JP5219443B2 - 視覚再生補助装置用の刺激ユニットの作製方法 - Google Patents

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Description

本発明は患者の視覚を再生するための視覚再生補助装置の体内装置に用いられる刺激ユニットの作製方法に関する。
近年、失明治療技術の一つとして、複数の電極が形成された基板を有する体内装置を体内に埋植し、網膜を構成する細胞を電気刺激して視覚の再生を試みる視覚再生補助装置の研究がされている。このような視覚再生補助装置は、例えば、体外装置を用いて撮像された映像を所定の信号に変換して体内に設置された体内装置に送信し、電極から刺激パルス信号を出力して網膜を構成する細胞を電気刺激することにより、視覚の再生を試みる装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−230590号公報
このような装置では、体内への長期埋植に耐える耐久性と、好適に網膜を構成する細胞を電気刺激できる性能を備える電極が必要とされる。特許文献1の装置では、通常、電極が薄膜形成法により作製されるため、電極に厚みを持たせることが難しく、電極の表面積を広げることが困難である。この結果、出力可能な電流量が制限され好適に電気刺激を行い難いという問題があった。
上記従来技術の問題点に鑑み、長期埋植の耐久性が向上されると共に、電気刺激を好適に行うことのできる視覚再生補助装置用の刺激ユニットの作製方法を提供することを技術課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下のようなステップで構成される方法を持つことを特徴とする。
(1) 患者の体内に設置する視覚再生補助装置の刺激ユニットとして,所定の基板に複数の電極と該電極に接続される導線とが形成された刺激ユニットの作製方法において、前記所定の基板がない状態で複数の電極の各々に導線を接続する第1ステップと、該第1ステップにより前記複数の電極と前記導線とが接続された状態で,前記複数の電極を略同一平面状に配置する第2ステップと、該第2ステップにて配置された前記複数の電極の先端をマスクした状態で前記導線を生体適合性を有する素材にて平板状に包埋することにより前記導線を内包した平板状の基板を成形する第3ステップと、を有することを特徴とする。
(2) (1)の視覚再生補助装置用の刺激ユニット作製方法において、前記第3ステップは前記複数の電極を各々嵌合するための複数の凹部が設けられた治具に前記電極を嵌合させることにより前記電極の先端をマスクした状態とすることを特徴とする。

本発明によれば、長期埋植の耐久性が向上されると共に、電気刺激を好適に行うことができる。
本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。図1は視覚再生補助装置の外観を示した概略図、図2は視覚再生補助装置における体内装置を示す図である。
視覚再生補助装置1は、図1及び図2に示すように、外界を撮影するための体外装置10と、網膜を構成する細胞に電気刺激を与え視覚の再生を促す体内装置20とからなる。体外装置10は、患者が掛けるバイザ11と、バイザ11に取り付けられるCCDカメラ等からなる撮影装置12と、外部デバイス13、一次コイルからなる送信手段14等にて構成されている。
外部デバイス13には、CPU等の演算処理回路を有するデータ変調手段13a、視覚再生補助装置1(体外装置10及び体内装置20)の電力供給を行うためのバッテリ13bが設けられている。データ変調手段13aは、撮影装置12にて撮影した被写体像を画像処理し、さらに得られた画像処理後のデータを、視覚を再生するための電気刺激パルス用データに変換する処理を行う。送信手段14は、データ変調手段13aにて変換された電気刺激パルス用データ及び後述する体内装置20を駆動させるための電力を所定の信号、本実施形態では、電磁波として体内装置20側に伝送(無線送信)する。この電磁波には、電気刺激パルス用データと電力が重畳されている。また、送信手段14の中心には図示なき磁石が取り付けられている。磁石は後述する受信手段31との位置固定に使用される。
バイザ11は眼鏡形状を有しており、図1に示すように、患者の眼前に装着して使用することができるようになっている。また、撮影装置12はバイザ11の前面に取り付けてあり、患者に視認させる被写体を撮影することができる。
次に、体内装置20の構成を説明する。図2(a)は、体内装置20の外観を示し、図2(b)は刺激部40の断面を示した図である。体内装置20は、大別して体外装置10から送信される電気刺激パルス信号用データや電力を電磁波にて受け取る受信部(受信ユニット)30と、網膜を構成する細胞を電気刺激する刺激部(刺激ユニット)40により構成される。受信部30には、体外装置10からの電磁波を受信する2次コイルからなる受信手段31や、制御部32が設けられている。制御部32は、受信手段31にて受信された電気刺激パルス用データと電力とを分けるとともに、電気刺激パルス用データを基に、視覚を得るための電気刺激パルス信号と、電気刺激パルス信号と対応する(電気刺激パルス信号を出力させる)電極を指定する電極指定信号等を含む制御信号とに変換し、刺激部40へ送信するための役割を有している。
これら受信手段31や制御部32は、基板33上に形成されている。なお、受信部30には送信手段14を位置固定させるための図示なき磁石が設けられている。対向電極(帰還電極)34はそれぞれの電極44の対向して配置され、効率的に細胞等を電気刺激するための部材である。
また、刺激部40は、電気刺激パルス信号を出力する複数の電極44、刺激制御部42(制御手段)、これらを設置する基板43を含む。各電極44は、後述する作製方法(接続形態)にて各々が刺激制御部42に接続される(詳細は後述する)。刺激制御部42は、制御部32から送られてきた制御信号(電極指定信号を含む)に基づいて、対応する電気刺激パルス信号を電極44の各々へ振り分けるマルチプレクサ機能を有する。電極44には生体適合性が高い金属、例えば金や白金、窒化チタン、酸化イリジウム等が用いられる。各電極44は、外径が100〜500μm、高さが100〜500μmに形成される。本実施形態で用いられる基板43は、眼内、特に、層状の眼組織内に設置されるため、眼球の形状に沿うことが好ましく、層間(層内)に長期埋植されても患者の負担が少ないことが好ましい。このため、基板43は、パリレン、ポリプロピレン、ポリイミド等、生体適合性が高く、所定の厚さにおいて折り曲げ可能(フレキシブル)な材料を長手方向に延びた平板状に加工したものを用いる。基板43の厚みは、10〜100μmとされる。この基板43には、電極44と刺激制御部42が電気的に接続する導線であるワイヤ41が配置される。ワイヤ41は、生体適合性の高い金属、例えば、金、白金等から形成され、その表面を生体適合性を有すると共に絶縁性を有する素材、例えば、パリレン、ポリイミド等の樹脂にて被覆される。ワイヤ41の厚み(径)は、被覆部分を含めて、基板43のフレキシブル性や長期設置性に好ましい程度の厚み、例えば、5〜100μmとされる。基板43上に実装された刺激制御部42はワイヤ41を介して基板43上に複数個形成された電極44と接続される。後述する電極44の作製方法により、ワイヤ41が基板43にて覆われることにより、ワイヤ41の金属部分は絶縁性を有する被覆に二重に覆われるため、ワイヤ41部分に体液等の浸潤がしても、漏電等の可能性が低くなる。
刺激制御部42は、各半導体素子の組合せにより機能を果たす半導体の集積回路であり、半導体基板上に集積回路を機能させるパターン配線が形成された面を基板43側にして接合されている。また、詳細な説明は略すが、刺激制御部42は、その周囲をメッキなどに覆われており、生体からの浸潤等を低減させる構成とされる。なお、刺激制御部42は、セラミックスや金属にて形成された気密ケースを用いて密封処理される構成としてもよい。このような場合、刺激制御部42は、ケースに設けられたビアを介してワイヤ41と接続される。
また、体内において離れた位置に置かれる受信部30と刺激部40とは複数のワイヤ(導線)50によって電気的に接続されている。ワイヤ50は、体内に設置された際に眼球運動に対応した伸縮性、耐久性を備えることが好ましく、上述のワイヤ41と同様の素材にて作製される。受信部30に一端を接続されたワイヤ50は、基板43に配置された刺激制御部42のパッド(図示を略す)に接続される。図示は略すが、ワイヤ50と刺激制御部42は、熔接や圧着等により接続され、その接続部分は周囲を生体適合性及び絶縁性を有する樹脂にて被覆される。また、ワイヤ50は、取扱いし易いように、生体適合性の高い素材、例えば、シリコーン、パリレン等により作製されたケーブル51に収められる。
なお、図示は略すが、受信部30は、ケーブル51、対向電極34を外に出して、気密性の高いケースに収められ、そのケースの蓋を密閉される。さらに、ケースの上から生体適合性がよく絶縁性を有する樹脂等でコーティングされる。これにより、受信部30はハーメチックシールされる。
次に、電極44について説明する。図3は、電極44付近の模式的断面図である。図4は、電極44の作製方法(刺激ユニットの作製方法)を段階的に示した図である。図は説明の簡便のため、各部材の縮尺は模式的としている。
基板43には、電極44とこれに接続される導線(ワイヤ41)とが配置されている。電極44は、直接生体に接触し電気刺激パルス信号を出力させるための電極部材45と、ワイヤ41を電極部材45に接続させるとともに電極部材45の基板43からの抜け止めの役目を果たすワッシャ(座金、ハトメ)46とを持つ。電極部材45は、丸みを持った(半球状に突出した)先端部であるヘッド部45aと、ワイヤ41を接合するためのベース部45cと、ベース部45cの中央付近からヘッド部45aと反対方向に所定長さだけ延びる柱部材45bから構成される。なお、ベース部45cは、ヘッド部45aの底面において凸状(底面周辺に対して底面中央が盛り上がるように段差を持つ)に形成される。このような電極部材45は、生体適合性を有し、塑性又は展性を有する導体、例えば、白金や金等の金属にて成形される。また、柱部材45bは、後述するワッシャ46を通すために使用され、その長さ(柱の高さ)は、ワッシャ46を通すのに充分な長さを持つ。ベース部45cの厚みH1は、10〜70μmとされ、ベース部45cは、後述する基板作製の際に、ワイヤ41を基板43内に収める(位置決めをする)役割を持っている。また、ヘッド部45aの外径は100〜500μm程度とされ、高さは100〜500μmとされる。
ワッシャ46は、柱部材45bに貫入され、柱部材45bの先端がかしめられる(塑性変形)ことで、電極部材45と一体となる環状の部材である。ワッシャ46は、電極部材45と同様に、生体適合性を有し、塑性又は展性を有する導体、例えば、白金や金等の金属にて成形されることが好ましいが、生体適合性を有する樹脂等で形成されてもよい。ワッシャ46は、柱部材45bとかしめられることにより、電極部材45に接続されたワイヤ41を挟持している。このようにして、電極44が構成される。電極44の外径は、100〜500μm(ヘッド部45aと同様)、基板43から突出した部分の高さは100〜300μm(基板43に包埋されたヘッド部45aが基板43から突出した高さ)とされることが好ましい。なお、電極部材45、ワッシャ46は、プレス加工や切り出し加工にて成形される。
次に、電極44が形成された基板(刺激ユニット)の作製方法を、図4に基づき説明する。図4(a)は、電極部材45にワイヤ41を接続するステップを示した図である。
電極部材45のベース部45cに絶縁被覆されたワイヤ41の先端を置き、レーザ熔接や抵抗熔接等の熔接技術が用いて接続(溶接)を行う。この際、ワイヤ41の熔接箇所は、熔接時の熱により、絶縁用樹脂による被覆が取り除かれた状態で接続されることとなる電気的に接続される。なお、電極部材45とワイヤ41の接続は、圧着加工等を用いた機械的接続であってもよい。
次に、このように電極部材45にワイヤ41が接続された状態で、柱部材45bに、ワイヤ41に当接するまでワッシャ46を通す。ワッシャ46の内径は、柱部材45bの外径よりも若干大きく形成されている。また、柱部材45bの先端部は、ワッシャ46に貫入された際に、柱部材45bの先端部が突出するような長さとされている。
その後、柱部材45bの先端部をプレス加工することにより、柱部材45bとワッシャ46とがかしめられ、電極部材45とワッシャ46がワイヤ41を挟持しつつ、固着(接続)される。これにより、ワイヤ41と電極44(電極部材45)との接続は強められる(図4(a)参照)。このようなステップを各電極に対して行い、各ワイヤ41に各々電極部材45を接続する。なお、ワッシャ46と電極部材45の固着には、プレス加工等の機械加工に限るものではなく、熔接等を用いてもよい。
図4(b)は、ワイヤ41が各々接続された複数の電極44を所定の治具に並べるステップを示した図である。治具70には、ワイヤ41が接続された電極44が配置される。治具70には、ヘッド部45aが収まる径を有する孔71が形成されている。治具70には、例えば、平板状の金属等にレーザ加工や機械加工により孔が形成されたものを用いる。孔71の径は、ヘッド部45a収められた状態で、孔71とヘッド部45aとの間に隙間がない程度されることが好ましい。また、孔71の深さはヘッド部45aの高さと同じか、それよりも若干浅く形成される。また、ワイヤ41は、治具70に接触しないように配置されることが好ましく、図示を略すが、ワイヤ41の端部に張力をかけておいてもよい。このとき、ワイヤ41が、治具70に接しないように、ベース部45cが先に述べた厚みにて設けられている。このようなステップを各電極部材45毎に行い、治具70にすべての電極部材45を配置させる。なお、図示するように、各電極44はその先端側から孔71に入れるように治具70に配置される(図4(b)参照)。
図4(c)は、治具70に電極44が配置された状態でCVD(化学気相成長)法を用いて基板43を形成するステップを示した図である。基板43となる素材の成長はワッシャ46側(電極部材45の底面側)から行われる。具体的には電極44が配置された治具70を成長装置(蒸着装置)内に入れ、パリレン等の生体適合性が高く絶縁性の高い基板用材料を治具70上に成長させる。治具70が平板状であるため、形成された基板43も平板状とされる。処理を行う時間等を調節することにより、基板43は先に説明した厚みにて形成される。これにより、ワイヤ41を基板43に内包した状態で、折り曲げ可能なフレキシブル性を持つ基板43が平板状に成形されることとなる。なお、電極44(電極部材45)は治具70の孔71に入れられているため、マスクされた状態であり基板43作製後に電極44に樹脂が付着することが抑制されている。これにより、電極44の作製で工程(例えば、電極44から樹脂を除去する工程)を短縮できる。なお、本実施形態では化学気相成長法を用いた基板43の形成を行ったが、これに限るものではなく蒸着法、例えば、化学気象蒸着法等によって行うこともできる。このような場合、基板43とする素材により処理方法を変更する。なお、平板状に基板43の成形する場合は、治具70に平板面から上方に延びた側壁を設け、樹脂等を流し込むことによる成形法を用いてもよい。このようにして、形成された基板43を治具70から剥離させることにより、ワイヤ41が基板43に内包され、電極44が基板上に露出した状態が得られることとなる。また、形成された基板43の不要部分は切断、除去される。なお、ワイヤ41の基端側(電極44の反対側)先端は、基板43の電極形成面と反対側に露出されるように、ワイヤ41の基端側の先端部分を電極44形成方向と反対側に折り曲げ、その先端を蒸着されないようにマスク等しておく。基板43形成後、露出しているワイヤ41の基端側先端に刺激制御部42を接続し、パリレン等で刺激制御部42を被覆させておく。このような手順を経ることによって刺激制御部42及び電極44が複数配置された基板43を持つ刺激部40が作製される(図2参照)。
なお、刺激制御部42と各ワイヤ41を接続した後、前述の手順で各ワイヤ41に電極44を形成し、刺激制御部42とワイヤ41とを基板43に包埋する刺激部40の作製方法としてもよい。この場合、刺激制御部42と電極44は基板43の同一面に配置される。
なお、ワイヤ41は、基板43に内包される構成に限るものではない。ワイヤ41は、絶縁性の皮膜を持つため、ワイヤ41の一部が基板43の外に露出されていてもよい。基板43にワイヤ41がまとめられ、刺激部40が取扱い易い構成(ここでは、電極44が平板状に配置された状態で取り扱う構成)であればよい。
なお、柱部材45b、ベース部45cがヘッド部45aの底面の径に対して小さく段差を持つことで、基板43内に空間(樹脂は包埋されている)ができる。このため、図4(b)の電極配置ステップ時に、この空間に、別の電極44に接続されているワイヤ41を通しておくことできる。これにより、電極44を高密度に配置することができる。また、この空間が樹脂にて埋められることにより、電極44が基板43から抜け出にくくされる。なお、電極44は、基板43から抜け出にくい構造であればよく、例えば、電極44を電極部材45とワッシャ46の組合せとせず、前述の電極44のような形状を金属等により一体成形して電極としてもよい。
これにより、電極44の外径は100〜500μm、基板43から突出した部分の高さは100〜300μmとされる。このような電極44は、同程度の直径を持つ薄膜電極よりも表面積が大きい。なお、薄膜形成法により薄膜層の形成を繰り返して、電極44のようなサイズの電極を作製することは容易でない。
以上のようにして、基板43上に表面積の大きい(体積の大きい)電極(バルク電極)44が作製される。これにより、刺激部40を体内に長期埋植し、電極44から電気刺激パルス信号が出力され続け、電極44の一部が電気化学反応等により溶解したとしても、電極44の表面積(体積)はほとんど変化しない。従って、長期埋植に際しても、電極44からは充分な電荷量の電気刺激パルス信号を出力する(充分な量の電荷を注入する)ことができ、細胞、組織等を好適に電気刺激することができる。
また、同程度の径を持つ薄膜電極と比較した場合、電極44は基板43上で立体的に突出して作製されるため、表面積が広いと共に、細胞等への接触面積が広くなる。ここで、電極が注入可能な電荷量は、電極の表面積に比例することから、電極44の表面積を広くすることにより、電極44から注入可能な電荷量を大きくできる。これにより、細胞等を好適に電気刺激できる。
また、電極44と薄膜電極とで同じ電荷量の電気刺激パルス信号を出力させる場合、表面積の大きい電極44の方が電荷密度を小さくできる。このため、表面積の大きい電極は、薄膜電極の場合と同じ電荷量の電気刺激であっても、特定の細胞等に電荷が集中しにくい。従って、電極の表面積を大きくすることにより、電気刺激による細胞等への負担が軽減できる。また、電極44の先端は丸みを持った形状とされるため、電気刺激の際に、電極の角等に電荷が偏よることが少なくなる。このため、電荷が電極44から均等に放出され、電極44の周辺にある細胞等が均等に電気刺激される。言い換えれば、一つの電極の特定の箇所に電荷が集中しないため、細胞等への負担が軽減される。
また、患者が知覚する視覚の解像度(分解能)が向上されることが好ましい。従って、一つの電極により電気刺激される細胞、組織の範囲を小さくしつつ、電極を高密度に配置する必要がある。このため、電極の直径をできるだけ小さくしつつ、電極の表面積を大きくする必要がある。これを受けて、ヘッド部45a(電極部材45)の外径を小さくすると共に、高さを長くする。これにより、直径が小さく、基板43上への突出長を長い電極44が作製できる。これにより、一つの電極が刺激する範囲を小さくできると共に、基板43上に配置される電極44の密度を向上でき、患者が知覚する視覚の解像度を向上できる。
また、電極44は、大きな表面積を有するため、薄膜電極を用いた電荷の注入と比較すると、同等の電荷量を同一の電荷密度でより短時間に注入できる。このため、電気刺激パルス信号の時間幅を短くでき、刺激頻度を高くできる。これにより、患者が知覚する視覚の時間分解能(フレームレート)を高くできる。
なお、以上説明した本実施形態では、基板43は平板状としたが、これに限るものではない。基板43(電極44)の設置位置に好適な形状であればよい。例えば、張力の掛らない状態で湾曲している形状であってもよい。このような場合、治具70を湾曲した面を持つものとすればよい。
図5は、刺激部40を眼内に埋植した状態を示す概略図である。対向電極34は図示するように眼内中央の前眼部寄りの位置に置かれる。これによって、網膜E1は電極44と対向電極34(対向電極)との間に位置することとなる。電極44からの電気刺激パルス信号電流が効率的に網膜を貫通することとなる。
一方、受信手段31は、体外装置10に設けられた送信手段14からの信号(電気刺激パルス用データ及び電力)を受信可能な生体内の所定位置に設置される。例えば、図1に示すように、患者の側頭部の皮膚の下に受信部30(図では受信手段31のみ示している)を埋め込むとともに、皮膚を介して受信部30と対向する位置に送信手段14を設置しておく。受信部30には、送信手段14と同様に磁石が取り付けられているため、埋植された受信部30上に送信手段14を位置させることにより、磁力によって送信手段14と受信部30とが引き合い、送信手段14が側頭部に保持されることとなる。
なお、ワイヤ50を束ねたケーブル51は、側頭部に埋め込まれた受信部30から側頭部に沿って皮膚下を患者眼に向かって延び、患者の上まぶたの内側を通して眼窩に入れられる。眼窩に入れられたケーブル51は、図5に示すように強膜E3の外側を通り、基板43に設置された刺激制御部42に接続される。
なお、本実施形態では、体内装置20(刺激部40)の設置位置を強膜E3側に位置させて、強膜E3側(脈絡膜側)から網膜E1を構成する細胞を電気刺激する構成としたが、これに限るものではない。電極を配置する基板がフレキシブルであることが好ましい部位で患者眼の網膜を構成する細胞を好適に刺激することが可能な位置に電極を設置することができればよい。例えば、層間に電極及び基板を設置すればよい。体内装置を患者眼の眼内(網膜上や網膜下)に置き、電極が形成されている基板先端部分を網膜下(網膜と脈絡膜との間)や網膜上に設置させるような構成とすることもできる。
以上のような構成を備える視覚再生補助装置において、その動作を図6に示す制御系のブロック図を基に説明する。図1に示す撮影装置12により撮影された被写体の撮影データ(画像データ)は、データ変調手段13aに送られる。データ変調手段13aは、撮影した被写体を患者が認識するために必要となる所定のデータパラメータ(電気刺激パルス用データ)に変換し、さらに電磁波として伝送するのに適した変調信号を生成し、送信手段14より電磁波として体内装置20側に送信する。
また同時に、データ変調手段13aは、バッテリ13bから供給されている電力を前述した変調信号(電気刺激パルス用データ)の帯域と異なる帯域の電磁波として前記変調信号と合わせて体内装置20側に送信する。
体内装置20側では、体外装置10より送られてくる変調信号と電力とを受信手段31にて受け取り、制御部32に送る。制御部32では受けとった信号から、変調信号が使用する帯域の信号を抽出するとともに、この変調信号に基づいて電気刺激パルス用パラメータ信号と制御信号とを形成し、電極指定信号である制御信号を刺激制御部42に送信する。
刺激制御部42は、受け取った信号に基づき電力及び制御信号を抽出する。刺激制御部42は、制御信号に基づき制御部32から供給される電気刺激パルス信号を各電極44に分配し、出力させる。各電極44から出力される電気刺激パルス信号によって網膜E1を構成する細胞が電気刺激され、患者は視覚(擬似光覚)を得る。なお、制御部32は、受信手段31により体内装置20を駆動させるための電力を得る。
なお、以上説明した本実施形態では、患者眼の強膜E3に基板43を設置し、強膜E3を介して網膜E1を電気刺激する構成としたが、これに限るものではない。患者の視覚を形成する視覚神経系を構成する細胞又は組織を電気的に刺激する構成であればよい。例えば、電気刺激パルス信号を出力する電極を有する刺激部を眼内の視神経乳頭部や眼外の視神経部分に配置し、刺激部への電力供給や指令信号を送る送信部を患者の皮下等の離れた場所に配置して、視神経を電気刺激する構成としてもよい。また、電極を有する刺激部を視交叉や外側膝状体、大脳皮質等の視覚神経系の高次視覚処理を行う組織に配置し、それぞれの組織を構成する細胞を刺激する構成としてもよい。例えば、大脳皮質の後頭葉であれば、錐体細胞等を刺激する又は視覚野V1、V2等を刺激する等である。また、以上説明した本実施形態では、撮像装置からの画像データをデータ変調手段にて所定の信号に変換し、送信手段にて信号を体内へと送る体外装置と、体外装置からの信号を受信手段にて受け、その信号に基づいて各電極から電気刺激パルス信号を出力する体内装置と、で構成される体外撮像型の視覚再生捕縄装置を例に挙げたがこれに限るものではない。眼内に撮像装置やデータ変調手段等を埋植する体内撮像型の視覚再生補助装置であってもよい。
視覚再生補助装置の外観を示した概略図である。 本実施形態における視覚再生補助装置の体内装置を示した概略図である。 電極44付近の模式的断面図である。 電極44を作製する手順を模式的に示した図である。 体内装置を体内に設置した状態を示した図である。 本実施形態における視覚再生補助装置の制御系を示したブロック図である。
符号の説明
1 視覚再生補助装置
10 体外装置
20 体内装置
30 受信部
31 受信手段
32 制御部
34 対向電極
40 刺激部
41 ワイヤ
42 刺激制御部
43 基板
44 電極
45 電極部材
46 ワッシャ
50 ワイヤ
51 チューブ
70 治具
71 孔

Claims (2)

  1. 患者の体内に設置する視覚再生補助装置の刺激ユニットとして,所定の基板に複数の電極と該電極に接続される導線とが形成された刺激ユニットの作製方法において、前記所定の基板がない状態で複数の電極の各々に導線を接続する第1ステップと、該第1ステップにより前記複数の電極と前記導線とが接続された状態で,前記複数の電極を略同一平面状に配置する第2ステップと、該第2ステップにて配置された前記複数の電極の先端をマスクした状態で前記導線を生体適合性を有する素材にて平板状に包埋することにより前記導線を内包した平板状の基板を成形する第3ステップと、を有することを特徴とする視覚再生補助装置用の刺激ユニット作製方法。
  2. 請求項1の視覚再生補助装置用の刺激ユニット作製方法において、前記第3ステップは前記複数の電極を各々嵌合するための複数の凹部が設けられた治具に前記電極を嵌合させることにより前記電極の先端をマスクした状態とすることを特徴とする視覚再生補助装置用の刺激ユニット作製方法。
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