JP5217356B2 - 半導体装置の製造方法 - Google Patents

半導体装置の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5217356B2
JP5217356B2 JP2007272809A JP2007272809A JP5217356B2 JP 5217356 B2 JP5217356 B2 JP 5217356B2 JP 2007272809 A JP2007272809 A JP 2007272809A JP 2007272809 A JP2007272809 A JP 2007272809A JP 5217356 B2 JP5217356 B2 JP 5217356B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
alo
ferroelectric
temperature
pzt
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2007272809A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2009105084A (ja
Inventor
克好 松浦
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujitsu Semiconductor Ltd
Original Assignee
Fujitsu Semiconductor Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujitsu Semiconductor Ltd filed Critical Fujitsu Semiconductor Ltd
Priority to JP2007272809A priority Critical patent/JP5217356B2/ja
Publication of JP2009105084A publication Critical patent/JP2009105084A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5217356B2 publication Critical patent/JP5217356B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Semiconductor Memories (AREA)

Description

本発明は、半導体装置の製造方法に関し、特に、強誘電体キャパシタを有する半導体装置の製造方法に関する。
電源を切っても情報を記憶することのできる不揮発性メモリとして、フラッシュメモリや強誘電体メモリ(Ferroelectric Random Access Memory)が知られている。
フラッシュメモリは、絶縁ゲート型電界効果トランジスタ(IGFET:Insulated Gate Field Effect Transistor)のゲート絶縁膜中に埋め込まれたフローティングゲートを有し、記憶情報を表わす電荷をフローティングゲートに蓄積することによって情報を記憶する。情報の書き込み時及び消去時には、絶縁膜を通過するトンネル電流を流す必要があり、比較的高い電圧を必要とする。
強誘電体メモリは、一対の電極間に強誘電体膜を挟んで構成される強誘電体キャパシタを有し、その強誘電体材料が持つ分極電荷量と電圧の関係におけるヒステリシス特性を利用して情報を書き込み及び読み出しする素子である。
強誘電体キャパシタは、電極間の印加電圧に応じて分極を生じ、印加電圧を取り去っても自発分極を有する。印加電圧の極性を反転すれば、自発分極の極性も反転する。この自発分極の向きを検出すれば情報を読み出すことができる。従って、強誘電体メモリは、フラッシュメモリに比べ低電圧で動作し、省電力で高速の書き込みができる。
強誘電体メモリを構成するメモリセルには、図1A、図1Bの回路図に示すように2T/2C型と1T/1C型がある。
図1Aに示す2T/2C型メモリセルは、2つのトランジスタT,Tと2つのキャパシタC,Cを用いることにより1ビット情報を記憶する構造を有している。このような2T/2C型メモリセルでは、一方のキャパシタCに“1”または“0”の情報が記憶され、それと反対の情報が他方のキャパシタCに記憶されるという相補的な動作が行われる。このため、2T/2C型メモリセルでは、書き込み及び読み出し条件のマージンが広くなり、製造プロセスの変動に対して強い構成になるが、次に述べる1T/1C型メモリセルに比べてセル面積が約2倍になる。
図1Bに示す1T/1C型メモリセルは、1ビットの情報を記憶するために、1つのビット線に接続される1つのトランジスタT01と1つのキャパシタC01を用いるか、または別のビット線に接続されるもう1つのトランジスタT02ともう1つのキャパシタC02を用い、その構成はDRAMと同じである。このような1T/1C型メモリセルは、2T/2C型メモリセルに比べてセル面積が小さく高集積化が可能である。
しかし、メモリセルから読み出された電荷が“1”の情報か“0”の情報かを判定するための基準電圧が必要となる。この基準電圧を発生させるリファレンスセル(不図示)は、情報の読み出し毎に分極を反転させることになるので、疲労により、メモリセルよりも早く劣化する。また、1T/1C型は、“0”か “1”を判定するためのマージンが2T/2C型に比べて狭くなるので、プロセスの変動に対しても弱い。
なお、図1A、図1Bに示すトランジスタT,T,T01,T02において、ゲートにはワード線WLが接続され、一方のソース/ドレインにはビット線BL,BLバーが接続され、また、他方のソース/ドレインとプレート線PLの間にはキャパシタC,C,C01,C02が接続されている。さらに、ビット線BL,BLバーはセンスアンプSAに接続される。
キャパシタC,C,C01,C02を構成する強誘電体膜として、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT:Pb(Zr,Ti)O)、ランタン(La)ドープPZT(PLZT)等のPZT系材料や、タンタル酸ビスマス酸ストロンチウム(SBT:SrBiTa)、タンタル酸ニオブ酸ビスマス酸ストロンチウム(SBTN:SrBi(Ta、Nb))等のビスマス(Bi)層状構造化合物等が用いられている。
そのような強誘電体薄材料からなる強誘電体キャパシタは水素により還元され易いので、強誘電体メモリとしての品質を確保するために、水素バリア機能を有する水素拡散防止膜によって強誘電体キャパシタを覆う必要がある。そのような水素は、例えば、強誘電体キャパシタの上に層間絶縁膜等を成長するための反応ガスに含まれている。
水素拡散防止膜として、例えば2T2C型の強誘電体メモリセルの0.35μm世代までは、スパッタリング法により形成されるアルミニウム酸化物(Al)膜が採用されている。
また、強誘電体膜の横方向からの水素等による還元を防止するために、ひな壇構造の強誘電体キャパシタを覆うアルミニウム酸化物膜の密度を2.7g/cmを超える値にすることが特開2001−44375号公報(特許文献1)に記載されている。
そのようなアルミニウム酸化物膜は、例えば、アルミニウム酸化物ターゲットを用いた高周波(RF)スパッタにより形成することができ、パーティクルが少なく、かつアモルファス状態で成膜される。しかも、成膜の際には、水素が発生することがなく、強誘電体キャパシタの劣化も生じない。
しかしながら、従来のスパッタリング法によるアルミニウム酸化物膜の成膜では、例えば0.18μm世代の強誘電体メモリには対応することができない。これは、強誘電体メモリの高集積化により強誘電体キャパシタ同士の間隔が狭くなってキャパシタ間のアスペクト比が大きくなるので、従来のスパッタリング法では十分なステップカバレッジのアルミニウム酸化物膜を形成することができないからである。
そこで、アルミニウム酸化物膜のスパッタリング法に替わる成膜方法として、化学気相成長(CVD)法の採用が検討されている。
CVD法によるアルミニウム酸化物膜の形成には、通常、トリメチルアルミニウム(TMA;Tri-Metyl Aluminum、Al(CH))及び水(HO)が用いられている。そのような反応ガスを用いてアルミニウム酸化物膜を形成する方法として、原子層堆積(ALD;Atomic Layer Deposition)法がある。
ALD法によれば、図2A〜図2Eに示すようなステップによりアルミニウム酸化物膜が形成される。
まず、図2Aに示すように、HOの供給によって下地膜100全面に水酸(OH)基を吸着させた後、図2Bに示すように、下地膜100の周囲を真空排気して余分なHOをパージする。さらに、図2Cに示すように、TMAを下地膜の上に流してその表面のOH基群と反応させることにより酸化アルミニウムの原子層を形成した後に、図2Dに示すように、下地膜100の周囲を真空排気して余分なTMAや生成されたメタン(CH)をパージする。
その後に、図2Eに示すようにHOの供給によってアルミニウム(Al)にOH基を結合させるというように、図2A〜図2Dの一連のサイクルを繰り返すことにより、アルミニウム酸化物(Al23)(以下、ALOという。)が下地膜100上に形成される。
しかし、実際に強誘電体メモリのキャパシタ保護膜として、TMAとHOを用いてALO膜を形成すると、強誘電体膜が劣化して強誘電体メモリが機能しなくなるということもある。これは、ALO膜の成長時にHOを大量に使用するために、強誘電体であるPZT膜中に水分又は水素が吸着されるかALO膜中に水素が在留してしまい、その後の工程の熱処理によってPZT膜が還元されるためである。
これに対して、特開2004−193280号公報(特許文献2)では、TMAとオゾン(O)を使用してALO膜を形成することにより、強誘電体膜を劣化させずに強誘電体メモリを製造することができる、と記載されている。これは、水素フリーな酸化剤であるOを使用することにより、ALO成膜時に水素又は水分がPZT膜に吸着されにくくなり、しかもALO膜中での水素の残留量が低減するからである。
特開2001−44375号公報 特開2004−193280号公報
しかし、ALO膜の水素バリア機能をより向上させる条件で、TMAとOを使用して形成されたALO膜を酸素含有雰囲気中で高温アニールして緻密化すると、ALO膜に覆われた強誘電体膜、例えばPZT膜中のHOがALO膜によってブロックされてPZT膜がいわゆる蒸し焼き状態となって劣化し、強誘電体キャパシタが機能しなくなる。
ここで、蒸し焼き状態というのは、閉じられた水含有雰囲気内で熱せられて劣化する状態を意味する。そのような水は、次のような原因で強誘電体キャパシタ内に吸蔵される。
即ち、強誘電体キャパシタの形成工程では上部電極膜、PZT膜及び下部電極膜をそれぞれフォトリソグラフィー法によりエッチングする工程を有しているが、その工程において強誘電体膜は少なからず水分を吸蔵する。これは、PZT等の強誘電体膜がセラミックであるために、強誘電体膜は例えばシリコン酸化膜に比べて吸湿し易い性質を有しているからである。
本発明の目的は、強誘電体キャパシタの上に緻密な保護膜を形成する際に、強誘電体キャパシタの機能を良好に保たせることができる半導体装置の製造方法を提供することにある。
本発明の1つの観点によれば、半導体基板の上方に下部電極膜、強誘電体膜及び上部電極膜を形成する工程と、前記上部電極膜、前記強誘電体膜及び前記下部電極膜をパターニングすることにより強誘電体キャパシタを形成する工程と、1nm以上、4nm以下の厚さを有する第1のアルミニウム酸化物膜を前記強誘電体キャパシタの表面上に原子層堆積法により形成する工程と、第1の酸素含有雰囲気内前記第1のアルミニウム酸化物膜をアニールする工程と、前記アニールを行った前記第1のアルミニウム酸化物膜の上に第2のアルミニウム酸化物膜を形成する工程と、前記第2のアルミニウム酸化物膜を第2の酸素含有雰囲気中でアニールする工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法が提供される。
本発明によれば、強誘電体キャパシタを覆う第1のアルミニウム酸化物膜を1nm以上、4nm以下の厚さに形成した後に、酸素含有雰囲気で強誘電体キャパシタをアニールする際に、強誘電体膜の構成金属元素の脱離を防止しつつ水の脱離を促すことができ、強誘電体キャパシタの機能を良好に保つことができる。
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図3A〜図3Tは、本発明の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
次世代、例えば0.18μm世代の強誘電体メモリでは、高集積化が可能な1T/1C型の回路を用いる傾向にある。さらに、強誘電体メモリの大幅な高集積化を実現するために、キャパシタ部の形成に一括エッチングプロセスが必須となり、しかも、スタックキャパシタ構造の採用も必須となる。スタックキャパシタ構造は、トランジスタの一方のソース/ドレイン拡散領域に下端が接続されたプラグ電極の上端を強誘電体キャパシタの下部電極に直に接続する構造である。
まず、図3Aに示す断面構造を形成するまでの工程を説明する。
図3Aにおいて、p型又はn型のシリコン(半導体)基板1のメモリセル領域Aと周辺回路領域Bにおける所定の活性領域にp型不純物とn型不純物のいずれかを選択して導入することにより、メモリセル領域Aの活性領域に第1のウェル2aを形成し、周辺回路領域Bの活性領域には第2のウェル2bを形成する。
また、シリコン基板1のうち活性領域の周囲には素子分離絶縁膜3としてシャロートレンチアイソレーション(STI)が形成されている。STIは、シリコン基板1に形成された溝に例えばシリコン酸化膜を埋め込んだ構造を有している。なお、素子分離絶縁膜3として、LOCOS(local oxidation of silicon)法によりシリコン基板1の表面に形成したシリコン酸化膜を採用してもよい。
シリコン基板1の表面上には、ゲート絶縁膜4として例えばシリコン酸化膜が熱酸化法により形成されている。さらに、第1のウェル2aの上には、間隔をおいて第1、第2のゲート電極5a,5bが形成されている。ゲート電極5a,5bは例えば次のような工程により形成される。
即ち、素子分離絶縁膜3及びゲート絶縁膜4の上に、導電膜として、例えば多結晶又は非晶質のドープトシリコン膜を形成する。
そして、導電膜をフォトリソグラフィー法により所定の形状にパターニングすることにより、第1のウェル2aの上で間隔をおいて導電膜からなる2つのゲート電極5a、5bを形成する。
メモリセル領域Aでは、第1のウェル2a上方に形成された2つのゲート電極5a、5bはほぼ平行に間隔をおいて形成され、これらのゲート電極5a、5bは素子分離絶縁膜3の上に延在してワード線となる。
第1のウェル2aの上にゲート絶縁膜4を介して形成された2つのゲート電極5a、5bの両側では、第1のウェル2aと逆導電型の不純物をシリコン基板1にイオン注入してエクステンション領域7a、7b、7cを形成する。
その後に、図3Bに示すように、シリコン酸化膜の形成とその後のエッチバックにより、ゲート電極5a,5bの側面に絶縁性のサイドウォール10を形成する。
続いて、ゲート電極5a,5b及びサイドウォール10をマスクにして第1のウェル2aにエクステンション領域7a,7b,7cと同じ導電型の不純物をイオン注入することにより、エクステンション領域7a,7b,7cの一部に重なる第1、第2及び第3の高濃度不純物拡散領域8a,8b,8cを形成する。第1、第2及び第3の高濃度不純物拡散領域8a,8b,8cは、それぞれエクステンション領域7a、7b、7cとともに第1、第2及び第3のソース/ドレイン領域9a,9b,9cを構成する。
続いて、全面に、例えばスパッタリング法により、例えばCo膜を堆積する。その後、温度400℃乃至900℃の熱処理を行うことによって、ゲート電極5a,5bの多結晶シリコン膜とCo膜がシリサイド反応し、ゲート電極5a,5bの上面にシリサイド層6が形成される。また、図示はしないが、高濃度拡散領域8a,8b,8cの上面においてもシリサイド層が形成される。その後、フッ酸等を用いて、未反応のCo膜を除去する。
これにより、第1のウェル2a、ゲート絶縁膜4、第1のゲート電極5a、第1、第2のソース/ドレイン領域9a、9b等により第1のMOSトランジスタTが構成され、また、第1のウェル2a、ゲート絶縁膜4、第2のゲート電極5b、第2、第3のソース/ドレイン領域9b、9c等により第2のMOSトランジスタTが構成される。
続いて、図3Cに示すように、MOSトランジスタT,Tをカバー絶縁膜11、第1の層間絶縁膜12で覆い、さらに、第1、第2及び第3の高濃度不純物拡散領域8a,8b,8cのそれぞれの上に第1、第2及び第3のプラグ電極15a,15b,15cを形成する。第1、第2及び第3のプラグ電極15a,15b,15cは、次のような工程により形成される。
まず、第1、第2のMOSトランジスタT、Tを覆う例えば酸窒化シリコン(SiON)のカバー絶縁膜11をプラズマ化学気相成長(P−CVD)法によりシリコン基板1の上に形成する。
次に、TEOS(テトラエトキシシラン)ガスを用いるP−CVD法により、カバー膜11上にシリコン酸化膜(SiO膜)を成長し、このシリコン酸化膜を第1の層間絶縁膜12とする。
続いて、第1の層間絶縁膜12の緻密化処理として、常圧の窒素雰囲気中で第1の層間絶縁膜12を所定温度、所定時間で熱処理する。その後に、第1の層間絶縁膜12の上面を化学機械研磨(CMP)法により研磨して平坦化する。
その後に、カバー絶縁膜11及び第1の層間絶縁膜12をフォトリソグラフィー法によりパターニングすることにより、第1、第2及び第3のソース/ドレイン領域9a,9b,9cのそれぞれの上に、第1、第2及び第3のコンタクトホール12a,12b,12cを形成する。さらに、第1、第2及び第3のコンタクトホール12a,12b,12cの内壁及び底面には、グルー(密着)膜13として厚さ30nmのTi膜、厚さ50nmのTiN膜をスパッタリング法により順に形成する。
さらに、第1、第2及び第3のコンタクトホール12a,12b,12cを埋め込む厚さのタングステン(W)膜14をCVD法によりグルー膜13上に形成する。W膜14を形成する反応ガスとして例えば六フッ化タングステンガスを使用する。その後に、W膜14とグルー膜13をCMP法により研磨して第1の層間絶縁膜12の上面を露出させる。
これにより、第1、第2及び第3のコンタクトホール12a、12b、12c内に残されたW膜14及びグルー膜13は、それぞれ第1、第2及び第3のプラグ電極15a,15b,15cとなる。
第1、第2及び第3のプラグ電極15a,15b,15cにタングステンが用いられる理由は、タングステンがドープトシリコンに比べて低抵抗で且つ耐熱性を有するからである。しかし、タングステンは酸化されると非常に高抵抗の酸化物となるので、一部が酸化しただけでも抵抗が高くなりコンタクトの確保が難しくなる。
そこで、第1、第2及び第3のプラグ電極15a,15b,15cの酸化を防止するために、次のような工程により第1、第2及び第3のプラグ電極15a,15b,15cを酸化防止膜によって覆う。
まず、図3Dに示すように、第1の層間絶縁膜12と第1、第2及び第3のプラグ電極15a,15b,15cの上に、チタン(Ti)膜16aをスパッタリング法により20nmの厚さに形成する。Ti膜16aは、自己配向性の強い性質を有する金属膜の1つであり、c軸に配向する良好な結晶性を有する。
次に、図3Eに示すように、Ti膜16aを窒素(N)雰囲気中でRTA処理を行って窒化することによりTiN膜16を形成する。RTA処理の条件として、例えば、加熱温度を650℃、窒素流量を10slm(standard liter/min、1.013×10Pa、0℃の環境で換算)に設定する。また、Ti膜16aのRTA処理時間を120秒とする。
TiN膜16は、Ti膜16aの結晶性を受け継ぐために、強く<111>に配向した良好な結晶性を有する。Ti膜16aを窒化させるのはTiが酸化し易いからであり、窒化により耐酸化性が向上する。
TiN膜16は、第1の層間絶縁膜12及びプラグ電極15a,15b,15cを覆うとともに、次の工程で形成され膜の結晶性を向上させる配向性向上膜として機能する。
次に、図3Fに示すように、TiN膜16の上に酸素バリア膜17、電極膜18を順に形成する。酸素バリア膜17は、後述する酸素含有雰囲気での熱処理において酸素バリアとして機能するとともに、電極膜18及びTiN膜16とともにキャパシタ下部電極膜を構成する。
電極膜18の構成材料として、酸化を防止する材料、例えばPt、Ir等の貴金属、又は、酸化されても導電性を維持することができる導電性酸化物、例えばIrO、SrRuO、等の貴金属酸化物やLa0.5Sr0.5CoO等を使用する。
そのような電極膜18は、600℃前後の温度に加熱されると、酸素拡散抑制能力が低下する。このため、そのような高温の酸素雰囲気中で導電膜18をアニールすると、タングステンから構成された第1、第2及び第3のプラグ電極15a,15b,15cが電極膜18を通して酸化される。
このような酸化を防止するために、電極膜18とTiN膜16の間に酸素バリア膜17を形成している。
具体的には、酸素バリア膜17として、チタンアルミナイトライド(TiAlN)膜をスパッタリング法により例えば約100nmの厚さに形成し、また、電極膜18としてIr膜をスパッタリング法により例えば約100nmの厚さに成膜する。
ここで、TiAlN膜の酸化速度は、TiN膜16の酸化速度よりも2桁以上遅いために、その下方の第1、第2及び第3のプラグ電極15a,15b,15cの酸化を防止できる。
ところで、窒化アルミニウム(AlN)膜は、それ自体では絶縁性であるが、Tiのような陽イオン性の不純物が添加されるか、あるいは、窒素(N)を不足させると導電性となる。従って、そのような材料から酸素バリア膜17を構成することにより、第1、第2及び第3のプラグ電極15a,15b,15cと電極膜18の電気的な接続不良は問題にはならない。
続いて、図3Gに示すように、電極膜18上に強誘電体膜19として例えばPZT膜を2ステップで形成する。一層目のPZT膜19aはMOCVD法により5nmの厚さに形成され、さらにその上に、二層目のPZT膜19bがMOCVD法により115nmの厚さに形成され、これにより強誘電体膜19の総厚は120nmとなる。
一層目と二層目のPZT膜19a,19bの成膜時の基板温度は例えば620℃であり、成長雰囲気の圧力は例えば5Torrである。一層目と二層目のPZT膜19a,19bの構成元素は同じである。ただし、一層目のPZT膜19aの成長時に導入される酸素の分圧を二層目のPZT膜19bの成長時の酸素分圧よりも下げて成膜している。
これは、低酸素分圧で成膜した方がPZT膜自身の結晶性が良好で、<111>方向に優先配向するからである。しかし、二層目のPZT膜19bも同じように低い酸素分圧で成長すると、強誘電体膜19中の酸素欠損が多くなり、その中を通るリーク電流が増大する原因となる。そこで、本実施形態では、一層目と二層目のPZT膜19a,19bのそれぞれの成長条件を異ならせる2ステップ成長法を採用している。
強誘電体膜19の形成方法としては現在、スパッタリング法の他、ゾルゲル法、MOCVD法が知られている。なお、強誘電体膜19として、PZT膜の他に、PLZT等のPZT系材料や、SBT、SBTN等のBi層状構造化合物等を形成してもよい。
強誘電体膜としてPZT膜を形成する場合には、その下地となる下部電極の材料としてPtが用いられる。
これは、PZT膜の結晶の自発分極を大きくするためには、その下地となる下部電極が(111)面に強く配向している必要があるからであり、Ptは、(111)面に強く配向し、PZT膜の下地として適しているからである。
しかし、スパッタリング法により形成したPZT膜は、高温で成膜すると(111)面に配向しなくなって結晶性が悪くなるので、低温でアモルファスな膜を形成後、酸素雰囲気中で急速熱処理(RTA;Rapid Thermal Annealing)を行って結晶化する必要がある。RTA処理による結晶化は、700℃以上の高温が必要なため、スタックキャパシタ構造においては、TiAlNのような酸素バリア膜17を用いてもタングステンのプラグ電極15a,15b,15cを酸化させてしまうおそれがある。
これに対して、PZT膜をMOCVD法により形成すれば、PZT膜は成長過程においてPt下部電極膜上で良好な結晶性を保ったまま(111)面に強く配向して形成されるので、強誘電体膜18の結晶化アニールが不要となってプロセスの低温化が期待できる。
しかし、PZT膜をMOCVD法により形成する場合に、下部電極膜の構成材料としてPtを用いると、PZT膜中の鉛(Pb)がPtと反応して、PtPbが形成される。この結果、PZT膜と下部電極膜の界面に荒れが生じ、PZT膜の膜質が劣化してしまう。従って、MOCVD法によりPZT膜を形成する場合には、下部電極としてPt以外の材料を選択することが好ましい。
そこで、MOCVD法により強誘電体膜19を形成する場合には、電極膜18としてPt以外の貴金属や導電性貴金属酸化物の採用が必要である。しかし、酸化イリジウム(IrO)などの酸化物導電材を電極膜18として用いると、その上にPZT膜をMOCVD法により形成する際に還元によりその酸化物導電材の膜質が劣化する。
そのため、電極膜18の材料としてイリジウム(Ir)のような貴金属が採用されることが好ましい。そのようなIr等を電極膜18の材料に用いる場合にも、酸素バリア膜17としてTiAlN膜を用いれば、700℃で回復アニールを行っても、タングステンからなるプラグ電極15a,15b,15cと電極膜18の電気的な接続は維持される。
従って、チタンアルミナイトライド膜のような酸素バリア膜17を電極膜18の下に挿入することは、タングステンのプラグ電極15a,15b,15cの耐酸化性に有利である。
次に、図3Hに示すように、強誘電体膜19の上に、IrOx1(x1は組成比であり、x1<2の関係にある)から構成される第1の酸化イリジウム膜20をスパッタリング法により50nmの厚さに形成する。ただし、IrOx1におけるx1は組成比であり、x1<2の関係にある。
ここで、IrOx1の代わりにPt膜、SrRuO(SRO)膜を用いることも可能である。しかし、Ptは水素分子に対して触媒作用があるために水素ラジカルを発生させ易く、水素ラジカルの還元により強誘電体膜19の膜質が劣化され易いのでPtの採用はあまり好ましくはない。
これに対して、IrOx1膜、SRO膜は触媒作用を持たないために水素ラジカルを発生しにくく、強誘電体膜19に対する水素劣化耐性が格段に向上する。従って、酸化イリジウムの代わりにSROを用いてもよい。
続いて、O濃度を約1容量%としたArとOの混合ガス雰囲気中にシリコン基板1を置いて、昇温速度125℃/secの条件で雰囲気温度を上昇させて、加熱温度を725℃として強誘電体膜19を60秒間でRTA処理する。
このように、結晶が<111>方向に優先配向した強誘電体膜19を微量の酸素雰囲気中において熱処理することにより、強誘電体膜19を構成する例えば酸化物の結晶格子中の酸素欠陥が補充されるだけでなく、強誘電体膜19が緻密化される。
ところで、次の工程における第1の酸化イリジウム膜20の形成前に強誘電体膜19の緻密化処理を行えば、強誘電体膜19を構成する例えばPZT膜中に多く存在する気泡が一ヶ所に集まってしまい、強誘電体膜19内の結晶粒界にピンホールが開いた状態になってしまうので好ましくない。
これに対して、第1の酸化イリジウム膜20を形成した後に強誘電体膜19の緻密化の熱処理を行うと、強誘電体膜19の表面荒れが防止される。このことは、熱処理後に、例えばPZT\IrO界面が非常にフラットになり、その界面での欠陥が少ないことからも容易に推察される。しかも、強誘電体膜19を構成するPZT膜からの蒸気圧の高いPb及びPbOの脱離は、第1の酸化イリジウム膜20によりブロックされる。
続いて、第1の酸化イリジウム膜20の上に、IrOx2から構成される第2の酸化イリジウム膜21をCVD法により100nmの厚さに形成する。ただし、IrOx2におけるx2は組成比であり、x2>x1の関係にある。
第2の酸化イリジウム膜21は、第1のイリジウム膜20の形成時よりも酸素分圧を上げて成膜される。これは、第2の酸化イリジウム膜21の組成をストイキオメトリ(化学量論的組成)であるIrOにするかこれに近づけることにより、触媒作用を持つIrの成分を少なくして水素劣化耐性を向上させるためである。
次に、図3Iに示すように、第2の酸化イリジウム膜21の上に、イリジウム(Ir)の貴金属膜22をスパッタリング法により100nmの厚さに形成する。貴金属膜22は、第1及び第2の酸化イリジウム膜20,21とともに上部電極膜を構成する。
続いて、図3Jに示すように、貴金属膜22の上にキャパシタ形成領域を覆う島状のハードマスク23を形成する。ハードマスク23は、例えば次のような工程で形成される。
即ち、TiN膜23aを貴金属膜22上にスパッタリング法により200nmの厚さに形成し、続いて、TEOSガスを使用してプラズマCVD法によって厚さ700nmのシリコン酸化膜23bをTiN膜23a上に形成する。
さらに、レジストパターン(不図示)を使用するフォトリソグラフィー法によりTiN膜23a及びシリコン酸化膜23bをパターニングすることによりハードマスク23を形成する。ハードマスク23は、第1のウェル2aの上において、第1のプラグ電極15aの上方とその周辺の領域と、第3のプラグ電極15cの上方とその周辺の領域にそれぞれ形成される。
次に、図3Kに示すように、ハードマスク23から露出する領域の貴金属膜22から下側のIr膜18までの各層を、誘導結合プラズマ(ICP)型エッチング装置を用いて連続して一括で高温エッチングする。その後に、ハードマスク23として用いたシリコン酸化膜23bを、反応性イオンエッチングにより除去する。
次に、図3Lに示すように、ハードマスク23として用いたTiN膜23aと、TiAlN膜17及びTiN膜16を反応性イオンエッチングにて除去した後、過酸化水素水とアンモニア水との混合液を用いて完全に除去することにより、スタック構造の強誘電体キャパシタQを形成する。
ここで、TiN膜16、TiAlN膜17及びIr膜18は強誘電体キャパシタQの下部電極24を構成し、PZT膜19は強誘電体キャパシタQの強誘電体膜となり、また、第1及び第2の酸化イリジウム膜20,21及びIr膜22は強誘電体キャパシタQの上部電極25を構成する。そして、第1の層間絶縁膜12内の第1のプラグ電極15aと第3のプラグ電極15cの上端にはそれぞれ異なる下部電極24が接続される。
このように、Ir膜22からその下方のTiN膜16までを一括エッチングにする方法を採用することにより、下部電極24から上部電極25までの各層の位置合わせ余裕を取る必要がなくなって強誘電体キャパシタQの微細化が可能となり、併せて強誘電体キャパシタQの高集積化が可能になる。
次に、図3Mに示すように、強誘電体キャパシタQの表面と第1の層間絶縁膜12の上に、ステップカバレッジが良好な条件で第1のキャパシタ絶縁性保護膜として第1のアルミニウム酸化物(ALO)膜26を形成する。
第1のALO膜26は、例えば、図4に示すようなバッチ式CVD装置を用いたALD法により成膜される。第1のALO膜26は、次に行われる酸素アニール工程において強誘電体膜19を構成する元素、例えばPbの脱離を防止することにより、強誘電体キャパシタQの疲労(Fatigue)特性を劣化させない範囲、例えば数原子層から10nmの範囲の厚さに形成される。即ち、第1のALO膜26は、次工程の酸素アニールの諸条件下でPZT膜19内の構成元素を実質的に透過させず且つ水及び酸素を透過させる厚さに形成される。
図4に示すバッチ式CVD装置41の反応室42は、下端に開口部を有する外側チャンバー43と上端に開口部を有する内側チャンバー44とを有し、内側チャンバー44は外側チャンバー内に下端の開口部を通して嵌め込まれる構造となっている。
外側チャンバー43の下部には排気ポンプ46に接続される排気管45が取り付けられている。また、内側チャンバー44の下部にはガス導入管47が接続されている。さらに、内側チャンバー44の中にはウェーハバスケット48が取り付けられ、ウェーハバスケット48の中には複数のウェーハ状のシリコン基板1が上下方向に隙間をおいて収納される。
ガス導入管47には、時間的間隔をおいてTMAガスとHOガスを交互に供給するガス供給源49が接続されている。また、反応室42の周囲にはヒータ40が配置され、ヒータ40は、第1のALO膜26を200℃以上、350℃以下の範囲、例えば250℃に加熱する温度に設定される。
第1のALO膜26は、アルミニウム原料として、例えば常温で液体のTMAを用い、また、酸化原料として例えばオゾンを用いる。TMAは、蒸気圧が比較的高いので、40℃に加温し蒸気圧によりガス化した状態で、バッチ式CVD装置41内に導入される。反応領域に導入される酸化ガスとして、水素元素を含むガス、例えばHOは積極的に導入されない。
そして、図5に示したように、TMAの供給によりAl層を堆積する工程と、オゾンの供給によりAl層を酸化する工程とを交互に切り替えて減圧雰囲気、例えばガス圧力40Paの雰囲気内で第1のALO膜26を形成する。
内側チャンバー44内には、図5に示すように、酸素(O)とオゾン(O)を有する酸素含有ガスをガス流量10slm、O濃度200g/Nmの条件で導入し、その後にガス種を切り替えてパージガスを10slmで導入し、その後にガス種を切り替えてTMAガスの流量を100sccmで導入し、その後にガス種を切り替えてパージガスを400sccmで導入することを1サイクルとし、そのサイクルを第1のALO膜26が所定の厚さになるまで1回又は複数回繰り返す。
1サイクルの時間として例えば40秒〜65秒となるように設定する。また、パージガスとして例えば窒素(N2)ガスを用いる。
なお、それらのガス流量やガス導入タイミングについては、CVD装置の構造によって変更されるものであり、適宜調整される。また、第1のALO膜26は、枚葉式のCVD装置により形成されてもよい。
第1のALO膜26を形成した後に、図3Nに示すように、PZTからなる強誘電体膜19中に吸蔵された水分の除去と、強誘電体膜19中への酸素の供給とを目的とする酸素アニールを施す。酸素アニールの条件として、例えば、基板温度を500℃〜650℃、例えば600℃、雰囲気圧力を常圧、アニール時間を20分〜120分、例えば60分に設定する。また、酸素アニールは、酸素を導入するだけでなくオゾンも導入する雰囲気で行ってもよい。
この酸素アニールの際には、第1のALO膜26の厚さを上記のように予め調整しているので、強誘電体膜19を構成するPZT膜からPbの離脱が防止されて強誘電体キャパシタQの疲労特性の劣化が防止される。
次に、図3Oに示すように、第1のALO膜26の上に、図4に示したCVD装置を用いてALD法により第2のALO膜27を10nm〜70nm、例えば38nmの厚さに形成する。第2のALO膜27の成膜温度は、200℃以上、350℃以下の範囲、例えば250℃に制御される。第2のALO膜27は、第1のALO膜26より厚く形成されることが好ましい。
第2のALO膜27は、アルミニウム原料として、例えばTMAを用い、また酸化原料として例えばオゾンを用いる。TMAは、蒸気圧が比較的高いので、40℃に加温し蒸気圧によりガス化した状態で、バッチ式CVD装置41内に導入される。なお、酸化ガスとして、水素元素を含むガス、例えばHOは積極的に導入されない。
そして、TMAの供給によりAl層を堆積する工程と、オゾンの供給によりAl層を酸化する工程とを交互に切り替えて減圧雰囲気、例えばガス圧力40Paの雰囲気内で第2のALO膜27を形成する。
内側チャンバー44に供給されるガスとして、図5に示すように、OとOを有する酸素含有ガスをガス流量10slm、オゾン濃度200g/Nmの条件で導入し、その後にガス種を切り替えてパージガスを10slmで導入し、その後にガス種を切り替えてTMAガスの流量を100sccmで導入し、その後にガス種を切り替えてパージガスを400sccmで導入することを1サイクルとし、そのサイクルを第2のALO膜27が所定の厚さになるまで1回又は複数回繰り返す。
1サイクルの時間として例えば40秒〜65秒となるように設定する。また、パージガスとして例えばN2ガスを用いる。
なお、それらのガス流量やガス導入タイミングについては、CVD装置の構造によって変更されるものであり、適宜調整される。また、第2のALO膜27は、枚葉式のCVD装置により形成されてもよい。
第2のALO膜27については、ALD法により形成することが好ましい。しかし、強誘電体キャパシタQが既に第1のALO膜26により覆われていることを考慮すると、ステップカバレッジについては劣るものの、第2のALO膜27をスパッタリング法により形成してもよい。
第2のALO膜27の形成後に、図3Pに示すように、オゾン含有の減圧雰囲気中でのアニールにより第2のALO膜27を緻密化する。そのアニールの条件として、例えば、基板温度を400℃〜600℃、例えば500℃、雰囲気圧力を減圧、例えば133Pa、アニール時間を10分〜60分、例えば30分に設定するとともに、アニール雰囲気にOとO(200g/Nm)の混合ガスを流量10slmで導入する。
ところで、第2のALO膜27の形成前に、強誘電体膜19中の水分を除去するための酸素アニールを行っているので、第2のALO膜27をアニールする際に、強誘電体膜19が所謂蒸し焼き状態となって劣化することは回避されるのでその膜厚は第1のALO膜26よりも厚くしてもよい。
以上のような第1のALO膜26と緻密化された第2のALO膜27とによって強誘電体キャパシタQを覆う絶縁保護膜が構成される。
次に、図3Qに示すように、第2のALO膜27上に、第2の層間絶縁膜28、第3のALO膜29及び第3の層間絶縁膜30を順に形成した後に、ビアホール30aを形成する。
第2の層間絶縁膜28として、例えばTEOSを用いたプラズマCVD法によりシリコン酸化膜を1500nm〜2500nm程度の厚さに成長する。第2の層間絶縁膜28は、第2のALO膜27を介して強誘電体キャパシタQを覆うので、その上面には凹凸が現れる。
そこで、第2の層間絶縁膜28を形成した後に、その上面をCMP法により研磨する。第2の層間絶縁膜28におけるCMP処理後の残存膜厚は、上部電極25の上で例えば300nm程度にされる。CMP処理の後には、第2の層間絶縁膜28の脱水を目的として、例えば、NOプラズマ雰囲気内で第2の層間絶縁膜28にアニール処理を施す。
第3のALO膜29は、脱水処理された第2の層間絶縁膜120上に高周波スパッタリング法により例えば50nmの厚さに形成される。第3のALO膜29は、CMP処理された平坦な第2の層間絶縁膜28上に形成されるので、ステップカバレッジを良好にする成長条件とする必要が無く、スパッタリング法による形成で十分である。また、後の工程でホールを形成するためのエッチングの負担を減らすために、第3のALO膜29は、ALD法により薄く、例えば30nmの厚さに形成しても構わない。
第3のALO膜29上の第3の層間絶縁膜30として、例えば、TEOSを用いたプラズマCVD法によりシリコン酸化膜を成膜する。その膜厚を200nm程度として、後の工程で施されるオーバーエッチングが第3のALO膜29に達することを防止する。また、シリコン酸化膜を第3のALO膜29上に敷くことにより、後の工程で形成される金属配線の信頼性が確保される。
その後に、フォトリソグラフィー法によって第3の層間絶縁膜30、第3のALO膜29、第2の層間絶縁膜28、第2のALO膜27及び第1のALO膜26をパターニングして、強誘電体キャパシタQの上部電極25の上面を露出させるビアホール30aを形成する。
続いて、酸素雰囲気の炉内にシリコン基板1を置いて強誘電体キャパシタQの最後の回復アニールを行う。回復アニールの条件として、例えば、炉内温度を500℃程度に設定して、酸素雰囲気の炉内でのアニール時間を60分間程度とする。
次に、図3Rに示すように、フォトリソグラフィー法によって第3の層間絶縁膜30、第3のALO膜29、第2の層間絶縁膜28、第2のALO膜27及び第1のALO膜26をパターニングして、第1のウェル2aの中央にある第2のプラグ電極15bの上面を露出させる第4のコンタクトホール30bを形成する。
さらに、図3Sに示すように、ビアホール30a及び第4のコンタクトホール30bの内壁及び底面に、例えば、グルー膜31としてスパッタリング法により厚さ100nm程度のTiN膜を形成し、さらに、グルー膜31上には、ビアホール30aと第4のコンタクトホール30bを埋め込む厚さのW膜32をCVD法により形成する。
その後に、W膜32とグルー膜31をCMP法により研磨して第3の層間絶縁膜30の上面を露出させる。これにより、ビアホール30a内に残されたW膜32及びグルー膜31はビアプラグ電極33aとなり、また、第4のコンタクトホール30b内に残されたW膜32及びグルー膜31は第4のプラグ電極33bとなる。
この段階で、第2のプラグ電極15bと第4のプラグ電極33bとによってvia−to−viaコンタクトが実現でき、それより上層に形成されるメタル配線からシリコン基板1へのコンタクトが達成される。
次に、図3Tに示すように、ビアプラグ電極33aに接続される金属配線35a、および第4のプラグ電極33bに接続される金属パッド35bを第3の層間絶縁膜30上に形成する。金属配線35a及び金属パッド35bは、次の方法により形成される。
まず、ビアプラグ電極33a、第4のプラグ電極33b及び第3の層間絶縁膜30の上に、例えばスパッタリング法により、厚さ60nm程度のTi膜と、厚さ30nm程度のTiN膜と、厚さ400nm程度のAlCu合金膜と、厚さ5nm程度のTi膜と、厚さ70nm程度のTiN膜を順に形成する。下側のTiN膜及びTi膜は下側グルー膜34aとなり、AlCu合金膜は主導電膜34bとなり、上側のTiN膜及びTi膜は上側グルー膜34cとなる。
続いて、フォトリソグラフィー技術を用いて、下側グルー膜34a、主導電膜34b及び上側グルー膜34cの積層膜を所定形状にパターニングすることにより、第3の層間絶縁膜30上に金属配線35aと金属パッド35bを形成する。フォトリソグラフィー法によるパターニング時には、第3のALO膜29が露出しない程度の量でオーバーエッチングが行われる。
なお、金属配線35aと金属パッド35bとしてAl合金膜等をフォトリソグラフィー法によりパターニングする代わりに、いわゆるダマシン法等を利用してCu膜(又はCu合金膜)から形成してもよい。
その後、さらに上側の層間絶縁膜やさらに上側の配線の形成等の諸工程を経て、本実施形態に係る強誘電体メモリを完成させる。
上述した実施形態によれば、強誘電体キャパシタQの表面上に第1のALO膜26を形成性した後に、酸素含有雰囲気内で第1のALO膜26及び強誘電体キャパシタQをアニールすることにより、金属元素の離脱を防止しながら、強誘電体膜19内に吸蔵された水分を除去し、さらに強誘電体膜19に酸素を供給している。
さらに、第1のALO膜26の上に第2のALO膜27を形成した後に、酸素含有雰囲気内でのアニールにより第2のALO膜27に酸素を供給して第2のALO膜27を緻密化している。
第1のALO膜26は、強誘電体膜19を構成する金属元素、例えばPbの離脱を防止し、強誘電体キャパシタQの疲労特性の劣化も防止し、かつ十分に酸素及び水を透過できる厚さに形成されている。
従って、第2のALO膜27をアニールする際には、強誘電体膜19中の水分は除去されているので、強誘電体膜19が、所謂蒸し焼き状態となって劣化することがなくなる。
その結果、高集積化した強誘電体キャパシタQを有する強誘電体メモリの機能を良好に保つことが可能になる。
ところで、第1、第2のALO膜26、27を成長するALD成膜装置として、図4に例示したバッチ式成膜装置の他に枚葉式成膜装置がある。
枚様式成膜装置によれば、ALO膜を1枚ずつ成膜する必要があるために、複数枚のウェーハの全てにALO膜を形成するには多くの時間がかかる。
これに対して、バッチ式成膜装置によれば、例えば100枚のウェーハにそれぞれALO膜を一括して形成することができるので、枚葉式成膜装置に比べて成膜時の1枚当たりのスループットが良好である。
しかし、バッチ式成膜装置により形成されたALO膜は、ポーラスな膜となるため、そのままの状態では水素ブロック性が低下してキャパシタ保護膜として十分に機能しなくなる。
そこで、バッチ式成膜装置では、成膜温度を通常よりも高くして膜質を緻密化することも可能である。しかし、成膜温度を上げると、反応室内の空間でTMAが反応する確率が高くなるため、パーティクル発生のおそれがある。
さらに、強誘電体膜19としてPZT膜を用いた場合、PZTの構成物質である酸化鉛(PbO)の蒸気圧が高いため、強誘電体キャパシタQの表面上にALO膜を高温で形成するとPbOの離脱によりPZT膜がPbプアとなる。そして、PbプアなPZT膜は、信頼性評価の1つの指標である疲労(fatigue)特性が悪くなる。
また、ALO膜の形成に使用するTMA自体も水素を含んでいるので、ALD成膜条件を最適化して強誘電体膜の劣化を防止する必要がある。
そこで、ALO成膜の最適温度条件について説明する。
まず、試料として、複数の微小の強誘電体キャパシタの集合体からなるメモリセルアレイのモニター部を形成する。試料を構成する強誘電体キャパシタは、図6に示すような構造を有し、次のような工程により形成される。
まず、絶縁膜51上に下部電極膜52として厚さ20nmのTi膜52aと厚さ175nmのPt膜52bをスパッタにより順に形成した後に、下部電極膜52上に強誘電体膜53として厚さ200nmのPLZT膜をスパッタリング法により形成し、さらに強誘電体膜53の上に上部電極54として厚さ200nmのIrO膜をスパッタにより形成する。そして、複数のマスクを使用して、上部電極膜54、強誘電体膜53及び下部電極膜52をそれぞれパターニングすることにより、雛壇形状の強誘電体キャパシタ50を形成する。
そのような試料を複数形成する工程において、ALO膜55を形成する前に異なる温度で60分間の炉アニールを行った。その後に、強誘電体キャパシタ50の露出面を全て覆うALO膜55を室温にてスパッタリング法で成膜し、続いて、特に図示しないが、ALO膜55を覆う絶縁膜の形成と、各膜のパターニングにより、アルミニウムからなる一層目の配線を形成した。
そして、本発明者は、各試料について、ALO膜55形成前のアニール時の温度を、ALD法によるALO膜の形成時の成膜温度とみなし、これによりALO膜55の成長温度の違いによる強誘電体キャパシタ50への影響を擬似的に評価した。
そのようにアニールされた微小な強誘電体キャパシタ50の集合体であるメモリセルアレイモニタ部での疲労試験をしたところ、図7に示すような結果が得られた。
疲労試験は、キャパシタの劣化を加速するために、規格より大きな電圧7Vを強誘電体キャパシタ50に印加し、さらに強誘電体キャパシタ50の分極電荷の向きの正逆反転を2×10サイクルで繰り返す方法により行われた。
図7の縦軸は、疲労試験されたモニター内の強誘電体キャパシタ50のスイッチング電荷量Qswについて、初期状態からの減少量(loss)をパーセント(%)で表示している。
図7によれば、キャパシタ加熱温度450℃以上による処理の場合に疲労試験後のQsw lossが大きくなっている。アニール時には強誘電体膜53であるPLZT膜の側壁が剥き出しになっているので、450℃以上の温度ではその側壁からPbOが抜けてPb脱離が起き、これにより強誘電体キャパシタ50が劣化していると考えられる。
図7のデータは、常圧下の炉アニールにより得られた結果である。従って、減圧CVD法の一種であるALD法によりALO膜55を形成する場合に、強誘電体キャパシタ50は加熱温度下且つ真空下に置かれるので、それよりさらにPb脱離が促進されると予想される。そのため、ALD法によるALO膜55の成長時には加熱温度を400℃より低くした方が望ましいことになる。
次に、強誘電体キャパシタを覆うALO膜内のHO含有量について、本発明者による実験結果について説明する。
まず、シリコン(Si)基板上にALO膜をバッチ式ALD法により20nm厚さに形成し、ついで、ALO膜のHO含有量を昇温脱離ガス分析(TDS;Thermal Desorption Spectroscopy)法を用いて評価したところ、図8に示すような結果が得られた。図8は、TDSによるデータのうちHOに相当するM/e=18のスペクトルのみをプロットしたものである。
試料として、ALO膜の形成後にオゾン(O)を含む雰囲気中で500℃、30分間の条件でアニール(Post Deposition Annealing:PDA)を行った試料と、ALO膜形成後にアニールを行わない試料の2種類を用意した。
図8において、250℃ w/o PDAと表記し且つ「△」でプロットしたアニール無しのALO膜から得られたイオン強度と温度の関係を示す曲線には、220℃付近と650℃付近の2つのピークP1、P2が存在する。
低温側のピークP1は、ALO膜表面に吸着したHOが脱離したものである。また、高温側のピークP2は、ALO膜中に少なからず存在するAl−OH結合のOH基同士が脱水縮合反応することにより生成されて放出されたHOであると推測される。これにより、アニール無しのALO膜はポーラスな膜であることが分かった。
これに対して、250℃ w/ PDAと表記し且つ「●」でプロットしたアニール有りのALO膜から得られたイオン強度の曲線には、220℃付近に1つのピークP1が存在するが、それより高温側にはピークが存在しない。
それら2つの曲線のうち220℃付近の温度領域のイオン強度は、ALO膜の表面に吸着したHOの脱離に由来するためにここでは考慮しない。
一方、650℃付近の温度領域は、ALO膜中に少なからず存在するAl−OH結合のOH基同士が脱水縮合反応することにより生じたHOを示しているので、その温度領域について次に考察する。
成長温度を250℃にしてALD法により形成されたALO膜は、アニール無しの試料では650℃付近の温度領域においてピークP2が見られるが、アニール有りの試料ではピークが見られない。このことは、O雰囲気中でのアニールによりALO膜内からOH基が除去されてALO膜が緻密化されたことを示している。
しかし、ALO膜中からHOが出た後には、ALO膜がHOに対するブロック性が高くなるため、その下の強誘電体キャパシタはアニールにより蒸し焼きとなり、スイッチング電荷量Qswが劣化してしまう。
以上のことから、強誘電体キャパシタの表面でのALO膜の形成条件と、その後のアニール条件を最適化する必要がある。
ALO膜形成の最適化として、ALD法により保護膜として形成されるALO膜を二層構造で形成する方法を採用する。そして、一層目のALO膜については、強誘電体キャパシタのPZT膜からPb脱離が起きずに、疲労特性が劣化せず、かつ、十分に酸素及び水が透過する厚さに形成し、且つ、成長温度を350℃以下、200℃以上の範囲に設定してALD法により形成することが好ましい。
また、一層目のALO膜を酸素含有雰囲気中でアニールすることにより、PZT膜中に吸蔵された水分とALO膜自身の水分の除去と、PZT膜中への酸素の供給とを同時に行う。この場合、上記のように膜厚を最適化すると、酸素含有アニールにより一層目のALO膜の緻密化は促進されない。
さらに、一層目のALO膜の上に二層目のALO膜を形成した後に、一層目及び二層目の保護膜を酸素含有雰囲気中でアニールを施すことにより、二層目のALO膜に酸素を供給して膜の緻密化を行う。この場合、事前に、一層目のALO膜の形成後に、酸素アニールによりPZT膜中の水分を除去しているので、二層目のALO膜の緻密化によってPZT膜が所謂蒸し焼き状態となることが回避される。
これにより、ALO膜からなる保護膜の形成による強誘電体キャパシタの劣化が防止され、強誘電体メモリとしての機能を保つことが可能になり、高集積化した強誘電体キャパシタを有する半導体装置が得られる。
本発明者は、そのようなALO形成条件の効果を確認するために複数の試料を作成し、それらをTDS法により測定したしたところ、図9に示すPb脱離スペクトルの特性図が得られた。
TDS用試料は、シリコン基板上に形成された厚さ100nmのSiO膜の上に、下部電極として厚さ20nmのTi膜と厚さ100nmのIr膜をスパッタリング法により順に形成した後に、下部電極の上に厚さ100nmのPZTからなる強誘電体膜を有機金属CVD(MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition))法により成膜し、さらに、強誘電体膜の上にALD法によってALO膜を形成した。
そのように、ALO膜を強誘電体膜の上に形成したのは、図3Mに示した強誘電体キャパシタQのうち強誘電体膜19の側壁からALO膜26を通して出るPb離脱の様子を調査するためである。
そのような試料として、ALO膜の膜厚を1nm、2nm、4nm、7nmと異ならせた4種類を作成した。
また、リファレンスとして、PZT強誘電体膜の上にALO膜を成膜しない試料を形成した。それらの5種類の試料は、シリコン基板を1cm×1cmの大きさにカットして使用した。
TDS法によれば、温度を示す横軸とイオン強度の縦軸の座標で描かれた昇温脱離曲線は質量数ごとに1本ずつ得られる。ここで、Pbの質量数は、M/e=207となる。しかし、TDS装置において、分析試料からの脱離ガスを検出する四重極型質量分析計(QMS;Quadrupole Mass Spectrometer)がM/e=200までしか対応していないので、Pbについて直接分析することはできない。そこで、2価イオンであるPb2+に相当するM/e=103についての分析結果をプロットして図9の昇温脱離曲線を得た。
図9は、強誘電体キャパシタの表面においてALO膜が形成されない試料と、ALO膜が形成された試料について測定した昇温離脱曲線である。
図9で、「w/o ALO」と表記したALO膜の無い試料についての昇温離脱曲線は、温度上昇に伴って700℃付近からPb離脱を示すイオン強度が増大している。一方、「ALD1nm」、「ALD2nm」、「ALD4nm」、「ALD7nm」と表記したALO膜の有る試料についての昇温離脱曲線は、温度上昇に伴って740℃付近までPb脱離が抑制されている。
従って、ALO膜を1nmでも成膜することにより、Pb脱離の抑制効果が現れている。これらのことから、キャパシタ保護膜を強誘電体キャパシタQ表面上に形成することにより強誘電体膜19の構成元素の透過を実質的に防止できることがわかる。
なお、図9の横軸の温度は、分析試料を載置しているステージの温度を示しているのであって、分析試料の表面温度を直接に示しているのではない。
次に、ALO膜の水分透過性について説明する。
本発明者のTDS法によって分析されたHOの脱離スペクトルの特性を示す。分析には、図9の分析に使用したものと同じ構造の複数種類の分析試料を使用した。それらの分析試料をTDS分析することにより得られたイオン強度のうちM/e=18を温度毎にプロットすると図10に示す特性曲線が得られる。
図10において、「w/o ALO」と表記されたALO膜の無い分析試料についての昇温離脱曲線は、温度上昇に伴って450℃付近からHO離脱を示すイオン強度が増大している。しかも、その昇温離脱曲線のイオン強度が図9に比べて非常に大きいことからも、PZT強誘電体膜には相当の量の水分が吸蔵されていることがわかる。
これに対し、図10において「ALD7nm」で表記したように、厚さ7nmのALO膜を有する分析試料についての昇温離脱曲線は、ALO膜の水に対するブロック効果により、580℃付近から高温方向にHO離脱を示すイオン強度が増大している。
そのため、厚さ7nmのALO膜をアニールすることによりPZT膜に蒸し焼きが起こって劣化し易くなることが類推できる。
一方、ALO膜を7nmよりも薄く成膜した分析試料は、厚さが薄いほどALO膜及びPZT膜からの水の脱離が低い温度で起きていることが分かる。これらの結果は、実際の構造においては、ALO膜が薄いほど蒸し焼きによるPZT膜の劣化が少ない構造が得られることを示している。
なお、図10によれば、ALO膜は7nmよりも薄く形成することが望ましいことになるが、バッチ式CVD装置の成長条件によってはALO膜がよりポーラスになることがあり、この場合にはもう少し厚い10nm以下が望ましい。
次に、TMAを用いたALD法によって、強誘電体膜を劣化させない条件で、ALO膜を形成することができることをTDS分析結果に基づいて説明する。
PZT強誘電体膜を劣化する原因の1つに水素による還元があり、水素発生源としてALO膜がある。従って、ALO膜の形成時に発生する水素を捕捉することによって、その水素による影響、例えば、強誘電体メモリであれば強誘電体キャパシタを構成する強誘電体膜の受けるダメージを評価することができる。その評価のためにTDS法を用いることにより、そのダメージを定量的に示すことが可能となる。
分析試料として、シリコンウェーハ上に水素を吸蔵する性質を有するTi膜をスパッタリング法により例えば膜厚100nmに形成した後に、Ti膜上にALD法によりALO膜を20nmの厚さに形成してなる積層構造を用いた。
Ti膜は、水素により膜質が劣化する膜のダメージ、即ち強誘電体メモリを構成する強誘電体膜のダメージを把握するために強誘電体膜を模して形成された。また、ALO膜は、水素を含む雰囲気で成膜され、水素発生源となる。
分析試料では、強誘電体メモリの強誘電体キャパシタの上に実際に形成することを考えてALD法によりALO膜を成膜する。そして、シリコンウェーハを1cm×1cm角の大きさに切り出して複数の分析試料を作製する。
図11は、TDS分析によって得られた水素を示すM/e=2のHの脱離スペクトルを示す特性図であり、複数の成膜条件の違いにより得られたデータを重ね合わせたものである。
図11において、「Blank」と表記したものは、TDS装置内のバックグラウンドを測定するために分析試料を入れないで昇温した時のデータである。そのバックグラウンドについては650℃まで昇温してもイオン強度が増大することは無かった。
また、図11において、「スパッタALO」で表記したように、スパッタリング法によりALO膜をTi膜上に成膜したTDS分析データは、570℃あたりに脱離ピークを持っている。これは、水素吸蔵膜であるTi膜において、スパッタALO成膜時における雰囲気水素がTi膜中でTi−H基となって吸蔵され、このTi−H基のHが互いに結合することでHガスとなって脱離し、ピークが観察されたと考えられる。
この分析試料は、アルミナターゲットを用いて、Arガス雰囲気中でスパッタしているので、特に水素発生源は無いが、スパッタ装置のチャンバー内で高真空中に残存する水素をTi膜が吸蔵したものと考えられる。
これに対し、図11において、「ALD300℃40秒」で標記したように、ALD法にてALO膜をTi膜上に成膜したTDS分析データは、580℃あたりに大きなH脱離ピークが観察された。
このことは、Ti膜を強誘電体膜であるPZT膜に置き換えて考えると、ALD法によるALO膜の成膜時に相当量のHがPZT膜中に浸入することを示している。なお、ALD法による成膜条件として、基板温度を300℃に設定し、図5に相当する1サイクルあたりの時間を40秒に設定した。
一方、図11において、「ALD250℃65秒」と「ALD250℃40秒」で標記したように、成膜温度を250℃とした2つの試験用試料については、1サイクルあたりの時間の相違にかかわらず、H脱離ピークの面積、即ち水素離脱積算量が「スパッタALO」並みとなっていることが分かる。
スパッタリング法で成膜したALO膜からの水素の脱離量は、PZT膜に影響を与えないレベルと言えるので、基板温度250℃のALD法により形成されたALO膜は、強誘電体膜を劣化させない条件であることが分かる。
図11において、成膜温度250℃のALD法で成膜した試験用試料のH脱離ピークの位置が「スパッタALO」より高温側の600℃にシフトしているのは、ALD法により形成されたALO膜はスパッタリング法により形成されたALO膜よりも緻密であって、水素拡散防止性能が高いことによる。即ち、Ti膜で生成されたHがその直上のALO膜によってブロックされるので、H脱離が生じやすい温度が高くなるからである。
従って、強誘電体キャパシタを覆うALO膜の形成方法としてALD法を採用する場合には、250℃以下の成膜温度で形成することにより、水素発生量がスパッタ法並に少なくなることがわかる。
以上のことから、強誘電体キャパシタQを覆う第1のALD膜26をALD法により形成する場合には、成長温度を200℃以上で400℃未満、より好ましくは250℃以下に設定する。また、第1のALO膜26から水を離脱させるためにアニールすることが好ましい。さらに、強誘電体膜から金属元素、例えばPbの離脱を防止するためには、ALO膜の形成は必須となるが、厚すぎると強誘電体膜が蒸し焼き状態となるので、その膜厚を0.1nmより厚く且つ10nm未満、好ましくは0.5nmより厚く且つ7nm未満の厚さに設定することが好ましい。
一方、第1のALO膜26の上にALD法により形成される第2のALO膜27は、第1のALO膜26と同様に強誘電体キャパシタQの劣化を防止するために、第1のALO膜26と同様に、成長温度を200℃以上で400℃未満、より好ましくは250℃以下に設定する。また、第2のALO膜27は、その後の工程に発生する還元ガスの強誘電体キャパシタQへの侵入を防止するために、10nm以上であって70nm以下の厚さに形成することが好ましい。
以上の実施形態において、スタック型強誘電体キャパシタを有する強誘電体メモリにおいて、強誘電体キャパシタを覆う保護膜として二層構造のALO膜を形成するとともに、膜厚が適正化された一層目のALO膜を介して強誘電体膜をアニールすることにより、強誘電体膜を構成する金属の離脱を防止しつつ強誘電体膜から水分を離脱するようにし、その後に、水素拡散防止を目的とした二層目のALO膜を形成し、さらにアニールにより二層目のALO膜の水分除去と水素のバリア機能を高めるようにした。
これにより形成された強誘電体キャパシタは、保護膜をアニールする際に劣化されることがなく、強誘電体メモリとしての機能を良好に保つことができる。
なお、上記の実施形態においては、スタック型の強誘電体キャパシタを有する半導体装置及びその製造方法について説明したが、図6に示したような雛壇型を採用してもよい。
以上説明した実施形態は典型例として挙げたに過ぎず、各構成要素を組み合わせること、その変形およびバリエーションは当業者にとって明らかであり、当業者であれば本発明の原理および請求の範囲に記載した発明の範囲を逸脱することなく上述の実施形態の種々の変形を行えることは明らかである。
図1Aは、2T2C型の強誘電体メモリセルを示す回路図、図1Bは、1T1C型の強誘電体メモリセルを示す回路図である。 図2A〜図2Eは、原子層堆積法によるアルミニウム酸化物成長サイクルの反応モデルである。 図3A〜図3Cは、本発明の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その1)である。 図3D〜図3Fは、本発明の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その2)である。 図3G、図3Hは、本発明の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その3)である。 図3I、図3Jは、本発明の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その4)である。 図3K、図3Lは、本発明の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その5)である。 図3M、図3Nは、本発明の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その6)である。 図3O、図3Pは、本発明の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その7)である。 図3Q、図3Rは、本発明の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その8)である。 図3S、図3Tは、本発明の実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図(その9)である。 図4は、本発明の実施形態に係る半導体装置の製造工程において用いられる成膜装置の一例を示す構成図である。 図5は、本発明の実施形態に係る半導体装置の製造工程において使用される原子層堆積法によるアルミニウム酸化物膜の形成を示すフローチャートである。 図6は、本発明の実施形態に係る半導体装置の製造工程においてキャパシタ保護膜の最適形成条件を調査するための試料を示す断面図である。 図7は、本発明の実施形態に係る半導体装置の製造工程においてアルミニウム酸化物膜により覆われる前の強誘電体キャパシタのアニール温度とスイッチング電荷量損失の関係を示す図である。 図8は、アニールされたアルミニウム酸化物膜と、アニールされないアルミニウム酸化物膜のそれぞれについての昇温脱離ガス分析法による測定結果に基づく温度と脱水量の関係を示す特性図である。 図9は、PZT強誘電体膜をアルミニウム酸化物膜で覆う構造と覆わない構造のそれぞれについての昇温脱離ガス分析法による測定結果に基づくPZT強誘電体膜からの鉛の脱離と温度の関係を示す特性図である。 図10は、PZT強誘電体膜をアルミニウム酸化物膜で覆う構造と覆わない構造のそれぞれについての昇温脱離ガス分析法による測定結果に基づくPZT強誘電体膜からの水の脱離と温度の関係を示す特性図である。 図11は、スパッタリング法によりチタン膜上に形成したアルミニウム酸化物膜と原子層堆積法によりチタン膜上に形成したアルミニウム酸化物膜のそれぞれについての昇温脱離ガス分析法による測定結果に基づくチタン膜からの水素の脱離と温度の関係を示す特性図である。
符号の説明
1 シリコン基板
2a、2b ウェル
3 素子分離絶縁膜(STI)
4 ゲート絶縁膜
5a、5b ゲート電極
6 シリサイド層
7a、7b、7c エクステンション領域
8a、8b、8c 高濃度不純物拡散領域
9a、9b、9c ソース/ドレイン領域
10 サイドウォール
11 カバー絶縁膜
12、28、30 層間絶縁膜
13、31 グルー膜
14、32 W膜
15a、15b、15c、33b プラグ電極
16a Ti膜
16 TiN膜
17 酸素バリア膜
18 電極膜
19 強誘電体膜
20、21 酸化イリジウム膜
22 貴金属膜
23 ハードマスク
24 下部電極
25 上部電極
26、27、29 ALO(アルミニウム酸化物)膜
33a ビアプラグ電極
35a 金属配線
35b 金属パッド
Q 強誘電体キャパシタ。

Claims (4)

  1. 半導体基板の上方に下部電極膜、強誘電体膜及び上部電極膜を形成する工程と、
    前記上部電極膜、前記強誘電体膜及び前記下部電極膜をパターニングすることにより強誘電体キャパシタを形成する工程と、
    1nm以上、4nm以下の厚さを有する第1のアルミニウム酸化物膜を前記強誘電体キャパシタの表面上に原子層堆積法により形成する工程と、
    第1の酸素含有雰囲気内前記第1のアルミニウム酸化物膜をアニールする工程と、
    前記アニールを行った前記第1のアルミニウム酸化物膜の上に第2のアルミニウム酸化物膜を形成する工程と、
    前記第2のアルミニウム酸化物膜を第2の酸素含有雰囲気中でアニールする工程と
    を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
  2. 前記第1のアルミニウム酸化物膜の成長温度は200℃以上、250℃以下に設定されることを特徴とする請求項1記載の半導体装置の製造方法。
  3. 前記第1のアルミニウム酸化物膜をアニールする工程は、酸素または酸素及びオゾン雰囲気中で、前記半導体基板の温度が500℃〜650℃に設定されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
  4. 前記第2のアルミニウム酸化物膜は、前記第1のアルミニウム酸化物膜よりも厚いことを特徴とする請求項1乃至請求項のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
JP2007272809A 2007-10-19 2007-10-19 半導体装置の製造方法 Expired - Fee Related JP5217356B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007272809A JP5217356B2 (ja) 2007-10-19 2007-10-19 半導体装置の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007272809A JP5217356B2 (ja) 2007-10-19 2007-10-19 半導体装置の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009105084A JP2009105084A (ja) 2009-05-14
JP5217356B2 true JP5217356B2 (ja) 2013-06-19

Family

ID=40706510

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007272809A Expired - Fee Related JP5217356B2 (ja) 2007-10-19 2007-10-19 半導体装置の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5217356B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5672832B2 (ja) 2010-08-06 2015-02-18 富士通セミコンダクター株式会社 半導体装置とその製造方法
JP7360004B2 (ja) * 2019-02-01 2023-10-12 富士通セミコンダクターメモリソリューション株式会社 半導体装置の製造方法及び半導体装置

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004193280A (ja) * 2002-12-10 2004-07-08 Fujitsu Ltd 半導体装置及びその製造方法
JP4522088B2 (ja) * 2003-12-22 2010-08-11 富士通セミコンダクター株式会社 半導体装置の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2009105084A (ja) 2009-05-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5006519B2 (ja) 強誘電体キャパシタ水素障壁及びその製造方法
JP3961399B2 (ja) 半導体装置の製造方法
US7755125B2 (en) Semiconductor device including ferroelectric capacitor
JP5092461B2 (ja) 半導体装置及びその製造方法
US8367428B2 (en) Semiconductor device and manufacturing method thereof
JP2004153019A (ja) 半導体装置及びその製造方法
US8349679B2 (en) Semiconductor device and method of manufacturing the same
US20080057641A1 (en) Semiconductor device with capacitors and its manufacture method
US8729707B2 (en) Semiconductor device
JP5168273B2 (ja) 半導体装置とその製造方法
US7728370B2 (en) Semiconductor device and manufacturing method of the same
JP4946145B2 (ja) 強誘電体メモリの製造方法
JP5217356B2 (ja) 半導体装置の製造方法
US6908867B2 (en) Method of manufacturing a FeRAM with annealing process
JP2004193280A (ja) 半導体装置及びその製造方法
JP5245383B2 (ja) 半導体装置の製造方法
JP5239294B2 (ja) 半導体装置の製造方法
JP2009076747A (ja) 半導体装置の製造方法
US8263419B2 (en) Semiconductor device and method for manufacturing the same
US9093418B2 (en) Manufacture method for semiconductor device capable of preventing reduction of ferroelectric film
JP5007723B2 (ja) キャパシタを含む半導体装置及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20100726

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20121023

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20121025

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121225

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130205

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130218

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160315

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5217356

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees