ドアを全開した位置であっても、少し開いた位置であっても、ドアから手を離す位置がドアが閉まる全過程のどの位置であっても、ドアが静止したままではなく、回転し始めるようにするには、ドアが閉まる全過程のどの位置においても、所定の回転モーメントが働くようにしなければならない。
ドアが閉まる最終時に、閉まったドアが開かないように、逆転防止装置のラチェット爪が投入されるには、ラチェット爪を押し出すバネを引っ込める必要があって、ドアを閉める方向に回転させる仕事以外の仕事が要求され、閉まったドアにガタツキをなくすため、ラチェット爪に仕込まれたバネを伸縮させる以上の力が要求される場合がある。また逆転防止装置を働かすための仕事にドアの回転がほとんど伴わないため、バネの力が突如として最大値になるのが理想的で、ドアの回転に伴い徐々に大きくなるようになるのではなく、不連続に変化するのが理想である。
以上のように閉まる直前から戸当りに密着するまでの間でも、ドアを戸当りに密着させる作業にドアの回転が伴うので、ドアを戸当りに密着させる力があれば、どの位置で手を離してもドアは勝手に閉まることになる。
ドアが戸当りに密着する時のバネの長さは最小であり、バネの力は最小である。最小のバネの力でドアを戸当りに密着させるためには、バネの力の最小値を大きく設定する必要があり、ドアを開くバネの力は初めから必要以上に大きく、ドアを開くに従いバネの力がおおきくなるので、ドアを開くバネとドアを戸当りに密着させるバネを別にして、戸当りに密着させるバネがドアを戸当りに密着させるときにだけ作用して、それ以外のときは作用しないようにするのが得策である。以下にドアが閉まる時にバネの力が突如として最大値になるバネの機構を紹介する。
図1、図2はバネで動くドアの基本構造を、図3~図9はドアの駆動部分の基本構造を説明するもので、図19は図1~図9の駆動部分を片開きの回転ドアに採用した実施例を示し、図1~図9の駆動部分を複数個組み合わせて採用すると、それぞれの特性が重ね合わさって効果をもたらすようになる。
図中の回転体JはリンクSを直列に連結したバネVによって回転し、回転体Jの回転はドアの回転に伝達される。回転体Jで回転軸Qを中心に回転し、T0を中心に左右に回転し当たりGjによって回転を止められる。
リンクSの片方の端部の接続軸Svに引きバネVが回転可能に連結され、直列に連結された引きバネVとリンクSは、片方の端部を回転体Jの回転軸Q以外の場所Sjに、他方の端部を回転体Jが回転する平面上のQ以外の場所Swに回転可能に接続され、回転軸Qを中心に回転し、当たりGjによって回転を止める。以下、図中の符号の添え字に含まれる+-がついた数字は回転体Jの位置の回転角度に対応する。
回転体Jが直線T0上にあるとき、回転体JとバネVとリンクSが一直線になって回転体JとバネVとリンクSのすべてが静止する。回転体Jが、時計回りに回転するときドアが開く方向に回転し、引きバネVの長さが伸びて引きバネVにドアを引き戻す力が蓄えられ、回転体Jが図中⇒で示すように、反時計回りに回転するときドアが閉まる方向に回転し、引きバネVの長さが縮んで引きバネVによってドアを引き戻されるものとする。
回転体Jが当りGjに当る以前の回転と以後の回転では発生する回転モーメントに違いがあり、回転体Jが当りGjから離れて回転するとき、バネVとリンクSは一直線状になり、「バネVとリンクSの軸心と回転体Jの回転中心Qとの距離」は回転体Jが回転すればするほど大きく変化し、バネVの長さも大きく変化し、回転モーメントも大きくなる。回転体Jが当りGjと接触しながら回転するとき、バネVとリンクSは折れ曲がり、「バネVとリンクSの軸心と回転体Jの回転中心Qとの距離」は回転体Jが回転しても大きく変化せず、バネVの長さも大きく変化しないので、回転モーメントも大きくならない。
「回転体Jが当りGjと接触しながら、図中⇒で示すように、反時計回りに回転するとき」をドアが閉まる方向に回転ときとすると、ドアが回転するだけのときは発生する回転モーメントは小さく、「回転体Jが当りGjから離れて、図中⇒で示すように、反時計回りに回転するとき」を「ドアが閉まる方向に回転したあと、閉まる直前からドアの回転がドアを戸当りに押圧するまでの回転」とすると、ドアを戸当りに押圧する回転モーメントは大きい。回転体Jが直線T0付近にあるときは、ドアが閉まる直前で、「ドアを回転するだけの回転」から「ドアを戸当りに押圧する回転」に移行するときで、図1〜9に示す色々の場合は、それぞれ異なる特性を呈する。
図1はドアDの回転軸O以外の場所Sdに引きバネVが取り付き、アームAが回転軸Qを中心に回転し当たりGaによって回転が止められるもので、アームの長さが回転軸Oと回転軸Qの間の距離より短い場合について説明するものである。
図1に示すドアDは3箇所で静止状態を保ち、 図1(b)に示すようにバネの支点Sdが直線T0にあるとき、バネの長さは最大でバネVの支点Sdが直線T0から僅かに移動すると、移動した方向に移動し一気に終点の当たりに到達する。バネの支点Sdが直線T0にある静止状態は非常に不安定な状態であるが、バネVの支点Sdが直線T0から僅かに移動しても、支点Sdの円運動の半径方向の移動量は小さくバネの長さの変化は小さいバネの長さに変化は少なく、静止状態を保っているか或いは緩慢な動きを呈する。
ドアDがT+30の位置からT-30の位置に移動するときについて説明する。図1(c)に示すようにバネVの支点Sdは回転軸Iを中心に回転し当たりGd30によって回転が止められる。円弧Rsはバネの支点Sdが直線T0にあるときのバネの長さを半径として回転軸Iを中心とする円の一部を示し、バネの支点SdがT+30の位置からT0の位置に移動するときバネの長さが増加することを意味している。
図1(a)に示すようにバネVの支点Sdは回転軸Iを中心に回転し当たりGd-30によって回転が止められる。円弧Rqはバネの支点Sdが直線T0にあるときの直列に連結された引きバネVとアームAの長さを半径として回転軸Qを中心とする円の一部を示し、バネの支点SdがT0の位置からT-30の位置に移動するときバネの長さが減少することを意味している。
ドアDがT+30の位置からT-30の位置に移動するとき途中において静止するが、静止する位置までは回転に力を与える必要があり、静止する位置を越えると回転に力を与えることなく、終点の当たりに当たるまで勝手に回転する。
図2は図1と同じく、引きバネVは片方の支点が「ドアDの回転軸O以外の場所Sd」に他方の支点がアームA先端のSqに取り付く。アームAの回転軸QがアームAの先端Sqと回転体Dの回転軸O側との間にあって、アームAと回転体Jは互いに反対方向に回転する。回転体DはT+90の位置からT−90の位置までの間を回転し、当りGdによって回転が止められる。
図2(b)はドアDとバネとアームが一直線上にあって静止し、バネの長さが最大で、ドアD或いはアームが左右どちらかに回転して、ドアDとバネとアームが一直線上になくなると、ドアD或いはアームが回転して方向に双方が端部の当りに当るまで回転する。図2(a)(c)に示す円弧Rsはバネの支点Sdが直線T0にあるときのバネの長さを半径として回転軸Oを中心とする円の一部を示し、バネの支点SdがY+90の位置からT0の位置に移動するときバネの長さが増加することを意味している。
ドアDがT0の位置にあるときをドアが閉まっているときとすると、このドアは左右どちらの方向でも少し押すだけで全開するドアとなる。
図3は図1と同じく引きバネVは片方の支点が「回転体Jの回転軸O以外の場所Sj」に他方の支点がリンクS先端のSvに取り付く。リンクSの長さは「回転体Jの回転軸QとリンクSの回転軸Swとの間の距離」と同じ長さで、回転体JがT-30の位置からT0の位置に回転するまで、バネの長さは長くなるが、当りGwによって回転が止められリンクS先端のSvの位置が回転体Jの回転軸Qの位置に一致したあと、回転体JがT0の位置からT+30の位置に回転するまで、バネの長さは一定である。
このことは回転体JがT-30の位置からT0の位置に回転するまでバネの力が蓄えられるが、T0の位置からT+30の位置に回転するまで、バネの力が回転体Jの回転に関与しないことを意味している。このバネの機構はドアを戸当りに押圧するときにだけ働き、それ以外のドアの回転にはまったく関与しないことを意味しており、それ以外のドアの回転に作用するバネの機構を別途に用意すれば、それぞれがそれぞれの受け持ち範囲にだけ有効に働き、互いに邪魔し合うことがないことを意味している。
図4は図1と同じく引きバネVは片方の支点が「回転体Jの回転軸Q以外の場所Sjに他方の支点がリンクS先端のSvに取り付く。リンクSの長さは「回転体Jの回転軸QとリンクSの回転軸Swとの間の距離」より長く、回転体JがT-30の位置からT0の位置に回転するまで、バネの長さは長くなるが、当りGwによって回転が止められた後、回転体JがT0の位置からT+30の位置に回転するまでの間は、回転体JのバネVの支点Svが回転軸Qを中心に円運動してバネの長さは長くなる。このことは回転体JがT-30の位置からT0の位置に回転するまでの間は、バネの力が蓄えられるが、T0の位置からT+30の位置に回転するまでの間も、バネの力が蓄えられることを意味している。リンクSの長さが「回転体Jの回転軸QとリンクSの回転軸Swとの間の距離」より長ければ長いほど、T0の位置からT+30の位置に回転するまでの間に蓄えられるバネの力は大きい。
図4の場合は、ドアを開くときで、回転体Jが当りGwと接触しながら、図中の⇒と反対方向の時計回りに回転するとき、引きバネVが緩むので、ドアは勝手に開く方向に回転する。またドアが閉まるときで「ドアを回転するだけの回転」から「ドアを戸当りに押圧する回転」に移行するとき、「別途に用意されるドアを回転させるだけのバネの機構」の力によって回転体Jを当りGwから引き離すようにしなければ、ドアは勝手に閉まる方向に回転する。
図4の場合は、図3の場合と同様に、「ドアを戸当りに押圧する回転」には有効に働き「ドアを回転するだけの回転」に無効となり、ドアを開くときにドアを戸当りに押圧する力が作用しない特徴を備えている。「ドアを回転するだけの回転」を与える「別途に用意されるドアを回転させるだけのバネの機構」のバネの力を。ドアが閉まる直前で相殺するので、ドアを閉める力が弱くなる。
図5において、「回転体Jに取り付く接続軸Sj」にリンクSが回転自在に取り付き、引きバネVは片方の支点が「回転体Jの回転軸Q以外の場所Sw」に他方の支点がリンクS先端のSvに取り付く。リンクSの長さは「回転体Jの回転軸Qと回転体Jに取り付く接続軸Sjとの間の距離」より長く、回転体JがT-30の位置からT0の位置に回転するまで、バネの長さは長くなり、当りGjによって回転が止められた後、回転体JがT0の位置からT+30の位置に回転するまでの間も、回転体JのバネVの支点Svが回転軸Qを中心に円運動してバネの長さは長くなる。
このことは回転体JがT-30の位置からT0の位置に回転するまでの間は、バネの力が蓄えられるが、T0の位置からT+30の位置に回転するまでの間も、バネの力が蓄えられることを意味している。リンクSの長さが「回転体Jの回転軸Qと回転体Jに取り付く接続軸Sjとの間の距離」より長ければ長いほど、T0の位置からT+30の位置に回転するまでの間に蓄えられるバネの力は大きい。
図5の場合は図3,4の場合と異なり、回転体Jが当りGjと接触しながら、図中の⇒と反対方向の時計回りに回転するとき、バネの長さも伸ばされるので、ドアを開けば、バネにドアを閉める力が蓄えられる。したがってドアを回転させる機能も持っている。回転体Jが直線T0上にあって、当りGjから離れる瞬間は「ドアを回転するだけの回転」から「ドアを戸当りに押圧する回転」に移行する時であるが、釣合い状態にあって静止状態になる。「別途に用意されるドアを回転させるだけのバネの機構」の力に頼らなければ回転体Jが自力で当りGjから離れることはない。後述の図9の場合は回転体Jが自力で当りGjから離れるようにしている。
図6は図5と同じく。「回転体Jに取り付く接続軸Sj」にリンクSが回転自在に取り付き、引きバネVは片方の支点が「回転体Jの回転軸Q以外の場所Sw」に他方の支点がリンクS先端のSvに取り付く。リンクSの長さは「回転体Jの回転軸Qと回転体Jに取り付く接続軸Sjとの間の距離」より短く、回転体JがT-30の位置からT0の位置に回転するまで、バネの長さは長くなり、当りGjによって回転が止められた後、回転体JがT0の位置からT+30の位置に回転するまでの間は、回転体JのバネVの支点Svが回転軸Qを中心に円運動してバネの長さは短くなる。
このことは回転体JがT-30の位置からT0の位置に回転するまでの間は、バネの力が蓄えられるが、T0の位置からT+30の位置に回転するまでの間は、バネの力が失われることを意味している。リンクSの長さが「回転体Jの回転軸Qと回転体Jに取り付く接続軸Sjとの間の距離」より短かければ短かいほど、T0の位置からT+30の位置に回転するまでの間にバネの力は失われる。
図6の場合は、回転体Jが直線T0上にあるとき静止するが、回転体Jが直線T0上にあるとき以外は、ドアは閉まる方向或いは開く方向に勝手に回転する。図6の機構を「ドアを戸当りに押圧する」機構としてドアに採用した場合、図4の場合と同様に、「ドアを戸当りに押圧する回転」には有効に働き「ドアを回転するだけの回転」に無効となり、ドアが閉まる直前に、「別途に用意されるドアを回転させるだけのバネの機構」のバネの力を。ドアが閉まる直前で相殺するので、ドアを閉める力が弱くなる。
図7は図1と同じく引きバネVは片方の支点が「回転体Jの回転軸Q以外の場所Sj」に他方の支点がリンクS先端のSvに取り付く。図7(a)はリンクSの長さが「回転体Jの回転軸QとリンクSの回転軸Swとの間の距離」より長い場合で、図7(b)はリンクSの長さは「回転体Jの回転軸QとリンクSの回転軸Swとの間の距離」より短い場合である。図7(a)の場合も図7(b)の場合も、がT-30の位置からT0の位置に回転するまで、バネの長さは長くなるが、リンクSの回転は回転体JとバネVとリンクSが一直線上になる以前に当りGwによって止められる。
当りGwが回転体JとバネとリンクSが一直線上になければないほど、リンクSの回転は静止することはない。当りGwによって回転が止められた後、回転体JがT0の位置からT+60の位置に回転するまでの間は、図7(a)の場合も図7(b)の場合も回転体JのバネVの支点Svが回転軸Qを中心に円運動してバネの長さは長くなるが、図7(b)の場合は図7(a)の場合よりも長くならない。また図7(b)の場合T+30の位置から回転するときバネの長さは減少する。
このことは回転体JがT-30の位置からT0の位置に回転するまでの間は、バネの力が蓄えられるが、T0の位置からT+30の位置に回転するまでの間も、バネの力が蓄えられることを意味している。リンクSの長さが「回転体Jの回転軸QとリンクSの回転軸Swとの間の距離」より長ければ長いほど、T0の位置からT+30の位置に回転するまでの間に蓄えられるバネの力は大きい。
このバネの機構はドアが閉まる直前で「ドアを回転するだけの回転」から「ドアを戸当りに押圧する回転」に移行するとき、停止しない特徴があり、回転体Jが当りGwから離れて回転するとき、「バネVとリンクSの軸心と回転体Jの回転中心Qとの距離」がゼロから徐々に大きくなるのとは異なり、回転体Jが当りGwから離れた時点で大きな回転モーメントが存在しており、ドアが「一旦停止状態に近い状態になる」範囲は回転体Jが当りGwからはなれる以前の接触しながら回転する範囲となる。
ドアが閉まる直前で、「ドアを回転するだけの回転」から「ドアを戸当りに押圧する回転」に移行するとき、図7(a)の場合は回転体Jが当りGwからはなれる以前にバネの長さが伸びるので、ドアの閉まる速度が減速され、図7(b)の場合は回転体Jが当りGwからはなれる以前にバネの長さが縮むので、「別途に用意されるドアを回転させるだけのバネの機構」の力に頼ることなく自力で、停止することなく回転体Jが当りGwから離れることになる。
「別途に用意されるドアを回転させるだけのバネの機構」はドアが閉まる直前でドアを回転させるバネの力が消失するが、図7(a)の場合はバネの力が消失する前に最後の力で、回転体Jが当りGwから離さなければならないが、図7(b)の場合は、バネの力が消失するとき「回転体Jが当りGwから離す最後の力」を残す必要がない。
図8(a)、(b)はそれぞれ図7(a)、(b)と構造は同じで、図7(a)、(b)の場合はリンクSの回転を止める当りGwの位置が回転体JとバネVとリンクSとが一直線T0上になる以前の位置で、図8(a)、(b)の場合は以後の位置に設定している。リンクSが当たりに当ってから図7(a)、(b)の場合は、バネVの長さは増加し、図8(a)、(b)の場合は減少している。
図8の場合は、「ドアを回転するだけの回転」から「ドアを戸当りに押圧する回転」に移行する範囲は回転体Jが当りGwから離れた以後の範囲で、図7の場合に比べて回転体Jが大きく回転する必要があり、「一旦停止状態に近い状態」の範囲も大きい。「別途に用意されるドアを回転させるだけのバネの機構」は、図7(a)の場合と同様に、バネの力が消失する前に最後の力で、回転体Jが当りGwから離さなければならない。
図9は図7のバネとリンクSを取り替えた構造で、リンクSの回転を止める当りGjの位置が図7の場合と同じく、回転体JとバネVとリンクSとが一直線T0上になる以前の位置で、途中で静止することはないが、回転体Jが反時計回りに回るときで、リンクSが当りGjから離れるときの回転モーメントが大きい。回転体Jが反時計回りに回るときで、リンクSが当りGjから離れるときをドアを回転する動作からドアを戸当りに押圧する動作に移行するときとすると、そのリレーに大きな力を必要とする場合に適している。
図9の場合は、「ドアを回転するだけの回転」から「ドアを戸当りに押圧する回転」に移行する範囲は回転体Jが当りGjから離れた以後の範囲で「一旦停止状態に近い状態」の範囲がない。また「別途に用意されるドアを回転させるだけのバネの機構」の力に頼らず自力で回転体Jが当りGjから離れる。図7(a)の場合とことなり、回転体Jが当りGjと接触しながら、図中の⇒と反対方向の時計回りに回転するとき、バネの長さも伸ばされるので、「別途に用意されるドアを回転させるだけのバネの機構」の機能も兼ね備えている。図9(a)の場合はドアを開けば、バネにドアを閉める力が蓄えられるが、図9(b)の場合はドアを開けば、途中からドアが勝手に開く方向に回転する。
図9(a)の場合は回転体Jが当りGjから離れた以後の範囲で、「回転体Jの回転軸QとリンクSの回転軸Sjとの間の距離」が減少した後に増加するが、ドアの回転には一旦減速してからドアを戸当りに押圧することになる
図8図9はリンクAの先端のバネの支点Svの円運動の軌跡が、回転体Jの回転軸Qを通過しない場合であり、図10〜図14は回転軸Qを通過する場合である。図3に示したように当たりGwによってバネの支点Svの位置が回転軸Qの位置に留まるようにしたとき、回転体Jが図中矢印⇒と反対方向に回転してもバネの支点Svの位置は移動しないのでバネの長さに変化がない。回転体Jの回転にバネの力が作用することがないので、この状態で回転体JがリンクSが当りGwに接触しながら回転する時バネが取り付かない状態と同じで回転体Jの回転にバネの負荷はかからない。
図3の場合回転体の回転によって、リンクSが当たりGwから離れるとき、バネとリンクSが一直線上にあって、バネの支点Svの位置が回転体Jの回転中心Qから離れるときである。このときバネの軸芯線Y±0即ちバネの力の作用線と回転軸Qとの距離はゼロであり、回転軸Qの周りの回転モーメントはゼロである。
バネの支点Svが回転中心Qから離れるに従い、作用線Yと回転中心Qの距離が増加し、リンクSに作用する回転軸Qの周りの回転モーメントが増加する。即ち図3の場合は、上記回転モーメントはゼロから次第に増加し、上記回転モーメントの増加に回転体Jの回転を伴う。このことは上記回転モーメントが増加してドアと戸当りに押圧する大きさとなるまでに回転体Jが回転する必要があり、この回転が戸当りに向かって閉まるドアの回転速度を加速する。
ドアが戸当りに向かって閉まるときバネの長さは縮むことになるが、このことはまた、戸当りに当って閉まったドアをリンクSが当たりGwに当る位置まで開くとき、ドアを戸当りに押圧する力と同じ大きさで反対方向の力が必要であるが、バネの長さを伸ばしながらリンクSを回転させることになるので、閉まったドアを開く力は更に増加していく。
ただしバネの支点Svが回転中心Qに近づき、作用線Yと回転中心Qの距離がゼロに向かって減少し、リンクSに作用する回転軸Qの周りの回転モーメントがゼロに向かって減少するので、閉まったドアを開く当初は負荷が掛かっても、以後はそれほど負荷を感じることはない。
図10〜図14は回転体Jが回転して、図3の場合のリンクSの軸芯とバネが同一直線上にある位置を過ぎてリンクSが当たりGwから離れても、バネの支点Svを回転中心Qの位置にとどめるもので、図10〜図12においては回転体Jに取り付く回転支点Sjの周りにリンクSが、図13、14においては回転体Jに取り付く回転支点Sjの周りにバネVが回転自在に軸支される。
回転中心Qを中心とする円周の滑走面K上に沿って車輪Bが移動する間は図10〜図12においては回転体JとリンクSが或いは図13、14においては回転体JとバネVが一体となって回転する。
図10〜図14において回転体Jが矢印⇒方向に回転するときドアが閉まり、矢印⇒と反対方向に回転するときドアが開くものとする。図10〜図12においては回転体JとリンクSとバネVの軸芯の全てが一直線T0上にある時の回転体Jの軸芯をY±0とし、回転体Jの軸芯を表すY−30,Y−20,Y+30の+-の後の添え字は回転体Jが回転した角度表すものとする。
リンクSの回転支点Sjの周りの回転はリンクS或いはバネVが図10〜図14の各図(a)に示すようにY+30〜Y±0の範囲内にあるとき、当たりGによって阻止され、図10〜図14の各図(b)に示すように例えばY±0~Y−20の範囲では車輪Bが回転軸Qを中心とする円周の滑走面Kとの接触を保つことによって阻止され、図10〜図14の各図(c)に示すようにリンクS或いはバネが例えばY+30の位置にある時、車輪Bは滑走面Kから離れる。
図10〜図14の各図(c)に示すように車輪Bが滑走面Kから離れた瞬間にリンクSが回転支点Sjの周りを回転し、バネとリンクSの軸芯が一直線になりバネの軸芯と回転体Jの回転中心Qとの距離Lがゼロではない値を示す。このことは回転体Jの回転を伴わずに、回転体Jに突如としてゼロではない回転モーメントが作用することになる。
図3の場合ドアに働く回転モーメントは、当たりから離れた以後に回転体の回転がなければ所定の値に到達することはなく、回転体の回転に伴う加速と加速に伴う衝撃は避けられない。しかし図10〜図14の各図(c)に示すような場合は、回転体が回転する所定の位置で所定の回転モーメントを瞬間的に負荷することができる。ドアが当たりに当たる瞬間にだけ所定の押圧力を一瞬に負荷される。
図3の場合のように上記回転モーメントがドアと戸当りに押圧する大きさとなるまでの回転体Jの回転が殆どなく、この回転が殆どないため戸当りに向かって閉まるドアの回転速度を殆ど加速しない。通常バネの力は連続的に徐々に負荷されるものであるが、図10〜図14に示す機構は不連続に作用することが特徴である。
また車輪が滑走面に当たってリンクSとバネVが一直線の状態から折れ曲り、車輪が滑走面を強く押さえつけるので、転がり摩擦が発生して回転体Jの回転が減速される。強い摩擦抵抗を受けても回転し続けるようにする強いバネの力が、車輪が滑走面から離れる瞬間に抵抗から開放されて、一気に強い力が回転体に作用することになる。
図10〜図14の各図(b)に示すようにバネの支点Svが回転軸Qの位置から離れて滑走面K上に乗り移るとき、僅かにバネの支点Sqが回転軸Qの位置から離れてドアの回転速度を加速するが、この加速はバネの力が大きくする場合に無視できないほど顕著に現れる。
図10〜図14の各図(b) に示す状態は車輪Bが滑走面Kから離れ始める瞬間であり、車輪Bが滑走面Kを押圧する力の作用線(車輪Bの回転軸Iの円運動の接線)が滑走面K上から離れ始める瞬間である。また図10〜図14の各図(c) に示す状態は車輪Bの外周が滑走面Kから離れる瞬間を表す。
図10〜図14の各図(b) に示す状態から図10〜図14の各図(c) に示す状態間での間は車輪が滑走面と接触しており、回転体Jの回転とバネVの伸縮を伴い、ドアは戸当りに向かって回転速度を僅かに加速する。
ドアが戸当りに向かって回転速度を僅かに加速する上記の傾向は、車輪径が大きいほど大きく、車輪径が小さいほど小さくなる。車輪径が大きいほど車輪が滑走面と接触している間が長いからであるが、車輪が滑走面と接触している間のすべての範囲でバネVの伸縮が徐々に進行して、ドアの回転が徐々に加速するものではない。
図10〜図14の各図(b) に示す車輪Bが滑走面Kから離れ始める瞬間の直後は、車輪Bが滑走面Kを押圧する力の殆どが滑走面に受け止められ、回転体Jの回転に作用しない。また図10〜図14の各図(c) に示す状態は車輪Bの外周が滑走面Kから離れる瞬間直前では、車輪Bが滑走面Kを押圧する力の殆どを滑走面によって受け止めることができず、回転体Jの回転に作用する。すなわちドアの回転の加速に関与する範囲は図10〜図14の各図(b) に示す瞬間から図10〜図14の各図(c) に示す瞬間に至る全範囲ではなく、上記全範囲の一部に過ぎない。
図10〜図14の各図(a)に示すようにリンクSが当りGと接触しながら回転し図10〜図12においては回転体JとリンクSが或いは図13、14においてはバネVが一体となって回転するとき、バネの支点Svの位置が回転軸Qの位置から当りG側に離れていれば、車輪が滑走面に乗り移るとき、バネの支点Svの移動を回転軸Qの位置から離れるのではなく、近づくようにすることが出来る。
この場合バネの支点Svが回転軸Qの位置から離れる以前において、回転体Jはバネを引き伸ばしながら回転することになり、ドアが閉まる過程においてリンクSが当りGと接触しながら回転する間は閉まるドアの回転速度を減速し、車輪Bが滑走面Kに沿って移動しながら閉まるドアの回転速度を加速しない。
通常バネの力は連続的に徐々に負荷されるものであるが、図10〜図14に示す機構は不連続に作用することが特徴である。また車輪が滑走面に当たってリンクSとバネVが一直線の状態から折れ曲がるので、車輪が滑走面を強く押さえつけ転がり摩擦が発生するので回転体Jの回転が減速される。
車輪の移動に抵抗が大きくかかれば掛かるほど、回転体Jを回転させる力は大きい必要があるが、上記抵抗が解放されるとき、大きな力でドアを戸当りに押圧することになる。強い摩擦抵抗を受けても回転し続けるようにする強いバネの力が、車輪が滑走面から離れる瞬間に抵抗から開放されて一気に強い力を回転体に作用することになる。
回転体Jを回転させる力を大きくして車輪の移動に掛かる抵抗を大きくし、回転体Jの回転が減速されるようにすればドアを戸当りに強く押圧することができるが、ドアを戸当りに強く押圧するだけ、閉まったドアを強く開く必要があり、これが1つの欠点となる。通常のドアクローザはドアを開くに従い上記ドアを強く開く力を更に強くしていく必要があるが、図3や図10〜図14においてはドアを開くときに強く開くことがあってもドアを開くに従い上記ドアを強く開く力を更に強くしていく必要がない。
閉まったドアを開くとき、バネの支点Svの位置を回転軸Qの位置にもどすため、図3の場合バネの長さを伸ばしながらリンクSを回転させるので、閉まったドアを開く力は更に増加していくことになるが、図10〜図14の場合はバネの長さをほぼそのままにして戻すことができる。図10〜図14の各図(c)に示すようにバネの支点Svが回転軸Qの位置から離れた瞬間にドアが戸当りに当り、その間のドアの回転がほとんどない場合バネの長さに殆ど変化がない。回転体Jを回転させるバネの力の全てを戸当りで受け止めバネの長さに変化がなくても強い力でドアをと当りに押圧する。この際回転体の回転が僅かで、バネの長さに殆ど変化がないようにすれば、開くときにバネが伸びない
バネの支点Svが回転軸Qの位置から離れた以後のドアの回転が殆どないことは、バネの支点Svの位置を回転軸Qの位置に戻すときにも殆どないことであり、閉まったドアを開くときにバネの長さに殆ど変化がない。また車輪Bが滑走面Kに乗り移った瞬間にドアを押して開こうとする手に掛かる負荷が突如として軽減される。荷物を持ちながらスロープを登る人が、荷物をカートに載せてスロープを登ったときのように、ドアを押して開こうとする手には、ドアを開くときにバネに蓄えられていく力が負荷されるが、その一部が滑走面Kに受け止めるため負荷が軽減される。
ドアを戸当りに押圧する力もドアを開くときにバネを引き伸ばしながらバネに蓄えられていくが、バネの支点Svが回転軸Qの位置から離れた以後のドアの回転が殆どない場合、閉まったドアを開く瞬間に車輪Bが滑走面Kに乗り移り、滑走面Kに勾配があってバネの長さVが引き伸ばされながら車輪Bが登坂する場合でも、車輪Bが滑走面Kに作用する分力成分が大きい程、ドアを開くときの負荷が軽減される。上述したようにドアを戸当りに強く押圧するだけ、閉まったドアを強く開く必要があるが、図10〜図14の場合、この問題は閉まったドアを開く瞬間に解消される。
図10(a)に示すようにリンクSの軸芯YがT0を通過する以前の位置ではリンクSが当たりGjに当って回転体Jと一体となって回転する。図10(b)に示すようにリンクSの軸芯YがT0を通過するとき、リンクSは当たりGjから離れてリンクSの先端に取付けた車輪Bが回転中心Qを中心とする円周の滑走面上Kwに沿って移動する。リンクSの接続軸Sjを中心とするリンクSの円運動の接線方向の動きは阻止され、バネの支点Svを回転中心Qの位置にとどめる。
図10(c)に示すように、更に回転体Jが回転して車輪Bが滑走面Kw上の終端部を通過して滑走面Kwから離れるとリンクSの軸芯とバネの軸芯とが一直線になる。このとき始めてバネVの力が回転体Jに作用する。バネの支点Svは回転軸Qの位置から一瞬にして離れ、回転体Jに突如としてゼロではない回転モーメントが作用し、ドアの側面に取り付くラッチの逆防止装置を作動させながら、ドアを戸当たりに当たるまで回転させる。
図11は図10と同様にリンクSの接続軸Sjを中心とする円運動の接線方向の動きを、リンクSの先端に取付けた車輪Bsが回転中心Qを中心とする円周の滑走面上Kwに沿って移動することによって阻止し、バネの支点Svを回転中心Qの位置にとどめるものである。
図10の場合は車輪Bsが滑走面Kwの円弧の内側に沿って移動するものであるが、図11は滑走面Kwの円弧の外側に沿って移動するものである。車輪Bsが滑走面Kwに乗り移るときバネの支点Svを回転中心Qの位置に引き寄せる。
図10の場合はバネの長さを縮めながら回転し、図11場合はバネの長さを伸ばしながら回転する。回転体Jの回転速度は図10の場合は加速され、図11場合は減速される。
図12はリンクSの先端にバネの支点Svを中心とする円弧の滑走面Ksを設けて、滑走面Ks上に沿って車輪Bwが移動することによって、リンクSの接続軸Sjを中心とする円運動の接線方向の動きを阻止するものである。
図13、14は図10〜図12と異なり、回転体Jの回転支点Sjの周りにバネVが回転自在に軸支され、回転支点Swの周りにリンクSが回転自在に軸支される。
ドアが完全に閉まった状態からドアを開くとき、回転体Jが⇒と反対方向に回転して、車輪Bは滑走面Kのドアが閉まるときに接触した面と反対側の面上を通過する。ドアが閉まるとき車輪Bが滑走面Kと接触する面が図10,13、14においては内側であり、図11,12においては外側である。
ドアを開くとき車輪Bは図10,図13、14においては外側を通過し、図11においては内側を通過する。図10〜図14の全ての場合においてドアを開くとき、車輪Bが閉まるときのルートと別のルートを通過し、いずれに場合もバネを伸ばしながら通過する。また抵抗を少なくしてドアを開くように出来る
図12において車輪Bwは回転軸Iaの周りを回転するアームAbの先端に取付けられ、ドアが閉まるときアームAbは当たりGbに当たる方向に回転し、ドアを開くとき当たりGbから離れる方向に回転する。図12の場合、ドアを開くときバネと回転体は一直線の状態を保ったまま、バネの支点Svは回転中心Qの位置に戻る。ドアが閉まるときで、バネの支点SVが回転中心Qから離れて一瞬にしてドアが戸当りに当るとき、ドアの回転もバネの伸縮も僅かであるが、この場合ドアを戸当りから離して開くとき、図12の場合ドアの回転もバネの伸縮も僅かである。
Y±0〜Y+30の範囲即ちリンクSと当たりGjが接触する範囲において、滑走面KのリンクSと当たりGjが接触する部分がない。滑走面へ長さを短くしているのはこの範囲でドアを開くとき、車輪Bが閉まるときの接触面側に移動できるようにしている。又、Y−30〜Y±0の範囲でドアを閉める場合は、バネの力が連続的に増加してもドアの回転量が少ないので加速や閉めたときの衝撃は問題にならない。又ドアを戸当たりに押圧するバネの力に違いはない。
以上にドアが閉まる時にバネの力が突如として最大値になるバネの機構を紹介した。つぎにドアを開くとき開く人の手にドアを強く密閉する力が伝わらないカム体とカム車輪の機構を説明する。カム体とカム車輪の機構を説明する。
図15(a)において、Aはドア枠Wに取り付く回転軸Qを中心に回転可能に軸支持されるアームで、ドアに取り付けられた車輪BをバネVの力で押さえつける。アームAの滑走面Kの円弧の中心はドアの回転中心Oであり、アームAの滑走面Kの両端は半径方向に曲げられる。
車輪Bはドアの回転中心Oを中心とする円運動をし、車輪Bが滑走面Kの両端にあるとき車輪Bにドアの回転中心Oを中心とする円運動の接線方向の力が働き、ドアは静止する。滑走面Kの両端以外の位置では、アームAが車輪Bを押さえる力の方向はドアの回転中心Oに向かいドアが回転してもアームAは回転軸Qを中心に回転しない。
図15(b)において、ドア枠に取り付けられる滑走面Kの円弧の中心はドアの回転中心Oであり、ドアに取り付けられた車輪BはバネVの力で滑走面Kを押さえつける。滑走面Kの両端は半径方向に曲がり、ドアの回転中心Oを中心とする円運動する車輪Bが滑走面Kの両端にあるとき、車輪Bにドアの回転中心Oを中心とする円運動の接線方向の力が働き、ドアは静止する。滑走面Kの両端以外の位置では、車輪Bが滑走面Kを押さえる力の方向はドアの回転中心Oに向かいドアが回転してもバネは伸縮しない。
図3の場合と同様に、図15(a)(b)の場合は、ドアを戸当りに押圧するときにだけバネの力はドアDに作用して、それ以外のときは作用しない。ドアを戸当りに押圧するときにだけドアが僅かに回転し、大きくバネが伸縮する。その他のドアの回転によってはバネが全く伸縮しない。どの位置においても手を放しても勝手に閉まるドアにするには、図15(a)(b)に示すドアに、回転を与えるバネを別途に取り付ければよく、このバネにはどの位置においても手を放しても勝手に閉まる力があればよく、ドアを戸当りに押圧する強い力はなくてよい。
図15(a)、(b)に示す滑走面Kに末端にはドアを戸当りに押圧するための窪みKKがあり、窪みに連続する部分KKKで滑走面に凹凸を付けて、車輪を減速するようにしている。この場合、ドアを閉めるバネにはブレーキがかかりながら閉まるドアを戸当りに当るまで回転させる力が必要であり、ドアを閉める瞬間にブレーキが開放されたとき、ドアを閉めるバネにはドアを押圧する力を残こしている。強い摩擦抵抗を受けても回転し続けるようにする強いバネの力が、車輪が滑走面から離れる瞬間に抵抗から開放されて一気に強い力をドアに作用することになる。
しかしドアを戸当りに押圧するバネを別に用意する場合、抵抗から開放されて一気に強い力をドアに作用する必要はない。強い摩擦抵抗を受けても回転し続ける強いバネの力は同時に開くときに余分な力を必要とするようになるので、ドアを戸当りに押圧するバネを別に用意して、ドアを開くバネは、抵抗のない状態で必要最小限の力のバネで、ドアをゆっくりと回転させるのが好ましい。
ドアが閉まる直前から戸当りに密着するまでの間に、図3のバネの機構ではドアの回転に伴い徐々に大きくなるようになるが、図10〜14のバネの機構でドアの回転は伴わず、バネの力が突如として最大値になる。図10〜14の場合と同様に図15の場合も、図14に示す車輪が滑走面末端の窪みに嵌るとき、ドアの回転をほとんど伴わずに、バネの力が突如として最大値になる。
ドアが閉まる全過程において、バネの長さの伸縮部分が大きいということは、例えば引きバネの場合、伸びきった最大時のバネの強さが大きくすぎて、縮みきった最小時のバネの強さが小さすぎることを意味しており、ドアが閉まる最終時に大きな力を残すためには、ドアが閉まりはじめに大きな力がかかりすぎる欠点がある。
これに比して、ドアが閉まる全過程において、バネの長さの伸縮部分が小さいということは、引きバネの場合、伸びきった最大時のバネの強さを、縮みきった最小時のバネの強さに近づけることが可能で、ドアが閉まる最終時に大きな力を残しても、ドアが閉まりはじめに大きな力がかかりすぎないようにすることが出来る。このため「ドアが閉まる全過程において、バネの長さの伸縮部分が小さい」ということが必要になる。
図10〜14の場合も図15の場合も、ドアが閉まる直前から戸当りに密着するまでの間
以外ではバネの長さが変化せず、ドアにバネの強さが影響しないようにしているが、ドアは僅かなバネの力で回転するので、図10〜14の場合はバネの支点Svの位置を回転体Jの回転中心Qの位置から僅かに離すだけで、回転体Jが当りGに当って回転している間も、回転体Jの回転中心Qの周りに回転モーメントが発生してドアを回転させることができる。
また図15の場合は滑走面Kの円弧の中心の位置をドアDの回転中心Oの位置から僅かに離すだけで、車輪Bが滑走面Kの両端部にない場合でアームAが当りGに当って回転している間もバネの長さが増加或いは減少の一途をたどり、ドアDの回転中心Oの周りに回転モーメントが発生してドアを回転させることができる。
このようにドアが閉まる全過程において戸当りに当る寸前までの回転において、バネの長さがほとんど変わらず、戸当りに当るときにバネの伸びが大きく残っている場合は。戸当りに当る瞬間にバネに残された力のすべてを作用させることができ、戸当りに押圧するためのバネでドアを回転させるためのバネを兼用することができる。但し、1本のバネでドアを回転させ、且つドアを戸当りに押圧するようにすると、調整が難しくなるのでべつべつのバネを用意するほうがよい
図16は回転軸Qの周りを回転体Jに回転を与える機構説明図で、アームAkは回転軸Iaの周りを図中矢印⇒イ方向にバネの力で回転する。図16においてはドアが閉まる全過程において戸当りに当る寸前までの回転において、バネの長さの変化が少なく、戸当りに当るときにバネの伸びが大きく残っている。図16は図15の滑走面の円弧の部分を改造して、回転体Jの回転中心Qの周りに回転モーメントが発生してドアを回転させようとするものである。
回転体Jは回転軸Qの周りを回転し、アームAkは回転軸Iaの周りを回転自在に軸支される。回転体J先端の回転支軸Pに車輪Bが取り付けられ、点Iaを中心に回転するアームAkには引きバネ或いは押しバネが仕込まれ、アームAkの滑走面Kが車輪Bを押圧して滑走面K上を車輪Bが滑走するようにしたものである。アームAkは回転軸Pを中心に矢印→イ方向に回転し、回転体Jは矢印→ロ方向に回転する。
ここで、各回転軸Ia,P,Qのそれぞれの軸心は鉛直であり、回転体J、車輪B、アームAkのそれぞれは水平面上で円運動する。図16(a)、(b)において回転軸Iaの周りに仕込まれた引きバネ或いは押しバネが最もバネの力を持っている回転開始時の状態を実線で示す。車輪B0,B1,B2,・・・は回転体Jが少しずつ回転して移動した位置の状態を示し、各車輪B0,B1,B2,・・・の間の回転角は同じで、それぞれは回転軸Qを中心とする円R上に等分に配される。
図16(a)において円rは回転軸Qを中心とする円で、各点m0,m1,m2・・・は各車輪B0,B1,B2,・・・の回転軸P0,P1,P2,P3を通る直線で、円rの接線でもある直線が各車輪B0,B1,B2,・・・の外周に交わる位置で、各t0,t1,t2・・・は各車輪B0,B1,B2,・・・の外周の各点m0,m1,m2・・・における接線である。各接線t0,t1,t2・・・と各点m0,m1,m2・・・は回転軸Iaを中心に回転移動して各点l0,l1,l2・・・・の位置が決められ滑走面Kが形成される。ここで点m0とl0とは同じ位置である。このことから回転体Jが回転して車輪が移動した任意の位置において、滑走面Kが車輪Bを押圧する力の作用線は回転体Jの回転中心Qと一定の距離を保つ。
図16(b)において回転体Jが少しずつ回転して移動して車輪が移動した状態はB0,B1,B2,・・・で表わされ、各点m0,m1,m2・・・は各車輪B0,B1,B2,・・・と滑走面Kとの接点であり、各接線t0,t1,t2・・・に立てた垂線はすべて、円rの接線である。各接線t0,t1,t2・・・と各点m0,m1,m2・・・は回転軸Iaを中心に回転移動して各点l0,l1,l2・・・・の位置が決められ滑走面Kが形成される。ここで点m0とl0とは同じ位置である。このことから回転体Jが回転して車輪が移動した任意の位置において、滑走面Kが車輪Bを押圧する力の作用線は回転体Jの回転中心Qと一定の距離を保つ。
回転体Jが回転して車輪が移動した任意の位置において、滑走面Kが車輪Bを押圧する力の作用線は回転体Jの回転中心Qと一定の距離を保つことと、全開状態から戸当りに当る寸前までのドアが閉まる方向に回転する全過程において、バネの長さがほとんど変わらない。
戸当りに当るときにバネの伸びが大きく残っている事をあわせて考えれば、回転体Jが回転して車輪が移動した任意の位置において、回転軸Jに働く回転モーメントは一定で、ドアが閉まる全過程において戸当りに当る寸前までのどの位置においてドアから手を離してもドアが止まったままではなく、一定の回転モーメントが働き閉まり始めることになる。
図16(a)、(b)において回転軸Iaの周りに仕込まれた引きバネ或いは押しバネの力は回転開始時に最も強く回転終了時にもっとも弱い、滑走面Kが車輪Bを押圧する力の作用線は回転体Jの回転中心Qと一定の距離を保つが、回転軸Jに働く回転モーメントは一定ではない。
滑走面Kの曲率は回転軸から離れるに従い大きくなるが、該曲率を一定にすると図16(a)においては滑走面Kは円弧Rkとなり、図16(b)においては直線Tkとなる。円弧Rkと車輪Bとの接点と車輪の回転軸を結ぶ直線は、滑走面Kが車輪Bを押圧する力の作用線であり、該力の作用線と回転体Jの回転中心Qとの距離は回転体Jが回転するに従い大きくなり、回転軸Jに働く回転モーメントは常に一定になる状態に近づく。
図16のように滑走面Kが車輪Bを押圧して回転体Jが回転するようにすると、回転軸Iaの周りに仕込まれた引きバネ或いは押しバネの伸縮に対して、車輪Bの移動距離が大きく、車輪Bの転がり摩擦によって回転体Jの回転が減速される。重たい荷物を積載するカートが緩いスロープをゆっくりと下るのと同じである。
図16において、滑走面KがIaを中心に僅かに回転する間に回転体JはQを中心に大きく回転するので、回転を伝達する機構として摩擦が大きく、滑走面Kを回転させるバネの強さを大きくしても、車輪Bは回転しにくい。滑走面Kが車輪Bを押圧する力の殆どが回転体Jの軸心方向で、回転方向に働く分力は非常に小さい。
通常回転するカム面に沿って移動するカム車輪はカム面の回転軸の直角方向に直線往復運動をするものであるが、図16の場合は、カム面の回転によってカム車輪を回転させるもので、この回転の伝達機構はいくら強いバネの力を作用させても、回転体Jが早く回転しないのが特徴であり、回転体Jが回転する間のバネの伸縮は非常に少なく、回転し終えてもバネには強い力が残っている。
回転体Jの回転がドアに伝達される場合で、回転体Jの回転終了の直前が「ドアが戸当りに密着するとき」であるとするならば、回転体Jの回転がドアの戸当りによって止められ、バネの強い力が戸当りに作用する。図15(a)、(b)に示すような滑走面K末端の窪みKKは滑走面Kが車輪Bを押圧する力を回転体Jの軸心方向ではなく、出来るだけ回転方向に働くように滑走面勾配を大きくしたもので、バネの力の殆どを「ドアを戸当りに押圧する力」にしようとするものである。
滑走面K末端に窪みKKを設ける手段はドアの回転を殆ど伴わずに、バネの力の殆どをドアを戸当りに押圧する力にしようとする手段で、バネの力をドアを戸当りに押圧する力にしようとするときに、ドアの回転が伴うとき、ドアを閉める前にドアの回転速度を加速することになり、これを避けるため瞬時にバネの力の殆どを「ドアを戸当りに押圧する力」にしようとするものである。しかしこの手段にはドアを開くとき抵抗が掛かる。
しかし滑走面K末端に窪みKKを設けることは、閉まったドアを開くとき車輪Bを窪みKKから脱出させるとき抵抗がかかる。図16(a)、(b)に示すように滑走面K末端に窪みがなく、滑走面の勾配に変化がない場合でも、回転し終えてバネに強い力が残っている場合、ドアに回転体Jの回転を阻止する力がなく閉まり続けて、ドアは戸当りに押圧される。この場合閉まったドアを開くとき抵抗がない。
図16(a)(b)のそれぞれは車輪Bが滑走面Kに沿って移動するものであるが、図17
は車輪Bに沿って滑走面K移動するものである。図17(a)〜(c)、図17(d)〜(f)のそれぞれにおいて、車輪Bwは固定され、回転体Jは回転軸Qと滑走面Kの回転支軸Pとを連結するリンクである。アームAkは回転軸Pの周りを図中矢印→イ方向にバネVの力で回転し、回転体Jは回転軸Qの周りを回転する。
図16の場合は回転体J先端に取付けた車輪Bが、回動する滑走面Kに押圧されることによって回転体Jが円運動するものであったが、図17においては、固定された車輪Bwに沿って滑走面Kが移動するによって回転体Jが円運動する。図17(a)〜(c)、図17(d)〜(f)のそれぞれにおける回転軸Qを中心に回転するリンクJの回転は図16(a)(b)のそれぞれにおける回転体Jの回転と同じである。図16においても図17においてもアームAkの滑走面Kがの車輪Bwを押圧しすることによって回転体Jは同じ回転をする。
図16の場合は回転体Jに固定された車輪Bに沿ってアームAkの滑走面Kが移動するようにして回転体Jを回転させるものである。図17(a)(b)(c)は図16(a)に対応し、図17(d)(e)(f)は図16(b)に対応している。
一般にカム体とカム車輪との組み合わせからなるカムの機構は、カム体の回転によってカム車輪が上下するものもあれば、カム車輪の上下によってカム体が回転するものもある。後者の機構はドアに応用される技術であり、ドアの回転に伴うバネの長さの変化が少ないことが特徴である。
したがって車輪がカム面から外れたとき、バネの長さを大きく変化させることができる。図17において、車輪Bwが滑走面K上を移動するとき、バネの長さが僅かに変化するだけで回転体Jが大きく回転する。車輪Bwが滑走面Kの末端から離脱するとき、回転体Jが僅かに回転するだけでバネの長さが大きく変化し、ドアが戸当りに押圧される。
図18は回転軸Qの周りを回転する回転体Jに回転を与える機構説明図で、点Qkを中心とする円周上にある滑走面K上を車輪Bが滑走し、アームAbは回転体Jの接続軸Pの周りを回転自在に軸支され、アームAの先端に車輪Bが取り付けられる。回転体JとアームAbとの間にはバネが仕込まれ、円弧Rは回転軸Qを中心とする円で矢印→方向は回転体Jの回転方向を示す。
図18(a)(b)(c)においては引きバネVが縮み、アームAbと回転体Jがなす角度が狭くなり、車輪Bが円周Rから離れることにより回転体Jは回転する。引きバネVによって車輪Bが滑走面Kの外側凸面を押圧し、中心Qkに向かって求心方向に力を作用させている。図18(b)に示すように、力の作用線Yと回転軸Qとの距離Lは回転体Jの回転に従い増加しバネの力が弱まるので、双方の積である回転モーメントはほぼ一定に保たれる傾向にある。
図18(d)(e)(f)においては押しバネUが伸びて、アームAbと回転体Jとがなす角度が拡がり車輪Bが円周Rから離れることにより、回転体Jは回転する。車輪Bは押しバネUによって滑走面Kの裏側凹面を押圧し、中心Qから遠ざかる遠心方向に力が作用する。図18(e)に示すように、力の作用線Yと回転軸Qとの距離Lは回転体Jの回転に従い減少しバネの力も弱まり、回転と共に回転モーメントが減少する。
図18(a)(b)(c)においても図18(d)(e)(f)においても、車輪Bと滑走面Kとの接点Kbは車輪Bの回転軸と滑走面Kの円弧の中心Qkとを結ぶ直線上にあって、車輪Bが滑走面Kを押圧する力の作用線の方向は回転体Jの円運動のほぼ半径方向であり、押圧する力の殆どが回転体Jの円運動に作用しない。また車輪Bが大きく滑走する距離に対してバネの伸縮が極めて短い。
回転体Jが回転するときのバネの伸縮が少ないので回転の最後にバネの伸縮を大きくすることが可能になり、車輪Bが滑走面末端の窪みKKに嵌まり込んだときバネが大きく伸縮するようになる。又、滑走面末端の窪みに嵌まり込むとき回転体Jの回転がほとんどない。
以上に「ドアを開くとき開く人の手にドアを強く密閉する力が伝わらないカム体とカム車輪の機構」紹介した。この「カム体とカム車輪の機構」は「図1〜14紹介したバネの機構」と同じくドアが閉まる時にバネの力が突如として最大値になる特徴もあり、、減速しながら回転するので一瞬にして回転し終える傾向は少ない。
図1〜14紹介したバネの機構の実施例を以下に紹介する。ドアが戸当たりに当たる瞬間においてのみ「ドアを戸当たりに押圧する力」が働くようにしても、それまで加速しながら閉まってきたドアを「ドアを戸当たりに押圧する力」が更に加速する結果となり、戸当たりに当たる以前に減速することは重要な課題になる。
一般に引き伸ばした引きバネは一瞬にして元の長さに戻る。引き伸ばした引きバネで物体を引き込むとき、バネに負荷がかかりバネは時間を経過して元の長さに戻る。静止した物体は静止状態を保とうとしてなかなか動こうとしないからである。
動き出した物体は動慣性がついて更にバネの力が作用すると加速するが、物体の動きに抵抗が加わると減速され直ちに止まろうとする。物体に働く抵抗が大きく、物体に動きを与える力が小さい場合、動き出した物体には動慣性が着くことなく、バネの力が強ければ早くバネの力が弱まれば遅く動き、抵抗が大きく働く物体は弱いバネの強さの変化に従順に従う。
回転軸を中心にして回転するドアについては、回転軸における摩擦抵抗や、閉まるときの空気抵抗が働く。ドアを牽引するアームをバネの力で動くようにした「バネで動くドア」において、ドアを開くとき引き伸ばした引きバネでドアを閉めるとき、ドアを牽引するアームの取り付け位置がドアの回転軸に近づけば近づくほど、バネで動かそうとするには大きな力が必要であり、上記の抵抗も大きく影響する。
またアームの取り付け位置のドアの回転軸を中心とする円運動は小さくなり、一定の大きさのアームや引きバネを使用する場合、アームの取り付け位置の小さくなった回転半径に対して、相対的にアームや引きバネが大きくなることになり、「強い力で小さく動くドア」に対して弱く長い引きバネを使用することになり、一瞬にして元の長さに戻る引きバネが時間を掛けて縮んでいくようになる。
空気中にあるドア、水中にあるドア、油の中にあるドア、のそれぞれを考えると、いずれの場合も多かれ少なかれドアに粘性抵抗が働くが、僅かな力でも動き出す。静止しているドアは回転軸における摩擦抵抗とバネの回転力が釣合った状態にある。力の釣り合いが崩れるとドアは動くが、この場合バネの回転力が回転軸における摩擦抵抗より大きければ回転する。
ドアが静止した位置によっては動き出さないことになってはいけないので、ドアが回転するどの位置においても、静止したドアを動かす力が働くようにしなければならない。このことは回転するドアに常に力が作用していることであり、回転するドアに常に力が作用している以上は、ドアの回転速度を加速する。したがってドアがゆっくり回転したとしても加速しておりドアが閉まるとき、ドアの回転速度は最高値に達する。ドアが回転して動慣性つくとドアに粘性抵抗が働くが、ドアに働く粘性抵抗はドアの回転速度の最高値を更新させない。
粘性抵抗が大きな油の中ではゆっくりと動き出し、粘性抵抗が小さな空気中では早く動く。油の中で大きな力が働いてもゆっくりと動き出し、空気中で小さな力が働く場合もゆっくりと動き出す。アームの取り付け位置Cをドアの回転軸Oに近づけることによってより歩おきな回転力を必要とする状態にしてかろうじて動き出す程度にバネの力を調節すると、ドアに作用する粘性抵抗は大きく影響することになる。この場合静止したドアが動き出す初速度が「ドアに働く粘性抵抗によって更新されないドアの回転速度の最高値」となる。ドアの回転速度が加速されない以上ドアはバネの強さに従順に従い、バネの力が弱まれば回転速度を遅くする。
アームの取り付け位置をドアの回転軸に近づけたドアに、「図9(a)の回転体Jに取り付けたバネの機構」を取り付けた場合は、ドアが閉まる過程において、ドアに働く回転力は小さく、ドアが閉まる直前で「ドアに働く回転力」はさらに小さくなり、最後に強い力でドアを戸当りに押圧することになる。
ドアの回転力の強弱はそのままドアの回転速度となり、ドアはゆっくり閉まり、閉まる前に一旦減速してから強く戸当りに押圧する。多くの場合ドアを戸当りに押圧する力はドアを回転させるだけの力に比べて少し強いだけで、「閉まったドアを開かないようにするドア側面に取り付けられバネが内蔵された逆方向の回転を防止する装置(以下ラッチと言う)」のバネの力に打ち勝って戸当りに押圧するにいたるので、ドアの回転軸に近い位置を図9(a)に示したバネの機構で牽引するようにすればよいことになる。
ドアを戸当たりに当てる動作には回転が伴うので、ドアを戸当たりに当てるためには単にドアを回転させるそれまでの動作より大きなバネの力が必要である。バネの機構で牽引する力に比べて大きな抵抗を受けて回転するドア、例えば「アームの取り付け位置をドアの回転軸に近づけたドア」を小さな力で牽引する場合、ドアはゆっくり閉まってもドアを戸当たりに当てる力が不足する。
また「アームの取り付け位置をドアの回転軸から遠くに離したドア」を小さな力で牽引する場合、ドアは小さな力で回転することが出来、小さな力ドアを戸当たりに当てることが出来るが、ドアはゆっくり閉まめるために弱いバネを使い、その弱いバネで、ドアを戸当たりに当てるには力が不足する。
1つのシステムで処理する場合、「ドアを回転させるだけの動作」が終了してバネの力が弱まった最終時においても「ドアを戸当たりに当てる大きな力」を保有するようにしなければならない。また「ドアを戸当たりに当てる大きな力」が単にドアを回転させるそれまでの動作に効果的に働かないようにする必要がある。
一般に開いたドアがバネの力で引き戻され閉まる動作には、ドアを閉まる方向に回転する動作、閉まる直前にドアの回転速度を減速する動作、ラッチの抵抗を受けてもドアを戸当たりに当たるまで回転させる動作の3つの動作があるが、ラッチの抵抗はドアによって異なり、ドアを減速しながら閉める操作とドアを戸当たりに当てる操作を図1〜9に示したバネの機構の1つに機構で処理しきれない場合がある。図19は図9(a)に示したバネの機構に更に図6に示した「ドアを戸当りに押圧するバネの機構」を追加して戸当りに押圧する力を補強したものである。
図19は図1~図9に紹介したバネで動くシステムをドアに応用した実施例を示すものである。1つの回転体に図1~図9のシステムを2つ以上組み込むと、それぞれのシステムが1つの回転体に働く効果は重ね合わさって作用し、また1つのシステムが終了するとき別のシステムが始動するように、1つのシステムから別のシステムへのリレーが可能になる。図19(a)はドアが全開した状態、図19(b)はドアが閉まる直前の状態図19(c)はドアが戸当たりに当たる状態を示す。
図19は回転体J1に図9(a)で説明した機構のリンクSをアームA1とし、図6で説明した機構のリンクSをアームA2として取り付けたもので、それぞれの機構の回転体J1に作用する力には重ね合わせの法則が成立する。図9(a)で説明した機構のアームA1は、ドア枠に取り付けられたプレートWから出し入れできるボルトHによって位置が調整できる車輪Bに沿って移動する。
図19(a)に示すドアが全開した状態から、図19(b)に示すドアが閉まる直前の状態まで、バネの伸縮は少なく、また力の作用線でもあるアームA1の軸心線と回転体J1の回転軸I1との距離も小さく回転体J1に働く回転モーメントも小さく、従ってドアD を回転させる力も小さい。また車輪の転がり摩擦によってドアの回転速度は減速される。
図19(b)に示すドアが閉まる直前の状態から図19(c)に示すドアが戸当たりに当たる状態の過程においてアームA1は車輪Bから離れて、アームA1の軸心線と回転体J1の回転軸I1との距離が大きくなり、回転体J1に働く回転モーメントも大きくなる。このようにしてドアを開くときは僅かな力でドアを開くことができ、しかもドアを戸当たりに当たるまでしっかりと閉めることが出来る。
車輪Bから離れたアームA1は更に回転して、アームA1に連結するバネV1の支点を固定する回転体J2を押し込んで回転せしめバネV1を無効にする。アームA1が車輪Bから離れて回転体J1に働く回転モーメントが大きくなっても、ラッチの抵抗が大きくドアが戸当たりまで閉まらずに途中で停止する場合、図6で説明したシステムのアームA2が追加される。
アームA2はアームA1と同じく回転体J1の先端部に接続軸Sj1に回転自在に取り付けられ、図19(b)に示すドアが閉まる直前の状態から図19(c)に示すドアが戸当たりに当たる状態の過程において、アームA2に取り付く当たりGjによってアームA2は回転体J1と一体になって回転軸I1を中心に回転する。
アームA2の長さが回転軸I1と接続軸Sj1との間の距離より小さく設計されているので、アームA2に連結するバネV2の支点Q2と回転軸I1と回転体J1の先端部の接続軸Sj1が一直線になるときバネV2の長さが最大であり、バネV2の長さが最大の位置から回転体J1の先端部の接続軸Sj1がドアに近づく方向に回転するときバネV2の長さは減少する。ドアに遠ざかる方向に回転するときアームA2は当りGjから離れてアームA2の軸心線と回転体J1の回転軸I1との距離が大きくなり、回転体J1に働く回転モーメントも大きくなる。
アームA1は車輪Bから離れる直前において、バネV1が回転体J1を回転させる力はバネV2の長さは増加することによって弱められドアの回転速度は減速する。アームA2の長さが回転軸I1と接続軸Sj1との間の距離と同じ長さに設計されている場合は、図3で説明した機構と同じ原理で、アームA2が当りGjから離れず回転体J1一体になって回転している間はアームA2に連結するバネV2の長さに変化はなく、回転体J1の回転に影響しない。
アームA1が回転する機構においてアームA1とそれに連結するバネV1が折れ曲がった状態のときドアに僅かな回転力を与える。アームA1に連結するバネV1の長さが元の長さに戻ろうとする最終段階において、バネの力が弱くなった状態でもアームA1とバネV1が一直線になって、回転体J1に大きく回転モーメントが働き、アームA2とバネV2が一直線になる位置に移動するようにする。
アームA1とバネV1が一直線になる方向とアームA2とバネV2が一直線になる方向が少し異なるので、アームA1とバネV1が一直線になってアームA1がしばらく回転してからA2とバネV2が一直線になる。このようにしてドアを閉まる方向に回転する動作の終了と同時に、ラッチの抵抗を受けてもドアを戸当たりに当たるまで回転する動作が開始する。
次にドアが閉まる直前に、ドアが開く方向に少し押し戻されて一旦停止して再び閉まる方向に回転する動作について説明する。回転体J1の先端の接続軸Sj1とドアDのアーム取り付け軸Cとの間は2つのリンクA,AA,が連結され、2つのリンクA,AA,はその接続Sa3において折れ曲がるようにバネV3が仕込まれる。
2つのリンクA,AAが折れ曲がる状態はドアが全開した状態からドアが閉まる直前まで保持され、「2つのリンクA,AAの端部の接続軸Sj1、C間の距離」が縮められる。2つのリンクA,AAはドアが閉まる直前に一直線になって「2つのリンクA,AAの端部の接続軸Sj1、C間の距離」が最大となる。
「2つのリンクA,AAの端部の接続軸Sj1、C間の距離」は回転体J1の先端Sj1と「ドアとアームの接続軸C」との距離でもあり、その距離が増加することはドアを押し戻すことである。図19(b)に示すように矢印→イ方向に回転体J1が回転することによって、バネV3を引き伸ばし2つのリンクA、AAが一直線になって、ドアが開く方向に回転する。
回転体J1の回転を止めた状態でドアを閉める方向に回転させるとき、「ドアの接続軸Cと回転体Jの回転軸I1とを結ぶ直線Z」を境界線として「2つのリンクA,AAの連結軸Sa3」がドアの回転軸Oを含む領域の反対側の領域内にあるとき、回転体J1は矢印→イ方向と反対方向にに回転する。
ドアが開く方向に回転しなければ、回転体J1が回転しないので、ドアを閉めることによって回転体J1が回転させられることはできない。ドアが強風などの外力が作用して回転体J1が回転させられることはなく、ドアは閉まらず回転が止まる。このようにドアが閉まる直前において、ドアに回転を与える駆動部分に逆方向の負荷が強くかかることによって、回転体の回転が減速する。
回転体J1の軸心の方向がドアと直角に近い範囲で回転する場合は、回転体J1の先端Sj1がドアから遠ざからないので、「ドアが閉まる直前に開く方向に押し戻される移動量」は大きく、回転体J1の軸心の方向がドアと平行に近い範囲で回転する場合は、回転体J1の先端Sj1がドアから遠ざかるので、「ドアが閉まる直前に開く方向に押し戻される移動量」は少なくなる。
ドアが閉まる直前の回転体J1の回転する範囲によって、ドアが閉まる直前に開く方向に押し戻されずに一旦停止、或いは減速しながら戸当たりに当たるまで回転する状態に調整することが出来る。
図19は図9(a)のバネの機構を採用したものであるが、図20は図10〜14のバネの機構を採用するもので、回転体Jに回転支点に取付けられバネVが直列に連結されるリンクSが回転体Jに取付けられた当りGjに接触しながら、或いは「回転軸Qの周辺に位置する車輪Bw」に沿って「リンクS先端の滑走面Ksの外側」接触しながらが移動し、回転体JとアームSとが一体になって回転するとき、バネの支点Svが回転中心Qに留まるのではなく、回転中心Qを中心に円運動するようにして、バネVの力でドアを回転させている。
構造は図19と同じで回転体Jは回転軸Qを中心に回転し、図20(c)に示すように、回転軸Qには捩りバネVが仕込まれ回転体Jを回転させ、回転体の先端の接続軸Svとドアの接続軸Cとを2つのリンクA,AAで連結することによってドアDを回転軸Oを中心に回転させる。
2つのリンクAとAあの連結軸Pには図20(b)に示すように、リンクAとAAが一直線の状態から矢印イ方向の反対方向の回転を阻止する当たりGaが備わる。図20(a)に示すようにドアが閉まる過程を通じて、2つのリンクAとAAとは一直線を保つが、回転体Jの回転がドアDの回転に影響されることなく一定速度で回転するとすれば、ドアは閉まるに従い回転速度が加速し、2つのリンクは図20(b)に示すように折れ変形して、連結軸Pに取付けられた車輪BBが滑走面KKに沿って矢印ロ方向に移動し、当たりGkに当たってドアの回転が止まる。
更に回転体Jが回転すると、車輪は矢印ロ方向と反対方向に移動し、再び2つのリンクAとAAが一直線になってドアを戸当たりGdに密着させる。リンクSは回転体の片方を接続軸PPに回転自在に軸支し、他方の端部にバネVの支点Sが取り付けられる。又車輪Bに沿って移動する滑走面Kが取りつく。
図20(a)に示すようにドアが全開から閉まる直前まで、リンクSは回転体Jに取り付けられる当たりGjに当接することによって、リンクSと回転体Jは一体になって回転軸Qを中心に回転し、バネの支点Svを回転軸Qの位置に留める。これによりバネVの長さは変化しない。
図20(b)に示すようにドアが閉まる直前に、リンクSが当たりGjから離れてリンクS先端の滑走面Kが車輪Bに当接し、リンクSとバネVの軸芯線が反対方向に折れ曲がった状態になっても、バネVの支点Svを回転軸Qの位置に留め続ける。
更に回転体Jが回転すると、図20(c)に示すように、車輪Bが滑走面Kから離れてバネVとリンクSの軸芯線が一直線になる。このときバネVの軸芯線と回転軸Qとの距離Lが発生し、バネVによる回転軸Iの周りの回転モーメントがゼロから突如として大きな値を示すようになり、同時にドアを牽引する力の作用線、すなわちリンクA,AAの軸芯線と回転軸Qとの距離LLが減少し、それだけドアDを戸当たりGdに押圧する力は大きくなる。
図21は回転体Jの先端の接続軸QとドアDの接続軸Cとを連結する2つのリンクA,Aあについて説明するもので、リンクAの先端がL型に曲げられた構造にするものである。図19,図20において回転体Jの回転がドアDの回転に遅れる場合2つのリンクは折れ曲がり、2つのリンクの連結点PPが回転軸Qと接続軸Cとを結ぶ直線Zを境界にして回転軸Oを含まない領域内にある時、ドアDは回転体Jの回転によって回転してもドアを直接閉めようとしても閉まらない状態になった。
図21は回転体Jの回転がドアの回転に遅れることなく、ドアが加速すれば瞬間に反応して早く回転する場合について説明するもので、2つのリンクA,AAは折れ曲がることなく一直線を保つ。図21(a)はドアが閉まる直前の状態を示し、図21(b)は更に回転体Jが回転した状態を示すが、2つのリンクA,AAの終結点P,PP,Cは常に同一直線ZZにあって、2つのリンクの軸芯線は折れ曲がらない。
上述したように連結軸Pが直線Zを境界にして回転軸Oを含む領域内にあるかどうかは、回転軸Iが直線ZZを境界にして、回転軸Oを含む領域内にあるかどうかはと同じことであり、図21(b)に示すようにリンクAの先端をL型に曲げる場合、必ず連結点PPが上記の領域内に這入るときがあり、ドアは一旦開く方向に回転するか或いは一旦停止するかして、ドアが強風で急激に閉まってもドアが閉まる寸前で開いたままの状態で静止する。
図21(a)におけるようにドアが閉まる過程においては、連結軸Pが回転軸Qを中心に回転し、この場合の回転半径は図中に示されるLである。図21(b)に示すように、ドアを戸当たりに密着させるとき、回転体JとリンクAは密着して一体となって回転するため連結軸Pが回転軸Qを中心に回転し、この場合回転半径は図中に示されるLLである。このように回転半径が極端に小さくなることは、一体となったリンクAと回転体Jが回転軸Qを支点とするテコとなり、ドアを戸当たりGdに強く押圧する力を発生させる。
図21において回転体Jはドア枠に取り付く回転軸Qを中心に回転し、ドアDは回転軸Oを中心に回転する。回転体J先端の接続軸Qとドアの接続軸Cとは2つのリンクA,AAで連結される。リンクA,AAは接続軸PPで連結される。回転体JとリンクAが互いに側面同士を接続させて一体にならない限り、点P,PP、Cの3点は常に一直線上にある。
リンクAは直角に折り曲げられているので図21(a)に示すように、点Pが回転体Jの回転軸Qとドアの接続軸Cとを結ぶ直線Zを境にしてドアの回転軸O側にある時、直線PC上にある点PPもO側にある。図21(b)に示すように点Pが直線Zを境にしてOと反対側にある時、点PPもOと反対側にある。
リンクAの先端が折り曲げられる場合、2つのリンクの接続軸PPは直線Zを境にしてOと反対側になるときがあり、このとき、ドアを閉める方向に強く押すと、力の作用線ZZが回転軸Qから見てOと反対側にあるので。図21(b)に示すように回転体Jを矢印イ方向に回転させ、接続軸Pは矢印ロ方向に移動し直線P,PP、Cは折れ曲がる。このとき回転体Jは開く方向に回転し、ドアを閉めることは出来ない。又、直線P,PP、Cが回転軸Qを通る場合も、ドアに力を作用させても各リンクは動くことなくドアは動かない。
特許文献1において、「ドアを牽引するアーム先端の車輪の軌道」が途中から方向が変わり、ドアを一旦停止状態にするまで減速する方法が記載されているが、車輪の軌道が途中から方向が変わる場合でも、衝突などによる負荷がかからなければ、ドアを牽引するアーム先端の車輪の移動速度が変わることはなく、ドアの回転速度も減速されない。例えば特許文献1図20において、「ドアを牽引するアーム先端の車輪の軌道」がドアが閉まる直前のドア接続軸C10の位置を中心とする円周であっても、負荷がかからなければアーム先端の車輪は一瞬にして円周上の通過を完了してしまい、ドアの回転速度も減速されないまま回転を続けることになる。
特許文献1図20においては、静止したドアを動かす場合ドアを動かす駆動部分に負荷がかかるが、アーム先端の車輪が上記円周上を移動するとき、ドアを動かすものではなく負荷がかからず、一瞬にして上記円周を通過する。
ドアに動慣性がついて回転している場合、アーム先端の車輪を上記円周上に残したまま、ドア接続軸Cがドアが閉まる直前のドア接続軸C10の位置を通過して、「アーム先端の車輪の前方の上記円周上の任意の点」と「ドア接続軸Cがドア接続軸C10の位置を通過した位置C0」との距離がアーム全長より短くなるので、アームの回転が止まるようになると思われるが、動慣性がついて回転しているドアを駆動部分が回転方向に動かすとき、ドアに作用する力は軽減され、駆動部分にかかる負荷はそれだけ少なくなり、アーム先端の車輪は動きやすくなる。
ドアが動き出して動慣性がつき車輪の移動を追い越すことは、バネが常に緩めることはなく最大限緊張しているので、ありえない。動慣性がついたドアはバネの力が作用して、回転速度を更に加速する結果となる。したがって駆動部分が独自に減速しなければドアを減速することは出来ない。
ドアを牽引するアーム先端の車輪の軌道を「ドアが閉まる直前のドア接続軸C10の位置を中心とする円周」とするときアーム先端の車輪に負荷を掛けるにはドアを開く方向に回転させるとよいことになり、ドアに回転を与える駆動部分に負荷を与える手段として、閉まるドアを開く方向に回転させる方法を採用することにする。
図22は回転軸Qを中心に回転する回転体J先端の接続軸Pと回転軸Oを中心に回転するドアDの接続軸Cとの間をリンクA,AAで連結する構造で、リンクAは先端が直角に曲げられている。図22(a)に実線で示す部分は、ドアが閉まる直前の状態を。点線で示す部分は、ドアが全開した状態とドアが閉まった状態を示す。図22(a)の点線で示す全開した状態では、回転体JとリンクAは離れた状態であり、接続軸P,PP,Cは一直線上にある。
ドアが全開した状態から閉まるとき、接続軸Pにおいて回転体JとリンクAとがなす角度は次第に減少し、図22(a)の実線に示すようにドアを閉める直前で回転体JとリンクAが重なって一体となる。
ここで回転体JとリンクAが重なって一体となるということは接続軸Pにおいて回転体JとリンクAとがなす角度が0になることを意味しており、回転体JとリンクAとが互いに接触しあうと、図19(b)において連結軸Sj1においてリンクAAの回転が当りGa3によって止められたときと同じように、接触したままの形を保持する状態を意味している。後述の図23においても同じである。
回転体JとリンクAが重なって一体となるまで、接続軸P,PP,Cは一直線上にある。回転軸先端Pからドア接続軸Cを牽引する力の作用線は先端が直角に曲げられ他リンクAの形状の如何に関係なく一直線である。
回転体JとリンクAが重なって一体となるとき、リンクAは先端が直角に曲げられているので、接続軸PPの位置は回転軸Qを通りドアに垂直な直線Yのドア回転軸Oのある反対側にある。重なって一体となった回転体JとリンクAは回転軸Qを中心にして回転し、リンクAとAAとの接続軸Pは回転軸Qの周りを公転しドアとほぼ平行に円弧の軌跡を描くようになる。
図22(a)に点線で示すように回転体JとリンクAが重なって一体となるとき、接続軸P,PP,Cは一直線上になく接続軸PPにおいてリンクAとAAとは折れ曲がっている。接続軸PPが円弧の軌跡の中央に向かうとき、AとAAとは折れ曲がった状態から一直線に近づこうとする。
接続軸PPの移動のドアに直角の方向成分がドアに近づく方向で、ドアDは開く方向に回転し、更に回転体Jが回転すると、接続軸PPの移動のドアに直角の方向成分がドアから遠ざかる方向になるので、ドアDは再び開く方向に回転してドアを戸当たりに押さえつける。
図22および図23において回転体Jとドアの回転方向は互いに反対方向であるが、動方向であっても、リンクA、AA、とドアDの動作は上述した動作と同様の動作を示す。
このようにドアが閉まる前にドアが開く方向に回転するのは、接続軸PPの位置が回転軸Qを通りドアに垂直な直線Yのドア回転軸Oのある反対側にあるからである。図23に示すようにリンクAの先端が曲がった形状でなく直線状である場合で、図22(a)に実線で示すようにY軸と平行な位置で回転体JとリンクAが重なって一体となるとき、接続軸PPの位置は回転軸Qを通りドアに垂直な直線Yのドア回転軸Oのある側にあり、接続軸PPが回転軸Qの周りを公転しドアとほぼ平行に円弧の軌跡を描くとき、接続軸Qの移動のドアに直角の方向成分がドアから遠ざかる方向になり、ドアは開く方向に回転しない。
図23において接続軸PPの位置が回転軸Qを通りドアに垂直な直線Yのドア回転軸Oのある反対側にあるようにするため、ドアが全開した状態から回転体JとリンクAが重なって一体となるまで、接続軸P,PP,Cは一直線上になくバネVを仕込むことによって接続軸PPにおいてリンクAとAAとは折れ曲がっていて、回転体Jが回転してY軸と平行になる以前に回転体JとリンクAが重なって一体となるようにしている。
接続軸PPの位置が回転軸Qを通りドアに垂直な直線Yのドア回転軸Oのある反対側にあって、接続軸PPにおいてリンクAとAAとがそれ以上折れ曲がらないように接続軸PPに当りGqを取り付けると、ドアが開く方向に回転する範囲では回転体の回転でドアを動かすことが出来ても、ドアを押しても動かない状態となる。このことはドアが強風などによって強く押された場合でもドアは閉まることはなく、指が挟まれたり衝撃を伴ってドアが閉まることはないことを意味している。
図22(b)はドアが閉まった状態からドアを少し開いた状態を示し、回転体Jが回転してドアを開く場合、重なり合った回転体JとリンクAはドアを少し開いてから閉める方向に回転させるが、閉める方向に抵抗がかかると、重なり合った回転体JとリンクAは離れながら回転するので、接続軸PPは上記円弧の軌跡上を図22(a)で示したPP+5の位置に到達することなく回転軸Qから遠ざかるのでドアは開く。
このように回転軸Jを動かすことによってドアを回転させることが出来るが、ドアを引いて開こうとする場合、回転体JとリンクAが重なったまま回転するとき接続軸PPは回転軸Qの周りを回転する。
図22(b)に示すように、ドアを少し開いて接続軸P、PP、Cが一直線にあるとき、回転軸Qの位置が接続軸PとCを結ぶ直線の接続軸Pの移動方向側にあるとき、ドアを少し開こうとすると回転体JとリンクAが重なろうとして、接続軸Pは回転軸Qの周りを回転しなくなる。即ち回転体Jは回転しなくなる。このドアは開くときについても閉まるときと同様にドアを操作しても動かない特徴がある。一旦閉まると施錠されたように外から開かない状態になる。
図23は図22に示したドアの「閉まった状態から外から開かない欠点」を解消するもので、図23の構造は図22の構造と同様の構造で、図23のリンクAは、図22のリンクAのように先端で曲げられることなく、直線状にしている。ドアが全開した状態から閉まる直前まで、接続軸PPあるいはCにバネVを仕込むことによって接続軸P,PP,Cは一直線上になく、リンクAとAAは接続軸PPにおいて折れ曲がっている。
回転体Jが回転してリンクAと重なって一体となる位置が、回転体JがY軸と平行になる以前とし、接続軸Qの位置が回転軸Qを通りドアに垂直な直線Yのドア回転軸Oのある反対側にあるようにして、ドアが閉まるまえに開く方向に回転するようにしている。接続軸PPの位置が「回転軸Qを通りドアに垂直な直線Yのドア回転軸Oのある反対側」にあればあるほどドアが開く方向に回転するようになり、回転体Jの回転に負荷がかかり減速する。
PPの位置が「回転軸Qを通りドアに垂直な直線Yのドア回転軸Oのある側」にあれば、接続軸PPにおいて折れ曲がっているリンクAとAAが一直線になって接続軸PとCの間の距離を最大に伸ばしたとしても、接続軸PPがドアに近づく方向ではなく遠ざかる方向に移動するためドアが閉まる直前に開く方向に回転しない。
図23(a)に示すドアが閉まる直前から開く方向に回転する範囲内では、接続軸PPに取り付けた当たりGqによって接続軸QにおけるリンクAとAAの回転角が制限され、ドアはドアを押しても動かない状態になる。しかし図23(b)に示すようにドアを押して開く場合、回転軸Qの位置は接続軸PとCを結ぶ直線の接続軸Pの移動方向と反対側にあるので、回転体JとリンクAは重なった状態から分離しながら回転し、ドアが開くようになる。
図24は回転軸Oを中心に回転するドアDの接続軸Cに取り付くリンクAの先端に取り付く車輪Bが、回転軸Qを中心に回転する回転体Jに施された長穴H内を移動することによって、ドアDの閉まる速度が加速したとき減速する機構を示すものである。ここに矢印→イ及びロは、それぞれドアが閉まるときの回転体JとドアDの回転方向である。回転体Jを回転させる駆動手段は特定しない。
図24(a)に示すように、ドアが密閉されたとき車輪Bは長穴Hの回転軸Qに近い方の端部ホの位置にあって、図24(c)に示すようにドアが全開したとき、回転軸Qから遠いほうの端部ホの位置にある。
長穴Hの芯線トは回転軸Qを通らず、回転軸Qに最も近い位置トは長穴Hの両端ホとヘの中間にあって、図24(c)に示すようにドアの全開時に長穴Hの内部ホ、ヘ、トは全て、回転軸Qと接続軸Cとを結ぶ直線Zを境界にして回転軸を含まない範囲内にある。
ドアが閉まるに従い、車輪Bは端部ホから端部ヘに向かって移動するが、決して端部ホに戻る方向には移動しない。図24(b)に示すように車輪Bが長穴ホに向かう方向ハは、回転体Jを矢印→イ方向と反対方向に回転させる方向であり、回転体Jの回転に負荷がかかる。これに対して長穴ヘに向かう方向ニは、回転体Jの回転に負荷がかからない。このような理由から、ドアが閉まる直前で図24(b)に破線で示すように車輪Bは端部ヘに到達する。
車輪Bが端部ヘに向かうとき、車輪Bは長穴Hの回転軸Qから遠い方の面ヌに沿って移動するが、端部Bに到達してからは回転軸Qに近いほうの面ルに接触し、且つ面ルに設けられた絞り部チによって端部ホ方向の移動が阻止されるので、ドアが閉まる直前では車輪Bは上記直線Zの回転軸Oを含まない領域に内に留まるようになって、ドアが開く方向に回転する。ここに絞りチは車輪Bがかろうじて通過できるように長穴Hの幅を狭める凸部である。
図24(a)に示すようにドアを密閉するとき、車輪Bは回転軸Qに近づきドアを開くときはなれていくので、ドアを強い力で密閉し弱い力で開くことが可能となる。
図19〜23のような回転体Jの回転が複数のリンクを介してドアの回転に伝えられるドアの回転機構において、回転体Jの回転が減速されるようになると、ドアの回転の急激な動きに回転体Jの回転が瞬時に従わない状態になり、ドアを急激に押したりしても回転体Jが回転しない状態になる。
ドアを急激に押したりしても回転体Jが回転しない状態になる特徴は次に特許文献1図24に示すドアのように回転体Jの回転が1つのリンクを介してドアの回転に伝えられるドアの回転機構においても、また例えば特許文献1の図12,13に示すドアにおいても認められる。
特許文献1の図12,13に示すドアにおいてはL型滑走面に沿って移動する車輪がバネによって瞬時に移動しないようにするならば、ドアが風などで急激に押されたりしてもドアは閉まらない状態になり、ドアにブレーキが掛かるようになる。このようにドアにブレーキが掛かるようにするためには、滑走面に沿って移動する車輪がバネによって瞬時に移動しないようにして、回転体Jの回転を減速すればよいことになる。
図25は特許文献1図24に示すドアの説明図で、回転体Jの回転をドアDの回転に伝えるもので、ドアが閉まる直前から閉まるまでの間にドアDの回転速度が減速する装置の説明図である。回転体JはバネVの力によって回転軸Qを中心に回転し、ドアDは回転軸Oを中心に回転する。回転体Jの接続軸Pとドアの接続軸Cとの間は1つのリンクAで連結され、円弧Rはドアが閉まる直前の接続軸C+10の位置を中心とする円周で接続軸Pの軌跡である。
図25(a)に示すように回転体Jの接続軸Pとドアの接続軸Cとを結ぶ直線PCはドアを牽引する力の作用線で、ドアが全開状態から閉まるに従い、上記力の作用線Fとドアの回転中心Qとの距離Lが減少する。回転軸Qの周りの回転モーメントを考えると、距離Lが減少するだけドアを牽引する力Fの大きさは大きくなり、ドアが閉まる直前においては距離Lが最小になりドアを戸当たりに抑圧する力Fは最大になる。
ドアが全開から閉まる直前までの間は回転体Jの僅かな回転に対してドアは大きく回転するので回転体Jは速く回転しない。しかしドアが閉まる直前から閉まるまでの間は回転体Jが大きく回転してもドアは殆ど回転しない。回転体Jが電動モーターで動き、ドアが全開から閉まるまで一定の回転速度で回転するものとすれば、ドアは閉まる直前で一旦停止し、もし強風などの外力を受けたときドアの回転が止まってしまうなどの機能が発揮される。
ドアが全開から閉まる直前までの間は接続軸Pに働く力PCの方向は、接続軸Pの回転軸Qを中心とする円運動の接線方向であり、回転体Jの僅かな回転でドアは大きく回転させるので回転体Jは速く回転しない。しかしドアが閉まる直前から閉まるまでの間は、接続軸Pに働く力Fの方向は上記の円運動の半径方向であり、回転体Jの回転に負荷となって作用しない。又回転体Jが大きく回転してもドアは殆ど回転しないことから回転体Jはバネの力で瞬時に回転する。バネで動くドアの場合ドアが閉まる直前付近から回転体Jの回転を減速しなければ上記の機能は発揮されない。
次にドアが閉まる直前付近からドアの回転を減速する装置について説明する。図26はドアが閉まる直前付近からドアに回転を与えないもの。図27,図28はドアが閉まる直前付近からドアの回転を減速するもの。図29はその応用例を紹介する。
ドアを少し開いて取手から手を離す場合も、全開した状態から手を離す場合でもドアの開き加減に関係なくどの位置からでも、ドアは止まったままではなく閉まる方向に回転し始めなければならない。したがってドアのどの位置においても静止したドアに運動を与える力が働いていなければならない。
ドアが閉まる全過程において上記の力が働き続ける以上、ドアの回転速度は加速する。ドアの回転速度を減速したとしても、減速されながらもドアの回転は加速する。図26は車輪Bが滑走面Kを押圧して回転体Jが回転し、回転体JとドアDとを2つのリンクAとAAで連結することによりドアDに回転を伝える機構であるが、車輪Bが滑走面Kを滑走する距離が長ければ長いほど、ドアの回転速度は加速され大きくなる。ドアを僅かに開いて閉める場合は、ドアの回転速度が加速されてもドアが閉まる直前の最高速度は大きくならない。しかし全開状態からドアが閉まる場合の最高速度は、大きくなりすぎる事になる。
図26は上記2つの場合を別々に処理するもので、滑走面は固定された滑走面KKと回転支軸Iを中心に回転する滑走面Kとを備えている。滑走面KKは回転体Jの回転軸Qを中心とする円周であり、静止した車輪Bが滑走面KK上のどの位置にあっても静止したままで動くことはなく、また車輪Bを滑走面Kに押圧するバネVの長さは変化しない。滑走面Kはどの位置からでも車輪が回転し始める滑走面で、車輪Bを滑走面Kに押圧するバネVの長さは変化する。
図26は図18(a)(b)(c)に示した駆動部によってドアを回転させるもので、図26において回転体Jは回転軸Qを中心に回転し、回転体J先端の接続軸PにはアームAの中間部が回転自在に軸支され、アームAの片方の端部と回転軸に引きバネVが取付けられ他方の端部に車輪Bが取り付けられ、車輪Bは引きバネVの力によって滑走面Kを押圧する。他方の端部にドアDに連結する図に示されないリンクAAが取付けられる。ドアDとリンクAAの図示は図26において省略する。図26(a)はドアが密閉された状態、図26(b)はドアを少し開いた状態、図26(c)はドアを更に開いた状態示す。
図26(a)に示すようにドアが密閉された状態では回転体Jに取付けた当たりGjが滑走面Kに当たって滑走面Kは当りGkに当接している。図26(b)(c)に示すようにドアを開いた状態では回転体Jに取付けた当たりGjは滑走面Kから離れて滑走面Kは当りGkに当接したままになる。滑走面Kは回転軸Qの周りを回転可能であるが、車輪Bが滑走面K上を移動しても回転しない。
図26(c)に示すように、滑走面Kは車輪Bが滑走面末端の引っ掛り部分Keに当って更に矢印→イ方向に開く場合には車輪の移動とともに矢印→イ方向に開く方向に回転する。開いた滑走面Kは車輪Bが滑走面末端の引っ掛り部分Keから離れて矢印→ロ方向に滑走面K上を移動しても回転しない。
ドアを閉じるとき回転体Jは矢印→ロ方向に回転し、ドアが開いた状態から閉まるとき回転体Jに取付けた当たりGjが滑走面Kに当たって当り、滑走面KはGkに当接する位置に戻される。ドアが閉まった状態では滑走面Kは常に当りGkに当接している位置に納まっていて、滑走面KKは滑走面Kの下にあって滑走面の表面下にある。
ドアを少し開いて閉める場合は、滑走面Kは回転せず終始滑走面Kは当りGkに当接している。車輪Bは図26(a)(b)に示すように「当りGkに当接したままの状態を保つ走面K上」を往復し、閉まる位置がどの位置からでも回転し始め矢印→ロ方向に移動する。ドアを更に開く場合は車輪Bが図26(c)に示すように、滑走面Kの引掛り部Keに到達した後、滑走面Kを回転させ、どの位置からでも車輪が回転し始める滑走面Kと、バネVの長さが変化しない滑走面KKとで滑走面が構成されることになる。
ドアが全開状態から閉まるとき、車輪Bの移動速度は滑走面K上では加速され、KK上を移動するとき減速される。ドアを少し開いて閉まる場合は、車輪Bが引掛り部Keに達することなく滑走面Kも回転しないので、ドアが閉まる過程において車輪Bが滑走面KK上を移動することなく減速されない。しかし、どの位置においてもドアは止まったままではなく必ず閉まり始める。滑走面KKKは滑走面KKの延長部分で、車輪Bが滑走面KKK上を移動するときドアは戸当たりに押圧される。
ドアが閉まる直前で一時的に静止する特性や、ドアに外力が作用してもドアが動かない特性を発揮させるためには、ドアの回転原動力となる「車輪の滑走面上の移動速度」を、ドアが閉まる直前から戸当たりに当たる寸前の間だけは減速するようにすればよい。
ドアが閉まり始めてどんどん加速して、閉まる直前でドアの回転速度が最大値に達しても、閉まる直前だけ減速して静止させれば問題はない。図27はドアが閉まる直前から戸当たりに当たる寸前までの間だけ減速装置を働かせるもので、図27に示す減速装置は車輪Bが滑走面K上を移動しながらカム体外周面に沿って回転するもので、車輪Bの移動を阻止するブレーキではなく、車輪の移動を許しながら移動速度を減速するものである。
駆動部分に電動モーターを用いれば一定速度でドアを牽引することが出来る。バネは負荷がかからなければ一瞬で縮み、駆動装置にバネを用いれば、車輪の移動方向がドアを牽引する方向に直角方向になれば車輪は一瞬にして移動を終える。車輪Bが滑走面Kを押圧しながら移動する方式は、バネの力が移動方向に分配されることが少ないので、移動方向に負荷がかかっているかどうかにあまり影響されずに、速度を殆んど変えずに移動する。この方式は速度が一定の電動モーターに近似していて、ドアが全開状態から閉まっていく過程においてドアを減速しながら閉めるにはこの方式を採用すべきである。
荷物を積んだ台車がスロープを降りるとき、スロープの勾配が緩くても荷物の重さにあまり関係なく動き出すと止まらない。台車の移動速度の増加は荷物の重さに比例するが、移動速度は移動距離の2乗倍に比例する。ドアの場合を考えると、閉まる直前に急激に速度を上げる。スロープを降りる台車の荷物の重さが、滑走面を押圧するバネの強さに対応し、バネの強さが強くても速度の上昇にあまり関係なく、最後にドアを戸当たりに押圧する強い力を保有していることになる。
最後にドアを戸当たりに押圧する強い力が強ければ強いほど、ドアが閉まる直前の回転速度が大きくなり、ドアが閉まるとき衝撃を伴うことになるが、滑走面を車輪が押圧して移動する駆動方式は上記押圧する力を大きく保有しながら長い滑走距離を移動しても、速度が急激に上昇するに至らない。
従って回転体Jに直接バネが取付けられる場合のように減速装置を取り付けなければ、一瞬にして動作が完了するようなことはない。図27は坂道を降りる重い荷物を積載した台車が、急激に速度を上げる前に減速装置を働かすもので、坂道を減速しながら降りるものではない。
図27は回転軸Oを中心に回転するドアDの上部の接続軸Cに取付けたアームA先端に取り付く車輪Bが、接続軸Cに仕込まれた捩じりバネUUcによって滑走面K上をドアの回転軸Oから遠ざかる方向に移動し、ドアDを図27(a)に示す全開状態から、図27(c)に示す密閉状態に至るまで回転させるものであり、図27(b)に示すように、ドアが閉まる直前で回転支軸Iを中心に回転可能に軸支された偏心車輪Mと接触してドアの回転速度を減速するものである。
図27(a)において、Rはドア上部の接続軸Cの回転軸Oを中心とする円運動の軌跡を示し、円Roはドアの全開時の車輪Boに接する回転Oを中心とする仮想円で、円Rqは回転軸Oを通り、閉まったドアに直角な直線Yに沿って円Rを平行移動した仮想円で、仮想円Rqと仮想線Tは共に上記車輪Boと接する。車輪Bが仮想円Roに沿って移動すると仮定すると、接続軸Cの周りに仕込まれた捩じりバネUUcは変形せず、バネの力がどこにも作用することはない。
車輪Bが仮想円Rqに沿って移動すると、車輪Bが仮想円Rqを押圧する力の作用線Fは直線BoQであり、力の作用線Fと回転軸Oとの距離Lは車輪Bの移動と共に増加し、捩じりバネUUcが変形してバネの力が減少しても、回転軸Oの周りの力のモーメントの減少は調節される。図中央矢印→イ方向は、車輪Bが滑走面Rqを押圧する力Fの方向を示し、ドアは上記力Fの反作用で回転するので、回転軸Oの周りを央矢印→イ方向と反対方向に回転する。
仮想円Rqは円Rを直線Yに沿って平行移動したものなので、接続軸Cの円運動と車輪Bの円運動は同じで、接続軸Cと車輪Bの移動速度は同じになる。車輪Bが仮想線Tに沿って移動すると仮定すると、車輪Bが滑走面Tを押圧する力の作用線は車輪Bの移動と共に直線的に増加し、ドアに作用する回転モーメントは急激に増加しドアの回転速度を増加させる。
しかし、車輪Bが仮想円Rqに沿って移動するときのように車輪Bの移動速度がドアの回転速度に一致するのではなく、車輪Bが大きく移動してもドアは僅かに回転しないようになる。この傾向は直線Tが直線Yとなす角度が直角に近づく程顕著になる。
滑走面Kはバネの長さが変化しない滑走面Roでもなくバネの長さが変化するRqに近似し、ドアが閉まるに従い車輪の進行方向を接続軸Cの回転軸Oを中心とする円運動の接線方向から半径方向に移行し、ドアの回転速度を減速する直線状の滑走面に近づく。
図27(b)に示すように、ドアが閉まる直前で車輪Bは滑走面KK上に移動する。滑走面KKは滑走面Kに連続し、ほぼ滑走面Kと直交するものであるが、車輪Bが滑走面KK上を移動するとき、減速装置が働いて十分に車輪が減速されるものであれば、滑走面の長さは長くする必要がなくなる。図中Txに示すように又滑走面の角度を直線Yと直交するようにすると、バネの力の方向がドアが戸当たりを押圧する方向になり、バネの力の大部分がドアを戸当たりに押圧する力となるが、閉まったドアを開くときドアが開かないようになる。
これに対して図中Tyに示すように滑走面KKと直線Yが平行になると、閉まったドアを抵抗なく開くことが出来ても、バネの力はドアを戸当たりに押圧する力に寄与することは少ない。図27においては、捩じりバネUUcの力でドアを密閉するので、滑走面KKの角度は図中の直線TxとTyとの中間の角度になる。図27(c)はドアが密閉した状態を示し、車輪Bが滑走面KKの末端KKKに至る。
図27(b)に示すように車輪Bが滑走面KKに進入すると、偏心車輪Mに接触し、偏心車輪をその回転軸Iを中心に図中矢印→ロ方向に回転させる。偏心車輪Mと車輪Bとの接点Mbは偏心車輪Mbの外周に沿ってその回転軸Iに近づく方向に移動し、接点Mbと回転軸Iとの距離が縮まることから、滑走面KKと偏心車輪Mとの間に車輪Bが通過できる間隙が出来る。
滑走面KKに沿って車輪Bは自転しながら移動するが、車輪Bの自転は偏心車輪に伝達される。偏心車輪Mの回転は接点Mbと回転軸との距離、即ち回転半径が縮まることから、偏心車輪Mの回転は次第に速くなる。車輪Bが偏心車輪Mに接触した当初は、減速効果はあっても偏心車輪が回転し始めたと同時に減速効果は減少し始める。
これに対して図28において車輪Bの自転はカム体Mの回転に伝達されるが、車輪Bとカム体Mの接点Mbは、車輪Bが滑走面KKを移動するに伴い、カム体Mの回転軸Iから遠ざかり、カム体Mの回転速度が減少する。したがって車輪Bの移動速度も減少する。カム体の回転は図27において捩じりバネUUmの変形に変換され、図28において引きバネVの変形に変換される。
図28の場合は次第に減速効果を高めるもので、カム体Mが車輪Bを押圧するので減速効果は図27に比べて大きい。図27、図28に示す当りGbはドアが強風などの外力を受けて高速に回転したとき、車輪Bがカム体Mを回転させることなく、カム体Mと滑走面KKとの間に車輪Bが通過する間隙が出来ない状態で、車輪Bが滑走面KKから離れてカム体外縁に沿って移動し、当たりGbに当たってドアが閉まる前にドアの回転が停止する。
図28(a)は車輪Bがカム体Mに接触した状態を示し、図28(b)は車輪Bがカム体Mに回転を伝えながら滑走面KK上を移動しドアが密閉されたときの状態を示す。図28(c)は車輪Bがカム体に回転を伝えず、カム体外縁に沿って移動する状態を示す。図28(a)において、カム体Mの回転支軸Iと回転軸IaとはアームAmで連結され、アームAmにはカム体Mの逆回転を止める当たりGmが取り付けられ、引きバネVによってカム体を滑走面KKに押さえつけている。
図29に記載する「ドアに回転を与える回転体Jの回転軸Imに取り付けられた回転体Mの外周に取り付けた複数の車輪Bm1,Bm2,Bm3」がドア枠に取り付けられた滑走面に衝突するようにした構造は、特許文献1の図10、図13に記載する「先端に車輪が取り付きドアを牽引するアーム」がドア枠に取り付けた滑走面を滑走するようにした構造と同じで、車輪先端の車輪がドアを牽引する方向から進行方向を直角に変え、滑走面に衝突することで減速を試みる構造である。
特許文献1の図10、図13に記載する減速装置は、「ドアの回転を減速するシステムの構造」がドア枠に取り付ける部分とドアに取り付ける部分の2つの部分で構成されるのもので、これに対して本願図29に記載する減速装置は、ドアに回転を与える回転体に減速装置を取り付けるもので、ドア枠に取り付けられる部分だけに集約される。特許文献1の図10、図13に記載された場合のように、装置を取り付ける際、ドアと滑走面の位置関係や装置とドアの回転軸の位置関係によって、減速効果が変わることがない。
図29(a)に実線で示す状態はドアが閉まる直前の状態で、破線上の各点は閉まる直前から全開するまでの過程における、回転体Jの接続軸P3と「回転体JとドアDとの間に介在するリンクA3とA4の連結軸P4」の位置の変化を示し、符号の添え字の+―の後の数字はドアの回転角を示す。図29(b)はドアが閉まった状態を示す。
ドア枠に固定されるプレートWに回転体Jの回転軸Jbと車輪Bの回転軸IbとバネVの取り付け軸Sw1、Sw2と滑走面Kが取り付く。「回転体JのL型形状で減速装置の回転体Mが取り付く枝と直角方向の枝」には、「図4で説明したバネのシステムで動くA1,V1」と
「図1で説明したバネのシステムで動くA2,V2」が取り付き、図10で説明したように前者のシステムは後者のシステムにリレーされて動作し、回転体Jを回転させる。
回転体JとドアDとは2つのリンクA3とA4で連結され、リンクA3は車輪Bと接触しながら移動し、「回転体Jの先端の接続軸P3」の円運動はリンクA3とA4の連結軸P4をほぼ直線運動にし、回転体Jの回転がドアの回転運動に伝達される。またA3とA4の連結軸P4は「ドアとの接続軸Cのドア回転軸を中心とする円運動の接線方向」に直線運動する。
ドアが閉まる直前においてA3とA4の連結軸P4は直角に進行方向を変え、「接続軸Cのドア回転軸を中心とする円運動の接線方向」と直角方向に動く。回転体Jによって牽引する力はリンクA3の軸心方向であり、ドアDが牽引される力はリンクA4の軸心方向である。回転体Jによって牽引する力はドアDが牽引される力に直角になり、ドアの回転に無効に働くが、ドアDに回転を与える回転体Jは無負荷に近い状態になって一瞬にして回転し「ドアを牽引するリンクA3」が車輪Bから離れることはない。
しかしドアに回転を与える回転体Jの回転が停止或いは減速すると、ドアが閉まる直前において「ドアの接続軸Cに取り付き円運動の接線方向に牽引するリンクA4の先端P4」は遠心力でリンクA3を車輪Bから離し、当りG22に衝突しドアの回転が停止する。リンクA3を車輪Bから離れるとリンクA3とリンクA4は連結点P4を中心に自由に折れて変形が出来るので、減速装置の振動はドアに伝わらない。
ドアに慣性力がつくとドアDは「ドアに回転を与える回転体J」を押すことになり、回転体Jはバネの力のほかに慣性力が追加されて回転が加速されるが、回転体Jに取り付く先端に複数の車輪が取り付く回転体Mが滑走面Kに直角に進入すると回転体Jの回転がとめられる。リンクA3が車輪Bから離れて当りG22に当りドアの回転は停止する。すなわち慣性力が制動力に置換される。慣性力が追加されず回転体Jの回転が加速されない場合 リンクA22が車輪Bから離れることなく、また当りG22に当ることもない。
ドアを牽引するリンクA4の先端の連結軸P4が、「ドアが閉まる直前のドアとアームの取り付け軸C+10の位置」を中心とする円弧Rc+10上を円運動しようとする動きに対して、円弧の弦方向にバネの力で動かされるので、リンクA4の先端の連結軸P4はドアが開く方向に押し戻されて、ドアの回転が停止するか、押し戻されずに慣性力でリンクA3の先端の延長部を当りG22に衝突させるかで、いずれにしてもドアは停止に近い状態になるまで減速される。
図29(b)に示すドアが戸当たりに当たる状態において、リンクA3は車輪Bとの接触点を支点に回転し、接続軸P3は上記支点から遠い位置にあり連結軸P4は上記支点から近い位置にあるので、ドアが戸当たりに当たるまでに減衰した力でもテコの原理でドアを戸当たりに当たるまで引き寄せる大きな力になる。
このようにドアが戸当たりに当たるとき、テコの原理が働き、それまでのドアを回転させるだけの力に比べて大きな力を作用させるシステムはドアをゆっくり回転させ、しっかりとドアが戸当たりに押さえつける動作を可能にする。「ドアを牽引するアームとドアの接続軸C」がドアの回転軸Oから近いほど、強いバネの力でもドアをゆっくりと回転させるが、強いバネの力でも戸当りに押さえつける力が不足する場合がある。またドアを牽引するアームとドアの接続軸Cはドアの回転軸Oから遠いほど、弱い力でもドアを戸当りに強力に押さえつけるが、ドアは弱い力でも早く回転する。
ドアが戸当たりに押さえつける力がドアを回転させる力に比べてどれだけ強い必要があるかは、ドアのよって異なるので、どのようなドアに対してもドアが戸当たりに押さえつけることを絶対条件とするならば、ドアの接続軸Cはドアの回転軸Oから遠く離して、ドアが戸当たりに押さえつけることを絶対条件を満足させ、ドアを早く回転しないように、テコの原理でドアを回転させる力をドアを戸当りに押さえる力に比べて極端に小さく設定しておくのが賢明である。
次に2つの物体が接近する速度を減速する装置について説明する。図30〜図32は直線運動を回転運動に変えるもの。図33,図34は直線運動を振り子運動に変えて減速するもの。図35は磁石を応用するものである。
一般に2つの物体の接近速度を減速する方法として、2つの物体の接近にともない例えばウォームギアのような何らかの回転を起こして、その際速度比を大きくすれば摩擦も大きく減速できるが、ドアに採用する場合、閉まるときに減速しても開くときに抵抗があってはいけない。以下に示す図30〜34は閉まるときに咬みあい開く時に外れる歯車機構である。
ドアを牽引するアームに取り付けるのではなく回転体に取り付け装置をドアに回転を与えるシステムのとドア枠に取り付ける部分が混在しないようにして装置のすべてをドア枠に取り付けて
図30(a)の図中の符号は図30以外の図面の符号と関連しない。外周が渦巻き曲線の回転体に階段状の切込みをつけてドアに回転を与える回転体の回転速度を減速する。それぞれの回転体が接近する速度を減速し、或いは衝突の際の衝撃を緩和するものである。
階段状の切り込みはすべて合同な直角三角形で、階段状の切込みの角部の2点は必ず車輪の外周の円Bに接し、階段状の切込みの角部の2点を結ぶ直角三角形の斜辺の垂直二等分線は必ず円B の中心を通る。直角三角形の斜辺の垂直二等分線が。渦巻き曲線の中心を通るとき、円B の中心を渦巻き曲線の中心に近づけようとしても、外周が渦巻き曲線の回転体も外周が円Bである車輪も回転することなく、円B の中心を渦巻き曲線の中心に近づかない。
直角三角形の斜辺の垂直二等分線T1が渦巻き曲線の中心から離れれば離れるほど、外周が渦巻き曲線の回転体も外周が円Bである車輪も回転しやすくなり、円B の中心を渦巻き曲線の中心に近づけやすい。また直角三角形の斜辺の垂直二等分線T1が渦巻き曲線の中心から近づけば近づくほど、外周が渦巻き曲線の回転体も外周が円Bである車輪も回転しにくくなり、円B の中心を渦巻き曲線の中心に近づくには時間がかかるようになる。
直角三角形の切り込みのついた渦巻き曲線の作図方法を図30(a)で説明する。渦巻き曲線の中心Oaとの距離をRcとし、Rcを半径する円Cに渦巻き曲線につけた切り込みのすべての直角三角形の斜辺の垂直二等分線が接するようにすると、車輪Bが渦巻き曲線Aの任意の2点に接していても、外周が渦巻き曲線Aの回転体に加わる回転モーメントは一定である。
渦巻き曲線に切り込みの最初の直角三角形の斜辺の2点をP1,P2として,点P2を中心にして直径を直角三角形の斜辺の長さとする円D2を描く。円D2 と円Cの共通の接線をT2とし、円D2と接線T2の接点をE2とし、接線をT2を対称軸にして点P2と対称の位置にある点をP3とする。点P2と点P3を結ぶ線分を斜辺とする直角三角形は最初の直角三角形と合同であり、その斜辺の垂直二等分線はT2であり、円Cの接線でもある。
次に点P3を中心にして円D2と直径を同じくする円D3を描く。円D3 と円Cの共通の接線をT3とし、円D3と接線T3の接点をE3とし、接線をT3を対称軸にして点P3と対称の位置にある点をP4とする。点P3と点P4を結ぶ線分を斜辺とする直角三角形は最初の直角三角形と合同であり、その斜辺の垂直二等分線はT3であり、円Cの接線でもある。
このようにして順次P5,P6,P7~を設定して渦巻き曲線に切り込みの直角三角形を作図していく。外周が渦巻き曲線Aの回転体とドアに回転を与える回転体の接近速度は、接線T1,T2、T3〜のそれぞれにおいて、円Cとの接点と接点E1、E2、E3〜との間の距離の減少に従う。
渦巻き曲線に切り込まれる直角三角形の斜辺の勾配は渦巻き曲線の曲率で、斜辺の勾配が大きいほど小さな渦巻き曲線の回転体の回転に対して、渦巻き曲線の回転体Mと回転体Jとの接近速度が大きくなる。斜辺の勾配が大きいほど衝撃を伴い、小さいほど回転したり止まったりする繰り返しに不連続が認められにくくなる。
また直角三角形の大きさをゼロとした切込みのない渦巻き曲線の回転体では減速効果はなく、直角三角形の大きさを次第に大きくするにつれて減速効果が現れ、直角三角形の斜辺の長さが車輪Bの半径以上になると、渦巻き曲線の回転体Mの回転は停止する。斜辺に立てた垂直に等分線が渦巻き曲線の回転中心から遠く離れれば離れるほど渦巻き車輪は回転しやすく、車輪と渦巻き曲線外周との間に滑りが生じやすく減速効果が少ない。
図15(a)の実施例に示すように、図30(b)において、バネVに連結されるアームA1が当りGに当たっている間は、アームA1と回転体J とは一体になって回転しドアを閉める直前の位置に至るまで回転させ、ドアが閉める直前でアームA1が当りGから離れて回転力を増加させる。このとき渦巻き曲線の回転体Mが車輪Bと接触し始め回転体Jの回転速度を減速する。最初に車輪Bの外周に渦巻き曲線の回転体Mの角部P1が接触して、渦巻き曲線の回転体Mが回転しながら順次角部P2、P3、P4が接触する。それに従い回転体Jが減速されながら回転し、回転体Jの接続されたアームA2によってドアを牽引することになる。
車輪Bに回転体Mの最初の角部P1が接触してから最後の角部P5が接触する間に回転体回転体の中心Imが移動する距離は回転体Mの中心Imの位置に関係なく一定なので、回転体の中心Imの位置が出来るだけ回転体Jの中心Ijから遠いほど、すなわち回転体Jの中心Ijを中心とする回転体Mの中心Imの回転半径が大きいほど、車輪Bに回転体Mの最初の角部P1が接触してから最後の角部P5が接触する間回転体Jの回転角は小さくなり、回転体Jの回転速度がより減速されることになる。
更に渦巻き曲線の回転体Mが回転して車輪Bの外周から渦巻き曲線の回転体Mの角部P5が離れると、回転体Jの回転は渦巻き曲線の回転体Mの減速と無関係になり、ドアを戸当りに強く押さえ付けるようになる。ドアが閉まるとき回転体Jの回転に抵抗を与えるが、ドアを開くときには渦巻き曲線の回転体Mが車輪Bから離れる方向に移動するので、ドアを開く動作に抵抗しない。したがってこの減速装置を追加することによって、ドアを開くときに重たく感じられるようになることはない。このように図5で説明したドアに回転を与えるシステムに図30の減速装置を組み込むだけでドアが衝撃を伴わず閉まるようになる。
特許文献3のテコ先端の渦巻き車輪を地面に一定の力で押さえたとき渦巻き車輪外周と地面との接触面に滑りを生じながら、渦巻き車輪の中心が地面に近づいていく。渦巻き車輪の特徴は、渦巻き車輪の中心が地面に近づく移動量に対してき渦巻き車輪外周と地面とが接触しながら滑る長さは長いことであり、特許文献3のテコ先端の渦巻き車輪は渦巻き曲線外周に複数の車輪を取り付けることによって地面を走行することなく、その場で上下するものである。
渦巻き車輪の中心が地面に近づく移動量に対してき渦巻き車輪外周と地面とが接触しながら滑る長さは長い特徴を利用して物体を持ち上げるはじめから終わりまで一定の力で軽く持ち上げるものである。図30(c)に示すように特許文献2の渦巻き車輪から外周の複数の車輪を取り除いた渦巻き車輪を地面に押さえつけると、長い距離を滑りることになるので、滑りによる摩擦によって渦巻き車輪の中心が地面に減速しながら近づくことになる。渦巻き車輪外周が地面と接する位置がいかなる位置であっても、地面から受ける反力による回転モーメントが常に一定で、回転速度に関しても条件は同じになる。
「外周が渦巻き曲線の車輪」の中心が地面との距離は回転に伴って徐々に短くなるから、バネの力で「外周が渦巻き曲線の車輪」の中心を引っ張って地面に近づけるとき、渦巻き車輪の中心が少しでも地面に近づくためには、「外周が渦巻き曲線の車輪」が大きく回転する必要があり、「外周が渦巻き曲線の車輪」外周と地面とが接触しながら長い距離を滑るためには時間がかかりバネが一瞬にして縮む性質がなくなる。
引きバネの両方の支点の片方を図30(c)に点線で外周を示すように「外周が渦巻き曲線の車輪」の中心に取り付け、他方の支点の固定側に、「外周が渦巻き曲線の車輪」の外周が接触しながら滑るようにした面を設けて、その面を引きバネと直角が保たれるようにすれば、「外周が渦巻き曲線の車輪」が回転しながらバネが徐々に縮むようになる。一瞬にして縮むことなく徐々に縮む引きバネは、本発明のバネで動くドアに限らず、広く一般に利用できる。
「外周が渦巻き曲線の車輪」の減速装置において、「外周が渦巻き曲線の車輪」の外周と接触面の接点は渦巻き車輪が回転しても移動することはなく、「外周が渦巻き曲線の車輪」の外周が接触面と接触しながら滑ることで「外周が渦巻き曲線の車輪」が回転しながらバネが徐々に縮むようになる。「外周が渦巻き曲線の車輪」の外周と接触面との間の滑り摩擦が大きいほど、また「外周が渦巻き曲線の車輪」が滑る外周の長さが長いほど、バネの長さが変化するに要する時間は長くなる。
図30(c)に実線で示した「渦巻き曲線を折れ線にした外周を持つ渦巻き車輪」の減速装置は図30a)(b)に示した渦巻き曲線の回転体Mの減速装置と同様に、渦巻き車輪外周を曲線から折れ線にすることにより、回転の途中に停止しない停止に近い状態を混在させるもので、運動速度に変化を与えることによって減速効果を高めるものである。
渦巻き車輪外周を曲線から折れ線にすることにより、車輪外周と地面との接触は1点から2点になり、接触が1点のとき地面と接触する1点を通り地面に垂直な直線が渦巻き曲線の中心を通らないとき、また渦巻き曲線の中心を通る力の作用線が上記地面に垂直な直線に一致しないとき、「外周が渦巻き曲線の車輪」は回転する。すなわち外周の渦巻き曲線が円でなければ回転する。また外周の渦巻き曲線が円に近づくほど回転しにくくなる。
渦巻き車輪外周を曲線から折れ線にするとき、地面と接触する2点を通り地面に垂直な直線の間に渦巻き曲線の中心がないとき、また渦巻き曲線の中心を通る力の作用線が上記2点を通り地面に垂直な直線の間にないとき、「渦巻き曲線を折れ線にした外周を持つ渦巻き車輪」は回転する。
図30(a)(b)に説明したように、渦巻き車輪外周を曲線と接触する地面を車輪にすると、車輪と接触する2点の垂直2等分線は車輪の円の中心を通るので、車輪の中心と車輪と接触する2点の中点と渦巻き曲線の中心とが一直線上にないとき「渦巻き曲線を折れ線にした外周を持つ渦巻き車輪」は回転する。
特許文献2のテコ先端の渦巻き車輪の渦巻き曲線は高さが同じである直角三角形を先に作図された直角三角形の斜辺に順次底辺を重ねて作図するものであるが、直角三角形の高さが地面に一致するとき渦巻き車輪の回転は停止するので、図30(c)に示した渦巻き車輪の順次重ねる三角形は特許文献2の直角三角形の直角部分を直角から少し鈍角にした三角形で、接触面に一致しても渦巻き車輪の回転は停止しない。
特許文献2の渦巻き車輪は地面と接触する角部がどの位置であっても一定の回転モーメントが働くものであり、図30(c)の「外周の渦巻き曲線を折れ線にした渦巻き車輪」についても、地面と接触する角部がどの位置であっても一定の回転モーメントが働くものである。渦巻き車輪の中心が接触面に近づくに従いバネの長さが短くなり、バネの力は弱まり、回転力が次第に減少するので、「渦巻き曲線を折れ線にした外周を持つ渦巻き車輪」は回りにくくなるが、一度回転し始めた回転体は回転速度を速める傾向にあり、回転するに従い回りにくくするほうが減速効果が大きい。
図30(a)(b)に示した渦巻き曲線の回転体Mの減速装置は渦巻き曲線の回転体Mと車輪の位置に関係なく渦巻き曲線の回転体Mの最初の切り込みの2つの角部が同時に接触すれば減速効果は常に同じである。
図30(d)(e)は車輪が小さい場合で、渦巻き曲線につけた切り込みの2つの角部が同時に接触するのではなく、単に「階段状の切り込みをつけたプレートの回転体」で、切り込みの立ち上がり面が車輪に接触するようにして、切込みの底面の長さを車輪半径より少し小さくしたもので、必ず切り込みの立ち上がり面とそれに連続する角部が車輪に接触するようにしたものである。この場合車輪の中心と接触する角部とプレートの回転体の中心が一直線にならないので、プレートの回転体は回転する。
図30(e)に示すように「階段状の切り込みをつけたプレートの回転体」に付けた階段状の切り込みがすべて同じである場合、「階段状の切り込みをつけたプレートの回転体」が回転するに従い、その中心と接触する角部とプレートの回転体の中心が一直線上に近づき、回転しにくくなるが、図30(c)の場合と同様に、一度回転し始めた回転体は回転速度を速める傾向にあり、回転するに従い回りにくくするほうが減速効果が大きい。
図29に記載した渦巻き車輪Mの外周に取り付く複数の車輪Bm1、Bm2、Bm3のそれぞれは時間をずらして滑走面Kに進入するが、はじめに滑走面に進入した車輪Bm1以外は加速された状態で滑走面Kに進入する。複数の車輪のそれぞれを1つの渦巻き車輪Mに取り付けるのではなく別々のアームの先端に取り付けるようにすると、複数の車輪のそれぞれはすべて静止した状態で滑走面に進入する。
図30に示した渦巻き車輪Mの外周の各角部P1,P2,P3,・・・にしても、渦巻き車輪Mの一部ではなく、それぞれが別個の回転軸Imを中心に回転するアームの先端であるとするならば、渦巻き車輪Mの外周の各角部は車輪B或いは接触面Kに接触するとき、静止状態にある物体に動きを与える状態になる。
図29においてはドアに回転を与える回転体Jに複数のアームを回転自在に取り付け、複数のアームのそれぞれが時間をたがえて順次アームの軸心にほぼ直角方向の滑走面Kに衝突するようにすることによって回転体Jの回転速度を減速することができる。それぞれのアームは滑走面に衝突する当初に、アーム先端にほぼアームの回転軸に向かう力が作用してドアに回転を与える回転体の回転を阻止し、衝突後はアーム先端に作用する力の方向がアームの回転軸に向かう方向から徐々に離れて円運動の接線方向に移行してアームが回転し、回転体の回転を阻止する力を失う。それぞれのアームが将棋倒しのように次から次へと静止状態からの運動を起こすことによって「ドアに回転を与える回転体の回転」を減速する。
図31に示すSl,Srのそれぞれに引きバネの両端の支点が取り付き、Sl,Srは互いに近づく移動体で、或いはバネによって回転するシステム内において互いに近づく移動体で、それぞれには互いに向き合う「回転軸Il,Irに回転自在に取り付けたアームAl,Ar」が複数個取り付く。互いに向き合う回転軸(Il1,Ir1)(Il2,Ir2)(Il3,Ir3)・・・のそれぞれは共通の直線上で互いに近づく移動をするものとする。すなわち移動体Sl,Srは回転せずに最短距離を接近するものとする。
図31(a)は互いに向き合う最初のアームAl1,Ar1の先端が接触した状態で、接触した接点P1と双方のアームの回転軸Il1,Ir1は一直線上にないので、双方のアームは回転し図31(b)の状態に至る。最初のアームAl1,Ar1の先端が接触したとき、2番目の向き合うアームAl2,Ar2の先端同士は距離δ1だけ離れているが、図31(b)の状態に至る際、双方の移動体Sl,Srが距離δ1の半分だけ接近しアームAl2,Ar2の先端同士P2が接触する。2番目の向き合うアームAl2,Ar2の先端同士は距離δ1が小さいほど短い時間に進む距離が短くなり減速効果は大きくなる。
移動体Sl,Srが衝突した後、移動体Sl,Srの接近に対してアームAl2,Ar2の回転量は減少し回転速度は低下する。図31(c)に示すアームAr,Alの形状は、回転速度が低下した後のアームAr,Al同士が再び衝突するように、4個のアームAr,Alのそれぞれに再び衝突する箇所を追加した形状で、図31(c)は図31(b)のアームAl2,Ar2の先端同士P2が接触した状態から更に移動体Sl,Srが接近して、はじめに衝突したアームAl1,Ar1に追加した再び衝突する箇所P3が接触した状態で、次に移動体Sl,Srがδ3だけ接近して、アームAl1,Ar1の次に衝突したアームAl2,Ar2に追加した再び衝突する箇所P4が接触しようとする状態を示す。
1番目のアームAl1,Ar1と2番目アームAl2,Ar2は交互に先端同士が接触した後回転し、それぞれ停止と回転を繰り返す。図31(c)において、先端同士P1,P2,P3,P4が衝突するたびに移動体Sl,Srは停止し、アームが回転するたびに接近する。移動体Sl,Srは停止と接近を繰り返し、移動体Sl,Srは移動速度は静止状態からの運動が断続的に継続するいわゆるドミノ効果によって減速される。
図32(a)に示すアームAl1, Al2とアームAr1,Ar2の形状は互いに対称で同じ形をしており、アームAl1と Al2およびアームAr1とAr2は移動体Sl,Srを間に挟んで、裏と表に取り付けられる。図32(a)に示すアームAl1, Al2とアームAr1,Ar2の形状は図31(c)に示すアームAl1, Al2とアームAr1,Ar2のそれぞれに再び衝突する箇所を更に追加した形状である。
図32(a)に示す状態は、図31(c)のアームAl1,Ar1の追加箇所P3が接触したあとアームAl2,Ar2の追加箇所P4が接触した状態で、次に移動体Sl,Srがδ4だけ接近して、アームAl1,Ar1に追加した「衝突する追加箇所P4」が接触しようとし、移動体Sl,Srがδ5だけ接近して、アームAl2,Ar2に追加した「衝突する追加箇所P5」が接触しようとする状態を示す。図32(a)のアームの外周の各「衝突する箇所P」と回転中心Iとの距離は回転とともに減少し、図32(a)のアームの外周の形状は渦巻き曲線である。
1組の衝突する箇所を複数有するアームAl1,Ar1だけが向かい合って接近するとき、複数回衝突するたびに減速し、複数回減速と加速を繰り返す。この場合は静止状態のアームが衝突するのではなく、衝突後に減速されても回転しているアーム同士が衝突する。図32(a)に示すようにアームAl1,Ar1が取り付く移動体Sl,Srもう1組の衝突する箇所を複数有するアームAl2,Ar2を取り付けるとアームAl2,Ar2も互いに接近しながら、複数回衝突と回転を繰り返し、複数回減速と加速を繰り返す。
このときアームAl1,Ar1とアームAl2,Ar2の複数回衝突が同時に起きず時間をずらして起きるように、アームAl1,Ar1とアームAl2,Ar2の取り付け位置をずらしたならば、片方のアームの衝突が連続せず、片方のアームの衝突から次の衝突までに他方のアームの衝突が挿入されるので、それぞれのアームの衝突から次の衝突までの経過時間が長くなり、より減速されて静止状態に近づく。
図32(a)と同様に図30(b)に示した減速装置についても、渦巻き車輪M1にもう1つの渦巻き車輪M2を取り付けるとそれぞれは車輪Bに接近しながら、複数回衝突と回転を繰り返し、複数回減速と加速を繰り返す。図32に示すSl,Srのそれぞれに引きバネの両端の支点が取り付き、Sl,Srは互いに近づく移動体である。或いはバネによって回転するシステム内において互いに近づく移動体である。
図32(b)に示すように渦巻き車輪M1ともう1つの渦巻き車輪M2の取り付け位置をδだけずらしたとき、複数回衝突が同時に起き起きるとしたならば、図32アーム(c)に示すように渦巻き車輪M1と渦巻き車輪M2の取り付け位置をδの半分だけずらしたとき、複数回衝突が同時に起きず、片方の渦巻き車輪の衝突から次の衝突までに他方の渦巻き車輪の衝突が挿入される。
ここに「渦巻き車輪M1とM2の取り付け位置のずれδ」は渦巻き車輪Mが回転して切り欠きの2点が接触して次の切り欠きの2点が接触するまでの所要時間で、渦巻き車輪Mが回転して切り欠きの2点が接触して次の切り欠きの2点が接触するまで、切り欠きの2点のうちの1点が車輪Bの円周上を移動する。
切り欠きの2点のうちの1点が車輪Bの円周上の移動は車輪Bの中心に接近する距離よりその直角方向の円周に沿って移動する距離のほうが大きいので、車輪Bの中心に接近する距離がδの半分であるとき、円周に沿って「切り欠きの2点が接触して次の切り欠きの2点が接触するまで円周上を移動する距離」の半分以上を移動する。
切り欠きの2点が接触して渦巻き車輪Mが車輪Bの中心にδの半分接近すると、切り欠きの2点のうちの1点が逆戻りせず、回転方向に回転する。したがって、片方の渦巻き車輪の切り欠きの2点が接触して他方の渦巻き車輪の切り欠きの1点が接触している場合、片方の渦巻き車輪の次の切り欠きの2点が接触するまで切り欠きの2点のうちの1点が逆戻りはしない。
また図32に示すように片方の渦巻き車輪M1の切り欠きの2点P5,P7が接触しているとき他方の渦巻き車輪の切り欠きの1点P6はP5,P7の間の中央を過ぎた位置にあり、負荷がかかっている片方の渦巻き車輪M1の切り欠きの2点の回転が先に始動する。他方の渦巻き車輪M2の切り欠きの1点P6」があるので、3点Ib1、P6、Im1は一直線上になく渦巻き車輪M1は回転し、他方の渦巻き車輪M2の切り欠きの2点P6,P8が接触する。このようにして片方の渦巻き車輪M1の回転が他方の渦巻き車輪にリレーされる。
このように複数枚の渦巻き車輪を重ね合わせると、衝突の回数は複数倍になり、それに加えて、それぞれの渦巻き車輪の衝突から次の衝突までの経過時間が長くなりことから、より減速される。複数枚の渦巻き車輪のそれぞれが1つの車輪ではなく別々の車輪に衝突するようにすると減速効果は更に高められる。図30,31,32の減速装置のすべては衝突後に静止状態になっても停止する装置ではなく、むしろ衝突後に静止状態になることが基本である。
図32(a)のように渦巻き曲線を折れ線にした外周の回転体が向かい合って互いに接触しながら接近する場合、或いは図32(c)のように渦巻き曲線が折れ線であり折れ線の垂直2等分線が回転中心を通らない回転体が円形の車輪と向かい合って互いに接触しながら接近する場合において、互いに接触しながら接近する組数を複数組にすることによって、1回の回転で複数回の衝突を起こす回転体が減速と加速を繰り返すのではなく、衝突時が必ず静止状態から始まるように停止と回転を繰り返すようになり、図31(a)(b)に示したように衝突の回数と同じ個数の複数個のアームを用意することと同じ効果になる。
図33(a)は回転軸Qを中心とする接続軸Pの接線方向の移動をアームAの振り子運動に変換するもので、アームAは回転体Jの回転支点Pの周りに回転自在に軸支され、アーム先端に取り付く車輪Bは滑走面Kr,Kl上を乗り換えながら移動する。滑走面Kr,Klはそれぞれ別々の滑走面で滑走面Krに櫛歯Kr1,Kr3が取り付き、滑走面Klに櫛歯Kl2,Kl4が取り付き、それぞれの櫛歯の間に設けられる間隙を車輪Bが移動する。
図33(a)に示す滑走面Kr,Klは固定されるが図33(b)に示す滑走面Kr,Klはそれぞれ回転支点Ir,Ilの周りに回転自在に軸支され、Krは当たりGr1とGr2の間を、Klは当たりGl1とGl2の間を振り子往復運動をする。J1,J2,J3,J4はそれぞれ回転体Jが回転移動した位置を示し、A1,A2,A3,A4及びB1,B2,B3,B4はそれぞれの位置にあるときのアームの軸芯と車輪の位置を示す。それぞれのアームの軸芯線A1,A2,A3,A4は滑走面の櫛歯面に車輪Bが進入したときの位置を示し、それぞれが接触する櫛歯Kr1,Kl2,Kr3,Kl4とほぼ直交している。
R1,R2,R3は上記進入当初の接続軸P1,P2,P3を中心とする円弧で、S1,S2,S3は車輪Bが各々の櫛歯面上を移動したときの軌跡を示す。軌跡S1,S2,S3のそれぞれが示すように、車輪B1,B2,B3のそれぞれが櫛歯Kr1,Kl2,Kr3上を移動するに従い、円弧R1,R2,R3から離れることにより回転体Jが回転し、P1,P2,P3が示すように接続軸Pが移動する。
車輪Bが滑走面から別の滑走面に乗り移る度に車輪Bは進行方向を変えるが、進行方向が変わる瞬間は車輪Bの速度がゼロになり、結果として車輪Bは静から動へ更に動から静への動作を繰り返すことになり、接続軸Pの移動速度を減速する。
図33(b)に実線で示すように、滑走面Kr,Klのそれぞれは押しバネUr,Ulによって当たりGr1,Gl1に押圧され、車輪Bが滑走面Kの櫛歯上に進入すると滑走面Kは回転支点Iを中心に回転する。車輪Bが滑走面の櫛歯面に進入した当初は、アームAは櫛歯面に対して直角であるが、滑走面Kが回転支点Iを中心に回転するに従いアームAは櫛歯面と傾斜し、車輪Bが櫛歯面に沿って櫛歯先端に向かって移動する。車輪Bが櫛歯面から離れて対面する滑走面の櫛歯面に乗り移ると、車輪が離れた滑走面は押しバネUによって押し戻される。
図34は図33(b)で説明した一連の動作を示すもので、図34(a)は車輪Bが滑走面Krの櫛歯面Krに直角に進入した状態を示す。以後図34(b)に示すように車輪Bは櫛歯面Kr1条を移動せず、滑走面Krが押バネUrを縮めながら回転支点Irを中心に回転して当たりGr2に当たる。
この間回転体Jは僅かに回転する。図34(b)に示すように、当たりGr2に当たったときの滑走面Kr1は車輪Bの進入方向すなわちアームAの軸芯方向に対して傾斜し車輪が滑走面Kr1上を移動するようにし、図34(c)に示すように、対面する滑走面Klの滑走面Kl1上に乗り移る。この間も回転体Jは僅かに回転する。
図34(d)は図34(b)に説明した動作と同様に、車輪Bが櫛歯面Kl2に乗り移って滑走面Klが回転支点Ilを中心に回転する状態を示す。図33(a)と図33(b)を比較してわかるように、滑走面が固定される場合よりも揺動する場合のほうが、回転体Jが僅かに回転してアームAが数多く振幅する。
図35は「バネの伸縮に伴い互いに接近する渦巻き曲線の外周を持つ渦巻き車輪Mと、それに対面し渦巻き車輪の外周と接触する摩擦面Ed」の双方に磁石Fを取り付けたバネの伸縮速度を減速する装置で、2つの磁石の軸心を共通の直線状にして互いに近づけるようにして、上記磁石を内蔵した渦巻き車輪Mと磁石を内蔵した摩擦面Edをドア枠とドアに互いに対面するように取り付ける。
ドアが閉まる直前では、同極同士が対面するようにして渦巻車輪MをリンクAとバネVで、図35(a)に示すように、当りGに押し立てた状態にし、「双方の磁石の両端の相対する面」の間に発生する反発力でドアと戸当りの衝突を回避し、同時に磁石の回転を誘導して渦巻車輪Mが当りGから離れて、磁石を内蔵した渦巻き車輪Mが回転する。
渦巻き車輪Mは渦巻き車輪の外周と接触する摩擦面Edに接触するとき、渦巻き車輪の回転中心Imと「渦巻き車輪の外周と摩擦面が接触する点Em」との距離が最大で、渦巻き車輪が回転してその距離を縮めながら、渦巻き車輪と摩擦面の双方が互いに接近する。双方の間の距離の接近する長さに比べて、渦巻き車輪の外周が摩擦面と接触した延べ長さが長いことにより、ドアの戸当りに接近する所要時間が長くなり、ドアの回転速度を減速するが、この際双方に内蔵された磁石も回転し、図35(b)に示すように、2つの磁石の軸心が直行する付近では、双方の回転に磁石の力が影響しない。
2つの磁石の軸心が一直上にあって、同極同士が相対するとき反発力が発生し双方の回転を始動し、異極同士が相対するとき吸引力が発生し双方が密着し回転が止まる。2つの磁石の軸心を共通の直線状にして同極同士を互いに近づけるとき反発力は次第に大きくなり磁石は上記共通の直線状に留まることが出来ず回転しようとし、密着寸前に反発力の強さの増加率は急激に上昇し、回転しようとする力も同様に大きくなる。
ドアが戸当りに密着する直前で上記密着寸前の反発力が発生し、ドアと戸当りの衝突を回避し、同時に磁石の回転を誘導するが、同様に2つの磁石の軸心を共通の直線状にして異極同士を互いに近づけるとき吸引力は次第に大きくなり、磁石の回転を加速し、図35(c)に示すように、ドアを戸当りに押さえつける。
ドアが戸当りから離れて開く方向に回転するとき磁石の力が影響しなくなり、渦巻き車輪MはバネVの力によって図35(a)に示した静止状態に復帰する。ドアを閉めるとき以外の渦巻き車輪は、必ず図35(a)に示すような静止状態に復帰する。
同極同士が密着寸前のとき発生する反発力は同極同士が接近すればするほど強力になり、渦巻き車輪と摩擦面の双方に磁石を取り付けることによって、渦巻き車輪と摩擦面との衝突がなくなる。渦巻き車輪と摩擦面とは衝突せずに同極同士が接近したときのとき発生する反発力で回転し始め、次第に磁力の影響がない状態になって、渦巻き車輪と摩擦面の両者は互いに接触しながら回転して接近する。
ドアと戸当りの間に指などが介在する隙間が確保できる位置で、同極同士が密着寸前の状態になるようにすると、ドアが閉まる直前でドアの回転が停止するようになり、回転するドアに取り付いた慣性力を消滅し、ドアと戸当りの間に指などが介在しても押し潰すことはなくなる。
図35(d)(e)(f)は図35(a)(b)(c)の渦巻き車輪Mを回転軸の位置を円の中心から少し距離のある位置にずらした偏心車輪Meに取り替えたもので、偏心車輪Meは渦巻き車輪と同様に回転と共に接触面との距離を減少する。また図17(a)(b)(c)の引きバネVを板バネVeに取り替えたもので、板バネが偏心車輪の外周を押えることによって、「板バネと偏心車輪の接触点と偏心車輪の回転軸との距離」が常に最小になる状態にし、双方の磁石の軸心が一直線になって同極同士が向かい合う状態に復帰する。
偏心車輪Meに取り付ける磁石Fdの両極を結ぶ直線は偏心車輪の中心と回転軸Imを通り、回転中心から最も距離が長い部分を対面する接触面Fdに向けて、磁石の両極を結ぶ直線を接触面Fdに垂直にする姿勢を保つ。図35(e)(f)(g)における偏心車輪並びに磁石と板バネの動作はそれぞれ図35(a)(b)(c)における渦巻き車輪と磁石と引きバネの動作に同じである。
図35(d)(e)(f)において回転軸の位置を円の中心から少し距離のある位置にずらした偏心車輪Meをドア側だけでなく戸当たり側にもつけて、図35(d)(e)(f)のそれぞれにおいて、DとFdで示される戸当たり側の部品をMe、Fmで示されるドア側部品に入れ替えた状態にして、双方の磁石の軸芯が同一直線上にあって互いに同極同士が接近するようにすると、同極同士が密着寸前に回転し、双方とも反転して同一直線上にあって互いに異極同士が吸引しあうようになる。
この場合、双方が回転軸の位置を円の中心から少し距離のある位置にずらした偏心車輪Meであることから、同極同士が接近するときの両者の回転軸間の距離と異極同士が接近するときの両者の回転軸間の距離とが異なり、ドアが閉まる寸前で一旦停止したあと減速しながら更に閉まる方向に回転した後、ドアを戸当たりに押圧するようになり、ドアが閉まる寸前で一旦停止するときの両者の回転軸間の距離と、ドアを戸当たりに押圧するときの両者の回転軸間の距離とが異なる。このことから図35の装置を通常のバネで動くドアにつけるだけで、ドアが閉まるときに衝撃はなく指をつめる事故も防止することが出来る。
次にドアが閉まる直前で動慣性を利用して回転体にブレーキを掛ける原則沿うちにっついて説明する。
図36(a)(b)(c)においてドアが閉まるとき、回転体Jは回転軸Qを中心に矢印→イ方向に回転し、ドアDは回転軸Oを中心に矢印→ロ方向に回転する。回転体Jの先端の接続軸Pとドアの設けられた接続軸Cとは2つのリンクAとAAで連結されている。図示されないドア枠Wに取り付けられる回転軸Ib1,Ib2にそれぞれ車輪B1,B2が取り付き、車輪B1或いはB2に沿って回転体Jに取り付くリンクAが移動する。
図36(a)(b)において図中の実線は、ドアが閉まり始めたときの状態を示し、ドアの回転が回転体Jの回転に遅れて、回転体JがドアDを牽引する状態を示す。又図中の破線はドアが閉まる寸前の状態を示し、ドアに動慣性が付いてドアの回転によって回転体Jが押されて回転する状態を示す。
図36(a)に図示するリンクAは引きバネVの力で車輪B1を押圧し、図36(b)に図示するリンクAは押しバネUの力で車輪B1を押圧し、矢印→イ方向に回転体Jを回転させる。図36(a)において、滑走面の凹面ハは固定された車輪B1を押圧して、回転体Jが図中矢印→イ方向に回転し、ドアDが回転軸Oを中心に閉める方向(矢印→ロ方向)に回転する。また車滑走面の凸面ニは固定された車輪B2を押圧して回転体Jが図中矢印→イと反対方向に回転する。
図36(b)において、滑走面の凸面ニは固定された車輪B1を押圧して、回転体Jが図中矢印→イ方向に回転し、滑走面の凹面ハは固定された車輪B2を押圧して回転体Jが図中矢印→イと反対方向に回転する。図36(a)(b)において滑走面が直線状であっても同様の動作が認められる。このようにしてドアに慣性力がつかない時は、回転体Jがドアを牽引して閉める方向に回転し、ドアに慣性力がついた時は、ドアの慣性力によって回転体Jが閉める方向と反対方向に回転する。
ドアに慣性力がついた時は、ドアの慣性力によって回転体Jが反対方向に回転する動作はリンクAに働くバネの力に抵抗する動きであり、リンクAの長さが長く、接続軸Pと連結軸PPとの距離が長いほど起こりやすくなる。またドアが閉まるに従い、車輪Bと連結点PPとの距離Lが縮まりそれだけドアを密閉する力が大きくなる。
図36(c)に示すようにドアが全開状態に近い状態では、リンクAAが連結点PPを押す力Fの方向は、連結点PPの回転軸Qを中心とする円運動の半径方向であって、ドアが回転を始めた段階では上記の押す力Fは回転体の回転に作用しない。ドアが回転し続けて次第に閉まっていくとドアに慣性力がつき、図36(a)(b)の破線で示すように、リンクAを車輪B2に押し当てる。このとき上記押す力Fの力の方向は上記連結点PPの円運動の接線方向に働き、リンクAにバネの力が働いているにもかかわらず、リンクAを車輪B1から引き離し車輪B2に押し当てる。
リンクAが車輪B1に当接する面と車輪B2に当接する面は裏表の関係にあり、車輪B2に沿うリンクAの移動方向と車輪B1に沿うリンクAの移動方向の反対方向になる。従ってリンクAが車輪B1から離れると同時に回転体Jが矢印イ方向に回転することはなくなり、車輪B2を押圧すると回転体Jは矢印イ方向と反対方向に回転する。即ちドアDを開く方向に回転させるドアDの回転が止まるとバネの力は復元され、リンクAは車輪B1を押圧する状態に戻り、ドアは再び閉まる方向に回転する。このようにしてドアは閉まる直前から止まったり閉まったりする運動を繰り返すことになる。
図37(a)において、円R1,R2はそれぞれドアが閉まったときと開いたときの車輪B1の位置を回転軸Qとの距離r1、r2を半径とする円で、滑走面Kは円R1の始点R1sと円R2の終点R2sを通り、仮想点QQを中心とする円周である。
図37(a)において回転体Jの先端Pを中心に回転するリンクAの先端に取り付く車輪B1は、固定された滑走面の凹面ハを押圧して、回転体Jが図中矢印→イ方向に回転し、ドアDが回転軸Oを中心に閉める方向(矢印→ロ方向)に回転する。また車輪B2が滑走面の凸面ニを押圧して、回転体Jは図中矢印→イと反対方向に回転する。ドアDの接続軸CとアームA先端の連結軸PPはリンクAAで連結される。
図37(b)において回転体Jの先端Pを中心に回転するリンクAの先端に取り付く車輪B1が固定された滑走面の凸面二を押圧することによって、回転体Jは図中矢印→イ方向に回転し、ドアDは回転軸Oを中心に閉める方向(矢印→ロ方向)に回転する。また車輪B2が滑走面の凹面ハを押圧して、回転体Jは図中矢印→イと反対方向に回転する。
車輪B1或いはB2が滑走面Kの凹面或いは凸面を押圧して、回転体Jが矢印イ方向或いはロ方向に回転するいずれの場合においてもリンクAの長さが長く、接続軸PPの接続軸Pを中心とする回転半径が長いほど車輪が滑走面を押圧する力は大きくなり、車輪に働く転がり摩擦力は大きくなる。又、慣性力がついたドアがリンクAに作用するとき、リンクAの長さが長いほど、バネの力で滑走面を押圧する車輪を滑走面から引き離す力は大きい。
図36の場合は、ドアを密閉したときリンクAの長さが長いほどドアを戸当たりに押圧する力は強くなるが、図37の場合はリンクAの長さを長くすると、ドアの慣性力でドアの回転を減速する効果はあっても、ドアを押圧する力を大きくする効果はない。
又図36の場合と同様に、ドアを牽引或いは慣性力で回転体を押し出す力Fの方向は、ドアが閉まるに従いリンクAの方向と直角に近づき、リンクAの回転がドアDにより伝え易く且つドアの慣性力がリンクAに伝わり易くなる。このように設計するには、リンクAが閉まったドアDに平行にリンクAAが直角になるようにして、リンクAとリンクAAが直交するようにすればよい。
図38は図16(a)の方式を採用するもので、回転軸Qを中心に回転する回転体Jの先端に車輪Bが取り付き、滑走面Kの凹面ハが引きバネVの力で車輪Bを押圧し、回転体Jが矢印→イ方向に回転する。図38(a)において、回転体Jの先端の接続軸PにはリンクAが取り付き、リンクAの先端の連結軸PPにリンクAAが連結され、リンクAAとドアDは接続軸Cで接続される。
図38(b)においても回転体の接続軸PとドアDは2つのリンクA,AAで連結されるが、図36或いは図37のように、回転体JとリンクAとの間にバネが仕込まれないので、ドアの慣性力がリンクAを回転させるのに抵抗はない。
図38(a)において、回転体Jにはドアが閉まる直前から接続軸Pの周りのアームAの開く方向の回転を阻止する当たりGjが取り付くが、ドアの慣性力によってアームAは当たりGjから離れる方向に回転し、アームAの延長部に取付けた車輪B2と回転体Jに取り付けた車輪B1によって滑走面Kを挟み込んで回転体Jの回転を止める。
図36、図37、図38(a)のいずれにおいても、ドアの慣性力は回転体の回転方向と同方向の回転にブレーキをかけるものであったが、図38(b)は、図16(a)の回転機構で回転させるもので、ドアが閉まる寸前にドアの慣性力が回転体を反対方向に回転させるものである。
図38(a)においても図38(b)においても、回転体Jの回転がドアの回転に関係なく充分に遅いことが必要であり、回転体Jの回転がドアDの回転に遅れる必要がある。図38(b)において、連結軸PPには図中矢印→イ方向と反対方向の回転を阻止する当たりGaが取付けられ、ドアが閉まる直前で開く方向に回転するようになる。
図39に示すドアは、回転体Jのアーム部分ではなく円弧の滑走面Kを滑走する車輪Bによって牽引されて回転する。回転体Jのアーム部分にバネが直接作用して回転する場合よりも滑走面を転がる車輪に牽引されて回転する場合のほうが、車輪の転がり摩擦による減速効果がある。
図39(a)はドアが閉まる直前の状態、図39(b)はドアが少し開いた状態を示す。滑走面Kは中心をOkとする円周で、滑走面K上を移動する車輪Baと回転体Jの回転中心Qとの距離は、回転体JがドアDが開く方向に回転すると増加し続ける。同時に回転体Jとそれに連結されるアームとの間の角度が増加し、引きバネVjが引き伸ばされ、引き伸ばされたバネVjに蓄えられた力でドアを閉める方向に引き戻す。
回転体J先端に連続するアームA1の先端に取り付く車輪Baの回転軸P2にはリンクA2が回転自在に軸支され、リンクA3はリンクA2先端の接続軸P3とドアDの接続軸Cとを連結しドアを牽引する。リンクA2とリンクの接続軸P2には当たりGaが取り付けられ、当たりGaによってリンクA2の回転が制限され、リンクA2がドアに引き戻される方向に回転するのを阻止する。
図39(a)に示すようにドアが閉まる直前において、ドアDとリンクA3は直交し、且つリンクA2とA3は直交し、リンクA2とA3の連結軸P3近傍にある車輪Bjを中心にリンクA2が回転し、リンクA2が車輪Bjを支点とするテコとなってドアDを戸当たりNgに引き寄せる。
回転体Jの回転が減速してドアの回転が加速した時、リンクA3先端に取り付けたブレーキシューZが円弧の滑走面のKの裏側に接触する。ドアが電動で動く場合は、ドアの回転速度を自由に操られるので、動慣性がついて回転速度を増したドアに回転を伝えないように電動機の回転を停止或いは減速することが出来るが、バネで動くドアの場合は、ドアがいくら加速されても、バネが途中で緩むことはなく、バネは常に緊張していてドアに力を作用させているので、ドアは加速されても減速されることはない。
例えば図29の回転体Jに減速装置の渦巻き車輪が取り付かない場合、ドアの回転がバネで動く回転体Jに回転を与えて無負荷状態で一瞬にして回転し、ドアに回転を与える状態に復帰する。しかし図29の回転体Jに減速装置の渦巻き車輪が取り付けた場合、或いは引きバネの両端の支点間に渦巻き車輪と車輪を挿入ことが出来るとする場合、図29に示したように「ドアに回転を与える回転体」とドアを結ぶアームを2つの折れ曲がるようにすると、ドアは慣性力だけで運動し、「ドアに回転を与える回転体J」とは別行動をする。
図39の場合は「ドアに回転を与える回転体」とドアとを2つの折れ曲がるリンクで結ばれ、滑走面を滑走する車輪の運動方向と、ドアを牽引するリンクA3の運動方向がほぼ直行し、滑走面を滑走する車輪の速度が、ドアの速度と無関係になる。図30,31,32で説明した減速装置を追加することによって、車輪Baの滑走を停止或いは極端な停止が一瞬の間でも可能であるならば、ドアに回転を与える回転よりドアの回転のほうが速くなる。
図39の場合も図29に示した場合のように、「ドアに回転を与える回転体」とドアを結ぶアームを2つの折れ曲がることが出来るリンクにするならば、ドアがドアを牽引するアームに関係せずに慣性力だけで回転し続けるようになり、ドアを閉まる直前で回転を止める当りに当たるようにすることが出来、ドアは加速されずに減速の一途をたどる。この場合ドアを閉める過程においてドアの回転速度を減速するのではなく、加速してドアに動慣性をつけて慣性がついて回転速度を増したドアがブレーキに作用し、ドアの加速そのものを減速に変換するものである。
図39の場合、アーム先端のブレーキシューZは円弧の滑走面Kの裏面に当る。ただしアームA2 がテコとなってドアDを戸当たりNgに引き寄せるとき、アーム先端のブレーキシューZは円弧の滑走面Kの裏面に当らないようにする。円弧の滑走面Kの裏と表では車輪の同じ進行方向に対して下り勾配と上り勾配の違いが出来る。滑走面Kの車輪Baが滑走する表側の傾斜は車輪Bの進行方向に対して下り勾配である。
裏側の傾斜はブレーキシューZの進行方向に対して上り勾配で、接触したブレーキシューが車輪Baに牽引された上り勾配を登坂するとき、滑走面から離れる方向に跳ね返されブレーキシューが果たすブレーキの役割はなくなる。一旦開く方向に回転したドアを再び閉まる方向に回転させ、再び加速されたドアがブレーキシューZを滑走面裏側に押し付ける。このような動作を繰り返して、ドアを閉まる直前に慣性力を利用して減速する。ブレーキシューZが止まったり移動したりして断続的に停止と移動を交互に繰り返しても、ブレーキシューZの移動方向がドアの進行方向の動きに直角であるのでドアの回転に振動を与えない。
2枝回転体Fは両側の当たりG5に当たる静止状態の間の範囲を回転する回転体で、2枝回転体Fの先端に取り付く2つの車輪Bfの間を回転体Jの先端P1が通過するとき、左右に回転する。図中の回転体Fが取付く位置は、ドアが僅かに回転して回転軸先端P1が大きく移動する位置で、ドアが閉まる直前の位置である。回転体F先端の2つの車輪Bfの間を回転体先端P1が通過して回転体Fがドアを閉める方向に回転するときで、当たりGf1の位置から回転し始めたときはドアは減速され、当たりGfの位置に向かって回転するとき、ドアは加速されて戸当たりFgに押さえつけられる。
ドアに回転を与えるバネVjの力はドアが閉まる直前において回転体Fを回転させて以後力を失う。以後のドアの回転は回転体Fのバネだけに頼ることになる。「ドアを戸当たりに押し付けるバネ」を別途用意することはドアに取り付くラッチのバネの強さによって異なる「ドアを戸当たりに押し付ける力」を調整できることになる。「ドアを戸当たりに押し付けるバネ」を別途に用意せず、ドアに回転を与えるバネがドアを閉めるとき強く作用するようにすると、「ドアを戸当たりに押し付ける力」を不必要に強くすることになり、ドアを開くとき大きな抵抗を受ける。
一般にドアを回転させるにはドアの回転軸の摩擦抵抗に対抗できる力さえあればよく、ほとんど力は不要で装置が付かないバネと付いたバネとの差が感じ取れないのが通常である。
しかしドアを戸当たりに押さえつけるまで閉めるためには、ドアを回転させるだけのバネの力に比して比較にならないバネの力が要求され、この力がドアを開くときに抵抗する。
特許文献1は必要最小限の力で開くように開発された技術で、ドアを閉める力が要らなくなった最後の段階でも、「ドアを戸当たりに押し付ける力」がバネに残っているようにして、閉まるに従い加速する閉まる速度を減速すると同時に、開く時にバネの力を如何に無効に働かすか、或いはドアを戸当たりに押し付けるとき如何に有効に働かすかを解決したものである。
しかし特許文献1は閉まるに従い弱くなっていくバネの力でドアを戸当たりに押し付けようとするもので、「ドアを戸当たりに押し付ける力」を必要最小限に設計して、ドアが閉まる速度を減速すると、ドアが途中で止まることも、ドアを戸当たりに押し付けずに止まることも起こり理きわめて不安定な技術であった。
図39は閉まるに従い弱くなっていく「ドアを回転させるバネの機構」とは別に、「ドアを戸当たりに押し付けるバネの機構」を用意して、「ドアを回転させるバネの機構」が減速しながらドアを閉め、ドアが閉まる直前から、「ドアを戸当たりに押し付けるバネの機構」にリレーされるようにして、「ドアを回転させるバネの機構」がドアが閉まる途中で力を失い、途中からは「ドアを戸当たりに押し付けるバネの機構」によって閉めるようにして一旦停止したドアを再起動させるように改善したものである。
ドアを牽引するアームとドア接続軸Cはドアの回転軸Oから遠く離れるほど、小さな力でドアを回転させることが出来、また小さな力で、ドアを戸当りに押圧することが出来る。しかし接続軸Cがドアの回転軸Oから遠く離れるほど、「ドアとドアを牽引する駆動部分とを連結するアーム」の長さが長くなる。図40に示す両者を連結するアームの構造は、ドア側に取り付けたアームA1がバネで回転する駆動部分で、アームA1先端に取り付けた車輪Bが、ドア枠に取り付けられた回転軸Iaを中心に回転するアームAの滑走面Ak上を移動してコンパクトに収納されるようになっている。
図40(a)はドアの全開状態、図40(b)はドアが閉まる直前の状態、図40(c)ドアDが閉まって戸当たりNgに引き寄せられた状態を示す。ドア枠に取り付くプレートWには滑走面Kと回転軸Iaが取り付き、アームAが回転軸Iaを中心に回転しその回転はドアの全開時に当りGkに当たって阻止される。またドアが閉まる直前には当りGaに当たって阻止される。
図40(a)に点線で示すようにドアが全開状態から閉まるに従い、アームA1はバネVによって接続軸Cを中心に回転する。アームAはアームA1先端の車輪BをアームAの先端に留めながら回転軸Iaを中心にドアを引き寄せる方向に回転し、ドアが閉まる直前で当たりGaに当たって回転が止まる。
「アームA先端の車輪Bを留める面の勾配」はアームAが回転するに従い、車輪Bの円運動のほぼ接線方向から半径方向に変化し、ドアの全開時に車輪Bを末端AA方向に引き寄せる勾配から、末端AAから離れる方向に転出する勾配に変わる。車輪Bが末端AAから離れる方向に対して、「アームA先端の車輪Bを留める面の勾配」はドアの全開時には上り勾配であるがドアが閉まる直前では下り勾配になる。ドアが閉まる直前でアームAの回転が停止すると、同時に車輪Bはアーム先端から排出される。
図40(b)に示すように滑走面Kに点線で示す円弧Rc+10は、ドアが閉まる直前の「ドアDとアームA1の取り付け軸C+10の位置」を中心とする円周の一部で円弧の両端を結ぶ弦がアームAの先端から離れた車輪Bが滑走する滑走面Kである。車輪Bが滑走面Kを滑走するとき、ドアを開く方向に押し戻し、滑走面にその反力が負荷されるので車輪は一瞬にして滑走面末端のKKKに到達しない。すなわちドアが閉まる直前で一旦停止状態を確認できる。車輪Bが点線で示す円弧Rc+10上を滑走したとすると、ドアの回転は停止した状態になり、無負荷状態になって車輪は一瞬にして滑走面末端のKKKに到達する。
ドアから手を離して、ドアが強風によって閉められた場合でも、必ず閉まるまえに開く動作が挿入されるので、一気に閉まって指を挟んだりする事故は防止できる。また図40に示すように滑走面K先端に車輪Bの衝突を緩和する緩衝物KKを取り付けることによって衝撃音を伴って閉まることはない。「当りGaによって回転が止められたアームAの先端」から離れた車輪Bが、緩衝物KKを押し込んで車輪Bの衝突を緩和するが、この際緩衝物KKは滑走面K先端の回転軸Ikkを中心に回転し、緩衝物KKの勾配は滑走面末端の窪みKKKの方向に進行する方向に対して上り勾配になって進行を妨げる。
ドアが強風などによってなどによって加速された場合は、緩衝物KKは回転軸Ikkを中心に更に大きく回転し、緩衝物KKの勾配は更に大きくなって、車輪Bの滑走面末端の窪みKKKの方向の進行を妨げる。押し込まれた緩衝物KKは押しバネUによって押し戻され、アームAを滑走面Kから離れる方向に跳ね返し、車輪Bは滑走面Kに沿って走面末端の窪みKKKの方向に進行する。
図40(a)に示すようにドアが全開した状態では、車輪Bが滑走面Ak末端の窪みAAにはまり込んで、ドアは静止状態を保つ。ドアを少し開いて閉じる場合、車輪B は「滑走面Kから離れる方向に回転し当りGaによって回転が止まったアームAの滑走面Ak上」を往復し、滑走面Ak末端の窪みAAに到達しない。
当りGaの位置によっては、アームA の回転角の回転幅が大きくなる。アームA の回転角の回転幅が大きくなるほど、車輪の進行方向に対しての傾斜が大きくなり車輪は転びやすく、また全開したときバネが伸びる長さが小さくなるので、ドアを開くときの力は小さく、軽くドアを開くことが出来る。
図40(c)のドアが閉まった状態では車輪Bが滑走面、末端の窪みKKKに留まることによって、引きバネVのドア枠側支点が固定され、バネVはドアDをドアの回転軸Oから遠く離れた位置から引きよせることになる。
図41は外開きドアの室外に面する壁面に取り付けられるドアクローザで、このドアクローザの特徴はドアを回転させる力に比べて、ドアを戸当たりに押し付ける力が極端に強いことである。ドアを戸当たりに押し付ける力が強ければ強いほど、閉まったドアを開く瞬間に強い抵抗を受けるが、ドアを少し開いて「ドアを戸当たりに抑える力」が解除された後は、バネのついてないドアと区別がつかないほど軽く回転する。ドア枠に回転軸Q,Iaと滑走面Kが取り付き、回転軸Q、Iaにはそれぞれ回転体Jと2枝回転体FFが回転自在に取り付く。図中にドア枠とバネとバネのシステムの記入は省略する。
回転軸Qに回転自在に回転体Jが取り付き回転軸Jの先端の回転Pには回転自在に2枝回転体Fが取り付き、2枝回転体FFの2つの枝のそれぞれの先端に車輪B1,B2が取り付き車輪B1,B2は2枝回転体FFを挟んで裏面と表面に取付けられ、それぞれは同じ平面上にないアームAの内側滑走面と滑走面K上を滑走する。アームAは回転軸Iaに回転自在に軸支され、アームA先端の窪みAeは図41(d)に示すようにドアDが全開したとき窪みAeに車輪B1がはまり込みドアを静止状態に保つ。
図41(a)はドアDが閉まって戸当たりNgに押さえつけられた状態を示し、車輪B1は滑走面末端の窪みKKにはまり込んだ車輪B2を中心に回転し、車輪B1をアームAによって押さえつける力は、テコの原理で拡大されドアDを戸当たりNgに押さえつける。ドア回転時にアームAによって押さえつける力はドアDと回転軸Jを連結するリンクA1と滑走面K上の車輪B2とに分配され力の一部がドアの回転に関与する。このようにアームAによって押さえつける力はドアを回転させる力の数倍大きな力となる。
図41(b)はドアDが閉まる直前の状態を示し車輪B2が滑走する滑走面K+10がドアDが閉まる直前の2枝回転体FF+10の回転軸の位置If+10を中心とする円周であるため、車輪B2が滑走面K+10上を滑走している間はドアDは一旦停止している。図41(c)は閉まったドアを開くときの状態を示し車輪B2は滑走面Kから離れてドアが閉まるときと異なる経路をたどる。更にドアを開くと車輪B1は回転するアームAの内側滑走面を滑走する。
図42はドアを密閉させるバネの機構とドアを開閉するバネの機構を別々にするので、図図42(a)の実線はドアが全開した状態を示し、破線はドアが閉まる寸前の状態を示す。ドアDが全開した状態から閉まる寸前に至るまで、回転軸Qを中心に回転する回転体Jの先端の接続軸Pに接続されたリンクAは回転せず、ドアDの接続軸Cを中心に回転するリンクAAの先端に取り付けられた車輪Bは静止した滑走面K上を滑走面の端部Keから端部KKに向かって移動する。ドアDを全開状態から締めて粋、車輪が滑走面KのKbの位置付近を通過した後は、ドアDとリンクAA間に仕込まれた押しバネUdが伸びることによってドアDとリンクAA間の角度Oが増大し、ドアは取手から手を離しても閉まる方向(矢印→ロ方向)に回転する。
車輪と滑走面の接点Pbと車輪Bの回転軸Ibとを結ぶ線は、車輪Bが滑走面を押圧する力Fの作用線で、作用線Fが接続軸Pを横切って通過すると、リンクAに接続軸Pを中心とする矢印→ハ方向の回転力が作用する。
接続軸Pと車輪BBの回転軸Ibbを結ぶ直線Fbbと滑走面Kbbとが直交している間は、回転体Jに働く押しバネUjの力によってリンクAAが滑走面Kbbに直交して静止状態を保つが、リンクAに矢印ハ方向の力が僅かに働くだけで車輪BBは滑走面Kbb上を移動し始め、リンクAAは一瞬にして回転を終了し図42(b)に示す状態になる。車輪Bは滑走面KK上を回転軸Qに近づく方向に移動し、その結果コアを密閉する力が増大する。滑走面KKは車輪BBが嵌り込む凹面で、ドアを閉めるとき車輪BBが逆戻りしないようにしている。
ドアを開き始めるときリンクAは接続軸Pの周りを回転することなく、リンクAと回転体が一体になったまま回転軸Qの周りを矢印→イ方向と反対方向に回転する。リンクAの滑走面に車輪が転がる傾斜が付くと、車輪Bは滑走面の端部Keに向かって移動し、移動の途中でリンクAは接続軸Pの周りを矢印→ハ方向と反対方向に回転させ、図42(a)に示すようにリンクAを滑走面Kbb上に直立させて静止状態に復帰させる。
ドアが急に開いたときにドアの回転を止めるための手段について説明する。ドアが急に開いたときにドアの回転を止めるために「遠心力を利用した停止装置」や、ドアをゆっくりと開閉させるために「粘性抵抗による減速装置」を取付ける手段があるが、これらの装置はドアの回転に連動するもので、ドアの回転に負荷を与え、ドアの回転に抵抗を与えるものである。
本発明はドアの回転に連動するものではなく、重量による自然落下減少に基づいて別途に動くものであり、ドアが静止した状態から開き初めて一定時間後に一定の位置を通過するかどうかを判定するもので、ドアの回転が一定速度を越えた場合、より早く上記一定の位置に到達するので、上記一定の位置で出し入れされる当たりが外れる以前にドアの一部が衝突して、ドアの回転が停止するものである。
本発明は「静止した状態から運動し始めて一定時間後に一定速度を越える物体を、下り勾配の通路の一定区間を一定の所要時間で通過する鋼球の重心移動で上下する当りで制止させる物体の急加速を制止する装置」で、ドアに限らず一般の急に加速する物体を制止させる装置として広く応用できるものである。
すなわち、「、物体が上記測定区間を侵入したと同時に鋼球が下り勾配の通路を転がり始めるようにして、下り勾配の通路の終端に上記鋼球が到達して上記鋼球の重量で当たりを上下させ、上記当りが物体の軌道内から排除されない以前に、物体が上記測定区間を通過し終えたとき当りにあたって制止し、鋼球の重量で上記当りが物体の軌道内から排除された以後に、物体が上記測定区間を通過し終えるとき当りにあたらず運動を継続するようにした物体の急加速を制止する装置」である。
物体が測定区間を移動する所要時間によって物体が区間終点を通過する速度を設定することができ、物体が測定区間を移動する所要時間は鋼球が下り勾配の通路を転がる長さで測定できる。鋼球が下り勾配の通路を転がり始めて、下り勾配の通路の終端に到達するまでに要する時間は下り勾配の通路の長さで決まり、直線状の下り勾配の通路の長さが下り勾配の平面内に設定できない場合、下り勾配の通路を直線からS字に蛇行させた通路にして通路の長さを大きくする。
図43は上記物体の急加速を制止する装置で、図43(a―1)にしめす位置D1で運動し始めて一定時間後に図43(b―1)にしめす位置D2でドアの回転速度が一定速度を越えているかどうかを判定する。滑走面はKKとKの2つの部分に分かれ、運動し始めの位置D1で車輪BがKKの部分から離れると図43(b―1)にしめすようにKKの部分は回転軸Iを中心に回転し、KKの部分の延長部の長穴KKKも平行移動する。
図43(a―3)にしめすように長穴KKKには勾配がついており、ドアが運動し始める以前では図43(a―2)にしめすように、長穴KKKの上側接触面KHが「鋼球Nの通路である管Mの末端に取り付く当たりGn」を上から押さえて鋼球Nを通路Mの始点に留め置いているが、長穴KKKが平行移動すると、図43(a―3)にしめすように下側接触面KLが当たりGn下から突き上げる。
図43(b―2)にしめすように管Mは回転軸Imを中心に回転し下り勾配になり、鋼球Nが管Mの内部を下り始め終点に向かう。鋼球Nが管Mの内部の終点に至るまで、管Mの終点に取り付く当たりGmは車輪の通り道xを塞ぐ高さを維持し、鋼球Nが終点に至ると管Mは回転軸Imを中心に更に回転し更に下り勾配になって、当たりGmは車輪の通り道xを塞ぐ高さから下に移動し車輪の通り道xを空けることになる。
鋼球Nが終点に至るまでに、車輪Bが当たりGmのある位置に至ると、図43(b―1)にしめすように車輪Bが当たりGmに衝突する。鋼球Nが終点に至った後に、車輪Bが当たりGmのある位置に至ると図43(b―3)にしめすように、車輪の通り道xが空けられた状態になっているので、ドアは全開できる。図43(b―3)にしめすように鋼球Nが終点にある状態では、長穴KKKの上側接触面KHが管Mの末端の当たりGnを上から押さえているが、ドアが閉まる途中で車輪Bが滑走面KKに当たって滑走面KKを回転させ、長穴KKKが平行移動して管Mの末端の当たりGnを上から押さえて、図43(a―2)にしめすように鋼球Nを通路Mの始点に戻す。
強く密閉されたドアを弱い力で開く手段について説明する。図44(a)においてドアDが閉まった状態を実線で表し、開いた状態を破線で表す。ドアDが閉まるとき、ドアDは回転軸Qを中心に矢印→ロ方向に回転し、回転体JはバネVの力によって図示されないドア枠に取り付けられた回転軸Qを中心に矢印→イ方向に回転する。
ドアDの接続軸CにアームAが回転自在に軸支されアームAの先端に取付けられた車輪Bが回転体Dの施された長穴Hと図示されないドア枠に取り付けられた長穴HH内を移動する。回転体JとドアDの接続軸CとはアームAの1つのリンクで連結される。
ドアDが閉まるとき、車輪Bは長穴H内の回転軸Qに近い位置にあって強くドアを押圧するが、閉まったドアを開くとき車輪Bは次第に長穴H内を回転軸Qからに矢印→ハ方向に離れる位置に移動して、弱い力で開けるようになる。但し閉まったドアを開く瞬間は回転軸Qに近い位置にあるので、「強くドアを押圧する力」と同じ強さの力を反対方向に働かさなければドアは開き始めない。
図44(b)において、車輪Bと2つの長穴H,HHは図示するが、回転体JとアームAとドアDはその軸心を一点鎖線で表示し,その全体の図示は省略する。A20,B20,C20,J20はそれぞれドアがD20の位置にあるときのアームAと車輪Bと接続軸Cと回転体Jを表し、A15,B15,C15,はそれぞれドアがD15の位置にあるときのアームAと車輪Bと接続軸Cを表す。
長穴Hと長穴HHの幅は車輪Bの直径より小さく長穴Hの内面の両側或いは長穴HHの内面の両側に接触しない。A20,B20,C20,J20はドアが閉まり始めたときなど、回転体Jの回転に遅れてドアDが回転してドアDが回転体Jに引かれる状態で、車輪Bは長穴H内を回転軸Qからに矢印→ハ方向に離れる位置に移動して、長穴Hのドア側の内面ホと長穴HHのドア枠側の内面チに接している。内面ホと内面チのなす角度は鋭角であり、車輪がこの2面に強く挟まれても車輪Bは長穴H内を矢印→ニ方向に回転軸Qに近づく位置に移動できる。
回転体Jの回転に遅れてドアDが回転してドアDが回転体Jに引かれる状態では、車輪BはドアDによって長穴H内を矢印→ハ方向に移動しようとし、回転体Jによって長穴H内を矢印→ニ方向に移動させようとする。このようにして車輪Bが上記2面に摩擦しながら回転体JとドアDは回転する。
A15,B15,C15,J20はドアが閉まる寸前などドアDの回転が加速しドアDに動慣性がついた状態で、回転体Jの回転よりドアDが速く回転して回転体JがドアDに引かれる状態で、車輪Bは長穴H内を回転軸Qからに矢印→ニ方向に回転軸Qに近づく位置に移動して、長穴Hのドア枠側の内面ヘと長穴HHのドア側の内面トに接している。内面へと内面トのなす角度は鋭角であり、車輪がこの2面に強く挟まれても車輪Bは長穴H内を回転軸Qからに矢印→ハ方向に離れる位置に移動できる。
車輪Bの矢印→ニ方向の移動は阻まれ動慣性がついたドアDの回転は阻止されるが、長穴Hのドア枠側の内面ヘが車輪Bから離れる方向に回転体Jが回転できるので、ドアの回転が一旦停止しても回転を再開する。
車輪Bが2つの長穴HとHHに挟まれる領域内の回転軸Qから離れる位置にあるときよりも、回転軸Qに近い位置にあるほうが、車輪と長穴内面との摩擦が少なく回転体Jは容易に回転して車輪Bを回転軸Qから離れる位置に移動させる。車輪Bを回転軸Qから離れる位置に移動させると、車輪Bは上記2面に摩擦し回転体Jが容易に回転し難くなって、ドアに動慣性がつくまで車輪Bを回転軸Qから離れる位置から離れない。
ドアの速度は時間の経過の2乗倍になるのでドアに動慣性がつくまで時間がかかり、このような減速はドアが閉まる直前で行えばよいことになる。2つの長穴HとHHの交差角度が少なく2つの長穴HとHHがより平行に近いほうが、動慣性がついたドアの減速効果は高いので、長穴HHはドアから離れた位置で閉まったドアに平行に近い状態で、ドアに近い位置では直角に近い状態であり、途中が曲がった状態であって、入り口の開口部ルが設けられるほうがよい
図44は車輪Bが回転体Jに施された長穴Hに沿って移動することにより、ドアを密閉するときのテコの支点の位置と、ドアを開くときのテコの支点の位置を変えることによって、ドアを開くときの力を軽減するものである。図44の場合は閉まったドアを戸当たりから引き離す瞬間は、テコの支点の位置はドアを密閉するときのテコの支点であるから、ドアを密閉する力と同じ大きさの力を反対側に作用させなければならない。
即ち車輪Bが長穴Hを移動してからドアを戸当たりから引き離すのではなく、ドアが戸当たりから引き離してから長穴に勾配がついて車輪Bが長穴Hに沿って移動し始めるもので、車輪Bの移動と共にテコの支点が移動し、ドアを開くに従いバネを弱い力で引き伸ばそうとするものである。
ドアを密閉するバネは、例えばバネが引きバネである場合、ドアが戸当たりに当たる瞬間に僅かに縮むだけで、ドアが戸当たりに当たる以前に滑走面や減速装置に支持されていたバネの力が、ドアが戸当たりに当たる瞬間に滑走面や減速装置からドアに負荷されるだけである。ドアを密閉するため充分に引き延ばされたバネは、ドアが密閉するときもドアを開くときも殆んど変形せず、ドアが閉まるときバネの力を支持する部分が滑走面からドアに移動し、ドアを開くときドアから滑走面に移動するだけである。
ドアを閉める直前から密閉されるまでの間の全区間を通じて、ドアを密閉するバネが徐々に伸縮するとすれば、ドアが閉まるに従い加速され続けてきたドアを更に加速することになるので、上記バネの変形はドアが戸当たりに当たる瞬間に限られる。しかし、僅かに縮んだバネの長さを元の長さに引き延ばすのにドアを大きく回転させても、ドアを開くに際して重く感じられない
図45は、回転軸Iを中心に回転する回転体Jの先端の接続軸Pと、回転軸Oを中心に回転するドアDの接続軸Cとを2つのリンクAとAAで連結され、回転軸Iaを中心に当たりGi1とGi2の間を左右に回転するアームAbの先端に取付けられた車輪Bに沿って、リンクAは移動するようになっている。ドアが閉まる直前から密閉される間の過程においてリンクA先端が車輪Bと引っ掛かるように、リンクA先端は直角に曲げられ或いは車輪Bと引っ掛かる引っ掛り部分Gaが設けられる。
回転体Jの駆動方式は、図20において説明した方式と図9(a)に示した方式を採用したもので、回転体Jに取付きバネVが直列に連結されるリンクSが回転体Jに取付けられた当りGaaに接触しながら、或いは「リンクS先端の滑走面Kの外側」が「回転軸Qの周辺に位置する車輪BB」に沿って接触しながらが移動し、回転体JとリンクSとが一体になって回転するとき、バネの支点Svが回転中心Qに留まるのではなく、回転中心Qを中心に円運動するようにして、バネVの力でドアを回転させている。
図45(a)はドアを密閉するときの状態図で、アームAbが回転軸Qを中心に矢印イ方向に回転して辺りGi1に当たって静止しているので、リンクAとAAの連結軸PPは車輪Bの回転軸Ibのまわりを回転し、ドアを牽引する力の作用線Fと回転中心Ibとの距離Lは小さく、ドアを強く密閉することになる。
図45(b)はドアを開くときの状態図で、リンクAが車輪Bを強く押圧しているので両者の間の摩擦が生じリンクAが車輪Bに沿って移動することなく、アームAbは矢印ロ方向に回転して当たりGi2に当たって静止する。
このとき接続軸PPの回転中心は回転軸Iaであり、ドアを開く力の作用線Fと回転中心Iaとの距離LLは上記の回転半径Lより長く、ドアを密閉する力よりドアを開き始める力が小さくなる。アームAが当たりGi2に当たって静止した以後は、接続軸PPは回転中心Iaの周りを回転中心Iaとの距離を増加しながら回転し、開けが開くほど軽く開けるようになる。
図46〜48はドアを密閉するときの回転支点の位置と、ドアを開くときの回転支点の位置を変えることによって、ドアを開くときの力を軽減するもので、ドアを密閉する力と同じ大きさの力を反対側に作用させる必要がない。ドアを密閉するとき僅かに縮んだバネの長さを元の長さに引き延ばすのに、ドアを大きく回転させて、ドアを開く際に重く感じられないようにするものである。
図46はドアを戸当たりに強く押圧しても、閉まったドアを軽く開くことが出来るドアの動作説明図で、図47は図46の駆動部分の機構説明図である。駆動部は中間の連結軸Pで連結される2つの回転体J1とJ2からなり、回転体J1は回転軸Qの周りを当たりGi1,Gi2の間で左右に回転する。又2つの回転体は連結軸Pの周りを回転し、当接面ホあるいはヘが閉じたり開いたりする。
回転体J2には長穴Hが施され、ドア接続軸Cに回転自在に軸支されたアームAの先端に取付けられる車輪Bが、長穴H内を移動する。車輪Bは、図46(a)に示すドアの全開時は回転軸Qから最も遠い位置にある。ドアが閉まるに従い、回転体J2に施された長穴が回転し、図46(b)に示すドアが閉まる直前と図46(d)に示すドアを開いた直後では、アームAの軸芯線が長穴Hの軸芯方向に直行し、連結軸Pjに近い位置にある。
図46はドアDが戸当たりGdに押圧された状態を示し、回転体J1は当たり当たりGiに当たって静止し、回転体J2が連結軸Pjの周りを矢印方向イに回転し、その回転半径が小さいことからアームA軸芯に沿う牽引力Fの大きさも大きくなる。即ちドアを強直に密閉することになる。密閉したとき当接面ホは開いた状態で完全には閉まっていない。図46(a)〜(c)の過程はドアが閉まる過程を示し、回転体J1の回転軸Qの周りの矢印ロ方向の回転は、回転体J2の回転軸Pjの周りの回転に先行し、回転体J1が当たりGi1に当たってから回転体J2の回転が開始する。即ちドアを密閉する動作は、回転体J2の回転軸Pjを中心に回転することによって行われる。
図47(c)は、ドアが全開状態から回転体J1だけが回転軸Qの周りを回転し当たりGiに当たるまでの動作説明図で、回転体J1が当たりGiに当たるまでは、常にバネの軸芯線SvSwは連結軸Pjより回転軸Iに向かって内側にあり、回転体J2の回転はない。回転体J1が当たりGi1に当たると、バネの軸芯線SQは内側から外側に移った位置にあって回転体J2が回転し始める。
図47(a)に示すように、ドアを開くときバネの軸芯線SvSwは回転軸Qにむかって連結軸Pjの外側にあって、図46(d)に示すように当接面ホが閉じたままの状態で、回転軸Qを中心に矢印ニ方向に回転する。ドアを密閉するとき図46(c)に示すように、車輪Bと連結軸PJとの距離が回転半径であり、図46(d)に示すように閉まったドアを開くときの回転半径は、回転軸Qと車輪Bとの距離である。
ドアが開くに従いこの距離は大きくなり、図46(a)に示す全開状態では回転半径が最大となる。ドアが密閉される時とドアを開き始めたときは初めから回転の中心軸が異なるので、ドアを強く密閉したドアでも弱い力で開く事が出来る。図50,図51の場合は、ドアを開き始めるときの力はドアを強く密閉する力に相当するが、図46の場合ドアを開き始める最初から、それより弱い力で開き始めることが出来る。
図47(b)は点線で示すように、回転体J1が当たりGi2に当たって回転体J2がPjoの周りを矢印ト方向に回転するとき、点Qを中心とする円Rqoと点Pjoを中心とする円Rpoが示すように、バネSwSvの長さは増加するが、実線で示すように回転体J1が回転軸Qを中心に矢印チ方向に回転すると、バネの長さSvSwは減少する。
即ち矢印ト方向の回転が終わる以前に、反対方向の回転が始まる。円Rs1と円Rpoの交点Rをバネの支点Svが通過するとき、矢印ト方向に回転するより反対方向に回転するほうがバネの長さが短くなるので、回転体J1が当たりGi2に当たると殆んど同時に矢印チ方向の回転が起きて、図46(a)に示すような折れ変形が、ドアの全開状態に至る以前に完了する。
図46(c)に示す滑走面Kは、長穴H内を移動する車輪Bが、ドアが閉まる過程において接続軸Pjから遠ざかる方向の移動を阻止する当たりで、ドアの回転速度の加速を抑制する。
図48は図46と同じく、ドアを密閉するときの回転中心とドアを開くときの回転中心が異なる機構の説明図で、回転体J1は回転軸Qを中心に当たりGi1とGi2の間で左右に振り子運動をして回転し、回転体J2と連結軸Pjで連結される。ドアDは回転軸Oを中心に回転し、ドアDの接続軸Cと回転体J2の接続軸Pとは2つのリンクA,AAで転結される。回転体J2の接続軸SjにはリンクSが接続され、リンクSには引きバネVが連結される。
ドアが全開した状態から伸びた引きバネVが縮むと、まず回転体J1は図48(a)に示すように矢印→イ方向に回転し、回転体J1当たりGi1に当って回転が停止した後は回転体J2が矢印→ロ方向に回転し、接続軸P1が連結軸Pを中心に円運動して、ドアDを回転軸Oを中心に矢印→ホ方向に回転させる。
リンクSは、図48(b)に示すドアを密閉するとき以外は、回転体J1に取付けられた車輪Bに接触し押圧することによって、接続軸Pjの周りの回転体J2の矢印→ロ方向の回転を制約する。
図48(a)に点線で示すように、ドアが全開した状態から閉まる過程において、回転体J2は接続軸Pjの周りの矢印→ロ方向の回転を起こすことなく、回転体J1とJ2はドアの全開時の形を保ったまま矢印イ方向に回転し、ドアが閉まる寸前に当たりGi1に当たる。図48(a)の実線で示すように、回転体ホの回転が止まったときから、回転体J2は連結軸Pjの周りを矢印ロ方向に回転する。このときリンクSは車輪Bに沿って移動する。
図48(b)に示すようにドアが密閉されるとき、回転体J2とリンクAは合体して回転軸Pjの周りを回転し、ドアを牽引する力Fの力の作用線Fと回転中心Pjとの距離Lは短く、ドアを強く密閉することになる。
図48(c)に示すように、ドアを開くとき回転体J1とJ2は、図48(b)に示したドアの密閉時の形を保ったまま一体となって、回転体J2は接続軸Pjの周りの矢印→ニ方向の回転を起こすことなく、回転軸Qの周りを矢印ハ方向に回転する。このときドアを開ける力の作用線Fと回転中心Qとの距離はLLで上記Lより短く、ドアを密閉する力より弱い力でドアを開くことが出来る。回転体J1が当たりGi2に当たると、回転体J2が連結軸Pjの周りを矢印ニ方向に回転しドアが全開する。
図49は、回転体Jの接続軸Pに回転自在に軸支したアームAの先端の車輪Bが、円弧の滑走面K及びKKを押圧して回転体Jが回転するもので、滑走面Kは固定で滑走面KKは回転支点Ikを中心に回転する逆止弁である。車輪Bが取り付くアームAAはドア上部の穴Hdを貫通し、穴HdとアームAAの端部の当たりGaの間に押しバネUが仕込まれる。
図49(a)は回転体Jが引きバネVによって回転し、ドアDが戸当たりGdに当たったときの状態、図49(b)はドアDが戸当たりGdに当たって回転が止まった後、ドアDの回転が止まったまま回転体Jだけが回転し、車輪Bが滑走面上面ハから裏面ニに移った状態を示し、図49(c)は、閉まったドアを開いて車輪Bが逆止弁KKを押し上げて、滑走面Kの上面ハに戻る状態を示す。
図49(a)に示すように、ドアDが戸当たりGdに当たって回転が止まった後も、穴HdとアームAAの間に押しバネUが仕込まれることによって、回転体Jが引きバネVによって回転しつづけ、車輪Bが滑走面上面ハから裏面ニに移る。押しバネUが仕込まれ無い場合はドアDの回転が止まれば回転体Jの回転も止まる。
ドアDが戸当たりGdに当たった後も車輪が移動するとき、穴HdとアームAAの間に仕込まれたバネを伸縮することによってドアを戸当りに強く押圧することになる。しかし図49(b)に示すように車輪B
が滑走面KKから離れると、バネVは緩み戸当りを押圧する力は殆どなくなる。
このとき既にドア側面に仕込まれたラッチの爪がドア枠内面に仕込まれた穴に嵌り込んだ後で、一旦閉まったドアは勝手に開くことはないのでドアに押圧力が働く必要がない。図49は閉まったドアを開くとき全く力は必要ではないようにするものである。
閉まったドアを開くとき、滑走面KKの裏面ニに移動した車輪Bは縮められた押しバネUが伸びることによって滑走面K及びKの下面ニに沿って回転軸Qから遠ざかる方向に移動する。この時滑走面KKは車輪Bによって押し上げられ、車輪Bは滑走面KKの上面ハに移動する。
滑走面KKは逆止弁であり、車輪Bの通過後再び通路を塞ぎ、滑走面KKの上面ハに移った車輪Bを裏面ニに戻らないようにする。車輪Bはドアが閉まるとき回転軸Qに近い位置にあってドアを戸当りに強く押圧し、ドアを開くとき回転軸Qに遠い位置にあってドアを弱い力でも開くことができる。
しかし図49の場合は、車輪Bが滑走面裏面ニを往復する場合、すなわちドアを全開するまで開かない場合はバネVは緩んだままでラッチの爪がドア枠内面に仕込まれた穴に嵌り込ませる力がない。車輪Bが滑走面KKの上面ハに移動して始めてドアを戸当りに強く押圧する力が蓄えられる。車輪Bが滑走面KKの上面ハに移動することはドアを戸当りに強く押圧する力が蓄えながら、僅かにバネの力を弱めてドアを閉めるまで回転させるもので、円弧の滑走面を車輪が移動する方式は回転体をバネで直接引く場合よりもドアの回転速度は遅くなる。
図49の場合は車輪Bが滑走面を離れるとドアを戸当りに押圧する力が失われるが、図50、51に示すように車輪Bが滑走面を押圧する反対方向の力でドアを戸当りに押圧すると車輪Bが滑走面を離れてもドアを戸当りに押圧し続ける。図50、51の場合、車輪Bが滑走面を離れる瞬間にバネの力は急激に減少の一途をたどるが、回転体とドアの間は2つのリンクで連結され、ドアを戸当りに押圧した後も回転体を含めた3つのリンクは変形しバネの力を弱めてそれだけ開くときの力が小さくてよいことになる。
図49は、ドアが閉まったときの車輪Bの位置をドアが戸当たりに当るときの位置から離すことによって、ドアを開くときの力を軽減するものである。図50、51の場合は閉まったドアを戸当たりから引き離す瞬間は、車輪Bの位置はドアを密閉するときの位置に 近い位置であるから、ドアを密閉する力と同等の力を反対側に作用させなければならない。即ち車輪Bが移動してからドアを戸当たりから引き離すのではなく、ドアが戸当たりから引き離れてから車輪Bが移動し始めるもので、車輪Bの移動と共にドアを開くに従いバネを弱い力で引き伸ばそうとするものである。
図49の場合はドアが閉まる直前でドアに動慣性がつくと、車輪Bが滑走面を離れて摩擦がなくなり、一瞬にして車輪Bが滑走面を通過し終えることになるが、図50、51の場合はドアが閉まる直前でドアに動慣性がついても、車輪Bが滑走面を離れることなく滑走面を押圧し摩擦力で車輪Bは減速して滑走面上を移動する。
図50は図18(d)(e)(f)に示した駆動部によってドアを回転させるもので、図50においてドアDは回転軸Oを中心に回転し回転体Jは回転軸Qを中心に回転する。回転軸先端の接続軸PにはアームAの中間部が回転自在に軸支され、アームAの片方の端部と回転軸に引きバネVが取付けられ他方の端部に車輪Bが取り付けられ、車輪Bは引きバネVの力によって滑走面Kを押圧する。
滑走面Kの内側は点QQを中心とする円弧で、車輪Bが滑走面Kの内側を押し圧する力の作用線Fは中心QQを通り、回転体Jは矢印→イ方向に回転し、車輪Bの回転軸Ibとド
アに取り付けた接続C戸をリンクAAで連結することによってドアDは図50(a)に示すように閉まる方向→ロ方向に回転する。
ドアが閉まるに従い、僅かなドアDの回転に対して、車輪Bは大きく点QQを中心に円運動しドアの回転が減速される。又、ドア接続軸Cが点QQに近づくに従い、車輪Bの移動方向と車輪BがリンクAAを牽引する方向が直角になり、車輪Bがドアを牽引する負荷がなくなるので一瞬にして滑走面KK上を移動し終えることになるが、閉まる直前にはドアに慣性力が付き滑走面KKを押圧する。これにより車輪Bと滑走面KKとの間に摩擦が生じ、それだけ車輪の移動は減速される。
ドアDが閉まるに従い、力の作用線Fと回転軸Qとの間の距離Lが減少し、回転体Jに働く回転軸Qの周りの回転モーメントは減少するが、図50(b)に示すように車輪Bが滑走面KKから離れるとバネの力は、回転体Jを回転させる力からアームAを接続軸Pを中心に回転させる力となり、ドアの接続軸Cの円運動の接線方向の力FFと回転中心Pとの距離LLが小さくなり、それだけ大きくバネVの力により回転モーメントがドアDを当たりGdに押圧することになる。
車輪Bが滑走面KKから離れて滑走面KKKの内側に当接すると、回転体Jは回転が逆方向→ハ方向になり、リンクAAと互いに接近する方向に回転する。ドアDが戸当たりGdに当たって回転が止まったとき、車輪Bは滑走面KKKと遊離した位置にあってバネVの力の全てがドアを戸当たりに押圧する力に変えられる。
車輪Bが滑走面KKKから離れてバネVの長さが急激に縮むとき、回転体は左右に揺動するがドアDの回転は殆んどない。ドアを開くとき、車輪が閉まるときに辿った経過の逆の経過を辿るものとすれば、ドアの僅かな回転で車輪Bを滑走面KKの内面に戻さなければならない。このときドアを戸当たりに強く押し圧していればいる程、ドアを戸当たりから引き離す力が大きくなり、閉まったドアを開くには大きな力が必要となる。
図50(c)に示すように、点QQを中心とする円周を内面に備える滑走面Kは、固定された部分Kと回転軸Ikを中心に回転可能な滑走面KKとで構成され、回転軸Ikに仕込まれる捩りバネVVによって滑走面KKは外側の滑走面KKKに密着している。滑走面KKは車輪Bの移動に対して逆支弁として働き、ドアが閉まるとき、逆支弁は閉じたままで車輪Bを滑走面KからKKに移動させ、ドアが開くとき逆紙面KKは開いて車輪Bを滑走面KからKKに移動させ、ドアが開くとき逆支弁KKは開いて車輪Bを滑走面KKKからKKに戻すようにする。
閉まったドアを開くとき、車輪Bは図50(b)に示した位置から滑走面KKKに沿って移動し、滑走面KKに戻されることなく滑走面KKの内面の裏側を通過して、図188(c)に示すように、滑走面KKが回転して滑走面Kに戻される。車輪Bが滑走面KKK上を移動するとき、溝に脱輪した車輪を長いスロープに沿って溝から引き上げるように、長い滑走面KKK上を車輪Bが移動するとき、バネVは一気にではなく徐々に引き伸ばされ、その間ドアは大きく回転する。このことによって強い力で密閉されたドアを、同等の強い力ではなく弱い力で軽く開くことが出来る。
図51は図18(a)(b)(c)に示した駆動部によってドアを回転させるもので、図51においてドアDは回転軸Oを中心に回転し回転体Jは回転軸Qを中心に回転する。回転体J先端の接続軸PにはアームAの中間部が回転自在に軸支され、アームAの片方の端部と回転体Jに連結する引きバネVと車輪Bが取り付けられ、車輪Bは引きバネVの力によって滑走面Kを押圧する。他方の端部にドアDに連結するリンクAAが取付けられる。
滑走面Kの外側は点QQを中心とする円弧で、車輪Bが滑走面Kの外側を押し圧する力の作用線Fは中心QQを通り、回転体Jは矢印→イ方向に回転し、接続軸PPとドアに取り付けた接続C戸をリンクAAで連結することによってドアDは閉まる方向→ロ方向に回転する。
車輪Bが滑走面KKから離れドアDが戸当たりGdに当たって回転が止まったとき、車輪Bは滑走面KKKと遊離した位置にあってバネVの力の全てがドアを戸当たりに押圧する力に変換される。
車輪Bが滑走面KKKから離れてバネVの長さが急激に縮むとき、ドアDの回転は殆んどない。ドアを開くとき、車輪が閉まるときに辿った経過の逆の経過を辿るものとすれば、ドアの僅かな回転で車輪Bを滑走面KKの外面に戻さなければならない。このときドアを戸当たりに強く押し圧していればいる程、ドアを戸当たりから引き離す力が大きくなり、閉まったドアを開くには大きな力が必要となる。
図51(c)に示すように、点QQを中心とする円周を外面に備える滑走面Kは、固定された部分Kと回転軸Ikを中心に回転可能な滑走面KKとで構成され、回転軸Ikに仕込まれる捩りバネVVによって滑走面KKは内側の滑走面KKKに密着している。
滑走面KKは車輪Bの移動に対して逆支弁として働き、ドアが閉まるとき、逆支弁は閉じたままで車輪Bを滑走面KからKKに移動させ、ドアが開くとき逆紙弁KKは開いて車輪Bを滑走面KからKKに移動させ、ドアが開くとき逆支弁KKは開いて車輪Bを滑走面KKKからKKに戻すようにする。滑走面KKは末端部KEにおいて内側に曲げられ、車輪Bが滑走面を押す方向はドアを開く方向に働き、ドアを全開した状態で静止させる。
図50,51において、回転軸Qと回転軸Oとを2つのリンクで連結する場合は車輪Bの経路はドアを開くときも閉まるときも同じであるが、回転軸Qと接続軸Cとは3つのリンクで連結されているので車輪Bの経路はドアを開くときと閉まるときと別々になることが可能になる。滑走面KKは末端部KEにおいて内側に曲げられ、車輪Bが滑走面を押す方向はドアを開く方向に働き、ドアを全開した状態で静止させる。
閉まったドアを開くとき、車輪Bは図51(b)に示した位置から滑走面KKKに沿って移動し、滑走面KKに戻されることなく滑走面KKの内面の裏側を通過して、図51(c)に示すように、滑走面KKが回転して滑走面Kに戻される。車輪Bが滑走面KKK上を移動するとき、バネVは一気にではなく徐々に引き伸ばされ、その間ドアは大きく回転する。このことによって強い力で密閉されたドアを、同等の強い力ではなく弱い力で軽く開くことが出来る。
通常ドアには閉まったドアが開かないようにラッチが取付けられ、ドアが閉まったときドアに取り付けられたラッチの爪が、ドア枠に取り付けられたラッチの穴に嵌り込んで、ドアが開かないようになる。このときドアを戸当りに密着させる必要がない場合、ドアを戸当りに接近しながらラッチの爪がラッチの穴に嵌り込むとき「所謂ドアを戸当りに押圧する力」は必要でも、一旦ラッチの爪が穴に嵌り込んでしまえば「所謂ドアを戸当りに押圧する力」はゼロになっていても問題はない。またドアを戸当りに密着させる必要もない。
通常のドアクローザには「ドアを戸当りに密着させる力」が強力に働いていて、閉まったドアを開くときから、この力に対抗して力が必要であり、更にドアを開くには更により強い力が必要であった。「所謂ドアを戸当りに押圧する力」はゼロになっていて、ドアに力が働いていない場合、閉まったドアを開くとき全く力は必要ではなく、緩んだバネをドアが全開するまでに引き伸ばせばよいことになる。
図50,51の場合車輪Bが滑走面KKから離れてもドアを戸当りに押圧し続けているが、車輪Bが滑走面KKから離れて引きバネVが縮みきってドアを戸当りに押圧する力がゼロになったとすれば、この状態からドアを開く場合は力が要らない。またドアを戸当りに当るか当らないかに関係なくドアはどの位置でも静止する。
引きバネVが縮みきってなく縮もうとして戸当りでバネの力が支持される場合ドアを戸当りに押圧する力が存在し、引きバネVを伸ばそうとして滑走面でバネの力が支持された場合、ドアを戸当りから引き離す力が力が必要となる。ドアを開き始めるとき引きバネVが縮みきっていて車輪Bが戸当りからも、また滑走面からも離れている場合、ドアは力を加えなくても自由に回転する。
図50,51の場合車輪Bが滑走面KKから離れて引きバネVが縮みきってない場合、ドアを戸当りに押圧し続ける。図50,51の場合回転軸Qと接続軸Cとは3つのリンクで連結されてい自由に変形可能であるので、ドアの回転が止まっても回転体Jは回転を継続できる。また回転体Jは回転すればするほどバネVの力は弱まる。図50(b),51(b)に示す回転体Jの回転が止まっている状態は引きバネVの長さが最小である位置であり、バネVの力はそれ以前に戸当りを押圧したときの力より弱まっている。
図52は滑走面が回転軸Qの周りを回転する場合で、図52(a)はドアDが全開状態から閉まっていく過程を示す。図51(a)に示すように、ドアDが閉まるに従い回転体Jは矢印→イ方向に回転し、車輪Bは滑走面末端Ikに向かって移動し、閉まったドアを開くとき車輪Bは図52(b)に示した位置から滑走面KKKに沿って移動し、滑走面KKに戻されることなく滑走面KKの内面の裏側を通過して、図52(c)に示すように、滑走面KKが回転して車輪Bが滑走面Kに戻される。