JP5122244B2 - 視覚再生補助装置 - Google Patents

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Description

本発明は患者の視覚を再生するための視覚再生補助装置に関する。
近年、失明治療技術の一つとして、複数の電極が形成された基板を有する体内装置を体内に埋植し、網膜を構成する細胞を電気刺激して視覚の再生を試みる視覚再生補助装置の研究がされている。このような視覚再生補助装置は、例えば、体外装置を用いて撮像された映像を所定の信号に変換して体内に設置された体内装置に送信し、電極から電気刺激パルス信号を出力して網膜を構成する細胞を電気刺激することにより、視覚の再生を試みる装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような装置では、好適に網膜を構成する細胞を電気刺激できる性能を備える電極が必要とされている。これに対応するため、電極を大きくして表面積を拡大させることにより、電極から出力される電流量を増大させる技術が知られている(例えば、特許文献2参照)
特開2003−230590号公報 米国特許第675530号明細書
しかしながら、視覚再生補助装置のように患者眼に電極を設置する構成においては、使用できる電極の大きさに限度がある。また、特許文献2に開示されるような多孔性素材を吸着させることにより形成した電極は、生体に長期設置されると表面積が小さくなり、電極から充分な値の電気刺激パルス信号を出力できなくなる問題がある。
上記従来技術の問題点に鑑み、組織への負担を低減すると共に、生体に長期設置でき、電気刺激を好適に行うことのできる視覚再生補助装置を提供することを技術課題とする。
上記技術課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
(1) 所定の基板上に形成され患者の視覚を形成する視覚神経系を構成する細胞又は組織を電気刺激するための複数の電極と、該電極に接続され電気刺激パルス信号を前記電極から出力させる制御手段と、を備える視覚再生補助装置において、
前記電極は所望する表面積を確保するために電極の表面に凹部を設けたことを特徴とする。
(2) (1)の視覚再生補助装置において、前記凹部は前記電極の先端から底に向って略垂直方向に形成される少なくとも一つの孔部であることを特徴とする。
(3) (2)の視覚再生補助装置において、
前記孔部は、前記電極の先端に形成された開口から前記基板に向かって円柱状に座繰られた孔部であり、
前記孔部の内径は前記電極の外径の2分の1未満に形成されると共に、前記孔部は前記電極に複数設けられることを特徴とする。

本発明によれば、組織への負担を低減すると共に、生体に長期設置でき、電気刺激を好適に行うことができる。
本発明の実施の形態を図面を用いて説明する。図1は視覚再生補助装置の外観を示した概略図、図2は視覚再生補助装置における体内装置を示す図である。
視覚再生補助装置1は、図1及び図2に示すように、外界を撮影するための体外装置10と、網膜を構成する細胞に電気刺激を与え視覚の再生を促す体内装置20とからなる。体外装置10は、患者が掛けるバイザ11と、バイザ11に取り付けられるCCDカメラ等からなる撮影装置12と、外部デバイス13、一次コイルからなる送信手段14等にて構成されている。
外部デバイス13には、CPU等の演算処理回路を有するデータ変調手段13a、視覚再生補助装置1(体外装置10及び体内装置20)の電力供給を行うためのバッテリ13bが設けられている。データ変調手段13aは、撮影装置12にて撮影した被写体像を画像処理し、さらに得られた画像処理後のデータを、視覚を再生するための電気刺激パルス用データに変換する処理を行う。送信手段14は、データ変調手段13aにて変換された電気刺激パルス用データ及び後述する体内装置20を駆動させるための電力を所定の信号、本実施形態では、電磁波として体内装置20側に伝送(無線送信)する。この電磁波には、電気刺激パルス用データと電力が重畳されている。また、送信手段14の中心には図示なき磁石が取り付けられている。磁石は後述する受信手段31との位置固定に使用される。
バイザ11は眼鏡形状を有しており、図1に示すように、患者の眼前に装着して使用することができるようになっている。また、撮影装置12はバイザ11の前面に取り付けてあり、患者に視認させる被写体を撮影することができる。
次に、体内装置20の構成を説明する。図2(a)は、体内装置20の外観を示し、図2(b)は刺激部40の断面を示した図である。体内装置20は、大別して体外装置10から送信される電気刺激パルス信号用データや電力を電磁波にて受け取る受信部30と、網膜を構成する細胞を電気刺激する刺激部40により構成される。受信部30には、体外装置10からの電磁波を受信する2次コイルからなる受信手段31や、制御部32が設けられている。制御部32は、受信手段31にて受信された電気刺激パルス用データと電力とを分けるとともに、電気刺激パルス用データを基に、視覚を得るための電気刺激パルス信号と、電気刺激パルス信号と対応する(電気刺激パルス信号を出力させる)電極を指定する電極指定信号等を含む制御信号とに変換し、刺激部40へ送信するための役割を有している。
これら受信手段31や制御部32は、基板33上に形成されている。なお、受信部30には送信手段14を位置固定させるための図示なき磁石が設けられている。対向電極(帰還電極)34はそれぞれの電極44に対向して配置され、効率的よく細胞等を電気刺激するための部材である。
また、刺激部40は、電気刺激パルス信号を出力する複数の電極44、刺激制御部42(制御手段)、これらが設置される基板43を含む。各電極44は、後述する作製方法(接続形態)にて各々が刺激制御部42に接続される(詳細は後述する)。刺激制御部42は、制御部32から送られてきた制御信号(電極指定信号を含む)に基づいて、対応する電気刺激パルス信号を電極44の各々へ振り分けるマルチプレクサ機能を有する。電極44には生体適合性が高い金属、例えば金や白金、窒化チタン、酸化イリジウム等が用いられる。各電極44は、外径が100〜500μm、高さが100〜500μmに形成される。なお、詳細は後述するが、電極44は表面積を拡大する加工がされている。本実施形態で用いられる基板43は、眼内、特に、層状の眼組織内に設置されるため、眼球の形状に沿うことが好ましく、層間(層内)に長期埋植されても患者の負担が少ないことが好ましい。このため、基板43は、パリレン、ポリプロピレン、ポリイミド等、生体適合性が高く、所定の厚さにおいて折り曲げ可能(フレキシブル)な材料を長手方向に延びた平板状に加工したものを用いる。基板43の厚みは、10〜100μmとされる。この基板43には、電極44と刺激制御部42が電気的に接続する導線であるワイヤ41が配置される。ワイヤ41は、生体適合性の高い金属、例えば、金、白金等から形成され、その表面を生体適合性を有すると共に絶縁性を有する素材、例えば、パリレン、ポリイミド等の樹脂にて被覆される。ワイヤ41の厚み(径)は、基板43のフレキシブル性や長期設置性に好ましい程度の厚み、例えば、10〜100μmとされる。基板43上に実装された刺激制御部42はワイヤ41を介して基板43上に複数個形成された電極44と接続される。
刺激制御部42は、各半導体素子の組合せにより機能を果たす半導体の集積回路であり、半導体基板上に集積回路を機能させるパターン配線が形成された面を基板43側にして接合されている。また、詳細な説明は略すが、刺激制御部42は、その周囲をメッキなどに覆われており、生体からの浸潤等を低減させる構成とされる。なお、刺激制御部42は、セラミックスや金属にて形成された気密ケースを用いて密封処理される構成としてもよい。このような場合、刺激制御部42は、ケースに設けられたビアを介してワイヤ41と接続される。
また、体内において離れた位置に置かれる受信部30と刺激部40とは複数のワイヤ(導線)50によって電気的に接続されている。ワイヤ50は、体内に設置された際に眼球運動に対応した伸縮性、耐久性を備えることが好ましく、上述のワイヤ41と同様の素材にて作製される。受信部30に一端を接続されたワイヤ50は、刺激部40に配置された刺激制御部42に接続される。詳細な説明は略すが、ワイヤ50とワイヤ41は、熔接や圧着等により接続される。また、ワイヤ50は、取扱いがし易いように、生体適合性の高い素材、例えば、シリコーン、パリレン等により作製されたケーブル51に収められる。
なお、図示は略すが、受信部30は、ケーブル51、対向電極34を外に出して、気密性の高い容器に収められ、その容器の蓋を密閉される。さらに、容器の上から生体適合性がよく絶縁性を有する樹脂等でコーティングされる。これにより、受信部30はハーメチックシールされる。
次に、電極44について説明する。図3は、図2で示す一つの電極44の概略構成を示した模式図であり、図4(a)は模式的断面図、図4(b)は模式的な上面図である。図は説明の簡便のため、各部材の縮尺は模式的としている。
電極44は略円柱形状を有し基板43に配線されているワイヤ41の先端に接続された状態で基板43上に形成される。また、図示するように電極44には先端(上面)から内部に向けて孔(孔部)46が少なくとも一つ(好ましくは複数個)設けられている。本実施形態では、電極44は、所定の外径D1と高さを持つ円柱状の電極からなる。なお、本実施形態の視覚再生補助装置に用いられる電極は、生体組織に接触し組織を押圧した状態で体内に長期間置かれる。このため、電極の高さ(基板から突出した部分の高さ)は長期間の埋殖による生体組織へのダメージを抑制する観点からいえば、できるだけ低く形成されていることが好ましい。一方、電気刺激による生体組織へのダメージを抑制する観点からいえば、電極から視覚再生に必要とされる電荷量を出力しつつ電荷密度を生体組織にダメージを与えない程度に疎と(低く)する必要があり、このためには電極全体の表面積がある程度必要とされる(電極の高さが必要とされる)。また、電極の外径においても、解像度や生体との接触との観点からみれば、視覚を形成する視覚神経系を構成する細胞又は組織を個々に刺激するためにできるだけ小さな径が好ましいが、前述したように電荷密度の問題もあり、生体組織にダメージを与えない程度の電荷密度となる表面積を確保しなければならない。このような点を考慮すると、外径D1は好ましくは50μm〜800μm、さらに好ましくは100μm〜500μm程度である。また、基板43から突出した部分の電極44の高さは好ましくは50μm〜500μm、さらに好ましくは100μm〜300μmである。
しかしながら、このような点を考慮して電極の大きさを決定しても、必要な表面積を確保することが難しい。このため本実施形態では電極44に孔46を形成することにより全体の表面積を増やし、好適な電荷密度が得られるようにしている。
電極44には、複数の開口46aが形成されており、それらの開口46aから基板43に向かって、所定の深さを有する孔46が形成される。孔46は内径D2にて、円柱状に座繰られて基板43に対して略垂直に形成される。孔46の高さ(電極44の先端から底までの深さ)は、最大で電極44が基板43から突出した高さと同程度とされ、100〜300μmとされることが好ましい。これにより、開口46aに対応して形成された孔46内の表面積をできるだけ広くできる。
また、内径D2は、外径D1より小さく形成され、さらには、外径D1の2分の1未満とされる。これにより、外径D1の円に孔46(開口46a)を複数配置できる。詳細は後述するが、電極44の表面積をできるだけ拡大させるためには、内径D2を小さくすると共に孔46の配置数を増やす必要がある。本実施形態では、内径D2は、外径D1の4分の1とし、電極44の中心に1つの孔46、さらに、その孔46の周囲に同心円状に等間隔で6つの孔46を配置し、合計7つの孔46を配置している。なお、本実施形態では電極44に形成する孔46を7つとしているが、これに限るものではなく、基板43上形成される各電極44の表面積を十分に確保しうるだけの孔の数(孔の大きさ)を有するものであればよい。また、本実施形態では孔46の深さは電極44の高さと同程度とするものとしているが、これに限るものではない。電極44の先端(上面)は生体組織に接触するため、刺激効率を考慮すると個々の孔46を深く形成するよりも、深さが浅くとも孔46の数を多く増やした方がより好ましい。このような構成は電極44と細胞が近接する場合に有効となる。
また、内径D2は、電極44を生体内に設置した際に、孔46内に体液等を内包できる程度の大きさとされ、少なくとも1μm以上、好ましくは10μm以上とされる。これは、生体内での電気刺激は、電解質である体液を電荷が移動することにより行われるためである。以上のことから、内径D2は、10〜250μm程度とされることが好ましい。
なお、電極44の先端の縁及び開口46aの縁のそれぞれの角部は、加工により落とされる。これにより、電極44の先端及び開口46aの縁は鈍角で構成されることとなり、組織が電極44の先端に接触した場合に、組織を傷つけにくくなる。
次に、表面積を大きくさせた電極44の作製方法を説明する。本実施形態では、基板43にワイヤ41及び電極44をそれぞれ配置した後、各電極44に対して孔46を形成することで、表面積を大きくさせた電極44を得る。
前述した生体適合性を有する金属からの切り出し又は金属のバルク材をプレス加工することにより円柱状の電極44を得る。電極44の後端部(基端部)に絶縁被覆されたワイヤ41の先端を置き、レーザ熔接や抵抗熔接等の熔接技術が用いて接続(溶接)を行う。ワイヤ41の熔接箇所は、熔接時の熱により、絶縁用樹脂による被覆が取り除かれた状態で接続されることとなり電気的に接続される。このような工程を繰り返し、各ワイヤ41に電極44が接続したものを作製する。なお、電極44とワイヤ41の接続は、圧着加工や塑性変形等を用いた機械的接続であってもよい。
次に、各ワイヤ41と電極44をモールド形成法の金型となる治具に並べ、基板43の基材となる樹脂にて、ワイヤ41と電極44の後端部を樹脂包埋することにより、ワイヤ41に各々接続された電極44が基板43から所定の高さだけ凸状に突出したものを得る。このとき、ワイヤ41の基端側(電極44の反対側)先端は、樹脂包埋されないようにマスク等しておく。
なお、以上説明した工程は、以下に挙げる手法を用いてもよい。薄膜作製法又は蒸着法等により、基板43にワイヤ41を包埋する。ワイヤ41の先端部をレーザ加工やポリッシュ加工等により露出させる。この後、ワイヤ41の先端部に薄膜形成法や圧膜メッキ法等により、電極44を形成する。
次に、基板43上に複数配置された電極44の先端に開口46aを設けて孔46を形成する。電極44の先端(図3(a)の上面)に、微細加工用の微小ドリルを回転させながら、電極44の先端に略垂直に当接させる。ここで、ドリルの径は、孔46の内径D2と同じものする。これにより、電極44の先端に内径D2の開口46aが形成される。さらに、ドリルが電極44の先端から基板43方向に向けて所定量進められることにより、内径D2の孔46が座繰りにより形成される(穿孔により形成される)。この後、孔46の底部(基板43側)をポリッシュ加工することにより、前述のように、孔46の底部の角部を取る。なお、ドリルの先端形状が孔46の底部に合うような形状(円柱形状)、例えば、エンドミル等を用いて、孔46の形成を行ってもよい。この場合、孔46の底部のポリッシュ加工の工程を省略することができる。
また、電極44の先端の縁(円周)及び開口46aの縁は、ポリッシュ加工により落とされる。なお、縁は丸みを持つようにポリッシュ加工されてもよい。
このような工程を繰り返して、それぞれの電極44に対して必要とされる表面積が得られるように複数の孔46が形成される。本実施形態では、一つの電極44に7つの孔46を形成している。なお、孔46の形成には機械加工だけでなく、レーザ加工やプラズマ加工を用いてもよい。mた、孔46の形成は、電極44にワイヤ41を接続する前に行ってもよい。
以上のようにして、電極44に孔46が形成されることにより、全体の表面積が拡大される。なお、電極44の形成後、露出しているワイヤ41の基端側先端に刺激制御部42を接続し、樹脂等で刺激制御部42を被覆させておく。このような手順を経ることによって刺激制御部42及び電極44が複数配置された基板43を持つ刺激部40が作製される。
なお、孔46は、電極44を基板43に配置した後に、形成することが好ましい。これにより、略垂直に孔46を複数形成されるような一方向からの加工がし易くなる。
以上のようにして、基板43上に表面積の大きい電極44が作製される。また、電極44に凹部(孔46)を設けたことで、電極を高くすることなく(電極の稜線から突出した部材を形成することなく)、電極44の表面積を拡大できる。ここで、電極が注入可能な電荷量は、電極の表面積に比例することから、電極44の表面積を広くすることにより、電極44から注入可能な電荷量を大きくできる。これにより、細胞等を好適に電気刺激できる。本実施形態の電極44で用いることができる安全注入電荷量は、500〜1000nCとされる。
また、電極44と電極44よりも表面積の小さい電極とで同じ電荷量の電気刺激パルス信号を出力させる場合、表面積の大きい電極44の方が電荷密度を小さくできる。このため、表面積の大きい電極は、同じ電荷量の電気刺激であっても、特定の細胞等に電荷が集中しにくい。従って、電極の表面積を大きくすることにより、電気刺激による細胞等への負担が軽減できる。また、これにより、電極表面の特定箇所に電荷が集中し、そこで不可逆的な電気化学反応が起こりにくくなるため、生体への悪影響が低減できる。
さらに、開口46aの縁及び電極44の先端の縁及び各孔46の底部のそれぞれの縁の角を取る構成とすることにより、電気刺激パルス信号を電極から出力させる際に、電極の角部等に電界が集中する現象(本明細書では、電界集中と呼ぶ)が低減できる。これにより、電極44から放出される電荷が電極44上の特定の箇所に偏らず、特定の組織や細胞に電荷による負荷がかかり難くなる。また、電界集中が低減されることにより、電界集中箇所で体液等が電気分解されたり、特定の物質が電界集中箇所に付着する不可逆的な電気化学反応を低減できる。これにより、生体への悪影響を低減でき、特に、長期埋植において装置の安定性、生体への悪影響が低減できる。
また、本実施形態では、電極44の高さを高くすることなく(稜線を変えることなく)表面積を拡大することができるため、特許文献2に示される鋭利な先端を有し、高さを有した電極と比べて、生体や組織への負担が少ない。詳細は後述するが、電極44は、眼内等の空間の限られた場所、特に、層状の組織の間に配置されため、刺激部40の厚み(電極44の高さ)は小さい方が好ましい。
また、特許文献2の電極では、先端が鋭利であるため、設置位置で、電極の先端が組織を損傷させる可能性がある。一方、本実施形態では、電極44の先端には鋭利な箇所はなく、開口等の周縁が鈍角で構成されるため、設置位置での組織の損傷が起こりにくい。
また、特許文献2の電極では、表面積を拡大させるために、多孔性の微粒子(カーボンナノチューブ)を吸着(凝集)させて、一の電極としているが、このような微粒子は、生体への長期埋植で剥離され、電極の表面積が縮小する可能性が高い。一方、本実施形態では、バルク状の電極44に孔46を形成しているため、体内に長期埋植され、電極44から電気刺激パルス信号が出力され続け、電極44の一部が電気化学反応等により溶解したとしても、電極44の表面積はほとんど変化しない。
また、患者が知覚する視覚の解像度(分解能)が向上されることが好ましい。従って、一つの電極により電気刺激される細胞、組織の範囲を小さくしつつ、電極を高密度に配置する必要がある。このため、電極の直径をできるだけ小さくしつつ、電極の表面積を大きくする必要がある。これを受けて、電極44の外径を小さくすると共に、組織に負担を掛け難い範囲で高さを高くし、さらに、孔46を多数形成する。これにより、外径が小さく、表面積が大きい電極44が作製できる。これにより、一つの電極44が刺激する範囲を小さくできると共に、基板43上に配置される電極44の密度を向上でき、患者が知覚する視覚の解像度を向上できる。
図4は、刺激部40を眼内に埋植した状態を示す概略図である。対向電極34は図示するように眼内中央の前眼部寄りの位置に置かれる。これによって、網膜E1は電極44と対向電極34(対向電極)との間に位置することとなる。電極44からの電気刺激パルス信号電流が効率的に網膜を貫通することとなる。
一方、受信手段31は、体外装置10に設けられた送信手段14からの信号(電気刺激パルス用データ及び電力)を受信可能な生体内の所定位置に設置される。例えば、図1に示すように、患者の側頭部の皮膚の下に受信部30(図では受信手段31のみ示している)を埋め込むとともに、皮膚を介して受信部30と対向する位置に送信手段14を設置しておく。受信部30には、送信手段14と同様に磁石が取り付けられているため、埋植された受信部30上に送信手段14を位置させることにより、磁力によって送信手段14と受信部30とが引き合い、送信手段14が側頭部に保持されることとなる。
なお、ワイヤ50を束ねたケーブル51は、側頭部に埋め込まれた受信部30から側頭部に沿って皮膚下を患者眼に向かって延び、患者の上まぶたの内側を通して眼窩に入れられる。眼窩に入れられたケーブル51は、図4に示すように強膜E3の外側を通り、基板43に設置された刺激制御部42に接続される。
なお、本実施形態では、体内装置20(刺激部40)の設置位置を強膜E3側に位置させて、強膜E3側(脈絡膜側)から網膜E1を構成する細胞を電気刺激する構成としたが、これに限るものではない。電極を配置する基板がフレキシブルであることが好ましい部位で患者眼の網膜を構成する細胞を好適に刺激することが可能な位置に電極を設置することができればよい。例えば、層間に電極及び基板を設置すればよい。体内装置を患者眼の眼内(網膜上や網膜下)に置き、電極が形成されている基板先端部分を網膜下(網膜と脈絡膜との間)や網膜上に設置させるような構成とすることもできる。
以上のような構成を備える視覚再生補助装置において、その動作を図5に示す制御系のブロック図を基に説明する。図1に示す撮影装置12により撮影された被写体の撮影データ(画像データ)は、データ変調手段13aに送られる。データ変調手段13aは、撮影した被写体を患者が認識するために必要となる所定のデータパラメータ(電気刺激パルス用データ)に変換し、さらに電磁波として伝送するのに適した変調信号を生成し、送信手段14より電磁波として体内装置20側に送信する。
また同時に、データ変調手段13aは、バッテリ13bから供給されている電力を前述した変調信号(電気刺激パルス用データ)の帯域と異なる帯域の電磁波として前記変調信号と合わせて体内装置20側に送信する。
体内装置20側では、体外装置10より送られてくる変調信号と電力とを受信手段31にて受け取り、制御部32に送る。制御部32では受けとった信号から、変調信号が使用する帯域の信号を抽出するとともに、この変調信号に基づいて電気刺激パルス用パラメータ信号と制御信号とを形成し、電極指定信号である制御信号を刺激制御部42に送信する。
刺激制御部42は、受け取った信号に基づき電力及び制御信号を抽出する。刺激制御部42は、制御信号に基づき制御部32から供給される電気刺激パルス信号を各電極44に分配し、出力させる。各電極44から出力される電気刺激パルス信号によって網膜E1を構成する細胞が電気刺激され、患者は視覚(擬似光覚)を得る。なお、制御部32は、受信手段31により体内装置20を駆動させるための電力を得る。
なお、以上説明した本実施形態では、患者眼の強膜E3に基板43を設置し、強膜E3を介して網膜E1を電気刺激する構成としたが、これに限るものではない。患者の視覚を形成する視覚神経系を構成する細胞又は組織を電気的に刺激する構成であればよい。例えば、電気刺激パルス信号を出力する電極を有する刺激部を眼内の視神経乳頭部や眼外の視神経部分に配置し、刺激部への電力供給や指令信号を送る送信部を患者の皮下等の離れた場所に配置して、視神経を電気刺激する構成としてもよい。また、電極を有する刺激部を視交叉や外側膝状体、大脳皮質等の視覚神経系の高次視覚処理を行う組織に配置し、それぞれの組織を構成する細胞を刺激する構成としてもよい。例えば、大脳皮質の後頭葉であれば、錐体細胞等を刺激する又は視覚野V1、V2等を刺激する等である。また、以上説明した本実施形態では、撮像装置からの画像データをデータ変調手段にて所定の信号に変換し、送信手段にて信号を体内へと送る体外装置と、体外装置からの信号を受信手段にて受け、その信号に基づいて各電極から電気刺激パルス信号を出力する体内装置と、で構成される体外撮像型の視覚再生捕縄装置を例に挙げたがこれに限るものではない。眼内に撮像装置やデータ変調手段等を埋植する体内撮像型の視覚再生補助装置であってもよい。
次に、本発明の変容例を説明ずる。図6は、本発明の変容例を説明する図である。図6(a)は、変容例の電極64の模式的断面図であり、図6(b)は、変容例の電極74の模式的断面図である。図において、前述と同じ符号が同じ部材とし、説明を略す。
図6(a)に示される電極64は、図3の電極44の側面に、生体適合性を有すると共に絶縁性を有する素材、例えば、パリレン、ポリイミド、ポリプロピレン等で形成されたコーティング49にて被覆されたものである。コーティング49は、基板43に電極を配置した後に、モールド形成法等により作製される。なお、コーティング49は、基板43と一体的に形成されてもよい。
このように、電極64の側面が絶縁されることにより、電極64から電気刺激パルス信号が出力される際、電極64の先端からのみ電荷が放出される。これにより、電極64の先端に当接する(又は近接する)細胞、組織に効率的に電荷が到り、細胞、組織が好適に電気刺激される。また、言い換えると、電極64の側面からは電荷が放出されないため、隣接する別の電極64の当接する細胞等に電荷が到りにくい。このため、電極64が網膜上や網膜下等、網膜を構成する細胞の近くに電極64が設置される場合に、好適に細胞等が電気刺激できる。また、電極64の刺激範囲と隣接する他の電極64の刺激範囲が重なりにくいため、電極64の配置を高密度化でき、患者が知覚する視覚の解像度を高めることができる。
図6(b)は、電極の側面の一部を円環状(ドーナツ状)に複数取り除くことにより、表面積を拡大させた電極74を示した図である。電極74において、円環状の取り除かれた凹部をスリット76と呼ぶ。スリット76の外周と内周の縁は、前述と同様にその角が落とされている。スリット76の厚み(電極の高さ方向の幅)は、体液等が内包できる程度とされる。前述と同様に、スリット76の厚みはできるだけ薄くすると共に、配置数を増やすことにより、電極74の表面積が拡大されていく。なお、スリット76は、カッター等により電極から削られて成形される。以上のようにして、電極に凹部(ここでは、スリット)を設けて電極の表面積を拡大することができる。
なお、以上説明した実施形態では、電極に設ける凹部は、孔、スリットとしたが、これに限るものではない。電荷集中の起きにくい形状を有する凹部であれば、どのような形状で、電極に形成されてもよい。例えば、多角柱(好ましくは、5角形以上)、楕円状の円柱、半球等であってもよい。
視覚再生補助装置1の外観を示した概略図である。 視覚再生補助装置1の体内装置20を示した概略図である。 電極44の概略構成図である。 体内装置を体内に設置した状態を示した図である。 視覚再生補助装置1の制御系を示したブロック図である。 電極44の変容例を説明する図である。
符号の説明
1 視覚再生補助装置
10 体外装置
20 体内装置
30 受信部
31 受信手段
32 制御部
34 対向電極
40 刺激部
41 ワイヤ
42 刺激制御部
43 基板
44 電極
46 孔
46a 開口
50 ワイヤ
51 ケーブル

Claims (3)

  1. 所定の基板上に形成され患者の視覚を形成する視覚神経系を構成する細胞又は組織を電気刺激するための複数の電極と、該電極に接続され電気刺激パルス信号を前記電極から出力させる制御手段と、を備える視覚再生補助装置において、
    前記電極は所望する表面積を確保するために電極の表面に凹部を設けたことを特徴とする視覚再生補助装置。
  2. 請求項1の視覚再生補助装置において、前記凹部は前記電極の先端から底に向って略垂直方向に形成される少なくとも一つの孔部であることを特徴とする視覚再生補助装置。
  3. 請求項2の視覚再生補助装置において、
    前記孔部は、前記電極の先端に形成された開口から前記基板に向かって円柱状に座繰られた孔部であり、
    前記孔部の内径は前記電極の外径の2分の1未満に形成されると共に、前記孔部は前記電極に複数設けられることを特徴とする視覚再生補助装置。
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