JP5219175B1 - 荷物運搬用台車の中の荷物を取り出すための装置 - Google Patents

Abstract

【課題】荷物に与える衝撃がほとんどなく、荷物の変形や破損が生じずに、荷物運搬用台車の中の荷物を完全にかつ容易に取り出すことができる方法を提供する。
【解決手段】床パネル、開放可能な前面パネル、後面パネル、及び二つの側面パネルを含む荷物運搬用台車の中の荷物を取り出すための方法であって、荷物運搬用台車の前面パネルを開放し、その開放面と、起立させたコンベヤ装置の搬送面とを接近させ、開放面と搬送面の相対的な位置関係を固定した状態でコンベヤ装置の搬送面がコンベヤ装置の上部で水平になるように荷物運搬用台車とコンベヤ装置を一緒に傾倒させて、コンベヤ装置の搬送面に荷物運搬用台車中の荷物を載せるようにし、その後、コンベヤ装置の搬送面を駆動させて荷物を取り出すことを特徴とする。
【選択図】図８

Description

本発明は、前面、後面、及び側面のパネルを持つ荷物運搬用台車の中の荷物を自動的に取り出すための方法及び装置であって、特に荷物の取り出し時に荷物に強い衝撃や破損を与えず、しかも多くの荷物が入れられた台車であっても荷物を残さないで完全にかつ容易に取り出すことができる方法及び装置に関する。

従来の荷物運搬用台車は、図１に示すような形態で、前面、後面、側面のパネルを持っており、その中に多数の荷物が高さ方向に積み重ねられていることが一般的である。この荷物運搬用台車の中の荷物を人の手作業により取り出すことは極めて煩雑であり、従って、従来から図２に示すような荷物運搬用台車の中の荷物を取り出すための装置が使用されている。

図２の装置では、荷物を入れた荷物運搬用台車を図の右側の台車受け入れ台上に運んで載せた後、そこで台車を台車受け入れ台にロックしてから、台車受け入れ台に連結されたシリンダーを駆動させることにより、図２に示すように荷物運搬用台車を回転させている。そして、反転した台車から荷物を図の左側のコンベヤ装置の上に落下させて荷物を取り出した後、コンベヤ装置の駆動により荷物を図の左方向に搬送する。

上記のような従来の装置は、人の手作業に頼らずに荷物運搬用台車から荷物を取り出すことができる点で優れるが、台車を反転させる際に荷物が台車の底からコンベヤ装置の搬送面の方に落下するため、落下する荷物への衝撃や落下する荷物が他の荷物に与える衝撃が大きく、荷物の変形や破損が生じやすい問題があった。また、この装置では、荷物の落下は荷物の自重によるものであり、軽い荷物や多数の大きさの異なる荷物が台車の中にある場合は、これらの荷物が滑り落ちることができず、台車の中に荷物が残ってしまう問題があった。

本発明は、上記の従来技術の問題を解消するためになされたものであり、その目的は、荷物に与える衝撃がほとんどなく、荷物の変形や破損が生じずに、荷物運搬用台車の中の荷物を完全にかつ容易に取り出すことができる方法及び装置を提供することにある。

本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、荷物運搬用台車の前面パネルを開放し、その開放面と、起立させたコンベヤ装置の搬送面とを接近させて両者の相対的な位置関係を固定し、荷物とコンベヤ装置の搬送面を予め近い距離に保ちながら荷物運搬用台車とコンベヤ装置を一緒に傾倒させて、コンベヤ装置の搬送面に荷物運搬用台車中の荷物を載せるようにすることによって、荷物に与える衝撃をほとんど生じさせずに荷物運搬用台車の中の荷物を完全にかつ容易に取り出すことができることを見い出し、本発明の完成に至った。

即ち、本発明は、以下の（１）〜（８）の構成を有するものである。
（１）床パネル、開放可能な前面パネル、後面パネル、及び二つの側面パネルを含む荷物運搬用台車の中の荷物を取り出すための方法であって、荷物運搬用台車の前面パネルを開放し、その開放面と、起立させたコンベヤ装置の搬送面とを接近させ、開放面と搬送面の相対的な位置関係を固定した状態でコンベヤ装置の搬送面がコンベヤ装置の上部で水平になるように荷物運搬用台車とコンベヤ装置を一緒に傾倒させて、コンベヤ装置の搬送面に荷物運搬用台車中の荷物を載せるようにし、その後、コンベヤ装置の搬送面を駆動させて荷物を取り出すことを特徴とする方法。
（２）荷物を取り出すときに荷物運搬用台車の開放面がコンベヤ装置の搬送面から離れるように荷物運搬用台車のみを傾けるかまたは完全に起立させることを特徴とする（１）に記載の方法。
（３）荷物の取り出し後に荷物運搬用台車を完全に起立させた状態にしてから、荷物運搬用台車を取りはずすことを特徴とする（１）または（２）に記載の方法。
（４）荷物運搬用台車を完全に起立させ、コンベヤ装置を起立させた状態にしてから、荷物運搬用台車を取りはずすことを特徴とする（３）に記載の方法。
（５）荷物運搬用台車を台車受け入れ台に載せた後に荷物運搬用台車を台車受け入れ台に固定することを特徴とする（１）〜（４）のいずれかに記載の方法。
（６）荷物運搬用台車の傾倒及び起立は、荷物運搬用台車を台車受け入れ台に載せた状態で、台車受け入れ台に連結された台車用シリンダーを駆動することによって行なわれることを特徴とする（５）に記載の方法。
（７）コンベヤ装置の起立及び傾倒は、コンベヤ装置に連結されたコンベヤ装置用シリンダーを駆動することによって行なわれることを特徴とする（１）〜（６）のいずれかに記載の方法。
（８）床パネル、開放可能な前面パネル、後面パネル、及び二つの側面パネルを含む荷物運搬用台車の中の荷物を取り出すための装置であって、荷物運搬用台車を載せて受け入れるための台車受け入れ台と、荷物を搬送する搬送面を持つコンベヤ装置と、荷物運搬用台車の前面パネル開放時の開放面とコンベヤ装置の搬送面の位置関係を固定するロック機構と、台車受け入れ台と連結され、荷物運搬用台車を台車受け入れ台に載せた状態で荷物運搬用台車の傾倒及び起立を行なうことができる台車用シリンダーと、コンベヤ装置に連結され、コンベヤ装置の傾倒及び起立を行なうことができるコンベヤ装置用シリンダーとを含み、荷物運搬用台車を台車受け入れ台に載せて荷物運搬用台車を台車受け入れ台にロック機構で固定した後、荷物運搬用台車の開放面とコンベヤ装置の搬送面の相対的な位置関係を固定した状態で台車用シリンダーとコンベヤ装置用シリンダーを駆動させて荷物運搬用台車とコンベヤ装置を一緒に傾倒させ、そしてコンベヤ装置の搬送面がコンベヤ装置の上部で水平になるようにしてコンベヤ装置の搬送面に荷物運搬用台車中の荷物を載せた状態にし、その後、コンベヤ装置の搬送面を駆動させて荷物を取り出すことができることを特徴とする装置。

本発明の方法及び装置は、荷物運搬用台車の前面の開放面とコンベヤ装置の搬送面とを接近させ、開放面と搬送面の相対的な位置関係を固定した状態で台車とコンベヤ装置を一緒に傾倒させて、コンベヤ装置の搬送面に台車中の荷物を載せるようにしているので、荷物をコンベヤ装置の搬送面に載せるまでのコンベヤ装置の搬送面に対する荷物の移動距離が極めて少なく、従って荷物に与える衝撃がほとんどなく、荷物の変形や破損が生じることがない。また、本発明の方法及び装置は、台車の前面を開放して台車中の荷物をコンベヤ装置の搬送面に載せるようにしているので、軽い荷物や多数の大きさの異なる荷物が台車の中に存在していても完全にかつ容易に取り出すことができる。特に、本発明の方法では、荷物をコンベヤ装置の搬送面に載せた後、台車のみを搬送面から離れるように傾けるかまたは完全に起立させているので、荷物の取り出し及び搬送が極めて容易である。

図１は、従来の荷物運搬用台車の一例の概略図を示す。

図２は、従来の荷物運搬用台車の中から荷物を取り出すための装置の一例の概略図を示す。

図３は、本発明の方法及び装置で使用する荷物運搬用台車の一例の概略図を示し、（ａ）は側面パネル側、（ｂ）は前面パネル側からの外観を示す。

図４は、本発明の荷物運搬用台車の中から荷物を取り出すための装置の一例の概略図を示す。

図５は、本発明の装置のロック機構の説明図であり、Ａ，Ｂはロック機構を示す。

図６は、本発明の装置のシリンダーの配置とその動きの理解のために荷物運搬用台車と本発明の装置の上面図（ａ）と側面図（ｂ）を概略的に示す。

図７は、本発明の方法の工程を説明するための荷物運搬用台車と本発明の装置の側面図を概略的に示す。

図８は、本発明の方法の工程を説明するための荷物運搬用台車と本発明の装置の側面図を概略的に示す。

図９は、本発明の方法の工程を説明するための荷物運搬用台車と本発明の装置の側面図を概略的に示す。

図１０は、本発明の方法の工程を説明するための荷物運搬用台車と本発明の装置の側面図を概略的に示す。

図１１は、本発明の方法の工程を説明するための荷物運搬用台車と本発明の装置の側面図を概略的に示す。

図１２は、本発明の方法の工程を説明するための荷物運搬用台車と本発明の装置の側面図を概略的に示す。

本発明の荷物運搬用台車の中の荷物を取り出すための方法及び装置について添付図面を参照しながら以下説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。

本発明の方法及び装置に使用する荷物運搬用台車は、図３（ａ）、（ｂ）に示すように、車輪付の床パネル１と、その周囲を直立して包囲する前面パネル２、後面パネル３、及び二つの対向する側面パネル４とからなる直方体形状のものであり、台車の床パネル１上に荷物を順に高く積み重ね、人間の手で押して移動させることができるものである。荷物運搬用台車は、カゴ車またはカゴ台車と称されるものであり、製品によってロールボックス、イージーコンテナー、またはパイプカーゴとも称される。本発明で使用する荷物運搬用台車は、少なくとも前面パネル２が全面的に開放し、前面、後面、側面の幅が６０ｃｍ〜２ｍ、高さが１〜３ｍの大きさを有するタイプのものが好ましく、例えば特開２００２−１９６１４号に記載の運搬用台車が好適に使用できる。

次に、上述の荷物運搬用台車の中の荷物を取り出すための本発明の装置を図４に基づいて説明する。図中、５は、荷物運搬用台車を上に載せて受け入れ、台車を支持するための台車受け入れ台であり、６は、荷物を搬送する搬送面７を持つコンベヤ装置であり、図４では起立させた状態で示されている。８は、荷物運搬用台車の前面の開放面を起立させたコンベヤ装置６に向けて台車受け入れ台５に載せたときに台車を台車受け入れ台５に固定するロック機構であり、図５のＡ，Ｂで示すように、台車の側面パネルの後側中央付近Ａ及び後側底部Ｂ付近を両側面で押さえ付けてまたは引っ掛けて台車を固定している。

９は、荷物運搬用台車を台車受け入れ台５に載せた状態で、特にロック機構８で台車を台車受け入れ台５に固定した状態で荷物運搬用台車の傾倒及び起立を行うことができる台車用シリンダーであり、台車用シリンダー９は、その伸縮の動きを台車受け入れ台５に伝達できるように台車受け入れ台５に直接的又は間接的に連結されている。１０は、コンベヤ装置６の傾倒及び起立を行うことができるコンベヤ装置用シリンダーであり、コンベヤ装置用シリンダー１０は、その伸縮の動きをコンベヤ装置６に伝達できるようにコンベヤ装置６に直接的又は間接的に連結されている。１１は、コンベヤ装置６及び台車受け入れ台５の傾倒及び起立時の回転支軸である。１２は開閉式の安全柵であり、台車の受け入れ時及び取り出し時に開放し、装置稼働時に人間が入れないように閉鎖することができる。

台車用シリンダー９及びコンベヤ装置用シリンダー１０は一緒に連動して駆動したり、別々に独立して駆動させることができ、台車用シリンダー９はコンベヤ装置６に、コンベヤ装置用シリンダー１０は床又は床上の安定物に支持させることができる。特に荷物運搬用台車とコンベヤ装置６を一緒に傾倒させる場合は両シリンダーを一緒に駆動し、台車、コンベヤ装置を別々に起立及び傾倒させる場合は両シリンダーを別々に駆動することが好ましい。台車用シリンダー９による台車受け入れ台５の可動角度は回転支軸１１を中心として少なくとも９０度であり、具体的には図４の平坦な状態から図９の起立した状態への変換が可能な範囲である。また、コンベヤ装置用シリンダー１０によるコンベヤ装置６の可動角度もまた、回転支軸１１を中心として少なくとも９０度であり、図４の起立した状態から図９の平坦な状態への変換が可能な範囲である。これらにより、台車受け入れ台５に載せられた台車及びコンベヤ装置６が起立した状態から９０°傾倒した状態への変換を達成することができる。本発明の装置のシリンダーの配置とその動きの理解のために荷物運搬用台車と本発明の装置の上面図（ａ）と側面図（ｂ）を図６に示す。

次に、荷物運搬用台車の中の荷物を取り出すための本発明の方法について上述の装置を使用して図４〜１２に基づいて順に説明する。
（ｉ）まず荷物を床パネル１上に積載した荷物運搬用台車の前面パネル２を開放する。
（ｉｉ）図４の装置の安全柵１２を開放し、起立したコンベヤ装置６の搬送面７に荷物運搬用台車の前面の開放面を向けて前進させ、台車を台車受け入れ台５に載せる。台車を台車受け入れ台５に載せると、台車の前面の開放面と、起立させたコンベヤ装置６の搬送面７とが極めて近くに接近するような状態になっている。

（ｉｉｉ）荷物運搬用台車を台車受け入れ台５に載せた後、台車を台車受け入れ台５にロック機構で固定する。ロック機構は従来公知のものから適宜選択して採用することができ、例えば図５のように台車の両側面のそれぞれ２箇所で押し付けて台車を固定することができる。台車の台車受け入れ台５への固定により、台車の前面の開放面と、起立させたコンベヤ装置６の搬送面７とが接近している相対的な位置関係が固定される。この状態の台車と本発明の装置の概略図を図７に示す。

（ｉｖ）次に、上述の荷物運搬用台車の開放面とコンベヤ装置６の搬送面７の相対的な位置関係を固定した状態で台車用シリンダー９とコンベヤ装置用シリンダー１０を同時に駆動させて、図８に示すように台車とコンベヤ装置６を一緒に傾倒させる。この台車の傾倒により、台車中の荷物がコンベヤ装置６の搬送面７の方に徐々に近づく。両者を完全に傾倒させると、台車とコンベヤ装置６は図９に示す状態となり、コンベヤ装置６の搬送面７がコンベヤ装置６の上部で水平になり、この搬送面７の上に台車中の荷物が完全に載るようになる。

（ｖ）次に、荷物運搬用台車の前面の開放面がコンベヤ装置６の搬送面７から離れるように台車用シリンダー９のみを駆動して台車受け入れ台５を動かし、図１０に示すように台車を傾けるか、または台車を完全に起立させる。これにより、仮に台車中で荷物が台車の側面パネルなどに引っ掛かっている事態が生じても荷物をコンベヤ装置６の搬送面７に完全に振り落とすことができる。

（ｖｉ）コンベヤ装置６の搬送面７に台車中の荷物が完全に載ると、コンベヤ装置６を駆動させて図１１のように矢印方向に搬送面を動かし、荷物を除去する。そして、図１２に示すように、荷物がなくなった荷物運搬用台車を完全に起立させた後、台車を本発明の装置から取りはずす。さらに、台車を取りはずした後にコンベヤ装置用シリンダー１０を駆動させてコンベヤ装置６を起立させ、次の台車の受け入れのために図４に示す状態で待機する。あるいは、荷物運搬用台車を完全に起立させ、さらにコンベヤ装置６を起立させた状態にしてから、荷物運搬用台車を取りはずすこともできる。

本発明の方法及び装置の一例を図面に基づいて上で説明したが、台車の前面の開放面と起立したコンベヤ装置の搬送面とを接近させ、この接近した両者の相対的な位置関係を固定した状態で台車とコンベヤ装置を一緒に傾倒させる構成をとることにより、台車中の荷物のコンベヤ装置の搬送面への移動距離が極めて少ない状態で、即ち荷物に与える衝撃がほとんどない状態で台車中の荷物を容易に取り出せる効果を奏する限り、本発明の方法及び装置の一部の構成要素の従来技術による置換、追加、及び／又は削除は本発明の技術的範囲の範ちゅうに属する。例えば、本発明の方法で説明したロック機構は、台車をコンベヤ装置に直接固定するようにしてもよいし、台車用シリンダー装置やコンベヤ装置用シリンダー装置は同様の機能を有する駆動装置に変更してもよい。

本発明の装置及び方法は、台車の中の荷物の取り出し時に荷物に対して衝撃をほとんど与えずに完全にかつ容易に荷物を取り出すことができるので、荷物の配送、仕分けを行なう業界では極めて有用である。

１ 床パネル
２ 前面パネル
３ 後面パネル
４ 側面パネル
５ 台車受け入れ台
６ コンベヤ装置
７ 搬送面
８ ロック機構
９ 台車用シリンダー
１０ コンベヤ装置用シリンダー
１１ 回転支軸
１２ 安全柵

Claims (1)

1. 床パネル、開放可能な前面パネル、後面パネル、及び二つの側面パネルを含む荷物運搬用台車の中の荷物を取り出すための装置であって、荷物運搬用台車を載せて受け入れるための台車受け入れ台と、荷物を搬送する搬送面を持つコンベヤ装置と、荷物運搬用台車の前面パネル開放時の開放面とコンベヤ装置の搬送面の位置関係を固定するロック機構と、台車受け入れ台と連結され、荷物運搬用台車を台車受け入れ台に載せた状態で荷物運搬用台車の傾倒及び起立を行なうことができる台車用シリンダーと、コンベヤ装置に連結され、コンベヤ装置の傾倒及び起立を行なうことができるコンベヤ装置用シリンダーとを含み、荷物運搬用台車を台車受け入れ台に載せて荷物運搬用台車を台車受け入れ台にロック機構で固定した後、荷物運搬用台車の開放面とコンベヤ装置の搬送面の相対的な位置関係を固定した状態で台車用シリンダーとコンベヤ装置用シリンダーを駆動させて荷物運搬用台車とコンベヤ装置を一緒に傾倒させ、そしてコンベヤ装置の搬送面がコンベヤ装置の上部で水平になるようにしてコンベヤ装置の搬送面に荷物運搬用台車中の荷物を載せた状態にし、その後、コンベヤ装置の搬送面を駆動させて荷物を取り出すことができることを特徴とする装置。