JP5194741B2 - 記録用インク及びこれを用いたインクジェット記録装置 - Google Patents

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Description

本発明は、記録用インク及び該記録用インクを用いたインクジェット記録装置に関する。
従来より、インクジェット記録用インクの着色剤としては染料が主流であったが、耐水性及び耐光性に劣り、普通紙で滲みやすいという欠点がある。これらの欠点を改良するため、着色剤として顔料を用いたインクが提案されている。この顔料は、耐水性、及び耐光性に優れ、滲みの少ない画像を形成できるが、分散安定性、保存安定性、及び吐出安定性が劣ることが課題となる。
前記顔料を水系媒体中に分散させる方法としては、例えば(1)界面活性剤、ポリマー等の分散剤を顔料に吸着させることで分散させる方法、(2)顔料表面を酸化処理して顔料に結合した親水性官能基によって分散させる方法、(3)顔料粒子の周り又は一部を水分散性ポリマーで被覆することで分散させる方法、などが提案されている。このような顔料を用いたインクを実際にインクジェットプリンターで使用していると、ノズル開口部付近で溶媒が蒸発してインクが流動性を失ったり凝集が発生して、吐出不良を引き起こすことがある。
このような課題を解決するため、インク溶媒蒸発時の粘度上昇を極力抑えるようにインク設計することが試みられている。例えば特許文献1では、インク中の揮発成分を蒸発した後の残留分が液体であり、かつその粘度が初期粘度の10倍以内であるインクが提案されている。しかし、この提案のインクには染料が用いられており、揮発成分が蒸発してもインクが流動しているため、インクが紙内部に浸透して画像濃度が低く、裏抜けが大きい画像となるという問題がある。
また、特許文献2には、25℃、60RH%における質量減少率が30分間でインク総量の5質量%〜25質量%となるインクを使用することで24時間放置後の吐出性が良好となることが開示されている。しかし、実際のインクジェットプリンターを使用する条件には、低湿環境下で特定の色ばかり印字される場合があり、また印字中使用されていないノズルが乾きやすくなることがある。更に、数日間〜数ヶ月間放置されるようなこともあり、蒸発初期の蒸発速度を制御するだけでは高い信頼性は得られない。
また、特許文献3には、60℃で水分蒸発させたときのインクが流動性をもつことで目詰まりに対する高い信頼性が得られることが開示されている。このインクには染料が用いられており、水分蒸発が進んで色材のインクに対する濃度が飽和濃度以上になっても色材が会合しないよう制御されているため、普通紙に記録した場合に色材が表面に留まりにくく、画像濃度が低く、裏抜けが大きい画像となる。また、このインクは水分が多いため、紙に皺がよるコックリングとよばれる現象が発生しやすいという問題がある。
また、本願出願人は、普通紙においても高品位の画像を形成でき、短期及び長期の信頼性を確保できるインクジェット用インクを提供するため、先に、水分蒸発量と粘度上昇率と平均粒径の変化率を制御したインクについて提案している(特許文献4参照)。
これらの提案では、インク乾燥による吐出不良を発生させずに高い信頼性を得るため、インク溶媒蒸発時の粘度上昇を極力抑えるように検討がなされているが、普通紙において滲みが少なく、高品位な画質が得られ、かつ放置後安定した吐出が可能となるインクについては、未だ十分満足できる性能を有するものは得られておらず、更なる改良、開発が望まれているのが現状である。
特開2000−95983号公報 特開2001−262025号公報 特許第3805006号公報 特開2006−16412号公報
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、普通紙での滲みが少なく、放置後であっても安定したインク吐出性を有し、高品位の画像が得られる記録用インク、及び該記録用インクを用いたメンテナンス部材へのインク付着を防止でき、吐出安定性に優れ、コックリングの発生を防止でき、用紙搬送性に優れ、印字後乾燥性が良好で、両面印刷適正に優れたインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、これまでは、インク中の揮発成分が蒸発して粘度が上昇することが、吐出性悪化の原因として議論されてきたが、インク成分の揮発に伴う粘度上昇という現象のみならず、インクが濃縮されて固形分濃度が上昇することで分散系のレオロジーが変化し、ニュートン流体から非ニュートン流体となることによって吐出特性が悪化することが一因であることを知見した。
また、放置後安定したインク吐出性を得るため、揮発成分蒸発時の流動特性を最適化することにより、印字中使用されないノズル内のインクの乾燥、数日から数ヶ月間使用せず放置されたインクジェットプリンターの供給経路における揮発成分の蒸発による吐出不良を改善できることを知見した。
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては以下の通りである。即ち、
<1> 少なくとも水、湿潤剤、界面活性剤、及び着色剤を含有してなる記録用インクであって、
前記記録用インク全質量に対して水分蒸発量が35質量%以下では非ニュートン指数が0.9以上1.0未満であり、水分蒸発量が45質量%では非ニュートン指数が0.4以上0.95以下であり、かつ水分蒸発量が50質量%では非ニュートン指数が0.7以下であることを特徴とする記録用インクである。
<2> 水を45質量%〜65質量%含有し、湿潤剤を20質量%〜40質量%含有する前記<1>に記載の記録用インクである。
<3> 湿潤剤が、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ヘキサンジオール、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン及びN−ヒドロキシエチル−2−ピロリドンから選択される少なくとも1種である前記<1>から<2>のいずれかに記載の記録用インクである。
<4> 少なくとも2種類の湿潤剤を含有し、着色剤に対する相溶性が高い湿潤剤Aの含有量Cと、該湿潤剤A以外の湿潤剤Bの合計含有量Cが、次式、C≧Cを満たす前記<1>から<3>のいずれかに記載の記録用インクである。
<5> 25℃における粘度が、6mPa・s〜15mPa・sである前記<1>から<4>のいずれかに記載の記録用インクである。
<6> 浸透剤を含有し、該浸透剤が炭素数7〜11のポリオール化合物を含有する前記<1>から<5>のいずれかに記載の記録用インクである。
<7> 水及び湿潤剤に不溶であり、かつ乾燥すると膜を形成可能な樹脂微粒子を含有する前記<1>から<6>のいずれかに記載の記録用インクである。
<8> 着色剤が、表面に親水基を有するカーボンブラックである前記<1>から<7>のいずれかに記載の記録用インクである。
<9> 着色剤が、ポリマー微粒子に水不溶性乃至水難溶性の色材を含有させてなるポリマーエマルジョンである前記<1>から<7>のいずれかに記載の記録用インクである。
<10> 前記<1>から<9>のいずれかに記載の記録用インクに刺激を付与し、該インクを記録ヘッドから液滴として飛翔させて記録媒体上に画像を記録するインク飛翔手段を有するインクジェット記録装置であって、
前記記録ヘッドのインク吐出用開口部が形成されている面に撥インク層を有することを特徴とする記録装置である。
<11> インク吐出面に付着した記録用インクを清掃するためのブレードを有する前記<10>に記載の記録装置である。
<12> ブレードに付着した記録用インクを掻き落とすための掻き落し部材を有する前記<11>に記載の記録装置である。
<13> 記録媒体を反転させて両面印刷可能とする反転手段を有する前記<10>から<12>のいずれかに記載の記録装置である。
<14> 無端状の搬送ベルトの表面を帯電させて記録媒体を搬送する搬送手段を有する前記<10>から<13>のいずれかに記載の記録装置である。
本発明によると、従来における諸問題を解決することができ、普通紙での滲みが少なく、放置後であっても安定したインク吐出性を有し、高品位の画像が得られる記録用インク、及び該記録用インクを用いたメンテナンス部材へのインク付着を防止でき、吐出安定性に優れ、コックリングの発生を防止でき、用紙搬送性に優れ、印字後乾燥性が良好で、両面印刷適正に優れたインクジェット記録装置を提供することができる。
(記録用インク)
本発明の記録用インクは、少なくとも水、湿潤剤、界面活性剤、及び着色剤を含有してなり、樹脂微粒子、浸透剤、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
本発明において、放置後安定したインク吐出性を得るためには、揮発成分蒸発時の流動特性を最適化することが有効であり、揮発成分の蒸発初期、即ち水分蒸発量が35質量%以下ではニュートン性、又は限りなくニュートン性に近い流動特性を示すことにより、印字中使用されないノズル内のインクの乾燥、数日間から数ヶ月間使用せず放置されたインクジェットプリンターの供給経路における揮発成分の蒸発による吐出不良を改善することができる。
ここで、前記ニュートン流体とは、下記式(1)で示す関係を満たす流体を意味する。
s=ηD ・・・式(1)
ただし、前記式(1)中、sはずり応力、ηは粘性係数、Dはずり速度である。
一方、非ニュートン流体とは、下記式(2)で示す関係を満たす流体を意味する。
s=μD、1>n>0 ・・・ 式(2)
ただし、前記式(2)中、sはずり応力、Dはずり速度、nは非ニュートン指数、μは非ニュートン係数である。
前記非ニュートン指数nは、ニュートン流体とかけ離れた挙動を示す値であり、n=1のときはずり速度によらず粘度は一定であるが、nが1から離れるほど、ずり速度によって粘度が変化する。
また、前記非ニュートン指数が、1>n>0となる流体は疑塑性、n>1となる流体はダイラントと呼ばれ、これらはずり速度が大きくなるほど粘度が減少する。即ちずり速度に依存するので、非ニュートン流体の粘度は、それを測ったときのずり速度における値という意味で見かけ粘度という。該見かけ粘度がずり速度の増加に伴い減少するのは、ずり変形力の増大により構造破壊が進むからである。
このように、ずり速度1点での測定で得られた見かけの粘度だけではわからない、分散系の構造変化を捉えるために、非ニュートン指数を観察することが有効となる。
ここで、水分蒸発時のインクの非ニュートン指数の測定方法は、まず、インクをサンプル瓶に5g程度量り取り、50℃の恒温槽で所望の水分蒸発量となるまで水分を蒸発させる。水分の蒸発及び吸湿を防ぐため蓋をして1日放置した後、よく掻き混ぜてから回転粘度計(RE550L、東機産業株式会社製)でずり速度を変えて測定する。縦軸にずり応力s、横軸にずり速度Dをとり、上記式(2)より非ニュートン指数nを求めることができる。
このようにして求められる非ニュートン指数が、水分蒸発量が35質量%以下では非ニュートン指数が0.9以上1.0未満であり、水分蒸発量が45質量%では非ニュートン指数が0.4以上0.95以下であり、かつ水分蒸発量が50質量%では非ニュートン指数が0.7以下であり、水分蒸発量が35質量%以下では非ニュートン指数が0.95以上1.0未満であり、水分蒸発量が45質量%では非ニュートン指数が0.5以上0.8以下であり、かつ水分蒸発量が50質量%では非ニュートン指数が0.5以下であることが好ましい。
前記水分蒸発量が35質量%以下で非ニュートン指数が0.9未満となるインクは、低湿環境で印字を行ったり、数日間〜数ヶ月間まったく印字が行われなかった場合、次に印字する際に吐出不良が発生しやすくなることがある。
放置後の吐出性については大きく分けて2つの現象が考えられる。一つめは数日間から数週間印字されずに放置された非印刷時間が比較的短期の場合、ノズル付近の水分蒸発によるインクの分散構造変化が要因となり不吐出が発生する。2つめは、数ヶ月間印字されず長期間放置される場合、ノズル付近の水分蒸発だけではなく、インク流路であるチューブの透湿により徐々に水分が蒸発しインクの分散構造変化が進行する。流路内でニュートン性を失ったインクは送液が困難となり、吐出不良、更にはインクジェットプリンタの故障の原因となる。
水分蒸発量が35質量%以下で非ニュートン指数が0.9未満となるインクは、ノズル面に付着したインクをクリーニング動作によって拭き取れず、逆にノズル面にインクを広げて汚してしまうことがある。また、ノズル面を清掃するためのワイパーブレードに付着したインクが流動せずそのまま乾燥が進み固着してしまうこともある。
更に、ある程度水分が蒸発した時点でインクが凝集することで、紙の内部まで着色剤が移動することを防ぐことができる。これにより高い画像濃度かつ裏抜けの少ない画像を提供できる。そのため、水分蒸発量が45質量%では非ニュートン指数が0.4以上0.95以下であり、かつ水分蒸発量が50質量%では非ニュートン指数が0.7以下である。
このようなインク水分蒸発時の非ニュートン指数は、インク中の水分量、溶剤種、溶剤量、固形分量、着色剤の種類などが影響する。
前記記録用インクの非ニュートン指数を本発明の前記所定の範囲とするための、着色剤、及び溶剤種などのインク組成については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、着色剤及び樹脂の含有量は6質量%〜12質量%、湿潤剤の含有量は20質量%〜40質量%、水の含有量は45質量%〜65質量%であることが好ましい。
−湿潤剤−
水が蒸発し、インク中の残存水分量中の湿潤剤比率が高くなった場合、着色剤との相溶性が悪い成分が多いほど増粘凝集が発生し、インクは流動性を失う傾向にある。湿潤剤と着色剤との相溶性については、着色剤の分散基の影響が考えられる。例えば表面酸化処理カーボンブラックの場合、水酸化ナトリウムによる中和度が影響し、中和度の低い顔料を用いた方が、インク中の水分を40質量%蒸発させたときに流動性を保てる傾向がある。
したがって、少なくとも2種類の湿潤剤を含有し、着色剤に対する相溶性が高い湿潤剤Aの含有量Cと、該湿潤剤A以外の湿潤剤Bの合計含有量Cが、次式、C≧Cを満たすことが好ましい。
ここで、着色剤と湿潤剤との相溶性は、例えば着色剤(固形分8質量%)と、湿潤剤(C+C=30質量%)を混合して、密閉容器内で50℃環境下、1ヶ月保存したときの粘度変化をみることで確認できる。相溶性が良い場合には、保存前後で粘度変化がみられないが、相溶性が悪いと増粘傾向となることで判別できる。
前記湿潤剤Aとしては、例えばグリセリン、などが挙げられる。
前記湿潤剤Bとしては、例えばジエチレングリコール、2−ピロリドン、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,3−ブタンジオール、プロピレングリコール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、などが挙げられる。
−界面活性剤−
前記界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、フッ素系界面活性剤から選ばれる一種を単独、又は二種以上を混合して用いることができる。
前記アニオン界面活性剤としては、例えばアルキルアリル、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルエステル硫酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルアリールエーテルリン酸塩、アルキルアリールエーテル硫酸塩、アルキルアリールエーテルエステル硫酸塩、オレフィンスルホン酸塩、アルカンオレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、エーテルカルボキシレート、スルホコハク酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル、脂肪酸塩、高級脂肪酸とアミノ酸の縮合物、ナフテン酸塩、などが挙げられる。
前記ノニオン系界面活性剤としては、例えばアセチレングリコール系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、などが挙げられる。
前記カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩、ジアルキルアミン塩、脂肪族アミン塩、ベンザルコニウム塩、第4級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、などが挙げられる。
前記両性界面活性剤としては、例えばイミダゾリニウムベタイン等のイミダゾリン誘導体;ジメチルアルキルラウリルベタイン、アルキルグリシン、アルキルジ(アミノエチル)グリシン、などが挙げられる。
前記フッ素系界面活性剤としては、例えば、下記一般式(1)〜(3)のいずれかで表される化合物が挙げられる。
ただし、前記一般式(1)中、mは、0〜10の整数を表す。nは、1〜40の整数を表す。
ただし、前記一般式(2)中、RFは、CF又はCFCFを表す。mは6〜25の整数を表し、nは1〜4の整数を表し、pは1〜4を表す。
ただし、前記一般式(3)中、RFは、CF又はCFCFを表す。qは1〜6の整数を表す。
前記一般式(1)〜(3)で表される化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸塩、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルベタイン化合物、パーフルオロアルキルアミンオキサイド化合物などが挙げられる。
前記フッ素系界面活性剤の具体的な市販品としては、入手が容易であることから、例えば、ソフタールEP7025(株式会社日本触媒製)、サーフロンS−111,S−112,S−113,S121,S131,S132,S−141,S−145(いずれも、旭硝子株式会社製);フルラードFC−93,FC−95,FC−98,FC−129,FC−135,FC−170C,FC−430,FC−431,FC−4430(いずれも、住友スリーエム株式会社製);メガファックF−470,F−1405,F474(いずれも、大日本インキ化学工業株式会社製);ゾニールFS−300,FSN,FSN−100,FSO(いずれも、デュポン社製)、エフトップEF−351,352,801,802(いずれも、ジェムコ株式会社製)、などが好適に挙げられる。これらの中でも,信頼性と発色向上に関して良好なゾニールFS−300、FSN、FSN−100、FSO(いずれも、デュポン社製)が、特に好適に使用できる。
なお、前記界面活性剤の添加量は、顔料を安定に分散させ、本発明の他の効果を損なわない範囲で適宣調整することができる。
−着色剤−
前記着色剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、(1)表面に親水基を有するカーボンブラック、(2)ポリマー微粒子に非水溶性乃至水難溶性の色材を含有させてなるポリマーエマルジョンなどが好適である。
前記(1)の表面に親水基を有するカーボンブラックは、カーボンブラックの表面に少なくとも1種の親水基が直接もしくは他の原子団を介して結合するように表面改質されたものである。該表面改質は、カーボンブラックの表面に、ある特定の官能基(スルホン基やカルボキシル基等の官能基)を化学的に結合させるか、あるいは、次亜ハロゲン酸又はその塩の少なくともいずれかを用いて湿式酸化処理するなどの方法が用いられる。これらの中でも、カーボンブラックの表面にカルボキシル基が結合され、水中に分散している形態が特に好ましい。このようにカーボンブラックが表面改質され、カルボキシル基が結合しているため、分散安定性が向上するばかりではなく、高品位な印字品質が得られるとともに、印字後の記録媒体の耐水性がより向上する。
この自己分散性カーボンブラックを含有するインクは乾燥後の再分散性に優れるため、長期間印字を休止し、インクジェットヘッドノズル付近のインク水分が蒸発した場合も目詰まりを起こさず、簡単なクリーニング動作で容易に良好な印字が行える。
前記自己分散性カーボンブラックの体積平均粒径(D50)は、インク中において0.01μm〜0.16μmが好ましい。
前記カーボンブラックとしては、公知のカーボンブラックの製造方法で製造されたものであり、チャンネル法、オイルファーネス法、ファーネス法、アセチレンブラック法、サーマルブラック法等で製造されたものを用いることができる。
前記カーボンブラックとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば#2700、#2650、#2600、#2450B、#2400B、#2350、#230、#1000、#990、#980、#970、#960、#950、#900、#850、#750B、MCF88、#650B、MA600、MA77、MA7、MA8、MA11、MA100、MA100R、MA100S、MA220、MA230、MA200RB、MA14、#52、#50、#47、#45、#45L、#44、#40、#33、#32、#30、#25、#20、#10、#5、#95、#85、CF9、#260(いずれも、三菱化学株式会社製);Raven700、同5750、同5250、同5000、同3500、同1255(いずれも、コロンビア社製);Regal 400R、同330R、同660R、Mogul L、Monarch700、同800、同880、同900、同1000、同1100、同1300、Monarch 1400(いずれも、キャボット社製);カラーブラックFW1、同FW2、同FW2V、同FW18、同FW200、同S150、同S160、同S170、プリンテックス35、同U、同V、同140U、同140V、スペシャルブラック6、同5、同4A、同4(いずれも、デグッサ社製);トーカブラック#8500、同#8300、同#7550、同#7400、同#7360、同#7350、同#7270、同#7100(いずれも、東海カーボン株式会社製);シヨウブラックN110、同N220、同N234、同N339、同N330、同N326、同N330T、同MAF、同N550(いずれも、キャボットジャパン社製)、などが挙げられる。
前記自己分散型カーボンブラックとしては、イオン性を有するものが好ましく、アニオン性に帯電したものやカチオン性に帯電したものが好適である。
前記アニオン性親水基としては、例えば、−COOM、−SOM、−POHM、−PO、−SONH、−SONHCOR(ただし、Mは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを表す。Rは、炭素原子数1〜12のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基又は置換基を有してもよいナフチル基を表す)等が挙げられる。これらの中でも、−COOM、−SOMがカラー顔料表面に結合されたものを用いることが好ましい。
また、前記親水基中における「M」は、アルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、等が挙げられる。前記有機アンモニウムとしては、例えば、モノ乃至トリメチルアンモニウム、モノ乃至トリエチルアンモニウム、モノ乃至トリメタノールアンモニウムが挙げられる。前記アニオン性に帯電したカラー顔料を得る方法としては、カラー顔料表面に−COONaを導入する方法として、例えば、カラー顔料を次亜塩素酸ソーダで酸化処理する方法、スルホン化による方法、ジアゾニウム塩を反応させる方法が挙げられる。
前記カチオン性親水基としては、例えば、第4級アンモニウム基が好ましく、下記に挙げる第4級アンモニウム基がより好ましく、本発明においては、これらのいずれかがカーボンブラック表面に結合されたものが着色剤として好適である。
前記親水基が結合されたカチオン性の自己分散型カーボンブラックを製造する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記構造式で表されるN−エチルピリジル基を結合させる方法として、カーボンブラックを3−アミノ−N−エチルピリジウムブロマイドで処理する方法が挙げられる。
前記親水基は、他の原子団を介してカーボンブラックの表面に結合されていてもよい。他の原子団としては、例えば、炭素原子数1〜12のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基又は置換基を有してもよいナフチル基が挙げられる。上記した親水基が他の原子団を介してカーボンブラックの表面に結合する場合の具体例としては、例えば、−CCOOM(ただし、Mは、アルカリ金属、又は第4級アンモニウムを表す)、−PhSOM(ただし、Phはフェニル基を表す。Mは、アルカリ金属、又は第4級アンモニウムを表す)、−C10NH 等が挙げられる。
前記(2)の色材を含有したポリマーエマルジョンとは、ポリマー微粒子中に色材を封入したもの、及びポリマー微粒子の表面に色材を吸着させたものの少なくともいずれかを意味する。例えば、特開2001−139849号公報に記載されたものなどが挙げられる。
この場合、全ての色材がポリマー微粒子中に封入及び/又は吸着している必要はなく、本発明の効果が損なわれない範囲で該色材がエマルジョン中に分散にしていてもよい。
前記「水不溶性又は水難溶性」とは、20℃で水100質量部に対し色材が10質量部以上溶解しないことを意味する。また、前記「溶解する」とは、目視で水溶液表層又は下層に色材の分離や沈降が認められないことを意味する。
前記ポリマーエマルジョンを形成するポリマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビニル系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリウレタン系ポリマー、特開2000−53897号公報、特開2001−139849号公報に開示されているポリマーなどが挙げられる。これらの中でも、ビニル系ポリマー、ポリエステル系ポリマーが特に好ましい。
前記色材を含有させたポリマー微粒子(着色微粒子)の体積平均粒径は、前記インク中において0.01〜0.16μmが好ましい。
前記色材としては、例えば、染料や、顔料等が挙げられる。これらの中でも、耐水性、耐侯性が良好である点から顔料が好ましい。
前記顔料はブラック顔料としてカーボンブラックが挙げられる。
カラー顔料としては、アントラキノン、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ジアゾ、モノアゾ、ピラントロン、ペリレン、複素環式イエロー、キナクリドン、(チオ)インジゴイドを含む。フタロシアニンブルーの代表的な例は銅フタロシアニンブルー又はその誘導体(ピグメントブルー15)を含む。キナクリドンの代表的な例はC.I.ピグメントオレンジ48、C.I.ピグメントオレンジ49、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド192、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド207、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット42を含む。アントラキノンの代表的な例はC.I.ピグメントレッド43、C.I.ピグメントレッド194(ペリノンレッド)、C.I.ピグメントレッド216(臭素化ピラントロンレッド)、C.I.ピグメントレッド226(ピラントロンレッド)を含む。ピレリンの代表的な例はC.I.ピグメントレッド123(ベルミリオン)、C.I.ピグメントレッド149(スカーレット)、C.I.ピグメントレッド179(マルーン)、C.I.ピグメントレッド190(レッド)、C.I.ピグメントバイオレット、C.I.ピグメントレッド189(イエローシェードレッド)、C.I.ピグメントレッド224を含む。チオインジゴイドの代表的な例はC.I.ピグメントレッド86、C.I.ピグメントレッド87、C.I.ピグメントレッド88、C.I.ピグメントレッド181、C.I.ピグメントレッド198、C.I.ピグメントバイオレット36、C.I.ピグメントバイオレット38を含む。複素環式イエローの代表的な例はC.I.ピグメントイエロー117、C.I.ピグメントイエロー138を含む。その他の適切な着色顔料の例は、The Colour Index、第三版(The Society of Dyers and Colourists,1982)に記載されている。
前記染料としては、例えば、水溶性染料、油溶性染料、分散染料等が挙げられる。
前記水溶性染料としては、カラーインデックスにおいて酸性染料、直接性染料、塩基性染料、反応性染料、食用染料に分類される染料であり、好ましくは耐水、耐光性が優れたものが用いられる。
前記酸性染料及び食用染料としては、例えば、C.I.アシッドイエロー 17,23,42,44,79,142;C.I.アシッドレッド 1,8,13,14,18,26,27,35,37,42,52,82,87,89,92,97,106,111,114,115,134,186,249,254,289;C.I.アシッドブルー 9,29,45,92,249;C.I.アシッドブラック 1,2,7,24,26,94;C.I.フードイエロー 3,4;C.I.フードレッド 7,9,14;C.I.フードブラック 1,2などが挙げられる。
前記直接性染料としては、例えば、C.I.ダイレクトイエロー 1,12,24,26,33,44,50,86,120,132,142,144;C.I.ダイレクトレッド 1,4,9,13,17,20,28,31,39,80,81,83,89,225,227;C.I.ダイレクトオレンジ 26,29,62,102;C.I.ダイレクトブルー 1,2,6,15,22,25,71,76,79,86,87,90,98,163,165,199,202;C.I.ダイレクトブラック 19,22,32,38,51,56,71,74,75,77,154,168,171などが挙げられる。
前記塩基性染料としては、例えば、C.I.べーシックイエロー 1,2,11,13,14,15,19,21,23,24,25,28,29,32,36,40,41,45,49,51,53,63,64,65,67,70,73,77,87,91;C.I.ベーシックレッド 2,12,13,14,15,18,22,23,24,27,29,35,36,38,39,46,49,51,52,54,59,68,69,70,73,78,82,102,104,109,112;C.I.べーシックブルー 1,3,5,7,9,21,22,26,35,41,45,47,54,62,65,66,67,69,75,77,78,89,92,93,105,117,120,122,124,129,137,141,147,155;C.I.ベーシックブラック 2,8などが挙げられる。
前記反応性染料としては、例えば、C.I.リアクティブブラック 3,4,7,11,12,17;C.I.リアクティブイエロー 1,5,11,13,14,20,21,22,25,40,47,51,55,65,67;C.I.リアクティブレッド 1,14,17,25,26,32,37,44,46,55,60,66,74,79,96,97;C.I.リアクティブブルー 1,2,7,14,15,23,32,35,38,41,63,80,95などが挙げられる。
本発明においては、分散剤で水性媒体中に分散させて得られた顔料を併用することも可能である。好ましい分散剤としては、従来公知の顔料分散液を調整するのに用いられる公知の分散剤を使用することができ、例えば以下のものが挙げられる。ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸−アクリロニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体、酢酸ビニル−脂肪酸ビニルエチレン共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体などが挙げられる。
これらの共重合体は質量平均分子量が3,000〜50,000であるのが好ましく、5,000〜30,000がより好ましく、7,000〜15,000が更に好ましい。
前記分散剤の添加量は、顔料を安定に分散させ、本発明の他の効果を失わせない範囲で適宣添加されてよい。質量比(顔料:分散剤)が1:0.06〜1:3の範囲が好ましく、1:0.125〜1:3の範囲がより好ましい。
−浸透剤−
本発明では、浸透剤として炭素数7〜11のジオール化合物を用いることができる。炭素数が7未満であると、十分な浸透性が得られず、両面印刷時に記録媒体を汚したり、記録媒体上でのインクの広がりが不十分で画素の埋まりが悪くなるため、文字品位や画像濃度の低下が生じることがあり、11を超えると保存安定性が低下することがある。
前記ジオール化合物としては、例えば、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールなどが好適である。
前記ジオール化合物の添加量は0.1質量%〜20質量%が好ましく、0.5質量%〜10質量%がより好ましい。前記添加量が少なすぎると、インクの記録媒体への浸透性が劣り、搬送時にコロで擦られて汚れが発生したり、両面印字のため記録媒体の記録面を反転させる際に搬送ベルトにインクを付着させて汚れが発生したり、高速印字や両面印字に対応できないことがある。一方、添加量が多すぎると、印字ドット径が大きくなり、文字の線幅が広くなったり、画像鮮明度が低下することがある。
−樹脂微粒子−
本発明の記録用インクにおいて、樹脂微粒子を添加することができる。樹脂微粒子とは、水に不溶性の樹脂が水に分散した状態で存在したもので、溶媒が蒸発すると樹脂微粒子同士が融着して膜を形成し、着色剤をメディア上に固着させる効果を持つ。また、溶媒が蒸発すると増粘・凝集する性質を持ち、着色成分の浸透を抑制し高い画像濃度が得られ、また裏抜けを防止する効果も得られる。
インク中に安定して存在しかつ水分蒸発時に著しい分散構造変化を引き起こさないために、インクに添加する湿潤剤に樹脂微粒子が不溶であることが有効である。湿潤剤への安定性は、湿潤剤と樹脂微粒子分散体を質量比が1:1の割合で混合し、60℃で5日間保存しても粘度変化や粒径変化がないことで確認できる。
前記樹脂成分としては、例えばアクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル−スチレン系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン系樹脂、ウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、などが挙げられる。前記樹脂エマルジョンの添加量は、記録用インクの0.1質量%〜40質量%となるように含有するのが好ましく、1質量%〜25質量%がより好ましい。前記樹脂微粒子が0.1質量%未満であると、十分な定着性が得られないことがあり、40質量%を超えると固形分が多く溶媒が少ない組成となることから、保存安定性が悪化したりノズルでの乾燥や固化が発生しやすくなり吐出性が低下したりする場合がある。
前記樹脂微粒子の顔料に対する添加量は、顔料1質量部に対し樹脂微粒子を0.05質量部〜1.2質量部添加することが好ましく、0.2質量部〜1.0質量部がより好ましい。前記樹脂微粒子の添加量が、0.05質量部未満であると、十分な定着性が得えられないことがあり、1.2質量部を超えると、保存安定性が悪化したり、吐出性が低下することがある。
前記樹脂微粒子の体積平均粒径が50nm〜180nmであることが好ましく、70nm〜160nmであることがより好ましい。前記体積平均粒径が50nm未満であると、樹脂エマルジョンの粘度が高くなり、インクジェットプリンターで吐出可能なインク粘度とすることが困難となる。また、繊維の隙間を埋めて色材を表面に留めにくくなるため、画像濃度が低くなる傾向がある。一方、前記体積平均粒径が180nmを超えると、インクジェットプリンターのノズルで詰まり易くなり、吐出不良が発生する傾向がある。
−その他の成分−
その他の成分としては、特に制限はなく、必要に応じて適宜選択することができ、例えば、pH調整剤、防腐防黴剤、防錆剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸素吸収剤、光安定化剤、などが挙げられる。
前記防腐防黴剤としては、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、等が挙げられる。
前記pH調整剤としては、調合されるインクに悪影響をおよぼさずにpHを7以上に調整できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて任意の物質を使用することができる。
該pH調製剤としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属元素の水酸化物;水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、等が挙げられる。
前記防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト、等が挙げられる。
前記酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、りん系酸化防止剤、などが挙げられる。
前記フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)としては、例えば、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]2,4,8,10−テトライキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス[メチレン−3−(3',5'−ジ−tert−ブチル−4'−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、などが挙げられる。
前記アミン系酸化防止剤としては、例えば、フェニル−β−ナフチルアミン、α−ナフチルアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチル−フェノール、ブチルヒドロキシアニソール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、テトラキス[メチレン−3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ジヒドロキフェニル)プロピオネート]メタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、等が挙げられる。
前記硫黄系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ジミリスチル3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリルβ,β’−チオジプロピオネート、2−メルカプトベンゾイミダゾール、ジラウリルサルファイド等が挙げられる。
前記リン系酸化防止剤としては、トリフェニルフォスファイト、オクタデシルフォスファイト、トリイソデシルフォスファイト、トリラウリルトリチオフォスファイト、トリノニルフェニルフォスファイト、等が挙げられる。
前記紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ニッケル錯塩系紫外線吸収剤、などが挙げられる。
前記ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、等が挙げられる。
前記ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2'−ヒドロキシ−5'−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−4'−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2'−ヒドロキシ−3'−tert−ブチル−5'−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、等が挙げられる。
前記サリチレート系紫外線吸収剤としては、例えば、フェニルサリチレート、p−tert−ブチルフェニルサリチレート、p−オクチルフェニルサリチレート、等が挙げられる。
前記シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、例えば、エチル−2−シアノ−3,3'−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート、ブチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート、等が挙げられる。
前記ニッケル錯塩系紫外線吸収剤としては、例えば、ニッケルビス(オクチルフェニル)サルファイド、2,2’−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)−n−ブチルアミンニッケル(II)、2,2’−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)−2−エチルヘキシルアミンニッケル(II)、2,2’−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)トリエタノールアミンニッケル(II)、等が挙げられる。
本発明の記録用インクの物性としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、固形分量、粘度、表面張力、pH等が以下の範囲であることが好ましい。
前記記録用インク中の固形分量は、5質量%〜20質量%が好ましく、6質量%〜15質量%がより好ましい。前記固形分量が5質量%未満であると、印字後十分な画像濃度を得ることができないことがある。
ここで、本発明におけるインク中の固形分量とは、主として水不溶の着色剤と樹脂微粒子を意味する。
前記粘度は、25℃で、6mPa・s〜15mPa・sが好ましく、6.5mPa・s〜12mPa・sがより好ましい。前記粘度が15mPa・sを超えると、吐出安定性の確保が困難になることがある。
前記表面張力としては、20℃で、25〜40mN/mが好ましい。前記表面張力が、25mN/m未満であると、記録媒体上での滲みが顕著になり、安定した噴射が得られないことがあり、40mN/mを超えると、記録媒体へのインク浸透が十分に起らず、乾燥時間の長時間化を招くことがある。
前記pHとしては、例えば、7〜10が好ましい。
インクを長期保存すると、物性変化がみられる。特に加熱して保存すると、インクの粘度上昇やpHの低下がみられるが、できる限り変化が少ないことが好ましい。例えば、60℃で2週間保存後の増粘率は5%以内であることが好ましく、pHの低下率は−5%以内であることが好ましい。
本発明の記録用インクは、各種分野において好適に使用することができ、インクジェット記録方式による画像記録装置(プリンタ等)において好適に使用することができ、例えば、印字又は印字前後に記録媒体及び前記記録用インクを50℃〜200℃で加熱し、印字定着を促進する機能を有するもののプリンタ等に使用することもでき、以下のインクカートリッジ、インク記録物、インクジェット記録装置、インクジェット記録方法に特に好適に使用することができる。
<インクカートリッジ>
本発明で用いられるインクカートリッジは、本発明の前記記録用インクを容器中に収容してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の部材等を有してなる。
前記容器としては、特に制限はなく、目的に応じてその形状、構造、大きさ、材質等を適宜選択することができ、例えば、アルミニウムラミネートフィルム、樹脂フィルム等で
形成されたインク袋などを少なくとも有するもの、などが好適に挙げられる。
前記インクカートリッジにおけるインクの収容量は15g以上が好ましい。前記収容量が15g未満であると、本発明のインクジェット記録装置のように印写枚数の多い場合は、カートリッジ交換頻度が高くなり、本発明の目的及び作用効果を奏し得ないことがある。また、本発明のインクジェット記録装置によれば、このような大容量のインクタンクを用いた場合でも、保存により接液不良となりエアリークが起きて泡発生に至らないように改良が施されている。
次に、インクカートリッジについて、図1及び図2を参照して説明する。ここで、図1は、本発明のインクカートリッジの一例を示す図であり、図2は図1のインクカートリッジのケース(外装)も含めた図である。
インクカートリッジ10は、図1に示すように、インク注入口42からインク袋41内に充填され、排気した後、該インク注入口42は融着により閉じられる。使用時には、ゴム部材からなるインク排出口43に装置本体の針を刺して装置に供給される。
インク袋41は、透気性のないアルミニウムラミネートフィルム等の包装部材により形成されている。このインク袋41は、図2に示すように、通常、プラスチックス製のカートリッジケース44内に収容され、各種インクジェット記録装置に着脱可能に装着して用いられるようになっている。
(インクジェット記録装置)
本発明のインクジェット記録装置は、インク飛翔手段を少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、刺激発生手段、制御手段等を有してなる。
本発明で用いられるインクジェット記録方法は、インク飛翔工程を少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば、刺激発生工程、制御工程等を含んでなる。
本発明で用いられるインクジェット記録方法は、本発明のインクジェット記録装置により好適に実施することができ、前記インク飛翔工程は前記インク飛翔手段により好適に行うことができる。また、前記その他の工程は、前記その他の手段により好適に行うことができる。
−インク飛翔工程及びインク飛翔手段−
前記インク飛翔工程は、本発明の前記記録用インクに刺激を付与し、該インクを記録ヘッドから液滴として飛翔させて記録媒体上に画像を記録する工程である。
前記インク飛翔手段は、本発明の前記記録用インクに刺激を付与し、該インクを記録ヘッドから液滴として飛翔させて記録媒体上に画像を記録する手段である。該インク飛翔手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、各種のヘッド(インク吐出ヘッド)が挙げられ、特に複数のノズル列を有するヘッドと、液体保管用タンクから供給される液体を収容して前記ヘッドに液体を供給するサブタンクとを有するものが好ましい。
前記サブタンクは、該サブタンク内に負圧を発生するための負圧発生手段と、該サブタンク内を大気開放するための大気開放手段と、電気抵抗の差によりインクの有無を検知する検知手段とを有するものが好ましい。
前記刺激は、例えば、前記刺激発生手段により発生させることができ、該刺激としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、熱(温度)、圧力、振動、光、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、熱、圧力が好適に挙げられる。
なお、前記刺激発生手段としては、例えば、加熱装置、加圧装置、圧電素子、振動発生装置、超音波発振器、ライト、などが挙げられ、具体的には、例えば、圧電素子等の圧電アクチュエータ、発熱抵抗体等の電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータ等、などが挙げられる。
前記記録用インクの飛翔の態様としては、特に制限はなく、前記刺激の種類等応じて異なり、例えば、前記刺激が「熱」の場合、記録ヘッド内の前記記録用インクに対し、記録信号に対応した熱エネルギーを例えばサーマルヘッド等を用いて付与し、該熱エネルギーにより前記記録用インクに気泡を発生させ、該気泡の圧力により、該記録ヘッドのノズル孔から該記録用インクを液滴として吐出噴射させる方法、などが挙げられる。また、前記刺激が「圧力」の場合、例えば記録ヘッド内のインク流路内にある圧力室と呼ばれる位置に接着された圧電素子に電圧を印加することにより、圧電素子が撓み、圧力室の容積が縮小して、前記記録ヘッドのノズル孔から該記録用インクを液滴として吐出噴射させる方法、などが挙げられる。
本発明の前記記録用インクのように、比較的低い表面張力を有するインクを用いる場合、前記記録ヘッドのノズルプレートのインク吐出用開口部が形成されている面に撥インク層を有する。これは、撥水性、撥インク性に優れるノズルプレートを用いることで、低い表面張力のインクでもインクのメニスカスが正常に形成でき、その結果、インク滴の形成(粒子化)が良好にできるためである。メニスカスが正常に形成されると、インクが噴射する際に一方方向にインクが引っ張られることがなくなり、その結果、インクの噴射曲がりが少なく、ドット位置精度が高い画像を得ることができる。
前記撥インク層としては、PTFE−Ni共析メッキ、フッ素樹脂の電着塗装、蒸発性のあるフッ素樹脂(例えばフッ化ピッチ等)を蒸着したもの、シリコーン系樹脂及びフッ素系樹脂の溶剤塗布後の焼付け、などが挙げられる。
また、インク吐出面に付着した記録用インクを清掃するためのブレードを有することが好ましい。更にブレードに付着した記録用インクを掻き落とすための掻き落し部材を有することが好ましい。
また、前記インクジェット記録装置においては、記録媒体を反転させて両面印刷可能とする反転手段を有することが好ましい。
また、前記インクジェット記録装置においては、無端状の搬送ベルトの表面を帯電させて記録媒体を搬送する搬送手段を有することが好ましい。
前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
ここで、本発明のインクジェット記録装置により本発明のインクジェット記録方法を実施する一の態様について、図面を参照しながら説明する。図3に示すインクジェット記録装置は、装置本体1と、装置本体1に装着した用紙を装填するための給紙トレイ2と、装置本体1に装着され画像が記録(形成)された用紙をストックするための排紙トレイ3と、インクカートリッジ装填部6とを有する。インクカートリッジ装填部6の上面には、操作キーや表示器などの操作部7が配置されている。インクカートリッジ装填部6は、インクカートリッジ10の脱着を行うための開閉可能な前カバー8を有している。
装置本体1内には、図4及び図5に示すように、図示を省略している左右の側板に横架したガイド部材であるガイドロッド11とステー12とでキャリッジ13を主走査方向に摺動自在に保持し、主走査モータ(不図示)によって図5で矢示方向に移動走査する。
キャリッジ13には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色の記録用インク滴を吐出する4個のインクジェット記録用ヘッドからなる記録ヘッド14を複数のインク吐出口を主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
記録ヘッド14を構成するインクジェット記録用ヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどを記録用インクを吐出するためのエネルギー発生手段として備えたものなどを使用できる。
また、キャリッジ13には、記録ヘッド14に各色のインクを供給するための各色のサブタンク15を搭載している。サブタンク15には、図示しない記録用インク供給チューブを介して、インクカートリッジ装填部6に装填された本発明のインクカートリッジ10から本発明の前記記録用インクが供給されて補充される。
一方、給紙トレイ2の用紙積載部(圧板)21上に積載した用紙22を給紙するための給紙部として、用紙積載部21から用紙22を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ23)、及び給紙コロ43に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド24を備え、この分離パッド24は給紙コロ23側に付勢されている。
この給紙部から給紙された用紙22を記録ヘッド14の下方側で搬送するための搬送部として、用紙22を静電吸着して搬送するための搬送ベルト31と、給紙部からガイド25を介して送られる用紙22を搬送ベルト31との間で挟んで搬送するためのカウンタローラ32と、略鉛直上方に送られる用紙22を略90°方向転換させて搬送ベルト31上に倣わせるための搬送ガイド33と、押さえ部材34で搬送ベルト31側に付勢された先端加圧コロ35とが備えられ、また、搬送ベルト31表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ36が備えられている。
搬送ベルト31は、無端状ベルトであり、搬送ローラ37とテンションローラ38との間に張架されて、ベルト搬送方向に周回可能である。搬送ベルト31の裏側には、記録ヘッド14による印写領域に対応してガイド部材77が配置されている。なお、記録ヘッド14で記録された用紙22を排紙するための排紙部として、搬送ベルト31から用紙22を分離するための分離爪51と、排紙ローラ52及び排紙コロ53とが備えられており、排紙ローラ52の下方に排紙トレイ2が配置されている。
装置本体1の背面部には、両面給紙ユニット61が着脱自在に装着されている。両面給紙ユニット61は、搬送ベルト31の逆方向回転で戻される用紙22を取り込んで反転させて再度カウンタローラ32と搬送ベルト31との間に給紙する。なお、両面給紙ユニット61の上面には手差し給紙部62が設けられている。
このインクジェット記録装置においては、給紙部から用紙22が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙22は、ガイド25で案内され、搬送ベルト31とカウンタローラ32との間に挟まれて搬送される。更に先端を搬送ガイド33で案内されて先端加圧コロ35で搬送ベルト31に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
このとき、帯電ローラ36によって搬送ベルト37が帯電されており、用紙22は、搬送ベルト31に静電吸着されて搬送される。そこで、キャリッジ13を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド14を駆動することにより、停止している用紙22にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙22を所定量搬送後、次行の記録を行う。記録終了信号又は用紙22の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙22を排紙トレイ3に排紙する。
そして、サブタンク15内の記録用インクの残量が少なくなってきたことが検知されると、インクカートリッジ10から所要量の記録用インクがサブタンク15に補給される。
なお、ここでは、キャリッジが走査するシリアル型(シャトル型)インクジェット記録装置に適用した例で説明したが、ライン型ヘッドを備えたライン型インクジェット記録装置にも同様に適用することができる。
ここで、記録ヘッド14(複数のヘッドを総称する意味で用いる)は、例えば、図6に示すように、イエロー(Y)のインク滴を吐出する多数のノズルNからなるノズル列14yn及びマゼンタ(M)のインク滴を吐出する多数のノズルNからなるノズル列14mnとを有する液滴吐出ヘッド14aと、シアン(C)のインク滴を吐出する多数のノズルNからなるノズル列14yn及びブラック(Bk)のインク滴を吐出する多数のノズルNからなるノズル列14knとを有するヘッド14bとで構成している。
なお、この場合は一つの記録ヘッドに2個の別のサブタンクより2色を供給し4個のサブタンク2ヘッドでYMC及び黒の4色印写する場合(株式会社リコー製、イプシオG505)の図であるが、2列のノズル列を有するヘッドを4個設けそれぞれに1個ずつの別色のサブタンクを用意し2列のノズル列を有する4個のヘッド、4個のサブタンクでYMC及び黒の4色を印写するようにしてもよい(株式会社リコー製、イプシオG707)。
記録ヘッド14を構成するインクジェットヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどをインクを吐出するためのエネルギー発生手段として備えたものなどを使用できる。なお、後述する実施例では、圧電アクチュエータ(圧電素子)をエネルギー発生手段に用いたヘッドを搭載している。
また、キャリッジ13には、記録ヘッド14の各ノズル列14yn、14mn、14cn、14knにそれぞれ各色のインクを供給するための各色の液体容器であるサブタンク15(各色を区別する場合には、ノズル列に対応して15y、15m、15c、15kの符号を用いる。)を搭載している。このサブタンク15にはインク供給チューブ16を介して前述した各色のメインタンク(インクカートリッジ)10(各色を区別する場合には、ノズル列に対応して10y、10m、10c、10kの符号を用いる。)からインクが補充供給される。ここで、メインタンク10は、それぞれ各色に対応してイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインクを収容しているが、ブラックインクを収容するメインタンク10kは、他のカラーインクを収容するメインタンク10y、10m、10cよりもインクの収容容量を大きくしている。
次に、この記録装置における液体供給装置であるインク供給装置の詳細について図7ないし図9を参照して説明する。なお、図7は同インク供給装置に係わる部分の分解斜視説明図、図8はその詳細、図9は同サブタンクの模式的側面説明図である。
このインク供給装置は、前述したようにキャリッジ13に搭載されて各記録ヘッド14(14a、14b)にインクを供給する液体容器であるサブタンク15と、このサブタンク15に供給チューブ16を介してインクを供給補充するためのメインタンク(インクカートリッジ)10とによって構成される。
1つのサブタンク15は、インクを収容するインク収容部100を形成する容器本体(ケース本体)101に、インク収容部100の開口(サブタンク15の一面)を封止する可撓性を有するフィルム状部材(可撓性フィルム状部材)102を接着又は溶着などで貼り付け、更にインク収容部100内部にはケース本体101とフィルム状部材102との間にフィルム状部材102を外方に付勢するための弾性部材であるバネ(スプリング)103を設けている。
ここで、前記フィルム状部材102は単層構成でもよいが、図10(a)に示すように、種類の異なる第1層102aと第2層102bとをラミネートした二層構成、例えば、ポリエチレンとナイロンのフィルム状部材をラミネートした構成としたり、図10(b)に示すように、第1層102aにシリカ蒸着層102cを形成した構成とすることができる。このような構成とすることにより、インクに対する耐液性を確実に確保することができる。また、フィルム状部材102にシリカ蒸着層を含むことでも収容するインクに対する耐液性の向上を図れる。
また、フィルム状部材102の厚さは、10μm〜100μmが好ましい。前記厚さが、10μm未満であると、経時的劣化による破損などが生じ易くなることがあり、100μmを超えると、可撓性が低下して負圧の効率的な発生が困難になることがある。
更に、フィルム状部材102にはバネ103に対応して凸部形状となる膨らみ部102aを形成してその外面に補強部材104を貼り付けている。このように、可撓性フィルム状部材102に凸部を設けることで弾性部材(ここではバネ)103を安定して保持することができる。この場合、可撓性フィルム状部材102は、シート状のフィルム部材を凸形状に成形して作製することで、容易に凸部を形成することができる。
また、ケース101にはインク収容部100にインクを補充するためのインク導入路部111を設け、このインク導入路部111とインクカートリッジ10に接続された供給チューブ16とを接続するための連結手段112を着脱可能に装着できるようにしている。なお、インクカートリッジ10とサブタンク15との間にはインクカートリッジ10からサブタンク15にインクを圧送するために後述するような送液ポンプを設けている。
更に、ケース101の下部にはインク収容部100から記録ヘッド14にインクを供給するための連結部材113を取り付け、この連結部材113には記録ヘッド14のインク供給路114を形成し、インク収容部100との間にはフィルタ115を介装している。
そして、ケース101の上部分にはインク収容部100から空気を出すための空気流路121を形成している。この空気流路121は、インク収容部100に開口が臨む入口流路部分122と、この入口流路部分122に続く流路部分(これを「直交流路部分」という)123とを含み、下流側でケース101に設けた大気開放穴131に連通し、更に大気開放穴131よりも使用状態で下側になる部分に蓄積部126を連続して形成している。
この大気開放穴131にはサブタンク15内の密閉状態及び大気開放状態を切り替えるための大気開放手段である大気開放弁機構132を設けている。この大気開放弁機構132はホルダ133内に弁座134、弁体であるボール135及びこのボール135を弁座134側に付勢するスプリング136を収納して構成している。
なお、蓄積部126の作用について説明すると、装置本体が傾けられたり、揺らされるなどしたときには、空気流路121内にインクが侵入する可能性が高くなる。そこで、空気流路121から侵入したインクを蓄積部126に蓄積できるようにして、輸送時に落下等されインクが侵入しても、大気解放口131及びこれを開閉する大気開放弁機構132内にインクが侵入して固まるなどして大気開放弁機構132が作動不良になることを防止している。
また、ケース101の上部にはサブタンク15内のインク量が所定量以下になったこと(この状態を「インク無し」とする。)を検知するための2本の検知電極141、142を装着している。検知電極141、142がいずれもインクに浸されている状態と少なくとも一方がインクに浸されていない状態とで検知電極141、142間の導通状態が変化することによって「インク無し」を検知することができる。
本発明のインクジェット記録装置は、図11及び図12に示すように、キャリッジ13の走査方向の一方側(両側でもよい)の非印字領域には、記録ヘッド14のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復機構(以下、「サブシステム」と称することもある)71を配置している。図11は、維持回復機構の上方向から見た図、図12は維持ユニットの概略説明図である。このサブシステム71には、記録ヘッド14a、14bの各ノズル面をキャピングするためのキャップ部材72A、72Bと、ノズル面をワイピングするためのワイパーブレード73とを備えている。このキャップ部材72Aとワイパーブレード73との間にインクを空吐出する際の空吐出受けが設けられている。この空吐出受けは、ここにインクが吐き出され下部の廃液タンクまで流れるように構成されており、この部分(吐き出された部分)にインクが固着し易いので、固着したインクを自動的に掻き落すワイパーが設けられている。
次に、本発明のインクジェット記録装置に係る維持回復機構71について説明する。
図11及び図12に示すように、まず、モータ231が正転すると、モータギヤ232、ポンプギヤ234、中間ギヤ235、中間ギヤ236、中間ギヤ237までが回転し、チューブポンプ220が作動してポンプとチューブ219で連結された一番右(記録領域側)のキャップ内を吸引する。その他のギヤは、一方向クラッチ237が不連結となり作動しない。
モータ231が逆転すると、一方向クラッチ237が連結されモータ〜カム軸までが回転する。チューブポンプ220は逆転するが、ポンプとしては作動しない構造となっている。
カム軸221にはキャリッジロックカム227とキャップカム222B及び222Aとワイパカム224及びワイパークリーナカム228及びホームポジションセンサ用カム241が一体的に回転するように取付けられている。
キャリッジロック215は圧縮ばね(不図示)により上方(ロック方向)に付勢されている。キャリッジロックカム227のカム面と接触したキャリッジロックアーム217によりキャリッジロック215は上下させられる。
キャップ72A及び72B、キャップホルダ212Aは、キャップカム222A及び222Bにより上下させられる。
ワイパー73は、ワイパカム228により上下させられる。
ワイパークリーナ218は、バネによりワイパー73から離れる方向に付勢されていて、ワイパークリーナカム218によりワイパー方向に動作する。ワイパー73はワイパークリーナ218と空吐出受けに挟まれながら下降することにより、ワイパー73のインクが空吐出内へ掻き落とされる。
維持ユニット本体にはセンサ(ホトインタラプタ/不図示)が固定されており、ホームポジションカムにてキャップが最下端にきた時にHPレバー(不図示)を動作させセンサが開状態になってモーター(ポンプ以外の)ホームポジションを検知する(それ以外は、HPレバーは動作せずにセンサは常時閉)構成となっている。
電源ON時には、キャップ72A及び72B、キャップホルダ212A及び212Bの位置に関係なく上下し(移動開始までは位置検出を行わない)、キャップのホーム位置(上昇途中)を検知した後に、定められた量を移動して最下端へ移動する。その後、キャリッジが左右に移動して位置検知後キャップ位置に戻り、キャッピングされる。
モータ逆転時の動作順序は、キャップ上昇(キャリッジロックもほぼ同時)、キャップ下降(キャリッジロックもほぼ同時)、ホームポジションセンサ開、ワイパー上昇、ワイパークリーナ動作開始(ワイパーを空吐出受けに押しつける)、ワイパー下降(ワイパーをワイパークリーナでしごく)、ワイパークリーナ戻りへ戻る一連の動作を繰り返す。
本発明のインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法は、インクジェット記録方式による各種記録に適用することができ、例えば、インクジェット記録用プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、などに特に好適に適用することができる。
<インク記録物>
前記インク記録物は、記録媒体上に本発明の前記記録用インクを用いて形成された画像を有してなる。
前記記録媒体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、普通紙、光沢紙、特殊紙、布、フィルム、OHPシート、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記インク記録物は、高画質で滲みがなく、経時安定性に優れ、各種の印字乃至画像の記録された資料等として各種用途に好適に使用することができる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(調製例1)
−表面処理したカーボンブラック顔料分散液の作製−
CTAB比表面積が150m/g、DBP吸油量100mL/100gのカーボンブラック90gを、2.5規定の硫酸ナトリウム溶液3,000mLに添加し、温度60℃、速度300rpmで攪拌し、10時間反応させて酸化処理を行った。この反応液を濾過し、濾別したカーボンブラックを水酸化ナトリウム溶液で中和し、限外濾過を行った。得られたカーボンブラックを水洗いし乾燥させ、20質量%となるよう純水中に分散させ、pH6.5となるよう調整し、孔径0.8μmのメンブランフィルターで濾過して粗大粒子を取り除いた。
得られた分散体の電導度は1.25mS/cm、体積平均粒径は105nmであった。
(調製例2)
−表面処理したカーボンブラック顔料分散体の作製−
一次粒径が16nm、比表面積が260m/g、DBP吸油量が69mL/100gのカーボン90gを、2.5規定の硫酸ナトリウム溶液3,000mLに添加し、温度60℃、速度300rpmで攪拌し、10時間反応させて酸化処理を行った。この反応液を濾過し、濾別したカーボンブラックを水酸化ナトリウム溶液で中和し、限外濾過を行った。得られたカーボンブラックを水洗いし、乾燥させて、20質量%となるよう純水中に分散させ、pH6.5となるよう調整し、孔径0.8μmのメンブランフィルターで濾過して粗大粒子を取り除いた。
得られた分散液の電導度は1.3mS/cm、体積平均粒径は128nmであった。
(調製例3)
−表面処理したカーボンブラック分散体の作製−
一次粒径が16nm、比表面積が260m/g、DBP吸油量が69mL/100gのカーボン90gを、2.5規定の硫酸ナトリウム溶液3000mLに添加し、温度60℃、速度300rpmで攪拌し、10時間反応させて酸化処理を行った。この反応液を濾過し、濾別したカーボンブラックを水酸化ナトリウム溶液で中和し、限外濾過を行った。得られたカーボンブラックを水洗いし、乾燥させ、20質量%となるよう純水中に分散させて、pH5.8となるよう調整し、孔径0.8μmのメンブランフィルターで濾過して粗大粒子を取り除いた。
得られた分散液の電導度は1.2mS/cm、体積平均粒径は128nmであった。
(合成例1)
−ポリマー分散液の調製−
機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管、及び滴下ロートを備えた1Lフラスコ内を十分に窒素ガスで置換した後、スチレン11.2g、アクリル酸2.8g、ラウリルメタクリレート12.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート4.0g、スチレンマクロマー(東亜合成株式会社製、商品名:AS−6)4.0g、及びメルカプトエタノール0.4gを仕込み、65℃に昇温した。次に、スチレン100.8g、アクリル酸25.2g、ラウリルメタクリレート108.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート36.0g、ヒドロキシエチルメタクリレート60.0g、スチレンマクロマー(東亜合成株式会社製、商品名:AS−6)36.0g、メルカプトエタノール3.6g、アゾビスジメチルバレロニトリル2.4g及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を2.5時間かけてフラスコ内に滴下した。滴下終了後、アゾビスジメチルバレロニトリル0.8g及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を0.5時間かけてフラスコ内に滴下した。65℃で1時間熟成した後、アゾビスジメチルバレロニトリル0.8gを添加し、更に1時間熟成した。反応終了後、フラスコ内に、メチルエチルケトン364gを添加し、濃度が50%のポリマー溶液800gを得た。
(調製例4)
−フタロシアニン顔料含有ポリマー微粒子分散体の調製−
合成例1で合成したポリマー溶液28g、フタロシアニン顔料26g、1mol/Lの水酸化カリウム溶液13.6g、メチルエチルケトン20g、及びイオン交換水30gを十分に攪拌した後、三本ロールミルを用いて混練した。得られたペーストをイオン交換水200gに投入し、十分に攪拌した後、エバポレーターを用いてメチルエチルケトン及び水を留去し、シアン色のポリマー微粒子分散体を調製した。
(調製例5)
−ジメチルキナクリドン顔料含有ポリマー微粒子分散体の調製−
調製例4のフタロシアニン顔料を、C.I.ピグメントレッド122に変更した以外は、調製例4と同様にして、マゼンタ色のポリマー微粒子分散体を調製した。
(調製例6)
−モノアゾ黄色顔料含有ポリマー微粒子分散体の調製−
調製例4のフタロシアニン顔料を、C.I.ピグメントイエロー74に変更した以外は、調製例4と同様にして、黄色のポリマー微粒子分散体を調製した。
(調製例7)
−カーボンブラック顔料含有ポリマー微粒子分散体の調製−
調製例4のフタロシアニン顔料をカーボンブラック(一次粒子径19nm、DBP吸油量115mL/100g)に変更した以外は、調製例4と同様にして、黒色のポリマー微粒子分散体を調製した。
(実施例1〜6及び8〜11、参考例7並びに比較例1〜6)
−記録用インクの作製−
下記表1〜表3に記載の処方の記録用インクを常法により作製し、pHが9になるように10質量%の水酸化カリウム水溶液にて調整した。その後、平均孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過を行い、実施例1〜6及び8〜11、参考例7並びに比較例1〜6の各記録用インクを作製した。
表1〜表3中、各成分の詳細は以下の通りである。
*アクリル樹脂微粒子(アクアブリッド4720、ダイセル化学工業株式会社製)
*ポリエステル樹脂微粒子(ペスレジンA620、高松油脂株式会社製)
*ノニオン系界面活性剤(ソフタノールEP7025、株式会社日本触媒製)
*フッ素系界面活性剤(I)
ただし、前記一般式(1)中、mは4、nは6を表す。
*フッ素系界面活性剤(II)
ただし、RFはCFCF、mは12、nは2、pは3を表す。
*フッ素系界面活性剤(III)
ただし、RFはCFCF、qは4を表す。
次に、得られた実施例1〜6及び8〜11、参考例7並びに比較例1〜6の各記録用インクについて、下記のようにして、諸特性を評価した。結果を表4〜表6に示す。
<非ニュートン指数の測定>
水分蒸発時の各記録用インクの非ニュートン指数は、まず、インクをサンプル瓶に5g程度量り取り、50℃の恒温槽で所望の水分蒸発量となるまで水分を蒸発させた。水分蒸発及び吸湿を防ぐため蓋をして1日放置した後、よく掻き混ぜてから回転粘度計(RE550L、東機産業株式会社製)でずり速度を変えて測定を行った。縦軸にずり応力s、横軸にずり速度Dをとり、下記式(2)より非ニュートン指数nを求めた。水分蒸発量と粘度との関係を図13〜図15に示した。水分蒸発量と非ニュートン指数との関係を図16〜図18に示した。
s=μD、1>n>0 ・・・ 式(2)
ただし、前記式(2)中、sはずり応力、Dはずり速度、nは非ニュートン指数、μは非ニュートン係数である。
図16〜図18の結果から、実施例1〜6及び8〜11、並びに参考例7は、「水分蒸発量が35質量%以下では非ニュートン指数が0.9以上1.0未満であり、水分蒸発量が45質量%では非ニュートン指数が0.4以上0.95以下であり、かつ水分蒸発量が50質量%では非ニュートン指数が0.7以下である」を満たしていることが分かった。
<インクの体積平均粒径>
各記録用インクを純水で希釈し、粒度分布測定装置(マイクロトラックUPA、日機装株式会社製)を用いて体積平均粒子径(D50%)を測定した。
<インク粘度>
R型粘度計(東機産業株式会社製)を用いて、25℃で測定した。
<インク表面張力>
静的表面張力計(BVP−Z、協和界面科学株式会社製)を用いて、23±3℃で測定した。
<画像の鮮明性>
図3〜5に示すインクジェットプリンター(記録ヘッドのインク吐出用開口部が形成されている面にシリコーン樹脂からなる撥インク層を有する)に、実施例1〜6及び8〜11、参考例7並びに比較例1〜6の各記録用インクを充填してType6200紙(株式会社NBSリコー製)に解像度600dpiで印字を行った。印字乾燥後、文字滲み、及び画像滲み(フェザリング)を目視観察し、下記基準により評価した。また、反射型カラー分光測色濃度計(XRite社製)を用いて画像濃度を測定した。このときの付着量は9.5g/mであった。
〔評価基準〕
○:滲みの発生がなく鮮明な画像である。
△:一部にひげ状の滲みが発生している。
×:文字の輪郭がはっきりしないほど滲みが発生している。
<定着性>
図3〜5に示すインクジェットプリンター(記録ヘッドのインク吐出用開口部が形成されている面にシリコーン樹脂からなる撥インク層を有する)に、実施例1〜6及び8〜11、参考例7並びに比較例1〜6の各記録用インクを充填してType6200紙(株式会社NBSリコー製)に600dpiの解像度で印字を行った。印字乾燥後、綿布で印字部を10回擦り、綿布への顔料の転写具合を目視観察し、下記基準により評価した。
〔評価基準〕
〇:綿布への顔料転写は殆どみられない。
△:若干の顔料転写が見られる。
×:明らかに顔料が転写している。
<連続吐出性>
図3〜5に示すインクジェットプリンター(記録ヘッドのインク吐出用開口部が形成されている面にシリコーン樹脂からなる撥インク層を有する)に、実施例1〜6及び8〜11、参考例7並びに比較例1〜6の各記録用インクを充填してType6200紙(株式会社NBSリコー製)に600dpiの解像度で連続200枚印字を行い、吐出乱れや不吐出具合を下記基準により評価した。
〔評価基準〕
〇:吐出乱れや不吐出はみられない。
△:3ノズル以下の不吐出、吐出乱れがある。
×:4ノズル以上の不吐出、吐出乱れがある。
<短期放置後吐出性>
図3〜5に示すインクジェットプリンター(記録ヘッドのインク吐出用開口部が形成されている面にシリコーン樹脂からなる撥インク層を有する)に、実施例1〜6及び8〜11、参考例7並びに比較例1〜6の各記録用インクをそれぞれ充填して、32℃、30%RHの環境で、Type6200紙(株式会社NBSリコー製)に600dpiの解像度で10枚連続印字を1時間毎に実施し、これを8時間行った後クリーニングは行わず、そのまま32℃、30%RHの環境で1週間放置した。放置後ノズルチェック印字を行い、吐出乱れや吐出不具合を下記基準により評価した。
〔評価基準〕
○:吐出乱れや不吐出はみられない。
△:10ズル以下の不吐出、吐出乱れがある。
×:11ノズル以上の不吐出、吐出乱れがある。
<長期放置後吐出性>
図3〜5に示すインクジェットプリンター(記録ヘッドのインク吐出用開口部が形成されている面にシリコーン樹脂からなる撥インク層を有する)に、実施例1〜6及び8〜11、参考例7並びに比較例1〜6の各記録用インクをそれぞれ充填して、全色クリーニングを行った後、32℃、30%RHの環境下で2ヶ月放置した。放置後ノズルチェック印字を行い、吐出乱れや吐出不具合を下記基準により評価した。
〔評価基準〕
○:吐出乱れや不吐出はみられない。
△:10ノズル以下の不吐出、吐出乱れがある。
×:11ノズル以上の不吐出、吐出乱れがある。
<撥水面へのインク付着>
図3〜5に示すインクジェットプリンター(記録ヘッドのインク吐出用開口部が形成されている面にシリコーン樹脂からなる撥インク層を有する)に、実施例1〜6及び8〜11、参考例7並びに比較例1〜6の各記録用インクをそれぞれ充填して、32℃、30%RHの環境下で、Type6200紙(株式会社NBSリコー製)に600dpiの解像度で200印字毎に1回全色クリーニングを行い、これを1日10回ずつ10日間繰り返した。
図6に示すヘッド撥水面に付着しているインクの状態をマイクロスコープで観察した。
〔評価基準〕
○:インクの付着は殆どみられない。
△:ややインクの付着がみられるが、インクの吐出を阻害するほどではない。
×:著しくインクが付着しており、ノズル口付近にまでインク汚れが広がっている。
本発明の記録用インクは、普通紙での滲みが少なく、保存安定性に優れ、高品位の画像が得られるので、インクジェット記録装置に好適に用いることができる。
本発明のインクジェット記録装置は、インクジェット記録方式による各種記録に適用することができ、例えば、インクジェット記録用プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、などに特に好適に適用することができる。
図1は、本発明のインクカートリッジの一例を示す図である。 図2は、図1のインクカートリッジのケース(外装)も含めた図である。 図3は、本発明のインクジェット記録装置の一例を示す概略説明図である。 図4は、図3インクジェット記録装置の内部構造の一例を示す概略説明図である。 図5は、本発明のインクジェットヘッドの一例を示す概略拡大図である。 図6は、本発明のインクジェットヘッドのノズル列を示す概略図である。 図7は、本発明のインクジェット記録装置における液体供給装置の分解斜視説明図である。 図8は、図7の拡大分解斜視図である。 図9は、サブタンクの模式的側面説明図である。 図10は、図9のA−A線での概略断面図である。 図11は、本発明のインクジェットプリンタに係る維持ユニットの上方向から見た図である。 図12は、本発明のインクジェットプリンタに係る維持ユニットの概略説明図である。 図13は、実施例1〜6及び参考例7における水分蒸発量と粘度との関係を示すグラフである。 図14は、実施例8〜11における水分蒸発量と粘度との関係を示すグラフである。 図15は、比較例1〜6における水分蒸発量と粘度との関係を示すグラフである。 図16は、実施例1〜6及び参考例7における水分蒸発量と非ニュートン指数との関係を示すグラフである。 図17は、実施例8〜11における水分蒸発量と非ニュートン指数との関係を示すグラフである。 図18は、比較例1〜6における水分蒸発量と非ニュートン指数との関係を示すグラフである。
符号の説明
1 装置本体
2 給紙トレイ
3 排紙トレイ
6 インクカートリッジ装填部
7 操作部
8 前カバー
10 インクカートリッジ
11 ガイドロッド
12 ステー
13 キャリッジ
14 記録ヘッド
15 サブタンク
16 供給チューブ
22 用紙
23 給紙コロ
24 分離パッド
25 ガイド
31 搬送ベルト
32 カウンタローラ
33 搬送ガイド
34 押さえ部材
36 帯電ローラ
37 搬送ローラ
38 テンションローラ
41 インク袋
42 インク注入口
43 インク排出口
44 カートリッジ外装
71 維持回復機構(サブシステム)
100 インク収容部
101 ケース本体
102 フィルム状部材
103 バネ(スプリング)
113 連結部材
121 空気流路
126 蓄積部
131 大気開放穴
132 大気開放弁機構
133 ホルダ
134 弁座
135 ボール
136 スプリング

Claims (13)

  1. 少なくとも水、湿潤剤、界面活性剤、及び着色剤を含有してなる記録用インクであって、
    前記記録用インク全質量に対して水分蒸発量が35質量%以下では非ニュートン指数が0.9以上1.0未満であり、水分蒸発量が45質量%では非ニュートン指数が0.4以上0.95以下であり、かつ水分蒸発量が50質量%では非ニュートン指数が0.7以下であり、前記界面活性剤が下記の一般式(1)から一般式(3)で表されるフッ素系界面活性剤の少なくともいずれかであることを特徴とする記録用インク。
    [前記一般式(1)中、mは4、nは6を表す。]
    [前記一般式(2)中、RFはCF CF 、mは12、nは2、pは3を表す。]
    [前記一般式(3)中、RFはCF CF 、qは4を表す。]
  2. 湿潤剤が、グリセリン、ジエチレングリコール、2−ピロリドン、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,3−ブタンジオール、プロピレングリコール、3−メチル−1,3−ブタンジオール及び2−メチル−2,4−ペンタンジオールから選択される少なくとも1種である請求項1に記載の記録用インク。
  3. 少なくとも2種類の湿潤剤を含有し、着色剤に対する相溶性が高い湿潤剤Aの含有量C と、該湿潤剤A以外の湿潤剤Bの合計含有量C が、次式、C ≧C を満たす請求項1から2のいずれかに記載の記録用インク。
  4. 25℃における粘度が、6mPa・s〜15mPa・sである請求項1から3のいずれかに記載の記録用インク。
  5. 浸透剤を含有し、該浸透剤が炭素数7〜11のポリオール化合物を含有する請求項1から4のいずれかに記載の記録用インク。
  6. 水及び湿潤剤に不溶であり、かつ乾燥すると膜を形成可能な樹脂微粒子を含有する請求項1から5のいずれかに記載の記録用インク。
  7. 着色剤が、表面に親水基を有するカーボンブラックである請求項1から6のいずれかに記載の記録用インク。
  8. 着色剤が、ポリマー微粒子に水不溶性乃至水難溶性の色材を含有させてなるポリマーエマルジョンである請求項1から6のいずれかに記載の記録用インク。
  9. 請求項1から8のいずれかに記載の記録用インクに刺激を付与し、該インクを記録ヘッドから液滴として飛翔させて記録媒体上に画像を記録するインク飛翔手段を有するインクジェット記録装置であって、
    前記記録ヘッドのインク吐出用開口部が形成されている面に撥インク層を有することを特徴とするインクジェット記録装置。
  10. インク吐出面に付着した記録用インクを清掃するためのブレードを有する請求項9に記載のインクジェット記録装置。
  11. ブレードに付着した記録用インクを掻き落とすための掻き落し部材を有する請求項10に記載のインクジェット記録装置。
  12. 記録媒体を反転させて両面印刷可能とする反転手段を有する請求項9から11のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
  13. 無端状の搬送ベルトの表面を帯電させて記録媒体を搬送する搬送手段を有する請求項9から12のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
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