JP5219424B2 - センサ付車輪用軸受 - Google Patents
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Description
例えば、車輪用軸受に対してある方向の荷重が大きくなる場合、固定輪フランジ面とナックル面の間は、最初は荷重よりも静止摩擦力の方が大きいため滑らないが、ある大きさを超えると静止摩擦力に打ち勝って滑るようになる。その状態で荷重を小さくしていくと、やはり最初は静止摩擦力により滑らないが、ある大きさになると滑るようになる。その結果、この変形が生じる部分で荷重を推定しようとすると、出力信号に図9のようなヒステリシスが生じる。
また、特許文献2に開示の技術においても、L字型部材からなる歪み拡大機構のフランジ面に固定されている部位が、フランジ面とナックル面の滑りの影響を受けるため、上記と同様の問題が生じる。
また、車輪用軸受に作用する上下方向の荷重Fz を検出する場合、荷重Fz に対する固定輪変形量が小さいため歪み量も小さく、上記した技術では検出感度が低く、荷重Fz を精度良く検出できない。
車輪のタイヤと路面間に荷重が作用すると、車輪用軸受の固定側部材(例えば外方部材)にも荷重が印加されて変形が生じる。センサユニットを例えば外方部材フランジに固定して、フランジの変形から荷重を推定しようとすると、出力信号にヒステリシスが生じる。特に、センサユニットの歪み発生部材により固定側部材の歪みを拡大して検出しようとした場合、出力信号にヒステリスの影響が大きく生じる。しかし、この発明は、外方部材の外周の一部に厚肉部を設けており、この厚肉部は剛性が高くなり、変形量が小さくて、ヒステリシスの影響の小さい箇所となる。この厚肉部の形成により、車体取付用のフランジとは別の箇所に、変形量が小さく、ヒステリシスの影響の小さい箇所を設けることができる。そこで、センサユニットを外方部材の外径面に固定する場合に、その歪み発生部材の接触固定部の1つを、例えば前記厚肉部の近傍に固定し、他の接触固定部を例えば外方部材における転走面の周辺部のような比較的に変形量の大きい部位に固定する。これにより、外方部材の外径面の歪みが歪み発生部材に拡大して伝達されて、この拡大された歪みがセンサで検出される。そのため、車輪のタイヤと路面間の作用力を感度良く検出することができ、またセンサの出力信号に生じるヒステリシスが小さくなる。その結果、ヒステリシスの影響を受けることなく車輪にかかる荷重を精度良く検出できる。
固定側部材と別体のリング状部材を用いて厚肉部とする場合、固定側部材に凸部がないことから、固定側部材の鍛造成形が容易となる。
上下方向の荷重Fz や前後方向の荷重Fy が印加された場合でも、外方部材の外径面における上面部は常に転動体の荷重が印加される位置であるため、どのような場合でも荷重を精度良く検出することができる。
センサユニットは、微小な歪みでも拡大して検出するものであるため、固定側部材の変形量が小さい上下方向の荷重Fz でも感度良く検出することができる。
この発明の第2のセンサ付車輪用軸受は、複列の転走面が内周に形成された外方部材と、上記転走面と対向する転走面を外周に形成した内方部材と、両部材の対向する転走面間に介在した複列の転動体とを備え、車体に対して車輪を回転自在に支持する車輪用軸受において、上記外方部材および内方部材のうちの固定側部材の一部に、部分的に厚肉となった部分である厚肉部を設け、2つ以上の接触固定部を有する歪み発生部材およびこの歪み発生部材に取付けられてこの歪み発生部材の歪みを検出するセンサを有するセンサユニットを、上記固定側部材の外径面に前記接触固定部で固定し、前記センサユニットの前記2つ以上の接触固定部は前記固定側部材の軸方向に並べて配置し、前記センサユニットの上記2つ以上の接触固定部は、前記固定側部材の外径面における互いに円周方向に同位相の位置としたため、ヒステリシスの影響を受けることなく車輪にかかる荷重を精度良く検出することができる。また、センサユニットの接触固定部を固定側部材の外径面に対して円周方向に同位相として固定するため、歪み発生部材に歪みが集中し易くなり、それだけ検出感度が向上する。
内方部材2は回転側部材となるものであって、車輪取付用のハブフランジ9aを有するハブ輪9と、このハブ輪9の軸部9bのインボード側端の外周に嵌合した内輪10とでなる。これらハブ輪9および内輪10に、前記各列の転走面4が形成されている。ハブ輪9のインボード側端の外周には段差を持って小径となる内輪嵌合面12が設けられ、この内輪嵌合面12に内輪10が嵌合している。ハブ輪9の中心には貫通孔11が設けられている。ハブフランジ9aには、周方向複数箇所にハブボルト(図示せず)の圧入孔15が設けられている。ハブ輪9のハブフランジ9aの根元部付近には、車輪および制動部品(図示せず)を案内する円筒状のパイロット部13がアウトボード側に突出している。
また、歪み発生部材20の中央部には内面側に開口する1つの切欠き部20bが形成されている。センサ21は、歪み発生部材20における各方向の荷重に対して歪みが大きくなる箇所に貼り付けられる。ここでは、その箇所として、前記切欠き部20bの周辺、具体的には歪み発生部材20の外面側で切欠き部20bの背面側となる位置が選ばれており、センサ21は切欠き部20b周辺の歪みを検出する。
ここでは、外方部材1の外周の一部に、全周にわたって厚肉部1bが設けられているので、この部分の剛性が高くなり、変形量が小さくヒステリシスの影響の小さい部分となる。一方、外方部材1における転走面3の周辺部は、タイヤ作用力が転動体5を介して伝達される部位であるため、比較的に変形量の大きい部位となる。
また、センサユニット19における歪み発生部材20の1つの接触固定部20aが、外方部材1の外径面における前記厚肉部1bの近傍に、他の1つの接触固定部20aが、外方部材1の外径面におけるアウトボード側列の転走面3の位置する軸方向箇所にそれぞれ固定されているので、外方部材1の外径面の歪みが歪み発生部材20に拡大して伝達され、その拡大された歪みがセンサ21で検出される。このセンサ21の出力信号から、車輪のタイヤと路面間の作用力を推定手段24で推定するようにしているので、静止時や低速時を問わず車輪のタイヤと路面間の作用力を感度良く検出することができる。上記したように、センサユニット19を、ヒステリシスの主な原因となる外方部材フランジ1aの突片1aaに固定していないので、センサ21の出力信号に生じるヒステリシスが小さくなり、荷重を正確に推定することができる。
このセンサ付車輪用軸受から得られた検出荷重を自動車の車両制御に使用することにより、自動車の安定走行に寄与できる。また、このセンサ付車輪用軸受を用いると、車両にコンパクトに荷重センサを設置でき、量産性に優れたものとでき、コスト低減を図ることができる。
・ センサユニット19の設置個数や、センサ21,切欠き部20bの数。
・ 厚肉部1bの設置個数、形成方法(鍛造時に形成するのではなく、切削で形成しても構わない)。
・ センサユニット19の形状、固定方法(接着、溶接など)。
また、センサユニット19に代えて、変位センサや超音波センサを用いて、ある場所とその他の場所の相対変位を測定することで、変形量を検出するようにしても良い。例えば、厚肉部1bに変位センサを設けて、転動体5の周辺部の外方部材1の外径面の変位量を測定する。この場合、出力信号のヒステリシスが減少するという点では、センサユニット19を用いたこの実施形態の場合と同等の効果が得られる。
1a…車体取付用フランジ
1aa…突片
1b…厚肉部
2…内方部材
3,4…転走面
19,19A…センサユニット
20…歪み発生部材
20a…接触固定部
20b…切欠き部
21…センサ
25…リング状部材
Claims (11)
- 複列の転走面が内周に形成された外方部材と、上記転走面と対向する転走面を外周に形成した内方部材と、両部材の対向する転走面間に介在した複列の転動体とを備え、車体に対して車輪を回転自在に支持する車輪用軸受において、
上記外方部材および内方部材のうちの固定側部材の一部に、部分的に厚肉となった部分である厚肉部を設け、2つ以上の接触固定部を有する歪み発生部材およびこの歪み発生部材に取付けられてこの歪み発生部材の歪みを検出するセンサを有するセンサユニットを、上記固定側部材の外径面に前記接触固定部で固定し、前記センサユニットの前記2つ以上の接触固定部は前記固定側部材の軸方向に並べて配置し、前記センサユニットの1つの接触固定部を前記厚肉部に固定したことを特徴とするセンサ付車輪用軸受。 - 複列の転走面が内周に形成された外方部材と、上記転走面と対向する転走面を外周に形成した内方部材と、両部材の対向する転走面間に介在した複列の転動体とを備え、車体に対して車輪を回転自在に支持する車輪用軸受において、
上記外方部材および内方部材のうちの固定側部材の一部に、部分的に厚肉となった部分である厚肉部を設け、2つ以上の接触固定部を有する歪み発生部材およびこの歪み発生部材に取付けられてこの歪み発生部材の歪みを検出するセンサを有するセンサユニットを、上記固定側部材の外径面に前記接触固定部で固定し、前記センサユニットの前記2つ以上の接触固定部は前記固定側部材の軸方向に並べて配置し、前記センサユニットの上記2つ以上の接触固定部は、前記固定側部材の外径面における互いに円周方向に同位相の位置としたことを特徴とするセンサ付車輪用軸受。 - 請求項2において、前記固定側部材の外周に、ナックルに取付ける車体取付用のフランジを有し、このフランジの円周方向複数箇所にボルト孔が設けられ、前記フランジは各ボルト孔が設けられた円周方向部分が他の部分よりも外径側へ突出した突片とされ、前記センサユニットは、前記固定側部材の前記突片の間の中央部に配置したことを特徴とするセンサ付車輪用軸受。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記固定側部材は前記外方部材であるセンサ付車輪用軸受。
- 請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、前記厚肉部は、固定側部材のアウトボード側端の外周に設けたことを特徴とするセンサ付車輪用軸受。
- 請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、前記厚肉部は、固定側部材に対してこの固定側部材とは別部材として設けられて前記固定側部材に固定されたリング状部材であることを特徴とするセンサ付車輪用軸受。
- 請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、前記接触固定部のうちの少なくとも1つは、前記転走面の位置する軸方向箇所に配置したことを特徴とするセンサ付車輪用軸受。
- 請求項1ないし請求項7のいずれか1項において、前記センサユニットの前記歪み発生部材は切欠き部を有し、前記切欠き部の周辺に前記センサを設けたことを特徴とするセンサ付車輪用軸受。
- 請求項1ないし請求項8のいずれか1項において、前記センサユニットの前記2つ以上の接触固定部は、前記固定側部材の外径面における互いに円周方向に同位相の位置としたことを特徴とするセンサ付車輪用軸受。
- 請求項1ないし請求項9のいずれか1項において、前記センサユニットの1つは、タイヤ接地面に対して外方部材の外径面の上面部に設けたことを特徴とするセンサ付車輪用軸受。
- 請求項1ないし請求項10のいずれか1項において、前記センサユニットは、車輪用軸受に作用する上下方向の荷重を検出するものであることを特徴とするセンサ付車輪用軸受。
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