JP5197496B2 - T字型完全溶込み溶接構造体の脆性き裂伝播停止性能の品質管理方法 - Google Patents
T字型完全溶込み溶接構造体の脆性き裂伝播停止性能の品質管理方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5197496B2 JP5197496B2 JP2009133866A JP2009133866A JP5197496B2 JP 5197496 B2 JP5197496 B2 JP 5197496B2 JP 2009133866 A JP2009133866 A JP 2009133866A JP 2009133866 A JP2009133866 A JP 2009133866A JP 5197496 B2 JP5197496 B2 JP 5197496B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- weld
- length
- brittle
- welding
- toughness
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Investigating And Analyzing Materials By Characteristic Methods (AREA)
- Butt Welding And Welding Of Specific Article (AREA)
Description
接によって完全溶込み溶接されている。完全溶込み溶接とは、溶接継手の板厚全域に亘っている溶込みを意味する。ハッチコーミング部2を構成する2枚の鋼板は、通常、エレクトロガスアーク(EG)溶接などの大入熱溶接によって突合せ溶接される。しかしながら、EG溶接は溶接入熱量が大きいために溶接熱影響部(HAZ)が形成され、溶接継手の靱性低下や脆性き裂の発生を招き、船舶が破断する恐れがある。そこで、突合せ溶接の際は、図1(b)に示すように、下端部近傍を残してEG溶接を行い、下端部近傍は溶接入熱量が小さいCO2溶接を行なうことが多い。
以上の厚鋼板を使用すれば、脆性き裂の進展を停止できることが示されている。しかし、厚鋼板のアレスト特性Kcaを7000N/mm3/2以上に高めるためには、例えば、組織を超微細化する;Niを多量に含める;特殊な圧延工程を実施する;などの手段が必要であり、コストの上昇を招く。
(1)前記鋼板Aの表面付近に未破断で残るサイドリガメント部の長さlslを、下記(13)式から算出する工程と、
(2)前記工程によって算出されたサイドリガメント部の長さlslと前記CO2溶接長lCO2の関係に基づき(但しlCO2=L+X)
(a)サイドリガメント部の長さlsl≦CO2溶接長lCO2の場合は下記(20)式を、
(b)サイドリガメント部の長さlsl>CO2溶接長lCO2の場合は下記(21)式を、
導出する工程と、
を含む。
(13)式・・・
lsl=2π・ks 2・[1/(8π)・{(−92・(L・vTrs(L)+X・vTrs(X))/(L+X)+32700)/800}2]2・εF 2・G2/[K{(3−ν)/(1+ν)−1}]2
(20)式・・・
Kca≧Knom・[1−{1/(2π2)}・[{(−92・(L・vTrs(L)+X・vTrs(X))/(L+X)+32700)/800}2/t]・(σY1/σ0)・cos-1{(a−2π・ks 2・[1/(8π)・{(−92・(L・vTrs(L)+X・vTrs(X))/(L+X)+32700)/800}2]2・εF 2・G2・/[K{(3−ν)/(1+ν)−1}]2)/a}]
(21)式・・・
Kca≧Knom・[1−{1/(2π2)}・[{(−92・(L・vTrs(L)+X・vTrs(X))/(L+X)+32700)/800}2/t]・(σY1/σ0)・cos-1{(a−lCO2)/a}]
上記式中、
t:鋼板Aの厚さ(mm)。
Knom:サイドリガメントによる低減を考慮に入れない場合の応力拡大係数で
あり、
Knom=7000N/mm3/2とする。
σY1:温度T0(=−10℃)における鋼板Aの表層近傍の高速引張変形時の降伏
応力であり、σY1=800MPaとする。
ν:ポアソン比であり、ν=0.3とする。
ks:係数であり、ks=1とする。
G:横弾性係数であり、G=8×104N/mm2とする。
εF:延性破壊の限界ひずみであり、εF=0.1とする。
K:外力から計算される応力拡大係数であり、
K=σ0(3.14a)0.5とする。
σ0:負荷応力であり、σ0=252MPaとする。
a:き裂長さであり、a=700mmとする。
(a)板厚t/4部の脆性破面遷移温度vTrs(℃)
t:ハッチコーミング用鋼板の厚さ
(b)ハッチコーミング部におけるCO2溶接部のCO2溶接長lCO2(mm)
(c)アッパーデッキ用鋼板のアレスト特性Kca(N/mm3/2)
下記(13)で表される、鋼板Aの表面付近に未破断で残るサイドリガメント部の長さlslと、CO2溶接長lCO2の関係に基づき、
サイドリガメント部の長さlsl≦CO2溶接長lCO2の場合は下記(20)式を、
サイドリガメント部の長さlsl>CO2溶接長lCO2の場合は下記(21)式を利用する。
(13)式・・・
lsl=2π・ks 2・[1/(8π)・{(−92vTrs+32700)/800}2]2・εF 2・G2/[K{(3−ν)/(1+ν)−1}]2
(20)式・・・
Kca≧Knom・[1−{1/(2π2)}・[{(−92vTrs+32700)/80
0}2/t]・(σY1/σ0)・cos-1{(a−2π・ks 2・[1/(8π)・{(−92vTrs+32700)/800}2]2・εF 2・G2/[K{(3−ν)/(1+ν)−1}]2)/a}]
(21)式・・・
Kca≧Knom・[1−{1/(2π2)}・[{(−92vTrs+32700)/800}2/t]・(σY1/σ0)・cos-1{(a−lCO2)/a}]
上記式中、
t:鋼板Aの厚さ(mm)。
Knom:サイドリガメントによる低減を考慮に入れない場合の応力拡大係数で
あり、
Knom=7000N/mm3/2とする。
σY1:温度T0(=−10℃)における鋼板Aの表層近傍の高速引張変形時の降伏
応力であり、σY1=800MPaとする。
ν:ポアソン比であり、ν=0.3とする。
ks:係数であり、ks=1とする。
G:横弾性係数であり、G=8×104N/mm2とする。
εF:延性破壊の限界ひずみであり、εF=0.1とする。
K:外力から計算される応力拡大係数であり、
K=σ0(3.14a)0.5とする。
σ0:負荷応力であり、σ0=252MPaとする。
a:き裂長さであり、a=700mmとする。
下記(33)で表される、鋼板Aの表面付近に未破断で残るサイドリガメント部の長さlslと、CO2溶接長lCO2の関係に基づき、
サイドリガメント部の長さlsl≦CO2溶接長lCO2の場合は下記(34)式を、
サイドリガメント部の長さlsl>CO2溶接長lCO2の場合は下記(35)式を利用する。
(33)式・・・
lsl=2π・ks 2・[1/(8π)・{(−92vTrs1+32700)2+(−92vTrs2+32700)2}/2/8002]2・εF 2・G2/[K{(3−ν)/(1+ν)
−1}]2
(34)式・・・
Kca≧Knom・[1−{1/(2π2)}・[{(−92vTrs1+32700)2+(
−92vTrs2+32700)2}/2/8002/t]・(σY1/σ0)・cos-1{(a
−2π・ks 2・[1/(8π)・{(−92vTrs1+32700)2+(−92vTrs2+
32700)2}/2/8002]2・εF 2・G2/[K{(3−ν)/(1+ν)−1}]2)/a}]
(35)式・・・
Kca≧Knom・[1−{1/(2π2)}・[{(−92vTrs1+32700)2+(
−92vTrs2+32700)2}/2/8002/t]・(σY1/σ0)・cos-1{(a
−lco2)/a}]
上記式中の各パラメメータ(t、Knom、σY1、ν、ks、G、εF、K、σ0、a)は、前と同じ意味である。
(a)板厚t/4部の脆性破面遷移温度vTrs(℃)、詳細には、(a1)高靭性CO2溶接部の溶接金属における板厚t/4部の脆性破面遷移温度vTrs(L)および(a2)低靱性CO2溶接部の溶接金属における板厚t/4部の脆性破面遷移温度vTrs(X)と、
(b)ハッチコーミング部におけるCO2溶接部のCO2溶接長lCO2(mm)、詳細には、(b1)高靭性CO2溶接部のCO2溶接長L、および(b2)前記低靱性CO2溶接部のCO2溶接長X、
(c)アッパーデッキ用鋼板のアレスト特性Kca(N/mm3/2)
上記システムの工程概略図を図3に示す。このシステムは、上記(a)〜(c)の合計5つのパラメータのうち、(c)が不明で、残りの(a)と(b)の4つのパラメータが既知(測定可能)の場合に適用される。
このシステムは、上記(ア)とは異なって、上記(a)〜(c)の合計5つのパラメータのうち、(a)または(b)の合計4つのパラメータのうちいずれか一つが不明で、残りが既知(算出可能)の場合に適用される。
上記の関係式を利用し、高靭性CO2溶接部のCO2溶接長L(高靭性部の施工長さ)を決定することができる。
上記の関係式を利用し、高靭性CO2溶接部の溶接金属に必要とされる脆性破面遷移温度を決定することができる。
Kca≧Keff ・・・ (19)
(a)板厚t/4部(t:ハッチコーミング材の厚さ)の高靭性CO2溶接部の脆性破面遷移温度vTrs(L)、および低靭性CO2溶接部の脆性破面遷移温度vTrs(X)
(b)CO2溶接長lCO2(mm)において、高靭性CO2溶接部のCO2溶接長L、低靱性CO2溶接部のCO2溶接長X
(c)アッパーデッキ材に必要なアレスト特性Kca(N/mm3/2)
及びCO2溶接長の影響を受けることが分かる。
サイドリガメント幅tsl(単位:mm)は、非特許文献3から下記(1)式のように表される。
tsl=ksl・rp ・・・ (1)
rp=1/(6π)・(KD(B)/σY1)2 ・・・ (2)
KD(B)=Kci ・・・ (3)
Kci=3.81・σy0/9.8・exp{k0(1/iTk−1/T0)} ・・・ (4)
k0=6.65・iTk−290 ・・・ (5)
iTk=(0.00321・σy0/9.8+0.391)vTrs+2.74(t)1/2+17.3 ・・・ (6)
KD(B)=Kci(B)=−92vTrs+32700 ・・・ (7)
tsl=ksl・rp
=0.75・1/(6π)・(KD(B)/σY1)2
=1/(8π)・{(−92vTrs+32700)/800}2 ・・・ (8)
非特許文献3から、サイドリガメント長lslは、下記(9)式のように表される。
2uy[a−lsl]=ks・tsl・εF ・・・ (9)
2uy[a−lsl]
=((3−ν)/(1+ν)−1)・(lsl/(2π))0.5・K/G ・・・ (10)
ks・tsl・εF
=((3−ν)/(1+ν)−1)・(lsl/(2π))0.5・K/G ・・・ (11)
lsl=2π・ks 2・tsl 2・εF 2・G2/[K{(3−ν)/(1+ν)−1}]2
・・・ (12)
lsl=2π・ks 2・[1/(8π)・[{(−92・(L・tsl(L)+X・tsl(X))/(L+X)+32700)/800}2]2・εF 2・G2/[K{(3−ν)/(1+ν)−1}]2 ・・・ (13)
ν:ポアソン比であり、ν=0.3。
ks:係数であり、非特許文献3からks=1とする。
G:横弾性係数であり、G=8×104(N/mm2)。
εF:延性破壊の限界ひずみであり、非特許文献3からεF=0.1とする。
K:外力から計算される応力拡大係数であり、K=σ0(3.14a)0.5で計算される。
σ0:負荷応力。船舶の場合、設計要件から設計応力が決められることが多く、この設計応力でのき裂停止性能を把握することが最も合理的である。そこでABS規格(アメリカ船級協会規格)EH40に対する設計使用応力を用いて、本発明ではσ0=252MPaとする。
a:き裂長さであり、非特許文献2のa=700mmのき裂長さの実験により実船相当のき裂進展駆動力を得られることが分かっていることから、本発明ではa=700mmとする。
サイドリガメント長lsl’=lsl ・・・ (14)
サイドリガメント長lsl’=lCO2 ・・・ (15)
非特許文献3から、サイドリガメントの閉口効果により低減されたK値(Keff)は、下記(16)式のように表される(下記(16)式中、rはK値の低減率である。)。
Keff
=Knom・(1−r)
=Knom・[1−(4/π)(tsl/t)(σY1/σ0)cos-1{(a−lsl)/a}]
・・・ (16)
Keff
=Knom・[1−(4/π)(tsl/t)(σY1/σ0)cos-1{(a−lsl’)/a}]
=Knom・[1−(4/π)(tsl/t)(σY1/σ0)cos-1{(a−lsl)/a}]
=Knom・[1−{1/(2π2)}・[{(−92・tsl+32700)/800}2/t]・(σY1/σ0)・cos-1{(a−2π・ks 2・[1/(8π)・{(−92・tsl+32700)/800}2]2・εF 2・G2・/[K{(3−ν)/(1+ν)−1}]2)/a}]
・・・ (17)
Keff
=Knom・[1−(4/π)(tsl/t)(σY1/σ0)cos-1{(a−lsl’)/a}]
=Knom・[1−(4/π)(tsl/t)(σY1/σ0)cos-1{(a−lCO2)/a}]
=Knom・[1−{1/(2π2)}・[{(−92・tsl+32700)/800}2/t](σY1/σ0)・cos-1{(a−lCO2)/a}]
・・・ (18)
Knom:サイドリガメントによる低減を考慮に入れない場合の応力拡大係数。従来は6000N/mm3/2と考えられていたが、非特許文献2から、厚みtが50mmを超える厚鋼板の場合には7000N/mm3/2とされている。
σ0:負荷応力。上述のように、本発明ではσ0=252MPaとする。
a:き裂長さ。上述のように、本発明ではa=700mmとする。
Kca≧Keff ・・・ (19)
Kca≧Knom・[1−{1/(2π2)}・[{(−92・tsl+32700)/800}2/t](σY1/σ0)・cos-1{(a−2π・ks 2・[1/(8π)・{(−92・tsl+32700)/800}2]2・εF 2・G2・/[K{(3−ν)/(1+ν)−1}]2)/a}]
・・・ (20)
Kca≧Knom・[1−{1/(2π2)}・[{(−92・tsl+32700)/800}2/t](σY1/σ0)・cos-1{(a−lCO2)/a}] ・・・ (21)
lsl=2π・ks 2・[1/(8π)・{(−92・(L・vTrs(L)+X・vTrs(X))/(L+X)+32700)/800}2]2・εF 2・G2/[K{(3−ν)/(1+ν)−1}]2 ・・・ (13)
上記式中、
t:ハッチコーミング用鋼板の厚さ(mm)。
Knom:サイドリガメントによる低減を考慮に入れない場合の応力拡大係数で
あり、
Knom=7000N/mm3/2とする。
σY1:温度T0(=−10℃)におけるハッチコーミング用厚鋼板表層近傍の高速
引張変形時の降伏応力であり、σY1=800MPaとする。
ν:ポアソン比であり、ν=0.3とする。
ks:係数であり、ks=1とする。
G:横弾性係数であり、G=8×104N/mm2とする。
εF:延性破壊の限界ひずみであり、εF=0.1とする。
K:外力から計算される応力拡大係数であり、
K=σ0(3.14a)0.5とする。
σ0:負荷応力であり、σ0=252MPaとする。
a:き裂長さであり、a=700mmとする。
lsl=2π・[1/(8π)・{(−92・(L・vTrs(L)+X・vTrs(X))/(L+X)+32700)/800}2]2・0.3916
(20−1)式・・・
Kca≧7000・[1−{1/(2π2)}・[{(−92・(L・vTrs(L)+X・vTrs(X))/(L+X)+32700)/800}2/t]・3.175・cos-1{(700−2π・[1/(8π)・{(−92・(L・vTrs(L)+X・vTrs(X))/(L+X)+32700)/800}2]2・0.3916)/700}]
(21−1)式・・・
Kca≧7000・[1−{1/(2π2)}・[{(−92・(L・vTrs(L)+X・vTrs(X))/(L+X)+32700)/800}2/t]・3.175・cos-1{(700−lCO2)/700}]
(実験例1〜3)
以下の実験例では、本発明によって導き出される前述した図4Aに示すグラフに従えば、現実に、溶接構造体のT継手溶接部における脆性き裂の伝播を停止できることを実証する。詳細には、ハッチコーミング部におけるCO2溶接長lCO2、ハッチコーミング部における低靭性CO2溶接部の脆性破面遷移温度vTrs(X)および下端部からの低靱性CO2溶接長の距離X1、アッパーデッキ材のアレスト特性Kcaがすべて判明している場合において、前述した図4に示すグラフ(高靱性CO2溶接部の脆性破面遷移温度vTrs(L)と高靱性CO2溶接長Lのライン)よりも上にくるように高靭性CO2溶接を行なえば、ハッチコーミング部で発生した脆性き裂をアッパーデッキ部で停止させることができることを実証する。
試験体を−10℃に冷却し、矢印方向に252MPaの応力を加えることによって、脆性き裂を進展させた。
Vノッチシャルピー試験を行い、脆性破面遷移曲線から脆性破面遷移温度vTrsを求めた。詳しくは、CO2溶接部の表層t/4部からNK U14A試験片を採取し、JIS Z2242に従って試験を実施した。このとき各温度(最低4温度以上)の測定につきn=3で試験を実施し、n=3で最も脆性破面率の高い点を通るように脆性破面遷移曲線を描き、脆性破面50%の温度を脆性破面遷移温度vTrsとして算出した。
(1)ハッチコーミング材:JIS規格SM570に準拠する鋼材
ハッチコーミング材の厚み:60mm
(2)アッパーデッキ材:JIS規格SM570に準拠する鋼材
アッパーデッキ材の厚み:60mm
アッパーデッキ材のアレスト特性Kca:5000N/mm3/2
(3)溶接条件
(ア)EG(エレクトロガス)溶接:V開先による突合せ条件で1電極エレクトロガスアーク溶接(シールドガス:CO2)
(イ)CO2溶接:合計12層のCO2溶接
CO2溶接長lCO2:200mm
シールドガス:CO2
実験例1〜3における高靭性・低靱性CO2溶接部の詳細は表1を参照
(なお、合計12層のCO2溶接中、上記実施例1〜3における高靱性CO2溶
接部L、低靱性CO2溶接長部の距離X1、及び低靱性CO2溶接長部の距離
X2におけるCO2溶接層はいずれも、4層である。)
2 ハッチコーミング部
t ハッチコーミング部の厚み
tsl サイドリガメント幅
lsl サイドリガメント長
Claims (4)
- T字型完全溶込み溶接構造体の脆性き裂伝播停止性能の品質管理方法であって、
前記溶接構造体は、突合せ溶接継手によって接合された鋼板Aと、前記突合せ溶接継手と交差するように完全溶込み溶接で接合された脆性き裂伝播停止用鋼板Bと、からなり、
前記鋼板Aの突合せ溶接継手における下端部近傍はCO2溶接によってCO2溶接部を形成し、前記CO2溶接部のCO2溶接長の全長をlCO2としたとき、lCO2は、靱性レベルがL>Xの関係を満足する高靭性CO2溶接部のCO2溶接長Lと低靭性CO2溶接部のCO2溶接長Xとから構成され、lCO2=L+Xであり、
前記鋼板Aの表面に生じる延性破壊領域(シアリップ)および脆性破壊を生じない領域(サイドリガメント)を有する解析モデルに基づき、
(ア)前記高靭性CO2溶接部の溶接金属における板厚t/4部(t:鋼板Aの厚さ)の脆性破面遷移温度vTrs(L)および前記低靱性CO2溶接部の溶接金属における板厚t/4部の脆性破面遷移温度vTrs(X)と、
(イ)前記高靭性CO2溶接部のCO2溶接長Lおよび前記低靱性CO2溶接部のCO2溶接長Xと、
(ウ)前記鋼板Bの脆性き裂伝播停止性能Kcaと、の関係式を求める第1の工程と、
前記関係式に基づき、前記鋼板Aの突合せ溶接継手に沿って伝播する脆性き裂の停止に有用な、(ア)前記脆性破面遷移温度vTrs(L)および前記脆性破面遷移温度vTrs(X)の範囲、(イ)前記CO2溶接長Lおよび前記CO2溶接長Xの範囲、または(ウ)前記脆性き裂伝播停止性能Kcaの範囲のいずれかを決定する第2の工程と、
を含むことを特徴とする脆性き裂伝播停止性能の品質管理方法。 - 前記第1の工程は、
(1)前記鋼板Aの表面付近に未破断で残るサイドリガメント部の長さlslを、下記(13)式から算出する工程と、
(2)前記工程によって算出されたサイドリガメント部の長さlslと前記CO2溶接長lCO2の関係に基づき(但しlCO2=L+X)、
(a)サイドリガメント部の長さlsl≦CO2溶接長lCO2の場合は下記(20)式を、
(b)サイドリガメント部の長さlsl>CO2溶接長lCO2の場合は下記(21)式を、
導出する工程と、
を含むものである請求項1に記載の品質管理方法。
(13)式・・・
lsl=2π・ks 2・[1/(8π)・{(−92・(L・vTrs(L)+X・vTrs(X))/(L+X)+32700)/800}2]2・εF 2・G2/[K{(3−ν)/(1+ν)−1}]2
(20)式・・・
Kca≧Knom・[1−{1/(2π2)}・[{(−92・(L・vTrs(L)+X・vTrs(X))/(L+X)+32700)/800}2/t]・(σY1/σ0)・cos-1{(a−2π・ks 2・[1/(8π)・{(−92・(L・vTrs(L)+X・vTrs(X))/(L+X)+32700)/800}2]2・εF 2・G2・/[K{(3−ν)/(1+ν)−1}]2)/a}]
(21)式・・・
Kca≧Knom・[1−{1/(2π2)}・[{(−92・(L・vTrs(L)+X・vTrs(X))/(L+X)+32700)/800}2/t]・(σY1/σ0)・cos-1{(a−lCO2)/a}]
上記式中、
t:鋼板Aの厚さ(mm)。
Knom:サイドリガメントによる低減を考慮に入れない場合の応力拡大係数で
あり、
Knom=7000N/mm3/2とする。
σY1:温度T0(=−10℃)における鋼板Aの表層近傍の高速引張変形時の降伏
応力であり、σY1=800MPaとする。
ν:ポアソン比であり、ν=0.3とする。
ks:係数であり、ks=1とする。
G:横弾性係数であり、G=8×104N/mm2とする。
εF:延性破壊の限界ひずみであり、εF=0.1とする。
K:外力から計算される応力拡大係数であり、
K=σ0(3.14a)0.5とする。
σ0:負荷応力であり、σ0=252MPaとする。
a:き裂長さであり、a=700mmとする。 - 前記鋼板Aの厚さは50mm以上である請求項1または2に記載の品質管理方法。
- 前記溶接構造体は船舶であり、前記鋼板Aはハッチコーミング部を構成する鋼板であり、前記鋼板Bはアッパーデッキ部を構成する鋼板である請求項1〜3のいずれかに記載の品質管理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009133866A JP5197496B2 (ja) | 2009-06-03 | 2009-06-03 | T字型完全溶込み溶接構造体の脆性き裂伝播停止性能の品質管理方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2009133866A JP5197496B2 (ja) | 2009-06-03 | 2009-06-03 | T字型完全溶込み溶接構造体の脆性き裂伝播停止性能の品質管理方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2010279963A JP2010279963A (ja) | 2010-12-16 |
JP5197496B2 true JP5197496B2 (ja) | 2013-05-15 |
Family
ID=43537203
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2009133866A Expired - Fee Related JP5197496B2 (ja) | 2009-06-03 | 2009-06-03 | T字型完全溶込み溶接構造体の脆性き裂伝播停止性能の品質管理方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5197496B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN111032266B (zh) * | 2018-05-18 | 2020-11-24 | 日本制铁株式会社 | 焊接构造体 |
CN111872592B (zh) * | 2020-06-16 | 2022-05-10 | 中国石油天然气集团有限公司 | 基于管道环焊缝强度匹配的钢管纵向强度质量控制方法 |
Family Cites Families (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4537683B2 (ja) * | 2003-10-06 | 2010-09-01 | 新日本製鐵株式会社 | 耐脆性破壊特性に優れた溶接構造体 |
JP4371963B2 (ja) * | 2004-09-10 | 2009-11-25 | 新日本製鐵株式会社 | 船舶用溶接構造体の溶接方法および船舶用溶接構造体 |
JP4790364B2 (ja) * | 2005-10-05 | 2011-10-12 | 新日本製鐵株式会社 | 耐脆性き裂伝播性に優れた溶接構造体 |
JP4546995B2 (ja) * | 2007-01-05 | 2010-09-22 | 新日本製鐵株式会社 | 耐脆性き裂伝播特性に優れた突合せ多パス溶接継手及び溶接構造体 |
JP2008212992A (ja) * | 2007-03-05 | 2008-09-18 | Kobe Steel Ltd | 耐脆性破壊亀裂伝播停止特性に優れたt型溶接継手構造 |
JP4999165B2 (ja) * | 2007-05-16 | 2012-08-15 | 株式会社アイ・エイチ・アイ マリンユナイテッド | 溶接構造体 |
-
2009
- 2009-06-03 JP JP2009133866A patent/JP5197496B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2010279963A (ja) | 2010-12-16 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Koçak | Structural integrity of welded structures: process-property–performance (3P) relationship | |
JP4795487B1 (ja) | 高強度厚鋼板の脆性き裂伝播停止性能の判定方法 | |
Bezensek et al. | The toughness of laser welded joints in the ductile–brittle transition | |
Beygi et al. | Utilizing a ductile damage criterion for fracture analysis of a dissimilar aluminum/steel joint made by friction stir welding | |
Su et al. | Fatigue behavior of uncorroded non-load-carrying bridge weathering steel Q345qDNH fillet welded joints | |
Raftar et al. | Weld root fatigue assessment of load-carrying fillet welded joints: 4R method compared to other methods | |
Maddox | Fatigue design rules for welded structures | |
JP2010230666A (ja) | 高強度厚鋼板の脆性き裂伝播停止性能の判定方法 | |
JP5197496B2 (ja) | T字型完全溶込み溶接構造体の脆性き裂伝播停止性能の品質管理方法 | |
JP4761746B2 (ja) | 船体用大入熱突合せ溶接継手の耐脆性破壊発生特性評価方法 | |
Sumpter et al. | Recommended fracture toughness for ship hull steel and weld | |
Oh | Notch fatigue fracture and crack growth behaviors on a steel sheet under out-of-plane bending | |
JP5197476B2 (ja) | T字型完全溶込み溶接構造体の脆性き裂伝播停止性能の品質管理方法 | |
Qian et al. | Brittle failure caused by lamellar splitting in a large-scale tubular joint with fatigue cracks | |
Carlucci et al. | Crack initiation and growth in bimetallic girth welds | |
Liu et al. | Investigation of weld cracking of a BOG booster pipeline in an LNG receiving station | |
Arzola et al. | Experimental characterization of fatigue strength in butt welded joint considering the geometry and the effect of cooling rate of the weld | |
Pisarski et al. | Estimating fracture toughness from Charpy data | |
Dzioba et al. | Application of the standard options of the FITNET procedure to the structural integrity assessment of welded specimens containing cracks | |
Wu et al. | Validation of Strain-Based Fracture Assessment Methods–BS 7910, R6 and DNVGL-RP-F108 | |
JP7299554B1 (ja) | 溶接構造体、ならびにその設計方法および施工方法 | |
Tabuchi et al. | Creep crack growth analysis of welded joints for high Cr heat resisting steel | |
Jayakumar et al. | Indian Test Blanket Module in ITER-Development of RAFM Steel and Fabrication Technology | |
Kadayath Bijukumar et al. | A critical overview on fracture mechanical characterization on marine grade structural materials and its welds | |
An et al. | Effect of welding residual stress in brittle crack propagation path of welded joint with thick steel plate |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20110901 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20130118 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20130129 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20130205 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160215 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5197496 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |