JP5211142B2 - レンチ - Google Patents

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Description

本発明は、上アゴ部と下アゴ部との間にサイズの異なるボルトやナットなどの被回転体を挟んで締緩するレンチに関する。
従来より、図15に示すように、この種レンチ10としては、先端に上アゴ部101を形成すると共に長手方向にラック歯102を形成した握柄杆103に、前記上アゴ部101と対向する下アゴ部104を先端に形成した可動体105を、この可動体105の先端部106と基端部107との間に設けたウォーム体108を前記ラック歯102に係合させた状態で回動操作することによって前記ウォーム体108と一体に握柄杆103の長手方向に沿ってスライド移動させるように被嵌したものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
実登3004664号公報
ところで、前記のレンチ10にあっては、サイズの異なるボルトやナットなどの被回転体の締緩を行う際にウォーム体108を回動操作して可動体105を握柄杆103の長手方向に沿ってスライド移動させて上アゴ部101と下アゴ部104との間隔をボルトやナットなどの被回転体に合致させる必要がある。そのため、可動体105の先端部106と基端部107との間に、ウォーム体108の回動操作が無理なく円滑に行えるような僅かな隙間(例えばウォーム体108のウォーム軸方向に0.4mm程度の隙間)が設定されている。
しかし、可動体105の先端部106と基端部107との間にウォーム体108に対するウォーム軸方向の隙間が設定されていると、上アゴ部101と下アゴ部104との間隔をボルトやナットなどの被回転体に合致させていても、その隙間によって、ウォーム体108が僅かに回動して緩んでしまう。このため、可動体105がウォーム軸方向に移動して、上アゴ部101と下アゴ部104との間で被回転体にガタつきが生じてしまい、被回転体を強固に挟持することができない。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、上アゴ部と下アゴ部との間で合致させたボルトやナットなどの被回転体をガタつかせずに強固に挟持することができるレンチを提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明が講じた解決手段は、先端に上アゴ部を形成した握柄杆に、前記上アゴ部と対向する下アゴ部を先端に形成した可動体を、この可動体の先端部と基端部との間に設けたウォーム体を回動操作させることによって前記握柄杆に形成されたラック歯に沿って前記ウォーム体と一体にスライド移動させるように被嵌したレンチを前提とする。そして、前記ウォーム体を前記可動体の先端部と基端部との間に回動自在に支持しかつ一端が前記可動体の基端部を貫通して外方に突出するウォーム軸と、前記可動体の先端部において前記ウォーム軸の軸回りに回転不能にかつそのウォーム軸方向に移動可能に支持され、前記ウォーム軸の他端を固着する固着具と、前記ウォーム軸の一端に基端部が支持され、先端部が前記握柄杆の基部に対し間隔を隔てて対向するように延びるレバーと、を備えている。更に、前記レバーの基端部に、前記可動体の基端部に対向する対向面を設けるとともに、この対向面に、前記握柄杆の基部に対する間隔を狭めるように前記レバーを操作した際に前記ウォーム軸の一端を支点にして前記可動体の基端部に押圧力を作用させる作用点部を設けている。
この特定事項により、握柄杆の基部に対して間隔を狭めるようにレバーを操作すると、ウォーム軸の一端を支点にしてレバーの基端部の対向面の作用点部から可動体の基端部に押圧力つまり可動体の基端部を上アゴ部側へ押圧する押圧力が作用する。このとき、作用点部からの押圧力の反作用によって、ウォーム軸が固着具を可動体の基端部側に移動させるように移動している。このため、ウォーム体は、ウォーム軸の他端を固着する固着具に当接した状態で、作用点部からの押圧力によって上アゴ部側へ押圧された可動体の基端部にウォーム軸方向から圧接する。これにより、レバーを操作すれば、ウォーム体が固着具と可動体の基端部との間でウォーム軸方向に隙間なく圧接され、上アゴ部と下アゴ部との間で合致させた被回転体にガタつきが生じることがなく、被回転体を強固に挟持することが可能となる。
しかも、レバーの操作によって上アゴ部と下アゴ部との間で被回転体が強固に挟持されることから、2つのレンチを用いてダブルナットの締緩などを行う場合にも作業が円滑に行え、レンチの作業の自由度を大幅に拡大させることが可能となる。
また、前記ウォーム軸として、他端に前記固着具に対し螺合して固着される雄ねじ部を有しかつ一端に前記レバーの基端部を支持するための頭部を有するボルト部材を適用しており、前記ボルト部材との当接により当該ボルト部材を回り止めする回り止め部材を設けていることが好ましい。
この場合には、他端を固着具に螺着したボルト部材が回り止め部材との当接により回り止めされているので、ボルト部材に経時的な緩みが生じることがなく、レバーの操作時に上アゴ部と下アゴ部との間で被回転体を常に強固に挟持することができる。
また、前記目的を達成するため、本発明が講じたその他の解決手段は、先端に上アゴ部を形成した握柄杆の先端部に、前記上アゴ部と対向する下アゴ部を先端に形成した可動体を、前記握柄杆の先端部に設けたウォーム体を回動操作させることによって前記可動体に形成されたラック歯に沿ってスライド移動可能に設けたレンチを前提とする。そして、前記ウォーム体を前記握柄杆の先端部に設けられた収容空間に回動自在に支持しかつ一端が前記収容空間の一側縁に止着されている一方他端が前記収容空間の他側縁を貫通して外方に突出するウォーム軸と、前記収容空間の他側縁を貫通する貫通孔と前記ウォーム軸との間においてそのウォーム軸方向に移動可能に支持された筒状部材と、 前記ウォーム軸の他端に基端部が支持され、先端部が前記握柄杆の基部に対し間隔を隔てて対向するように延びるレバーと、を備える。更に、前記レバーの基端部に、前記筒状部材の外端部に対向する対向面を設けるとともに、この対向面に、前記握柄杆の基部に対する間隔を狭めるように前記レバーを操作した際に前記ウォーム軸の他端を支点にして前記筒状部材の外端部に押圧力を作用させる作用点部を設けている。
この特定事項により、握柄杆の基部に対して間隔を狭めるようにレバーを操作すると、ウォーム軸の他端を支点にしてレバー基端部の対向面の作用点部から筒状部材の外端部に押圧力つまり筒状部材の外端部を収容空間の一側縁へ押圧する押圧力が作用する。このため、作用点部からの押圧力によって収容空間の一側縁へ押圧された筒状部材の内端部がウォーム軸方向からウォーム体に圧接する。これにより、レバーを操作すれば、ウォーム体が収容空間の一側縁と筒状部材の内端部との間でウォーム軸方向に隙間なく圧接され、上アゴ部と下アゴ部との間で合致させた被回転体にガタつきが生じることがなく、被回転体を強固に挟持することが可能となる。
しかも、レバーの操作によって上アゴ部と下アゴ部との間で被回転体が強固に挟持されることから、2つのレンチを用いてダブルナットの締緩などを行う場合にも作業が円滑に行え、レンチの作業の自由度を大幅に拡大させることが可能となる。
以上、要するに、レバーを操作した際に他端が固着体に固着されたウォーム軸の一端を支点にしてレバーの基端部の対向面の作用点部から可動体の基端部に上アゴ部側への押圧力を作用させることで、その押圧力の反作用により可動体の基端部側に移動する固着具と上アゴ部側へ押圧された可動体の基端部との間でウォーム体をウォーム軸方向に隙間なく圧接させ、上アゴ部と下アゴ部との間で合致させた被回転体にガタつきを生じさせることなく被回転体を強固に挟持することができるとともに、レンチの作業の自由度を大幅に拡大させることができる。
これに対し、レバーを操作した際に一端が収容空間の一側縁に止着されたウォーム軸の他端を支点にしてレバーの基端部の対向面の作用点部から筒状部材の外端部に収容空間の一側縁向きの押圧力を作用させることで、ウォーム体を収容空間の一側縁と筒状部材の内端部との間でウォーム軸方向に隙間なく圧接させ、上アゴ部と下アゴ部との間で合致させた被回転体にガタつきを生じさせることなく被回転体を強固に挟持することができるとともに、レンチの作業の自由度を大幅に拡大させることができる。
本発明の第1の実施の形態に係るモーターレンチの側面図である。 図1のモーターレンチの断面図である。 図1のモーターレンチを一側から見た正面図である。 図1のモーターレンチのレバーをボルト部材の基端側から見た底面図である。 図4のレバーをボルト部材の先端側から見た上面図である。 図1のモーターレンチのレバーを操作した際の状態を示すウォーム体付近の断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係るモーターレンチの側面図である。 図7のモーターレンチの可動体を基端側から見た斜視図である。 図7のモーターレンチのレバーをボルト部材の基端側から見た底面図である。 図9のレバーに装着されるロールピンの斜視図である。 第2の実施の形態の変形例に係るモーターレンチのレバーの基端部の側面図である。 図11のレバーを一部切り欠いた状態でボルト部材の基端側から見た底面図である。 本発明の第3の実施の形態に係るモンキレンチの側面図である。 図13のモンキレンチのレバーを操作した際の状態を示すウォーム体付近の断面図である。 従来例に係るレンチの側面図である。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
まず、図1及び図2を用いて、本発明の第1の実施の形態に係るレンチとして適用されるモーターレンチ1の概略構成について説明する。
図1及び図2に示すように、前記モーターレンチ1は、先端(図1及び図2では上端)に上アゴ部21が突設された長尺板状の握柄杆2と、上アゴ部21と対向する下アゴ部31が先端(図1及び図2では上端)に突設され、前記握柄杆2の長手方向(図1及び図2では上下方向)に移動可能な可動体3とを備えている。
前記握柄杆2は、その基端側(図1及び図2では下側)に把持部22を備えている。また、前記握柄杆2は、その先端側(上アゴ部21よりも基端側)の一側(図1及び図2では左側)にラック歯23が形成されている。
前記可動体3は、その中心部に前記握柄杆2を挿通する挿通孔30(図2に表れる)を有し、この挿通孔30に挿通された握柄杆2を周囲から包囲する胴部32を備え、この胴部32の先端一側より前記下アゴ部31を突設させている。また、前記胴部32の一側には、ウォーム体33を収容するように切欠かれた略コ字状の切欠部321と、この切欠部321の先端側に位置する先端部322と、前記切欠部321の基端側に位置し、前記先端部321と対向する基端部323とが設けられている。前記基端部323には、ウォーム軸としてのボルト部材34を挿通するボルト挿通孔324が設けられている。そして、前記ボルト部材34は、前記ボルト挿通孔324から切欠部321を経て先端部322側へ延び、切欠部321において前記ウォーム体33を回動自在に支持している。また、前記ウォーム体33は、前記ボルト部材34の軸線回りの回動に伴って上アゴ部21に対し下アゴ部31(可動体3)を進退移動させるように前記握柄杆2のラック歯23に噛合している。
また、図3に示すように、胴部32の先端部322の切欠部321側面(基端部323との対向面)には、断面略コ字状の溝部325が形成されている。この溝部325には、その溝部325の断面形状と略一致する固着具としてのナット部材35が一側から挿通されている。このナット部材35は、前記胴部32の先端部322において前記ボルト部材34の軸回りに回転不能に支持されている。また、ナット部材35は、溝部325内におけるボルト部材34の軸方向への移動、つまりウォーム体33側への移動が許容されている。そして、前記ナット部材35には、前記基端部323のボルト挿通孔324からウォーム体33を通した前記ボルト部材34の先端(他端)の雄ねじ部341を螺着する雌ねじ部351が設けられている。また、前記ナット部材35には、その一側より雌ねじ部351側に貫通するねじ孔352が設けられ、このねじ孔352にねじ部材36が螺着されている。このねじ部材36は、ナット部材35のねじ孔352に螺着されて先端がボルト部材34の雄ねじ部341に当接することでボルト部材34を回り止めする回り止め部材としての機能を有している。この場合、ボルト部材34の雄ねじ部341の先端は、溝部325の底部に凹設された穴353内に遊嵌状態で挿通されている。
更に、前記ウォーム体33の内周面の基端部側縁には、環状溝331が設けられ、この環状溝331の底部と前記胴部32の基端部323の切欠部321側面(先端部322との対向面)との間にばね37が縮装されている。また、前記ウォーム体33と前記胴部32の切欠部321との間には、ウォーム体33の回動操作が無理なく円滑に行えるようにボルト部材34の軸線方向に微小な隙間(例えば0.4mm程度の隙間)が存在している。そして、ウォーム体33は、胴部32の切欠部321との間に存在する微小な隙間において前記ばね37の付勢力によってナット部材35側(先端部322側)に付勢されている。
そして、前記モーターレンチ1には、先端部41(図1及び図2では下端部)が前記握柄杆2の把持部22に対し一側に間隔を隔てて対向するように直線状に延びるレバー4が設けられている。このレバー4の基端部42(図1及び図2では上端部)には、図4にも示すように、ボルト挿通孔421が設けられている。そして、前記レバー4の基端部42は、前記胴部32の基端部323のボルト挿通孔324から前記ボルト部材34を挿通する際に当該ボルト部材34を前記レバー4のボルト挿通孔421に先に通しておくことで、ボルト部材34の基端(一端)の頭部342に支持される。このボルト部材34は、その頭部342が略円柱状に形成され、その頭部342の頂面に凹設された6角形状の凹部(図示せず)に挿通される治具によってナット部材35に対する締緩がなされるようになっている。
また、図5に示すように、前記レバー4の基端部42の他側(図4では右側)には、前記胴部32の基端部323の反切欠部321側面に対向する対向面422が設けられている。この対向面422は、前記ラック歯23を左右両側(図4では上下両側)から挟むように胴部32の基端部323の反切欠部321側面に沿って他側に延びる左右両側部423,423によって他側に延長されている。そして、前記対向面422の左右両側部423,423の他側端(図4では右端)には、前記握柄杆2の把持部22に対して間隔を狭めるように前記レバー4を操作した際に前記ボルト部材34の頭部342を支点にして胴部32の基端部323の他側寄り(図1では右側寄り)に上アゴ部21側向きの押圧力を作用させる作用点部43が設けられている。この場合、レバー4の基端部42のボルト挿通孔421は、ボルト部材34の頭部342を支点にして操作されるレバー4の揺動を考慮してその一側及び他側方向に若干長径な長孔に形成されている。
ここで、レバー4を操作した際の力の作用を図6に基づいて説明する。
まず、図2に示すように、レバー4を操作する前の状態では、胴部32の基端部323の反切欠部321側面に対しレバー4の基端部42他側の対向面422がその一側及び他側において略均等な隙間を存して対向している。また、ウォーム体33は、胴部32の切欠部321との間に存在する微小な隙間(例えば0.4mm程度の隙間)においてばね37の付勢力によってナット部材35側(先端部322側)に付勢されている。
そして、ウォーム体33を回動させて上アゴ部21に対し下アゴ部31(可動体3)を進退移動させることでボルト又はナットなどの被回転体を上アゴ部21と下アゴ部31との間に挟み込む。
その後、図6に示すように、握柄杆2の把持部22に対して間隔を狭めるようにレバー4を操作すると、ボルト部材34の頭部342を支点にして胴部32の基端部323の反切欠部321側面に対しレバー4の基端部42の一側端を離間させつつ対向面422の左右両側部423,423の他側端の作用点部43を胴部32の基端部323の反切欠部321側面に押圧させるような押圧力が作用する。このとき、作用点部43からの押圧力の反作用によって、ボルト部材34がナット部材35を溝部325内において可動体3の基端部323側に移動させるように移動する。このため、ウォーム体33は、ボルト部材34の雄ねじ部341を螺着するナット部材35に当接した状態で、作用点部43からの押圧力によって上アゴ部21側へ押圧された胴部32の基端部323にボルト部材34の軸線方向から圧接している。
このように、握柄杆2の把持部22に対して間隔を狭めるようにレバー4を操作した際に雄ねじ部351がナット部材35に止着されたボルト部材34の頭部342を支点にしてレバー4の基端部42の対向面422他端の作用点部43から胴部32(可動体3)の基端部323に押圧力を作用させることで、その押圧力の反作用により胴部32の基端部323側に移動するナット部材35と上アゴ部21側へ押圧された胴部32の基端部323との間でウォーム体33がボルト部材34の軸線方向に隙間なく圧接され、上アゴ部21と下アゴ部31との間で合致させたボルトやナットなどの被回転体にガタつきが生じることがなく、被回転体を強固に挟持することができる。
しかも、レバー4の操作によって上アゴ部21と下アゴ部31との間でボルトやナットなどの被回転体が強固に挟持されることから、2つのモーターレンチ1,1を用いてダブルナットの締緩などを行う場合にも作業が円滑に行え、モーターレンチ1の作業の自由度を大幅に拡大させることができる。
また、ナット部材35の雌ねじ部351に螺着されたボルト部材34の雄ねじ部341に対しナット部材35のねじ孔352に螺着されたねじ部材36の先端が当接してボルト部材34の回転を規制しているので、ボルト部材34に経時的な緩みが生じることがない。これにより、レバー4の操作時に上アゴ部21と下アゴ部31との間でボルトやナットなどの被回転体を常に強固に挟持することができる。
次に、本発明の第2の実施の形態を図7〜図10に基づいて説明する。
この実施の形態では、ボルト部材及びナット部材の構成を変更している。なお、ボルト部材及びナット部材を除くその他の構成は、前記第1の実施の形態と同じであり、同一部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
すなわち、本実施の形態では、図7及び図8に示すように、可動体3の胴部32の先端部322の切欠部321側面には、略正方形状の凹部51が凹設されている。この凹部51内には、ウォーム軸としてのボルト部材52の雄ねじ部521を螺着により固着する略正方形状のナット部材53(固着具)が、ボルト部材52の軸回りに回転不能に支持されている。また、ナット部材53は、凹部51内におけるボルト部材52の軸方向への移動、つまりウォーム体33側への移動が許容されている。この場合、ボルト部材52の雄ねじ部521の先端は、凹部51の底部に凹設された穴511内に遊嵌状態で挿通されている。
また、ボルト部材52の頭部522は、略六角柱状に形成され、レバー4の基端部42のボルト挿通孔421から胴部32の基端部323及びウォーム体33を経てナット部材53に雄ねじ部521が螺着されることによって、レバー4の基端部42を支持している。このボルト部材52は、その頭部522の頂面に凹設された6角形状の凹部523(図9に表れる)に挿通される治具によってナット部材53に対する締緩がなされるようになっている。
そして、図9に示すように、前記レバー4の基端部42には、前記ボルト部材52の頭部522の一側に近接する位置において左右両側部423,423を左右方向(図7では紙面手前奥方向)に貫通する貫通孔54,54が設けられている。この貫通孔54,54には、図10にも示すように、軸線方向に割れ目を持った円筒状のロールピン55が挿通により装着されている。このロールピン55は、レバー4の基端部42の各貫通孔54に装着された際に前記ボルト部材52の頭部522に近接し、その頭部522が回転した際に当接することでボルト部材52を回り止めする回り止め部材としての機能を有している。
この場合には、雄ねじ部521をナット部材53に螺着したボルト部材52の頭部522が回転した際にレバー4の基端部42の各貫通孔54に装着したロールピン55に当接してボルト部材52を回り止めしているので、ボルト部材52に経時的な緩みが生じることがない。これにより、レバー4の操作時に上アゴ部21と下アゴ部31との間でボルトやナットなどの被回転体を常に強固に挟持することができる。
なお、前記第2の実施の形態では、ボルト部材52の頭部522を回り止めする回り止め部材として頭部522に近接させたロールピン55を適用したが、図11及び図12に示すように、レバー4の基端部42に、ボルト部材52の頭部522に対応する左右両側部423,423のいずれか一方を貫通するねじ孔56を設け、このねじ孔56に螺着される皿ねじ57の先端をボルト部材52の頭部522に当接させるようにしてもよい。この場合には、皿ねじ57が回り止め部材として適用され、ボルト部材52の頭部522に皿ねじ57の先端を当接させて頭部522の回転を規制しておくことでボルト部材52を回り止めしている。
次に、本発明の第3の実施の形態を図13及び図14に基づいて説明する。
この実施の形態では、レンチとしてモンキレンチが適用されている。
すなわち、図13に示すように、モンキレンチ6は、先端(図13では上端)に上アゴ部71が突設された長尺板状の握柄杆7と、上アゴ部71と対向する下アゴ部81が先端(図13では上端)に突設され、前記握柄杆7の長手方向(図13では左右方向)に移動可能な可動体8とを備えている。この可動体8の基端(図13では下端)には、ラック歯82が形成されている。
前記握柄杆7は、その基端部72側(図13では下側)に把持部70を備えている。また、前記握柄杆7の先端部73には、ウォーム体74を収容するように切欠かれた略ロ字状の収容空間75が設けられている。この収容空間75は、可動体8(下アゴ部81)の移動方向に長い長方形状に形成されている。また、前記収容空間75には、前記ウォーム体74を回動自在に支持するウォーム軸としてのボルト部材76が設けられている。このボルト部材76は、その一端側に雄ねじ部761が設けられている一方、他端側には頭部762が設けられている。そして、前記収容空間75の一側縁としての他側縁751(図13では右側縁)には、ねじ穴752が設けられている。また、前記収容空間75の他側縁としての一側縁753(図13では左側縁)には、この一側縁753を貫通する貫通孔754が設けられている。この貫通孔754には、前記ボルト部材76が挿通され、このボルト部材76が前記ウォーム体74を通って収容空間75内で当該ウォーム体74を回動自在に支持している。このボルト部材76の雄ねじ部761は、他側縁751のねじ穴752に螺着(止着)されている。そして、前記ウォーム体74は、前記ボルト部材76回りの回動に伴って上アゴ部71に対し下アゴ部81(可動体8)を進退移動させるように前記可動体8のラック歯82に噛合している。この場合、ボルト部材76の頭部762は、収容空間75の一側縁753よりも外方に突出している。
更に、前記ウォーム体74と他側縁751との間にはばね78が縮装されている。また、前記ウォーム体74と前記収容空間75との間には、ウォーム体74の回動操作が無理なく円滑に行えるようにボルト部材76の軸線方向に微小な隙間(例えば0.4mm程度の隙間)が存在している。そして、ウォーム体74は、収容空間75との間に存在する微小な隙間において前記ばね78の付勢力によって一側縁753側に付勢されている。
また、前記収容空間75の一側縁753の貫通孔754の内周面と前記ボルト部材76の軸部の外周面との間には、ボルト部材76の軸方向に移動可能な筒状部材77が支持されている。この筒状部材77の外端部(図13では左端部)には鍔部771が一体的に設けられている。また、前記モンキレンチ6には、先端部95(図13では下端部)が前記握柄杆7の把持部70に対し一側に間隔を隔てて対向するように直線状に延びるレバー9が設けられている。このレバー9の基端部92(図13では上端部)には、ボルト挿通孔921が設けられている。そして、前記レバー9の基端部92は、前記収容空間75の一側縁753の貫通孔754から筒状部材77を介して前記ボルト部材76を挿通する際に当該ボルト部材76を前記レバー9のボルト挿通孔921に先に通しておくことで、ボルト部材76基端の頭部762に支持される。このボルト部材76は、その頭部762が略円柱状に形成され、その頭部762の頂面に凹設された6角形状の凹部(図示せず)に挿通される治具によって他側縁751のねじ穴752に対する締緩がなされるようになっている。
そして、前記レバー9の基端部92には、前記筒状部材77の鍔部771の外端面に対向する対向面922が設けられている。この対向面922の先端側(図13では下端側)には、前記握柄杆7の把持部72に対して間隔を狭めるように前記レバー9を操作した際に前記ボルト部材76の頭部762を支点にして筒状部材77の鍔部771の外端面の反ラック歯82側寄り(図13では下側寄り)にウォーム体74側向きの押圧力を作用させる作用点部93が設けられている。この場合、レバー9の基端部92のボルト挿通孔921は、ボルト部材76の頭部762を支点にして操作されるレバー9の揺動を考慮してその先端側及び基端側方向(図13では上下方向)に若干長径な長孔に形成されている。なお、図13中における94は、レバー9のボルト部材76回りの回動を規制する回り止め部材であって、レバー9の先端部95に各一端が止着された略U字状の線材よりなる。
ここで、レバー9を操作した際の力の作用を図14に基づいて説明する。
まず、図13に示すように、レバー9を操作する前の状態では、筒状部材77の鍔部771の外端面に対しレバー9の基端部92の対向面922がその基端側及び先端側において略均等な隙間を存して対向している。また、ウォーム体74は、収容空間75との間に存在する微小な隙間(例えば0.4mm程度の隙間)においてばね78の付勢力によって一側縁753側に付勢されている。
そして、ウォーム体74を回動させて上アゴ部71に対し下アゴ部81(可動体8)を進退移動させることでボルト又はナットなどの被回転体を上アゴ部71と下アゴ部81との間に挟み込む。
その後、図14に示すように、握柄杆7の把持部72に対して間隔を狭めるようにレバー9を操作すると、ボルト部材76の頭部762を支点にして筒状部材77の鍔部771の外端面に対しレバー9の基端部92の対向面922の基端側を離間させつつ対向面922の先端側の作用点部93を筒状部材77の鍔部771の外端面に押圧させるような押圧力が作用する。このため、ウォーム体74は、収容空間75の他側縁751に当接した状態で、作用点部93からの押圧力によってウォーム体74側向きに押圧された筒状部材77の内端部にボルト部材76の軸線方向から圧接している。
このように、握柄杆7の把持部72に対して間隔を狭めるようにレバー9を操作した際にボルト部材76の頭部762を支点にしてレバー9の基端部92の対向面922の作用点部93から筒状部材77の鍔部771の外端面に押圧力、つまり筒状部材77の鍔部771を収容空間75の他側縁751へ押圧する押圧力が作用する。このため、作用点部93からの押圧力によって収容空間75の他側縁751へ押圧された筒状部材77の内端部がボルト部材76の軸線方向からウォーム体74に圧接する。これにより、レバー9を操作すれば、ウォーム体74が収容空間75の他側縁751と筒状部材77の内端部との間で軸線方向に隙間なく圧接され、上アゴ部71と下アゴ部81との間で合致させたボルトやナットなどの被回転体にガタつきが生じることがなく、被回転体を強固に挟持することができる。
しかも、レバー9の操作によって上アゴ部71と下アゴ部81との間でボルトやナットなどの被回転体が強固に挟持されることから、2つのモンキレンチ6,6を用いてダブルナットの締緩などを行う場合にも作業が円滑に行え、モンキレンチ6の作業の自由度を大幅に拡大させることができる。
なお、本発明は、前記各実施の形態に限定されるものではなく、その他種種の変形例を包含している。例えば、前記第3の実施の形態では、筒状部材77の外端部に鍔部771を一体的に設けたが、筒状部材の径方向の厚みを鍔部分だけ拡張させて鍔部を廃止してもよい。
また、前記各実施の形態では、レバー4,9の先端部41,91を握柄杆2,7の把持部22,70に対し一側に間隔を隔てて対向するように直線状に延ばしたが、レバーの先端部の一側に指を掛け易い波形の凹凸が形成されていてもよい。この場合には、モーターレンチ1及びモンキレンチ6の把持性能がさらに向上し、作業性をより高めることが可能となる。
1 モーターレンチ(レンチ)
2 握柄杆
21 上アゴ部
22 把持部(握柄杆の基部)
23 ラック歯
3 可動体
31 下アゴ部
322 先端部
323 基端部
33 ウォーム体
34 ボルト部材(ウォーム軸)
342 頭部(ウォーム軸の他端)
35 ナット部材(固着具)
36 ねじ部材(回り止め部材)
4 レバー
41 先端部
42 基端部
422 対向面
43 作用点部
52 ボルト部材(ウォーム軸)
53 ナット部材(固着具)
55 ロールピン(回り止め部材)
57 皿ねじ(回り止め部材)
6 モンキレンチ(レンチ)
7 握柄杆
71 上アゴ部
72 把持部(握柄杆の基部)
73 先端部
74 ウォーム体
75 収容空間
751 他側縁(一側縁)
753 一側縁(他側縁)
754 貫通孔
76 ボルト部材(ウォーム軸)
762 頭部(ウォーム軸の他端)
77 筒状部材
8 可動体
81 下アゴ部
82 ラック歯
9 レバー
92 基端部
922 対向面
93 作用点部

Claims (3)

  1. 先端に上アゴ部を形成した握柄杆に、前記上アゴ部と対向する下アゴ部を先端に形成した可動体を、この可動体の先端部と基端部との間に設けたウォーム体を回動操作させることによって前記握柄杆に形成されたラック歯に沿って前記ウォーム体と一体にスライド移動させるように被嵌したレンチであって、
    前記ウォーム体を前記可動体の先端部と基端部との間に回動自在に支持しかつ一端が前記可動体の基端部を貫通して外方に突出するウォーム軸と、
    前記可動体の先端部において前記ウォーム軸の軸回りに回転不能にかつそのウォーム軸方向に移動可能に支持され、前記ウォーム軸の他端を固着する固着具と、
    前記ウォーム軸の一端に基端部が支持され、先端部が前記握柄杆の基部に対し間隔を隔てて対向するように延びるレバーと、
    を備え、
    前記レバーの基端部は、前記可動体の基端部に対向する対向面を有しているとともに、この対向面には、前記握柄杆の基部に対する間隔を狭めるように前記レバーを操作した際に前記ウォーム軸の一端を支点にして前記可動体の基端部に押圧力を作用させる作用点部が設けられていることを特徴とするレンチ。
  2. 前記ウォーム軸としては、他端に前記固着具に対し螺合して固着される雄ねじ部を有しかつ一端に前記レバーの基端部を支持するための頭部を有するボルト部材が適用されており、
    前記ボルト部材との当接により当該ボルト部材を回り止めする回り止め部材が設けられている請求項1に記載のレンチ。
  3. 先端に上アゴ部を形成した握柄杆の先端部に、前記上アゴ部と対向する下アゴ部を先端に形成した可動体を、前記握柄杆の先端部に設けたウォーム体を回動操作させることによって前記可動体に形成されたラック歯に沿ってスライド移動可能に設けたレンチであって、
    前記ウォーム体を前記握柄杆の先端部に設けられた収容空間に回動自在に支持しかつ一端が前記収容空間の一側縁に止着されている一方他端が前記収容空間の他側縁を貫通して外方に突出するウォーム軸と、
    前記収容空間の他側縁を貫通する貫通孔と前記ウォーム軸との間においてそのウォーム軸方向に移動可能に支持された筒状部材と、
    前記ウォーム軸の他端に基端部が支持され、先端部が前記握柄杆の基部に対し間隔を隔てて対向するように延びるレバーと、
    を備え、
    前記レバーの基端部は、前記筒状部材の外端部に対向する対向面を有しているとともに、この対向面には、前記握柄杆の基部に対する間隔を狭めるように前記レバーを操作した際に前記ウォーム軸の他端を支点にして前記筒状部材の外端部に押圧力を作用させる作用点部が設けられていることを特徴とするレンチ。
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