JP5203807B2 - 温室の暖房方法及び装置 - Google Patents

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Description

本発明は、温室内を、ヒートポンプ方式の暖房装置と、燃料燃焼方式の暖房装置により暖房しうるようにした温室の暖房方法及び装置に関する。
野菜や園芸植物等を温室栽培する際において、ビニールハウス等の温室内を暖房する手段としては、バーナーにより加熱された暖気を温室内のダクトに供給するようにしたもの(例えば特許文献1参照)や、ボイラーにより加熱した温水を、温室内に敷設した配管に供給するようにしたもの(例えば特許文献2参照)などがある。
特開平5−76249号公報 特開2004−57150号公報
上記特許文献1及び2に記載されているようなバーナーやボイラーによる温室暖房では、灯油等の消費量が多いため、最近の原油の高騰傾向により、ランニングコストが大であるという問題がある。
また、二酸化炭素の排出量も多いので、環境保全の面からも好ましくない。
これらの問題に対処するためには、バーナーやボイラーの代わりに、ヒートポンプ方式の暖房装置とすることも考えられるが、ヒートポンプ方式の暖房装置は、外気温度が低下するにしたがって暖房効率が悪くなり、例えば外気温度が5℃以下になると、急激に暖房効率が低下するため、寒冷地での使用や容量の大きな温室の暖房には適しない。
本発明は、従来の技術が有する上記のような問題点に鑑み、ヒートポンプ方式と、燃料燃焼方式との二つの暖房装置を併用し、かつ燃料燃焼方式の暖房装置を補助的に使用することにより、ランニングコストと二酸化炭素の排出量を低減し、かつヒートポンプ方式の暖房装置の低温時の暖房効率を高め、温室を効果的に暖房しうるようにした温室の暖房方法及び装置を提供することを目的としている。
本発明によると、上記課題は次のようにして解決される。
(1)温室内を、ヒートポンプ方式の第1暖房装置と燃料燃焼方式の第2暖房装置とにより暖房する方法であって、温室内の温度が第1設定温度以下となったとき、前記第1暖房装置により前記温室を暖房し、外気温度が前記第1設定温度よりも低い第2設定温度以下となったとき、前記第1及び第2暖房装置を作動させて、第2暖房装置の燃焼ガスの少なくとも一部を、第1暖房装置の外気取入れ口に供給し、外気温度が前記第1設定温度よりも低く、かつ前記第2設定温度より高い第3設定温度から、それよりも低い前記第2設定温度までの範囲となったとき、前記第1暖房装置を停止させ、前記第2暖房装置の燃焼ガスを温室に供給する。
このような構成とすると、外気温度が予め定めた温度以下となったとき、第2暖房装置の燃焼ガスの少なくとも一部を、第1暖房装置の外気取入れ口に供給するので、外気温度が低下したときの第1暖房装置の暖房効率が低下するのが防止され、この第1暖房装置により温室が効果的に暖房される。
また、外気温度が予め定めた温度以下となったときにのみ、第2暖房装置を補助的に作動させるので、灯油等の燃料コスト及びランニングコストが低減されるとともに、温暖化の原因となる二酸化炭素の排出量も削減することができる。
(2)温室内を暖房しうるヒートポンプ方式の第1暖房装置と燃料燃焼方式の第2暖房装置とを備え、かつ第1暖房装置と第2暖房装置との間に、前記第2暖房装置の燃焼ガスの少なくとも一部を、第1暖房装置の外気取入れ口に供給する配管を設けるとともに、室温センサと外気温センサとを設け、さらに、前記室温センサが前記温室内の温度が第1設定温度以下となったことを検知することにより、前記第1暖房装置を作動させ、前記外気温センサが前記第1設定温度よりも低い第2設定温度以下となったことを検知することにより、前記第1及び第2暖房装置と前記配管に設けたダンパを作動させて、第2暖房装置の燃焼ガスの少なくとも一部を、第1暖房装置の外気取入れ口に供給しうるように制御するとともに、前記外気温センサが第1設定温度よりも低く、かつ前記第2設定温度より高い第3設定温度から、それよりも低い前記第2設定温度までの範囲を検知したときに、前記第1暖房装置を停止させ、かつ前記ダンパを閉じることにより、前記第2暖房装置の燃焼ガスを温室に供給するように制御する制御装置を備えるものとする。
このような構成とすると、外気温度が予め定めた温度以下となったとき、第1暖房装置と第2暖房装置との間に設けた配管により、第2暖房装置の燃焼ガスの少なくとも一部を、第1暖房装置の外気取入れ口に容易に供給することができるので、外気温度が低下したときの第1暖房装置の暖房効率が低下するのが防止され、この第1暖房装置により温室が効果的に暖房される。
また、ダンパを開閉することにより、予め設定された外気温度に応じて、第2暖房装置の燃焼ガスを第1暖房装置の外気取入れ口に確実に供給したり、遮断したりすることができる。
さらに、室温センサ、外気温センサ、ダンパ、及び制御装置により、予め設定された室温と外気温に応じて、第1及び第2暖房装置を自動的に作動させたり、第2暖房装置の燃焼ガスの少なくとも一部を、第1暖房装置の外気取入れ口に自動的に供給することができ、かつ第2設定温度以下となったときに、第2暖房装置の燃焼ガスも温室に供給しうるので、外気温の低い冬期等において、温室を効果的に暖房することができる。
外気温センサが第1設定温度よりも低い第3設定温度から、第2設定温度までの範囲を検知したとき、第1暖房装置を停止させ、かつダンパを閉じて第2暖房装置に切り換え、これのみにより温室を暖房するので、第1暖房装置を暖房効率の低い状態のまま運転する必要がなく、従って電力消費が低減される。
(3)上記(2)項において、温室内に、培地を覆う内室とその外側の外室とを仕切る遮蔽装置を設け、前記内室を第1及び第2暖房装置により暖房しうるようにするとともに、前記外室に、第2暖房装置の燃焼ガスの一部を供給しうるようにする。
このような構成とすると、遮蔽装置により仕切られた内室は、第1及び第2暖房装置により、また外室は、第2暖房装置の燃焼ガスにより暖められることにより、内室が外気によって直接冷却されることがなくなり、内室の暖房効果をより高めることができる。
本発明によれば、外気温度が予め定めた温度以下となったとき、第2暖房装置の燃焼ガスの少なくとも一部を、第1暖房装置の外気取入れ口に供給するので、外気温度が低下したときの第1暖房装置の暖房効率が低下するのが防止され、この第1暖房装置により温室が効果的に暖房される。
また、外気温度が予め定めた温度以下となったときにのみ、第2暖房装置を補助的に作動させるので、灯油等の燃料コスト及びランニングコストが低減されるとともに、温暖化の原因となる二酸化炭素の排出量も削減することができる。
図1は、本発明の装置の一実施形態を備える温室の概略外観図、図2は、同じく概略縦断正面図である。
温室1は、稜線が前後方向(以下、図1の左下方を前として説明する)を向く切り妻形屋根を有し、かつ建屋の外形を構成すべく枠組みされたサッシ枠と、サッシ枠間に張設された透明ガラス、または透明ビニールシートなどの透光性の部材(いずれも符号は省略)により構成された建屋躯体2と、温室1内を、培地Gを覆う内室Aとその外側の外室Bとに仕切る開閉可能な遮蔽装置3とを備えており、培地Gに形成した複数の畝上に、野菜等の植物を育成し、温室栽培を行うことができるようになっている。また、建屋躯体2の天井部には、天窓4が開閉可能に設けられ、昼間時などの比較的外気温が高い時間帯に、天窓4を開いて、温室1の内部に新鮮な外気を取入れるようにしている。
遮蔽装置3は、温室1内の両側下部に配設した1対の巻取軸5、5に巻き取られた遮蔽カーテン3aを、ガイドローラ6、6により、上方に向けた後、互いに内方に向かう正面視倒立L字状に引き出されるように案内するとともに、各遮蔽カーテン3aの先端に止着したワイヤ7を、各遮蔽カーテン3aが巻かれている巻取軸5の側方において内室A内の側部に配設した巻取軸8により巻き取るようにしてある。
各遮蔽カーテン3aは、遮熱性の透明なビニールシート、キャンバス地、または布等により形成するのが好ましい。
ワイヤ7は、複数のガイドローラ9、10により、遮蔽カーテン3aと同様に、巻取軸8から上方に向かった後、互いに内方に向かう正面視倒立L字状に引き出されるように案内されている。
左右に隣接するワイヤ7巻き取り用の巻取軸8と、遮蔽カーテン3a巻き取り用の巻取軸5とは、無端ベルト11が掛け回されることにより、互いに同期して回動するようにしてある。
したがって、いずれか一方の巻取軸8(または巻取軸5)を、モータ12により、予め定めた一方向に回転させることにより、左右の巻取軸8、8は同期して回転させられ、両ワイヤ7を同期して巻き取り、それによって、遮蔽カーテン3a、3aは、左右の巻取軸5から繰り出されて、図2に示すように、両先端部が温室1内の上部中央において互いに上下に重合また近接する閉止位置まで閉じられる。
このような状態で、内室Aの両側面と上面とは閉塞される。
なお、内室Aの前後の端面は、透光性のビニールシート等により常時閉塞されている。
モータ12を逆転させて、いずれかの巻取軸8を、上記と逆の方向に回転させると、上記と逆の作用で、左右の遮蔽カーテン3a、3aは、両巻取軸5、5に巻き取られ、遮蔽装置3は開かれる(開いた状態は図示略)。
建屋躯体2の前部側の右側面に隣接する地面と、前面に隣接する地面とには、それぞれ、ヒートポンプ式の第1暖房装置13における室外機14と、灯油等を燃料とする燃料燃焼式の第2暖房装置15とが設置されている。第1暖房装置13は、内室Aを、例えば20℃以上の適宜の温度範囲に調節可能な温度調節機能を有しており、また、第2暖房装置15は、火力(または送風量)を、例えば弱・中・強等に複数段階に調節しうる機能を有している。
第1暖房装置13における室内機16は、内室A内の中央上部の図示しない梁等に、温風の吹出口が下方を向くようにして取付けられている。室外機14と室内機16とは、冷媒配管17、17により接続され、冷媒が循環するようになっている。
第2暖房装置15は、本体18と、その一側部に接続した燃料タンク19と、本体18の他側部に連結したバーナ20と、本体18の上部に設けられた初期排気用の煙突21と、煙突21の基部に設けられ、かつ本体18より発生する燃焼ガスを、煙突21側と温室1側とに選択的に切換えて供給する切換え装置22とを備え、切換え装置22に接続された排気ダクト23の中間部には、2基の送風機24、24が取付けられ、両送風機24には、それぞれ、温室1の内室Aと外室Bとに燃焼ガスを供給する暖房用配管25、25が接続されている。両暖房用配管25の中間部には、手動で燃焼ガスの流量を調節しうる調節バルブ26が取付けられている。
外室B側の暖房用配管25の下端部より分岐する配管27の先端におけるラッパ状に拡開する開口端27aは、建屋躯体2の側壁面を貫通して、第1暖房装置13の室外機14の外気取入れ口(図示略)に近接されている。
配管27の中間部には、その流路を開閉したり、燃焼ガスの流量を調節したりするダンパ28が取付けられている。
ダンパ28は、内部の弁体(図示略)を駆動するサーボモータまたは電磁ソレノイド等からなるアクチュエータ29を備え、このアクチュエータ29を、後述するような制御装置32により作動させることにより、内部の弁体を自動的に開閉制御しうるようになっている。
図2に示すように、温室1の外と内室A内とには、それぞれ、外気温度を検知する外気温センサ30と室内温度を検知する室温センサ31が設けられている。
また、温室1内の適所に設置された制御盤(図示略)内には、第1暖房装置13と第2暖房装置15とダンパ28を制御する制御装置32が設けられている。
図3は、第1及び第2暖房装置13、15の制御ブロック図を示すもので、制御装置32には、外気温センサ30と、室温センサ31とが接続され、それらにより検知された信号が入力されるようになっている。また、制御装置32は、第1暖房装置13と、第2暖房装置15と、ダンパ28のアクチュエータ29とに接続されている。
次に、図4及び図5に示すフローチャートを参照しながら、第1及び第2暖房装置13、15の制御例と、それによる温室1の暖房要領について説明する。
図4は、上記制御装置32による第1の制御例を示すフローチャートで、室温センサ31が第1設定温度(例えば20℃)以下となったことを検知(ST1)すると、第1暖房装置13が作動(ST2)し、この第1暖房装置13のみで内室Aが暖房される。
外気温センサ30が第2設定温度(例えば0℃)以下となったことを検知(ST3)すると、ダンパ28が開かれる(ST4)とともに、第2暖房装置15が作動(ST5)し、第2暖房装置15の燃焼ガスが、第1暖房装置13における室外機14の外気取入れ口に供給される。なお、この際、暖房用配管25の調節バルブ26を適宜に開いて、第2暖房装置15の燃焼ガスの一部を、内室Aと外室Bとに導入してもよく、このようにすると、内室Aの暖房効果が高まるとともに、外室Bも暖められるので、内室Aが外気によって直接冷やされるのが防止される。
このように制御すると、内室Aの温度が第1設定温度以上のときには、暖房効率のよいヒートポンプ式の第1暖房装置13のみにより、温室1が暖房されるので、燃料コスト及びランニングコストが低減され、かつ温暖化の原因となる二酸化炭素の排出も抑えることができる。
また、外気温度が第2設定温度以下まで低下したときには、第2暖房装置15が作動し、その燃焼ガスが第1暖房装置13における室外機14の外気取入れ口に供給されるので、冬期に外気温度が低下しても、第1暖房装置13の暖房効率がそれほど低下することはなく、少ない消費電力で温室1を効果的に暖房することができる。しかも、第2暖房装置15を補助的に使用しうるので、燃料消費量の少ない小型のものを用いることができる。
図5は、第2の制御例のフローチャートを示すもので、上記と同様、室温センサ30が第1設定温度(例えば20℃)以下となったことを検知(ST1)すると、第1暖房装置13が作動(ST2)させられ、この第1暖房装置13のみで内室Aが暖房される。
外気温センサ30が、第1設定温度よりも低い第3設定温度(例えば5℃)から、第2設定温度までの範囲を検知(ST3)すると、第1暖房装置13を停止(ST4)させるとともに、ダンパ28を閉じ(ST5)、第2暖房装置15を作動(ST6)させる。なお、暖房用配管25の調節バルブ26が閉じられている際には、この調節バルブ26を、第1暖房装置13が停止した直後に開く。
このように制御すると、第1暖房装置13の暖房効率が低下する低温時に、これが停止して、第2暖房装置15に自動的に切り替わるので、第1暖房装置13を暖房効率の低い状態のまま運転する必要がなく、従って電力消費が低減される。
なお、本発明は、上記の実施形態に制限されるものではない。
上記実施形態では、暖房用配管25の調節バルブ26、26を手動により開閉するようにしているが、それを自動的に開閉する機能を、制御装置32に付加することもできる。
また、制御装置32を省略して、第1、第2暖房装置13、15やダンパ28等を、全て手動で作動させることもできる。
遮蔽装置3は、省略して実施することもある。
本発明の一実施形態を備える温室の外観斜視図である。 同じく、制御系を付加した概略縦断正面図である。 第1及び第2暖房装置の制御ブロック図である。 第1及び第2暖房装置の第1の制御例を示すフローチャートある。 同じく、第2の制御例のフローチャートである。
1 温室
2 建屋躯体
3 遮蔽装置
3a遮蔽カーテン
4 天窓
5 巻取軸
6 ガイドローラ
7 ワイヤ
8 巻取軸
9 ガイドローラ
10ガイドローラ
11無端ベルト
12モータ
13第1暖房装置
14室外機
15第2暖房装置
16室内機
17冷媒配管
18本体
19燃料タンク
20バーナ
21煙突
22切換え装置
23排気ダクト
24送風機
25暖房用配管
26調節バルブ
27配管
27a開口端
28ダンパ
29アクチュエータ
30外気温センサ
31室温センサ
32制御装置
A 内室
B 外室
G 培地

Claims (3)

  1. 温室内を、ヒートポンプ方式の第1暖房装置と燃料燃焼方式の第2暖房装置とにより暖房する方法であって、温室内の温度が第1設定温度以下となったとき、前記第1暖房装置により前記温室を暖房し、外気温度が前記第1設定温度よりも低い第2設定温度以下となったとき、前記第1及び第2暖房装置を作動させて、第2暖房装置の燃焼ガスの少なくとも一部を、第1暖房装置の外気取入れ口に供給し、外気温度が前記第1設定温度よりも低く、かつ前記第2設定温度より高い第3設定温度から、それよりも低い前記第2設定温度までの範囲となったとき、前記第1暖房装置を停止させ、前記第2暖房装置の燃焼ガスを温室に供給することを特徴とする温室の暖房方法。
  2. 温室内を暖房しうるヒートポンプ方式の第1暖房装置と燃料燃焼方式の第2暖房装置とを備え、かつ第1暖房装置と第2暖房装置との間に、前記第2暖房装置の燃焼ガスの少なくとも一部を、第1暖房装置の外気取入れ口に供給する配管を設けるとともに、室温センサと外気温センサとを設け、さらに、前記室温センサが前記温室内の温度が第1設定温度以下となったことを検知することにより、前記第1暖房装置を作動させ、前記外気温センサが前記第1設定温度よりも低い第2設定温度以下となったことを検知することにより、前記第1及び第2暖房装置と前記配管に設けたダンパを作動させて、第2暖房装置の燃焼ガスの少なくとも一部を、第1暖房装置の外気取入れ口に供給しうるように制御するとともに、前記外気温センサが第1設定温度よりも低く、かつ前記第2設定温度より高い第3設定温度から、それよりも低い前記第2設定温度までの範囲を検知したときに、前記第1暖房装置を停止させ、かつ前記ダンパを閉じることにより、前記第2暖房装置の燃焼ガスを温室に供給するように制御する制御装置を備えることを特徴とする温室の暖房装置。
  3. 温室内に、培地を覆う内室とその外側の外室とを仕切る遮蔽装置を設け、前記内室を第1及び第2暖房装置により暖房しうるようにするとともに、前記外室に、第2暖房装置の燃焼ガスの一部を供給しうるようにしてなる請求項2に記載の温室の暖房装置。
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