本発明の一実施形態に係る硬貨収納箱回収システムを図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る硬貨収納箱回収システム11は、金融機関や百貨店、スーパーマーケット等の各店舗から回収された現金を処理する現金処理センタに硬貨処理用として設置されるもので、図1に示すように、硬貨処理機12で処理後の硬貨を収納する金種別の硬貨収納箱13をコンテナライン14によって次工程に搬送するものである。
硬貨処理機12は、投入されたバラ硬貨を処理する硬貨処理機本体17と、金種別の複数(具体的には、1円硬貨用、5円硬貨用、10円硬貨用、50円硬貨用、100円硬貨用、500円硬貨用の6個)の硬貨収納箱13が並んで搭載される収納部18とを有している。ここで、金種別の硬貨収納箱13は上部が開口するとともに平面視で一方向に長い直方体形状をなしており、全金種共通の大きさとなっている。
収納部18は、床面Fに対して位置固定で設けられており、具体的には床面Fに四隅のアンカーボルト21で締結固定されている。収納部18は、平面視長方形状の台であり、コンテナライン14の延在方向(搬送方向)に沿って配置されている。収納部18の硬貨収納箱13が搭載される搭載面は、コンテナライン14に平行に回転軸線を配置しコンテナライン14と直交する水平方向に並べられた複数のローラ23を有する水平なローラコンベア24で構成されている。このローラコンベア24は、送出駆動モータ25で駆動されるもので、これらローラコンベア24および送出駆動モータ25が、収納部18に搭載された金種別の硬貨収納箱13をコンテナライン14の方向に送出する送出機構26を構成している。
ローラコンベア24上には、金種別の硬貨収納箱13を個別に搭載可能な金種別の複数(具体的には6カ所)の収納区画28が、複数の仕切部材29によって画成されている。ここで、複数の仕切部材29は、コンテナライン14と直交する方向に延在する姿勢でコンテナライン14と平行な方向に並べられており、これにより、金種別の収納区画28もコンテナライン14と直交する方向に延在する姿勢でコンテナライン14と平行な方向に並べられている。金種別の収納区画28にそれぞれ一つずつ金種別に搭載される硬貨収納箱13は、コンテナライン14と直交する方向に延在する姿勢で、コンテナライン14の搬送方向に沿って並んで、収納部18に搭載される。
すべての収納区画28のコンテナライン14側の端部である前端部には、個別の図2に示す送出ストッパソレノイド31で昇降駆動される送出ストッパ32が、図1に示すようにそれぞれ設けられている。また、すべての収納区画28の後端部(コンテナライン14とは反対側)には昇降しない固定ストッパ33がそれぞれ設けられている。
ここで、固定ストッパ33は常にローラコンベア24上の硬貨収納箱13の移動を規制するもので、送出ストッパ32は、上昇状態でローラコンベア24上の硬貨収納箱13の移動を規制する一方、下降状態でローラコンベア24上の硬貨収納箱13の移動を許容する。隣り合う仕切部材29と上昇状態の送出ストッパ32と固定ストッパ33とで形成される金種別の収納区画28は、硬貨収納箱13の水平全方向の移動を規制することになり、後述するように硬貨処理機本体17が退避することで上方が開放されると硬貨収納箱13の上方向の抜き差しが可能となっている。また、すべての収納区画28には、搭載された硬貨収納箱13を個別に検出する搭載センサ34がそれぞれ設けられている。
床面Fには、収納部18のコンテナライン14側およびコンテナライン14とは反対側に、コンテナライン14と平行な一対のガイドレール38が敷設されており、硬貨処理機本体17は、これらガイドレール38に摺動可能に支持され、床面Fに対し移動可能となっている。硬貨処理機本体17は、門型をなしており、ガイドレール38上を、コンテナライン14と平行に移動することで、収納部18を上側から覆う図3に二点鎖線で示す通常位置と、図3に実線で示す収納部18から離間する退避位置との間で移動可能となっている。
硬貨処理機本体17は、進退駆動モータ39で駆動されてガイドレール38上を走行することになり、硬貨処理機本体17には、これが通常位置にあることを床面Fに埋設された通常位置被検出体41を検出することで検出し、退避位置にあることを床面Fに埋設された退避位置被検出体42を検出することで検出する摺動位置センサ43が設けられている。
ここで、硬貨処理機本体17の下部には、摺動位置決めソレノイド45で駆動されて下方に進退する固定ピン46が設けられており、固定ピン46は、硬貨処理機本体17の移動時は後退し、硬貨処理機本体17が通常位置にあるとき、前進し床面Fの通常位置ピン穴47に嵌合して硬貨処理機本体17を通常位置に位置決め固定し、硬貨処理機本体17が退避位置にあるとき、前進し床面Fの退避位置ピン穴48に嵌合して硬貨処理機本体17を退避位置に位置決め固定する。
硬貨処理機本体17は、外部から投入されたバラ硬貨を一枚ずつに分離して搬送し、識別計数して金種別に分類する硬貨処理機構部53を有するもので、硬貨処理機構部53で金種別に分類した硬貨を放出する下方開口の金種別の放出口54がコンテナライン14の搬送方向に沿って並んで設けられている。そして、硬貨処理機本体17は、通常位置にあるとき、金種別の放出口54のそれぞれの鉛直下方に、収納部18の金種別の収納区画28に搭載された金種別の硬貨収納箱13が対応配置されることになり、これにより、金種別の放出口54から金種別の硬貨収納箱13に金種別に硬貨を放出することになる。
硬貨処理機本体17には、タッチパネル式の操作表示部(収納量表示手段,出庫表示手段)57と、制御部58とが設けられており、制御部58は、図2に示すように、操作表示部57、送出駆動モータ25、送出ストッパソレノイド31、搭載センサ34、進退駆動モータ39、摺動位置センサ43、摺動位置決めソレノイド45および硬貨処理機構部53に、これらを制御可能となるように接続されている。制御部58は、硬貨処理機構部53の計数結果から金種別の硬貨収納箱13のそれぞれの収納量を把握するようになっている。
図1に示すように、収納部18のコンテナライン14側には、収納部18から金種別の硬貨収納箱13を受入可能な導入搬送ライン61が、収納部18とコンテナライン14の側部の導入口62とを結んで設けられている。
導入搬送ライン61は、床面Fに対して位置固定で設けられており、具体的には床面Fに四隅のアンカーボルト63で締結固定されている。導入搬送ライン61は、平面視長方形状の台であり、コンテナライン14の延在方向に対して直交する方向に沿って配置されている。導入搬送ライン61の硬貨収納箱13を搬送する搬送面は、コンテナライン14に平行に回転軸線を配置しコンテナライン14と直交する水平方向に並べられた複数のローラ65を有する水平なローラコンベア66で構成されている。このローラコンベア66は、導入駆動モータ67で駆動されるもので、これらローラコンベア66および導入駆動モータ67が、収納部18から導入搬送ライン61に送出された硬貨収納箱13をコンテナライン14に、側部の導入口62から導入する導入機構68を構成している。
ローラコンベア66上には、金種別の硬貨収納箱13を個別に搬送可能な金種別の複数(具体的には6カ所)の搬送区画71が、複数の仕切部材72によって画成されている。ここで、複数の仕切部材72は、コンテナライン14と直交する方向に延在する姿勢でコンテナライン14と平行な方向に並べられており、これにより、金種別の搬送区画71もコンテナライン14と直交する方向に延在する姿勢でコンテナライン14と平行な方向に並べられている。それぞれが隣り合う仕切部材72で形成される金種別の搬送区画71は、硬貨収納箱13のコンテナライン14に沿う水平方向の移動を規制する。また、すべての搬送区画71の収納部18側の端部には、収納部18から送出された硬貨収納箱13を個別に検出する送出センサ73がそれぞれ設けられている。
導入搬送ライン61の金種別の搬送区画71は、収納部18の金種別の収納区画28と、同一高さであって、同一金種同士が同一直線上に配置されている。これにより、言い換えれば、導入搬送ライン61が、収納部18から金種別の硬貨収納箱13を個別に受入可能な金種別の搬送区画71を有する。
コンテナライン14は、導入搬送ライン61から導入口62を介して導入された金種別の硬貨収納箱13を、硬貨の袋詰め工程や包装工程等の次工程に搬送するものである。
コンテナライン14も、床面Fに対して位置固定で設けられており、具体的には床面Fに複数のアンカーボルト78で締結固定されている。
コンテナライン14の硬貨収納箱13を搬送する搬送面は、搬送方向に直交する水平方向に回転軸線を配置し搬送方向に並べられた複数のローラ80を有する水平なローラコンベア81で構成されている。このローラコンベア81は、搬送駆動モータ82で駆動されるもので、これらローラコンベア81および搬送駆動モータ82が、導入搬送ライン61から導入された硬貨収納箱13を次工程に搬送する搬送機構83を構成している。
ローラコンベア81上には、金種別の硬貨収納箱13を個別に搬送可能な金種別の複数(具体的には6カ所)の搬送区画86が、複数の仕切部材87によって画成されている。ここで、複数の仕切部材87は、搬送方向に沿って延在する姿勢で搬送方向と直交する方向に並べられており、これにより、金種別の搬送区画86も搬送方向に沿って延在する姿勢で搬送方向と直交する方向に並べられている。それぞれが隣り合う仕切部材87で形成される金種別の搬送区画86は、硬貨収納箱13のコンテナライン14に直交する水平方向の移動を規制する。
コンテナライン14は、導入搬送ライン61から金種別の硬貨収納箱13が導入される導入口62の位置が途切れており、この部分に、導入口62を介して導入された金種別の硬貨収納箱13を水平回転させるターンテーブル91が設けられている。このターンテーブル91は、これを水平回転させる方向転換モータ92とともに方向転換機構93を構成している。
ターンテーブル91の硬貨収納箱13が導入される導入面は、互いに平行に並べられた複数のローラ95を有する水平なローラコンベア96で構成されている。このローラコンベア96は、導入出駆動モータ97で駆動されるもので、これらローラコンベア96および導入出駆動モータ97が、導入搬送ライン61から硬貨収納箱13を導入し且つ導入された硬貨収納箱13を下流側に向け導出する導入出機構98を構成している。
ローラコンベア96上には、導入搬送ライン61の金種別の搬送区画71から金種別の硬貨収納箱13を個別に導入可能な金種別の複数(具体的には6カ所)の導入区画101が、複数の仕切部材102によって画成されている。ここで、複数の仕切部材102は、ローラコンベア96の導入出方向に沿って延在する姿勢で導入出方向と直交する方向に並べられており、これにより、金種別の導入区画101も導入出方向に沿って延在する姿勢で導入出方向と直交する方向に並べられている。
すべての導入区画101の前端部には、図2に示す共通の導出ストッパソレノイド104で昇降駆動される導出ストッパ105が、図1に示すようにそれぞれ設けられている。導出ストッパ105は、上昇状態でローラコンベア96上の硬貨収納箱13の移動を規制する一方、下降状態でローラコンベア96上の硬貨収納箱13の移動を許容する。それぞれが隣り合う仕切部材102で形成される金種別の導入区画101は、硬貨収納箱13の導入出方向に対し直交する水平方向の移動を規制する。
ここで、図1に示すように、ターンテーブル91がすべての導入区画101を導入搬送ライン61の搬送方向に沿わせる導入位置にあるとき、ターンテーブル91の金種別の導入区画101は、導入搬送ライン61の金種別の搬送区画71と、同一高さであって、同一金種同士が同一直線上に配置されることになる。これにより、言い換えれば、方向転換機構93のターンテーブル91が、導入搬送ライン61の金種別の搬送区画71から金種別の硬貨収納箱13を個別に導入可能な金種別の導入区画101を有する。なお、ターンテーブル91は、全金種の硬貨収納箱13を同時に搭載可能であり、同時に搭載された全金種の硬貨収納箱13を同時に水平回転可能となっている。
また、図3に示すように、ターンテーブル91がすべての導入区画101をコンテナライン14の搬送方向に沿わせる導出位置にあるとき、ターンテーブル91の金種別の導入区画101は、コンテナライン14の金種別の搬送区画86と、同一高さであって、同一金種同士が同一直線上に配置されることになる。これにより、言い換えれば、コンテナライン14が、方向転換機構93の金種別の導入区画101から金種別の硬貨収納箱13を個別に受入可能な金種別の搬送区画86を有する。
ターンテーブル91には、図1に示すように、これが導入位置にあることをコンテナライン14に設けられた導入位置被検出体109を検出することで検出し、図3に示すように、これが導出位置にあることを導入搬送ライン61に設けられた導出位置被検出体108を検出することで検出する回転位置センサ110が設けられている。
ここで、ターンテーブル91には、回転位置決めソレノイド112で駆動されて径方向に進退する固定ピン113が設けられており、固定ピン113は、ターンテーブル91の回転時は後退し、図1に示すようにターンテーブル91が導入位置にあるとき、前進しコンテナライン14の導入位置ピン穴114に嵌合してターンテーブル91を導入位置に位置決め固定し、図3に示すようにターンテーブル91が導出位置にあるとき、前進し導入搬送ライン61の導出位置ピン穴115に嵌合してターンテーブル91を導出位置に位置決め固定する。
すべての導入区画101の後端部には、導入搬送ライン61から導入された硬貨収納箱13を個別に検出する導入センサ118がそれぞれ設けられており、コンテナライン14のターンテーブル91の直下流位置にもターンテーブル91からコンテナライン14に導出された硬貨収納箱13を個別に検出する導出センサ119がそれぞれ設けられている。
コンテナライン14のすべての搬送区画86には、ターンテーブル91の直上流位置に、図2に示す共通の停止ストッパソレノイド122で昇降駆動される停止ストッパ123が、図1に示すようにそれぞれ設けられている。また、コンテナライン14のすべての搬送区画86には、停止ストッパ123の近傍に硬貨収納箱13を検出する通過センサ124がそれぞれ設けられている。停止ストッパ123は、上昇状態でローラコンベア81上の硬貨収納箱13の移動を規制する一方、下降状態でローラコンベア81上の硬貨収納箱13の移動を許容する。これらの停止ストッパソレノイド122と停止ストッパ123と通過センサ124とが、コンテナライン14の上流側からターンテーブル91への硬貨収納箱13の搬送を規制する停止機構125を構成している。
なお、硬貨処理機本体17の制御部58には、図2に示すように、当該硬貨処理機本体17から硬貨収納箱13をコンテナライン14に導入する導入搬送ライン61の導入駆動モータ67、同導入搬送ライン61の送出センサ73、同導入搬送ライン61から導入された硬貨収納箱13の方向を転換する方向転換機構93の方向転換モータ92、同方向転換機構93の導入出駆動モータ97、同方向転換機構93の導出ストッパソレノイド104、同方向転換機構93の導入センサ118、同方向転換機構93の回転位置センサ110、同方向転換機構93の回転位置決めソレノイド112、同方向転換機構93の直下流位置の導出センサ119および同方向転換機構93の直上流位置の停止機構125の停止ストッパソレノイド122が、これらを制御可能となるように接続されている。
そして、図4に示すように、共通のコンテナライン14に、硬貨処理機12および導入搬送ライン61の組が、共用の方向転換機構93を挟んで二組設けられている。ここで、両側の硬貨処理機12および導入搬送ライン61の組に対して共通となる方向転換機構93の方向転換モータ92、導入出駆動モータ97、導出ストッパソレノイド104、回転位置センサ110、回転位置決めソレノイド112および導入センサ118と、同方向転換機構93の直下流位置の導出センサ119と、同方向転換機構93の直上流位置の停止機構125の停止ストッパソレノイド122とについては、両側の硬貨処理機12の制御部58で制御可能となっている。
さらに、上記した硬貨処理機12および導入搬送ライン61の二組と、これらに共通の方向転換機構93との組が、上記した共通のコンテナライン14の上下流に離間して複数組設けられている。
次に、以上に述べた硬貨収納箱回収システム11の作動について、一組の硬貨処理機12および導入搬送ライン61と、これらから導入された硬貨収納箱13を方向転換する方向転換機構93と、その直上流位置の停止機構125および直下流位置の導出センサ119とを例にとり説明する。
硬貨処理機12および導入搬送ライン61は、基本状態にあるとき、硬貨処理機本体17を図3に二点鎖線で示すように、通常位置に位置させ、送出駆動モータ25を停止させ、送出ストッパ32を上昇させ、導入駆動モータ67を停止させている。また、方向転換機構93は、基本状態にあるとき、図3に示すように、ターンテーブル91を導出位置に位置させ、導入出駆動モータ97を駆動し、導出ストッパ105を下降させている。そして、このような基本状態で、硬貨収納箱13が全金種の収納区画28に搭載されていることを条件に、硬貨処理機12が稼動している。また、コンテナライン14は、基本状態にあるとき、搬送駆動モータ82を駆動するとともに、停止ストッパ123を下降させている。
この状態では、コンテナライン14のローラコンベア81で搬送されることで、ターンテーブル91よりも上流側から対応金種用の搬送区画86内を移動してきた硬貨収納箱13は、ターンテーブル91のローラコンベア96でターンテーブル91の同金種用の導入区画101内を移動し、再びコンテナライン14の同金種用の搬送区画86内を移動して、ターンテーブル91よりも下流側に搬送されることになる。
そして、硬貨処理機12において、例えば硬貨の計数処理中に金種別の硬貨収納箱13のいずれかについて、硬貨の収納量が所定量以上となり満杯状態になったことを制御部58が認識すると、制御部58は、硬貨処理機構部53の稼動を停止させるとともに、操作表示部57に、すべての硬貨収納箱13の硬貨の収納量つまり全金種の硬貨の収納量と、満杯状態の硬貨収納箱13の金種とを表示する。ここで、具体的には、収納量として、満杯時の収納量に対するその時点での収納量の割合を表示する。
制御部58は、操作表示部57に、満杯となった金種の硬貨収納箱13のみを次工程に送るか、満杯となった金種の硬貨収納箱13と合わせて指定された金種の硬貨収納箱13を次工程に送るか、すべての金種の硬貨収納箱13を次工程に送るかの選択入力を促す回収選択表示を表示させる。
回収選択表示に対して、満杯となった金種の硬貨収納箱13のみを次工程に送ることが操作表示部57に選択入力された場合、制御部58は、すべての通過センサ124で硬貨収納箱13が検出されていないことを条件に、停止ストッパソレノイド122を駆動して全金種の停止ストッパ123を上昇状態とする。いずれかの通過センサ124で硬貨収納箱13が検出されている場合は、前記条件を満足するまで待機する。全金種の停止ストッパ123を上昇状態とすることで、図1に示すように、コンテナライン14で上流側から搬送されてきた硬貨収納箱13を停止させる。
制御部58は、上記のように停止ストッパ123を上昇状態とした後、停止ストッパ123よりも下流側のすべての硬貨収納箱13が導出センサ119よりも下流側にあることを条件に、回転位置決めソレノイド112を駆動して固定ピン113を導出位置ピン穴115から引き抜き、方向転換モータ92を駆動しターンテーブル91を図3に示す状態から回転させることになり、図1に示すように導入位置被検出体109を回転位置センサ110で検出すると、方向転換モータ92を停止させて、回転位置決めソレノイド112を駆動して固定ピン113を導入位置ピン穴114に嵌合させる。これにより、ターンテーブル91は導出位置から90度回転した導入位置に位置する。このとき、導入出駆動モータ97の駆動状態は維持しており、ターンテーブル91のローラコンベア96が、導入搬送ライン61からの硬貨収納箱13を引き込み可能な方向に回転している。また、これと並行して、制御部58は、導出ストッパソレノイド104を駆動してすべての導出ストッパ105を上昇させる。
上記と並行して、制御部58は、操作表示部57に、硬貨処理機本体17の退避を許可する旨の操作入力を促す表示を表示させる。そして、操作表示部57に、許可する旨の操作入力が行われると、制御部58は、摺動位置決めソレノイド45を駆動して固定ピン46を通常位置ピン穴47から引き抜いた後、進退駆動モータ39を駆動して硬貨処理機本体17をガイドレール38で案内しつつ退避位置の方向に移動させる。そして、摺動位置センサ43が退避位置被検出体42を検出すると、進退駆動モータ39を停止させて、摺動位置決めソレノイド45を駆動して固定ピン46を退避位置ピン穴48に嵌合させる。これにより、硬貨処理機本体17が退避位置で停止する。
続いて、制御部58は、収納部18の送出駆動モータ25を駆動するとともに、導入搬送ライン61の導入駆動モータ67を駆動して、収納部18のローラコンベア24および導入搬送ライン61のローラコンベア66を方向転換機構93に向けて回転させる送出準備作動を行うと同時に、満杯となった金種の硬貨収納箱13が搭載されていた収納区画28の送出ストッパソレノイド31のみを駆動して送出ストッパ32を下降させる。すると、図5に示すように、この満杯となった金種の硬貨収納箱13のみが、収納部18のローラコンベア24、導入搬送ライン61のローラコンベア66および方向転換機構93のローラコンベア96の駆動で搬送されて、その金種専用の収納区画28から同金種専用の搬送区画71を移動して、同金種専用の導入区画101に導入され、導出ストッパ105に当接して停止する。
なお、制御部58は、満杯となった金種の硬貨収納箱13が対応する金種用の送出センサ73を通過したことをこの送出センサ73で検出すると、下降させていた送出ストッパ32用の送出ストッパソレノイド31を駆動してこの送出ストッパ32を上昇させるとともに、送出駆動モータ25を停止させることになる。そして、制御部58は、操作表示部57に、送出した金種の硬貨収納箱13の代わりに空の硬貨収納箱13の搭載を促す表示を表示させ、すべての金種の搭載センサ34で硬貨収納箱13が検出されると、硬貨処理機本体17の通常位置への移動を許可する旨の操作入力を促す表示を表示させる。
操作表示部57に、硬貨処理機本体17の通常位置への移動を許可する旨の操作入力が行われると、制御部58は、摺動位置決めソレノイド45を駆動して固定ピン46を退避位置ピン穴48から引き抜いた後、進退駆動モータ39を駆動して硬貨処理機本体17を通常位置の方向に移動させる。そして、摺動位置センサ43が通常位置被検出体41を検出すると、進退駆動モータ39を停止させて、摺動位置決めソレノイド45を駆動して固定ピン46を通常位置ピン穴47に嵌合させる。その後、制御部58は、硬貨処理機構部53の再稼働を可能とする。
また、制御部58は、満杯となった金種の硬貨収納箱13が対応する金種用の導入センサ118を通過したことをこの導入センサ118で検出すると、導入駆動モータ67を停止させることになる。
その後、制御部58は、回転位置決めソレノイド112を駆動して固定ピン113を導入位置ピン穴114から引き抜き、方向転換モータ92を駆動してターンテーブル91を回転させて、図6に示すように、導出位置被検出体108を回転位置センサ110で検出すると、方向転換モータ92を停止させて、回転位置決めソレノイド112を駆動して固定ピン113を導出位置ピン穴115に嵌合させる導出方向転換作動を行う。これにより、ターンテーブル91は導入位置から90度回転した導出位置に位置する。
そして、制御部58は、導出方向転換作動後に、導出ストッパソレノイド104を駆動して全金種の導出ストッパ105を下降させることになり、これにより、満杯となった金種の硬貨収納箱13が、ターンテーブル91のローラコンベア96の駆動およびコンテナライン14のローラコンベア81の駆動で搬送されて、次工程に向けて、その金種専用の導入区画101から同金種専用の搬送区画86を移動する。なお、制御部58は、この満杯となった金種用の硬貨収納箱13がこれに対応する導出センサ119を通過したことをこの導出センサ119で検出すると、停止ストッパソレノイド122を駆動して全金種の停止ストッパ123を下降状態とする。
上記した回収選択表示に対して、満杯となった金種の硬貨収納箱13と合わせて指定された金種の硬貨収納箱13を次工程に送ることが操作表示部57に選択入力された場合、制御部58は、これらを回収対象の硬貨収納箱13とすることになり、その後の制御は、上記に対して以下の点が主に相違することになる。
制御部58は、上記送出準備作動の後、回収対象の硬貨収納箱13が搭載されていたすべての収納区画28について、送出ストッパソレノイド31を駆動して送出ストッパ32を下降させる。すると、これら回収対象の硬貨収納箱13が、図7に示すように、それぞれの金種専用の収納区画28から、それぞれの金種専用の搬送区画71を移動して、それぞれの金種専用の導入区画101に導入され、導出ストッパ105に当接して停止する。このとき、制御部58は、すべての回収対象の硬貨収納箱13がそれぞれ対応する金種用の送出センサ73を通過したことをそれぞれの送出センサ73で検出すると、下降させていた送出ストッパ32用の送出ストッパソレノイド31を駆動してこれらの送出ストッパ32を上昇させるとともに、送出駆動モータ25を停止させることになる。
また、制御部58が、上記導出方向転換作動の後、図8に示す状態から、導出ストッパソレノイド104を駆動して全金種の導出ストッパ105を下降させると、回収対象の硬貨収納箱13が、次工程に向けて、それぞれの金種専用の導入区画101からそれぞれの金種専用の搬送区画86を移動することになり、制御部58は、すべての回収対象の硬貨収納箱13がそれぞれ対応する導出センサ119を通過したことをそれぞれの導出センサ119で検出すると、停止ストッパソレノイド122を駆動して停止ストッパ123を下降状態とする。
上記した回収選択表示に対して、すべての金種の硬貨収納箱13を次工程に送ることが操作表示部57に選択入力された場合、制御部58の制御は、上記に対して以下の点が主に相違することになる。
制御部58は、上記送出準備作動の後、すべての送出ストッパソレノイド31を駆動して全金種の送出ストッパ32を下降させる。すると、全金種の硬貨収納箱13が、図9に示すように、それぞれの金種専用の収納区画28から、それぞれの金種専用の搬送区画71を移動して、それぞれの金種専用の導入区画101に導入され、導出ストッパ105に当接して停止する。このとき、制御部58は、全金種の硬貨収納箱13がそれぞれ対応する金種用の送出センサ73を通過したことをすべての送出センサ73で検出すると、下降させていた送出ストッパ32用の送出ストッパソレノイド31を駆動してすべての送出ストッパ32を上昇させるとともに、送出駆動モータ25を停止させることになる。
また、制御部58が、上記導出方向転換作動の後、図10に示す状態から、導出ストッパソレノイド104を駆動して全金種の導出ストッパ105を下降させると、全金種の硬貨収納箱13が、次工程に向けて、それぞれの金種専用の導入区画101からそれぞれの金種専用の搬送区画86を移動することになり、制御部58は、全金種の硬貨収納箱13がそれぞれ対応する導出センサ119を通過したことをそれぞれの導出センサ119で検出すると、停止ストッパソレノイド122を駆動して停止ストッパ123を下降状態とする。
以上に述べた本実施形態に係る硬貨収納箱回収システム11によれば、硬貨処理機12の収納部18には、金種別の硬貨収納箱13がコンテナライン14の搬送方向に並んで搭載されることになり、この収納部18とコンテナライン14の導入口62とを結んで設けられた導入搬送ライン61が、収納部18から金種別の硬貨収納箱13を個別に受入可能な金種別の搬送区画71を有するため、収納部18から金種別の硬貨収納箱13を複数同時に互いに衝突等させることなくコンテナライン14に搬送可能となる。そして、コンテナライン14に搬送された硬貨収納箱13を方向転換機構93で水平回転させることでコンテナライン14の搬送方向に合わせてコンテナライン14で搬送することができる。このように、収納部18から金種別の硬貨収納箱13を複数同時にしかも容易にコンテナライン14に搬送可能であるため、硬貨処理機12から硬貨収納箱13を回収する際の作業性を向上できる。
しかも、硬貨処理機本体17を床面Fに対し移動可能とし、収納部18を床面Fに対し位置固定とするため、収納部18の金種別の収納区画28に搭載された金種別の硬貨収納箱13に対し、導入搬送ライン61の金種別の搬送区画71が常に位置決め状態に維持されることになる。したがって、硬貨収納箱13を回収する際の位置決めが不要となることから、その作業性をさらに向上できる。
また、方向転換機構93が、その金種別の導入区画101で、導入搬送ライン61の金種別の搬送区画71から金種別の硬貨収納箱13を個別に受け入れることになるため、金種別の硬貨収納箱13を複数同時に互いに衝突等させることなく方向転換可能となる。そして、コンテナライン14の金種別の搬送区画86が、方向転換機構93の金種別の導入区画101から金種別の硬貨収納箱13を個別に受け入れて搬送することになるため、金種別の硬貨収納箱13を複数同時に互いに衝突等させることなく受け入れて搬送可能となる。したがって、硬貨処理機12から硬貨収納箱13を回収する際の作業性をさらに向上できる。
また、コンテナライン14には、硬貨処理機12および導入搬送ライン61の組が、方向転換機構93を挟んで二組設けられているため、硬貨処理の処理能力を向上する上で、方向転換機構93を共用化できる。したがって、全体をコンパクト化し、また低コストで硬貨処理の処理能力を向上できる。
また、方向転換機構93の直上流位置に設けられた停止機構125で、コンテナライン14の上流側からの硬貨収納箱13の搬送を規制した状態で、方向転換機構93に導入搬送ライン61から硬貨収納箱13を導入できるため、コンテナライン14で搬送中の他の硬貨収納箱13を方向転換機構93に衝突等させることがなくなる。したがって、硬貨処理機12から硬貨収納箱13を回収する際の作業性をさらに向上できる。
また、硬貨処理機12の操作表示部57に、硬貨収納箱13の収納量と、収納量が所定量以上の満杯の硬貨収納箱13を表示するため、適正な硬貨収納箱13を回収することができる。
ここで、方向転換機構93は、その両側の硬貨処理機12および導入搬送ライン61の二組に対して共用であるため、一方の硬貨処理機12および導入搬送ライン61の組に対して用いられる場合は、この一方の組の導入搬送ライン61側に導入センサ118を位置させる導入位置となり、他方の硬貨処理機12および導入搬送ライン61の組に対して用いられる場合は、上記に対して180度異なる、この他方の組の導入搬送ライン61側に導入センサ118を位置させる導入位置となる。
なお、以上の実施形態では、収納部18のローラコンベア24を送出駆動モータ25で駆動する場合を例にとり説明したが、収納部18のローラコンベア24をフリーコンベアとして、手動で硬貨収納箱13を導入搬送ライン61に送出するようにしても良い。その場合、硬貨処理機本体17を退避位置に位置させた後、制御部58が回収対象の硬貨収納箱13が設けられた収納区画28の送出ストッパ32のみを送出ストッパソレノイド31で下降させることになる。
同様に、導入搬送ライン61のローラコンベア66をフリーコンベアとして、手動で硬貨収納箱13をターンテーブル91に導入するようにしても良い。この場合、収納部18のローラコンベア24をフリーコンベアとしても良く、収納部18のローラコンベア24を送出駆動モータ25で駆動しても良い。
また、送出センサ73、導入センサ118および導出センサ119のうち、少なくともいずれか一つを省略し、収納部18のローラコンベア24、導入搬送ライン61のローラコンベア66およびターンテーブル91のローラコンベア96のいずれか対応するものの搬送速度で、硬貨収納箱13の位置を推定するようにしても良い。
また、硬貨処理機本体17のスライド方向をコンテナライン14と直交する方向とし、硬貨処理機本体17を収納部18のコンテナライン14とは反対側に退避させるようにしても良い。この場合、ガイドレール38を収納部18と導入搬送ライン61との間に設ける必要がなくなるため、収納部18と導入搬送ライン61との距離を近づけることができる。
また、硬貨処理機本体17を進退駆動モータ39で駆動するのではなく、手動でスライドさせても良く、その場合、ガイドレール38で案内するのではなく、硬貨処理機本体17の下部にフリーキャスターを設けて、硬貨処理機本体17を収納部18に対して移動させるようにしても良い。
また、導入搬送ライン61の金種別の搬送区画71や、収納部18の金種別の収納区画28等は、便宜上各々全て6カ所設けてある構成にて説明したが、これに限ることはない。これらの箇所数は、収納部18の硬貨収納箱13の個数に対応して、各々必要とする箇所数が設けられていれば良い。例えば硬貨収納箱13の個数が3個の場合には、これらの箇所数は全て一律で3ケ所設けられていても良いし、もしくは、各々の箇所数が個別に3または3以上設けられていても良いことになる。つまりは、処理する硬貨の金種の数等に応じて、適宜応用が利く。
また、操作表示部57で硬貨収納箱13を次行程に送る選択入力については、便宜上計数処理中に金種別の硬貨収納箱13のいずれかが満杯状態になった場合を例にして説明したが、これに限ることはない。例えば業務終了時には、金種別の硬貨収納箱13のいずれかが満杯状態、または満杯でない状態の如何に関係なく、すべての硬貨収納箱13を回収対象として次行程に送る選択入力することも、むろん可能である。そしてこの際に、硬貨が1枚も収納されていない空の硬貨収納箱13については、回収対象として選択入力しても良いし、選択入力しなくても良い。