JP5197466B2 - 密閉型給配電設備の点検装置 - Google Patents
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Description
断路器としての開閉スイッチを、配電経路の点検時等に必要に応じて開成したり、閉成したりする。継電器にあっては例えば過電流、雷検知等に開閉スイッチを自動的に開成したり、閉成したりする。なお、函体は金属、樹脂より成る。
このような重要な密閉型給配電設備にあっては、長年の使用により塩害等の影響で函体が劣化してしまい、その一部に亀裂等が発生して、この部分より雨水が浸入して、場合によっては、函体内に水溜りが生じて、重大事故につながる場合がある。
このため、水溜り発見を目的として、函体の点検は欠かせないのが現状である。
センサ部は加振装置側に取付けられた打撃力センサと、函体の振動速度を検知する振動速度センサとより成るので、打撃力センサと振動速度センサを用いるという簡単な構成で、水溜りの高精度な検出が可能となる。
上記加振装置は、上記函体の底面に打撃力を加えるように構成され、上記ロック解除手段は、絶縁棒の給配電設備の函体底面方向への下側からの押圧動作又は回動動作でロック手段を解除して打撃を加えることができるので、両手操作に頼らずに簡単に絶縁棒を操作できる。
ロック解除手段は、絶縁棒の後端側に備えた無線機の無線信号又は赤外線発生器の赤外線信号でロック手段を解除するので、ロック手段を無線信号又は赤外線信号による遠隔操作で解除できるので、安全性を向上できる。
ロック解除手段は、絶縁棒の後部手元側に設けられるので、手元操作が可能となり、操作が容易となる。
解析回路はインピーダンスレベルの周波数特性の変化を得て、このインピーダンスレベルの周波数特性の変化より少なくとも1次固有振動数を抽出するものであって、かつ、この1次固有振動数が基準値より所定値にシフトするか否かを判定して水溜りを検出するので、インピーダンスレベルの周波数特性の変化により、1次,2次の固有振動数を得て、より簡単にかつ正確に水溜りを検出できる。
インピーダンスレベルの周波数特性の変化を、50Hz〜500Hzの周波数範囲で得るようにしたので、実験により得た結果との比較によって正確な水溜りの検出が可能となる。
基準値は、密閉型給配電設備の函体の種別に応じてあらかじめ記憶手段に記憶されて、点検毎にいずれかの基準値が読出されて比較対象として解析回路に供給されるので、函体の種別に応じた水溜り検出が可能となる。
ばね19のばね力を強くしたい場合は、雄ねじ部22を雌ねじ筒部21内に螺入すれば良く、弱くしたい場合は、雄ねじ部22を上記とは反対に操作すればよい。
図2において、29は筒体5に対し直角方向に位置されるガイド管体であり、ブリッジ体15の下部に位置し、かつステー30で筒体5に取付けられる。このガイド管体29にはロッド31が進退自在に嵌入され、このロッド31の後端はピン33aを介してリンク33の先端に接続され、リンク33の他端は絶縁棒1の突片34にピン33bを介して接続される。
図3において、受振部40の開口部は蓋材41で塞がれ、この蓋材41の上に振動速度センサS42bが取付けられる。上記打撃力センサS42a,振動速度センサS42bはセンサ部42を構成し、このセンサ部42はコンピュータ構成の主回路43に接続され、主回路43に発光部44が接続される。発光部44は筒体5に、下向きに取付けられる。上記振動速度センサS42bより函体4aのハンマー打撃による振動速度信号42bが出力される。すなわち、振動速度センサS42bはハンマー16の打撃により振動する函体4aの速度を計測し、計測された速度の情報としての振動速度信号42bを後述の周波数解析回路48に出力する。
以上の構成によれば、図1乃至図3に示すように、作業者2が絶縁棒1の後端側を持って、絶縁棒1の先端側を開閉器4の底面中央に近づけ、かつ受振部40の先端を接触させて、コイルばね6のばね力に対応して押圧すると、振動速度センサS42bが函体4aの底面に密接する。絶縁棒1が筒体5の中央方向に進入され、リンク33が押圧されて水平方向に傾斜するので、ロック状態のロッド31がロック体39より引抜け方向に後退し、これによりロック状態のロッド31が、ロック体39よりはずれてロックが解除される。これにより、アーム13がばね19の牽引力で回動する。これにより、ハンマー16がばね19の牽引力で開閉器4の函体4aの底面中央に衝突(打撃)するので、開閉器4の函体4aの底面に打撃による振動が発生する。打撃により、打撃力信号42aが打撃力センサS42aより出力され、また、上記コイルばね6のばね力で開閉器4の函体4aの底面に密着状態で押圧された振動速度センサS42bより振動速度信号42bが出力され、これ等信号42a,42bは主回路43で演算される。記憶手段46には開閉器4に水等が溜まっていない空の状態のときの打撃による後述の1次,2次の固有振動数50a,50bすなわち、基準値をあらかじめ測定して記憶しておき、この記憶手段46より周波数解析回路48に1次,2次の固有振動数50a,50bに相当する基準値を供給する。周波数解析回路48では後述のインピーダンスレベルの周波数特性60を得て、このインピーダンスレベルの周波数特性60より1次,2次の固有振動数60a,60bを求め上記基準値と比較,分析して、両者不一致の度合いが大きいときにアラーム手段としての、発光部44を例えば赤に点灯して、アラーム表示を行う。
なお、図2(a)に示すように、ロッド31の後部はロッド31に設けた長孔31aにリンク33の先端のピン33aが係止しているので、ロック体39がロッド31の先端に当接するとき、ロッド31がばね34bのばね力に抗して後退方向にガイドされた後、ばね34bのばね力で突出するので、ロック体39のロックを容易に行える。
測定結果1
特定の開閉器4の函体4aにおいて、インピーダンスレベルの低下ピークが判別できる底面の測定点について分析を行った。なお、インピーダンスレベルは値が低いほど揺れやすい。また、測定対象物の共振周波数ではインピーダンスレベルの低下が顕著に現れる傾向がある。測定結果を見ると、図7のグラフ内の矢印Rで示すように、水を注入したことによって、例えば、165Hz付近の周波数成分が100Hz以下の低い周波数へシフト(1次固有振動数50aが1次固有振動数60aへとシフト)することを確認した。
測定系の再現性について(実験1)
入水状態の開閉器4の函体4aについて、2つの異なる測定系(測定機器)を用いて試験を実施し、測定機器の違いによる再現性を確認した。
側面4点、底面4点について分析した結果,50Hz〜500Hzの周波数範囲では卓越した共振周波数はほぼ一致しており、測定系による差異は小さいと考える。
いくつかの測定点で見られたばらつきは、
1)ピックアップの取付位置や風による暗振動の影響など測定条件の違い
2)測定者毎の加振方法のばらつき
などが原因として考えられる。しかし、今回の実験に必要と考えられる周波数範囲では安定した結果が得られていた。
測定者の違いによる再現性について(実験2)
入水状態の開閉器4の函体4aについて、異なる測定者が加振した場合の試験結果について再現性を確認した。
側面4点、底面4点について分析した結果、以下に示す傾向が見られた。
1)測定者の異なる測定結果を比較した場合、50Hz〜500Hzの周波数範囲では卓越した共振周波数が概ね一致していた。
2)側面における一部の測定結果については、他の測定結果に比べて全体的にレベルが低い傾向が見られた。また卓越した共振周波数が若干ずれる傾向の見られるものもあった。底面においては概ね一致していた。
加振方法については、測定者によって加振間隔が小さい、また二度打ちの頻度が多いなどの傾向が見られたが、測定結果から判断すると結果的に水の浸入に対する影響を及ぼすには至っていないと考える。
従って、今回の調査に必要と考えられる周波数範囲では底面においては安定した結果が得られていると考える。
測定結果1から判断すると、入水時のインピーダンスレベルの周波数特性の変化を雨水の有無の判定基準として採用する場合、ハンマー打撃(加振)位置およびセンサ設置位置は底面であることが望ましいと考える。また、開閉器4の函体4aの種類によってインピーダンスレベルの周波数特性の変化の傾向が異なるため、雨水発見にインピーダンスレベルの変化を用いる場合は、あらかじめ開閉器4の函体4aの種別、形式毎にインピーダンスレベルの傾向を把握する必要があると考える。周波数はインピーダンスレベルの低下が明確な30〜500Hzの範囲とした。分析結果を見ると架線の有無や開閉器の入/切の条件による変化は測定点によっては若干見られるが、同じ測定点であれば水深の増減に伴ってほぼ同様の周波数変化をしていることが確認できた。またインピーダンスレベルの周波数変化は水深0mmから50mmになったときが最も大きかった。
水深が50mm以上では水深の増加に伴ってインピーダンスレベルの周波数も低下するが、変化の幅は小さい傾向にあった。インピーダンスレベルの低下する周波数の変化を捉えて開閉器4の函体4aの雨水の浸入を推定することは可能であることを実験により示した。
また、ロッド31を筒体5から離れる方向に後退させてロック体39へのロックを解除するものとして電磁ソレノイドを用いて、この電磁ソレノイドを作業者2側から無線機による無線あるいは赤外線発生器による赤外線で通電してロックを解除するように構成してもよい。
また、絶縁棒1を開閉器4方向に長手方向に移動することで、リンク33も回動してロッド31とロック体39とによるロックを解除するものとして説明したが、筒体5に対して絶縁棒1を回動するようにして上記ロックを解除するように構成してもよい。
また、発光部44は警報音を同時に発生するもの、あるいは、警報音のみを発生するものであってもよい。
また、打撃時の振動の振動周波数を検出するとして説明したが、打撃時の開閉器4の函体4aに発生する音の振動周波数を検知する音センサを用いて、周波数分析するようにしてもよい。
また、ハンマー16は一回の打撃後、連打することになると誤差が生じる恐れがあるので、この場合、1回の打撃完了後にばね力の附勢を解除するばね力解除手段80を設けてもよい。ばね力解除手段80は、腕木17の後部にブリッジ体15を包囲して回動自在な回動筒80aを設け、腕木17の後部に、回動筒80aを介して一体的に回動片80bを取付け、この回動片80bの後端のU字部80cが、棒体11,12間に横架固定して、中央側が上記U字部80cの凹部に係止する固定片80dを設け、ハンマー16の1回の打撃の衝撃でU字部80cが固定片80dよりはずれるようにして、ばね19の附勢力がハンマー16に伝わらないように解除可能に構成してもよい。
なお、記憶手段46に記憶される1次,2次固有振動数50a,50bのデータは、あらかじめ、開閉器4の種別(大きさ,型,形状等)に応じて複数種類のものが記憶されるものとし、実際の点検時にこの開閉器4の種別に対応するデータを選択して周波数解析回路48に供給され比較されるものとする。
44 発光部(アラーム手段)、48 周波数解析回路、
50,60 インピーダンスレベルの周波数特性、
S42a 打撃力センサ、S42b 振動速度センサ。
Claims (8)
- 絶縁棒の先端側に取付けられた加振装置で、密閉型給配電設備の函体を外側から打撃可能に構成し、上記加振装置を打撃前の位置でロックするロック手段と、このロック手段を解除するロック解除手段と、センサ部とを備え、上記センサ部で上記加振装置の打撃力と函体振動速度とを検知して、この検知結果から固有振動数を得て、基準値と比較し上記密閉型給配電設備の函体中の水溜まりを検出する解析回路と、この解析回路の出力によりアラームを出力するアラーム手段とを備えたことを特徴とする密閉型給配電設備の点検装置。
- センサ部は加振装置側に取付けられた打撃力センサと、函体の振動速度を検知する振動速度センサとより成ることを特徴とする請求項1に記載の密閉型給配電設備の点検装置。
- 上記加振装置は、上記函体の底面に打撃力を加えるように構成され、上記ロック解除手段は、絶縁棒の密閉型給配電設備の函体底面方向への下側からの押圧動作又は回動動作でロック手段を解除することを特徴とする請求項1に記載の密閉型給配電設備の点検装置。
- ロック解除手段は、絶縁棒の後端側に備えた無線機の無線信号又は赤外線発生器の赤外線信号でロック手段を解除することを特徴とする請求項1に記載の密閉型給配電設備の点検装置。
- ロック解除手段は、絶縁棒の後部手元側に設けられることを特徴とする請求項1又は請求項3又は請求項4に記載の密閉型給配電設備の点検装置。
- 解析回路はインピーダンスレベルの周波数特性の変化を得て、このインピーダンスレベルの周波数特性の変化より少なくとも1次固有振動数を抽出するものであって、かつ、この1次固有振動数が基準値より所定値にシフトするか否かを判定して水溜りを検出するものであることを特徴とする請求項1に記載の密閉型給配電設備の点検装置。
- インピーダンスレベルの周波数特性の変化を、50Hz〜500Hzの周波数範囲で得るようにしたことを特徴とする請求項6に記載の密閉型給配電設備の点検装置。
- 基準値は、密閉型給配電設備の函体の種別に応じてあらかじめ記憶手段に記憶されて、点検毎にいずれかの基準値が読出されて比較対象として解析回路に供給されることを特徴とする請求項6に記載の密閉型給配電設備の点検装置。
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