JP5206671B2 - ポリオールの製造方法および該ポリオール - Google Patents

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Description

本発明は、ポリオールの製造方法および該製造方法により製造されたポリオールに関する。
地球温暖化という最も大きな環境問題に対する方策として、大気中への二酸化炭素の排出量の削減が強く求められている。石油や石炭等の資源を利用する従来の化学工業では、資源の燃焼によって二酸化炭素の排出量を増大させてしまう。しかし、天然油である動植物油等のバイオマスを利用すれば、二酸化炭素の排出量が低く抑えられる。バイオマスとしては、動植物油やその変性物に限らず、植物の発酵により得られる乳酸、環状エステルであるラクチド、ポリ乳酸等も使用される。
ところで、フォーム、樹脂、エラストマー、塗料、接着剤等のポリウレタン製品は、ポリオールとポリイソシアネートとを主原料として製造される。また、ポリオールは種々の油剤の原料としても広く用いられている。従来では、用いられるポリオールは石油由来であった。これまでに、原料であるポリオールの少なくとも一部を疎水性の植物油由来のポリオールとし、製品の耐水熱性を向上させる技術が提案されている。しかし、二酸化炭素の排出量の低減を考慮した、原料中のバイオマスの割合の向上がなされた例は少ない。
自動車シート用クッションに用いられるポリウレタンフォームでは、原料の少なくとも一部を植物油由来のポリオールとする技術が提案されている。この技術により、焼却処分する際の二酸化炭素の排出量を低く抑えると同時に、従来の石油由来の原料を用いたものと機械的物性においても同等であるポリウレタンフォームが得られる(特許文献1〜3参照)。
原料として用いる植物油由来のポリオールが、他のポリエーテルポリオールと混合させて用いられれば、得られるポリウレタンの物性の種類が豊富になる。しかし、植物油由来のポリオールは、一般的に親水性が高くないため、他のポリエーテルポリオールとの相溶性が低い。また、植物油は構造が限定されているため、高分子量化した植物油由来のポリオールが得られれば、様々な物性を有するポリウレタン製品が製造できる。また、水酸基とイソシアネート基との反応は、一級水酸基の活性が最も高い。そのため、ポリオールが一級水酸基を多く有するほど、ポリイソシアネートとの反応性が高くなる。
そこで、植物油由来のポリオールであるひまし油に、プロピレンオキシドまたはエチレンオキシドを開環付加させる技術が提案されている(特許文献2〜4参照)。ひまし油はリシノレイン酸グリセリドを主成分とし、そのリシノレイン酸が二級水酸基を1つ有している。動植物油由来で水酸基を有するのはひまし油だけである。ひまし油は、天然油由来のポリオールの開始剤として有用である。特許文献2〜4の技術では、この二級水酸基にプロピレンオキシドまたはエチレンオキシドを開環付加させる。これにより、ひまし油にポリエーテル鎖を導入できる。得られたポリオールは、他のポリエーテルポリオールとの相溶性が改善できる。また、プロピレンオキシドまたはエチレンオキシドの開環付加によりひまし油を高分子量化できる。また、二級水酸基を一級水酸基に変換できるため、ポリイソシアネートとの反応性の高いポリオールが得られる。以下、製造されたポリオールが有する水酸基のうち一級水酸基の割合を一級化率と言う。
また、水素化ひまし油1モル(mol)にエチレンオキシドを40〜300モル(mol)開環付加させたポリオキシエチレン硬化ひまし油は、界面活性剤として幅広く使用されている(特許文献5参照)。
このような、ひまし油または水素化ひまし油等へのアルキレンオキシドの開環付加反応の触媒としては、通常、アルカリ触媒である水酸化カリウムや水酸化ナトリウム等のアルカリ金属化合物が用いられる。しかし、アルカリ金属化合物ではアルキレンオキシドの反応速度が遅い。一方、反応速度を高めるために触媒使用量を多くすると、反応後の触媒の除去等の処理が煩雑になる。また、アルカリ金属化合物を使用した場合には、ひまし油が有するエステル結合で開裂やエステル交換反応が起こるため、製造されたポリオールが脂肪酸の低分子縮合物等の副生物を多く含む(特許文献6参照)。
また、ポリエステルポリオールへのアルキレンオキシドの開環付加反応では、触媒としてBFエーテル錯体のような酸触媒が使用される。しかし、この場合にも、ポリエステルポリオール内のエステル結合で開裂が起きるため、高分子量のポリエステルポリオールの製造が難しい。そのため、この触媒の存在下、ひまし油を開始剤としてポリオールを製造すると、分解による低分子量の副生物が生じる。
一方、アルカリ触媒でも酸触媒でもない、複合金属シアン化物錯体触媒を用いた、ひまし油または変性ひまし油にアルキレンオキシドを開環付加させる、分子量分布の狭いポリオールの製造方法がある(特許文献7参照)。ここで、変性ひまし油とは、ひまし油をエステル交換反応、水素添加反応、ナトリウム還元反応等の処理を施して得られるものである。しかし、この特許文献7の技術では、アルキレンオキシドとしてエチレンオキシドを使用した場合に、ひまし油または変性ひまし油が有する複数の水酸基に、エチレンオキシドが不均一に開環付加してしまう。そのため、少量のエチレンオキシドで一級化率の高いポリオールを製造することが難しい。少量のエチレンオキシドでひまし油の二級水酸基を一級水酸基に変換できれば、製造されたポリオールのうち開始剤の部分が占める割合(バイオマス度)が高くできる。
特許文献8では、カチオン重合触媒である、含フッ素フェニル基を3つ有するホウ素化合物を用い、ひまし油にアルキレンオキシドを開環付加させる技術が提案されている。しかし、特許文献8で示されているのは、炭素数が3〜12のアルキレンオキシドを開環付加させる技術である。
また、複合金属シアン化物錯体触媒を用いてポリエステルオールを製造し、その後にカチオン重合触媒である含フッ素フェニル基を3つ有するホウ素化合物を用いて、製造したポリエステルポリオールにエチレンオキシドを開環付加させる技術が提案されている(特許文献9参照)。しかし、ルイス酸のカチオン重合触媒に対する、エステル結合の安定性に関する記載がない。
また、ポリイソシアネートとの反応性が低い天然油由来のポリオールに対し、一級水酸基を導入する技術が提案されている(特許文献10参照)。この技術では、特殊な金属触媒の存在下、大豆油に一酸化炭素と水素を反応させ、大豆油の二重結合部分にカルボニルを導入する。その後、導入したカルボニルにさらに水素を反応させて一級水酸基とする。ひまし油の主要構成成分であるリシノレイン酸は二重結合を1つ有しているため、この技術により一級水酸基を導入できる。しかし、この技術では、使用する触媒は非常に高価であり、また煩雑な製造プロセスを要する。
特開2005−320431号公報 特開2005−320437号公報 特開2006−2145号公報 特開2006−104404号公報 特開2002−309288号公報 特表2003−511532号公報 特開平5−163342号公報 特開2000−344881号公報 米国特許第6392076号明細書 米国特許出願公開第2005/0070620号明細書
以上のように、従来のポリオールの製造方法では、ひまし油を開始剤として、開始剤を分解させずに、高いバイオマス度で、一級化率の高いポリオールが製造できなかった。
本発明の課題は、ひまし油を開始剤とし、開始剤の分解による低分子量の副生物を生じず、エチレンオキシドが開始剤中の水酸基に均一に開環付加する、高いバイオマス度でも一級化率が高い、ポリオールの製造方法を提供することにある。
上記の課題を達成するために、本発明は、カチオン重合触媒の存在下、ひまし油およびひまし油縮合物から選択される少なくとも一種の開始剤にヘテロ環状化合物を開環付加させる、ポリオールの製造方法であって、前記ヘテロ環状化合物がエチレンオキシドのみであり、カチオン重合触媒が、含フッ素アリール基または含フッ素アリールオキシ基を有する、アルミニウム化合物およびホウ素化合物からなる群から選択される少なくとも1種の触媒であり、前記開始剤の水酸基1molあたり1.5〜10molのエチレンオキシドを開環付加させることを特徴とするポリオールの製造方法を提供する。
た、本発明のポリオール中の開始剤残基の割合が30〜95質量%であることが好ましい。
また、前記カチオン重合触媒が、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランまたはトリス(ペンタフルオロフェニル)アルミニウムであることが好ましい。
また、前記カチオン重合触媒を、前記開始剤の総量に対して質量比で10〜200ppm添加することが好ましい。
また、本発明は、上記の製造方法により製造されたポリオールを提供する。
さらに、本発明のポリオールを用いて製造したポリウレタン製品を提供する。
本発明のポリオールの製造方法によれば、開始剤の分解による低分子量の副生物を含まず、エチレンオキシドを含むヘテロ環状化合物が開始剤中の水酸基に均一に開環付加された、高いバイオマス度の、一級化率の高いポリオールが製造できる。
また、本発明の、バイオマス度が高いポリオールを用いれば、環境負荷の小さなポリウレタン製品が製造できる。
ポリオールA(実施例1)のゲル浸透クロマトグラフィー分析における分子量分布曲線である。 ポリオールB(実施例2)のゲル浸透クロマトグラフィー分析における分子量分布曲線である。 ポリオールC(実施例3)のゲル浸透クロマトグラフィー分析における分子量分布曲線である。 ポリオールD(参考例)のゲル浸透クロマトグラフィー分析における分子量分布曲線である。 ポリオールE(実施例)のゲル浸透クロマトグラフィー分析における分子量分布曲線である。 ポリオールF(比較例1)のゲル浸透クロマトグラフィー分析における分子量分布曲線である。 ポリオールG(比較例2)のゲル浸透クロマトグラフィー分析における分子量分布曲線である。 ポリオールH(比較例3)のゲル浸透クロマトグラフィー分析における分子量分布曲線である。 ポリオールI(比較例4)のゲル浸透クロマトグラフィー分析における分子量分布曲線である。
本発明のポリオールの製造方法は、特定のカチオン重合触媒の存在下、ひまし油およびひまし油縮合物から選択される少なくとも一種の開始剤に、エチレンオキシドを含むヘテロ環状化合物を開環付加させる方法である。
なお本発明において、ひまし油縮合物とは、ひまし油または水添ひまし油(水素化ひまし油)を加水分解して得られるヒドロキシカルボン酸を脱水縮合して得られたエステル化合物である。ただし脱水縮合は、ヒドロキシカルボン酸のみの縮合であっても、ヒドロキシカルボン酸とひまし油または水添ひまし油との縮合であってもよい。
[開始剤]
本発明は、開始剤として、二級水酸基を1つ有するリシノレイン酸を主要構成脂肪酸とする、ひまし油、またはひまし油縮合物を用いる。ひまし油縮合物の製造方法は特に限定されず、たとえば、以下の2例が挙げられる。
(1)ひまし油の加水分解により得られるリシノレイン酸と、ひまし油との間でエステル化反応を行う方法。
(2)リシノレイン酸同士で縮合反応を行い、該縮合物と、官能基数によって選択される低分子量ポリオールとのエステル化反応を行う方法。この場合、脂肪酸として、リシノレイン酸の代わりに、またはリシノレイン酸と共に、12−ヒドロキシステアリン酸(リシノレイン酸の水添物)を使用できる。
前記(2)における、脂肪酸の縮合物と反応させる低分子量ポリオールとしては、下記の化合物が挙げられる。
2価アルコール:エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等。
3価以上の多価アルコール:グリセリン、ジグリセリン、トリメチロ−ルプロパン、ペンタエリスリト−ル、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリト−ル、ショ糖等。
また、多価アルコ−ル類にアルキレンオキシドが開環付加させて得られる数平均分子量150〜1000の低分子量ポリエーテルポリオールが挙げられる。
また、脂肪酸の縮合反応は特に触媒は必要としないが、エステル化反応については触媒を用いることが好ましい。触媒としては、塩基性金属化合物または酸性化合物が挙げられる。塩基性金属化合物としては水酸化カルシウム、ナトリウムメトキシド等が例示できる。酸性化合物としては、二塩化錫、p−トルエンスルホン酸、アルコキシチタン等のルイス酸またはブレンステッド酸が例示できる。
本発明において、開始剤として用いるひまし油またはひまし油縮合物の水酸基価(mgKOH/g)は、通常25〜350であり、40〜200が好ましく、50〜170がさらに好ましい。水酸基価が25以上であればカチオン重合触媒によるエチレンオキシドの開環付加反応が均一となり、一級化率も上がりやすい。また、水酸基価が350以下であれば製造したポリオールのバイオマス度が大きくなる。
[カチオン重合触媒]
本発明では、カチオン重合触媒として、含フッ素アリール基または含フッ素アリールオキシ基を、1つ以上有する、アルミニウム化合物およびホウ素化合物からなる群から選択される少なくとも1種を使用することを特徴とする。すなわち本発明におけるカチオン重合触媒は、アルミニウム化合物またはホウ素化合物である。そして、このカチオン重合触媒は、含フッ素アリール基または含フッ素アリールオキシ基を1つ以上有する。
含フッ素アリール基としては、ペンタフルオロフェニル、テトラフルオロフェニル、トリフルオロフェニル、3,5−ビス(トリフルオロメチル)トリフルオロフェニル、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル、2−ペルフルオロナフチル、2−ペルフルオロビフェニル等が挙げられる。
また、含フッ素アリールオキシ基としては、前記含フッ素アリール基が酸素原子に結合した含フッ素アリールオキシ基が挙げられる。
含フッ素アリール基または含フッ素アリールオキシ基を少なくとも1個有する、アルミニウム化合物またはホウ素化合物としては、たとえば、特開2000−344881号公報、特開2005−82732号公報、または国際公開03/00750号パンフレットに記載の、ルイス酸のアルミニウム化合物またはホウ素化合物であることが好ましい。また、特表2003−501524号公報または特表2003−510374号公報に記載されているオニウム塩であるアルミニウム化合物またはホウ素化合物であるのも好ましい。
ルイス酸のアルミニウム化合物としては、たとえば、トリス(ペンタフルオロフェニル)アルミニウム、トリス(ペンタフルオロフェニルオキシ)アルミニウムが挙げられる。
また、ルイス酸のホウ素化合物としては、たとえば、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(ペンタフルオロフェニルオキシ)ボランが挙げられる。なかでも、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランはエチレンオキシドの開環付加反応に対する触媒活性が高く、特に好ましい。
オニウム塩の対カチオンとしては、トリチルカチオン(Ph)またはアニリニウムカチオン(PhNR ;Ph=フェニル基、R=H,アルキル基など)が好ましい。オニウム塩としては、トリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートまたはN,N’−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートが特に好ましい。
[ヘテロ環状化合物]
本発明で使用するヘテロ環状化合物は、環状エーテルおよび環状エステルからなる群から選択される化合物であり、その少なくとも一部としてエチレンオキシドを含む。すなわち、本発明においてヘテロ環状化合物は、エチレンオキシドのみであっても、エチレンオキシドと他のヘテロ環状化合物との組み合わせであってもよい。
エチレンオキシドと他のヘテロ環状化合物との組み合わせを用いて開環付加反応を行う場合は、エチレンオキシドと他のヘテロ環状化合物を順次反応させてもよく、エチレンオキシドと他のヘテロ環状化合物との混合物を反応させてもよい。順次反応させる場合には、他のヘテロ環状化合物を反応させた後、エチレンオキシドを反応させることが一級水酸基の割合を高くできる点で好ましい。
環状エーテルとしてはエーテル性酸素原子を1または2個含む3〜6員環を有する化合物が適当であり、側鎖を有していてもよい。具体的には、モノエポキシ化合物、オキセタン化合物、テトラヒドロフランなどが挙げられる。環状エーテルとしては炭素数2以上のモノエポキシ化合物が好ましく、アルキレンオキシド、グリシジルエーテル、グリシジルエステルがより好ましく、炭素数3〜6のアルキレンオキシドが特に好ましい。
具体的な環状エーテルとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、スチレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、シクロヘキセン−1,2−オキシド、ブチルグリシジルエーテル、グリシジルアクリレート、オキセタン化合物、テトラヒドロフランなどが挙げられる。
環状エステルとしては、環にカルボニルオキシ単位を1または2個含む5〜10員環を有する化合物が適当であり、側鎖を有していてもよい。具体的には、ラクトン化合物やラクチドなどが挙げられる。環状エステルとしてはε−カプロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−ブチロラクトンなどのラクトン化合物が好ましく、特にε−カプロラクトンが好ましい。
本発明においてエチレンオキシドと共に使用できるヘテロ環状化合物としては、プロピレンオキシド、ε−カプロラクトンが好ましく、プロピレンオキシドが特に好ましい。すなわち本発明においてヘテロ環状化合物としては、エチレンオキシドのみ、エチレンオキシドとε−カプロラクトンとの組み合わせ、または、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの組み合わせが好ましく、エチレンオキシドのみ、または、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの組み合わせがより好ましく、エチレンオキシドのみが特に好ましい。
また、開始剤に反応させる全ヘテロ環状化合物中に含まれるエチレンオキシドの割合は、30モル%以上が好ましく、50モル%以上がさらに好ましく、80モル%以上が特に好ましい。
[カチオン重合触媒によるヘテロ環状化合物の開環付加]
本発明において、開始剤にヘテロ環状化合物を開環付加させるとき、エチレンオキシドを該開始剤の水酸基1molあたり1〜20mol開環付加させることが好ましい。開始剤が有する二級水酸基1個にエチレンオキシドが1分子開環付加すれば、その二級水酸基が一級水酸基に変換される。すなわち二級水酸基が2−ヒドロキシエトキシ基に置換される。本発明では、特定のカチオン触媒の使用により開始剤中の複数の二級水酸基に対してエチレンオキシドがほぼ均等に反応し、水酸基1個あたり平均のエチレンオキシド反応分子数が少なくても二級水酸基が一級水酸基に変換される割合が高い。したがって、開始剤の水酸基1molに対するエチレンオキシドの開環付加量が1mol以上であれば、一級水酸基の割合が充分高いポリオールが得られる。一級水酸基の割合が高いポリオールはポリイソシアネートとの反応性が高くなる。また、開始剤の水酸基1molに対するエチレンオキシドの開環付加量を20mol以下とすれば、バイオマス度の高いポリオールが製造できる。
ポリイソシアネートとの反応性が高くかつ二酸化炭素の排出量を低く抑えられるポリウレタン製品の原料としてより好ましいポリオールを得るには、開始剤の水酸基1molに1〜10molのエチレンオキシドを開環付加させることがより好ましく、1.5〜6molのエチレンオキシドを開環付加させることがさらに好ましい。
本発明においては、得られるポリオール中の開始剤残基の割合が、30〜95質量%を充たすように、ヘテロ環状化合物を開環付加させることが好ましい。また、前記割合が40〜95質量%であればより好ましく、50〜85質量%であればさらに好ましい。得られるポリオール中の開始剤残基の割合が95質量%以下となるようにヘテロ環状化合物を開環付加させれば、製造されるポリオールの水酸基の一級化率が高くなり、ポリイソシアネートとの反応性が向上する。また、得られるポリオールに対する開始剤の割合が30質量%以上になるようにヘテロ環状化合物を開環付加させると、バイオマス度が高くなり、ポリオールに対するエステル結合成分が多くなり、該ポリオールを原料として製造したポリウレタン製品の強度が上がる。
また、ヘテロ環状化合物は、添加するときに水分が混じっていると、カチオン重合触媒の使用量が増える等の不具合が生じる。
前記の水分量はヘテロ環状化合物の総量に対して100ppm以下が好ましく、60ppm以下がより好ましく、40ppm以下が特に好ましい。水分の下限は特に無いが、一般に1ppm以上の水分は含まれる。また3ppm程度までの水分であれば実質的に問題は無い。水分量を100ppm以下にすれば、高分子多量体等の副生物が減少し、また、カチオン重合触媒の失活が起きにくくなる。したがって、カチオン重合触媒の使用量を少なくできるため、経済的であり、ポリオールを製造後の処理工程も簡便になる。
本発明の、ひまし油またはひまし油縮合物への、ヘテロ環状化合物の開環付加の具体的な手順を以下に示す。
撹拌機および冷却ジャケットを備えた耐圧反応器に、開始剤として、ひまし油またはひまし油縮合物を投入する。さらに、カチオン重合触媒として、前記アルミニウム化合物およびホウ素化合物からなる群から選択される少なくとも1種を添加する。ここで、開始剤は、カチオン重合触媒を添加する前に、加熱、減圧して脱水しておくことが好ましい。開始剤に含まれる水分量を低くすることで、高分子多量体等の副生物が低く抑えられる。また、カチオン重合触媒が失活しにくくなり、使用する触媒量を少なくできる。開始剤に含まれる水分量は、開始剤の総量に対して200ppm以下が好ましく、100ppm以下がさらに好ましく、50ppm以下が特に好ましい。下限は特に無いが、一般に5ppm以上の水分は含まれる。
開始剤へのカチオン重合触媒の添加量は、開始剤の総量に対して質量比で10〜200ppmの範囲とすることが好ましく、20〜150ppmとすることがより好ましく、30〜100ppmとすることがさらに好ましい。使用するカチオン重合触媒の量を200ppm以下にすれば、カチオン重合触媒に含まれる水分による、触媒の失活等の問題が生じにくい。また、使用するカチオン重合触媒の量を10ppm以上にすれば、充分な反応速度が得られる。カチオン重合触媒に含まれる水分量が低い場合には、上記の範囲内においてできるだけ触媒量を少なくすることが好ましい。
本発明のポリオールの製造方法では、反応容器を冷却すると共に、反応容器内へのヘテロ環状化合物の供給速度を調節し、反応容器内温度を所望の温度に保つことが好ましい。反応容器内温度は、通常は−15〜140℃であり、0〜120℃とすることが好ましく、20〜90℃とすることがより好ましい。重合時間は、通常は0.5〜24時間であり、1〜12時間が好ましい。
本発明の製造方法より製造したポリオールは、必要に応じて精製する。製造されたポリオールはエステル結合を有する。そのため、塩基性化合物により触媒を分解するよりも、無機吸着剤により触媒を吸着し、濾別することが好ましい。無機吸着剤としては、たとえば、合成珪酸塩(マグネシウムシリケート、アルミニウムシリケート等)、イオン交換樹脂、活性白土等が挙げられる。塩基性化合物により中和精製する場合は、使用する塩基性化合物量を少なくすることが好ましい。
また、公知であるポリオールの各種安定剤を、ポリオールの精製前後に必要に応じて添加してもよい。ポリオールを長期間貯蔵する場合には、酸化防止剤、防食剤等を添加することにより、ポリオールの劣化を防止できる。安定剤としては、たとえば、ヒンダードフェノール系化合物、窒素含有化合物、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、無機塩、およびカルボン酸塩からなる群から選択された少なくとも1種を使用できる。
本発明の製造方法により製造されたポリオールとポリイソシアネートとを反応させることにより、ポリウレタン製品が製造できる。その際、本発明のポリオールは、単独で原料とすることも、他のポリオールと混合して原料とすることもできる。
従来のポリウレタン製品の多くは、原料として実質的にポリオキシエチレンおよび/またはポリオキシプロピレンからなるポリエーテルポリオールを使用している。一方、本発明のポリオールを原料としたポリウレタン製品は、従来のポリウレタン製品よりも、環境負荷が小さいだけでなく、耐水熱性、耐候性、柔軟性および機械物性が優れている。
本発明のポリオールは、環境負荷が小さいため、多量に消費されるウレタン樹脂の原料に適用されることが好ましい。多量に消費されるウレタン樹脂としては、軟質ウレタンフォームが例示される。このうち車両用クッション、特に自動車用シートクッションに、本発明のポリオールを原料とするウレタン樹脂を適用することが好ましい。
ポリウレタン製品を製造する際に使用するポリイソシアネートとしては、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、これらのポリイソシアネートの変性体等が挙げられる。
芳香族ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート等が挙げられる。
また、脂肪族ポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
また、脂環族ポリイソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート等が挙げられる。
以下、実施例および比較例を示し、本発明を具体的に説明する。ただし、本発明は以下の記載に限定して解釈されるものではない。
[開始剤の水酸基数]
開始剤として用いるひまし油またはひまし油縮合物の水酸基の数は、水酸基価(mgKOH/g)を測定することにより求めた。水酸基価は、JIS−K−1557に準拠して測定した値であり、酸価(mgKOH/g)で補正を行なった。
また、本発明の製造方法により製造したポリオールは、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により分析を行い、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)を算出した。ただし、MwおよびMnはポリスチレン換算分子量である。
[製造したポリオールの水酸基の一級化率]
本発明の製造方法によって得られるポリオールの、全水酸基中に占める一級水酸基の割合は、H−NMR法によって測定した。まず、ポリオールのCDCl溶液を調製し、無水トリフルオロ酢酸を添加した。これにより、室温で容易にポリオールの水酸基をトリフルオロ酢酸でエステル化できる。トリフルオロ酢酸でエステル化された炭素上のメチン水素原子(二級水酸基の炭素原子に結合した水素原子に相当)とメチレン水素原子(一級水酸基の炭素原子に付いた水素原子に相当)のピークは低磁場側にシフトする。このケミカルシフトよりトルフルオロ酢酸でエステル化されたメチン水素原子およびメチレン水素原子のピークを帰属し、これらのピーク面積強度を求める。全水酸基中に占める一級水酸基の割合(一級化率)は、前記メチン水素原子のピーク面積強度の2倍と前記メチレン水素原子のピーク面積強度の総和に対する、前記メチレン水素原子のピーク面積の割合として算出する。
たとえば、開始剤であるひまし油またはひまし油縮合物にエチレンオキシドを開環付加する場合、全水酸基をトリフルオロ酢酸でエステル化することにより低磁場側にシフトしたメチン水素原子の多重ピークは5.00〜5.10ppm(テトラメチルシラン基準)に現れる。また、メチレン水素原子の三重線ピークは4.48〜4.50ppm(テトラメチルシラン基準)に現れる。これらのピークの面積強度より、水酸基の一級化率(%)を求める。
[製造したポリオールのバイオマス度]
本発明におけるバイオマス度は、開始剤として用いるひまし油またはひまし油縮合物と、開環付加させたヘテロ環状化合物との総重量に対する、ひまし油またはひまし油縮合物の質量%で表される。
[開始剤]
ひまし油縮合物としては、小倉合成工業社製のKG−001(水酸基数2.8、塩酸中和滴定によるアルカリ度はKOH換算で277ppm、水酸基価66.1mgKOH/g)を中和処理して用いた。残存するアルカリを中和するための中和処理としては、5%硫酸水溶液を、KOH中和当量の10%過剰量添加して、60℃で2時間加熱した後、80℃で2時間減圧脱水した。中和処理して得られたひまし油縮合物(水分含有量(質量割合)は60ppm)を使用した。
また、ひまし油としては、伊藤製油社製のURIC−H−30(水酸基数2.7、水酸基価162KOHmg/g)を使用した。ひまし油の水分含有量は80ppmであった。
[ヘテロ環状化合物]
以下の例では、ヘテロ環状化合物としてエチレンオキシド(以下、単にEOと省略する。)のみを用いた。EOの水分含有量は5ppm以下であった。
[実施例1]
パドル翼(撹拌翼径は反応器内径の50%)撹拌装置を備えた5L反応容器内に、開始剤である上記のひまし油縮合物(KG−001の縮合物)495gと、カチオン重合触媒であるトリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン(TPFPB)60mgとを投入した。反応容器内を窒素置換した後、反応容器内温度を65℃まで昇温した。30分後、EOの添加を開始した。EO添加と共に発熱が始まるので、冷却水により反応容器内温度を70℃に保ち、撹拌(220rpm(毎分220回転))を行いながら、EOを35g添加した。EOの添加後、さらに70℃で60分間反応を行い、未反応のEOをできるだけ少なくした後、減圧脱気を1時間行い、ポリオールAを得た。
製造したポリオールAと原料のひまし油縮合物のGPCによる分子量分布曲線を図1に示す。
[実施例2]
開始剤の量を452g、EOの添加量を99gとした以外は、実施例1と同様の方法でポリオールBを製造した。製造したポリオールBと原料のひまし油縮合物の分子量分布曲線を図2に示す。
[実施例3]
開始剤の量を391g、EOの添加量を81gとし、カチオン重合触媒としてトリチル(テトラキスペンタフロロフェニル)ボレート(TrTPFPB)を用いた以外は、実施例1と同様の方法でポリオールCを製造した。製造したポリオールCと原料のひまし油縮合物の分子量分布曲線を図3に示す。
参考例
開始剤として、ひまし油(URIC−H−30)307gを使用し、EOを49g、TPFPBを50mg添加した以外は、実施例1と同様にポリオールDを製造した。製造したポリオールDと原料のひまし油の分子量分布曲線を図4に示す。
[実施例
開始剤として、ひまし油(URIC−H−30)250gを用い、EOを106g、TPFPBを50mg添加した以外は、実施例1と同様にポリオールEを製造した。製造したポリオールEと原料のひまし油の分子量分布曲線を図5に示す。
以下、カチオン重合触媒の代わりに複合金属シアン化物錯体(DMC)触媒またはKOH触媒とした比較例を示す。
[比較例1]
パドル翼(撹拌翼径は反応器内径の50%)撹拌装置を備えた5L反応容器内に、上記のひまし油縮合物(KG−001の縮合物)300gと、複合金属シアン化物錯体触媒(特開2005−15786号公報の記載に基づいて、ZnCl水溶液、K[Co(CN)]水溶液、およびtert−ブチルアルコールから製造された、配位子がtert−ブチルアルコール系の複合金属シアン化錯体触媒。以下、DMC触媒とする。)を20mg投入した。反応容器内を窒素置換した後、反応容器内温度を120℃まで昇温し、EOを30g添加した。その後、220rpmで撹拌を行った。30分程度で発熱と共に内圧の低下(DMC触媒の活性化)が始まった。さらに30分間撹拌した後、55gのEOを少しずつ添加し、最終的に85gのEOを添加した。この間、反応容器内温度を120℃に保ち、220rpmで撹拌を行いながらEOを添加した。EOの添加終了後、さらに120℃で60分間加熱および撹拌を行い、その後に減圧脱気を30分間行った。以上により製造されたポリオールFと原料のひまし油縮合物の分子量分布曲線を図6に示す。
[比較例2]
パドル翼(撹拌翼径は反応器内径の50%)撹拌装置を備えた5L反応容器内に、ひまし油(URIC−H−30)300gおよびDMC触媒を20mg投入した。反応容器内を窒素置換した後、反応容器内温度を120℃まで昇温し、EOを70g添加した。その後、220rpmで撹拌を行うと、30分程度で発熱とともに内圧の低下(DMC触媒の活性化)が始まった。さらに30分間撹拌した後、80gのEOを少しずつ添加し、最終的に150gのEOを添加した。この間、反応容器内温度を120℃に保ち、220rpmで撹拌を行いながらEOを添加した。EOの添加終了後、さらに120℃で60分間加熱および撹拌を行い、その後に減圧脱気を30分間行った。以上により製造されたポリオールGと原料のひまし油の分子量分布曲線を図7に示す。
[比較例3]
DMC触媒が活性化した後のEOの添加量を147gとした以外は、比較例2と同様の方法でポリオールHを製造した。製造したポリオールHと原料のひまし油の分子量分布曲線を図8に示す。
[比較例4]
パドル翼(撹拌翼径は反応器内径の50%)撹拌装置を備えた5L反応容器内に、ひまし油(URIC−H−30)650gおよび触媒として純度95%のフレーク状のKOHの5.45gを投入した。反応容器内を窒素置換した後、反応容器内温度を110℃まで昇温し、2時間減圧脱水を行なった。その後、窒素ガスで内圧を0.4MPaとした。ここにEOを導入し反応させた。このとき、反応容器内温度を約115℃に保ちながら、220rpmで撹拌を行い、最終的に435gのEOを反応させた。反応終了後、反応容器内温度を115℃に保ちながら減圧脱気を60分間行った。以上により製造されたポリオールIと原料のひまし油の分子量分布曲線を図9に示す。
実施例および比較例における開始剤、カチオン重合触媒、エチレンオキシドの使用量を表1に示す。また、製造したポリオールの分析結果を表2に示す。
Figure 0005206671
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触媒としてDMC触媒を使用し、ひまし油縮合物にEOを反応させて製造したポリオールF(比較例1)は、図6に示すように、開始剤の分解による低分子量の副生物が生じていない。しかし、製造されたポリオールFは、低分子量の開始剤のピークが小さくなり、分子量分布が大きく変化している。すなわち、ポリオールFでは、EOが開始剤に不均一に反応している。そのため、ポリオールFは、多くのEOが付加し、バイオマス度が低いにもかかわらず水酸基の一級化率が低い(表2)。
また、DMC触媒を用い、ひまし油にEOを反応させて製造したポリオールG(比較例2)は、図7に示すように、ひまし油のピークの高分子量側への移動がほとんど見られず、一部のひまし油にEOが反応したブロードなピークが高分子量側に見られる。また、多くのEOが付加し、バイオマス度が低いにもかかわらず、水酸基の一級化率が低い(表2)。
また、ポリオールG(比較例2)よりも多くのEOを反応させたポリオールH(比較例3)も、図8に示すように、ひまし油のピークの高分子量側への移動がほとんど見られず、一部のひまし油にEOが反応したブロードなピークが高分子量側に見られ、このブロードなピークがポリオールGのピークよりも大きくなった。このように、より多くのEOを付加させて、バイオマス度をさらに低くしたにもかかわらず、水酸基の一級化率がほとんど改善されていない(表2)。
KOH触媒を用い、ひまし油にEOを反応させて製造したポリオールI(比較例4)は、図9に示すように、開始剤の分解による低分子量の副生物が生じている。また、ひまし油よりも高分子量側の分子量分布も変化している。すなわち、ポリオールIでは、EOが開始剤に不均一に反応している。また、多くのEOが付加し、バイオマス度が低いにもかかわらず、水酸基の一級化率が低い(表2)。
一方、カチオン重合触媒であるトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを使用し、ひまし油縮合物にEOを反応させて製造したポリオールA(実施例1)およびポリオールB(実施例2)は、図1および図2に示すように、開始剤の分解による低分子量の副生物が生じず、また、EOはひまし油縮合物に均一に反応している。したがって、ポリオールAおよびポリオールBは、ポリオールF(比較例1)に比べて、少量のEOが付加したのみで、バイオマス度が高く、かつ水酸基の一級化率が高い。
この結果は、カチオン重合触媒としてトリチル(テトラキスペンタフルオロフェニル)ボレートを使用したポリオールC(実施例3)でも同様である。図3に示すように、ポリオールCは、開始剤の分解による低分子量の副生がなく、少量のEOが付加したのみで、バイオマス度が高く、かつ水酸基の一級化率が高い。
また、図4に示すように、カチオン重合触媒としてトリス(ペンタフルオロフェニル)ボランを用いて、ひまし油にEOを反応させて製造したポリオールD(参考例)は、ポリオールG(比較例2)およびポリオールH(比較例3)と比べて、EOが均一に反応しており、開始剤の分解による低分子量の副生物も生じていない。また、分子量分布は非常に狭い。また、少量のEOが付加したのみで、バイオマス度が高く、かつ水酸基の一級化率が高い。
この結果は、実施例についてもほぼ同様である。図5に示すように、ポリオールE(実施例)は、EOが不均一に開始剤に反応した高分子量側のピークが多少見られる。しかし、開始剤の大部分が高分子量側に移動したピークが見られ、EOが均一に反応している。
以上のように、本発明のポリオールの製造方法は、開始剤の分解による低分子量の副生物を生じることなく、EOを開始剤に均一に反応させることができ、高いバイオマス度で、水酸基の一級化率の高いポリオールが製造できる。
本発明のひまし油、またはひまし油縮合物を開始剤として製造したポリオールは、ポリイソシアネートと反応させて各種ウレタン製品を製造できる。
また、本発明のポリオールは、イソシアネートとの反応の際、任意に鎖延長剤と反応させることができる。
本発明のポリオールは、グリース用、金属加工油、コンプレッサー油等の機能油剤、界面活性剤、インク分散剤等に有用である。さらに、ポリマー微粒子を含むポリマー分散ポリオールの原料としても有用である。

なお、2007年3月28日に出願された日本特許出願2007−085610号の明細書、特許請求の範囲、図面及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。

Claims (6)

  1. カチオン重合触媒の存在下、ひまし油およびひまし油縮合物から選択される少なくとも一種の開始剤にヘテロ環状化合物を開環付加させるポリオールの製造方法であって、
    前記ヘテロ環状化合物がエチレンオキシドのみであり、
    前記カチオン重合触媒が、含フッ素アリール基または含フッ素アリールオキシ基を有する、アルミニウム化合物およびホウ素化合物からなる群から選択される少なくとも1種の触媒であり、
    前記開始剤の水酸基1molあたり1.5〜10molのエチレンオキシドを開環付加させることを特徴とするポリオールの製造方法。
  2. 得られるポリオール中の前記開始剤残基の割合が30〜95質量%である、請求項1に記載のポリオールの製造方法。
  3. 前記カチオン重合触媒が、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボランまたはトリス(ペンタフルオロフェニル)アルミニウムである、請求項1または2に記載のポリオールの製造方法。
  4. 前記カチオン重合触媒を、前記開始剤の総量に対して質量比で10〜200ppm添加する請求項1〜のいずれか一項に記載のポリオールの製造方法。
  5. 請求項1〜のいずれか一項に記載の製造方法により製造されたポリオール。
  6. 請求項に記載のポリオールを用いて製造してなるポリウレタン製品。
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