JP2012013420A - 冷熱衝撃試験装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】冷熱衝撃試験装置1は、高温槽2と低温槽3を有し、試料体を高温の雰囲気温度にさらす加熱試験制御と、低温の雰囲気温度にさらす冷却試験制御とを交互に実行することができる。また、一方の槽を活用して試験制御が実行されている間は、他方の槽において移行準備制御が実行される。移行準備制御では、試験制御を行ってから一定の休止時間を経てから昇温又は温度低下が行われる。この休止時間は、温度情報収集機能により槽内の温度変化に関する情報が収集され、休止時間決定機能によりその収集された情報に基づいて休止時間が決定される。温度変化に関する情報は自動更新されるため、より実体にあった制御を可能とする。
【選択図】図1
Description
特許文献1に開示された冷熱衝撃試験装置は、低温槽を冷却するための冷却器と、低温槽内の温度を微調整するための温度微調整用ヒータが設けられている。冷却器は、冷凍機の一部であり、一連の冷凍サイクルを構成する蒸発器である。
また特許文献1に開示された冷熱衝撃試験装置には、高温槽を昇温するための加熱用ヒータが設けられている。加熱用ヒータは、前記した温度微調整用ヒータよりも容量が大きい。
また、試料体を載置した試験部を、低温槽と高温槽に移動させて、低温さらし試験や高温さらし試験を行う冷熱衝撃試験装置もある(特許文献2)。
また同様に高温さらし試験の最中に、次の低温さらし試験に備えて、低温槽内の空気を所定の低温に低下させる予冷機能を備えている。予冷機能による運転(以下、予冷運転)が実施されると、冷凍機が運転されて冷却器の温度を低下させると共に、送風機によって低温槽内の空気が攪拌される。また温度微調整用ヒータが制御されて低温槽内の温度が一定範囲に保たれる。
即ち特許文献1に開示された冷熱衝撃試験装置では、低温さらし試験の際には低温槽と試験槽とが連通され、低温槽から低温の空気が試験槽に供給される。この時、低温槽を冷却する冷凍機は、試験槽に供給する空気を冷却するべく運転を続けている。
そして低温さらし試験を終えると低温槽と試験槽との間が遮断され、代わって高温槽と試験槽とが連通して試験槽内に高温の空気が供給される。
特許文献1に開示された冷熱衝撃試験装置では、低温さらし試験を終えて試験槽に低温の空気を供給する必要が無くなっても、冷凍機の運転は維持され続ける。即ち試験槽と遮断された低温槽では、次回の低温さらし試験に備えて冷凍機の運転を続け、低温槽の温度をさらに下降させる。また送風機によって試験槽内の空気が循環されて、低温槽内の温度ばらつきを低下させる。
予熱運転についても同様であり、低温さらし試験の際に、加熱用ヒータに通電して高温槽内を昇温し、送風機によって高温槽内の空気を攪拌して温度ばらつきを低下させる。
即ち前記した冷熱衝撃試験装置では、例えば低温さらし試験を終えると同時に予冷運転が行われる。また高温さらし試験を終えると同時に予熱運転が行われる。
即ち、予冷機能や予熱機能は、所定の温度まで冷却又は加熱する積極的動作と、その所定温度を維持する維持動作があるが、特許文献1においては、例えば低温さらし試験が終わると同時に積極的動作が実行される。
一方、次に低温槽を活用するのは、高温さらし試験が終わった後であるが、高温さらし試験の設定時間が、予冷機能における積極的動作に要する時間より極端に長いような場合がある。その場合、維持動作として制御される時間が無駄に長くなり過ぎる。
例えば予冷機能では、高温さらし試験から低温さらし試験が始まるまでの間に低温槽内の温度を、所定温度の低温に至らせれば良いから、維持動作の時間が長いほど電力の浪費が増加することとなる。
同様の理由から、予熱運転が長い場合も、電力の浪費が増加することとなる。
この様に、特許文献1に記載された冷熱衝撃試験装置は、省エネルギーの向上を図るという点で改善すべき問題があった。
特許文献3の冷熱衝撃試験装置によれば、一定の休止時間が経過した後に、予熱運転或いは予冷運転が開始される。
特許文献3の冷熱衝撃試験装置では、特許文献1の冷熱衝撃試験装置と同様に、低温さらし試験を終えると低温槽と試験槽との間が遮断され、代わって高温槽と試験槽とが連通して試験槽内に高温の空気が供給される。
しかし特許文献3の冷熱衝撃試験装置では、低温さらし試験が終了すると、冷凍機の運転及び送風機の運転が一旦停止される。
そして一定の休止時間が経過した後に、予冷運転が開始し、冷凍機が起動して低温槽の温度を下降させる。また送風機が運転を再開し、低温槽内の空気が循環されて、低温槽内の温度ばらつきを低下させる。
特許文献3に開示された冷熱衝撃試験装置では、冷凍機を完全に停止させる時間帯(休止時間)があるので、消費電力の低減を図ることができる。
しかしながら、特許文献3に開示された冷熱衝撃試験装置では、熱衝撃試験の最中に休止時間が変更されることはなく、例えば予冷運転の休止時間は、熱衝撃試験の最初から最後まで同じ長さである。
即ち特許文献3に開示された冷熱衝撃試験装置では、冷熱衝撃試験装置の開始から終了までの間に渡って予冷運転の休止時間は一定であり、これが変更されることはない。
特許文献3に開示された冷熱衝撃試験装置によると、準備運転時で得られたデータに基づいて予冷運転等の休止時間が定められるから、低温さらし試験や高温さらし試験の時間が長く設定された場合であっても、予冷運転等を一定の時間だけ停止させて、冷凍機等の運転時間を実質的に短くすることができるため、電力消費を低減することができる。
即ち冷却器の冷却能力は、時間の経過と共に低下する傾向がある。
しかしながら特許文献3では、予冷運転の休止時間が固定的であり、冷熱衝撃試験が開始されてから終了するまで一定である。そのため高温さらし試験と低温さらし試験の繰り返し回数が多い場合、冷熱衝撃試験の最中に蒸発器(冷却器)に付着した霜が次第に成長し、冷却能力が次第に減退する。その結果、冷熱衝撃試験が後半に至ると、次の低温さらし試験の開始予定時刻になっても、低温槽の温度が所定の低温に至らず、低温槽の準備が整わない事態が想定される。
そのため、低温槽の温度が所定の低温に至らないまま、低温槽の空気を試験槽に供給してしまい、充分な熱ストレスを試料体に与えられない場合がある。その結果、冷熱衝撃試験の精度が低下し、試験に対して充分な信頼性が得られなくなってしまうことが懸念された。
また逆に、低温槽の温度が所定の温度まで低下するのを待つ構成とするならば、冷熱衝撃試験に要する総時間が延びてしまうという不満がある。
なお、ここで言う「原則的」とは、収集された温度変化に関する情報により決定された休止時間がゼロの場合も含むことを意味している。また、「休止時間を直接的に決定」とは、例えば演算などにより休止時間そのものを導き出すこととしており、それに代わって「休止時間を間接的に決定」とは、例えば休止時間に関わる別の要素(休止時間以外の動作に要する時間等)に基づいて結果的に休止時間が決定されることとしている。
ここで「高温槽を活用して」「低温槽を活用して」とは、従来技術の欄に記載した様な高温の空気や低温の空気を溜め置いて、試験槽に送り込む構成のものだけでなく、特許文献2に開示されている様な試料体を移動させて高温槽と低温槽に交互に入れる構成のものを含む趣旨である。
本発明の冷熱衝撃試験装置は、移行準備機能を有し、さらし試験と並行して実施される移行準備では、原則的に休止時間を経過した後に昇温又は温度下降を行う。そのため、休止時間がゼロでない限り、移行準備の段階で発生し得る無駄な電力消費を低減することができる。
そのため本発明の冷熱衝撃試験装置では、冷熱衝撃試験の最中に、休止時間が変化する。
即ち着霜の増減といった、環境の変化によって冷却器やヒータの熱交換効率等の変化があれば、それに応じた適切な休止時間が決定される。
ここで移行準備において、例えば低温槽の温度降下を一時的に休止する時間は、高温さらし試験に要する時間から少なくとも冷却器を作動させて低温槽内の温度を所定温度まで到達させることができる時間を除いた時間を基準として決定される。
同様に例えば高温槽の昇温を一時的に休止する時間は、低温さらし試験に要する時間から少なくともヒータを作動させて高温槽内の温度を所定温度まで到達させることができる時間を除いた時間を基準として決定される。
本発明における移行準備では、状況に応じて適切な休止時間を決定し、低温槽又は高温槽の温度が所定温度に到達できる時間を確保できるので、残りの時間は冷却動作又は加熱動作を一時的に停止できる。
また本発明の冷熱衝撃試験装置では、前記した様に、槽の温度変化に関する情報等が自動更新される。そのため本発明によれば、次回のさらし試験の開始予定時刻までに、槽内の温度は確実に所定温度に達する。そのため従来技術で懸念された、充分な熱ストレスが与えられないという問題や、総試験時間が長くなるといった問題は解消される。
従って、本発明によれば、さらし試験と並行して次のさらし試験の移行準備を行うことによって、試験の時間効率の向上を図ることができ、さらに、実際に収集された情報に基づいて決定された休止時間により移行準備が実施されるため、省エネルギーを図りつつ、高い試験精度を確保することができる。
本実施形態の冷熱衝撃試験装置1は、試料体Wが配される試験槽5に熱風と冷風を交互に送って試験槽5の温度環境を急激に変化させ、試料体Wを、高温環境と低温環境を繰り返す一連の冷熱サイクルにさらして熱ストレスを与えることができる装置である。
試験槽5と高温槽2とは、熱風導入口20と熱風排出口21を介して連通される。また試験槽5と低温槽3とは、冷風導入口22と冷風排出口23を介して連通された構成とされている。そして、熱風導入口20と熱風排出口21には、高温槽側ダンパ30が設けられ、冷風導入口22と冷風排出口23には、低温槽側ダンパ31が設けられ、隣接する槽同士の空気の流通が制限されている。なお、高温槽側ダンパ30及び低温槽側ダンパ31は、公知のバタフライ式やゲート式などが採用されている。
また、試験槽5には、試験槽温度センサ25が配されており、後述する高温さらし試験や低温さらし試験の際には、この試験槽温度センサ25の検知温度と、後述する設定手段14によって入力された設定温度Msに基づいて各機器が制御される。
ここで高温側所定温度Nuは、高温さらし試験に備えて準備しておくべき高温槽2内の環境温度であり、前記した高温側設定温度Msuよりも高い温度である。即ち高温側所定温度Nuは高温側設定温度Msuより摂氏15〜30度程度高い温度である。本実施形態では、高温側所定温度Nuは高温側設定温度Msuより摂氏20度高い温度に設定されている。
そのため高温槽2は、後述する様に低温さらし試験の最中に予熱制御が行われ、予熱運転がなされる。予熱運転の際には、高温槽側温度センサ26の検知温度が、高温側設定温度Msuより摂氏20度高温の雰囲気温度(高温側所定温度Nu)となるように各機器が制御される。
なお本実施形態では、試験槽5や高温槽2の雰囲気温度を摂氏60度〜摂氏200度程度の温度範囲で任意に設定することができる。
ここで低温側所定温度Ndは、低温さらし試験に備えて準備しておくべき低温槽3内の環境温度であり、前記した低温側設定温度Msdよりさらに低い温度である。即ち低温側所定温度Ndは、低温側設定温度Msdよりも、摂氏10〜30度程度低い温度である。本実施形態では、低温側所定温度Ndは低温側設定温度Msdより摂氏20度低い温度に設定されている。
低温槽3は、後述する様に高温さらし試験の最中に予冷制御が行われ、予冷運転がなされる。予冷運転がなされる際には、低温槽側温度センサ27の検知温度が、低温側設定温度Msdより摂氏20度低温の雰囲気温度(低温側所定温度Nd)となるように各機器が制御される。
本実施形態では、冷凍機34により、試験槽5や低温槽3の雰囲気温度を摂氏0度〜摂氏マイナス65度程度の温度範囲で任意に設定することができる。
制御手段12は、設定手段14によって冷熱衝撃試験の試験条件に関するデータ(試験条件データ)を入力可能であると共に、試験状況や試験結果に関するデータ(試験データ)を出力手段15に出力して表示可能な構成とされている。なお、出力手段15には、例えば、液晶等を用いた表示装置や、プロッタ、プリンタ等のような出力装置、デジタルデータをフラッシュメモリ等のメモリ類やフレキシブルディスクのような磁気ディスク、MOディスク(Magneto Optical Disk)のような光磁気ディスク、CD−R(Compact Disc−Recordable)のような光ディスクに出力したり、書き込むことが可能な機器類を採用できる。
入力部35には、高温槽2と低温槽3と試験槽5に設置された温度センサ25〜27の検知温度に関するデータが入力される。
計時部37、記憶部38及び演算部39は、それぞれ制御部36によって制御されている。
演算部39は、計時部37で計時された経過時間等に基づいて、予冷制御や予熱制御における予想動作時間ta,tbを予測演算したり、その予想動作時間ta,tbと、試験条件データとして入力された設定時間tsに基づいて、予冷制御や予熱制御における休止時間twを演算する部分である。なお、設定時間tsには、低温さらし試験の制御時間(冷却試験時間)tdと、高温さらし試験の制御時間(加熱試験時間)tuがある。
予冷運転における予想動作時間taの演算は、予冷運転の際に収集した低温槽3の温度変化に関する情報に基づいて演算する。
一方、予熱運転における予想動作時間tbの演算は、予熱運転の際に収集した高温槽2の温度変化に関する情報に基づいて演算する。
先に予冷運転における予想動作時間taの演算に関し収集する、温度変化に関する情報について説明する。
冷凍機34の出力は、フル状態か停止状態かのいずれかあるいはフル状態に近い出力範囲でのみ変化させることができる場合が多く、中間状態の出力や、低い出力を目標値の偏差に比例して正確に出力することは実質的に困難である。また冷凍機34を制御しても、冷却器8の表面温度の追従は遅い。そのため冷凍機34を比例制御した場合における温度曲線は、図4の様に、目標温度を中心として上下に波うつ。
そこで本実施形態では、温度微調整用ヒータ11を使用しない期間、あるいは使用頻度が低い温度領域と、温度微調整用ヒータ11を使用する期間、あるいは使用頻度が高い温度領域とを区別して温度変化とそれに要する時間を計測し、この温度変化に関する情報を収集する。
本実施形態では、予冷運転の際の目標温度(低温側所定温度Nd)に対して摂氏15度以上高い領域を「放置領域」とし、摂氏10度を超えて15度未満高い領域を「第1温度領域」とする。また低温側所定温度Ndから摂氏10度以内の領域を「第2温度領域」とする。
なお温度領域の設定は任意であり、第1温度領域の上限側は、低温側所定温度Ndから摂氏5度〜30度程度の範囲で選定することができる。また第1温度領域の下限側は、低温側所定温度Ndから摂氏3度〜20度程度の範囲で選定することができる。
ただし第1温度領域の上限側(「放置領域」との境界温度、本実施形態では低温側所定温度Ndより摂氏15度高い温度)は、予冷運転を休止した際に低温槽3の温度がこの温度を超えて上昇するものであることが必要である。
即ち、「第2温度領域」においては、より短い温度間隔に区切って通過するのに要する時間を計測する。本実施形態では、「第2温度領域」においては、摂氏1度、変化するのに要する時間を計測する。
そして、経過時間pと経過時間qにより予測動作時間taを演算することとした。
収集された情報に基づいて平衡状態に至るまでに要する時間(予測動作時間ta,tb)を演算する。
そして、この予測演算された予測動作時間ta,tbに基づいて、休止時間twを演算している。
本実施形態では、休止時間twは、外乱等による動作時間ta,tbの乱れを考慮して余裕時間Uを確保するものであり、設定時間tsから動作時間ta(又はtb)と余裕時間Uを差し引いて算出する。
即ち、tw=ts−ta(又はtb)−Uと表すことができる。
なお、休止時間twには、冷却休止時間twdと加熱休止時間twuがあり、動作時間taには、冷却動作時間tadと加熱動作時間tauがある。
従って正確には次式に基づいて冷却休止時間twdと加熱休止時間twuが演算される。
twu=ts−ta−U
twd=ts−tb−U
なお、この演算式により演算された冷却休止時間twd又は加熱休止時間twuが、ゼロ又はマイナスの場合は、休止時間をゼロとして予冷制御又は予熱制御する。
温度制御手段13は、出力部40から送られてきたデータに基づき、高温槽2における加熱用ヒータ6及び高温槽側送風機7と、低温槽3における冷却器8、温度微調整用ヒータ11及び低温槽側送風機10等の動作を制御する。
冷熱衝撃試験装置1は、設定手段14によって入力された所定時間毎に、高温さらし試験と低温さらし試験とを交互に繰り返す一連の冷熱サイクルによって、試験槽5の温度環境を急激に変化させて試料体Wに熱ストレスを与えて試料体Wの信頼性を試験するものである。そのため、試験槽5においては、例えば、摂氏125度といった高温雰囲気や、摂氏マイナス40度といった低温雰囲気に制御される。
予熱運転の際には、高温槽側温度センサ26の検知温度によって加熱用ヒータ6が制御される。
予冷制御は、低温槽側ダンパ31を閉状態にして実施されるもので、低温槽側温度センサ27の検知温度に基づいて、低温槽3を低温側所定温度Ndまで冷却する。本実施形態では、低温側所定温度Ndは、低温側設定温度Msdより摂氏20度低温とされている。
予熱制御は、高温槽側ダンパ30を閉状態にして実施されるもので、高温槽側温度センサ26の検知温度に基づいて、高温槽2を高温側所定温度Nuまで加熱する。本実施形態では、高温側所定温度Nuは、高温側設定温度Msuより摂氏20度高温とされている。
なお、冷熱衝撃試験における条件の一例を以下に示す。
高温さらし試験時の高温側設定温度Msu:摂氏125度
高温さらし試験の加熱試験時間tu:30分
低温さらし試験時の低温側設定温度Msd:摂氏マイナス40度
低温さらし試験の冷却試験時間td:30分
高温さらし試験と低温さらし試験の冷熱サイクルの回数:3サイクル
高温側所定温度Nu:高温側設定温度Msuに摂氏20度加算した温度
低温側所定温度Nd:低温側設定温度Msdに摂氏マイナス20度を加算した温度
そして、図6のフローチャートによれば、前記した試験条件が入力され設定が確認されると、準備運転が開始され(ステップ1)、図7のタイムチャート示すように、高温槽側ダンパ30及び低温槽側ダンパ31は閉状態に維持され、各槽内の雰囲気温度が調整される。即ち、高温槽2においては、加熱用ヒータ6が作動して槽内雰囲気が加熱され、低温槽3においては、冷凍機34と温度微調整用ヒータ11が作動して槽内雰囲気が冷却される。
図9のフローチャートにしたがうと、まずステップ21で最初の予冷制御かどうかが確認される。即ち、準備運転か否かがステップ21で確認される。そして、このとき、今回の予冷制御が準備運転であると確認されれば、ステップ36に移行してフラグがオンされて、ステップ24に移行する。
本実施形態では、上述したように、低温槽3の温度が低下傾向にある時の、特定の温度領域(第1温度領域と第2温度領域)を監視する。そしてこの情報を記憶し、その際に得られた時間と雰囲気温度との関係により、次回の予冷運転の際における平衡状態に至るまでに要する時間(予測動作時間ta)を演算するが、予冷運転においては、低温側所定温度Nd近傍で温度微調整用ヒータ11が作動し始めるため、図5に示す時間と雰囲気温度の関係のグラフは、それまでの軌跡から若干逸脱した形状に変化している。そのため、本実施形態では、曲線形状が変化するタイミング(第2温度領域の境界温度)から経過時間の補正をして予測動作時間taの予測演算を行っている。
ステップ30で、低温槽3内の雰囲気温度が低温側所定温度Ndとなったことが確認されると、ステップ31に移行してタイマをストップさせる。
そしてステップ5では、高温さらし試験と同じタイミングで、低温槽3側で予冷運転が開始される。
そのため前記した図9、10のフローチャートの工程が再度繰り返される。
即ち、ステップ21で最初の予冷制御かどうかが確認される。今回の冷却動作は、高温さらし試験と並行して実行されているものであるから、ステップ22に進んで冷却動作を一時的に休止する。即ち、図7のタイムチャートに示すように、今回の予冷制御が実施される前に演算された冷却休止時間twdに基づいて、低温槽内の冷却が休止される。
その結果、図7、図8のタイムチャートに示すように、低温槽3の温度が次第に上昇する。そして低温槽3の雰囲気温度は、第1温度領域の上限側(「放置領域」との境界温度 本実施形態では低温側所定温度Ndより摂氏15度高い温度)を超える。
以後は、先に説明した通り、ステップ25〜ステップ29で槽の温度変化に関する情報を収集し、ステップ32で次回の予冷制御で採用される予想冷却動作時間tadを予測演算する。
これらの情報は、自動的に更新される。
なお、予熱制御では、予冷制御のように曲線形状が変化することがないため、高温側所定温度Nuに至るまでの所定の温度領域(本実施形態では高温側所定温度Nu〜高温側所定温度Nu−摂氏15度の温度領域)における経過時間を計時して、加熱動作時間tauを予測演算することとしている。
。タイマがスタートすれば、ステップ47に移行して、前記所定の温度領域における経過時間が計時されて記憶される。そして、ステップ48に移行してタイマをストップさせる。
そして前記と同様に、ステップ4に移行しさらにステップ5に移行して高温さらし試験が再度実施される。
そしてステップ5では、試験槽5で高温さらし試験と、低温槽3側で予冷運転が開始される。
そのため前記した図9、10のフローチャートの工程が再度繰り返される。
今回の予冷運転は、高温さらし試験と並行して実行されているものであるから、ステップ22に進んで冷却制御を一時的に休止する。即ち、図7のタイムチャートに示すように、今回の予冷制御が実施される前に演算された冷却休止時間twdに基づいて、低温槽内の冷却が休止される。
その結果、図7、図8のタイムチャートに示すように、低温槽3の温度が次第に上昇する。ここで今回の予冷運転は、低温さらし試験が実施された後で行われるものであるから、図7、図8のタイムチャートに示すように、予冷運転を開始する際における低温槽3の温度は高い。そのため低温槽3の雰囲気温度は、第1温度領域の上限側(「放置領域」との境界温度、本実施形態では低温側所定温度Ndより摂氏15度高い温度)を当然に超えている。
以後は、先に説明した通り、ステップ25〜ステップ29で槽の温度変化に関する情報を収集し、ステップ32で次回の予冷制御で採用される予想冷却動作時間tadを予測演算する。
なお、本実施形態では、冷熱サイクルを3回に設定しているため、同様の動作をさらに2サイクル行った後に運転が停止される。
また、本実施形態では、予熱制御においても、制御の度に予冷制御とほぼ同様の動作を行っているため、冷熱衝撃試験全体を通せば、高い省エネルギーの効果を発揮できる。
また、温度微調整用ヒータ11が作動する前後で経過時間の取り方を変更することなく、一定間隔の温度変化毎に経過時間を計時して記憶するように制御しても構わない。
また、上記実施形態のように、所定温度に至るまでに複数回に渡って経過時間を計時して記憶する制御ではなく、単に基準となる温度に至った瞬間から所定温度に至るまでの経過時間を計時して記憶する制御であっても構わない。
体で準備運転を除いて3サイクルあるとすれば、準備運転と2サイクル目だけ動作時間taや休止時間tw等が演算されて更新される構成であっても構わない。要するに、冷熱サイクル全体を通して、複数のタイミングで更新される構成であれば構わない。
しかしながら、槽の温度変化に関する情報を収集してこの記憶だけを更新し、次回の予冷運転の休止時間中に前回の情報から今回の休止時間を演算してもよい。
即ち図7のタイムチャートでも明らかな様に、1回目のサイクルにおける低温槽3の温度上昇カーブと、2回目のサイクルにおける低温槽3の温度上昇カーブは明らかに異なる。
即ち1回目のサイクルにおいては、未だ一回も低温さらし試験を経ていないから、予冷制御を開始した段階における低温槽3の温度が低い。これに対して2回目のサイクルにおいては、低温さらし試験を終えた直後であるから、予冷制御を開始した段階における低温槽3の温度が高い。
この様に、サイクルによって、予冷制御を開始した段階における低温槽3の温度が異なるので、予冷制御の際に次回の休止時間を決定してしまうと、誤差が生じる懸念がある。
そこで、槽の温度変化に関する情報を収集してこの記憶だけを更新し、次回の予冷運転の休止時間中に前回の情報から今回の休止時間を演算することによって、予冷制御の開始温度が異なることによる弊害を解消することができる。
具体的には、試験時間の残り時間と動作時間を比較して、残り時間の方が動作時間より長ければ、残り時間と動作時間の比較を継続し、残り時間と動作時間が同じになれば、冷却動作や加熱動作を開始する。なお、予測演算の結果、動作時間の方が残り時間より長ければ、動作時間と試験時間の残り時間とを監視をすることなく、冷却動作や加熱動作を即開始する。より詳細には、予冷制御においては、現在の予冷制御における動作時間が、前回の予冷制御又は準備運転から収集された温度変化に関する情報から予測演算され、この演算された動作時間と加熱試験制御に要する試験時間の残り時間とが監視される。そして、動作時間と残り時間とが、同じになった時点、あるいは、動作時間が残り時間より長い場合に冷凍機34を運転する。また、予熱制御においても同様の制御により加熱用ヒータの運転の開始のタイミングを決定することができる。
また、同様の制御として、試験時間の残り時間に限界時間を設け、その限界時間と動作時間とを比較する方法であっても構わない。この制御では、限界時間の方が動作時間より長ければ、限界時間と動作時間の比較を継続し、動作時間が限界時間と同じか、長ければ、冷却動作や加熱動作を開始することができる。
従って、予測演算された動作時間と、試験時間の残り時間あるいは限界時間を比較することで、結果的に実体にあった停止時間を決定することができる。これにより、制御が複雑とならないため、誤動作が発生する懸念がない。
また、高温槽と低温槽に加えて、外気を導入して試料体を常温にさらすことができる常温槽を備えた構成であっても構わない。なお、常温槽には、外部と連通したダンパを設ける必要がある。
また、動作時間の予測演算についても、予冷制御と予熱制御のいずれか一方のみで実行される構成であっても構わない。
2 高温槽
3 低温槽
5 試験槽
6 加熱用ヒータ(ヒータ)
7 高温槽側送風機
8 冷却器
10 低温槽側送風機
11 温度微調整用ヒータ
p 経過時間
q 経過時間
tw 休止時間
twd 冷却休止時間
twu 加熱休止時間
tad 冷却動作時間
tau 加熱動作時間
Claims (7)
- ヒータによって昇温される高温槽と、冷却器によって温度降下される低温槽とを有し、高温槽を活用して試料体を高温の雰囲気温度にさらす高温さらし試験と、低温槽を活用して試料体を低温の雰囲気温度にさらす低温さらし試験とを交互に実施することができる冷熱衝撃試験装置であって、
一方の槽を活用してさらし試験が実施されている間であって他方の槽を活用して次のさらし試験を実施するまでの期間に、前記他方の槽の温度を所定温度に調整する移行準備機能を有し、
高温槽に対する移行準備機能又は低温槽に対する移行準備機能の少なくとも一方は、当該槽を活用してさらし試験を行ってから原則的に休止時間を経過した後に昇温又は温度下降を行うものであり、
少なくとも一方の槽に関しては当該槽が移行準備機能が動作している際に、当該槽の温度変化に関する情報を収集する温度情報収集機能を有し、当該収集された情報に基づいて前記休止時間を直接的又は間接的に決定する休止時間決定機能を備え、前記槽の温度変化に関する情報及び/又は前記休止時間は自動更新されることを特徴とする冷熱衝撃試験装置。 - 高温さらし試験が実施されている間に低温槽内を所定温度に冷却する移行準備機能たる予冷機能を有し、
前記温度情報収集機能は、低温槽内の温度が予冷機能によって下降する際において所定の温度領域を通過するのに要する時間を計測するものであることを特徴とする請求項1に記載の冷熱衝撃試験装置。 - 高温さらし試験が実施されている間に低温槽内を所定温度に冷却する移行準備機能たる予冷機能を有し、
前記温度情報収集機能は、予冷機能によって低温槽内の温度が下降する際における温度下降量と温度下降に要した時間を所定の温度間隔又は時間間隔で計測するものであり、低温槽内の温度が前記所定温度に近づくと前記温度間隔又は前記時間間隔が短くなることを特徴とする請求項1又は2に記載の冷熱衝撃試験装置。 - 移行準備機能が実施される度に、温度情報収集機能を機能させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の冷熱衝撃試験装置。
- 低温槽の温度を微調整する温度微調整用ヒータを備えていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の冷熱衝撃試験装置。
- 低温さらし試験が実施されている間に高温槽内を所定温度に加熱する移行準備機能たる予熱機能を有し、
前記温度情報収集機能は、高温槽内の温度が予熱機能によって上昇する際において所定の温度領域を通過するのに要する時間を計測するものであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の冷熱衝撃試験装置。 - 低温槽と高温槽には、それぞれ送風機が備えられており、移行準備機能における休止時間中は、送風機の動作が停止されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の冷熱衝撃試験装置。
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