以下、本発明が適用されたバッテリパックについて、図面を参照しながら詳細に説明する。本発明が適用されたバッテリパックは、外筐体2内に収納されるバッテリセル8の数に応じて、例えば図1(A)、図1(B)及び図2に示すLサイズのバッテリパック1と、図3(A)、図3(B)及び図33に示すSサイズのバッテリパック100の2種類が用意されている。具体的に、Lサイズのバッテリパック1には、図2に示すように、8個のバッテリセル8a〜8h(以下、バッテリセル8a〜8hを、単に、バッテリセル8ともいう。)が2列×4段で収納され、Sサイズのバッテリパック100には、図33に示すように、4個のバッテリセル8i〜8l(以下、バッテリセル8i〜8lも、単に、バッテリセル8ともいう。)が2列×2段で収納されている。これら本発明が適用されたバッテリパック1,100は、バッテリセル8を収納するとともに、前面2bに端子部6が臨まされている略矩形状に形成された外筐体2を備える。
この外筐体2は、図2に示すように、上部カバー3と、下部ケース4とが突き合わされ結合されてなり、内部に、複数のリチウムイオン二次電池のバッテリセル8と、これらバッテリセル8を仕切る仕切部材20と、この仕切部材20によって仕切られたバッテリセル8の各端子間を電気的に接続する電極タブ30と、下部ケース4に取り付けられ、外部機器と接続するための接続端子が設けられた端子ケース40と、この端子ケース40に取り付けられ、電極タブ30を介してバッテリセル8と電気的に接続されるメイン回路基板50と、バッテリセル8に対してメイン回路基板50と反対側に配置される表示用回路基板60とが収納されている。
バッテリセル8を収納した外筐体2は、図1(A)、図1(B)及び図4に示すように、下面2aをビデオカメラ等の電子機器側のバッテリ装着部5に装着される装着面とされ、この装着面と連続する前面2bに、下部ケース4の幅方向の一方から他方に向かって、第1の端子部6a〜第5の端子部6eが臨まされている。各端子部6a〜6eに形成された端子には、SMBus(System Management Bus)インタフェース規格等のシリアルインタフェース規格に従ってそれぞれ機能が定められており、第1の端子部6aはバッテリパック1,100の正極端子、第2の端子部6bはクロックライン用の端子、第3の端子部6cはデータライン用の端子、第4の端子部6dはID抵抗が接続されたID端子、そして第5の端子部6eはバッテリパック1,100の負極端子となっている。
そして、バッテリパック1,100は、電子機器内に装着するときに、下面2aを挿入端として電子機器側のバッテリ装着部5に挿入し、下面2aがバッテリ装着部5の底面に当接された後、前面2b側にスライドさせることにより、外筐体2の両側面2c,2dに設けられた係止凹部14,15がバッテリ装着部5の内側に形成された係止凸部に係止され電子機器に装着される。また、バッテリパック1,100は、電子機器より取り外すときには、外筐体2の前面2bと対向する背面2e側にスライドさせた後、下面2aと対向する上面2f側に引き上げることにより取り外される。
このようなバッテリパック1,100が用いられる電子機器としては、例えば図5に示すビデオカメラ7がある。このビデオカメラ7は、業務用であり、図6に示すように、本体の背面7aにバッテリ装着部5が形成されている。バッテリ装着部5は、業務用のビデオカメラ7の使用時間や頻度などから、相当量のバッテリ容量を備えたバッテリパック1,100のみ装着可能に設定されている。
具体的に、業務用の電子機器に用いられるバッテリパック1,100は、民生用の電子機器に用いられるバッテリパックの定格電圧が約7.2V必要なのに対して、定格電圧が約14.4V必要である。また、業務用の電子機器に用いられるバッテリパック1,100は、一個のバッテリセル8の定格電圧が約3.6Vである。したがって、定格電圧が約7.2V必要である民生用の電子機器に用いられるバッテリパックでは、バッテリセル8を2個直列接続させれば済むのに対して、定格電圧が約14.4V必要である業務用の電子機器に用いられるバッテリパック1,100では、バッテリセル8を4個直列接続させる必要があり、民生用の電子機器に用いられるバッテリパックと比べてバッテリセル8の本数が多く、その分重くなっている。
そして、図6に示すように、ビデオカメラ7のバッテリ装着部5には、バッテリパック1,100が下面2aを挿入端として背面7aの右側に沿って図6中矢印A方向へ、下面2aがバッテリ装着部5の底面に当接される挿脱位置まで挿入される。次いで、バッテリ装着部5は、挿脱位置まで挿入されたバッテリパック1,100が、図6中左側となる矢印B方向へ、バッテリ装着部5の内側に臨まされている図示しない端子ピンがバッテリパック1,100の前面2bに設けられた端子部6内に挿入されると共に両側面2c,2dに設けられた係止凹部14,15がバッテリ装着部5の内側に形成された図示しない係止凸部に係止される装着位置までスライドされ、装着が完了する。
以下、具体的にバッテリパック1,100の構成について説明する。先ず、8つのバッテリセル8a〜8hが2列×4段で収納されたLサイズのバッテリパック1について説明する。
図2に示すように、Lサイズのバッテリパック1の外筐体2内に2列×4段で収納されたバッテリセル8a〜8hは、図7(A)及び図7(B)に示すように、円筒型のリチウムイオン2次電池である。バッテリセル8は、正極、負極及びセパレータ等を収納し、長軸方向の一端が開放されて他端が閉塞され、閉塞された他端全体が負極端子10bとなる金属からなる円筒形状の電池缶と、この電池缶に電解液を収納して開放された一端に正極端子10aとなる正極蓋が溶着されている。また、バッテリセル8は、図7(A)及び図7(B)に示すように、側面10cと正極端子10aの端面の外周面と負極端子10bの端面の外周面が絶縁フィルムによって被覆されている。バッテリセル8の正極端子10aの端面には、図7(A)に示すように、側面10cを被覆する絶縁フィルムによって外周面が被覆された正極側被覆部10dが設けられ、中央部にこの正極側被覆部10dから正極端子10aが露出している。また、バッテリセル8の負極端子10bの端面には、図7(B)に示すように、側面10cを被覆する絶縁フィルムによって外周面が被覆された負極側被覆部10eが設けられ、中央部にこの負極側被覆部10eから負極端子10bが露出している。
このようなバッテリセル8は、メイン回路基板50上に、メイン回路基板50の長辺に対して長軸が略平行となるように2列×4段に並べられている。具体的に、バッテリセル8は、図8(A)、図8(B)及び図9に示すように、第1の端子部6aと電気的に接続されメイン回路基板50の幅方向に対して一方側に配置された第1の端子接続部53a(図25(B)参照。)近傍に第1のバッテリセル8aが配置され、第1のバッテリセル8a上に第2のバッテリセル8bが配置され、第2のバッテリセル8b上に第3のバッテリセル8cが配置され、第3のバッテリセル8c上に第4のバッテリセル8dが配置されている。また、バッテリセル8は、第5の端子部6eと電気的に接続されメイン回路基板50の幅方向に対して他方側に配置された第5の端子接続部53e(図25(B)参照。)近傍に第5のバッテリセル8eが配置され、第5のバッテリセル8e上に第6のバッテリセル8fが配置され、第6のバッテリセル8f上に第7のバッテリセル8gが配置され、第7のバッテリセル8g上に第8のバッテリセル8hが配置されている。
また、第1のバッテリセル8a、第2のバッテリセル8b、第7のバッテリセル8g及び第8のバッテリセル8hは、正極端子10aが、端子部6側、すなわち前面2b側を臨むように配置されている。更に、第3のバッテリセル8c、第4のバッテリセル8d、第5のバッテリセル8e及び第6のバッテリセル8fは、負極端子10bが、端子部6側、すなわち前面2b側を臨むように配置されている。
以上のように2列×4段に並べられたバッテリセル8は、業務用の電子機器に用いられるバッテリパック1の場合、定格電圧が約14.4V必要であり、1個のバッテリセル8の定格電圧が約3.6V有するので、4個直列接続される必要がある。そこで、バッテリセル8は、仕切部材20によって仕切られた状態で電極タブ30によってバッテリセル8の各端子間が接続され、2個1組で並列接続されるとともに、これら2個1組で並列接続された4組のバッテリセル8が順に直列接続されている。
具体的に、バッテリセル8は、一方の列に配置された第1のバッテリセル8aの正極端子10aと第2バッテリセル8bの正極端子10aとメイン回路基板50の第1の電極タブ接続部52aとが直線状の第1の電極タブ31で電気的に接続されている。第1の電極タブ31は、各端子間にスポット溶接で固定されるとともに、先端部31aが折り曲げられて第1の電極タブ接続部52aに半田付けされている。
また、バッテリセル8は、一方の列に配置された第1のバッテリセル8aの負極端子10bと第2のバッテリセル8bの負極端子10bと第3のバッテリセル8cの正極端子10aと第4のバッテリセル8dの正極端子10aとが直線状の第2の電極タブ32で電気的に接続されている。第2の電極タブ32は、各端子間にスポット溶接で固定されるとともに、先端部32aが折り曲げられて第2の電極タブ接続部52bに半田付けされている。
更に、バッテリセル8は、一方の列に配置された第3のバッテリセル8cの負極端子10bと第4のバッテリセル8dの負極端子10bと、他方の列に配置された第7のバッテリセル8gの正極端子10aと第8のバッテリセル8hの正極端子10aとが略逆U字状をなす第3の電極タブ33で電気的に接続されている。具体的に、第3の電極タブ33は、第3のバッテリセル8cの負極端子10bと第4のバッテリセル8dの負極端子10bとが電気的に接続される第1の接続タブ部33aと、第7のバッテリセル8gの正極端子10aと第8のバッテリセル8hの正極端子10aとが電気的に接続される第2の接続タブ部33bとを有し、これら第1の接続タブ部33aと第2の接続タブ部33bとを連続させる連続タブ部33cとで略逆U字状をなしている。また、第3の電極タブ32は、各端子間にスポット溶接で固定されている。
更に、バッテリセル8は、他方の列に配置された第5のバッテリセル8eの正極端子10aと第6のバッテリセル8fの正極端子10aと第7のバッテリセル8gの負極端子10bと第8のバッテリセル8hの負極端子10bとが直線状の第4の電極タブ34で電気的に接続されている。第4の電極タブ34は、各端子間にスポット溶接で固定されるとともに、先端部34aが折り曲げられてメイン回路基板50の第4の電極タブ接続部52dに半田付けされている。
また、バッテリセル8は、他方の列に配置された第5のバッテリセル8eの負極端子10bと第6のバッテリセル8fの負極端子10bとメイン回路基板50の第5の電極タブ接続部52eとが直線状の第5の電極タブ35で電気的に接続されている。第5の電極タブ35は、各端子間にスポット溶接で固定されるとともに、先端部35aが折り曲げられて第5の電極タブ接続部52eに半田付けされている(以下、第1の電極タブ31乃至第5の電極タブ35を、単に、電極タブ30ともいい、先端部31a,32a,34a,35aを、単に、先端部30aともいう。)。
なお、第3の電極タブ33は、略逆U字状に限定されるものではなく、第1の接続タブ部33aと第2の接続タブ部33bとを連続させるものであればよく、略H字状、略U字状等でもよい。
以上のように2列×4段に並べられたバッテリセル8は、図10に示すように、電極タブ30によって、第1のバッテリセル8aと第2のバッテリセル8bとが並列接続され、次いで、第3のバッテリセル8cと第4のバッテリセル8dとが並列接続され、次いで第7のバッテリセル8gと第8のバッテリセル8hとが並列接続され、次いで第5のバッテリセル8eと第6のバッテリセル8fとが並列接続されることで、2個1組、計4組が並列接続されるとともに、これら2個1組で並列接続された4組のバッテリセル8が順に直列接続されている。
これにより、以上のような構成を有するバッテリパック1は、メイン回路基板50上に、定格電圧が1個約3.6Vを有するバッテリセル8が2列×4段に並べられ、これらバッテリセル8が2個1組で並列接続されるとともに、これら2個1組で並列接続された4組のバッテリセル8が順に直列接続され、定格電圧約14.4Vを実現し、ビデオカメラ等の業務用の電子機器に用いることができる。
また、バッテリパック1は、バッテリ装着部5内への装着面となる下面2aの面積がバッテリセル8を2つ並列させた面積とされ、挿入面積を小さくすることができる。
また、図8(A)及び図8(B)に示すように、仕切部材20の第4のバッテリセル8d及び第8のバッテリセル8hの上側には、表示用回路基板60が配置されている。表示用回路基板60は、第3の電極タブ33の連続タブ部33cの略中点位置に形成された基板接続タブ部33dと電気的に接続されている。この基板接続タブ部33dは、連続タブ部33cに対して折り曲げられて形成され、表示用回路基板60の基板接続部63に半田付けされている。更に、表示用回路基板60は、フレキシブルフラットケーブル36を介してメイン回路基板50と電気的に接続されている。このフレキシブルフラットケーブル36は、一端が表示用回路基板60のケーブル接続部64に固定され、他端がメイン回路基板50の第3の電極タブ接続部52cと電気的に接続されている。これにより、第3の電極タブ33は、複雑な配線等することなく表示用回路基板60を介してメイン回路基板50と電気的に接続されている。
ここで、メイン回路基板50には、複数個の集積回路チップ等の電子部品によって、2個1組で並列接続された4組のバッテリセル8のそれぞれの組の電圧を検出する電圧検出部56が設けられている。したがって、バッテリパック1は、図10に示すように、第1乃至第5の電極タブ31〜35が第1乃至第5の電極タブ接続部52a〜52e(以下、第1乃至第5の電極タブ接続部52a〜52eを、単に、電極タブ接続部52ともいう。)を介してメイン回路基板50と電気的に接続されているので、メイン回路基板50の電圧検出部56で、2個1組で並列接続された4組のバッテリセル8のそれぞれの組の電圧を検出することができ、バッテリセル8のバッテリ残量及び異常の有無等を確認することができる。
また、図9に示すように、バッテリセル8を仕切る仕切部材20は、略矩形薄板状の仕切板21と、この仕切板21の主面と略直交するように一側面に形成されメイン回路基板50が位置決めされる位置決め板22と、この位置決め板22と反対側の仕切板21の他側面に形成され表示用回路基板60が取り付けられる取付板23と、これら位置決め板22と取付板23との間に略等間隔に仕切部材20の両主面に複数個形成され各バッテリセル8の各列を仕切る支持板24a〜24f(以下、支持板24a〜24fを、単に、支持板24ともいう。)と、仕切板21と各支持板24とのなす角にそれぞれ形成された補強リブ25とを有し、ポリプロピレン等の絶縁樹脂で一体成形されている。これにより、仕切部材20は、絶縁部材等を別途設けることなくバッテリセル8間を絶縁することができる。
仕切板21は、図9に示すように、略矩形薄板状に形成されている。また、仕切板21の主面は、位置決め板22及び取付板23が形成された短辺がバッテリセル8の全長と略同等の長さを有し、長辺がバッテリセル8が4段積み上げられた高さと略同等の長さを有している。このような主面を有する仕切板21は、2列×4段に並べられたバッテリセル8の一方の列、具体的に第1乃至第4バッテリセル8a〜8dと、他方の列、具体的に第5乃至第8バッテリセル8e〜8hとの間に配置され、一方の列のバッテリセル8a〜8dと他方の列のバッテリセル8e〜8hとを仕切っている。
このような仕切板21の主面と略直交するように一体に形成されている位置決め板22は、図9、図11(A)及び図11(B)に示すように、仕切板21の一方の短辺に、仕切板21の主面と略直交するように仕切板21の両主面側に略均等に張り出して形成されている。この位置決め板22は、メイン回路基板50と略同等の大きさの略矩形薄板状に形成されている。
また、位置決め板22には、図12に示すように、メイン回路基板50を位置決めする位置決め部26a,26aと位置決め突部26bとが形成されている。位置決め部26a,26aは、メイン回路基板50の主面の端子ケース40に取り付けられる側とは反対側、すなわち背面2e側のメイン回路基板50の両角部と対応する位置に、それぞれ略L字状に互いに対向するように突設されている。そして、位置決め部26a,26aは、それぞれ略L字状に互いに対向するように突設された位置決め部26a,26aの内側にメイン回路基板50が挿入されて、メイン回路基板50を位置決めする。また、位置決め突部26bは、位置決め板22のメイン回路基板50と対向する側の主面にメイン回路基板50側に突出して、メイン回路基板50に形成されている貫通孔である位置決め孔51(図9参照。)の配置位置に対応して形成されている。そして、位置決め突部26bは、位置決め孔51に挿通してメイン回路基板50を位置決め板22に対して平行な面方向に位置決めする。
これにより、位置決め部26a,26a及び位置決め突部26bは、バッテリセル8の各端子間に電気的に接続された第1、第2、第4及び第5の電極タブ31,32,34,35の先端部31a,32a,34a,35aをそれぞれメイン回路基板50の第1、第2、第4及び第5の電極タブ接続部52a,52b,52c,52dに半田付けする際に、製造者等によって、メイン回路基板50がメイン回路基板50の背面2e側の両角部と対応する位置にそれぞれ略L字状に互いに対向するように突設された位置決め部26a,26aの内側に挿入され、次いでメイン回路基板50に形成されている位置決め孔51に位置決め突部26bが挿通されることで、メイン回路基板50を位置決め板22上に誤差なく容易に位置決めして配置することができる。
また、位置決め部26a,26a及び位置決め突部26bは、メイン回路基板50に電極タブ30が半田付けされた後でも、位置決め部26a,26aの内側に挿入され、次いでメイン回路基板50に形成されている位置決め孔51に位置決め突部26bが挿通されることで、メイン回路基板50を位置決め板22上に位置決めすることで、メイン回路基板50に対して仕切部材20がメイン回路基板50と平行な方向にスライドすることを防止することができる。したがって、位置決め部26a,26a及び位置決め突部26bは、電極タブ30が半田付けされた電極タブ接続部52に仕切部材20がスライドしたことによって発生する引張荷重、せん断荷重及びねじり荷重等が加わることを防止し、電極タブ30と電極タブ接続部52とが破断等することを防止することができる。なお、位置決め板22は、メイン回路基板50を位置決めすることができれば、位置決め部26a,26a又は位置決め突部26bのどちらか一方でもよい。
また、位置決め部26a,26a及び位置決め突部26bが形成された位置決め板22は、仕切板21と一体に形成されているので、例えば電極タブ30をメイン回路基板50の電極タブ接続部52に半田付けする際に、メイン回路基板50を位置決め板22に位置決めする別途位置決め部材及び位置決め治具等を設けることなく、メイン回路基板50を位置決めすることができ、部品点数を削除することができる。
また、位置決め板22は、メイン回路基板50と対向する主面の略中央に、長辺方向の一方の短辺から他方の短辺に亘って基板逃げ溝22aが形成されている。この基板逃げ溝22aは、凹状の溝である。これにより、メイン回路基板50は、位置決め板22と対向する主面の基板逃げ溝22aと対向する位置に、集積回路チップ等の電子部品を実装することができる。したがって、メイン回路基板50は、両主面に電子部品を実装することができる。
更に、位置決め板22は、ポリプロピレン等の絶縁樹脂で形成されているので、例えばメイン回路基板50が両面又は多層に導電パターンが形成されたプリント基板であっても、メイン回路基板50との間に絶縁部材等を介することなく、バッテリセル8と絶縁させることができる。
また、位置決め板22には、後述する下部ケース4の内側に形成されたケース補強リブ4aの配置位置に対応させて位置決め溝22bが形成されている。位置決め溝22bは、仕切部材20を下部ケース4の内側に収納させるときに、それぞれのケース補強リブ4aの配置位置に対応して形成されているので、仕切部材20を下部ケース4に対して位置決めすることができるとともに、誤挿入を防止することができる。更に、位置決め溝22bは、ケース補強リブ4aに係合されて、メイン回路基板50に対して、仕切部材20がその主面に沿ってスライドすることを防止することができる。したがって、位置決め溝22bは、電極タブ30が半田付けされた電極タブ接続部52に仕切部材20がスライドしたことによって発生する引張荷重、せん断荷重及びねじり荷重等が加わることを防止し、電極タブ30と電極タブ接続部52とが破断等することを防止することができる。
この位置決め板22と反対側の仕切板21の他方の短辺に一体に形成されている取付板23は、図9、図11(A)及び図11(B)に示すように、仕切板21の主面と略直交するように仕切板21の両主面側に略均等に張り出して形成されている。この取付板23は、表示用回路基板60と略同等の大きさの略矩形薄板状に形成されている。
また、取付板23には、図9及び図13に示すように、表示用回路基板60を位置決めする係合片27が形成されている。これらの係合片27は、表示用回路基板60に係合し、取付板23に対して表示用回路基板60を誤差なく容易に位置決めするとともに、位置決めした状態で取付板23に係合支持する。
したがって、取付板23は、第3の電極タブ33の基板接続タブ部33dを表示用回路基板60の基板接続部63に半田付けするとともに、フレキシブルフラットケーブル36を表示用回路基板60のケーブル接続部64に接続する際に、表示用回路基板60を係合片27に係合させることで表示用回路基板60を誤差なく容易に位置決めして取り付けることができ、基板接続タブ部33dを表示用回路基板60の基板接続部63に誤差なく半田付けすることができ、フレキシブルフラットケーブル36を表示用回路基板60のケーブル接続部64に容易に接続することができる。
また、このような係合片27が形成された取付板23は、仕切板21と一体に形成されているので、外筐体2内に表示用回路基板60を取り付ける別途取付部材等を設けることなく、表示用回路基板60を取り付けることができ、部品点数を削除することができる。
更に、取付板23は、ポリプロピレン等の絶縁樹脂で形成されているので、例えば表示用回路基板60が両面又は多層に導電パターンが形成されたプリント基板であっても、表示用回路基板60との間に絶縁部材等を介することなく、バッテリセル8と表示用回路基板60を絶縁させることができる。
なお、取付板23は、係合片27で表示用回路基板60を係合して位置決めすることに限定されるものではなく、表示用回路基板60に貫通孔を形成し、この貫通孔の配置位置と対応するように位置決め突起を形成して、この位置決め突起を貫通孔に挿通されることで位置決めしてもよい。
ここで、取付板23に取り付けられる表示用回路基板60は、片面、両面、多層等に導電パターンを有するリジット基板のプリント配線基板である。なお、表示用回路基板60は、リジット基板に限定されるものではなく、フレキシブル基板等であってもよい。また、表示用回路基板60は、図9に示すように、バッテリパック1のバッテリ残量を点灯表示するLED(Light Emitting Diode)でなる発光素子61と、この発光素子61を点灯させる押圧型の残量表示スイッチ素子62と、第3の電極タブ33と電気的に接続される基板接続部63と、メイン回路基板50と電気的に接続されるケーブル接続部64とが実装されている。
また、表示用回路基板60は、取付部23に取り付けられ、メイン回路基板50とバッテリセル8に対して反対側に配置されているので、発光素子61及び残量表示スイッチ素子62が上部カバー3の上面2fから外部に臨むように実装されている。更に、表示用回路基板60は、図8(B)に示すように、第3の電極タブ33の基板接続タブ部33dが基板接続部63に半田付け等されることで第3の電極タブ33と電気的に接続されるとともに、フレキシブルフラットケーブル36の一端がケーブル接続部64に接続されることで、メイン回路基板50とフレキシブルフラットケーブル36を介して電気的に接続されている。
そして、表示用回路基板60は、ユーザ等によって押圧型の残量表示スイッチ素子62が押圧されると、バッテリパック1のバッテリ残量に応じて、図1に示すように、上部カバー3の上面2fに形成された表示窓3aから外部に臨まされている発光素子61の点灯状態を切り換えて、バッテリ残量を発光素子61の点灯表示によって告知する。これにより、ユーザは、ビデオカメラ7等の電子機器に装着されていない予備バッテリパックの残量を容易に確認することができ、バッテリ残量の多いものを選択し、また既にバッテリ残量の少ないバッテリパック1との区別を図ることができる。
これら位置決め板22と取付板23との間に設けられた支持板24は、図9、図11(A)及び図11(B)に示すように、位置決め板22及び取付板23と略平行に、すなわち仕切板21の主面と略直交するように、仕切板21の高さ方向の長辺に対してバッテリセル8の直径と略同等に略等間隔に、仕切板21のそれぞれの主面に3個、計6個突設されている。また、各支持板24は、仕切板21のそれぞれの主面から略均等に張り出して略矩形薄板状に突設されている。
具体的に、仕切板21の一方の主面には、位置決め板22から取付板23に向かって順に、第1乃至第3の支持板24a〜24cが形成されている。また、仕切板21の他方の主面には、位置決め板22から取付板23に向かって順に、第4乃至第6の支持板24d〜24fが形成されている。仕切板21のそれぞれの主面に形成された支持板24は、仕切板21によって一方の列に仕切られたバッテリセル8a〜8dの各バッテリセル8a〜8dを仕切り、他方の列に仕切られたバッテリセル8e〜8hの各バッテリセル8e〜8hを仕切っている。具体的に、第1の支持板24aは、第1のバッテリセル8aと第2のバッテリセル8bとを仕切っている。第2の支持板24bは、第2のバッテリセル8bと第3のバッテリセル8cとを仕切っている。第3の支持板24cは、第3のバッテリセル8cと第4のバッテリセル8dとを仕切っている。第4の支持板24dは、第5のバッテリセル8eと第6のバッテリセル8fとを仕切っている。第5の支持板24eは、第6のバッテリセル8fと第7のバッテリセル8gとを仕切っている。第6の支持板24fは、第7のバッテリセル8gと第8のバッテリセル8hとを仕切っている。
換言すると、第1の支持板24aと位置決め板22との間には、第1のバッテリセル8aが配置され、第1の支持板24aと第2の支持板24bとの間には、第2のバッテリセル8bが配置され、第2の支持板24bと第3の支持板24cとの間には、第3のバッテリセル8cが配置され、第3の支持板24cと取付板23との間には、第4のバッテリセル8dが配置され、第4の支持板24dと位置決め板22との間には、第5のバッテリセル8eが配置され、第4の支持板24dと第5の支持板24eとの間には、第6のバッテリセル8fが配置され、第5の支持板24eと第6の支持板24fとの間には、第7のバッテリセル8gが配置され、第6の支持板24fと取付板23との間には、第8のバッテリセル8hが配置されている。
また、図8(A)及び図8(B)に示すように、2列×4段に並べられ、仕切部材20によって仕切られ、電極タブ30によって各端子間が電気的に接続されたバッテリセル8において、一方の列に配置された第3及び第4のバッテリセル8c,8dと他方の列に配置された第7及び第8のバッテリセル8g,8hとが、略逆U字状の第3の電極タブ33によって一方の列と他方の列に亘って連結されているが、一方の列に配置されている第1及び第2のバッテリセル8a,8bと他方の列に配置されている第5及び第6のバッテリセル8e,8fとは、直線状の第1、第2、第4及び第5の電極タブ31,32,34,35によって前面2b側及び背面2e側ともに一方の列と他方の列に亘って連結されていない。
更に、第1及び第2のバッテリセル8a,8bが背面2e側で第2の電極タブ32によって第1のバッテリセル8aの負極端子10bと第2のバッテリセル8bの負極端子10bと第3のバッテリセル8cの正極端子10aと第4のバッテリセル8dの正極端子10aとが連結されており、第5及び第6のバッテリセル8e,8fが背面2e側で第4の電極タブ34によって第5のバッテリセル8eの正極端子10aと第6のバッテリセル8fの正極端子10aと第7のバッテリセル8gの負極端子10bと第8のバッテリセル8hの負極端子10bとが連結されているので、第1及び第2のバッテリセル8a,8bは、例えば製造者が手に取った場合に、図8(A)中の矢印C1方向に、第1の電極タブ31を中心に、第1及び第2のバッテリセル8a,8bの正極端子10a側が仕切部材20から外れる方向に回動してばらけてしまう虞があり、第5及び第6のバッテリセル8e,8fは、図8(A)中の矢印C2方向に、第4の電極タブ34を中心に、第5及び第6のバッテリセル8e,8fの負極端子10b側が仕切部材20から外れる方向に回動してばらけてしまう虞がある。
そこで、第1及び第2のバッテリセル8a,8bと第5及び第6のバッテリセル8e,8fは、仕切部材20から外れてばらけてしまわないように支持板24によって支持されるようにしている。また、第1及び第2のバッテリセル8a,8bと第5及び第6のバッテリセル8e,8fを支持する支持板24は、第1及び第2のバッテリセル8a,8bが前面2b側で第1の電極タブ31で連結されているので、第1又は第2バッテリセル8a,8bのどちらか一方を支持すればよく、第5及び第6のバッテリセル8e,8fも前面2b側で第5の電極タブ35で連結されているので、第5又は第6バッテリセル8e,8fのどちらか一方を支持すればよい。
ここで、図14(A)は図11(A)のD−D断面図であり、図14(B)は図11(A)のE−E断面図である。図11(A)、図11(B)、図14(A)及び図14(B)に示すように、第1の支持板24aには、第2のバッテリセル8bを支持する第1の突出片28aが形成され、第2の支持板24bには、第2のバッテリセル8bを支持する第2の突出片28bが形成され、第4の支持板24dには、第6のバッテリセル8fを支持する第3の突出片28cが形成され、第5の支持板24eには、第6のバッテリセル8fを支持する第4の突出片28dが形成されている(以下、第1乃至第4突出片28a〜28dを、単に、突出片28ともいう。)。
突出片28は、各支持板24から更に延長方向に突出して形成されている。そして、高さ方向に隣り合う第1及び第2の突出片28a,28bは、これら第1及び第2の突出片28a,28bとの間に配置される第2のバッテリセル8bの側面を挟持して支持する。また、高さ方向に隣り合う第3及び第4の突出片28c,28dは、これら第3及び第4の突出片28c,28dとの間に配置される第6のバッテリセル8の側面を挟持して支持する。換言すると、第2バッテリセル8bは、第1の突出片28aと第2の突出片28bとで側面が挟持されて支持され、第6のバッテリセル8fは、第3の突出片28cと第4の突出片28dとで側面が挟持されて支持される。
これにより、突出片28は、第2のバッテリセル8bと第6のバッテリセル8fとが支持板24に支持されることで、電極タブ30によって前面2b側及び背面2e側ともに一方の列と他方の列に亘って連結されていない第1及び第2のバッテリセル8a,8bと第5及び第6のバッテリセル8e,8fとが支持板24から外れてばらけてしまうことを防止することができる。
なお、位置決め板22は、第1,第2,第4及び第5の支持板24a,24b,24c,24dからそれぞれ1個延長方向に突出して第1乃至第4の突出片28a〜28dが形成されることに限定されるものではなく、複数個形成してもよい。これにより、第2のバッテリセル8bと第6のバッテリセル8fは、より強固に支持板24に支持され、第1及び第2のバッテリセル8a,8bと第5及び第6のバッテリセル8e,8fとが支持板24から外れてばらけてしまうことを防止することができる。
なお、位置決め板22は、仕切板21に対して略直交して張り出ているので、第1の突出片28aとで第1のバッテリセル8aを挟持して支持し、第3の突出片28cとで第5のバッテリセル8eを挟持して支持してもよい。これにより、第1及び第2のバッテリセル8a,8bと第5及び第6のバッテリセル8e,8fとは、より強固に支持板24から外れてばらけてしまうことを防止することができる。
仕切板21と位置決め板22とのなす角、仕切板21と各支持板24とのなす角、及び仕切板21と取付板23とのなす角にそれぞれ形成された補強リブ25aa〜25deは、図9、図11(A)及び図11(B)に示すように、例えば仕切板21の両主面に、仕切板21の短辺方向に対してそれぞれ5個形成され、仕切部材20の一方側の主面に、仕切板21と位置決め板22とのなす角及び仕切板21と第1の支持板24aとのなす角に補強リブ25aa〜25aeが形成され、仕切板21と第1の支持板24aとのなす角及び仕切板21と第2の支持板24bとのなす角に補強リブ25ba〜25beが形成され、仕切板21と第2の支持板24bとのなす角及び仕切板21と第3の支持板24cとのなす角に補強リブ25ca〜25ceが形成され、仕切板21と第3の支持板24cとのなす角及び仕切板21と取付板23とのなす角に補強リブ25da〜25deが形成され、仕切部材20の他方側の主面に、仕切板21と位置決め板22とのなす角及び仕切板21と第4の支持板24dとのなす角に補強リブ25ea〜25eeが形成され、仕切板21と第4の支持板24dとのなす角及び仕切板21と第5の支持板24eとのなす角に補強リブ25fa〜25feが形成され、仕切板21と第5の支持板24eとのなす角及び仕切板21と第6の支持板24fとのなす角に補強リブ25ga〜25geが形成され、仕切板21と第6の支持板24fとのなす角及び仕切板21と取付板23とのなす角に補強リブ25ha〜25heが形成され、仕切部材20の一方側の主面に補強リブ25aa〜25deの20個、他方側の主面に補強リブ25ea〜25heの20個、計40個形成されている(以下、補強リブ25aa〜25de、補強リブ25ea〜25heを、単に、補強リブ25ともいう。)。
これにより、補強リブ25は、仕切板21、位置決め板22、取付板23及び支持板24等の機械的強度を高め、これらが変形等しないように防止することができ、仕切部材20の耐衝撃性能の向上を図ることができる。なお、補強リブ25は、仕切板21の短辺方向に対して5個形成されることに限定されるものではなく、仕切部材20の各部を補強することができれば、適宜変更可能である。
また、仕切板21の一方側の主面と第3の支持板24cとのなす角及び仕切板21の一方側の主面と取付板23とのなす角に形成された補強リブ25da〜25deと、仕切板21の他方側の主面と第6の支持板24fとのなす角及び仕切板21の他方側の主面と取付板23とのなす角に形成された補強リブ25ha〜25heとは、特に取付板23を補強し、取付板23が変形等しないように防止する。これにより、補強リブ25da〜25de及び補強リブ25ha〜25heは、ユーザ等によって取付板23に取り付けられた表示用回路基板60に実装された残量表示スイッチ素子62が押圧された場合に、取付板23に加わる押圧力によって、特に押圧力を受ける部分である取付板23が変形等しないように防止することがでる。
更に、補強リブ25は、仕切板21の短辺方向に対して残量表示スイッチ素子62が実装された側の補強リブ25の間隔が残量表示スイッチ素子62が実装されていない側の補強リブ25の間隔より次第に狭くなるように形成されている。これにより、補強リブ25は、ユーザ等によって表示用回路基板60に実装された残量表示スイッチ素子62が押圧された場合に、仕切部材20に加わる押圧力に対する仕切部材20の機械的強度を高めている。したがって、補強リブ25は、ユーザ等によって表示用回路基板60に実装された残量表示スイッチ素子62が押圧された場合に、仕切部材20に加わる押圧力によって仕切部材20が変形等することを防止することができる。
具体的に、本実施例では図2に示すように表示用回路基板60上に残量表示スイッチ素子62が背面2e側に実装されているので、仕切板21の一方側の主面に形成された補強リブ25aa〜25deは、図11(B)に示すように、補強リブ25aa,25ba,25ca,25daと補強リブ25ab,25bb,25cb,25dbとの間隔w1、補強リブ25ab,25bb,25cb,25dbと補強リブ25ac,25bc,25cc,25dcとの間隔w2、補強リブ25ac,25bc,25cc,25dcと補強リブ25ad,25bd,25cd,25ddとの間隔w3、補強リブ25ad,25bd,25cd,25ddと補強リブ25ae,25be,25ce,25deとの間隔w4と、残量表示スイッチ素子62が実装されていない前面2b側の補強リブ25の間隔から残量表示スイッチ素子62が実装されている背面2e側の補強リブ25の間隔に向かって、間隔w1、間隔w2、間隔w3、間隔w4と次第に間隔が狭くなるように形成されている。
同様に、仕切板21の他方側の主面に形成された補強リブ25ea〜25heは、図11(A)に示すように、補強リブ25ea,25fa,25ga,25haと補強リブ25eb,25fb,25gb,25hbとの間隔w5、補強リブ25eb,25fb,25gb,25hbと補強リブ25ec,25fc,25gc,25hcとの間隔w6、補強リブ25ec,25fc,25gc,25hcと補強リブ25ed,25fd,25gd,25hdとの間隔w7、補強リブ25ed,25fd,25gd,25hdと補強リブ25ee,25fe,25ge,25heとの間隔w8と、残量表示スイッチ素子62が実装されていない前面2b側の補強リブ25の間隔から残量表示スイッチ素子62が実装されている背面2e側の補強リブ25の間隔に向かって、間隔w5、間隔w6、間隔w7、間隔w8と次第に間隔が狭くなるように形成されている。
したがって、補強リブ25は、残量表示スイッチ素子62が実装されている側の間隔を狭めて形成されていることで、ユーザ等によって残量表示スイッチ素子62が押圧された場合に、押圧力が仕切部材20に加わる箇所及び近傍の機械的強度を集中的に高めることができ、押圧力による仕切部材20が変形等することを防止することができる。
なお、補強リブ25は、残量表示スイッチ素子62が実装されていない側から残量表示スイッチ素子62が実装されている側に向かって次第に間隔が狭くなるように形成されることに限定されるものではなく、ユーザ等によって残量表示スイッチ素子62が押圧された場合に、押圧力が仕切部材20に加わる箇所及び近傍の機械的強度を集中的に高めることができればよく、残量表示スイッチ素子62の実装位置及び近傍の間隔のみを狭くするように形成してもよい。
また、補強リブ25は、図9に示すように、支持板24との間に配置されたバッテリセル8を支持するために、バッテリセル8の外形に対応させた湾曲形状に形成されている。
バッテリセル8は、図15に示すように、正極端子10a側の外形が負極端子10b側の外形より太くなるようになっている。バッテリセル8は、正極端子10aを構成する正極蓋をバッテリセル8の電池缶に溶着するときに径方向に膨らんでしまうためである。具体的には、バッテリセル8は、正極端子10a側の外形寸法d1が負極端子10b側の外形寸法d2より約0.2mm程度太くなっている。
このため、補強リブ25は、バッテリセル8の正極端子10a側と負極端子10b側とで異なる外形寸法d1、d2に対応して形成されている。バッテリセル8の正極端子10a側と対応する補強リブ25は、正極端子10a側の外形寸法d1と対応する内径寸法d3で湾曲形状に形成され、負極端子10b側と対応する補強リブ25は、負極端子10b側の外形寸法d2と対応する内径寸法d4で湾曲形状に形成されている。補強リブ25の内径寸法d3は、正極端子10a側の外形寸法d1が負極端子10b側の外形寸法d2より約0.2mm程度太くなっていることに伴い、内径寸法d4より約0.2mm程度大径に形成されている。
具体的に、仕切板21の他方側の主面と第6の支持板24fとのなす角及び仕切板21の他方側の主面と取付板23とのなす角に形成された補強リブ25ha〜25heの列を例にとり説明する。図8(A)及び図8(B)に示すように、第6の支持板24fと取付板23との間に配置される第8のバッテリセル8hは、正極端子10aが、端子部6側、すなわち前面2b側に臨むように配置されている。ここで、図16(A)は、図11(A)のF−F断面であり、図16(B)は、図11(A)のG−G断面である。
図11(A)及び図16(A)に示すように、正極端子10aが前面2b側に臨むように配置された第8のバッテリセル8hの正極端子10a側と対応する補強リブ25ha〜25hcは、バッテリセル8の正極端子10a側の外形寸法d1に対応させた内径寸法d3で湾曲形状に形成されている。この結果、図17(A)に示すように、内径寸法d3で湾曲形状に形成された補強リブ25ha〜25hcは、支持板24から延長方向に突出して形成された舌片29上にまで及ばずに支持板24上に設けられている。
また、バッテリセル8の正極端子10a側と対応する補強リブ25ha〜25hc以外の第8のバッテリセル8hの負極端子10b側と対応する補強リブ25hd,25heは、図16(B)に示すように、バッテリセル8の負極端子10b側の外形寸法d2に対応させて内径寸法d4で湾曲形状に形成されている。この結果、図17(B)に示すように、内径寸法d4で湾曲形状に形成された補強リブ25hd,25heは、支持板24から延長方向に突出して形成された舌片29上にまで及んで設けられている。
同様に、補強リブ25aa〜25ae、25ba〜25be、25ga〜25geの列は、配置される第1、第2及び第7のバッテリセル8a,8b,8gの正極端子10aが、端子部6側、すなわち前面2b側に臨むように配置されているので、第1、第2及び第7のバッテリセル8a,8b,8gの正極端子10a側と対応する補強リブ25aa〜25ac、25ba〜25bc、25ga〜25gcが補強リブ25ha〜25hcと同様にバッテリセル8の正極端子10a側の外形寸法d1に対応させた内径寸法d3で湾曲形状に形成され、第1、第2及び第7のバッテリセル8a,8b,8gの負極端子10b側と対応する補強リブ25ad,25ae、25bd,25be、25gd,25geが補強リブ25hd,25heと同様にバッテリセル8の負極端子10b側の外形寸法d2に対応させて内径寸法d4で湾曲形状に形成されている。
また、補強リブ25ca〜25ce、25da〜25de、25ea〜25ee、25fa〜25feの列は、配置される第3、第4第5及び第6のバッテリセル8c,8d,8e,8fの正極端子10aが、端子部6と反対側、すなわち背面2e側に臨むように配置されているので、第3、第4、第5及び第6のバッテリセル8c,8d,8e,8fの正極端子10aと対応する補強リブ25cb〜25ce、25db〜25de、25eb〜25ee、25fb〜25feが補強リブ25ha〜25hcと同様にバッテリセル8の正極端子10a側の外形寸法d1に対応させた内径寸法d3で湾曲形状に形成され、第3、第4、第5及び第6のバッテリセル8c,8d,8e,8fの負極端子10bと対応する補強リブ25ca、25da、25ea、25faが補強リブ25hd,25heと同様にバッテリセル8の負極端子10b側の外形寸法d2に対応させて内径寸法d4で湾曲形状に形成されている。
これにより、補強リブ25は、バッテリセル8の正極端子10a側と負極端子10b側とで異なる外形寸法d1,d2にそれぞれ対応して形成されているので、バッテリセル8をより密着して支持することができ、バッテリセル8をがたつくことなく支持することができる。
また、補強リブ25は、少なくとも最も前面2b及び背面2e側に形成され配置されるバッテリセル8の正極端子10a側の外形寸法d1と対応する補強リブ25が、その他の補強リブ25より大径に形成されているので、バッテリセル8を仕切部材20に組み立てる際に、バッテリセル8の負極端子10b側を挿入端として支持板24間に容易に挿入することができる。
なお、補強リブ25は、上述したように補強リブ25aa〜25ac,25ba〜25bc,25cb〜25ce,25db〜25de,25eb〜25ee,25fb〜25fe,25ga〜25gc,25ha〜25hcを内径寸法d3で湾曲形状に形成し、これら以外の補強リブ25ad,25ae,25bd,25be,25ca,25da,25ea,25fa,25gd,25ge,25hd,25heを内径寸法d4で湾曲形状に形成することに限定するものではなく、バッテリセル8の正極端子10a側と負極端子10b側とで異なる外形寸法d1,d2にそれぞれ対応して形成し、バッテリセル8をがたつくことなく支持することができれば、適宜変更可能である。
また、補強リブ25は、バッテリセル8をがたつくことなく支持することができれば、内径寸法d3,d4で形成されることに限定されるものではなく、例えば、補強リブ25の支持する位置でのそれぞれのバッテリセル8の外形寸法に対応させた内径寸法で形成してもよい。
このような仕切部材20によって仕切られるとともに支持されたバッテリセル8の各端子間を電気的に接続する電極タブ30は、図8(A)及び図8(B)に示すように、バッテリセル8の各端子面にスポット溶接によって固定されている。また、スポット溶接によってバッテリセル8の端子に固定された電極タブ30は、図18に示すように、バッテリセル8の各端子の溶接固定部38a〜38d(以下、溶接固定部38a〜38dを、単に、溶接固定部38ともいう。)間に、電極タブ30の長手方向に沿ってスリット39が形成され、スリット39の幅方向の両端に荷重吸収部39a,39aが設けられている。スリット39は、例えば、長孔形状に形成されている。荷重吸収部39a,39aは、バッテリセル8の各端子の溶接固定部38間を電気的に接続させている。このようなスリット39及び荷重吸収部39a,39aが設けられた電極タブ30は、スリット39が形成されたことで、スリット39の両端に設けられた荷重吸収部39a,39aの剛性が他の箇所、特に溶接固定部38と比べて弱くなるように設けられている。
これにより、電極タブ30は、例えばバッテリパック1が落下等した場合に、バッテリパック1が落下したことによって発生した衝撃的な荷重が、荷重吸収部39a,39aに集中し、荷重吸収部39a,39aで塑性又は弾性変形される。したがって、電極タブ30は、他の箇所と比べて剛性が弱くなるように設けられた荷重吸収部39a,39aに荷重を集中させることで、バッテリセル8と電極タブ30とを固定させている溶接固定部38に荷重が集中することを防止し、溶接固定部38に加わる荷重を緩和することで溶接固定部38と破断等することを防止することができる。
また、スリット39及び荷重吸収部39a,39aは、バッテリセル8の各端子の溶接固定部38間の略中間位置に形成されている。これにより、電極タブ30は、一のスリット39の両端部に設けられた荷重吸収部39a,39aに荷重が集中することを防止し、荷重吸収部39a,39aに荷重が略均等に加わることで、これら荷重吸収部39a,39aが破損等することを防止している。したがって、電極タブ30は、スリット39及び荷重吸収部39a,39aをバッテリセル8の各端子の溶接固定部38間の略中間位置に設けたことで、荷重吸収部39a,39aに略均等に荷重が加わるとともに、溶接固定部38に加わる荷重も略均等に緩和することができ、溶接固定部38と破断等することを防止することができる。
また、スリット39は、電極タブ30の幅方向に対して略中央に形成されている。これにより、電極タブ30は、スリット39の両端部に設けられた荷重吸収部39a,39aが略同一の幅を有し、一端側の荷重吸収部39aに荷重が集中することを防止し、それぞれの荷重吸収部39a,39aに荷重が略均等に加わることで、これら荷重吸収部39a,39aが破損等することを防止している。したがって、電極タブ30は、スリット39を幅方向に対して略中央に設け、荷重吸収部39a,39aが略同一の幅を有することで、それぞれの荷重吸収部39a,39aに略均等に荷重が加わるとともに、溶接固定部38に加わる荷重も略均等に緩和することができ、溶接固定部38と破断等することを防止することができる。
また、スリット39は、両端部39b,39bが、バッテリセル8の正極端子10aの端面の外周部に絶縁フィルムが被覆された正極側被覆部10d及びバッテリセル8の負極端子10bの端面の外周部に絶縁フィルムが被覆された負極側被覆部10eの外側に位置するような長さに形成されている。これにより、電極タブ30は、スリット39の両端部39b,39bが正極側被覆部10dから露出する正極端子10a及び負極側被覆部10eから露出する負極端子10bと重ならず、バッテリセル8の正極端子10a又は負極端子10bにスポット溶接される際に、溶接面積が小さくなることを防止することができる。
また、電極タブ30は、銅板にニッケルメッキが施されている。これにより、電極タブ30は、従来用いられていたニッケルの電極タブより全体の剛性が弱くなるように設けられている。したがって、電極タブ30は、全体の剛性が弱くなるように設け、荷重吸収部39a,39aに荷重を集中させることで、バッテリセル8と電極タブ30とを固定させている溶接固定部38に荷重が集中することを防止し、溶接固定部38に加わる荷重を緩和することで溶接固定部38と破断等することを防止することができる。
ここで、図19に示すように、従来用いられていたニッケルの電極タブ200には、バッテリセル8の端子にスポット溶接するために、バッテリセル8の端子面に対応させて溶接用スリット201が形成されている。従来の電極タブ200は、第1の溶接電極及び第2の溶接電極を、溶接用スリット201を亘らせるように、2回、計4箇所、具体的に溶接固定部38a,38b及び溶接固定部38c,38dの2回、計4箇所、バッテリセル8の端子面にスポット溶接されている。また、このようにスポット溶接する際に、従来の電極タブ200は、この溶接用スリット201によって、第1の溶接電極から従来の電極タブ200を介して直接第2の溶接電極に流れる、すなわち溶接箇所を経由せず、溶接に寄与しない無効分流が、溶接用スリット201を設けてこの無効分流経路長を長くすることで抑えられていた。しかしながら、銅板にニッケルメッキが施されている電極タブ30は、銅の電気抵抗率が非常に低く、溶接用スリット201を設けてこの無効分流経路長を長くしても、無効分流の大きさがほとんど変わらないため、本発明では電極タブ30に溶接用スリット201を設けないようにしている。
また、図20は、銅板にニッケルメッキを施した電極タブ30において、溶接用スリット201を設けた場合と設けていない場合の溶接強度の分布を示した図であり、溶接用スリット201を設けた場合の溶接強度の分布を破線Hで示し、溶接用スリット201を設けていない場合の溶接強度の分布を実線Iで示している。図20に示すように、溶接強度の分布は、溶接用スリット201を設けた場合と設けていない場合の両方において、正規分布をしているが、溶接強度の平均値は、溶接用スリット201を設けた場合が約85Nであるのに対して、本発明のように設けていない場合には、約90Nであり、溶接強度が向上することを確認することができた。したがって、本発明では電極タブ30に溶接用スリット201を設けないようにしている。
以上のような溶接用スリット201を設けていない電極タブ30には、図18に示すように、バッテリセル8の製造者がバッテリセル8の端子にスポット溶接する際に、バッテリセル8の端子と位置合わせする位置合わせ孔37が形成されている。位置合わせ孔37は、電極タブ30がバッテリセル8の端子上に配置された際に、それぞれのバッテリセル8の端子面の略中心に対応して形成された貫通孔であり、各電極タブ30の幅方向に対して略中心位置に形成されている。
これにより、位置合わせ孔37は、スポット溶接を行う製造者が電極タブ30をバッテリセル8の端子上に配置する際に、位置合わせ孔37をバッテリセル8の端子の略中心位置に合わせる目印となり、バッテリセル8の端子の中心と電極タブ30の中心とを容易に位置合わせすることができる。また、位置合わせ孔37は、製造者が電極タブ30をスポット溶接する際に、第1の溶接電極及び第2の溶接電極を電極タブ30の幅方向の略中心位置から左右対称に当てる目印ともなる。
また、電極タブ30は、位置合わせ孔37の周囲に、第1の溶接電極及び第2の溶接電極によって位置合わせ孔37に対して左右対称に上下各1回、計2回スポット溶接されることで、それぞれ4点の溶接固定部38a〜38dを有してバッテリセル8の端子に溶接されている。この際、位置合わせ孔37と溶接固定部38a〜38dは、溶接固定部38a〜38dによって設けられた略矩形のコーナー4点の中央部に位置合わせ孔37が設けられ、例えばさいころの5の目のように設けられている。したがって、製造者は、溶接後、目視により溶接もれ等なく必要な位置に全て溶接が行われたのか容易に確認することができる。
更に、各電極タブ30には、図21に示すように、少なくとも1つ以上の位置合わせ孔37に、プレス成形する際に孔をあけるとともに絞り加工を行うことによって孔の周囲に筒状突部が形成されるバーリング加工が施されている。バーリング加工によって形成された筒状突部37aは、例えば各電極タブ30の最も先端部30a側に配置された位置合わせ孔37に形成されている。また、筒状突部37aは、電極タブ30のバッテリセル8と接する主面とは反対側の主面側に突出するように施されている。したがって、電極タブ30は、位置合わせ孔37にバーリング加工を施すことによって、主面部に筒状突部37aが形成され、複数個が密着して重なることを防止することができ、製造者が知らずに複数個を手に取ってしまうことを防止することができる。
仕切部材20によって仕切られたバッテリセル8を収納する下部ケース4は、図22に示すように、上面に開口部を有する略矩形の箱形状に形成されている。また、下部ケース4は、前面2bの下部に端子部6が形成されている。この端子部6は、図23に示すように、前面2bより外方に臨まされている端子孔41と、この端子孔41の内側に配設され、バッテリ装着部5側に形成された図示しない端子ピンが挿入される接合部材70が嵌め込まれた端子ケース40とを有する。
端子孔41は、図23に示すように、外筐体2の前面2bに形成された凹面部42と、凹面部42に形成された接合部材70と連続するガイド部43とを有する。外筐体2の前面2bに形成された凹面部42は、略矩形状の凹部であり、接合部材70と外部の金属類とが接触しショートすることや、外部との衝突による接合部材70の変形すること等を防止する。また、凹面部42には、底面略中央に略円形に開口されたガイド部43が形成されている。凹面部42に形成されたガイド部43は、接合部材70と略同径に形成されて接合部材70と共に端子ピンを支持する支持面部44と、この支持面部44の凹面部42側に端子ピンよりも大径に開口されて端子ピンを接合部材70へガイドする傾斜面部45とを有する。支持面部44の凹面部42側に形成された傾斜面部45は、端子ピンよりも大径に開口されているため、端子ピンを支持面部44に容易に挿入させる。傾斜面部45にガイドされた端子ピンが挿入される支持面部44は、接合部材70と略同径に形成されるとともに接合部材70と連続し、傾斜面部45によって導かれた端子ピンに負荷をかけることなく接合部材70への挿入を行わせることができる。また、支持面部44は、接合部材70とともに、端子ピンを保持する。
この端子孔41内に配設された端子ケース40は、図24に示すように、長辺を下部ケース4の内側の幅の長さと略同一の長さに形成された略矩形状の樹脂部品であり、長辺方向に沿って接合部材70を収納する嵌合孔46が形成されているとともに、メイン回路基板50が取り付けられている。
ここで、端子ケース40に取り付けられるメイン回路基板50は、図9に示すように、片面、両面又は多層等に導電パターンを有するプリント配線基板であり、リジット基板である。また、メイン回路基板50は、下部ケース4の内側と略同一の大きさと形状で形成されている。また、メイン回路基板50は、図25(B)に示すように、裏面側主面の端子ケース40に取り付けられる一方の短辺近傍に、接合部材70と接続タブ71を介して接続される第1乃至第5の端子接続部53a〜53e(以下、第1乃至第5の端子接続部53a〜53eを、単に、端子接続部53ともいう。)がそれぞれ第1乃至第6の端子部6a〜6eの配置位置に対応して形成されている。
端子ケース40に収納される接合部材70は、図23に示すように、端子孔41の支持面部44と連続して配設され、長手方向の一端が開放され、他端が閉塞された円筒形状の金属部材である。このような接合部材70を収納する嵌合孔46は、内径が接合部材70の外形と略同一の円筒形状をなし、長手方向の両端が開口されている。また、接合部材70は、嵌合孔46に嵌合されるとともに、開放端側が嵌合孔46の端面より端子孔41と連続され、閉塞端側が端子ケース40に取り付けられたメイン回路基板50の端子接続部53a〜53eにそれぞれ半田付けされた金属からなる接続タブ71と溶接又は半田付けによって固定されている(図25(B)参照)。そして、接合部材70は、端子ケース40がメイン回路基板50とともに下部ケース4の内側に配設されることにより、図23に示すように、端子孔41の支持面部44と連続され、支持面部44内に挿通された端子ピンを挿入、保持する。
以上のような端子部6は、端子孔41の凹面部42内に挿通孔を開口させ、さらにガイド部43を介して接合部材70と連続させることにより、接合部材70を前面2bより外筐体2の内側に配設している。これにより、端子部6は、接合部材70と外部の金属類とのショートや、外部との衝突による接合部材70の変形等を防止することができる。また、端子部6は、端子ピンが、端子孔41のガイド部43の支持面部44と、端子ケース40に嵌合されている接合部材70とに挿通、保持される。このように、端子ピンが下部ケース4側の端子孔41と、下部ケース4内に配設されている端子ケース40の2部品に挿通、保持されることにより、バッテリパック1の装着時において電子機器に振動が加わった場合でも、端子ピンにかかる負荷を軽減するとともに、電気的な接続信頼性を維持することができる。
また、以上のような端子部6は、図4に示すように、前面2bの下部に、第1〜第5の端子部6a〜6eが5つ並んで配設されている。第1及び第2の端子部6a,6bと、第4及び第5の端子部6d,6eは、外筐体2の前面2bに、左右対称に形成され、第3の端子部6cは、前面2bの中央から第4及び第5の端子部6d,6e側に偏倚して形成されている。また、前面2bの中央には、挿入ガイド溝11の端面が臨まされている。
また上述したように、各端子部6a〜6eに形成された端子には、SMBusインタフェース規格に従ってそれぞれ機能が定められており、第1の端子部6aはバッテリパック1の正極端子、第2の端子部6bはクロックライン用の端子、第3の端子部6cはデータライン用の端子、第4の端子部6dはID抵抗が接続されたID端子、そして第5の端子部6eはバッテリパック1の負極端子となっている。
バッテリパック1は、外筐体2がバッテリ装着部5に挿入され、前面2b側にスライドされることにより、バッテリ装着部5側に配設されている端子ピンが、各端子部6a〜6eに挿入、保持される。ここで、メイン回路基板50には、複数個の集積回路チップ等の電子部品によって、各端子部6a〜6と接続された外部の電子機器等と通信を行う通信回路部57とが実装されている。これにより、バッテリパック1は、図10に示すように、メイン回路基板50の通信回路部57と電子機器側との間で、第1、第5の端子部6a,6eを介した電力供給、第2の端子部6bを介したクロックデータに従って、第3の端子部6cを介したバッテリ残量や満充電容量、現在の充電量、このまま使い続けたら何分もつか、充放電サイクル数といった各種データや、バッテリパック1が純正品であることを示すIDデータ等の通信、第4端子部6dを介したID抵抗値の検出が可能となる。
第4の端子部6dによるID抵抗値は、容量の違いに応じて複数の種類が用意されたバッテリパックのうちいずれが装着されたものかを電子機器側で検出するために用いられるものであり、Lサイズのバッテリパック1とSサイズのバッテリパック100とでは異なった抵抗値が設定されている。そして、第4の端子部6dに端子ピンが挿入されると、電子機器側で、バッテリパック1,100側の抵抗値を計測し、いずれのバッテリパック1,100が装着されたかを判別する。
ここで、第4の端子部6dは、負極端子が構成された第5の端子部6eと近接して形成されている。これは、ID検出用の抵抗と負極ラインとが離れていると、その間に他の信号ライン等からの電磁放射がノイズとなって伝搬し、正確な抵抗値を計測することができなくなるおそれがあるためである。したがって、バッテリパック1は、第4の端子部6dを第5の端子部6eである負極端子に近接配置することにより、ID抵抗と負極ラインとの距離を短く設計することができ、正確な抵抗値の測定が可能となる。
また、第3の端子部6cは、外筐体2の前面2bの幅方向略中央に前面側挿入ガイド溝11が形成されていることから、左右何れか、本実施例の場合、第4、第5の端子部6d,6e側に偏倚して形成されている。
この結果、バッテリパック1は、各端子部6a〜6eが不等間隔に配設されることとなり、かかる端子部6a〜6eに対応してバッテリ装着部5側に形成されている端子ピンも不等間隔で形成されることとなる。したがって、バッテリパック1は、左右反対では端子ピンが挿入されないことから、バッテリ装着部5への誤挿入を防止することができる。
また、図25(A)及び図25(B)に示すように、第2の端子部6bと第3の端子部6cとの間、及び第3の端子部6cと第4の端子部6dとの間には、バッテリセル8の電極に接続された第1及び第5の電極タブ31,35が、第3及び第4の端子部6c,6dのいずれとも重畳しないように配設されている。バッテリセル8の各端子間に電気的に接続された第1及び第5の電極タブ31,35は、先端部31a,35a側が幅狭に形成され、外筐体2内に収納される際、この先端部31a,35aが折り曲げられた後、それぞれメイン回路基板50の第1及び第5の電極タブ接続部52aに半田付けされる。バッテリセル8がメイン回路基板50とともに外筐体2内に収納されることにより、第1及び第5の電極タブ31,35は、先端部31a,35aが第2の端子部6bと第3の端子部6cとの間、及び第3の端子部6cと第4の端子部6dとの間で、かつ各端子部6a〜6eと同一平面上ではない位置に配設される。また、第1及び第5の電極タブ31,35は、バッテリセル8の端部からメイン回路基板50に沿って折り曲げられることにより、幅狭の先端部31a,35aが第2〜第4の端子部6b〜6dと重畳しないように引き回される。したがって、バッテリパック1は、かかる第1及び第5の電極タブ31,35による電磁放射がノイズとなって各通信ラインに伝搬することを防止でき、正確なデータ通信を行うことができる。
また、端子ケース40は、図22及び図24に示すように、端子孔41と接する主面と反対側の主面にメイン回路基板50が取り付けられている。また、端子ケース40の端子孔41と接する主面と反対側の主面には、図26及び図27に示すように、メイン回路基板50の一方の短辺をメイン回路基板50の厚さ方向で挟持する基板支持部47が形成されている。この基板支持部47は、メイン回路基板50の一方の主面を支持する下側支持部47aと、他方の主面を支持する上側支持部47bとを有する。下側支持部47aは、端子ケース40の長辺方向の両端部及び嵌合孔46間に複数個突設されている。また、メイン回路基板50の一方の短辺の略中央近傍には、下側支持部47aと同様にメイン回路基板50の一方の主面を支持し、下側支持部47aより大きく突設されている下側支持部47cが形成されている。上側支持部47bは、下側支持部47a,47cからメイン回路基板50の厚さ程度離間させて、メイン回路基板50の幅方向の両端近傍に突設されている。これにより、端子ケース40は、基板支持部47の下側支持部47a,47c及び上側支持部47bとでメイン回路基板50の一方及び他方の主面を支持することで、メイン回路基板50が取り付けられている。
そして、端子ケース40とともに下部ケース4の内側に配設されたメイン回路基板50は、図28に示すように、基板支持部47に支持されて取り付けられているので、下部ケース4内の底面と離間して設けられている。これにより、メイン回路基板50は、下部ケース4の底面と対向する主面に、従来より高さを有する電子部品でも実装することができる。
更に、メイン回路基板50は、下部ケース4の内側に形成されたケース補強リブ4aの配置位置に対応させてリブ逃げ溝54が形成されている。リブ逃げ溝54は、それぞれのケース補強リブ4aと隙間を有して形成されているので、メイン回路基板50がケース補強リブ4aと干渉することを防止している。
ここで、メイン回路基板50上に配置される仕切部材20は、図24に示す端子ケース40の上面に形成された支持部48と、図24に示す下部ケース4の内側に形成された支持突起4bとによって支持されている。端子ケース40の上面に形成された支持部48は、上側が開口された溝形状であり、図9、図11(A)及び図11(B)に示すような仕切部材20の仕切板21の前面下側に設けられた支持片21aが挿入されて、仕切部材20を支持する。下部ケース4の内側に形成された支持突起4bは、図24に示すように、下部ケース4の後面近傍の底面に、下部ケース4の幅方向の中心から略左右対称に配置されるように突設され、下部ケース4のケース補強リブ4aの先端に連続して形成されている。そして、支持突起4bは、図28に示しように、仕切部材20の位置決め板22と当接されて、仕切部材20を支持する。したがって、仕切部材20は、支持部48によって支持片21aが支持され、複数個の支持突起4bによって位置決め板22が支持され、少なくとも3点以上で安定して支持されている。
これに対して、メイン回路基板50は、図24及び図28に示すように、支持突起4bの配置位置に対応させて支持突起4bを挿通させる支持突起挿通孔55が形成されている。支持突起挿通孔55は、支持突起4bより大径に形成されているので、メイン回路基板50が支持突起4bと干渉することを防止している。これにより、メイン回路基板50は、下部ケース4と干渉することなく、端子ケース40に片持ち支持された状態で、下部ケース4内に設けられている。したがって、メイン回路基板50は、例えばバッテリパック1,100が落下等した場合に、バッテリパック1,100が落下したことにより発生する衝撃的な荷重が下部ケース4を介してメイン回路基板50に加わらないように防止することができ、更にメイン回路基板50にメイン回路基板50上に配置されたバッテリセル8の荷重が加わらないように防止することができる。
また、以上のような端子ケース40及びメイン回路基板50を収納する下部ケース4は、図1に示すように、下面2aに、バッテリ装着部5の装着位置と挿脱位置との間のスライド方向に離間して、該スライド方向に亘る一対の挿入ガイド溝11,12が形成されている。この挿入ガイド溝11,12は、バッテリ装着部5の底面に突設されている図示しないガイド凸部が挿入され、これにより外筐体2の着脱操作をガイドすると共に、バッテリ装着部5へ装着された外筐体2の両側面2c,2d方向へのがたつきを防止することができる。
更に、下部ケース4は、図1に示すように、下面2aと両側面2c,2dの何れか一方、あるいは両方とがなす稜部に、バッテリパック1の種別を検出するための検出凹部13が形成されている。この検出凹部13は、Lサイズのバッテリパック1においては両側面2c,2dにそれぞれ設けられ、Sサイズのバッテリパック100においては、他側面2d側のみ設けられている。これによって、バッテリパック1は、外筐体2の両側面2c,2dと対向するバッテリ装着部5の側面に突設された検出凹部13に対応した誤挿入防止用の図示しない係合凸部によって、バッテリパック1,100のLサイズ、Sサイズ等の種別を検出することができる。
また、下部ケース4には、下面2aと両側面2c,2dとがなす稜部上であり検出凹部13の両側に、係止凹部14,15が形成されている。この係止凹部14,15は、外筐体2がバッテリ装着部5内に挿入され装着位置へスライドされることにより、バッテリ装着部5の側面に各係止凹部14,15に対応して突設されている図示しない係止凸部に係止され、バッテリパック1がバッテリ装着部5の底面に装着される。
更に、下部ケース4は、収納されたバッテリセル8を覆った状態で、上部カバー3と溶着される。上部カバー3は、合成樹脂を用いて形成されており、図1(B)及び図3(B)に示すように、前面2b及び背面2eに隣接しバッテリ装着部5内に装着される際に鉛直上向きとなる一側面2cには、装着方向に応じた把持面を識別させる識別部9aが形成されている。更に、外筐体2の前面2b及び背面2eには、ユーザによる把持位置に滑り止め部9bが形成されている。
バッテリ装着部5内に装着される際に鉛直上向きとなる一側面2cに形成された識別部9aは、バッテリ装着部5にバッテリパック1を装着する際に、ユーザに外筐体2の把持面を識別させるものであり、一側面2cに凹面部を形成するとともにこの凹面部内にシボ加工を施し、さらに、この凹面部に前後方向に亘る凸形状からなるシボ加工が施されることにより形成されている。これにより、ユーザは、バッテリパック1を右手で把持する場合、一側面2cに人差し指あるいは中指をあてがうことで、指先に識別部9aが触れるため、外筐体2の一側面2cを鉛直上向きにして正しく把持できていること、及び外筐体2をバッテリ装着部5に挿入した際のスライド方向を直感的に認識することができ、誤挿入を防止することができる。
前面2b及び背面2eに形成された滑り止め部9bは、バッテリ装着部5にバッテリパック1を装着する際に、業務用の電子機器に用いられるバッテリパック1が民生用の電子機器に用いられるバッテリパックと比べてバッテリセル8の本数が多く、その分重くなっているので、ユーザが外筐体2を持ちやすくして滑落を防止するものであり、前面2b及び背面2eの上側に凹面部を形成するとともにこの凹面部内にシボ加工を施すことにより形成されている。
これら識別部9a及び滑り止め部9bが形成されることにより、バッテリパック1は、外筐体2をバッテリ装着部5に装着するために、正しく把持されていることがわかり、誤挿入を防止することができとともに、また外筐体2の重量が増した場合にも確実に把持することができる。
なお、外筐体2は、上部カバー3の識別部9a及び滑り止め部9bを除く領域にも、これら識別部9aや滑り止め部9bと異なるシボ加工が施されている。
また、下部ケース4と上部カバー3からなる外筐体2は、業務用のビデオカメラ7等の電子機器に用いられるので、下部ケース4及び上部カバー3の肉厚が仕切部材20より厚く形成されている。
従来の外筐体2は、小型化を図るために外形が大きくならないように、且つUL(Underwriters Laboratories Inc.)94規格(プラスチックの難燃性)を満たす最小の肉厚で形成されている。このため、従来のバッテリパックは、仕切部材20の肉厚を外筐体2の肉厚より厚く形成し、外筐体2内に収納されたバッテリセル8を仕切る仕切部材20の耐衝撃性能の向上を図ることで、全体の耐衝撃性能の向上を図っている。
しかしながら、業務用のビデオカメラ7等の電子機器に用いられるバッテリパック1は、民生用の電子機器に用いられるバッテリパックと比べてバッテリセル8の本数が多く、その分重くなっているので、外部に臨んでいる外筐体2自体の強度がより必要とされる。
例えば、上部カバー3は、図29(A)、図29(B)及び図29(C)に示すように、上面2fが1.5mm(t1)、前面2bが1.5mm(t2)、一側面2cが1.5mm(t3)、他側面2dが1.5mm(t4)、背面2eが1.5mm(t5)で形成されている。また、下部ケース4は、図30(A)、図30(B)及び図30(C)に示すように、下面2aが1.8mm(t6)、前面2bが1.5mm(t7)、一側面2cが1.5mm(t8)、他側面2dが1.5mm(t9)、背面2eが1.5mm(t10)で形成されている。更に、上部カバー3には、図29(B)及び図29(C)に示すように、前面2b、一側面2c、他側面2d、背面2eに、それぞれ複数個のカバー補強リブ3bが形成され、下部ケース4にも、それぞれ複数個のケース補強リブ4aが形成されている。また、仕切部材20は、図11及び図31に示すように、仕切板21が1mm(t11)、位置決め板22が0.8mm(t12)、取付板23が0.8mm(t13)、支持板24が0.8mm(t14)、補強リブ25が1mm(t15)で形成されている。つまり、上部カバー3及び下部ケース4からなる外筐体2の肉厚は、約1.5mm〜1.8mmで形成され、仕切部材20の肉厚が約0.8mm〜1mmで形成されている。
したがって、バッテリパック1は、仕切部材20の肉厚をUL94規格を満たすとともに外筐体2より薄くして、その分外筐体2の肉厚をより厚くすることにより、例えば、従来と全体として同量の樹脂材料を用いて、外筐体2の強度を向上させることができ、耐衝撃性能の向上を図ることができる。また、バッテリパック1は、外筐体2内に収納される仕切部材20の肉厚を薄くすることで、外筐体2全体の小型化を図ることができる。
また、上部カバー3と下部ケース4とは、端部が対向して突き合わされ、超音波溶着によって溶着される。ここで、図32は、上部カバー3と下部ケース4との端部が対向して突き合わされた際の、図29(B)のJ部と図30(B)のK部の要部拡大図である。下部ケース4には、図32に示すように、上部カバー3と溶着する端部の内側全周に、第1の溶着突部4cが形成されるとともに、端部の外側全周に、第1の溶着凹部4dが形成されている。また、上部カバー3には、上部カバー3と溶着する端部の内側全周に、第1の溶着突部4cと係合する第2の溶着凹部3cが形成されるとともに、端部の外側全周に、第1の溶着凹部4dに係合する第2の溶着突部3dが形成されている。
これにより、上部カバー3と下部ケース4とは、端部が対向して突き合わされる際に、下部ケース4の第1の溶着突部4cが上部カバー3の第2の溶着凹部3cに係合され、上部カバー3の第2の溶着突部3dが下部ケース4の第1の溶着凹部4dに係合されるので、位置合わせが容易に行えるとともに、上部カバー3と下部ケース4との溶着面積が増大し、上部カバー3と下部ケース4との溶着強度の向上を図ることができる。したがって、上部カバー3と下部ケース4とは、民生用の電子機器に用いられるバッテリパックと比べてバッテリセル8の本数が多くその分重くなっている業務用のビデオカメラ7等の電子機器に用いられるバッテリパック1が、例えば落下等した場合に発生した衝撃的な荷重に対する耐衝撃性能の向上を図ることができる。
また、下部ケース4は、第1の溶着突部4cと第1の溶着凹部4dとが粗面で形成されている。これにより、下部ケース4と上部カバー3とは、粗面で形成された下部ケース4が従来より上部カバー3との溶着面に摩擦熱が発生しやすくなり、上部カバー3との溶着面が溶融しやすくなって上部カバー3と溶着しやすくなり、超音波溶着を容易に行うことができる。
なお、下部ケース4は、第1の溶着突部4cと第1の溶着凹部4dとが粗面で形成されていることに限定されるものではなく、上部カバー3と下部ケース4とが超音波溶着を容易に行うことができれば、第1の溶着突部4cと第1の溶着凹部4dとのどちらか一方が粗面で形成されていればよい。また、下部ケース4の第1の溶着突部4c及び/又は第1の溶着凹部4dが粗面で形成されることに限定されるものではなく、上部カバー3と下部ケース4とが超音波溶着を容易に行うことができれば、上部カバー3の第2の溶着突部3d及び/又は第2の溶着凹部3cが粗面で形成されてもよい。更に、第1の溶着突部4c及び/又は第1の溶着凹部4dと第2の溶着突部3d及び/又は第2の溶着凹部3cとが、粗面で形成されてもよい。
次に4つのバッテリセル8a〜8hが2列×2段で収納されたSサイズのバッテリパック100について説明する。以下、Sサイズのバッテリパック100は、上述したLサイズのバッテリパック1と同様の構成を有する部分については同じ符号を付して説明を省略する。
図33に示すように、Sサイズのバッテリパック100の外筐体2内に2列×2段で収納されたバッテリセル8i〜8lは、円筒型のリチウムイオン2次電池である(以下、バッテリセル8i〜8lを、単に、バッテリセル8ともいう。)。そして、バッテリセル8は、メイン回路基板50上に、メイン回路基板50の長辺に対して長軸が略平行となるように2列×2段に並べられている。具体的に、バッテリセル8は、図34(A)、図34(B)及び図35に示すように、第1の端子部6aと電気的に接続されメイン回路基板50の幅方向に対して一方側に配置された第1の端子接続部53a(図25(B)参照。)近傍に第1のバッテリセル8iが配置され、第1のバッテリセル8i上に第2のバッテリセル8jが配置されている。また、バッテリセル8は、第5の端子部6eと電気的に接続されメイン回路基板50の幅方向に対して他方側に配置された第5の端子接続部53e(図25(B)参照。)近傍に第3のバッテリセル8kが配置され、第3のバッテリセル8k上に第4のバッテリセル8lが配置されている。
更に、第1のバッテリセル8i及び第4のバッテリセル8lは、正極端子10aが、端子部6側、すなわち前面2b側を臨むように配置されている。また、第2のバッテリセル8j及び第3のバッテリセル8kは、負極端子10bが、端子部6側、すなわち前面2b側を臨むように配置されている。
以上のように2列×2段に並べられたバッテリセル8は、業務用の電子機器に用いられるバッテリパック100の場合、上述したように定格電圧が約14.4V必要であり、1個のバッテリセル8の定格電圧が約3.6Vを有するので、4個直列接続させる必要がある。そこで、バッテリセル8は、仕切部材20によって仕切られた状態で電極タブ80によってバッテリセル8の各端子間が接続され、それぞれ順に4個直列接続されている。
具体的に、バッテリセル8は、図35に示しように、一方の列に配置された第1のバッテリセル8iの正極端子10aとメイン回路基板50の第1の電極タブ接続部52aとが第1の電極タブ81で電気的に接続されている。第1の電極タブ81は、各端子間にスポット溶接で固定されるとともに、先端部81aが折り曲げられて第1の電極タブ接続部52aに半田付けされている。
更に、バッテリセル8は、一方の列に配置された第1のバッテリセル8iの負極端子10bと第2のバッテリセル8jの正極端子10aとが第2の電極タブ82で電気的に接続されている。第2の電極タブ82は、各端子間にスポット溶接で固定されるとともに、先端部82aが折り曲げられて第2の電極タブ接続部52bに半田付けされている。
また、バッテリセル8は、一方の列に配置された第2のバッテリセル8jの負極端子10bと、他方の列に配置された第4のバッテリセル8lの正極端子10aとが第3の電極タブ83で電気的に接続されている。第3の電極タブ83は、各端子間にスポット溶接で固定されている。
更に、バッテリセル8は、他方の列に配置された第3のバッテリセル8kの正極端子10aと第4のバッテリセル8lの負極端子10bとが第4の電極タブ84で電気的に接続されている。第4の電極タブ84は、各端子間にスポット溶接で固定されるとともに、先端部34aが折り曲げられてメイン回路基板50の第4の電極タブ接続部52dに半田付けされている。
また、バッテリセル8は、他方の列に配置された第3のバッテリセル8kの負極端子10bとメイン回路基板50の第5の電極タブ接続部52eとが第5の電極タブ85で電気的に接続されている。第5の電極タブ85は、各端子間にスポット溶接で固定されるとともに、先端部85aが折り曲げられて第5の電極タブ接続部52eに半田付けされている(以下、第1の電極タブ81乃至第5の電極タブ85を、単に、電極タブ80ともいう。)。
以上のように2列×2段に並べられたバッテリセル8は、図36に示すように、電極タブ80によって、第1のバッテリセル8i、第2のバッテリセル8j、第4のバッテリセル8l、第3のバッテリセル8kと順に4個直列接続されている。
これにより、以上のような構成を有するバッテリパック100は、メイン回路基板50上に、定格電圧が1個約3.6Vを有するバッテリセル8が2列×2段に並べられ、これらバッテリセル8が4個直列接続され、定格電圧約14.4Vを実現し、ビデオカメラ7等の業務用の電子機器に用いることができる。
また、図34(A)及び図34(B)に示すように、仕切部材20の第2のバッテリセル8j及び第4のバッテリセル8lの上側には、表示用回路基板60が配置されている。表示用回路基板60は、第3の電極タブ83の略中点位置に形成された基板接続タブ部83aと電気的に接続されている。この基板接続タブ部83aは、第3の電極タブ83に対して折り曲げられて形成され、表示用回路基板60の基板接続部63に半田付けされている。更に、表示用回路基板60は、フレキシブルフラットケーブル36を介してメイン回路基板50と電気的に接続されている。このフレキシブルフラットケーブル36は、一端が表示用回路基板60のケーブル接続部64に固定され、他端がメイン回路基板50の第3の電極タブ接続部52cと電気的に接続されている。これにより、第3の電極タブ83は、複雑な配線等することなく表示用回路基板60を介してメイン回路基板50と電気的に接続されている。
したがって、バッテリパック100は、図36に示すように、第1乃至第5の電極タブ81〜85が第1乃至第5の電極タブ接続部52a〜52eを介してそれぞれメイン回路基板50と電気的に接続されているので、メイン回路基板50の電圧検出部56で、4個直列接続されたバッテリセル8間のそれぞれの電圧を検出することができ、バッテリセル8のバッテリ残量及び異常の有無等を確認することができる。
これらバッテリセル8を仕切る仕切部材20は、略矩形薄板状の仕切板21と、この仕切板21の主面と略直交するように一側面に形成されメイン回路基板50が取り付けられる位置決め板22と、この位置決め板22と反対側の仕切板21の他側面に形成され表示用回路基板60が取り付けられる取付板23と、これら位置決め板22と取付板23との間に略等間隔に形成され各バッテリセル8の各列を仕切る支持板24g、24h(以下、支持板24g、24hを、単に、支持板24ともいう。)と、仕切板21と各支持板24とのなす角にそれぞれ形成された補強リブ25とを有する。
仕切板21は、主面が、位置決め板22及び取付板23が形成された短辺がバッテリセル8の全長と略同等の長さを有し、長辺がバッテリセル8が2段積み上げられた高さと略同等の長さを有している。このような主面を有する仕切板21は、2列×2段に並べられたバッテリセル8の一方の列、具体的に第1及び第2バッテリセル8i,8jと、他方の列、具体的に第3及び第4バッテリセル8k,8lとの間に配置され、一方の列のバッテリセル8i,8jと他方の列のバッテリセル8k,8lとを仕切っている。
また、以下、位置決め板22、取付板23及び表示用回路基板60は、上述したバッテリパック1と同様の構成を有するため説明を省略する。
これら位置決め板22と取付板23との間に設けられた支持板24は、図35に示しように、位置決め板22及び取付板23と略平行に、すなわち仕切板21の主面と略直交するように、仕切板21の高さ方向の長辺に対してバッテリセル8の直径と略同程度に略等間隔に、仕切板21のそれぞれの主面に1個、計2個突設されている。
具体的に、仕切板21の一方の主面には、第1の支持板24gが形成され、仕切板21の他方の主面には、第2の支持板24hが形成されている。第1の支持板24gは、第1のバッテリセル8iと第2のバッテリセル8jとを仕切っている。第2の支持板24hは、第3のバッテリセル8kと第4のバッテリセル8lとを仕切っている。換言すると、第1の支持板24gと位置決め板22との間には、第1のバッテリセル8iが配置され、第1の支持板24gと取付板23との間には、第2のバッテリセル8jが配置され、第2の支持板24hと位置決め板22との間には、第3のバッテリセル8kが配置され、第2の支持板24hと取付板23との間には、第4のバッテリセル8lが配置されている。
また、図34(A)及び図34(B)に示すように、2列×2段に並べられ、仕切部材20によって仕切られ、電極タブ80によって各端子間が電気的に接続されたバッテリセル8において、一方の列に配置された第2のバッテリセル8jと他方の列に配置された第4のバッテリセル8lとが、第3の電極タブ83によって一方の列と他方の列に亘って連結されているが、一方の列に配置されている第1のバッテリセル8iと他方の列に配置されている第3のバッテリセル8kとは、第1,第2,第4及び第5の電極タブ81,82,84,85によって前面2b側及び背面2e側ともに一方の列と他方の列に亘って連結されていない。
更に、第1及び第2のバッテリセル8i,8jが背面2e側で第2の電極タブ82によって第1のバッテリセル8iの負極端子10bと第2のバッテリセル8jの正極端子10aとが連結されており、第3及び第4のバッテリセル8k,8lが背面2e側で第4の電極タブ84によって第3のバッテリセル8kの正極端子10aと第4のバッテリセル8fの負極端子10bとが連結されているので、第1のバッテリセル8iは、例えば製造者が手に取った場合に、図34(A)中の矢印L1方向に、第1の電極タブ81を中心に、第1のバッテリセル8iの正極端子10a側が仕切部材20から外れる方向に回動してばらけてしまう虞があり、第3のバッテリセル8kは、図34(A)中の矢印L2方向に、第4の電極タブ84を中心に、第3のバッテリセル8kの負極端子10b側が仕切部材20から外れる方向に回動してばらけてしまう虞がある。
そこで、第1のバッテリセル8iと第3のバッテリセル8kは、仕切部材20から外れてばらけてしまわないように支持板24によって支持されるようにしている。第1の支持板24gには、第1のバッテリセル8iを支持する第1の突出片28eが形成され、第2の支持板24hには、第2のバッテリセル8jを支持する第2の突出片28fが形成されている(以下、第1及び第2突出片28e,28fを、単に、突出片28ともいう。)。
第1の突出片28eは、高さ方向に隣り合う位置決め板22とで、これら第1の突出片28eと位置決め板22との間に配置される第1のバッテリセル8iを挟持して支持する。また、第2の突出片28fは、高さ方向に隣り合う位置決め板22とで、これら第2の突出片28fと位置決め板22との間に配置される第3のバッテリセル8kを挟持して支持する。換言すると、第1バッテリセル8iは、第1の突出片28eと位置決め板22とで挟持されて支持され、第3のバッテリセル8kは、第2の突出片28fと位置決め板22とで挟持されて支持される。
これにより、突出片28は、第1のバッテリセル8iと第3のバッテリセル8kとが支持板24に支持されることで、電極タブ80によって前面2b側及び背面2e側ともに一方の列と他方の列に亘って連結されていない第1のバッテリセル8iと第3のバッテリセル8kとが支持板24から外れてばらけてしまうことを防止することができる。
以下、補強リブ25は、電極タブ80、下部ケース4、上部カバー3については、上述したバッテリパック1と同様の構成を有するため説明を省略する。
以上のような構成を有するバッテリパック1,100は、例えばバッテリパック1が落下等した場合に、バッテリパック1が落下したことによって発生した衝撃的な荷重を、他の箇所と比べて剛性が弱くなるように設けられた荷重吸収部39a,39aに集中させることで、バッテリセル8と電極タブ30とを固定させている溶接固定部38に荷重が集中することを防止し、溶接固定部38に加わる荷重を緩和することで、電極タブ30と溶接固定部38とが破断等することを防止することができ、バッテリパック1,100の耐衝撃性能の向上を図ることができる。
また、バッテリパック1,100は、スリット39及び荷重吸収部39a,39aがバッテリセル8の各端子の溶接固定部38間の略中間位置に形成されているので、一のスリット39の両端部に設けられた荷重吸収部39a,39aに荷重が集中することを防止し、荷重吸収部39a,39aに荷重が略均等に加わることでこれら荷重吸収部39a,39aが破損等することを防止し、溶接固定部38に加わる荷重も略均等に緩和することができ、電極タブ30と溶接固定部38とが破断等することを防止することができ、バッテリパック1,100の耐衝撃性能の向上を図ることができる。
更に、バッテリパック1,100は、スリット39が電極タブ30の幅方向に対して略中央に形成され、スリット39の両端部に設けられた荷重吸収部39a,39aが略同一の幅を有するので、一端側の荷重吸収部39aに荷重が集中することを防止し、それぞれの荷重吸収部39a,39aに荷重が略均等に加わることでこれら荷重吸収部39a,39aが破損等することを防止し、溶接固定部38に加わる荷重も略均等に緩和することができ、電極タブ30と溶接固定部38とが破断等することを防止することができ、バッテリパック1,100の耐衝撃性能の向上を図ることができる。
また、スリット39の両端部39b,39bが、バッテリセル8の正極端子10aの端面の外周部に絶縁フィルムが被覆された正極側被覆部10d及びバッテリセル8の負極端子10bの端面の外周部に絶縁フィルムが被覆された負極側被覆部10eの外側に位置するような長さに形成されているので、電極タブ30がスリット39の両端部39b,39bが正極側被覆部10dから露出する正極端子10a及び負極側被覆部10eから露出する負極端子10bと重ならず、バッテリセル8の正極端子10a又は負極端子10bにスポット溶接される際に、溶接面積が小さくなることを防止することができる。
更に、バッテリパック1,100は、電極タブ30が銅板でニッケルメッキが施され、電極タブ30が従来用いられていたニッケルの電極タブより全体の剛性が弱くなるように設けられているので、より荷重吸収部39a,39aに荷重を集中させることで、溶接固定部38に荷重が集中することを防止し、溶接固定部38に加わる荷重を緩和することで電極タブ30と溶接固定部38とが破断等することを防止することができ、バッテリパック1,100の耐衝撃性能の向上を図ることができる。
なお、バッテリパック1,100は、業務用の電子機器に必要な定格電圧約14.4Vを実現させるため、バッテリセル8を8個又は4個用いて、4個直接接続させることに限定されるものではなく、例えば計12個で4個直接接続させて定格電圧約14.4Vを実現させるようにしてもよい。
また、バッテリパック1,100は、ビデオカメラ7に用いた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、その他の業務用の電子機器に用いてもよい。
更に、バッテリパック1,100は、業務用の電子機器に用いられることについて説明したが、これに限定されるものではなく、民生用の電子機器に用いてもよい。
1 Lサイズのバッテリパック、2 外筐体、2a 下面、2b 前面、2c 一側面、2d 他側面、2e 背面、2f 上面、3 上部カバー、3a 表示窓、3b カバー補強リブ、3c 第2の溶着凹部、3d 第2の溶着突部、4 下部ケース、4a ケース補強リブ、4b 支持突起、4c 第1の溶着突部、4d 第1の溶着凹部、5 バッテリ装着部、6 端子部、6a 第1の端子部、6b 第2の端子部、6c 第3の端子部、6d 第4の端子部、6e 第5の端子部、7 ビデオカメラ、7a 背面、8 バッテリセル、8a 第1のバッテリセル、8b 第2のバッテリセル、8c 第3のバッテリセル、8d 第4のバッテリセル、8e 第5のバッテリセル、8f 第6のバッテリセル、8g 第7のバッテリセル、8h 第8のバッテリセル、8i 第1のバッテリセル、8j 第2のバッテリセル、8k 第3のバッテリセル、8l 第4のバッテリセル、9a 識別部、9b 滑り止め部、10a 正極端子、10b 負極端子、10c 側面、10d 正極側被覆部、10e 負極側被覆部、11 挿入ガイド溝、12 挿入ガイド溝、13 検出凹部、14 係止凹部、15 係止凹部、20 仕切部材、21 仕切板、21a 支持片、22 位置決め板、22a 基板逃げ溝、22b 位置決め溝、23 取付板、24 支持板、24a 第1の支持板、24b 第2の支持板、24c 第3の支持板、24d 第4の支持板、24e 第5の支持板、24f 第6の支持板、24g 第1の支持板、24h 第2の支持板、25 補強リブ、26a 位置決め部、26b 位置決め突部、27 係合片、28 突出片、28a 第1の突出片、28b 第2の突出片、28c 第3の突出片、28d 第4の突出片、28e 第1の突出片、28f 第2の突出片、29 舌片、30 電極タブ、31 第1の電極タブ、31a 先端部、32 第2の電極タブ、32a 先端部、33 第3の電極タブ、33a 第1の接続タブ部、33b 第2の接続タブ部、33c 連続タブ部、33d 基板接続タブ部、34 第4の電極タブ、34a 先端部、35 第5の電極タブ、35a 先端部、36 フレキシブルフラットケーブル、37 位置合わせ孔、38 溶接固定部、39 スリット、39a 荷重吸収部、39b 両端部、40 端子ケース、41 端子孔、42 凹面部、43 ガイド部、44 支持面部、45 傾斜面部、46 嵌合孔、47 基板支持部、47a 下側支持部、47b 上側支持部、47c 下側支持部、48 支持部、50 メイン回路基板、51 位置決め孔、52 電極タブ接続部、52a 第1の電極タブ接続部、52b 第2の電極タブ接続部、52c 第3の電極タブ接続部、52d 第4の電極タブ接続部、52e 第5の電極タブ接続部、53 端子接続部、53a 第1の端子接続部、53b 第2の端子接続部、53c 第3の端子接続部、53d 第4の端子接続部、53e 第5の端子接続部、54 リブ逃げ溝、55 支持突起挿通孔、56 電圧検出部、57 通信回路部、60 表示用回路基板、61 発光素子、62 残量表示スイッチ素子、63 基板接続部、64 ケーブル接続部、70 接合部材、71 接合タブ、80 電極タブ、81 第1の電極タブ、81a 先端部、82 第2の電極タブ、82a 先端部、83 第3の電極タブ、83a 基板接続タブ部、84 第4の電極タブ、84a 先端部、100 Sサイズのバッテリパック、200 電極タブ、201 溶接用スリット