JP5201783B2 - マイクロカプセル - Google Patents

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本発明はポリウレタン樹脂、メラミン樹脂等からなる膜壁(壁膜)を有するマイクロカプセルとその製造法、該マイクロカプセルを調製する上で乳化分散剤として有用なマイクロカプセル調製用アニオン性高分子電解質、及び該マイクロカプセル調製用アニオン性高分子電解質を調製するために用いられるアニオン性高分子電解質調製用単量体組成物に関する。
マイクロカプセルとは、芯物質を微小の球形カプセル内に閉じ込めて、該芯物質を変質させることなく保護しうる構成からなり、その応用時に該芯物質を必要に応じて段階的に開放(徐放)し、またはカプセルを一時に破壊することにより放出して、芯物質の本来の性能を発揮せしめるものである。
今日、マイクロカプセルの応用範囲は極めて広く、ノーカーボン紙に代表される感圧記録材料、医薬品、農薬(除草剤等)、香料、粘接着剤、食品、洗剤、染料、触媒、酵素、防錆剤等多岐にわたっている。なかでも、ノーカーボン紙は、宅配便や各種伝票類などに使用されるなど産業上の広い分野で多く利用されている。ノーカーボン紙は、上用紙と下用紙の2層の紙面間にマイクロカプセルが挟まれた構成であって、上用紙に加えられた筆圧でマイクロカプセルが破壊されて、カプセルに内包されている染料が下用紙の上用紙接触面側に塗布された顕色剤と反応して発色する構造を有している。従って、マイクロカプセルとしては、膜壁が緻密で、耐熱性を備え、高温多湿下で経時的変色がなく、紙の摩擦程度では破壊されないが筆圧で破壊可能な程度の強度を有し、発色が良好であることが要求される。
マイクロカプセルは、種々の方法で製造することができる。代表的な製造方法としては、コアセルベーション(相分離)法等の物理化学的方法、in−Situ重合法や界面重合法などの化学的方法が挙げられる。
コアセルベーション法としては、ゼラチン/アラビヤゴム法が広く行われているが、膜剤として天然物を使用するため、腐敗や凝集が生じやすく、高価であり、しかも膜壁の硬度が足りないため、耐水性が劣る点で性能面の問題がある。また、マイクロカプセルの固形分濃度が低いスラリーが形成されるため、とりわけノーカーボン紙のような紙基材に塗工する用途では、乾燥に時間及びエネルギーの消費が大きく、不経済であって実用化は困難であった。
in−Situ重合法は、安価で重合反応に特別な触媒が不要で、短時間で簡易にマイクロカプセルを製造可能な点で広く利用されている(特公昭54−16949号公報、特開昭54−49984号公報、特開昭56−51238号公報、特公平5−27452号公報、特公平5−51339号公報、特公平5−53539号公報、特許第2634836号公報)。in−Situ重合法は、水溶性のアニオン性高分子電解質を乳化分散剤として用い、膜壁を形成するための硬化剤としてメラミン樹脂や尿素樹脂等のアミノ樹脂を用いる。しかし、この方法は、他の方法と比べて膜壁の緻密性等が悪く、硬くて脆いものになりやすく、カプセルの粒子径を大きくするには限界があり、また、製造工程中にホルムアルデヒドが発生する等の問題があった。
界面重合法は、乳化分散剤を用いて油性芯物質を水相中に分散させ、油性芯物質の表面(油相と水相の界面)で重合又は縮合反応をさせることによりカプセル膜壁を形成させる方法である。従来、乳化分散剤としてポリビニルアルコール(PVA)が用いられており、膜壁を形成する硬化剤として、イソシアネート、酸クロライド、エポキシ化合物等の反応性の強い化合物が用いられるため、コアセルベーション法よりは強靭な膜壁を形成できるものの、重合反応の制御が困難であった。また、反応性の強い活性水素を有する芯物質を用いた場合には、直ちに反応してゲル化を引き起こすため使用できず、また毒性が高く、高価である等の欠点があった。
界面重合法において、特に硬化剤としてイソシアネートを用いた場合には、弾性体であるポリウレタン又はポリウレアからなる膜壁を形成でき、強度及び耐水性に優れたマイクロカプセルを得ることができることが知られている。例えば、特公昭63−33474号公報、特開昭63−107741号公報、特開昭64−72886号公報、特開平2−2057号公報、特許2797960号公報には、硬化剤としてイソシアネートを用い、乳化分散剤としてポリビニルアルコール(PVA)を用いた界面重合法によりカプセル膜壁の強度に優れたマイクロカプセルを製造することができることが記載されている。しかし、従来の方法によって形成されるマイクロカプセルは、粒子径分布が広く、小さすぎたり大きすぎる粒子が多く含まれるなどの問題があった。このため、得られたマイクロカプセルをノーカーボン紙の材料に用いた場合には、粒子が小さすぎるカプセルは破壊されないため発色性が不足し、破壊できずに残存したカプセルが無駄となり、また、粒子が大きすぎるものは潰れやすく滲みや汚染の原因となる等、実用上の問題点が多かった。
上記の通り、硬化剤としてメラミン樹脂を用いる方法、イソシアネートを用いる方法のいずれも特徴があり、工業的によく利用されている。しかし、それぞれのマイクロカプセル製造形態が異なるため、乳化分散剤には別々のアニオン性高分子電解質組成物が用いられてきた。又、それぞれの方法に対して、粒子径分布が狭く、適度な大きさのカプセル粒子が得られる的確なアニオン性高分子電解質がなく、しかもメラミン樹脂法、イソシアネート法両者に対して同一の乳化分散剤で可能な、経済性に優れたアニオン性高分子電解質もなかった。
特公昭54−16949号公報 特開昭54−49984号公報 特開昭56−51238号公報 特公平5−27452号公報 特公平5−51339号公報 特公平5−53539号公報 特許第2634836号公報 特公昭63−33474号公報 特開昭63−107741号公報 特開昭64−72886号公報 特開平2−2057号公報 特許2797960号公報
本発明の目的は、適度な大きさの粒子を多く含有し、強度、緻密性、耐水性、耐熱性、耐温湿性に優れ、且つ短時間で効率よく製造できる安価なマイクロカプセルとその製造法、該マイクロカプセルを調製する上で乳化分散剤として有用なマイクロカプセル調製用アニオン性高分子電解質、及び該マイクロカプセル調製用アニオン性高分子電解質を調製するために用いられるアニオン性高分子電解質調製用単量体組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、ノンカーボン紙に用いた場合に、優れた発色性、耐汚れ性を発揮しうるマイクロカプセルとその製造法、該マイクロカプセルを調製する上で乳化分散剤として有用なマイクロカプセル調製用アニオン性高分子電解質、及び該マイクロカプセル調製用アニオン性高分子電解質を調製するために用いられるアニオン性高分子電解質調製用単量体組成物を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、多価イソシアネートを油性芯物質に溶解した溶液をアニオン性高分子電解質の水溶液中に乳化分散させた乳化液中で、イソシアネートの硬化反応により前記油性芯物質の表面に膜壁を形成してマイクロカプセルを製造する場合にも、アニオン性高分子電解質の水溶液中に油性芯物質を乳化分散させた乳化液中で、メラミンとホルムアルデヒドの初期縮合物の硬化反応により前記油性芯物質の表面に膜壁を形成してマイクロカプセルを製造する場合にも乳化分散剤として使用でき、しかも少量で諸特性に優れるマイクロカプセルを調製できるマイクロカプセル調製用アニオン性高分子電解質、及び該アニオン性高分子電解質を調製するための原料として有用なアニオン性高分子電解質調製用単量体組成物を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、マイクロカプセルを調製する際、油性芯物質の乳化分散性がよく、乳化液が安定で、高濃度且つ低粘度のカプセルスラリーを形成しうるマイクロカプセル調製用アニオン性高分子電解質、及び該マイクロカプセル調製用アニオン性高分子電解質を調製するための原料として有用なアニオン性高分子電解質調製用単量体組成物を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、特定の単量体組成からなるアニオン性高分子電解質を用いることにより、少量の使用で油性芯物質を良好に乳化分散することができ、適度な大きさのカプセル粒子を高濃度に含有するマイクロカプセルスラリーを得ることができること、さらに、該カプセルの膜壁(壁膜)を特定の樹脂で形成することにより、強度、緻密性、耐水性、耐熱性、耐温湿性を向上しうることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、アニオン性高分子電解質を含む乳化液中で油性芯物質の表面に硬化剤を硬化させ膜壁を形成して得られるマイクロカプセルであって、カルボキシル基含有重合性不飽和単量体(a)と水酸基含有重合性不飽和単量体(b)とメタクリロイルポリオキシアルキレンアシッドフォスフェート(c)とを含み、且つ前記カルボキシル基含有重合性不飽和単量体(a)と前記水酸基含有重合性不飽和単量体(b)の総量が、全重合性不飽和単量体に対して90重量%以上であり、且つ前記カルボキシル基含有重合性不飽和単量体(a)と前記水酸基含有重合性不飽和単量体(b)の総量に対して、前記カルボキシル基含有重合性不飽和単量体(a)を40〜95重量%、前記水酸基含有重合性不飽和単量体(b)を5〜60重量%、前記メタクリロイルポリオキシアルキレンアシッドフォスフェート(c)を1〜10重量%含む重合性不飽和単量体混合物を水溶液重合して得られる水溶性共重合体であることを特徴とするマイクロカプセルを提供する。
前記マイクロカプセルには、多価イソシアネートを油性芯物質に溶解した溶液をアニオン性高分子電解質の水溶液中に乳化分散させた乳化液中で、前記多価イソシアネートの硬化反応により前記油性芯物質の表面に膜壁を形成して得られるマイクロカプセルや、アニオン性高分子電解質の水溶液中に油性芯物質を乳化分散させた乳化液中で、メラミンとホルムアルデヒドの初期縮合物の硬化反応により前記油性芯物質の表面に膜壁を形成して得られるマイクロカプセルなどが含まれる。
アニオン性高分子電解質の使用量は、例えば、油性芯物質100重量部に対して1〜25重量部程度である。
多価イソシアネートとしては、芳香族系多価イソシアネート又は脂肪族系多価イソシアネートの何れも使用できる。
本発明は、また、アニオン性高分子電解質を含む乳化液中で油性芯物質の表面に硬化剤を硬化させることにより膜壁を形成してマイクロカプセルを製造する方法であって、該アニオン性高分子電解質として、カルボキシル基含有重合性不飽和単量体(a)と水酸基含有重合性不飽和単量体(b)とメタクリロイルポリオキシアルキレンアシッドフォスフェート(c)とを含み、且つ前記カルボキシル基含有重合性不飽和単量体(a)と前記水酸基含有重合性不飽和単量体(b)の総量が、全重合性不飽和単量体に対して90重量%以上であり、且つ前記カルボキシル基含有重合性不飽和単量体(a)と前記水酸基含有重合性不飽和単量体(b)の総量に対して、前記カルボキシル基含有重合性不飽和単量体(a)を40〜95重量%、前記水酸基含有重合性不飽和単量体(b)を5〜60重量%、前記メタクリロイルポリオキシアルキレンアシッドフォスフェート(c)を1〜10重量%含む重合性不飽和単量体混合物を水溶液重合して得られる水溶性共重合体を用いることを特徴とするマイクロカプセルの製造法を提供する。
本発明は、さらに、乳化液中で油性芯物質の表面に硬化剤を硬化させることにより膜壁を形成してマイクロカプセルを製造する際に乳化分散剤として用いられるアニオン性高分子電解質であって、カルボキシル基含有重合性不飽和単量体(a)と水酸基含有重合性不飽和単量体(b)とメタクリロイルポリオキシアルキレンアシッドフォスフェート(c)とを含み、且つ前記カルボキシル基含有重合性不飽和単量体(a)と前記水酸基含有重合性不飽和単量体(b)の総量が、全重合性不飽和単量体に対して90重量%以上であり、且つ前記カルボキシル基含有重合性不飽和単量体(a)と前記水酸基含有重合性不飽和単量体(b)の総量に対して、前記カルボキシル基含有重合性不飽和単量体(a)を40〜95重量%、前記水酸基含有重合性不飽和単量体(b)を5〜60重量%、前記メタクリロイルポリオキシアルキレンアシッドフォスフェート(c)を1〜10重量%含む重合性不飽和単量体混合物を水溶液重合して得られる水溶性共重合体で構成されたマイクロカプセル調製用アニオン性高分子電解質を提供する。
本発明は、さらに、乳化液中で油性芯物質の表面に硬化剤を硬化させることにより膜壁を形成してマイクロカプセルを製造する際に乳化分散剤として用いられるアニオン性高分子電解質を調製するための単量体組成物であって、カルボキシル基含有重合性不飽和単量体(a)と水酸基含有重合性不飽和単量体(b)とメタクリロイルポリオキシアルキレンアシッドフォスフェート(c)とを含み、且つ前記カルボキシル基含有重合性不飽和単量体(a)と前記水酸基含有重合性不飽和単量体(b)の総量が、全重合性不飽和単量体に対して90重量%以上であり、且つ前記カルボキシル基含有重合性不飽和単量体(a)と前記水酸基含有重合性不飽和単量体(b)の総量に対して、前記カルボキシル基含有重合性不飽和単量体(a)を40〜95重量%、前記水酸基含有重合性不飽和単量体(b)を5〜60重量%、前記メタクリロイルポリオキシアルキレンアシッドフォスフェート(c)を1〜10重量%含む重合性不飽和単量体混合物で構成されたアニオン性高分子電解質調製用単量体組成物を提供する。
お、本明細書では上記の発明のほか、
(1)アニオン性高分子電解質を含む乳化液中で油性芯物質の表面に硬化剤を硬化させ膜壁を形成して得られるマイクロカプセルであって、前記アニオン性高分子電解質が、カルボキシル基含有重合性不飽和単量体(a)と水酸基含有重合性不飽和単量体(b)からなる重合性不飽和単量体混合物を水溶液重合して得られる水溶性共重合体であることを特徴とするマイクロカプセル、
(2)アニオン性高分子電解質を含む乳化液中で油性芯物質の表面に硬化剤を硬化させることにより膜壁を形成してマイクロカプセルを製造する方法であって、該アニオン性高分子電解質として、カルボキシル基含有重合性不飽和単量体(a)と水酸基含有重合性不飽和単量体(b)からなる重合性不飽和単量体混合物を水溶液重合して得られる水溶性共重合体を用いることを特徴とするマイクロカプセルの製造法、
(3)乳化液中で油性芯物質の表面に硬化剤を硬化させることにより膜壁を形成してマイクロカプセルを製造する際に乳化分散剤として用いられるアニオン性高分子電解質であって、カルボキシル基含有重合性不飽和単量体(a)と水酸基含有重合性不飽和単量体(b)からなる重合性不飽和単量体混合物を水溶液重合して得られる水溶性共重合体で構成されたマイクロカプセル調製用アニオン性高分子電解質、
及び(4)乳化液中で油性芯物質の表面に硬化剤を硬化させることにより膜壁を形成してマイクロカプセルを製造する際に乳化分散剤として用いられるアニオン性高分子電解質を調製するための単量体組成物であって、カルボキシル基含有重合性不飽和単量体(a)と水酸基含有重合性不飽和単量体(b)からなる重合性不飽和単量体混合物で構成されたアニオン性高分子電解質調製用単量体組成物、についても説明する。
本発明によれば、マイクロカプセルの製造に特定構造のアニオン性高分子電解質を用いるため、油性芯物質の乳化分散性が良好であり、乳化液が安定で、高濃度、低粘度のカプセルスラリーが生成する。また、油性芯物質に溶解された多価イソシアネートによりウレタン硬化膜壁を形成してマイクロカプセルを製造する場合にも、また水相中に溶解したメラミンとホルムアルデヒドの初期縮合物の硬化膜壁によりマイクロカプセルを製造する場合にも、共通のアニオン性高分子電解質で乳化分散が可能である。さらに、得られるマイクロカプセルは、適度な大きさの粒子からなり、強度、緻密性、耐水性、耐熱性、耐温湿性に優れている。
さらに、ウレタン法では、油性芯物質に対して、イソシアネート及びアニオン性高分子電解質の使用量を低減させた場合にも安定なカプセルスラリーが得られるため、経済性に優れている上、カプセル製造中及び応用の際、ホルムアルデヒドの発生がない点で環境面でも有利である。また、メラミン法でも、油性芯物質に対して、アニオン性高分子電解質の使用量を低減させた場合にも安定なカプセルスラリーが得られるため、経済性に優れている。このようなマイクロカプセルによれば、油性芯物質をマイクロカプセルに封じた状態で長期間保存することができ、加圧により容易に破壊して油性芯物質を速やかに放出することができる。このため、特に発色性に優れ、滲みなどの汚染がされにくいノーカーボン紙の材料として好適である。
本発明のマイクロカプセルは、アニオン性高分子電解質を含む乳化液中で油性芯物質の表面に硬化剤を硬化させ膜壁を形成して得られるマイクロカプセルであって、前記アニオン性高分子電解質が、カルボキシル基含有重合性不飽和単量体(a)と水酸基含有重合性不飽和単量体(b)からなる重合性不飽和単量体混合物を水溶液重合して得られる水溶性共重合体であることを特徴とする。
本発明のマイクロカプセルとしては、アニオン性高分子電解質を含む乳化液中で油性芯物質の表面に硬化剤を硬化させることにより膜壁を形成して得られるものであれば特に限定されないが、その代表的な例として、(i)多価イソシアネートを油性芯物質に溶解した溶液をアニオン性高分子電解質の水溶液中に乳化分散させた乳化液中で、前記多価イソシアネートの硬化反応により前記油性芯物質の表面に膜壁を形成して得られるマイクロカプセル、及び(ii)アニオン性高分子電解質の水溶液中に油性芯物質を乳化分散させた乳化液中で、メラミンとホルムアルデヒドの初期縮合物の硬化反応により前記油性芯物質の表面に膜壁を形成して得られるマイクロカプセルが挙げられる。カルボキシル基含有重合性不飽和単量体(a)と水酸基含有重合性不飽和単量体(b)からなる重合性不飽和単量体混合物を水溶液重合して得られる水溶性共重合体で構成されるアニオン性高分子電解質を乳化分散剤として用いると、上記(i)、(ii)の何れの場合にも共通して、油性芯物質の乳化分散性が良好であり、高濃度、低粘度のカプセルスラリーが得られるとともに、生成するマイクロカプセルは、適度な大きさの粒子からなり、強度、緻密性、耐水性、耐熱性、耐温湿性に優れたものとなる。
カルボキシル基含有重合性不飽和単量体(a)としては、カルボキシル基(酸無水物基を含む)と重合性不飽和基を有する単量体であれば特に限定されないが、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、α−エチルアクリル酸、β−エチルアクリル酸、β−プロピルアクリル酸、β−イソプロピルアクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、フマル酸、β−カルボキシエチルアクリレート(β−CEA)[ダイセルユーシービー(株)製]、商品名「ライトエステルHOA−MS」(共栄社化学社製)などが挙げられる。なお、分子内のカルボキシル基は遊離していてもよく、一部又は全部がナトリウム、カリウムなどの金属、アンモニウム、アミンなどの塩を形成していてもよい。これらは単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
カルボキシル基含有重合性不飽和単量体(a)を共重合に用いると、乳化液の安定性が向上し、油性芯物質を均一に分散することができる。
カルボキシル基含有重合性不飽和単量体(a)の使用量は、カルボキシル基含有重合性不飽和単量体(a)と水酸基含有重合性不飽和単量体(b)の総量に対して、好ましくは40〜95重量%、さらに好ましくは50〜90重量%、特に好ましくは55〜85重量%である。カルボキシル基含有重合性不飽和単量体(a)の使用量が40重量%未満の場合には、水溶解性が不足して、マイクロカプセル製造用樹脂組成物として油性芯物質の乳化分散力が弱く、乳化粒子の安定性に欠けることがある。95重量%を超える場合には、疎水性部分が少なく水溶性が大きすぎ、乳化分散剤としてのHLBバランスに欠け、カプセルスラリーが異常に高粘度となったり、分離を起こすなど不安定となりやすい。
水酸基含有重合性不飽和単量体(b)としては、水酸基と重合性不飽和基を有する単量体であれば特に限定されないが、例えば、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシブチル、メタクリル酸ヒドロキシブチル、ε−カプロラクトン変性アクリルモノマー等の水酸基含有アクリル系モノマーなどが挙げられる。これらは1種または2種以上が組み合わされて使用される。ε−カプロラクトン変性アクリルモノマーとしては、ダイセル化学工業(株)の商品名「プラクセルFA−1」、「プラクセルFA−2」、「プラクセルFA−3」、「プラクセルFA−4」、「プラクセルFA−5」、「プラクセルFM−1」、「プラクセルFM−2」、「プラクセルFM−3」、「プラクセルFM−4」、及び「プラクセルFM−5」などが挙げられる。
水酸基含有重合性不飽和単量体(b)は、カルボキシル基含有重合性不飽和単量体(a)と比較すれば水溶解性が少なく、乳化分散剤としてHLBバランスを下げる効果があり、重合体の乳化分散性を高める。このことにより、少量の乳化分散剤で大量の油性芯物質を安定に乳化分散させる能力が優れる。また、重合体に水酸基部位を導入することにより、該水酸基部位が油性芯物質中に溶解された多価イソシアネートまたは水相中のメラミン樹脂等の硬化剤と反応して、粒子状に分散した油性芯物質表面にポリウレタンからなる硬化膜またはメラミン樹脂硬化膜等の硬化膜を形成する役割がある。すなわち、水酸基含有重合性不飽和モノマー(b)は、本発明のマイクロカプセルにおいてポリウレタンまたはメラミン樹脂等からなる強靭な硬化膜を形成する機能を発揮し、耐湿熱性と耐熱性を付与するための必須成分である。
水酸基含有重合性不飽和単量体(b)の使用量は、カルボキシル基含有重合性不飽和単量体(a)と水酸基含有重合性不飽和単量体(b)の総量に対して、好ましくは5〜60重量%、さらに好ましくは10〜50重量%、特に好ましくは15〜45重量%である。水酸基含有重合性不飽和単量体(b)の使用量が5重量%未満の場合には、カプセル膜壁の強度が小さくなり、カプセルが破壊されやすく、カプセルの耐熱性も低下しやすい。50重量%を超える場合は、重合体の水溶解性が不足する傾向となり、カプセルスラリーの乳化分散性に欠け、安定性に劣りやすく、油性芯物質の分離が生じやすくなり好ましくない。
水溶液重合に付す重合性不飽和単量体混合物は、カルボキシル基含有重合性不飽和単量体(a)と水酸基含有重合性不飽和単量体(b)のみで構成されていてもよいが、カルボキシル基含有重合性不飽和単量体(a)と水酸基含有重合性不飽和単量体(b)を主成分とし、これら以外の重合性不飽和単量体を少量含んでいてもよい。水溶液重合に付す重合性不飽和単量体混合物中のカルボキシル基含有重合性不飽和単量体(a)と水酸基含有重合性不飽和単量体(b)の総量は、全重合性不飽和単量体に対して、一般に70重量%以上、好ましくは80重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上である。
本発明においては、カルボキシル基含有重合性不飽和単量体(a)及び水酸基含有重合性不飽和単量体(b)のほかにメタクリロイルポリオキシアルキレンアシッドフォスフェート(c)を含む重合性不飽和単量体を水溶液重合に付すのが好ましい。
メタクリロイルポリオキシアルキレンアシッドフォスフェート(c)におけるアルキレン基には、例えば、エチレン基、プロピレン基等の炭素数2〜4程度の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基、及びこれらの組み合わせが含まれる。代表的なメタクリロイルポリオキシアルキレンアシッドフォスフェート(c)として、例えば、下記式(1)で表されるメタクリロイルポリオキシエチレンアシッドフォスフェート(c1)、下記式(2)で表されるメタクリロイルポリオキシプロピレンアシッドフォスフェート(c2)などが挙げられる。式中、mは1〜12の整数、nは1〜16の整数を示す。
Figure 0005201783
Figure 0005201783
メタクリロイルポリオキシアルキレンアシッドフォスフェート(c)は単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。メタクリロイルポリオキシアルキレンアシッドフォスフェート(c)の使用量(総和)は、カルボキシル基含有重合性不飽和単量体(a)及び水酸基含有重合性不飽和単量体(b)の総量に対して、好ましくは0.2〜15重量%、より好ましくは1〜10重量%である。メタクリロイルポリオキシアルキレンアシッドフォスフェート(c)の上記使用量が0.2重量%未満の場合には、特にメラミン樹脂等の硬化剤を用いたときの硬化速度が遅く、カプセル膜壁の強度が不足する傾向にあり、例えば紙基材などに塗布したマイクロカプセルの耐熱性や耐温湿性、貯蔵安定性が低くなる場合がある。メタクリロイルポリオキシアルキレンアシッドフォスフェート(c)の上記使用量が15重量%より多いと、乳化分散が悪くなり、凝集や分離を引き起こす傾向がある。また、ポリウレタン膜の硬化反応が局部的に進むことにより強度が不均一となり、しかも弱い膜壁となるため不安定なマイクロカプセルになりやすい。
本発明では、乳化分散性重合体としてのHLBバランスを保ったり、膜強度を高めたりするため、上記重合性不飽和単量体(a)、(b)、(c)以外の重合性不飽和単量体(カルボキシル基及び水酸基のいずれも含有しない重合性不飽和単量体)(d)を共重合に用いてもよい。このような重合性不飽和単量体として、例えば、アルキル基の炭素数が1〜18である(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリロニトリル、スチレン系モノマー、アミド結合含有重合性不飽和単量体、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、エポキシ基含有重合性不飽和単量体、加水分解性シリル基を有する重合性不飽和単量体、多官能ビニル基含有重合性不飽和単量体などが挙げられる。これらは1種又は2種以上組み合わせて使用できる。
アルキル基の炭素数が1〜18である(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等が挙げられる。これらの1種又は2種以上が適宜組み合わされ使用される。なかでも、アルキルの炭素数が1〜10の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましい。
スチレン系モノマーとしては、スチレンのほかにα−メチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられる。これらのモノマーは1種又は2種以上組み合わせて使用できる。
アルキル基の炭素数が1〜18である(メタ)アクリル酸アルキルエステル、スチレン系モノマーは、マイクロカプセルの膜壁に良好な硬さと強靭性を付与しうる場合がある。また、ポリマーに乳化分散剤として必要な疎水性を付与し、HLBを低下させ、油性芯物質との親和性を高める効果がある。
(メタ)アクリロニトリルは、モノマー単独では親水性であるが、重合後はポリマーに高度な疎水性を付与して、HLBを下げる作用がある。さらに、重合体に結晶性を付与し、マイクロカプセルの膜壁成分として強靭で耐熱性を向上させる働きを示す場合がある。
アミド基含有重合性不飽和単量体としては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアクリルアミド、α−エチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミド、N−ビニルピロリドンなどが挙げられる。これらは単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
ポリエチレングリコールモノメタクリレート及びポリプロピレングリコールモノメタクリレートは、共重合モノマーとして用いると、ノニオン性の乳化剤成分としての機能を発揮することができる。ノニオン性乳化剤は、系のHLBを調節して、乳化ミセルのサイズを大きくし、粒径が大きい粒子を均一に形成することができる点で、一般に分散粒子の粒子径が小さくなるアニオン性乳化剤より有利である。このように、ポリエチレングリコールモノメタクリレート又はポリプロピレングリコールモノメタクリレートが共重合された乳化分散剤は、比較的粒子が高濃度に分布するように制御することができる場合がある。また、油性芯物質に対して少ない乳化分散剤の使用比率で安定なマイクロカプセルスラリーを得られる傾向がある。
エポキシ基含有重合性不飽和単量体としては、エポキシ基と重合性不飽和基を有する単量体であれば特に限定されないが、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート(GMA)、グリシジルクロトネート、グリシジルアリルエーテル、β−グリシジルメタクリレート、(3,4−エポキシクロロヘキシル)メチルメタクリレート、3−エポキシクロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等が挙げられる。通常、グリシジルメタクリレート等のグリシジル基含有不飽和単量体が使用される場合が多い。エポキシ基含有重合性不飽和単量体は、特にカルボキシル基との架橋性に富み、メラミン樹脂による硬化を補強して、マイクロカプセルにおいて強靭な膜壁を形成する働きがある。
加水分解性シリル基を有する重合性不飽和単量体としては、シリル基などの加水分解縮合性基を有する不飽和単量体であれば特に限定されないが、例えば、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のアルコキシシリル基を含有するモノマーが挙げられる。加水分解性シリル基含有重合性不飽和単量体は、加水分解性シリル基が空気中の湿気等により加水分解し、シロキサン結合による架橋構造を形成しうるため(湿気硬化)、メラミン樹脂による硬化を補強して、マイクロカプセルにおいて強靭な膜壁を形成し、耐熱性を向上させる働きがある。
多官能ビニル基含有重合性不飽和単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールジ(メタ)アクリレート等のジビニル系モノマー;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のトリビニル系モノマー;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のヘキサビニル系モノマーなどが挙げられる。多官能ビニル基含有重合性不飽和単量体は、内部架橋性に優れ、マイクロカプセルにおいて硬く強靭で耐熱性に優れた膜壁を形成する働きをする。
上記重合性不飽和単量体(a)、(b)、(c)以外の重合性不飽和単量体(d)の使用量は、カルボキシル基含有重合性不飽和単量体(a)及び水酸基含有重合性不飽和単量体(b)の総量に対して、好ましくは1〜20重量%、より好ましくは3〜10重量%程度である。
水溶液重合は、前記重合性不飽和単量体(a)及び(b)、又は(a)、(b)及び(c)、又は必要に応じてこれらの不飽和単量体と重合性不飽和単量体(d)からなる重合性不飽和単量体混合物を水性液中で、ラジカル重合開始剤の存在下、撹拌下に加熱することによって実施できる。反応温度は例えば30〜100℃程度、反応時間は0.5〜10時間程度が好ましい。反応温度の調節は、水を仕込んだ反応容器にモノマー混合液を一括添加又は暫時滴下することによって行うとよい。
ラジカル重合開始剤としては、通常アクリル樹脂の乳化重合や水溶液重合で使用される公知の開始剤が使用できる。具体的には、水溶性のフリーラジカル重合開始剤として、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素などや、これらの酸化剤と、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ロンガリット、アスコルビン酸等の還元剤との組み合わせからなるレドックス系開始剤などが、それぞれ水溶液の形で使用される。上記以外のラジカル重合開始剤として、クメンパーオキサイド、シクロヘキサンパーオキサイド、ジt−ブチルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、アゾビスイソブチルニトリルなどを用いることもできる。
上記重合反応により、水溶性共重合体からなるアニオン性高分子電解質を得ることができる。アニオン性高分子電解質の重量平均分子量は、特に限定されないが、一般に1000〜200000程度、好ましくは5000〜100000程度である。前記重量平均分子量は、ラジカル重合開始剤の使用量により適宜調整することができる。
本発明では、アニオン性高分子電解質は、水と種々の割合で混合溶解可能であり、該アニオン性高分子電解質を水に溶解した水溶液の形態で利用される。前記水溶液のpHは、多価イソシアネートを硬化剤とする場合は、例えば5〜9、好ましくは5〜8程度、メラミン樹脂を硬化剤とする場合は、例えば1〜6、好ましくは2〜5程度であり、必要に応じて適宜調整される。pHの調整に際し、酸性とする場合には、例えば、塩酸、硫酸などの無機酸;ギ酸、酢酸、クエン酸、リン酸などの有機酸等を、アルカリ性とする場合には、例えば、苛性ソーダ等のアルカリ金属の水酸化物、炭酸ソーダ等のアルカリ金属の炭酸塩などの無機塩基;アミン類、アンモニア等の塩基性物質を用いることができる。
アニオン性高分子電解質の水溶液の固形分濃度(不揮発分)は、例えば10〜40重量%である。10重量%未満では、生成カプセル濃度が低くなり生産効率が悪く、40重量%を超えるとアニオン性高分子電解質の水溶液(樹脂水溶液)の粘度が高くなりすぎてカプセルの分散が悪くなる傾向にあり好ましくない。
こうして得られるアニオン性高分子電解質の水溶液は、粘度が例えば30〜1000mPa・s、好ましくは50〜500mPa・s程度である。前記水溶液の粘度が30mPa・s未満では、油性芯物質に対する乳化分散性が弱く、カプセル化工程において凝集や分離が生じやすく、1000mPa・sを超えると、作業性に劣り、得られるカプセルスラリーも高粘度となるため好ましくない。前記粘度はpH2〜6の条件下、固形分濃度15〜25重量%程度のアニオン性高分子電解質の水溶液について、B型粘度計(60rpm)を用いて23℃で測定した値である。
本発明におけるアニオン性高分子電解質は、上記構成を有するため、少量の使用で油性芯物質に対して優れた乳化分散性を発揮することができる。従って、油性芯物質を乳化分散する際にアニオン性高分子電解質を多量に使用する必要がなく、油が表面に浮いたり、カプセルスラリーが分離してしまうなどの弊害を回避することができる。このようなアニオン性高分子電解質の使用量は、油性芯物質100重量部に対して、好ましくは1〜25重量部、特に好ましくは5〜20重量部程度である。アニオン性高分子電解質の使用量が1重量部未満では、乳化分散力が弱くなり、カプセル化工程において凝集や浮きが生じやすくなる。一方、25重量部を超えると、得られるカプセルスラリーの粘度が高くなったり粒子径が小さくなりやすく、良好なマイクロカプセルが得られにくくなり、また不経済である。また、アニオン性高分子電解質の使用量は、製造過程におけるカプセルスラリーの固形分濃度(不揮発分)、粘度、目的とするマイクロカプセルの粒子径等に応じて適宜選択できる。
油性芯物質の乳化分散は、アニオン性高分子電解質の水溶液に油性芯物質(硬化剤を溶解したものであってもよい)を添加した後、ホモジナイザー等の慣用の撹拌機を用いて強制的に撹拌することにより行われる。撹拌は短時間で行うことが好ましく、例えば、ホモジナイザーを用いて回転速度5000〜10000rpmの高速で、10分程度撹拌する方法により行うことができる。
本発明のマイクロカプセルの一つは、多価イソシアネートを油性芯物質に溶解した溶液をアニオン性高分子電解質の水溶液中に乳化分散させた乳化液中で形成される。該マイクロカプセルは、油性芯物質の表面にイソシアネートの硬化物からなる膜壁が形成された構成を有している。
多価イソシアネートとしては、2以上のイソシアネート基を有する化合物であれば特に限定されず、例えば、芳香族系多価イソシアネート、脂肪族系多価イソシアネートなどが挙げられる。
芳香族系多価イソシアネートとしては、例えば2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネートなどのジイソシアネート類;トリフェニルメタントリイソシアネートなどのトリイソシアネート類;4,4′−ジメチルジフェニルメタン−2,2’,5,5’−テトライソシアネートなどのテトライソシアネート類;ポリメチレンポリフェニルイソシアネートなどのポリイソシアネート類;及びこれらに多価ヒドロキシ化合物、多価アミン、多価カルボン酸、多価チオール、エポキシ化合物等の親水性基を有する化合物が付加した付加物などが挙げられる。前記付加物の具体例としては、ヘキサントリオールの付加物、トリメチロールプロパンの付加物などが挙げられる。また、芳香族系多価イソシアネートには、上記に例示のイソシアネート類のイソシアヌレート体;トリス(p−イソシネートフェニル)チオフォスファイト等のイソシアネート類の改質体なども含まれる。
脂肪族系多価イソシアネートとしては、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、プロピレン−1,2−ジイソシアネート、ブチレン−1,2−ジイソシアネート、エチリジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等のジイソシアネート類;及びこれらに多価ヒドロキシ化合物、多価アミン、多価カルボン酸、多価チオール、エポキシ化合物等の親水性基を有する化合物が付加した付加物などが挙げられる。前記付加物の具体例としては、ヘキサントリオールの付加物、トリメチロールプロパンの付加物などが挙げられる。また、脂肪族系多価イソシアネートには、上記の他に、上記に例示のイソシアネート類のイソシアヌレート体;ビウレット錯体等の改質体なども含まれる。
これらの多価イソシアネートは単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよく、例えば芳香族系多価イソシアネートと脂肪族系多価イソシアネートとを組み合わせて用いることもできる。本発明における多価イソシアネートとしては、芳香族系多価イソシアネート又は脂肪族系多価イソシアネートが好ましく用いられる。
多価イソシアネートの使用量は、油性芯物質100重量部に対して、一般に5〜30重量部、好ましくは10〜25重量部程度である。多価イソシアネートの使用量が5重量部未満では、イソシアネートの硬化が不十分で膜壁強度が小さく、カプセル強度が不足するため実用上不利になりやすい。一方、30重量部より多い場合は、カプセル製造中や貯蔵中に泡が異常発生しやすく、カプセルスラリーがゲル化してしまう場合もあり好ましくない。
上記アニオン性高分子電解質の水溶液中に、多価イソシアネートを油性芯物質に溶解した溶液を乳化分散させた乳化液中で、イソシアネートの硬化反応が進行することにより前記油性芯物質の表面に膜壁が形成されてマイクロカプセルが構成される。すなわち、このマイクロカプセルは、イソシアネートの硬化物であるポリウレタンからなるカプセル膜壁で構成されている。
イソシアネートの硬化反応は、具体的には、例えば、多価イソシアネートのイソシアネート部位と、アニオン性高分子電解質に由来する水酸基部位とが反応することにより進行する。アニオン性高分子電解質に由来する水酸基部位とは、該電解質が含有する水酸基部位であって、例えば、アニオン性高分子電解質を形成する重合性不飽和単量体混合物の必須成分として用いられる水酸基含有重合性不飽和単量体(b)に由来する水酸基部位が利用される。このため、アニオン性高分子電解質の形成に用いる水酸基含有重合性不飽和単量体(b)の種類と使用量を適宜調整することにより、生成カプセルの緻密性、膜壁強度、耐熱性、粒子径等を制御することができる。
硬化反応時の系内におけるアニオン性高分子電解質と多価イソシアネートとの比率は、前者/後者(重量比)が例えば0.3〜6、好ましくは0.5〜3である。前記比率が小さすぎると、カプセル化で分離、増粘又は凝集が起こりやすく、比率が大きすぎると分散粒子が小さくなりやすく好ましくない。
前記イソシアネートの硬化反応は、中性条件下で、適度な反応速度で進行することができる。このため、硬化を強酸性条件下で行うことによる装置の腐蝕の問題がなく、硬化反応を容易にコントロールでき、強靭なポリウレタン樹脂からなるカプセル膜壁を形成することができる。また、ホルムアルデヒド発生の問題もなく、より環境に優しいマイクロカプセルとなる。
硬化反応は、アニオン性高分子電解質の水溶液(例えば中性水溶液)に、多価イソシアネートを油性芯物質に溶解した溶液を乳化分散させた後、例えば60〜90℃程度の温度を維持しつつ、0.5〜5時間程度撹拌することにより行うことができる。上記反応により、多価イソシアネートが、アニオン性高分子電解質に由来する水酸基部位との硬化反応が進行して、乳化液中に分散した油性芯物質の表面にポリウレタン樹脂からなる膜壁が形成される。
本発明のマイクロカプセルの他の一つは、アニオン性高分子電解質の水溶液中に油性芯物質を乳化分散させた乳化液中で、メラミンとホルムアルデヒドとの初期縮合物の硬化反応により前記油性芯物質の表面に膜壁を形成して得られる。すなわち、該マイクロカプセルは、前記初期縮合物の硬化物であるメラミン樹脂からなるカプセル膜壁で構成されている。
メラミンとホルムアルデヒドの初期縮合物は、例えば、メラミン、パラホルムホルムアルデヒド、ホルムアルデヒドからなる混合物や、メチロールメラミン等を出発原料として用いて得ることができる。前記メチロールメラミンは、メラミンとホルムアルデヒドの混合物を弱アルカリ性条件下、撹拌、加熱して生成することができる。また、市販品を利用することもできる。
メラミンとホルムアルデヒドとの初期縮合物におけるメラミンとホルムアルデヒドとの比率は、前者/後者(モル比)として、例えば1〜5、好ましくは1.5〜4、より好ましくは2〜3.5程度から適宜選択される。前記比率は、生成カプセルの緻密性、膜壁強度、耐熱性、粒子径等に大きく影響を与える。
メラミンとホルムアルデヒドとの初期縮合物は、pH8〜10の範囲の弱アルカリ性条件下、メラミンとホルムアルデヒド及び/又はパラホルムを加熱、撹拌することによりメチロール化反応を利用して調製できる。得られた初期縮合物(プレポリマー)の安定性、特に低温安定性を向上させるため、上記反応に次いで、pHを酸性側に下げ、反応系中で形成されたプレポリマーと等重量以上のメタノールを添加してメチルエーテル化反応を行い、アルカリで中和後、過剰のメタノールを減圧濃縮して除去することにより、所期の安定なメラミンとホルムアルデヒドとの初期縮合物を得ることも可能である。pHの調整には、上記に例示の酸又は塩基性物質を用いて行うことができる。
硬化反応時の系内におけるアニオン性高分子電解質と、メラミンとホルムアルデヒドとの初期縮合物との比率は、前者/後者(重量比)が例えば0.2〜10、好ましくは0.3〜5である。前記比率が小さすぎると、カプセル化で分離、増粘又は凝集が起こりやすく、比率が大きすぎると分散粒子が小さくなりやすく好ましくない。
前記メラミンとホルムアルデヒドとの初期縮合物を用いた硬化反応は、弱酸性条件下で、適度な反応速度で進行することができる。このため、硬化を強酸性条件下で行うことによる装置の腐蝕や、硬化反応が速すぎることにより硬くて脆い膜壁が形成される等の問題がなく、硬化反応を容易にコントロールでき、強靭なメラミン樹脂からなるカプセル膜壁を形成することができる。
硬化反応は、アニオン性高分子電解質の水溶液に油性芯物質が乳化分散した乳化液と、メラミンとホルムアルデヒドとの初期縮合物を混合した後、例えば60〜90℃程度の温度を維持しつつ、0.5〜5時間程度撹拌することにより行うことができる。前記混合は、乳化液に初期縮合物を添加してもよく、初期縮合物が溶解した溶液に乳化液を添加してもよい。上記反応により、メラミンとホルムアルデヒドとの初期縮合物が硬化して、乳化液中に分散した油性芯物質の表面にメラミン樹脂からなる膜壁が形成される。
本発明において、油性芯物質としては、特に限定されないが、例えば、魚油、ラード油等の動物油、大豆油、胡麻油、落花生油、亜麻仁油、ひまし油、トウモロコシ油等の植物油、石油、ケロシン、ガソリン、ナフサ、パラフィン、トルエン、キシレン等の鉱物油;ビフェニル化合物、ターフェニル化合物、リン酸化合物、アルキルナフタレン系高沸点溶剤、アルキル置換ジフェニルアルカン、ジフェニルエタン、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、サリチル酸メチルなどの合成油等の油等を利用できる。また、油性芯物質としては、マイクロカプセルの用途、目的に応じて、例えば上記に例示の油に、香料、染料、医薬、農薬、食品、接着剤、触媒、示温剤、顕色剤、防錆剤、洗剤、液晶等を溶解した溶液を用いることもできる。
本発明のマイクロカプセルの大きさは、用途に応じて適宜選択できる。例えば、ノーカーボン紙(感圧記録紙)の材料に用いる場合には、平均粒子径が例えば3〜10μm程度である。一般にメラミン樹脂を硬化剤として用いると、多価イソシアネート系よりも粒子径が小さくなりやすい。
本発明のマイクロカプセルは、上記構成からなるため、小さすぎたり、大きすぎる粒子の割合が少なく、適度な大きさの粒子を高濃度で含む粒子径分布を有している。例えば、粒子径が2μm以下である小粒子群の割合は、マイクロカプセル全体の例えば15%以下、好ましくは10%以下、特に好ましくは5%以下であり、粒子径が10μm以上である大粒子群の割合は、マイクロカプセル全体の例えば20%以下、好ましくは15%以下、特に好ましくは5%以下であり、また、前記小粒子群と大粒子群との割合の合計は、マイクロカプセル全体の例えば30%以下、好ましくは20%以下、より好ましくは15%以下、特に好ましくは8%以下である。
特に、メラミン樹脂硬化系では、粒子径が2μm以下である小粒子群の割合は、マイクロカプセル全体の例えば15%以下、好ましくは10%以下、特に好ましくは5%以下である。一方、粒子径が8μm以上である大粒子群の割合は、マイクロカプセル全体の例えば20%以下、好ましくは15%以下、特に好ましくは5%以下である。また、前記小粒子群と大粒子群との割合の合計は、マイクロカプセル全体の例えば30%以下、好ましくは20%以下、より好ましくは15%以下、特に好ましくは8%以下である。
イソシアネート硬化系では、粒子径が3μm以下である小粒子群の割合は、マイクロカプセル全体の例えば15%以下、好ましくは10%以下、特に好ましくは5%以下である。一方、粒子径が10μm以上である大粒子群の割合は、マイクロカプセル全体の例えば20%以下、好ましくは15%以下、特に好ましくは5%以下である。また、前記小粒子群と大粒子群との割合の合計は、マイクロカプセル全体の例えば30%以下、好ましくは20%以下、より好ましくは15%以下、特に好ましくは8%以下である。
このように大きさの揃った粒子で構成されているマイクロカプセルは、品質に優れているため、広い分野に好適に利用することができる点で有利である。特に、ノーカーボン紙の材料に用いる場合には、粒子径が2μm以下の粒子は筆圧で破壊されずに残存して不経済となり、粒子径が10μm以上の粒子は簡単に破壊されやすく汚れの原因となるが、本発明のマイクロカプセルはいずれの粒子径の含有量も少ないため、筆圧でカプセルを確実に破壊して、発色性が優れ、汚れが少ないノーカーボン紙を安価に形成することができる。
マイクロカプセルの粒子径分布の調整は、例えば、アニオン性高分子電解質の使用量、アニオン性高分子電解質を形成する重合性単量体混合物の種類や使用量、多価イソシアネートの種類や使用量、又はメラミンとホルムアルデヒドの初期縮合物の使用量、メラミンとホルムアルデヒドの比率等を適宜選択することにより行うことができる。
マイクロカプセルは、通常、マイクロカプセルが水中に分散したカプセルスラリーの形態で得られる。この場合、カプセルスラリーの粘度は、例えば50〜2000mPa・s、好ましくは80〜500mPa・s程度である。前記50mPa・s未満では、沈降しやすくカプセルの形態が困難となり、2000mPa・sを超えると、カプセルの分散が悪く、大きすぎたり小さすぎる粒子が多く生成される点で好ましくない。なお、前記粘度は、B型粘度計(60rpm)を用いて23℃で測定した値である。
本発明によれば、油性芯物質の乳化分散性がよく、発泡もなく乳化液が安定で、高濃度且つ低粘度のスラリーが形成できるため、得られるマイクロカプセルは、適度な大きさの粒子を高濃度に有している。このため、強度、緻密性、耐水性、耐熱性、耐温湿性に優れている。さらに、製造工程が簡易であり短時間で上記特性を備えたマイクロカプセルを得ることができる。
本発明のマイクロカプセルは、ノーカーボン紙に代表される感圧記録材料、医薬品、農薬徐放剤、香料、粘接着剤、食品、洗剤、染料、触媒、酵素、防錆剤等の広範な分野で利用することができる。
本発明のマイクロカプセルは、特に、膜壁が緻密で、耐熱性を備え、高温多湿下で経時的変化がなく、しかも筆圧で容易に破壊しうる程度の大きさの粒子が多く分散している点で、ノーカーボン紙の原料として好適である。ノーカーボン紙は、マイクロカプセルの分散液(カプセルスラリー)を、ロールコーター、カーテンフローコーター、ブレードコーター、エアーナイフコーター、グラビアコーターなどの慣用のコーターを用いて、紙などの支持体上に塗布することにより製造できる。本発明のマイクロカプセルを用いることにより、紙の摩擦程度では破壊されないが筆圧で破壊可能な程度の強度を有し、良好な発色を呈するノーカーボン紙を製造することができる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、「部」、「%」は特に断りのない限り重量基準の値である。粘度は、B型粘度計を用いて23℃で測定した値を示す。実施例及び比較例の評価結果を表1に示す。なお、実施例1〜5、8〜12は、参考例として記載するものである。
調製例1
(アニオン性高分子電解質の合成)
撹拌機、滴下ロート、還流冷却器及び温度計を備えた反応容器に、イオン交換水460部を仕込み、撹拌しながら60℃まで昇温した。一方、アクリル酸(AA、80重量%濃度溶液)130部、メタクリル酸(MAA)28部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2HEMA)73部からなる重合性不飽和単量体をイオン交換水188部に均一に溶解して重合性不飽和単量体水溶液を調製し、該水溶液を滴下ロートに入れ、そのうち10%を反応容器に添加した。次に、反応容器の内部温度(内温)を75℃まで上げ、過硫酸カリウム(ラジカル重合開始剤)2部とイオン交換水10部とを反応容器に添加し、反応容器の内温80℃で10分間反応した。次に、前記重合性不飽和単量体水溶液の残り90%を反応容器の内温83〜85℃で3時間かけて滴下した。他方、過硫酸カリウム1部をイオン交換水40部に溶解して過硫酸カリウム水溶液を調製し、該水溶液を別の滴下ロートに入れ、重合性不飽和単量体水溶液の滴下開始1時間後から2時間30分かけて滴下した。過硫酸カリウム水溶液の滴下終了後、83〜85℃で1時間熟成反応を行った。その後、反応容器を40℃以下まで冷却し、苛性ソーダ10部をイオン交換水55部に溶解してアニオン性高分子電解質の水溶液に添加した。得られたアニオン性高分子電解質の水溶液の不揮発分(固形分濃度)は21.9%で、粘度は140mPa・s、pHは4.6であった。
調製例2
(アニオン性高分子電解質の合成)
調製例1において、重合性不飽和単量体混合物を構成するモノマーのうち、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2HEMA)73部の代わりに、メチルメタクリレート(MMA)23部、2−ヒドロキシエチルアクリレート50部を用いた点以外は、調製例1と同様の方法によりアニオン性高分子電解質の水溶液を得た。得られたアニオン性高分子電解質の水溶液の不揮発分は22.2%、粘度は160mPa・s、pHは4.5であった。
調製例3
(アニオン性高分子電解質の合成)
調製例1において、重合性不飽和単量体混合物を構成するモノマーのうち、アクリル酸(AA、80重量%濃度溶液)130部、メタクリル酸(MAA)28部の代わりに、アクリル酸(AA、80重量%濃度溶液)165部を用い、イオン交換水188部の代わりにイオン交換水181部を用いた点以外は、調製例1と同様の方法によりアニオン性高分子電解質の水溶液を得た。得られたアニオン性高分子電解質の水溶液の不揮発分は22.2%、粘度は180mPa・s、pHは4.4であった。
調製例4
(アニオン性高分子電解質の合成)
調製例2において、重合性不飽和単量体混合物を構成するモノマーのうち、MMA23部の代わりにアクリロニトリル(AN)23部を用いた点以外は、調製例1と同様の方法によりアニオン性高分子電解質の水溶液を得た。得られたアニオン性高分子電解質の水溶液の不揮発分は22.3%、粘度は130mPa・s、pHは4.6であった。
調製例5
(アニオン性高分子電解質の合成)
調製例2において、重合性不飽和単量体混合物を構成するモノマーのうち、メチルメタクリレート(MMA)23部、2−ヒドロキシエチルアクリレート50部の代わりに、メチルメタクリレート(MMA)17部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート56部を用いた点以外は、調製例1と同様の方法によりアニオン性高分子電解質の水溶液を得た。得られたアニオン性高分子電解質の水溶液の不揮発分は22.2%、粘度は180mPa・s、pHは4.5であった。
調製例6
(アニオン性高分子電解質の合成)
調製例1において、重合性不飽和単量体混合物を構成するモノマーのうち、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2HEMA)73部の代わりに、メタクリロイルポリオキシエチレン(6モル)アシッドフォスフェート10部、2−ヒドロキキシエチメタルアクリレート(2HEMA)63部を用いた点以外は、調製例1と同様の方法によりアニオン性高分子電解質の水溶液を得た。得られたアニオン性高分子電解質の水溶液の不揮発分は21.9%、粘度は170mPa・s、pHは4.4であった。
調製例7
(アニオン性高分子電解質の合成)
調製例6において、重合性不飽和単量体混合物を構成するモノマーのうち、メタクリロイルポリオキシエチレン(6モル)アシッドフォスフェート10部の代わりに、メタクリロイルポリオキシプロピレン(6モル)アシッドフォスフェート10部を用いた点以外は、調製例1と同様の方法によりアニオン性高分子電解質の水溶液を得た。得られたアニオン性高分子電解質の水溶液の不揮発分は22.1%、粘度は190mPa・s、pHは4.5であった。
調製例8
(アニオン性高分子電解質の合成)
調製例1において、重合性不飽和単量体混合物を構成するモノマーのうち、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2HEMA)73部の代わりにメチルメタクリレート(MMA)73部を用いた点以外は、調製例1と同様の方法によりアニオン性高分子電解質の水溶液を得た。得られたアニオン性高分子電解質の水溶液の不揮発分は22.1%、粘度は160mPa・s、pHは4.6であった。
調製例9
(アニオン性高分子電解質の合成)
調製例1において、重合性不飽和単量体混合物を構成するモノマーのうち、メタクリル酸(MAA)28部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2HEMA)73部の代わりに、メタクリル酸(MAA)101部を用いた点、及び苛性ソーダ10部をイオン交換水55部に溶解した代わりに、苛性ソーダ20部をイオン交換水80部に溶解した点以外は、調製例1と同様の方法によりアニオン性高分子電解質の水溶液を得た。得られたアニオン性高分子電解質の水溶液の不揮発分は22.6%、粘度は280mPa・s、pHは4.4であった。
調製例10
(アニオン性高分子電解質の合成)
調製例1において、仕込みイオン交換水460部の代わりに仕込みイオン交換水486部を用いるとともに、重合性不飽和単量体混合物を構成するモノマーのうち、アクリル酸(AA、80重量%濃度溶液)130部、メタクリル酸(MAA)28部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2HEMA)73部の代わりに、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(2HEMA)205部を用いた点以外は、調製例1と同様の方法によりアニオン性高分子電解質の水溶液を得ようとしたが、モノマー滴下中に容器中の樹脂液が白濁し、最後にゲル化し、良好な樹脂水溶液は得られなかった。
調製例11
(メラミン―ホルムアルデヒド初期縮合物の合成)
撹拌機、還流冷却器及び温度計を備えた反応容器に、37%濃度ホルムアルデヒド240部、メラミン180部、92%濃度パラホルムアルデヒド60部を投入し、撹拌しつつ80℃まで昇温した。80℃に保持して30分間撹拌して付加反応(メチロール化反応)を行った後、メタノール720部と10%塩酸7部を投入し、60℃で撹拌しつつメタノール変性反応を行った。反応中、ピペットでサンプリングした反応物を大量の水(バケツに入れた水)に添加した際に白濁した時点を反応の終点と判断し(約1時間)、その後、20重量%濃度苛性ソーダ水溶液3部を投入した。冷却後、減圧下で反応物からメタノールと水を除去し、不揮発分が75%になるまで濃縮して製品とした。得られたメラミン−ホルムアルデヒド初期縮合物水溶液の不揮発分は75.2%で、粘度は1,700mPa・s、pH8.9であった。
実施例1
クリスタルバイオレットラクトン(CVL)13部をアルキルジフェニルエタン(商品名「ハイゾールSAS−296」、日本石油化学(株)製)260部に加え、撹拌しつつ90℃で10分間加熱溶解した後、冷却して油性芯物質を調製した。この油性芯物質に、多価イソシアネートとしてのヘキサメチレンジイソシアネート30部を混合溶解して油性溶液を調製した。一方、調製例1で得たアニオン性高分子電解質の水溶液130部、水240部に上記油性芯物質を加え、10%苛性ソーダ水溶液にてpH7.0に調整した後、これを別の容器に入れ、ホモジナイザー(特殊機化工業(株)製)を用いて回転数10、000rpmで3分間乳化した。得られたO/W型乳化液の平均粒子径は7.6μmであった。次いで、この乳化液を80℃まで昇温して、80℃に保持しつつ2時間撹拌を続けた。その後40℃以下まで冷却した後、120メッシュのネットで濾過した。得られたマイクロカプセルスラリーの平均粒子径は7.8μm、粘度は120mPa・sであった。尚、マイクロカプセル作製時の各工程において、異常な粘度上昇や発泡は全くなく、良好なマイクロカプセルスラリーが得られた。
実施例2
実施例1において、調製例1のアニオン性高分子電解質の水溶液の代わりに、調製例2のアニオン性高分子電解質の水溶液を用いた点以外は実施例1と同様の方法によりマイクロカプセルスラリーを得た。得られたマイクロカプセルスラリーの平均粒子径は7.9μm、粘度は150mPa・sであった。尚、マイクロカプセル作製時の各工程において、異常な粘度上昇や発泡は全くなく、良好なマイクロカプセルスラリーが得られた。
実施例3
実施例1において、調製例1のアニオン性高分子電解質の水溶液の代わりに、調製例3のアニオン性高分子電解質の水溶液を用いた点以外は実施例1と同様の方法によりマイクロカプセルスラリーを得た。得られたマイクロカプセルスラリーの平均粒子径は7.6μm、粘度は150mPa・sであった。尚、マイクロカプセル作製時の各工程において、異常な粘度上昇や発泡は全くなく、良好なマイクロカプセルスラリーが得られた。
実施例4
実施例1において、調製例1のアニオン性高分子電解質の水溶液の代わりに、調製例4のアニオン性高分子電解質の水溶液を用いた点以外は実施例1と同様の方法によりマイクロカプセルスラリーを得た。得られたマイクロカプセルスラリーの平均粒子径は7.7μm、粘度は190mPa・sであった。尚、マイクロカプセル作製時の各工程において、異常な粘度上昇や発泡は全くなく、良好なマイクロカプセルスラリーが得られた。
実施例5
実施例1において、調製例1のアニオン性高分子電解質の水溶液の代わりに、調製例5のアニオン性高分子電解質の水溶液を用いた点以外は実施例1と同様の方法によりマイクロカプセルスラリーを得た。得られたマイクロカプセルスラリーの平均粒子径は7.8μm、粘度は140mPa・sであった。尚、マイクロカプセル作製時の各工程において、異常な粘度上昇や発泡は全くなく、良好なマイクロカプセルスラリーが得られた。
実施例6
実施例1において、調製例1のアニオン性高分子電解質の水溶液の代わりに、調製例6のアニオン性高分子電解質の水溶液を用いた点以外は実施例1と同様の方法によりマイクロカプセルスラリーを得た。得られたマイクロカプセルスラリーの平均粒子径は7.6μm、粘度は170mPa・sであった。尚、マイクロカプセル作製時の各工程において、異常な粘度上昇や発泡は全くなく、良好なマイクロカプセルスラリーが得られた。
実施例7
実施例1において、調製例1のアニオン性高分子電解質の水溶液の代わりに、調製例7のアニオン性高分子電解質の水溶液を用いた点以外は実施例1と同様の方法によりマイクロカプセルスラリーを得た。得られたマイクロカプセルスラリーの平均粒子径は7.5μm、粘度は160mPa・sであった。尚、マイクロカプセル作製時の各工程において、異常な粘度上昇や発泡は全くなく、良好なマイクロカプセルスラリーが得られた。
実施例8
クリスタルバイオレットラクトン(CVL)13部をアルキルジフェニルエタン(商品名「ハイゾールSAS−296」、日本石油化学(株)製)260部に加え、撹拌しつつ90℃で10分間加熱溶解した後、冷却して油性芯物質を調製した。一方、調製例1で得たアニオン性高分子電解質の水溶液110部、水200部及び前記油性芯物質を別の容器に入れ、混合し、10重量%苛性ソーダ水溶液にてpH4.5に調整した後、ホモジナイザー(特殊機化工業(株)製)を用いて回転数10,000rpmで3分間乳化した。得られたO/W型乳化液の平均粒子径は5.8μmであった。次いで、この乳化液に、調製例11で得たメラミン―ホルムアルデヒド初期縮合物水溶液70部をイオン交換水200部に溶解し、80℃まで昇温して、80℃に保持しつつ2時間撹拌を続けた。その後、40℃以下まで冷却し、10重量%苛性ソーダ水溶液80部を投入し、撹拌、混合した後120メッシュのネットで濾過した。得られたマイクロカプセルスラリーの平均粒子径は5.7μm、粘度は130mPa・sであった。尚、マイクロカプセル作製時の各工程において、異常な粘度上昇や発泡は全くなく、良好なマイクロカプセルスラリーが得られた。
実施例9
実施例8において、調製例1のアニオン性高分子電解質の水溶液の代わりに、調製例2のアニオン性高分子電解質の水溶液を用いた点以外は実施例8と同様の方法によりマイクロカプセルスラリーを得た。得られたマイクロカプセルスラリーの平均粒子径は5.5μm、粘度は120mPa・sであった。尚、マイクロカプセル作製時の各工程において、異常な粘度上昇や発泡は全くなく、良好なマイクロカプセルスラリーが得られた。
実施例10
実施例8において、調製例1のアニオン性高分子電解質の水溶液の代わりに、調製例3のアニオン性高分子電解質の水溶液を用いた点以外は実施例8と同様の方法によりマイクロカプセルスラリーを得た。得られたマイクロカプセルスラリーの平均粒子径は5.7μm、粘度は130mPa・sであった。尚、マイクロカプセル作製時の各工程において、異常な粘度上昇や発泡は全くなく、良好なマイクロカプセルスラリーが得られた。
実施例11
実施例8において、調製例1のアニオン性高分子電解質の水溶液の代わりに、調製例4のアニオン性高分子電解質の水溶液を用いた点以外は実施例8と同様の方法によりマイクロカプセルスラリーを得た。得られたマイクロカプセルスラリーの平均粒子径は5.6μm、粘度は140mPa・sであった。尚、マイクロカプセル作製時の各工程において、異常な粘度上昇や発泡は全くなく、良好なマイクロカプセルスラリーが得られた。
実施例12
実施例8において、調製例1のアニオン性高分子電解質の水溶液の代わりに、調製例5のアニオン性高分子電解質の水溶液を用いた点以外は実施例8と同様の方法によりマイクロカプセルスラリーを得た。得られたマイクロカプセルスラリーの平均粒子径は5.7μm、粘度は120mPa・sであった。尚、マイクロカプセル作製時の各工程において、異常な粘度上昇や発泡は全くなく、良好なマイクロカプセルスラリーが得られた。
実施例13
実施例8において、調製例1のアニオン性高分子電解質の水溶液の代わりに、調製例6のアニオン性高分子電解質の水溶液を用いた点以外は実施例8と同様の方法によりマイクロカプセルスラリーを得た。得られたマイクロカプセルスラリーの平均粒子径は5.6μm、粘度は130mPa・sであった。尚、マイクロカプセル作製時の各工程において、異常な粘度上昇や発泡は全くなく、良好なマイクロカプセルスラリーが得られた。
実施例14
実施例8において、調製例1のアニオン性高分子電解質の水溶液の代わりに、調製例7のアニオン性高分子電解質の水溶液を用いた点以外は実施例8と同様の方法によりマイクロカプセルスラリーを得た。得られたマイクロカプセルスラリーの平均粒子径は5.8μm、粘度は120mPa・sであった。尚、マイクロカプセル作製時の各工程において、異常な粘度上昇や発泡は全くなく、良好なマイクロカプセルスラリーが得られた。
比較例1
実施例1において、調製例1のアニオン性高分子電解質の水溶液の代わりに、調製例8のアニオン性高分子電解質の水溶液を用いた点以外は実施例1と同様の方法によりマイクロカプセルスラリーを得た。得られたマイクロカプセルスラリーの平均粒子径は5.3μm、粘度は180mPa・sであった。尚、マイクロカプセル作製時の各工程において、異常な粘度上昇や発泡はなく、一見良好なマイクロカプセルスラリーが得られた。
比較例2
実施例8において、調製例1のアニオン性高分子電解質の水溶液の代わりに、調製例8のアニオン性高分子電解質の水溶液を用いた点以外は実施例8と同様の方法によりマイクロカプセルスラリーを得た。得られたマイクロカプセルスラリーの平均粒子径は3.4μm、粘度は160mPa・sであった。尚、マイクロカプセル作製時の各工程において、異常な粘度上昇や発泡はなく、一見良好なマイクロカプセルスラリーが得られた。
比較例3
実施例8において、調製例1のアニオン性高分子電解質の水溶液の代わりに、調製例9のアニオン性高分子電解質の水溶液を用いた点以外は実施例8と同様の操作を行った。油性芯物質の乳化分散は問題なかったが、マイクロカプセル製造中に発泡が多く、マイクロカプセルを得ることはできなかった。
比較例4
調製例10のマイクロカプセルを得ようとしたが、調製例10の水溶液樹脂は得られず、マイクロカプセルも得られなかった。
(評価試験)
平均粒子径と粒子径分布
実施例及び比較例で得たマイクロカプセルの粒子径を、島津 SALD−2000J[島津製作所(株)製]を用いて測定し、平均粒子径を算出した。さらに、粒子径が2μm以下である小粒子群と、粒子径が10μm以上である大粒子群とに分け、各群の粒子数を数えて全粒子数に対する比率を算出した。結果を表1に示す。
粘度
実施例及び比較例で得たマイクロカプセルスラリーについて、B型粘度計(60rpm)を用いて23℃における粘度を測定した。
カプセル化率
実施例及び比較例で得たマイクロカプセルスラリーを、市販のノーカーボン紙用下用紙上に、0.05mmのアプリケータで塗布し、常温で乾燥後、下用紙の汚れ程度によりカプセル化率を評価した。評価基準は下記の通りである。
◎:全く汚れ無し
○:薄い汚れがある
×:全面的に汚染している
発色性
実施例及び比較例で得たマイクロカプセルスラリーについて、マイクロカプセルスラリー33重量部に、小麦粉澱粉7重量部を水60重量部に溶解した溶液を加え、坪量40g/m2の原紙に#10のコーティングバーで塗布し、110℃で3分間乾燥することによりノーカーボン紙上用紙を作成した。この上用紙を市販の下用紙と重ね合わせてタイプライターにて印字し、発色性を下記の基準で評価した。
◎:鮮明に発色している
○:若干の発色の鈍さが見受けられる
×:ほとんど発色しない
耐汚れ性
実施例及び比較例で得たマイクロカプセルスラリーを用いて、発色性試験用と同様の方法で上用紙を作成し、市販の下用紙と重ね合わせ、約1.5Kg/cm2(147kPa)の静圧を加え、下用紙顕色剤面の発色汚れを観察し、耐汚れ性を下記の基準で評価した。
◎:全く汚れ無し
○:薄い汚れがある
×:全面的に汚染している
耐温湿性
実施例及び比較例で得たマイクロカプセルスラリーを、市販のノーカーボン紙用下用紙の片面に、0.05mmのアプリケータで塗布し、常温で乾燥して作成した塗工紙を、50℃、相対湿度80%の恒温恒湿器中に1ケ月間放置後、表面の汚れ具合を観察し、耐温湿性を下記の基準で評価した。
◎:全く汚れ無し
○:薄い汚れがある
×:全面的に汚染している
耐熱性
実施例及び比較例で得たマイクロカプセルスラリーを、市販のノーカーボン紙用下用紙の片面に、0.05mmのアプリケータで塗布し、常温(20℃)で24時間乾燥させた後、150℃の乾燥機に1時間放置し、その後塗布面の変色程度を目視観察し、耐熱性を下記の基準で評価した。
◎:全く汚れ無し
○:薄い汚れがある
×:全面的に汚染している
Figure 0005201783

Claims (8)

  1. アニオン性高分子電解質を含む乳化液中で油性芯物質の表面に硬化剤を硬化させ膜壁を形成して得られるマイクロカプセルであって、前記アニオン性高分子電解質が、カルボキシル基含有重合性不飽和単量体(a)と水酸基含有重合性不飽和単量体(b)とメタクリロイルポリオキシアルキレンアシッドフォスフェート(c)とを含み、且つ前記カルボキシル基含有重合性不飽和単量体(a)と前記水酸基含有重合性不飽和単量体(b)の総量が、全重合性不飽和単量体に対して90重量%以上であり、且つ前記カルボキシル基含有重合性不飽和単量体(a)と前記水酸基含有重合性不飽和単量体(b)の総量に対して、前記カルボキシル基含有重合性不飽和単量体(a)を40〜95重量%、前記水酸基含有重合性不飽和単量体(b)を5〜60重量%、前記メタクリロイルポリオキシアルキレンアシッドフォスフェート(c)を1〜10重量%含む重合性不飽和単量体混合物を水溶液重合して得られる水溶性共重合体であることを特徴とするマイクロカプセル。
  2. 多価イソシアネートを油性芯物質に溶解した溶液をアニオン性高分子電解質の水溶液中に乳化分散させた乳化液中で、前記多価イソシアネートの硬化反応により前記油性芯物質の表面に膜壁を形成して得られるマイクロカプセルである請求項1記載のマイクロカプセル。
  3. アニオン性高分子電解質の水溶液中に油性芯物質を乳化分散させた乳化液中で、メラミンとホルムアルデヒドの初期縮合物の硬化反応により前記油性芯物質の表面に膜壁を形成して得られるマイクロカプセルである請求項1記載のマイクロカプセル。
  4. アニオン性高分子電解質の使用量が油性芯物質100重量部に対して1〜25重量部である請求項1記載のマイクロカプセル。
  5. 多価イソシアネートが芳香族系多価イソシアネート又は脂肪族系多価イソシアネートである請求項2記載のマイクロカプセル。
  6. アニオン性高分子電解質を含む乳化液中で油性芯物質の表面に硬化剤を硬化させることにより膜壁を形成してマイクロカプセルを製造する方法であって、該アニオン性高分子電解質として、カルボキシル基含有重合性不飽和単量体(a)と水酸基含有重合性不飽和単量体(b)とメタクリロイルポリオキシアルキレンアシッドフォスフェート(c)とを含み、且つ前記カルボキシル基含有重合性不飽和単量体(a)と前記水酸基含有重合性不飽和単量体(b)の総量が、全重合性不飽和単量体に対して90重量%以上であり、且つ前記カルボキシル基含有重合性不飽和単量体(a)と前記水酸基含有重合性不飽和単量体(b)の総量に対して、前記カルボキシル基含有重合性不飽和単量体(a)を40〜95重量%、前記水酸基含有重合性不飽和単量体(b)を5〜60重量%、前記メタクリロイルポリオキシアルキレンアシッドフォスフェート(c)を1〜10重量%含む重合性不飽和単量体混合物を水溶液重合して得られる水溶性共重合体を用いることを特徴とするマイクロカプセルの製造法。
  7. 乳化液中で油性芯物質の表面に硬化剤を硬化させることにより膜壁を形成してマイクロカプセルを製造する際に乳化分散剤として用いられるアニオン性高分子電解質であって、カルボキシル基含有重合性不飽和単量体(a)と水酸基含有重合性不飽和単量体(b)とメタクリロイルポリオキシアルキレンアシッドフォスフェート(c)とを含み、且つ前記カルボキシル基含有重合性不飽和単量体(a)と前記水酸基含有重合性不飽和単量体(b)の総量が、全重合性不飽和単量体に対して90重量%以上であり、且つ前記カルボキシル基含有重合性不飽和単量体(a)と前記水酸基含有重合性不飽和単量体(b)の総量に対して、前記カルボキシル基含有重合性不飽和単量体(a)を40〜95重量%、前記水酸基含有重合性不飽和単量体(b)を5〜60重量%、前記メタクリロイルポリオキシアルキレンアシッドフォスフェート(c)を1〜10重量%含む重合性不飽和単量体混合物を水溶液重合して得られる水溶性共重合体で構成されたマイクロカプセル調製用アニオン性高分子電解質。
  8. 乳化液中で油性芯物質の表面に硬化剤を硬化させることにより膜壁を形成してマイクロカプセルを製造する際に乳化分散剤として用いられるアニオン性高分子電解質を調製するための単量体組成物であって、カルボキシル基含有重合性不飽和単量体(a)と水酸基含有重合性不飽和単量体(b)とメタクリロイルポリオキシアルキレンアシッドフォスフェート(c)とを含み、且つ前記カルボキシル基含有重合性不飽和単量体(a)と前記水酸基含有重合性不飽和単量体(b)の総量が、全重合性不飽和単量体に対して90重量%以上であり、且つ前記カルボキシル基含有重合性不飽和単量体(a)と前記水酸基含有重合性不飽和単量体(b)の総量に対して、前記カルボキシル基含有重合性不飽和単量体(a)を40〜95重量%、前記水酸基含有重合性不飽和単量体(b)を5〜60重量%、前記メタクリロイルポリオキシアルキレンアシッドフォスフェート(c)を1〜10重量%含む重合性不飽和単量体混合物で構成されたアニオン性高分子電解質調製用単量体組成物。
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