JP5197438B2 - 組合せピストンリング - Google Patents

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本発明は、内燃機関用の組合せピストンリングに関する。
ピストンリングには、シリンダボアへの追従性向上を目的として、摺動に耐えるピストンリングに、張力発生源となるエキスパンダを組み合わせた組合せピストンリングが使用される場合がある。この組合せピストンリングには、2サイクルエンジンに多く使用される板バネエキスパンダ付き圧力リングや、自動車用エンジンに多く使用されるエキスパンダ付きオイルリングがある。エキスパンダ付きオイルリングには、一対のサイドレールとスペーサエキスパンダとからなる3ピースの組合せオイルリングや、I字断面のピストンリングとコイルエキスパンダとからなる2ピースの組合せオイルリングがある。
上記組合せピストンリングの場合、ピストンリングと張力発生源のエキスパンダとが接触する部分の摩耗が問題となり、樹脂コートによる接触緩和や、窒化、PVD、DLC等の硬質皮膜処理による耐摩耗性向上が提案されている。
また、近年の内燃機関では、低燃費対策としてピストンリングの薄幅化が進んでおり、ピストンのリング溝幅が薄くなり、ピストンリング背面のオイル保持体積(空間)は狭くなってきている。そのため、保持されたオイルは熱影響を大きく受けるため、炭化しやすく、燃焼生成物やオイル劣化物などからなる堆積物が多く発生する。この堆積物はオイルの流動を阻害するだけでなく、エキスパンダとピストンリングの間(エキスパンダの外周面とピストンリングの内周面の間)に入り込み、アブレイシブな状態を発生させ、異常摩耗を起こす原因となる。オイル劣化物とは、オイル分に含まれる添加剤すなわち清浄分散剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、極圧剤、油性向上剤、酸化防止剤、防錆剤、腐食防止剤、消泡剤などとの反応生成物である。以後、燃焼生成物やオイル劣化物をスラッジという。スラッジはピストンリングに付着堆積すると、リング溝内でのピストンリングの動きを阻害して、シリンダボア内周面のシール性確保を難しくする問題も有している。
上記の対策として、以下の報告がなされている。
1.耐摩耗対策として、スペーサエキスパンダのサイドレールと接触する部分にアモルファス炭素皮膜を被覆する(特許文献1)。
2.スラッジの付着を抑制する対策として、スペーサエキスパンダに0.1μm以下のフッ素系有機薄膜を被覆する(特許文献2)。
3.フッ素を含む炭素皮膜を内燃機関用燃料が接触する部位に被覆することがデポジットと称する堆積物の付着に対して効果があることが記載されている(特許文献3)。フッ素と炭素の含有量は原子数比で(フッ素/炭素)≧0.25とされている。
特開平11−315924号公報 特開2006−300224号公報 特開2006−112422号公報
しかしながら、特許文献1の場合、スラッジの付着防止に対しては不充分な場合があり、ピストンリングのリング溝への固着や、付着スラッジによる相手接触部分の摩耗が多くなる場合がある。また、特許文献2のフッ素有機薄膜ではスラッジを介在した摩耗に対して耐摩耗性が低い場合がある。また、特許文献3はスラッジの付着防止についての記載はあるが、耐摩耗性については一切記載がなく、考慮されていない。
本発明の目的は、スラッジの付着を抑制でき、かつ、耐摩耗性に優れたエキスパンダを有する組合せピストンリングを提供することである。
上記課題を解決するために本発明は次の解決手段を採る。すなわち、
本発明は、ピストンリングと、ピストンリングをシリンダ内周面に押し付けるエキスパンダとからなる組合せピストンリングにおいて、前記エキスパンダは少なくともピストンリングとの接触部分に10.0at%よりも多く、20.0at%よりも少ないフッ素を含む複合硬質炭素系皮膜を有し、前記皮膜の硬度が600HV〜1000HVであることを特徴とする。
上記エキスパンダは、組合せピストンリングが装着されるピストンのリング溝に面する部分に前記複合硬質炭素系皮膜を有することが好ましい。
皮膜の膜厚は0.1〜10μmが好ましい。また、上記皮膜は、フッ素の他に、Si、Ti、W、Cr、Mo、Nb、及びVの群から選ばれた1又は2以上の元素を含む皮膜であってもよい。
上記組合せピストンリングとしては組合せ圧力リングや組合せオイルリングがある。組合せ圧力リングは、例えば圧力リングと板バネエキスパンダとから構成される。組合せオイルリングは、例えばサイドレールとスペーサエキスパンダとから構成される。
上記構成により、エキスパンダに対するスラッジの付着が抑制され、スラッジが介在するアブレイシブな摩耗に対するエキスパンダの耐摩耗性が良好となる。また、エキスパンダのリング溝との固着が防止される。
本発明の一実施形態を示し、シリンダに挿入されたピストンのリング溝に装着されている板バネエキスパンダ付きピストンリングの縦断面図である。 図1の板バネエキスパンダ付きピストンリングの平断面図である。 本発明の別の実施形態を示し、シリンダに挿入されたピストンのリング溝に装着されている組合せオイルリングの縦断面図である。 スペーサエキスパンダの素材の一部分を示す平面図である。 本発明の更に別の実施形態を示し、組合せオイルリングの縦断面図である。 スペーサエキスパンダの一部分を示す斜視図である。 往復動摩擦試験機の構成を示す図である。 スコッチヨーク式単気筒モータリング試験機の構成を示す図である。
以下、本発明の一実施形態を図面を参照して説明する。
図1において、1はピストン、2はシリンダで、ピストン1の外周に形成されているリング溝3に板バネエキスパンダ4付きピストンリング5が装着されている。
ピストンリング(圧力リング)5は矩形断面リングであり、マルテンサイト系ステンレス鋼などから形成され、表面処理が施されている。表面処理としては、例えばガス窒化処理により全表面に窒化層6が形成される。板バネエキスパンダ4は、図1及び図2に示されているように、矩形断面の帯板を多角形状に成形した板バネで、ピストンリング5の内周側に配置し、ピストンリング5を背面から押圧してピストンリング5の外周面をシリンダ内周面2aに押接させる。板バネエキスパンダ4は、オーステナイト系ステンレス鋼などから形成され、フッ素を含むDLC(ダイヤモンドライクカーボン)皮膜7が全表面に形成されている。フッ素の含有量は10.0at%よりも多く、20.0at%よりも少ない。皮膜7の硬度はビッカース硬度で600HV〜1000HVである。皮膜7の厚さは0.1〜10μmが好ましい。
板バネエキスパンダ4付きピストンリング5がピストン1のリング溝3に装着された状態で、板バネエキスパンダ4は、板バネエキスパンダ4を形成する多角形の各片の略中央部分における軸方向直線部がリング溝3の底面3aに接触し、板バネエキスパンダ4を形成する多角形の各頂点における軸方向直線部がピストンリング5の内周面5aを押接して、ピストンリング5をシリンダ内周面2aに押圧する。
したがって、フッ素を含むDLC皮膜7が板バネエキスパンダ4の外周面に被覆されているので、板バネエキスパンダ4はピストンリング5との接触部分にスラッジが付着するのが抑制され、ピストンリング5との接触部分においてスラッジが介在するアブレイシブな摩耗に対する耐摩耗性が良好となる。また、フッ素を含むDLC皮膜7が板バネエキスパンダ4の上下面と内周面に被覆されているので、板バネエキスパンダ4はピストン1のリング溝3の上下面3b,3cと底面3aに面する部分にスラッジが付着するのが抑制され、リング溝3との固着が防止される。
図3及び図4は本発明の別の実施形態を示す。
図3において、1はピストン、2はシリンダで、ピストン1の外周に形成されているリング溝3に組合せオイルリング10が装着されている。組合せオイルリング10は、環状で合い口を備えている上下一対のサイドレール11,12と、環状で合い口を備えているスペーサエキスパンダ13とからなっている。
スペーサエキスパンダ13を製造方法に基づいてその構成を以下説明する。図4において、素材30はオーステナイト系ステンレス鋼などの薄鋼帯から形成されており、長手方向中心線に対して対称形状をなしている。即ち、オーステナイト系ステンレス鋼の薄鋼帯の長手方向に等間隔をおいてオイル孔となる亀甲状の孔31が列設されているとともに、これらの孔31の間の薄鋼帯の両側部に略V字状切欠部32,33が形成されている。この素材30を対称形に折り曲げ加工する。即ち、屈曲線A−A及びB−Bに沿って幅方向両側を同一幅で同一方向に90度屈曲する。次いで、屈曲線C−C及びD−Dに沿って上下の端部を同一幅で斜めに屈曲して起立させ、次に、屈曲線E−E及びF−Fに沿って上下の起立片の端部を同一幅で水平に屈曲する。素材30を以上のように屈曲した後、所定の長さに切断したものを、サイドレール押圧片が内周側になるように環状に形成し、その後、フッ素を含むDLC皮膜7が外周面と上下面と内周端面(リング溝3の底面3aに面する部分すなわち後述する内片19,20の端面)に被覆される。
即ち、スペーサエキスパンダ13は、略コ字断面を有する周期要素が周方向に多数連なって構成され、フッ素を含むDLC皮膜7が外周面と上下面と内周端面(リング溝底面3aに面する部分)に形成されている。フッ素の含有量は10.0at%よりも多く、20.0at%よりも少ない。皮膜7の硬度はビッカース硬度で600HV〜1000HVである。皮膜7の厚さは0.1〜10μmが好ましい。
各周期要素には一対の水平な上片14と下片15とが軸方向に離間して配置され、これらの外周が垂直な連結片16で接続されており、上片14と下片15の内周には半径方向内方に向かって斜めに起立するサイドレール押圧片17,18がそれぞれ形成されており、各サイドレール押圧片17,18の内周には更に半径方向内方に水平に延びる内片19,20がそれぞれ形成されている。そして、上片14と直立片16と下片15とにかけてオイル孔が形成されている。
サイドレール11,12の構成を次に説明すると、一対のサイドレール11,12はマルテンサイト系ステンレス鋼などから形成され、表面処理が施されている。表面処理としては、例えばガス窒化処理により全表面に窒化層6が形成される。
スペーサエキスパンダ13は、ピストン1のリング溝3内に、両合口端部が突き合わされて縮められた状態で装着され、半径方向外方への拡張力を生じるようにされており、上下のサイドレール11,12を上下片14,15で上下(軸方向)に離隔保持し、上下のサイドレール押圧片17,18が上下のサイドレール11,12の内周面をそれぞれ押圧することによって、各サイドレール11,12の外周面をシリンダ2の内周面2aに密着させるとともに、各サイドレール11,12の内周側の端部をリング溝3の上下面3b,3cに密着させる。
したがって、フッ素を含むDLC皮膜7がスペーサエキスパンダ13のサイドレール11,12との接触部分に被覆されているので、スペーサエキスパンダ13はサイドレール11,12との接触部分にスラッジが付着するのが抑制され、サイドレール11,12との接触部分においてスラッジが介在するアブレイシブな摩耗に対する耐摩耗性が良好となる。また、フッ素を含むDLC皮膜7がスペーサエキスパンダ13の上下面と内周端面に被覆されているので、スペーサエキスパンダ13はピストン1のリング溝3の上下面3b,3cと底面3aに面する部分にスラッジが付着するのが抑制され、リング溝3との固着が防止される。また、フッ素を含むDLC皮膜7がスペーサエキスパンダ13の外周面に被覆されているので、スペーサエキスパンダ13はシリンダ2の内周面2aに面する部分にスラッジが付着するのが抑制される。
図5及び図6は本発明の更に別の実施形態を示す。
本実施形態の組合せオイルリングは、上記図3及び図4に示す実施形態の組合せオイルリングとはスペーサエキスパンダが相違しているだけであり、他の構成は同じである。すなわち、図5において、組合せオイルリング10は、環状で合い口を備えている上下一対のサイドレール11,12と、環状で合い口を備えているスペーサエキスパンダ13とからなっている。
スペーサエキスパンダ13は、軸方向に波形をなす周期要素が周方向に多数連なって構成され、フッ素を含むDLC皮膜7が全表面に形成されている。フッ素の含有量は10.0at%よりも多く、20.0at%よりも少ない。皮膜7の硬度はビッカース硬度で600HV〜1000HVである。皮膜7の厚さは0.1〜10μmが好ましい。
スペーサエキスパンダ13は水平な上片14と下片15とが軸方向及び周方向に離間して周方向に交互に多数配置し、隣接する上片14と下片15とが連結片16で接続されている。上片14と下片15の外周側の端部は内周側に対して一段高く形成され、サイドレール11,12の支持部14a,15aを形成している。上片14と下片15の内周側の端部には、サイドレール11,12を押圧するためのサイドレール押圧片17,18が上下に起立形成されている。
一対のサイドレール11,12はマルテンサイト系ステンレス鋼などから形成され、表面処理が施されている。表面処理としては、例えばガス窒化処理により全表面に窒化層6が形成される。
スペーサエキスパンダ13は、ピストン1のリング溝3内に、両合口端部が突き合わされて縮められた状態で装着され、半径方向外方への拡張力を生じるようにされており、上下のサイドレール11,12を上下片14,15のサイドレール支持部14a,15aで上下(軸方向)に離隔保持し、上下のサイドレール押圧片17,18が上下のサイドレール11,12の内周面をそれぞれ押圧することによって、各サイドレール11,12の外周面をシリンダ2の内周面2aに密着させるとともに、各サイドレール11,12の内周側の端部をリング溝3の上下面3b,3cに密着させる。
したがって、フッ素を含むDLC皮膜7がスペーサエキスパンダ13のサイドレール11,12との接触部分に被覆されているので、スペーサエキスパンダ13はサイドレール11,12との接触部分にスラッジが付着するのが抑制され、サイドレール11,12との接触部分においてスラッジが介在するアブレイシブな摩耗に対する耐摩耗性が良好となる。また、フッ素を含むDLC皮膜7がスペーサエキスパンダ13の上下面と内周端面に被覆されているので、スペーサエキスパンダ13はピストン1のリング溝3の上下面3b,3cと底面3aに面する部分にスラッジが付着するのが抑制され、リング溝3との固着が防止される。また、フッ素を含むDLC皮膜7がスペーサエキスパンダ13の外周面に被覆されているので、スペーサエキスパンダ13はシリンダ2の内周面2aに面する部分にスラッジが付着するのが抑制される。
上記3つの実施形態におけるフッ素を含むDLC皮膜7は、PVD法即ちイオンプレーティング法、スパッタリング法、あるいは蒸着法によって被覆することができる。例えば、真空チャンバ内でワークを回転しつつ不活性ガスを導入し、イオンボンバードメントでワーク表面を清浄化した後、炭素の供給源であるメタン、アセチレン等の炭化水素系ガス、及びフッ素の供給源であるCF等のフッ素系ガスをチャンバに導入し、ワーク近傍をプラズマ状態に保つ反応性イオンプレーティング法で、フッ素を含むDLC皮膜7をワークに被覆することができる。成膜用原料ガスとしては、炭化水素系ガス及びフッ素系ガスを用いる他に、フッ素を含む炭素系ガスを用いることも可能である。
なお、上記DLC皮膜7は、フッ素の他に、Si、Ti、W、Cr、Mo、Nb、及びVの群から選ばれた1又は2以上の元素を含む皮膜であってもよい。供給源となるSi、Ti、W、Cr、Mo、Nb、及びVの群から選ばれた1又は2以上の元素からなるターゲットは、製法上のバインダーとして、Ni、Coを片方又は両方含む場合があり、これらの元素が皮膜中に存在する場合がある。Si、Ti、W、Cr、Mo、Nb、及びVの群から選ばれた1又は2以上の元素の含有比率は、これらの蒸発速度及び反応ガス圧力を調整することによって調整できる。
以下、本発明の効果を確認するために行った試験について説明する。
(1)摩耗試験
往復動摩擦試験機を用いて摩耗試験を実施し、上試験片の摩耗量と剥離の有無を確認した。
1.往復動摩擦試験機
図7は、試験に使用した往復動摩擦試験機の構成を示す。ピン状の上試験片40は固定ブロック41により保持され、上方から油圧シリンダ42により下向きの荷重が加えられて、下試験片43に押接される。一方、平盤形状の下試験片43は可動ブロック44により保持され、クランク機構45により往復動させられる。46はロードセルである。
2.試験条件
荷重:100N 速度:100cpm 時間:120min
潤滑油:5W−30エンジンオイル オイル温度:80℃
3.試験片
(イ)上試験片
形状:ピン状 材質:オーステナイト系ステンレス鋼
表面処理:先端球面に表1の皮膜を施す。但し、比較例5は皮膜無し。
(ロ)下試験片
形状:プレート状 材質:マルテンサイト系17%Crステンレス鋼
表面処理:窒化
(2)モータリング試験
スコッチヨーク式単気筒モータリング試験機を用いてモータリング試験を実施し、エキスパンダの状況を観察し、スラッジの有無を確認した。
1.モータリング試験機
図8は、試験に使用したスコッチヨーク式単気筒モータリング試験機の構成を示す。スコッチヨーク機構とは、スライダの回転運動をフレーム内での左右運動へ変換することによりフレーム全体が上下運動する機構をいう。図8において、50はピストン、51はシリンダ、52は組合せピストンリング、53はガイドロッド、54はフレーム、55はスライダを示す。
2.試験条件
1500rpmにて1Hr運転後、1Hr休止を4回実施した。潤滑油は実機耐久試験300時間終了後の5W−30エンジンオイルを使用した。
3.供試組合せピストンリング
供試組合せピストンリングは図1〜図2で説明した板バネエキスパンダ付きピストンリング、図3〜図4及び図5〜図6で説明した2種類の組合せオイルリングである。図1〜図2の板バネエキスパンダ付きピストンリングのピストンリング、及び図3〜図6の組合せオイルリングのサイドレールはマルテンサイト系17%Crステンレス鋼で形成されており、ガス窒化処理により全表面に窒化処理が施されている。板バネエキスパンダ及びスペーサエキスパンダはオーステナイト系ステンレス鋼で形成されている。板バネエキスパンダは表1の皮膜が全表面に被覆され、スペーサエキスパンダは表1の皮膜が外周面と上下面と内周端面に被覆されている。但し、皮膜無しの例を一つ作製
Figure 0005197438
注1)摩耗量比は皮膜無しの例を1とした場合の摩耗量の比である。
注2)皮膜の剥離、スラッジの付着が無い場合を○、有る場合を×で示した。
注3)モータリング試験結果は前記3種類の組合せピストンリングについての結果であり、同じ結果を示した。
なお、本発明は図1〜図2に示したエキスパンダを有する組合せピストンリングや、図3〜図4及び図5〜図6に示したエキスパンダを有する組合せオイルリングに限ることはなく、例えば半径方向に波形をなしている形状のスペーサエキスパンダを有する組合せオイルリングなどに適用されることは言うまでもない。
上記では、フッ素を含むDLC皮膜は、図1〜図2の例ではエキスパンダの全表面、図3〜図4及び図5〜図6の例ではエキスパンダの外周面と上下面と内周端面に被覆した例を示したが、皮膜の被覆箇所はこれに限定されることはない。皮膜はエキスパンダの少なくともピストンリングとの接触部分に被覆されればよく、組合せピストンリングが装着されるピストンのリング溝に面する部分にも被覆されればより好ましい。また、皮膜はフッ素を含むDLC皮膜に限らず、フッ素を含む複合硬質炭素系皮膜であればよい。また、複合硬質炭素系皮膜はフッ素の他に、Si、Ti、W、Cr、Mo、Nb、及びVの群から選ばれた1又は2以上の元素を含んでもよい。
1・・ピストン、2・・シリンダ、2a・・シリンダ内周面、3・・リング溝、3a・・リング溝底面、3b・・リング溝上面、3c・・リング溝下面、4・・板バネエキスパンダ、5・・ピストンリング、5a・・ピストンリング内周面、6・・窒化層、7・・フッ素を含むDLC皮膜、10・・組合せオイルリング、11,12・・サイドレール、13・・スペーサエキスパンダ。

Claims (4)

  1. ピストンリングと、ピストンリングをシリンダ内周面に押し付けるエキスパンダとからなる組合せピストンリングにおいて、前記エキスパンダは少なくともピストンリングとの接触部分に10.0at%よりも多く、20.0at%よりも少ないフッ素を含む複合硬質炭素系皮膜を有し、前記皮膜の硬度が600HV〜1000HVであることを特徴とする組合せピストンリング。
  2. 前記エキスパンダは、組合せピストンリングが装着されるピストンのリング溝に面する部分に前記複合硬質炭素系皮膜を有することを特徴とする請求項1記載の組合せピストンリング。
  3. 前記ピストンリングが圧力リングであり、エキスパンダが板バネエキスパンダであることを特徴とする請求項1又は2記載の組合せピストンリング。
  4. 前記ピストンリングがサイドレールであり、エキスパンダがスペーサエキスパンダであることを特徴とする請求項1又は2記載の組合せピストンリング。
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