JP5211508B2 - 液晶反射用白色積層ポリエステルフイルム - Google Patents

液晶反射用白色積層ポリエステルフイルム Download PDF

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Description

本発明は、白色ポリエステルフイルムに関し液晶画面内部の反射板部材に使用する最適な白色ポリエステルフイルムであり、液晶画面をサイドライト(エッジライトとも言う)により照明した場合や、反射フイルムの真上に蛍光管を配置する様な(直下型という)構成で、より明るい画面が得られる反射板用基材を構成することが可能な液晶反射板用白色ポリエステルフイルムに関する。
近年、パソコン、テレビ、携帯電話などの表示装置として、液晶を利用したディスプレイが数多く用いられている。これらの液晶ディスプレイを照明する際に、従来、ディスプレイの背面からライトをあてるバックライト方式や、特許文献1に示されるようなサイドライト方式が、薄型で均一に照明できるメリットから、広く用いられている。サイドライト方式とは、ある厚みを持ったアクリル板などの透明基材の片面に網点印刷やシボ加工など各種処理を施し、該アクリル板などのエッジより冷陰極管などの照明を当てる方式で照明光が均一に分散され、均一な明るさを持った画面が得られる。また、画面の背面でなく、エッジ部に照明を設置するため、バックライト方式より薄型にできる。また、照明光の画面背面への逃げを防ぐため、画面の背面に反射板を設置する必要があるが、この反射板には薄さと、光の高反射性が要求されることから、内部に微細な気泡を含有させ、該気泡で光を散乱させることにより白色化された、白色フイルムなどが主に用いられる。
一方、液晶テレビのような大画面用では、直下型ライト方式が採用されてきている。この方式は、液晶画面の下部に冷陰極線管を並列に並べられる。反射板は平面状もしくは、冷陰極線管の部分を半円凹状に成形したものなどが用いられる。従来、白色顔料を添加したフイルムや内部に微細な気泡を含有させたフイルム単独、もしくは、これらのフイルムと金属板、プラスチック板などを張り合わせたものが使用されてきた。特に内部に微細な気泡を含有させたフイルムを使用した場合には、輝度の向上効果や均一性に優れることから広く使用されている。
特許文献2では微細な気泡を形成させるため、ポリエステル中に高融点の非相溶ポリマーを細かく分散させ、それを延伸(たとえば二軸延伸)することにより達成される。延伸に際して、非相溶ポリマー粒子の周りにボイド(気泡)が形成され、これが光に散乱作用を発揮するため、白色化され、高反射率を得ることが可能となる。
一方、液晶ディスプレイで重要な特性として画面の明るさの均整度がある。特に、画面の大きなディスプレイにおいては、反射板で反射された光が十分散乱されないと、画面の中に明るさのムラが生じきれいな画像にならない。例えば特許文献3では画面の明るさの均整度を保つために反射板用の白色フイルムの表面に特定の無機粒子を添加させて拡散反射を工夫している。
しかしながら大画面のディスプレイに対してさらに明るいきれいな画像が要望されており、そのためには高いバックライト輝度を有する液晶反射板用白色ポリエステルフイルムの開発が必要となっている。
特開昭63―62104号公報 特開平6―322153号公報 特開平7―118433号公報
本発明は、かかる問題点を解決し、液晶画面内部の反射板部材に使用された場合に反射率を上げ、高いバックライト輝度を得ることができる液晶反射板用白色ポリエステルフイルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、積層ポリエステルフイルムの構成がA層/B層/A層またはA層/B層のフイルム構成であり、ポリエステルA層及びポリエステルB層はそれぞれ2種類以上のポリエステルからなり、ポリエステルA層を構成するポリエステルは、融点が250℃未満の低融点ポリエステル樹脂と、融点が250℃以上のポリエステル樹脂からなり、ポリエステルA層はポリエステルB層に比べて融点が3〜30℃低く、かつ、数平均粒子径が0.3〜2.0μmの無機粒子をポリエステルA層に対して6重量%〜30重量%を含有し、一方ポリエステルB層はポリエステルに非相溶な樹脂をポリエステルB層に対して5重量%〜40重量%および数平均粒子径が0.3〜2.0μmの無機粒子を0〜10重量%含有し、該無機粒子が硫酸バリウムである液晶反射用白色積層ポリエステルフイルムである。
本発明の液晶反射板用白色積層ポリエステルフイルムによれば、ディスプレイ装置における画面輝度において従来にない高い輝度を得ることができる。本発明は、白色ポリエステルフイルムに関し、特に、ノートパソコン、モニターや携帯電話など、他には直下型の液晶テレビなどディスプレイとして高い輝度を発揮するものであり、従来より明るい画像が得られる。
本発明では、ポリエステルA層を構成するポリエステルはポリエステルB層のポリエステルよりも3〜30℃低いことが必要である。ポリエステルA層を構成するポリエステルとしては、融点が250℃未満の低融点ポリエステル樹脂と、融点が250℃以上のポリエステル樹脂を混合して使用することが望ましい。低融点ポリエステルとしては、ポリエステルの共重合成分のジカルボン酸として、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバチン酸、デカンジカルボン酸、アゼライン酸、ドデカジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などで代表される成分を1種以上含有する共重合ポリエステルが好ましく、特にイソフタル酸や1,4−シクロヘキサンジメタノールを含有する共重合ポリエステルが価格や性能面から好ましい。また、その他の共重合成分としてジオールやジカルボン酸を用いる。ジオールとは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノールなどで代表されるものである。一方、ポリエステルB層は融点が250℃以上のポリエステルが使用されることが好ましい。具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタート、ポリエチレン−p−オキシベンゾエート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートなどが挙げられる。本発明の場合、ポリエステルB層に用いるポリエステル樹脂としては、特にポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましい。
また、このポリエステルの中には、公知の各種添加剤、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤などが添加されていても良い。
本発明におけるポリエステルA層に用いられるポリエステル樹脂は、極限粘度[η]が0.50〜0.85dl/gの範囲にある分子量が相対的に大きいものが好ましい。0.60〜0.85dl/gの範囲がさらに好ましく、特に0.70〜0.85dl/gの範囲が好ましい。一方、ポリエステルB層で使用されるポリエステル樹脂の極限粘度[η]は限定されないが、0.50〜0.85dl/gの範囲のものが好ましい。極限粘度とは数個の濃度の違う高分子溶液の粘度を求めて0に補外した濃度0の点の高分子溶液の粘度である。極限粘度の測定は、フェノール系の溶媒に測定しようとするポリエステルを溶かし、常温で溶液の粘度と溶媒の粘度を同一の粘度計で測定値を測定する。
O−クロロフェノールを用いる場合、25℃で測定し次式を適用する。
ηsp/c=〔η〕+K〔η〕
ここで、比粘度ηspは粘度比(溶液粘度/溶媒粘度)−1で算出し、cは溶媒100mlあたりの溶解ポリマー重量(g/100ml、通常1.2)、ハギンス定数K(0.343とする)。また溶液粘度、溶媒粘度はオストワルド粘度計を用いて測定する。
この極限粘度[η]が0.5dl/gよりも低い場合には、フイルム厚みが小さくなると機械的強度を保持できなくなることがある。一方、0.85dl/gよりも大きい場合には、フイルム厚みが小さくてもある程度は機械的強度を保持できる。
本発明では、上記のフイルム構成成分によりポリエステルA層の融点とポリエステルB層の融点との間に3〜30℃の融点差が生じることが本発明の構成である。
また本発明の液晶反射板用白色積層ポリエステルフイルムは、ポリエステルB層のフイルム内部に微細な気泡を含有する。また、このことによって白色化されていることが好ましい。微細な気泡は、フイルム母材、たとえばポリエステル中に、高融点のポリエステルと気泡の核剤となりうる非相溶なポリマーを細かく分散させ、それを延伸(たとえば二軸延伸)することで、非相溶ポリマー粒子周りにボイド(気泡)ができることにより形成される。これが光に散乱作用を発揮して、フイルム面からの反射率を得ることが可能となる。
本発明においては、400〜700nmの光の波長域における平均反射率はフイルム片面では少なくとも98%以上の高反射率が好ましい。98%未満であると、バックライトとしての輝度が落ちることがあるからである。
本発明の液晶反射板用白色積層ポリエステルフイルムによれば、ディスプレイ装置における画面輝度は平均反射率と相対関係にある。本発明の測定において、バックライト輝度はサイドライト方式では2800cd/m以上、直下型方式では4800cd/m以上が好ましい。バックライト輝度の測定は、図1に示したようにソニー(株)製VAIO(VGN−S52B/S)のバックライトの逆プリズムタイプの反射フイルム12を各実施例、比較例にて作製した反射フイルムに変更し測定した。輝度測定は、冷陰極管11にインバーターを使用し、AC12V印加した後、1時間待機し冷陰極管の明るさが均一かつ一定になるのを待った。その後に、輝度計15(topcon製BM−7fast)にて、測定距離850mmで輝度を測定した。測定回数は3回とし、その平均値をとる。
また、図2に示した正プリズムタイプについても、同様に測定をした。バックライト輝度は、一般的に行われる輝度測定値よりも約10倍の高い数値となることが知られている。
本発明において平均反射率とは、日立ハイテクノロジーズ製分光光度計(U―3310)に積分球を取り付け、標準白色板(酸化アルミニウム)を100%とした時の反射率を400〜700nmにわたって測定する。得られたチャートより波長を5nm間隔で反射率を読み取り、平均化した値である。各箇所一回の測定値で平均値を出した。
サンプリング方法としては、カットシートのサイズが1000mm幅以上の時にはカットシート1枚につきフイルムの幅方向に両端部と中央部を等間隔に3カ所サンプリングしてN=2で測定をする。一方1000mm幅未満の時にはカットシートの面積に合わせて両端部の2カ所または中央部1カ所につきサンプリングをしてN=3で測定する。 また、サンプル面積は一定(5cm×5cm)になるようにサンプリングする。
上記のように、反射率を98%以上の高反射率とするためには、ポリエステルB層のフイルム内部により多くの微細な気泡を含有させ高度に白色化されていることが重要であり、これが光に散乱作用を発揮するため反射率を向上させる要素である。本発明における反射率は、好ましくは100%以上であり、より好ましくは101%以上である。反射率については特に上限はないが、反射率を上げるためには、核剤添加量を上げる必要があり、その場合製膜性が不安定になることがあるため、110%以下であることが好ましい。
上記の核剤となりうるポリエステルに非相溶なポリマーは、例えば、ポリ−3−メチルブテン−1、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリビニル−t−ブタン、1,4−トランス−ポリ−2,3−ジメチルブタジエン、ポリビニルシクロヘキサン、ポリスチレン、ポリメチルスチレン、ポリジメチルスチレン、ポリフルオロスチレン、ポリ−2−メチル−4−フルオロスチレン、ポリビニル−t−ブチルエーテル、セルロールトリアセテート、セルロールトリプロピオネート、ポリビニルフルオライド、ポリクロロトリフルオロエチレンなどから選ばれた融点200℃以上のポリマーである。中でもポリエステル母材に対して、ポリオレフィン、とくにポリメチルペンテンが好ましい。
非相溶ポリマー(たとえばポリオレフィン)の添加量としては、非相溶ポリマーを含有する層全体を100重量%としたときに5重量%以上40重量%以下であることが好ましく、より好ましくは10重量%以上30重量%以下である。これより少なすぎると白色化の効果が薄れ、高反射率が得にくくなり、高すぎると、フイルム自体の強度等機械特性が低くなりすぎるため好ましくない。
この非相溶ポリマーは均一に分散されているほど好ましい。均一分散により、フイルム内部に均一に気泡が形成され、白色化の度合、ひいては反射率が均一になる。非相溶ポリマーを均一分散させるには、低密度化剤を分散助剤として添加することが有効である。低密度化剤とは、密度を小さくする効果を持つ化合物のことであり、特定の化合物にその効果が認められる。例えば、ポリエステルに対しては、ポリエチレングリコール、シクロヘキサジメタノール共重合ポリエステル、メトキシポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール、エチレノキサイド/プロピレノキサイド共重合体、さらにはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホネートナトリウム塩、グリセリンモノステアレート、テトラブチルホスホニウムパラアミノベンゼンスルホネートなどで代表されるものである。本発明の場合、特にポリアルキレングリコール、中でもポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコールの共重合体が特に好ましく、更にシクロヘキサジメタノール共重合ポリエステルとの併用系において顕著に分散性を向上させるのに好ましい。
添加量としては、非相溶ポリマーを含有するポリエステルB層全体を100重量%として、5重量%以上40重量%以下が必要であり、好ましくは10重量%以上30重量%の範囲である。少なすぎると、添加の効果が薄れ、多すぎると、フイルム母材本来の特性を損うおそれがある。このような低密度化剤は、予めフイルム母材ポリマー中に添加してマスターポリマー(マスターチップ)として調整可能である。
前述の如く、液晶反射板用白色積層ポリエステルフイルムが微細な気泡を含有することにより、該ポリエステルフイルムの密度は通常のポリエステルフイルムよりも低くなる。さらに低密度化剤を添加すれば、さらに密度は低くなる。つまり、白くて軽いフイルムが得られる。この白色ポリエステルフイルムを、液晶ディスプレイ反射板用基材としての機械的特性を保ちながら、軽量にするには、フイルムの密度が0.50g/cm3〜1.30g/cm3であることが好ましい。 フイルムの密度は以下の式を用いて決定する。
密度=(10枚の総重量)/(10枚の総体積)総体積=厚み×面積×サンプリング数。
サンプリング方法としては、カットシートのサイズが1000mm幅以上の時にはカットシート1枚につきフイルムの幅方向に両端部と中央部を等間隔に3カ所サンプリングしてN=2で測定をする。 一方1000mm幅未満の時にはカットシートの面積に合わせて両端部の2カ所または中央部1カ所につきサンプリングをしてN=3で測定する。 また、サンプル面積は一定(10cm×10cm)になるようにサンプリングし、それぞれ重量を測定する。
フイルムの密度を0.50g/cm3〜1.30g/cm3とするためには、上記のごとく低密度化剤、例えば低密度0.83g/cm3のポリメチルペンテンを用いた場合、層全体を100重量%として、5重量%以上40重量%以下が好ましく、より好ましくは10重量%以上30重量%以下に含有させ、延伸倍率を2.5〜4.5とすることにより達成することができる。密度が本発明の範囲にあると、液晶ディスプレイ反射板として使用した場合、画面の明るさにおいて、顕著に優れた輝度を発揮する。 また、この液晶反射板用白色ポリエステルフイルムの構成は、A層/B層/A層、またはA層/B層の構成からなり、該B層が前記微細気泡を含有した層となることが、高反射率と製膜性を両立させるのに好ましい。また、フイルム表面に相当するポリエステルA層は、ポリエステル樹脂に無機粒子を含有することが必須である。この無機粒子の数平均粒子径は0.3〜2.0μmであり、A層中に含有する無機粒子含有率は6重量%〜30重量%である。また、本発明では、B層にもA層と同じく、ポリエステルに無機粒子を含有することが必要である。B層中の粒子の平均粒子径は0.3〜2.0μmであり、粒子含有率は0重量%〜10重量%であることが必要である。
無機系微粒子の一例としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫化亜鉛、リン酸カルシウム、シリカ、アルミナ、マイカ、雲母チタン、タルク、クレー、カオリン、フッ化リチウム、フッ化カルシウム等を用いることができる。本発明の場合、硫酸バリウムを使用した時が最も好ましく反射率を得ることができる。硫酸バリウムは数平均粒子径 0.3〜2.0μm、比表面積が15〜75m/g、吸油量が15〜40ml/100gであるものが最も良い。
本発明の液晶反射板用白色積層ポリエステルフイルムでは、A層に含有する粒子の周りにも微細気泡を形成するため、A層面での光の拡散と反射が、B層の内部反射と合わさることによって、高反射フイルムとして好適に使用することができる。
次に本発明の液晶反射板用白色積層ポリエステルフイルムの製造方法について説明するが、かかる例に限定されるものではない。無機物や添加剤を混合したマスターペレットとポリエチレンテレフタレートチップを混合し、それを充分混合、乾燥させて270〜300℃の温度に加熱された押出機Aに供給する。一方、非相溶ポリマーとしてMFRが400g/10minのポリメチルペンテンを、低比重化剤としてポリエチレングリコール、ポリブチレンテレフタレートとポリテトラメチレングリコール共重合物を、ポリエチレンテレフタレートに混合し、乾燥させて270〜300℃の温度に加熱された押出機Bに供給する(B層)。Tダイ3層口金内で押出機A層のポリマーが両表層にくるように積層し、積層フイルムの厚み比率がA層/B層/A層=1〜10/80〜98/1〜10からなる3層構成の溶融押出シートを吐出する。この溶融されたシートを、ドラム表面温度10〜60℃に冷却されたドラム上で静電気力にて密着冷却固化し、該未延伸フイルムを80〜120℃に加熱したロール群に導き、長手方向に2.0〜5.0倍縦延伸し、20〜50℃のロール群で冷却する。続いて、縦延伸したフイルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き90〜140℃に加熱された雰囲気中で長手に垂直な方向に横延伸する。延伸倍率は、縦、横それぞれ2.5〜4.5倍に延伸するが、その面積倍率(縦延伸倍率×横延伸倍率)は9〜16倍であることが好ましい。面積倍率が9倍未満であると得られるフイルムの白さが不良となり、逆に16倍を越えると延伸時に破れを生じやすくなり製膜性が不良となる傾向がある。こうして二軸延伸されたフイルムの平面性、寸法安定性を付与するために、テンター内で150〜230℃の熱固定を行い、均一に徐冷後、室温まで冷却して巻き取り本発明フイルムを得る。
かくして得られた本発明の液晶反射板用白色積層ポリエステルフイルムは、フイルム内部に微細な気泡が形成され高反射率が達成されており、液晶などのディスプレイの反射板として使用された場合に高い輝度を得ることができる。
〔物性の測定ならびに効果の評価方法〕
本発明の物性値の評価方法ならびに効果の評価方法は次の通りである。
(1)平均相対反射率
日立ハイテクノロジーズ製分光光度計(U―3310)に積分球を取り付け、標準白色板(酸化アルミニウム)を100%とした時の反射率を400〜700nmにわたって測定する。得られたチャートより5nm間隔で反射率を読み取り、平均値を計算し、平均相対反射率とする。各箇所一回の測定値で平均値を出した。
サンプリング方法としては、カットシートのサイズが1000mm幅以上の時にはカットシート1枚につきフイルムの幅方向に両端部と中央部を等間隔に3カ所サンプリングしてN=2で測定をする。一方1000mm幅未満の時にはカットシートの面積に合わせて両端部の2カ所または中央部1カ所につきサンプリングをしてN=3で測定する。また、サンプル面積は一定(5cm×5cm)になるようにサンプリングする。
(2)密度
以下の式を用いてフイルムの密度を決定する。
密度=(10枚の総重量)/(10枚の総体積)総体積=厚み×面積×サンプリング数。
サンプリング方法としては、カットシートのサイズが1000mm幅以上の時にはカットシート1枚につきフイルムの幅方向に両端部と中央部を等間隔に3カ所サンプリングしてN=2で測定をする。 一方1000mm幅未満の時にはカットシートの面積に合わせて両端部の2カ所または中央部1カ所につきサンプリングをしてN=3で測定する。 また、サンプル面積は一定(10cm×10cm)になるようにサンプリングし、それぞれ重量を測定する。
(3)バックライト輝度
図1に示したようにソニー(株)製VAIO(VGN−S52B/S)のバックライトの逆プリズムタイプの反射フイルム12を各実施例、比較例にて作製した反射フイルムに変更し測定した。輝度測定は、冷陰極管11にインバーターを使用し、AC12V印加した後、1時間待機し冷陰極管の明るさが均一かつ一定になるのを待った。その後に、輝度計15(topcon製BM−7fast)にて、測定距離850mmで輝度を測定した。測定回数は3回とし、その平均値をとる。また、図2に示した正プリズムタイプについても、同様に測定をした。一般的に行われる輝度測定値よりも約10倍の高い数値となる。
(4)光沢度
スガ試験機製 デジタル変角光沢計(UGU―4D)を用いて、JIS K7105に準じ、入射角および受光角を60°にあわせて評価した。各箇所一回の測定値で平均値を出した。サンプリング方法としては、カットシートのサイズが1000mm幅以上の時にはカットシート1枚につきフイルムの幅方向に両端部と中央部を等間隔に3カ所サンプリングしてN=2で測定をする。一方1000mm幅未満の時にはカットシートの面積に合わせて両端部の2カ所または中央部1カ所につきサンプリングをしてN=3で測定する。 また、サンプル面積は一定(10cm×10cm)になるようにサンプリングする。
(5)MFR
ASTM D1238に準じ、樹脂温度260℃、樹脂量5kgとして測定した。
(6)融点
エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製、示差走査熱量計(EXSTAR6000DSC)測定器を使用した。AとB層のそれぞれのフイルムは実施例1に記述した条件で別々に単膜で溶融製膜して作製し、これら各サンプルフイルムから5mgを試料採取し、20℃/分の昇温速度で測定し、吸熱ピーク温度を求めてフイルム融点とした。
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
実施例1
ポリエステルA層の原料ポリマーを、以下に示す配合比で混合し、押出し温度が290℃の押出機Aに供給した。
・ポリエチレンテレフタレートチップ(東レ株式会社製F20S、以降PETと省略):66重量%
・ポリエチレンテレフタレートを主成分としたイソフタル酸共重合物のチップ(東レ株式会社)製F51M、以降PET/Iと省略):20重量%
・数平均粒径0.7μmの硫酸バリウム(大日本インキ化学工業株式会社製硫酸バリウム):14重量%
一方、 ポリエステルB層の原料ポリマーを、以下に示す配合比で混合し、押出し温度が290℃の押出機Bに供給した。
・PET:65重量%
・メチレングリコールの共重合物(東レデュポン株式会社製“ハイトレル”、以降PBT/PTMGと省略):5重量%
・ポリエチレンテレフタレートにイソフタル酸を10mol%とポリエチレングリコールを5mol%共重合した共重合物(東レ株式会社製T794M、以降PET/I/PEGと省略):10重量%
・ポリメチルペンテン(MFRが230g/10minである三井化学株式会社製ポリメチルペンテン樹脂、以降PMPと省略):20重量%
A層/B層/A層の厚み比率が4:92:4となるように積層装置を通してTダイよりシート状に成形した。さらにこのフイルムを表面温度25℃の冷却ドラムで冷却固化した未延伸フイルムを85〜98℃に加熱したロール群に導き、長手方向に3.4倍縦延伸し、25℃のロール群で冷却した。続いて、縦延伸したフイルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き130℃に加熱された雰囲気中で長手に垂直な方向に3.6倍横延伸した。その後テンター内で230℃の熱固定を行い、均一に徐冷後、室温まで冷却して巻き取り厚み250μmのフイルムを得た。得られたポリエステルフイルムの特性は表1のとおりであった。 このフイルムのバックライト輝度はサイドライト方式で3010cd/m、直下型方式で5030cd/mと良好である。また、平均反射率106%良好であり、このフイルムのA層とB層のDSC融点温度差は−5℃となった。 このフイルムの光沢度(60°)は63%である。
実施例2
実施例1において、押出機Aに送る原料の構成はPETを68重量%、PET/Iを20重量%、硫酸バリウム添加量を12重量%とし、実施例1と同様の手法で厚み250μmのフイルムを得た。得られたフイルムのバックライト輝度は、サイドライト方式で2990cd/m、直下型方式で4965cd/mと良く、平均反射率105%と良好であり、このフイルムのA層とB層の融点温度差は−5℃となった。
実施例3
実施例1において、押出機Aに送る原料の構成はPETを73重量%、PET/Iを20重量%、硫酸バリウム添加量を7重量%とし、実施例1と同様の手法で厚み250μmのフイルムを得た。得られたフイルムのバックライト輝度は、サイドライト方式で2950cd/m、直下型方式で4930cd/mと良く、平均反射率104%と良好であり、このフイルムのA層とB層の融点温度差は−6℃となった。
実施例4
実施例1において、押出機Aに送る原料の構成はPETを51重量%、PET/Iを20重量%、硫酸バリウム添加量を29重量%とし、実施例1と同様の手法で厚み250μmのフイルムを得た。得られたフイルムのバックライト輝度は、サイドライト方式で3030cd/m、直下型方式で5100cd/mと良好、平均反射率107%と良好であり、このフイルムのA層とB層の融点温度差は−5℃となった。
参考例5
実施例1において、押出機Aに送る原料の構成はPET/Iを71重量%、硫酸バリウム添加量を29重量%とし、実施例1と同様の手法で厚み250μmのフイルムを得た。得られたフイルムのバックライト輝度は、サイドライト方式で3030cd/m、直下型方式で5100cd/mと良好、平均反射率107%と良好であり、このフイルムのA層とB層の融点温度差は−25℃となった。
比較例1
実施例1において、押出機Aに送る原料の構成はPETが86重量%に平均粒径1.0μmの炭酸カルシウムを14重量%混合して、実施例1と同様の手法で厚み250μmのフイルムを得た。得られたフイルムのバックライト輝度は、サイドライト方式で2850cd/m、直下型方式で4895cd/m、平均反射率102%と良い、このフイルムのA層とB層の融点温度差は0℃となった。このフイルムの液晶反射板用基材としての物性は表1の通りで、実施例1に比較して劣る結果となった。
比較例2
実施例1において、押出機Aに送る原料の構成はPET/Iを93重量%、炭酸カルシウム添加量を7重量%とした。一方、 ポリエステルB層の原料ポリマーを、以下に示す配合比で混合し、押出し温度が290℃の押出機Bに供給した。
・ PET:70重量%
・PBT/PTMG:5重量%
・PET/I/PEG:10重量%
・PMP:15重量%
実施例1と同様の手法で厚み250μmのフイルムを得た。得られたフイルムのバックライト輝度は、サイドライト方式で2770cd/m、直下型方式で4890cd/mと、平均反射率101%となった。 このフイルムのA層とB層の融点温度差は−31℃となった。 このフイルムは、逆プリズム方式液晶ディスプレイ反射板用基材として使用できないレベルの特性となった。
比較例3
実施例1において、押出機Aに送る原料の構成はPETを86重量%、PET/Iを10重量%、硫酸バリウム添加量を4重量%とし、実施例1と同様の手法で厚み250μmのフイルムを得た。得られたフイルムのバックライト輝度は、サイドライト方式で2925cd/mとよいが、直下型方式で4895cd/mとやや劣る、平均反射率103%と良であり、このフイルムのA層とB層の融点温度差は−2℃となった。
比較例4
実施例1において、押出機Aに送る原料の構成はPETを100重量%とし、実施例1と同様の手法で厚み250μmのフイルムを得た。得られたフイルムのバックライト輝度は、サイドライト方式で2780cd/mと不良、直下型方式でも4780cd/mと不良、平均反射率85%と不良であり、このフイルムのA層とB層の融点温度差は0℃となった。このフイルムは、液晶ディスプレイ反射板用基材として使用できないレベルの特性となった。
Figure 0005211508
反射板を組み込んだバックライト画面(逆プリズム方式)の概略断面図である。 反射板を組み込んだバックライト画面(正プリズム方式)の概略断面図である。
符号の説明
11;冷陰極管
12;反射板
13;導光板
14;プリズムシート
15;輝度計
16;冷陰極管
17;反射板
18;導光板
19;プリズムシート
20;輝度計

Claims (5)

  1. 積層ポリエステルフイルムの構成がA層/B層/A層またはA層/B層のフイルム構成であり、ポリエステルA層及びポリエステルB層はそれぞれ2種類以上のポリエステルからなり、ポリエステルA層を構成するポリエステルは、融点が250℃未満の低融点ポリエステル樹脂と、融点が250℃以上のポリエステル樹脂からなり、ポリエステルA層はポリエステルB層に比べて融点が3〜30℃低く、かつ、数平均粒子径が0.3〜2.0μmの無機粒子をポリエステルA層に対して6重量%〜30重量%を含有し、一方ポリエステルB層はポリエステルに非相溶な樹脂をポリエステルB層に対して5重量%〜40重量%および数平均粒子径が0.3〜2.0μmの無機粒子を0〜10重量%含有し、該無機粒子が硫酸バリウムである液晶反射用白色積層ポリエステルフイルム。
  2. 前記ポリエステルA層に含有されるポリエステル樹脂は、ポリエチレンテレフタレートにイソフタル酸を共重合せしめた低融点ポリエステルを10〜30重量%含有する請求項1に記載の液晶反射用白色積層ポリエステルフイルム。
  3. 光の波長域400〜700nmにおける平均反射率がフイルムの少なくとも片面で98%以上であり、かつ、表面の光沢度が90%以下である請求項1又は2に記載の液晶反射用白色積層ポリエステルフイルム。
  4. 前記の積層ポリエステルフイルムの密度が0.50g/cm3〜1.30g/cm3である請求項1〜3のいずれかに記載の液晶反射用白色積層ポリエステルフイルム。
  5. A層/B層/A層の構成であり、積層フイルムの厚み比率が、ポリエステルA層/ ポリエステルB層/ポリエステルA層=「1〜10」/「80〜98」/「1〜10」である請求項1〜4のいずれかに記載の液晶反射用白色積層ポリエステルフイルム。
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