JP5201821B2 - 着色組成物、およびそれを用いたカラーフィルタ - Google Patents

着色組成物、およびそれを用いたカラーフィルタ Download PDF

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Description

本発明は、カラー液晶表示装置、カラー撮像管素子等に用いられるカラーフィルタの製造に使用される着色組成物、およびそれを用いたカラーフィルタに関する。
液晶ディスプレイ(LCD)、カラー撮像管素子(CCD)等を構成するカラーフィルタは、塗布液(着色組成物)を透明基板上に塗布・乾燥し、厚さが約1〜3μmの塗膜を形成することにより製造される。基板上への塗布液の塗布方式としては、スピンコート法やダイコート法等があり、その特徴に応じて適宜用いられている。
スピンコート法は、比較的小サイズの基板への薄膜形成に広く用いられている方法であり、透明基板を一定の回転数で回転させながら、透明基板中心部に塗布液を滴下し、遠心力によって塗布液を薄く延ばし、その塗布液に適した透明基板の回転数や回転時間等を制御することにより、所望の膜厚の塗膜を透明基板の表面に形成する塗布方法である。しかしながら、回転による遠心力を利用し塗膜を薄く延ばすという原理に起因し、透明基板の回転中心部分および周辺部分の塗布膜厚が、その中間部分に比べて厚くなりすぎるという欠点がある。
ダイコート法は、大サイズの基板への薄膜形成に適した方法であり、スリットから塗布液を吐出し、該スリットを移動しながら基板上に所望の膜厚の塗膜を透明基板の表面に形成する塗布方法である。しかしながら、その機構上スリットの進行方向にたいして垂直方向にスジ状のムラ(スジムラ)が発生しやすく、また、塗膜外周部が盛り上がり、基板中心部に比べて膜厚が厚くなるという欠点がある。
また、塗布方式によらず塗布液の表面張力や粘度が適切でないとピンホール(白抜け)が生じるといった問題が起こる。
こうしたスピンコート法やダイコート法における塗膜の不均一性の問題を解消すべく、種々の試みがなされている。例えば、特許文献1には、沸点や蒸気圧が特定の範囲内である溶剤を50重量%以上含む組成物が、塗膜の表面平滑性に優れたスピンコート法用の組成物として開示されている。また、特許文献2〜4には、ダイコート法において、塗布液の表面張力を一定範囲に調整し、塗工面のスジムラや膜厚ムラ等を低減する塗工液およびその塗工方法が開示されている。
特開平6-3521号公報 特開2004-66232号公報 特開2004-70352号公報 特開2004-233993号公報
スピンコート法やダイコート法といった塗布方式と、それに用いる塗布液の性状とに起因して、塗膜には様々な欠点が観察され、それらの欠点を整理すると以下のようになる。
白抜け:「白抜け=ピンホール状の欠点」
色ムラ:「端部色ムラ=端部に観察される額縁状の色ムラであり、境界が比較的明瞭」と「全体の色ムラ=基板全体に観察される境界の不鮮明な色ムラ」の2つに分類される。
膜厚ムラ:膜厚の均一性が不十分であることを意味し、「膜厚均一性(端部)=端面部の膜厚均一性」と「膜厚均一性(端部以外)=基板中央から端面手前までの均一性」の2つに分類される。
スジムラ:「スジムラ=ダイコート方式においてスリットの進行方向にたいして垂直方向に発生するスジ状のムラ」
こうした欠点をいかに低減するかが課題であるが、上記特許文献に記載されたような、特定の溶剤を選択する方法、表面張力や粘度を一定の範囲に調整した組成物を使用する方法だけでは十分でない。
本発明は、スピンコート法およびダイコート法により塗布した場合に、塗膜に観察される上記欠点を低減できる着色組成物の提供を目的とする。また、本発明は、上記塗膜欠点が殆ど認められないフィルタセグメントおよび/またはブラックマトリックスを具備するカラーフィルタの提供を目的とする。
本発明の着色組成物は、透明樹脂、その前駆体またはそれらの混合物からなる色素担体と、色素と、有機溶剤と、表面調整剤とを含有する液状着色組成物であって、ウィルヘルミー平板法に従い、平面が22mm×22mmの正方形で、厚さが0.145mmのガラス板を、該液状着色組成物中に、前記ガラス板の一辺を該液状着色組成物の液面に対して垂直にして、垂直方向に2.5mm浸漬したとき、前記ガラス板の静止状態で測定される力A(25℃で測定)が1.16mN 以上であり、かつ、前記力Aから、前記液状着色組成物中における前記ガラス板の浮力を差し引いた力A’と、前記浸漬したガラス板を2.5mm/秒で垂直方向に引き上げたとき前記ガラス板が液状着色組成物から離れる瞬間に測定される力B(25℃で測定)とが、関係:
0.08≦ B−A’ ≦ 0.18
を満たすことを特徴とする。
また、本発明のカラーフィルタは、本発明の着色組成物から形成されるフィルタセグメントおよび/またはブラックマトリックスを具備することを特徴とする。
本発明の着色組成物は、ウィルヘルミー平板法により測定される値が一定の範囲に属した組成物であり、該着色組成物を使用することにより塗膜の欠点が低減した均一な塗膜を形成することができる。
従って、本発明の着色組成物を用いてフィルタセグメントおよび/またはブラックマトリックスを形成することにより、良質なカラーフィルタを提供することが可能となる。
本発明は、塗工ムラの発生しやすい赤色の着色組成物において、特にその効果が高い。
まず、本発明の着色組成物について、図1および図2を適宜用いて具体的に説明する。
本発明の着色組成物は、透明樹脂、その前駆体またはそれらの混合物からなる色素担体と、色素と、有機溶剤と、表面調整剤とを含有する液状着色組成物であって、ウィルヘルミー平板法に従い、平面が22mm×22mmの正方形で、厚さが0.145mmのガラス板を、該液状着色組成物中に、前記ガラス板の一辺を該液状着色組成物の液面に対して垂直にして、垂直方向に2.5mm浸漬したとき、前記ガラス板の静止状態で測定される力A(25℃で測定)が1.16mN 以上であり、かつ、前記力Aから、前記液状着色組成物中における前記ガラス板の浮力を差し引いた力A’と、前記浸漬したガラス板を2.5mm/秒で垂直方向に引き上げたとき前記ガラス板が液状着色組成物から離れる瞬間に測定される力B(25℃で測定)とが、関係:
0.08≦ B−A’ ≦ 0.18
を満たす。
ウィルヘルミー法とは、測定対象液体(試料液)に固体や粉体などを浸漬し、その静止および引上げ時の、浮力と濡れの力の時間的変化を電子天秤で測定する方法である。
本発明においては、レスカ社製動的濡れ性試験器WET−600型測定機を用い、平面が22mm×22mmの正方形で、厚さが0.145mmのガラス板(MATSUNAMI社製、厚さは実測値)を用いる。試料液(液状着色組成物)を収容する容器は、直径45mmで深さが約40mmのもので、試料液を容器の底から15mm以上の高さまで入れる。ガラス板は、その一辺が液状着色組成物の液面に対して垂直となるように、液状着色組成物中に深さ2.5mmまで浸漬する。このガラス板の浸漬深さは、液面(容器に試料液を入れ、ガラス板を浸漬していないときの試料液の液レベル)を基準とする。測定は、液状着色組成物の温度25℃で行う。
[静止状態の力:A]
ガラス板1(図2)が容器中の試料液(着色組成物)2(図2)に浸漬されて安定した状態(図1のT1の範囲)では、図2で示すように電子天秤にて検出される力A(単位:mN)は、試料液の表面張力により下側に向かって働く力A’と、浸漬された部分のガラス板の体積に比例したガラス板の浮力fとの合成された力であり、下記式(1)によって表される。
A =A’−f (1)
ここで、
A’=γ×cosθ×L
γ:試料液の表面張力(mN/m)
θ:試料液とガラス板の接触角
L:ガラス板と試料液の接液周長(ガラス板の(幅+厚さ)×2)(m)
f=v×ρ×g
v:浸漬した部分のガラス板の体積(m3
ρ:試料液の密度(g/m3)
g:重力加速度(m/s2
よって、下側に向かって働く力A’は、下記式(2)によって表される。
A’=A+f (2)
[引き上げる過程に検出される力:A2]
ガラス板が引き上げられる過程(図1のT2の範囲)でガラス板に働く力は、前述の力Aに加えて、ガラス板に付着した液がもとの状態に回復しようとする力(f1:液の変形を妨げる力)が下向きに働く。よって、力A2は、下記式(3)によって表される。
A2=A+f1=A’−f+f1 (3)
但し、引き上げられて浸漬体積が減少する過程で浮力(f)は小さくなっていく。
[液がガラス板から切れる瞬間の力:B]
図1のT3の位置で試料液からガラス板が離れる。この瞬間に検出される力には浮力(f)の要素が含まれないので、力Bは、下記式(4)によって表される。
B=A’+f1 (4)
T1からT3への状態変化において「液がガラス板から切れる瞬間の力B」と「静止状態でガラスの浮力を差し引いた下方向に向かって働く力A’」の関係から「変形を妨げる力f1」を整理すると、f1は、下記式(5)によって表される。
f1= B−A’ (5)
Aは、表面張力、接触角、比重など塗布液の特徴を示すので塗膜品質に関係し、また、「B−A’」は「液の変形を妨げる力」であるから、いわゆる液を変形させ薄膜を作る手段において重要な因子となる。
本発明者らは、Aの値 が1.16mN以上であり、かつ、Bの値とA’の値の関係が0.08≦ B−A’ ≦0.18 [mN]を満たすように着色組成物(塗布液)の特性をコントロールすることが、塗膜表面の塗布ムラ、つまり白抜け、膜厚ムラおよびスジムラの全てが低減された良好な塗膜品質を得るために必要であるということを見出した。
「B−A’」が0.08mN未満の場合は、Aが1.16mN以上を満たしていても、「白抜け」多い、「全体の色ムラ」が酷い、「膜厚均一性(端部)」および「膜厚均一性(端部以外)」が悪い、およびダイコート法で「スジムラ」が観察されるという評価結果となる。
0.08≦ B−A’ ≦0.18 [mN]を満たしているが、Aが1.16mN未満の場合は、「端部色ムラ長さ」が長くなる。
「B−A’」が0.18mNを超えるが、Aが1.16mN以上を満たしている場合、「白抜け」が僅かに悪い、「端部色ムラ長さ」が長くなる、「膜厚均一性(端部)」および「膜厚均一性(端部以外)」が悪いという評価結果となる。
Aの値を一定以上に大きくし、かつ、「B−A’」を上記範囲に調整するために、表面調整剤を用いる。
表面調整剤は、分子内に疎水基と親水基を有するいわゆる界面活性剤の一種で、親水基を有しながらも水に対する溶解性が小さく、着色組成物に添加した場合、その表面張力低下能が低いという特長を有し、さらに表面張力低下能が低いにも拘らずガラス板への濡れ性が良好なものを好ましく使用できる。
表面調整剤としては、ポリアルキレンオキサイドを有するジメチルポリシロキサンが好ましく使用できる。ポリアルキレンオキサイドとしては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドがあり、ジメチルポリシロキサンは、ポリエチレンオキサイドとポリプロピレンオキサイドとを共に有していてもよい。
また、ポリアルキレンオキサイドのジメチルポリシロキサンとの結合形態は、ポリアルキレンオキサイド単位がジメチルポリシロキサンの繰り返し単位中に結合したペンダント型、ジメチルポリシロキサンの末端に結合した末端変性型、ジメチルポリシロキサンと交互に繰り返し結合した直鎖状のブロックコポリマー型のいずれであっても良い。
ポリアルキレンオキサイドを有するジメチルポリシロキサンは、東レ・ダウコーニング株式会社から市販されており、例えば、FZ-2110、FZ-2122、FZ-2130、FZ-2166、FZ-2191、FZ-2203、FZ-2207が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
表面調整剤は、着色組成物中の色素100重量部に対して、好ましくは0.01〜5.00重量部、より好ましくは0.10〜3.00重量部の量で用いることができる。
表面調整剤の添加量が5.00重量部を超えると、Aの値が低くなりすぎて「端部色ムラの長さ」が長くなる。
また、添加量が0.01重量部より少ない場合は、Aの値が高くなり過ぎ、また「B−A’」が低くなりすぎて、「白抜け」が起こり「全体の色ムラ」が発生し、「膜厚均一性(端部)」および「膜厚均一性(端部以外)」が悪くなる。
表面調整剤と共に、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、または両性の界面活性剤を補助的に加えることも可能である。界面活性剤は、2種以上混合して使用しても構わない。
アニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどが挙げられる。
カオチン性界面活性剤としては、アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどの;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤、また、フッ素系やシリコーン系の界面活性剤が挙げられる。
界面活性剤を用いる場合、界面活性剤の量は、表面調整剤の重量の1〜50重量%に相当する量であることが好ましい。
本発明の着色組成物に含まれる色素担体は、透明樹脂、その前駆体またはそれらの混合物により構成される。透明樹脂は、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の樹脂である。透明樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および感光性樹脂が挙げられ、その前駆体としては、放射線照射により硬化して透明樹脂を生成するモノマーもしくはオリゴマーが挙げられ、これらを単独で、または2種以上混合して用いることができる。
色素担体は、着色組成物中の色素100重量部に対して、30〜700重量部、好ましくは60〜450重量部の量で用いることができる。また、透明樹脂とその前駆体との混合物を色素担体として用いる場合には、透明樹脂は、着色組成物中の色素100重量部に対して、20〜400重量部、好ましくは50〜250重量部の量で用いることができる。また、透明樹脂の前駆体は、着色組成物中の色素100重量部に対して、10〜300重量部、好ましくは10〜200重量部の量で用いることができる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ブチラール樹脂、スチレン−マレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン、ポリブタジエン、ポリイミド樹脂等が挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
感光性樹脂としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の反応性の置換基を有する線状高分子にイソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等の反応性置換基を有する(メタ)アクリル化合物やケイヒ酸を反応させて、(メタ)アクリロイル基、スチリル基等の光架橋性基を該線状高分子に導入した樹脂が用いられる。また、スチレン−無水マレイン酸共重合物やα−オレフィン−無水マレイン酸共重合物等の酸無水物を含む線状高分子をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化したものも用いられる。
透明樹脂の前駆体であるモノマーおよびオリゴマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、1, 6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。
本発明の着色組成物に含まれる色素としては、有機または無機の顔料を、単独でまたは2種類以上混合して用いることができる。顔料のなかでは、発色性が高く、且つ耐熱性の高い顔料、特に耐熱分解性の高い顔料が好ましく、通常は有機顔料が用いられる。
以下に、本発明の着色組成物に好ましく使用できる有機顔料の具体例を、カラーインデックス番号で示す。
赤色フィルタセグメントを形成するための赤色着色組成物には、例えばC.I. Pigment Red 7、9、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、97、122、123、146、149、168、177、178、180、184、185、187、192、200、202、208、210、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、246、254、255、264、272等の赤色顔料を用いることができる。赤色着色組成物には、黄色顔料、オレンジ顔料を併用することができる。
イエロー色フィルタセグメントを形成するためのイエロー色着色組成物には、例えばC.I. Pigment Yellow 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、86、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、125、126、127、128、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、199等の黄色顔料を用いることができる。
オレンジ色フィルタセグメントを形成するためのオレンジ色着色組成物には、例えばC.I. Pigment orange 36、43、51、55、59、61等のオレンジ色顔料を用いることができる。
緑色フィルタセグメントを形成するための緑色着色組成物には、例えばC.I. Pigment Green 7、10、36、37等の緑色顔料を用いることができる。緑色着色組成物には黄色顔料を併用することができる。
青色フィルタセグメントを形成するための青色着色組成物には、例えばC.I. Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64等の青色顔料を用いることができる。青色着色組成物には、C.I. Pigment Violet 1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50等の紫色顔料を併用することができる。
シアン色フィルタセグメントを形成するためのシアン色着色組成物には、例えばC.I. Pigment Blue15:1、15:2、15:4、15:3、15:6、16、81等の青色顔料を用いることができる。
マゼンタ色フィルタセグメントを形成するためのマゼンタ色着色組成物には、例えばC.I. Pigment Violet 1、19、C.I. Pigment Red144、146、177、169、81等の紫色顔料および赤色顔料を用いることができる。マゼンタ色着色組成物には、黄色顔料を併用することができる。
ブラックマトリックスを形成するための黒色着色組成物には、例えばカーボンブラック、アニリンブラック、アントラキノン系黒色顔料、ペリレン系黒色顔料、具体的には C.I. ピグメントブラック1、6、7、12、20、31等を用いることができる。黒色着色組成物には、赤色顔料、青色顔料、緑色顔料の混合物を用いることもできる。黒色顔料としては、価格、遮光性の大きさからカーボンブラックが好ましく、カーボンブラックは、樹脂などで表面処理されていてもよい。また、色調を調整するため、黒色着色組成物には、青色顔料や紫色顔料を併用することができる。
また、無機顔料としては、硫酸バリウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、チタンブラック、合成鉄黒、酸化チタン、四酸化鉄などの金属酸化物粉や、金属硫化物粉や、金属粉等が挙げられる。無機顔料は、彩度と明度のバランスを取りつつ良好な塗布性、感度、現像性等を確保するために、有機顔料と組み合わせて用いられる。
本発明の着色組成物には、調色のため、耐熱性を低下させない範囲内で染料を含有させることができる。
本発明の着色組成物に含まれる有機溶剤としては、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、シクロヘキサノン、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸n−アミル、メチルイソブチルケトン、n−ブチルアルコール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、1,2,3−トリクロロプロパン、o−クロロトルエン、o−キシレン、m−キシレン、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ジイソブチルケトン、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メトキシブチルアセテート、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、p−クロロトルエン、o−ジエチルベンゼン、m−ジエチルベンゼン、p−ジエチルベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、n−ブチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール等が挙げられる。これらは、単独でまたは2種以上混合して用いられる。有機溶剤は、着色組成物中の色素100重量部に対して、800〜4000重量部、好ましくは1000〜2500重量部の量で用いることができる。
本発明の着色組成物は、「白抜け」、「色ムラ」、「膜厚ムラ」および「スジムラ」を少なくするためには、ある程度低粘度に調整することが好ましく、25℃においてE型粘度計を用いて回転数20rpmで測定した粘度が、20mPa・s以下であることが好ましい。20mPa・sを超えると、スピンコート法やダイコート法では安定した塗工が難しくなり、塗膜の均一性を確保しにくい。
本発明の着色組成物には、該組成物を紫外線等の光照射により硬化する場合には、光重合開始剤が添加される。
光重合開始剤としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン系光重合開始剤、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系光重合開始剤、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン系光重合開始剤、チオキサンソン、2−クロルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等のチオキサンソン系光重合開始剤、2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系光重合開始剤、ボレート系光重合開始剤、カルバゾール系光重合開始剤、イミダゾール系光重合開始剤等が用いられる。光重合開始剤は、着色組成物中の色素100重量部に対して、5〜200重量部、好ましくは10〜150重量部の量で用いることができる。
上記光重合開始剤は、単独でまたは2種以上混合して用いることができるが、増感剤として、α−アシロキシムエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン等の化合物を併用することもできる。増感剤は、着色組成物中の光重合開始剤100重量部に対して、0.1〜60重量部の量で用いることができる。
本発明の着色組成物は、1種または2種以上の色素を、必要に応じて上記光重合開始剤と共に、色素担体および有機溶剤中に三本ロールミル、二本ロールミル、サンドミル、ニーダー、アトライター等の各種分散手段を用いて微細に分散して製造することができる。また、2種以上の色素を含む着色組成物は、各色素を別々に色素担体および有機溶剤中に微細に分散したものを混合して製造することもできる。色素を色素担体および有機溶剤中に分散する際には、適宜、樹脂型顔料分散剤、色素誘導体、界面活性剤等の色素分散剤が使用できる。色素分散剤は、顔料の分散に優れ、分散後の顔料の再凝集を防止する効果が大きいので、色素分散剤を用いて顔料を色素担体および有機溶剤中に分散してなる着色組成物を用いた場合には、透明性に優れたカラーフィルタが得られる。色素分散剤は、着色組成物中の色素100重量部に対して、0.1〜40重量部、好ましくは0.1〜30重量部の量で用いることができる。
樹脂型顔料分散剤は、顔料に吸着する性質を有する顔料親和性部位と、色素担体と相溶性のある部位とを有する樹脂であり、顔料に吸着して顔料の色素担体への分散を安定化する働きをするものである。樹脂型顔料分散剤として具体的には、ポリウレタン、ポリアクリレートなどのポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩などの油性分散剤、(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、燐酸エステル系等が用いられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
色素誘導体は、有機色素に置換基を導入した化合物である。このような有機色素には、一般に色素とは呼ばれていないナフタレン系、アントラキノン系等の淡黄色の芳香族多環化合物も含まれる。色素誘導体としては、特開昭63−305173号公報、特公昭57−15620号公報、特公昭59−40172号公報、特公昭63−17102号公報、特公平5−9469号公報等に記載されているものを使用でき、これらは単独でまたは2種類以上を混合して用いることができる。
界面活性剤としては、先述の表面調整剤に併用可能なものを用いることができる。
本発明の着色組成物には、組成物の経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有させることができる。また、透明基板との密着性を高めるためにシランカップリング剤等の密着向上剤を含有させることもできる。
貯蔵安定剤としては、例えばベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、t−ブチルピロカテコール、テトラエチルホスフィン、テトラフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。貯蔵安定剤は、着色組成物中の色素100重量部に対して、0.1〜10重量部の量で用いることができる。
シランカップリング剤としては、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン類、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のチオシラン類等が挙げられる。シランカップリング剤は、着色組成物中の色素100重量部に対して、0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部の量で用いることができる。
本発明の着色組成物は、グラビアオフセット用印刷インキ、水無しオフセット印刷インキ、シルクスクリーン印刷用インキ、溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジスト材として調製することができる。溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジスト材は、色素担体である熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂または感光性樹脂と、モノマーと、光重合開始剤と、表面調整剤、有機溶剤とを含有する組成物中に色素を分散させたものである。
本発明の着色組成物は、遠心分離、焼結フィルタ、メンブレンフィルタ等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子および混入した塵の除去を行うことが好ましい。
つぎに、本発明の着色組成物を用いたカラーフィルタの製造方法について説明する。
本発明のカラーフィルタは、基板上にフィルタセグメントおよびブラックマトリックスを具備するものであり、例えば、ブラックマトリックスと、赤色、緑色、青色のフィルタセグメントとを備えることができる。前記フィルタセグメントおよび/またはブラックマトリックスは、スピンコート方式あるいはダイコート方式によって本発明の着色組成物を塗布することにより、基板上に形成される。
カラーフィルタの基板としては、可視光に対して透過率の高いソーダ石灰ガラス、低アルカリ硼珪酸ガラス、無アルカリアルミノ硼珪酸ガラスなどのガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂板が用いられる。また、ガラス板や樹脂板の表面には、パネル化後の液晶駆動のために、酸化インジウム、酸化錫などからなる透明電極が形成されていてもよい。
現像に際しては、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液が使用され、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを用いることもできる。また、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。
現像処理方法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法等を適用することができる。
なお、紫外線露光感度を上げるために、上記着色レジスト材を塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ可溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等を塗布乾燥し、酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、紫外線露光を行うこともできる。
以下に、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
なお、実施例および比較例中、「部」および「%」とは「重量部」および「重量%」をそれぞれ意味する。
まず、実施例および比較例で用いたアクリル樹脂溶液の調製について説明する。樹脂の分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量である。
(アクリル樹脂溶液の調製)
反応容器にシクロヘキサノン370部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら80℃に加熱して、同温度で下記モノマーおよび熱重合開始剤の混合物を1時間かけて滴下して重合反応を行った。
メタクリル酸 20.0部
メチルメタクリレート 10.0部
ブチルメタクリレート 55.0部
2‐ヒドロキシエチルメタクリレート 15.0部
アゾビスイソブチロニトリル 4.0部
滴下後さらに100℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル1.0部をシクロヘキサノン50部で溶解させたものを添加し、さらに100℃で1時間反応を続けてアクリル樹脂の溶液を得た。アクリル樹脂の重量平均分子量は、約40000であった。
室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20%になるようにシクロヘキサノンを添加してアクリル樹脂溶液を調製した。
[実施例1]
下記の組成の混合物を均一に撹拌混合した後、直径1mmのガラスビーズを用いて、サンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し銅フタロシアニン顔料分散体を作製した。
ε型銅フタロシアニン顔料(C.I. Pigment Blue 15:6) 12.0部
(BASF製「ヘリオゲンブルーL−6700F」)
色素分散剤(ゼネカ社製「ソルスパース20000」) 2.4部
アクリル樹脂溶液 28.1部
シクロヘキサノン 57.5部
ついで、下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1μmのフィルタで濾過して、青色レジスト材として調整した着色組成物を得た。着色組成物の組成(着色組成物全量を100とした重量比・かっこ内は顔料100重量部に対する重量)を表1に示す。
銅フタロシアニン顔料分散体 45.0部
アクリル樹脂溶液 12.5部
トリメチロールプロパントリアクリレート 4.8部
(新中村化学社製「NKエステルATMPT」)
光重合開始剤 2.5部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガキュアー907」)
増感剤(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」) 0.2部
表面調整剤A 0.01部
(ポリアルキレンオキサイド単位を有するジメチルポリシロキサン
:東レ・ダウコーニング社製「FZ-2122」)
シクロヘキサノン 0.99部
エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート 34.0部
[実施例2〜7および比較例1〜5]
表1に示した各実施例および各比較例の色に相当する顔料と表面調整剤を以下の中から選択したこと、および、顔料、分散助剤、アクリル樹脂、モノマー、光重合開始剤、増感剤、有機溶剤、表面調整剤の組成を表1に示す割合(着色組成物全量を100とした重量比・顔料100重量部に対する重量を併記)に変更した以外は、実施例1と同様にして各色レジスト材として調整した着色組成物を得た。
Figure 0005201821
有機溶剤1:シクロヘキサノン
有機溶剤2:エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート
赤用顔料:ジケトピロロピロール系顔料(C.I. Pigment Red 254) 5.08部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガフォーレッドB−CF」)
アントラキノン系顔料(C.I. Pigment Red 177) 0.82部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「クロモフタールレッドA2B」)
アントラキノン系顔料(C.I. Pigment Yellow 199) 0.20部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「クロモフタールエローGT-AD」)
計6.10部
緑用顔料:ハロゲン化銅フタロシアニン系顔料(C.I. Pigment Green 36)3.60部
(東洋インキ製造社製「リオノールグリーン6YK」)
ニッケルアゾ錯体系顔料(C.I. Pigment Yellow 150) 2.00部
(ランクセス社製「E4GN」)
計5.60部
青用顔料:ε型銅フタロシアニン顔料(C.I. Pigment Blue 15:6) 5.40部
(BASF製「ヘリオゲンブルーL−6700F」)
黒用顔料:カーボンブラック
(テグサ社製「Printex75」) 5.50部
表面調整剤A:ポリアルキレンオキサイドを有するジメチルポリシロキサン
東レ・ダウコーニング社製「FZ-2122」
表面調整剤B:ポリアルキレンオキサイドを有するジメチルポリシロキサン
東レ・ダウコーニング社製「FZ-2110」
界面活性剤C:アラルキル変性シリコーン系界面活性剤、ビックケミー社「BYK-323」
界面活性剤D:フッ素系界面活性剤、大日本インキ化学工業社製「BL-20」
実施例1〜7および比較例1〜5で得られた各色レジスト材のA値およびB値をウィルヘルミー平板法で測定し、また、それぞれの比重を(株)安藤計器製工所製 標準比重計を用いて測定し、A'の値を算出し、「B−A'」を導いた。次いで、得られた各色レジスト材の25℃における粘度をE型粘度計(TOKI SANGYO社製TUE-20L型)を用い回転数20rpmで測定した。また、ダイコート方式、およびスピンコート方式の塗布装置を用いて、360mm×465mmサイズのガラス基板上に平均膜厚が2.0μmとなるようにそれぞれ塗布し、得られた塗布基板を70℃で20分間プレベークして乾燥塗膜を得た。以下、評価項目・内容および結果の表し方について記載する。
(白抜け)
「白抜け」:塗布基板について、白色透過光にて目視によって基板全体を観察し、白抜けが無かった場合を○、白抜けが1〜3個であった場合を△、白抜けが4個以上観察された場合を×とした。
(色ムラ)
「端部色ムラ長さ」:塗工した面に白色光を透過させ、目視で塗膜の端部を観察しムラの境界の長さが5mm未満を○、5mm以上10mm未満を△、10mm以上を×とした。
「全体の色ムラ」:塗工した面に白色光を透過させ、目視で塗膜の端部を観察しムラの程度を評価した。ムラが無い場合○、僅かに観察される場合△、酷い場合×とした。
(膜厚均一性)
「膜厚均一性(端部)」:塗布塗膜の短辺端中央より基板中心方向に5cmまで5mmおきに膜厚を測定した。最大膜厚をTmax、最小膜厚をTmin、平均膜厚をTavgとし、下記式(6)により膜厚均一性(端部)を算出した。
「膜厚均一性(端部以外)」:塗布基板の基板中央より対角線方向に26cmまで2cmおきに膜厚を測定した。上記と同様に、下記式(6)により膜厚均一性(端部以外)を算出した。
膜厚均一性[%]=((Tmax−Tmin)/(Tavg×2))×100 (6)
膜厚均一性[%]は、5%以下であることが好ましく、2%以下であれば均一性が十分高いと判断出来る。
(スジムラ)
「スジムラ」:ダイコート塗布基板について、白色透過光にてスジムラ評価を行った。目視によってスジムラがない場合を○、スジムラが観察された場合を×とした。
それぞれの評価の結果を表2に示す
Figure 0005201821

実施例1〜4、6および7の着色組成物を用いて形成された塗膜は、スピンコート評価ならびにダイコート評価において全ての評価項目について良好な評価結果が得られた。実施例5の着色組成物を用いて形成された塗膜は、「全面の色ムラ」が僅かに認められたが、それ以外は他の実施例同様に、良好な評価結果が得られた。
比較例1は、Aは1.16mN以上を満たしているが、「B−A’」が0.08未満であるため、「白抜け」が多い、「全体の色ムラ」が酷い、「膜厚均一性(端部、端部以外)」が悪い、およびダイコート法で「スジムラ」が観察されるという評価結果となった。
比較例2および3では、0.08≦ B −A’ ≦0.18 [mN]を満たしているが、Aが1.16mN以下であり、「端部色ムラ長さ」が長かった。
比較例4では、「B−A’」が0.18mNを超えており、かつAが1.16mN未満であるため、「白抜け」が僅かに悪い、「端部色ムラ長さ」が長い、「膜厚均一性(端部、端部以外)」が悪い、およびダイコート法で「スジムラ」が観察されるという評価結果となった。
比較例5では、Aが1.16mN以上を満たしているが、「B−A’」が0.18mNを超えるため、「白抜け」が僅かに悪い、「端部色ムラ長さ」が長い、「膜厚均一性(端部、端部以外)」が悪いという評価結果となった。
ウィルヘルミー法により測定される力のグラフの一例 ウィルヘルミー法でガラスを着色組成物に浸漬した状態の概略図
符号の説明
1:ガラス板
2:着色組成物

Claims (3)

  1. 透明樹脂、その前駆体またはそれらの混合物からなる色素担体と、色素と、有機溶剤と、表面調整剤とを含有する液状着色組成物であって、該表面調整剤が、着色組成物中の色素100重量部に対して、0.01〜5.00重量部のポリアルキレンオキサイドを有するジメチルポリシロキサンであり、かつウィルヘルミー平板法に従い、平面が22mm×22mmの正方形で、厚さが0.145mmのガラス板を、該液状着色組成物中に、前記ガラス板の一辺を該液状着色組成物の液面に対して垂直にして、垂直方向に2.5mm浸漬したとき、前記ガラス板の静止状態で測定される力A(25℃で測定)が1.16mN 以上であり、かつ、前記力Aから、前記液状着色組成物中における前記ガラス板の浮力を差し引いた力A'と、前記浸漬したガラス板を2.5mm/秒で垂直方向に引き上げたとき前記ガラス板が液状着色組成物から離れる瞬間に測定される力B(25℃で測定)とが、関係:
    0.08≦ B−A' ≦ 0.18
    を満たすことを特徴とする着色組成物。
  2. 25℃における粘度が20mPa・s以下であることを特徴とする請求項1記載の着色組成物。
  3. 請求項1または2記載の着色組成物から形成されるフィルタセグメントおよび/またはブラックマトリックスを具備することを特徴とするカラーフィルタ。
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