次に、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態による光伝送路判別装置を構成する光漏洩部1を示しており、同図(a)は光漏洩部1の斜視図、同図(b)は同図(a)の光漏洩部1をIb−Ib線で破断した矢視断面図、同図(c)は同図(a)の光漏洩部1をIc−Ic線で破断した矢視断面図である。
光伝送路判別装置は、光伝送路を構成する光ファイバ素線(光ファイバ心線)2を伝搬する光信号の一部を漏洩させる光漏洩部1と、漏洩させた光信号を検出する後述する光検出部を有する後述する光検出端末とを備えている。
光漏洩部1は、光ファイバ素線2を保持すると共に効率的に屈曲させる曲線形状面を有した凸部(光漏洩部曲面)3と、光ファイバ素線2を光漏洩部1内に保持するための一対のガイド4と、光ファイバ素線2が光漏洩部1の上部に離脱することを防止するための一対の光ファイバ押え部5と、RFIDタグ7とを備えて構成されている。各ガイド4は、凸部3を挟む位置に対になって設けられており、光ファイバ押え部5は、各ガイド4の対向する内側面上部の一端に突設されている。
ガイド4は、後述する光検出部の凹部(光伝送路押え)16が凸部3と嵌合する位置に光検出部を案内する案内構造を構成している。また、光ファイバ押え部5は、凸部3に保持された光ファイバ素線2の凸部3からの離脱を防止して保持する保持構造を構成している。
光ファイバ素線2は凸部3の上に載せられ、ガイド4と光ファイバ押え部5に覆われるため、光漏洩部1本体から外にはみ出さないようになっている。この結果、光ファイバ素線2は、通常、同図(a)〜(c)に示すように光漏洩部1内に保持される。凸部3の曲線形状面は、光ファイバ素線2を保持する漏洩部曲面を構成している。
また、RFIDタグ7は、同図(a)に矢印で示すように、一方のガイド4の上面に形成された空孔6に嵌め込まれている。光漏洩部1を構成する凸部3、ガイド4および光ファイバ押え部5はABS樹脂で一体に形成されており、光漏洩部1の外形寸法(L×D×H)は約35[mm]×5[mm]×5[mm]、凸部3の扇形曲率半径は約5[mm]となっている。
図2は、図1に示すRFIDタグ7の内部構成を示す図である。
RFIDタグ7は、「Radio Frequency Identification」の略語であってIDタグ(識別タグ)の一種であり、電気的処理によりデータの書き込みおよび消去が可能なROM8と、外部と通信するアンテナ9と、通信時の合図として点灯するLED(発光ダイオード)10と、通信制御およびLED10の発光制御を行うCPU(中央演算装置)11とが電気的に接続され、これらが図示しないプラスチックケースでモールドされて構成されている。
本実施形態におけるRFIDタグ7は、自身で電源を備えておらず、タグ読み書き手段として機能する後述する光検出端末により発生される13.56[MHz]の周波数の電磁波を電源として動作する。しかし、RFIDタグ7は、自身で電源を持つ場合や、LED10を持たない場合、使用周波数として134kHz帯、UHF帯、2.45GHz帯の周波数の電磁波を電源として動作する場合もあり、その使用は適宜変更可能となっている。
図3(a)は、本実施形態による光伝送路判別装置を構成する光検出部13を備えた光検出端末12の外観を示す斜視図、同図(b)は、光漏洩部1に光検出部13を嵌合させる前後の状態を示す一部破断断面図、同図(c)は、光漏洩部1に光検出部13を嵌合させた状態を示す一部破断断面図である。
光検出端末12は、光検出部13と、検出情報を画面表示する表示部14と、光ファイバ素線2の個別配線情報を入力する情報入力部15とを備えて構成されている。光検出部13は、光漏洩部1の凸部3と嵌合する形状に形成された曲線形状面からなる凹部16を光伝送路押えとして有しており、凹部16の表面中央部には、同図(a)に示すように、光ファイバ素線2から漏洩する光信号の一部すなわち漏洩光を検出する受光素子17が設けられている。本実施形態では、光漏洩部1と光検出部13とは分離されている。また、光検出部13は、光検出端末12の一端に光検出端末12と一体に形成されており、凸部3と凹部16との間に挟持された光ファイバ素線2に生じる後述する屈曲部から漏洩した光信号を検出する。
また、光検出部13には、上述したRFIDタグ7のアンテナ9との間で情報の送受信を行う送受信アンテナ18が設けられている。この送受信アンテナ18は、RFIDタグ7と交信することにより、RFIDタグ7のROM8に記憶されている光ファイバ素線2の個別配線情報や光信号の検出結果に関する情報などを呼び出したり、RFIDタグ7のROM8に記憶されるこれらの情報を更新させたりする際に用いられる。このように、光検出部13を備えた光検出端末12は、RFIDタグ7に記憶された情報を読み出す機能、ならびに、光ファイバ素線2を特定する光伝送路特定情報、および、光ファイバ素線2の状態または光ファイバ素線2を伝送する光信号の状態についての光検出部13による検出結果をRFIDタグ7に記憶させる機能を備えている。また、RFIDタグ7は、光ファイバ素線2の配線情報、および、光ファイバ素線2の状態または光ファイバ素線2を伝送する光信号の状態についての光検出部13による検出結果を記憶する機能を備えている
上記の構成において、光漏洩部1に保持された光ファイバ素線2の心線状態(光信号の伝搬の有無)を確認する場合、まず、光検出端末12の光検出部13を光漏洩部1のガイド4,4の間に挿入し、検出部13の凹部16を光漏洩部1の凸部3に嵌合させ、凸部3および凹部16に挟まれた光ファイバ素線2を漏洩部曲面および光伝送路押えの形状に合わせて屈曲させる。このとき、光ファイバ素線2には同図(c)に示すように屈曲部2aが一時的に生じる。これにより、光ファイバ素線2に光信号が伝送されていれば、光ファイバ素線2の屈曲部2aから漏洩光が矢示するように漏洩する。この際、光検出端末12の光検出部13の受光素子17は、光漏洩部1の凸部3およびガイド4によって密閉されるため、太陽光その他自然界のノイズの影響を受けることなく、光ファイバ素線2の屈曲部2aからの漏洩光のみを検出する。そして、受光素子17で光電変換された信号の強度が予め設定された基準値以上であれば、光検出端末12に設けられた図示しない判定回路により、光ファイバ素線2に光信号が伝送されていると判定され、信号の強度が基準値以下であれば、光ファイバ素線2に光信号が伝送されていないと判定され、判定結果が光検出端末12の表示部14に表示される。光検出作業が終了すれば、光検出端末12の光検出部13は光漏洩部1から取り外され、光ファイバ素線2は元に戻り、同図(b)に示すように略直線状を成す。
また、光ファイバ素線2の個別配線情報や光信号の検出結果に関する情報をRFIDタグ7に書き込む場合には、予め光検出端末12の情報入力部15からこれらの情報を入力しておく。そして、光検出端末12の光検出部13が光漏洩部1のRFIDタグ7に対して数[cm]程度の位置にある状態のときに、情報入力部15に設けられた図示しない情報書込キーを操作することによって、光検出端末12の送受信アンテナ18からRFIDタグ7のアンテナ9へ、入力された個別配線情報や光信号の検出結果に関する情報を含む書込信号が発信される。RFIDタグ7のCPU11は、アンテナ9において無線により書込信号が受信されるときに供給されるエネルギーをエネルギー源としてLED10を点灯させるとともに、アンテナ9で受信した書込信号に含まれる各情報をROM8に記憶させる。
また、RFIDタグ7に記憶された光ファイバ素線2の個別配線情報や光信号の検出結果を読み込む場合には、予め、読込対象となる光ファイバ素線2が保持されている光漏洩部1のRFIDタグ7の固有IDを情報入力部15から入力しておく。そして、光検出端末12の光検出部13が光漏洩部1のRFIDタグ7に対して数[cm]程度の位置にある状態のときに、情報入力部15に設けられた図示しない情報呼出キーを操作することによって、光検出端末12の送受信アンテナ18からRFIDタグ7のアンテナ9へ呼出信号が発信される。発信された固有IDを記憶するRFIDタグ7のCPU11は、アンテナ9において無線により呼出信号が受信されるときに供給されるエネルギーをエネルギー源としてLED10を点灯させるとともに、ROM8に記憶されている個別配線情報や光信号の検出結果に関する情報を含む信号を、光検出端末12のアンテナ18に返信する。返信された信号に含まれる個別配線情報や光信号の検出結果に関する情報は、光検出端末12の表示部14に表示される。
このような第1の実施形態による光伝送路装置によれば、光検出部13の凹部16が光漏洩部1の凸部3と嵌合すると、光漏洩部1の凸部3に保持されている光ファイバ素線2が、凸部3と凹部16との間に挟持された状態で一時的に屈曲し、この屈曲した屈曲部2aから光信号の一部が漏洩光として漏洩する。屈曲部2aから漏洩した光信号の一部は、光検出端末12の光検出部13により検出される(図3(c)参照)。このため、光検出端末12の光検出部13を光漏洩部1に嵌合させることで、光ファイバ素線2を保持する光漏洩部1を動かすことなくそのままの状態で、光ファイバ素線2を伝送する光信号を検出することができる。光漏洩部1は、特許文献3に開示された従来の装置における凸部および凹部を備えた光漏洩部とは異なり、凸部3のみを有するものであり、光漏洩部品が簡素化されるため経済性に優れ、さらに適用範囲が拡大される。また、従来の装置に比べて光漏洩部1の高さ寸法は小さくなる。このため、光漏洩部1の小型化が可能となり、許容される高さ寸法の小さい小型の成端トレイに対しても、本発明による光伝送路判別装置を適用することが可能となる。
また、本実施形態では、光ファイバ素線2がガイド4および光ファイバ押え部6に覆われることにより、光ファイバ素線2が光漏洩部1から離脱して飛び出してしまうことが防止される(図1参照)。このため、光ファイバ素線2を常に光漏洩部1に保持しておくことができる。
また、本実施形態では、光検出部13の凹部16が、ガイド4によって、光漏洩部1の凸部3と嵌合する位置まで案内される。このため、容易に光検出部13の凹部16を光漏洩部1の凸部に嵌合させることができるようになり、簡単な操作で光信号を検出することが出来る。
また、本実施形態では、RFIDタグ7に光ファイバ素線2の配線情報などの種々の情報を記憶させておくことができる。このため、作業者は、光ファイバ素線2や光ファイバ素線2を伝送する光信号の状態の判別を行う際、判別の対象となる光ファイバ素線2に関する配線情報などの種々の情報を、その光ファイバ素線2を保持する光漏洩部1に備えられたRFIDタグ7に記憶された情報を読み込むことで、知ることができ、光ファイバ素線2の配線管理を適切に行なえるようになる。
また、本実施形態では、RFIDタグ7に記憶された情報は光検出端末12によって読み出される。このため、作業者は、屈曲部2aから漏洩した光信号を光検出端末12を用いて検出する際、RFIDタグ7に記憶された情報を光検出端末12を用いて読み込み、検出対象となる光ファイバ素線2における、回線接続経路や施工日時等の過去の光伝送路特定情報や光検出部13による検出結果を確認しながら、屈曲部2aから漏洩した光信号を検出することができ、作業効率を向上させることができる。
また、本実施形態では、光ファイバ素線2の配線情報や、光ファイバ素線2の状態または光ファイバ素線2を伝送する光信号の状態についての光検出部13による検出結果は、光検出端末12によって光漏洩部1のRFIDタグ7に記憶される。このため、作業者は、光検出部13によって光ファイバ素線2や光信号の状態を判別した際に、直ちに、判別対象となった光ファイバ素線2の配線情報や光検出部13による検出結果を、光検出端末12を用いて確認することが出来ると共に、書き換えることができる。この結果、光ファイバ素線2の配線情報の変更に個別に対応することが出来るようになる。
なお、上記第1の実施形態では、光ファイバ素線2の屈曲部2aから光信号が検出時に一時的に漏洩する場合を説明したが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、光ファイバ素線2が、光漏洩部1の凸部3に保持される位置に、融着接続部等の光信号の一部が漏洩する少なくとも1つの接続点を有し、この接続点からも光信号が漏洩する構成とすることも可能である。この構成によれば、光ファイバ素線2の融着接続部において、光伝送路を構成する光ファイバ素線2のコアからクラッドへ、光信号が僅かな割合で漏洩している。従って、光検出部13の凹部16が光漏洩部1の凸部3に嵌合し、光ファイバ素線2が凸部3と凹部16との間に挟持され、屈曲させられた時には、屈曲部分のクラッドから漏れた光信号が更に光ファイバ素線2の外部に漏洩する。従って、屈曲部のみを形成し、光ファイバコアを伝播する光信号をクラッドに漏洩させ、更に光ファイバ素線2の外部に漏洩させて、コア中心から光信号を漏洩させる場合と比較し、クラッドから光信号を漏洩させる屈曲部分の曲率半径は大きく設定される。また、光ファイバ素線2の融着接続部では、主にコアの軸ずれにより、モードフィールド径の小さい短波長側の光信号がより多く漏洩するが、光ファイバ素線2の屈曲部で生じる、主に長波長側の光信号がより多く漏洩する現象と比較し、波長依存性は遥かに少なく、問題にならない範囲である。従って、心線対照器等を用いた従来の光伝送路判別装置に比べて、検出時の過剰損失を大きくすることなく、検出対象となる光信号の波長範囲を拡げ、検出感度を向上させた光伝送路判別装置が提供されることになる。この場合は従来の光タップとは異なり、挿入損失をさらに低く抑えることが可能となる。
また、上記第1の実施形態では、光検出部13に光伝送路押えとして凹部16を形成したが、光検出部13に形成される光伝送路押えの構造は曲面のみに限定されるものではない。光伝送路押えは、光ファイバ素線2を光漏洩部1の凸部3に押さえつけたときに、光ファイバ素線2を屈曲させることが出来る構造であれば足りる。例えば、図3(b)に示される光検出部13が、受光素子17の下方の部分が平坦に形成され、その両側に2本の突条が形成されて光伝送路押えを構成しても、同等の効果が期待される。 また、この光伝送路押えは光検出部13に形成される場合だけでなく、後述する補助具(図5参照)に形成しても良い。
また、上記第1の実施形態では、光ファイバ素線2として外皮にUV被覆が施されたものを用いているが、例えば、光ファイバ素線2が、光漏洩部1において、複数の被覆層の少なくとも一部が除去されている構成であっても構わない。この構成によれば、光伝送路押えを光漏洩部1に嵌合させた時に生成される光ファイバ素線2の屈曲部分では、被覆層の一部が除去された部分から、嵌合時に漏洩した光信号が光検出部13により検出される。このため、被覆層の異なる種々の外形の光伝送路に対して、被覆層における光信号の損失の影響をなくした状態で、光信号の検出を行うことが可能になる。
また、上記第1の実施形態では、光検出部13に設けられた1つの受光素子17により、光漏洩部1に保持された1本の光ファイバ素線2の屈曲部2aから漏洩した光信号を検出する場合を説明したが(図1(a),図3(c)参照)、本発明はこれに限られるものではない。例えば、光漏洩部1が、複数の光ファイバ素線2を保持し、光検出部13が、複数の受光素子17を備え、複数の各光ファイバ素線2から漏洩した複数の光信号を個別に、または複数の光信号の少なくとも一部を一括して、複数の受光素子17で受光することで、漏洩した複数の光信号を検出する構成とすることも可能である。この構成によれば、複数の光ファイバ素線2から漏洩した複数の光信号の光検出部13による検出は、個別に、または一部が一括して複数の受光素子17で受光されることによって行われる。このため、光タップなどの光部品を用いて1本の光ファイバ素線毎に光信号を検出する従来の光伝送路判別装置に比べて、コストを抑えることが可能になる。また、1つの光検出部13により一度に複数の光ファイバ素線2の光信号を検出することができ、作業効率を向上させることができる。
また、光検出部13が、漏洩した光信号の波長とは異なる波長のうちの少なくとも一部の波長の光を遮断するフィルタを備えた構成とすることもできる。この構成によれば、光ファイバ素線2の屈曲部2aにおいて漏洩した光信号の波長とは異なる波長の光は、フィルタにより遮断されて光検出部13で検出されなくなる。このため、漏洩した光信号だけが光検出部13において検出されるようになり、光検出部13における光信号の検出精度の向上が図られる。
また、屈曲部2aに位置する凸部3の表面の少なくとも一部に、漏洩した光信号を反射させる反射処理が施された構成としてもよい。この構成によれば、光ファイバ素線2の屈曲部2aで漏洩した光信号は、凸部3および凹部16の間を減衰少なく反射しながら光検出部13の受光素子17に到達し、検出される。このため、光検出部13の検出効率が向上し、強度の小さい光信号であっても確実に光検出部13で検出されるようになる。
また、凹部16を形成する部材の少なくとも一部の屈折率が、光ファイバ素線2の被覆層の屈折率と略整合している構成としてもよい。この構成によれば、光検出部13の凹部16を形成する部材の屈折率が光ファイバ素線2の被覆層の屈折率と略等しくなっているため、漏洩光が光ファイバ素線2の被覆層と凹部16との境界で反射せず、光ファイバ素線2の被覆層を介して凹部16へ透過してくる漏洩光の量が増加するようになる。このため、この漏洩光の量の増加に伴い、光検出部13の受光素子17における受光効率が高くなり、光ファイバ素線2の屈曲部2aで漏洩した光信号の強度が小さい場合であっても、確実に光検出部13で検出されるようになる。
また、凹部16を形成する部材の少なくとも一部が、光ファイバ素線2の被覆層に対して、屈曲部2aから漏洩した光信号の透過率を向上させる処理が施されている構成としてもよい。この構成によれば、光ファイバ素線2の被覆層を介して光検出部13の凹部16へ透過してくる漏洩光は、凹部16で反射することなく透過して、光検出部13により検出されるようになる。このため、光検出部13における受光効率が高くなり、光ファイバ素線2の屈曲部2aで漏洩した光信号の強度が小さい場合であっても、確実に光検出部13で検出されるようになる。
また、光ファイバ素線2の屈曲部2aが位置しない凸部3の表面および凹部16の表面の少なくとも一部に、光漏洩部1の外部から凸部3および凹部16の間に侵入する外来光の反射を抑制する処理が施されている構成とすることも可能である。この構成によれば、光漏洩部1の凸部3と光検出部13の凹部16とが嵌合しているときに凸部3と凹部16との間に侵入してくる太陽光などの外来光の反射が抑制され、反射を繰り返して光検出部13に到達する外来光の量が減少する。このため、光検出部13における外来光の影響を少なくして、屈曲部2aで漏洩した光信号の検出精度を高めることができ、光信号が確実に光検出部13で検出されるようになる。また、RFIDタグ7は、書き込みができない、読み出し専用の安価なRFIDタグであってもよい。この場合、光ファイバ素線2の配線情報、活線情報等はRFIDタグの固有IDによって管理される。
また、上記第1の実施形態では、光ファイバ素線2として外皮にUV被覆が施されたものを用いているが、PVC被覆が施されたものを用いることも可能である。この場合、光ファイバ素線2の光漏洩部1内に位置する部分のPVC被覆を工具等で除去してから外皮をUV被覆の状態にしたものや、PVC被覆を除去しないままの状態のものを光ファイバ素線2として用いることになる。また、凸部3の断面形状は図1(c)に示すように扇形状になっているが、凸部3の断面形状はW型やS型であってもよく、扇形状に限定されるものではない。また、光漏洩部1の材質はABS樹脂であるが、ゴムやプラスチック、金属、無機材であってもよく、ABS樹脂に限定されるものではない。
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図4は、本実施形態による光成端トレイ19の内部構成を示す斜視図である。なお、同図において第1の実施形態における図1(a)〜(c)と同一または相当する部分には同一の符号を付して説明する。
光成端トレイ19は、光ファイバ導入ガイド20と、光ファイバ収納部21と、光ファイバ押え部22と、融着補強スリーブ収納ホルダ23と、光漏洩部1と、RFIDタグ7とから構成され、外形寸法(L×D×H)は、約180[mm]×110[mm]×10[mm]となっている。光漏洩部1は光成端トレイ19の底面に接着剤で固定されている。
光成端トレイ19には、複数の光ファイバ素線2が収納されるようになっており、各光ファイバ素線2の融着接続部は、融着補強スリーブ24によって固定され、融着補強スリーブ24は、融着補強スリーブ収納ホルダ23に収納される。光漏洩部1は、融着補強スリーブ収納ホルダ23に整列して配置固定される。
上記の構成において、各光ファイバ素線2を伝送する光信号の有無などを確認する場合、まず光検出端末12を光成端トレイ19に近づけて、確認対象となる光ファイバ素線2の特定情報を送受信アンテナ18から発信する。確認対象となる光ファイバ素線2は、LED10の発光したRFIDタグ7で示されて特定される。特定された光ファイバ素線2に対応する光漏洩部1の凸部3に、光検出端末12の検出部13の凹部16を嵌合させた結果、光ファイバ素線2に光信号が伝送されていれば、屈曲した光ファイバ素線2から光信号が漏洩し、検出部13にある受光素子17によって検出される。
従って、この第2の実施形態による光成端トレイ19によっても、前述した第1の実施形態による光伝送路判別装置と同様の作用効果が奏される。
また、光検出端末12を用いて光成端トレイ19内の光ファイバ素線2を伝送する光信号の状態を判別する際、RFIDタグ7に記憶されている光ファイバ素線2の配線情報を呼び出すことによって、心線状態判別と、光ファイバ素線2の配線情報や光信号の検出結果の確認とを同時に行うことができ、検出対象となる光ファイバ素線2の識別やこの光ファイバ素線2を伝送する光信号の状態の判別をより正確に行うことができる。
例えば、光成端トレイ19の中から、光信号の判別および配線情報を確認したい光ファイバ素線2を特定したい場合には、対象となる光ファイバ素線2を収納した光漏洩部1に取り付けられたRFIDタグ7の固有IDを情報入力部15から入力して、そのLED10を点灯させることにより、検出対象となる光ファイバ素線2を容易に識別できると共に、光ファイバ素線2を伝送する光信号の状態の判別を手間をかけずに行うことができるようになる。
なお、上記の第2の実施形態による光成端トレイ19は、例えば、光線路中の架空に設けられた光クロージャや通信局、通信拠点等に設置された光成端架等の光成端装置の中で使用されるが、その用途はこれに限定されるものではない。
また、上記の第2の実施形態では、光漏洩部1は光成端トレイ19の底面に接着剤で固定されている場合を説明したが、光漏洩部の固定方法はネジによる固定や両面テープによる固定もあり、接着剤での固定に限定されるものではない。また、光漏洩部1が光成端トレイ19と一体成形されている場合もあり、その場合、融着補強スリーブ収納ホルダ23と一体化されている場合もある。
また、上記の第2の実施形態では、光成端トレイ19の外形寸法(L×D×H)は、約180[mm]×110[mm]×10[mm]となっているが、光成端トレイ19の外形寸法はこれに限定されるものではない。
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
図5は、上述した図4に示す光成端トレイ19に遮光カバー25を取り付けた状態を示す斜視図である。なお、同図において第2の実施形態における図4と同一または相当する部分には同一の符号を付して説明する。
遮光カバー25は、光成端トレイ19の上面を遮光するためのカバー部26と、光検出端末12の光検出部13の凹部16を光漏洩部1の凸部3に嵌合させるためのガイド部27と、遮光カバー25を光成端トレイ19に取り付けて固定するための取付部28とを備えており、外形寸法は、光成端トレイ19の外形寸法と同様に約180[mm]×110[mm]×10[mm]となっている。ガイド部27はカバー部26の略中央部に突設して設けられており、ガイド部27の内側には、光漏洩部1の各凸部3に対して光検出部13の凹部を垂直に導入するためのガイド溝27aが形成されている。また、カバー部26および光成端トレイ19は、取付部28によって圧接固定されている。同図に示すように、遮光カバー25が光成端トレイ19に取り付けられると、ガイド溝27aが各光漏洩部1に対応して配置される。遮光カバー25は、光検出部13を光漏洩部1と嵌合させる時の位置案内か、光漏洩部1と光検出部13とを嵌合させた時に光検出部13が備える受光素子17に侵入する外来光を遮光する遮光機能の、少なくともいずれか一方の機能を有する補助具を構成している。
上記の構成において、光ファイバ素線2を伝送する光信号の状態を確認する場合、光検出端末12の検出部13を、ガイド溝27aに沿って挿入し、光漏洩部1の凸部3に嵌合させる。このとき、光ファイバ素線2に光信号が伝送されていれば、光ファイバ素線2の屈曲部2aから光信号が漏洩し、検出部13にある受光素子17によって漏洩光が検出される。また、光検出部13の凹部16が光漏洩部1の凸部3に嵌合している状態では、光検出部13の受光素子17は光漏洩部1の凸部3によって覆われると共に、遮光カバー25によっても覆われた状態となる。
従って、光成端トレイ19に遮光カバー25を取り付けた上記第3の実施形態においても、前述した第1の実施形態による光伝送路判別装置と同様の作用効果が奏される。
また、本実施形態では、光成端トレイ19に遮光カバー25が取り付けられることで、光成端トレイ19を構成する光漏洩部1の外部から凸部3と凹部16との間に侵入する外来光は遮光される。このため、光成端トレイ19内部の光ファイバ素線2を伝送する光信号の検出を行う際、光検出部13における太陽光などの外来光の影響を少なくして、屈曲部2aで漏洩した光信号の検出精度を高めることができ、確実に光ファイバ素線2の判別を行うことができるようになる。
また、本実施形態では、光検出部13の凹部16が、遮光カバー25に備えられたガイド溝27aによって、光漏洩部1の凸部3と嵌合する位置まで案内される。このため、容易に光検出部13の凹部16を光漏洩部1の凸部3に嵌合させることができるようになり、光成端トレイ19内部の光ファイバ素線2を伝送する光信号を検出する際の手間が軽減される。
なお、上記の第3の実施形態では、遮光カバー25は光成端トレイ19に圧接固定されている場合を説明したが、遮光カバー25の固定方法は、圧接による固定に限定されるものではない。
また、上記の第3の実施形態では、遮光カバー25の外形寸法が約180[mm]×110[mm]×10[mm]になっている場合を説明したが、遮光カバー25の外形寸法はこれに限定されるものではない。
また、上記の第3の実施形態では、ガイド部27が遮光カバー25の略中央部に突設して設けられた場合について説明したが、ガイド部27は、必ずしも遮光カバー25と一体に構成されている必要はなく、単体で構成されていてもよい。この構成によっても、光検出端末12の一端に設けられた光検出部13の凹部16が、光漏洩部1に着脱自在に取り付けられた単体のガイド部27によって、光漏洩部1の凸部3と嵌合する位置まで案内される。このため、光漏洩部1に単体のガイド部27が取り付けられた状態では、容易に、光検出端末12の一端に設けられた光検出部13の凹部16を光漏洩部1の凸部3に嵌合させることができるようになり、簡単な操作で光信号を検出することが出来、上記の第3の実施形態と同様な作用効果が奏される。
また、このような構成によれば、光検出部13の凹部16が、遮光カバー25と一体に構成されたガイド部27、または単体で構成されたガイド部27によって案内されて光漏洩部1の凸部3に嵌合するため、光漏洩部1が狭い空間に配置されている場合であっても、光検出部13を光漏洩部1に近づけて、容易に凹部16を凸部3に嵌合させることができる。よって、光検出部13および光漏洩部1を小型化することが出来ると共に、光伝送路の判別を行う際の作業効率の向上を図ることができる。
また、前述した第1の実施形態では、凹部16を備えた光検出部13が光検出端末12と一体に形成されている場合を説明したが、凹部16は、光検出部13と分離されて形成された構成とすることも可能である。この場合において、分離された凹部16を、上記のガイド部27の対向する一対のガイド溝27a間の空間に、光漏洩部1の各凸部3に対応して形成して、ガイド部27と一体に構成するようにしてもよい。この構成によれば、光漏洩部1にガイド部27を取り付けることにより、ガイド部27に形成された凹部16が、光漏洩部1の凸部3と嵌合する位置まで案内される。凹部16が光漏洩部1の凸部3に嵌合すると、凸部3に保持されている光ファイバ素線2が凸部3と凹部16との間に挟持された状態で屈曲し、この屈曲した屈曲部2aから光信号の一部が漏洩する。屈曲部2aから漏洩した光信号の一部は、光検出端末12の先端に形成された受光素子17を有する光検出部13により検出される。
このため、本構成においても、凹部16を光漏洩部1に嵌合させることで、光ファイバ素線2を保持する光漏洩部1を動かすことなくそのままの状態で、光ファイバ素線2を伝送する光信号を検出することができる。また、この構成によっても、光検出部13が、遮光カバー25と一体に構成されたガイド部27、または単体で構成されたガイド部27によって案内されて光漏洩部1の凸部3に嵌合するため、光漏洩部1が狭い空間に配置されている場合であっても、光検出部13を光漏洩部1に近づけて、容易に凹部16を凸部3に嵌合させることができる。よって、光検出部13および光漏洩部1を小型化することが出来ると共に、光伝送路の判別を行う際の作業効率の向上を図ることができる。
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。
図6(a)は、本実施形態による光アダプタ29の外観斜視図、同図(b)はその縦断面図、同図(c)は光アダプタ29の内部の光漏洩部1に光検出端末12を嵌合させる前の状態を示す図、同図(d)は光アダプタ29の内部の光漏洩部1に光検出端末12を嵌合させた状態を示す図である。なお、同図(a)〜(c)において第1の実施形態における図1(a)〜(c),図3(a)〜(c)と同一または相当する部分には同一の符号を付して説明する。
光アダプタ29は、図6(c)に示すように、コネクタ部38を有する光コネクタコード37同士を接続するものであり、光検出端末12の光検出部13が挿入される検出孔30、蓋31、一対の光コネクタ挿入部34,34、一対のフェルール35,35、一対の割りスリーブ36,36、および光漏洩部1から構成される。光アダプタ29は、外形寸法が約30[mm]×15[mm]×10[mm]となっている。本実施形態における光漏洩部1は、フェルール35,35の間に設けられた光ファイバ素線2と、この光ファイバ素線2の下方に配置された凸部3とからなり、光アダプタ29の底面に接着剤で固定されている。光コネクタコード37のコネクタ部38が光コネクタ挿入部34に挿入されると、コネクタ部38の図示しないフェルール先端が、割りスリーブ36の中で、フェルール35の先端とフィジカルコンタクトにより接触する。また、蓋31には、光アダプタ29本体の側面に形成された蓋固定凹部33と嵌合する蓋固定凸部32が突設されており、光信号を検出しない場合は、蓋固定凸部32を蓋固定凹部33に嵌合させることで、蓋31を閉じた状態で固定することができる。
上記の構成において、光漏洩部1に保持された光ファイバ素線2の心線状態、すなわち、光コネクタコード37における光信号の伝搬の有無を確認する場合、まず、蓋固定凸部32を蓋固定凹部33から外して蓋31を開き、光検出端末12の検出部13を検出孔30に挿入し、同図(d)に示すように、光検出部13の凹部16を光漏洩部1の凸部3に嵌合させる。このとき、光ファイバ素線2に光信号が伝送されていれば、光ファイバ素線2の屈曲部2aから光信号が漏洩し、検出部13にある受光素子17によって漏洩光が検出される。
従って、第4の実施形態による光アダプタ29においても、前述した第1の実施形態による光伝送路判別装置と同様の作用効果が奏される。
また、光検出端末12を用いて光アダプタ29内の光ファイバ素線2を伝送する光信号の状態を判別する際、RFIDタグ7に記憶されている光コネクタコード37の配線情報を呼び出すことによって、心線状態判別と、光コネクタコード37の配線情報や光信号の検出結果の確認とを同時に行うことができ、検出対象となる光コネクタコード37の識別やこの光コネクタコード37を伝送する光信号の状態の判別をより正確に行うことができる。
例えば、複数の光コネクタコード37の中から、心線状態判別および配線情報を確認したい光コネクタコード37を特定したい場合には、対象となる光コネクタコード37を接続した光アダプタ29に取り付けられたRFIDタグ7の固有IDを情報入力部15から入力して、そのLED10を点灯させることにより、検出対象となる光コネクタコード37を容易に識別できると共に、光コネクタコード37を伝送する光信号の状態の判別を手間をかけずに行うことができるようになる。
また、本実施形態では、光アダプタ29を使用することで、光コネクタ38を備え、かつ、多層の被覆を有した外形2[mm]や3[mm]といった形態のコード37からなる伝送路中においても、低損失でかつ効率よく光信号を検出することが可能になる。
なお、上記の第4の実施形態による光アダプタ29は、例えば、通信拠点等に設置された光成端架等の光成端装置の中や、光線路中の架空に設けられた光クロージャや通信局で使用されるが、その用途はこれに限定されるものではない。
また、上記の第4の実施形態では、光漏洩部1が光アダプタ29の底面に接着剤で固定されている場合を説明したが、光漏洩部1の固定方法は、ネジによる固定や両面テープによる固定もあり、接着剤での固定に限定されるものではない。また、光漏洩部1が光アダプタ29と一体成形されている場合もある。
また、上記の第4の実施形態では、光アダプタ29の外形寸法は、約30[mm]×15[mm]×10[mm]となっているが、光アダプタ29の外形寸法はこれに限定されるものではない。
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。
図7(a)は、本実施形態による光成端箱39の外観斜視図、同図(b)は同図(a)に示す光成端箱39に光検出端末12を嵌合させた状態の外観斜視図である。なお、同図(a),(b)において第1の実施形態における図3(a)〜(c)と同一または相当する部分には同一の符号を付して説明する。
光成端箱39は、光検出端末12の光検出部13が挿入される検出孔40、蓋41、成端箱扉44、図示しない光成端トレイ、および図示しない光漏洩部から構成される。本実施形態における光漏洩部は、前述した第1の実施形態における光漏洩部1と同様にRFIDタグ7を備えたものであり、光成端箱39の内側面に接着剤で固定されている。光ケーブル45は、光成端箱39内で光コード46と融着接続および図示しない光コネクタによって接続され、光ケーブル45または光コード46を構成する図示しない光ファイバ素線の一部が光漏洩部1に収納されている。また、これら光ケーブル45および光コード46の接続部および余長は、図示しない光成端トレイに収納されている。また、蓋41には、光成端箱39の本体側面に形成された蓋固定凹部43と嵌合する蓋固定凸部42が突設されており、光信号を検出しない場合は、蓋固定凸部42を蓋固定凹部43に嵌合させることで、蓋41を閉じた状態で固定することができる。
上記の構成において、光ケーブル45または光コード46を構成する光ファイバ素線を伝送する光信号の状態を確認する場合、まず、蓋固定凸部42を蓋固定凹部43から外して蓋41を開き、光検出端末12の検出部13を検出孔40に挿入し、同図(b)に示すように、光検出部13の凹部16を光漏洩部の凸部に嵌合させる。このとき、光ファイバ素線に光信号が伝送されていれば、光ファイバ素線の屈曲部から光信号が漏洩し、検出部13にある受光素子17によって漏洩光が検出される。
従って、第5の実施形態による光成端箱39においても、前述した第1の実施形態による光伝送路判別装置と同様の作用効果が奏される。
また、光検出端末12を用いて光成端箱39内の光ファイバ素線を伝送する光信号の状態を判別する際、RFIDタグ7に記憶されている光ファイバ素線の個別配線情報を呼び出すことによって、心線状態判別と、光ファイバ素線の配線情報や光信号の検出結果の確認とを同時に行うことができ、検出対象となる光ファイバ素線の識別やこの光ファイバ素線を伝送する光信号の状態の判別をより正確に行うことができる。
例えば、複数の光ファイバ素線の中から、心線状態判別および配線情報を確認したい光ファイバ素線を特定したい場合には、光漏洩部に設けられたRFIDタグ7の固有IDを情報入力部15から入力して、そのLED10を点灯させることにより、または表示部14に表示させることにより、検出対象となる光ファイバ素線を容易に識別できると共に、光ファイバ素線を伝送する光信号の状態の判別を手間をかけずに行うことができるようになる。
また、本実施形態では、光成端箱39内において、光ケーブル45の光ファイバ素線と光コード46の光ファイバ素線との融着接続部の前後2箇所に光漏洩部を設置することにより、融着接続部より光ケーブル45側での光信号の有無と、融着接続部より光コード46側での光信号の有無を成端箱扉44を開くことなく確認することができるため、光成端箱39内で回線異常が発生した際に、異常箇所の特定を効率よく行うことができる。
なお、上記の第5の実施形態では、光漏洩部が光成端箱39の内側面に接着剤で固定されている場合を説明したが、光漏洩部の固定方法は、ネジによる固定や両面テープによる固定もあり、接着剤での固定に限定されるものではない。また、光漏洩部が光成端箱39と一体成形されている場合もある。
また、上記の第5の実施形態による光成端箱39は、例えば、ビル内の通信設備室や住宅の屋内で使用されるが、用途はこれに限定されるものではない。
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。
図8(a)は、本実施形態による光メディアコンバータ47の外観斜視図、同図(b)は、同図(a)に示す光メディアコンバータ47に光検出端末12を嵌合させた状態を示す外観斜視図である。なお、同図(a),(b)において第1の実施形態における図3(a)〜(c)と同一または相当する部分には同一の符号を付して説明する。
光メディアコンバータ47は、光信号および電気信号を相互に変換する装置であり、光検出端末12の光検出部13が挿入される検出孔48、蓋49、電源スイッチ52、光コネクタコード57のコネクタ部58が接続される光入出力端子53、電気信号の授受を行う図示しないコードのコネクタが接続される入出力端子54、図示しないO/E(Optical Electronics)変換デバイス、図示しない信号処理のインターフェース部、および図示しない光漏洩部を備えて構成されている。光メディアコンバータ47は、外形寸法が約150[mm]×100[mm]×20[mm]となっている。光漏洩部は、前述した第1の実施形態における光漏洩部1と同様にRFIDタグ7を備えたものであり、光メディアコンバータ47の内部に固定されている。また、光入出力端子53からインターフェース部のO/E変換デバイスまでは光コネクタ付光ファイバ心線で接続されている。
上記の構成において、光入出力端子53とO/E変換デバイスとの間で配線される光コネクタ付光ファイバ心線を伝送する光信号の状態を確認する場合、光検出端末12の検出部13を検出孔48に挿入し、同図(b)に示すように、光検出部13の凹部16を光漏洩部の凸部に嵌合させる。このとき、光コネクタ付光ファイバ心線に光信号が伝送されていれば、光コネクタ付光ファイバ心線の屈曲部から光信号が漏洩し、検出部13の受光素子17によって漏洩光が検出される。
従って、第6の実施形態による光メディアコンバータ47においても、前述した第1の実施形態による光伝送路判別装置と同様の作用効果が奏される。
また、光検出端末12を用いて光メディアコンバータ47に接続される光伝送路を伝送する光信号の状態を判別する際、RFIDタグ7に記憶されている光伝送路の配線情報を呼び出すことによって、心線状態判別と、光伝送路の配線情報や光信号の検出結果の確認とを同時に行うことができ、検出対象となるこの光メディアコンバータ47が接続されている光伝送路の識別やこの光伝送路を伝送する光信号の状態の判別をより正確に行うことができる。
例えば、光メディアコンバータ47の状態および光メディアコンバータ47内部の光伝送路の配線情報を確認したい場合には、光漏洩部に設けられたRFIDタグ7の固有IDを情報入力部15から入力して、そのLED10を点灯させることにより、または表示部14に表示させることにより、検出対象となる光メディアコンバータ47内部の光伝送路を容易に識別できると共に、この光伝送路を伝送する光信号の状態の判別を手間をかけずに行うことができるため、簡単に光メディアコンバータ47の動作状態を確認することが可能になる。
また、本実施形態では、光メディアコンバータ47内部での光伝送状態の異常の有無を確認することができるため、光メディアコンバータ47内における異常箇所の特定を効率よく行うことができる。
また、上記の第6の実施形態による光メディアコンバータ47は、例えば、ビル内の通信設備室や住宅の屋内で使用されるが、その用途はこれに限定されるものではない。
また、上記第6の各実施形態における光メディアコンバータ47のように、内部にO/E変換デバイスなどの光源を有する光伝送用機器によれば、内部に設けられた光漏洩部における漏洩光の強度を光検出部13で計測することにより、光伝送用機器内部の光源の寿命を推定し、この推定した光源の寿命を光検出端末12の表示部14に表示させる構成とすることも可能である。
以上説明したように、上記第2〜6の各実施形態によれば、光検出端末12の光検出部13を光漏洩部1に嵌合させることで、光伝送用機器内部の光伝送路を保持する光漏洩部1を動かすことなくそのままの状態で、光伝送用機器内部の光伝送路を伝送する光信号を検出することができる種々の光伝送用機器が実現される。
なお、上記各実施形態では、光伝送路判別装置や光伝送用機器について説明したが、光伝送路を管理する光伝送路管理システムであって、RFIDタグ7を備えた上記第1の実施形態における光伝送路判別装置またはこの光伝送路判別装置の一部を備えた上記第2〜第6の実施形態における光伝送用機器、およびRFIDタグ7に記憶される光伝送路特定情報を用いて、光伝送路を管理する光伝送路管理システムを構成することも可能である。
このような光伝送路管理システムによれば、RFIDタグ7に記憶される配線情報や光ファイバ素線2を伝送する光信号の状態などの情報を活用することにより、例えば、複数の光伝送路判別装置や光伝送用機器が接続された回線網において、各光伝送路判別装置や各光伝送用機器の内部の光ファイバ素線2における光信号の伝送状態の異常などを適切に管理することができる。また、RFIDタグ7に記憶される上記情報を活用することにより、上記光伝送路判別装置またはこの光伝送路判別装置を備えた上記光伝送用機器とデータセンター等の既存の光伝送路管理システムとを組み合わせた新規な構成の光伝送路管理システムを構築することも、容易に行えるようになる。
なお、本発明は、上述した各実施形態に限定されることなく、適宜な変更を行うことにより、その他の様々な態様で実施しうるものである。