JP5207386B2 - ピリミジン−2,4−ジアミンおよびその使用 - Google Patents

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Description

関連出願の相互参照
本出願は2005年12月6日付で出願された米国特許出願第11/295,752号の恩典を主張するものであり、この出願はその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
発明の分野
本発明はピリミジン-2,4-ジアミン部分、特にジアリールピリミジン-2,4-ジアミンを含有する化合物、該化合物を含む組成物、ならびにキナーゼの阻害のために該化合物および組成物を使用する方法に関する。前記の化合物および組成物は、キナーゼが関与しうる疾患、このような疾患の症状、またはキナーゼによって媒介される他の生理学的事象の影響を処置または調節するのに有用である。
発明の背景
タンパク質キナーゼは、細胞内の多種多様なシグナル伝達過程の制御に関与する構造的に関連した酵素の大きなファミリーを構成する(Hardie and Hanks (1995) The Protein Kinase Facts Book, I and II, Academic Press, San Diego, Calif.)。タンパク質キナーゼは、その構造および触媒機能の保存から、共通の先祖遺伝子より進化したものと考えられる。ほぼ全てのキナーゼが類似の250〜300アミノ酸の触媒ドメインを含有する。タンパク質キナーゼはセリン、トレオニンまたはチロシンのヒドロキシル部分のリン酸化を触媒する。したがって、キナーゼは、それらがリン酸化する基質(例えば、タンパク質-チロシン、タンパク質-セリン/トレオニン、脂質など)によってファミリーに分類することができ、各キナーゼファミリーに概ね対応する配列モチーフが同定されている。
リン酸化および脱リン酸化は真核生物のシグナル伝達における重要な翻訳後制御要素である。所与のタンパク質のリン酸化状態は、その酵素活性、タンパク質間の結合相互作用、および細胞分布を左右することができる。このように、タンパク質キナーゼは、多種多様な細胞過程の調節において中心的な役割を果し、細胞機能の制御を維持している大きなファミリーのタンパク質に相当する。このようなキナーゼの部分的なリストとしては、abl、AKT、bcr-abl、Blk、Brk、Btk、c-kit、c-met、c-src、CDK1、CDK2、CDK3、CDK4、CDK5、CDK6、CDK7、CDK8、CDK9、CDK10、cRaf1、CSFir、CSK、EGFR、ErbB2、ErbB3、ErbB4、Erk、Fak、fes、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、FGFR5、Fgr、flt-1、Fps、Frk、Fyn、Hck、IGF-1R、INS-R、Jak、KDR、Lck、Lyn、MEK、p38、PDGFR、PIK、PKC、PYK2、ron、Syk、Src、tie、tie2、TRK、Yes、およびZap70が挙げられる。キナーゼの阻害は重要な治療標的になっている。
キナーゼはリン酸基を標的タンパク質に付加することで、増殖、分化、アポトーシス、運動性、転写、翻訳および他のシグナル伝達過程を含むが、これらに限定されない多くの異なる細胞過程を調節する。標的タンパク質のリン酸化は、さまざまな細胞外シグナル(ホルモン、神経伝達物質、成長および分化因子など)、細胞周期事象、環境的または栄養的ストレスなどに応じて起こる。適切なタンパク質キナーゼは、例えば代謝酵素、調節タンパク質、受容体、細胞骨格タンパク質、イオンチャネルもしくはポンプ、または転写因子を活性化または不活性化するようシグナル伝達経路において機能する。タンパク質リン酸化の制御不全による無制御なシグナル伝達は、例えば、炎症、癌、アレルギー/喘息、免疫系の疾患および状態、中枢神経系の疾患および状態、ならびに血管形成を含めて、いくつかの疾患に関与している。
例えば、Srcファミリーは、リンパ球活性化から細胞成長および増殖に及ぶ一連の細胞シグナル伝達経路における重要な要素である10種の高度に相同性の細胞質内キナーゼによって構成されている。これらの酵素の構成的活性化は発癌性細胞形質転換を引き起こすことがあるので、これらの酵素は癌療法に対して想定される薬物標的となっている。これらの基本的な細胞過程の調節でのその重要性のため、多くの研究がSrcファミリーキナーゼの阻害剤の開発に焦点を当てている。しかしながら、発見された強力な阻害剤には、個々の標的キナーゼの細胞阻害の厳密な調査に必要とされるような高い選択性がない。従来の阻害剤スクリーニングでは、さまざまなSrcファミリーキナーゼの活性部位を識別できる分子があったとしてもごくわずかしか得られていない。
国際公開公報第01/00213号(WO01/00213)では、Srcキナーゼ阻害剤としての置換ピリミジンについて記述している。国際公開公報第01/40218号では、抗テロメラーゼ剤として用いるアリールアミン誘導体について記述している。国際公開公報第00/39101号では、抗癌剤としての置換ピリミジンについて記述している。国際公開公報第01/29009号では、キナーゼ阻害剤としての置換ピリミジンについて記述しており、その一方で国際公開公報第00/39101号、国際公開公報第00/59892号および国際公開公報第01/47921号では、キナーゼ阻害剤としてのアミノ置換ピリミジンについて記述している。米国特許第6,080,858号では、置換ピリミジンを調製する工程について記述している。国際公開公報第01/19825号では、合成中間体としてのアミノ置換ピリミジンについて記述している。国際公開公報第01/72745号では、CDKの阻害剤としての4-ヘテロアリール-置換ピリミジンについて記述している。国際公開公報第01/72717号では、CDKの阻害剤としての4-アミノ-5-シアノピリミジンについて記述している。国際公開公報第02/22601号では、キナーゼ阻害剤としての4-(ピラゾール-5-イルアミノ)-ピリミジンについて記述している。国際公開公報第02/46184号では、キナーゼ阻害剤としての4-(4-ピラゾリル)-ピリミジンについて記述している。国際公開公報第02/46170号および国際公開公報第02/46171号では、それぞれ、JNKおよびIKK阻害剤としての2-アニリノ-ピリミジンについて記述している。国際公開公報第02/47690号では、キナーゼ阻害剤としての4-アリールアミノ-ピリミジンについて記述している。
活性な2,4-ピリミジンジアミン化合物の多くが同様に、チロシンキナーゼSykキナーゼの強力な阻害剤である。このような2,4-ピリミジンジアミンの例は、例えば、2003年1月31日付で出願された米国特許出願第10/355,543号(US2004/0029902A1)、2003年1月31日付で出願された国際特許出願第PCT/US03/03022号(WO03/063794)、2003年7月29日付で出願された米国特許出願第10/631,029号、国際特許出願第PCT/US03/24087号(WO2004/014382)、2004年7月30日付で出願された米国特許出願第10/903,263号(US2005/0234049)および国際特許出願第PCT/US2004/24716号(WO2005/016893)に記述されている。
異常なタンパク質キナーゼ活性から生じる疾患の病態および/または症状を遮断できる選択的なタンパク質キナーゼ阻害剤の開発が大きな関心を引いている。しかしながら、キナーゼの阻害に向けたさらなる化合物ならびにキナーゼと関連する疾患の処置および予防が必要とされている。
発明の概要
本発明はピリミジン-2,4-ジアミン化合物のプロドラッグ、該プロドラッグを含む組成物、該プロドラッグを合成するのに有用な方法および中間体ならびにキナーゼによって媒介される疾患の処置および/または予防においてなど、該プロドラッグを使用する方法を提供する。
本発明の化合物は概して、1つまたは複数の第1級または第2級アミン基の窒素原子の位置でプロ基(progroup)RPと置換されている生物学的に活性なピリミジン-2,4-ジアミン化合物を含む。このプロドラッグは概して、使用条件の下で代謝されて活性なピリミジン-2,4-ジアミン薬物を生じる、かつカルバメート、チオカルバメート、ジチオカルバメート、尿素、またはチオ尿素結合を介して薬物に共有結合的に付着されている基または部分を含む。
生物学的な、それ故に治療的な、活性を有する実質的にいかなる公知のピリミジン-2,4-ジアミン化合物も本明細書に記述の1つまたは複数のプロ基RPと親薬物分子の利用可能な第1級または第2級アミンの位置で保護されることができる。適当な活性なピリミジン-2,4-ジアミン化合物は、例えば、2003年1月31日付で出願された米国特許出願第10/355,543号(US2004/0029902A1)、2003年1月31日付で出願された国際特許出願第PCT/US03/03022号(WO03/063794)、2003年7月29日付で出願された米国特許出願第10/631,029号、国際特許出願第PCT/US03/24087号(WO2004/014382)、7月30日付で出願された米国特許出願第10/903,263号(US2005/0234049)および国際特許出願第PCT/US2004/24716号(WO2005/016893)に記述されている。そのようなピリミジン-2,4-ジアミン化合物において、プロ基は、例えば、2,4-ピリミジンジアミン部分のN2窒素原子、ピリミジン-2,4-ジアミン部分のN4窒素原子、および/またはピリミジン-2,4-ジアミン化合物の置換基に含まれる第1級もしくは第2級窒素原子を含めて、任意の利用可能な第1級または第2級アミンに付着されることができる。
本発明の化合物は強力なキナーゼ阻害剤である。したがって、他の局面において、本発明は、阻害に有効な本発明の化合物または組成物の有効量とキナーゼを接触させる段階を含む、キナーゼを阻害する方法を提供する。この方法はインビトロまたはインビボのいずれかで実践することができ、癌および転移を含む新生物の処置のような疾患の処置および/または予防に向けた治療的アプローチとして、アポトーシスの促進に、ならびにタンパク質キナーゼと関連する他の疾患の処置および予防において使用することができる。
本発明の化合物は、限定されるものではないが、癌および関連疾患の予防または処置に有用である。本発明の化合物はキナーゼ阻害活性を有し、それ故に、本発明の化合物は抗新生物剤として治療において有用でありうる。本発明の化合物は、白血病およびリンパ腫を含む、悪性腫瘍、造血系腫瘍、固形腫瘍、肉腫、網膜芽細胞腫、造血器悪性腫瘍、腫瘍誘発性の胸膜または心膜浸出の処置に有用でありうるし、アポトーシスを促進するのに有用でもある。
本発明の化合物はSyk、Src、ErbB、KDR、CDK-2、LCK、CDK-5、IKK、JNK3のような、タンパク質キナーゼの阻害剤として働くことができ、したがってこれらのタンパク質キナーゼと関連する疾患の処置において有効とすることができる。
1つの局面において、本発明は、ピリミジン-2,4-ジアミン部分、詳しくはジアリールピリミジン-2,4-ジアミン部分を含有する化合物、および該化合物を含む組成物を提供する。該化合物は、以下に示される一般構造を有する:
Figure 0005207386
式中、XおよびYは酸素、アミノもしくは置換アミノ、S(O)0〜2、または置換もしくは非置換炭素から独立して選択され;R'、R''、およびR'''は任意の置換基であり;かつR''''はHまたはプロ基RPである。プロ基RPはカルバメート、チオカルバメート、ジチオカルバメート、尿素、またはチオ尿素結合を介して2'-N、4'-Nのいずれか1つもしくは複数に、またはXもしくはYがアミノである場合にはXもしくはYに共有結合的に付着される。これらの化合物および組成物はキナーゼの阻害方法において使用することができる。
1つの局面において、本発明の化合物は式(I)を有する:
Figure 0005207386
式中、R3は、置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリールであり;X3およびX4はCHまたはNから独立して選択され;X5はCR12R13、O、S、SO、SO2、およびNR14からなる群より選択され、ここでR12およびR13はH、OH、または低級アルキルから独立して選択され;R4は電気陰性基であり;R'、R5、R6およびR14はH、低級アルキル、プロ基、シクロアルキルまたはアリールから独立して選択され、ここでR'、R5、R6またはR14の少なくとも1つが構成要素(constitutent)のカルバメート、チオカルバメート、ジチオカルバメート、尿素、またはチオ尿素結合を介して連結された上記のプロ基であり;R7およびR8はH、ハロゲン、低級アルキル、シクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より独立して選択され;R9およびR10は、H、ハロゲン、-OH、-アルコキシ、低級アルキル、シクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より独立して選択され;ここでR7およびR8、またはR9およびR10は一緒になってオキソ基を形成し、但しR9またはR10は、X5がNR14である場合アルコキシまたは-OHではないことを条件とする。
他の局面において、本発明は式(II)の化合物を提供する:
Figure 0005207386
式中、X1はO、S、またはNR11であり;X2はOおよびSからなる群より選択され;X3およびX4はCHまたはNから独立して選択され;X5はCR12R13、O、S、SO、SO2、およびNR14からなる群より選択され、ここでR12およびR13はH、OH、低級アルキルから独立して選択されるか、または一緒になってオキソを形成し;かつR14はHまたは低級アルキルであり;Rは、各々が置換されていてもよい直鎖状または分枝状の、飽和または不飽和のアルキル、アリル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、プレニルアルカリールおよびヘテロアリールアルキルからなる群より選択され;R1およびR2は各々、H、OH、-OR11、NR15R15、ハロ、低級アルキル、-C(O)O-アルキル、-C(O)OH、-OP(=O)(OR11)2、-OC(=O)OR11、-OC(=O)R11、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールからなる群より独立して選択されるかまたは一緒になってオキソを形成し、ここで各R15はH、低級アルキル、プレニル、アリル、-C(O)O-アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルカリールおよびアルクヘテロアリールから独立して選択されるか、またはR15の2つが結合して、置換されていてもよいシクロヘテロアルキルを形成し;R3は、各々が置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリールであり;各R11は独立してHまたは低級アルキルであり;R4はNO2、フッ素、ハロゲン、CN、ハロアルキル、アルコキシ、カルボキシレート、CF3、CHF2、CH2F、CF3O-などのような電気陰性基であり;R5およびR6はH、低級アルキル、シクロアルキルまたはアリールから独立して選択され;R7、R8、R9、およびR10はH、OH、ハロゲン、低級アルキル、シクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より独立して選択され、または式中R7およびR8、もしくはR9およびR10は一緒になってオキソ基を形成し;かつnは0〜10の整数である。
他の局面において、本発明は、癌を処置するおよび/または予防する方法を提供する。この方法は概して、癌を有する被験体または癌を発症する危険性がある被験体に、その疾患を処置または予防するのに有効な本発明の化合物または組成物の量を投与する段階を含む。この方法は動物においてまたはヒトにおいて実践することができる。
活性な2,4-ピリミジンジアミン化合物の多くが同様に、チロシンキナーゼSykキナーゼの強力な阻害剤である。このような2,4-ピリミジンジアミン化合物の例は、例えば、2003年1月31日付で出願された米国特許出願第10/355,543号(US2004/0029902A1)、2003年1月31日付で出願された国際特許出願第PCT/US03/03022号(WO03/063794)、2003年7月29日付で出願された米国特許出願第10/631,029号、国際特許出願第PCT/US03/24087号(WO2004/014382)、2004年7月30日付で出願された米国特許出願第10/903,263号(US2005/0234049)および国際特許出願第PCT/US2004/24716号(WO2005/016893)に記述されている。したがって、他の局面において、本開示はSykキナーゼ活性を調節する、具体的には阻害する方法を提供する。この方法は概して、SykキナーゼまたはSykキナーゼを含んだ細胞を、Sykキナーゼ活性を調節するのにまたは阻害するのに有効な、適当なプロドラッグ、または薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、N-酸化物および/もしくはそれらの組み合わせの量と接触させる段階を含む。1つの態様において、Sykキナーゼは単離されたまたは組換えSykキナーゼである。他の態様において、Sykキナーゼは細胞、例えば肥満細胞または好塩基性細胞によって発現される内因性または組換えSykキナーゼである。この方法はSykキナーゼ活性により特徴付けられる、Sykキナーゼ活性により引き起こされるまたはSykキナーゼ活性と関連する疾患の処置または予防のためにインビボにおいて、あるいはプロ基が活性な2,4-ピリミジンジアミン化合物を生じるように代謝する条件の下で、接触させる段階が行われるインビトロにおいて実践することができる。
他の局面において、本開示は、Sykが関与するシグナル伝達カスケードを調節する、具体的には阻害する方法を提供する。この方法は概して、Syk依存的な受容体またはSyk依存的な受容体を発現する細胞を、シグナル伝達カスケードを調節または阻害するのに有効な、本明細書に記述の本発明の適当な化合物、または薬学的に許容される塩、水和物、溶媒和物、N-酸化物および/もしくはそれらの組み合わせの量と接触させる段階を含む。この方法は同様に、特定のSyk依存的なシグナル伝達カスケードの活性化によって誘発される下流の過程または細胞応答を調節するのに、具体的には阻害するのに使用することができる。この方法は、Sykを含んだ任意のシグナル伝達カスケードを調節するのに実践することができる。
好ましい態様の詳細な説明
定義
特に明記しない限り、本明細書および特許請求の範囲を含め、本出願において用いられる以下の用語は、以下に示される定義を有する。本明細書および添付の特許請求の範囲において用いられる場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、文脈上明らかに他の意味を指示しない限り複数の指示対象を含むことに留意しなければならない。標準的な化学用語の定義は、Carey and Sundberg (1992) 「Advanced Organic Chemistry 3rd Ed.」 Vols. A and B, Plenum Press, New Yorkを含め、参考資料のなかで見出すことができる。本発明の実践では、特に指定のない限り、当技術分野の技術の範囲内の、質量解析、タンパク質化学、生化学、組換えDNA技術および薬理学の従来の方法を利用する。
本明細書において用いられる場合、以下の用語は、以下の意味を有するよう意図される。
アルキル」とは、単独でまたは別の置換基の一部として、親のアルカン、アルケンまたはアルキンの単一の炭素原子からの1つの水素原子の除去によって誘導される飽和もしくは不飽和の、分枝、直鎖または環式の一価炭化水素基をいう。典型的なアルキル基はメチル;エタニル、エテニル、エチニルのようなエチル;プロパン-1-イル、プロパン-2-イル、シクロプロパン-1-イル、プロパ-1-エン-1-イル、プロパ-1-エン-2-イル、プロパ-2-エン-1-イル(アリル)、シクロプロパ-1-エン-1-イル、シクロプロパ-2-エン-1-イル、プロパ-1-イン-1-イル、プロパ-2-イン-1-イルなどのようなプロピル;ブタン-1-イル、ブタン-2-イル、2-メチル-プロパン-1-イル、2-メチル-プロパン-2-イル、シクロブタン-1-イル、ブタ-1-エン-1-イル、ブタ-1-エン-2-イル、2-メチル-プロパ-1-エン-1-イル、ブタ-2-エン-1-イル、ブタ-2-エン-2-イル、ブタ-1,3-ジエン-1-イル、ブタ-1,3-ジエン-2-イル、シクロブタ-1-エン-1-イル、シクロブタ-1-エン-3-イル、シクロブタ-1,3-ジエン-1-イル、ブタ-1-イン-1-イル、ブタ-1-イン-3-イル、ブタ-3-イン-1-イルなどのようなブチルなどを含むが、これらに限定されるものではない。
「アルキル」という用語は任意の飽和度を有する基、すなわち、炭素-炭素単結合を排他的に有する基、1つまたは複数の炭素-炭素二重結合を有する基、1つまたは複数の炭素-炭素三重結合を有する基ならびに炭素-炭素単結合、二重結合および三重結合の混合を有する基を含むよう特に意図される。特定の飽和度が意図される場合、「アルカニル」、「アルケニル」および「アルキニル」という表現が使用される。好ましくは、アルキル基は1〜15個の炭素原子(C1〜C15アルキル)、より好ましくは1〜10個の炭素原子(C1〜C10アルキル)およびさらにより好ましくは1〜6個の炭素原子(C1〜C6アルキルまたは低級アルキル)を含む。
アルカニル」とは、単独でまたは別の置換基の一部として、親のアルカンの単一の炭素原子からの1つの水素原子の除去によって誘導される飽和分枝、直鎖または環式のアルキル基をいう。典型的なアルカニル基はメタニル;エタニル;プロパン-1-イル、プロパン-2-イル(イソプロピル)、シクロプロパン-1-イルなどのようなプロパニル;ブタン-1-イル、ブタン-2-イル(sec-ブチル)、2-メチル-プロパン-1-イル(イソブチル)、2-メチル-プロパン-2-イル(t-ブチル)、シクロブタン-1-イルのようなブタニル;ペンタ-1-イル、ペンタ-2-イル、ペンタ-3-イル、シクロペンタ-1-イルのような、ペンタニル;ヘキサン-1-イル、ヘキサン-3-イル、シクロヘキサン-1-イルなどのような、ヘキサニル;ヘプタン-1-イル、ヘプタン-2-イル、シクロヘプタン-1-イルなどのような、ヘプタニルなどを含むが、これらに限定されるものではない。
アルケニル」とは、単独でまたは別の置換基の一部として、親のアルケンの単一の炭素原子からの1つの水素原子の除去によって誘導される、少なくとも1つの炭素炭素二重結合を有する不飽和分枝、直鎖または環式のアルキル基をいう。この基は二重結合に関してシスまたはトランス立体配置のいずれであってもよい。典型的なアルケニル基はエテニル;プロパ-1-エン-1-イル、プロパ-1-エン-2-イル、プロパ-2-エン-1-イル(アリル)、プロパ-2-エン-2-イル、シクロプロパ-1-エン-1-イル、シクロプロパ-2-エン-1-イルのようなプロペニル;ブタ-1-エン-1-イル、ブタ-1-エン-2-イル、2-メチル-プロパ-1-エン-1-イル、ブタ-2-エン-1-イル、ブタ-2-エン-1-イル、ブタ-2-エン-2-イル、ブタ-1,3-ジエン-1-イル、ブタ-1,3-ジエン-2-イル、シクロブタ-1-エン-1-イル、シクロブタ-1-エン-3-イル、シクロブタ-1,3-ジエン-1-イルなどのようなブテニルなどを含むが、これらに限定されるものではない。
アルキニル」とは、単独でまたは別の置換基の一部として、親のアルキンの単一の炭素原子からの1つの水素原子の除去によって誘導される、少なくとも1つの炭素炭素三重結合を有する不飽和分枝、直鎖または環式のアルキル基をいう。典型的なアルキニル基はエチニル;プロパ-1-イン-1-イル、プロパ-2-イン-1-イルなどのようなプロピニル;ブタ-1-イン-1-イル、ブタ-1-イン-3-イル、ブタ-3-イン-1-イルなどのようなブチニルなどを含むが、これらに限定されるものではない。
アルキルジイル」とは、単独でまたは別の置換基の一部として、親のアルカン、アルケンもしくはアルキンの2つの異なる炭素原子の各々からの1つの水素原子の除去によって、または親のアルカン、アルケンもしくはアルキンの単一の炭素原子からの2つの水素原子の除去によって誘導される飽和もしくは不飽和の、分枝、直鎖または環式の二価炭化水素基をいう。2つの一価基中心がまたは二価基中心の各々の原子価が、同じまたは異なる原子と結合を形成しうる。典型的なアルキルジイル基はメタンジイル;エタン-1,1-ジイル、エタン-1,2-ジイル、エテン-1,1-ジイル、エテン-1,2-ジイルのようなエチルジイル;プロパン-1,1-ジイル、プロパン-1,2-ジイル、プロパン-2,2-ジイル、プロパン-1,3-ジイル、シクロプロパン-1,1-ジイル、シクロプロパン-1,2-ジイル、プロパ-1-エン-1,1-ジイル、プロパ-1-エン-1,2-ジイル、プロパ-2-エン-1,2-ジイル、プロパ-1-エン-1,3-ジイル、シクロプロパ-1-エン-1,2-ジイル、シクロプロパ-2-エン-1,2-ジイル、シクロプロパ-2-エン-1,1-ジイル、プロパ-1-イン-1,3-ジイルなどのようなプロピルジイル;ブタン-1,1-ジイル、ブタン-1,2-ジイル、ブタン-1,3-ジイル、ブタン-1,4-ジイル、ブタン-2,2-ジイル、2-メチル-プロパン-1,1-ジイル、2-メチル-プロパン-1,2-ジイル、シクロブタン-1,1-ジイル、シクロブタン-1,2-ジイル、シクロブタン-1,3-ジイル、ブタ-1-エン-1,1-ジイル、ブタ-1-エン-1,2-ジイル、ブタ-1-エン-1,3-ジイル、ブタ-1-エン-1,4-ジイル、2-メチル-プロパ-1-エン-1,1-ジイル、2-メタニリデン-プロパン-1,1-ジイル、ブタ-1,3-ジエン-1,1-ジイル、ブタ-1,3-ジエン-1,2-ジイル、ブタ-1,3-ジエン-1,3-ジイル、ブタ-1,3-ジエン-1,4-ジイル、シクロブタ-1-エン-1,2-ジイル、シクロブタ-1-エン-1,3-ジイル、シクロブタ-2-エン-1,2-ジイル、シクロブタ-1,3-ジエン-1,2-ジイル、シクロブタ-1,3-ジエン-1,3-ジイル、ブタ-1-イン-1,3-ジイル、ブタ-1-イン-1,4-ジイル、ブタ-1,3-ジイン-1,4-ジイルなどのような、ブチルジイルなどを含むが、これらに限定されるものではない。特定の飽和度が意図される場合、アルカニルジイル、アルケニルジイルおよび/またはアルキニルジイルという名称が使用される。2つの原子価が同じ炭素原子にあることが特に意図される場合、「アルキリデン」という名称が使用される。好ましい態様において、アルキルジイル基は1〜6個の炭素原子(C1〜C6アルキルジイル)を含む。基中心が末端炭素の位置にある飽和非環式アルカニルジイル基、例えば、メタンジイル(メタノ);エタン-1,2-ジイル(エタノ);プロパン-1,3-ジイル(プロパノ);ブタン-1,4-ジイル(ブタノ)など(以下に定義されている、アルキレノともいわれる)も好ましい。
アルコキシ」とは、単独でまたは別の置換基の一部として、Rが本明細書に定義のアルキルまたはシクロアルキル基である式-ORの基をいう。アルコキシ基の代表的な例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、tert-ブトキシ、シクロプロピルオキシ、シクロペンチルオキシ、シクロヘキシルオキシなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
アルコキシカルボニル」とは、単独でまたは別の置換基の一部として、アルコキシが本明細書に定義される通りである式-C(O)-アルコキシの基をいう。
アルキルチオ」とは、単独でまたは別の置換基の一部として、Rが本明細書に定義のアルキルまたはシクロアルキル基である式-SRの基をいう。アルキルチオ基の代表的な例としては、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、tert-ブチルチオ、シクロプロピルチオ、シクロペンチルチオ、シクロヘキシルチオなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
アリール」とは、単独でまたは別の置換基の一部として、親の芳香族環系の単一の炭素原子からの1つの水素原子の除去によって誘導される一価の芳香族炭化水素基をいう。典型的なアリール基は、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、コロネン、フルオランテン、フルオレン、ヘキサセン、ヘキサフェン、ヘキサレン、as-インダセン、s-インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、オクタセン、オクタフェン、オクタレン、オバレン、ペンタ-2,4-ジエン、ペンタセン、ペンタレン、ペンタフェン、ペリレン、フェナレン、フェナントレン、ピセン、プレイアデン、ピレン、ピラントレン、ルビセン、トリフェニレン、トリナフタレンなどから誘導される基を含むが、これらに限定されるものではない。好ましくは、アリール基は6〜20個の炭素原子(C6〜C20アリール)、より好ましくは6〜15個の炭素原子(C6〜C15アリール)およびさらにより好ましくは6〜10個の炭素原子(C6〜C10アリール)を含む。
アリールアルキル」とは、単独でまたは別の置換基の一部として、炭素原子、典型的には末端またはsp3炭素原子に結合している水素原子の1つが本明細書に定義される通り、アリール基asと置き換えられた非環式アルキル基をいう。典型的なアリールアルキル基はベンジル、2-フェニルエタン-1-イル、2-フェニルエテン-1-イル、ナフチルメチル、2-ナフチルエタン-1-イル、2-ナフチルエテン-1-イル、ナフトベンジル、2-ナフトフェニルエタン-1-イルなどを含むが、これらに限定されるものではない。特定のアルキル部分が意図される場合、アリールアルカニル、アリールアルケニルおよび/またはアリールアルキニルという名称が使用される。好ましくは、アリールアルキル基は(C6〜C30)アリールアルキルであり、例えば、アリールアルキル基のアルカニル、アルケニルまたはアルキニル部分が(C1〜C10)アルキルであり、アリール部分が(C6〜C20)アリールであり、より好ましくは、アリールアルキル基は(C6〜C20)アリールアルキルであり、例えば、アリールアルキル基のアルカニル、アルケニルまたはアルキニル部分が(C1〜C8)アルキルであり、アリール部分が(C6〜C12)アリールであり、さらにより好ましくは、アリールアルキル基は(C6〜C15)アリールアルキルであり、例えば、アリールアルキル基のアルカニル、アルケニルまたはアルキニル部分が(C1〜C5)アルキルであり、アリール部分が(C6〜C10)アリールである。
アリールオキシ」とは、単独でまたは別の置換基の一部として、アリールが本明細書に定義される通りである式-O-アリールの基をいう。
アリールアルキルオキシ」とは、単独でまたは別の置換基の一部として、アリールアルキルが本明細書に定義される通りである式-O-アリールアルキルの基をいう。
アリールオキシカルボニル」とは、単独でまたは別の置換基の一部として、アリールが本明細書に定義される通りである式-C(O)-O-アリールの基をいう。
アトロプ異性体」とは、回転障壁が配座異性体の単離を可能とするのに十分高い、単結合回りの回転障害から生じる立体異性体である(Eliel, E. L.;Wilen, S. H. Stereochemistry of Organic Compounds;Wiley & Sons: New York, 1994;Chapter 14)。アトロプ異性は、これが不斉(stereogenic)原子の非存在下でも対掌性の要素を導入するので、重要である。本発明はアトロプ異性体を包含するよう意図される。
カルバモイル」とは、単独でまたは別の置換基の一部として、R'およびR''が各々、相互に独立して、本明細書に定義の水素、アルキルおよびシクロアルキルからなる群より選択されるか、またあるいは、R'およびR''は、これらが結合している窒素原子と一緒になって、任意でO、SおよびNからなる群より選択される同じもしくは異なる付加的なヘテロ原子1〜4個を含んでもよい、本明細書に定義の5員、6員もしくは7員シクロヘテロアルキル環を形成する、式-C(O)NR'R''の基をいう。
「本発明の化合物」とは、本明細書において開示されている種々の記述および構造式により包含される化合物をいう。本発明の化合物は、その化学構造および/または化学名のいずれかにより特定することができる。化学構造および化学名が矛盾する場合には、化学構造が化合物の同一性を決定する。本発明の化合物は1つもしくは複数のキラル中心および/または二重結合を含有することができ、それ故に二重結合異性体(すなわち、幾何異性体)、回転異性体、鏡像異性体またはジアステレオ異性体のような、立体異性体として存在することができる。したがって、キラル中心の位置での立体化学が明記されていない場合、本明細書において描かれる化学構造は、立体異性的に純粋な(例えば、幾何学的に純粋な、鏡像異性的に純粋なまたはジアステレオ異性的に純粋な)形態ならびに鏡像異性および立体異性の混合物を含め、キラル中心の位置での全ての可能な立体配置を包含する。鏡像異性および立体異性の混合物は、当業者に周知の分離技術またはキラル合成技術を用いて、その成分の鏡像異性体または立体異性体に分解することができる。本発明の化合物は同様に、エノール形、ケト形およびその混合物を含むいくつかの互変異性形で存在することができる。したがって、本明細書において描かれる化学構造は、例示される化合物の全ての可能な互変異性形を包含する。本発明の化合物は同様に、1つまたは複数の原子が自然界において通常見られる原子質量とは異なる原子質量を有する、同位体標識した化合物を含むことができる。本発明の化合物に組み入れ可能な同位体の例としては、2H、3H、11C、13C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18Fおよび36Clが挙げられるが、これらに限定されるものではない。本発明の化合物は水和形態を含む、溶媒和形態でおよび非溶媒和形態でならびにN-酸化物として存在することができる。一般に、水和形態、溶媒和形態およびN-酸化物形態は本発明の範囲内である。本発明のある種の化合物は複数の結晶形態または非晶形態で存在することができる。一般に、全ての物理的形態が本発明によって企図される使用に等価であり、本発明の範囲内であることが意図される。
シクロアルキル」とは、単独でまたは別の置換基の一部として、本明細書に定義の、飽和または不飽和環式アルキル基をいう。特定の飽和度が意図される場合、「シクロアルカニル」または「シクロアルケニル」という名称が使用される。典型的なシクロアルキル基は、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタンなどから誘導される基を含むが、これらに限定されるものではない。好ましくは、シクロアルキル基は3〜10個の環原子(C3〜C10シクロアルキル)、より好ましくは3〜7個の環原子(C3〜C7シクロアルキル)を含む。
シクロヘテロアルキル」とは、単独でまたは別の置換基の一部として、1つまたは複数の炭素原子(および任意でいずれかの関連水素原子)が同じまたは異なるヘテロ原子と独立して置き換えられた飽和または不飽和の環式アルキル基をいう。炭素原子を置き換えるのに典型的なヘテロ原子は、N、P、O、S、Siなどを含むが、これらに限定されるものではない。特定の飽和度が意図される場合、「シクロヘテロアルカニル」または「シクロヘテロアルケニル」という名称が使用される。典型的なシクロヘテロアルキル基は、エポキシド、アジリン、チイラン、イミダゾリジン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ピラゾリジン、ピロリドン、キヌクリジンなどから誘導される基を含むが、これらに限定されるものではない。好ましくは、シクロヘテロアルキル基は3〜10個の環原子(3〜10員のシクロヘテロアルキル)、より好ましくは5〜7個の環原子(5〜7員のシクロヘテロアルキル)を含む。
シクロヘテロアルキル基はヘテロ原子、例えば、窒素原子の位置で、低級アルキル基と置換されてもよい。具体的な例として、N-メチル-イミダゾリジニル、N-メチル-モルホリニル、N-メチル-ピペラジニル、N-メチル-ピペリジニル、N-メチル-ピラゾリジニルおよびN-メチル-ピロリジニルが「シクロヘテロアルキル」の定義のなかに含まれる。シクロヘテロアルキル(cycloheteralkyl)基は、環炭素原子または環ヘテロ原子を介して分子の残部に付着されてもよい。
ジアルキルアミノ」または「モノアルキルアミノ」とは、単独でまたは他の置換基の一部として、各Rが本明細書に定義の、アルキルおよびシクロアルキルからなる群より独立して選択される、それぞれ、式-NRRおよび-NHRの基をいう。ジアルキルアミノ基の代表的な例としては、ジメチルアミノ、メチルエチルアミノ、ジ-(1-メチルエチル)アミノ、(シクロヘキシル)(メチル)アミノ、(シクロヘキシル)(エチル)アミノ、(シクロヘキシル)(プロピル)アミノなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。モノアルキルアミノ(monalkylamino)基の代表的な例としては、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、シクロヘキシルアミノなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
電気陰性(の)」とは、単独でまたは別の置換基の一部として、隣接原子から原子価電子を引き付ける置換基の傾向をいう。例示的な電子求引性基はアシル、ホルミル、スルホニル、アルコキシ、カルボキシレート、ハロアルキル、塩化物、フッ化物、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、トリフルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、フルオロメトキシ、MeOなどを含む。
ハロゲン」または「ハロ」とは、単独でまたは別の置換基の一部として、フルオロ、クロロ、ブロモおよび/またはヨード基をいう。
ハロアルキル」とは、単独でまたは別の置換基の一部として、水素原子の1つまたは複数がハロ基と置き換えられた本明細書に定義のアルキル基をいう。「ハロアルキル」という用語はペルハロアルキルまでのモノハロアルキル、ジハロアルキル、トリハロアルキルなどを含むよう特に意図される。ハロアルキルを置換するハロ基は同じものであってよく、またはそれらは異なっていてもよい。例えば、「(C1〜C2)ハロアルキル」という表現は、1-フルオロメチル、1-フルオロ-2-クロロエチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、1-フルオロエチル、1,1-ジフルオロエチル、1,2-ジフルオロエチル、1,1,1-トリフルオロエチル、ペルフルオロエチルなどを含む。
ハロアルキルオキシ」とは、単独でまたは別の置換基の一部として、ハロアルキルが本明細書に定義される通りである式-O-ハロアルキルの基をいう。
ヘテロアルキル」、「ヘテロアルカニル」、「ヘテロアルケニル」、「ヘテロアルキニル」、「ヘテロアルキルジイル」および「ヘテロアルキレノ」とは、単独でまたは他の置換基の一部として、炭素原子(および任意でいずれかの関連水素原子)の1つまたは複数が各々、相互に独立して、同じまたは異なるヘテロ原子またはヘテロ原子基と置き換えられた、それぞれ、アルキル、アルカニル、アルケニル、アルキニル、アルキルジイルおよびアルキレノ基をいう。炭素原子を置き換えることができる典型的なヘテロ原子またはヘテロ原子基はO、S、N、Si、-NH-、-S(O)-、-S(O)2-、-S(O)NH-、-S(O)2NH-などおよびその組み合わせを含むが、これらに限定されるものではない。ヘテロ原子またはヘテロ原子基はアルキル、アルケニルまたはアルキニル基の任意の内部位置に配置することができる。そのようなヘテロアルキル、ヘテロアルカニル、ヘテロアルケニルおよび/またはヘテロアルキニル基の例としては-CH2-CH2-O-CH3、-CH2-CH2-NH-CH3、-CH2-CH2-N(CH3)-CH3、-CH2-S-CH2、-CH3、-CH2-CH2-S(O)-CH3、-CH2-CH2-S(O)2-CH3、-CH=CH-O-CH3、-CH2-CH=N-O-CH3、および-CH2-CH2-O-C=CHが挙げられる。ヘテロアルキルジイルおよびヘテロアルキレノ基の場合、ヘテロ原子(heteratom)またはヘテロ原子(heteratomic)基は一方または両方の鎖末端を占有することもできる。そのような基の場合、基の方向は意味されない。
ヘテロアリール」とは、単独でまたは別の置換基の一部として、本明細書に定義の、親芳香族複素環系の単一の原子からの1つの水素原子の除去によって誘導される一価の芳香族複素環基をいう。典型的なヘテロアリール基はアクリジン、β-カルボリン、クロマン、クロメン、シンノリン、フラン、イミダゾール、インダゾール、インドール、インドリン、インドリジン、イソベンゾフラン、イソクロメン、イソインドール、イソインドリン、イソキノリン、イソチアゾール、イソオキサゾール、ナフチリジン、オキサジアゾール、オキサゾール、ペリミジン、フェナントリジン、フェナントロリン、フェナジン、フタラジン、プテリジン、プリン、ピラン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、ピロリジン、キナゾリン、キノリン、キノリジン、キノキサリン、テトラゾール、チアジアゾール、チアゾール、チオフェン、トリアゾール、キサンテンなどから誘導される基を含むが、これらに限定されるものではない。好ましくは、ヘテロアリール基は5〜20個の環原子(5〜20員のヘテロアリール)、より好ましくは5〜10個の環原子(5〜10員のヘテロアリール)を含む。好ましいヘテロアリール基は、フラン、チオフェン、ピロール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ベンズイミダゾール、インドール、ピリジン、ピラゾール、キノリン、イミダゾール、オキサゾール、イソオキサゾールおよびピラジンから誘導されるものである。
ヘテロアリールアルキル」とは、単独でまたは別の置換基の一部として、炭素原子、典型的には末端またはsp3炭素原子に結合している水素原子の1つがヘテロアリール基と置き換えられた非環式アルキル基をいう。特定のアルキル部分が意図される場合、ヘテロアリールアルカニル、ヘテロアリールアルケニル(heteroarylakenyl)および/またはヘテロアリールアルキニルという名称が使用される。好ましい態様において、ヘテロアリールアルキル基は6〜21員のヘテロアリールアルキルであり、例えば、ヘテロアリールアルキルのアルカニル、アルケニルまたはアルキニル部分は(C1〜C6)アルキルであり、かつヘテロアリール部分は5〜15員のヘテロアリールである。特に好ましい態様において、ヘテロアリールアルキルは6〜13員のヘテロアリールアルキルであり、例えば、アルカニル、アルケニルまたはアルキニル部分は(C1〜C3)アルキルであり、かつヘテロアリール部分は5〜10員のヘテロアリールである。
親芳香族環系」は、共役π電子系を有する不飽和の環式または多環式の環系をいう。「親芳香族環系」の定義のなかに具体的に含まれるのは、例えば、フルオレン、インダン、インデン、フェナレンなどのような、環の1つまたは複数が芳香族であり、かつ環の1つまたは複数が飽和または不飽和である縮合環系である。典型的な親芳香族環系は、アセアントリレン、アセナフチレン、アセフェナントリレン、アントラセン、アズレン、ベンゼン、クリセン、コロネン、フルオランテン、フルオレン、ヘキサセン、ヘキサフェン、ヘキサレン、as-インダセン、s-インダセン、インダン、インデン、ナフタレン、オクタセン、オクタフェン、オクタレン、オバレン、ペンタ-2,4-ジエン、ペンタセン、ペンタレン、ペンタフェン、ペリレン、フェナレン、フェナントレン、ピセン、プレイアデン、ピレン、ピラントレン、ルビセン、トリフェニレン、トリナフタレンなどを含むが、これらに限定されるものではない。
「親芳香族複素環系」とは、1つまたは複数の炭素原子(および任意でいずれかの関連水素原子)が同じまたは異なるヘテロ原子と各々独立して置き換えられた親芳香族環系をいう。炭素原子を置き換えるのに典型的なヘテロ原子は、N、P、O、S、Siなどを含むが、これらに限定されるものではない。「親芳香族複素環系」の定義のなかに具体的に含まれるのは、例えば、ベンゾジオキサン、ベンゾフラン、クロマン、クロメン、インドール、インドリン、キサンテンなどのような、環の1つまたは複数が芳香族であり、かつ環の1つまたは複数が飽和または不飽和である縮合環系である。典型的な親芳香族複素環系は、アルシンドール、カルバゾール、β-カルボリン、クロマン、クロメン、シンノリン、フラン、イミダゾール、インダゾール、インドール、インドリン、インドリジン、イソベンゾフラン、イソクロメン、イソインドール、イソインドリン、イソキノリン、イソチアゾール、イソオキサゾール、ナフチリジン、オキサジアゾール、オキサゾール、ペリミジン、フェナントリジン、フェナントロリン、フェナジン、フタラジン、プテリジン、プリン、ピラン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、ピロリジン、キナゾリン、キノリン、キノリジン、キノキサリン、テトラゾール、チアジアゾール、チアゾール、チオフェン、トリアゾール、キサンテンなどを含むが、これらに限定されるものではない。
薬学的に許容される塩」とは、当技術分野において薬学的用途に一般に許容されるものと理解されている対イオンとともに作出され、かつ親化合物の所望の薬理学的活性を保有する本発明の化合物の塩をいう。このような塩は(1) 塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などのような無機酸とともに形成される、または酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、3-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2-エタン-ジスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、4-クロロベンゼンスルホン酸、2-ナフタレンスルホン酸、4-トルエンスルホン酸、ショウノウスルホン酸、4-メチルビシクロ[2.2.2]-オクタ-2-エン-1-カルボン酸、グルコヘプトン酸、3-フェニルプロピオン酸、トリメチル酢酸、第三級ブチル酢酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフトエ酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸などのような有機酸とともに形成される、酸付加塩、あるいは(2) 親化合物に存在する酸性プロトンが金属イオン、例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類イオン、もしくはアルミニウムイオンによって置き換えられるか、またはエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N-メチルグルカミン、モルホリン、ピペリジン、ジメチルアミン、ジエチルアミンなどのような有機塩基と配位する場合に形成される塩を含む。アルギン酸塩などのようなアミノ酸の塩、およびグルクロン(glucurmic)酸またはガラクツロン(galactunoric)酸などのような有機酸の塩も含まれる(例えば、Berge et al., 1977, J. Pharm. Sci. 66:1-19を参照のこと)。
薬学的に許容される媒体」とは、本発明の化合物が投与される希釈剤、補助剤、賦形剤または担体をいう。
「保護基」とは、分子中の反応性官能基に付着される場合に、官能基の反応性を遮蔽する、低減するまたは抑制する原子の基をいう。典型的には、保護基は合成の過程で所望により選択的に除去することができる。保護基の例はGreene and Wuts, Protective Groups in Organic Chemistry, 3rd Ed., 1999, John Wiley & Sons, NYおよびHarrison et al., Compendium of Synthetic Organic Methods, Vols. 1-8, 1971-1996, John Wiley & Sons, NYのなかで見出すことができる。代表的なアミノ保護基はホルミル、アセチル、トリフルオロアセチル、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル(「CBZ」)、tert-ブトキシカルボニル(「Boc」)、トリメチルシリル(「TMS」)、2-トリメチルシリル-エタンスルホニル(「SES」)、トリチルおよび置換トリチル基、アリルオキシカルボニル、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(「FMOC」)、ニトロ-ベラトリルオキシカルボニル(「NVOC」)などを含むが、これらに限定されるものではない。代表的なヒドロキシル保護基は、ヒドロキシル基がアシル化されているもの(例えば、メチルおよびエチルエステル、酢酸基もしくはプロピオン酸基またはグリコールエステル)、またはベンジルおよびトリチルエーテル、ならびにアルキルエーテル、テトラヒドロピラニルエーテル、トリアルキルシリルエーテル(例えば、TMS基またはTIPPS基)およびアリルエーテルのような、アルキル化されているものを含むが、これらに限定されるものではない。
「プロドラッグ」とは活性薬物を放出するよう、体内などの、使用の条件の下で変換を起こす活性化合物(薬物)の誘導体をいう。プロドラッグは、必ずではないが、活性薬物に転換されるまで薬理学的に不活性であることが多い。プロドラッグは通常、特定の使用条件の下で、切断のような、変換を起こして官能基を開放し、それ故に活性薬物を開放するプロ部分または「プロ基」を形成するようにプロ基(以下に定義されている)で、活性に部分的に必要になると思われる薬物中の官能基を遮蔽することにより得られる。プロ部分の切断は加水分解反応によってなど、自発的に進行してもよく、あるいはその切断は酵素によって、光によって、酸によって、または物理的もしくは環境的パラメータの変化もしくはそれへの曝露、例えば温度の変化、またはそれらの組み合わせによってなど、別の因子によって触媒されてもまたは誘導されてもよい。この因子は、プロドラッグが投与される細胞に存在する酵素または胃の酸性条件のような、使用の条件に対し内因的であってもよく、またはそれは外因的に供給されてもよい。
プロドラッグをもたらすように活性化合物中の官能基を遮蔽するのに適した多種多様なプロ基が当技術分野において周知である。例えば、ヒドロキシル官能基はスルホネート、エステルまたはカルボネートプロ部分として遮蔽されることができ、これらはインビトロで加水分解されてヒドロキシル基を供与することができる。アミノ官能基はアミド、イミン、ホスフィニル、ホスホニル、ホスホリルまたはスルフェニルプロ部分として遮蔽されることができ、これらはインビボで加水分解されてアミノ基を供与することができる。カルボキシル基はエステル(シリルエステルおよびチオエステルを含む)、アミドまたはヒドラジドプロ部分として遮蔽されることができ、これらはインビボで加水分解されてカルボキシル基を供与することができる。適当なプロ基およびその各プロ部分の他の具体的な例は、当業者には明らかであろう。
プロ基」とは、活性薬物内の官能基を遮蔽するよう使用される場合に、薬物をプロドラッグに転換する保護基の種類をいう。プロ基は通常、特定の使用条件の下で切断可能な結合を介して薬物の官能基に付着される。
置換(された)」とは、特定の基を修飾するよう使用される場合に、特定の基の1つまたは複数の水素原子が各々、相互に独立して、同じまたは異なる置換基と置き換えられていることを意味する。特定の基の中の飽和炭素原子を置換するのに有用な置換基は、限定されるものではないが、-Ra、ハロ、-O-、=O、-ORb、-SRb、-S-、=S、-NRcRc、=NRb、=N-ORb、トリハロメチル、-CF3、-CN、-OCN、-SCN、-NO、-NO2、=N2、-N3、-S(O)2Rb、-S(O)2O-、-(CH2)0〜4S(O)2ORb、-OS(O)2Rb、-OS(O)2O-、-OS(O)2ORb、-P(O)(O-)2、-P(O)(ORb)(O-)、-P(O)(ORb)(ORb)、-C(O)Rb、-C(S)Rb、-C(NRb)Rb、-C(O)O-、-C(O)ORb、-C(S)ORb、-C(O)NRcRc、-C(NRb)NRcRc、-OC(O)Rb、-OC(S)Rb、-OC(O)O-、-OC(O)ORb、-OC(S)ORb、-NRbC(O)Rb、-NRbC(S)Rb、-NRbC(O)O-、-NRbC(O)ORb、-NRbC(S)ORb、-NRbC(O)NRcRc、-NRbC(NRb)Rbおよび-NRbC(NRb)NRcRcを含み、ここでRaはアルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリールおよびヘテロアリールアルキルからなる群より選択され;各Rbは独立して水素またはRaであり;かつ各Rcは独立してRbであり、またあるいは、2つのRcは、これらが結合している窒素原子と一緒になって、任意でO、NおよびSからなる群より選択される同じもしくは異なる付加的なヘテロ原子1〜4個を含んでもよい、5員、6員もしくは7員シクロヘテロアルキルを形成する。具体的な例として、-NRcRcは-NH2、-NH-アルキル、N-ピロリジニルおよびN-モルホリニルを含むよう意図される。
同様に、特定の基の中の不飽和炭素原子を置換するのに有用な置換基は、限定されるものではないが、-Ra、ハロ、-O-、-ORb、-SRb、-S-、-NRcRc、トリハロメチル、-CF3、-CN、-OCN、-SCN、-NO、-NO2、-N3、-S(O)2Rb、-S(O)2O-、-S(O)2ORb、-OS(O)2Rb、-OS(O)2O-、-OS(O)2ORb、-P(O)(O-)2、-P(O)(ORb)(O-)、-P(O)(ORb)(ORb)、-C(O)Rb、-C(S)Rb、-C(NRb)Rb、-C(O)O-、-C(O)ORb、-C(S)ORb、-C(O)NRcRc、-C(NRb)NRcRc、-OC(O)Rb、-OC(S)Rb、-OC(O)O-、-OC(O)ORb、-OC(S)ORb、-NRbC(O)Rb、-NRbC(S)Rb、-NRbC(O)O-、-NRbC(O)ORb、-NRbC(S)ORb、-NRbC(O)NRcRc、-NRbC(NRb)Rbおよび-NRbC(NRb)NRcRcを含み、ここでRa、RbおよびRcは先に定義される通りである。
ヘテロアルキルおよびシクロヘテロアルキル基の中の窒素原子を置換するのに有用な置換基は、限定されるものではないが、-Ra、-O-、-ORb、-SRb、-S-、-NRcRc、トリハロメチル、-CF3、-CN、-NO、-NO2、-S(O)2Rb、-S(O)2O-、-S(O)2ORb、-OS(O)2Rb、-OS(O)2O-、-OS(O)2ORb、-P(O)(O-)2、-P(O)(ORb)(O-)、-P(O)(ORb)(ORb)、-C(O)Rb、-C(S)Rb、-C(NRb)Rb、-C(O)ORb、-C(S)ORb、-C(O)NRcRc、-C(NRb)NRcRc、-OC(O)Rb、-OC(S)Rb、-OC(O)ORb、-OC(S)ORb、-NRbC(O)Rb、-NRbC(S)Rb、-NRbC(O)ORb、-NRbC(S)ORb、-NRbC(O)NRcRc、-NRbC(NRb)Rbおよび-NRbC(NRb)NRcRcを含み、ここでRa、RbおよびRcは先に定義される通りである。
他の特定の基または原子を置換するのに有用な上記リストの置換基は、当業者には明らかであろう。
特定の基を置換するのに使用される置換基は、典型的には上記に指定の種々の基から選択される同じまたは異なる基の1つまたは複数により、さらに置換することができる。
Sykキナーゼ」とは、B細胞および他の造血(hematopoetic)細胞において発現される周知の72 kDaの非受容体(細胞質)脾臓タンパク質チロシンキナーゼをいう。Sykキナーゼは、リン酸化された免疫受容体チロシン活性化モチーフ(「ITAMs」)に結合する縦一列の2つのコンセンサスなSrc相同2 (SH2)ドメイン、つまり「リンカー」ドメインおよび触媒ドメインを含む(Sykキナーゼの構造および機能の概説は、Sada et al., 2001, J. Biochem. (Tokyo) 130:177-186)を参照されたく;同様にTurner et al., 2000, Immunology Today 21:148-154を参照されたい)。Sykキナーゼは、B細胞受容体(BCR)シグナル伝達のエフェクターとして広く研究されている(Turner et al., 2000、前記)。Sykキナーゼは同様に、Ca2+動員および分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)経路および脱顆粒のような、免疫受容体から通じる重要な経路を調節する多数のタンパク質のチロシンリン酸化に重要である。Sykキナーゼは同様に、好中球におけるインテグリンシグナル伝達で重要な役割を果たす(例えば、Mocsai et al. 2002, Immunity 16:547-558を参照のこと)。
本明細書において用いられる場合、Sykキナーゼは、Sykファミリーに属すると認識されている、ヒト、サル、ウシ、ブタ、齧歯類などを含むがこれらに限定されない、任意の動物種由来のキナーゼを含む。具体的には、天然および人工の両方の、アイソフォーム、スプライス変種、対立遺伝子変種、変異体が含まれる。このようなSykキナーゼのアミノ酸配列は周知であり、GENBANKから入手可能である。ヒトSykキナーゼの異なるアイソフォームをコードするmRNAの具体的な例は、GENBANKアクセッション番号gi|21361552|ref|NM_003177.2|、gi|496899|emb|Z29630.1|HSSYKPTK[496899]およびgi|15030258|gb|BC011399.1|BC011399[15030258]で見出すことができる。
本明細書において用いられる場合、「被験体」という用語は哺乳類および非哺乳類を包含する。哺乳類の例としては、哺乳類の部類の任意の成員;ヒト、チンパンジーのような非ヒト霊長類、ならびに他の類人猿およびサル種;ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタのような家畜動物;ウサギ、イヌおよびネコのような家畜動物;ラット、マウスおよびモルモットのような、齧歯類を含む実験動物などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。非哺乳類の例としては、鳥類および魚類などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。この用語は特定の年齢または性別を示さない。
本明細書において用いられる場合、「処置する」または「処置」という用語は互換的に使用されており、キナーゼの機能性と関連するような、疾患の発症の延期および/または発症するものと思われるもしくは予想されるその症状の重症度の軽減を指すよう意図される。これらの用語はさらに、既存の症状の改善、さらなる症状の予防、および症状の根底にある代謝的原因の改善または予防を含む。
本発明の化合物はキナーゼの活性を阻害または低減するのに使用することができる。これらの状況では、キナーゼの活性の阻害および低減は、細胞または被験体が試験化合物で処置されていない対照実験に比べて測定活性のレベルが低いことをいう。特定の局面において、測定活性の阻害または低減は少なくとも10%の低減または阻害である。少なくとも20%、50%、75%、90%もしくは100%、またはそれらの間の任意数の測定活性の低減または阻害が特定の用途に好ましいかもしれないことを当業者なら理解するであろう。
化合物
概要に記述されているように、本開示は、2003年1月31日付で出願された米国特許出願第10/355,543号(US2004/0029902A1)、2003年1月31日付で出願された国際特許出願第PCT/US03/03022号(WO03/063794)、2003年7月29日付で出願された米国特許出願第10/631,029号、国際特許出願第PCT/US03/24087号(WO2004/014382)、2004年7月30日付で出願された米国特許出願第10/903,263号(US2005/0234049)および国際特許出願第PCT/US2004/24716号(WO2005/016893)に記述されているさまざまな2,4-ピリミジンジアミン化合物などの、生物学的に活性な2,4-ピリミジンジアミン化合物のプロドラッグを提供する。ピリミジン-2,4-ジアミン化合物のプロドラッグは、これらの化合物が、例えばSykキナーゼおよびSykキナーゼ依存的なシグナル伝達カスケードと同様に上流のFc受容体シグナル伝達カスケードも阻害するなど、キナーゼを阻害するので、特に関心がある。このプロドラッグは概して、利用可能な第1級または第2級アミン基の1つまたは複数が、活性な2,4-ピリミジンジアミン薬物をもたらすよう中間に介在する対応のヒドロキシ、チオ-またはアミノ-メチルアミンを経由してインビボで代謝するプロ基RPにより遮蔽されている、そのような活性な2,4-ピリミジンジアミン化合物を含む。
本発明は、ピリミジン-2,4-ジアミン部分を含有する新規の化合物、およびその化合物を含む組成物を提供する。1つの局面において、本発明の化合物は式(I)を有する:
Figure 0005207386
式中、R3は、置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリールであり;X3およびX4はCHまたはNから独立して選択され;X5はCR12R13、O、S、SO、SO2、およびNR14からなる群より選択され、ここでR12およびR13はH、OH、または低級アルキルから独立して選択され;R4は電気陰性基であり;R'、R5、R6およびR14はH、低級アルキル、プロ基、シクロアルキルまたはアリールから独立して選択され、ここでR'、R5、R6またはR14の少なくとも1つが構成要素(constitutent)のカルバメート、チオカルバメート、ジチオカルバメート、尿素、またはチオ尿素結合を介して連結された上記のプロ基であり;R7およびR8はH、ハロゲン、低級アルキル、シクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より独立して選択され;R9およびR10は、H、ハロゲン、-OH、-アルコキシ、低級アルキル、シクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より独立して選択され;式中R7およびR8、またはR9およびR10は一緒になってオキソ基を形成し、但しR9またはR10は、X5がNR14である場合アルコキシまたは-OHではないことを条件とする。
プロ基の性質は、異なることがあり、数ある要因のなかでも特に、プロドラッグの所望の水溶性、その意図した投与方法および/または活性な2,4-ピリミジンジアミン化合物へのその意図した代謝もしくは代謝部位に依る。所望の特徴を有するプロドラッグが提供されるようにR3基の同一性を選択することもできる。例えば、水溶性を減少させるように親油基を使用することができ、水溶性を増大させるように親水基を使用することができる。このように、選択の投与方法に特に合わせたプロドラッグを得ることができる。例えば、受動的な腸内吸収の改善、輸送を介した腸内吸収の改善、速い代謝からの防御(徐放性プロドラッグ)、組織選択的な送達、標的組織における受動的濃縮、標的化に特有の輸送体などのような、他の特性を有するプロドラッグを与えるようにR3基をデザインすることもできる。これらの特徴を有するプロドラッグを与られる基は周知であり、例えば、Ettmayer et al. (2004) J. Med. Chem. 47: 2393-2404に記述されている。これらの参考文献に記述されているさまざまな基の全てを、本明細書に記述のプロドラッグに利用することができる。
所望の投与方法に対する任意の特定のプロ基の適合性は、生化学的アッセイにおいて確認することができる。例えば、プロドラッグが特定の組織または臓器への注射によって投与されることになっており、組織または臓器において発現される各種酵素の同一性が公知であるなら、単離された酵素による生化学的アッセイのなかで代謝について特定のプロドラッグを試験することができる。あるいは、組織および/または臓器抽出物を用いて活性な2,4-ピリミジンジアミン化合物への代謝について特定のプロドラッグを試験することができる。組織および/または臓器抽出物の使用は、標的の組織もしくは臓器において発現される酵素の同一性が不明である場合に、または単離された酵素が好都合に利用可能でない場合に特に好都合とすることができる。そのようなインビトロ試験を使った特定の用途に適した代謝特性(動態のような)を有するプロ基を当業者なら容易に選択することができよう。特異的なプロドラッグをインビトロ動物モデルでの適当な代謝について試験することもできよう。
他の局面において、本発明は式(II)の化合物を提供する:
Figure 0005207386
式中、X1はO、S、またはNR11であり;X2はOおよびSからなる群より選択され;X3およびX4はCHまたはNから独立して選択され;X5はCR12R13、O、S、SO、SO2、およびNR14からなる群より選択され、ここでR12およびR13はH、OH、低級アルキルから独立して選択されるか、または一緒になってオキソを形成し;かつR14はHまたは低級アルキルであり;Rは、各々が置換されていてもよい直鎖状または分枝状の、飽和または不飽和アルキル、アリル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、プレニルアルカリールおよびヘテロアリールアルキルからなる群より選択され;R1およびR2は各々、H、OH、-OR11、NR15R15、ハロ、低級アルキル、-C(O)O-アルキル、-C(O)OH、-OP(=O)(OR11)2、-OC(=O)OR11、-OC(=O)R11、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールからなる群より独立して選択されるかまたは一緒になってオキソを形成し、ここで各R15はH、低級アルキル、プレニル、アリル、-C(O)O-アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルカリールおよびアルクヘテロアリールから独立して選択されるか、またはR15の2つが結合して、置換されていてもよいシクロヘテロアルキルを形成し;R3は、各々が置換されていてもよいアリールまたはヘテロアリールであり;各R11は独立してHまたは低級アルキルであり;R4はNO2、フッ素、ハロゲン、CN、ハロアルキル、アルコキシ、カルボキシレート、CF3、CHF2、CH2F、CF3O-などのような電気陰性基であり;R5およびR6はH、低級アルキル、シクロアルキルまたはアリールから独立して選択され;R7、R8、R9、およびR10はH、OH、ハロゲン、低級アルキル、シクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より独立して選択され、または式中R7およびR8、もしくはR9およびR10は一緒になってオキソ基を形成し;かつnは0〜10の整数である。
他の局面において、本発明は式(III)の化合物を提供する:
Figure 0005207386
式中、X1はOまたはNR11であり;Rは直鎖状または分枝状の、飽和または不飽和アルキル、アリル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され;かつnは0〜10の整数である。したがって、例えば、Rはモルホリン、1-メチルピペリジン、ピペラジン、4-(3-プロパン-1-スルホン酸)ピペラジン-1-イル、ジメチルアミノ、トリプタミン、N-tert-ブチルアセチルトリプタミン(butylaceyltryptamine)、ホスフェート、メチルホスフェート、ジメチルホスフェート、ホスホネートなどでありうる。例示的なプロドラッグは実施例1〜10におよび図1に記述されている。
実施例1〜10において、(同様にスキーム1〜3に描かれているように)塩化カルバモイルを生成し、これを用いて本発明のプロドラッグを作出する。同様に、図1に描かれているように、ハロアルキルカルバメート中間体、例えば限定されるものではないが、カルバメートがN2-窒素にある中間体10を2,4-ピリミジンジアミンのさまざまな位置で作出し、本発明のプロドラッグにさらに転換することができる。例えば、クロロメチルエーテルカルバメートをピリジンのように、イミンと反応させて、ピリジニウム塩プロドラッグ11を作出することができる。もう一例を挙げれば、クロロメチルエーテルカルバメートをアルコールまたはアルコキシドと反応させて、アセタール-カルバメートプロドラッグ12を作出することができる。もう一例を挙げれば、クロロメチルエーテルカルバメートをホスホン酸銀塩と反応させて、混合ホスフェート-アセタール-カルバメートプロドラッグ13を作出することができる。もう一例を挙げれば、クロロメチルエーテルカルバメートをカルボン酸塩と反応させて、エステル-アセタール-カルバメートプロドラッグ14を作出することができる。
本明細書に記述の本発明の化合物は、プロドラッグを作出するようプロ基で遮蔽できる官能基を含みうることを当業者なら理解するであろう。そのようなプロドラッグは通常、必ずではないが、その活性な薬物形態に転換されるまで薬理学的に不活性である。本発明のプロドラッグでは、任意の利用可能な官能部分をプロ基で遮蔽して、プロドラッグを得ることができる。所望の使用条件の下で切断可能なプロ部分を得るようそのような官能基を遮蔽するのに適した無数のプロ基が当技術分野において公知である。
合成の方法
本発明の化合物は上記のように、イソオキサゾロアントロンを含む。この化合物はAldrich Chemical Co. (Milwaukee, Wis.)、Sigma Chemical Co. (St. Louis, Mo.)、もしくはMaybridge (Cornwall, England)のような、商業的供給源から得ることができ、またはこの化合物は合成することができる。本発明の化合物、および上記の方法のいずれかによって同定される異なる置換基を有する他の関連化合物は、例えば、March, ADVANCED ORGANIC CHEMISTRY 4th Ed., (Wiley 1992);Carey and Sundberg, ADVANCED ORGANIC CHEMISTY 3rd Ed., Vols. A and B (Plenum 1992)、およびGreen and Wuts, PROTECTIVE GROUPS IN ORGANIC SYNTHESIS 2nd Ed. (Wiley 1991)に記述されているような、当業者に公知の技術および材料を用いて合成することができる。本発明の化合物およびその中間体を調製するのに有用な出発材料は市販されており、または周知の合成方法により調製することができる(例えば、Harrison et al., 「Compendium of Synthetic Organic Methods」, Vols. 1-8 (John Wiley and Sons, 1971-1996);「Beilstein Handbook of Organic Chemistry」, Beilstein Institute of Organic Chemistry, Frankfurt, Germany;Feiser et al., 「Reagents for Organic Synthesis」, Volumes 1-21, Wiley Interscience;Trost et al., 「Comprehensive Organic Synthesis」, Pergamon Press, 1991;「Theilheimer's Synthetic Methods of Organic Chemistry」, Volumes 1-45, Karger, 1991;March, 「Advanced Organic Chemistry」, Wiley Interscience, 1991;Larock 「Comprehensive Organic Transformations」, VCH Publishers, 1989;Paquette, 「Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis」, 3d Edition, John Wiley & Sons, 1995を参照のこと)。本明細書に記述の化合物および/または出発材料の他の合成方法は、当技術分野において報告されており、または当業者には容易に明らかであろう。試薬および/または保護基の代替物は、上記の参考文献のなかでおよび当業者に周知の他の概論のなかで見出すことができる。適当な保護基を選択するための指針は、例えば、Greene & Wuts, 「Protective Groups in Organic Synthesis」, Wiley Interscience, 1999のなかで見出すことができる。したがって、本明細書において示される合成方法および戦略は、包括的ではなく例証である。
本明細書に記述の化合物および中間体は、市販の出発材料および/または従来の合成方法により調製された出発材料を用い種々の異なる合成経路を介して合成することができる。活性な2,4-ピリミジンジアミン化合物を合成するのに日常的に使用できるおよび/または適合できる適当な例示的方法は、米国特許第5,958,935号、2003年1月31日付で出願された米国特許出願第10/355,543号(US2004/0029902A1)、2003年1月31日付で出願された国際特許出願第PCT/US03/03022号(WO03/063794)、2003年7月29日付で出願された米国特許出願第10/631,029号、国際特許出願第PCT/US03/24087号(WO2004/014382)、2004年7月30日付で出願された米国特許出願第10/903,263号(US2005/0234049)および国際特許出願第PCT/US2004/24716号(WO2005/016893)のなかで見出すことができる。これらの活性な2,4-ピリミジンジアミン化合物は、プロドラッグを合成するために出発材料として使用することができる。
このように、例えば、カルバメート、チオカルバメート、または尿素結合を有する本発明の化合物は、以下のスキーム1に示される反応を用いて合成することができる:
Figure 0005207386
チオカルバメート、ジチオカルバメート、またはチオ尿素結合を有する本発明の化合物は、以下のスキーム2に示される反応を用いて合成することができる:
Figure 0005207386
チオカルバメート、ジチオカルバメート、またはチオ尿素結合を有する本発明の化合物の代替的な合成方法は以下のスキーム3に示される:
Figure 0005207386
本発明の化合物を合成するための本明細書に記述の手順は、保護および脱保護(例えば、アセタール基の形成および除去)の1つまたは複数の段階を含むことができる。さらに、以下に開示される合成手順はカラムクロマトグラフィー、フラッシュクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー(TLC)、再結晶、蒸留、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)などのような、種々の精製を含むことができる。同様に、プロトンおよび炭素-13核磁気共鳴(1Hおよび13C NMR)、赤外および紫外分光分析(IRおよびUV)、X線結晶解析、元素分析(EA)、HPLCならびに質量解析(MS)のような、化学反応生成物の同定および定量のための化学分野において周知のさまざまな技術を同じく使用することもできる。保護および脱保護、精製ならびに同定および定量の方法は化学分野において周知である。
適応症
本発明の化合物は、以下に限定されるものではないが、癌および関連疾患の予防または処置に有用である。本発明の化合物はSykキナーゼ阻害活性、Srcキナーゼ阻害活性、IGF-1R阻害活性などのような、キナーゼ阻害活性を有する。本発明の化合物は抗新生物剤として治療に有用である。
特定の2,4-ピリミジンジアミン化合物の活性を確認するのに適したインビトロのおよび細胞のアッセイは、2003年1月31日付で出願された米国特許出願第10/355,543号(US2004/0029902A1)、2003年1月31日付で出願された国際特許出願第PCT/US03/03022号(WO03/063794)、2003年7月29日付で出願された米国特許出願第10/631,029号、国際特許出願第PCT/US03/24087号(WO2004/014382)、2004年7月30日付で出願された米国特許出願第10/903,263号(US2005/0234049)および国際特許出願第PCT/US2004/24716号(WO2005/016893)に詳細に記述されている。
所望の使用条件の下で活性な2,4-ピリミジンジアミン化合物に代謝する特定のプロドラッグの能力は、前述のように、インビトロおよび/またはインビボアッセイにおいて確認することができる。
本発明の化合物は、膀胱癌、乳癌、結腸癌、腎臓癌、肝臓癌、肺癌(小細胞肺癌を含む)、食道癌、胆嚢癌、卵巣癌、膵臓癌、胃癌、頸部癌、甲状腺癌、前立腺癌、および皮膚癌(扁平上皮細胞癌を含む)のような癌腫;リンパ系の造血器腫瘍(白血病、急性リンパ性(lymphocitic)白血病、急性リンパ芽球性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、毛様細胞リンパ腫およびバーキットリンパ腫を含む);骨髄細胞系の造血器腫瘍(急性かつ慢性骨髄性白血病、骨髄異形成症候群および前骨髄球性白血病を含む);間葉由来の腫瘍(線維肉腫および横紋筋肉腫、ならびに他の肉腫、例えば軟組織肉腫および骨肉腫を含む);中枢および末梢神経系の腫瘍(星状細胞腫、神経芽細胞腫、神経膠腫および神経鞘腫を含む);かつ他の腫瘍(黒色腫、精上皮腫、奇形癌、骨肉腫、色素性乾皮症(xenoderoma pigmentosum)、角化棘細胞腫(keratoctanthoma)、甲状腺濾胞腺癌およびカポジ肉腫を含む)が挙げられるが、これらに限定されない、癌および転移を含む新生物の処置に有用でありうる。本発明の化合物は、固形腫瘍、肉腫(とりわけユーイング肉腫および骨肉腫)、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、神経芽細胞腫、白血病およびリンパ腫を含む造血器悪性腫瘍、腫瘍誘発性の胸膜または心膜浸出、ならびに悪性腹水のような癌関連の適応症の処置においても有用である。
本発明の化合物は同様に、アポトーシスを促進するのに有用でありうる。
本発明の化合物は同様に、他のタンパク質キナーゼ、例えばErbB、KDR、CDK-2、LCK、CDK-5、IKK、JNK3の阻害剤として働き、したがって他のタンパク質キナーゼと関連する疾患の処置において有効でありうる。
これらの化合物はヒトの処置に有用であることのほかに、哺乳類、齧歯類などを含め、伴侶動物、珍しい動物および家畜動物の獣医学的処置に有用でもある。より好ましい動物はウマ、イヌ、およびネコを含む。本明細書において用いられる場合、本発明の化合物は薬学的に許容されるその誘導体を含む。
用途および投与
本発明の化合物および/またはその組成物は、キナーゼによって引き起こされる動物およびヒトでの疾患の処置および/または予防において特定の用途がある。この状況で使用される場合、これらの化合物はそれ自体で投与されてもよいが、典型的には、薬学的組成物の形で処方され投与される。的確な組成は、数ある中でも、投与の方法に依って決まり、当業者には明らかであろう。多種多様な適当な薬学的組成物が、例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 20th ed., 2001に記述されている。
薬学的組成物は、例えば、局所投与、眼投与、経口投与、口腔投与、全身投与、経鼻投与、注射、経皮投与、直腸投与、膣投与などを含め、事実上すべての投与方法に適した形態、または吸入もしくは注入による投与に適した形態をとることができる。
経口投与に適した処方物は、(a)水、生理食塩水またはPEG400などの、希釈剤に懸濁された有効量の活性化合物のような、液体溶液;(b)各々が所定量の活性成分を、液体、固体、顆粒またはゼラチンとして含有するカプセル、小袋または錠剤;(c)適切な液体中の懸濁液;および(d)適当な乳濁液からなることができる。錠剤にはラクトース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、リン酸カルシウム、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、微結晶性セルロース、ゼラチン、コロイド状二酸化ケイ素、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、および他の賦形剤、着色剤、増量剤、結合剤、希釈剤、緩衝化、湿潤剤、保存剤、香料添加剤、色素、崩壊剤、ならびに薬学的に適合する担体の1つまたは複数が含まれてもよい。ロゼンジ剤には、香料、例えば、スクロースに入れた活性成分のほかに、活性成分に加え、当技術分野において公知の担体を含有する、ゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアカシア乳濁液、ゲルなどのような、不活性基剤に入れた活性成分を含むトローチが含まれてもよい。
選択の化合物は、単独でまたは他の適当な成分との併用で、吸入を介して投与されるエアロゾル処方物にすることができる(すなわち、それらを「噴霧する」ことができる)。エアロゾル処方物はジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素などのような、加圧型の許容される高圧ガスの中に入れることができる。
直腸投与に適した処方物は、例えば、坐剤基剤とともにパッケージ化された核酸からなる坐剤を含む。適当な坐剤基剤は天然または合成のトリグリセリドまたはパラフィン炭化水素を含む。さらに、例えば、液体トリグリセリド、ポリエチレングリコールおよびパラフィン炭化水素を含む、基剤との選択の化合物の組み合わせからなるゼラチン直腸用カプセルを使用することも可能である。
例えば、関節内(関節中)、静脈内、筋肉内、皮内、腹腔内および皮下経路によるような、非経口投与に適した処方物は、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤および対象とするレシピエントの血液と処方物を等張にする溶質を含有できる、水性および非水性の、無菌等張注射液、ならびに懸濁化剤、溶解剤、増粘剤、安定剤および保存剤を含むことができる水性および非水性の無菌懸濁液を含む。本発明の実践において、組成物は、例えば、静脈内注入により、経口的に、局所的に、腹腔内に、膀胱内にまたは髄腔内に投与することができる。非経口投与、経口投与、皮下投与および静脈内投与が好ましい投与方法である。適当な溶液処方物の具体的な例では、水の中に約0.5〜100 mg/mlの化合物および約1000 mg/mlのプロピレングリコールを含むことができる。適当な溶液処方物の別の具体的な例では、水の中に約0.5〜100 mg/mlの化合物および約800〜1000 mg/mlのポリエチレングリコール400 (PEG 400)を含むことができる。
適当な懸濁液処方物の具体的な例では、水の中に約0.5〜30 mg/mlの化合物、ならびに約200 mg/mlのエタノール、約1000 mg/mlの植物油(例えば、トウモロコシ油)、約600〜1000 mg/mlのフルーツジュース(例えば、グレープフルーツジュース)、約400〜800 mg/mlの牛乳、約0.1 mg/mlのカルボキシメチルセルロース(もしくは微結晶性セルロース)、約0.5 mg/mlのベンジルアルコール(もしくはベンジルアルコールおよび塩化ベンザルコニウムの組み合わせ)および約40〜50 mM緩衝液、pH 7 (例えば、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液もしくはクエン酸緩衝液または、あるいは5%デキストロースが緩衝液の代わりに使用されてもよい)からなる群より選択される1つまたは複数の賦形剤を含むことができる。
適当なリポソーム懸濁液処方物の具体的な例では、水の中に約0.5〜30 mg/mlの化合物、約100〜200 mg/mlのレシチン(または他のリン脂質もしくはリン脂質の混合物)および任意で約5 mg/mlのコレステロールを含むことができる。
化合物の処方物はアンプルおよびバイアルのような、単位用量または複数用量の密閉容器に入れて与えることができる。注射溶液および懸濁液は無菌粉末、顆粒、および上記の類の錠剤から調製することができる。
薬学的調製物は単位投与量剤形にあることが好ましい。このような形態では、調製物は、適切な量の活性成分を含有する単位用量に細分される。単位投与量剤形はパッケージ化された調製物であって、パケット化された錠剤、カプセル、およびバイアルまたはアンプル中の粉末のような、別個の量の調製物を含有するパッケージでありうる。同様に、単位投与量剤形はそのカプセル、錠剤、カシェ剤、もしくはロゼンジ剤であってもよく、またはそれは適切な数の、パッケージ化された形態でのこれらのいずれかであってもよい。組成物は、必要に応じて、以下にさらに詳細に論じられている他の適合する治療剤を含有することもできる。
治療的な使用においては、本発明の薬学的方法において利用される化合物は、治療的有用性を達成するのに適した投与量レベルで患者に投与される。治療的有用性とは、化合物の投与が長期にわたり患者において有益な効果をもたらすことを意味する。
ヒトへの投与に適した初期投与量は、インビトロアッセイまたは動物モデルから判定することができる。例えば、初期投与量は、インビトロアッセイで測定される場合、投与される特定の化合物のIC50を含んだ血清濃度を達成するように処方することができる。あるいは、ヒトに対する初期投与量は、疾患動物モデルにおいて有効であることが見出されている投与量に基づくことができる。一例として、初期投与量は約0.01 mg/kg/日〜約200 mg/kg/日の範囲にあってもよく、または約0.1 mg/kg/日〜約100 mg/kg/日、もしくは約1 mg/kg/日〜約50 mg/kg/日、もしくは約10 mg/kg/日〜約50 mg/kg/日を使用することもできる。しかしながら、これらの投与量は、患者の要求、処置される状態の重症度、および利用される化合物に応じて変化することがある。用量のサイズは同様に、特定の患者での特定の化合物の投与に付随して起こる任意の有害な副作用の存在、性質、および程度によって判定されるであろう。特定の状況に適した投与量の判定は、当業者の技術の範囲である。一般的に、処置は化合物の最適用量に満たない低投与量で開始される。その後、環境下での最適な効果が達成されるまで、投与量を少しずつ増やす。便宜上、1日の総投与量は必要に応じて、分割され、1日の間で分割投与されてもよい。
併用療法
本発明のある種の態様において、本発明の化合物および/またはその組成物は、少なくとも1つの他の治療剤との併用療法において使用することができる。本発明の化合物および/またはその組成物ならびに治療剤は、相加的にまたは、より好ましくは、相乗的に作用することができる。
本発明の化合物は単独活性の薬学的薬剤として投与されてもよいが、それらは同様に、1つもしくは複数の本発明の化合物または他の薬剤との併用で使用されてもよい。併用として投与される場合、治療剤は、同じ時点でもしくは異なる時点で連続的に投与される別々の組成物として処方されてもよく、または治療剤は単一の組成物として与えられてもよい。
本発明の化合物および他の薬学的薬剤の同時投与は、薬物併用の有益な効果をもたらすような投薬計画における連続的な形での各薬剤の投与を網羅するよう意図され、これらの活性薬剤の一定比率を有する単一カプセルでのまたは各薬剤に対する複数の、別々のカプセルでのような、実質的に同時の形でのこれらの薬剤の同時投与を同様に網羅するよう意図される。
具体的には、本発明の化合物の投与は、放射線療法との併用または細胞増殖抑制剤もしくは細胞毒性剤との併用のような、新生物の予防または処置において当業者に公知の付加療法との併用でありうる。
一定用量として処方されるなら、そのような併用物では、一般に認められた投与量範囲のなかで本発明の化合物を利用する。式I、II、またはIIIの化合物は同様に、併用処方物が不適切である場合には公知の抗癌剤または細胞毒性剤とともに連続的に投与されてもよい。本発明は投与の順序において限定されることはない;式Iの化合物は公知の抗癌剤または細胞毒性剤の投与の前かまたは後のいずれかに投与することができる。
商業的使用に、臨床的評価におよび前臨床的開発に利用可能な数多くの抗新生物剤が存在しており、これらは併用薬物化学療法による新生物の処置のために選択されよう。このような抗新生物剤はいくつかの主要な部類、すなわち、抗生物質型の薬剤、アルキル化剤、代謝拮抗剤、ホルモン剤、免疫学的薬剤、インターフェロン型の薬剤および混合型の薬剤の部類に分けられる。
1つの局面において、本発明の化合物は、抗代謝型/チミジル酸(thymidilate)合成酵素阻害抗新生物剤と同時に投与することができる。適当な代謝拮抗性抗新生物剤は、限定されるものではないが、5-FU-フィブリノゲン、アカンチホリック酸(acanthifolic acid)、アミノチアジアゾール、ブレキナルナトリウム、カルモフール、Ciba-Geigy CGP-30694、シクロペンチルシトシン、シタラビンホスフェートステアレート、デザグアニン、ジデオキシシチジン、ジデオキシグアノシン、ジドックス、ドキシフルリジン、ファザラビン、フロクスウリジン、イソプロピルピロリジン、メトトレキセート、ウリシチンなどからなる群より選択することができる。
他の局面において、本発明の化合物は、アルキル化型の抗新生物剤と同時に投与することができる。適当なアルキル化型の抗新生物剤は、限定されるものではないが、アルトレタミン、アナキシロン、ベストラブシル、ブドチタン、カルボプラチン、カルムスチン、クロランブシル、シスプラチン、シクロホスファミド、細胞増殖抑制性の二白金化合物(diplatinum cytostatic)、エルムスチン、ホテムスチン、タウロムスチン、テモゾロミド、テロキシロン、テトラプラチン、トリメラモールなどからなる群より選択することができる。
1つの局面において、本発明の化合物は、抗生物質型の抗新生物剤と同時に投与することができる。適当な抗生物質型の抗新生物剤は、限定されるものではないが、アクラルビシン、アクチノマイシンD、アクチノプラノン、アントラサイクリン、硫酸ブレオマイシン、ブリオスタチン-1、カリケマイシン、クロモキシマイシン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ドキソルビシン-フィブリノーゲン、アーブスタチン、エソルビシン、グリドバクチン、ハービマイシン、イダルビシン、イルジン、オキサリジン、オキザウノマイシン、スパルゾマイシン、トラジン、ゾルビシンなどからなる群より選択することができる。
1つの局面において、本発明の化合物は、限定されるものではないがa-カロテン、a-ジフルオロメチル-アルギニン、アシトレチン、アモナフィド、アンキノマイシン、アンチネオプラストンA5、アスパラギナーゼ、アバロール、ブロモホスファミド、カラセミド、クラビリデノン、サイトカラシンB、シタラビン、サイトシチン、ダカルバジン、パクリタキセル、エファモルポルフィリン(Efamol porphyrin)、スピロゲルマニウム、タキソール、タリブラスチン、硫酸ビンブラスチンなどからなる群より選択される、チューブリン相互作用剤、トポイソメラーゼII阻害剤、トポイソメラーゼI阻害剤およびホルモン剤を含めた、その他の抗新生物剤と同時に投与することができる。
本発明は、ホスホリル転移を触媒しかつ/またはATP/GTPヌクレオチドを結合する酵素の阻害剤、これらの阻害剤を含む組成物、ならびにこれらの阻害剤および阻害剤組成物を使用する方法に関する。これらの阻害剤およびそれらを含む組成物は、キナーゼを含め、ホスホリルトランスフェラーゼが関与しうる疾患、このような疾患の症状、またはキナーゼを含め、ホスホリルトランスフェラーゼによって媒介される他の生理学的事象の影響を処置または調節するのに有用である。本発明は同様に、阻害化合物を作出する方法およびキナーゼを含め、1つまたは複数のホスホリルトランスフェラーゼの活性が関与する疾患を処置する方法を提供する。
あるいは、本発明の化合物は同様に、p38阻害剤およびCDK阻害剤、TNF阻害剤、メタロマトリックスプロテアーゼ阻害剤(MMP)、イレッサなどのEGFR阻害剤、KDR阻害剤、セレコキシブ、ロフェコキシブ、パレコキシブ、バルデコキシブおよびエトリコキシブを含むCOX-2阻害剤、NSAID's、SOD模倣体またはavβ3阻害剤を含む他のキナーゼ阻害剤のような、他の抗新生物剤とともに共療法において使用されてもよい。
他の具体的な例として、本発明の化合物および/またはその組成物は、リボビリンおよびインターフェロンの両方との併用で投与することができる。
実施例
以下の例は例証としてのみ与えられるものであり、限定として与えられるものではない。本質的に類似の結果を得るように変更または改変されうる種々の重要でないパラメータを当業者なら容易に認識するであろう。
これらの例は例証の目的でのみ与えられており、決して本発明の範囲を限定することを意図するものではない。使用される数字(例えば、量、温度など)に関して正確さを確保するよう努力が成されたが、若干の実験の誤差および偏差が、もちろん、考慮されるべきである。
実施例1
N2-クロロカルボニル-N4-(2,2-ジメチル-3-オキソ-4H-5-ピリド[1,4]オキサジン-6-イル)-5-フルオロ-N2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2,4-ピリミジンジアミンの合成
Figure 0005207386
0℃でN4-(2,2-ジメチル-3-オキソ-4H-5-ピリド[1,4]オキサジン-6-イル)-5-フルオロ-N2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2,4-ピリミジンジアミン(2.5 g, 5.31 mmol)およびトリホスゲン(1.67 g, 5.62 mmol)のジクロロエタン(dicholoroethane) (20 mL)淡黄色撹拌混合物に、ジクロロエタン(10 mL)中のNEt3 (1.08 g, 1.5 mL, 10.76 mmol)を窒素雰囲気下で10分間滴下した。橙色の反応混合物を0℃で15分間撹拌させた後に、終夜90℃で還流した。不均質な茶橙色の反応混合物を室温に冷却した。反応混合物をEtOAc (75 mL)で希釈した。生じた白色固体沈殿物を濾過した。白色固形物を回収し、水で処理し、濾過し、乾燥してN2-クロロカルボニル-N4-(2,2-ジメチル-3-オキソ-4H-5-ピリド[1,4]オキサジン-6-イル)-5-フルオロ-N2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2,4-ピリミジンジアミン(1.75 g, 61%)を得た。
Figure 0005207386
カルバメートおよびチオカルバメートの調製のための一般的手順:
実施例1において調製されたN2-クロロカルボニル-N4-(2,2-ジメチル-3-オキソ-4H-5-ピリド[1,4]オキサジン-6-イル)-5-フルオロ-N2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2,4-ピリミジンジアミン(1当量)を乾燥CH2Cl2 (4.8 mL/mmol)に溶解し、アルコール(カルバメートの場合)またはチオール(チオカルバメートの場合) (2当量)、NEt3 (7当量)およびDMAP (0.1当量)を室温で窒素雰囲気下、連続的に添加した。内容物を室温で撹拌させ、反応混合物の経過をLC/MSによりモニターした。反応混合物を塩化カルバモイルの消費によって濃縮した。粗濃縮物を水性NaHCO3で処理し、得られた沈殿固体を濾過し、水で洗浄し、乾燥し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーまたは分取HPLCのいずれかにより精製した。
実施例2
N4-(2,2-ジメチル-3-オキソ-4H-5-ピリド[1,4]オキサジン-6-イル)-5-フルオロ-N2-[[2-(モルホリン-4-イル)エトキシ]カルボニル]-N2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2,4-ピリミジンジアミンの合成
Figure 0005207386
N4-(2,2-ジメチル-3-オキソ-4H-5-ピリド[1,4]オキサジン-6-イル)-5-フルオロ-N2-[[2-(モルホリン-4-イル)エトキシ]カルボニル]-N2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2,4-ピリミジンジアミンを4-(2-ヒドロキシエチル)モルホリンおよびN2-クロロカルボニル-N4-(2,2-ジメチル-3-オキソ-4H-5-ピリド[1,4]オキサジン-6-イル)-5-フルオロ-N2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2,4-ピリミジンジアミンから調製した。反応混合物の濃縮、引き続き水性NaHCO3での処理の後に得られた粗固体をNEt3処理シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。
Figure 0005207386
実施例3
4-(2,2-ジメチル-3-オキソ-4H-5-ピリド[1,4]オキサジン-6-イル)-5-フルオロ-N2-[[1-メチル-ピペリジン-2-イル)メトキシ]カルボニル]-N2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2,4-ピリミジンジアミンの合成
Figure 0005207386
4-(2,2-ジメチル-3-オキソ-4H-5-ピリド[1,4]オキサジン-6-イル)-5-フルオロ-N2-[[1-メチル-ピペリジン-2-イル)メトキシ]カルボニル]-N2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2,4-ピリミジンジアミンを一般的な手順に記述されているのと同じような方法でN2-クロロカルボニル-N4-(2,2-ジメチル-3-オキソ-4H-5-ピリド[1,4]オキサジン-6-イル)-5-フルオロ-N2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2,4-ピリミジンジアミンおよび1-メチル-2-ピペリジンメタノールから調製した。一般的な仕上げ(workup)後に得られたオフホワイト色の粗固体をHPLC精製に供した。
Figure 0005207386
実施例4
2S-N2-[[2-(t-ブトキシカルボニル)アミノ-3-(1H-インドール-3-イル)]プロポキシカルボニル]-N4-(2,2-ジメチル-3-オキソ-4H-5-ピリド[1,4]オキサジン-6-イル)-5-フルオロ-N2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2,4-ピリミジンジアミンの合成
Figure 0005207386
2S-N2-[[2-(t-ブトキシカルボニル)アミノ-3-(1H-インドール-3-イル)]プロポキシカルボニル]-N4-(2,2-ジメチル-3-オキソ-4H-5-ピリド[1,4]オキサジン-6-イル)-5-フルオロ-N2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2,4-ピリミジンジアミンをNα-(t-ブトキシカルボニル)-L-トリプトファノールおよびN2-クロロカルボニル-N4-(2,2-ジメチル-3-オキソ-4H-5-ピリド[1,4]オキサジン-6-イル)-5-フルオロ-N2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2,4-ピリミジンジアミンから調製した。仕上げ後に回収された白色の粗固体をNEt3処理シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製した。
Figure 0005207386
実施例5
2S-N2-[[2-アミノ-3-(1H-インドール-3-イル)]プロポキシカルボニル]-N4-(2,2-ジメチル-3-オキソ-4H-5-ピリド[1,4]オキサジン-6-イル)-5-フルオロ-N2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2,4-ピリミジンジアミンの合成
Figure 0005207386
トリフルオロ酢酸(trifluoracetic acid) (0.04 mL, 59 mg, 0.519 mmol)を0℃で2S-N2-[[2-アミノ-3-(1H-インドール-3-イル)]プロポキシカルボニル]-N4-(2,2-ジメチル-3-オキソ-4H-5-ピリド[1,4]オキサジン-6-イル)-5-フルオロ-N2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2,4-ピリミジンジアミン(93 mg, 0.118 mmol)のCH2Cl2 (5 mL)撹拌溶液に添加した。反応の経過をLC/MSによりモニターした。反応混合物を0℃で1時間撹拌した後に反応混合物を濃縮した。この粗精製物を無水Et2Oで粉砕した。エーテル層をデカントし、乾燥してオフホワイト色の固体を得た。得られた固体をHPLCにより精製して、N2-[[[(2S)-2-アミノ-3-(1H-インドール-3-イル)]プロポキシ]カルボニル]-N4-(2,2-ジメチル-3-オキソ-4H-5-ピリド[1,4]オキサジン-6-イル)-5-フルオロ-N2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2,4-ピリミジンジアミン26 mg (32%)を白色の固体として得た。LCMS: 保持時間: 9.34分;純度: 92%;MS (m/e): 687 (MH+)。
実施例6
N4-(2,2-ジメチル-3-オキソ-4H-5-ピリド[1,4]オキサジン-6-イル)-5-フルオロ-N2-[2-[4-(3-スルホプロピル)ピペリジン-1-イル]エトキシカルボニル]-N2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2,4-ピリミジンジアミンの合成
Figure 0005207386
N4-(2,2-ジメチル-3-オキソ-4H-5-ピリド[1,4]オキサジン-6-イル)-5-フルオロ-N2-[2-[4-(3-スルホプロピル)ピペリジン-1-イル]エトキシカルボニル]-N2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2,4-ピリミジンジアミンをCH3CN中のN2-クロロカルボニル-N4-(2,2-ジメチル-3-オキソ-4H-5-ピリド[1,4]オキサジン-6-イル)-5-フルオロ-N2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2,4-ピリミジンジアミンおよび4-(2-ヒドロキシエチル)-ピペラジンプロパンスルホン酸(EPPS)から一般的な手順に記述されているのと同じような方法で調製した。反応混合物を濃縮し、水で希釈した。沈殿した固体を濾過し、乾燥し、分取HPLCにより精製した。
Figure 0005207386
実施例7
N2-[2-(ジメチルアミノ)エトキシカルボニル]-N4-(2,2-ジメチル-3-オキソ-4H-5-ピリド[1,4]オキサジン-6-イル)-5-フルオロ-N2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2,4-ピリミジンジアミンの合成
Figure 0005207386
N2-[2-(ジメチルアミノ)エトキシカルボニル]-N4-(2,2-ジメチル-3-オキソ-4H-5-ピリド[1,4]オキサジン-6-イル)-5-フルオロ-N2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2,4-ピリミジンジアミンをN2-クロロカルボニル-N4-(2,2-ジメチル-3-オキソ-4H-5-ピリド[1,4]オキサジン-6-イル)-5-フルオロ-N2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2,4-ピリミジンジアミンおよびN,N-ジメチルエタノールアミンから調製した。得られた粗固体を分取HPLCにより精製した。
Figure 0005207386
実施例8
1S-N2-[[-1-(t-ブトキシカルボニル)-2-メチルプロピル]アミノカルボニル]-N4-(2,2-ジメチル-3-オキソ-4H-5-ピリド[1,4]オキサジン-6-イル)-5-フルオロ-N2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2,4-ピリミジンジアミンの合成
Figure 0005207386
1S-N2-[[-1-(t-ブトキシカルボニル)-2-メチルプロピル]アミノカルボニル]-N4-(2,2-ジメチル-3-オキソ-4H-5-ピリド[1,4]オキサジン-6-イル)-5-フルオロ-N2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2,4-ピリミジンジアミンを一般的な手順に記述されているのと同じような方法でN2-クロロカルボニル-N4-(2,2-ジメチル-3-オキソ-4H-5-ピリド[1,4]オキサジン-6-イル)-5-フルオロ-N2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2,4-ピリミジンジアミンおよびL-バリンt-ブチルエステル塩酸塩から調製した。
Figure 0005207386
実施例9
N2-[2-(カルボキシメチル)アミノカルボニル]-N4-(2,2-ジメチル-3-オキソ-4H-5-ピリド[1,4]オキサジン-6-イル)-5-フルオロ-N2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2,4-ピリミジンジアミンの合成
Figure 0005207386
N2-[2-(カルボキシメチル)アミノカルボニル]-N4-(2,2-ジメチル-3-オキソ-4H-5-ピリド[1,4]オキサジン-6-イル)-5-フルオロ-N2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2,4-ピリミジンジアミンをグリシンおよびN2-クロロカルボニル-N4-(2,2-ジメチル-3-オキソ-4H-5-ピリド[1,4]オキサジン-6-イル)-5-フルオロ-N2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2,4-ピリミジンジアミンから一般的な手順に記述されているのと同じように調製した。濃縮された粗反応混合物を1 N水性HClで処理した。沈殿した固体を乾燥し、分取HPLCにより精製した。
Figure 0005207386
実施例10
(+/-)-N4-(2,2-ジメチル-3-オキソ-4H-5-ピリド[1,4]オキサジン-6-イル)-5-フルオロ-N2-[[1(1-ピリジニウム)エトキシ)カルボニル]]-N2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2,4-ピリミジンジアミンヨウ化物塩の合成
Figure 0005207386
中間体の(+/-)-N2-(1-クロロエトキシカルボニル)-N4-(2,2-ジメチル-3-オキソ-4H-5-ピリド[1,4]オキサジン-6-イル)-5-フルオロ-N2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2,4-ピリミジンジアミンを最初に合成した。-78℃でN4-(2,2-ジメチル-3-オキソ-4H-5-ピリド[1,4]オキサジン-6-イル)-5-フルオロ-N2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2,4-ピリミジンジアミン(250 mg, 0.53 mmol)およびi-Pr2NEt (0.14 mL, 102 mg, 0.78 mmol)のジクロロエタン(dicholoroethane) (10 mL)撹拌混合物に、クロロギ酸1-クロロエチル(0.07 mL, 90 mg, 0.638 mmol)を窒素雰囲気下で5分かけて滴下した。1時間後に、反応混合物を-78℃にてEtOAc (10 mL)で希釈した。反応混合物を撹拌しながら室温に加温させた。内容物を室温で1時間撹拌した後に薄茶色透明の反応混合物から固体が沈殿した。反応混合物を濃縮し、水(15 mL)で希釈した。沈殿した固体を濾過し、乾燥して、(+/-)-N2-(1-クロロエトキシカルボニル)-N4-(2,2-ジメチル-3-オキソ-4H-5-ピリド[1,4]オキサジン-6-イル)-5-フルオロ-N2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2,4-ピリミジンジアミン(250 mg, 81%)を得た。
Figure 0005207386
(+/-)-N4-(2,2-ジメチル-3-オキソ-4H-5-ピリド[1,4]オキサジン-6-イル)-5-フルオロ-N2-[[1(1-ピリジニウム)エトキシ)カルボニル]]-N2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2,4-ピリミジンジアミンヨウ化物塩の合成
アセトン中の(+/-)-N2-(1-クロロエトキシカルボニル)-N4-(2,2-ジメチル-3-オキソ-4H-5-ピリド[1,4]オキサジン-6-イル)-5-フルオロ-N2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2,4-ピリミジンジアミン(50 mg, 0.086 mmol)、ピリジン(34 mg, 0.43 mmol)およびNaI (129 mg, 0.86 mmol)を室温で24時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、水(5 mL)およびEtOAc (5 mL)で希釈した。沈殿物(薄茶色)を濾過し、乾燥して、所望の生成物(+/-)-N4-(2,2-ジメチル-3-オキソ-4H-5-ピリド[1,4]オキサジン-6-イル)-5-フルオロ-N2-[[1(1-ピリジニウム)エトキシ)カルボニル]]-N2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2,4-ピリミジンジアミンヨウ化物塩を得た。LCMS: 保持時間: 8.82分;純度: 90%;MS (m/e): 620 (M+)。残存する不純物はN4-(2,2-ジメチル-3-オキソ-4H-5-ピリド[1,4]オキサジン-6-イル)-5-フルオロ-N2-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-2,4-ピリミジンジアミンと特徴付けられた。
実施例11
化合物の薬物動態および代謝
化合物はPEG-400を媒体として用い4〜5 mg/kgの用量で経口的にラットに投与した。選択した化合物を同様に、1 mg/kgの用量でIVボーラスとして投与した。血漿サンプルを門静脈および頸静脈のいずれかより得て、上記例において合成されたピリミジン-2,4-ジアミン親化合物とプロドラッグ化合物の両方についてLC/MS/MSにより分析した。頸静脈サンプルにおけるピリミジン-2,4-ジアミンのAUCおよびピリミジン-2,4-ジアミンのIVボーラス用量のAUCを用いて、生物学的利用能を計算した。選択の化合物に対し、門静脈サンプルをそのプロドラッグとピリミジン-2,4-ジアミンの両方について評価し、この情報を使用して、経口的に投与された用量の吸収割合を測定した。ラットにおける化合物のインビボ評価の結果を表1に示す。
(表1)sprague-dawley系ラットにおける化合物の薬物動態の概要
Figure 0005207386
1 頸静脈サンプルにおけるピリミジン-2,4-ジアミン濃度に基づき計算された%F。
2 4 mg/kgの経口用量またはプロドラッグ後の血漿におけるピリミジン-2,4-ジアミンの最も高い観測濃度。
3 次式に基づき計算された:
% 吸収 = (経口投与後の門静脈におけるプロドラッグのAUC/IV投与後の頸静脈におけるプロドラッグの(or) AUC)(IV用量/e)100
ラットにおいて経口的に評価されたプロドラッグの多くが表1(% FおよびCmax)に示されるように体循環中でのピリミジン-2,4-ジアミンの存在を示す。このように、インビボ試験から、プロドラッグ部分がインビボにおいて酵素的に切断され、ピリミジン-2,4-ジアミン親分子の体循環をもたらすことが実証される。
選択の化合物をラットおよびヒト肝ミクロソーム中でインキュベートし(NADPH有りまたは無しで)、そのプロドラッグとピリミジン-2,4-ジアミンの両方についてLC/MS/MSにより分析した。肝ミクロソーム試験においてインビトロで評価された化合物の結果を表2に記載する。
(表2)肝ミクロソーム中でのプロドラッグの代謝的安定性
Figure 0005207386
4 NASDPHの存在下におけるプロドラッグの半減期
5 NADPHの非存在下においてミクロソーム中で化合物をインキュベートすることにより測定された。一覧表の中の化合物の全てがNADPHの非存在下において安定的であった。
試験をミクロソーム中で行って、プロドラッグ部分がCYP450酵素により加水分解されうるかどうかを判定した。実施例2、3、および8において調製された化合物の使用の結果は、プロドラッグ部分のP450依存的切断の明らかな証拠となる。ミクロソームは、ラットおよびヒト肝臓に存在する細胞質内酵素の多くを欠くため、ミクロソームインキュベーションにおいてピリミジン-2,4-ジアミンを検出できないことで、インビボでの変換が排除されることはない。
本明細書において引用される全ての刊行物および特許出願は、それぞれ個々の刊行物または特許出願が具体的かつ個別的に参照により組み入れられることが示されるかのごとく参照により本明細書に組み入れられる。
前述の発明は理解を明確にする目的で例証および実例によって幾分詳細に記述されているが、本発明の開示に照らして、添付されている特許請求の範囲に定義の本発明の趣旨または範囲から逸脱することなくある種の変更および修正を本発明に加えられることが当業者には容易に明らかであろう。
ピリミジン-2,4-ジアミンのカルバメート由来のプロドラッグを例証する。

Claims (37)

  1. 式(II)の化合物またはその塩:
    Figure 0005207386

    式中、X1がO、S、およびNR11からなる群より選択され、ここでR11がHまたは低級アルキルであり;
    X2がOまたはSであり;
    X3 がNであり
    X 4 がCHであり;
    X5Oであり;
    Rが直鎖状または分枝状の、飽和または不飽和のアルキル、アリル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、プレニルアルカリールおよびヘテロアリールアルキルからなる群より選択され;
    R1およびR2が各々、H、OH、-OR11、NR15R15、ハロ、低級アルキル、-C(O)O-アルキル、-C(O)OH、-OP(=O)(OR11)2、-OC(=O)OR11、-OC(=O)R11、シクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より独立して選択されるかまたは一緒になってオキソを形成し、ここで各R15がH、低級アルキル、プレニル、アリル、-C(O)O-アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルカリールおよびアルクヘテロアリールからなる群より独立して選択されるか、またはR15の2つが結合して、置換されていてもよいシクロヘテロアルキルを形成し;
    R33,4,5-トリメトキシフェニルであり;
    R4Fであり;
    R5およびR6独立してH、低級アルキル、シクロアルキルまたはアリールであり
    R 9 およびR10メチルであり;
    R 7およびR8 一緒になってオキソ基を形成し;かつ
    nが0〜10の整数である。
  2. X1がOである、請求項1記載の化合物またはその塩
  3. X2がOである、請求項2記載の化合物またはその塩
  4. R5およびR6がHである、請求項1〜3のいずれか一項記載の化合物またはその塩
  5. Rがシクロヘテロアルキルである、請求項1〜4のいずれか一項記載の化合物またはその塩
  6. Rが置換もしくは非置換モルホリン、または置換もしくは非置換ピロリジンである、請求項5記載の化合物またはその塩
  7. Rがヘテロアリールである、請求項1〜4のいずれか一項記載の化合物またはその塩
  8. ヘテロアリールが置換または非置換インドールである、請求項7記載の化合物またはその塩
  9. Rがアセテート、アミノ、およびジアルキルアミノからなる群より選択される、請求項1〜4のいずれか一項記載の化合物またはその塩
  10. nが1、2、または3である、請求項1〜9のいずれか一項記載の化合物またはその塩
  11. X1がNR11である、請求項1記載の化合物またはその塩
  12. X2がOである、請求項11記載の化合物またはその塩
  13. X2がSである、請求項11記載の化合物またはその塩
  14. X1がSである、請求項1記載の化合物またはその塩
  15. X2がOである、請求項14記載の化合物またはその塩
  16. 式(III)の化合物またはその塩:
    Figure 0005207386

    式中、Rが直鎖状または分枝状の、飽和または不飽和のアルキル、アリル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より選択され;
    X 1 がOまたはNR 11 であり;
    R11がHまたは低級アルキルであり;かつ
    nが0〜10の整数である。
  17. Rがモルホリンである、請求項16記載の化合物またはその塩
  18. Rが1-メチルピペリジンである、請求項16記載の化合物またはその塩
  19. Rがピペラジンまたは3-ピペラジンプロパンスルホネートである、請求項16記載の化合物またはその塩
  20. Rがジメチルアミンである、請求項16記載の化合物またはその塩
  21. RがトリプタミンまたはN-tert-ブチルアセチルトリプタミン(butylaceyltryptamine)である、請求項16記載の化合物またはその塩
  22. nが0、1、2、または3である、請求項16記載の化合物またはその塩
  23. 式(II)の化合物またはその塩の有効量を含む、キナーゼ阻用の組成物:
    Figure 0005207386

    式中、X1がO、S、およびNR11からなる群より選択され、ここでR11がHまたは低級アルキルであり;
    X2がOまたはSであり;
    X3 がNであり
    X 4 がCHであり;
    X5Oであり;
    Rが直鎖状または分枝状の、飽和または不飽和のアルキル、アリル、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、ヘテロアリール、プレニルアルカリールおよびヘテロアリールアルキルからなる群より選択され;
    R1およびR2が各々、H、OH、-OR11、NR15R15、ハロ、低級アルキル、-C(O)O-アルキル、-C(O)OH、-OP(=O)(OR11)2、-OC(=O)OR11、-OC(=O)R11、シクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群より独立して選択されるかまたは一緒になってオキソを形成し、ここで各R15がH、低級アルキル、プレニル、アリル、-C(O)O-アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アルカリールおよびアルクヘテロアリールからなる群より独立して選択されるか、またはR15の2つが結合して、置換されていてもよいシクロヘテロアルキルを形成し;
    R33,4,5-トリメトキシフェニルであり;
    R4Fであり;
    R5およびR6独立してH、低級アルキル、シクロアルキルまたはアリールであり
    R 9 およびR10メチルであり;
    R 7およびR8 一緒になってオキソ基を形成し;かつ
    nが0〜10の整数である。
  24. 化合物が下記式:
    Figure 0005207386

    によるものまたはその塩である、請求項23記載の組成物
  25. 化合物が下記式:
    Figure 0005207386

    によるものまたはその塩である、請求項23記載の組成物
  26. 化合物が下記式:
    Figure 0005207386

    によるものまたはその塩である、請求項23記載の組成物
  27. 化合物が下記式:
    Figure 0005207386

    によるものまたはその塩である、請求項23記載の組成物
  28. 化合物が下記式:
    Figure 0005207386

    によるものまたはその塩である、請求項23記載の組成物
  29. 化合物が下記式:
    Figure 0005207386

    によるものまたはその塩である、請求項23記載の組成物
  30. 化合物が下記式:
    Figure 0005207386

    によるものまたはその塩である、請求項23記載の組成物
  31. キナーゼがチロシンキナーゼである、請求項23〜30のいずれか一項記載の組成物
  32. チロシンキナーゼがSykキナーゼである、請求項31記載の組成物
  33. 請求項1〜22のいずれか一項記載の化合物またはその許容される塩、N-酸化物、水和物、もしくは溶媒和物の有効量と、薬学的に許容される担体または希釈剤とを含む、被験体におけるキナーゼと関連する疾病処置または予防用の組成物
  34. 疾病が癌である、請求項33記載の組成物
  35. 癌が乳癌、結腸癌、肺癌、前立腺癌、またはリンパ系の造血器腫瘍である、請求項34記載の組成物
  36. 被験体が家畜動物である、請求項33〜35のいずれか一項記載の組成物
  37. 被験体がヒトである、請求項33〜35のいずれか一項記載の組成物
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