本発明は、HMDのフレーム構造において、フレーム本体に対して着脱可能に設けられる使用者の眼球等の保護用の部材に鼻当てを設けることにより、保護用の部材がフレーム本体に装着されていない状態での使用を不可能とし、使用者の安全性を確保しようとするものである。以下、本発明の実施の形態について説明する。
[HMDの構成]
まず、本実施形態に係るHMDの構成について、図1を用いて説明する。図1に示すように、本実施形態に係るHMD1は、投影対象を、HMD1の使用者(以下単に「使用者」という。)の眼Yの網膜とし、走査したレーザ光を瞳孔から入射させて網膜上に投影することにより、使用者に画像を視認させる。つまり、HMD1は、微弱な光を高速で走査しながら使用者の網膜に照射することで、網膜上に走査された光の残像を映像として使用者に認識させる網膜走査型の画像表示装置である。
HMD1は、コントロールユニット2と、投影装置としての投影ユニット3と、フレーム構造としての装着フレーム4とを備える。コントロールユニット2は、画像信号に応じた強度のレーザ光を画像光として出射する。コントロールユニット2は、記憶部を内蔵し、この記憶部に記憶された情報に基づいて画像信号を形成する。コントロールユニット2は、形成した画像信号に応じた強度のレーザ光を画像光として伝送ケーブル5へ出射する。
具体的には、コントロールユニット2は、HMD1の主な動作を制御する制御部2aと、画像光としてのレーザ光を生成する光源部2bとを有する。制御部2aは、コントロールユニット2に内蔵される記憶部に記憶されている制御プログラムにしたがって所定の処理を実行することによりHMD1を制御する。制御部2aは、データ通信用のバスにより接続されるCPU、フラッシュメモリ、RAM、VRAM、複数の入出力インターフェース等の各種機能部分を有し、バスを介して各種情報の送受信を行う。制御部2aは、形成した画像信号を光源部2bに供給する。
光源部2bは、制御部2aから供給される画像信号から画像情報を画素単位で読み出し、読み出した画素単位の画像情報に基づいて、R(赤色)、G(緑色)、及びB(青色)の色毎に強度変調されたレーザ光を生成して出射する。したがって、光源部2bは、R(赤色)、G(緑色)、及びB(青色)の各色の光源等、各色のレーザ光を生成するための構成を有する。光源部2bから出射されるレーザ光が、コントロールユニット2からの画像光として伝送ケーブル5に出射される。
コントロールユニット2から出射された画像光は、伝送ケーブル5によって投影ユニット3に伝送される。伝送ケーブル5は、コントロールユニット2から出射された画像光を投影ユニット3に伝送する光ファイバケーブルを有する。
投影ユニット3は、コントロールユニット2にてR(赤色)、G(緑色)、及びB(青色)の色毎に強度変調された画像光を、2次元方向に走査し、使用者の眼Yに入射させる。つまり、投影ユニット3は、伝送ケーブル5により伝送されてきた画像光を、使用者が表示画像として認識できるように走査する。
具体的には、投影ユニット3は、コントロールユニット2で生成され伝送ケーブル5を介して入射するレーザ光を平行光化するための光学系や、レーザ光を画像表示のために所定の方向に走査する走査部や、投影ユニット3における各部の間でレーザ光を中継するリレー光学系等を含む。
投影ユニット3は、使用者の眼Yに画像光を入射させるためのハーフミラー6を有する。ハーフミラー6は、使用者の眼Yの前方に位置するように設けられる。投影ユニット3は、ハーフミラー6により、出射した画像光L1を反射させて使用者の眼Yに入射させる。また、ハーフミラー6は、外光L2を透過させて使用者の眼Yに入射させる。したがって、使用者は、外光L2により認識される背景に、画像光L1による画像を重ねて視認することができる。
このように、本実施形態のHMD1は、外光L2を透過させるとともに、投影ユニット3から出射される画像光L1を使用者の眼Yに走査しつつ投射するシースルー型である。なお、本発明に係るHMDは、シースルー型である必要はない。
装着フレーム4は、投影ユニット3を支持するとともに、使用者の頭部に装着される部分である。装着フレーム4は、使用者の頭部に装着された状態で、前述したような投影ユニット3による使用者の眼Yへの画像光の走査ができるように、投影ユニット3を支持する。本実施形態のHMD1では、投影ユニット3は、装着フレーム4に対して、装着フレーム4を頭部に装着した状態の使用者の左側に取り付けられる。
以上のように、本実施形態に係るHMD1は、使用者の眼Yの網膜に画像を投影する投影ユニット3と、投影ユニット3を使用者の頭部に対して所定の位置に保持する装着フレーム4とを備える。以下、装着フレーム4の構造について説明する。
[装着フレームの構成]
本実施形態の装着フレーム4は、使用者が裸眼者やコンタクトレンズの着用者等の眼鏡を着用していない者(以下単に「裸眼者」という。)である場合に用いられる。図1から図4に示すように、本実施形態の装着フレーム4は、投影ユニット3を支持する眼鏡型のフレーム本体11と、フレーム本体11に着脱可能に設けられる保護部材30とを備える。
フレーム本体11は、使用者の顔を左右両側から挟む一対のテンプル部13と、これら一対のテンプル部13の一端側が連結されるフロント部14とを有する。
テンプル部13は、使用者の頭部に沿うように、フロント部14に連結される側である前側からその反対側である後側にかけて、一旦外側に向けて膨らみ、その後内側に向かうように、全体として湾曲する形状を有する(図2参照)。
テンプル部13は、前側から後側にかけて一旦外側に向けて膨らむ前半部分において、使用者の顔を挟み込むような板状の形状を有する。また、テンプル部13は、前側から後側にかけて内側に向かう後半部分において、使用者の耳にかかる部分となるセル部13aを有する。セル部13aは、前側から後側にかけて斜下側に向かうように湾曲形成される(図4参照)。また、セル部13aは、先端側にかけて徐々に太くなるように形成される。
テンプル部13は、全体的に金属製の部材により構成され、この金属製の部材の後半部分が樹脂製の材料により覆われることでセル部13aが構成される。つまり、セル部13aは、テンプル部13を構成する金属製の部材の後半部分を芯の部分として内包する樹脂製の材料により構成される。
テンプル部13は、板状の形状を有する前半部分と、セル部13aを構成する後半部分との間に、これらの部分が平面視及び側面視で互いに重なるオーバーラップ部13bを有する。オーバーラップ部13bは、テンプル部13の板状の前半部分の形状がヘアピン状に形成されたり、板状の前半部分を含む部分がヘアピン状に湾曲されたりして形成される折返し部分である。テンプル部13がオーバーラップ部13bを有することにより、テンプル部13が弾性変形する範囲が大きくなり、使用者の頭部への良好なフィット性が得られる
フロント部14は、使用者の顔の形状に沿うように、全体として弓形に反った形状を有する。つまり、フロント部14は、一対のテンプル部13が連結される側を両端側とし、中央部分がテンプル部13の延びる側と反対側に凸となるように緩やかに湾曲した形状を有する(図2参照)。
フロント部14は、フロント部14の主な部分を構成する本体部14aと、テンプル部13が連結される部分を構成する連結部14bとを有する。本体部14aは、板状の部材により構成され、その板厚方向に対して垂直な平面に沿って弓形に反った形状を有する。また、本体部14aは、その中央部分が若干下側に向けて窪むように、板厚方向に緩やかに湾曲する形状を有する(図3参照)。連結部14bは、本体部14aの両端部に設けられ、フロント部14からテンプル部13が延びる方向に沿って突出する部分である。
図2に示すように、テンプル部13とフロント部14とは、フロント部14の左右両端部に設けられるヒンジ部15にて連結される。ヒンジ部15は、フロント部14の連結部14bと、テンプル部13が有する連結用突部13cとがネジ16によって留められることで構成される。連結用突部13cは、板状の形状を有するテンプル部13の前半部分において、内側の面に設けられる突起部分である。テンプル部13は、連結用突部13cをフロント部14の連結部14bに重ね合わせた状態でネジ16により留められることで、フロント部14に連結される。
テンプル部13は、ヒンジ部15において、フロント部14に対して折りたたむことができるように回動可能に連結される。したがって、一対のテンプル部13は、フロント部14に対して開閉可能に支持され、開いた状態で前述したように使用者の頭部に沿うような態様となる。
ヒンジ部15を構成する連結用突部13cは、テンプル部13のフロント部14に連結される前側の先端から後側に距離を隔てて中途部に設けられている。このため、テンプル部13の回動支点は、テンプル部13の前側の先端よりも後側に位置する。そして、一対のテンプル部13が開いた状態で、各テンプル部13の回動支点よりも前側の部分により、フロント部14の連結部14bが左右外側から覆われる。
保護部材30は、フレーム本体11に対して着脱可能に構成され、使用者の眼の部分を覆う透過性を有する薄板状の部材である。図3に示すように、保護部材30は、薄板本体31と、この薄板本体31をフレーム本体11に係止する係止パーツ40とを有する。
薄板本体31は、使用者の左右の眼に対応して形成される左右一対の被覆部32と、これらの被覆部32を接続する接続部33とを有する。被覆部32は、略四角形であり、正面視で使用者の眼が十分に含まれる大きさを有する。接続部33は、例えば視力矯正に用いられる一般的な眼鏡において一対のレンズ部分の間に設けられるブリッジと同様に、一対の被覆部32の対向する辺部を繋ぐ。
このように、薄板本体31は、一対の被覆部32と接続部33とにより、一般的な眼鏡において一対のレンズを含むフロントと同じような輪郭を形成する。つまり、フレーム本体11と保護部材30とを含む構成は、一般的な眼鏡と概略的に同様の態様をなす。
一対の被覆部32及び接続部33は、透過性を有する一枚の薄板状の部材により形成される。薄板本体31は、例えば透明なプラスチック等の合成樹脂材料からなる板状の部材である。使用者は、透明な薄板本体31を介して視界を得る。薄板本体31は、使用者の顔の形状に沿うように、弾性変形等によって、上記のとおり弓形に反った形状を有するフロント部14に沿って、平面視で全体として弓形に反った形状を有する(図2参照)。
保護部材30のフレーム本体11に対する着脱構造について説明する。保護部材30は、フロント部14における一対のテンプル部13間の中央位置に設けられる中央係止部51によって、保護部材30のフレーム本体11に対して着脱可能に構成される。中央係止部51は、保護部材30の中央部をフレーム本体11に係止する。具体的には、保護部材30は、中央係止部51において、フレーム本体11を構成するフロント部14に対して着脱可能な係止パーツ40によって、フロント部14に対して着脱可能に構成されている。
係止パーツ40は、薄板本体31の接続部33の部分に取り付けられる。係止パーツ40は、全体として略矩形板状の外形を有し、その板厚方向が薄板本体31の板厚方向となるように薄板本体31に取り付けられる。係止パーツ40の薄板本体31に対する取付構造については後述する。
係止パーツ40の上端面は、前述したようにフロント部14の本体部14aにおける若干下側に向けて窪む中央部分に沿うような形状を有し、本体部14aの下側面14cに略接触する。係止パーツ40は、フロント部14に設けられる係合片17によって、フロント部14に保持される。
係合片17は、フロント部14の本体部14aの下側面14cから下に向けて略矩形板状に突き出た状態で設けられる。係合片17は、その板厚方向が前後方向となるように設けられる。係合片17は、フロント部14の本体部14aと一体成形される部分であっても、本体部14aとは別部品によって構成される部分であってもよい。
図6及び図7に示すように、係合片17は、本体部14aの下側面14cからの突出側の端部に、係止パーツ40に係合する係合端部17aを有する。係合端部17aは、略矩形板状に突出する係合片17において、突出側の辺部に沿って形成され、係合片17の板厚方向の寸法を部分的に拡大させるように側面断面視で略円形状をなす部分である。つまり、係合片17は、側面断面視で、本体部14aの下側面14cから突出する直線状の部分と、この直線状の部分の先端部に連続して係合端部17aとして形成される円形状の肉厚部分とを有する。
係止パーツ40は、フロント部14に設けられる係合片17に対応して、係合片17を係合させる係合溝47を形成する係合凹部46を有する。係合凹部46は、基部41の後側から突出して上側に向けて湾曲する板状の湾曲片部46aにより構成される。湾曲片部46aは、係止パーツ40の上部に設けられ、係止パーツ40の上側に開口する係合溝47を形成する。
係合溝47は、係合片17が係合端部17a側から嵌るように、係合片17に沿う形状を有する。係合溝47は、側面断面視で、係合端部17aが嵌合する円形状の底部47aと、この底部47aよりも比較的幅が狭く形成され係合片17の直線状の部分が嵌る開口部分とを有する。
このように、フロント部14の係合片17と係止パーツ40の係合溝47とによってフロント部14に対して着脱可能に構成される係止パーツ40は、プラスチック等の合成樹脂等により構成されることで、弾性によるワンタッチでの装着及び取外しができる。
具体的には、図9において矢印C1で示すように、係止パーツ40は、係合溝47に係合片17を嵌合させる方向に押圧作用を受けることで、フロント部14に装着される。詳細には、係合溝47の開口部分に係合片17の係合端部17aが接触している状態から、係止パーツ40がフロント部14に向けて押圧されることにより、係止パーツ40の弾性によって湾曲片部46aの部分が後側に曲がることで係合溝47が開く。つまり、係合端部17aによって係合溝47が開口部分側から押し広げられる。そして、さらに係止パーツ40が押圧されることにより、係合端部17aが係合溝47の開口部分を超えて底部47aに嵌合し、係止パーツ40がフロント部14に装着される。
なお、係合溝47の開口部分には、係合片17の係合溝47に対する嵌合をガイドするためのテーパ部47bが形成されている。テーパ部47bは、係合溝47の幅を開口側にかけて広くするように形成される斜面部である。
一方、図10において矢印C2で示すように、フロント部14に装着されている係止パーツ40は、フロント部14に装着される場合と反対方向に引張り作用を受けることで、フロント部14から取り外される。詳細には、係合片17が係合溝47に嵌合している状態から、係止パーツ40がフロント部14から下向きに引っ張られることにより、係止パーツ40の弾性によって湾曲片部46aの部分が後側に曲がることで係合溝47が開く。つまり、係合端部17aによって係合溝47が底部47a側から押し広げられる。そして、さらに係止パーツ40が引っ張られることにより、係合端部17aが係合溝47の開口部分を超えて係合溝47から抜け、係止パーツ40がフロント部14から取り外される。
なお、係止パーツ40をフロント部14から取り外す際には、係止パーツ40に対して引張り作用に加えてねじり作用を加えることで、係合片17の係合溝47への嵌合状態が容易に解除され、より簡単に係止パーツ40を取り外すことができる。また、係合端部17aを含む係合片17の形状や寸法は、係止パーツ40の弾性等との関係において、係止パーツ40が十分な保持力でフロント部14に取り付けられるように設定される。
このように、係止パーツ40は、一方向への押圧作用によりフロント部14に装着可能に、かつ、引張り作用によりフロント部14から取外し可能に構成されている。そして、保護部材30は、薄板本体31に取り付けられるとともにフロント部14に対して着脱可能に構成される係止パーツ40によって、フレーム本体11に対して着脱可能に構成される。つまり、本実施形態の装着フレーム4においては、フレーム本体11に対する保護部材30の着脱方向が上下方向とされている。
ただし、保護部材30のフレーム本体11に対する着脱構造は、本実施形態に限定されるものではない。保護部材30のフレーム本体11に対する着脱構造としては、例えばネジ等の固定用の部材が用いられる構成等であってもよい。
以上のようにフレーム本体11に対して着脱可能に構成される保護部材30に、使用者の鼻に接触する鼻当て部60が設けられている。鼻当て部60は、保護部材30の後側から、薄板本体31の接続部33の部分に取り付けられる係止パーツ40に固定される。鼻当て部60は、平面視及び正面視で略門状に形成される支持体61と、この支持体61の端部に設けられる一対のパッド62とを有する。
図8に示すように、支持体61は、保護部材30に固定される部分である固定部63と、固定部63から延びる一対の脚部64とを有する。支持体61は、中央部分で板状の形状を有する固定部63と、この固定部63の両側から折り曲げられた態様で形成される脚部64とにより、一体の細長い板状の部材が折り曲げられたような形状をなす。
固定部63は、前記のとおり板状の形状を有する部分であり、その一側の板面が係止パーツ40の裏側の面に接触する状態で、保護部材30に固定される。一対の脚部64は、固定部63の左右両側から、固定部63が保護部材30に固定される側と反対側となる後側に延び、斜め下に向けて先端側にかけて互いの間隔が徐々に広くなるように湾曲した形状を有する。各脚部64の先端部に、パッド62が設けられる。
パッド62は、略楕円板状の部材であり、一側の面に、脚部64の端部が連結部65を介して連結される。パッド62の、脚部64が連結される側と反対側の面に、使用者の鼻筋に接触する接触面62aが形成される。パッド62は、連結部65の構造により、例えば、使用者の鼻筋にフィットさせるため、脚部64に対する接触面62aの角度が変化するように脚部64に対して若干の範囲で傾動するように設けられる。
鼻当て部60は、支持体61の固定部63の部分が係止パーツ40の後側の面に固定されることで、係止パーツ40に固定される。このため、係止パーツ40の後側には、固定部63を受ける鼻当て取付面48が形成されている。鼻当て取付面48は、係止パーツ40の後側の下端部に形成され、係止パーツ40の板厚を部分的に薄くする段差面である。支持体61は、固定部63の脚部64が延びる側と反対側の面を鼻当て取付面48に接触させた状態で係止パーツ40に固定される。
図8に示すように、支持体61は、2本のネジ66と、係止パーツ40の前側に被さる被装パーツ67とが用いられて、係止パーツ40に固定される。2本のネジ66は、左右方向に並んで配置される。ネジ66は、支持体61の固定部63及び係止パーツ40を貫通するとともに、被装パーツ67にねじ込まれる。
このため、固定部63及び係止パーツ40には、ネジ66が貫通する2個の孔部63a、48aがそれぞれ形成されている。係止パーツ40の孔部48aは、固定部63を受ける鼻当て取付面48に開口するように形成される。また、被装パーツ67には、ネジ66がねじ込まれる2個のボス部67aが形成されている。ボス部67aは、被装パーツ67において係止パーツ40に対向する後側の面である裏面67bに円筒状に突出形成される。円筒状のボス部67aの内周側に、ネジ66がねじ込まれるネジ孔が形成される。
また、図6及び図8に示すように、ネジ66と被装パーツ67とによる支持体61の係止パーツ40に対する固定にともない、係止パーツ40が薄板本体31に取り付けられる。薄板本体31は、ネジ66と被装パーツ67とによって、支持体61とともに係止パーツ40に共締めされる。
係止パーツ40は、前側の面において被装パーツ67との間に薄板本体31を挟んだ状態で、薄板本体31に取り付けられる。薄板本体31は、接続部33の部分が係止パーツ40と被装パーツ67との間に挟まれることで、係止パーツ40の取付けを受ける。このため、係止パーツ40の前側には、薄板本体31の接続部33を受ける薄板支持面49が形成されている。薄板支持面49は、係止パーツ40の前側における上端部を除く略全体に形成され、係止パーツ40の板厚を部分的に薄くする段差面である。薄板本体31は、接続部33の後側の面を薄板支持面49に接触させた状態で係止パーツ40と被装パーツ67との間に挟まれる。
また、係止パーツ40と被装パーツ67とに挟まれる薄板本体31の接続部33には、前側から被装パーツ67のボス部67aを嵌め込ませるための2個の孔部33aがボス部67aの配置に対応して形成されている。つまり、接続部33に形成される孔部33aは、ボス部67aを嵌め込ませるとともに、支持体61及び係止パーツ40を貫通するネジ66のボス部67aへのねじ込みを許容する。したがって、薄板本体31は、被装パーツ67の裏面67bと係止パーツ40の薄板支持面49とに挟まれた状態で、ネジ66と被装パーツ67とによって、係止パーツ40に固定される鼻当て部60の支持体61と共締めされる。
また、係止パーツ40の薄板支持面49の上側面49aは、薄板本体31の接続部33の上端面33bの形状に対応して略V字形状を有する。これに対応して、被装パーツ67の上端面67cも略V字形状を有する。このため、係止パーツ40は、上側面49aによって接続部33の上端面33bを形成する部分に嵌り、被装パーツ67は、上端面67cによって係止パーツ40の上側面49aを形成する部分に嵌る。このように、薄板本体31の接続部33の上端面33b、薄板支持面49の上側面49a、及び被装パーツ67の上端面67cがそれぞれ対応する略V字形状を有することで、薄板本体31、係止パーツ40、及び被装パーツ67の相対的な位置決めがなされる。
以上のように、装着フレーム4においては、フレーム本体11に対して着脱可能に構成される保護部材30に、鼻当て部60が設けられている。装着フレーム4は、鼻当て部60が設けられる保護部材30がフレーム本体11に対して中央係止部51において係止されて取り付けられた状態で使用される。したがって、HMD1の装着フレーム4は、一対のテンプル部13によって使用者の両耳にかかるとともに、前側は2個のパッド62を有する鼻当て部60によって使用者の鼻筋に支持されることで、4箇所で支持される。
なお、鼻当て部60は、保護部材30に対して着脱可能に設けられているが、例えば薄板本体31や係止パーツ40と一体的に設けられることで、保護部材30と一体的に設けられてもよい。ただし、本実施形態のように鼻当て部60が保護部材30に対してネジ66等により取外し可能に固定される構造により、鼻当て部60が傷んだ場合等の交換を行うことが可能となる。
また、装着フレーム4においては、図2及び図3に示すように、フロント部14の左右両側に、保護部材30の左右両端部をフレーム本体11に係止する左右係止部52が設けられている。左右係止部52は、保護部材30の薄板本体31の左右両側の上端角部を、フレーム本体11に固定する。つまり、薄板本体31を構成する一対の被覆部32それぞれの、接続部33によって接続される側と反対側の上側角部が、左右係止部52によってフレーム本体11に固定される。
左右係止部52について、図11を用いて説明する。左右係止部52は、薄板本体31を、留めネジ53によってフロント部14に後側から固定する。薄板本体31は、フロント部14の本体部14aの下側において後側を向くように形成される固定面14dに、留めネジ53によって固定される。
固定面14dは、フロント部14において連結部14bを構成する部材が有する薄板固定部14eにより形成される。薄板固定部14eは、本体部14aの下側で、平面視で略三角形状を有する部分である。薄板固定部14eは、平面視で、本体部14aによって略全体が隠れるように形成される。
固定面14dは、平面視で、弓形に反った形状を有する本体部14aの左右端部の前後方向に対する傾斜に沿って、前後方向に対して傾斜するように形成される。薄板固定部14eには、留めネジ53がねじ込まれるネジ孔14fが、固定面14dに開口するように形成される。また、左右係止部52によって係止される薄板本体31の左右両側の上端角部には、留めネジ53を貫通させる孔部32aが形成されている(図5参照)。
このように、左右係止部52においては、左右中央部が中央係止部51によってフレーム本体11に係止される保護部材30の左右両端部が留めネジ53によって後側からフレーム本体11に固定される。つまり、薄板本体31の左右両端部は、薄板固定部14eの後側に回り込み、薄板本体31の前側の面が固定面14dにワッシャ53aを介して接触した状態で、留めネジ53により固定される。薄板本体31を固定する留めネジ53は、薄板本体31の左右係止部52に形成される孔部32aを貫通するとともに、薄板固定部14eに形成されるネジ孔にねじ込まれる。
以上のように、保護部材30は、フレーム本体11に対して、左右方向の中央部が中央係止部51によって係止されるとともに、左右両端部が左右の左右係止部52によって係止されることで、計3箇所で係止される。保護部材30が中央係止部51及び左右係止部52によってフレーム本体11に係止されることで、薄板本体31は、上記のとおり弾性変形等によってフロント部14の本体部14aに沿って平面視で弓形に反った状態となる。
なお、左右係止部52の構成は、本実施形態に限定されるものではない。左右係止部52の構成としては、例えばネジ等の固定用の部材を用いることなく、例えばワンタッチで保護部材30を係止することができる嵌め込み式の構成等であってもよい。
また、装着フレーム4においては、フレーム本体11に対して着脱可能に設けられる保護部材30として、例えば度付きレンズ等のレンズを含む構成を採用することができる。薄板状の保護部材がレンズを含む場合の構成について、図12を用いて説明する。
図12に示すように、本構成においては、装着フレーム4は、薄板状の保護部材として、レンズを含む保護部材70を備える。保護部材70は、係止パーツ40によってフレーム本体11に係止される薄板本体71にレンズを含む。
薄板本体71は、使用者の左右の眼に対応して形成される左右一対の被覆部72と、これらの被覆部72を接続する接続部73とを有する。被覆部72は、略四角形であり、正面視で使用者の眼が十分に含まれる大きさを有する。接続部73は、例えば視力矯正に用いられる一般的な眼鏡において一対のレンズ部分の間に設けられるブリッジと同様に、一対の被覆部72の対向する辺部を繋ぐ。
そして、薄板本体71は、各被覆部72にレンズ部74を有する。レンズ部74は、例えば度付きレンズや紫外線を遮断する遮光レンズ等のレンズ75によって構成される。レンズ部74は、レンズ75が被覆部72の周縁部76に囲まれた状態で、被覆部72の中央部分を形成する。言い換えると、レンズ部74を構成するレンズ75は、被覆部72の周縁部76の内側に嵌め込まれた態様で設けられる。
レンズ75は、その周囲に形成される溝部に周縁部76の内周端部76aが嵌め込まれることで、周縁部76に保持される。レンズ部74は、一般的な眼鏡やサングラスにおけるレンズと同様の機能を果たすように設けられる。つまり、レンズ75が度付きレンズである場合は、レンズ部74によって、装着フレーム4を装着した使用者の視力が矯正され、レンズ75が遮光レンズである場合は、レンズ部74によって、装着フレーム4を装着した使用者の視界についての遮光機能が得られる。このように、レンズ部74は、保護部材70がフレーム本体11に装着された状態で少なくとも使用者の視界の一部に含まれる。
薄板本体71においては、被覆部72の周縁部76と、一対の周縁部76を接続する接続部73とにより、レンズ部74を保持する枠部77が構成される。枠部77は、フレーム本体11に対して着脱される部分であるとともに、鼻当て部60が設けられる部分である。
したがって、保護部材70は、保護部材30と同様に、フレーム本体11に対して、中央係止部51により、薄板本体71の接続部73に取り付けられる係止パーツ40によって係止される。また、保護部材70は、フレーム本体11に対して、左右係止部52により、薄板本体71の左右両側の上端角部が係止される。このため、薄板本体71の左右両側の上端角部には、留めネジ53を貫通させる孔部72aが形成されている。
なお、本実施形態では、レンズ部74を構成するレンズ75が、枠部77の周縁部76によって全周が囲まれた状態で保持されているが、例えば、レンズ75を保持する部分の一部が、レンズ75の周囲に形成される溝部に嵌め込まれるワイヤ等により構成されてもよい。
以上説明したように、本実施形態に係る装着フレーム4によれば、以下の効果が期待できる。
(1)本実施形態に係る装着フレーム4は、使用者の顔を左右両側から挟む一対のテンプル部13、及びこれら一対のテンプル部13の一端側が連結されるフロント部14を有し、使用者の眼Yの網膜に画像を投影する投影ユニット3を支持する眼鏡型のフレーム本体11と、フレーム本体11に対して着脱可能に構成され、使用者の眼の部分を覆う透過性を有する薄板状の保護部材30とを備える。そして、保護部材30に、使用者の鼻に接触する鼻当て部60が設けられている。これにより、使用者が眼鏡を着用していない者である場合でも、十分な安全性を確保することができる。
具体的には、フレーム本体11に保護部材30が装着されていない状態では、使用者は装着フレーム4を正常に装着することができない。図13に示すように、フレーム本体11に保護部材30が装着されていない装着フレーム4が使用者100に装着された場合、フレーム本体11の前側は支持する部分がなく、例えばフロント部14に設けられる係合片17の部分が直接鼻筋に当たる状態となる。かかる状態は、保護部材30に設けられる鼻当て部60によって支持される場合との比較において明らかに前下がりに傾いた状態である。
このように、フレーム本体11に保護部材30が装着されていない装着フレーム4は、使用者に装着された場合であっても、装着フレーム4に支持される投影ユニット3からの画像光L1を視認することができず使用不可能である。つまり、本実施形態の装着フレーム4によれば、保護部材30によって使用者の安全性が確保されていない状態での装着が不可能であるため、十分な安全性を確保することができる。
また、仮に鼻当てがフレーム本体11に存在する場合、フレーム本体11が何らかの衝撃で変形すると、そのフレーム本体11の変形が鼻当てにも影響する場合がある。この場合、フレーム本体11が正常なHMD1の装着位置からずれるという不具合が生じる可能性がある。この点、本実施形態の装着フレーム4によれば、保護部材30に設けられる鼻当て部60は、フレーム本体11の変形により受ける影響が少なく、正常な装着位置の確保が容易となる。
また、本実施形態の装着フレーム4によれば、例えば、フレーム本体11は複数の使用者によって共用し、保護部材30を各個人で所有するものを使用するという使い方ができる。このような使い方によれば、フレーム本体11を共用することができる分、コストの低減を図ることができる。また、鼻当て部60は使用者の鼻筋に直接接触して比較的汚れやすい部分であるため、鼻当て部60が設けられる保護部材30が各個人の所有となることは衛生的である。つまり、フレーム本体11に対して保護部材30を交換することで、複数人がフレーム本体11を共有する場合、装着フレーム4の鼻当てとして機能する鼻当て部60ごと交換できることから清潔である。
(2)また、本実施形態の装着フレーム4においては、フロント部14における一対のテンプル部13間の中央位置に、保護部材30の中央部をフレーム本体11に係止する中央係止部51が設けられている。これにより、係止パーツ40等の中央係止部51を構成する部材に鼻当て部60を固定することができるので、保護部材30に鼻当て部60を設けるための構造や保護部材30をフレーム本体11に装着するための構造をシンプルにすることができる。
(3)また、本実施形態の装着フレーム4においては、フロント部14の左右両側に、保護部材30の左右両端部をフレーム本体11に係止する左右係止部52が設けられている。これにより、保護部材30に外力が作用した場合に、保護部材30の弾性変形等によって保護部材30が使用者の顔側に変形することを抑えることができ、効果的に安全性を確保することができる。
(4)また、本実施形態の装着フレーム4においては、フレーム本体11に対する保護部材30の着脱方向が上下方向とされている。これにより、フレーム本体11が使用者に装着された状態では、保護部材30にはフレーム本体11の重さがかかるので、保護部材30が装着される方向に力が作用し、保護部材30がフレーム本体11から外れにくくなる。
(5)また、本実施形態の装着フレーム4においては、保護部材70は、フレーム本体11に対して着脱される部分であるとともに、鼻当て部60が設けられる枠部77と、枠部77に保持され、保護部材70がフレーム本体11に装着された状態で少なくとも使用者の視界の一部に含まれるレンズ部74とを有する。これにより、例えば使用者が日常的に眼鏡を着用するものである場合であっても、少ない負担でHMD1を使用することができる。そして、レンズ部74を含まない保護部材30と保護部材70との両方を用意することで、保護部材30と保護部材70との交換が可能となり、HMD1の汎用性の向上を図ることができる。