JP5211011B2 - 電子写真用トナー、及び現像剤 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真用トナー、及び前記電子写真用トナーを含む現像剤に関する。
複写機、プリンタ、ファクシミリ、及びこれらの複合機等の電子写真方式を利用した画像形成装置は、像担持体と、前記像担持体の表面を均一に帯電させる帯電装置と、帯電された像担持体の表面を露光することによって、前記像担持体の表面に静電潜像を形成させる露光装置と、前記静電潜像が形成された像担持体の表面にトナーを供給することによって、前記静電潜像をトナー像として現像する現像装置と、前記トナー像を構成するトナーを、前記像担持体から記録媒体へ転写する転写装置等を備える。このような画像形成装置は、上記各装置によって、画像データに基づいて形成されたトナー像を記録媒体に転写し、その後、そのトナー像を記録媒体に定着させることによって、画像を記録媒体上に形成する。
このような画像形成装置としては、モノクロ印刷だけではなく、カラー画像を形成するカラー印刷機能を備えたものが利用されてきている。具体的には、例えば、1つの感光体ドラムからなる1ドラム方式のカラー複写機や複合機(MFP)等の画像形成装置が用いられている。しかしながら、このような1ドラム方式の画像形成装置は、1枚の用紙にカラー印刷する際、ブラック、イエロー、シアン、及びマゼンタ等の各色の、用紙に対する現像毎に、像担持体である感光体ドラムに画像形成する必要がある。よって、カラー印刷を行う際の印刷速度は、モノクロ印刷を行う際の印刷速度に比べ、約1/4に低下するという問題があった。すなわち、カラー印刷は、モノクロ印刷に比べ、約4倍の時間を要するという問題があった。そこで、カラー印刷機能を備えた画像形成装置は、印刷時間の短時間化、すなわち、印刷の高速化が求められていた。このような要求を満たすものとして、タンデム方式のカラー画像形成装置等が挙げられる。
タンデム方式のカラー画像形成装置とは、具体的には、例えば、電子写真方式で像担持体上に形成されたトナー像を1次転写した後、用紙等の被転写材に2次転写するための中間転写ベルトを備え、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)等の複数色のトナー像を中間転写ベルト上で重ね合わせることでカラー画像を形成する画像形成装置である。このようなカラー画像形成装置は、複数色のトナー像を重ね合わせるために、中間転写ベルトに沿って各色に対応する画像形成ユニットが並設されている。そして、中間転写ベルト上には、前記画像形成ユニットの各感光体ドラムによるYMCK4色のトナー像が互いに重ね合わされるように順次転写(1次転写)されてカラー画像が形成される。そして、この中間転写ベルト上に形成されたカラー画像は、中間転写ベルトに対向して設置された2次転写ローラによって用紙等の被転写材上に転写(2次転写)される。このように、各色に対応するトナー像を、それぞれの像担持体上に形成し、さらに、それらのトナー像を重ね合わせることによって、カラー画像を形成することによって、タンデム方式のカラー画像形成装置は、高速印刷を実現している。その際、高速印刷を実現するためにも、高速の低温定着プロセスを用いて、トナー像を被転写材(記録媒体)に定着させる。
一方、前記画像形成装置には、高画質な画像を形成するために、例えば、以下の性能に優れていることが求められている。まず、形成されるトナー像(画像)が、画像データに基づく再現性の高いものとなるように、トナーの発色性に優れていることが求められる。次に、記録媒体上に形成されるトナー像(画像)表面の平滑性が高いことが求められる。そうすることによって、画像表面での光の乱反射が抑制され、写真画像等を高品質に形成することができる。さらに、定着性に優れていることも求められる。長期間にわたって、定着性が優れていると、画像を形成しても、定着ローラにトナー像が付着することによって発生するオフセット現象等の発生を抑制でき、画像表面の平滑性向上にも寄与しうる。
そこで、前記画像形成装置に用いられるトナーとしては、例えば、特許文献1や特許文献2に記載のトナー等が挙げられる。
特許文献1には、DSCにより測定される吸熱ピークの異なる、脂肪酸エステル類、低融点炭化水素系ワックス、及び高融点炭化水素系ワックスからなるワックス類を含有するトナーが記載されている。
また、特許文献2には、少なくともイエロートナー、マゼンタトナー、及びシアントナーからなる着色トナーと、離型性物質(ワックス)を10〜90質量%含有する無色トナーとからなる電子写真用フルカラートナーキットが記載されている。
また、前記画像形成装置を用いた画像形成方法としては、例えば、特許文献3に記載の方法等が挙げられる。
特許文献3には、複数の有色トナー層を画像として転写体(記録媒体)上に定着する過程を有する多色画像形成方法において、画像部及び非画像部に透明トナー層を定着する過程をさらに有し、定着された層における表面平均粗さRaや最大表面粗さRmax等が、所定の表面粗さとする多色画像形成方法が記載されている。
特開2001−249486号公報 特開平2−140757号公報 特開2001−305816号公報
特許文献1によれば、熱特性の異なる3種のワックスを含有することによって、低温定着や高温定着等の定着条件にかかわらず、オフセット現象を生じることなく、長期使用時であっても熱ローラ汚染の発生がなく、定着荷重が伝わりにくい厚紙においても定着性に優れていることが開示されている。
しかしながら、トナーを製造する際、トナーの原料の分散状態や含有比率等を変化させても、トナーの発色性、画像表面の平滑性、及び定着性のいずれをも優れたものにし、さらに、かぶりの発生を抑制することは、困難であった。
このことは、まず、顔料等の着色剤の分散性を高める微分散を行えば、トナーの発色性は向上するものの、着色剤の分散性が高まるだけではなく、ワックスの分散性も高まり、ワックスのドメイン径も小さくなる。このことから、ワックスの効果が低下し、定着性が低下する傾向があった。よって、上記オフセット現象の発生等を抑制できなくなったり、画像表面の平滑性が低下する傾向があった。そして、定着性が低下する問題は、高速印刷を実現可能な、高速の低温定着プロセスを用いた画像形成装置、例えば、タンデム方式のカラー画像形成装置に用いた場合において、特に顕著に発生する傾向があった。一方、トナーの原料の分散性を低めたり、ワックスの含有量を増やすと、定着性が高まり、例えば、上記のような、例えば、タンデム方式のカラー画像形成装置に用いた場合であっても、充分に高い定着性を発揮できるものの、トナーの発色性が低下し、充分な画像濃度を確保できなく、さらに、かぶりが発生しやすい傾向があった。
また、特許文献2には、4色の着色トナーで現像した後、無色トナーを全面に現像することによって、色再現性、混色性、及び透明性を有し、さらに、定着ローラに離型剤を塗布することなく、オフセットを防止することができるトナーキットを提供できることが開示されている。
しかしながら、このトナーキットを用いるためには、4色の着色トナーで現像する場合であっても、画像形成装置に備えられる現像装置が5つ必要になる。すなわち、画像形成に直接関与しない無色トナーを用いて現像するための現像装置が別途必要となる。このことから、画像形成装置が、必要以上に複雑な構成となる問題があった。
また、特許文献3には、画像部及び非画像部に透明トナー層を定着する過程を有し、定着された層における表面平均粗さRaや最大表面粗さRmax等が、所定の表面粗さとなるようにすることによって、画像表面で光拡散をなくすこと等が可能となり、適度な光沢を有し、粒状性が良く、色調の高い滑らかな高品質の多色画像を、画像の種類によらず転写体上に一様に形成することができることが開示されている。
しかしながら、特許文献2と同様、画像形成には直接関係しないトナー層を形成するための現像装置が別途必要となり、画像形成装置が、必要以上に複雑な構成となる問題があった。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、適用する画像形成装置の構成を複雑にすることなく、トナーの発色性、画像表面の平滑性、及び定着性のいずれをも優れたものにし、さらに、かぶりの発生を抑制することができる電子写真用トナーを提供することを目的とする。また、前記電子写真用トナーを含む現像剤を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る電子写真用トナーは、結着樹脂、着色剤及びワックスを含むトナー母粒子と、結着樹脂及びワックスを含み、着色剤を実質上含まない樹脂粒子と、前記トナー母粒子及び前記樹脂粒子に外添される外添剤とを含み、前記樹脂粒子における前記ワックスの平均ドメイン径が、前記トナー母粒子における前記ワックスの平均ドメイン径より大きいことを特徴とする。
上記構成によれば、適用する画像形成装置の構成を複雑にすることなく、トナーの発色性、画像表面の平滑性、及び定着性のいずれをも優れたものにし、さらに、かぶりの発生を抑制することができる。
このことは、以下のことによると考えられる。
まず、画像形成に直接関与しない樹脂粒子のワックスの平均ドメイン径が、画像形成に直接関与するトナー母粒子のワックスの平均ドメイン径より大きい。このことから、前記樹脂粒子は、ワックスの平均ドメイン径が大きいので、定着性を高めることができると考えられる。そして、前記樹脂粒子は、画像形成に直接関与しないので、トナーの発色性が低下し、充分な画像濃度を確保できなくなるという問題の発生が抑制されると考えられる。一方、前記トナー母粒子は、ワックスの平均ドメイン径が小さいので、トナーの発色性を充分に向上させることができると考えられる。この際、上述した、トナーの発色性を充分に向上させるために、ワックスの平均ドメイン径を小さくすることによる問題、すなわち、定着性が低下するという問題は、前記樹脂粒子により定着性が高まっているので、全体としての定着性は充分に確保でき、形成される画像表面の平滑性が充分に高まると考えられる。よって、定着性を高めることができる樹脂粒子と、画像形成に直接関与するトナー母粒子とを別の粒子として構成することによって、定着性を高め、同時に、トナーの発色性も高めることができると考えられる。そして、ワックスの平均ドメイン径が大きい樹脂粒子には、着色剤が含有されていないので、かぶりの発生も抑制されると考えられる。
さらに、前記樹脂粒子は、前記トナー母粒子を含有するトナーと別途使用するのではなく、すなわち、前記トナー母粒子とともに混合し、両者に外添剤を外添した状態で用いるので、前記樹脂粒子を用いるための現像装置を別途用意する必要がなく、このトナーを適用する画像形成装置の構成を複雑にする必要がない。
以上のことから、適用する画像形成装置の構成を複雑にすることなく、トナーの発色性、画像表面の平滑性、及び定着性のいずれをも優れたものにし、さらに、かぶりの発生を抑制することができると考えられる。
また、前記樹脂粒子における前記ワックスの含有比率が、前記トナー母粒子における前記ワックスの含有比率より高いことが好ましい。このような構成によれば、トナーの発色性、画像表面の平滑性、及び定着性のいずれをもより優れたものにし、さらに、かぶりの発生をより抑制することができる。
このことは、定着性を高めるためのワックスは、前記樹脂粒子においてその効果を特に発揮するので、前記樹脂粒子における前記ワックスの含有比率を高めることによって、定着性以外の性能の低下を抑制しつつ、より定着性を高めることができることによると考えられる。
また、前記外添剤が、シリカ粒子と酸化チタン粒子とを含むことが好ましい。このような構成によれば、トナーの発色性、画像表面の平滑性、及び定着性のいずれをもより優れたものにし、さらに、かぶりの発生をより抑制することができる。このことは、前記シリカ粒子が、トナーの流動性を高め、前記酸化チタン粒子が、トナーの研磨性を高めることによると考えられる。
本発明の他の一態様に係る現像剤は、前記電子写真用トナーとキャリアとを含むことを特徴とする。
上記構成によれば、適用する画像形成装置の構成を複雑にすることなく、トナーの発色性、画像表面の平滑性、及び定着性のいずれをも優れたものにし、さらに、かぶりの発生を抑制することができる。
本発明によれば、適用する画像形成装置の構成を複雑にすることなく、トナーの発色性、画像表面の平滑性、及び定着性のいずれをも優れたものにし、さらに、かぶりの発生を抑制することができる電子写真用トナーを提供することができる。また、前記電子写真用トナーを含む現像剤が提供される。
本発明の実施形態に係る電子写真用トナーを適用するカラープリンタ1の全体構成を示した概略断面図である。 カラープリンタ1に備えられる現像装置71の構成を示す概略断面図である。 現像装置71を用いた現像を説明するための概略図である。
以下、本発明に係る実施形態について説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
[電子写真用トナー]
本発明の一態様に係る電子写真用トナーは、結着樹脂、着色剤及びワックスを含むトナー母粒子と、結着樹脂及びワックスを含み、着色剤を実質上含まない樹脂粒子と、前記トナー母粒子及び前記樹脂粒子に外添される外添剤とを含み、前記樹脂粒子における前記ワックスの平均ドメイン径が、前記トナー母粒子における前記ワックスの平均ドメイン径より大きいことを特徴とする。そうすることによって、上述したように、画像形成に直接関与しない樹脂粒子が、定着性を高め、画像形成に直接関与するトナー母粒子が、トナーの発色性等を高めると考えられる。
また、ワックスの平均ドメイン径は、ワックスの含有量や、トナー母粒子や樹脂粒子の製造条件、例えば、混練条件等によって、調整することができる。なお、ワックスの平均ドメイン径とは、トナー母粒子や樹脂粒子中に微粒子等の状態で分散しているワックスの円相当径(直径)の数平均値を示す。その測定方法としては、例えば、トナー母粒子や樹脂粒子の断面を透過型電子顕微鏡で観察し、得られた画像を、画像解析装置を用いて解析することによって得られる。
前記樹脂粒子における前記ワックスの平均ドメイン径は、前記トナー母粒子における前記ワックスの平均ドメイン径より大きければ、特に限定されない。具体的には、例えば、前記樹脂粒子における前記ワックスの平均ドメイン径は、前記トナー母粒子における前記ワックスの平均ドメイン径の1倍を超えていればよいが、1.5〜3倍であることが好ましい。
そして、前記トナー母粒子における前記ワックスの平均ドメイン径は、上記の関係を満たしていればよいが、具体的には、0.1〜2μmであることが好ましい。また、前記樹脂粒子における前記ワックスの平均ドメイン径は、上記の関係を満たしていればよいが、具体的には、0.3〜5μmであることが好ましい。
前記トナー母粒子における前記ワックスの平均ドメイン径が小さすぎると、定着性が低下する傾向がある。このことは、上述したように、前記樹脂粒子が定着性を高めると言え、前記トナー母粒子自体の定着性が低くなりすぎ、また、定着時に、前記トナー母粒子と前記樹脂粒子との相溶しにくくなることによると考えられる。また、前記トナー母粒子における前記ワックスの平均ドメイン径が大きすぎると、着色剤の分散が悪いことを示しているので、形成画像の発色性が低下すると共に画像濃度が所望する値を下回る傾向がある。
また、前記樹脂粒子における前記ワックスの平均ドメイン径が小さすぎると、前記トナー母粒子における前記ワックスの平均ドメイン径との上記関係を満たすことが困難となる。また、満たす場合、前記トナー母粒子における前記ワックスの平均ドメイン径、及び前記樹脂粒子における前記ワックスの平均ドメイン径がともに小さくなりすぎ、定着性が低下する傾向がある。また、前記樹脂粒子における前記ワックスの平均ドメイン径が大きすぎると、トナーの発色性等が低下する傾向がある。このことは、前記樹脂粒子に含有されるワックス量が多すぎるため、ワックスの脱離量が多くなることによると考えられる。すなわち、上述したように、前記トナー母粒子がトナーの発色性等を高めるとは言え、前記樹脂粒子から離脱したワックスが前記トナー母粒子に移行することによると考えられる。さらに、耐ブロッキング性が低下し、また前記トナー母粒子及び前記樹脂粒子からのワックスの脱離が生じる傾向がある。
また、前記トナー母粒子の含有量が、前記トナー母粒子及び前記樹脂粒子の合計100質量部に対して、75〜95質量部であることが好ましい。前記トナー母粒子の含有量が少なすぎると、トナーの発色性が低下し、充分な画像濃度が確保できない傾向がある。また、前記トナー母粒子の含有量が多すぎると、前記樹脂粒子の含有量が少なくなり、トナーの発色性等を確保しつつ、定着性を高めるという効果を充分に発揮できなくなる傾向がある。
<トナー母粒子>
前記トナー母粒子は、結着樹脂、着色剤、及びワックスを含有し、前記ワックスの平均ドメイン径が上記の関係を満たすものであって、トナー母粒子として使用可能な形態のものであれば、特に限定されない。前記トナー母粒子としては、球形であることが好ましく、その粒子径としては、体積平均径で、3〜9μmであることが好ましい。なお、ここでの体積平均径は、例えば、レーザ回折散乱法等による測定や、一般的な粒度計等を用いた測定によって、計測することができる。
(結着樹脂)
前記結着樹脂としては、従来からトナー母粒子の結着樹脂として用いられるものであれば、特に制限なく用いることができる。具体的には、例えば、スチレン−アクリル系共重合体、スチレン−ブタジエン樹脂等のポリスチレン系樹脂;アクリル系樹脂;ポリエチレン系樹脂;ポリプロピレン系樹脂;塩化ビニル系樹脂;ポリエステル系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリウレタン系樹脂;ポリビニルアルコール系樹脂;ビニルエーテル系樹脂;N−ビニル系樹脂等が挙げられる。この中でも、ポリエステル系樹脂が、低温定着性に優れ、非オフセット温度範囲が広い点から好ましく用いられる。また、前記結着樹脂としては、上記各結着樹脂を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記ポリエステル系樹脂としては、例えば、アルコール成分とカルボン酸成分との縮重合又は共縮重合によって得られるもの等が挙げられる。また、ポリエステル系樹脂を合成する際に用いられる成分としては、以下のものが挙げられる。
前記アルコール成分としては、ポリエステル系樹脂を合成するためのアルコールとして使用可能なものであれば、特に限定されない。また、前記アルコール成分としては、分子内に水酸基が2個以上のアルコール(2価以上のアルコール)が含まれている必要がある。前記アルコール成分として用いられるもののうち、2価のアルコールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のジオール類;ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールA等のビスフェノール類等が挙げられる。また、前記アルコール成分として用いられるもののうち、3価以上のアルコールとしては、具体的には、例えば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、ジグリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が挙げられる。また、前記アルコール成分としては、上記各成分を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記カルボン酸成分としては、ポリエステル系樹脂を合成するためのカルボン酸として使用可能なものであれば、特に限定されない。また、前記カルボン酸成分としては、カルボン酸だけではなく、カルボン酸の、酸無水物や低級アルキルエステル等も含まれる。そして、前記カルボン酸成分としては、カルボン酸が分子内に水酸基が2個以上であるもの(2価以上のカルボン酸)が含まれている必要がある。前記カルボン酸として用いられるもののうち、2価のカルボン酸としては、具体的には、例えば、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン酸、マロン酸、アルキルコハク酸、及びアルケニルコハク酸等が挙げられる。アルキルコハク酸としては、例えば、n−ブチルコハク酸、n−オクチルコハク酸、n−ドデシルコハク酸、イソドデシルコハク酸等が挙げられ、アルケニルコハク酸としては、例えば、n−ブテニルコハク酸、イソブチルコハク酸、イソブテニルコハク酸、n−オクテニルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、イソドデセニルコハク酸等が挙げられる。また、前記カルボン酸として用いられるもののうち、3価以上のカルボン酸としては、具体的には、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸(トリメリット酸)、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、エンポール三量体酸等が挙げられる。また、前記カルボン酸成分としては、上記各成分を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記ポリスチレン系樹脂としては、スチレンの単独重合体でも、スチレンと共重合可能な他の共重合モノマーとの共重合体でもよい。前記共重合モノマーとしては、p−クロロスチレン;ビニルナフタレン;エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のオレフィン系炭化水素(アルケン);塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−クロロエチル、アクリル酸フェニル、α−クロロアクリル酸メチル等のアクリル酸エステル;メタアクリル酸メチル、メタアクリル酸エチル、メタアクリル酸ブチル等のメタクリル酸エステル;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸誘導体;ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリデン等のN−ビニル化合物等が挙げられる。この中でも、低温定着性、帯電安定性、及び環境安定性に優れている点から、アクリル酸エステルが好ましく、アクリル酸n−ブチルがより好ましい。また、前記共重合モノマーとしては、上記各モノマーを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、ポリスチレン系樹脂は、2つの重量平均分子量ピーク(低分子量ピークおよび高分子量ピーク)を有することが好ましい。具体的には、例えば、低分子量ピークが3000〜20000の範囲内であり、もう1つの高分子量ピークが300000〜1500000の範囲内であることが好ましい。さらに、重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)について、Mw/Mnが10以上であることが好ましい。重量平均分子量ピークがこのような範囲内にあれば、トナーを容易に定着させることができ、また、耐オフセット性を向上させることもできる。
前記結着樹脂としては、定着性の観点から、上記のような熱可塑性樹脂を用いることが好ましいが、熱可塑性樹脂のみである必要はなく、架橋剤や熱硬化性樹脂を熱可塑性樹脂に組み合わせて用いてもよい。このように結着樹脂内に一部架橋構造を導入することにより、定着性の低下を抑制しつつ、トナーの保存安定性、形態保持性及び耐久性等を向上させることができる。
(着色剤)
前記着色剤としては、トナーとして所望の色になるように、公知の顔料や染料を用いることができる。具体的には、例えば、色に応じて、以下のような着色剤が挙げられる。黒色顔料としては、例えば、アセチレンブラック、ランブラック、アニリンブラック等のカーボンブラック等が挙げられる。黄色顔料としては、例えば、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、C.I.ピグメントイエロー180等が挙げられる。橙色顔料としては、例えば、赤口黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGK等が挙げられる。赤色顔料として、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B、C.I.ピグメントレッド238等が挙げられる。紫色顔料としては、例えば、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等が挙げられる。青色顔料としては、例えば、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBC、C.I.ピグメントブルー15:3(銅フタロシアニンブルー顔料)等が挙げられる。緑色顔料としては、例えば、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファナルイエローグリーンG等が挙げられる。白色顔料としては、例えば、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等が挙げられる。例えば、シアントナーの着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15:3(銅フタロシアニンブルー顔料)が好ましい。
前記着色剤の添加量としては、好適な画像濃度を達成するためにも、結着樹脂100質量部に対して、1〜10質量部であることが一般的であり、3〜7質量部であることが好ましい。
(ワックス)
前記ワックスとしては、従来からトナー母粒子のワックスとして用いられているものであれば特に限定なく用いられる。その具体例としては、例えば、カルナバワックスやサトウキビワックス、木ワックス等の植物性ワックス;蜜ワックスや昆虫ワックス、鯨ワックス、羊毛ワックス等の動物性ワックス;フィッシャートロプシュ(以下、「FT」と記すことがある)ワックスやポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等の合成炭化水素系ワックス等が挙げられる。これらの中では、前記結着樹脂中での分散性に優れている点から、FTワックスやカルナバワックス等の合成炭化水素系ワックスが好ましく、カルナバワックスがより好ましい。
前記トナー母粒子における前記ワックスの含有量としては、ワックスの平均ドメイン径が上記の関係を満たすものであれば、特に限定されない。前記トナー母粒子における前記ワックスの含有量が、具体的には、例えば、前記結着樹脂100質量部に対して、1〜10質量部であることが好ましい。前記含有量が少なすぎる場合には、前記トナー母粒子における前記ワックスの平均ドメイン径が小さくなりすぎる傾向があり、上述した、前記トナー母粒子における前記ワックスの平均ドメイン径が小さすぎる際の不具合が発生する傾向がある。また、前記含有量が、多すぎる場合には、前記トナー母粒子における前記ワックスの平均ドメイン径が大きくなりすぎる傾向があり、上述した、前記トナー母粒子における前記ワックスの平均ドメイン径が大きすぎる際の不具合が発生する傾向がある。
(電荷制御剤)
前記トナー母粒子には、帯電性等を向上させるために、電荷制御剤を含有させることが一般的である。また、前記トナーは、前記正帯電2成分現像剤を構成するトナー、つまり正帯電性トナーであるので、前記電荷制御剤としては、従来からトナー母粒子の電荷制御剤のうち、正帯電性を示す電荷制御剤として用いられているものであれば、特に限定なく用いられる。その具体例としては、例えば、ニグロシン化合物、4級アンモニウム塩化合物、及び樹脂にアミン系化合物を結合させた樹脂タイプの電荷制御剤等の、正帯電性を示す電荷制御剤等が挙げられる。また、前記電荷制御剤の添加量としては、結着樹脂100質量部に対して、0.5〜10質量部添加することが好ましく、さらに1〜5質量部添加することがより好ましい。前記電荷制御剤の添加量が少なすぎる場合、所定極性にトナーを安定して帯電することが困難となり、かぶりが発生しやすくなる傾向がある。また、前記電荷制御剤の添加量が多すぎる場合、耐環境性、特に高温高湿下での帯電不良、画像不良となり、感光体汚染等の欠点が生じやすくなる傾向がある。
(製造方法)
また、前記トナー母粒子の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、以下のようにして製造することができる。
まず、上記の、結着樹脂及び着色剤等のトナー母粒子の各成分を混合機等で混合する。前記混合機としては、公知のものを使用でき、例えば、ヘンシェルミキサ、スーパーミキサ、メカノミル等のヘンシェルタイプの混合装置、オングミル、ハイブリダイゼーションシステム、コスモシステム等が挙げられる。
次に、得られた混合物を混練機等で溶融混練する。前記混練機としては、公知のものを使用でき、例えば、2軸押出機、三本ロールミル、ラボブラストミル等が挙げられ、2軸押出機が好適に用いられる。また、溶融混練時の温度としては、前記結着樹脂の軟化点以上であって、前記結着樹脂の熱分解温度未満の温度であることが好ましい。
次に、得られた溶融混練物を冷却して固形物とし、その固形物を粉砕機等で粉砕する。前記粉砕機としては、公知のものを使用でき、例えば、超音速ジェット気流を利用して粉砕するジェット式粉砕機(ジェットミル)等の気流式粉砕機、ターボミル等の機械式粉砕機や衝撃式粉砕機等が挙げられ、機械式粉砕機、特にターボミルが好適に用いられる。
最後に、得られた粉砕物を分級機等で分級する。分級することによって、過粉砕物や粗粉を除去することができ、所望のトナー母粒子を得ることができる。前記分級機としては、公知のものを使用でき、例えば、エルボージェット等の旋回式風力分級機(ロータリー式風力分級機)等の風力分級機や遠心力分級機等が挙げられ、風力分級機、特にエルボージェットが好適に用いられる。
<樹脂粒子>
前記樹脂粒子は、結着樹脂及びワックスを含有し、着色剤を実質上含まず、前記ワックスの平均ドメイン径が上記の関係を満たすものであれば、特に限定されない。そして、その形態としては、着色剤を実質上含まないこと以外、前記トナー母粒子と同様である。具体的には、例えば、前記樹脂粒子としては、球形であることが好ましく、その粒子径としては、前記トナー母粒子と同程度であることが好ましく、具体的には、体積平均径で、3〜9μmであることが好ましい。
(結着樹脂)
前記結着樹脂としては、従来からトナー母粒子の結着樹脂として用いられるものであれば、特に制限なく用いることができる。具体的には、例えば、前記トナー母粒子での結着樹脂と同様のもの等が挙げられる。そして、その含有量も前記トナー母粒子と同様である。
(ワックス)
前記ワックスとしては、従来からトナー母粒子のワックスとして用いられているものであれば特に限定なく用いられる。具体的には、例えば、前記トナー母粒子でのワックスと同様のもの等が挙げられる。
前記樹脂粒子における前記ワックスの含有量としては、ワックスの平均ドメイン径が上記の関係を満たすものであれば、特に限定されない。前記樹脂粒子における前記ワックスの含有量が、具体的には、例えば、前記結着樹脂100質量部に対して、5〜15質量部であることが好ましい。前記含有量が少なすぎる場合には、前記樹脂粒子における前記ワックスの平均ドメイン径が小さくなりすぎる傾向があり、上述した、前記樹脂粒子における前記ワックスの平均ドメイン径が小さすぎる際の不具合が発生する傾向がある。また、前記含有量が多すぎる場合には、前記樹脂粒子における前記ワックスの平均ドメイン径が大きくなりすぎる傾向があり、上述した、前記樹脂粒子における前記ワックスの平均ドメイン径が大きすぎる際の不具合が発生する傾向がある。
(電荷制御剤)
前記電荷制御剤としては、従来からトナー母粒子の電荷制御剤として用いられているものであれば、特に限定なく用いられる。具体的には、例えば、前記トナー母粒子での電荷制御剤と同様のもの等が挙げられる。そして、その含有量も前記トナー母粒子と同様である。
(製造方法)
また、前記樹脂粒子の製造方法としては、特に限定されない。具体的には、例えば、前記トナー母粒子と同様にして製造することができる。
<外添剤>
前記電子写真用トナーは、前記トナー母粒子及び前記樹脂粒子に対して、外添剤を外添して得られるものである。すなわち、前記トナー母粒子及び前記樹脂粒子に外添工程を施すことによって得られるものである。
前記外添工程としては、従来公知の外添工程であれば、限定なく用いることができる。具体的には、例えば、前記トナー母粒子及び前記樹脂粒子に外添剤を添加し、攪拌機等で攪拌させることによって、前記トナー母粒子及び前記樹脂粒子の表面に外添剤を付着又は固着させる工程である。
前記外添剤としては、トナーの外添剤として用いることができるものであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、シリカ粒子、酸化チタン粒子、アルミナ粒子、及びマグネタイト粒子等が挙げられる。この中でも、シリカ粒子及び酸化チタン粒子が、流動性、帯電性、及び研磨性に優れる点から好ましく、シリカ粒子と酸化チタン粒子との併用がより好ましい。また、前記外添剤としては、上記外添剤を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前記外添剤の含有量は、前記トナー母粒子100質量部に対して、0.2〜3質量部であることが好ましい。
前記攪拌機としては、従来公知の攪拌機を限定なく使用できる。具体的には、例えば、タービン型攪拌機、ヘンシェルミキサ、スーパーミキサ等の一般的な攪拌機等が挙げられる。
[現像剤]
前記電子写真用トナーを含有する現像剤としては、前記電子写真用トナーを含み、キャリアを含まない1成分現像剤であってもよいし、前記電子写真用トナーとキャリアとを含む2成分現像剤であってもよいが、2成分現像剤が好適に用いられる。ここでは、2成分現像剤について説明する。なお、本発明の他の一態様に係る現像剤は、前記電子写真用トナーとキャリアとを含むことを特徴とする。
(キャリア)
前記キャリアとしては、現像剤のキャリアとして用いられるものであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、フェライトキャリアや、キャリアコア材である磁性体粒子の表面を樹脂で被覆したもの等が挙げられる。キャリアコア材として、具体的には、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性体金属、これらの合金、希土類を含有する合金類、ヘマタイト、マグネタイト、マンガン−亜鉛系フェライト、ニッケル−亜鉛系フェライト、マンガン−マグネシウム系フェライト、リチウム系フェライト等のソフトフェライト、銅−亜鉛系フェライト等の鉄系酸化物、これらの混合物等の磁性体材料を、焼結及びアトマイズ等を行うことによって製造した磁性体粒子が挙げられる。
上述のようにして得られたキャリアコア材の表面を被覆する表面コート剤として、例えば、シリコーン樹脂、アクリル樹脂等の結着樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素系樹脂等が挙げられる。この中でも、帯電安定性及び耐久性に優れている点から、シリコーン樹脂が好ましい。また、表面コート剤は、上記各表面コート剤を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。具体的には、例えば、シリコーン樹脂、アクリル樹脂等の結着樹脂と、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素系樹脂との混合物等が挙げられる。
前記キャリアの粒子径は、体積中心径で、20〜200μmの範囲内であることが好ましく、30〜150μmの範囲内であることがより好ましい。なお、ここでの体積中心径は、例えば、電子顕微鏡による測定、レーザ回折散乱法等による測定、及び一般的な粒度計等を用いた測定によって、計測することができる。キャリアの見掛け密度は、磁性材料を主体とする場合は磁性体の組成や表面構造等によっても相違するが、一般に3〜8g/cmの範囲内であることが好ましい。
前記電子写真用トナーとキャリアとを含む2成分現像剤中のトナー濃度は、1〜20質量%であることが好ましく、3〜15質量%であることがより好ましい。トナー濃度が低すぎると、画像濃度が薄くなりすぎる傾向がある。また、トナー濃度が高すぎると、現像装置内でトナー飛散が発生し、機内汚れや転写紙等の背景部分にトナーが付着する不具合等が発生する傾向がある。よって、トナー濃度を上記範囲内にすることによって、高い画像濃度を得、さらに、現像装置内でトナー飛散が発生し、機内汚れや転写紙等の背景部分にトナーが付着する不具合を抑制することができる。
本実施形態の現像剤は、前記電子写真用トナーを前記キャリアと適切な割合で混合した2成分現像剤であり、例えば、後述の画像形成装置で使用することができる。
[画像形成装置]
前記電子写真用トナーや前記現像剤を用いる画像形成装置としては、電子写真方式の画像形成装置であれば、特に限定されない。また、後述するような、複数色のトナーを用いるタンデム方式のカラー画像形成装置が好ましい。具体的には、例えば、後述するような、複数色のトナーを用いるタンデム方式のカラー画像形成装置が挙げられる。ここでは、タンデム方式のカラー画像形成装置について説明する。なお、本実施形態に係る現像剤を用いる画像形成装置は、各表面上にそれぞれ異なった各色のトナーによるトナー像を形成させるために、所定方向に並設された、複数の像担持体と、各像担持体に対向して配置され、表面にトナーを担持して搬送し、搬送されたトナーを、前記各像担持体の表面にそれぞれ供給する、現像ローラを備えた複数の現像装置とを備え、前記現像剤として、前記現像剤を用いることを特徴とする。
図1は、発明の実施形態に係る電子写真用トナーを適用する画像形成装置1の全体構成を示した概略断面図である。ここでは、画像形成装置1としては、カラープリンタ1を例に挙げて説明する。
このカラープリンタ1は、図1に示すように、箱型の機器本体1aを有している。この機器本体1a内には、用紙Pを給紙する給紙部2と、この給紙部2から給紙された用紙Pを搬送しながら当該用紙Pに画像データ等に基づくトナー像を転写する画像形成部3と、この画像形成部3で用紙P上に転写された未定着トナー像を用紙Pに定着する定着処理を施す定着部4とが設けられている。さらに、前記機器本体1aの上面には、前記定着部4で定着処理の施された用紙Pが排紙される排紙部5が設けられている。
前記給紙部2は、給紙カセット21、ピックアップローラ22、給紙ローラ23,24,25、及びレジストローラ26を備えている。給紙カセット21は、機器本体1aから挿脱可能に設けられ、各サイズの用紙Pを貯留する。ピックアップローラ22は、給紙カセット21の図1に示す左上方位置に設けられ、給紙カセット21に貯留されている用紙Pを1枚ずつ取り出す。給紙ローラ23,24,25は、ピックアップローラ22によって取り出された用紙Pを用紙搬送路に送り出す。レジストローラ26は、給紙ローラ23,24,25によって用紙搬送路に送り出された用紙Pを一時待機させた後、所定のタイミングで画像形成部3に供給する。
また、給紙部2は、機器本体1aの図1に示す左側面に取り付けられる不図示の手差しトレイとピックアップローラ27とをさらに備えている。このピックアップローラ27は、手差しトレイに載置された用紙Pを取り出す。ピックアップローラ27によって取り出された用紙Pは、給紙ローラ23,25によって用紙搬送路に送り出され、レジストローラ26によって、所定のタイミングで画像形成部3に供給される。
前記画像形成部3は、画像形成ユニット7と、この画像形成ユニット7によってその表面(接触面)にコンピュータ等から電送された画像データに基づくトナー像が1次転写される中間転写ベルト31と、この中間転写ベルト31上のトナー像を給紙カセット21から送り込まれた用紙Pに2次転写させるための2次転写ローラ32とを備えている。
前記画像形成ユニット7は、上流側(図1では右側)から下流側に向けて順次配設されたブラック用ユニット7Kと、イエロー用ユニット7Yと、シアン用ユニット7Cと、マゼンタ用ユニット7Mとを備えている。各ユニット7K,7Y,7C及び7Mは、それぞれの中央位置に像担持体としての感光体ドラム37が矢符(時計回り)方向に回転可能に配置されている。そして、各感光体ドラム37の周囲には、帯電器39、露光装置38、現像装置71、不図示のクリーニング装置及び除電器等が、回転方向上流側から順に各々配置されている。
帯電器39は、矢符方向に回転されている感光体ドラム37の周面を均一に帯電させる。帯電器39としては、例えば、非接触型放電方式のコロトロン型およびスコロトロン型の帯電器、接触方式の帯電ローラおよび帯電ブラシ等が挙げられる。露光装置38は、いわゆるレーザ走査ユニットであり、帯電器39によって均一に帯電された感光体ドラム37の周面に、上位装置であるパーソナルコンピュータ(PC)から入力された画像データに基づくレーザ光を照射し、感光体ドラム37上に画像データに基づく静電潜像を形成する。現像装置71は、静電潜像が形成された感光体ドラム37の周面にトナーを供給することで、画像データに基づくトナー像を形成させる。そして、このトナー像が中間転写ベルト31に1次転写される。クリーニング装置は、中間転写ベルト31へのトナー像の1次転写が終了した後、感光体ドラム37の周面に残留しているトナーを清掃する。除電器は、1次転写が終了した後、感光体ドラム37の周面を除電する。クリーニング装置及び除電器によって清浄化処理された感光体ドラム37の周面は、新たな帯電処理のために帯電器へ向かい、新たな帯電処理が行われる。
中間転写ベルト31は、無端状のベルト状回転体であって、表面(接触面)側が各感光体ドラム37の周面にそれぞれ当接するように駆動ローラ33、従動ローラ34、バックアップローラ35、及び1次転写ローラ36等の複数のローラに架け渡されている。また、中間転写ベルト31は、各感光体ドラム37と対向配置された1次転写ローラ36によって感光体ドラム37に押圧された状態で、前記複数のローラによって無端回転するように構成されている。駆動ローラ33は、ステッピングモータ等の駆動源によって回転駆動し、中間転写ベルト31を無端回転させるための駆動力を与える。従動ローラ34、バックアップローラ35、及び1次転写ローラ36は、回転自在に設けられ、駆動ローラ33による中間転写ベルト31の無端回転に伴って従動回転する。これらのローラ34,35,36は、駆動ローラ33の主動回転に応じて中間転写ベルト31を介して従動回転するとともに、中間転写ベルト31を支持する。
1次転写ローラ36は、1次転写バイアス(トナーの帯電極性とは逆極性)を中間転写ベルト31に印加する。そうすることによって、各感光体ドラム37上に形成されたトナー像は、各感光体ドラム37と1次転写ローラ36との間で、駆動ローラ33の駆動により矢符(反時計回り)方向に周回する中間転写ベルト31に重ね塗り状態で順次転写(1次転写)される。
2次転写ローラ32は、トナー像と逆極性の2次転写バイアスを用紙Pに印加する。そうすることによって、中間転写ベルト31上に1次転写されたトナー像は、2次転写ローラ32とバックアップローラ35との間で用紙Pに転写され、これによって、用紙Pにカラーの転写画像(未定着トナー像)が転写される。
前記定着部4は、画像形成部3で用紙Pに転写された転写画像に定着処理を施すものであり、通電発熱体により加熱される加熱ローラ41と、この加熱ローラ41に対向配置され、周面が加熱ローラ41の周面に押圧当接される加圧ローラ42とを備えている。
そして、前記画像形成部3で2次転写ローラ32により用紙Pに転写された転写画像は、当該用紙Pが加熱ローラ41と加圧ローラ42との間を通過する際の加熱による定着処理で用紙Pに定着される。そして、定着処理の施された用紙Pは、排紙部5へ排紙されるようになっている。また、本実施形態のカラープリンタ1では、定着部4と排紙部5との間の適所に搬送ローラ6が配設されている。
排紙部5は、カラープリンタ1の機器本体1aの頂部が凹没されることによって形成され、この凹没した凹部の底部に排紙された用紙Pを受ける排紙トレイ51が形成されている。
次に、カラープリンタ1に備えられる現像装置71の構成について説明する。図2は、前記カラープリンタ1に備えられる現像装置71の構成を示す概略断面図であり、図1に示したカラープリンタ1に備えた現像装置71の周辺部を拡大して示したものである。
現像装置71は、現像ローラ72、磁気ローラ73、パドルミキサ74、攪拌ミキサ75、穂切りブレード76、及び仕切板77を備える。
現像ローラ72は、表面にトナーを担持して搬送することにより、感光体ドラム37の表面に予め形成された静電潜像をトナー像として顕像化(現像)する。また、現像ローラ72は、磁気ローラ73と対向する位置に磁極が形成されているように磁石が内蔵されている。磁気ローラ73は、内部に配置された磁石によって2成分現像剤を吸着して磁気ブラシを発生させ、現像ローラ72にトナーを供給する。現像ローラ72に磁石が内蔵されているので、現像ローラ72と磁気ローラ73との間に形成される、2成分現像剤からなる磁気ブラシをより丈夫に形成でき、現像ローラ72上の現像に使用されなかったトナーをより引き剥がすことができるので、履歴現象やかぶりを抑制でき、高い現像性能を発揮できる。
パドルミキサ74及び攪拌ミキサ75は、らせん状羽根を有して互いに逆方向に2成分現像剤を搬送しながら攪拌して、トナーを帯電させる。さらに、パドルミキサ74は、帯電させたトナーとキャリアとを含む2成分現像剤を磁気ローラ73に供給する。穂切りブレード76は、磁気ローラ73上に形成された磁気ブラシの厚さを規制する。仕切板77は、パドルミキサ74と攪拌ミキサ75との間に設けられ、仕切板77の両端側より外側で、2成分現像剤が自由に通過できるようになっている。
図3は、現像装置71の現像を説明するための概略図である。図3は、現像装置71の現像を説明するための概略図であって、感光体ドラム37、現像ローラ72、磁気ローラ73及び穂切りブレード76の位置関係は、図2とは異なる。
パドルミキサ74及び攪拌ミキサ75による攪拌によって帯電されたトナー81とキャリア82とを含む2成分現像剤83は、磁気ローラ73に供給される。磁気ローラ73に供給された2成分現像剤83は、磁気ローラ73の内部の磁石によって磁気ブラシとなって搬送される。その後、磁気ブラシは、磁気ローラ73の表面のスリーブの回転によって、移動し、穂切りブレード76と磁気ローラ73との間を通過する際に、厚さが規制される。そして、厚さが規制された磁気ブラシは、現像ローラ72の近傍まで移動すると、現像ローラ72と磁気ローラ73との間に発生している電位差によって、帯電されたトナー81のみが現像ローラ72に移動する。現像ローラ72に移動したトナー81は、均一なトナー層となる。そして、感光体ドラム37と現像ローラ72との間に発生している電位差によって、感光体ドラム37上に形成されている静電潜像に基づく現像が行われる。
以上より、現像装置71は、上記のような動作によって、感光体ドラム37上に形成されている静電潜像を現像することができる。
前記画像形成装置1は、以上のような現像動作及び画像形成動作によって、用紙P上に画像形成を行う。そして、上記のようなタンデム方式の画像形成装置では、前記電子写真用トナーを用いるので、トナーの発色性、画像表面の平滑性、及び定着性のいずれをもより優れたものにし、さらに、かぶりの発生をより抑制することができる。よって、長期間にわたって高画質な画像を形成することができる。
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は実施例により何ら限定されるものではない。
まず、トナー母粒子の製造方法について説明する。
(トナー母粒子A−1)
まず、結着樹脂として、ポリエステル樹脂(数平均分子量Mn:6000、ガラス転移温度Tg:60.5℃、軟化点:79.2℃)100質量部、着色剤として、フタロシアニン顔料(BASF社製のHeliogen Blue D 7079)3質量部、ワックスとして、カルナバワックス(東亜化学工業株式会社製)3質量部、電荷制御剤として、電荷制御樹脂(藤倉化成株式会社製のFCA−1001−NG)5質量部を、ヘンシェルミキサ(日本コークス工業株式会社製)で混合した。その後、得られた混合物を2軸押出機(株式会社池貝製のPCM−30型)で、バレル温度100℃、軸回転数250rpmの条件下で溶融混練し、得られた混練物を、ドラムフレーカ(日本コークス工業株式会社製のベルトドラムフレーカ)を用いて、チップ状になるように冷却した。そして、チップ状に冷却された混練物を、フェザーミル(ホソカワミクロン株式会社製の350×600型)で粗粉砕し、さらに、気流式粉砕機(日本ニューマチック工業株式会社製のジェットミルIDS−2型)で微粉砕し、エルボージェット分級機(日鉄鉱業株式会社製のEJ−LABO)で分級処理した。そうすることによって、体積平均粒子径8μmのトナー母粒子が得られた。なお、トナー母粒子の体積平均粒子径は、粒度計(ベックマンコールター株式会社製のマルチサイザー3)によって、測定した。
そして、得られたトナー母粒子(トナー母粒子A−1)におけるワックスの平均ドメイン径を、以下の方法により測定した。具体的には、得られたトナー母粒子をエポキシ樹脂で包埋後、ウルトラミクロトーム(ライカ株式会社製のEM UC6)により約1000nm厚の超薄切片を作製し、透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子株式会社製のJEM−1011)で加速電圧75kVにて30000倍の条件で、少なくとも100個分のトナー母粒子の断面を観察した。そして得られたTEM画像を、画像解析ソフト(三谷商事株式会社製のWIN ROOF)を用いて解析することによって、ワックスのドメインのフィレ方向径(外接矩形の長さ)を測定した。測定されたフィレ方向径の算術平均径をワックスのドメイン径とした。
上記のように測定した、得られたトナー母粒子(トナー母粒子A−1)におけるワックスの平均ドメイン径は、0.63μmであった。
(トナー母粒子A−2)
2軸押出機の軸回転数を250rpmから150rpmに変更したこと以外、前記トナー母粒子A−1と同様に、トナー母粒子A−2を製造した。
また、得られたトナー母粒子(トナー母粒子A−2)におけるワックスの平均ドメイン径は、1.58μmであった。
(トナー母粒子A−3)
カルナバワックスを3質量部含有する代わりに、6質量部含有させたこと以外、前記トナー母粒子A−1と同様に、トナー母粒子A−3を製造した。
また、得られたトナー母粒子(トナー母粒子A−3)におけるワックスの平均ドメイン径は、1.71μmであった。
(トナー母粒子A−4)
2軸押出機の軸回転数を250rpmから150rpmに変更したこと以外、前記トナー母粒子A−3と同様に、トナー母粒子A−4を製造した。
また、得られたトナー母粒子(トナー母粒子A−4)におけるワックスの平均ドメイン径は、3.42μmであった。
(トナー母粒子A−5)
カルナバワックスを3質量部含有する代わりに、10質量部含有させたこと以外、前記トナー母粒子A−1と同様に、トナー母粒子A−5を製造した。
また、得られたトナー母粒子(トナー母粒子A−5)におけるワックスの平均ドメイン径は、2.61μmであった。
(トナー母粒子A−6)
2軸押出機の軸回転数を250rpmから150rpmに変更したこと以外、前記トナー母粒子A−5と同様に、トナー母粒子A−6を製造した。
また、得られたトナー母粒子(トナー母粒子A−6)におけるワックスの平均ドメイン径は、3.63μmであった。
前記トナー母粒子A−1〜A−6についての、上記各事項を、表1にまとめて示す。
Figure 0005211011
次に、樹脂粒子の製造方法について説明する。
(樹脂粒子B−1)
まず、結着樹脂として、ポリエステル樹脂(三井化学株式会社製のアルマテックスP645)100質量部、ワックスとして、カルナバワックス(東亜化学工業株式会社製)10質量部、電荷制御剤として、電荷制御樹脂(藤倉化成株式会社製のFCA−1001−NG)5質量部を、ヘンシェルミキサ(日本コークス工業株式会社製)で混合した。その後、得られた混合物を2軸押出機(株式会社池貝製のPCM−30型)で、バレル温度100℃、軸回転数150rpmの条件下で溶融混練し、得られた混練物を、ドラムフレーカ(日本コークス工業株式会社製のベルトドラムフレーカ)を用いて、チップ状になるように冷却した。そして、チップ状に冷却された混練物を、フェザーミル(ホソカワミクロン株式会社製の350×600型)で粗粉砕し、さらに、気流式粉砕機(日本ニューマチック工業株式会社製のジェットミルIDS−2型)で微粉砕し、エルボージェット分級機(日鉄鉱業株式会社製のEJ−LABO)で分級処理した。そうすることによって、体積平均粒子径8μmの樹脂粒子が得られた。なお、樹脂粒子の体積平均粒子径は、粒度計(ベックマンコールター株式会社製のマルチサイザー3)によって、測定した。
そして、得られた樹脂粒子(樹脂粒子B−1)におけるワックスの平均ドメイン径を、トナー母粒子におけるワックスの平均ドメイン径の測定方法と同様の方法により測定した。具体的には、得られた樹脂粒子をエポキシ樹脂で包埋後、ウルトラミクロトーム(ライカ株式会社製のEM UC6)により約1000nm厚の超薄切片を作製し、透過型電子顕微鏡(TEM)(日本電子株式会社製のJEM−1011)で加速電圧75kVにて30000倍の条件で、少なくとも100個分の樹脂粒子の断面を観察した。そして得られたTEM画像を、画像解析ソフト(三谷商事株式会社製のWIN ROOF)を用いて解析することによって、ワックスのドメインのフィレ方向径(外接矩形の長さ)を測定した。測定されたフィレ方向径の算術平均径をワックスのドメイン径とした。
上記のように測定した、得られた樹脂粒子(樹脂粒子B−1)におけるワックスの平均ドメイン径は、3.40μmであった。
(樹脂粒子B−2)
カルナバワックスを10質量部含有する代わりに、6質量部含有させたこと以外、前記樹脂粒子B−1と同様に、樹脂粒子B−2を製造した。
また、得られた樹脂粒子(樹脂B−2)におけるワックスの平均ドメイン径は、3.34μmであった。
(樹脂粒子B−3)
軸回転数を150rpmから250rpmに変更したこと以外、前記樹脂粒子B−2と同様に、樹脂粒子B−3を製造した。
また、得られた樹脂粒子(樹脂粒子B−3)におけるワックスの平均ドメイン径は、2.05μmであった。
前記樹脂粒子B−1〜B−3についての、上記各事項を、表2にまとめて示す。
Figure 0005211011
最後に、電子写真用トナー及び現像剤の製造方法について説明する。
(実施例1)
得られたトナー母粒子A−1 90質量部に対して、得られた樹脂粒子B−1 10質量部、外添剤として、シリカ粒子(ワッカーケミー社製のHVK−2150)1質量部、酸化チタン粒子(チタン工業株式会社製のSTT−65C)1質量部を添加し、10Lのヘンシェルミキサ(日本コークス工業株式会社製)で混合した。そうすることによって、電子写真用トナー(静電荷トナー)C−1が得られた。得られたトナーC−1を、体積平均粒子径60μmのフェライトキャリア(パウダーテック株式会社製のサンプル品)に、トナー濃度が8質量%となるように配合した。そして、ヤマト科学株式会社製のユニバーサルボールミルで均一になるまで攪拌した。そうすることによって、トナーC−1を含有する2成分現像剤(実施例1に係る現像剤)が得られた。
(実施例2〜9、比較例1〜7)
実施例2〜9、比較例1〜7は、使用するトナー母粒子及び樹脂粒子を、表3に示すものに代えたこと以外、実施例1と同様である。
(比較例8〜13)
比較例8〜13は、トナー母粒子90質量部及び樹脂粒子10質量部の代わりに、樹脂粒子を用いず、表3に示すトナー母粒子100質量部を用いること以外、実施例1と同様である。
[評価]
得られたトナー及び現像剤については、以下のような方法で評価した。
(画像濃度)
まず、京セラミタ株式会社製のカラーMFP(KM−3232)の、プロセススピードを線速で250mm/秒、定着温度を130℃になるように改造した改造機を評価機として用い、得られた各現像剤をスタート現像剤として用い、さらに、得られた各トナーを補給用トナーとして用いて、温度20〜23℃、相対湿度50〜65%RHの、常温常湿環境下で画像形成して、下記の評価を行った。
具体的には、まず、前記スタート現像剤を前記評価機にセットし、前記評価機の電源を入れて安定させた。その後、2×2cmのソリッド部が、用紙の搬送方向左側端部近傍の位置、中央部、及び右側端部近傍の位置の3箇所に形成される画像を出力した。なお、この画像を初期画像とした。また、前記ソリッド部以外は、白紙のままである。その後、同様の画像を1000枚出力した。この初期画像から1000枚目に出力した画像(評価画像)のソリッド部について、反射濃度計(Gretag Macbeth社製のRD−19A:SpectroEyeLT)を用いて反射濃度を測定した。そして、その平均値を、得られた画像の画像濃度IDとした。
測定した画像濃度IDが1.2以上であれば、「○」と評価し、1.2未満であれば、「×」と評価した。
(グロス)
前記評価画像のソリッド部を、光沢度計(日本電色工業株式会社製のPG−1M)を用いてグロス(光沢度)を測定した。
測定したグロスが8以上であれば、「○」と評価し、8未満であれば、「×」と評価した。
(かぶり)
得られた評価画像において、前記反射濃度計で測定した白紙相当部の画像濃度の値から、ベースペーパー(すなわち、画像出力前の白紙)の画像濃度の値を引いた値をかぶり濃度FDとした。
測定したかぶり濃度FDが0.010以下であれば、「○」と評価し、0.010を超えるのであれば、「×」と評価した。
(定着率)
まず、得られた評価画像に、布で包んだ黄銅製分銅(1kg)を載置した。その後、前記分銅の自重を前記評価画像にかけたまま、前記分銅で前記評価画像を10往復擦った。この操作の前後のソリッド部の画像濃度を、前記反射濃度計で測定した。そして、下記式から定着率を算出した。
定着率(%)= 前記操作後の画像濃度 / 前記操作前の画像濃度 × 100
そして、その定着率が95%以上であれば、「○」と評価し、95%未満であれば、「×」と評価した。
(総合評価)
上記各評価結果のいずれにも、「×」と評価されるものがなければ、「○」と評価し、「×」と評価されるものがあれば、「×」と評価した。
各評価結果は、表3に示す。
Figure 0005211011
表3からわかるように、結着樹脂、着色剤及びワックスを含むトナー母粒子と、結着樹脂及びワックスを含み、着色剤を実質上含まない樹脂粒子と、前記トナー母粒子及び前記樹脂粒子に外添される外添剤とを含み、前記樹脂粒子における前記ワックスの平均ドメイン径が、前記トナー母粒子における前記ワックスの平均ドメイン径より大きい電子写真用トナーを用いる場合(実施例1〜9)は、いずれかの条件を満たさない電子写真用トナーを用いる場合(比較例1〜13)と比較して、形成された画像の画像濃度、グロス、及び定着率が高く、かぶり濃度が低かった。このことから、実施例1〜9は、トナーの発色性、画像表面の平滑性、及び定着性のいずれをも優れたものにし、さらに、かぶりの発生を抑制することができる電子写真用トナーであることがわかる。さらに、従来の画像形成装置をそのまま用いることができるので、適用する画像形成装置の構成を複雑にすることない。
1 画像形成装置(カラープリンタ)
1a 機器本体
2 給紙部
3 画像形成部
4 定着部
5 排紙部
6 搬送ローラ
7 画像形成ユニット
7C シアン用ユニット
7K ブラック用ユニット
7M マゼンタ用ユニット
7Y イエロー用ユニット
21 給紙カセット
22 ピックアップローラ
23 給紙ローラ
26 レジストローラ
27 ピックアップローラ
31 中間転写ベルト
32 2次転写ローラ
33 駆動ローラ
34 従動ローラ
35 バックアップローラ
36 1次転写ローラ
37 感光体ドラム
38 露光装置
39 帯電器
41 加熱ローラ
42 加圧ローラ
51 排紙トレイ
71 現像装置
72 現像ローラ
73 磁気ローラ
74 パドルミキサ
75 攪拌ミキサ
76 ブレード
77 仕切板
81 トナー
82 キャリア
83 2成分現像剤

Claims (5)

  1. 結着樹脂、着色剤及びワックスを含むトナー母粒子と、
    結着樹脂及びワックスを含み、着色剤を実質上含まない樹脂粒子と、
    前記トナー母粒子及び前記樹脂粒子に外添される外添剤とを含み、
    前記樹脂粒子における前記ワックスの平均ドメイン径が、前記トナー母粒子における前記ワックスの平均ドメイン径より大きく、
    前記トナー母粒子における前記ワックスの平均ドメイン径が、0.63〜1.71μmであり、
    前記樹脂粒子における前記ワックスの平均ドメイン径が、2.05〜3.40μmであることを特徴とする電子写真用トナー。
  2. 結着樹脂、着色剤及びワックスを含むトナー母粒子と、
    結着樹脂及びワックスを含み、着色剤を実質上含まない樹脂粒子と
    前記トナー母粒子及び前記樹脂粒子に外添される外添剤とを含み、
    前記樹脂粒子における前記ワックスの平均ドメイン径が、前記トナー母粒子における前記ワックスの平均ドメイン径より大きく、
    前記結着樹脂が、ポリエステル樹脂であり、
    前記ワックスが、カルナバワックスであることを特徴とする電子写真用トナー。
  3. 前記樹脂粒子における前記ワックスの含有比率が、前記トナー母粒子における前記ワックスの含有比率より高い請求項1又は請求項2に記載の電子写真用トナー。
  4. 前記外添剤が、シリカ粒子と酸化チタン粒子とを含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真用トナー。
  5. 請求項1〜のいずれか1項に記載の電子写真用トナーとキャリアとを含むことを特徴とする現像剤。
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