JP5201437B2 - 絶縁ゲート電界効果トランジスタ - Google Patents

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Description

本発明は、電界効果トランジスタ(Field Effect Transistor:FET)のうち、絶縁ゲート構造の窒化ガリウム(GaN)系高電子移動度電界効果トランジスタ(High Electron Mobility Transister:HEMT)等の絶縁ゲートFET、例えば、絶縁材料に窒化アルミ(AlN)等を用いたMIS(Metal Insulator Semiconductor)ゲート構造のGaN−HEMT等を実現するために有用なGaN−HEMT等の結晶構造に関するものである。
携帯電話等の情報インフラが拡大を続けている。これらは無線通信技術の発展によるものであり、各種の半導体技術に支えられている。特に、電波を発生させる高周波電力発生の部分で、高周波、大電力動作ばかりでなく、高効率、小型低コストの半導体素子が重要である。この分野で、シリコン(Si)、ガリウム砒素(GaAs)を用いた電力素子が開発されてきたが、近年、GaNを用いたFETの一種であるGaN系HEMTによる電力素子が有望になってきた。
GaNを用いた半導体素子に関する技術としては、例えば、次のような文献等に記載されるものが知られている。
特開2006−80497号公報 特開2005−142543号公報 特開2004−119783号公報
この特許文献1には、GaNを用いた紫外半導体レーザ素子の技術、特許文献2には、GaNを用いた紫外領域の発光素子の技術、及び、特許文献3には、GaNを用いた半導体ダイオード素子の技術がそれぞれ記載されている。
これらの半導体レーザ素子、発光素子あるいは半導体ダイオード素子とは異なり、FETは、ソース電極・ドレイン電極間を流れる電流をゲート電極に印加した電界によって制御することによって動作する。特に、GaN−HEMTは、GaNの材料物性の特徴から、高耐圧特性を有し、窒化ガリウムアルミ(AlGaN)/GaNヘテロ構造の界面に発生する高電子移動度の二次元電子ガス(2DEG)によって高周波高出力で動作するトランジスタとして、無線システム等への適用が期待されている。
通常、GaN−HEMTのゲート部はゲート金属と半導体の接触(ショットキ接合)で構成される場合と、ゲート金属と半導体間に絶縁膜が挟まれた金属/絶縁膜/半導体で構成されるMISゲート構造がある。ショットキ接合の場合には、ゲートに正電圧が印加された場合に、リーク電流が流れてHEMTの動作が制限されてしまうが、MISゲート構造の場合には、絶縁膜のためにこのリーク電流が低減される。
一般に用いられているGaN−HEMTの構造としては、例えば、次の(a)〜(c)のようなものがある。
(a) ショットキゲート構造のGaN−HEMT
図2は、従来知られている通常のショットキゲート構造を有するGaN−HEMTの模式的な構造断面図である。
このショットキゲート構造のGaN−HEMT10では、サファイア、炭化シリコン(SiC)等の成長基板11上に、不純物の混入を極力無くしたアンドープ(i)のi−GaN層12(厚さ2〜3μm程度)と、i−AlGaN層13(厚さ25nm程度)とが結晶成長されている。i−AlGaN層13は、これに代えてn型不純物がドープされたn−AlGaN層であっても良い。ここで、i−AlGaN層は電子をチャネル領域に発生させる原因を形成する役割があり、自由電子を有するAlGaN層から電子を供給する場合には電子供給層、自由電子を有しない例えばi−AlGaN層13を用いる場合にはバリア層等とも呼ばれる。i−GaN層12は電子が流れる領域なのでチャネル層、又は結晶構造の特徴からバッファ層とも呼ばれる。
AlGaN/GaNへテロ界面には、トランジスタ動作を担うキャリアとなる高電子移動度の2DEG14が発生する。i−AlGaN層13上には、オーミック特性を有するソース電極15、ドレイン電極16、及びショットキ特性を有するゲート電極17が形成されている。
例えば、ソース電極15及びドレイン電極16間にドレイン電圧Vdsが印加されると共に、ゲート電極17及びソース電極15間にゲート電圧Vgsが印加されるような電源配線がされた場合、ソース電極15から2DEG14を介してドレイン電極16に流れる電子流は、ゲート電極17に印加されたゲート電圧Vgsによって制御される。この電流・電圧特性を図3に示す。
図3は、図2のGaN−HEMT10における電圧・電流特性図であり、横軸にドレイン電圧Vds、縦軸にドレイン電流Idがとられ、各ゲート電圧Vgsの曲線が描かれている。
この図3において、ゲート電圧Vgsを −2Vから+2Vまで増加させるにつれて、ドレイン電流Idが増加するが、ゲート電圧Vgs=+2Vにおいてはドレイン電流Idの増加が少なくなり、又、低ドレイン電圧領域(丸印)でゼロ点を通らなくなっている。これはショットキ特性を有するゲート電極17が順方向にバイアスされたとき、ゲート電極17から電子がi−AlGaN層13に流れ込むことによるものである。この様子を図4に示す。
図4は、図2のGaN−HEMT10におけるショットキ特性図であり、横軸にゲート電圧Vgs、縦軸にゲート電流Igsがとられ、ショットキ曲線が描かれている。
この図4において、ゲート電圧Vgsを0Vから逆方向(負の電圧方向)に増大させても、ゲート電流Igsは増加しないが、順方向(正の電圧方向)に増加させると、ゲート電流Igsは指数関数的に増大する。このようなショットキ特性を有するゲート電極17を用いると、このゲート電極17に正のバイアスを印加した場合には、ゲート電流Igsが半導体に流れてしまう、ゲート直下に電圧が掛からず、ドレイン電流Idが増大しない等、トランジスタ特性を損ねてしまう欠陥があった。
(b) 絶縁ゲート構造のGaN−HEMT
前記欠陥を解決するために、GaN系HEMTにおいて、シリコンMOSゲート構造のような絶縁ゲート構造が試みられている。絶縁材料としてシリコン酸化膜(SiO)、シリコン窒化膜(Si)、アルミナ膜(Al)等が用いられる。これらは全てCVD法(化学気相成長法、Chemical Vapor Deposition)、スパッタ法等で形成されるが、非結晶(アモルファス)であり、下地の半導体結晶とは格子整合しない。絶縁体と半導体の界面の絶縁体は格子欠陥が存在することになる。又、半導体結晶の成長後、別の装置で絶縁膜を形成することになるので、酸素や水等の不純物原子が入り込み易くなる。CVD法やスパッタ法等は形成エネルギーが大きく、下地の半導体や絶縁膜中に結晶欠陥が生じ易くなる等の欠陥があった。これらの要因で発生する格子欠陥や不純物は、界面準位や不純物準位を形成し、半導体素子の動作に悪影響を及ぼす。これはGaN系HEMTでよく知られている電流コラプス(高ドレイン電圧印加時にドレイン電流が減少する現象)やゲート耐圧の劣化等と関係があると考えられている。
(c) 窒化アルミ絶縁構造のGaN−HEMT
絶縁ゲート材料としてAlNを用いることで、前記の問題を改善出来る可能性がある。AlNは、バンドギャップが6.2eVと大きく絶縁特性を有するため、ゲート絶縁膜として有望な材料である。最近、AlNは、HEMT結晶成長初期のバッファ層や、AlGaN/GaNへテロ界面に挿入するスペーサ層に用いられ、2DEG性能の改善に利用されている。つまり、AlGaN/GaN−HEMT結晶成長後、連続してAlN絶縁膜を形成出来る。この場合には、AlNは結晶なので、下地のGaNやAlGaNと格子整合する、成長界面に不純物が入らない、CVD法やスパッタ法を用いないのでダメージがない等、多くの長所がある。
ここで、AlN絶縁膜を有するAlN−MIS−HEMTを実現するための課題について説明する。実際に、AlGaN/GaN−HEMT結晶上に連続してAlN層を形成し、AFM(Atomic Force Microscopy)によるAlN表面の表面観察と、実際に電極を形成しAlN−MIS−GaN−HEMTを作成して特性を評価した結果を説明する。
図5は、従来のAlN絶縁層付のGaN−HEMT結晶を示す模式的な構造断面図である。
このAIN絶縁層付きGaN−HEMT結晶20では、MOCVD法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)によって、サファイアの成長基板21上に、アンドープ層であるi−GaN層22(厚さ2μm程度)と、i−AlGa1−xN層23(厚さ25nm程度。xはAl組成比、ここでは0.26とした)とが形成され、トップにAlN層24が結晶成長されている。このトップAIN層24の表面評価(A)について説明する。
(A) トップAlN層24の表面評価
図6は、図5のAlN層24の厚みを2nmとしたときのAFMによる領域1μm□の表面形状を示す図である。
この図6から明らかなように、AlN層24の表面がひび割れ(クラック)の形状を示し、自乗平均粗さ(RMS)は0.672nmとなった。これはAlN層24と下地のi−AlxGa1-xN層23の格子定数の違い、熱膨張係数の違い等から、AlN/AlGaN界面に強いストレスが発生し、ひび割れ形状が発生したものと考えられる。AlNとGaNの格子定数(a面)はそれぞれ、0.3112nm、0.3189であり、熱膨張係数(c面に平行)はそれぞれ、5.27×10−6K、3.17×10−6Kである。AlGaNについてはAl組成に従って、AlNとAlGaNの間の数値となるが、結局AlNの格子定数はAlGaNよりも小さく、熱膨張係数は大きくなる。これらの特性は、AlN/AlGaN結晶成長時、又、成長後の冷却過程において、表面に引っ張り応力が発生する方向に働く。結局、AlN層24はひび割れることによって応力を緩和したものと考えられる。このAIN層24のひび割れを防止するためには、以下の(B)のような方法が考えられる。
(B) AIN層24のひび割れの防止方法
図5において、AlGaN表面上のAlN層24のひび割れを防ぐ方法として、前記特許文献1〜3の技術を適用することも考えられる。
前記特許文献1は、紫外半導体レーザ素子用に好適な化合物半導体デバイスの技術である。この化合物半導体デバイスは、GaN層と、前記GaN層上に成長させたAlN中間層と、前記AlN中間層上に成長させたAlx1Gay1N系化合物層と、前記Alx1Gay1N系化合物層上に成長させ、x1>x2なる関係式を満たすAlx2Gay2N系化合物層とを備えている。つまり、AlN中間層上に2層のAlx1GaN/Alx2GaNを形成し、x1>x2とすることを特徴とし、これにより、AlGaN系化合物層を含む複数の半導体層を厚くさせてもクラックの発生を低減出来ると記載されている。
前記特許文献2は、紫外領域の発光素子に好適なIII族窒化物半導体積層物の技術である。このIII族窒化物半導体積層物は、基板上にAlNからなる第1窒化物半導体層、この第1窒化物半導体層上のAlx1Ga1−x1N(0≦x1≦0.1)からなる第2窒化物半導体層及びこの第2窒化物半導体層上のAlx2Ga1−x2N(0<x2<1、且つx1+0.02≦x2)からなる第3窒化物半導体層を有している。つまり、AlN上に2層のAlx1GaN/Alx2GaNを形成し、x1<x2とすることを特徴とし、これにより、結晶性が良好で、且つクラックのない厚膜AlGaNを有するIII族窒化物半導体積層物を提供出来ると記載されている。
又、前記特許文献3は、半導体ダイオード素子に好適な結晶成長方法の技術である。この結晶成長方法は、技術結晶成長面内方向の格子定数が異なる2つ以上の層を積層する結晶成長方法において、第1の結晶面内格子定数を持つ第1の層と、前記第1の結晶面内格子定数とは異なる第2の結晶面内格子定数を持つ第2の層との間に、第3の結晶面内格子定数を有する第3の層を設け、前記第3の層の厚さを結晶成長温度における転位発生の臨界膜厚よりも厚くすることにより、クラックの生成を抑制出来ると記載されている。
しかしながら、前記特許文献1〜3の製造方法は、図5のようなGaN系HEMTの製造方法とは異なることから、前記特許文献1〜3の技術をそのまま図5のようなGaN系HEMTの製造方法に適用出来ず、しかも、図5のような結晶薄膜からなるAlN膜24は、シリコンMOSゲート構造に用いられる非結晶(アモルファス)のゲート絶縁膜と異なり、ひび割れし易く、仮に、前記特許文献1〜3の技術をそのまま図5の構造に適用したとしても、AlN膜24のひび割れを的確に防止することが困難である。
本発明は、基板上に形成された、電子を流すチャネル層と、前記チャネル層上に形成されて、前記チャネル層と共にヘテロ構造を構成し、前記チャネル層へ前記電子を供給する電子供給機能、又は前記チャネル層に対してバリア機能を有する単一層からなる半導体層と、前記半導体層上に形成され、前記半導体層に対して格子定数又は熱膨張係数の異なる結晶薄膜からなるゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成された半導体薄膜からなるキャップ層と、前記キャップ層上に選択的に形成されたゲート電極と、を備えたHEMTである絶縁ゲートFETであって、前記キャップ層は、前記半導体層と同一の格子定数又は熱膨張係数を有することを特徴とする。
本発明によれば、半導体層上に形成されたゲート絶縁膜と、このゲート絶縁膜上に設けられるゲート電極と、の間に、その半導体層と同一の格子定数又は熱膨張係数を有するキャップ層を形成したので、応力がゲート絶縁膜の上下で平均化され、これによってゲート絶縁膜における表面形状の改善や、及びその結果得られる電気特性の改善を向上出来る。
本発明を実施するための最良の形態は、以下の好ましい実施例の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、明らかになるであろう。但し、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
(実施例1の構成)
図1は、本発明の実施例1を示す絶縁ゲート構造のGaN−HEMTの模式的な構造断面図である。
この絶縁ゲート構造のGaN−HEMT30は、MOCVD法等によって、基板であるサファイア等の成長基板31上に、電子を流すチャネル層であるi−GaN層32と、半導体層であるi−AlGa1−xN層33とが形成されている。i−GaN層32は、厚さが2μm程度である。i−AlGa1−xN層33は、i−GaN層32と共にヘテロ構造を構成し、そのi−GaN層32へ電子を供給する電子供給機能、又は前記チャネル層に対してバリア機能を有する単一層であり、厚さが25nm、Al組成比xが0.26程度である。更に、i−AlGa1−xN層33上には、ゲート絶縁膜であるAlN層34と、キャップ層であるi−AlGa1−xN層35とが結晶成長されている。AlN層34は、i−AlGa1−xN層33に対して格子定数又は熱膨張係数の異なる結晶薄膜からなる厚さ2nm程度の層である。i−AlGa1−xN層35は、i−AlGa1−xN層33と同一の格子定数又は熱膨張係数を有し、厚さが5nm、Al組成比xがAlGaN層33と同じ0.26程度である。
このように、本実施例1では、AlGaN表面上のAlN層34のひび割れを防ぐ方法として、格子定数はAlN層34よりも大きく、熱膨張係数は小さいi−AlGa1−xN膜35を、AlN−MIS−GaN−HEMT30のAlN層34上に形成している。AlGaN/GaNへテロ界面には、トランジスタ動作を担うキャリアとなる高電子移動度の2DEG36が発生する。
i−AlGaN層33上には、AlN層34及びi−AlGa1−xN層35の一部がホトリソグラフィ技術等により開口されて、ソース電極37及びドレイン電極38が形成され、更にi−AlGa1−xN層35上に、ゲート電極39が形成されている。
(実施例1の効果)
図7は、図6と同様に、図1のAFMによる領域1μm□のAlGaN表面形状を示す図である。
図7に示すように、表面状態は大きく改善された。ひび割れがなく、成長ステップが観察出来るようになっている。自乗平均粗さ(RMS)も0.224nmと、キャップのi−AlGa1−xN層35がない図6に示す値よりも1/3程度に減少した。
図8(a)、(b)は、図5と図1に示す構造において、それぞれの透過電子顕微鏡(TEM、150万倍)によるAlN層24,34の断面を観察した図であり、同図(a)は、キャップのi−AlGa1−xN層の無い、図5に示す構造と対応する図であり、同図(b)は、キャップのi−AlGa1−xN層35が形成された図1の構造に対応する図である。TEMによって測定された各AlN層とAlGaN層の膜厚が同図中に記入されている。
図8(a)に示すように、AlGaNキャップのないAlN−MIS構造では、表面に凹凸が見られる。表面左部に大きな凹部が見られ、その深さは10nm以上であり、AlN層24の厚みを超えている。これより、図6のAFM観察で見られたひび割れ形状は、AlN層24のみがひび割れたのではなく、下地のi−AlGa1−xN23までが消失したことが分かる。これに対して、図8(b)に示すように、AlGaNキャップの付いたAlN−MIS構造では、表面に凹凸は見られない。
ここで、前述のように表面形状が大きく改善された理由を考察する。
図1のAlN層34は、下地のi−AlGa1−xN層33とキャップのi−AlGa1−xN35とに挟まれた構造になっている。結晶成長後の冷却過程でi−AlGa1−xN層33,35とAlN層34の格子定数、熱膨張係数の差異によって、薄いAlN層34(厚さ2nm程度)ではストレスが発生し変形しようとするが、上下をi−AlGa1−xN層33,35に結合されているので、変形することが出来ないものと思われる。つまり、AlN層34内の上下でストレスが均一化し、その結果、AlN層全体の格子定数がAlGaNの格子定数に近く大きくなる、いわば歪んだ結晶状態になっているものと思われる。
図8(a)に示すように、AlGaNキャップのないAlN−MIS構造では、表面左部に大きな凹部が見られ、その深さはAlN層24の厚みを超えている。高温での結晶成長後、冷却過程において熱膨張係数の差によってAlN層24にひび割れが発生する。ひび割れ部よりGa蒸発を原因として下地のi−AlGa1−xN層23が揮発してしまったのに対し、図8(b)に示すAlGaNキャップ付のAlN−MIS構造では、ひび割れが生じず、上部のi−AlGa1−xN層35、及びAlN層34に守られて、下地のi−AlGa1−xN層33は揮発しなかったものと考えられる。
図9(a)、(b)は、AlGaNキャップの有り/無しのAlN−MISゲート構造GaN−HEMTを実際に試作し、電気特性を比較したゲート特性を示す図であり、横軸はゲート電圧Vgs、縦軸はゲート電流Igsである。
図9(a)、(b)共にAlN絶縁ゲートを通して順方向のゲート電流Igsが指数関数的に増大しているが、これはAlN層24,34が2nmと極めて薄いためにAlN層24,34を通過するトンネル電流が流れているためである。順方向のゲート電流Igsについて、10−5A/mmでのゲート電圧Vgsをゲート電流Igsの立ち上がり電圧Vfとして定義すると、図9(a)のAlGaNキャップ無しではVf=1.28V、図9(b)のAlGaNキャップ有りではVf=1.56Vであった。
ここで、AlGaNキャップの有り無しについての立ち上がり電圧Vfの差異を考察する。
図9(a)のAlGaNキャップ無しでは、表面のAlN層24のひび割れによって、ゲート金属が直接下地のi−AlGa1−xN層23、及びi−GaN層22に接触してしまう。この場合、i−AlGa1−xN層23、及びi−GaN層22はAlNよりもバンドギャップが小さく、ショットキゲートの順方向電流が流れやすいという性質を持っている。つまり、AlGaNキャップ無しではAlN層23を流れるトンネル電流ばかりでなく、表面のAlNのひび割れによって、ゲート電極が接触するi−AlGa1−xN層23、及びi−GaN層22に電流が流れることによって全ゲート電流IgSが増加し、立ち上がり電圧Vfが小さくなるものと思われる。逆に、図9(b)のAlGaNキャップの存在によって、ゲートの順方向電流はAlN層33を通過するトンネル電流のみになるために、電流が抑制される結果、立ち上がり電圧Vfが増大したものと考えられる。
逆方向ゲート電流については、図9(b)のAlGaNキャップ有りの方が電流値が大きいが、このような極めて電流が少ない領域においては、素子間、測定上のばらつきも大きく、現状では有意な差異であるとは思われない。
このように、本実施例1では、下地の結晶と格子定数・熱膨張係数の異なる結晶薄膜のAlN膜34をゲート絶縁膜として用いた時に表面形状の劣化が生じる場合に、下地のi−AlGa1−xN層33と同じか、あるいは同様な格子定数又は熱膨張係数を有するi−AlGa1−xN層35をキャップ層としてゲート絶縁膜上に形成したので、応力がゲート絶縁膜の上下で平均化され、これによって表面形状の改善や、及びその結果得られる電気特性の改善を向上出来る。
(利用形態)
実施例1では、AlN層34をHEMT素子のゲート絶縁膜として利用する場合、キャップ層としてi−AlGa1−xN層35を、ゲート絶縁膜であるAlN膜24の上に設置して表面状態を改善し、その結果、ゲート特性の順方向電流が抑制出来ることを示した。ゲート絶縁膜であるAlN膜34の厚みを2nmとした試作結果について説明したが、所望するゲート特性によってこの厚みは調整される。実際の応用では、1〜20nm程度が使用されるであろう。好ましくは1〜10nmである。厚すぎるAlN膜34はMIS−HEMT構造において、ゲート電極39とチャネル間の距離を増大させることになり、閾値電圧が深くなる、相互コンダクタンスが小さくなる等、デバイス特性を劣化させるからである。
実施例1では、キャップのi−AlGa1−xN層35については5nm、Al組成比xについては0.26とした。しかし、この膜厚、Al組成比xについても固定のものではない。所望するゲート特性によってゲート絶縁膜であるAlN膜34の厚みは調整される。又、ゲート絶縁膜であるAlN膜34の厚みによってその上のキャップのi−AlGa1−xN層35の厚みは調整される。要は、AlN層34上にi−AlGa1−xN層35を形成することによって表面形状の劣化を防ぐことが本発明の趣旨である。実際の応用では、キャップのi−AlGa1−xN層35については、膜厚として1〜20nm程度が使用されるであろう。好ましくは1〜10nmである。絶縁膜であるAlN層34の厚さと同様に、閾値電圧が深くなる、相互コンダクタンスが小さくなる等、デバイス特性を劣化させるからである。
Al組成比xについては、0〜0.7程度が使用されるであろう。Al組成比xが0というのは、GaNを示している。表面よりGaNキャップ/AlN/AlGaNという構造であっても、最も格子定数が小さく、熱膨張係数が大きいAlN層34が、より格子定数が大きく、より熱膨張係数が小さいGaN層、AlGaN層等によって挟まれる構造によって、表面形状の劣化を防ぎ、ゲート特性の順方向電流を抑制することが本発明の趣旨であるからである。
実施例1では、AlGaN/GaNへテロ構造を有するMIS−GaN−HEMTについて、AlGaNキャップ構造の効果を説明したが、これに限られるものではない。一般論として、本発明の趣旨は、下地の結晶と格子定数・熱膨張係数の異なる結晶薄膜をゲート絶縁膜として用いた時に表面形状の劣化が生じる場合に、下地の結晶と同様な格子定数・熱膨張係数を有する薄膜をキャップ層としてゲート絶縁膜上に形成し、応力がゲート絶縁膜の上下で平均化されることにより表面形状の改善や、及びその結果得られる電気特性の改善を意図するものである。
つまり、半導体層であるバリア層又は電子供給層として、AlGaN以外にもGaN、InAlN、InGaAlN、InGaN等の仕様が可能である。チャネル層としては、GaN以外にもInGaN、InN等の使用が可能である。
本発明の実施例1を示す絶縁ゲート構造のGaN−HEMTの模式的な構造断面図である。 従来のショットキゲート構造を有するGaN−HEMTの模式的な構造断面図である。 図2のGaN−HEMTにおける電圧・電流特性図である。 図2のGaN−HEMTにおけるショットキ特性図である。 従来のAlN絶縁層付のGaN−HEMT結晶を示す模式的な構造断面図である。 図5のAlN層の厚みを2nmとしたときのAFMによる領域1μm□の表面形状を示す図である。 図1のAFMによる領域1μm□のAlGaN表面形状を示す図である。 図5と図1に示す構造においてそれぞれの透過電子顕微鏡(TEM、150万倍)によるAlN層の断面を観察した図である。 AlGaNキャップの有り/無しのAlN−MISゲート構造GaN−HEMTにおける電気特性を比較したゲート特性を示す図である。
符号の説明
31 成長基板
32 i−GaN層
33,35 i−AlGa1−xN層
34 AlN層
37 ソース電極
38 ドレイン電極
39 ゲート電極

Claims (5)

  1. 基板上に形成された、電子を流すチャネル層と、
    前記チャネル層上に形成されて、前記チャネル層と共にヘテロ構造を構成し、前記チャネル層へ前記電子を供給する電子供給機能、又は前記チャネル層に対してバリア機能を有する単一層からなる半導体層と、
    前記半導体層上に形成され、前記半導体層に対して格子定数又は熱膨張係数の異なる結晶薄膜からなるゲート絶縁膜と、
    前記ゲート絶縁膜上に形成された半導体薄膜からなるキャップ層と、
    前記キャップ層上に選択的に形成されたゲート電極と、
    を備えた高電子移動度電界効果トランジスタである絶縁ゲート電界効果トランジスタであって、
    前記キャップ層は、前記半導体層と同一の格子定数又は熱膨張係数を有することを特徴とする絶縁ゲート電界効果トランジスタ。
  2. 前記チャネル層は、GaN層であり、
    前記半導体層と前記キャップ層とは、Al Ga 1−x N層であり、
    前記ゲート絶縁膜は、AlN層であることを特徴とする請求項1記載の絶縁ゲート電界効果トランジスタ。
  3. 前記AlGa1−x中のAl組成比xは、0〜0.7であることを特徴とする請求項2記載の絶縁ゲート電界効果トランジスタ。
  4. 前記AlGa1−xの膜厚は、1〜25nmであることを特徴とする請求項2記載の絶縁ゲート電界効果トランジスタ。
  5. 前記ゲート絶縁膜における前記AlN層の膜厚は、1〜20nmであることを特徴とする請求項2記載の絶縁ゲート電界効果トランジスタ。
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