JP5204808B2 - 冷熱衝撃試験装置 - Google Patents

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本発明は、冷熱衝撃試験装置に関するものである。
電子部品や電子機器等の試料体に熱的な衝撃を与え、その際に生じる熱ストレスから、その試料体の信頼性を評価する冷熱衝撃試験が知られている。冷熱衝撃試験を行う冷熱衝撃試験装置の一つとして、試料体が配される試験槽と、その試験槽を冷却するために低温の空気を溜めておく低温槽と、前記試験槽を加熱する高温の空気を溜めておく高温槽が備えられたものがある(特許文献1)。
特許文献1に開示された冷熱衝撃試験装置は、低温槽を冷却するための冷却器と、低温槽内の温度を微調整するための温度微調整用ヒータが設けられている。冷却器は、冷凍機の一部であり、一連の冷凍サイクルを構成する蒸発器である。
また特許文献1に開示された冷熱衝撃試験装置には、高温槽を昇温するための加熱用ヒータが設けられている。加熱用ヒータは、前記した温度微調整用ヒータよりも容量が大きい。
前記構成を備えた冷熱衝撃試験装置では、試料体を試験槽に設置し、低温槽や高温槽から試験槽に低温空気と高温空気を交互に送り込んで、試料体を急速に冷却又は加熱して熱ストレスを与える(冷熱衝撃試験)。具体的には、冷熱衝撃試験では、試験槽と低温槽とを連通状態にして試験槽を急速に冷却する低温さらし試験と、試験槽と高温槽とを連通状態にして試験槽を急速に加熱する高温さらし試験が、予め設定された時間や目標温度に基づいたサイクルで交互に実行される。そして、その低温さらし試験や高温さらし試験によって試料体に生じた熱ストレスに基づいて、試料体の評価が行われる。
また、試料体を載置した試験部を、低温槽と高温槽に移動させて、低温さらし試験や高温さらし試験を行う冷熱衝撃試験装置もある(特許文献2)。
ところで、特許文献1では、試験槽における温度状態の移行(高温から低温、低温から高温)を短時間に円滑に行って試験の時間効率を向上させるため、低温さらし試験の最中に、次の高温さらし試験に備えて高温槽内の空気を所定の高温に加熱する予熱機能を備えている。予熱機能による運転(以下、予熱運転)が実施されると、加熱用ヒータに通電されると共に送風機によって高温槽内の空気が攪拌される。
また同様に高温さらし試験の最中に、次の低温さらし試験に備えて、低温槽内の空気を所定の低温に低下させる予冷機能を備えている。予冷機能による運転(以下、予冷運転)が実施されると、冷凍機が運転されて冷却器の温度を低下させると共に、送風機によって低温槽内の空気が攪拌される。また温度微調整用ヒータが制御されて低温槽内の温度が一定範囲に保たれる。
特許文献1に開示された冷熱衝撃試験装置では、高温さらし試験と並行して低温槽の予冷運転が実施され、低温さらし試験と並行して高温槽の予熱運転が実施される。
即ち特許文献1に開示された冷熱衝撃試験装置では、低温さらし試験の際には低温槽と試験槽とが連通され、低温槽から低温の空気が試験槽に供給される。この時、低温槽を冷却する冷凍機は、試験槽に供給する空気を冷却するべく運転を続けている。
そして低温さらし試験を終えると低温槽と試験槽との間が遮断され、代わって高温槽と試験槽とが連通して試験槽内に高温の空気が供給される。
特許文献1に開示された冷熱衝撃試験装置では、低温さらし試験を終えて試験槽に低温の空気を供給する必要が無くなっても、冷凍機の運転は維持され続ける。即ち試験槽と遮断された低温槽では、次回の低温さらし試験に備えて冷凍機の運転を続け、低温槽の温度をさらに下降させる。また送風機によって試験槽内の空気が循環されて、低温槽内の温度ばらつきを低下させる。
予熱運転についても同様であり、低温さらし試験の際に、加熱用ヒータに通電して高温槽内を昇温し、送風機によって高温槽内の空気を攪拌して温度ばらつきを低下させる。
しかしながら、このような機能を備えた冷熱衝撃試験装置は、低温さらし試験や高温さらし試験の設定条件によっては、予冷運転や予熱運転が行われる時間が必要以上に長くなり、電力を無駄に浪費するという問題があった。
即ち前記した冷熱衝撃試験装置では、例えば低温さらし試験を終えると同時に予冷運転が行われる。また高温さらし試験を終えると同時に予熱運転が行われる。
即ち、予冷機能や予熱機能は、所定の温度まで冷却又は加熱する積極的動作と、その所定温度を維持する維持動作があるが、特許文献1においては、例えば低温さらし試験が終わると同時に積極的動作が実行される。
一方、次に低温槽を活用するのは、高温さらし試験が終わった後であるが、高温さらし試験の設定時間が、予冷機能における積極的動作に要する時間より極端に長いような場合がある。その場合、維持動作として制御される時間が無駄に長くなり過ぎる。
例えば予冷機能では、高温さらし試験から低温さらし試験が始まるまでの間に低温槽内の温度を、所定温度の低温に至らせれば良いから、維持動作の時間が長いほど電力の浪費が増加することとなる。
同様の理由から、予熱運転が長い場合も、電力の浪費が増加することとなる。
この様に、特許文献1に記載された冷熱衝撃試験装置は、省エネルギーの向上を図るという点で改善すべき問題があった。
一方、特許文献3に開示された冷熱衝撃試験装置では、予冷制御や予熱制御において省エネルギーを図るべく、高温槽及び低温槽内の温度が所定温度に到達するまでの時間と温度との関係を記録して、その関係に基づいて、予冷運転や予熱運転を一定時間停止(休止)させる。
特許文献3の冷熱衝撃試験装置によれば、一定の休止時間が経過した後に、予熱運転或いは予冷運転が開始される。
特許文献3の冷熱衝撃試験装置では、特許文献1の冷熱衝撃試験装置と同様に、低温さらし試験を終えると低温槽と試験槽との間が遮断され、代わって高温槽と試験槽とが連通して試験槽内に高温の空気が供給される。
しかし特許文献3の冷熱衝撃試験装置では、低温さらし試験が終了すると、冷凍機の運転及び送風機の運転が一旦停止される。
そして一定の休止時間が経過した後に、予冷運転が開始し、冷凍機が起動して低温槽の温度を下降させる。また送風機が運転を再開し、低温槽内の空気が循環されて、低温槽内の温度ばらつきを低下させる。
特許文献3に開示された冷熱衝撃試験装置では、冷凍機を完全に停止させる時間帯(休止時間)があるので、消費電力の低減を図ることができる。
特許文献3に開示された冷熱衝撃試験装置では、予冷運転や予熱運転の休止時間は、冷熱衝撃試験の準備運転時で得られたデータに基づいて決定される。即ち特許文献に開示された冷熱衝撃試験装置では、冷熱衝撃試験を開始する前に、低温槽内の温度を所定の低温に調整する。そしてこの時に要した時間に基づいて予冷運転の休止時間を決定する。即ち、温度降下に必要な時間を見越し、休止時間の経過後に予冷運転を開始しても、次の低温さらし試験の開始予定時間までに低温槽内の温度を所定の温度に下降させることができる時間を休止時間として決定する。
特許文献3に開示された冷熱衝撃試験装置では、さらし試験の試験時間の長短に応じて休止時間が増減される。即ちさらし試験の試験時間の長短は、設定によって決定されるが、例えば高温さらし試験の時間が長く設定された場合には、予冷運転の休止時間が長くなり、高温さらし試験の時間が短い場合には、予冷運転の休止時間が短くなる。
しかしながら、特許文献3に開示された冷熱衝撃試験装置では、熱衝撃試験の最中に休止時間が変更されることはなく、例えば予冷運転の休止時間は、熱衝撃試験の最初から最後まで同じ長さである。
即ち特許文献3に開示された冷熱衝撃試験装置では、予冷運転の休止時間は、準備運転時で得られたデータだけによって決定され、熱衝撃試験中に休止時間が変更されることはない。
即ち特許文献3に開示された冷熱衝撃試験装置では、冷熱衝撃試験装置の開始から終了までの間に渡って予冷運転の休止時間は一定であり、これが変更されることはない。
特許文献3に開示された冷熱衝撃試験装置によると、準備運転時で得られたデータに基づいて予冷運転等の休止時間が定められるから、低温さらし試験や高温さらし試験の時間が長く設定された場合であっても、予冷運転等を一定の時間だけ停止させて、冷凍機等の運転時間を実質的に短くすることができるため、電力消費を低減することができる。
特開平5−203555号公報 特開2006−329701号公報 特開2000−249643号公報
ところで、冷凍機の蒸発器(冷却器)は運転を続ける内に表面に水蒸気が着霜する。そして蒸発器表面の霜が大きくなると、蒸発器表面と外気との熱交換が阻害され、冷凍機は本来の冷凍能力を発揮し得ない。
即ち冷却器の冷却能力は、時間の経過と共に低下する傾向がある。
しかしながら特許文献3では、予冷運転の休止時間が固定的であり、冷熱衝撃試験が開始されてから終了するまで一定である。そのため高温さらし試験と低温さらし試験の繰り返し回数が多い場合、冷熱衝撃試験の最中に蒸発器(冷却器)に付着した霜が次第に成長し、冷却能力が次第に減退する。その結果、冷熱衝撃試験が後半に至ると、次の低温さらし試験の開始予定時刻になっても、低温槽の温度が所定の低温に至らず、低温槽の準備が整わない事態が想定される。
そのため、低温槽の温度が所定の低温に至らないまま、低温槽の空気を試験槽に供給してしまい、充分な熱ストレスを試料体に与えられない場合がある。その結果、冷熱衝撃試験の精度が低下し、試験に対して充分な信頼性が得られなくなってしまうことが懸念された。
また逆に、低温槽の温度が所定の温度まで低下するのを待つ構成とするならば、冷熱衝撃試験に要する総時間が延びてしまうという不満がある。
さらに、蒸発器に対する着霜を見込んで、休止時間を短く設定すると、前記した冷凍機や送風機の実質的な運転時間が長くなり、省エネルギーの効果が十分に発揮できないという不満があった。
そこで、本発明では、従来技術の上記した問題に鑑み、試験の時間効率を確保すると共に、省エネルギーを図りつつ、高い試験精度を確保できる冷熱衝撃試験装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため提供される請求項1に記載の発明は、ヒータによって昇温される高温槽と、冷却器によって温度降下される低温槽とを有し、高温槽を活用して試料体を高温の雰囲気温度にさらす高温さらし試験と、低温槽を活用して試料体を低温の雰囲気温度にさらす低温さらし試験とを交互に実施することができる冷熱衝撃試験装置であって、一方の槽を活用してさらし試験が実施されている間であって他方の槽を活用して次のさらし試験を実施するまでの期間に、前記他方の槽の温度を所定温度に調整する移行準備機能を有し、高温槽に対する移行準備機能又は低温槽に対する移行準備機能の少なくとも一方は、当該槽を活用してさらし試験を行ってから原則的に休止時間を経過した後に昇温又は温度下降を行うものであり、少なくとも一方の槽に関しては当該槽移行準備機能が動作している際に、当該槽の温度が前記移行準備機能によって昇温又は温度下降する際において所定の温度領域を通過するのに要する時間を計測することによって当該槽の温度変化に関する情報を収集する温度情報収集機能を有し、当該収集された情報に基づいて前記休止時間を直接的又は間接的に決定する休止時間決定機能を備え、前記槽の温度変化に関する情報及び/又は前記休止時間は自動更新されることを特徴とする冷熱衝撃試験装置である。
なお、ここで言う「原則的」とは、収集された温度変化に関する情報により決定された休止時間がゼロの場合も含むことを意味している。また、「休止時間を直接的に決定」とは、例えば演算などにより休止時間そのものを導き出すこととしており、それに代わって「休止時間を間接的に決定」とは、例えば休止時間に関わる別の要素(休止時間以外の動作に要する時間等)に基づいて結果的に休止時間が決定されることとしている。
本発明の冷熱衝撃試験装置は、ヒータによって昇温される高温槽と、冷却器によって温度降下される低温槽とを有し、高温槽を活用して試料体を高温の雰囲気温度にさらす高温さらし試験と、低温槽を活用して試料体を低温の雰囲気温度にさらす低温さらし試験とを交互に実施することができる冷熱衝撃試験装置である。
ここで「高温槽を活用して」「低温槽を活用して」とは、従来技術の欄に記載した様な高温の空気や低温の空気を溜め置いて、試験槽に送り込む構成のものだけでなく、特許文献2に開示されている様な試料体を移動させて高温槽と低温槽に交互に入れる構成のものを含む趣旨である。
本発明の冷熱衝撃試験装置は、移行準備機能を有し、さらし試験と並行して実施される移行準備では、原則的に休止時間を経過した後に昇温又は温度下降を行う。そのため、休止時間がゼロでない限り、移行準備の段階で発生し得る無駄な電力消費を低減することができる。
また本発明の冷熱衝撃試験装置では、少なくとも一方の槽に関しては当該槽移行準備機能が動作している際に、当該槽の温度が前記移行準備機能によって昇温又は温度下降する際において所定の温度領域を通過するのに要する時間を計測することによって当該槽の温度変化に関する情報を収集する温度情報収集機能を有し、当該収集された情報に基づいて休止時間を決定する。さらに槽の温度変化に関する情報或いは休止時間が自動更新される。
そのため本発明の冷熱衝撃試験装置では、冷熱衝撃試験の最中に、休止時間が変化する。
即ち着霜の増減といった、環境の変化によって冷却器やヒータの熱交換効率等の変化があれば、それに応じた適切な休止時間が決定される。
ここで移行準備において、例えば低温槽の温度降下を一時的に休止する時間は、高温さらし試験に要する時間から少なくとも冷却器を作動させて低温槽内の温度を所定温度まで到達させることができる時間を除いた時間を基準として決定される。
同様に例えば高温槽の昇温を一時的に休止する時間は、低温さらし試験に要する時間から少なくともヒータを作動させて高温槽内の温度を所定温度まで到達させることができる時間を除いた時間を基準として決定される。
本発明における移行準備では、状況に応じて適切な休止時間を決定し、低温槽又は高温槽の温度が所定温度に到達できる時間を確保できるので、残りの時間は冷却動作又は加熱動作を一時的に停止できる。
また本発明の冷熱衝撃試験装置では、前記した様に、槽の温度変化に関する情報等が自動更新される。そのため本発明によれば、次回のさらし試験の開始予定時刻までに、槽内の温度は確実に所定温度に達する。そのため従来技術で懸念された、充分な熱ストレスが与えられないという問題や、総試験時間が長くなるといった問題は解消される。
従って、本発明によれば、さらし試験と並行して次のさらし試験の移行準備を行うことによって、試験の時間効率の向上を図ることができ、さらに、実際に収集された情報に基づいて決定された休止時間により移行準備が実施されるため、省エネルギーを図りつつ、高い試験精度を確保することができる。
請求項2に記載の発明は、高温さらし試験が実施されている間に低温槽内を所定温度に冷却する移行準備機能たる予冷機能を有し、前記温度情報収集機能は、低温槽内の温度が予冷機能によって低下する際において所定の温度領域を通過するのに要する時間を計測するものであることを特徴とする請求項1に記載の冷熱衝撃試験装置である。
かかる構成によれば、低温槽内が冷却される際の所定の温度領域における実際の温度降下率に基づいた経過時間が記憶され、その経過時間に基づいて冷却動作を休止する冷却休止時間を予測演算することができる。これにより、短時間に冷却休止時間が決定できると共に、実体にあった冷却休止時間に制御することができる。即ち、本発明によれば、予冷制御において、冷却休止時間を最大限に取りつつ、槽内温度を確実に所定温度まで至らすことができるため、より確実に高い省エネルギーを図ることができるばかりでなく、より高い試験精度を確保することができる。
請求項3に記載の発明は、高温さらし試験が実施されている間に低温槽内を所定温度に冷却する移行準備機能たる予冷機能を有し、前記温度情報収集機能は、予冷機能によって低温槽内の温度が下降する際における温度下降量と温度下降に要した時間を所定の温度間隔又は時間間隔で計測するものであり、低温槽内の温度が前記所定温度に近づくと前記温度間隔又は前記時間間隔が短くなることを特徴とする請求項1に記載の冷熱衝撃試験装置である。
本発明の冷熱衝撃試験装置では、予冷機能によって低温槽内の温度が下降する際における温度下降量と温度下降に要した時間を所定の温度間隔又は時間間隔で計測する。そのため本発明の冷熱衝撃試験装置で採用する温度情報収集機能は、冷却が進む段階ごとの温度勾配を知ることができる。また低温槽内の温度が設定温度に近づくと測定の温度間隔又は時間間隔が短くなり、測定精度を上昇させることができる。
請求項4に記載の発明は、移行準備機能が実施される度に、温度情報収集機能を機能させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の冷熱衝撃試験装置である。
かかる構成によれば、移行準備は、実施される度に休止時間が決定され、その度に温度変化に関する情報を更新するため、試験が進行して機器の能力が低下した場合であっても、その能力低下を加味した休止時間を演算することができる。これにより、省エネルギーの効果をより高めることができつつ、より高い試験精度を維持することができる。
請求項5に記載の発明は、低温槽の温度を微調整する温度微調整用ヒータを備えていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の冷熱衝撃試験装置である。
本発明の冷熱衝撃試験装置は、低温槽の温度調節の精度が高い。
請求項6に記載の発明は、低温さらし試験が実施されている間に高温槽内を所定温度に加熱する移行準備機能たる予熱機能を有し、前記温度情報収集機能は、高温槽内の温度が予熱機能によって上昇する際において所定の温度領域を通過するのに要する時間を計測するものであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の冷熱衝撃試験装置である。
かかる構成によれば、低温さらし試験が実施されている間に、高温槽側で予熱制御が実施されるため、低温さらし試験から高温さらし試験への移行も円滑に行われ、試験におけるより高い時間効率を得ることができる。さらに、予冷制御と同様の方法で加熱休止時間が決定されるため、休止時間が従来技術より正確であり、より省エネルギーを図りつつ、高い試験精度を確保することができる。
請求項7に記載の発明は、低温槽と高温槽には、それぞれ送風機が備えられており、移行準備機能における休止時間中は、送風機の動作が停止されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の冷熱衝撃試験装置である。
かかる構成によれば、冷却休止時間又は加熱休止時間において、送風機の動作も停止されるため、さらに電力消費を低減することができる。
本発明の冷熱衝撃試験装置は、さらし試験と並行して次のさらし試験の移行準備を行うことによって、試験の時間効率の向上を図ることができる。さらに、本発明の冷熱衝撃試験装置は、実際の槽の温度変化に関する情報に基づいて決定された休止時間により移行準備が実施され、さらに槽の温度変化に関する情報等が自動更新される。そのため本発明の冷熱衝撃試験装置は、省エネルギーを図りつつ、高い試験精度を確保することができる効果がある。
本発明の実施形態に係る冷熱衝撃試験装置を示す概念図である。 図1の冷熱衝撃試験装置の装置構成を示すブロック図である。 冷凍機をフル運転した場合の時間と低温槽の雰囲気温度の関係を示したグラフである。 冷凍機を比例制御した場合の時間と低温槽の雰囲気温度の関係を示したグラフである。 冷凍機を比例制御し、さらに温度微調整用ヒータを併用した場合の時間と低温槽の雰囲気温度の関係を示したグラフである。 図1の冷熱衝撃試験装置の動作を示すフローチャートである。 図1の冷熱衝撃試験装置における動作のタイミングを示したタイムチャートである。 図7のタイムチャートの中の低温槽の温度変化を拡大して表示したタイムチャートである。 予冷制御における動作を示すフローチャート(ステップ21〜27、ステップ36)である。 図9の予冷制御における動作を示すフローチャートの続き(ステップ28〜35)である。 予熱制御における動作を示すフローチャートである。
以下、本実施形態の冷熱衝撃試験装置1について説明する。
本実施形態の冷熱衝撃試験装置1は、試料体Wが配される試験槽5に熱風と冷風を交互に送って試験槽5の温度環境を急激に変化させ、試料体Wを、高温環境と低温環境を繰り返す一連の冷熱サイクルにさらして熱ストレスを与えることができる装置である。
即ち、冷熱衝撃試験装置1は、図1に示すように、電子部品や電子機器等の試料体Wが載置される試験槽5と、その試験槽5の上部に隣接する高温槽2と、試験槽5の下部に隣接する低温槽3とを備えている。
試験槽5と高温槽2とは、熱風導入口20と熱風排出口21を介して連通される。また試験槽5と低温槽3とは、冷風導入口22と冷風排出口23を介して連通された構成とされている。そして、熱風導入口20と熱風排出口21には、高温槽側ダンパ30が設けられ、冷風導入口22と冷風排出口23には、低温槽側ダンパ31が設けられ、隣接する槽同士の空気の流通が制限されている。なお、高温槽側ダンパ30及び低温槽側ダンパ31は、公知のバタフライ式やゲート式などが採用されている。
また、試験槽5には、試験槽温度センサ25が配されており、後述する高温さらし試験や低温さらし試験の際には、この試験槽温度センサ25の検知温度と、後述する設定手段14によって入力された設定温度Msに基づいて各機器が制御される。
ここで設定温度Msは、試験室5内の目標温度であり、試料体Wをさらす温度である。従って設定温度Msには、高温側設定温度Msuと、低温側設定温度Msdがある。即ち試験槽5内の温度が高温側設定温度Msu又は低温側設定温度Msdとなる様に各機器が制御され、試験槽5内の試料体Wは、高温側設定温度Msuの雰囲気と、低温側設定温度Msdの雰囲気に交互にさらされる。
高温槽2は、内部の空気の温度が高温側所定温度Nuとなるように調整可能な加熱用ヒータ6と、空気の流れを形成する高温槽側送風機7と、高温槽2内の温度を検知する高温槽側温度センサ26が備えられている。
ここで高温側所定温度Nuは、高温さらし試験に備えて準備しておくべき高温槽2内の環境温度であり、前記した高温側設定温度Msuよりも高い温度である。即ち高温側所定温度Nuは高温側設定温度Msuより摂氏15〜30度程度高い温度である。本実施形態では、高温側所定温度Nuは高温側設定温度Msuより摂氏20度高い温度に設定されている。
そのため高温槽2は、後述する様に低温さらし試験の最中に予熱制御が行われ、予熱運転がなされる。予熱運転の際には、高温槽側温度センサ26の検知温度が、高温側設定温度Msuより摂氏20度高温の雰囲気温度(高温側所定温度Nu)となるように各機器が制御される。
なお本実施形態では、試験槽5や高温槽2の雰囲気温度を摂氏60度〜摂氏200度程度の温度範囲で任意に設定することができる。
また低温槽3は、内部の空気の温度が低温側所定温度Ndとなるように冷却可能な冷却器8と、空気の流れを形成する低温槽側送風機10と、温度を微調整する温度微調整用ヒータ11と、低温槽3内の温度を検知する低温槽側温度センサ27が備えられている。
ここで低温側所定温度Ndは、低温さらし試験に備えて準備しておくべき低温槽3内の環境温度であり、前記した低温側設定温度Msdよりさらに低い温度である。即ち低温側所定温度Ndは、低温側設定温度Msdよりも、摂氏10〜30度程度低い温度である。本実施形態では、低温側所定温度Ndは低温側設定温度Msdより摂氏20度低い温度に設定されている。
低温槽3は、後述する様に高温さらし試験の最中に予冷制御が行われ、予冷運転がなされる。予冷運転がなされる際には、低温槽側温度センサ27の検知温度が、低温側設定温度Msdより摂氏20度低温の雰囲気温度(低温側所定温度Nd)となるように各機器が制御される。
冷却器8は、冷凍機34の一部であり、冷凍機34の蒸発器である。冷却器8は、圧縮機、凝縮器、膨張弁と共に冷凍サイクルの一部を形成するものである。
本実施形態では、冷凍機34により、試験槽5や低温槽3の雰囲気温度を摂氏0度〜摂氏マイナス65度程度の温度範囲で任意に設定することができる。
また、本実施形態の冷熱衝撃試験装置1は、上記構成に加えて、図2のブロック図に示すように、制御手段12、温度制御手段13、設定手段14、出力手段15を備えている。
制御手段12は、設定手段14によって冷熱衝撃試験の試験条件に関するデータ(試験条件データ)を入力可能であると共に、試験状況や試験結果に関するデータ(試験データ)を出力手段15に出力して表示可能な構成とされている。なお、出力手段15には、例えば、液晶等を用いた表示装置や、プロッタ、プリンタ等のような出力装置、デジタルデータをフラッシュメモリ等のメモリ類やフレキシブルディスクのような磁気ディスク、MOディスク(Magneto Optical Disk)のような光磁気ディスク、CD−R(Compact Disc−Recordable)のような光ディスクに出力したり、書き込むことが可能な機器類を採用できる。
また、制御手段12は、入力部35、制御部36、計時部37、記憶部38、演算部39、出力部40を備えている。
入力部35には、高温槽2と低温槽3と試験槽5に設置された温度センサ25〜27の検知温度に関するデータが入力される。
計時部37、記憶部38及び演算部39は、それぞれ制御部36によって制御されている。
計時部37は、試験条件データに基づいて制御時間を計時したり、雰囲気温度が目標温度に到達するまでの所定の温度領域における経過時間が計時される。また温度の変化量と温度変化に要した時間を所定の温度間隔又は時間間隔で計測するものである。
記憶部38は、入力部35に入力される検知温度に関するデータや、計時部37で計時された時間に関するデータや、試験条件データ等を記録する部分である。
演算部39は、計時部37で計時された経過時間等に基づいて、予冷制御や予熱制御における予想動作時間ta,tbを予測演算したり、その予想動作時間ta,tbと、試験条件データとして入力された設定時間tsに基づいて、予冷制御や予熱制御における休止時間twを演算する部分である。なお、設定時間tsには、低温さらし試験の制御時間(冷却試験時間)tdと、高温さらし試験の制御時間(加熱試験時間)tuがある。
ここで、本実施形態における予想動作時間ta,tbの予測演算について説明する。
予冷運転における予想動作時間taの演算は、予冷運転の際に収集した低温槽3の温度変化に関する情報に基づいて演算する。
一方、予熱運転における予想動作時間tbの演算は、予熱運転の際に収集した高温槽2の温度変化に関する情報に基づいて演算する。
先に予冷運転における予想動作時間taの演算に関し収集する、温度変化に関する情報について説明する。
本実施形態の冷熱衝撃試験装置1は、冷却器8を含む冷凍機34をPID制御すると共に、補助的に温度微調整用ヒータ11を動作させて低温槽3等の温度を制御する。しかしながら、理解を容易にするため、仮に冷凍機34をフル状態に駆動して低温槽3等の冷却を行った場合と、仮に冷凍機34を比例制御して低温槽3等の冷却を行った場合と、冷凍機34を比例制御すると共に温度微調整用ヒータ11を動作させた場合を分けて説明する。
図3のグラフに示すように、一般に冷凍機34をフル運転して冷却した場合には、冷却器8が設置された低温槽3の雰囲気温度が逆放物線を描いて時間と共に徐々に下降してゆき、その出力に応じた限界温度に収束する。
一方、目標温度に基づいて冷凍機34を比例制御した場合は、低温槽3の雰囲気温度は、図4に示すように、目標温度に向かって降下し、目標温度に達した後にオーバーシュート(降下方向に向かってオーバーシュート)する。そしてその後に目標温度に向かって温度が上昇し、僅かに目標温度を超えてアンダーシュート(降下方向に向かってアンダーシュート)する。
冷凍機34の出力は、フル状態か停止状態かのいずれかあるいはフル状態に近い出力範囲でのみ変化させることができる場合が多く、中間状態の出力や、低い出力を目標値の偏差に比例して正確に出力することは実質的に困難である。また冷凍機34を制御しても、冷却器8の表面温度の追従は遅い。そのため冷凍機34を比例制御した場合における温度曲線は、図4の様に、目標温度を中心として上下に波うつ。
これに対して温度微調整用ヒータ11は、入力に対する表面温度の追従速度が早い。また任意に中間の出力を出力することができる。そのため温度微調整用ヒータ11を併用すると、図5に示すように、オーバーシュートや温度の波うちが解消される。
しかしながら、温度微調整用ヒータ11を併用する期間における温度変化のカーブは、温度微調整用ヒータ11を使用しない期間の温度上昇カーブと多少異なるものとなる。
そこで本実施形態では、温度微調整用ヒータ11を使用しない期間、あるいは使用頻度が低い温度領域と、温度微調整用ヒータ11を使用する期間、あるいは使用頻度が高い温度領域とを区別して温度変化とそれに要する時間を計測し、この温度変化に関する情報を収集する。
より具体的には、温度領域を図5の様に3区分に分けて温度変化とそれに要する時間を計測する。
本実施形態では、予冷運転の際の目標温度(低温側所定温度Nd)に対して摂氏15度以上高い領域を「放置領域」とし、摂氏10度を超えて15度未満高い領域を「第1温度領域」とする。また低温側所定温度Ndから摂氏10度以内の領域を「第2温度領域」とする。
なお温度領域の設定は任意であり、第1温度領域の上限側は、低温側所定温度Ndから摂氏5度〜30度程度の範囲で選定することができる。また第1温度領域の下限側は、低温側所定温度Ndから摂氏3度〜20度程度の範囲で選定することができる。
ただし第1温度領域の上限側(「放置領域」との境界温度、本実施形態では低温側所定温度Ndより摂氏15度高い温度)は、予冷運転を休止した際に低温槽3の温度がこの温度を超えて上昇するものであることが必要である。
また第1温度領域の下限側(「第2温度領域」との境界温度、本実施形態では低温側所定温度Ndより摂氏10度高い温度)は、温度微調整用ヒータ11の使用期間、あるいは使用頻度が高い温度領域とされる。
本実施形態では、予冷運転の際に、低温槽3の温度変化に関する情報を収集する。温度変化に関する情報は、予冷運転が行われるごとに収集される。そして低温槽3の温度変化に関する情報は自動更新される。
低温槽3の温度が高い状態のときに、冷凍機34を起動して予冷運転を開始すると、低温槽3内の温度は、図5の様に時間とともに次第に低下してゆく。ここで本実施形態では、低温槽3の温度が「放置領域」にある場合には、温度変化に関する情報を収集しない。そして温度はさらに低下し、「第1温度領域」に突入し、さらに時間が経過すると「第1温度領域」を通過する。本実施形態では、「第1温度領域」に突入してから、「第1温度領域」を抜けるまでの時間を計測する。即ち「第1温度領域」を通過するのに要する時間を計測する。
また「第2温度領域」は、低温槽3内の温度が低温側所定温度Ndに近づくので、温度間隔又は時間間隔が短くなる様に低温槽3の温度変化に関する情報を収集する。
即ち、「第2温度領域」においては、より短い温度間隔に区切って通過するのに要する時間を計測する。本実施形態では、「第2温度領域」においては、摂氏1度、変化するのに要する時間を計測する。
まとめると、本実施形態では、低温側所定温度Ndと摂氏15度の温度偏差の温度(摂氏マイナス45度)〜低温側所定温度Ndと摂氏10度の温度偏差の温度(摂氏マイナス50度)までの第1温度領域では、その第1温度領域に突入してから通過し終えるまでの経過時間pを計時し、低温側所定温度Ndと摂氏10度の温度偏差の温度(摂氏マイナス50度)〜低温側所定温度Ndと摂氏0度の温度偏差(低温側所定温度Nd)の温度(摂氏マイナス60度)に至るまでの第2温度領域では、その第2温度領域に突入してから通過し終えるまでの摂氏1度毎の経過時間qを計時する。
そして、経過時間pと経過時間qにより予測動作時間taを演算することとした。
一方、高温槽2側の温度は、加熱用ヒータ6によって制御する。そのため温度変化のカーブは、単純な逆放物線状であり、温度領域を分ける必要はない。従って本実施形態では、高温槽2側については、領域を区分することなく温度変化とそれに要する時間を計測し、この温度変化に関する情報を収集する。
収集された情報に基づいて平衡状態に至るまでに要する時間(予測動作時間ta,tb)を演算する。
そして、この予測演算された予測動作時間ta,tbに基づいて、休止時間twを演算している。
本実施形態では、休止時間twは、外乱等による動作時間ta,tbの乱れを考慮して余裕時間Uを確保するものであり、設定時間tsから動作時間ta(又はtb)と余裕時間Uを差し引いて算出する。
即ち、tw=ts−ta(又はtb)−Uと表すことができる。
なお、休止時間twには、冷却休止時間twdと加熱休止時間twuがあり、動作時間taには、冷却動作時間tadと加熱動作時間tauがある。
従って正確には次式に基づいて冷却休止時間twdと加熱休止時間twuが演算される。
twu=ts−ta−U
twd=ts−tb−U
なお、この演算式により演算された冷却休止時間twd又は加熱休止時間twuが、ゼロ又はマイナスの場合は、休止時間をゼロとして予冷制御又は予熱制御する。
出力部40は、試験条件データとして入力された試験環境の設定値等のデータを温度制御手段13に向けて出力する。
温度制御手段13は、出力部40から送られてきたデータに基づき、高温槽2における加熱用ヒータ6及び高温槽側送風機7と、低温槽3における冷却器8、温度微調整用ヒータ11及び低温槽側送風機10等の動作を制御する。
続いて、本実施形態の冷熱衝撃試験装置1の機能について説明する。
冷熱衝撃試験装置1は、設定手段14によって入力された所定時間毎に、高温さらし試験と低温さらし試験とを交互に繰り返す一連の冷熱サイクルによって、試験槽5の温度環境を急激に変化させて試料体Wに熱ストレスを与えて試料体Wの信頼性を試験するものである。そのため、試験槽5においては、例えば、摂氏125度といった高温雰囲気や、摂氏マイナス40度といった低温雰囲気に制御される。
また高温さらし試験が実行されている際には、予冷運転が行われ、低温槽3は、次回の低温さらし試験に備えて低温側所定温度Ndに制御される。低温側所定温度Ndは、前記した様に低温側設定温度Msdより摂氏20度低温の温度である。予冷運転の際には、低温槽側温度センサ27の検知温度によって冷凍機34が制御される。
同様に、低温さらし試験が実行されている際には、高温槽2は、次回の高温さらし試験に備えて高温側所定温度Nuに制御される。高温側所定温度Nuは、前記した様に高温側設定温度Msuより摂氏20度高温の温度である。
予熱運転の際には、高温槽側温度センサ26の検知温度によって加熱用ヒータ6が制御される。
本実施形態の冷熱衝撃試験装置1では、試験槽5の温度を昇温させる場合には、高温槽側ダンパ30が開状態にされて、高温槽2で予め生成された熱風を試験槽5に導入して高温さらし試験が実施される。そして、高温さらし試験の最中においては、試験槽5の試験槽温度センサ25の検知温度に基づいて、加熱用ヒータ6の出力がPID制御される。具体的には、試験槽温度センサ25の検知温度が、高温側設定温度Msuとなる様に加熱用ヒータ6の出力がPID制御される。
また、試験槽5の温度を冷却する場合には、低温槽側ダンパ31が開状態にされて、低温槽3で予め生成された冷風を試験槽5に導入して低温さらし試験が実施される。本実施形態では、試験槽5の試験槽温度センサ25の検知温度に基づいて、冷凍機34がPID制御される。併せて温度微調整用ヒータ11の出力も微調整される。具体的には、試験槽温度センサ25の検知温度が、低温側設定温度Msdとなる様に冷凍機34がPID制御され、温度微調整用ヒータ11によって温度補正がなされる。
また、本実施形態では、冷熱サイクルの時間的効率化を図るべく、準備運転たる予冷制御及び予熱制御(以下、移行準備とも称す)が行われる。即ち、高温さらし試験と時間的に並行して、低温槽3にて予冷制御が実施され、低温さらし試験と時間的に並行して高温槽2にて予熱制御が実施される。
予冷制御は、低温槽側ダンパ31を閉状態にして実施されるもので、低温槽側温度センサ27の検知温度に基づいて、低温槽3を低温側所定温度Ndまで冷却する。本実施形態では、低温側所定温度Ndは、低温側設定温度Msdより摂氏20度低温とされている。
予熱制御は、高温槽側ダンパ30を閉状態にして実施されるもので、高温槽側温度センサ26の検知温度に基づいて、高温槽2を高温側所定温度Nuまで加熱する。本実施形態では、高温側所定温度Nuは、高温側設定温度Msuより摂氏20度高温とされている。
また、本実施形態では、省エネルギーを図るべく、移行準備において冷却動作や加熱動作を一時的に停止する制御が行われる。即ち、移行準備においては、雰囲気温度を所定温度まで冷却又は加熱する積極的動作と、雰囲気温度を所定温度に維持する維持動作と、冷却動作や加熱動作を停止する省エネ動作が実施される。
また、本実施形態における特徴的動作として、移行準備では、積極的動作と維持動作と省エネ動作のそれぞれに要する時間が、サイクル毎に変更される。具体的には、本実施形態では、移行準備が実施される度に、積極的動作に要する時間たる動作時間taを予測演算すると共に、維持動作の時間(余裕時間U)を最小限に抑えるべく省エネ動作の時間たる休止時間twを決定して、次回の移行準備のサイクルにおいて反映させる。即ち、例えば、1サイクル目で決定された移行準備の条件は、2サイクル目で適用されつつ、3サイクル目の移行準備の条件が決定され、3サイクル目以降は2サイクル目と同様に、前サイクルで決定された条件の適用と、次サイクルの条件決定の動作が繰り返し行われる。
次に、冷熱衝撃試験を行った場合における本実施形態の冷熱衝撃試験装置1における実際の動作について、図面を用いて説明する。なお、以下の説明においては、図7、図8のタイムチャートに沿って説明する。
なお、冷熱衝撃試験における条件の一例を以下に示す。
高温さらし試験時の高温側設定温度Msu:摂氏125度
高温さらし試験の加熱試験時間tu:30分
低温さらし試験時の低温側設定温度Msd:摂氏マイナス40度
低温さらし試験の冷却試験時間td:30分
高温さらし試験と低温さらし試験の冷熱サイクルの回数:3サイクル
高温側所定温度Nu:高温側設定温度Msuに摂氏20度加算した温度
低温側所定温度Nd:低温側設定温度Msdに摂氏マイナス20度を加算した温度
冷熱衝撃試験装置1は、図示しない運転スイッチがオン状態になると、設定手段14を介して前記した試験条件を入力可能な状態となる。
そして、図6のフローチャートによれば、前記した試験条件が入力され設定が確認されると、準備運転が開始され(ステップ1)、図7のタイムチャート示すように、高温槽側ダンパ30及び低温槽側ダンパ31は閉状態に維持され、各槽内の雰囲気温度が調整される。即ち、高温槽2においては、加熱用ヒータ6が作動して槽内雰囲気が加熱され、低温槽3においては、冷凍機34と温度微調整用ヒータ11が作動して槽内雰囲気が冷却される。
そして、ステップ2に移行し、各槽内の雰囲気温度が所定温度に達したか否かが確認される。ステップ2で槽内温度が所定温度に達したことが確認されれば、試験運転が開始される(ステップ3)。そして、ステップ4に移行して、高温さらし試験と低温さらし試験のいずれの制御を実施するかが確認される。まず高温さらし試験を実施する設定にされていれば、ステップ5に移行し、高温槽側ダンパ30が開状態にされ、試験槽5に対して熱風が導入される。そして、試験槽温度センサ25が高温側設定温度Msuに維持されるように加熱用ヒータ6の出力が調整される。
さらに、ステップ5では、高温さらし試験と同じタイミングで、低温槽3側で予冷運転が開始される。即ち、予冷制御によって、試験槽5における制御が高温さらし試験から低温さらし試験に移行されるまでに、低温槽3内の雰囲気温度を予め低温側所定温度Ndまで冷却しておく。また、本実施形態の予冷運転では、省エネルギーを図りつつ、試験精度を低下させることがない特徴的動作が実施される。
ここで、本実施形態における予冷制御の特徴的動作について説明する。
図9のフローチャートにしたがうと、まずステップ21で最初の予冷制御かどうかが確認される。即ち、準備運転か否かがステップ21で確認される。そして、このとき、今回の予冷制御が準備運転であると確認されれば、ステップ36に移行してフラグがオンされて、ステップ24に移行する。
ステップ24に移行すると、低温槽3内の冷却が開始され、低温槽3内の雰囲気温度が、低温側所定温度Ndを目標に冷却される。
ここで、上述した動作時間taの予測演算について、さらに詳細に説明しておく。
本実施形態では、上述したように、低温槽3の温度が低下傾向にある時の、特定の温度領域(第1温度領域と第2温度領域)を監視する。そしてこの情報を記憶し、その際に得られた時間と雰囲気温度との関係により、次回の予冷運転の際における平衡状態に至るまでに要する時間(予測動作時間ta)を演算するが、予冷運転においては、低温側所定温度Nd近傍で温度微調整用ヒータ11が作動し始めるため、図5に示す時間と雰囲気温度の関係のグラフは、それまでの軌跡から若干逸脱した形状に変化している。そのため、本実施形態では、曲線形状が変化するタイミング(第2温度領域の境界温度)から経過時間の補正をして予測動作時間taの予測演算を行っている。
即ち、本実施形態の冷却制御においては、低温側所定温度Ndから摂氏10度の温度偏差がある温度を切り換えの基準温度(第2温度領域の境界温度)としており、その基準温度の前後で経過時間の計測方法を変更している。具体的には、低温側所定温度Ndと摂氏15度の温度偏差の温度(摂氏マイナス45度)〜低温側所定温度Ndと摂氏10度の温度偏差の温度(摂氏マイナス50度)までの第1温度領域では、その第1温度領域に突入してから通過し終えるまでの経過時間pを計時し、低温側所定温度Ndと摂氏10度の温度偏差の温度(摂氏マイナス50度)〜低温側所定温度Ndと摂氏0度の温度偏差(低温側所定温度Nd)の温度(摂氏マイナス60度)に至るまでの第2温度領域では、その第2温度領域に突入してから通過し終えるまでの摂氏1度毎の経過時間qを計時する。そして、経過時間pと経過時間qにより動作時間taを予測演算することとした。
従って、ステップ25においては、低温槽3内の雰囲気温度が低温側所定温度Ndとプラス摂氏15度の温度偏差の温度に達したか否かが確認される。即ち、低温槽側温度検知センサ27が摂氏マイナス45度(低温側所定温度Nd+摂氏15度)に達したか否かが確認される。そして、ステップ25において前記した事実が確認されれば、ステップ26に移行してタイマをスタートさせる。そしてステップ27で低温槽側温度検知センサ27が摂氏マイナス50度(低温側所定温度Nd+摂氏10度)を検知すると、ステップ28でその時の時間が記憶される。即ち図10のステップ28に移行して、第1温度領域における経過時間pが計時されて記憶される。
その後は、図10のステップ29に進み、第2温度領域における経過時間qが計時されて記憶される。即ち摂氏1度毎の経過時間qが記憶される。
ステップ30で、低温槽3内の雰囲気温度が低温側所定温度Ndとなったことが確認されると、ステップ31に移行してタイマをストップさせる。
ステップ32においては、ステップ28,29で記憶された経過時間p及び経過時間qに基づいて、次回の予冷制御で採用される予想冷却動作時間tadを予測演算する。そして、この予想冷却動作時間tadに基づいて次回の予冷制御に採用される冷却休止時間twdが演算される(ステップ33)。そして、ステップ34においてフラグがオンされているか否かが確認される。今回は、準備運転であるから、フラグはオンされているため、各槽内の準備が整った時点で試験運転が開始される。
図6のフローチャートで説明した様に、ステップ2で槽内温度が所定温度に達したことが確認されれば、試験運転が開始される(ステップ3)。最初に高温さらし試験を実施する設定にされていれば、高温さらし試験が実施される。
そしてステップ5では、高温さらし試験と同じタイミングで、低温槽3側で予冷運転が開始される。
そのため前記した図9、10のフローチャートの工程が再度繰り返される。
即ち、ステップ21で最初の予冷制御かどうかが確認される。今回の冷却動作は、高温さらし試験と並行して実行されているものであるから、ステップ22に進んで冷却動作を一時的に休止する。即ち、図7のタイムチャートに示すように、今回の予冷制御が実施される前に演算された冷却休止時間twdに基づいて、低温槽内の冷却が休止される。
その結果、図7、図8のタイムチャートに示すように、低温槽3の温度が次第に上昇する。そして低温槽3の雰囲気温度は、第1温度領域の上限側(「放置領域」との境界温度 本実施形態では低温側所定温度Ndより摂氏15度高い温度)を超える。
一方、ステップ23で冷却休止時間twdの経過が確認されれば、ステップ24に移行し、低温槽3内の冷却が開始され、低温槽3内の雰囲気温度が、低温側所定温度Ndを目標に冷却される。
以後は、先に説明した通り、ステップ25〜ステップ29で槽の温度変化に関する情報を収集し、ステップ32で次回の予冷制御で採用される予想冷却動作時間tadを予測演算する。
これらの情報は、自動的に更新される。
その後にステップ35に移行して、加熱試験時間tuに基づいて予冷制御の終了が決定される。即ち、ステップ35では、高温さらし試験が開始されてから30分が経過したか否かが確認される。そして、加熱試験時間tuが経過していれば、予冷制御を終了する。
図6のフローチャートの説明に戻ると、ステップ5からステップ6に移行すると、加熱試験時間tuの経過が確認され、経過していれば、高温槽側ダンパ30を閉状態にして高温さらし試験を終了する(ステップ7)。また、図10のフローチャートでも説明したが、加熱試験時間tuの経過をきっかけに予冷制御も終了する(ステップ7)。そして、ステップ8に移行して、試験が終了か否かが確認され、終了でなければステップ4に移行する。一方、ステップ8で試験の終了が確認されれば、全ての運転が停止される。
また、図7のタイムチャートに示すように、高温さらし試験が終了すると、試験槽5で低温さらし試験を実行するため、図6のフローチャートのステップ4では、低温さらし試験の動作が確認されて、ステップ9に移行する。ステップ9においては、低温槽側ダンパ31が開状態にされ、試験槽5に対して冷風が導入される。そして、試験槽温度センサ25が低温側設定温度Msdに維持されるように冷却器8及び温度微調整用ヒータ11の出力が調整される。
さらに、ステップ9では、高温槽2側で予熱制御が開始される。即ち、予熱制御によって、試験槽5における制御が低温さらし試験から高温さらし試験に移行されるまでに、高温槽2内の雰囲気温度を予め高温側所定温度Nuまで加熱しておく。また、本実施形態の予熱制御では、省エネルギーを図りつつ、試験精度を低下させることがない特徴的動作が実施される。
即ち、図11のフローチャートにしたがうと、まずステップ41で最初の予熱制御かどうかが確認される。即ち、準備運転か否かがステップ41で確認される。そして、このとき、今回の予熱制御が準備運転であると確認されれば、ステップ53に移行してフラグがオンされて、ステップ44に移行する。
一方、図11のステップ41で準備運転でないことが確認されると、まず加熱制御を一時的に休止する(ステップ42)。即ち、図7のタイムチャートに示すように、今回の予熱制御が実施される前に演算された加熱休止時間twuに基づいて、高温槽2内の加熱が休止される。そして、ステップ43で加熱休止時間twuの経過が確認されれば、ステップ44に移行して、高温槽2内の加熱が開始され、高温槽2内の雰囲気温度が、高温側所定温度Nuを目標に加熱される。
なお、予熱制御では、予冷制御のように曲線形状が変化することがないため、高温側所定温度Nuに至るまでの所定の温度領域(本実施形態では高温側所定温度Nu〜高温側所定温度Nu−摂氏15度の温度領域)における経過時間を計時して、加熱動作時間tauを予測演算することとしている。
即ち、ステップ45においては、高温槽側温度検知センサ26が摂氏130度(高温側所定温度u−摂氏15度)に達したか否かが確認されれば、タイマがスタートされる(ステップ46)。
タイマがスタートすれば、ステップ47に移行して、前記所定の温度領域における経過時間が計時されて記憶される。そして、ステップ48に移行してタイマをストップさせる。
ステップ49においては、ステップ47で記憶された経過時間に基づいて、次回の予熱制御で採用される加熱動作時間tauを予測演算する。そして、この加熱動作時間tauに基づいて次回の予熱制御に採用される加熱休止時間twuが演算される(ステップ50)。そして、ステップ51においてフラグがオンされているか否かが確認され、フラグがオンされていなければ準備運転ではないので、ステップ52に移行して、冷却試験時間tdに基づいて予熱制御が終了される。即ち、ステップ52では、冷却試験時間tdが経過したか否かが確認される。そして、冷却試験時間tdが経過していれば、予熱制御を終了する。また、ステップ51において、フラグのオンが確認されれば、今回の予熱制御は準備運転であるため、各槽内の準備が整った時点で試験運転が開始される。
図6のフローチャートの説明に戻ると、ステップ9からステップ10に移行すると、冷却試験時間tdの経過が確認され、経過していれば、低温槽側ダンパ31を閉状態にして低温さらし試験を終了する(ステップ11)。また、図11のフローチャートでも説明したが、冷却試験時間tdの経過をきっかけに予熱制御も終了する(ステップ11)。そして、ステップ8に移行して、試験が終了か否かが確認され、終了でなければステップ4に移行する。
そして前記と同様に、ステップ4に移行しさらにステップ5に移行して高温さらし試験が再度実施される。
そしてステップ5では、試験槽5で高温さらし試験と、低温槽3側で予冷運転が開始される。
そのため前記した図9、10のフローチャートの工程が再度繰り返される。
今回の予冷運転は、高温さらし試験と並行して実行されているものであるから、ステップ22に進んで冷却制御を一時的に休止する。即ち、図7のタイムチャートに示すように、今回の予冷制御が実施される前に演算された冷却休止時間twdに基づいて、低温槽内の冷却が休止される。
その結果、図7、図8のタイムチャートに示すように、低温槽3の温度が次第に上昇する。ここで今回の予冷運転は、低温さらし試験が実施された後で行われるものであるから、図7、図8のタイムチャートに示すように、予冷運転を開始する際における低温槽3の温度は高い。そのため低温槽3の雰囲気温度は、第1温度領域の上限側(「放置領域」との境界温度、本実施形態では低温側所定温度Ndより摂氏15度高い温度)を当然に超えている。
一方、ステップ23で冷却休止時間twdの経過が確認されれば、ステップ24に移行し、低温槽3内の冷却が開始され、低温槽3内の雰囲気温度が、低温側所定温度Ndを目標に冷却される。
以後は、先に説明した通り、ステップ25〜ステップ29で槽の温度変化に関する情報を収集し、ステップ32で次回の予冷制御で採用される予想冷却動作時間tadを予測演算する。
一方、ステップ8で試験の終了が確認されれば、全ての運転が停止される。
なお、本実施形態では、冷熱サイクルを3回に設定しているため、同様の動作をさらに2サイクル行った後に運転が停止される。
本実施形態では、予冷制御が実施される度に、温度微調整用ヒータ11が作動する前後のタイミングで経過時間を記憶させて、その経過時間に基づいて冷却動作時間tadを予測演算すると共に、その冷却動作時間tadを用いて冷却休止時間twdを演算して演算結果を更新している。これにより、低温槽内が温度下降される際の実際の温度下降率に基づいた経過時間の情報が収集でき、その経過時間に基づいて休止時間を決定することができるため、冷却休止時間twdを最大限長く確保することができる。即ち、余裕時間Uを従来技術に比べて短くすることができるため、限界まで省エネルギーを高めることができる。
また、結果的に、予測演算された冷却動作時間tadと、実際に所定温度に至らすために要する動作時間との間に殆ど誤差が生まれないため、冷却動作時間tadの範囲内で確実に槽内の温度を低温側所定温度Ndに至らせることができる。即ち、本実施形態によれば、試験における精度を低下させることがない。
また、本実施形態では、予熱制御においても、制御の度に予冷制御とほぼ同様の動作を行っているため、冷熱衝撃試験全体を通せば、高い省エネルギーの効果を発揮できる。
上記実施形態では、予冷制御において、低温側所定温度Nから摂氏15度の温度偏差の温度から計時させる構成としたが、本発明はこれに限定されず、例えば、温度偏差が摂氏15度より大きい温度、あるいは温度偏差が摂氏15より小さい温度など、所定の温度から計時させる構成であっても構わない。ただし、その場合であっても、温度微調整用ヒータ11を用いた構成であれば、温度微調整用ヒータ11が作動するタイミングで経過時間の取り方を変更することが望ましい。そして、温度微調整用ヒータ11が作動した後の経過時間を計時する場合は、微少な温度変化における時間を計時することが好ましい。なお、その微少な温度変化は、上記実施形態で示した摂氏1度毎である必要はなく、例えば、摂氏2〜3度毎に計時結果を記憶しても構わない。
また、温度微調整用ヒータ11が作動する前後で経過時間の取り方を変更することなく、一定間隔の温度変化毎に経過時間を計時して記憶するように制御しても構わない。
また、上記実施形態のように、所定温度に至るまでに複数回に渡って経過時間を計時して記憶する制御ではなく、単に基準となる温度に至った瞬間から所定温度に至るまでの経過時間を計時して記憶する制御であっても構わない。
また、上記実施形態では、移行準備が実施される度に、動作時間taや休止時間tw等を更新する構成を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、冷熱サイクルが全
体で準備運転を除いて3サイクルあるとすれば、準備運転と2サイクル目だけ動作時間taや休止時間tw等が演算されて更新される構成であっても構わない。要するに、冷熱サイクル全体を通して、複数のタイミングで更新される構成であれば構わない。
上記実施形態では、図9、10のフローチャートの様に、一回の予冷運転の最中に槽の温度変化に関する情報を収集し、当該サイクルの予冷運転の最中に、次回の休止時間を演算しこれを更新し、次回の予冷運転の際にこの休止時間を適用した。
しかしながら、槽の温度変化に関する情報を収集してこの記憶だけを更新し、次回の予冷運転の休止時間中に前回の情報から今回の休止時間を演算してもよい。
即ち図7のタイムチャートでも明らかな様に、1回目のサイクルにおける低温槽3の温度上昇カーブと、2回目のサイクルにおける低温槽3の温度上昇カーブは明らかに異なる。
即ち1回目のサイクルにおいては、未だ一回も低温さらし試験を経ていないから、予冷制御を開始した段階における低温槽3の温度が低い。これに対して2回目のサイクルにおいては、低温さらし試験を終えた直後であるから、予冷制御を開始した段階における低温槽3の温度が高い。
この様に、サイクルによって、予冷制御を開始した段階における低温槽3の温度が異なるので、予冷制御の際に次回の休止時間を決定してしまうと、誤差が生じる懸念がある。
そこで、槽の温度変化に関する情報を収集してこの記憶だけを更新し、次回の予冷運転の休止時間中に前回の情報から今回の休止時間を演算することによって、予冷制御の開始温度が異なることによる弊害を解消することができる。
また、槽内の温度変化に関する情報を収集してこの記憶だけを更新し、次回の移行準備の休止時間中に前回の情報から槽内温度が上昇又は降下傾向にある状態での動作時間を予測演算し、その動作時間と高温さらし試験時間又は低温さらし試験時間とを監視して、動作時間と試験時間とが所定の条件を満たした時に、移行準備における冷却動作や加熱動作を開始する制御であっても構わない。
具体的には、試験時間の残り時間と動作時間を比較して、残り時間の方が動作時間より長ければ、残り時間と動作時間の比較を継続し、残り時間と動作時間が同じになれば、冷却動作や加熱動作を開始する。なお、予測演算の結果、動作時間の方が残り時間より長ければ、動作時間と試験時間の残り時間とを監視をすることなく、冷却動作や加熱動作を即開始する。より詳細には、予冷制御においては、現在の予冷制御における動作時間が、前回の予冷制御又は準備運転から収集された温度変化に関する情報から予測演算され、この演算された動作時間と加熱試験制御に要する試験時間の残り時間とが監視される。そして、動作時間と残り時間とが、同じになった時点、あるいは、動作時間が残り時間より長い場合に冷凍機34を運転する。また、予熱制御においても同様の制御により加熱用ヒータの運転の開始のタイミングを決定することができる。
また、同様の制御として、試験時間の残り時間に限界時間を設け、その限界時間と動作時間とを比較する方法であっても構わない。この制御では、限界時間の方が動作時間より長ければ、限界時間と動作時間の比較を継続し、動作時間が限界時間と同じか、長ければ、冷却動作や加熱動作を開始することができる。
従って、予測演算された動作時間と、試験時間の残り時間あるいは限界時間を比較することで、結果的に実体にあった停止時間を決定することができる。これにより、制御が複雑とならないため、誤動作が発生する懸念がない。
本発明は温度微調整用ヒータ11を備えない構成であっても構わない。
上記実施形態では、高温槽2と低温槽3と試験槽5を備えた構成を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、特許文献2に開示された冷熱衝撃試験装置のように、高温槽と低温槽とその双方の槽に行き来できる可動式の試験部を備えた構成であっても構わない。
また、高温槽と低温槽に加えて、外気を導入して試料体を常温にさらすことができる常温槽を備えた構成であっても構わない。なお、常温槽には、外部と連通したダンパを設ける必要がある。
上記実施形態では、予冷制御と予熱制御の双方で、休止時間を演算して最も省エネルギーを図ることができる制御を示したが、本発明はこれに限定されず、予冷制御と予熱制御のいずれか一方のみで休止時間を演算する制御が実行されるものであっても構わない。
また、動作時間の予測演算についても、予冷制御と予熱制御のいずれか一方のみで実行される構成であっても構わない。
また、本発明は、上記実施形態のように、高温槽2と低温槽3と試験槽5とが一体的に構成されたものでなくても構わない。即ち、それぞれの槽を単独に構成し、試験槽に対して、高温槽と低温槽から空気を流すことができる流路形成部材を設け、高温槽又は低温槽から高温の空気あるいは低温の空気を送り込んで、高温さらし試験や低温さらし試験を行える構成であっても構わない。
1 冷熱衝撃試験装置
2 高温槽
3 低温槽
5 試験槽
6 加熱用ヒータ(ヒータ)
7 高温槽側送風機
8 冷却器
10 低温槽側送風機
11 温度微調整用ヒータ
p 経過時間
q 経過時間
tw 休止時間
twd 冷却休止時間
twu 加熱休止時間
tad 冷却動作時間
tau 加熱動作時間

Claims (7)

  1. ヒータによって昇温される高温槽と、冷却器によって温度降下される低温槽とを有し、高温槽を活用して試料体を高温の雰囲気温度にさらす高温さらし試験と、低温槽を活用して試料体を低温の雰囲気温度にさらす低温さらし試験とを交互に実施することができる冷熱衝撃試験装置であって、
    一方の槽を活用してさらし試験が実施されている間であって他方の槽を活用して次のさらし試験を実施するまでの期間に、前記他方の槽の温度を所定温度に調整する移行準備機能を有し、
    高温槽に対する移行準備機能又は低温槽に対する移行準備機能の少なくとも一方は、当該槽を活用してさらし試験を行ってから原則的に休止時間を経過した後に昇温又は温度下降を行うものであり、
    少なくとも一方の槽に関しては当該槽移行準備機能が動作している際に、当該槽の温度が前記移行準備機能によって昇温又は温度下降する際において所定の温度領域を通過するのに要する時間を計測することによって当該槽の温度変化に関する情報を収集する温度情報収集機能を有し、当該収集された情報に基づいて前記休止時間を直接的又は間接的に決定する休止時間決定機能を備え、前記槽の温度変化に関する情報及び/又は前記休止時間は自動更新されることを特徴とする冷熱衝撃試験装置。
  2. 高温さらし試験が実施されている間に低温槽内を所定温度に冷却する移行準備機能たる予冷機能を有し、
    前記温度情報収集機能は、低温槽内の温度が予冷機能によって下降する際において所定の温度領域を通過するのに要する時間を計測するものであることを特徴とする請求項1に記載の冷熱衝撃試験装置。
  3. 高温さらし試験が実施されている間に低温槽内を所定温度に冷却する移行準備機能たる予冷機能を有し、
    前記温度情報収集機能は、予冷機能によって低温槽内の温度が下降する際における温度下降量と温度下降に要した時間を所定の温度間隔又は時間間隔で計測するものであり、低温槽内の温度が前記所定温度に近づくと前記温度間隔又は前記時間間隔が短くなることを特徴とする請求項1又は2に記載の冷熱衝撃試験装置。
  4. 移行準備機能が実施される度に、温度情報収集機能を機能させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の冷熱衝撃試験装置。
  5. 低温槽の温度を微調整する温度微調整用ヒータを備えていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の冷熱衝撃試験装置。
  6. 低温さらし試験が実施されている間に高温槽内を所定温度に加熱する移行準備機能たる予熱機能を有し、
    前記温度情報収集機能は、高温槽内の温度が予熱機能によって上昇する際において所定の温度領域を通過するのに要する時間を計測するものであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の冷熱衝撃試験装置。
  7. 低温槽と高温槽には、それぞれ送風機が備えられており、移行準備機能における休止時間中は、送風機の動作が停止されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の冷熱衝撃試験装置。
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