JP5212998B2 - 電気化学セル - Google Patents
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Description
円盤状のボタン型電気化学セルが多用されているが、ボタン型電気化学セルはリフローハンダ付けを行うには端子等をケースにあらかじめ溶接しておく必要があり、部品点数の増加および製造工数の増加という点でコストアップとなっていた。また、基板上に端子を接続するスペースを設ける必要があり小型化に限界があった。
さらに、電気化学セルには耐熱性の向上が求めれている。リフローハンダ付けにより、電気化学セルを基板に実装するためである。リフローハンダ付けとは、あらかじめプリント基板上のハンダ付を行う部分にハンダクリーム等を塗布しておきその部分に部品を載置するか、あるいは、部品を載置後ハンダ小球(ハンダバンプ)をハンダ付部分に供給し、ハンダ付部分がハンダの融点以上、例えば、200〜260℃となるように設定された高温雰囲気の炉内に部品を搭載したプリント基板を通過させることにより、ハンダを溶融させてハンダ付を行う方法である。
従来の電気化学セルの断面図を図3に示した。
容器101の材料は、セラミックスで作製する場合には、容器101はアルミナ等のセラミックス製で、グリーンシートにタングステン等の高融点金属をプリント配線し、焼成することによりつくられる。
容器101の底面側に正極活物質106を配置しており、正極活物質106は導電性接着剤1111を用いて正極集電体103に接着されている。容器101は、蓋102によって封止されており、容器101と蓋102は金属リング109を介して接合している。また、負極活物質107は、導電性接着剤1112を用いて蓋102に接着されている。
しかし、従来の電気化学セルを比較的高い電圧例えば3V前後で使う場合は、正極活物質と接している正極集電体103が溶解してしまうとの課題があった。
これは、電気化学セルの充電時に正極側の電位が上昇し、正極集電体103が溶解する電圧にまで達するためであると考えられる。
以上より本発明は、製造が容易で、かつ正極集電体の溶解を防止し高電圧での使用が可能である電気化学セルの提供を目的とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明であって、前記正極集電体と、この正極集電体に電気的に接続された接続端子のうち、前記容器内部に位置する部分は、前記容器内部で底板と平行となるように位置させたことを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明であって、前記正極集電体と前記正極活物質との間の電気的な接続において、前記被覆部の前記正極集電体側での電気的接続部分の面積よりも、前記正極活物質側での電気的接続部分の面積の方が、大きく形成されていることを特徴とする。
前記正極集電体における前記被覆部の弁金属がアルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、ハフニウム、ジルコニウムのいずれかを用いても良い。
さらに、本発明の電気化学セルは、前記正極集電体の一部が前記容器に埋設され、前記正極集電体の埋設されていない部分は被覆部で覆われている。
好ましくは、本発明の電気化学セルは前記被覆部と前記正極活物質が導電性接着剤により接着または接続されている。
さらに好ましくは、本発明の電気化学セルは前記正極活物質に対する前記導電性接着剤の塗布面積が、前記被覆部の面積より大きい。
正極集電体の表面を覆う弁金属としてアルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、ハフニウム、ジルコニウムのいずれかを用いることにより正極活物質の溶解が防止でき、高電圧での電気化学セルの使用が可能となる。
正極集電体の一部が前記の容器に埋設されたことにより被覆部分が小さくなり、ピンホール等の膜欠陥を防ぎ均一に被覆することが容易になり、信頼性も向上した。従来の方法では、容器外壁近くの正極集電体の被覆が難しく僅かでも被覆部の位置がずれると、正極集電体の一部が露出したり金属リングや接合材と接触してしまうことがあり、内部ショートを起こし機能しなくなることがあったが、本発明では被覆部の形成位置が多少ずれても正極集電体の一部が露出したり金属リングや接合材と接触してしまうことが無く容易に被覆することができる。
さらに、前記正極活物質に対する前記導電性接着剤の塗布面積を前記被覆部の面積より大きくすることにより、正極活物質の接触面積を大きくし電気化学セルの内部抵抗をより減少させることができる。
容器にセラミックスを用いることにより電気化学セルの耐熱性が向上しリフローハンダ付けを行っても電気化学セルの特性が劣化しなくなり信頼性が向上する。
容器の外壁上部に金属リング109が設けられており、金属リング109の表面には、接合材が配されている。蓋102の表面にも接合材が配されている。接合材が溶融して容器101と蓋102が封止されている。導電性接着剤1112によって、蓋102に負極活物質107が貼り付けられている。蓋102は、導電性を有しており負極集電体として作用する。
次に、本発明の参考例に係る別の電気化学セルの断面図を図2に示す。本発明の容器101をアルミナで作製する場合、底面となる四角のアルミナグリーンシートを配設し、その表面にタングステンプリントを施し正極集電体103及び接続端子A1041と接続端子B1042の一部の配線を施す。
次に接続端子A1041と接続端子B1042の残りの配線を容器101の外壁に配設し、その後焼成し容器101を得た。容器101にはさらに金属リング109を接合した。
金属リング109は図2の外壁を通るタングステン層により、接続端子B1042に電気的に接続される。
蓋102の容器側の部分には、接合材となるニッケルめっきを施した。
容器内部に正負極電極、セパレータ105、電解液108を収納し、蓋102で蓋をした後、抵抗溶接の原理を利用したパラレルシーム溶接機により、蓋102の向かい合う2辺ずつ溶接を行った。この方法により信頼性の高い封止が得られた。
被覆部112が、大きすぎると容器101の外壁の内側に導電体が付着してしまい、金属リング109や接合材との接触や電極活物質どうしの接触が生じ、内部ショートの原因となる。
正極集電体103及び接続端子A1041と接続端子B1042はタングステン粉末を含むタングステンプリントにより配線した後、焼成することにより作製できる。正極集電体103と接続端子A1041は接続されている。
正極集電体にタングステンを用いることにより正極集電体の耐熱性が向上し、さらに、タングステンプリントを用いることにより容器の形成と同時にタングステン正極集電体を形成することができ容易に製造することができる。これは、セラミックスの容器を高温で焼成してつくる場合、正極集電体も高温にさらされるため耐熱金属であるためタングステンが有効である。他の耐熱金属であるモリブデン等も用いることができる。配線の信頼性においてはタングステンが有利である。
そこで、被覆部112をタングステンからなる正極集電体103の表面に形成し正極集電体の溶解を防いでいる。被覆部112は弁金属と呼ばれるアルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、ハフニウム、ジルコニウムまたは炭素が用いられる。特にアルミニウムは価格も安く使いやすい材料である。これらの材料を用いた場合、被覆部112にリチウム対極で4V/vsLi以上の電位が印加されても溶解することはない。
形成方法はめっき、蒸着、スパッタリング、CVD、溶射などがある。アルミニウムを用いる場合は溶射や常温溶融塩からのめっき(ブチルピジウムクロリド浴、イミダゾリウムクロリド浴)を利用できる。本発明においては、正極集電体103の面積が小さいため、めっきした場合は欠陥が少なく、蒸着、スパッタリング、CVD、溶射を用いた場合はマスキングがいらないか、簡単なマスキングで被覆部112を形成することができる。
たとえば、容器101が熱膨張係数6.8×10−6/℃のアルミナを用いる場合金属リングとしては熱膨張係数5.2×10−6/℃のコバールを用いることが望ましい。
また、蓋102も溶接後の信頼性を高めるため、金属リングと同じコバールを用いることが望ましい。溶接後、機器の基板に表面実装されるとき、すなわちリフローハンダ付けのとき再び加熱されるためである。
接続端子A1041と接続端子B1042の部分については、基盤とハンダ付けするためにニッケル、金、スズ、ハンダの層を表面に設けるとよい。容器101の縁部についても接合材とのなじみの良いニッケルや金などの層を設けることが好ましい。層の形成方法としては、めっき、蒸着などの気相法等もある。
ただし、接合材の層のP、B、S、N、C等の不純物元素は10%以下にする必要がある。特にめっきを用いた場合は注意が必要である。たとえば、無電解めっきにおいては還元剤の次亜リン酸ナトリウムからP、ジメチルアミンボランからBが入りやすい。また、電解めっきにおいては光沢剤の添加剤や陰イオンから入る可能性があるため注意が必要である。還元剤、添加物等の量を調整して入る不純物を10%以下とする必要がある。10%以上入ってしまうと接合面に金属間化合物が生成しクラックが入ってしまう。
接合部の溶接は、抵抗溶接法を利用したシーム溶接が利用できる。蓋102と容器101をスポット溶接し仮止めしたあと、蓋102の対向する二辺に対向するローラー型の電極を押し付け、電流を流すことで、抵抗溶接の原理により溶接する。蓋102の四辺を溶接することにより封止することができる。ローラー電極を回転させながら電流をパルス状に流すため溶接後はシーム状になる。パルスによる個々の溶接跡が重なるようにパルス幅をコントロールしなければ、完全に封止することができない。
使用するセパレータは耐熱性のある不織布であることが好ましい。たとえば、ロール圧延したポーラスフィルム等のセパレータにおいては、耐熱性があるものの、抵抗溶接法を利用したシーム溶接時の熱で圧延方向に縮んでしまう。その結果、内部ショートを起こしやすい。耐熱性のある樹脂またはガラス繊維を用いたセパレータの場合縮みが少なく良好であった。樹脂としてはPPS(ポリフェニレンサルファイド)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)が良好であった。特にはガラス繊維が有効であった。また、セラミックスの多孔質体を用いることもできる。
蓋102は、2×4mm、厚さ0.15mmのコバールの板にニッケルめっきを施したものを用いた。
正極活物質106、負極活物質107は2×4mm、厚さ0.15mmの活性炭シートを用いた。正極活物質106は導電性接着剤1111により容器101の底部に接着した。負極活物質107は導電性接着剤1112により蓋102に接着した。次に、セパレータ105を正極活物質106上にのせ、プロピレンカ−ボネ−ト(PC)に(C2H5)4NBF4を1mol/L加えた電解液を5μL加えた。負極活物質107を接着した蓋102をかぶせ、蓋102と容器101をスポット溶接し仮止めしたあと、蓋102の対向する二辺に対向するローラー型の電極を押し付け、電流を流すことで、抵抗溶接の原理でシーム溶接した。
実施例1と比較例1の電気二重層キャパシタについて、70℃、3.3V電圧を印加した状態で所定の日数保管し、容量保持率と内部抵抗の変化を測定し、どの程度電気二重層キャパシタが劣化するかを調べた。結果を図9と図10に示す。一般に70℃、10日保存は1年に相当すると考えられている。実施例1は40日の保存後であっても容量保持率が80%程度で、内部抵抗が1000Ω以下であり実用上問題がなく、非常に良好な結果となった。それに対し、比較例1のものは容量保持率が大きく低下し、かつ内部抵抗が上昇し電気化学セル内部で劣化が生じていた。保存後の比較例1の電気二重層キャパシタを分解して調べたところ所々正極側の集電体が溶解している部分があった。これは正極集電体が完全に覆われず一部露出していたためと考えられる。
また、被覆部112の形成においては、、簡単な金属マスク(容器に合わせ四角く開口した形状)を容器101の上にのせて、アルミニウム蒸着を行った。図11に、アルミニウム蒸着をし、金属マスクを取り除いた後の容器101の斜視図を示した。被覆部112を容器101の底面に四角く形成することができた。このときのアルミニウム蒸着膜は約8μmとした。アルミニウム蒸着膜の厚さは8μm前後が有効であった。3μm以下の場合、ピンホールが発生し、キャパシタの特性を保つことが困難であった。また、15μm以上であると蒸着に時間がかかり製造コスト上好ましくない。
本実施例においては、電気二重層キャパシタについてのみ説明したが、非水二次電池に応用した場合も保存において同様の効果が認められた。また、3.3V以下の電圧印加においても従来の構造のものと比べ、保存特性が向上した。
本実施例においては、被覆部112がアルミニウムである場合についてのみ記載したが、タンタル、ニオブ、チタン、ハフニウム、ジルコニウムを用いた場合においても同様の効果がある。アルミニウムは形成のしやすさ、コストにおいて有効であるため、実施例に用いて説明した。
1011 容器底面
102 蓋
103 正極集電体
1041 接続端子A
1042 接続端子B
105 セパレータ
106 正極活物質
107 負極活物質
108 電解液
109 金属リング
1111 導電性接着剤
1112 導電性接着剤
112 被覆部
Claims (3)
- 有底角筒状の容器と蓋とから蓋付き容器を形成し、
前記蓋付き容器の内部に、正極活物質と、負極活物質と、電解液と、前記正極活物質と前記負極活物質とを分離するセパレータとを収納し、
前記蓋付き容器に、正負の2つの接続端子を設けると共に、
前記負極活物質に電気的に接続される接続端子の他端を前記有底角筒状の容器の底板下面に位置させ、
前記正極活物質に電気的に接続される正極集電体と、一端をこの正極集電体に電気的に接続された接続端子とを、前記有底角筒状の容器の底板の内部に位置させ、この接続端子の他端を前記有底角筒状の容器の底板下面に位置させ、前記正極集電体と前記蓋付き容器内部の正極活物質とを、前記底板に設けた穴を介して電気的に接続すると共に、前記穴から露出している前記正極集電体のすべてを弁金属から成る被覆部で被覆するようにしたことを特徴とする電気化学セル。 - 前記正極集電体と、この正極集電体に電気的に接続された接続端子のうち、前記容器内部に位置する部分は、前記容器内部で底板と平行となるように位置させたことを特徴とする請求項1記載の電気化学セル。
- 前記正極集電体と前記正極活物質との間の電気的な接続において、前記被覆部の前記正極集電体側での電気的接続部分の面積よりも、前記正極活物質側での電気的接続部分の面積の方が、大きく形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電気化学セル。
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