JP5212583B1 - パネル - Google Patents

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Abstract

このパネルは、金属板の少なくとも片面に、皮膜層が被覆されている塗装金属板から形成されたパネルであって、凸部と、平坦部及び凹部のいずれか一方とを備え、前記平坦部を備える場合には、前記凸部の各々の全周囲が前記平坦部によって囲まれ、かつ、前記平坦部の各々の全周囲が前記凸部によって囲まれ、前記凹部を備える場合には、前記凸部の各々の全周囲が前記凹部によって囲まれ、かつ、前記凹部の各々の全周囲が前記凸部によって囲まれるパネルである。

Description

本発明は、特定の金属板から形成されるパネルであって、全体板状に形成されるとともに少なくとも一方の面側に突出する複数の凸部を有したパネルに関する。
本願は、2011年7月20日に、日本に出願された特願2011−158925号、及び、2011年7月20日に、日本に出願された特願2011−158928号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
従来、鉄道車両や自動車、航空機、船舶などの輸送機械あるいは建築構造物などに用いられる内装パネルとして、凹凸が千鳥状に設けられた軽量型高剛性パネルが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。この特許文献1に記載のパネルは、平板状パネルの縦及び横の二方向に凹凸が並んで形成されるとともに、凹凸以外の平坦部が直線的に形成されていない形状となっている。また、自動車の触媒コンバータやマフラーなどの断熱に利用されるヒートインシュレータにおいても、パネル面内の二方向に凸部が並べて配置された構成が提案されている(例えば、特許文献2を参照)。これらのパネルでは、パネル面内の二方向に並べて配置された凹凸又は凸部が形成されることで、凹凸が形成されていない平板や一方向のみに凹凸が形成された波板などと比較して、同じ板厚でも剛性が高くなっている。
日本国特許第2960402号公報 日本国特開2008−180125号公報
ところで、従来のパネルでは、平坦部が直線的に形成されないように凹凸が千鳥状に設けられているが、これらの凹凸を囲んで平坦部が連続して形成されている。これにより、この連続した平坦部がパネル全体の曲げ剛性やねじり剛性に影響し、パネルの高剛性化及び軽量化を十分に図ることができない、という問題があった。
また、従来のパネルは、特定の凹凸を付与することによって高剛性化及び軽量化を図ることのみを目的に発明されたパネルであって、パネルを使用する際に必要な耐食性及び耐傷付き性、また、更に耐汚染性に対する配慮がなされていない。
そこで、上記問題に鑑みてなされた本発明は、簡単な構造で、高剛性化及び軽量化を確実に実現することができ、且つ、耐食性、耐傷付き性、耐汚染性等を向上させる皮膜を有するパネルを提供することを第一の目的とする。そして、本発明の第二の目的は、前記皮膜により、優れた耐食性及び耐傷付き性、また、更に耐汚染性を確実に発揮可能なパネルを提供することである。
上述の課題を解決するためになされた本発明の要旨は下記の通りである。
(1)本発明の一態様に係るパネルは、金属板の少なくとも片面に、皮膜層が被覆されている塗装金属板から形成されたパネルであって、所定の基準面から突出する複数の凸部と、前記基準面と面一をなす複数の平坦部と、前記基準面から凹む複数の凹部とのうち、前記凸部と、前記平坦部及び前記凹部のいずれか一方とを備えるとともに、前記複数の凸部、前記複数の平坦部及び前記複数の凹部が四角形状を有し、前記平坦部を備える場合には、前記凸部の各々の全周囲が前記平坦部によって囲まれ、かつ、前記平坦部の各々の全周囲が前記凸部によって囲まれ、前記凹部を備える場合には、前記凸部の各々の全周囲が前記凹部によって囲まれ、かつ、前記凹部の各々の全周囲が前記凸部によって囲まれ、さらに、前記凸部の周縁部分に設けられた凸部側傾斜面と、前記凹部の周縁部分に設けられた凹部側傾斜面とにより形成される傾斜面部を有し、互いに隣接する各々の前記凸部の各角部間が、前記凹部と前記凸部とをつなぐ前記傾斜面部の交差に設けられた円弧部を有するブリッジを介して接続されているパネルである。
(2)上記(1)に記載のパネルでは、上記皮膜層が、有機樹脂(A)を造膜成分とする塗膜(α)であってもよい。
(3)上記(2)に記載のパネルでは、前記塗膜(α)の膜厚が、0.1μm以上10μm以下であってもよい。
(4)上記(2)又は(3)に記載のパネルでは、前記塗膜(α)が、更に無機酸化物粒子(B)を含有してもよい。
(5)上記(4)に記載のパネルでは、前記有機樹脂(A)と前記無機酸化物粒子(B)との固形分質量比[(A)/(B)]が、2以上20以下であってもよい。
(6)上記(4)又は(5)に記載のパネルでは、前記無機酸化物粒子(B)が、シリカ粒子(B1)であってもよい。
(7)上記(6)に記載のパネルでは、前記シリカ粒子(B1)が、平均粒子径5nm以上20nm以下の球状シリカ粒子(B1a)を含有してもよい。
(8)上記(7)に記載のパネルでは、前記シリカ粒子(B1)が、更に平均粒子径0.08μm以上2μm以下の球状シリカ粒子(B1b)を含有してもよい。
(9)上記(2)〜(8)のいずれか1項に記載のパネルでは、前記塗膜(α)が、更に潤滑剤(C)を含有してもよい。
(10)上記(9)に記載のパネルでは、前記潤滑剤(C)が、ポリオレフィン樹脂粒子(C1)であってもよい。
(11)上記(2)〜(10)のいずれか1項に記載のパネルでは、前記塗膜(α)が、更にリン酸化合物(D)を含有してもよい。
(12)上記(2)〜(11)のいずれか1項に記載のパネルでは、前記塗膜(α)が、更に着色顔料(E)を含有してもよい。
(13)上記(2)〜(12)のいずれか1項に記載のパネルでは、前記有機樹脂(A)同士が、又は、前記有機樹脂(A)と無機酸化物粒子(B)とが、架橋剤(F)によって架橋されてもよい。
(14)上記(13)に記載のパネルでは、前記架橋剤(F)が、シランカップリング剤、架橋性ジルコニウム化合物、架橋性チタン化合物、エポキシ化合物、及びアミノ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種であってもよい。
(15)上記(2)〜(14)のいずれか1項に記載のパネルでは、前記塗膜(α)と前記金属板との間に、更に下地処理層(β)を有してもよい。
(16)上記(2)〜(15)のいずれか1項に記載のパネルでは、前記金属板が、亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム系めっき鋼板であってもよい。
(17)上記(1)に記載のパネルでは、前記皮膜層が、一層以上の塗膜層であってもよい。
(18)上記(17)に記載のパネルでは、前記塗膜層が二層以上であり、かつ、少なくとも一層が着色塗膜層であってもよい。
(19)上記(17)又は(18)に記載のパネルでは、前記塗膜層が二層以上であり、かつ、少なくとも一層が防錆顔料を含有する層であってもよい。
(20)上記(17)〜(19)のいずれか1項に記載のパネルでは、前記塗膜層のうちの最表層のガラス転移温度が、0℃以上80℃以下であってもよい。
(21)上記(17)〜(20)のいずれか1項に記載のパネルでは、前記塗膜層のうちの最表層の23℃での硬度が、5mN荷重下でのユニバーサル硬度で2N/mm以上であってもよい。
(22)上記(17)〜(21)のいずれか1項に記載のパネルでは、前記塗膜層のうちの最表層のゴム状弾性領域における動的貯蔵弾性率の最小値が、2×10Pa以下であってもよい。
(23)上記(17)〜(22)のいずれか1項に記載のパネルでは、前記塗膜層のうちの最表層が、熱硬化型の樹脂塗膜層であってもよい。
(24)上記(17)〜(23)のいずれか1項に記載のパネルでは、前記塗膜層のうちの最表層と金属板との間の最も厚い塗膜層のガラス転移温度が、0℃以上80℃以下であってもよい。
(25)上記(17)〜(24)のいずれか1項に記載のパネルでは、前記塗膜層のうちの最表層と金属板との間の最も厚い塗膜層のゴム状弾性領域における動的貯蔵弾性率の最小値が、2×10Pa以下であってもよい。
(26)上記(17)〜(25)のいずれか1項に記載のパネルでは、前記塗膜層のうちの最表層と金属板との間の最も厚い塗膜層が、熱硬化型の樹脂塗膜層であってもよい。
(27)上記(17)〜(26)のいずれか1項に記載のパネルでは、前記塗膜層の総膜厚が、10μm以上80μm以下であってもよい。
(28)上記(17)〜(27)のいずれか1項に記載のパネルでは、前記塗膜層のうちの最表層が、シリコーン樹脂又はフッ素樹脂を含有する層であってもよい。
(29)上記(17)〜(28)のいずれか1項に記載のパネルでは、前記塗装金属板が、プレコート金属板であってもよい。
(30)上記(17)〜(29)のいずれか1項に記載のパネルでは、前記金属板が、亜鉛系めっき層又はアルミニウム系めっき層を有してもよい。
(31)上記(1)〜(30)のいずれか1項に記載のパネルでは、前記ブリッジが頂部平坦部を有し;前記凸部の平坦な上面部の面積S1、前記凹部の平坦な底面部の面積S2、前記頂部平坦部の面積S3、及び、前記凸部の側面である前記凸部側傾斜面と、前記凹部の側面である前記凹部側傾斜面と、前記凸部及び前記凹部それぞれの四隅から前記基準面に向かって延びる隅部傾斜面とからなる傾斜部の面積S4とが、式1を満たしてもよい。
(S3+S4)/(S1+S2)≦1.0 ・・・式1
(32)上記(17)〜(31)のいずれか1項に記載のパネルでは、前記凸部側傾斜面及び前記凹部側傾斜面を前記基準面に垂直な断面で見た場合に、これら凸部側傾斜面及び凹部側傾斜面が直線的に連続して繋がっており;前記凸部傾斜面の、前記基準面に対する傾斜角度と、前記凹部側傾斜面の、前記基準面に対する傾斜角度とが同一であってもよい。
本発明によれば、パネルの形状を、凸部と、平坦部又は凹部のいずれか一方とが、平面的に連続して形成されない形状とすることで、簡単な構造で、高剛性化及び軽量化を確実に実現することができるパネルを提供することが可能となる。更に、本発明によれば、パネルを形成するための素材を特定することで、耐食性及び耐傷付き性に優れ、また、更に耐汚染性に優れるパネルを提供することが可能となる。
本発明の第1実施形態に係るパネルの構成例を示す斜視図である。 本発明の第2実施形態に係るパネルの構成例を示す斜視図である。 本発明の第3実施形態に係るパネルの構成例を示す斜視図である。 本発明の第4実施形態に係るパネルの構成例を示す斜視図である。 本発明の第5実施形態に係るパネルの構成例を示す斜視図である。 前記第1実施形態に係るパネルの断面図である。 前記第2実施形態に係るパネルの断面図である。 前記第3実施形態に係るパネルの断面図である。 前記第4実施形態に係るパネルの断面図である。 前記第5実施形態に係るパネルの断面図である。 従来のパネルの構成例を示す斜視図である。 従来のパネルの構成例を示す斜視図である。 従来のパネルの構成例を示す斜視図である。 従来の他のパネルの構成例を示す斜視図である。 本発明の実施形状例に係るFEM解析の方法を示す斜視図である。 本発明の実施形状例に係るFEM解析の方法を示す斜視図である。 前記実施形状例における比較形状例1(No.1)の正面から見た解析モデル図である。 前記実施形状例における比較形状例1(No.1)の断面から見た解析モデル図である。 前記実施形状例における比較形状例2(No.2)の正面から見た解析モデル図である。 前記実施形状例における比較形状例2(No.2)の断面から見た解析モデル図である。 前記実施形状例における比較形状例3(No.3)の正面から見た解析モデル図である。 前記実施形状例における比較形状例3(No.3)の断面から見た解析モデル図である。 前記実施形状例における比較形状例4(No.4)の正面から見た解析モデル図である。 前記実施形状例における比較形状例4(No.4)の断面から見た解析モデル図である。 前記実施形状例における実施形状例1(No.5)の正面から見た解析モデル図である。 前記実施形状例における実施形状例1(No.5)の断面から見た解析モデル図である。 前記実施形状例における実施形状例2(No.6)の正面から見た解析モデル図である。 前記実施形状例における実施形状例2(No.6)の断面から見た解析モデル図である。 前記実施形状例における実施形状例3(No.7)の正面から見た解析モデル図である。 前記実施形状例における実施形状例3(No.7)の断面から見た解析モデル図である。 前記実施形状例における実施形状例4(No.8)の正面から見た解析モデル図である。 前記実施形状例における実施形状例4(No.8)の断面から見た解析モデル図である。 前記実施形状例における実施形状例5(No.9)の正面から見た解析モデル図である。 前記実施形状例における実施形状例5(No.9)の断面から見た解析モデル図である。 前記実施形状例の曲げモデルにおける剛性比を示すグラフである。 前記実施形状例の捻りモデルにおける剛性比を示すグラフである。 本発明の変形例に係るパネルを示す斜視図である。 本発明の変形例に係るパネルを示す断面図である。 他の変形例に係るパネルを示す斜視図である。 他の変形例に係るパネルを示す拡大斜視図である。 他の変形例において頂部平坦部の対角辺長さを変化させた場合の剛性比(曲げ)を示すグラフである。 他の変形例において頂部平坦部の対角辺長さを変化させた場合の剛性比(捻り)を示すグラフである。 頂部平坦部の対角辺長さを変化させた場合の剛性比(曲げ)を示すグラフである。 頂部平坦部の対角辺長さを変化させた場合の剛性比(捻り)を示すグラフである。 頂部平坦部の対角辺長さを変化させた場合の剛性比(曲げ)を示すグラフである。 頂部平坦部の対角辺長さを変化させた場合の剛性比(捻り)を示すグラフである。 凸部と凹部とをつなぐ円弧部を示す斜視図である。 円弧部の大きさを変化させた場合の剛性比(曲げ)を示すグラフである。 円弧部の大きさを変化させた場合の剛性比(捻り)を示すグラフである。 実施例で剛性を評価したパネルの形状及び寸法を示す斜視図である。 図31のパネルの一部を拡大した斜視図である。 凸部の四角錐台頂面と凹部の四角錐台頂面の距離を変化させた場合の剛性比(曲げ)を示すグラフである。 凸部の四角錐台頂面と凹部の四角錐台頂面の距離を変化させた場合の剛性比(捻り)を示すグラフである。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
なお、本発明の好適な実施の形態の説明の概略は以下の通りである。
A1.パネルの構成
A1.1.塗装金属板の構成
A1.1.1.塗膜(α)の構成
A1.1.2.下地処理層(β)の構成
A1.1.3.金属板の種類
A1.2.パネルの形状
A1.2.1.第1実施形態
A1.2.2.第2実施形態
A1.2.3.第3実施形態
A1.2.4.第4実施形態
A1.2.5.第5実施形態
A2.パネルの製造方法
A2.1.塗装金属板の製造方法
A2.1.1.塗膜(α)の形成方法
A2.1.2.塗膜(β)の形成方法
A2.2.パネルの形成方法
A3.まとめ
(A1.パネルの構成)
初めに、本発明の好適な実施形態に係るパネルの構成について説明する。本発明の各実施形態に係るパネルは、金属板の少なくとも片面に、皮膜として、有機樹脂(A)を造膜成分とする塗膜(α)が被覆されている塗装金属板から形成されるパネルであって、後述する特定の形状を有する。以下、本発明の各実施形態に係る塗装金属板の構成を説明した後に、この塗装金属板を用いて形成される本発明の各実施形態に係るパネルの形状について説明する。
(A1.1.塗装金属板の構成)
本発明の各実施形態に係る塗装金属板は、金属板の少なくとも片面に、有機樹脂(A)を必須の造膜成分とする塗膜(α)が被覆されており、必要に応じて、後述する下地処理層(β)が塗膜(α)と金属板との間に設けられている。
(A1.1.1.塗膜(α)の構成)
まず、塗膜(α)の構成について説明する。
<塗膜(α)の厚みについて>
塗膜(α)の厚みは特に限定されないが、0.1μm以上10μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.3μm以上7μm以下、更に好ましくは0.5μm以上5μm以下である。塗膜(α)の厚みが0.1μm未満であると、十分な耐食性、耐傷付き性、耐汚染性が得られないことがある。一方、塗膜(α)の厚みが10μm超であると、経済的に不利であるばかりか、塗膜(α)が水系塗料から形成される場合にワキ等の塗膜欠陥が発生することがあり、工業製品としての外観や性能を安定して得ることができないことがある。
塗膜(α)の厚みは、塗膜の断面観察や電磁膜厚計等の利用により測定できる。その他に、金属板の単位面積当りに付着した塗膜の質量を、塗膜の比重又は塗布溶液の乾燥後比重で除算して算出してもよい。塗膜の付着質量は、塗装前後の質量差を算出すること、塗装後の塗膜を剥離した前後の質量差を算出すること、又は、塗膜を蛍光X線分析して予め皮膜中の含有量が分かっている元素の存在量を測定すること等、既存の手法から適切に選択すればよい。塗膜の比重又は塗布溶液の乾燥後比重は、単離した塗膜の容積と質量を測定すること、適量の塗布溶液を容器に取り乾燥させた後の容積と質量を測定すること、又は、塗膜構成成分の配合量と各成分の既知の比重から計算すること等、既存の手法から適切に選択すればよい。
上述した各種測定方法の中でも、比重等が異なる塗膜でも簡便に精度よく測定できることから、塗膜(α)の厚みの測定方法としては、塗膜の断面観察を利用することが好適である。
塗膜(α)の断面観察の方法としては特に制限はないが、常温乾燥型エポキシ樹脂中に塗装金属板を塗膜厚み方向と垂直に埋め込み、その埋め込み面を機械研磨した後に、SEM(走査型電子顕微鏡)で観察する方法や、FIB(集束イオンビーム)装置を用いて、塗装金属板から塗膜の垂直断面が見えるように厚さ50nm〜100nmの観察用試料を切り出し、塗膜断面をTEM(透過型電子顕微鏡)で観察する方法等が好適に使用可能である。
<有機樹脂(A)について>
有機樹脂(A)としては、特定の種類に限定されず、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、又はこれらの樹脂の変性体等を挙げることができる。このような有機樹脂(A)としては、1種又は2種以上の有機樹脂(変性していないもの)を混合して用いてもよいし、少なくとも1種の有機樹脂の存在下で、少なくとも1種のその他の有機樹脂を変性することによって得られる有機樹脂を1種又は2種以上混合して用いてもよい。
上記ポリエステル樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリカルボン酸成分及びポリオール成分からなるポリエステル原料を縮重合して得たものを使用することができる。また、このようにして得たポリエステル樹脂を水に溶解又は分散することで水系化したものも使用することができる。
上記ポリカルボン酸成分としては、例えば、フタル酸、無水フタル酸、テトラヒドロフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラフタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水ハイミック酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、ピロメリット酸、無水ピロメリット酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、コハク酸、無水コハク酸、乳酸、ドデセニルコハク酸、ドデセニル無水コハク酸、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸、無水エンド酸等を挙げることができる。このようなポリカルボン酸成分としては、上記成分のうちの1種を使用してもよく、あるいは上記成分の複数種を使用してもよい。
上記ポリオール成分としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、トリエチレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、2−メチル−3−メチル−1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノール−A、ダイマージオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等を挙げることができる。このようなポリオール成分としては、上記成分のうちの1種を使用してもよく、あるいは上記成分の複数種を使用してもよい。
上記ポリウレタン樹脂としては、特に限定されず、例えば、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物とを反応させ、その後に更に鎖伸長剤によって鎖伸長して得られるもの等を挙げることができる。上記ポリオール化合物としては、1分子当たり2個以上の水酸基を含有する化合物であれば特に限定されず、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,6−へキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール、ビスフェノールヒドロキシプロピルエーテル等のポリエーテルポリオール、ポリエステルアミドポリオール、アクリルポリオール、ポリウレタンポリオール、又はこれらの混合物が挙げられる。上記ポリイソシアネート化合物としては、1分子当たり2個以上のイソシアネート基を含有する化合物であれば特に限定されず、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)等の脂肪族イソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等の脂環族ジイソシアネート、トリレンジイソシアネート(TDI)等の芳香族ジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)等の芳香脂肪族ジイソシアネート、又はこれらの混合物が挙げられる。上記鎖伸長剤としては、分子内に1個以上の活性水素を含有する化合物であれば特に限定されず、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等の脂肪族ポリアミンや、トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン等の芳香族ポリアミンや、ジアミノシクロヘキシルメタン、ピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン等の脂環式ポリアミンや、ヒドラジン、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド等のヒドラジン類や、ヒドロキシエチルジエチレントリアミン、2−[(2−アミノエチル)アミノ]エタノール、3−アミノプロパンジオール等のアルカノールアミン等が挙げられる。これらの化合物は、単独で、又は2種類以上を混合して使用することができる。
上記エポキシ樹脂としては、特に限定されず、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水素添加ビスフェノールF型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂を使用することができる。また、上記エポキシ樹脂としては、これらのエポキシ樹脂を界面活性剤で強制乳化して水系化したものや、これらのエポキシ樹脂をジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン等のアミン化合物と反応させ、有機酸又は無機酸で中和して水系化したものや、これらのエポキシ樹脂の存在下で、高酸価アクリル樹脂をラジカル重合した後、アンモニアやアミン化合物等で中和して水系化したもの等も使用することができる。
上記アクリル樹脂としては、特に限定されず、例えば、エチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレートや、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートや、アルコキシシラン(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステルを、(メタ)アクリル酸と共に水中で重合開始剤を用いてラジカル重合することにより得られるものを挙げることができる。上記重合開始剤としては特に限定されず、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、アゾビスシアノ吉草酸、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等を使用することができる。ここで、「(メタ)アクリレート」とはアクリレートとメタクリレートを意味し、「(メタ)アクリル酸」とはアクリル酸とメタクリル酸を意味する。
上記ポリオレフィン樹脂としては、特に限定されず、例えば、エチレンとメタクリル酸、アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸類とを高温高圧下でラジカル重合したのち、アンモニアやアミン化合物、KOH、NaOH、LiOH等の塩基性金属化合物、又は該金属化合物を含有するアンモニアやアミン化合物等で中和して水系化したもの等を挙げることができる。
また、有機樹脂(A)は、構造中にエステル基、ウレタン基、及びウレア基から選ばれる少なくとも1種の官能基を含む樹脂を含有することが、パネルとしての耐食性と耐傷付き性を向上させる上で好ましい。パネルとしての耐食性を向上するためには、パネルの加工部において、塗膜(α)が亀裂等の損傷なく基材である金属板を均一に被覆していること(加工性が優れること)や、腐食因子の透過性を抑制することが重要である。一方、パネルとしての耐傷付き性を向上するためには、塗膜(α)の硬度や基材である金属板(後述の下地処理層(β)がある場合は下地処理層(β))との密着力が高いことが重要である。このような塗膜を実現するためには、特定の樹脂構造を含有する有機樹脂を造膜成分として用いることが好適であり、具体的には、有機樹脂(A)の樹脂構造中に上述したような特定の凝集エネルギーを持つ官能基を導入することで、塗膜の伸びと強度の両者を高次元に高め、且つ密着性や耐食性も高めることができる。
樹脂構造中にエステル基、ウレタン基、及びウレア基から選ばれる少なくとも1種の官能基を含む樹脂としては、特に限定されないが、例えば、エステル基を含有するポリエステル樹脂、ウレタン基を含有するポリウレタン樹脂、ウレタン基とウレア基の両者を含有するポリウレタン樹脂等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を混合して用いてもよい。例えば、有機樹脂(A)として、エステル基、ウレタン基、及びウレア基の全てを含有する樹脂として、エステル基を含有するポリエステル樹脂と、ウレタン基とウレア基の両者を含有するポリウレタン樹脂とを混合して使用してもよい。
樹脂構造中にエステル基、ウレタン基、及びウレア基から選ばれる少なくとも1種の官能基を含む有機樹脂の含有量は、有機樹脂(A)中の60質量%以上100質量%以下であることが好ましく、より好ましい含有量は80質量%以上100質量%以下である。60質量%未満であると、パネルとしての耐食性と耐傷付き性とを両立できなくなることがある。
<無機酸化物粒子(B)について>
上記塗膜(α)は、更に無機酸化物粒子(B)を含有することが好ましい。無機酸化物粒子(B)を含有することで、更に耐食性と耐傷付き性を向上させることができる。特に、耐傷付き性を向上させるためには塗膜(α)を硬質化することが考えられるが、造膜成分である有機樹脂(A)を硬質化させると、パネル加工部の塗膜に亀裂等の不具合(加工性の低下)が生じ、加工部の耐食性を低下させる懸念がある。一方、有機樹脂(A)に比較的硬質な無機酸化物粒子(B)を複合化させた塗膜(α)は、単に硬質化させた有機樹脂(A)に比べ加工性も低下し難く、無機酸化物粒子(B)自身にも耐食性を向上させる効果があるため、耐食性と耐傷付き性を高次元で両立させることができる。
ここで、有機樹脂(A)と無機酸化物粒子(B)との固形分質量比[(A)/(B)]は2以上20以下であることが好ましい。[(A)/(B)]が2未満であると、耐食性や耐汚染性が低下する場合があり、[(A)/(B)]が20超であると、耐食性や耐傷付き性の向上効果が得られない場合がある。
無機酸化物粒子(B)の種類としては、特に限定されず、例えば、シリカ粒子(B1)、チタニア粒子、アルミナ粒子、ジルコニア粒子等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。耐食性と耐傷付き性とを高次元で両立させる上では、無機酸化物粒子(B)として、シリカ粒子(B1)又はアルミナ粒子を用いることが好ましく、シリカ粒子(B1)を用いることが最も好ましい。経済的な観点においても、無機酸化物粒子(B)としてシリカ粒子(B1)を用いることが有利である。無機酸化物粒子(B)の形状は、特に限定されず、球状、不定形状、燐片状などの形状を任意に使用することができるが、耐食性と耐傷付き性を高次元で両立させる上では、球状であることが好ましい。
シリカ粒子(B1)の種類としては特に限定されず、例えば、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカなどのシリカ粒子を挙げることができる。市販品としては、例えば、スノーテックスO、スノーテックスN、スノーテックスC、スノーテックスIPA−ST(日産化学工業社製)、アデライトAT−20N、アデライトAT−20A(旭電化工業社製)、アエロジル200(日本アエロジル社製)、機能性球状シリカHPSシリーズ(東亜合成社製)、Nipsilシリーズ(東ソー・シリカ社製)等を挙げることができる。
また、シリカ粒子(B1)として、平均粒子径5nm以上20nm以下の球状シリカ粒子(B1a)を含有することが、耐食性を向上させる上で好ましい。球状シリカ粒子(B1a)の平均粒子径が5nm未満であると、塗膜(α)を形成するための塗料組成物がゲル化する等の不具合を生じる場合があり、平均粒子径が50nm超であると、耐食性の向上効果が充分に得られない場合がある。
さらに、シリカ粒子(B1)として、平均粒子径5nm以上20nm以下の球状シリカ粒子(B1a)と平均粒子径0.08μm以上2μm以下の球状シリカ粒子(B1b)の両者を含有することが、耐食性と耐傷付き性を高次元で両立させる上でより好ましい。球状シリカ粒子(B1a)の平均粒子径が0.08μm未満であると、耐傷付き性の向上効果が充分に得られない場合があり、平均粒子径が2μm超であると、耐食性が低下する場合がある。球状シリカ粒子(B1a)と球状シリカ粒子(B1b)の塗膜(α)中の含有割合は、質量比で30/70〜80/20の範囲内であることが好ましく、40/60〜50/50の範囲内であることがより好ましい。また、塗膜(α)中に含有される球状シリカ粒子(B1a)と球状シリカ粒子(B1b)との平均粒子径の比は、1/350〜1/16の範囲内であることが好ましく、1/150〜1/30の範囲内であることがより好ましい。
また、有機樹脂(A)同士が、又は、有機樹脂(A)と無機酸化物粒子(B)とは、架橋剤(F)によって架橋されていることが好ましい。架橋剤(F)の種類としては特に限定はされないが、シランカップリング剤、架橋性ジルコニウム化合物、架橋性チタン化合物、エポキシ化合物、アミノ樹脂、ポリイソシアネート化合物とそのブロック体、カルボジイミド基含有化合物等が挙げられ、耐食性と耐傷付き性の観点からは、シランカップリング剤、架橋性ジルコニウム化合物、架橋性チタン化合物、エポキシ化合物、及びアミノ樹脂から選ばれる少なくとも1種を使用することが好ましい。これらの架橋剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、これらの架橋剤は、有機樹脂(A)を製造する段階で架橋剤(F)を事前に架橋反応させたものを、塗膜(α)形成用の塗料組成物の原料として用いてもよいし、架橋剤(F)を塗料組成物の原料として用いて、塗料組成物中で、又は塗膜(α)形成時に架橋反応させたものであってもよい。
上記シランカップリング剤の種類としては、特に限定されないが、例えば、信越化学工業社、東レ・ダウコーニング社、チッソ社、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社等から販売されているビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルエトキシシラン、N−〔2−(ビニルベンジルアミノ)エチル〕−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカブトプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。これらのシランカップリング剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記架橋性ジルコニウム化合物としては、特に限定されないが、例えば、硝酸ジルコニル、酢酸ジルコニル、硫酸ジルコニル、炭酸ジルコニウムアンモニウム、炭酸ジルコニウムカリウム、炭酸ジルコニウムナトリウム、ジルコニウムアセテート等が挙げられる。これらの化合物のうち、炭酸ジルコニウム錯イオンを含有するジルコニウム化合物が好ましい。炭酸ジルコニウム錯イオンを含有するジルコニウム化合物としては、特に限定するものではないが、炭酸ジルコニウム錯イオン〔Zr(CO(OH)2−又は〔Zr(CO(OH)〕3−のアンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩等が挙げられる。これらの架橋性ジルコニウム化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記架橋性チタン化合物としては、特に限定されないが、例えば、ジプロポキシ・ビス(トリエタノールアミナト)チタン、ジプロポキシ・ビス(ジエタノールアミナト)チタン、プロポキシ・トリス(ジエタノールアミナト)チタン、ジブトキシ・ビス(トリエタノールアミナト)チタン、ジブトキシ・ビス(ジエタノールアミナト)チタン、ジプロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタン、ジブトキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタン、ジヒドロキシ・ビス(ラクタト)チタンモノアンモニウム塩、ジヒドロキシ・ビス(ラクタト)チタンジアンモニウム塩、プロパンジオキシチタンビス(エチルアセトアセテート)、オキソチタンビス(モノアンモニウムオキサレート)、イソプロピルトリ(N−アミドエチル・アミノエチル)チタネート等を挙げることができる。これらの架橋性チタン化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記エポキシ化合物としては、3員環の環状エーテル基であるエポキシ基(オキシラン環)を複数有する化合物であれば特に限定されず、例えば、アジピン酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、ソルビタンポリグルシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、グリセリンポリグリシジルエーテル、トリメチルプロパンポリグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールポリグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、2,2−ビス−(4−グリシジルオキシフェニル)プロパン、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル等を挙げることができる。これらのエポキシ化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらのエポキシ化合物の多くは、エポキシ基に1基の−CH−が付加したグリシジル基を持つため、化合物名の中に「グリシジル」という語を含む。
上記アミノ樹脂としては、特に限定されないが、例えば、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、グリコールウリル樹脂等を挙げることができる。これらのアミノ樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記ポリイソシアネート化合物としては、特に限定されず、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等を挙げることができる。また、ブロック化ポリイソシアネートは、上記ポリイソシアネート化合物のブロック化物である。これらの化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記カルボジイミド基含有化合物としては、特に限定されず、例えば、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート等のジイソシアネート化合物の脱二酸化炭素を伴う縮合反応によりイソシアネート末端ポリカルボジイミドを合成した後、更にイソシアネート基との反応性を有する官能基を持つ親水系セグメントを付加した化合物等を挙げることができる。これらの化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記架橋剤(F)の含有量は、塗膜(α)中に0.1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、1質量%以上15質量%以下であることが更に好ましい。架橋剤(F)の含有量が0.1質量%未満の場合、使用量が不十分で添加効果が得られない場合があり、20質量%を超える使用量では、過剰架橋で塗膜が脆くなり、耐食性が低下する場合がある。
<潤滑剤(C)について>
上記塗膜(α)は、更に潤滑剤(C)を含有することが、耐食性、耐傷付き性を向上させる上で好ましい。潤滑剤(C)を含有することにより、上記塗装金属板の潤滑性が高まり、言い換えると、プレス金型や金属製圧延ロールとの接触の際に受ける摩擦抵抗を低減する効果が高まり、パネル加工部における塗膜(α)の損傷を防止することができる。
潤滑剤(C)としては、特に制限されず、公知の潤滑剤を使用できるが、フッ素樹脂系潤滑剤、及びポリオレフィン樹脂系潤滑剤から選ばれる少なくとも一種を使用することが好ましい。
上記フッ素樹脂系潤滑剤としては、特に限定されず、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)等を挙げることができる。これらのフッ素樹脂系潤滑剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用しても良い。
上記ポリオレフィン樹脂系潤滑剤としては、特に限定されず、例えば、パラフィン、マイクロクリスタリン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の炭化水素系のワックス、及びこれらの誘導体等を挙げることができる。また、炭化水素系のワックスの誘導体としては、特に限定されず、例えば、カルボキシル化ポリオレフィン、塩素化ポリオレフィン等を挙げることができる。これらのポリオレフィン系潤滑剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用しても良い。
上記の潤滑剤の中でも、潤滑剤(C)としてポリオレフィン樹脂粒子(C1)を使用することが耐食性、耐傷付き性を向上させる上で特に好ましい。ポリオレフィン樹脂粒子(C1)を使用する場合には、ポリオレフィン樹脂の軟化点が125℃以上であり、平均粒子径が0.5μm以上3μm以下の粒子であることが、耐食性や耐傷付き性の観点から好ましい。本願明細書で用いる、ポリオレフィン樹脂粒子の「軟化点」とは、加熱されたポリオレフィン樹脂粒子が軟化し、変形し始める温度のことをいい、JIS K2207(2006年)に記載の方法により測定した温度をいう。
軟化点が125℃以上のポリオレフィン樹脂粒子(C1)の例としては、例えば、三井化学社製のケミパールW900、W700、W300、W308、W800、W310(以上、軟化点132℃)、ケミパールW100(軟化点128℃)、岐阜セラツク製造所社製のA−113(軟化点126℃)、A−375、A−575、AB−50(以上、軟化点125℃)、東邦化学工業社製のハイテックE−4A、E−4B、E−1000、E−6314(以上、軟化点138℃)等のポリエチレン樹脂粒子や、三井化学社製のケミパールWP100(軟化点148℃)、岐阜セラツク製造所社製のAC−35(軟化点143℃)、東邦化学工業社製のハイテックP−5043(軟化点157℃)、P−5300(軟化点145℃)等のポリプロピレン樹脂粒子が挙げられるが、これらの樹脂粒子に限定するものではない。
潤滑剤(C)の含有量は、塗膜(α)中に0.5質量%以上10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは1質量%以上5質量%以下である。潤滑剤(C)の含有量が0.5質量%未満であると、耐食性や耐傷付き性の向上効果が得られない場合があり、10質量%超であると、耐食性が低下する場合がある。
<リン酸化合物(D)について>
上記塗膜(α)は、更にリン酸化合物(D)を含有することが耐食性を向上させる上で好ましい。リン酸化合物(D)を含有させた場合には、金属板表面にリン酸塩層を形成して不動態化させることにより、パネルの耐食性を向上させることができる。
リン酸化合物(D)としては、特に限定されないが、例えば、オルトリン酸、メタリン酸、ピロリン酸、三リン酸、四リン酸等のリン酸類及びこれらの塩や、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、1−ヒドロキシエチリデン−1、1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)等のホスホン酸類及びこれらの塩や、フィチン酸等の有機リン酸類及びこれらの塩等を挙げることができる。塩類のカチオン種としては特に制限されず、例えば、Cu、Co、Fe、Mn、Sn、V、Mg、Ba、Al、Ca、Sr、Nb、Y、Ni及びZn等が挙げられる。これらのリン酸化合物(D)は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
リン酸化合物(D)の含有量は、塗膜(α)中に0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量%以上5質量%以下である。リン酸化合物(D)の含有量が0.1質量%未満であると、耐食性の向上効果が得られない場合があり、5質量%超であると、耐食性が低下したり、塗膜を形成するための塗料安定性が低下する(より具体的には、ゲル化や凝集物の沈殿等の不具合が発生する)場合がある。
<着色顔料(E)について>
上記塗膜(α)は、更に着色顔料(E)を含有することが、パネルの意匠性を高める上で好適である。着色顔料(E)の種類としては、特に限定はされず、例えば、二酸化チタン、カーボンブラック、グラファイト、酸化鉄、酸化鉛、コールダスト、タルク、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエロー等の着色無機顔料や、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、キナクリドン、ペリレン、アンスラピリミジン、カルバゾールバイオレット、アントラピリジン、アゾオレンジ、フラバンスロンイエロー、イソインドリンイエロー、アゾイエロー、インダスロンブルー、ジブロムアンザスロンレッド、ペリレンレッド、アゾレッド、アントラキノンレッド等の着色有機顔料や、アルミニウム粉、アルミナ粉、ブロンズ粉、銅粉、スズ粉、亜鉛粉、リン化鉄、金属コーティングマイカ粉、二酸化チタンコーティングマイカ粉、二酸化チタンコーティングガラス粉、二酸化チタンコーティングアルミナ粉等の光輝材などを挙げることができる。
上記塗膜(α)に、濃色系の着色をする場合や、塗膜(α)の膜厚が10μm以下の薄膜で優れた意匠性を付与する場合には、着色顔料(E)としてカーボンブラックを含有することが好ましい。上記カーボンブラックの種類としては、特に限定されず、例えば、ファーネスブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等、公知のカーボンブラックを使用することができる。また、公知のオゾン処理、プラズマ処理、液相酸化処理されたカーボンブラックも使用することができる。着色顔料(E)に使用するカーボンブラックの粒子径は、塗膜(α)形成用の塗料組成物中での分散性、塗膜品質、塗装性に問題が無い範囲であれば特に制約は無く、具体的には、一次粒子径で10nm〜120nmのものを使用することができる。薄膜での意匠性や耐食性を考慮すると、着色顔料(E)として、一次粒子径が10nm〜50nmの微粒子カーボンブラックを使用することが好ましい。これらのカーボンブラックを水系溶媒中に分散する場合、分散過程で凝集が起こるため、一次粒子径のまま分散することは一般的に難しい。すなわち、実際には、上記微粒子カーボンブラックは、塗膜(α)形成用の塗料組成物(塗布溶液)中では、一次粒子径よりも大きな粒子径を持った二次粒子の形態で存在し、該塗料組成物を用いて形成される塗膜(α)中でも同様の形態で存在する。薄膜での意匠性や耐食性を担保するためには、塗膜(α)中に分散している状態のカーボンブラックの粒子径が重要であり、その平均粒子径が20nm〜300nmとするように制御することが好ましい。
上記カーボンブラックの塗膜(α)中の含有量をd[質量%]、塗膜(α)の厚みをb[μm]としたとき、d≦15、b≦10、d×b≧20を満足することが好ましい。意匠性(隠蔽性)を担保するためには、塗膜(α)中に含まれるカーボンブラックの絶対量を一定量以上確保することも肝要である。カーボンブラックの絶対量は、塗膜中に含まれるカーボンブラックの含有量(d[質量%])と塗膜厚み(b[μm])の積によって表すことができる。すなわち、d×bが20未満であると、意匠性(隠蔽性)が低下する場合がある。また、dが15超であると、塗膜の造膜性が低下し、耐食性や耐傷付き性が低下する場合がある。
塗膜(α)に淡彩系の着色をする場合には、着色顔料(E)として二酸化チタンを含有することが好ましい。この場合の二酸化チタンの塗膜(α)中の含有量は、10質量%以上70質量%以下であることが好ましい。二酸化チタンの含有量が10質量%未満であると、意匠性(隠蔽性)が低下する場合があり、70質量%超であると耐食性、耐傷付き性、耐汚染性が低下する場合がある。一般的に、塗膜(α)がカーボンブラックを含有し、濃色系の着色をされている場合、着色がない場合や淡彩系の着色をされている場合よりも、傷が入ったときに目立ち易いという特徴を有している。二酸化チタンは、耐傷付き性を底上げする効果を有している上に、外観を淡彩色に近づけ、傷を目立ちにくくする効果も有している。したがって、特に塗膜(α)の膜厚が10μm以下の薄膜で着色時の意匠性(隠蔽性)、耐食性を担保しながら、耐傷付き性を向上させるには、塗膜(α)中にカーボンブラックと二酸化チタンの双方を含有することが好ましい。この場合、カーボンブラックと二酸化チタンとは、質量比で0.5/9.5〜3/7の割合で含有することが好ましい。
<塗膜(α)中の粒子状成分について>
上記塗膜(α)中には、必要に応じ、無機酸化物粒子(B)、ポリオレフィン樹脂粒子(C1)、及び着色顔料(E)のうちの少なくとも1種が、粒子状成分として存在することがある。
一般に、薄い塗膜中に含まれる粒子の形状や大きさを特定することが困難な場合がある。とは言え、塗膜の形成に用いる塗料組成物中に含まれている粒子状成分は、塗膜の形成過程で何らかの物理的又は化学的変化(例えば、粒子同士の結合や凝集、塗料溶媒への有意の溶解、他の構成成分との反応など)を被らない限り、塗膜形成後においても、塗料中に存在していたときの形状や大きさを保持していると見なすことができる。本発明で用いる粒子状成分である無機酸化物粒子(B)、ポリオレフィン樹脂粒子(C1)、及び着色顔料(E)は、塗膜(α)の形成に用いる塗料組成物の溶媒には有意に溶解せず、且つ溶媒や他の塗膜構成成分と反応しないように選ばれる。また、これらの粒子状成分の塗料中での存在形態の保持性を高める目的で、必要に応じて、予め公知の界面活性剤や分散用樹脂等の分散剤で溶媒中に分散したものを塗料組成物の原料として使用することもできる。従って、本発明において規定している塗膜中に含まれるこれらの粒子状成分の粒子径は、塗膜(α)の形成に用いた塗料組成物中でのそれらの粒子径でもって表すことができる。
具体的に述べると、本発明で用いる粒子状成分である無機酸化物粒子(B)、ポリオレフィン樹脂粒子(C1)、及び着色顔料(E)の粒子径は、動的光散乱法(ナノトラック法)によって測定できる。動的散乱法によれば、温度と粘度と屈折率が既知の分散媒中の微粒子の径を簡単に求めることができる。本発明で用いる粒子状成分は、塗料の溶媒に有意に溶解せず、且つ溶媒や他の塗膜構成成分と反応しないように選ばれるので、所定の分散媒中で粒子径を測定して、それを塗料中における粒子状成分の粒子径として採用することができる。動的光散乱法では、分散媒中に分散しブラウン運動している微粒子にレーザー光を照射して粒子からの散乱光を観測し、光子相関法により自己相関関数を求め、キュムラント法を用いて粒子径を測定する。動的光散乱法による粒径測定装置として、例えば、大塚電子社製のFPAR−1000を使用することができる。本発明では、測定対象の粒子を含有する分散体サンプルを25℃で測定してキュムラント平均粒子径を求め、合計5回の測定の平均値を当該粒子の平均粒子径とする。動的光散乱法による平均粒子径の測定については、例えば、ジャーナル・オブ・ケミカル・フィジックス(Journal of Chemical Physics)第57巻11号(1972年12月)第4814頁、に詳しく記載されている。
また、塗膜(α)中に、無機酸化物粒子(B)、ポリオレフィン樹脂粒子(C1)、及び着色顔料(E)のうちの少なくとも1種が粒子状成分として存在する場合、塗膜(α)を断面から観察し、直接その形状や粒子径を測定することも可能である。塗膜(α)の断面観察の方法としては特に制限はないが、常温乾燥型エポキシ樹脂中に塗装金属板を塗膜厚み方向と垂直に埋め込み、その埋め込み面を機械研磨した後に、SEM(走査型電子顕微鏡)で観察する方法やFIB(集束イオンビーム)装置を用いて、塗装金属板から塗膜の垂直断面が見えるように厚さ50nm〜100nmの観察用試料を切り出し、塗膜断面をTEM(透過型電子顕微鏡)で観察する方法等が好適に使用可能である。
(A1.1.2.下地処理層(β)の構成)
上記塗膜(α)の下層、すなわち、塗膜(α)と金属板との間には、更に下地処理層(β)を有することが好ましい。下地処理層(β)の組成は、特に限定されるものではないが、シランカップリング剤、及び有機樹脂から選ばれる少なくとも1種を含む下地処理層(β)を設けることで、塗膜(α)と基材である金属板との密着性を更に高め、パネルの耐食性や耐傷付き性を更に高めることができる。また、シランカップリング剤と有機樹脂の両者を含む下地処理層(β)を設けることで、シランカップリング剤と有機樹脂のいずれか一方を含む下地処理層(β)を設けた場合よりも、塗膜(α)と基材である金属板との密着性を更に一層高めることができ、パネルの耐食性や耐傷付き性を更に一層高めることができる。
下地処理層(β)に含まれるシランカップリング剤としては、特に限定されず、例えば、信越化学工業社、東レ・ダウコーニング社、チッソ社、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社等から販売されているビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルエトキシシラン、N−〔2−(ビニルベンジルアミノ)エチル〕−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカブトプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。このようなシランカップリング剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、下地処理層(β)に含まれる有機樹脂は、特に限定されず、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂等、公知の有機樹脂を使用することができる。上記塗膜(α)と基材金属板との密着性を更に高めるためには、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂の少なくとも1種を使用することが好ましい。塗膜(α)中に含まれる有機樹脂(A)がポリエステル樹脂である場合は、塗膜(α)中の有機樹脂(A)との相容性を高め、塗膜(α)の基材金属板への密着性を高める意味で、下地処理層(β)にもポリエステル樹脂を含有することが特に好ましい。
下地処理層(β)に含まれるシランカップリング剤、及び有機樹脂から選ばれる少なくとも1種の材料の含有量は、特に限定されないが、下地処理層中に50質量%以上含まれることが好ましい。上記含有量が50質量%未満の場合、含有量が少なく、塗膜(α)との密着性や、パネルの耐食性及び耐傷付き性の向上効果が得られないことがある。
下地処理層(β)は、更にポリフェノール化合物を含有することが好ましい。ポリフェノール化合物は、ベンゼン環に結合したフェノール性水酸基を2以上有する化合物、又はその縮合物のことを指す。ベンゼン環に結合したフェノール性水酸基を2以上有する化合物としては、例えば、没食子酸、ピロガロール、カテコール等を挙げることができる。ベンゼン環に結合したフェノール性水酸基を2以上有する化合物の縮合物としては、特に限定されず、例えば、通常タンニン酸と呼ばれる植物界に広く分布するポリフェノール化合物等を挙げることができる。
タンニン酸は、広く植物界に分布する多数のフェノール性水酸基を有する複雑な構造の芳香族化合物の総称である。下地処理層(β)で使用するタンニン酸は、加水分解性タンニン酸でも縮合型タンニン酸でもよい。タンニン酸としては、特に限定されず、例えば、ハマメリタンニン、カキタンニン、チャタンニン、五倍子タンニン、没食子タンニン、ミロバランタンニン、ジビジビタンニン、アルガロビラタンニン、バロニアタンニン、カテキンタンニン等を挙げることができる。タンニン酸としては、市販のもの、例えば、「タンニン酸エキスA」、「Bタンニン酸」、「Nタンニン酸」、「工用タンニン酸」、「精製タンニン酸」、「Hiタンニン酸」、「Fタンニン酸」、「局タンニン酸」(いずれも大日本製薬株式会社製)、「タンニン酸:AL」(富士化学工業株式会社製)等を使用することもできる。これらのタンニン酸は、1種で使用しても良く、2種以上を併用してもよい。
下地処理層(β)は、更にシリカ粒子を含有することが好ましい。シリカ粒子の種類としては特に限定されず、例えば、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカなどのシリカ粒子を挙げることができる。市販品としては、例えば、スノーテックスO、スノーテックスN、スノーテックスC、スノーテックスIPA−ST(日産化学工業社製)、アデライトAT−20N、AT−20A(旭電化工業社製)、アエロジル200(日本アエロジル社製)等を挙げることができる。上記シリカ粒子としては、平均粒子径が5nm以上20nm以下の球状シリカ粒子(B1a)を含有することが、耐食性を向上させる上で好ましい。
また、下地処理層(β)は、更にリン酸化合物、フルオロ錯化合物、及びバナジウム(IV)化合物から選ばれる少なくとも1種を含有することが、耐食性を向上させる上で好ましい。
リン酸化合物としては、特に限定されないが、例えば、リン酸、リン酸のアンモニウム塩、リン酸のアルカリ金属塩、リン酸のアルカリ土類金属塩などが挙げられる。フルオロ錯化合物としては、特に限定されないが、例えば、チタンフッ化水素酸、ジルコンフッ化水素酸や、それらのアンモニウム塩、アルカリ金属塩などが挙げられる。バナジウム(IV)化合物としては、特に限定されないが、例えば、五酸化バナジウム(V)、メタバナジン酸(HVO)、メタバナジン酸アンモニウム(NHVO)、メタバナジン酸ナトリウム(NaVO)、オキシ三塩化バナジウム(VOCl)などの化合物のバナジウム(V)を、アルコールや有機酸等の還元剤を用いてバナジウム(IV)に還元したもの、あるいは、二酸化バナジウム(VO)、バナジウムオキシアセチルアセトネート(VO(C)、オキシ硫酸バナジウム(VOSO)などのバナジウム(IV)含有化合物、バナジウムアセチルアセトネート(V(C)、三酸化バナジウム(V)、三塩化バナジウム(VCl)などの化合物のバナジウム(III)を任意の酸化剤にてバナジウム(IV)に酸化したものなどが挙げられる。
下地処理層(β)の付着量は、特に限定されるものではないが、10mg/m〜1000mg/mの範囲にあることが好ましい。下地処理層(β)の付着量が10mg/m未満では、下地処理層(β)を設けることによる効果が十分に得られず、1000mg/mを超えると、下地処理層(β)が凝集破壊しやすくなり、基材金属板への密着性が低下することがある。安定した効果と経済性の観点から、より好ましい付着量の範囲は、50mg/m〜700mg/mである。
(A1.1.3.金属板の種類)
本発明の各実施形態に係る塗装金属板において、基材に適用可能な金属板の種類としては、特に限定されるものではなく、例えば、鉄、鉄基合金、アルミニウム、アルミニウム基合金、銅、銅基合金等が挙げられ、任意に金属板上にめっきしためっき金属板を使用することもできる。これらの金属板の中でも、本発明の各実施形態への適用において最も好適なものは、亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム系めっき鋼板である。
本発明の各実施形態における亜鉛系めっき鋼板には、例えば、亜鉛めっき鋼板、亜鉛−ニッケルめっき鋼板、亜鉛−鉄めっき鋼板、亜鉛−クロムめっき鋼板、亜鉛−アルミニウムめっき鋼板、亜鉛−チタンめっき鋼板、亜鉛−マグネシウムめっき鋼板、亜鉛−マンガンめっき鋼板、亜鉛−アルミニウム−マグネシウムめっき鋼板、亜鉛−アルミニウム−マグネシウム−シリコンめっき鋼板等の亜鉛系めっき鋼板、更には、これらのめっき層に、少量の異種金属元素又は不純物として、コバルト、モリブデン、タングステン、ニッケル、チタン、クロム、アルミニウム、マンガン、鉄、マグネシウム、鉛、ビスマス、アンチモン、錫、銅、カドミウム、ヒ素等を含有したもの、シリカ、アルミナ、チタニア等の無機物を分散させたものが含まれる。
また、本発明の各実施形態におけるアルミニウム系めっき鋼板には、例えば、アルミニウムめっき鋼板、又は、アルミニウムと、シリコン、亜鉛、マグネシウムのうちの少なくとも1種とからなる合金、例えば、アルミニウム−シリコンめっき鋼板、アルミニウム−亜鉛めっき鋼板、アルミニウム−シリコン−マグネシウムめっき鋼板等が含まれる。
更には、本発明の各実施形態における基材金属板としては、上述しためっきと、他の種類のめっき、例えば、鉄めっき、鉄−リンめっき、ニッケルめっき、コバルトめっき等とを組み合わせた複層めっきが施されためっき鋼板も適用可能である。めっき方法としては、特に限定されるものではなく、公知の電気めっき法、溶融めっき法、蒸着めっき法、分散めっき法、真空めっき法等のいずれの方法を用いてもよい。
(A1.2.パネルの形状)
以上、本発明の各実施形態に係るパネルを形成するための素材となる塗装金属板の構成について詳細に説明した。続いて、上述した塗装金属板を用いて形成される本発明の各実施形態に係るパネルの形状について説明する。
本発明の各実施形態に係るパネルは、上述したような、金属板の少なくとも片面に有機樹脂(A)を造膜成分とする塗膜(α)が被覆されている塗装金属板を特定の形状に加工して形成される。以下、図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態に係るパネルの形状について詳細に説明する。
図1〜図6Eにおいて、本発明の各実施形態のパネル1(1A〜1E)は、家電製品の筐体や、貨物用コンテナの壁体、建築用の構造体や内外装材、自動車や鉄道車両、航空機、船舶等の車体やシャーシ、各部部品、その他、容器としての缶などに利用され、平面や曲面などの所定の基準面Fに沿った全体板状に形成されている。このパネル1は、上述した金属板の少なくとも片面に有機樹脂(A)を造膜成分とする塗膜(α)が被覆されている塗装金属板から形成される。そして、パネル1は、基準面Fに沿った平面部2と、この平面部2の外縁から略直角に折れ曲がった折曲部(枠部)3とを有している。ここで、本発明の各実施形態では、パネル1は折曲部3を備えているが、必ずしも備える必要はない。ただし、パネル1が折曲部3を備えることにより、パネル1の縁部の局所的な変形を抑制するという効果を得ることが可能となる。
(A1.2.1.第1実施形態)
図1及び図6Aに示す第1実施形態のパネル1Aは、基準面Fから突出する複数の凸部4Aと、基準面Fと面一をなす複数の平坦部5Aとを備えている。
複数の凸部4Aは、基準面Fから一方側(基準面Fに対して垂直方向:図の紙面上方)に突出している。また、複数の平坦部5Aは、基準面Fから突出せずに残った平面部2で構成されている。そして、複数の凸部4A及び複数の平坦部5Aが、平面部2に沿って並べて配置されている。
凸部4Aは、正面視した場合(突出方向から見た場合)に、略正六角形である上面部41Aと、上面部41Aの各辺から平面部2(基準面F)に向かって延びる傾斜面部(傾斜面)42Aとを有した正六角錐台で構成されている。平坦部5Aは、3つの凸部4Aの傾斜面部42Aの下端縁によって略正三角形状に形成されている。すなわち、この凸部4Aそれぞれの全周囲は平坦部5Aによって囲まれ、かつ、平坦部5Aそれぞれの全周囲は凸部4Aによって囲まれている。具体的には、平坦部5Aの全周囲である三辺が3つの凸部4Aに囲まれており、凸部4Aの全周囲である六辺が6つの平坦部5Aに囲まれている。したがって、隣り合う平坦部5A同士が互いに連続しないように、かつ、隣り合う凸部4A同士が互いに連続しないように、凸部4A及び平坦部5Aが配置されている。
以上の構成により、本実施形態のパネル1Aは、凸部4Aと平坦部5Aとが、平面的に連続して形成されていない構成となる。これにより、パネル1Aの板の厚み方向の立体効果が得られ、パネル1Aの曲げ剛性やねじり剛性を向上させることができる。したがって、格段に高剛性化を図ることができるとともに、薄型化による軽量化を実現することができる。
(A1.2.2.第2実施形態)
図2及び図6Bに示す第2実施形態のパネル1Bは、基準面Fから突出する複数の凸部4Bと、基準面Fから凹む凹部6Bとを備えている。
複数の凸部4Bは、基準面Fから一方側(基準面Fに対して垂直方向;図の紙面上方)に突出し、複数の凹部6Bは、基準面から一方側とは反対の他方側(基準面Fに対して垂直方向;図の紙面下方)に凹んでいる。そして、複数の凸部4B及び複数の凹部6Bが、平面部2に沿って並べて配置されている。
凸部4Bは、正面視した場合(突出方向から見た場合)に、略正六角形である上面部41Bと、側面である傾斜面部42Bとを有した正六角錐台で構成されている。この傾斜面部42Bは、凸部4Bの周縁部分に形成され、上面部41Bの各辺から平面部2(基準面F)に向かって延び、平面部2に対して傾斜した凸部側傾斜面である。凹部6Bは、正面視した場合に、略正三角形の底面部61Bと、側面である傾斜面部62Bとを有した下向きの正三角錐台で構成されている。傾斜面部62Bは、凹部6Bの周縁部分に形成され、底面部61Bの各辺から平面部2(基準面F)に向かって延び、平面部2に対して傾斜した凹部側傾斜面である。そして、各々の凸部4Bの全周囲は、6つの凹部6Bによって囲まれている。一方、各々の凹部6Bの全周囲は、3つの凸部4Bによって囲まれている。
上述した構成により、隣り合う凸部4B同士が互いに連続しないように、かつ、隣り合う凹部6B同士が互いに連続しないように配置されている。また、凸部4Bの傾斜面部42Bの基準面Fに対する傾斜角度α1と、凹部6Bの傾斜面部62Bの基準面Fに対する傾斜角度α2とが同一である。さらに、傾斜面部42Bと傾斜面部62Bとを基準面Fに垂直な断面で見た場合に、これら傾斜面部42Bと傾斜面部62Bとが直線的に連続して繋がっている。すなわち、同一平面内で連続して形成されている。
以上の構成により、本実施形態のパネル1Bは、パネル1Aと同様に、格段に高剛性化を図ることができるとともに、薄型化による軽量化を実現することができる。
(A1.2.3.第3実施形態)
図3及び図6Cに示す第3実施形態のパネル1Cは、基準面Fから突出する複数の凸部4Cと、平面部2と同一面をなす複数の平坦部5Cとを備えている。
複数の凸部4Cは、四角形状であり、基準面Fから一方側(基準面Fに対して垂直方向:図の紙面上方)に突出している。また、複数の平坦部5Cは、突出せずに残った平面部2で構成されている。そして、複数の凸部4C及び複数の平坦部5Cが、平面部2に沿って並べて配置されている。
凸部4Cは、正面視した場合(突出方向からみた場合)に、略正方形(略四角形)である上面部41Cと、上面部41Cの各辺から平面部2(基準面F)に向かって延びる傾斜面部(傾斜面)42Cとを有した正四角錐台で構成されている。各々の平坦部5Cの全周囲は、複数の凸部4Cによって囲まれている。具体的には、平坦部5Cは、4つ(パネル1の縁では3つ)の凸部4Cの傾斜面部42Cの下端縁によって正方形状に形成され、すなわち、平坦部5Cそれぞれの全周囲である四辺が4つの凸部4Cに囲まれている。また、凸部4Cそれぞれの全周囲は平坦部5Cによって囲まれている。
このような構成により、隣り合う平坦部5C同士が互いに連続しないように、かつ、隣り合う凸部4Cが互いに連続しないように、凸部4C及び平坦部5Cが配置されている。また、幅方向(X方向)及びこの幅方向に直交する長さ方向(Y方向)に沿って、複数の凸部4Cと複数の平坦部5Cとが、基準面Fに沿って交互に並べて配置されている。すなわち、市松模様(チェッカー状)に形成されている。
以上の構成により、本実施形態のパネル1Cは、パネル1Aと同様に、格段に高剛性化を図ることができるとともに、薄型化による軽量化を実現することができる。
(A1.2.4.第4実施形態)
図4及び図6Dに示す第4実施形態のパネル1Dは、基準面Fから突出する複数の凸部4Dと、基準面Fから凹む複数の凹部6Dとを備えている。
複数の凸部4Dは、基準面Fから一方側(基準面Fに対して垂直方向;図の紙面上方)に突出し、複数の凹部6Dは、基準面Fから一方側とは反対の他方側(基準面Fに対して垂直方向;図の紙面下方)に凹んでいる。そして、複数の凸部4D及び複数の凹部6Dが、平面部2に沿って並べて配置されている。
凸部4Dは、正面視した場合(突出方向から見た場合)に、略正方形(略四角形)である上面部41Dと、側面である傾斜面部42Dとを有した正四角錐台で構成されている。傾斜面部42Dは、凸部の周縁部分に形成され、上面部41Dの各辺から平面部2(基準面F)に向かって延び、平面部2に対して傾斜した凸部側傾斜面である。そして、各々の凸部4D全周囲は、4つの凹部6Dによって囲まれている。一方、各々の凹部6Dの全周囲は、4つの凸部4Bによって囲まれている。凹部6Dは、正面視した場合(突出方向から見た場合)に、略正方形(略四角形)である底面部61Dと、側面である傾斜面部62Dとを有した下向きの正四角錐台で構成されている。傾斜面部62Dは、凹部6Dの周縁部分に形成され、底面部61Dの各辺から平面部2(基準面F)に向かって延び、平面部2に対して傾斜した凹部側傾斜面である。そして、各々の凸部4Dの全周囲は、4つの凹部6Dにより囲まれ、一方、各々の凹部6Dの全周囲は、4つの凸部4Dにより囲まれている。
上述した構成により、幅方向(X方向)及びこの幅方向に直交する長さ方向(Y方向)に沿って、複数の凸部4D及び複数の凹部6Dが、それぞれ交互に並べて配置されている。すなわち、市松模様(チェッカー状)に形成されている。これにより、隣り合う凸部4D同士が互いに連続しないように、かつ、隣り合う凹部6D同士が互いに連続しないように構成されている。また、凸部4Dの傾斜面部42Dの基準面Fに対する傾斜角度α3と、凹部6Dの傾斜面部62Dの基準面Fに対する傾斜角度α4とが同一である。さらに、傾斜面部42Dと傾斜面部62Dとを基準面Fに垂直な断面で見た場合に、これら傾斜面部42Dと傾斜面部62Dとが直線的に連続して繋がっている。すなわち、同一平面内で連続して形成されている。
以上の構成により、本実施形態のパネル1Dは、パネル1Aと同様に、格段に高剛性化を図ることができるとともに、薄型化による軽量化を実現することができる。
(A1.2.5.第5実施形態)
図5及び図6Eに示す第5実施形態のパネル1Eは、基準面Fから突出する複数の凸部4Eと、基準面Fから凹む複数の凹部6Eとを備えている。
複数の凸部4Eは、基準面Fから一方側(基準面Fに対して垂直方向;図の紙面上方)に突出し、複数の凹部6Eは、基準面Fから一方側とは反対の他方側(基準面Fに対して垂直方向;図の紙面下方)に凹んでいる。そして、複数の凸部4E及び複数の凹部6Eが、平面部2に沿って並べて配置されている。
また、互いに隣接する凸部4Eの各角部間(凹部6Eの各角部間)に、ブリッジ51Eが形成されている。ブリッジ51Eは、平坦である頂部平坦部(頂部上面)5Eを有しており、この頂部平坦部5Eは、突出せずかつ凹まずに残った平面部2で構成されている。
凸部4Eは、正面視した場合(突出方向から見た場合)に、正方形(四角形)である四隅が面取りされた上面部41Eと、側面である傾斜面部42Eと、上面部41Eの四隅から平面部2(基準面F)に向かって延びる隅部傾斜面43Eとを有した八角錐台で構成されている。この傾斜面部42Eは、凸部4Eの周辺部分に形成され、上面部41Eの各辺から平面部2(基準面F)に向かって延び、平面部2に対して傾斜した凸部側傾斜面である。
凹部6Eは、正面視した場合(突出方向から見た場合)に、正方形の四隅が面取りされた底面部61Eと、側面である傾斜面部62Eと、底面部61Eの四隅から平面部2(基準面F)に延びる隅部傾斜面63Eとを有した下向きの八角錐台で構成されている。傾斜面部62Eは、凹部6Eの周縁部分に形成され、底面部61Eの各辺から平面部2(基準面F)に向かって延び、平面部2に対して傾斜した凹部側傾斜面である。
頂部平坦部5Eは、対角に位置する2つの凸部4Eと2つの凹部6Eとが接近する角部に、隅部傾斜面43Eの下端縁と隅部傾斜面63Eの上端縁とによって正方形状に形成されている。
そして、第5実施形態のパネル1Eにおいて、各々の凸部4Eの全周囲は、4つの凹部6Eによって囲まれ、各々の凹部6Eの全周囲は、4つの凸部4Eによって囲まれて構成されている。この構成により、幅方向(X方向)及びこの幅方向に直交する長さ方向(Y方向)に沿って、複数の凸部4E及び複数の凹部6Eが、それぞれ交互に並べて配置されている。すなわち、市松模様(チェッカー状)に形成されている。これにより、パネル1Eは、隣り合う凸部4E同士が互いに連続しないように、かつ、隣り合う凹部6E同士が互いに連続しないように構成されている。さらに、頂部平坦部5Eの全周囲である四辺が、2つの凸部4E及び2つの凹部6Eによって囲まれており、隣り合う頂部平坦部5E(ブリッジ51E)同士が互いに連続しない構成である。また、凸部4Eの傾斜面部42Eの基準面Fに対する傾斜角度α5と、凹部6Eの傾斜面部62Eの基準面Fに対する傾斜角度α6とが同一である。さらに、傾斜面部42Eと傾斜面部62Eとが同一平面内で連続して形成されている。
尚、凸部の平坦な上面部の面積をS1、凹部の平坦な底面部の面積をS2、頂部平坦部の面積をS3、及び、凸部側傾斜面と、凹部側傾斜面と、隅部傾斜面とから形成される傾斜部の面積をS4としてときに、(S3+S4)/(S1+S2)が1.0以下であることが好ましい。この場合、変曲点を含む剛性比の最大値を確保することができ、パネルの素材特性や要求される二次加工性が変化しても、優れたパネル剛性を確保することができる。
以上の構成により、本実施形態のパネル1Eは、パネル1Aと同様に、格段に高剛性化を図ることができるとともに、薄型化による軽量化を実現することができる。
ここで、本発明の従来例に係るパネル10(10A,10B,10C,10D)を図7A、図7B、図7C及び図8に基づいて説明する。図7Aにおいて、パネル10Aは、平板状の平面部12と、この平面部12の外縁から略直角に折れ曲がった折曲部13とを有して形成されている。図7Bにおいて、パネル10Bは、平面部12及び折曲部13と、平面部12から一方側(図の紙面上方)に突出する複数の凸部14と、平面部12において凸部14が形成されていない平坦部15とを有して形成されている。図7Cにおいて、パネル10Cは、平面部12、折曲部13、複数の凸部14及び平坦部15と、平面部12から他方側(図の下方)に凹む複数の凹部16とを有して形成されている。図8において、パネル10Dは、平面部12及び折曲部13と、平面部12から一方側(図の紙面上方)に突出する複数の凸部14Dとを有して形成され、凸部14Dは、平面正方形状の四角錐とされ、隣り合う凸部14Dの辺同士が接して並べて配置されている。
(A2.パネルの製造方法)
以上、本発明の各実施形態に係るパネルの構成について詳細に説明したが、続いて、このような構成を有する本発明の各実施形態に係るパネルの製造方法について説明する。以下、本発明の各実施形態に係る塗装金属板の製造方法を説明した後に、この塗装金属板を用いて形成される本発明の各実施形態に係るパネルの製造方法について説明する。
(A2.1.塗装金属板の製造方法)
本発明の各実施形態に係る塗装金属板は、基材となる金属板の少なくとも片面に、上述した塗膜(α)を形成することにより製造する。また、上述した下地処理層(β)を設ける場合には、基材となる金属板の少なくとも片面に下地処理層(β)を形成し、この下地処理層(β)の表面に塗膜(α)を積層形成する。ここで、塗膜(α)と下地処理層(β)を形成する際には、下地処理層(β)を金属板上に塗布し、乾燥焼付させた後に塗膜(α)を下地処理層(β)上に塗布し、乾燥焼付させてもよい。また、塗膜(α)形成用の塗料組成物と下地処理層(β)形成用の塗料組成物とを、ウェットオンウェット又は多層同時塗布により基材金属板に塗布した後に、両塗料組成物を同時に乾燥焼付させてもよい。以下に、塗膜(α)と下地処理層(β)の形成方法の詳細について述べる。
(A2.1.1.塗膜(α)の形成方法)
塗膜(α)の形成方法としては、特に限定されないが、例えば、水系溶媒又は有機溶剤系溶媒中に有機樹脂(A)を含有する塗料組成物を金属板上に塗布し、加熱乾燥することで形成することができる。水系溶媒を用いた塗料組成物(以後、「水系塗料」と略す。)を用いると、有機溶剤系溶媒を用いた塗料組成物(以後、「有機溶剤系塗料」と略す。)を使用するための塗装専用ラインを余分に通板する必要がなくなるため、製造コストを大幅に削減することが可能である上に、揮発性有機化合物(VOC)の排出も大幅に抑制できる等の環境面におけるメリットもあるため、水系塗料を用いることが好ましい。ここで、水系溶媒とは、水が溶媒の主成分である溶媒であることを意味する。溶媒中に占める水の量は50質量%以上であることが好ましい。水以外の溶媒は有機溶剤系溶媒でもよいが、労働安全衛生法の有機溶剤中毒予防規則で定義される有機溶剤含有物(労働安全衛生法施行令の別表第六の二に掲げられた有機溶剤を重量の5%を超えて含有するもの)には該当しないものであることがより好ましい。また、有機溶剤系溶媒とは、有機溶剤が溶媒の主成分である溶媒であることを意味する。
塗膜(α)を形成するための塗料組成物は、特定の方法に限定されず、任意の方法で得ることができる。一例として、好ましい塗料組成物を例に説明すれば、分散媒である水系溶媒又は有機溶剤系溶媒中に塗膜(α)の構成成分を添加し、ディスパーで攪拌し、溶解又は分散する方法が挙げられる。分散媒が水系溶媒の場合、各構成成分の溶解性又は分散性を向上させるために、必要に応じて、公知の親水性溶剤等、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール、t−ブチルアルコール及びプロピレングリコールなどのアルコール類や、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのセロソルブ類や、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類や、アセトン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトンなどのケトン類を添加してもよい。
上記塗料組成物の金属板への塗布方法としては、特に制限されることなく、公知の任意の方法を用いることができる。例えば、塗布方法として、ロールコート、カーテン塗装、スプレー塗布、バーコート、浸漬、静電塗布などを利用可能である。
塗料組成物から塗膜(α)を形成する際の加熱乾燥方法としては、特に制限されることなく、任意の方法で行うことができる。例えば、塗料組成物を塗布する前に予め金属板を加熱しておくか、塗布後に金属板を加熱するか、あるいはこれらを組み合わせて乾燥を行うことができる。加熱方法にも特に制限はなく、熱風、誘導加熱、近赤外線、直火等を単独又は組み合わせて使用して、塗料組成物を乾燥させて焼付けることができる。乾燥焼付温度は、到達板温で100℃〜250℃であることが好ましく、120℃〜230℃であることが更に好ましく、130℃〜220℃であることが最も好ましい。到達板温が100℃未満であると、塗膜の造膜が不十分で、耐食性、耐傷付き性、耐汚染性が低下することがあり、250℃超であると、焼付硬化が過剰になり、耐食性が低下することがある。乾燥焼付時間(加熱時間)は1秒〜60秒であることが好ましく、3秒〜20秒であることが更に好ましい。乾燥焼付時間が1秒未満であると、塗膜の造膜が不十分で、耐食性、耐傷付き性、耐汚染性が低下することがあり、60秒超であると、生産性が低下する。
(A2.1.2.下地処理層(β)の形成方法)
下地処理層(β)は、下地処理層(β)を形成するためのコーティング剤を金属板の少なくとも片面に塗布し、加熱乾燥することで形成される。コーティング剤の塗布方法に特に制限はないが、公知のロールコート、スプレー塗布、バーコート、浸漬、静電塗布等を適宜使用することができる。焼付乾燥方法に特に制限はなく、あらかじめ金属板を加熱しておくか、塗布後に金属板を加熱するか、あるいはこれらを組み合わせて乾燥を行ってもよい。加熱方法に特に制限はなく、熱風、誘導加熱、近赤外線、直火等を単独又は組み合わせて使用することができる。焼付乾燥温度については、到達温度で60℃〜150℃であることが好ましい。到達温度が60℃未満であると、乾燥が不十分で、塗膜と基材金属板との密着性や着色塗装金属板の耐食性が低下することがあり、150℃超であると、塗膜と基材金属板との密着性が低下することがある。より好ましい到達温度は70℃〜130℃である。
(A2.2.パネルの形成方法)
次に、上述した方法により得られた塗装金属板を特定の形状、例えば、上述した第1〜第5実施形態で説明した形状に加工し、本発明の各実施形態に係るパネルを形成する。このときのパネルの形成(加工)方法については特に制限は無いが、例えば、塗装金属板を特定の表面形状を有する金型でプレス加工して形成する方法や、特定の表面形状を有するロールによる圧延や転写によって形成する方法等が挙げられ、これらの方法を組み合わせて用いることもできる。
(A3.まとめ)
以上説明したように、本発明の各実施形態に係るパネルによれば、凸部と、平坦部又は凹部のいずれか一方とが、平面的に連続して形成されていない構成である。これにより、パネルの板の厚み方向の立体効果が得られ、パネルの曲げ剛性やねじり剛性を向上させることができる。したがって、格段に高剛性化を図ることができるとともに、薄型化による軽量化を実現することができる。
また、本発明の各実施形態に係るパネルによれば、平坦部を備える場合には、平坦部の全周囲が複数の凸部に囲まれているので、平坦部が連続的に形成されず、かつ複数の凸部も互いに連続的に形成されていない。さらに、凹部を備える場合には、凹部の全周囲が複数の凸部に囲まれているので、凹部が連続的に形成されず、かつ複数の凸部も互いに連続的に形成されていない。この結果、パネル全体としての曲げや捻れに対して凸部と平坦部又は凹部のいずれか一方とが幾何学的に作用し、立体効果によって断面性能が高まる。これにより、曲げ剛性やねじり剛性を向上させることができる。従って、平板や波板に対して従来のパネルと比較しても格段に剛性を高めることができ、これによりパネル全体の薄型化を図り、かつ軽量化も実現することができる。所定の基準面としては、平面でもよいし、円筒面状や球面状、その他、任意の三次元曲面状であってもよい。
さらに、本発明の各実施形態に係るパネルは、金属板の少なくとも片面に有機樹脂(A)を造膜成分とする塗膜(α)が被覆されている塗装金属板を素材とし、その塗装金属板の成形加工によって形成される。有機樹脂(A)を造膜成分とする塗膜(α)は、腐食因子(水や酸素等)のバリヤー性(耐食性)や耐汚染性に優れる。ここで、耐汚染性とは、指紋等の油性汚れが付着しても目立ちにくく、比較的簡単に汚れを除去することができる性能のことを指す。一方、有機樹脂(A)を造膜成分とする塗膜(α)は、柔軟性、プレス金型や金属製圧延ロール等の比較的硬質な素材に対する摺動性に優れるという特徴も有している。すなわち、塗膜(α)は、金属板をパネルに加工する際に生じる金属板の変形(伸びや圧縮)への追従性に優れる上に、プレス金型や金属製圧延ロールとの接触の際に受ける摩擦抵抗を低減する効果も有している。このような塗膜(α)が被覆された塗装金属板から形成されるパネルは、加工部においても、塗膜(α)が亀裂や傷等の損傷を受けることなく均一に被覆しており、優れた耐食性、耐汚染性を保持している。加えて、上述したような塗膜(α)の優れた摺動性は、パネル成形後にも保持されているため、得られたパネルの耐傷付き性も優れることとなる。
次に、添付図面を参照しながら、本発明の他の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
なお、本実施形態の説明の概略は以下の通りである。
B1.パネルの構成
B1.1.塗装金属板の構成
B1.1.1.最表層の塗膜層の構成
B1.1.2.最も厚い塗膜層の構成
B1.1.3.塗膜層に関するその他の構成
B1.1.4.塗膜層以外の構成
B1.1.5.金属板の種類
B1.2.パネルの形状
B2.パネルの製造方法
B2.1.塗装金属板の製造方法
B2.1.1.塗膜層の形成方法
B2.1.2.下地処理層の形成方法
B2.2.パネルの形成方法
B3.まとめ
(B1.パネルの構成)
初めに、本実施形態に係るパネルの構成について説明する。本実施形態に係るパネルは、金属板の片面又は両面に、皮膜として、一層以上の塗膜層を有する塗装金属板から形成されるパネルであって、後述する特定の形状を有する。以下、本実施形態に係る塗装金属板の構成を説明した後に、この塗装金属板を用いて形成される本実施形態に係るパネルの形状について説明する。
(B1.1.塗装金属板の構成)
本実施形態に係る塗装金属板は、金属板の片面又は両面に一層以上の塗膜層を有する塗装金属板が被覆される。本発明では、塗膜層の塗膜構成については特に限定はされず、一層の塗膜のみを有するものであってもよいし、二層以上の塗膜を有するものであってもよい。ただし、以下に説明するように、優れた意匠性や耐食性を確保するためには、二層以上の塗膜からなる塗膜層であることが好ましく、この場合、最表層の塗膜の組成や物性が、塗装金属板、ひいてはこの塗装金属板から形成されるパネルの特性に大きく影響する。また、塗膜層が二層以上の塗膜からなる場合には、最表層の塗膜の組成や物性に加え、最表層の塗膜と金属板との間の最も厚い塗膜の物性も塗装金属板やパネルの特性に影響する。以上のことから、本発明では、以下に説明するように、主に、最表層の塗膜や最表層の塗膜と金属板との間の最も厚い塗膜に関する組成や物性等を規定している。
本発明における塗膜層の構成は、特に限定されないが、塗膜層が二層以上の複層である場合、少なくとも一層が着色顔料を含有する着色塗膜層であることが、パネルの意匠性を高める上で好ましい。着色顔料としては特に限定されないが、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、ナフトールレッド、ジスアゾイエロー、ジスアゾピラゾロンオレンジなどの一般に公知のものを用いることができる。無機系顔料であっても、有機系顔料であってもよい。また、着色顔料として、アルミ顔料やニッケル顔料などの一般に公知のメタリック顔料を用いてもよく、粒状のもの、フレーク状のものいずれの形態のものを用いてもよい。これらの着色顔料は、単独で用いてもよく、複数種類を併用して用いてもよい。
着色顔料の添加量は、塗膜の固形分基準で5質量%以上70質量%以下であることが好ましい。着色顔料の添加量が5質量%未満では、パネルの意匠性(隠蔽性)が低下する場合があり、70質量%超では、耐食性や耐傷付き性が劣る場合がある。
また、塗膜層が二層以上の複層である場合には、少なくとも一層が防錆顔料を含有する層であることが、パネルの耐食性を高める上で好ましい。防錆顔料としては特に限定されないが、例えば、リン酸亜鉛、リン酸鉄、リン酸アルミニウム、亜リン酸亜鉛、トリポリリン酸アルミニウムなどのリン酸系防錆顔料や、モリブデン酸カルシウム、モリブデン酸アルミニウム、モリブデン酸バリウムなどのモリブデン酸系防錆顔料や、酸化バナジウムなどのバナジウム系防錆顔料や、カルシウムシリケートなどのシリケート系防錆顔料や、水分散シリカ、ヒュームドシリカ、カルシウムイオン交換シリカなどのシリカ系防錆顔料や、フェロシリコンなどのフェロアロイ系防錆顔料などの一般に公知のクロメートフリー系防錆顔料、あるいは、クロム酸ストロンチウム、クロム酸カリウム、クロム酸バリウム、クロム酸カルシウムなどの一般に公知のクロム系防錆顔料を用いることができる。ただし、近年の環境保全の観点から、本発明における防錆顔料としては、クロメートフリー系防錆顔料の使用がより好ましい。これらの防錆顔料は、単独で用いてもよく、複数種類を併用してもよい。
防錆顔料の添加量は、塗膜の固形分基準で1質量%以上40質量%以下であることが好ましい。防錆顔料の添加量が1質量%未満では、耐食性の改良が十分でなく、40質量%超では、加工性が低下して、加工時に塗膜層が脱落する場合があり、耐食性も劣る傾向にある。
(B1.1.1.最表層の塗膜層の構成)
次に、最表層の塗膜層の構成について説明する。
上記塗膜層のうちの最表層のガラス転移温度(Tg)は、特に限定されないが、0℃以上80℃以下であることが好ましく、より好ましくは5℃以上50℃以下である。最表層のTgが0℃未満では、塗膜層の硬度が低過ぎて耐傷付き性に劣ることがあり、80℃超では、塗装金属板を加工する際に生じる金属板の変形に塗膜層が追従できなくなり、塗膜層に亀裂が多く発生するおそれがあるため、好ましくない。
ここで、塗膜層のTgとは、顔料や硬化剤を含む塗膜層の場合、これらを添加した後のバルクとしてのTgのことである。塗膜層のTgは、金属板に塗装された塗膜層を剥離して、示差走査熱量分析装置(一般にDSCと呼ばれる)を用いて測定してもよいし、塗装金属板として塗装された状態で熱機械分析装置(一般にTMAと呼ばれる)を用いて測定してもよい。また、塗膜層のTgは、その他一般に公知の方法によって測定してもよい。なお、塗膜層のTgは、測定機器や測定条件によって多少の誤差が生じることが知られている。そのため、本発明では、複数ある一般に公知のTgの測定方法のうちのいずれか1つの方法、すなわち、DSCを用いた方法またはTMAを用いた方法で測定したときに、塗膜層のTgが0℃以上80℃以下の範囲であれば、本発明に含まれるものとする。塗膜層のTgは、主にバインダーとなる樹脂のTgが支配的であるため、バインダー樹脂のTgを制御することで、塗膜層のTgを調整することができる。バインダー樹脂のTgは、ほぼ塗膜層のTgと相関すると考えてよいため、使用するバインダー樹脂のTgも0℃以上80℃以下のものがより好ましい。また、Tgの異なる樹脂を複数種混合して、混合した樹脂全体のTgを0℃以上80℃以下としてもよい。
前記塗膜層のうち最表層のバインダー樹脂は、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、フッ素樹脂などが例として挙げられ、特に限定されないが、加工が厳しい用途に使用される場合には、熱硬化型の樹脂がより好ましい。熱硬化型の樹脂としては、エポキシポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂、メラミンポリエステル樹脂、ウレタンポリエステル樹脂などのポリエステル系樹脂やアクリル樹脂が挙げられ、これらは他の樹脂と比べて加工性が良く、厳しい加工の後にも塗膜層に亀裂が発生しにくい。
上記塗膜層のうちの最表層のポリエステル系樹脂としては特に限定されないが、一般に公知の多塩基酸と多価アルコールとのエステル化合物であって、一般に公知のエステル化反応によって合成される。
上記多塩基酸としては特に限定されないが、例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、無水フタル酸、無水トリメット酸、マレイン酸、アジピン酸、フマル酸などを挙げることができる。これらの多塩基酸は、1種を使用してもよいし、複数種を併用してもよい。
上記多価アルコールとしては特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペンチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン、ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等を挙げることができる。これらの多価アルコールは、1種又は2種類以上を混合して用いてもよい。
上記ポリエステル系樹脂を用いるに当たって、硬化剤を配合すると、塗膜層の硬度が向上するため好ましい。硬化剤としては特に限定されないが、一般に公知のアミノ樹脂、ポリイソシアネート化合物のいずれか一方または双方を用いることができる。
上記アミノ樹脂としては特に限定されないが、例えば、尿素、ベンゾグアナミン、メラミン等とホルムアルデヒドとの反応で得られる樹脂、及びこれらをアルコールによりアルキルエーテル化したものなどが使用できる。具体的には、メチル化尿素樹脂、n−ブチル化ベンゾグアナミン樹脂、メチル化メラミン樹脂、n−ブチル化メラミン樹脂、iso−ブチル化メラミン樹脂等を挙げることができる。
塗装金属板の分野で広く用いられる樹脂は、ポリエステル系樹脂を主樹脂とし、メラミン系樹脂を硬化剤としたポリエステル/メラミン系樹脂である。なお、ここで言うメラミン系樹脂は、メチル化メラミン、n−ブチル化メラミン、iso−ブチル化メラミンのうちの少なくとも1種以上を示す。
上記ポリイソシアネート化合物としては特に限定されないが、例えば、フェノール、クレゾール、芳香族第二級アミン、第三級アルコール、ラクタム、オキシム等のブロック剤でブロック化したイソシアネート化合物が好ましい。さらに好ましいポリイソシアネート化合物としては、HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)及びその誘導体、TDI(トリレンジイソシアネート)及びその誘導体、MDI(ジフェニルメタンジイソシアネート)及びその誘導体、XDI(キシリレンジイソシアネート)及びその誘導体、IPDI(イソホロンジイソシアネート)及びその誘導体、TMDI(トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート)及びその誘導体、水添TDI及びその誘導体、水添MDI及びその誘導体、水添XDI及びその誘導体等が挙げられる。
上記塗膜層のうち最表層の硬度は、主に塗膜層中に含まれる硬化剤の種類と添加量で調整することができる。硬化剤として、メラミン系樹脂を使用した方がポリイソシアネート化合物を使用するよりもユニバーサル硬度が高くなる傾向があり、いずれを用いた場合も、添加量を増やすとユニバーサル硬度が高くなる。
ここで、ユニバーサル硬度とは、ドイツのDIN 50359−1に記載された塗膜硬度測定方法を指し、ダイヤモンドでできた対面角度が136°の四角錐(JIS−Z−2244(2009年)に記載のビッカース硬さ試験で用いる圧子と同じもの)を材料表面に押付け、作用している荷重条件下での押し込み深さから硬度を算出する。なお、本発明でのユニバーサル硬度とは、温度23℃、押し込み荷重5mNの条件で、且つ、このDIN規格に記載された微小硬度計を用いて測定したものとする。
上記塗膜層のうちの最表層のユニバーサル硬度は、2N/mm以上であることが好ましい。ユニバーサル硬度が2N/mm未満では、塗膜層の硬度が低過ぎて耐傷付き性に劣り、また、塗装金属板を加工する際に塗膜層のカジリが発生する場合がある。一方、ユニバーサル硬度が40N/mm超では、塗装金属板を加工する際に塗膜層に亀裂が多く発生するおそれがあるため、好ましくない。そのため、上記塗膜層のうちの最表層のユニバーサル硬度は、40N/mm以下であることが好ましい。
本発明のパネル形状への加工は、引っ張り歪みのみが関与する単なる曲げ加工ではなく、引っ張り歪みと圧縮歪みの両方が関与する絞り成形的な要素があり、特に、優れた意匠性を実現する深い加工においてはその傾向が強い。
パネル形状に加工したときの変形した本発明の塗膜層の内部には、弾性的な歪みエネルギーが蓄積され、その歪みエネルギーが大きい塗膜層は座屈しやすいため、塗膜層の破壊や剥離が起きやすく、また、加工直後には起きなくても、長期間放置すると塗膜層の破壊や剥離が起きる可能性が高くなる(塗装工学、10(33)、399−406頁を参照)。塗膜層が破壊や剥離すると、下地の金属板が表面に露出しやすくなることから、耐食性が低下する。逆に、歪みエネルギーが小さい塗膜層は座屈し難く、長期間に渡って塗膜層が破壊や剥離する可能性が低い。その結果、金属板が表面に露出する場合が少なく、たとえ露出したとしてもその程度が小さいため、優れた耐食性を示す。
金属板の加工時に塗膜層内部に蓄積する弾性歪みエネルギーは、塗膜層を構成する主樹脂の架橋点間分子量に依存し、この樹脂の架橋点間分子量は、一般に樹脂のゴム状弾性領域の平衡弾性率と相関がある。粘弾性体である樹脂は、温度、時間(動的貯蔵弾性率の場合は周波数)に依存して弾性率が変化する。架橋された熱硬化型樹脂の場合、低温もしくは短時間(動的貯蔵弾性率の場合は高周波)の領域では、高い弾性率(一般にはこの領域をガラス状弾性領域と呼び、10〜1010Pa付近の値)を示す。そして、温度が高くなるか、もしくは時間が長くなるに従い(動的貯蔵弾性率の場合、周波数が低くなるに従い)、弾性率が急激に減少する領域が現れる(一般には転移領域と呼ばれる)。さらに高温もしくは長時間(動的貯蔵弾性率の場合、低周波)になると、一定の平衡弾性率となり、この平衡弾性領域をゴム状弾性領域と呼ぶ(一般には、10〜10Pa付近の値を示す)。
本発明では、動的粘弾性測定装置によって、一定周波数(角周波数6.28rad/sec)、温度−50〜200℃の領域で測定した動的貯蔵弾性率のうち、高温のゴム状弾性領域で現れる動的貯蔵弾性率の最小値で塗膜の特性を定義している。なお、動的貯蔵弾性率とは、一般にE’で表され、E’=(σ/γ)cosδで定義される。ただし、σは応力の最大振幅、γは歪みの最大振幅、δは応力と歪みとの間の位相角を表す。
上記塗膜層のうち最表層を構成する主樹脂のゴム状弾性領域における動的貯蔵弾性率の最小値は特に限定されないが、2×10Pa以下が好ましい。動的貯蔵弾性率の最小値が2×10Pa超では、塗膜を構成する主樹脂の架橋点間分子量が小さくなり、変形した後に塗膜内部に蓄積する弾性的な歪みエネルギーが大きくなるからである。すなわち、エンボス加工を施した直後は塗膜が外観上健全に見える場合であっても、経時で塗膜の破壊や剥離が生ずる可能性が高くなり、不適当であるからである。
(B1.1.2.最も厚い塗膜層の構成)
次に、最表層の塗膜と金属板との間の最も厚い塗膜層の構成について説明する。
上述したように、塗膜層が二層以上からなる場合は、上記塗膜層のうち最表層の物性に加え、最表層と金属板との間の最も厚い塗膜層の物性も塗装金属板の特性に影響する。すなわち、上記塗膜層のうち最表層と金属板との間の最も厚い塗膜層のTgは、特に限定されないが、0℃以上80℃以下であることが好ましく、より好ましくは5℃以上50℃以下である。また、上記最も厚い塗膜層のゴム状弾性領域における動的貯蔵弾性率の最小値は特に限定されないが、2×10Pa以下であることが好ましい。
(B1.1.3.塗膜層に関するその他の構成)
上記塗膜層のうち上述した最表層のさらに上層に、シリコーン樹脂又はフッ素樹脂を含有する塗膜層を設けてもよい。この場合には、上記塗膜層のうちの最表層は、シリコーン樹脂又はフッ素樹脂を含有する塗膜層となる。シリコーン樹脂またはフッ素樹脂は、撥油撥水機能の発現に優れ、これらを含有する塗膜層を最表層として設けることで、本発明の塗装金属板に撥油撥水機能を付与することができる。これらのシリコーン樹脂またはフッ素樹脂は、いずれか一方を用いてもよいし、両方を併用してもよい。
上記塗膜層の総膜厚は特に限定されないが、1μm以上100μmであることが好ましく、より好ましくは10μm以上80μm以下である。塗膜層の総膜厚が1μm未満では耐食性が確保できず、100μm超では、コスト面から不利になるためである。
塗膜層の総膜厚は、塗膜層の断面観察や電磁膜厚計等の利用により測定できる。その他に、金属板の単位面積当りに付着した塗膜層の質量を、塗膜層の比重又は塗布溶液の乾燥後比重で除算して算出してもよい。塗膜層の付着質量は、塗装前後の質量差を算出すること、塗装後の塗膜層を剥離した前後の質量差を算出すること、又は、塗膜層を蛍光X線分析して予め塗膜中の含有量が分かっている元素の存在量を測定すること等、既存の手法から適切に選択すればよい。塗膜層の比重又は塗布溶液の乾燥後比重は、単離した塗膜層の容積と質量を測定すること、適量の塗布溶液を容器に取り乾燥させた後の容積と質量を測定すること、又は、塗膜層構成成分の配合量と各成分の既知の比重から計算すること等、既存の手法から適切に選択すればよい。
上述した各種測定方法の中でも、比重等が異なる塗膜層でも簡便に精度よく測定できることから、塗膜層の総膜厚の測定方法としては、塗膜層の断面観察を利用することが好適である。
塗膜層の断面観察の方法としては特に制限はないが、常温乾燥型エポキシ樹脂中に塗装金属板を塗膜層の厚み方向と垂直に埋め込み、その埋め込み面を機械研磨した後に、SEM(走査型電子顕微鏡)で観察する方法や、FIB(集束イオンビーム)装置を用いて、塗装金属板から塗膜層の垂直断面が見えるように厚さ50nm〜100nmの観察用試料を切り出し、塗膜層断面をTEM(透過型電子顕微鏡)で観察する方法等が好適に使用可能である。
(B1.1.4.塗膜層以外の構成)
本発明の塗装金属板は、プレコート金属板であることが好ましい。プレコート金属板には塗料を金属板に塗装したものと樹脂フィルムを金属板にラミネートしたものがあり、需要家での塗装工程が省略でき塗装廃棄物などによる公害や環境問題の解決が図られ、更に塗装のためのスペースを他の用途に転活用できるなど、加工後塗装されるポストコート金属板には無いメリットがあるためである。
また、上記金属板と塗膜層との間には、必要に応じて化成処理層を設けてもよい。化成処理層は、下地金属板と塗膜層の密着性をより強固なものとすること、及び耐食性の向上を目的として処理される。化成処理としては公知の技術を使用でき、例えば、リン酸亜鉛処理、クロメート処理、シランカップリング処理、複合酸化被膜処理、ノンクロメート処理、タンニン酸系処理、チタニア系処理、ジルコニア系処理、Ni表面調整処理、Co表面調整処理、これらの混合処理等が挙げられる。これらの処理のうち、環境保全の観点から、クロメートフリー系の処理が好ましい。
(B1.1.5.金属板の種類)
本実施形態に係る塗装金属板において、基材に適用可能な金属板の種類としては、特に限定されるものではなく、例えば、鉄、鉄基合金、アルミニウム、アルミニウム基合金、銅、銅基合金等が挙げられ、金属板上に任意のめっき層を有するめっき金属板を使用することもできる。これらの金属板の中でも、本実施形態への適用において最も好適なものは、亜鉛系めっき層又はアルミニウム系めっき層を有する金属板である。
本実施形態における亜鉛系めっき層には、例えば、亜鉛めっき層、亜鉛−ニッケルめっき層、亜鉛−鉄めっき層、亜鉛−クロムめっき層、亜鉛−アルミニウムめっき層、亜鉛−チタンめっき層、亜鉛−マグネシウムめっき層、亜鉛−マンガンめっき層、亜鉛−アルミニウム−マグネシウムめっき層、亜鉛−アルミニウム−マグネシウム−シリコンめっき層等の亜鉛系めっき、更には、これらのめっき層に、少量の異種金属元素又は不純物として、コバルト、モリブデン、タングステン、ニッケル、チタン、クロム、アルミニウム、マンガン、鉄、マグネシウム、鉛、ビスマス、アンチモン、錫、銅、カドミウム、ヒ素等を含有したもの、シリカ、アルミナ、チタニア等の無機物を分散させたものが含まれる。
また、本実施形態におけるアルミニウム系めっき層には、例えば、アルミニウムめっき層、又は、アルミニウムと、シリコン、亜鉛、マグネシウムのうちの少なくとも1種とからなる合金、例えば、アルミニウム−シリコンめっき層、アルミニウム−亜鉛めっき層、アルミニウム−シリコン−マグネシウムめっき層等が含まれる。
更には、本実施形態における基材金属板としては、上述しためっき層と、他の種類のめっき層、例えば、鉄めっき層、鉄−リンめっき層、ニッケルめっき層、コバルトめっき層等とが積層された複層めっき層を有する金属板も適用可能である。めっき方法としては、特に限定されるものではなく、公知の電気めっき法、溶融めっき法、蒸着めっき法、分散めっき法、真空めっき法等のいずれの方法を用いてもよい。
(B1.2.パネルの形状)
以上、本実施形態に係るパネルを形成するための素材となる塗装金属板の構成について詳細に説明した。上述した塗装金属板を用いて形成される本実施形態に係るパネルの形状については、A1.2.パネルの形状、A1.2.1.第1実施形態、A1.2.2.第2実施形態、A1.2.3.第3実施形態、A1.2.4.第4実施形態、及びA1.2.5.第5実施形態における説明と重複するため、説明を省略する。
(B2.パネルの製造方法)
以上、本実施形態に係るパネルの構成について詳細に説明したが、続いて、このような構成を有する本実施形態に係るパネルの製造方法について説明する。以下、本実施形態に係る塗装金属板の製造方法を説明した後に、この塗装金属板を用いて形成される本実施形態に係るパネルの製造方法について説明する。
(B2.1.塗装金属板の製造方法)
本実施形態に係る塗装金属板は、金属板の片面又は両面に、一層以上の塗膜層を形成することにより製造する。また、上述した下地処理層を設ける場合には、基材となる金属板の片面又は両面に下地処理層を形成し、この下地処理層の表面に上記塗膜層を積層形成する。ここで、複数層からなる塗膜層や、塗膜層と下地処理層の双方を形成する際には、下地処理層や最下層の塗膜層を金属板上に塗布し、乾燥焼付させた後にその上層の塗膜層を下地処理層や最下層の塗膜層上に塗布し、乾燥焼付させてもよい。また、上層の塗膜層形成用の塗料組成物と、下地処理層や最下層の塗膜層形成用の塗料組成物とを、ウェットオンウェット又は多層同時塗布により基材金属板に塗布した後に、全ての塗料組成物を同時に乾燥焼付させてもよい。以下に、塗膜層と下地処理層の形成方法の詳細について述べる。
(B2.1.1.塗膜層の形成方法)
塗膜層の形成方法としては、特に限定されないが、一般に公知の方法で金属板上に塗装される。例えば、ロールコーター、カーテンコーター、静電塗装、スプレー塗装、浸漬塗装、浸漬塗装などである。その後、熱風、誘導加熱、近赤外、遠赤外などの加熱によって乾燥硬化される。塗膜を構成する樹脂が電子線や紫外線で硬化するものであれば、これらの照射によって硬化されてもよい。また、加熱や電子線などの照射を併用してもよい。
(B2.1.2.下地処理層の形成方法)
下地処理層は、下地処理層を形成するためのコーティング剤を金属板の少なくとも片面に塗布し、加熱乾燥することで形成される。コーティング剤の塗布方法に特に制限はないが、公知のロールコーター、カーテンコーター、静電塗装、スプレー塗装、浸漬塗装などを適宜使用することができる。焼付乾燥方法に特に制限はなく、あらかじめ金属板を加熱しておくか、塗布後に金属板を加熱するか、あるいはこれらを組み合わせて乾燥を行ってもよい。加熱方法に特に制限はなく、熱風、誘導加熱、近赤外線、遠赤外線、直火等を単独又は組み合わせて使用することができる。
(B2.2.パネルの形成方法)
次に、上述した方法により得られた塗装金属板を特定の形状、例えば、上述した第1〜第5実施形態で説明した形状に加工し、本実施形態に係るパネルを形成する。このときのパネルの形成(加工)方法については特に制限は無いが、例えば、塗装金属板を特定の表面形状を有する金型でプレス加工して形成する方法や、特定の表面形状を有するロールによる圧延や転写によって形成する方法等が挙げられ、これらの方法を組み合わせて用いることもできる。
(B3.まとめ)
以上説明したように、本実施形態に係るパネルによれば、凸部と、平坦部又は凹部のいずれか一方とが、平面的に連続して形成されていない構成である。これにより、パネルの板の厚み方向の立体効果が得られ、パネルの曲げ剛性やねじり剛性を向上させることができる。したがって、格段に高剛性化を図ることができるとともに、薄型化による軽量化を実現することができる。
また、本実施形態に係るパネルによれば、平坦部を備える場合には、平坦部の全周囲が複数の凸部に囲まれているので、平坦部が連続的に形成されず、かつ複数の凸部も互いに連続的に形成されていない。さらに、凹部を備える場合には、凹部の全周囲が複数の凸部に囲まれているので、凹部が連続的に形成されず、かつ複数の凸部も互いに連続的に形成されていない。この結果、パネル全体としての曲げや捻れに対して凸部と平坦部又は凹部のいずれか一方とが幾何学的に作用し、立体効果によって断面性能が高まる。これにより、曲げ剛性やねじり剛性を向上させることができる。従って、平板や波板に対して従来のパネルと比較しても格段に剛性を高めることができ、これによりパネル全体の薄型化を図り、かつ軽量化も実現することができる。所定の基準面としては、平面でもよいし、円筒面状や球面状、その他、任意の三次元曲面状であってもよい。
さらに、本実施形態に係るパネルは、金属板の片面または両面に一層以上の塗膜層を有する塗装金属板を素材とし、その塗装金属板の成形加工によって形成される。該塗膜層は意匠性や腐食因子(水や酸素など)のバリヤー性(耐食性)に優れる。また、該塗膜層は柔軟性及びプレス金型や金属製圧延ロールなどの硬質な素材に対する摺動性に優れるという特徴も有している。すなわち、該塗膜層は塗装金属板をパネルに加工する際に生じる金属板の変形(伸びや圧縮)への追従性に優れる上に、プレス金型や金属製圧延ロールとの接触の際に受ける摩擦抵抗を低減する効果も有している。このような塗膜層を有する塗装金属板から形成されるパネルは加工部においても、該塗膜層が亀裂や傷などの損傷を受けることなく均一に被覆しており、優れた意匠性と耐食性を保持している。加えて、前述した塗膜層の優れた摺動性はパネル形成後にも保持されるため、得られたパネルの耐傷付き性も優れる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明が以下の実施例により限定されるわけではない。
(実施例1)パネル形状
まず、本実施形態のパネル1と従来のパネル10とについて、パネル剛性を検討した結果について説明する。
ここでは、上述した第1〜第5実施形態のパネル1A〜1Eを実施形状例とし、従来のパネル10A〜10Dを比較形状例とし、各パネルをモデル化したFEM解析を実施してパネル剛性を算出した。なお、FEM解析モデルとしては、図9Aに示すように、各パネル1,10の4つの角及び四辺の中央を支持してパネル中央に荷重を与える曲げモデルと、図9Bに示すように、各パネル1,10の3つの角を支持して他の角に荷重を与える捻りモデルとを用いた。また、各モデルのパネル1,10において、折曲部3,13の高さは15mmとし、その端縁23同士は連結されていない構成とした。また、各モデルの凹凸の配置及び寸法を図10A〜図18Bに示す。なお、モデル寸法はパネル1,10の板厚中心寸法で表記している。また、解析結果を図19及び図20に示す。
〔解析モデル〕
実施形状例及び比較形状例に共通する解析モデルの諸元及び解析条件は、以下の通りである。
・パネルサイズ:285mm×285mm
・パネル板厚:0.6mm(パネル材質は鋼を想定)
・荷重位置:曲げモデルでは、パネル中央の20mm×20mmの範囲とし、捻りモデルでは、支持しない1つの角の1点である(図9A、図9B中に白抜き矢印で表示)。
・作用荷重:10N
〔比較形状例〕
比較形状例1としては、図7Aに示すパネル10Aを用いた。本解析モデルの形状を図10A,10Bに示す。また、解析結果のグラフ(図19,図20)では、No.1と表記する。
比較形状例2としては、図7Bに示すパネル10Bを用いた。本解析モデルの凹凸の配置及び寸法を図11A,11Bに示す。また、解析結果のグラフ(図19,図20)では、No.2と表記する。この比較形状例2では、隣り合う凸部14の中心間隔が34.64mmであり、中心点が正三角形の頂点となるように配置した。各凸部14の円錐台頂面の直径を24mmとし、円錐台底面の直径を30mmとし、平面部12からの凸部14の突出寸法を3mmとし、凸部14の円錐台状の傾斜角度を45°とした。
比較形状例3としては、図7Cに示すパネル10Cを用いた。本解析モデルの凹凸の配置及び寸法を図12A,12Bに示す。また、解析結果のグラフ(図19,図20)では、No.3と表記する。この比較形状例3では、隣り合う凸部14及び凹部16の中心間隔を34.64mmとし、中心点が正三角形の頂点となるように配置した。各凸部14及び凹部16の円錐台頂面の直径を27mmとし、円錐台底面の直径を30mmとし、平面部12からの凸部14の突出寸法及び凹部16の凹み寸法をそれぞれ1.5mmとした。また、凸部14と凹部16の円錐台頂面の距離を3mmとし、凸部14及び凹部16の円錐台状の傾斜角度を45°とした。
比較形状例4としては、図8に示すパネル10Dを用いた。本解析モデルの凹凸の配置及び寸法を図13A,13Bに示す。また、解析結果のグラフ(図19,図20)では、No.4と表記する。この比較形状例4では、隣り合う凸部14Dの中心間隔を30mmとし、つまり、各凸部14Dの平面寸法を30mm×30mmとし、平面部12からの凸部14Dの突出寸法つまり四角錐の頂点の高さを3mmとした。
〔実施形状例〕
実施形状例1としては、図1及び図6Aに示すパネル1Aを用いた。本解析モデルの凹凸の配置及び寸法を図14A,14Bに示す。また、解析結果のグラフ(図19,図20)では、No.5と表記する。この実施形状例1のパネル1Aでは、隣り合う凸部4Aの中心間隔を34.64mmとし、中心点が正三角形の頂点となるように配置し、各凸部4Aの六角錐台の頂面の対辺の距離を24mmとし、六角錐台底面の対辺の距離を30mmとし、六角錐台の底面に囲まれた平面正三角形が各平坦部5Aとなるようにした。さらに、平面部2からの凸部4Aの突出寸法を3mmとし、基準面Fに対する凸部4Aの傾斜面部42Aの傾斜角度を45°とした。
実施形状例2としては、図2及び図6Bに示すパネル1Bを用いた。本解析モデルの凹凸の配置及び寸法を図15A,15Bに示す。また、解析結果のグラフ(図19,図20)では、No.6と表記する。この実施形状例2のパネル1Bでは、隣り合う凸部4Bの中心間隔を34.64mmとし、中心点が正三角形の頂点となるように配置し、各凸部4Bの六角錐台頂面の対辺の距離を27mmとし、六角錐台底面の対辺の距離を30mmとした。また、六角錐台底面に囲まれた領域に各凹部6Bとなる三角錐台を設けた。また、平面部2からの凸部4Bの突出寸法を1.5mmとし、平面部2からの凹部6Bの凹み寸法を1.5mmとした。また、凸部4Bの六角錐台頂面と凹部6Bの三角錐台頂面の距離を3mmとし、基準面Fに対する凸部4Aの傾斜面部42B及び凹部6Bの傾斜面部62Bの傾斜角度をそれぞれ45°とした。
実施形状例3としては、図3及び図6Cに示すパネル1Cを用いた。本解析モデルの凹凸の配置及び寸法を図16A,16Bに示す。また、解析結果のグラフ(図19,図20)では、No.7と表記する。この実施形状例3のパネル1Cでは、隣り合う凸部4Cの中心間隔を30mmとし、つまり、平面正方形の各凸部4Cの四角錐台底面の各辺長さを30mmとし、四角錐台の頂面の各辺長さを24mmとした。さらに、平面部2からの凸部4Cの突出寸法を3mmとし、基準面Fに対する凸部4Cの傾斜面部42Cの傾斜角度を45°とした。
実施形状例4としては、図4及び図6Dに示すパネル1Dを用いた。本解析モデルの凹凸の配置及び寸法を図17A,17Bに示す。また、解析結果のグラフ(図19,図20)では、No.8と表記する。この実施形状例4のパネル1Dでは、隣り合う凸部4Dの中心間隔を30mmとし、つまり、平面正方形の各凸部4Dの四角錐台の底面の各辺長さを30mmとし、四角錐台頂面の各辺長さを27mmとし、凹部6Dの四角錐台底面の各辺長さを30mmとし、四角錐台頂面の各辺長さを27mmとした。さらに、平面部2からの凸部4Dの突出寸法を1.5mmとし、平面部2からの凹部6Dの凹み寸法を1.5mmとした。また、凸部4Dの四角錐台頂面と凹部6Dの四角錐台頂面の距離を3mmとし、基準面Fに対する凸部4Dの傾斜面部42D及び凹部6Dの傾斜面部62Dの傾斜角度をそれぞれ45°とした。
本実施形状例4では、凸部4Dと凹部6Dとの平面形状及び平面寸法が同一である。これにより、パネルの突出している側からの外力及びパネルの凹んでいる側からの外力のいずれに対してもバランスよく抵抗させることができる。さらに、本実施形状例4では、基準面に対して垂直方向の凸部の突出寸法と凹部の凹み寸法とが同一である。この場合も、パネルの突出している側及びパネルの凹んでいる側のいずれの側からの外力に対してもバランスよく抵抗させることができる。
実施形状例5としては、図5及び図6Eに示すパネル1Eを用いた。本解析モデルの凹凸の配置及び寸法を図18に示す。また、解析結果のグラフ(図19,図20)では、No.9と表記する。この実施形状例5のパネル1Eでは、隣り合う凸部4Eの中心間隔を30mmとし、つまり、平面略正方形の各凸部4Eの四角錐台の底面の各辺長さを30mmとし、四角錐台の頂面の各辺長さを27mmとし、凹部6Eの四角錐台の底面の各辺長さを30mmとし、四角錐台の頂面の各辺長さを27mmとした。さらに、平面部2からの凸部4Eの突出寸法を1.5mmとし、平面部2からの凹部6Eの凹み寸法を1.5mmとした。また、凸部4Eの四角錐台の頂面と凹部6Eの四角錐台の頂面の距離を3mmとし、基準面Fに対する凸部4Eの傾斜面部42E及び凹部6Eの傾斜面部62Eの傾斜角度をそれぞれ45°とした。また、実施形状例5のパネル1Eでは、互いに隣接する凸部4Eの各角部間(凹部6Eの各角部間)に、ブリッジ51Eを形成した。ブリッジ51Eは、平坦である頂部平坦部(頂部上面)5Eを有するものとし、この頂部平坦部5Eは、突出せずかつ凹まずに残った平面部2で構成されるものとした。このブリッジの寸法は以下の通りである。すなわち、凸部4E及び凹部6Eの面取り寸法を1.5mmとし、つまり、平面正方形の各頂部平坦部5Eの各対角辺長さを3mmとし、基準面Fに対する隅部傾斜面43E及び隅部傾斜面63Eの傾斜角度をそれぞれ45°とした。
図19及び図20にFEM解析結果を示す。図19は、曲げモデルにおける剛性比を示すグラフであり、比較形状例1のパネル10Aにおけるパネル中央の鉛直変位を、各実施形状例及び比較形状例のパネル1,10におけるパネル中央の鉛直変位で除した値が示されている。図20は、捻りモデルにおける剛性比を示すグラフであり、比較形状例1のパネル10Aにおける荷重位置の鉛直変位を、各実施形状例及び比較形状例のパネル1,10における荷重位置の鉛直変位で除した値が示されている。すなわち、図19及び図20に、凹凸を有さない比較形状例1のパネル10Aに対し、実施形状例1〜5のパネル1A〜1E及び比較形状例2〜4のパネル10B〜10Dの曲げ剛性及び捻り剛性が増加した割合を示す。なお、図19及び図20の縦軸は剛性比である。
図19に示すように、比較形状例1のパネル10A(No.1)に対し、比較形状例2〜4のパネル10B〜10D(No.2,3,4)の曲げ剛性は、1.90倍〜2.32倍だけ増加し、実施形状例1〜3のパネル1A〜1C(No.5〜7)の曲げ剛性は、1.95倍〜2.55倍だけ増加していた。一方、実施形状例4、5のパネル1D,1E(No.8,9)の曲げ剛性は、比較形状例1のパネル10Aに対して3.59倍、3.74倍と、4倍近くまで増加していた。このように、本発明の各実施形態のパネルの形状を適用した実施形状例1〜3のパネル1A〜1Cでは、従来の凹凸を有したパネル10B,10C(比較形状例2、3)と同程度以上に曲げ剛性が増加することが分かった。さらに、本発明の各実施形態のパネルの形状を適用した実施形状例4、5のパネル1D,1Eでは、従来のパネル10B,10Cと比較して1.6〜1.9倍程度まで曲げ剛性が増加することが分かった。
また、図20に示すように、比較形状例1のパネル10A(No.1)に対し、比較形状例2〜4のパネル10B〜10D(No.2,3,4)の捻り剛性は、1.18倍〜1.58倍だけ増加し、実施形状例1〜3のパネル1A〜1C(No.5〜7)の捻り剛性は、1.50倍〜1.51倍だけ増加していた。一方、実施形状例4、5のパネル1D,1E(No.8,9)の捻り剛性は、比較形状例1のパネル10Aに対して3.24倍、3.34倍と、3倍以上に増加していた。このように、本発明の各実施形態のパネルの形状を適用した実施形状例1〜3のパネル1A〜1Cでは、従来の凹凸を有したパネル10B,10C(比較形状例2、3)と同程度に捻り剛性が増加することが分かった。さらに、本発明の各実施形態のパネルの形状を適用した実施形状例4、5のパネル1D,1Eでは、従来のパネル10B,10Cと比較して2.1〜2.2倍程度まで捻り剛性が増加することが分かった。
以上の本発明の実施形状例によって以下の知見が得られた。すなわち、平面部12や平坦部15が連続する比較形状例に比べて、平坦部5A,5C,頂部平坦部5Eが連続せず、かつ凸部4A〜4E同士や凹部6B,6D,6E同士も互いに連続しない実施形状例1〜5のパネルでは、曲げ剛性及び捻り剛性を増加させることができる。特に、凸部4D,4Eと凹部6D,6Eとが市松模様に並べて配置された実施形状例4,5において、曲げ剛性及び捻り剛性の増加率が大きく、格段に高剛性化を図ることができる。
また、実施形状例5では、隣接する凸部の角部間(凹部の角部間)に平坦な頂部上面を有するブリッジが形成されているため、パネルに力が加えられたとき、このブリッジを介して力が伝達され、隣り合う凸部同士が直接接続される場合と比較して、応力集中を緩和することができる。
なお、上述した各実施形状例で示したパネル1の各部寸法は例示に過ぎず、用途に応じて適宜に変更することができる。そこで、上記実施形状例からさらにパネル1の各部寸法を変更した場合の効果について説明する。ここで、パネル1の各部寸法は、図21A〜22Bに示す記号として定義する。図21A〜22Bにおける各部寸法は、凸部の四角錐台頂面と凹部の四角錐台頂面の距離H、板厚t、凸部及び凹部の四角錐台底面の各辺長さJ、基準面Fに対する凸部及び凹部の傾斜面部の傾斜角度θ、凹凸の数m、パネル周囲の平面部を除いたパネルサイズL、パネルサイズL’を表す。また、図22Bにおける各部寸法は、四角錐台底面の各辺長さJ、頂部平坦部の対角辺長さKを表す。
まず、実施形状例5のパネル形状を基本に、表1、2に示すパネルの各部寸法を用いて、頂部平坦部の対角辺長さKを変化させた場合の曲げ剛性及び捻り剛性の各剛性比(凹凸のないパネルを比較基準)を図23A,23Bに示す。ここで、表1、2は、それぞれ頂部平坦部の対角辺長さKを変化させた場合の曲げ剛性比(表1)及び捻り剛性比(表2)を示す。K/Jが0以上0.9以下の範囲において、曲げ剛性及び捻り剛性の向上が認められ、特に、K/Jが0以上0.6以下の範囲では剛性比が概ね3倍以上に顕著に剛性が向上していた。
Figure 0005212583
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次に、実施形状例5のパネル形状を基本に、図22Bに示す頂部平坦部5Eの対角辺長さK及び傾斜面部42E(62E)の傾斜角度θを変化させた場合の曲げ剛性及び捻り剛性の各剛性比(凹凸のないパネルを比較基準)を図24、図25、図26、図27に示す。頂部平坦部5Eの対角辺長さKの値は、それぞれK=0,3,6,15,21,24,27とした。また、傾斜面部42E(62E)の傾斜角度θは、表3〜30に示す値とした。
図24(H=3、曲げ)及び図25(H=3、捻り)は、図18に示す凸部の頂面と凹部の頂面の距離Hが3.0mmの場合における、剛性比(曲げ)の表3(K=0)〜表9(K=27)の測定結果及び剛性比(捻り)の表10(K=0)〜表16(K=27)の測定結果をまとめたグラフである。また、図26(H=6、曲げ)及び図27(H=6、捻り)は、突出寸法(距離)Hが6.0mmの場合における、剛性比(曲げ)の表17(K=0)〜表23(K=27)の測定結果及び剛性比(捻り)の表24(K=0)〜表30(K=27)の測定結果をまとめたグラフである。頂部平坦部5Eの面積S3と傾斜部(傾斜面部42E(62E)と隅部傾斜面43Eの和)の面積S4の総和を、上面部41Eの面積S1と底面部61Eの面積S2の総和で除算した値を横軸とし、縦軸を曲げ剛性及び捻り剛性の各剛性比としたグラフを図24〜図27に示す。ここで、上面部41Eの面積S1、底面部61Eの面積S2、頂部平坦部5Eの面積S3は表面積であり、傾斜部(傾斜面部42E(62E)と隅部傾斜面43Eの和)の面積S4は、傾斜面部42E(62E)と隅部傾斜面43Eを上面から投影したときの基準面Fに投影される投影面積である。
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図24〜図30から分かるように、頂部平坦部5Eの対角辺長さK及び傾斜面部42E(62E)の傾斜角度θの値により剛性比が変化する。設計上で最適な対角辺長さKや傾斜角度θの値を求めることができるが、パネルに利用する素材の特性、また、凸部や凹部を設けたパネルを成形する際の二次加工性の確保のため、好適なKやθの値は変わる。このように対角辺長さKや傾斜角度θの値が変化した場合でも、(頂部平坦部面積+傾斜部面積)/(上面部面積+底面部面積)(すなわち、(S3+S4)/(S1+S2))の値が1.0以下では、変曲点を含む剛性比の最大値を確保することができる。したがって、パネルの素材特性や要求される二次加工性が変化しても、優れたパネル剛性を確保することができる。
なお、上記の例では、実施形状例5のパネル形状を基本としたが、本発明者らは、実施形状例1〜4のパネルを用いても効果を得ることができることを確認している。
次に、実施形状例4のパネル形状を基本に、表31、表32に示すパネルの各部寸法を用いて、図28に示すように凹部と凸部とをつなぐ傾斜面部の交差に円弧部(半径R=r×t)を設け、板厚tに対する円弧部の半径Rの比rを変化させた場合の曲げ剛性及び捻り剛性の各剛性比(比較形状例1と同様に凹凸のないパネルを比較基準)を図29、図30に示す。
Figure 0005212583
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図29及び図30から分かるように、rの値を0から22まで変化させても、曲げ剛性、捻り剛性が向上しており、パネルに利用する素材の材質に応じて交差部のrを適宜設定しても、剛性が向上する効果が得られることが分かる。すなわち、平坦部を設ける代わりに円弧部を設けることにより、平坦部を設けた場合と同様の効果を得ることができる。また、円弧部の形成は加工が容易であるという利点も有している。
(実施例2−A)パネル性能
次に、本発明のパネルの性能に関して検討した結果について説明する。
(A2.1.耐食性、耐傷付き性、耐汚染性の評価)
まず、本発明の実施例のパネルについて、耐食性、耐傷付き性、耐汚染性を評価した結果について述べる。本評価においては、後述するようにして作製した各種塗装金属板を用いて形成したパネルを対象とした。
(A2.1.1.金属板)
本評価で使用した金属板の種類を表33に示す。めっきを施した金属板の基材には、板厚0.4mmの軟鋼板を使用した。SUS板についてはフェライト系ステンレス鋼板(鋼成分:C:0.008質量%、Si:0.07質量%、Mn:0.15質量%、P:0.011質量%、S:0.009質量%、Al:0.067質量%、Cr:17.3質量%、Mo:1.51質量%、N:0.0051質量%、Ti:0.22質量%、残部Fe及び不可避的不純物)を使用した。金属板は、表面をアルカリ脱脂処理、水洗乾燥して使用した。
Figure 0005212583
(A2.1.2.下地処理層)
下地処理層を形成するためのコーティング剤は、表34に示す有機樹脂と、表35に示すシランカップリング剤と、表36に示すポリフェノール化合物と、表37に示すシリカ粒子と、表38に示すリン酸化合物と、表39に示すフルオロ錯化合物と、表40に示すバナジウム(IV)化合物とを、表41に示す配合量(固形分の質量%)で配合し、塗料用分散機を用いて攪拌することで調製した。次いで、上記(A2.1.1)で準備した金属板の表面に該コーティング剤を100mg/mの付着量になるようにロールコーターで塗装し、到達板温度70℃の条件で乾燥させることで、必要に応じて下地処理層を形成させた。
Figure 0005212583
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(A2.1.3.塗膜及び塗装金属板)
塗膜を形成するための塗料組成物は、表42に示す有機樹脂(A)と、表43に示す金属酸化物粒子(B)と、表44に示す潤滑剤(C)と、表45に示すリン酸化合物(D)と、表46に示す着色顔料(E)と、表47に示す架橋剤(F)とを、表48〜表52に示す配合量(固形分の質量%)で配合し、塗料用分散機を用いて攪拌することで調製した。前記(A2.1.2)で形成した下地処理層(下地処理層がない場合は前記(A2.1.1)で準備した金属板)の上層に、上記塗料組成物を所定の膜厚になるようにロールコーターで塗装し、所定の到達板温度になるように加熱乾燥し、塗膜を形成させることで塗装金属板を得た。該塗装金属板の塗膜構成及び塗膜の膜厚、到達板温度も表48〜表52に示す。
Figure 0005212583
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(A2.1.4.パネル)
前記(A2.1.3)で作製した塗装金属板を実施形状例1〜5の形状を有するパネルのうち実施形状例4の形状に加工し、パネルを作成した。ここでは、実施形状例4と同様に、平面正方形の各凸部の各角部間に曲面で構成されたブリッジが形成された図31及び図32に示すパネルについて、パネルサイズLを204mm、板厚tを0.4mm、凸部及び凹部の四角錐台底面の各辺長さJを6mm、凹部と凸部とをつなぐ傾斜面部の交差の円弧部の半径Rを0.4mmとし、凸部の四角錐台頂面と凹部の四角錐台頂面の距離Hを0.4mm、0.8mm、1.2mm、2.0mm、基準面Fに対する凸部及び凹部の傾斜面部の傾斜角度θを15°、28°、39°、53°と変化させた、上記塗装金属板を用いて形成された実施例パネルA、実施例パネルB、実施例パネルC、実施例パネルDを対象に、パネルの耐食性、耐傷付き性、及び耐汚染性を評価した。
(A2.1.5.評価試験)
前記(A2.1.4)で得た各々のパネルから、70mm×150mmサイズの試験片を切り出し、耐食性、耐傷付き性、及び耐汚染性を下記に示す評価方法及び評価基準にて評価した。その評価結果を表53〜表57に示す。
〔耐食性〕
前記試験片(パネルから切り出したもの)の端面をテープシールした後、JIS Z 2371(2000年)に準拠した塩水噴霧試験(SST)を24時間、及び72時間行い、各々の試験時間における錆発生状況を観察し、下記の評価基準で評価した。
5:錆発生面積が1%未満。
4:錆発生面積が1%以上、5%未満。
3:錆発生面積が5%以上、10%未満。
2:錆発生面積が10%以上、30%未満。
1:錆発生面積が30%以上。
〔耐傷付き性〕
前記試験片(パネルから切り出したもの)をラビングテスターに設置後、ラビングテスターの摺動冶具先端に前記試験片と平行になるように30mm×30mmの段ボール紙を取り付け、その段ボール紙を9.8N(1.0kgf)の荷重で5往復、及び10往復擦った後の皮膜状態を下記の評価基準で評価した。
5:擦り面に全く痕跡が認められない。
4:擦り面に極僅かに摺動傷が付く(目を凝らして何とか摺動傷が判別できるレベル)。
3:擦り面に僅かに摺動傷が付く(目を凝らすと容易に摺動傷が判別できるレベル)。
2:擦り面に明確な摺動傷が付く(瞬時に摺動傷が判別できるレベル)。
1:擦り面の皮膜が脱落し、下地の金属板が露出する。
〔耐汚染性〕
前記試験片(パネルから切り出したもの)に指を押し付けることで指紋を付着させ、1時間常温で静置した後に脱脂綿で指紋を拭き取り、指紋の跡残りを下記の評価基準で評価した。
5:指紋跡が全くない。
4:指紋痕が極僅かに残る(目を凝らして何とか指紋跡が判別できるレベル)。
3:指紋痕が僅かに残る(目を凝らすと容易に指紋跡が判別できるレベル)。
2:指紋痕が残る(瞬時に指紋跡が判別できるが、指紋跡がない部位と色調は明確に変化がない)。
1:指紋痕がはっきり残る(瞬時に指紋跡が判別できて、指紋跡がない部位と色調も明確に変化がある)。
Figure 0005212583
Figure 0005212583
Figure 0005212583
Figure 0005212583
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表53〜表57に示すように、本発明の実施例のパネルは、いずれの評価試験においても評点3点以上の優れた耐食性、耐傷付き性、及び耐汚染性を示した。一方、塗膜を被覆していない各種金属板を使用した比較例は、いずれも耐食性、耐傷付き性、及び耐汚染性が劣っていた(SUS板の耐食性を除く)。
(A2.2.剛性の評価)
続いて、本発明の実施例として、前記(A2.1.4)で作製した実施例X1、X26、X83、X118のパネルA、B、C、Dを対象に、パネル剛性を評価した。
曲げ剛性の評価結果を表58及び図33に示し、捻り剛性の評価結果を表59及び図34に示す。表58及び表59、図33及び図34から分かるように、距離Hの設定により平板を基準とした剛性向上の効果は変化し、実施例パネルA〜Dは、曲げ剛性で1.4倍〜3.0倍、ねじり剛性で1.7倍〜19倍程度の剛性向上の効果が得られた。
Figure 0005212583
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以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上述した実施形態では、パネル1の基準面Fが平面である場合を説明したが、基準面Fは平面のみに限らず、円筒面状や球面状、緩やかな湾曲状、その他任意の三次元曲面状であってもよい。さらに、パネル1の形状としても、矩形状のみに限らず、任意の形状を有したパネルが利用可能である。また、凸部や凹部、平坦部の平面形状としても、上記実施形態における形状のみに限定されるわけではなく、任意の形状とすることができる。凸部と凹部は、必ずしも基準面から一方側への突出と他方側への凹みにより形成されなくてもよく、一方側への突出のみ、又は他方側への凹みのみにより、結果として目的とする凹凸の配置及び寸法を有するパネルとしてもよい。
また、凸部及び凹部の四角錐台の頂面の距離Hは、必ずしも板厚より大きくなくてもよく、板厚tよりHが小さいパネルとすることもできる。
また、凹凸を形成するための板の折り曲げ半径は、パネルに利用する素材の材質に応じて適宜設定することができる。
その他、本発明を実施するための最良の構成や方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これらのみに限定されない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができる。特に、本明細書における四角(square)は、正確な正方形(accurate square)に限らず、長方形(rectangle)を含む。
従って、上記に開示した形状や材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明はこれらのみに限定されない。したがって、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれる。
(実施例2−B)パネル性能
次に、本発明のパネルの性能に関して検討した結果について説明する。
(B2.1.耐食性、耐傷付き性の評価)
まず、本発明の実施例のパネルについて、耐食性、耐傷付き性を評価した結果について述べる。本評価においては、後述するようにして作製した各種塗装金属板を用いて形成したパネルを対象とした。
(B2.1.1.金属板)
本評価で使用した金属板の種類を表60に示す。めっきを施した金属板の基材には、板厚0.4mmの軟鋼板を使用した。SUS板についてはフェライト系ステンレス鋼板(鋼成分:C:0.008質量%、Si:0.07質量%、Mn:0.15質量%、P:0.011質量%、S:0.009質量%、Al:0.067質量%、Cr:17.3質量%、Mo:1.51質量%、N:0.0051質量%、Ti:0.22質量%、残部Fe及び不可避的不純物)を使用した。金属板は、表面をアルカリ脱脂処理、水洗乾燥して使用した。
Figure 0005212583
(B2.1.2.下地処理層)
シランカップリング剤5g/l、水分散シリカ1g/l、水系アクリル樹脂25g/lを含む水溶液を作成し、化成処理剤とした。尚、シランカップリング剤にはγ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、水分散シリカには日産化学工業(株)製スノーテックスNタイプ、水系アクリル樹脂にはポリアクリル酸を用いた。前記(2.1.1)で準備した金属板の表面に上記化成処理剤を100mg/mの付着量になるようにロールコーターで塗装し、到達板温度60℃の条件で乾燥させることで、必要に応じて下地化成処理層を形成させた。
(B2.1.3.塗膜層)
塗膜層を形成するための塗料(以下、「上塗り塗料」と称す)組成物は、表61に示すバインダー樹脂と、表62に示す着色顔料と、表63に示す防錆顔料とを、表64に示す配合量(固形分の質量%)で配合し、塗料用分散機を用いて攪拌することで調整した。なお、最下層の塗料(以下、「下塗り塗料」と称す)組成物については、市販の下塗り塗料である日本ファインコーティングス(株)製FL641EUプライマーのクリヤー塗料を準備し、これと、表62に示す着色顔料と、表63に示す防錆顔料とを、表65に示す配合量(固形分の質量%)で配合し、塗料用分散機で攪拌することで調整した。
Figure 0005212583
Figure 0005212583
Figure 0005212583
Figure 0005212583
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表61に示したバインダー樹脂のうちペレット、フレーク、シート形状のものは有機溶剤(エッソ石油(株)製ソルベッソ150とシクロヘキサノンを質量比で1:1の割合で混合したもの)に溶解して使用した。硬化剤のメラミン系樹脂として、メチル化メラミン(三井サイテック(株)製サイメル303)を前記表61に示す配合量(樹脂固形分に対する質量%)で添加し、更に反応触媒として、三井サイテック(株)製キャタリスト602を1.0%(全樹脂固形分に対する質量%)添加した。
(B2.1.4.塗装金属板)
前記(B2.1.2)で形成した下地化成処理層の上層に、前記(B2.1.3)の下塗り塗料を所定の膜厚になるようにロールコーターで塗装し、金属板の到達板温が210℃となる条件で加熱乾燥し、下塗り塗膜層を形成させた。次に、上記下塗り塗膜層の上層に、上塗り塗料を所定の膜厚になるようにローラーカーテンコーターで塗装し、金属板の到達板温が230℃となる条件で加熱乾燥し、二層からなる塗膜層を形成させることで塗装金属板を得た。該塗装金属板の塗膜構成及び塗膜の膜厚を表66〜表69に示す。
必要に応じて、前記(B2.1.2)で形成した下地化成処理層の上層に、前記(B2.1.3)の上塗り塗料のみを所定の膜厚になるようにロールコーターで塗装し、一層からなる塗膜層を形成させることで塗装金属板を得た。該塗装金属板の塗膜構成及び塗膜の膜厚を表66〜表69に示す。
また必要に応じて、前記(B2.1.4)の下塗り塗膜層の上層に、2種の上塗り塗料をスライドホッパー式のカーテンコーターで積層塗装し、三層からなる塗膜層を形成させることで塗装金属板を得た。該塗装金属板の塗膜構成及び塗膜の膜厚を表66〜表69に示す。
Figure 0005212583
Figure 0005212583
Figure 0005212583
Figure 0005212583
(B2.1.5.膜厚の測定方法)
各塗膜層の膜厚(乾燥膜厚)は、電磁膜厚計((株)ケツト製LE−200J)で測定し、更に各試験片の垂直切断面を顕微鏡で観察し、求める膜厚となっているかを再確認した。
(B2.1.6.ガラス転移温度の測定方法)
セイコー電子社製の熱機械分析装置「SSC5200シリーズ TMA/SS120C」にて塗膜のガラス転移温度(Tg)を測定した。なお、測定時のプローブとしては、針入プローブを用いた。
(B2.1.7.ユニバーサル硬度の測定方法)
フィッシャー・インストルメンツ社製の微小硬度計「フィッシャースコープ(登録商標)H100」を用いて測定した。測定時の雰囲気温度は23℃とし、押付け荷重5mNのときのユニバーサル硬度(HU(N/mm))を本測定機器にて測定した。
(B2.1.8.動的貯蔵弾性率の測定方法)
前記(B2.1.3)で作製した塗料をブリキ板の上に乾燥膜厚で20μmとなるように塗装し、到達板温が230℃の条件で加熱硬化後、水銀アマルガム法によりブリキ板から塗膜を剥離し、塗膜のフリーフィルムを作製した。この塗膜のフリーフィルムを用いて、動的貯蔵弾性率の測定を実施した。動的貯蔵弾性率は,動的粘弾性試験装置(レオメトリクス社製、RSA−11)を使用し、温度領域−50℃〜200℃において測定した。測定条件は、歪み0.01%、角周波数6.28rad/secとした。本実験においては、温度と動的貯蔵弾性率との関係から、ゴム状弾性領域に現れる貯蔵弾性率の最小値を求めた。
(B2.1.9.パネル)
前記(B2.1.4)で作製した塗装金属板を実施形状例1〜5の形状を有するパネルのうち実施形状例4の形状に加工し、パネルを作成した。ここでは、実施形状例4と同様に、平面正方形の各凸部の各角部間に曲面で構成されたブリッジが形成された図31及び図32に示すパネルについて、パネルサイズLを204mm、板厚tを0.4mm、凸部及び凹部の四角錐台底面の各辺長さJを6mm、凹部と凸部とをつなぐ傾斜面部の交差の円弧部の半径Rを0.4mmとし、凸部の四角錐台頂面と凹部の四角錐台頂面の距離Hを0.4mm、0.8mm、1.2mm、2.0mm、基準面Fに対する凸部及び凹部の傾斜面部の傾斜角度θを15°、28°、39°、53°と変化させた、上記塗装金属板を用いて形成された実施例パネルA、実施例パネルB、実施例パネルC、実施例パネルDを対象に、パネルの外観、耐食性、及び耐傷付き性を評価した。
(B2.1.10.評価試験)
前記(B2.1.4)で得た各々のパネルから、70mm×150mmサイズの試験片を切り出し、パネルの外観、耐食性、及び耐傷付き性を下記に示す評価方法及び評価基準にて評価した。その評価結果を表70〜表73に示す。
[外観]
前記(B2.1.9)で得た各々のパネル外観を目視にて観察し、下記の評価基準で外観品位を評価した。
3:良好。
2:凹凸加工部に微細な欠陥あり色調が不均一、または着色度低く全体に不均一。
1:凹凸加工部に塗膜欠陥あり不良。
〔耐食性〕
前記試験片(パネルから切り出したもの)の端面をシーリング塗装した後、JIS Z 2371(2000年)に準拠した塩水噴霧試験を240時間行い、凹凸加工部の腐食発生状況を観察し、下記の評価基準で評価した。
5:塗膜割れなし、腐食なし。
4:微細な塗膜割れが生じ、極僅かに白錆発生。
3:塗膜割れが生じ、白錆発生。
2:大きな塗膜割れが生じ、白錆発生
1:大きな塗膜割れが生じ、赤錆発生。
〔耐傷付き性〕
前記試験片(パネルから切り出したもの)をラビングテスターに設置後、ラビングテスターの摺動冶具先端に前記試験片と平行になるように30mm×30mmの段ボール紙を取り付け、その段ボール紙を9.8N(1.0kgf)の荷重で10往復擦った後の皮膜状態を下記の評価基準で評価した。
5:擦り面に全く痕跡が認められない。
4:擦り面に極僅かに摺動傷が付く(目を凝らして何とか摺動傷が判別できるレベル)。
3:擦り面に僅かに摺動傷が付く(目を凝らすと容易に摺動傷が判別できるレベル)。
2:擦り面に明確な摺動傷が付く(瞬時に摺動傷が判別できるレベル)。
1:擦り面の皮膜が脱落し、下地の金属板が露出する。
Figure 0005212583
Figure 0005212583
Figure 0005212583
Figure 0005212583
表70〜表73に示すように、本発明の実施例のパネルは、いずれの評価試験においても、外観が良好で、且つ、評点3点以上の優れた耐食性及び耐傷付き性を示した。一方、塗膜を被覆していない各種金属板を使用した比較例は、いずれも耐食性及び耐傷付き性が劣っていた(SUS板の耐食性を除く)。
(B2.2.剛性の評価)
続いて、本発明の実施例として、前記(B2.1.9)で作製した実施例Y1、Y29、Y58、Y88のパネルA、B、C、Dを対象に、パネル剛性を評価した。
曲げ剛性の評価結果を表74及び図33に示し、捻り剛性の評価結果を表75及び図34に示す。表74及び表75、図33及び図34から分かるように、距離Hの設定により平板を基準とした剛性向上の効果は変化し、実施例パネルA〜Dは、曲げ剛性で1.4倍〜3.0倍、ねじり剛性で1.7倍〜19倍程度の剛性向上の効果が得られた。
Figure 0005212583
Figure 0005212583
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例又は修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上述した実施形態では、パネル1の基準面Fが平面である場合を説明したが、基準面Fは平面のみに限らず、円筒面状や球面状、緩やかな湾曲状、その他任意の三次元曲面状であってもよい。さらに、パネル1の形状としても、矩形状のみに限らず、任意の形状を有したパネルが利用可能である。また、凸部や凹部、平坦部の平面形状としても、上記実施形態における形状のみに限定されるわけではなく、任意の形状とすることができる。凸部と凹部は、必ずしも基準面から一方側への突出と他方側への凹みにより形成されなくてもよく、一方側への突出のみ、又は他方側への凹みのみにより、結果として目的とする凹凸の配置及び寸法を有するパネルとしてもよい。
また、凸部及び凹部の四角錐台の頂面の距離Hは、必ずしも板厚より大きくなくてもよく、板厚tよりHが小さいパネルとすることもできる。
また、凹凸を形成するための板の折り曲げ半径は、パネルに利用する素材の材質に応じて適宜設定することができる。
その他、本発明を実施するための最良の構成や方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これらのみに限定されない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、かつ説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができる。特に、本明細書における四角(square)は、正確な正方形(accurate square)に限らず、長方形(rectangle)を含む。
従って、上記に開示した形状や材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明はこれらのみに限定されない。したがって、それらの形状、材質などの限定の一部もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれる。
本発明によれば、パネルの形状を、凸部と、平坦部又は凹部のいずれか一方とが、平面的に連続して形成されない形状とすることで、簡単な構造で、高剛性化及び軽量化を確実に実現することができるパネルを提供することが可能となるとともに、パネルを形成するための素材を特定することで、耐食性及び耐傷付き性に優れ、また、更に耐汚染性に優れるパネルを提供することが可能となる。
1,1A,1B,1C,1D,1E…パネル
4A,4B,4C,4D,4E…凸部
5A,5C…平坦部
5E…頂部平坦部(頂部上面)
6,6B,6D,6E…凹部
42A,42B,42C,42D,42E…傾斜面部(凸部側傾斜面)
51E…ブリッジ
62B,62D,62E…傾斜面部(凹部側傾斜面)
F…基準面

Claims (32)

  1. 金属板の少なくとも片面に、皮膜層が被覆されている塗装金属板から形成されたパネルであって、
    所定の基準面から突出する複数の凸部と、前記基準面と面一をなす複数の平坦部と、前記基準面から凹む複数の凹部とのうち、前記凸部と、前記平坦部及び前記凹部のいずれか一方とを備えるとともに、前記複数の凸部、前記複数の平坦部及び前記複数の凹部が四角形状を有し、
    前記平坦部を備える場合には、前記凸部の各々の全周囲が前記平坦部によって囲まれ、かつ、前記平坦部の各々の全周囲が前記凸部によって囲まれ、
    前記凹部を備える場合には、前記凸部の各々の全周囲が前記凹部によって囲まれ、かつ、前記凹部の各々の全周囲が前記凸部によって囲まれ、さらに、前記凸部の周縁部分に設けられた凸部側傾斜面と、前記凹部の周縁部分に設けられた凹部側傾斜面とにより形成される傾斜面部を有し、
    互いに隣接する各々の前記凸部の各角部間が、前記凹部と前記凸部とをつなぐ前記傾斜面部の交差に設けられた円弧部を有するブリッジを介して接続されている
    ことを特徴とする、パネル。
  2. 前記皮膜層が、有機樹脂Aを造膜成分とする塗膜αである
    ことを特徴とする、請求項1に記載のパネル。
  3. 前記塗膜αの膜厚が、0.1μm以上10μm以下である
    ことを特徴とする、請求項2に記載のパネル。
  4. 前記塗膜αが、更に無機酸化物粒子Bを含有する
    ことを特徴とする、請求項2又は3に記載のパネル。
  5. 前記有機樹脂Aと前記無機酸化物粒子Bとの固形分質量比A/Bが、2以上20以下である
    ことを特徴とする、請求項4に記載のパネル。
  6. 前記無機酸化物粒子Bが、シリカ粒子B1である
    ことを特徴とする、請求項4又は5に記載のパネル。
  7. 前記シリカ粒子B1が、平均粒子径5nm以上20nm以下の球状シリカ粒子B1aを含有する
    ことを特徴とする、請求項6に記載のパネル。
  8. 前記シリカ粒子B1が、更に平均粒子径0.08μm以上2μm以下の球状シリカ粒子B1bを含有する
    ことを特徴とする、請求項7に記載のパネル。
  9. 前記塗膜αが、更に潤滑剤Cを含有する
    ことを特徴とする、請求項2〜8のいずれか1項に記載のパネル。
  10. 前記潤滑剤Cが、ポリオレフィン樹脂粒子C1である
    ことを特徴とする、請求項9に記載のパネル。
  11. 前記塗膜αが、更にリン酸化合物Dを含有する
    ことを特徴とする、請求項2〜10のいずれか1項に記載のパネル。
  12. 前記塗膜αが、更に着色顔料Eを含有する
    ことを特徴とする、請求項2〜11のいずれか1項に記載のパネル。
  13. 前記有機樹脂A同士が、又は、前記有機樹脂Aと無機酸化物粒子Bとが、架橋剤Fによって架橋されている
    ことを特徴とする、請求項2〜12のいずれか1項に記載のパネル。
  14. 前記架橋剤Fが、シランカップリング剤、架橋性ジルコニウム化合物、架橋性チタン化合物、エポキシ化合物、及びアミノ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である
    ことを特徴とする、請求項13に記載のパネル。
  15. 前記塗膜αと前記金属板との間に、更に下地処理層βを有する
    ことを特徴とする、請求項2〜14のいずれか1項に記載のパネル。
  16. 前記金属板が、亜鉛系めっき鋼板又はアルミニウム系めっき鋼板である
    ことを特徴とする、請求項2〜15のいずれか1項に記載のパネル。
  17. 前記皮膜層が、一層以上の塗膜層である
    ことを特徴とする、請求項1に記載のパネル。
  18. 前記塗膜層が二層以上であり、かつ、少なくとも一層が着色塗膜層である
    ことを特徴とする、請求項17に記載のパネル。
  19. 前記塗膜層が二層以上であり、かつ、少なくとも一層が防錆顔料を含有する層である
    ことを特徴とする、請求項17又は18に記載のパネル。
  20. 前記塗膜層のうちの最表層のガラス転移温度が、0℃以上80℃以下である
    ことを特徴とする、請求項17〜19のいずれか1項に記載のパネル。
  21. 前記塗膜層のうちの最表層の23℃での硬度が、5mN荷重下でのユニバーサル硬度で2N/mm以上である
    ことを特徴とする、請求項17〜20のいずれか1項に記載のパネル。
  22. 前記塗膜層のうちの最表層のゴム状弾性領域における動的貯蔵弾性率の最小値が、2×10Pa以下である
    ことを特徴とする、請求項17〜21のいずれか1項に記載のパネル。
  23. 前記塗膜層のうちの最表層が、熱硬化型の樹脂塗膜層である
    ことを特徴とする、請求項17〜22のいずれか1項に記載のパネル。
  24. 前記塗膜層のうちの最表層と金属板との間の最も厚い塗膜層のガラス転移温度が、0℃以上80℃以下である
    ことを特徴とする、請求項17〜23のいずれか1項に記載のパネル。
  25. 前記塗膜層のうちの最表層と金属板との間の最も厚い塗膜層のゴム状弾性領域における動的貯蔵弾性率の最小値が、2×10Pa以下である
    ことを特徴とする、請求項17〜24のいずれか1項に記載のパネル。
  26. 前記塗膜層のうちの最表層と金属板との間の最も厚い塗膜層が、熱硬化型の樹脂塗膜層である
    ことを特徴とする、請求項17〜25のいずれか1項に記載のパネル。
  27. 前記塗膜層の総膜厚が、10μm以上80μm以下である
    ことを特徴とする、請求項17〜26のいずれか1項に記載のパネル。
  28. 前記塗膜層のうちの最表層が、シリコーン樹脂又はフッ素樹脂を含有する層である
    ことを特徴とする、請求項17〜27のいずれか1項に記載のパネル。
  29. 前記塗装金属板が、プレコート金属板である
    ことを特徴とする、請求項17〜28のいずれか1項に記載のパネル。
  30. 前記金属板が、亜鉛系めっき層又はアルミニウム系めっき層を有する
    ことを特徴とする、請求項17〜29のいずれか1項に記載のパネル。
  31. 前記ブリッジが頂部平坦部を有し;
    前記凸部の平坦な上面部の面積S1、前記凹部の平坦な底面部の面積S2、前記頂部平坦部の面積S3、及び、前記凸部の側面である前記凸部側傾斜面と、前記凹部の側面である前記凹部側傾斜面と、前記凸部及び前記凹部それぞれの四隅から前記基準面に向かって延びる隅部傾斜面とからなる傾斜部の面積S4とが、式1を満たす;
    ことを特徴とする、請求項1〜30のいずれか1項に記載のパネル。
    (S3+S4)/(S1+S2)≦1.0 ・・・式1
  32. 前記凸部側傾斜面及び前記凹部側傾斜面を前記基準面に垂直な断面で見た場合に、これら凸部側傾斜面及び凹部側傾斜面が直線的に連続して繋がっており;
    前記凸部傾斜面の、前記基準面に対する傾斜角度と、前記凹部側傾斜面の、前記基準面に対する傾斜角度とが同一である;
    ことを特徴とする請求項1〜31のいずれか1項に記載のパネル。
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