JP5203760B2 - 冷蔵庫 - Google Patents

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本発明は、野菜などの生鮮農産物を冷凍貯蔵することで長期保存できるようにした冷蔵庫に関する。
従来、野菜などの生鮮農産物を長期に亙って鮮度保持するために冷凍保存するときは、冷凍食品としての製造過程においても、また家庭でのホームフリージングにおいても、あらかじめ75〜80%程度の軽い熱処理で殺菌および水分減のために加熱する、いわゆる湯通し(ブランチング)などの前処理をおこなった後に凍結させることが多かった。これは、以下2点の理由によるものである。
(1)農産物は、植物体であることから、その細胞は強靱な細胞壁を有するため、野菜の鮮度が高くみずみずしい場合など細胞内の水分が充分存在する状態で凍結させると、氷結晶成長や凍結膨張により細胞がはじけて組織ダメージを生じるとともに、ドリップとして栄養成分や呈味成分が失われ、食感も悪化することから、ブランチングなどにより、あらかじめ組織を一部破壊して細胞内の水分を減らすとともに、加熱処理で細胞壁を柔らかくし、凍結による組織ダメージを総合的に低減する。
(2)農産物は、生体であり各種酵素が含まれる。これら酵素の一部は凍結温度下でも活性を有し、クロロフィルやカロチノイド、アントシアニン、フェノール類などの酸化変色(褐変)や、ビタミンCの酸化、酵素作用によりアルデヒト、アルコール、ヘキサナールなどの悪臭成分を生成するなど、冷凍貯蔵中における変質劣化を促進するものであるが、酵素はタンパク質で構成されており、熱処理などで変成失活させることができるので、ブランチングなどであらかじめ酵素を熱失活させ、冷凍貯蔵中の酵素による劣化反応を阻止する。
しかしながら、ブランチング処理は、その有効性から商業ベースにおける冷凍農産物の製造工程としては普及しているが、一般家庭では、生鮮肉や飯のホームフリージングより実施頻度が低く敬遠される傾向にある。
これは、冷凍する農産物をブランチングした後、室内温度まで冷ますという水分を除くための工程の手間が嫌われたり、冷凍農産物はフローズンフルーツなど凍結状態のまま食する場合を除き、ゆで、炒め、煮熟など100℃前後まで温度上昇させて解凍し調理をおこなうのが一般的であり、ブランチングと合わせて2度加熱となるため、農産物の栄養成分や味、香りなどが損なわれやすい。すなわち、手間をかけて冷凍しても美味しく食することができないという不満足な点に起因すると考えられる。
本発明は、上記の問題に着目してなされたものであり、野菜などの生鮮農産物をブランチング処理をおこなわずに冷凍室内で冷凍しても、ブランチング処理して冷凍した農産物と同等、若しくはそれ以上の冷凍品質が維持できるようにした冷蔵庫を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明による冷蔵庫は、冷凍用冷却器と、この冷凍用冷却器で生成された冷気を導入して所定温度に冷却保持される冷凍室と、この冷凍室へ冷気を送風するファンと、前記冷凍室温度を制御する温度制御装置とからなり、前記冷凍室に生鮮農産物を収納した場合は、冷凍室内の最大氷結晶生成帯の温度領域の冷却速度を緩やかにして生鮮農産物を凍結させるとともにその後冷却速度が緩やかにした冷却速度より速くなるように運転して所定温度まで低温化して冷凍貯蔵させるようにしたことを特徴とするものである。
本発明の構成によれば、冷凍室に収納した生鮮農産物を、煩雑な手間を要することなく冷凍貯蔵することで長期保存を可能にするだけでなく、組織破壊を抑制して栄養成分や味、香りなどを損なわないように保持して美味しく食することができる。
以下、本発明の1実施形態につき図面を参照して説明する。図1に正面図、図2に縦断面図を示す冷蔵庫本体(1)は、外箱(2)と内箱(3)との間に発泡断熱材(4)を充填して断熱箱体を形成し、貯蔵室内部を断熱区画壁(5)によって上部の冷蔵室(6)と下部の冷凍空間(7)とに区画し、冷蔵室(6)の前面開口部は観音開き式の扉によって閉塞するとともに、その内部の上部は複数段の載置棚を設けた冷蔵貯蔵室(8)とし、その下方を透明樹脂製の棚兼用の仕切板(9)で仕切ることで独立空間を形成し、その内部に引き出し式の野菜容器(11)を配置することで野菜室(10)とし、さらに冷蔵室(6)内の最下部には、同様に野菜室(10)の底面を形成する仕切板(12)を介して室内を0〜−3℃程度に冷却する低温室(13)を区画配設している。
冷凍空間(7)については、前記断熱区画壁(5)の直下に比較的小容積の自動製氷装置を備えた製氷室(14)と生鮮農産物を冷凍保存するように設けられた補助冷凍室(15)とを各前面開口部に設けた扉とともに引き出し式で併置するとともに、その下部は前記同様に引き出し式とした主たる冷凍室(16)として、上下2段の引き出し式容器(17a)(17b)を配置している。
前記冷蔵室(6)および冷凍空間(7)のそれぞれの背面部には、冷蔵用および冷凍用冷却器(18)(19)および各冷却器に対応するファン(20)(21)をそれぞれ配設し、各冷却器(18)(19)で生成された冷気をファン(20)(21)によりダクトを介してそれぞれの貯蔵室内に導入しこれを冷却するようにしている。
前記冷蔵および冷凍冷却器(18)(19)は、図3に示す冷凍サイクル(22)の一環として構成されており、冷蔵庫本体(1)の下部に設けた圧縮機(23)の吐出側から凝縮器(24)、冷媒流路を切り替える三方弁(25)を順に接続し、三方弁(25)の一方側には冷蔵側毛細管(26)、前記冷蔵用冷却器(18)が直列となるように接続している。三方弁(25)の他方側には、冷凍側毛細管(27)、冷凍用冷却器(19)を直列に接続して、冷凍用冷却器(19)の出口側と圧縮機(23)の吸込側とを接続するようにしている。また、冷蔵用冷却器(18)の出口側は、冷凍側毛細管(27)の出口側と冷凍用冷却器(19)の入口側との間に接続させている。
三方弁(25)は、制御装置の信号によって冷媒の流れ方向を切り替え、冷蔵用冷却器(18)側あるいは冷凍用冷却器(19)側に交互に冷媒を流して冷却するよう制御されており、冷蔵運転の場合は、三方弁(25)により冷媒を冷蔵用冷却器(18)側に流すようにすると、冷凍サイクルを流れる冷媒は、主に冷蔵用冷却器(18)内で蒸発し、熱交換により低温化された冷気をファン(20)で冷蔵室(6)内に吐出することによって、冷蔵貯蔵室(8)と野菜室(10)を適温に冷却する。また、冷蔵室(6)からの循環冷気と冷蔵用冷却器(22)から冷気の一部を低温室(13)内に直接導入してこれを上部の冷蔵室(6)内より低温に冷却するものである。
また、冷凍運転になると、冷媒は冷凍用冷却器(19)に直接導入されて低い蒸発温度で蒸発し、熱交換により低温となった冷気をファン(21)で冷凍空間(7)である前記冷凍室(16)や補助冷凍室(15)および製氷室(14)などに導入し、強制循環させることによって各室を所定の冷凍温度に冷却するように制御する。
制御装置は、冷蔵室(6)内の温度と、主に冷凍室(16)の温度とを比較して圧縮機(23)、各ファン(20)(21)の運転を行う。また、冷蔵運転と冷凍運転との切り替えは、冷却中の各室内温度が所定温度、例えば、冷蔵室(6)温度を検知するセンサー温度が0℃以下に達したり、冷凍室(16)の温度センサーが−20℃以下を検知した場合、あるいは、冷却運転時間が所定時間、例えば冷蔵運転が15分〜20分、冷凍運転が30分〜40分が経過すると三方弁(25)を動作させて他方の冷却運転に切り替える。
しかして、前記補助冷凍室(15)は、前記冷凍用冷却器(19)からの冷気を直接室内に導入して冷却されるものであり、その冷気の吹出口(28)の近傍には、補助冷凍室(15)の温度制御装置であって室内への冷気量を調節する冷気ダンパー(29)を設けており、貯蔵物である生鮮農産物を冷凍保存する場合には、冷蔵室(6)の扉前面などの操作パネル部に設けられ任意に操作される図示しないスタートボタンの押圧によって前記冷気ダンパー(29)を回動させ、吹出口(28)を閉塞して補助冷凍室(15)への冷気の吹き出しを遮断するものである。
スタートボタンが押されて吹出口(28)が閉塞されると、補助冷凍室(15)内は、周囲の冷凍空間からの熱漏洩のみによる冷却となるため、凍結速度と室内温度低下との関係を従来と比較したグラフである図4に示すように、温度降下時間が遅くなり、投入された生鮮農作物はスタートボタンの押圧後約60分で凍結点に達し、その後凍結完了までは凍結点温度を推移する。そして、凍結が完了すると温度が低下し最大氷結晶生成帯を通過するが、この間も緩やかに温度低下し、凍結点に達してから180分(3時間)程度で前記冷却運転を終了することになる。
前記補助冷凍室(15)の熱漏洩による温度低下については周囲の断熱材や断熱壁厚なども考慮する必要があり、このスタートボタンの押圧から約240分(4時間)をかけての温度低下によって、生鮮農作物は緩やかに凍結状態に冷却される(以下、「緩やか凍結」という。)が、冷凍対象の農産物の負荷量が多い場合や熱漏洩量のみでは、農作物が凍結状態に至らない可能性があるため、そのような場合には、例えば、補助冷凍室(15)のリターン空気温度を検知することで検知温度が所定温度以上であれば冷気ダンパー(29)を開いて冷気量を増大し、逆に所定温度以下であれば閉じるように制御することで緩やか凍結に対応する温度に冷却するように制御する。
また、冷気ダンパー(29)の回動をステッピングモーターによりおこなうとともに生鮮農作物の種類に対応する設定温度に応じて回動させるようにし、吹出口(28)の開度を変えることで室内への冷気量を可変したり、ファン(21)による送風を一時停止するなどして冷却力を調整し、凍結速度を遅くするようにしてもよい。
このような緩やかな冷却による冷凍運転制御を、スタートボタン押圧した後の所定時間、例えば、240分間おこなった後は、ダンパー(29)を開放して冷凍運転に戻すとともに、より低温度下での冷凍貯蔵をおこなう。
上記のように、緩やか凍結運転によって凍結させた生鮮農産物を、ブドウとリンゴを例として急速凍結させたものと比較した。
一般に、最大氷結晶生成帯(0〜−5℃)を長時間をかけて通過すれば、氷結晶が大きくなって細胞組織が破壊され、解凍時に、旨味、栄養分がドリップとなって流出する不具合があり、30分以内で通過すれば、細胞中の水分が大きな結晶とならず食品の組織を破壊しない。とされているが、上記の実験による結果、急速凍結させたブドウは、凍結膨張による組織破壊が大きく、果肉部が大きく裂ける、いわゆる身割れを生じた。また、急速凍結させたリンゴを、解凍後押し潰して搾汁した場合は、潰しやすく搾汁量も多かった。これに対して、緩やか凍結によるブドウは、身割れがなく、またリンゴはほとんど搾汁できなかった。
これらのことから、魚肉類の場合と相違して、生鮮野菜などの農産物に対する急速凍結処理は、細胞組織へのダメージが大きいことから凍結処理としては不適切であり、緩やか凍結の方が優れていると判断できる。
また、冷却補助冷凍室(15)への冷気導入を、前記ステッピングモーターにより冷気ダンパー(29)を制御する構成とし、室内温度を冷凍温度やチルド温度、冷蔵温度やワイン冷却に適した温度など、任意の温度に設定できる温度切替室にした構成として、生鮮農産物を貯蔵させる場合には、室内の温度設定を通常の冷凍温度である−17〜−18℃より高い−12℃程度に設定し、これを所定時間、例えば、240分間に亙って継続させるようにしてもよい。
この構成によれば、通常の冷凍温度より高い温度で補助冷凍室(15)内を冷却することから、収納貯蔵品の凍結までの時間は必然的に長くなり、より確実に緩やかな冷凍制御が実現できる。
前記それぞれの緩やか凍結に関し、さらに、他の冷却形態として、スタートボタンを押した場合は、所定の時間、例えば、30分間は冷気ダンパー(29)を開いた状態で通常の冷凍冷却をおこない、しかる後に冷気ダンパー(29)を閉じて補助冷凍室(15)内への冷気供給を制限したり、設定冷却温度を高くして、凍結速度の遅い緩やか凍結運転をおこなうようにしてもよい。
これは、被冷凍物が凍結点に達するまでは、むしろ衛生面や凍結時間短縮の意味からも冷却時間は短い方が好ましいためであり、そして、緩やかな冷却による凍結運転が終了した際には、低温下での冷凍運転に移行する。
そして、前述による緩やか凍結制御により、生鮮農産物の凍結が終了した場合には、冷凍運転に移行させるものであり、前記冷凍サイクル(22)の前記三方弁(25)、あるいは冷凍用毛細管(27)の絞り制御によって、補助冷凍室(15)の室内温度を通常の冷凍冷却温度より低い−23℃まで低下させ、この低温度の運転条件で生鮮農産物を冷凍貯蔵するものである。
このように、緩やか凍結後の冷凍貯蔵を、より低温の冷凍温度でおこなうことによって、貯蔵中の酵素反応による生鮮農産物の成分劣化や氷結晶の成長による細胞組織の破壊を抑制でき、生鮮食品としての良好な品質を保持することができる。
なお、この緩やか凍結運転後の低温下での冷凍運転は、冷媒として、沸点が−42℃と低いプロパンなどを使用することで、さらに低温度の−30℃以下での深温冷凍運転をおこなうようにしてもよく、より以上の低温での冷凍保存により、鮮度を保持した状態で長期保存が可能となる。
前記各実施例におけるブランチングなしで240〜300分間(4〜5時間)かけて緩やか凍結し、凍結後に−18℃と−30℃で冷凍冷却したものと、ブランチングをおこなった後前記と同じ温度で急速冷凍したものとをそれぞれ4週間貯蔵した後にゆでて解凍し、外観と味を比較確認した。実験に使用した生鮮農産物は、ブロッコリー、サヤインゲン、キャベツ、ダイコン、ジャガイモ、ゴボウ、サツマイモ、アスパラガス、カボチャ、ニンジン、ホウレンソウであり、それぞれ90グラムをジップロック包装したものである。
その結果は、図5のとおりであり、ブランチングをおこなった後に−30℃の低温で冷凍貯蔵したものが最も良好な状態を保持したが、ブランチングなしで緩やか凍結後に−18℃で冷凍したものは、カボチャとアスパラガス以外は変色が生じ味も劣化して食するには不適当であった。
そして、ブランチングなしで緩やか凍結後に−30℃で冷凍したものは、ブランチングをおこなった後急速凍結し、その後−18℃で保存したものと比較して、ホウレンソウを除き、同等、あるいはそれ以上の外観、味を保持する品質であった。
中でも、ダイコンやジャガイモ、ニンジンについては、ブランチングなしで240分かけて緩やか凍結し、その後は−30℃で冷凍保存した上記実施例によるものの方が、従来のブランチング後に急速凍結して−18℃や−30℃で保存したものより良好であり、解凍後のドリップ流出量も従来の急速冷凍によるものに比較して半減した。特に、ダイコン、ジャガイモは、ブランチング後−30℃で冷凍させたものより、食感においても生鮮品に近い優れた評価を得た。
なお、前記緩やか凍結時間については、240〜300分間(4〜5時間)が適当であり、420分(7時間)以上などあまりに長時間に亙ると被冷凍品の組織変化が大きくなり不適当である。
上記に関し、ダイコンの場合は、ブランチングにより組織中の空隙が埋まってしまったり、ジャガイモは、デンプンが加熱されて糊化することが、冷凍耐性に悪影響を及ぼすものと思われ、したがって、ダイコンやジャガイモについては、ブランチングなしで緩やか凍結をおこない、その後低温での冷凍貯蔵することが優れた冷凍方法となる。
美味しさ保持期間は、貯蔵温度が低いほど長くなるものであり、出願人の実験によれば、−18℃では7〜10日間、−23℃では2〜3週間であるが、緩やか凍結後に−30℃の雰囲気中で冷凍保存した場合は、4〜6週間に亙って美味しさを保持することができ、−40℃で冷凍保存した場合には、さらに長期間の品質保持が可能であった。
また、ブランチングなしで凍結速度を変えた場合の解凍時のドリップ量の変化を生のカットダイコンについて調査した。その結果は、図6に示すとおりであり、凍結所要時間が、約80〜170分近傍でのドリップ量が最も多く、80分以下の急速冷凍か、あるいは凍結に170分以上かける緩やか凍結によれば、ドリップ流出による損失を抑制できることがわかる。
このことから、高性能の冷凍装置を要したり凍結時のエネルギー消費が大きい急速冷凍よりも緩やか凍結の方がコスト的に優れていると言える。ただし、緩やか凍結であっても、例えば、図中最長時間の570分の場合は、ドリップ量は少なくなるが、ダイコンの組織が硬化して食感が大きく悪化する弊害を生じるため、長過ぎる凍結時間は食味面で不適当である。
上記については、カットダイコンの他、生のカットしたジャガイモやニンジンについても、180分前後の緩やか凍結時間でドリップ損失が少なくなるという同様の実験結果が得られており、このことから、生鮮農産物についてのドリップの抑制と食感の保持との双方を考慮した凍結時間としては、180〜300分間(3〜5時間)の緩やか凍結時間が適当と判断できる。
さらに、生鮮農産物をブランチングなしで生のまま緩やか凍結したものと、従来のブランチング後に急速冷凍したものにつき、種々の冷凍温度で5週間貯蔵し、後にゆでて解凍したものの還元型ビタミンCの量をブロッコリ、ダイコン、ジャガイモ、キャベツなどについて測定した。
結果として、いずれの野菜も冷凍貯蔵温度が−30℃や−40℃の低温であるほど、ビタミンCの保持度合は高く、且つブランチングなしで生のまま緩やか凍結したものの方がビタミンC保持度合が高い傾向であった。
次いで、本発明、すなわち、ブランチングなしの生のままで緩やか凍結した後、−30℃で6週間冷凍保存し、ゆで解凍をおこなった生鮮農産物の食味評価結果を、図5と同様の評価で◎○△×印を附した図7に示す。評価した36種類の農産物の中、×評価は、灰汁が強い野菜(コマツナ、サトイモ、ナガイモ、ナス、ホウレンソウ)と細胞が大きく水分含有量の多い野菜(タマネギ、ハクサイ)がほとんどであり、これらの特性を有する農産物を避けることで、本発明の冷蔵庫は、有効に生鮮農産物の冷凍保存をおこなうことができるものである。
以上説明したように、上記本発明の実施例によれば、冷凍する農産物をブランチングした後に室内温度まで冷ますという煩雑な手間をなくすことができるとともに、ブランチングをおこなわずとも、緩やか凍結により、組織ダメージを抑制して加熱調理時以外にブランチングで加熱する2度加熱による栄養成分や味、香りを損なう不具合をなくすことができ、その後の低温冷凍により、冷凍貯蔵中の成分劣化を抑制し、従来のブランチングをおこなった後に急速冷凍するのと同等、若しくはそれ以上の外観、味を含めた鮮度品質を保持して生鮮農産物の長期に亙る冷凍貯蔵を可能にし美味しく食することができる。
前記緩やか凍結時の冷却速度や時間は、農産物の種類に応じて変化させる方がよいことから、任意に設定できるようにするとよく、また、冷凍貯蔵物である生鮮農産物が補助冷凍室(15)に収納された場合に、この収納動作を検知して、自動的に前記冷気ダンパー(29)を回動して吹出口(28)を閉塞したり、その開口の開度を変化させるようにしてもよい。
本発明の1実施形態を示す冷蔵庫の正面図である。 図1の縦断面図である。 図1の冷蔵庫の冷凍サイクルを示す概略図である。 緩やか凍結と従来の凍結速度との比較グラフである。 本発明による冷凍貯蔵後の生鮮農作物と従来方式との品質比較データである。 本発明の凍結速度を変えた場合の解凍時のドリップ量の変化グラフである。 本発明による緩やか凍結後冷凍保存し解凍した生鮮農産物の食味評価である。
符号の説明
1 冷蔵庫本体 5 断熱区画壁 6 冷蔵室
7 冷凍空間 8 冷蔵貯蔵室 10 野菜室
13 低温室 14 製氷室 15 補助冷凍室
16 冷凍室 18 冷蔵用冷却器 19 冷凍用冷却器
20 冷蔵用ファン 21 冷凍用ファン 22 冷凍サイクル
25 三方弁 28 吹出口 29 冷気ダンパー

Claims (7)

  1. 冷凍用冷却器と、この冷凍用冷却器で生成された冷気を導入して所定温度に冷却保持される冷凍室と、この冷凍室へ冷気を送風するファンと、前記冷凍室温度を制御する温度制御装置とからなり、前記冷凍室に生鮮農産物を収納した場合は、冷凍室内の最大氷結晶生成帯の温度領域の冷却速度を緩やかにして生鮮農産物を凍結させるとともにその後冷却速度が緩やかにした冷却速度より速くなるように運転して所定温度まで低温化して冷凍貯蔵させるようにしたことを特徴とする冷蔵庫。
  2. 冷凍室に生鮮農産物を収納した場合は、凍結運転開始から凍結完了までに生鮮農産物が最大氷結晶生成帯の温度領域を通過して温度降下するために要する時間が180分以上とした緩やかな速度でおこなうことを特徴とする請求項1記載の冷蔵庫。
  3. 冷凍室に生鮮農産物を収納した場合、収納後の一定時間は冷凍室内への冷気導入を停止、若しくは減少させることを特徴とする請求項1または2記載の冷蔵庫。
  4. 冷凍室に生鮮農産物を収納した場合は、冷凍室の冷却設定温度を通常時より高くすることを特徴とする請求項1または2記載の冷蔵庫。
  5. 冷凍室に生鮮農産物を収納した場合は、所定時間、若しくは所定温度まで冷却した後に冷凍室内の冷却速度を緩やかにすることを特徴とする請求項3または4記載の冷蔵庫。
  6. 冷凍室に収納した生鮮農産物を緩やかな速度で冷却した後は、−30℃以下の低温度で冷凍し貯蔵することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の冷蔵庫。
  7. 冷媒としてプロパンを使用したことを特徴とする請求項6記載の冷蔵庫。
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