスペーサ単体を組み付けて構成されるので、固定ボックスの基台に対する水栓継手の押え力を最大に確保できると共に、水栓継手に外嵌操作が容易となる利点があるが、本発明に係る拡径スペーサは、円筒状をしたスペーサ本体部の内周に第1及び第2の各当接保持部が形成され、第2当接保持部が除去可能な構成であれば、一体構造であってもよい。
スペーサ本体部の内周に形成される第1及び第2の各当接保持部に関しては、固定ボックスに対しては非対応であって、外径の異なる2種類の水栓継手の一部を挿入して保持できる構造であれば、上記実施例のように、第1当接保持部は、スペーサ本体部の軸方向に沿って形成された突条部であると共に、第2当接保持部は、全体が方形状となってスペーサ本体部の内周から突設された構成に限られない。上記したように、第1当接保持部が突条部で構成されていると、スペーサ本体部に対して水栓継手の一部を挿入する際に引っ掛かり部がなくなって、当該挿入が容易になる利点はあるが、第1当接保持部は、スペーサ本体部の周方向に形成されたフランジ状にしてもよい。第2当接保持部に関しては、除去可能であることが必須の構成であるが、除去できれば、全体が方形状をした突出体に限られず、スペーサ本体の軸方向に沿った突条、或いは周方向に形成されたフランジ状の部材で構成することも可能である。