JP5203903B2 - レーザ干渉計 - Google Patents
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Description
特許文献1に記載されるようなレーザ干渉計では、干渉光における干渉縞の波数と、レーザ光の中心波長とに基づいて、測定面の変位を検出するので、レーザ光の中心波長の安定度が高いレーザ光源が必要となる。
特許文献2に記載のヨウ素安定化レーザでは、変調信号にてレーザ光を変調することでヨウ素の飽和吸収線を検出してレーザ光の中心波長を安定化して射出している。
これに対して、レーザ光源の変調信号と同期することでレーザ光の波長が中心波長となるときに干渉縞の波数を取得し、測定誤差を低減する方法が考えられる。このような方法によれば、被測定物が静止している場合には、適切に被測定物の変位を測定することができる。
例えば、変調信号の周波数を3kHzとすれば、レーザ光の波長が中心波長となる周期は約0.3msとなる。そして、被測定物が1mm/sで移動しているとすれば、被測定物の移動による最大測定誤差は約0.3μmとなる。
なお、レーザ光源から射出されるレーザ光には変調信号が重畳されているので、レーザ光の波長は、変調信号の位相、または電圧に基づいて取得することができる。
本発明のレーザ干渉計では、変位検出手段は、干渉縞の波数と、干渉縞の波数を取得したときのレーザ光の波長とに基づいて、測定面の変位を算出しているので、測定面の変位のゼロ点を設定したときのレーザ光の波長と、被測定物の変位を測定するときのレーザ光の波長とが異なっていると、測定誤差が生じる場合がある。
このような構成によれば、前述したレーザ干渉計と同様の作用効果を奏することができる。
このような構成によれば、前述したレーザ干渉計と同様の作用効果を奏することができる。
本発明によれば、変位算出手段は、空気屈折率取得手段にて取得される空気屈折率に基づいて、レーザ光の波長を補正するので、更に適切に測定面の変位を検出することができる。したがって、被測定物が移動をする場合であっても更に適切に被測定物の変位を測定することができる。
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
〔レーザ干渉計の概略構成〕
図1は、本発明の第1実施形態に係るレーザ干渉計1を示す模式図である。
レーザ干渉計1は、図1に示すように、レーザ光を射出するレーザ光源2と、レーザ光源2の光路後段に配設されるビームスプリッタ3と、ビームスプリッタ3を介したレーザ光を反射する参照鏡4、及び測定鏡5と、参照鏡4、及び測定鏡5にて反射され、ビームスプリッタ3を介した光に基づいて、測定鏡5の変位を検出する変位検出装置6とを備え、測定鏡5の変位を検出することで被測定物の変位を測定するものである。なお、図1では、レーザ光源2から射出されるレーザ光の光軸を一点鎖線で示している。
レーザ光源2は、所定の周波数を有する変調信号にてレーザ光を変調することでレーザ光の中心波長を安定化して射出するヨウ素安定化レーザで構成されている。
レーザ光源2は、図2に示すように、変調信号の電圧Vに応じた波長λでレーザ光を射出する。
レーザ光源2から射出されるレーザ光は、図3に示すように、変調信号が重畳されて射出される。具体的に、レーザ光は、中心波長λcを中心として、変調信号の周期と同じ周期で最大波長λmaxから最小波長λminまで僅かに変動する(波長振幅をλp−pとする)。なお、中心波長λc、及び波長振幅λp−pは、レーザ光源2の仕様によって定まる値である。
参照鏡4は、ビームスプリッタ3から距離X1だけ離間した位置に設けられ、レーザ光を反射する参照面4Aを有している。
測定鏡5は、被測定物(図示略)に取り付けられ、レーザ光を反射する測定面5Aを有している。
干渉縞取得手段61は、参照鏡4、及び測定鏡5にて反射される光の干渉光における干渉縞の波数を取得する。
波長取得手段62は、レーザ光源2における変調信号の位相に基づいて、レーザ光の波長を取得する。
波長取得手段62は、図4に示すように、カウンタ621と、レジスタ622とを備える。
カウンタ621は、入力されるクロックのパルスをカウントすることにより計数するものであり、計数されたカウント値は、レジスタ622に出力される。また、カウンタ621は、レーザ光源2における変調信号の立ち上がりでカウント値をリセットするように構成されている。
レジスタ622は、入力されるトリガ信号の立ち上がりでカウント値をラッチして出力するものである。すなわち、レジスタ622は、変調信号の立ち上がりからトリガ信号の立ち上がりまでのカウント値を出力する。なお、レジスタ622から出力されるカウント値は記憶手段66に記憶される。
波長取得手段62は、トリガ信号の立ち上がり時における変調信号の位相θを、図5に示すように、変調信号の周期に相当するカウント値Tと、変調信号の立ち上がりからトリガ信号の立ち上がりまでのカウント値Sとに基づいて、以下の式(1)により算出する。
例えば、測定鏡5の変位のゼロ点をZ1に設定した場合には、デッドパスDは、ビームスプリッタ3からゼロ点Z1までの距離と、ビームスプリッタ3から参照鏡4までの距離X1と等距離である距離X2との差となる。そして、レーザ干渉計1は、設定されたゼロ点Z1からの測定鏡5の変位Lを検出することで被測定物の変位を測定する。
補正情報取得手段63は、この測定誤差ΔLを補正するための補正情報を取得するものであり、デッドパス取得部631と、ゼロ点波長取得部632とを備える。
ゼロ点波長取得部632は、測定鏡5の変位のゼロ点を設定したときのレーザ光の波長を波長取得手段62に取得させる。
なお、デッドパス取得部631、及びゼロ点波長取得部632にて取得される補正情報は、記憶手段66に記憶される。
また、干渉縞取得手段61にて取得される干渉縞の波数をQとすると、測定鏡5の変位Lは、以下の式(3)によって算出することができる。
すなわち、変位算出手段65は、干渉縞の波数Qと、レーザ光の波長λmとに基づいて、測定鏡5の変位Lを算出することで測定誤差を低減させるとともに、補正情報D,λ0に基づいて、測定鏡5の変位Lを算出することで測定誤差を低減させる。また、変位算出手段65は、空気屈折率nに基づいて、レーザ光の波長λ0,λmを補正することで測定誤差を低減させる。
そして、レーザ干渉計1は、算出された測定鏡5の変位Lを被測定物の変位として出力する。
ここで、干渉縞の波数Qと、レーザ光の波長λmとに基づいて、測定鏡5の変位Lを算出することで低減させることができる測定誤差E1、及びデッドパスDに含まれる入力誤差によって生じる測定誤差E2の測定鏡5の変位Lに対する影響度について検討する。
測定誤差E1は、デッドパスDを0とすると、±L・λp−p/λcで算出され、約±L・5・10−9となる。すなわち、測定鏡5の変位Lが大きくなると、測定誤差E1も大きくなる。具体的に、測定鏡5の変位Lが1mであったとすれば、測定誤差E1は、約±5mnとなる。
ここで、例えば、測定誤差E2を1nm以下にしたい場合には、D・11・10−9<1nmであるから、D<90.9mmとなる。したがって、測定鏡5の変位Lに対する測定誤差E2の影響度は、測定鏡5の変位Lに対する測定誤差E1の影響度と比較して小さいと考えられる。
次に、レーザ干渉計1の測定方法を説明する。
図6は、レーザ干渉計1の測定方法を示すフローチャートである。
レーザ干渉計1は、被測定物の変位を測定するに際して、図6に示すように、ステップST1〜ST7を実行する。
まず、レーザ干渉計1が起動すると、変位検出装置6は、レーザ干渉計1の使用者からの操作入力によって、レーザ光源2の中心波長λc、波長振幅λp−pを取得する(ST1)。
また、波長取得手段62は、変調信号の周期に相当するカウント値Tを取得する(ST2)。
また、ゼロ点波長取得部632は、ゼロ点を設定したときのレーザ光の波長λ0を波長取得手段62に取得させ、空気屈折率取得手段64は、波長取得手段62にてレーザ光の波長λ0を取得したときの空気屈折率n0を取得する(ST4)。ここで、波長取得手段62は、ゼロ点を設定したときのレーザ光源2における変調信号の位相θ0に基づいて、レーザ光の波長λ0を取得する。具体的に、波長取得手段62は、ゼロ点を設定したときにトリガ信号を立ち上げることでカウント値Sを取得し、取得したカウント値Sを前述した式(1)に代入することで変調信号の位相θ0を算出する。そして、波長取得手段62は、算出した位相θ0を以下の式(4)に代入することでレーザ光の波長λ0を算出する。
また、波長取得手段62は、干渉縞の波数Qを取得したときのレーザ光源2における変調信号の位相θmに基づいて、レーザ光の波長λmを取得し、空気屈折率取得手段64は、波長取得手段62にてレーザ光の波長λmを取得したときの空気屈折率nmを取得する(ST6)。具体的に、波長取得手段62は、干渉縞の波数Qを取得したときにトリガ信号を立ち上げることでカウント値Sを取得し、取得したカウント値Sを前述した式(1)に代入することで変調信号の位相θmを算出する。そして、波長取得手段62は、算出した位相θmを以下の式(5)に代入することでレーザ光の波長λmを算出する。
(1)変位算出手段65は、干渉縞取得手段61にて取得される干渉縞の波数Qと、干渉縞の波数Qを取得したときに波長取得手段62にて取得されたレーザ光の波長λmとに基づいて、測定鏡5の変位Lを算出するので、レーザ干渉計1は、レーザ光の波長が中心波長λcとは異なる波長となるときに干渉縞の波数Qを取得する場合であっても適切に測定鏡5の変位Lを検出することができる。したがって、被測定物が移動をする場合であっても適切に被測定物の変位を測定することができる。
(2)レーザ干渉計1は、デッドパスDに基づく測定誤差ΔLを補正するための補正情報を取得する補正情報取得手段63を備え、変位算出手段65は、補正情報取得手段63にて取得される補正情報に基づいて、測定鏡5の変位Lを算出するので、デッドパスDに基づく測定誤差ΔLを適切に補正することができる。したがって、被測定物が移動をする場合であっても更に適切に被測定物の変位を測定することができる。
(4)波長取得手段62は、カウンタ621と、レジスタ622とを備えて構成されているので、例えば、FPGA(Field Programmable Gate Array)などを用いることで容易にレーザ干渉計1に実装することができる。
以下、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。
図7は、本発明の第2実施形態に係るレーザ干渉計1Aを示す模式図である
なお、以下の説明では、既に説明した部分については、同一符号を付してその説明を省略する。
レーザ干渉計1Aは、図7に示すように、変位検出装置6Aを備え、変位検出装置6Aは、波長取得手段62Aを備える。
具体的に、波長取得手段62Aは、変調信号の電圧Vを取得するためのADコンバータ(図示略)を備え、取得した変調信号の電圧Vを、レーザ光源2から射出されるレーザ光の波長λと、変調信号の電圧Vとの関係(図2参照)から導かれる関係式に代入することでレーザ光の波長λを取得する。
なお、本発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記各実施形態では、レーザ干渉計1,1Aは、補正情報取得手段63を備え、変位算出手段65は、補正情報D,λ0に基づいて、測定鏡5の変位Lを算出することで測定誤差を低減させていた。これに対して、レーザ干渉計は、補正情報取得手段を備えていなくてもよい。
前記第1実施形態では、波長取得手段62は、レーザ光源2における変調信号の位相に基づいて、レーザ光の波長を取得し、前記第2実施形態では、波長取得手段62Aは、レーザ光源2における変調信号の電圧に基づいて、レーザ光の波長を取得していた。これに対して、波長取得手段は、これら以外の方法によってレーザ光の波長を取得するように構成されていてもよい。
前記各実施形態では、デッドパスDは、レーザ干渉計1の使用者からの操作入力によって取得していたが、例えば、レーザ干渉計に測長センサなどを設けることによって、取得するようにしてもよい。
2…レーザ光源
4A…参照面
5A…測定面
61…干渉縞取得手段
62,62A…波長取得手段
63…補正情報取得手段
64…空気屈折率取得手段
65…変位算出手段
631…デッドパス取得部(光路差取得部)
632…ゼロ点波長取得部。
Claims (5)
- レーザ光を射出するレーザ光源と、所定の位置に設けられ、前記レーザ光を反射する参照面と、被測定物に取り付けられ、前記レーザ光を反射する測定面と、前記参照面、及び前記測定面にて反射される光の干渉光に基づいて、前記測定面の変位を検出することで前記被測定物の変位を測定するレーザ干渉計であって、
前記レーザ光源は、所定の周波数を有する変調信号にて前記レーザ光を変調することで前記レーザ光の中心波長を安定化して射出し、
前記干渉光における干渉縞の波数を取得する干渉縞取得手段と、
前記レーザ光の波長を取得する波長取得手段と、
前記干渉縞の波数と、前記干渉縞の波数を取得したときの前記レーザ光の波長とに基づいて、前記測定面の変位を算出する変位算出手段とを備えることを特徴とするレーザ干渉計。 - 請求項1に記載のレーザ干渉計において、
前記測定面の変位のゼロ点を設定したときの前記レーザ光源から前記参照面までの光路と、前記レーザ光源から前記測定面までの光路との光路差に基づく測定誤差を補正するための補正情報を取得する補正情報取得手段を備え、
前記補正情報取得手段は、
前記光路差を取得する光路差取得部と、
前記測定面の変位のゼロ点を設定したときの前記レーザ光の波長を前記波長取得手段に取得させるゼロ点波長取得部とを備え、
前記変位算出手段は、前記干渉縞の波数と、前記干渉縞の波数を取得したときの前記レーザ光の波長と、前記光路差と、前記ゼロ点波長取得部にて取得される前記レーザ光の波長とに基づいて、前記測定面の変位を算出することを特徴とするレーザ干渉計。 - 請求項1または請求項2に記載のレーザ干渉計において、
前記波長取得手段は、前記変調信号の位相に基づいて、前記レーザ光の波長を取得することを特徴とするレーザ干渉計。 - 請求項1または請求項2に記載のレーザ干渉計において、
前記波長取得手段は、前記変調信号の電圧に基づいて、前記レーザ光の波長を取得することを特徴とするレーザ干渉計。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載のレーザ干渉計において、
前記波長取得手段にて前記レーザ光の波長を取得したときの空気屈折率を取得する空気屈折率取得手段を備え、
前記変位算出手段は、前記空気屈折率に基づいて、前記レーザ光の波長を補正することを特徴とするレーザ干渉計。
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