はじめに、本実施の形態から抽出され得る発明を、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。
手段1.絵柄を可変表示する絵柄表示装置(リールユニット41)と、
絵柄の可変表示を開始させるべく操作される始動操作手段(スタートレバー71)と、
始動操作手段の操作に基づいて役の抽選を行う抽選手段(主制御装置131のCPU151における抽選処理)とを備え、
前記役の抽選結果が特典役当選であって、前記絵柄の可変表示領域における予め定められた有効位置に前記当選となった特典役に対応した特典役対応入賞が成立した場合に遊技者に特典を付与する遊技機において、
各遊技回における役の当選結果又は入賞の成立結果に基づいて複数遊技回における累積判定対象値を把握する把握手段(当選回数格納エリア153c,153e、及び主制御装置131のCPU151におけるステップS1203,ステップS1205等)と、
把握手段により把握された前記累積判定対象値と予め設定された基準値とを比較判定する判定手段(主制御装置131のCPU151におけるステップS1207,ステップS1208等)と
を備えたことを特徴とする遊技機。
手段1の遊技機では、始動操作手段の操作に基づいて役の抽選が行われ、役の抽選結果が特典役当選であって、それと対応した特典役対応入賞が有効位置にて成立した場合に遊技者に特典が付与される。
この場合に、各遊技回における役の当選結果又は入賞の成立結果に基づいて複数遊技回における累積判定対象値が把握され、その把握した累積判定対象値と予め設定された基準値とが比較される。これにより、累積判定対象値が基準値に対して異常か否かを把握することが可能となり、例えば特定の特典役に不正に当選させる不正行為が行われた場合には、その事実を把握することが可能となる。そして、かかる事実を把握可能とすることで、上記不正行為が行われた場合には何らかの対処を行うことが可能となり、不正用装置を用いて役の抽選結果を操作する不正行為が行われ続けることを抑制することが可能となる。
手段2.手段1において、前記判定手段の判定結果に基づいて予め定められた特別処理を実行する特別処理実行手段(主制御装置131のCPU151におけるステップS1209,ステップS1213,ステップS1214等)を備えたことを特徴とする遊技機。
手段2によれば、不正用装置を用いて役の抽選結果を操作する不正行為が繰り返し行われた場合には、特別処理が実行される。よって、当該不正行為が行われ続けることを抑制することができる。
なお、「特別処理」としては、報知処理が考えられる。特別処理として報知処理を実行することで、累積判定対象値が異常である旨を遊技ホールの管理者等に報知することが可能となり、これにより上記不正行為が行われ続けることを抑制することができる。また、特別処理として、遊技禁止処理を実行する構成としてもよい。かかる場合、上記不正行為が行われ続けることを抑制することができる。
手段3.手段1又は2において、前記累積判定対象値は、所定の特典役の累積当選回数であることを特徴とする遊技機。
手段3によれば、所定の特典役の累積当選回数と基準値とが比較される。このように累積当選回数を累積判定対象値として把握することで、不正用装置を用いて役の抽選結果を操作する不正行為を直接的に監視することが可能となる。
手段4.手段3において、前記判定手段は、前記累積当選回数が上限基準値に達しているか否かを判定することを特徴とする遊技機。
手段4によれば、不正用装置を用いて役の抽選結果を操作することで所定の特典役に当選させる不正行為が行われ続けることを抑制することが可能となる。
なお、「累積当選回数が上限基準値に達する」には、累積当選回数が上限基準値以上になる場合だけでなく、累積当選回数が上限基準値を超える場合も含まれる。また、その判定の仕方は、加算式であっても減算式であってもよい。すなわち、把握手段に初期値として「0」を設定しておき、その値が上限基準値に達したか否かを判定する構成としてもよく、又は把握手段に上限基準値を設定しておき、その値が「0」に達したか否かを判定する構成としてもよい。さらにまた、上限基準値の具体的な値としては、プラスの値だけでなく、マイナスの値も考えられる。上限基準値がマイナスの値である場合には、把握手段に初期値としてそのマイナスの値の上限基準値を設定しておくとともに、その後に順次加算する構成とし、その値が「0」に達したか否かを判定する構成としてもよく、把握手段に初期値として「0」を設定しておくとともに、その後に順次減算する構成とし、その値がマイナスの値の上限基準値に達したか否かを判定する構成としてもよい。
手段5.手段4において、前記上限基準値として、第1上限基準値(基準値1)とそれよりも値が大きい第2上限基準値(基準値2)とを設定し、
前記判定手段は、
前記累積当選回数が第1上限基準値に達しているか否かを判定する第1判定手段(主制御装置131のCPU151におけるステップS1207等)と、
前記累積当選回数が前記第2上限基準値に達しているか否かを判定する第2判定手段(主制御装置131のCPU151におけるステップS1208等)と
を備えたことを特徴とする遊技機。
手段5によれば、所定の特典役の累積当選回数が第1上限基準値に達しているか否かが判定されるとともに、当該累積当選回数が第2上限基準値に達しているか否かが判定される。このように複数段階で上記累積当選回数の監視を行うことで、各段階に応じた対処を行うことが可能となり、不正用装置を用いて役の抽選結果を操作する不正行為が行われ続けることを好適に抑制することが可能となる。
手段6.手段5において、前記累積当選回数が第1上限基準値に達したことに基づいて第1特別処理を実行する第1特別処理実行手段(主制御装置131のCPU151におけるステップS1209等)と、
前記累積当選回数が第2上限基準値に達したことに基づいて第2特別処理を実行する第2特別処理実行手段(主制御装置131のCPU151におけるステップS1213及びステップS1214等)とを備えたことを特徴とする遊技機。
手段6によれば、所定の特典役の累積当選回数が第1上限基準値に達することで第1特別処理が実行され、さらに不正行為が継続され上記累積当選回数が第2上限基準値に達することで第2特別処理が実行される。このように複数段階で特別処理を実行するようにすることで、不正用装置を用いて役の抽選結果を操作する不正行為が行われ続けることを好適に抑制することができる。
例えば、遊技状況などを報知する報知手段(上部ランプ13等)を備えた構成においては、第1特別処理として、報知手段にて予め設定された態様の特別報知を実行させることで累積当選回数が異常である旨を報知するとともに、第2特別処理として、その後の遊技を禁止する遊技禁止処理を実行する構成としてもよい。この場合、第1特別処理が実行されることで不正行為に対する注意を促すことができるとともに、第2特別処理が実行されることで不正行為が行われ続けることを抑制することができる。特に、不正行為が行われていない通常の状況で所定の特典役の累積当選回数が第1上限基準値に達した場合に、遊技禁止処理が実行されてしまうことを抑制することができる。
手段7.手段3乃至6のいずれかにおいて、前記判定手段は、前記累積当選回数が下限基準値に達していないか否かを判定することを特徴とする遊技機。
手段7によれば、不正用装置を用いて役の抽選結果を操作することで所定の特典役に当選させないようにする不正行為が行われ続けることを抑制することが可能となる。
例えば、遊技状態として、通常遊技状態よりも遊技者にとって不利な不利遊技状態を備えた構成であって、その不利遊技状態への移行契機が所定の特典役(以下、不利移行契機役ともいう)である場合には、不正用装置を用いて役の抽選結果を操作することで不利移行契機役に当選させないようにする不正行為が行われることが想定される。これに対して、複数遊技回における不利移行契機役の累積当選回数が下限基準値に達していないか否かを判定することで、上記不正行為が繰り返し行われた場合にはその事実を把握することが可能となる。そして、かかる事実を把握可能とすることで、上記不正行為が繰り返し行われた場合には何らかの対処を行うことが可能となり、当該不正行為が行われ続けることを抑制することが可能となる。
なお、本手段7に対して、上記手段5又は6に類似した構成を適用してもよい。つまり、下限基準値として、第1下限基準値とそれよりも値が小さい第2下限基準値とを設定するとともに、それぞれの下限基準値に対応した判定手段、及び/又は特別処理実行手段を備える構成とする。これにより、上記不正行為が行われ続けることを好適に抑制することができる。
手段8.手段3乃至7のいずれかにおいて、前記把握手段を、予め定められた遊技回数の範囲内における累積当選回数を把握する構成とし、
前記基準値を、前記予め定められた遊技回数と前記所定の特典役の当選確率とに基づいて設定したことを特徴とする遊技機。
手段8によれば、遊技機の設計段階などにおいて、基準値の設定を容易に行うことが可能となる。
手段9.手段8において、少なくとも前記所定の特典役の抽選結果履歴を記憶する履歴記憶手段(履歴格納エリア153b,153d)を備え、
前記把握手段を、前記履歴記憶手段に記憶された抽選結果履歴に基づいて、前記予め定められた遊技回数の範囲内における累積当選回数を把握する構成としたことを特徴とする遊技機。
手段9によれば、履歴記憶手段に記憶された抽選結果履歴に基づいて累積当選回数を把握する構成としたことにより、繰り返し行われる各遊技回のうち、いずれの遊技回において上記不正行為の有無の判定を行ったとしても、その判定に際してはその判定に関わる遊技回から予め定められた遊技回数の範囲内における累積当選回数を把握することができる。よって、上記不正行為の有無の判定を好適に行うことができる。
手段10.手段9において、前記履歴記憶手段は、最も近い遊技回から前記予め定められた遊技回数の範囲内における累積当選回数を把握する上で必要な遊技回数分について、各遊技回における少なくとも前記所定の特典役の抽選結果履歴を順次記憶するとともに、当該必要な遊技回数を超える遊技回についての抽選結果履歴を順次消去する構成であり、
さらに、前記把握手段は、
前記累積当選回数を記憶する累積当選回数記憶手段(当選回数格納エリア153c,153e)と、
前記所定の特典役に当選した場合に、その当選に対応した値を前記累積当選回数に加算する加算手段(主制御装置131のCPU151におけるステップS1205)と、
前記所定の特典役に当選した旨の抽選結果履歴が前記履歴記憶手段から消去される場合に、その消去に対応した値を前記累積当選回数から減算する減算手段(主制御装置131のCPU151におけるステップS1203)と
を備えたことを特徴とする遊技機。
手段10によれば、履歴記憶手段では、最も近い遊技回から予め定められた遊技回数の範囲内における累積当選回数を把握する上で必要な遊技回数分について、各遊技回における少なくとも所定の特典役の抽選結果履歴が順次記憶されるとともに、当該必要な遊技回数を超える遊技回についての抽選結果履歴が順次消去される。これにより、履歴記憶手段の記憶容量が極端に増加してしまうことを抑制することができる。また、このように履歴記憶手段の記憶容量が極端に増加してしまうことを抑制した構成において、把握手段においては記憶している累積当選回数の加算及び減算が適宜行われる。よって、上記不正行為の有無の判定に際しては、その判定に関わる遊技回から予め定められた遊技回数の範囲内における累積当選回数を把握することができる。
手段11.手段8乃至10のいずれかにおいて、役の抽選結果が前記所定の特典役に当選した結果となることを、前記判定手段の判定契機としたことを特徴とする遊技機。
手段11によれば、役の抽選結果が所定の特典役に当選した結果であることを一の条件として上記不正行為の有無の判定が行われるため、上記不正行為を発見するための機会を多く設けることができる。よって、上記不正行為が行われ続けることを好適に抑制することが可能となる。
手段12.手段11において、前記所定の特典役として、第1特典役と第2特典役とを設定するとともに、
前記基準値として、前記第1特典役に対応した第1基準値と前記第2特典役に対応した第2基準値とを設定し、
前記把握手段は、前記第1特典役に対応した第1累積当選回数を把握するとともに、前記第2特典役に対応した第2累積当選回数を把握し、
前記判定手段は、前記第1累積当選回数と前記第1基準値とを比較判定するとともに、前記第2累積当選回数と前記第2基準値とを比較判定し、
さらに、役の抽選結果が前記第1特典役に当選した結果となることを前記判定手段における前記第1累積当選回数に関する判定契機とするとともに、役の抽選結果が前記第2特典役に当選した結果となることを前記判定手段における前記第2累積当選回数に関する判定契機としたことを特徴とする遊技機。
手段12によれば、上記不正行為の有無の判定対象となる特典役が複数ある構成において、それら各特典役のそれぞれについて不正行為の有無の判定契機を多く設けることができる。よって、判定対象となる特典役が複数ある構成であっても、それぞれの特典役に関して上記不正行為が行われ続けることを好適に抑制することが可能となる。
なお、上記手段9又は10を備えた構成においては、各特典役の累積当選回数の把握に関して一の履歴記憶手段を兼用することで、各特典役に対して履歴記憶手段を設ける構成に比べ、構成の簡素化を図ることができる。
手段13.手段8において、前記判定手段を、前回判定を行った遊技回からの継続遊技回数が前記予め定められた遊技回数となった場合に判定を行う構成とし、
前記判定手段による判定が行われた場合に前記把握手段により把握される前記累積当選回数が初期値となるように更新する初期値更新手段(主制御装置131のCPU151におけるステップS1314)を備えたことを特徴とする遊技機。
手段13によれば、予め定められた遊技回数毎に上記不正行為の有無の判定が行われるため、当該不正行為を発見するための機会を確実に設けることができる。
ここで、上記手段3乃至13について、「累積当選回数」を「累積入賞回数」と読み替えて適用してもよい。
手段14.手段1又は2において、前記特典役として、媒体付与役を設定し、
前記役の抽選結果が前記媒体付与役当選であって、前記有効位置に前記当選となった媒体付与役に対応した媒体付与役対応入賞が成立した場合に所定数の遊技媒体を付与する媒体付与手段(ホッパ装置91、主制御装置131のCPU151におけるメダル払出処理)を備え、
前記累積判定対象値は、前記媒体付与手段により付与される遊技媒体の累積付与数であり、
前記判定手段は、前記累積付与数が前記基準値に達しているか否かを判定することを特徴とする遊技機。
手段14によれば、遊技媒体の累積付与数が基準値に達しているか否かが判定される。これにより、累積付与数が基準値に対して異常か否かを把握することが可能となり、媒体付与役に不正に当選させる不正行為が行われた場合には、その事実を把握することが可能となる。そして、かかる事実を把握可能とすることで、上記不正行為が行われた場合には何らかの対処を行うことが可能となり、不正用装置を用いて役の抽選結果を操作して媒体付与役に当選させる不正行為が行われ続けることを抑制することが可能となる。
特に、本手段によれば、例えば複数の媒体付与役を備えた構成において、不正用装置を用いて役の抽選結果を操作して、それら媒体付与役に当選させる不正行為が行われ続けることをまとめて抑制することが可能となる。
手段15.手段14において、前記基準値として、第1上限基準値(基準値1)とそれよりも値が大きい第2上限基準値(基準値2)とを設定し、
前記判定手段は、
前記累積付与数が第1上限基準値に達しているか否かを判定する第1判定手段(主制御装置131のCPU151におけるステップS1507)と、
前記累積付与数が前記第2上限基準値に達しているか否かを判定する第2判定手段(主制御装置131のCPU151におけるステップS1508)と
を備えたことを特徴とする遊技機。
手段15によれば、累積付与数が第1上限基準値に達しているか否かが判定されるとともに、当該累積付与数が第2上限基準値に達しているか否かが判定される。このように複数段階で上記累積付与数の監視を行うことで、各段階に応じた対処を行うことが可能となり、不正用装置を用いて役の抽選結果を操作する不正行為が行われ続けることを好適に抑制することが可能となる。
手段16.手段15において、前記累積付与数が第1上限基準値に達したことに基づいて第1特別処理を実行する第1特別処理実行手段(主制御装置131のCPU151におけるステップS1509)と、
前記累積付与数が第2上限基準値に達したことに基づいて第2特別処理を実行する第2特別処理実行手段(主制御装置131のCPU151におけるステップS1513及びステップS1514)とを備えたことを特徴とする遊技機。
手段16によれば、累積付与数が第1上限基準値に達することで第1特別処理が実行され、さらに不正行為が継続され上記累積付与数が第2上限基準値に達することで第2特別処理が実行される。このように複数段階で特別処理を実行するようにすることで、不正用装置を用いて役の抽選結果を操作する不正行為が行われ続けることを好適に抑制することができる。
例えば、遊技状況などを報知する報知手段を備えた構成においては、第1特別処理として、報知手段にて予め設定された態様の特定報知を実行させることで累積付与数が異常である旨を報知するとともに、第2特別処理として、その後の遊技を禁止する遊技禁止処理を実行する構成としてもよい。この場合、第1特別処理が実行されることで不正行為に対する注意を促すことができるとともに、第2特別処理が実行されることで不正行為が行われ続けることを抑制することができる。特に、不正行為が行われていない通常の状況で累積付与数が第1上限基準値に達した場合に、遊技禁止処理が実行されてしまうことを抑制することができる。
手段17.手段14乃至16のいずれかにおいて、前記把握手段を、予め定められた遊技回数の範囲内における累積付与数を把握する構成とし、
前記基準値を、前記予め定められた遊技回数と前記媒体付与役の当選確率とに基づいて設定したことを特徴とする遊技機。
手段17によれば、遊技機の設計段階などにおいて、基準値の設定を容易に行うことが可能となる。
手段18.手段17において、遊技媒体の付与数履歴を記憶する履歴記憶手段(履歴格納エリア153b,153d)を備え、
前記把握手段を、前記履歴記憶手段に記憶された付与数履歴に基づいて、前記予め定められた遊技回数の範囲内における累積付与数を把握する構成としたことを特徴とする遊技機。
手段18によれば、履歴記憶手段に記憶された付与数履歴に基づいて累積付与数を把握する構成としたことにより、繰り返し行われる各遊技回のうち、いずれの遊技回において上記不正行為の有無の判定を行ったとしても、その判定に際してはその判定に関わる遊技回から予め定められた遊技回数の範囲内における累積付与数を把握することができる。よって、上記不正行為の有無の判定を好適に行うことが可能となる。
手段19.手段18において、前記履歴記憶手段は、最も近い遊技回から前記予め定められた遊技回数の範囲内における累積付与数を把握する上で必要な遊技回数分について、各遊技回における付与数履歴を順次記憶するとともに、当該必要な遊技回数を超える遊技回についての付与数履歴を順次消去する構成であり、
さらに、前記把握手段は、
前記累積付与数を記憶する累積付与数記憶手段(主制御装置131のRAM153における累積枚数格納エリア)と、
前記媒体付与手段により遊技媒体の付与が行われた場合に、その付与数を前記累積付与数に加算する加算手段(主制御装置131のCPU151におけるステップS1505)と、
前記付与数履歴が前記履歴記憶手段から消去された場合に、その消去に対応した付与数を前記累積付与数から減算する減算手段(主制御装置131のCPU151におけるステップS1503)と
を備えたことを特徴とする遊技機。
手段19によれば、履歴記憶手段では、最も近い遊技回から予め定められた遊技回数の範囲内における累積付与数を把握する上で必要な遊技回数分について、各遊技回における付与数履歴が順次記憶されるとともに、当該必要な遊技回数を超える遊技回についての付与数履歴が順次消去される。これにより、履歴記憶手段の記憶容量が極端に増加してしまうことを抑制することができる。また、このように履歴記憶手段の記憶容量が極端に増加してしまうことを抑制した構成において、把握手段においては記憶している累積付与数の加算及び減算が適宜行われる。よって、上記不正行為の有無の判定に際しては、その判定に関わる遊技回から予め定められた遊技回数の範囲内における累積付与数を把握することができる。
手段20.手段17乃至19のいずれかにおいて、前記媒体付与手段により遊技媒体の付与が行われたことを、前記判定手段の判定契機としたことを特徴とする遊技機。
手段20によれば、媒体付与手段により遊技媒体の付与が行われたことを一の条件として上記不正行為の有無の判定が行われるため、当該不正行為を発見するための機会を多く設けることができる。よって、当該不正行為が行われ続けることを好適に抑制することが可能となる。
手段21.手段17において、前記判定手段を、前回判定を行った遊技回からの継続遊技回数が前記予め定められた遊技回数となった場合に判定を行う構成とし、
前記判定手段による判定が行われた場合に前記把握手段により把握される前記累積付与数が初期値となるように更新する初期値更新手段を備えたことを特徴とする遊技機。
手段21によれば、予め定められた遊技回数毎に上記不正行為の有無の判定が行われるため、当該不正行為を発見するための機会を確実に設けることができる。
手段22.手段1乃至21のいずれかにおいて、所定の移行契機条件が成立した場合に遊技状態を通常遊技状態から当該通常遊技状態とは遊技者の有利度合いが異なる特別遊技状態に移行させる状態移行手段(主制御装置131のCPU151におけるBBゲーム処理)を備え、
前記基準値として、通常用基準値と特別用基準値とを設定し、
前記把握手段は、
前記通常遊技状態において各遊技回における当選結果又は入賞の成立結果に基づいて複数遊技回における通常用累積判定対象値を把握する通常用把握手段(通常用当選回数格納エリア153c等)と、
前記特別遊技状態において各遊技回における当選結果又は入賞の成立結果に基づいて複数遊技回における特別用累積判定対象値を把握する特別用把握手段(BB用当選回数格納エリア153e)とを備え、
前記判定手段は、
前記通常用把握手段により把握された前記通常用累積判定対象値と前記通常用基準値とを比較判定する通常用判定手段(ステップS1201にて通常用履歴格納エリア153b及び通常用当選回数格納エリア153cを設定した上で行うステップS1207及びステップS1208等)と、
前記特別用把握手段により把握された前記特別用累積判定対象値と前記特別用基準値とを比較判定する特別用判定手段(ステップS1201にてBB用履歴格納エリア153c及びBB用当選回数格納エリア153eを設定した上で行うステップS1207及びステップS1208等)とを備えたことを特徴とする遊技機。
手段22によれば、遊技状態として通常遊技状態と特別遊技状態とを備えた構成において、それぞれの遊技状態に対応させて累積判定対象値が把握されるとともに、それぞれの遊技状態に対応させて比較判定が行われる。かかる構成とすることにより、各遊技状態に対応させて設定した基準値に基づいて、それぞれの遊技状態において比較判定を行うことができ、不正行為の発見をより好適に行うことが可能となる。
手段23.手段1乃至22のいずれかにおいて、前記特典役の当選確率に対応した確率用設定値を複数段階有し、それら確率用設定値の中から一の確率用設定値を決定する確率用設定値決定手段(主制御装置131のCPU151における当選確率設定処理)と、
当該確率用設定値決定手段により決定される確率用設定値を変更すべく操作される確率用設定値変更手段(当選確率設定キー挿入孔124等)とを備え、
さらに、前記基準値を、前記確率用設定値に対応させて複数段階有し、
前記確率用設定値決定手段により決定された確率用設定値に対応させて、前記判定手段の比較対象となる基準値を前記複数段階の基準値から決定する基準値決定手段(主制御装置131のCPU151におけるステップS1206等)を備えたことを特徴とする遊技機。
手段23によれば、各確率用設定値に対応させて設定した基準値に基づいて、それぞれの確率用設定値において比較判定を行うことができ、不正行為の発見をより好適に行うことが可能となる。
なお、「前記基準値を、前記確率用設定値に対応させて複数段階有し」とは、基準値と確率用設定値とが1対1で対応している構成のみならず、基準値と確率用設定値とが1対複数で対応している構成も含まれる。
手段24.手段1乃至23のいずれかにおいて、前記基準値に対応した設定値を複数段階有し、それら設定値の中から一の設定値を決定する設定値決定手段(主制御装置131のCPU151における監視状態設定処理)と、
当該設定値決定手段により決定される設定値を変更すべく操作される設定値変更手段(監視状態設定キー挿入孔126)とを備えたことを特徴とする遊技機。
手段24によれば、設定値変更手段を操作して設定値を変更することで、基準値が変更される。これにより、例えば遊技ホールの管理者などが必要に応じて不正行為の監視レベルを変更することができる。
手段25.手段1乃至24のいずれかにおいて、前記抽選手段は、
予め設定された抽選用乱数の範囲内においてそれら抽選用乱数を規則的に更新する乱数更新手段(乱数カウンタ154)と、
前記始動操作手段の操作に基づいて、前記乱数更新手段により更新された抽選用乱数を取得する乱数取得手段(主制御装置131のCPU151におけるステップS208)と、
予め設定された複数の特典役にそれぞれ対応した抽選用乱数の範囲が設定された抽選情報を記憶する抽選情報記憶手段(主制御装置131のROM152)と、
前記乱数取得手段の取得した抽選用乱数と前記抽選情報とを比較することにより、当選役を判定する当選役判定手段(主制御装置131のCPU151における抽選処理)とを備えたことを特徴とする遊技機。
手段25の遊技機では、不正用装置を用いて始動操作手段を所定のタイミングで操作することで、所定の特典役に当選させようとする行為又は所定の特典役に当選させないようにする不正行為が想定される。これに対して、上記手段1等の構成を備えることにより、当該不正行為が行われ続けることを抑制することが可能となる。
手段26.手段1乃至25のいずれかにおいて、前記絵柄の可変表示を停止させるべく操作される停止操作手段(ストップスイッチ72〜74)と、前記始動操作手段の操作に基づいて前記絵柄の可変表示を開始させ、前記停止操作手段の操作に基づいて前記絵柄の可変表示を停止させるように、前記絵柄表示装置を制御する制御手段(主制御装置131のCPU151におけるリール制御処理)とを備えたことを特徴とする遊技機。
停止操作手段が遊技者によって積極操作される遊技機において本発明は好適に適用される。
手段27.遊技を実行する遊技装置(リールユニット41等)と、当該遊技装置の遊技制御を実行する遊技制御手段(主制御装置131のCPU151)とを備え、前記遊技装置の遊技結果として入賞が成立した場合に遊技者に特典を付与する遊技機において、
前記遊技制御手段の遊技制御結果に基づいて、予め設定された期間における累積判定対象値を把握する把握手段(当選回数格納エリア153c,153e、及び主制御装置131のCPU151におけるステップS1203,ステップS1205等)と、
把握手段により把握された前記累積判定対象値と予め設定された基準値とを比較判定する判定手段(主制御装置131のCPU151におけるステップS1207,ステップS1208等)と
を備えたことを特徴とする遊技機。
手段27の遊技機では、遊技装置における遊技結果に基づいて遊技者に特典が付与される。この場合に、遊技装置における遊技結果に基づいて予め設定された期間における累積判定対象値が把握され、その把握した累積判定対象値と予め設定された基準値とが比較される。これにより、累積判定対象値が基準値に対して異常か否かを把握することが可能となり、例えば遊技装置における遊技結果を不正に操作する不正行為が行われた場合には、その事実を把握することが可能となる。そして、かかる事実を把握可能とすることで、上記不正行為が行われた場合には何らかの対処を行うことが可能となり、不正用装置を用いて特典を得る不正行為が行われ続けることを抑制することが可能となる。
なお、「予め設定された期間」には、所定のタイミングから予め設定された時間が経過するまでの期間だけでなく、予め設定された開始事象が発生してから予め設定された終了事象が発生するまでの期間も含まれる。したがって、例えば遊技装置として絵柄を可変表示する絵柄表示装置を備えた構成においては、予め設定された期間における累積判定対象値には、複数遊技回における累積判定対象値が含まれる。すなわち、この場合、予め設定された期間とは複数遊技回分の期間となる。
また、「遊技制御結果」には、遊技装置における遊技結果に基づいて特典を付与するか否かといった結果だけでなく、特典の付与にまでは至らないものの特典の付与が生じ得る状態を発生させるか否かといった結果も含まれる。
また、「把握手段」及び「判定手段」は、遊技制御手段とは独立して設けられた構成であってもよく、遊技制御手段の一部として設けられた構成であってもよい。
手段28.絵柄を可変表示する絵柄表示装置(リールユニット41)と、
絵柄の可変表示の始動契機を生じさせる始動手段(スタートレバー71)と、
始動手段にて始動契機が生じたことに基づいて役の抽選を行う抽選手段(主制御装置131のCPU151における抽選処理)と
を備え、
前記役の抽選結果が特典役当選であって、前記絵柄の可変表示領域における予め定められた有効位置に前記当選となった特典役に対応した特典役対応入賞が成立した場合に遊技者に特典を付与する遊技機において、
各遊技回における役の当選結果又は入賞の成立結果に基づいて複数遊技回における累積判定対象値を把握する把握手段(当選回数格納エリア153c,153e、及び主制御装置131のCPU151におけるステップS1203,ステップS1205等)と、
把握手段により把握された前記累積判定対象値と予め設定された基準値とを比較判定する判定手段(主制御装置131のCPU151におけるステップS1207,ステップS1208等)と
を備えたことを特徴とする遊技機。
手段28の遊技機では、始動手段にて始動契機が生じたことに基づいて役の抽選が行われ、役の抽選結果が特典役当選であって、それと対応した特典役対応入賞が有効位置にて成立した場合に遊技者に特典が付与される。
この場合に、各遊技回における役の当選結果又は入賞の成立結果に基づいて複数遊技回における累積判定対象値が把握され、その把握した累積判定対象値と予め設定された基準値とが比較される。これにより、累積判定対象値が基準値に対して異常か否かを把握することが可能となり、例えば特定の特典役に不正に当選させる不正行為が行われた場合には、その事実を把握することが可能となる。そして、かかる事実を把握可能とすることで、上記不正行為が行われた場合には何らかの対処を行うことが可能となり、不正用装置を用いて役の抽選結果を操作する不正行為が行われ続けることを抑制することが可能となる。
なお、「遊技回」とは、始動手段にて始動契機が生じたことに基づいて絵柄表示装置における絵柄の可変表示が始動(開始)された回数のことをいう。
また、「始動手段」としては、絵柄の可変表示を開始させるべく操作される始動操作手段が考えられる。また、始動操作手段以外にも、例えば遊技球が流下する遊技領域に絵柄表示装置を備えた構成においてはその遊技領域に設置された始動口が考えられ、この場合、始動口に遊技球が入球したことに基づいて絵柄表示装置における絵柄の可変表示が開始される。
以上説明した各手段について、上記手段2乃至上記手段26の各手段の適用対象を、上記手段1に代えて、上記手段27又は上記手段28としてもよく、この場合、上記手段27又は上記手段28に関する構成をより良好なものとすることができる。
以下に、以上の各手段を適用し得る各種遊技機の基本構成を示す。
パチンコ遊技機:遊技者が操作する操作手段(遊技球発射ハンドル41)と、その操作手段の操作に基づいて遊技球を発射する遊技球発射手段(遊技球発射機構110)と、その発射された遊技球を所定の遊技領域に導く球通路(内,外レール部101,102)と、遊技領域内に配置された各遊技部品とを備え、それら各遊技部品のうち所定の入球部(各種スイッチ152〜155)に遊技球が入球した場合に遊技者に特典を付与する遊技機。
スロットマシン等の回胴式遊技機:複数の絵柄を可変表示させる絵柄表示装置を備え、始動操作手段の操作に基づいて前記複数の絵柄の可変表示が開始され、停止操作手段の操作に基づいて前記複数の絵柄の可変表示が停止され、その停止後の絵柄に応じて遊技者に特典を付与する遊技機。
(第1の実施の形態)
以下、遊技機の一種である回胴式遊技機、具体的にはスロットマシンに適用した場合の第1の実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はスロットマシン10の正面図、図2はスロットマシン10の斜視図、図3はスロットマシン10の前面扉12を開いた状態の斜視図、図4は前面扉12の背面図、図5は筐体11の正面図である。
図1〜図5に示すように、スロットマシン10は、その外殻を形成する筐体11を備えている。筐体11は、木製板状に形成された天板11a、底板11b、背板11c、左側板11d及び右側板11eからなり、隣接する各板11a〜11eが接着剤等の固定手段によって固定されることにより、全体として前面を開放した箱状に形成されている。
筐体11の前面側には、前面開閉扉としての前面扉12が開閉可能に取り付けられている。すなわち、筐体11の左側板11dには、上下一対の支軸25a,25bが設けられている。支軸25a,25bは上方に向けて突出された先細り形状の軸部を備えている。一方、前面扉12には、各支軸25a,25bに対応して当該支軸25a,25bの軸部が挿入される挿入孔を備えた支持金具26a,26bが設けられている。そして、各支軸25a,25bの上方に支持金具26a,26bを配置させた上で前面扉12を降下させることにより、支持金具26a,26bの挿入孔に支軸25a,25bの軸部が挿入された状態とされる。これにより、前面扉12は筐体11に対して両支軸25a,25bを結ぶ上下方向へ延びる開閉軸線を中心として回動可能に支持され、その回動によって筐体11の前面開放側を開放したり閉鎖することができるように構成されている。
前面扉12は、その裏面に設けられた施錠装置によって開放不能な施錠状態とされる。また、前面扉12の右端側上部には解錠操作部たるキーシリンダ20が設けられている。キーシリンダ20は施錠装置と一体化されており、キーシリンダ20に対する所定のキー操作によって前記施錠状態が解除されるように構成されている。そこで、施錠装置を含むロック機構について概略を説明する。
前面扉12の右端側、すなわち前面扉12の開閉軸の反対側には、その裏面に施錠装置が設けられている。施錠装置は、上下方向に延び前面扉12に固定された基枠と、基枠の上部から前面扉12の前方に延びるように設けられたキーシリンダ20と、基枠に対して上下方向に移動可能に組み付けられた長尺状の連動杆21とを備えている。そして、施錠装置のうちキーシリンダ20だけが前面扉12の前方に突出した状態で設けられている。キーシリンダ20が設けられる位置は前面扉12の中でも肉厚の薄い上部位置とされており、その結果、全長の短い汎用性のあるキーシリンダ20を採用することができる。
連動杆21は、キーシリンダ20に差し込んだキーを時計回りに操作することで下方へ移動される。連動杆21には、鉤形状をなす上下一対の鉤金具22が設けられており、筐体11に対して前面扉12を閉鎖した際には、鉤金具22が筐体11側の支持金具23に係止されて施錠状態となる。なお、鉤金具22には施錠状態を維持する側へ付勢するコイルバネ等の付勢部材が設けられている。キーシリンダ20に対してキーが時計回りに操作されると、連動杆21が下方に移動し、前記付勢部材の付勢力に抗して鉤金具22が移動されることにより当該鉤金具22と支持金具23との係止状態が解除され、筐体11に対する前面扉12の施錠状態が解除される。
前面扉12の中央部上寄りには、遊技者に遊技状態を報知する遊技パネル30が設けられている。遊技パネル30には、縦長の3つの表示窓31L,31M,31Rが横並びとなるように形成されている。表示窓31L,31M,31Rは透明又は半透明な材質により構成されており、各表示窓31L,31M,31Rを通じてスロットマシン10の内部が視認可能な状態となっている。なお、各表示窓31L,31M,31Rを1つにまとめて共通の表示窓としてもよい。
図3に示すように、筐体11は仕切り板40によりその内部が上下2分割されており、仕切り板40の上部には、可変表示手段を構成するリールユニット41が取り付けられている。リールユニット41は、円筒状(円環状)にそれぞれ形成された左リール42L,中リール42M,右リール42Rを備えている。なお、各リール42L,42M,42Rは少なくとも無端状ベルトとして構成されていればよく、円筒状(円環状)に限定されるものではない。各リール42L,42M,42Rは、その中心軸線が当該リールの回転軸線となるように回転可能に支持されている。各リール42L,42M,42Rの回転軸線は略水平方向に延びる同一軸線上に配設され、それぞれのリール42L,42M,42Rが各表示窓31L,31M,31Rと1対1で対応している。従って、各リール42L,42M,42Rの表面の一部はそれぞれ対応する表示窓31L,31M,31Rを通じて視認可能な状態となっている。また、リール42L,42M,42Rが正回転すると、各表示窓31L,31M,31Rを通じてリール42L,42M,42Rの表面は上から下へ向かって移動しているかのように映し出される。
図6は左リール42Lの組立斜視図である。同図に示すように、これら各リール42L,42M,42Rは、それぞれがステッピングモータ61L,61M,61R(図6においては左リール用ステッピングモータ61Lのみ図示)に連結されており、各ステッピングモータ61L,61M,61Rの駆動により各リール42L,42M,42Rが個別に、即ちそれぞれ独立して回転駆動し得る構成となっている。
左リール42Lは、円筒状のかごを形成する円筒骨格部材50と、その外周面において無端状に巻かれた帯状のベルトとを備えている。そして、その巻かれた状態を維持するように、ベルトの長辺両側に沿って形成された一対のシール部を介して円筒骨格部材50に貼付されている。前記ベルトの外周面には、識別情報としての図柄が等間隔ごとに多数印刷されている。円筒骨格部材50の中心部にはボス部51が形成されており、円盤状のボス補強板52を介して左リール用ステッピングモータ61Lの駆動軸に取り付けられている。従って、左リール用ステッピングモータ61Lの駆動軸が回転することによりその駆動軸を中心として円筒骨格部材50が自転するように回転され、左リール42Lが円環状のリール面に沿って周回するようになっている。
左リール用ステッピングモータ61Lは、リールユニット41(図3)内において起立状態に配置されたモータプレート53の側面にねじ54で固定されている。モータプレート53には、発光素子55aと受光素子55bとが所定間隔をおいて保持されたリールインデックスセンサ(回転位置検出センサ)55が設置されている。一方、左リール42Lと一体化されたボス補強板52には、半径方向に延びるセンサカットバン56の基端部56bがねじ57で固定されている。このセンサカットバン56の先端部56aは、略直角に屈曲されてリールインデックスセンサ55の両素子55a,55bの間を通過できるように位置合わせがなされている。そして、左リール42Lが1回転するごとにセンサカットバン56の先端部56aの通過をリールインデックスセンサ55が検出し、その検出の都度、後述する主制御装置131に検出信号が出力される。従って、主制御装置131はこの検出信号に基づいて左リール42Lの角度位置を1回転ごとに確認し補正できる。
ステッピングモータ61Lは例えば504パルスの駆動信号(励磁信号あるいは励磁パルスとも言う。以下同じ)を与えることにより1回転されるように設定されており、この励磁パルスによってステッピングモータ61Lの回転位置、すなわち左リール42Lの回転位置が制御される。
各リール42L,42M,42Rの各ベルト上には、その長辺方向(周回方向)に複数個、具体的には21個の図柄が描かれている。従って、所定の位置においてある図柄から次の図柄へ切り替えるには24パルス(=504パルス÷21図柄)を要する。そして、リールインデックスセンサ55の検出信号が出力された時点からのパルス数により、どの図柄が表示窓31L,31M,31Rから視認可能な状態となっているかを認識したり、任意の図柄を表示窓31L,31M,31Rから視認可能な状態としたりする制御を行うことができる。
各リール42L,42M,42Rに付された図柄のうち、表示窓31L,31M,31Rを介して全体を視認可能な図柄数は、主として表示窓31L,31M,31Rの上下方向の長さによって決定される所定数に限られている。本実施の形態では各リール3個ずつとされている。このため、各リール42L,42M,42Rがすべて停止している状態では、3×3=9個の図柄が遊技者に視認可能な状態となる。
ここで、各リール42L,42M,42Rに付される図柄について説明する。図7には、左リール42L,中リール42M,右リール42Rのそれぞれに巻かれるベルトに描かれた図柄配列が示されている。同図に示すように、各リール42L,42M,42Rにはそれぞれ21個の図柄が一列に設けられている。また、各リール42L,42M,42Rに対応して番号が0〜20まで付されているが、これら番号は主制御装置131が表示窓から視認可能な状態となっている図柄を認識するための番号であり、リール42L,42M,42Rに実際に付されているわけではない。但し、以下の説明では当該番号を使用して説明する。
図柄としては、「リプレイ」図柄(例えば、左ベルト20番目)、「ベル」図柄(例えば、左ベルト19番目)、「青年」図柄(例えば、左ベルト18番目)、「7」図柄(例えば、左ベルト17番目)、「チェリー」図柄(例えば、左ベルト13番目)、「チャンス」図柄(例えば、左ベルト12番目)、「スイカ」図柄(例えば、左ベルト9番目)、「リーチ」図柄(例えば、左ベルト6番目)、「ラッキー」図柄(例えば、左ベルト1番目)の9種類がある。そして、図7に示すように、各リール42L,42M,42Rに巻かれるベルトにおいて、各種図柄の数や配置順序は全く異なっている。
なお、リールユニット41の各リール42L,42M,42Rは識別情報を可変表示する可変表示手段の一例であり、主表示部を構成する。但し、可変表示手段は、図柄を周方向に可変表示する構成であれば、これ以外の構成であってもよい。例えば、ベルトを自転させるのではなく周回させるタイプ等の他の機械的なリール構成としてもよく、また、機械的なリール構成に加えて、液晶表示器、ドットマトリックス表示器等の電気的表示により識別情報を可変表示させるものを設けてもよく、この場合は表示形態に豊富なバリエーションをもたせることが可能となる。
遊技パネル30には、各表示窓31L,31M,31Rを結ぶようにして、横方向へ平行に3本、斜め方向へたすき掛けに2本、計5本の組合せラインが付されている。勿論、最大組合せライン数を6以上としてもよく、5未満としてもよく、所定条件に応じて最大組合せライン数を変更するようにしてもよい。これら各組合せラインに対応して、表示窓31L,31M,31R群の正面から見て左側には有効ライン表示部32,33,34が設けられている。第1有効ライン表示部32は組合せラインのうち中央の横ライン(中ライン)が有効化された場合に点灯等によって表示報知される。第2有効ライン表示部33は組合せラインのうち上下の横ライン(上ライン及び下ライン)が有効化された場合に点灯等によって表示報知される。第3有効ライン表示部34は組合せラインのうち一対の斜めライン(右下がりライン及び右上がりライン)が有効化された場合に点灯等によって表示報知される。そして、有効化された組合せライン、すなわち有効ライン上に図柄が所定の組合せで停止した場合に入賞となり、予め定められたメダル数の払出処理や、特別遊技状態たるBBゲーム等のボーナスゲームへの移行処理などが実行される。
図8には、入賞となる図柄の組合せと、入賞となった場合に払い出されるメダル払出枚数とが示されている。
メダル払出が行われる小役入賞としては、スイカ入賞と、ベル入賞と、チェリー入賞とがある。有効ライン上に左から「スイカ」図柄、「スイカ」図柄、「スイカ」図柄と並んで停止した場合、スイカ入賞として15枚のメダル払出、有効ライン上に左から「ベル」図柄、「ベル」図柄、「ベル」図柄と並んで停止した場合、ベル入賞として8枚のメダル払出が行われる。また、左リール42Lの「チェリー」図柄が有効ライン上に停止した場合、チェリー入賞として4枚のメダル払出が行われる。即ち、チェリー入賞の場合には、中リール42M及び右リール42Rの有効ライン上に停止する図柄はどのような図柄であってもよい。故に、左リール42Lの複数の有効ラインが重なる位置(具体的には上段又は下段)に「チェリー」図柄が停止した場合には、各有効ライン上にてチェリー入賞が成立し、その重なった有効ラインの数を乗算した分だけのメダル払出が行われる。結果として、本実施の形態では8枚のメダル払出が行われる。
また、遊技状態が移行する状態移行入賞としてBB入賞がある。有効ライン上に左から「7」図柄、「7」図柄、「7」図柄と並んで停止した場合、BB入賞として遊技状態が通常遊技状態としての通常ゲームから特別遊技状態としてのBBゲームに移行する。但し、「7」図柄が有効ライン上に左・中・右と並んで停止したとしても、メダル払出は行われない。すなわち、「7」図柄の組合せが有効ライン上に成立した際には、BBゲームに移行するのみである。換言すれば、「7」図柄は、遊技状態をBBゲームに移行させるための状態移行図柄であるといえる。
更に、有効ライン上に左から「リプレイ」図柄、「リプレイ」図柄、「リプレイ」図柄と並んで停止した場合には、再遊技入賞となる。再遊技入賞が成立すると、メダル払出や状態移行は行われないものの、遊技者は所有するメダルを減らすことなく且つメダルを投入することなく次ゲームの遊技を行うことが可能となる。
その他の場合、即ち有効ライン上に左リール42Lの「チェリー」図柄が停止せず、また有効ライン上に上記した図柄の組合せが停止しなかった場合には、メダル払出や遊技状態の移行等は一切行われない。すなわち、左リール42Lと右リール42Rの「チャンス」図柄及び「ラッキー」図柄、中リール42Mと右リール42Rの「チェリー」図柄、各リール42L,42M,42Rの「青年」図柄及び「リーチ」図柄は、入賞と一切関与していない。換言すれば、上記各図柄は、遊技者に付与される特典と無関係な無特典図柄であると言える。このように、各リール42L,42M,42Rには、例えば「ベル」図柄等の入賞と関係する特典図柄と、例えば「青年」図柄等の入賞と無関係な無特典図柄がそれぞれ付されている。なお、以下では、各入賞と対応する図柄の組合せを入賞図柄の組合せともいう。例えば、BB図柄の組合せとは、BB入賞となる図柄の組合せ、すなわち「7」図柄、「7」図柄、「7」図柄の組合せである。
遊技パネル30の下方左側には、各リール42L,42M,42Rを一斉(同時である必要はない)に回転開始させるために操作されるスタートレバー71が設けられている。スタートレバー71はリール42L,42M,42Rを回転開始、すなわち可変表示を開始させるべく操作される開始操作手段又は始動操作手段を構成する。スタートレバー71は、遊技者がゲームを開始するときに手で押し操作するレバーであり、手が離れたあと元の位置に自動復帰する。メダルが投入されているときにこのスタートレバー52が操作されると、各リール42L,42M,42Rが一斉に回転を始める。
スタートレバー71の右側には、回転している各リール42L,42M,42Rを個別に停止させるために操作されるボタン状のストップスイッチ72,73,74が設けられている。各ストップスイッチ72,73,74は停止対象となるリール42L,42M,42Rに対応する表示窓31L,31M,31Rの直下にそれぞれ配置されている。すなわち、左ストップスイッチ72が操作された場合には左リール42Lの回転が停止し、中ストップスイッチ73が操作された場合には中リール42Mの回転が停止し、右ストップスイッチ74が操作された場合には右リール42Rの回転が停止する。ストップスイッチ72,73,74はリール42L,42M,42Rの回転に基づく可変表示を停止させるべく操作される停止操作手段を構成する。各ストップスイッチ72,73,74は、左リール42Lが回転を開始してから所定時間が経過すると停止させることが可能な状態となり、かかる状態中には図示しないランプが点灯表示されることによって停止操作が可能であることが報知され、回転が停止すると消灯されるようになっている。
表示窓31L,31M,31Rの下方右側には、投資価値としてのメダルを投入するためのメダル投入口75が設けられている。メダル投入口75は投資価値を入力する入力手段を構成する。また、メダル投入口75が遊技者によりメダルを直接投入するという動作を伴う点に着目すれば、投資価値を直接入力する直接入力手段を構成するものともいえる。
メダル投入口75から投入されたメダルは、前面扉12の背面に設けられた通路切替手段としてのセレクタ84によって貯留用通路81か排出用通路82のいずれかへ導かれる。すなわち、セレクタ84にはメダル通路切替ソレノイド83が設けられ、そのメダル通路切替ソレノイド83の非励磁時には排出用通路82側とされ、励磁時には貯留用通路81側に切り替えられるようになっている。貯留用通路81に導かれたメダルは、筐体11の内部に収納されたホッパ装置91へと導かれる。一方、排出用通路82に導かれたメダルは、前面扉12の前面下部に設けられたメダル排出口17からメダル受け皿18へと導かれ、遊技者に返還される。
メダル受け皿18は、上方に開放され、多量のメダルを貯留可能な容量を有する。メダル受け皿18の上方には、機種名や遊技に関わるキャラクタなどが表示された下段プレート16が装着されている。
メダルを遊技者に付与する払出手段としてのホッパ装置91は、メダルを貯留する貯留タンク92と、メダルを遊技者に払い出す払出装置93とより構成されている。払出装置93は、図示しないメダル払出用回転板を回転させることにより、排出用通路82の中央右部に設けられた開口94へメダルを排出し、排出用通路82を介してメダル受け皿18へメダルを払い出すようになっている。また、ホッパ装置91の右方には、貯留タンク92内に所定量以上のメダルが貯留されることを回避するための予備タンク95が設けられている。ホッパ装置91の貯留タンク92内部には、この貯留タンク92から予備タンク95へとメダルを排出する誘導プレート96が設けられている。したがって、誘導プレート96が設けられた高さ以上にメダルが貯留された場合、かかるメダルが予備タンク95に貯留されることとなる。
メダル投入口75の下方には、ボタン状の返却スイッチ76が設けられている。返却スイッチ76は、メダル投入口75に投入されたメダルがセレクタ84内に詰まった際に押されるスイッチであり、このスイッチが押されることによりセレクタ84が機械的に連動して動作され、当該セレクタ84内に詰まったメダルがメダル排出口17より返却されるようになっている。
表示窓31L,31M,31Rの下方左側には、投資価値としてのクレジットされた仮想メダルを一度に3枚投入するためのボタン状の第1クレジット投入スイッチ77が設けられている。また、第1クレジット投入スイッチ77の左方には当該スイッチ77よりも小さなボタン状のスイッチとして、第2クレジット投入スイッチ78及び第3クレジット投入スイッチ79が設けられている。第2クレジット投入スイッチ78はクレジットされた仮想メダルを一度に2枚投入するためのものであり、第3クレジット投入スイッチ79は仮想メダルを1枚投入するためのものである。各クレジット投入スイッチ77〜79は前記メダル投入口75とともに投資価値を入力する入力手段を構成する。また、メダル投入口75が遊技者によりメダルを直接投入するという動作を伴うのに対し各クレジット投入スイッチ77〜79は貯留記憶に基づく仮想メダルの投入という動作を伴うに過ぎない点に着目すれば、投資価値を間接入力する間接入力手段を構成するものともいえる。
スタートレバー71の左側には、ボタン状の精算スイッチ80が設けられている。すなわち、本スロットマシン10では、所定の最大値(メダル50枚分)となるまでの余剰の投入メダルや入賞時の獲得メダルを仮想メダルとして貯留記憶するクレジット機能を有しており、仮想メダルが貯留記憶されている状態で精算スイッチ80が押下操作されることで、仮想メダルが現実のメダルとして払い出される。この場合、クレジットされた仮想メダルを現実のメダルとして払い出すという機能に着目すれば、精算スイッチ80は貯留記憶された遊技価値を実際に払い出すための精算操作手段を構成するものともいえる。
遊技パネル30の表示窓31L,31M,31R下方には、貯留記憶された仮想メダル数を表示するクレジット表示部35と、BBゲームが終了するまでに獲得できる残りのメダル数を表示する残獲得枚数表示部36と、入賞時に獲得したメダルの枚数を表示する獲得枚数表示部37とがそれぞれ設けられている。
ここで、メダルがベットされる手順について説明する。遊技の開始時にメダル投入口75からメダルが投入されるとベットとなる。
すなわち、1枚目のメダルがメダル投入口75に投入されると、第1有効ライン表示部32が点灯し、そしてこれに対応する中ラインが有効ラインとなり、2枚目のメダルがメダル投入口75に投入されると、更に第2有効ライン表示部33が点灯すると共に、これに対応する上ライン及び下ラインを含む合計3本の組合せラインがそれぞれ有効ラインとなり、3枚目のメダルがメダル投入口75に投入されると、更に第3有効ライン表示部34が点灯し、そしてこれに対応する一対の斜めラインを含む合計5本の組合せライン全てが有効ラインとなる。
また、4枚以上のメダルがメダル投入口75に投入されると、3枚を超える余剰メダルは、そのときに貯留記憶されている仮想メダルが50枚未満であれば、スロットマシン内部に貯蓄されると共にクレジット表示部35の仮想メダル数が加算表示される。一方、仮想メダル数が50枚のとき又は50枚に達したときには、セレクタ84により貯留用通路81から排出用通路82への切替がなされ、メダル排出口17からメダル受け皿18へと余剰メダルが返却される。
また、クレジット表示部35に貯留枚数が表示されている場合には、第1〜第3クレジット投入スイッチ77〜79のいずれかが押された際にも仮想メダルが投入されたこととなりベットとなる。
第3クレジット投入スイッチ79が押された際には、仮想メダルが1枚投入されたこととしてクレジット表示部35に表示されている数値が1つ減算され、第1有効ライン表示部32が点灯して中ラインが有効ラインとなる。第2クレジット投入スイッチ78が押された際には、仮想メダルが2枚投入されたこととしてクレジット表示部35に表示されている数値が2つ減算され、第1有効ライン表示部32および第2有効ライン表示部33が点灯して合計3本の組合せラインが有効ラインとなる。第1クレジット投入スイッチ77が押された際には、仮想メダルが3枚投入されたこととしてクレジット表示部35に表示されている数値が3つ減算され、全ての有効ライン表示部32〜34が点灯して合計5本の組合せラインが有効ラインとなる。
なお、第1〜第3クレジット投入スイッチ77〜79のいずれかが押された際に投入されるべき仮想メダルが貯留されていない場合、例えばクレジット表示部35の表示が2のときに第1クレジット投入スイッチ77が押された場合等には、クレジット表示部35の数値が全て減算されて0となり、投入可能な仮想メダル分だけベットされる。
前面扉12の上部には、遊技の進行に伴い点灯したり点滅したりする上部ランプ13と、遊技の進行に伴い種々の効果音を鳴らしたり、遊技者に遊技状態を報知したりする左右一対のスピーカ14と、遊技者に各種情報を与える補助表示部15とが設けられている。補助表示部15は、本実施の形態では表示内容の多様化及び表示演出の重厚化を意図して液晶表示器によって構成されているが、ドットマトリックス表示器等の他の表示器を使用してもよい。補助表示部15は、遊技の進行に伴って各種表示演出を実行するためのものであり、各リール42L,42M,42Rによる遊技を主表示部によるものと考えることができることから、本実施の形態では補助表示部15と称している。補助表示部15の背面には上部ランプ13やスピーカ14、補助表示部15を駆動させるための表示制御装置111が設けられている。なお、上部ランプ13及びスピーカ14の位置や数は特に以上説明したものに限られない。
筐体11の内部においてホッパ装置91の左方には、電源ボックス121が設けられている。電源ボックス121は、電源スイッチ122、リセットスイッチ123、当選確率設定キー挿入孔124、監視リセットスイッチ125、及び監視状態設定キー挿入孔126などを備えている。電源スイッチ122は、主制御装置131を始めとする各部に電源を供給するための起動スイッチである。リセットスイッチ123は、スロットマシン10のエラー状態をリセットするためのスイッチである。当選確率設定キー挿入孔124は、ホール管理者などがメダルの出玉調整を行うためのものである。すなわち、ホール管理者等が当選確率設定キーを当選確率設定キー挿入孔124へ挿入してON操作することにより、スロットマシン10の当選確率を設定できるようになっている。また、監視リセットスイッチ125は、後述する第2異常処理が実行された場合のエラー状態をリセットするためのスイッチである。監視状態設定キー挿入孔126は、ホール管理者などが監視状態設定キーを用いて不正の監視レベルの調整を行うためのものである。なお、リセットスイッチ123は、エラー状態をリセットする場合のほか、スロットマシン10の当選確率を変更する場合や監視レベルを変更する場合にも操作される。
リールユニット41の上方には、主制御装置131が筐体11の背板11cに取り付けられている。主制御装置131は、主たる制御を司るCPU、遊技プログラムを記憶したROM、遊技の進行に応じた必要なデータを一時的に記憶するRAM、各種機器との連絡をとるポート、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロック回路等を含む主基板を具備しており、主基板が透明樹脂材料等よりなる被包手段としての基板ボックスに収容されて構成されている。基板ボックスは、略直方体形状のボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印手段としての封印ユニットによって開封不能に連結され、これにより基板ボックスが封印されている。なお、ボックスベースとボックスカバーとを鍵部材を用いて開封不能に連結する構成としてもよい。
次に、本スロットマシン10の電気的構成について、図9のブロック図に基づいて説明する。
主制御装置131には、演算処理手段であるCPU151を中心とするマイクロコンピュータが搭載されている。CPU151には、電源ボックス121の内部に設けられた電源装置161の他に、所定の上限値の範囲内で乱数を生成し適宜更新する乱数カウンタ154などが内部バスを介して接続されている。かかる主制御装置131は、スロットマシン10に内蔵されるメイン基盤としての機能を果たすものである。また、主制御装置131には、図示しない入出力ポートが設けられており、当該入出力ポートを介して各種信号の入出力が行われる。
すなわち、主制御装置131の入力側には、スタートレバー71の操作を検出するスタート検出センサ71a、各ストップスイッチ72,73,74の操作を個別に検出するストップ検出センサ72a,73a,74a、メダル投入口75から投入されたメダルを検出する投入メダル検出センサ75a、各クレジット投入スイッチ77,78,79の操作を個別に検出するクレジット投入検出センサ77a,78a,79a、精算スイッチ80の操作を検出する精算検出センサ80a、ホッパ装置91から払い出されるメダルを検出する払出検出センサ91a、リセットスイッチ123の操作を検出するリセット検出センサ123a、当選確率設定キー挿入孔124に当選確率設定キーが挿入されてON操作されたことを検出する当選確率設定キー検出センサ124a、監視リセットスイッチ125の操作を検出する監視リセット検出センサ125a、監視状態設定キー挿入孔126に監視状態設定キーが挿入されてON操作されたことを検出する監視状態設定キー検出センサ126a等の各種センサが接続されており、これら各種センサからの信号は入出力ポートを介してCPU151へ出力されるようになっている。
また、主制御装置131の入力側には、電源装置161に設けられた停電監視回路161bが接続されている。電源装置161には、主制御装置131を始めとしてスロットマシン10の各電子機器に駆動電力を供給する電源部161aや、上述した停電監視回路161bなどが搭載されている。
停電監視回路161bは電源の遮断状態を監視し、停電時はもとより、電源スイッチ122による電源遮断時に停電信号を生成するためのものである。そのため停電監視回路161bは、電源部161aから出力されるこの例では直流12ボルトの安定化駆動電圧を監視し、この駆動電圧が例えば10ボルト未満まで低下したとき電源が遮断されたものと判断して停電信号が出力されるように構成されている。停電信号はCPU151に供給され、CPU151ではこの停電信号を認識することにより後述する停電時処理が実行される。
電源部161aは、出力電圧が10ボルト未満まで低下した場合でも、主制御装置131などの制御系における駆動電圧として使用される5ボルトの安定化電圧が出力されるように構成されている。この安定化電圧が出力される時間としては、主制御装置131による停電時処理を実行するに十分な時間が確保されている。
主制御装置131の出力側には、各有効ライン表示部32,33,34、クレジット表示部35、残獲得枚数表示部36、獲得枚数表示部37、各リール42L,42M,42Rを回転させるための各ステッピングモータ61(61L,61M,61R)、セレクタ84に設けられたメダル通路切替ソレノイド83、ホッパ装置91、表示制御装置111、図示しないホール管理装置などに情報を送信できる外部集中端子板171等が接続されている。
表示制御装置111は、上部ランプ13やスピーカ14、補助表示部15を駆動させるための制御装置であり、これらを駆動させるためのCPU、ROM、RAM等が一体化された基板を備えている。そして、主制御装置131からの信号を受け取った上で、表示制御装置111が独自に上部ランプ13、スピーカ14及び補助表示部15を駆動制御する。従って、表示制御装置111は、遊技を統括管理するメイン基盤たる主制御装置131との関係では補助的な制御を実行するサブ基盤となっている。即ち、間接的な遊技に関する音声やランプ、表示についてはサブ基盤を設けることにより、メイン基盤の負担軽減を図っている。なお、各種表示部32〜37を表示制御装置111が制御する構成としてもよい。
上述したCPU151には、このCPU151によって実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM152と、このROM152内に記憶されている制御プログラムを実行するに当たって各種のデータを一時的に記憶する作業エリアを確保するためのRAM153のほかに、図示はしないが周知のように割込み回路を始めとしてタイマ回路、データ送受信回路などスロットマシン10において必要な各種の処理回路や、クレジット枚数をカウントするクレジットカウンタなどの各種カウンタが内蔵されている。ROM152とRAM153によって記憶手段としてのメインメモリが構成されている。
ROM152には、図10以降のフローチャートに示される各種処理を実行するためのプログラムが記憶されており、さらに基準値データ群152aなどの各種データ群が記憶されている。基準値データ群152aには、後述する異常判定処理(図23)にて使用される各種の基準値が含まれている。
RAM153には、各種のデータを一時的に記憶するためのメモリや、停電などの発生により電源が遮断された場合において、電源遮断時(電源スイッチ122の操作による電源遮断をも含む。以下同様)のスタックポインタの値を記憶しておくためのバックアップエリアが設けられている。なお、CPU151のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路161bからの停電信号が入力されるように構成されており、停電等の発生に伴う停電フラグ生成処理としてのNMI割込み処理が即座に実行される。
また、RAM153には、各種の役に対応した当選フラグを格納するための当選フラグ格納エリア153aが設けられており、さらに後述する抽選処理(図17)における抽選結果の履歴を複数遊技回分記憶するための履歴格納エリア153b,153d、及び所定の役の当選回数を複数遊技回分記憶するための当選回数格納エリア153c,153eが設けられている。これら履歴格納エリア153b,153d及び当選回数格納エリア153c,1533eは、遊技状態に対応させて設けられている。つまり、通常ゲーム用として、通常用履歴格納エリア153b及び通常用当選回数格納エリア153cが設けられており、BBゲーム用として、BB用履歴格納エリア153c及びBB用当選回数格納エリア153eが設けられている。これら履歴格納エリア153b,153d、及び当選回数格納エリア153c,153eの詳細については後に説明する。
続いて、主制御装置131内のCPU151により実行される各制御処理を図10〜図25のフローチャート等を参照しながら説明する。かかるCPU151の処理としては大別して、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的に(本実施の形態では1.49msec周期で)起動されるタイマ割込み処理と、NMI端子(ノンマスカブル端子)への停電信号の入力により起動されるNMI割込み処理とがあり、説明の便宜上、はじめにNMI割込み処理とタイマ割込み処理とを説明し、その後メイン処理を説明する。
図10はNMI割込み処理の一例を示すフローチャートである。停電の発生などによって電源が遮断されると、電源装置161の停電監視回路161bでは停電信号が生成され、主制御装置131に対して出力される。NMI端子を介して停電信号を受信した主制御装置131では、NMI割込み処理が実行される。
NMI割込み処理では、まずステップS101において、CPU151内に設けられた使用レジスタのデータをRAM153内に設けられたバックアップエリアに退避させる。続いて、ステップS102では、停電フラグをRAM153内に設けられた停電フラグ格納エリアにセットする。その後、ステップS103にてRAM153のバックアップエリアに退避させたデータを再びCPU151の使用レジスタに復帰させる。この復帰処理でNMI割込み処理が終了する。
図11は、主制御装置131で定期的に実行されるタイマ割込み処理のフローチャートであり、主制御装置131のCPU151により例えば1.49msecごとにタイマ割込みが発生する。
先ず、ステップS201に示すレジスタ退避処理では、後述する通常処理で使用しているCPU151内の全レジスタの値をRAM153のバックアップエリアに退避させる。ステップS202では停電フラグがセットされているか否かを確認し、停電フラグがセットされているときにはステップS203に進み、停電時処理を実行する。
ここで、停電時処理について図12を用いて説明する。この停電時処理は、タイマ割込み処理のうち特にレジスタ退避処理の直後に行われるため、その他の割込み処理を中断することなく実行できる。従って、例えば各種コマンドの送信処理中、スイッチの状態(オンオフ)の読み込み処理中などのように、それぞれの処理に割り込んでこの停電時処理が実行されることはなく、かかるタイミングで実行されることをも考慮した停電時処理のプログラムを作成する必要がなくなる。これにより停電時処理用の処理プログラムを簡略化してプログラム容量を削減できる。なお、このことは後述する復電時処理用の処理プログラムについても同様である。
ステップS301では、コマンド送信が終了しているか否かを判定する。送信が終了していない場合には本処理を終了してタイマ割込み処理に復帰し、コマンド送信を終了させる。ステップS301がYES、すなわちコマンドの送信が完了している場合には、ステップS302に進み、CPU151のスタックポインタの値をRAM153内のバックアップエリアに保存する。その後ステップS303では、停止処理として後述するRAM判定値をクリアすると共に入出力ポートにおける出力ポートの出力状態をクリアし、図示しない全てのアクチュエータをオフ状態にする。ステップS304では、RAM判定値を算出し、バックアップエリアに保存する。RAM判定値とは、具体的にはRAM153の作業領域アドレスにおけるチェックサムの2の補数である。RAM判定値をバックアップエリアに保存することにより、RAM153のチェックサムは0となる。RAM153のチェックサムを0とすることにより、ステップS305においてそれ以後のRAMアクセスを禁止する。その後は、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるのに備え、無限ループに入る。
タイマ割込み処理の説明に戻り、ステップS202にて停電フラグがセットされていない場合には、ステップS204以降の各種処理を行う。
すなわち、ステップS204では、誤動作の発生を監視するためのウオッチドッグタイマの値を初期化するウオッチドッグタイマのクリア処理を行う。ステップS205では、CPU151自身に対して次回のタイマ割込みを設定可能とする割込み終了宣言処理を行う。ステップS206では、各リール42L,42M,42Rを回転させるために、それぞれの回胴駆動モータであるステッピングモータ61L〜61Rを駆動させるステッピングモータ制御処理を行う。ステップS207では、入出力ポートに接続された各種センサ(図9参照)の状態を読み込むと共に、読み込み結果が正常か否かを監視するセンサ監視処理を行う。ステップS208では、ステップS207のセンサ監視処理にて、スタート検出センサ71aからの有効なON信号を受信していた場合に、乱数カウンタ154にて今回更新されている抽選用の乱数を記憶する乱数取得処理を行う。
ここで、乱数カウンタについて簡単に説明すると、本スロットマシン10では、8ビットのシフトレジスタを2つ用いて0〜65535の乱数を生成している。各シフトレジスタは定期的(例えば100ns毎)に1ずつ更新され、各シフトレジスタの上位ビットと下位ビットを入れ替えた値がCPU151に入力され、スタートレバー71が操作されたとき(すなわちスタート検出センサ71aのON信号を受信したとき)に入力されている値が抽選用の乱数として取得される。
ステップS209では、各カウンタやタイマの値を減算するタイマ演算処理を行う。ステップS210では、メダルのベット数や、払い出し枚数をカウントした結果を外部集中端子板171へ出力するカウンタ処理を行う。ステップS211では、各種コマンドを表示制御装置111へ送信するコマンド出力処理を行う。ステップS212では、クレジット表示部35、残獲得枚数表示部36及び獲得枚数表示部37にそれぞれ表示されるセグメントデータを設定するセグメントデータ設定処理を行う。ステップS213では、セグメントデータ設定処理で設定されたセグメントデータを各表示部35〜37に供給して該当する数字、記号などを表示するセグメントデータ表示処理を行う。ステップS214では、I/O装置に対応するデータを出力するポート出力処理を行う。ステップS215では、先のステップS201にてバックアップエリアに退避させた各レジスタの値をそれぞれCPU151内の対応するレジスタに復帰させる。その後ステップS216にて次回のタイマ割込みを許可する割込み許可処理を行い、この一連のタイマ割込み処理を終了する。
図13は電源投入後に実行される主制御装置131でのメイン処理を示すフローチャートである。メイン処理は、停電からの復旧や電源スイッチ122のオン操作によって電源が投入された際に実行される。
先ずステップS401では、初期化処理として、スタックポインタの値をCPU151内に設定すると共に、割込み処理を許可する割込みモードを設定し、その後CPU151内のレジスタ群や、I/O装置等に対する各種の設定などを行う。
これらの初期化処理が終了すると、ステップS402では当選確率設定キーが当選確率設定キー挿入孔124に挿入されてON操作されているか否か、より詳しくは当選確率設定キー検出センサ124aからON信号を受信しているか否かを判定する。当選確率設定キーのON操作がなされている場合にはステップS403に進み、強制的RAMクリア処理としてRAM153に記憶されたデータを全てクリアする。続くステップS404では当選確率設定処理を行う。
ここで、当選確率設定処理について図14を用いて説明する。スロットマシン10には、「設定1」から「設定6」まで6段階の当選確率が予め用意されており、当選確率設定処理とは、いずれの当選確率に基づいて内部処理を実行させるのかを設定するための処理である。
ステップS501では次回のタイマ割込みを許可する。その後、ステップS502にて現在の当選確率設定値を読み込むと共に、ステップS503では現在の当選確率設定値をクレジット表示部35に表示する。但し、設定キーが挿入されてON操作された直後の処理では、先の強制的RAMクリア処理によりRAM153のデータがクリアされているため、クレジット表示部35に表示される設定値は「1」である。
ステップS504ではスタートレバー71が操作されたか否かを判定し、操作されていない場合にはステップS505〜ステップS506に示す当選確率設定値更新処理を行う。ステップS505では、リセットスイッチ123が操作されたか否かを判定する。リセットスイッチ123が操作されていない場合にはそのままステップS503に戻り、操作された場合にはステップS506にて当選確率設定値を「1」更新した後にステップS503に戻る。つまり、当選確率設定値更新処理では、リセットスイッチ123が操作される毎に当選確率設定値が「1」更新され、更新された当選確率設定値がクレジット表示部35に表示される。なお、当選確率設定値が「6」のときにリセットスイッチ123が操作された場合、設定値は「1」に更新される。
ステップS504にてスタートレバー71が操作された場合には、ステップS507にて当選確率設定キーのON操作が継続してなされているか否かを判定する。当選確率設定キーのON操作が継続してなされている場合にはそのまま待機し、ON操作が終了された場合にはステップS508にて次回のタイマ割込みを禁止する。その後、ステップS509にて当選確率設定値を保存し、ステップS510にてRAM153に記憶された当選確率設定値以外のデータをクリアして本処理を終了する。
メイン処理の説明に戻り、ステップS404にて当選確率設定処理を行った後には、ステップS405に進む。ステップS405では監視状態設定キーが監視状態設定キー挿入孔126に挿入されてON操作されているか否か、より詳しくは監視状態設定キー検出センサ126aからON信号を受信しているか否かを判定する。監視状態設定キーのON操作がなされている場合にはステップS406に進み、監視状態設定処理を実行した後に、ステップS407にて遊技に関わる主要な制御を行う通常処理を実行する。また、監視状態設定キーのON操作がなされていない場合にはそのままステップS407に進み、通常処理を実行する。
ここで、監視状態設定処理について図15を用いて説明する。スロットマシン10では、後述する異常判定処理を実行することにより、不正に利益を得ようとする行為が監視され、その継続実施が抑制されるようになっている。スロットマシン10には、「設定1」と「設定2」との2段階の監視レベルが予め用意されており、監視状態設定処理とは、いずれの監視レベルに基づいて後述する異常判定処理を実行させるのかを設定するための処理である。
ステップS601では次回のタイマ割込みを許可する。その後、ステップS602にて現在の監視状態設定値を読み込むと共に、ステップS603では現在の監視状態設定値をクレジット表示部35に表示する。なお、監視状態設定値を表示する領域は、上記のとおり当選確率設定処理において当選確率設定値を表示する領域と同一であるが、かかる構成に限定されることはなく、これらの表示領域が異なる構成としてもよい。
ステップS604ではスタートレバー71が操作されたか否かを判定し、操作されていない場合にはステップS605〜ステップS606に示す監視状態設定値更新処理を実行する。ステップS605では、リセットスイッチ123が操作されたか否かを判定する。リセットスイッチ123が操作されていない場合にはそのままステップS603に戻り、操作された場合にはステップS606にて監視状態設定値を切り換えた後にステップS603に戻る。つまり、監視状態設定値更新処理では、リセットスイッチ123が操作される毎に「1」と「2」との間で監視状態設定値が切り換えられる。
ステップS604にてスタートレバー71が操作された場合には、ステップS607にて監視状態設定キーのON操作が継続してなされているか否かを判定する。監視状態設定キーのON操作が継続してなされている場合にはそのまま待機し、ON操作が終了された場合にはステップS608にて次回のタイマ割込みを禁止する。その後、ステップS609にて監視状態設定値を保存し、ステップS610にてRAM153の各履歴格納エリア153b,153d、及び各当選回数格納エリア153c,153eをクリアして本監視状態設定処理を終了する。
メイン処理の説明に戻り、ステップS402にて当選確率設定キーが挿入されていない場合には、ステップS408以降に示す復電処理を行う。復電処理とは、スロットマシン10の状態を電源遮断前の状態に復帰させる処理である。従って、復電処理では先ずRAM153のデータが正常かどうかを確認する必要がある。
そこで、ステップS408では設定値が正常か否かを判定する。具体的には、当選確率設定値が「1」〜「6」のいずれかである場合に正常であると判定し、「0」又は「7」以上である場合に異常であると判定する。設定値が正常である場合には、ステップS409にて停電フラグがセットされているか否かを確認する。停電フラグがセットされている場合には、さらにステップS410にてRAM判定値が正常であるか否かを確認する。具体的には、RAM153のチェックサムの値を調べ、その値が正常、つまりRAM判定値を加味したチェックサムの値が0か否かを確認する。RAM判定値を加味したチェックサムの値が0である場合、RAM153のデータは正常であると判定する。
ステップS410においてRAM判定値が正常であると判定した場合にはステップS411に進み、バックアップエリアに保存されたスタックポインタの値をCPU151のスタックポインタに書き込み、スタックの状態を電源が遮断される前の状態に復帰させる。次に、ステップS412において、復電処理の実行を伝える復電コマンドを表示制御装置111に送信する。その後、ステップS413にて遊技状態として打ち止め及び自動精算設定保存処理を行い、ステップS414にてスタート検出センサ71a等の各種センサの初期化を行う。続くステップS415では、停電フラグをリセットし、ステップS416に進む。ステップS416では、監視状態設定キーが監視状態設定キー挿入孔126に挿入されてON操作されているか否かを判定し、ON操作されていない場合にはそのまま電源遮断前の番地に戻る。電源遮断前の番地に戻るための具体的な処理として、先に説明したタイマ割込み処理に復帰し、ウォッチドッグタイマクリア処理(ステップS204)が実行されることとなる。ON操作されている場合には、ステップS417にて監視状態設定処理を実行した後に電源遮断前の番地に戻る。監視状態設定処理は、上述したとおりである。
ここで、上記のとおり、電源ボックス121には、当選確率設定キー挿入孔124及び監視状態設定キー挿入孔126のそれぞれが設けられている。また、メイン処理では、上記のとおり、当選確率設定キー挿入孔124に当選確率設定キーが挿入されている場合、及び挿入されていない場合のいずれにおいても、監視状態設定処理が実行され得る。かかる構成とすることにより、当選確率設定値の変更と監視状態設定値の変更とを独立して行うことが可能となっている。
メイン処理にて、ステップS408〜ステップS410のいずれかがNO、すなわち、当選確率設定値が異常である、電源遮断時にセットされる筈の停電フラグがセットされていない、又はRAM判定値が異常である場合には、RAM153のデータが破壊された可能性が高い。このような場合には、ステップS418〜ステップS420に示す動作禁止処理を行う。動作禁止処理として、先ずステップS418にて次回のタイマ割込み処理を禁止し、ステップS419では入出力ポート内の全ての出力ポートをクリアすることにより、入出力ポートに接続された全てのアクチュエータをオフ状態に制御する。その後、ステップS420にてホール管理者等にエラーの発生を報知するエラー報知処理を行う。かかる動作禁止状態は、上述した当選確率設定処理が行われるまで維持される。
次に、遊技に関わる主要な制御を行う通常処理について図16のフローチャートに基づき説明する。
先ずステップS701では、メダルがベットされているか否かを判定する。メダルがベットされているときには、続いてステップS702にてスタートレバー71が操作されたか否かを判定する。ステップS701,ステップS702が共にYESの場合には、ステップS703の抽選処理、ステップS704の異常判定処理、ステップS705のリール制御処理、ステップS706のメダル払出処理、ステップS707のBBゲーム処理を順に実行し、ステップS701に戻る。一方、ステップS701にてメダルがベットされていない、またはステップS702にてスタートレバー71が操作されていない場合には、ステップS701に戻る。
次に、通常処理におけるステップS703,ステップS705〜ステップS707の各処理について説明する。なお、ステップS704の異常判定処理については、その理解をより容易なものとするため、ステップS703,ステップS705〜ステップS707の各処理を説明した後に説明する。
先ず、ステップS703の抽選処理について、図17のフローチャートに基づき説明する。
ステップS801では、スロットマシン10の現在の設定状態やベットされたメダルの枚数等に基づき、当否決定用の抽選テーブルを選択する。ここで、スロットマシン10は遊技状態として通常ゲームとBBゲームとが設定されており、各遊技状態に対応させて抽選テーブルが用意されている。
ここで、通常用抽選テーブル及びBB用抽選テーブルについて説明する。先ず通常用抽選テーブルについて図18(a)及び図19(a)を用いて説明する。図18(a)は通常ゲームにおける当選確率を説明するための説明図、図19(a)は通常用抽選テーブルを説明するための説明図である。
通常ゲームでは、図18(a)に示すように、入賞となる役として、再遊技、チェリー役、ベル役、スイカ役、BB役の5種類が設定されており、再遊技を除いて当選確率設定値に対応させて当選確率が設定されている。具体的には、チェリー役、ベル役、及びスイカ役といった小役は、基本的に当選確率設定値の所定の範囲に対応させて当選確率が設定されており、当選確率設定値が大きい側が小さい側よりも当選確率が高くなるように設定されている。BB役は、当選確率設定値に1対1で対応させて当選確率が設定されており、当選確率設定値が大きいほど当選確率が高くなるように設定されている。
また、ベットされるメダルの枚数(1〜3枚)に1対1で対応させて抽選テーブルが用意されており、ベットされたメダルの枚数に基づいて抽選テーブルが選択される。例えば、3枚ベットされたときの役の当選確率は、1枚ベットされたときの役の当選確率と比して3倍よりも高い確率となっている。なお、図18(a)はメダルが3枚ベットされた場合の当選確率を示す。
上記のような当選確率は、当選確率設定値及びベットされるメダルの枚数に対応させて通常用抽選テーブルが設定されていることにより実現される。すなわち、通常用抽選テーブルには、図19(a)に示すように、入賞となる役の数と同数のインデックス値IVが設定されている。すなわち、上記のとおり、通常ゲームでは、再遊技、チェリー、ベル、スイカ、BBの5種類の入賞が発生し得るため、1〜5の5つのインデックス値IVが設定されている。そして、各インデックス値IVには、入賞となる役がそれぞれ一義的に対応付けられると共に、ポイント値PVが設定されている。そして、当該通常用抽選テーブルが選択されることにより、当選確率は図18(a)における当選確率設定値が「1」の場合のものとなる。つまり、再遊技当選確率は約8分の1、チェリー役当選確率は約125分の1、ベル役当選確率は約15分の1、スイカ役当選確率は約50分の1、BB役当選確率は約360分の1となる。
次に、BB用抽選テーブルについて図18(b)及び図19(b)を用いて説明する。図18(b)はBBゲームにおける当選確率を説明するための説明図、図19(b)はBB用抽選テーブルを説明するための説明図である。
BBゲームでは、図18(b)に示すように、入賞となる役として、ベル役、スイカ役の2種類のみが設定されている。通常ゲームでは上記のとおり、当選確率設定値に対応させて当選確率が設定されていたが、BBゲームでは当選確率設定値に対応させて当選確率が設定されておらず、いずれの当選確率設定値であっても当選確率が同一となっている。但し、ベットされるメダルの枚数(1〜3枚)に対しては、1対1で対応させて当選確率が設定されている。なお、図18(b)はメダルが3枚ベットされた場合の当選確率を示す。
また、BB用抽選テーブルには、図19(b)に示すように、ベル役とスイカ役に対応させてインデックス値IV及びポイント値PVが設定されている。そして、当該BB用抽選テーブルが選択されることにより、当選確率は図18(b)に示すものとなる。つまり、ベル役当選確率は約1.1分の1、スイカ役当選確率は約50分の1となる。ここで、BB用抽選テーブルでは、ベル役当選確率が通常用抽選テーブルに比べ非常に高くなっており、BBゲームの各遊技回ではベル役当選が頻出することとなる。
抽選処理の説明に戻り、ステップS802ではインデックス値IVを1とし、続くステップS803では役の当否を判定する際に用いる判定値DVを設定する。かかる判定値設定処理では、現在の判定値DVに、現在のインデックス値IVと対応するポイント値PVを加算して新たな判定値DVを設定する。なお、初回の判定値設定処理では、スタートレバー71が操作されたときに乱数カウンタよりラッチした乱数を現在の判定値DVとし、この乱数に現在のインデックス値IVである1と対応するポイント値PVを加算して新たな判定値DVとする。
その後、ステップS804ではインデックス値IVと対応する役の当否判定を行う。役の当否判定では判定値DVが65535を超えたか否かを判定し、65535を超えた場合には、ステップS805にてそのときのインデックス値IVと対応する役の当選フラグをRAM153の当選フラグ格納エリア153aに格納する。ちなみに、当選フラグが小役当選フラグ又は再遊技当選フラグである場合、これら当選フラグは、該当選フラグがセットされたゲームの終了時にクリアされる。一方、当選フラグがBB当選フラグである場合、BB当選フラグはBB図柄の組合せが有効ライン上に成立したことを条件の1つとしてクリアされる。すなわち、BB当選フラグは、複数回のゲームにわたって有効とされる場合がある。なお、BB当選フラグを持ち越した次ゲーム以降における役の当否判定では、小役又は再遊技の当否判定は行うが、BBに関する当否判定は行わない。
ステップS804にて判定値DVが65535を超えなかった場合には、インデックス値IVと対応する役に外れたことを意味する。かかる場合にはステップS806にてインデックス値IVを1加算し、続くステップS807ではインデックス値IVと対応する役があるか否か、すなわち当否判定すべき役があるか否かを判定する。具体的には、1加算されたインデックス値IVが抽選テーブルに設定されたインデックス値IVの最大値を超えたか否かを判定する。当否判定すべき役がある場合にはステップS803に戻り、役の当否判定を継続する。このとき、ステップS803では、先の役の当否判定に用いた判定値DV(すなわち現在の判定値DV)に現在のインデックス値IVと対応するポイント値PVを加算して新たな判定値DVとし、ステップS804では、当該判定値DVに基づいて役の当否判定を行う。
ステップS805にて当選フラグをセットした後、又はステップS807にて当否判定すべき役がないと判定された場合には、ステップS808にてリール停止制御用のスベリテーブル(停止テーブル)を設定するスベリテーブル設定処理を行う。ここで、スベリテーブルとは、ストップスイッチ72〜74が押されたタイミングからリールをどれだけ滑らせた(回転させた)上で停止させるかが定められたテーブルである。すなわち、スベリテーブルとは、ストップスイッチ72〜74が押された際に基点位置(本実施の形態では下ライン上)に到達している到達図柄と、前記基点位置に実際に停止させる停止図柄との関係が定められた停止データ群である。その後、抽選処理を終了する。
次に、ステップS705のリール制御処理について、図20のフローチャートに基づき説明する。
リール制御処理では、先ずステップS901においてウエイト処理を行う。このウエイト処理は、前回のゲームにおいてリールの回転を開始した時点から所定時間(例えば4.1秒)が経過するまで今回のゲームにおいてリールの回転を開始せずに待機する処理である。このため、遊技者がメダルをベットしてスタートレバー71を操作したとしても、直ちに各リール42L,42M,42Rが回転しないことがある。ウエイト処理に続いてステップS902のリール回転処理を行い、各リール42L,42M,42Rを回転させる。その後、ステップS903に進み、左リール42Lが回転を開始してから所定時間が経過したか否かを判定し、経過していない場合には所定時間が経過するまで待機する。所定時間が経過した場合にはステップS904に進み、ストップスイッチ72〜74のいずれかが押下操作されてリールの停止指令が発生したか否か、より具体的にはストップ検出センサ72a〜74aからのON信号を受信しているか否かを判定する。すなわち、本実施の形態では、左リール42Lが回転を開始してから所定時間が経過するまでの期間を無効期間として設定しており、この無効期間内にストップスイッチ72〜74が押下操作されても、ストップ検出センサ72a〜74aからのON信号を無効化する。停止指令が発生していない場合にはステップS905に進み、予め定められた各リール42L,42M,42Rの最大回転時間を経過したか否かを判定する。最大回転時間を経過していない場合にはステップS904に戻り、最大回転時間を経過した場合にはステップS906に進んで回転中の全てのリールを強制的に順次停止させる強制停止処理を行う。
一方、ステップS904にてストップスイッチ72〜74のいずれかが押下操作されて停止指令が発生した場合には、ステップS907に進み、リール停止処理を行う。このリール停止処理では、押下操作されたストップスイッチに対応するリールを停止させるが、役の抽選において役に当選し、当選フラグがセットされている場合にはRAM153のスベリテーブル格納エリアに格納されたスベリテーブルを参照して、可能な限り当選した役が所定の有効ライン上に並ぶように制御する。
続いて、ステップS908では今回の停止指令が第1停止指令か否か、すなわち3つのリール全てが回転しているときにストップスイッチが押下操作されたか否かを判定する。第1停止指令の場合には、ステップS909に進み、スベリテーブル変更処理を行う。このスベリテーブル変更処理では、例えば当選した有効ライン上で役を揃えようとしたときに役の複合が発生するか否かを判定し、役の複合が発生しないときにはそのまま次のステップに移行し、役の複合が発生するときには当選した有効ラインを別の有効ラインに変更すると共に変更後の有効ラインに合ったスベリテーブルに変更した後に次のステップに移行する。
一方、ステップS908で今回の停止指令が第1停止指令でないときには、ステップS910に進み、第2停止指令か否か、つまり3つのリールのうち1つのリールが停止し2つのリールが回転しているときにストップスイッチが押下操作されたか否かを判定する。第2停止指令のときにはステップS911に進み、停止目判定処理を行う。この停止目判定処理では、2つのリールが停止したときにその2つが「7」図柄等のボーナス図柄で揃っているか否かを判定し、揃っていないときにはそのまま次のステップに移行し、揃っているときにはスピーカ14から効果音等を発生させた後に次のステップに移行する。
そして、ステップS906の強制停止処理の後、ステップS909のスベリテーブル変更処理の後、ステップS910にて今回の停止指令が第2停止指令でなかったとき、又はステップS911の停止目判定処理を行った後には、ステップS912にて左、中、右リール42L,42M,42Rのすべての回転が停止したか否かを判定する。ステップS912がNOの場合にはステップS904に戻り、YESの場合には続くステップS913にて払出判定処理を行った後に本リール制御処理を終了する。
払出判定処理では、役が有効ライン上に並んでいるか否かを判定し、役が有効ライン上に並んでいないときにはRAM153の払出予定数格納エリアに「0」をセットし、役が有効ライン上に並んでいるときにはその役が当選した役と一致しているか否かを判定し、一致していないときには上部ランプ13等によりエラー表示を行うと共に払出予定数格納エリアに「0」をセットする。一致しているときには払出予定数格納エリアに並んだ役と対応する払出数をセットする。
次に、ステップS706のメダル払出処理について、図21のフローチャートに基づき説明する。
メダル払出処理では、先ずステップS1001にて払出数カウンタがカウントした払出数と、払出予定数格納エリアに格納された払出予定数とが一致しているか否かを判定する。払出数と払出予定数とが一致していないときには、ステップS1002にてクレジットカウンタのカウント値が上限(貯留されているメダル数が50枚)に達しているか否かを判定する。上限に達していないときには、ステップS1003,S1005にてクレジットカウンタのカウント値及び払出数をそれぞれ1加算する。その後、ステップS1006では、クレジット表示部35及び獲得枚数表示部37の枚数をそれぞれ1加算する表示部変更処理を行う。
一方、ステップS1002にてクレジットカウンタのカウント値が上限に達しているときには、ステップS1004にてメダル払出用回転板を駆動してメダルをホッパ装置91からメダル排出口17を介してメダル受け皿18へ払い出す。続くステップS1005ではホッパ装置91に取り付けられた払出検出センサ91aのメダル検出信号に応じて払出数を1加算する。その後、ステップS1006にて獲得枚数表示部37の枚数を1加算する表示部変更処理を行う。ステップS1006にて表示部変更処理を行った後、再びステップS1001に戻る。ステップS1001で払出数と払出予定数とが一致したときには、ステップS1007にて現在の遊技状態がBBゲームか否かを判定する。BBゲームでない場合にはステップS1009に進み、払出終了処理を行った後に本処理を終了する。払出終了処理では、払出予定数格納エリアや払出数カウンタの値を「0」にリセットする。なお、獲得枚数表示部37の値は、次ゲームを開始すべくメダルがベットされたときにリセットされる。また、現在の遊技状態がBBゲームである場合には、ステップS1008にて後述する残払出数カウンタのカウント値から払出数を減算すると共に、残獲得枚数表示部36の枚数を減算する処理を行う。その後、ステップS1009にて払出終了処理を行い、本処理を終了する。
次に、ステップS707のBBゲーム処理について、図22のフローチャートに基づき説明する。
BBゲーム処理では、先ずステップS1101にてRAM153のBB設定フラグ格納エリアにBB設定フラグが格納されているか否かを判定する。遊技状態が通常ゲームである場合にはBB設定フラグが格納されていないため、ステップS1101にて否定判定しステップS1102に進む。
ステップS1102では、RAM153の当選フラグ格納エリア153aにおけるBB役当選フラグ格納エリアにBB役当選フラグが格納されているか否かを判定する。BB役当選フラグが格納されていない場合にはそのまま本BBゲーム処理を終了する。BB役当選フラグが格納されている場合には、ステップS1103にて今回有効ライン上にBB役入賞図柄の組合せが停止したか否かを判定する。BB役入賞図柄の組合せが停止していない場合には、そのまま本BBゲーム処理を終了する。BB役入賞図柄の組合せが停止している場合には、ステップS1104にてBBゲーム開始処理を実行した後に本BBゲーム処理を終了する。BBゲーム開始処理では、RAM153のBB役当選フラグ格納エリアからBB役当選フラグをクリアするとともに、RAM153のBB設定フラグ格納エリアにBB設定フラグを格納する。また、CPU151の残払出数カウンタに「420」をセットする。
一方、遊技状態がBBゲームである場合にはBB設定フラグが格納されているため、ステップS1101にてステップS1105に進む。ステップS1105では、残払出数カウンタが「0」か否かを判定する。残払出数カウンタが「0」でない場合には、そのまま本BBゲーム処理を終了する。残払出数カウンタが「0」の場合には、ステップS1105にて肯定判定し、ステップS1106にてBBゲーム終了処理を実行した後に本BBゲーム処理を終了する。BBゲーム終了処理では、RAM153のBB設定フラグ格納エリアからBB設定フラグをクリアする。
次に、ステップS704の異常判定処理について図23のフローチャートに基づき説明する。
説明に先立って、概略を説明する。スロットマシン10では、不正用装置を用いて小役やBB役に不正に当選させようとする行為が想定される。当該不正行為としては、例えばスタートレバー71を不正に操作することに基づいて行うものが想定される。つまり、スロットマシン10では、上記のとおり抽選用の乱数は特定の上限値の範囲内で適宜更新されるが、各役の当選確率を予め設定されたものとするために、その適宜更新されていく乱数の順序には一定の規則性がある。したがって、抽選用の乱数の更新においては、各役に対応した抽選用の乱数に所定周期で更新される。これに対して、不正用装置を用いてスタートレバー71を所定周期で操作することで、特定の役に対応した抽選用の乱数を繰り返し取得させることが可能となり、特定の役に連続して当選させることが可能となってしまう。そして、かかる不正行為が行われ続けると、メダルの払い出しやBBゲームへの移行などが繰り返し行われ、遊技ホールに多大な不利益を及ぼすこととなってしまう。これに対して、異常判定処理では、判定対象となっている役について、所定回数の遊技回で実際に当選した回数と予め定められた基準値とを比較することにより異常の有無を判定し、異常有りと判定した場合には異常処理を実行する。
さて、異常判定処理では、先ずステップS1201にて遊技状態に合わせて今回の履歴格納エリア153b,153d、及び当選回数格納エリア153c,153eを設定する。詳細には、RAM153のBB設定フラグ格納エリアにBB設定フラグが格納されているか否かを判定する。その結果、BB設定フラグが格納されていない場合には、遊技状態が通常ゲームであることを意味するため、通常用履歴格納エリア153b及び通常用当選回数格納エリア153cを今回の対象として設定する。一方、BB設定フラグが格納されている場合には、遊技状態がBBゲームであることを意味するため、BB用履歴格納エリア153d及びBB用当選回数格納エリア153eを今回の対象として設定する。つまり、遊技状態に応じて異常判定処理が実行される構成となっている。
通常用履歴格納エリア153b及び通常用当選回数格納エリア153cについて図24を用いて説明する。なお、図24においては、説明の便宜上、図24(a)に当選フラグ格納エリア153aを示し、図24(b)に通常用履歴格納エリア153bを示し、図24(c)に通常用当選回数格納エリア153cを示す。
図24(b)に示す通常用履歴格納エリア153bは、リングバッファにより構成されており、第1エリアRA1〜第100エリアRA100の100個のエリアからなる。これら第1エリアRA1〜第100エリアRA100は、抽選処理における役の抽選結果を記憶保持可能なデータ量で構成されており、それら各エリアには今回の遊技回よりも前の各遊技回の抽選結果情報が履歴情報(抽選結果履歴)として順次格納されていく。
通常用履歴格納エリア153bには、ポインタが設けられており、当該ポインタの情報によって第1エリアRA1〜第100エリアRA100の各エリアが今回の遊技回に対して何回前の遊技回に対応しているかが特定される。具体的には、ポインタの情報に対応したエリアが100遊技回前の履歴情報となるように構成されている。また、ポインタの情報は、1遊技回が進行することに基づいて、第1エリアRA1〜第100エリアRA100の各エリアに対応した情報に順次変更される。具体的には、ポインタの情報が第4エリアRA4に対応した情報である場合に1遊技回が進行すると、ポインタの情報は第3エリアRA3に対応した情報に変更される。なお、通常用履歴格納エリア153bのクリア処理が実行された後などにおいては、第100エリアRA100から降順に履歴情報が格納されていく。
図24(c)に示す通常用当選回数格納エリア153cは、チェリー役、ベル役、スイカ役、及びBB役の4つの役について当選回数をカウント可能に設定されている。なお、遊技球の払い出し及びBBゲームへの移行に寄与しない再遊技については、異常の判定の対象外となっている。通常用当選回数格納エリア153cの各エリアに格納される各当選回数の情報(以下、当該情報を累積当選回数という)は、当選フラグ格納エリア153a及び通常用履歴格納エリア153bに格納された情報に基づいて加算及び減算されることにより、所定の複数遊技回分の情報となるように調整されている。具体的には、100遊技回分の情報となるように調整されている。
また、BB用履歴格納エリア153d及びBB用当選回数格納エリア153eについて説明すると、BB用履歴格納エリア153dは、通常用履歴格納エリア153bと同様の構成となっている。一方、BB用当選回数格納エリア153eは、スイカ役のみについて累積当選回数をカウント可能に設定されている。この累積当選回数は、当選フラグ格納エリア153a及びBB用履歴格納エリア153dに格納された情報に基づいて加算及び減算されることにより、所定の複数遊技回分の情報となるように調整されている。具体的には、100遊技回分の情報となるように調整されている。
異常判定処理の説明に戻り、ステップS1202では、当選フラグ格納エリア153a及び履歴格納エリア153b,153dに格納された情報に基づいて、今回の遊技回の当選役が100遊技回前の当選役と一致しているか否かを判定する。詳細には、当選フラグ格納エリア153aに基づいて今回の当選役を把握する。当選フラグ格納エリア153aの状態が図24(a)に示す状態である場合には、今回の当選役はベル役となる。
いずれかの役に当選している場合には、履歴格納エリア153b,153dにおける100遊技回前に対応したエリアに基づいて、100遊技回前の当選役を把握する。かかる100遊技回前のエリアの特定は、履歴格納エリア153b,153dに対応させて設けられたポインタに基づいて行われる。例えば、ポインタの示すエリアが100遊技回前に対応したエリアとした構成において、ポインタの示すエリアが図24(b)における第99エリアRA99である場合には、100遊技回前の履歴情報はベル役当選となる。この場合に、当選フラグ格納エリア153aが図24(a)に示す状態である場合には、上記のとおり今回の当選役はベル役となる。したがって、今回の遊技回の当選役が100遊技回前の当選役と一致するため、ステップS1202にて肯定判定する。一方、両者が一致しない場合には、ステップS1202にて否定判定する。また、ステップS1202にていずれの役にも当選していない場合においても、否定判定する。
ステップS1202にて否定判定した場合には、ステップS1203〜ステップS1211に示す各処理を実行する。一方、ステップS1202にて肯定判定した場合には、ステップS1203〜ステップS1211に示す各処理を実行することなくステップS1212に進む。つまり、ステップS1202にて肯定判定した場合には、累積当選回数の調整処理、基準値比較判定処理、及び異常処理を実行しない。このように、今回の当選役が100遊技回前の当選役と一致している場合に上記各処理を実行しないのは、以下の理由による。つまり、後述するように本異常判定処理では、今回の遊技回の当選役に対応する累積当選回数を1加算するとともに、100遊技回前の当選役に対応する累積当選回数を1減算し、その演算した累積当選回数に基づいて異常の有無を判定する。この場合に、今回の当選役が100遊技回前の当選役と一致している場合には、その当選役の累積当選回数が変動することはなく、基準値比較判定処理における判定結果も変更されないからである。
ステップS1203では、100遊技回前の当選役に対応する累積当選回数を1減算する。具体的には、今回の遊技状態に対応した履歴格納エリア153b,153dから100遊技回前の履歴情報を把握する。そして、その把握した履歴情報がチェリー役、ベル役、スイカ役、及びBB役のいずれかの当選履歴情報である場合には、対応する累積当選回数から1減算する。
続くステップS1204では、当選フラグ格納エリア153aを参照することにより、今回の遊技回で判定対象となっている役に当選しているか否かを判定する。但し、この判定対象となっている役は遊技状態に応じて異なっており、通常ゲームではチェリー役、ベル役、スイカ役、及びBB役となっており、BBゲームではスイカ役のみとなっている。
BBゲームにおける判定対象がスイカ役のみとしているのは、以下の理由による。つまり、既に説明したとおりBBゲームの各遊技回ではベル役及びスイカ役が抽選役となっており、このうち入賞時のメダルの払出枚数が少ないベル役当選が頻発するように当選確率が設定されている。したがって、BBゲームにおいてベル役を不正に当選させようとする行為は想定しがたいため、スイカ役のみが判定対象となっている。
ステップS1204では、先ずRAM153のBB設定フラグ格納エリアにBB設定フラグが格納されているか否かを判定し、BB設定フラグが格納されていない場合には通常ゲーム用の判定対象役に当選しているか否かを判定し、BB設定フラグが格納されている場合にはBBゲーム用の判定対象役に当選しているか否かを判定する。判定対象となっている役に当選していない場合には、ステップS1205〜ステップS1210の各処理を実行することなくステップS1211に進む。つまり、判定対象となっている役に当選していない場合には、基準値比較判定処理、及び異常処理を実行しない。一方、判定対象となっている役に当選している場合には、ステップS1205にて今回の当選役に対応する累積当選回数を1加算した後にステップS1206に進む。
ステップS1206では、今回の当選役、遊技状態、ベット枚数、当選確率設定値、及び監視状態設定値に基づいて基準値1及び基準値2を把握する。ここで、基準値について図25を用いて説明する。
基準値は、今回算出した累積当選回数が異常か否かの判定を行うための値であり、累積当選回数をカウントする上で対象となっている遊技回数に対応させて設定されている。また、基準値は、遊技状態に対応させて設定されている。つまり、上記のとおりステップS1204において判定対象となっている役は遊技状態に対応させて異なっており、基準値は判定対象となっている役に対して設定されている。通常ゲームに関しては、チェリー役、ベル役、スイカ役、及びBB役に対して基準値が設定されており、BBゲームに関しては、スイカ役のみに対して基準値が設定されている。
基準値は、対応する役の今回の当選確率に対応させて設定されている。つまり、基準値は、ベット枚数に対応させて設定されている。既に説明したとおり、ベット枚数に応じて当選確率が異なるからである。また、基準値は、図25に示すように、当選確率設定値に対応させて設定されている。但し、基準値は、二項分布に基づいて算出されているため、当選確率設定値と1対1で対応させて設定されているわけではない。ちなみに、図25は、通常ゲームにおいてメダルが3枚ベットされた場合の基準値を示しており、図18(a)に示した当選確率に対応している。
基準値は、判定対象となっている各役について、基準値1とそれよりも値が大きい基準値2とが設定されている。基準値1及び基準値2のそれぞれに基づいて累積当選回数が異常か否かが判定され、それぞれの基準値に対応させて異常処理が実行される。これについては、後に説明する。
基準値は、図25に示すように、監視状態設定値に対応させて設定されている。上述したように監視状態設定値は監視レベルを設定するために用いられる設定値であり、その監視レベルに対応させて基準値が設定されている。具体的には、監視状態設定値として「設定1」と「設定2」との2段階が用意されており、「設定2」の方が「設定1」よりも監視レベルが厳しくなるように、設定されている基準値は低くなっている。
異常判定処理の説明に戻り、ステップS1206にて今回の基準値1及び基準値2を把握した後は、ステップS1207及びステップS1208の各処理を実行する。すなわち、ステップS1207では、今回の当選役に対応する累積当選回数が基準値1以上となっているか否かを判定する。また、ステップS1208では、今回の当選役に対応する累積当選回数が基準値2以上となっているか否かを判定する。
今回の累積当選回数が基準値1以上であって基準値2未満となっている場合には、ステップS1207にて肯定判定するとともにステップS1208にて否定判定し、ステップS1209に進む。ステップS1209では、第1異常処理としての第1報知処理を実行する。ここで、第1報知処理とは、遊技を禁止する前段階として遊技ホールの管理者などに注意を促すための処理である。具体的には、表示制御装置111に対して第1エラーコマンドを送信することにより上部ランプ13を所定の態様で点灯させるとともに、外部集中端子板171を介してホール管理装置に第1報知処理を実行した旨の第1エラー信号を送信する。その後、ステップS1211に進む。
また、今回の累積当選回数が基準値1未満である場合には、ステップS1207にて否定判定し、ステップS1210にて第1報知処理を解除した後に、ステップS1211に進む。
ステップS1211では、今回の遊技回における抽選結果の情報を、履歴格納エリア153b,153dにおける100遊技回前に対応したエリア、すなわち、履歴格納エリア153b,153dにおけるポインタの情報に対応したエリアに履歴情報として格納する。これにより、履歴格納エリア153b,153dにおいて、100遊技回前の履歴情報が消去されるとともに、今回の遊技回における抽選結果の情報が履歴情報として記憶される。その後、ステップS1212にてポインタの情報を更新した後に、本異常判定処理を終了する。
一方、今回の累積当選回数が基準値2以上の場合には、ステップS1207にて肯定判定するとともにステップS1208にて肯定判定し、ステップS1213及びステップS1214の第2異常処理に進む。第2異常処理におけるステップS1213では、先ず第2報知処理を実行する。ここで、第2報知処理とは、その後、遊技を禁止する上で必要な制御を行うための処理である。具体的には、表示制御装置111に対して第2エラーコマンドを送信することにより各種ランプを消灯させるとともに、外部集中端子板171を介してホール管理装置に第2報知処理を実行した旨の第2エラー信号を送信する。その後、ステップS1214では、監視リセットスイッチ125がON操作されたか否かを判定し、ON操作されるまで待機する。これにより、監視リセットスイッチ125がON操作されるまで主制御装置131のCPU151における通常処理が進行しなくなり、遊技が禁止される。これらステップS1213及びステップS1214の処理を実行することにより、小役やBB役に不正に当選させようとする行為が行われ続けることを防止することができる。
その後、監視リセットスイッチ125がON操作されることにより、ステップS1214にて肯定判定し、ステップS1215及びステップS1216の各処理を実行した後に本異常判定処理を終了する。つまり、ステップS1215では、既に実行されている第1報知処理及び第2報知処理を解除し、ステップS1216では、履歴格納エリア153b,153d及び当選回数格納エリア153c,153eをクリアする。
以上のように異常判定処理が実行されることにより、判定対象となっている役に関して、所定の複数遊技回分(100遊技回分)の累積当選回数について異常か否かが判定される。特に、履歴格納エリア153b,153dを用いて累積当選回数の調整を行っていることにより、累積当選回数は判定に関わる遊技回に対して連続している所定の複数遊技回分のものとなる。さらに、履歴格納エリア153b,153d及び当選回数格納エリア153c,153eが遊技状態に対応させて設けられていることにより、各遊技状態に対してそれぞれ異常判定処理が実行される。また、判定の基準値として基準値1と基準値2とが設定されており、それぞれの基準値による判定結果に対応させて第1異常処理や第2異常処理が実行される。さらに、基準値は役の当選確率に対応させて設定されており、さらに監視レベルに応じた基準値が設定されるようになっている。
以上詳述した第1の実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
主制御装置131のRAM153に当選回数格納エリア153c,153eを設け、遊技者への特典の付与に関わる所定の抽選役について所定遊技回数分の各累積当選回数を把握するようにした。そして、それら各累積当選回数が対応する基準値以上となった場合に異常処理を実行するようにした。これにより、不正用装置を用いて役の抽選結果を操作することで上記所定の抽選役に当選させる不正行為が行われ続けることを抑制することができる。特に、累積当選回数を、不正行為の有無を判定するための累積判定対象値として把握する構成とすることで、不正用装置を用いて役の抽選結果を操作する不正行為を直接的に監視することが可能となる。
各累積当選回数に対応する基準値として、それぞれ第1上限基準値としての基準値1と、それよりも値が大きい第2上限基準値としての基準値2とを設定した。そして、累積当選回数が基準値1以上である場合に第1異常処理(本実施の形態では、第1報知処理)を実行し、累積当選回数が基準値2以上である場合に第2異常処理を実行するようにした。このように複数段階で異常処理を実行するようにすることで、不正用装置を用いて役の抽選結果を操作する不正行為が行われ続けることを好適に抑制することができる。
特に、本実施の形態では、第1異常処理として、上部ランプ13などにて特定報知を実行させることで累積当選回数が異常である旨を報知するとともに、第2異常処理として、その後の遊技を禁止する遊技禁止処理を実行するようにした。この場合、第1異常処理が実行されることで不正行為に対する注意を促すことができるとともに、第2異常処理が実行されることで不正行為が行われ続けることを抑制することができる。また、不正行為が行われていない通常の状況で判定対象となっている抽選役の累積当選回数が基準値1以上となってしまった場合に、遊技禁止処理が実行されてしまうことを抑制することができる。
主制御装置131のRAM153に役の抽選結果履歴を記憶する履歴格納エリア153b,153dを設け、この履歴格納エリア153b,153dに記憶された抽選結果履歴に基づいて各累積当選回数を把握する構成とした。これにより、繰り返し行われる各遊技回のうち、いずれの遊技回において上記不正行為の有無の判定を行ったとしても、その判定に際してはその判定に関わる遊技回から予め定められた遊技回数の範囲内における累積当選回数を把握することができる。よって、上記不正行為の有無の判定を好適に行うことができる。
また、履歴格納エリア153b,153dでは、最も近い遊技回から予め定められた遊技回数の範囲内における累積当選回数を把握する上で必要な遊技回数分について、各遊技回における役の抽選結果履歴が順次記憶されるとともに、当該必要な遊技回数を超える遊技回についての抽選結果履歴が順次消去される。これにより、履歴格納エリア153b,153dの記憶容量が極端に増加してしまうことを抑制することができる。また、このように履歴格納エリア153b,153dの記憶容量が極端に増加してしまうことを抑制した構成において、各累積当選回数の加算及び減算を適宜行うようにした。よって、上記不正行為の有無の判定に際しては、その判定に関わる遊技回から予め定められた遊技回数の範囲内における累積当選回数を把握することができる。
役の抽選結果が判定対象となっている抽選役に当選した結果となることを、上記不正行為の有無の判定契機とした。これにより、上記不正行為を発見するための機会を多く設けることができ、上記不正行為が行われ続けることを好適に抑制することができる。
特に、本実施の形態では、複数の抽選役に関して上記不正行為が行われ続けることを抑制すべく、判定対象となる抽選役が複数設定されている。かかる構成において、各抽選役についての上記不正行為の有無の判定契機を、それぞれの抽選役が当選となることとした。これにより、それら各抽選役のそれぞれについて不正行為の有無の判定契機を多く設けることができる。
また、上記のように判定対象の抽選役を複数設定した構成において、各抽選役の累積当選回数の把握に関して一の履歴格納エリア153b,153dを兼用するようにした。これにより、各抽選役に対して履歴格納エリアを設ける構成に比べ、構成の簡素化を図ることができる。
遊技状態として通常ゲームとBBゲームとを備えた構成において、それぞれの遊技状態に対応させて累積当選回数を把握するとともに、それぞれの遊技状態に対応させて異常か否かの判定を行うようにした。かかる構成とすることにより、各遊技状態に対応させて設定した基準値に基づいて、それぞれの遊技状態において異常か否かの判定を行うことができ、不正行為の発見をより好適に行うことができる。
当選確率設定値に対応させて基準値を設定した。これにより、それぞれの当選確率設定値に対応した基準値に基づいて異常か否かの判定を行うことができ、不正行為の発見をより好適に行うことができる。
複数段階の監視状態設定値を設定し、各監視状態設定値に対応させて基準値を設定した。そして、監視状態設定キー挿入孔126に監視状態設定キーを挿入することで、監視状態設定値を変更することができるようにした。これにより、例えば遊技ホールの管理者などが必要に応じて不正行為の監視レベルを変更することができる。
(第2の実施の形態)
本実施の形態では、異常判定処理に関する構成が上記第1の実施の形態と異なっている。そこで、以下にかかる構成について詳細に説明する。なお、以下の説明では、上記第1の実施の形態との相違点を説明し、同一の構成については基本的に説明を省略する。
本実施の形態では、上記第1の実施の形態と異なり、主制御装置131のRAM153には、履歴格納エリア153b,153dが設けられていない。代わりに、RAM153には、遊技回数格納エリアが設けられている。この遊技回数格納エリアは遊技状態に対応させて設けられており、具体的には、通常用遊技回数格納エリア及びBB用遊技回数格納エリアを有する。つまり、本実施の形態のRAM153には、異常判定処理に関して、当選フラグ格納エリア153a、通常用当選回数格納エリア153c、通常用遊技回数格納エリア、BB用当選回数格納エリア153e、BB用遊技回数格納エリアが設けられている。
次に、本実施の形態における異常判定処理について図26のフローチャートに基づき説明する。
異常判定処理では、先ずステップS1301にて、遊技状態に合わせて今回の当選回数格納エリア153c,153e及び遊技回数格納エリアを設定する。設定の具体的な処理は、上記第1の実施の形態におけるステップS1201の処理と同様である。
続くステップS1302では、遊技状態に対応する遊技回数格納エリアの情報(以下、累積遊技回数という)を1加算する。その後、ステップS1303にて、当選フラグ格納エリア153aを参照することにより、今回の遊技回で判定対象となっている役に当選しているか否かを判定する。各遊技状態において判定対象となっている役は、上記第1の実施の形態と同様である。判定の対象となっている役に当選している場合には、ステップS1304にて今回の当選役に対応する累積当選回数を1加算した後にステップS1305に進む。一方、判定の対象となっている役に当選していない場合には、そのままステップS1305に進む。
ステップS1305では、遊技状態に対応した累積遊技回数が「100」となっているか否かを判定する。累積遊技回数が「100」となっていない場合には、そのまま本異常判定処理を終了する。累積遊技回数が「100」となっている場合には、ステップS1306〜ステップS1314の基準値比較判定処理及び異常処理を実行する。つまり、本異常判定処理では、上記第1の実施の形態と異なり、判定対象となっている役に当選する度に基準値比較判定処理等を実行するのではなく、100遊技回の周期で基準値比較判定処理等を実行する。
ステップS1306では、遊技状態、ベット枚数、当選確率設定値、及び監視状態設定値に基づいて基準値1及び基準値2を把握する。これら基準値の詳細については、上記第1の実施の形態にて説明したとおりである。但し、通常ゲームにおけるステップS1306では、上記第1の実施の形態におけるステップS1206と異なり、判定対象となっているすべての役についての基準値1及び基準値2を把握する。
ステップS1306にて今回の基準値1及び基準値2を把握した後は、ステップS1307及びステップS1308の各処理を実行する。すなわち、ステップS1307では、判定対象となっている全ての役について、累積当選回数が対応する基準値1以上となっているか否かを判定する。また、ステップS1308では、判定対象となっている全ての役について、累積当選回数が対応する基準値2以上となっているか否かを判定する。
いずれかの累積当選回数が対応する基準値1以上となっている場合であって、全ての累積当選回数が対応する基準値2未満となっている場合には、ステップS1307にて肯定判定するとともにステップS1308にて否定判定し、ステップS1309に進む。ステップS1309では、第1報知処理を実行する。この第1報知処理ついては、上記第1の実施の形態にて説明したとおりである。第1報知処理が実行されることにより、遊技を禁止する前段階として遊技ホールの管理者などに注意を促すことが可能となる。その後、ステップS1314に進む。
また、全ての累積当選回数が対応する基準値1未満である場合には、ステップS1307にて否定判定し、ステップS1310にて第1報知処理を解除した後に、ステップS1314に進む。
一方、いずれかの累積当選回数が対応する基準値2以上の場合には、ステップS1307にて肯定判定するとともにステップS1308にて肯定判定し、ステップS1311に進む。ステップS1311では、第2報知処理を実行する。この第2報知処理については、上記第1の実施の形態にて説明したとおりである。その後、ステップS1312では、監視リセットスイッチ125がON操作されたか否かを判定し、ON操作されるまで待機する。これにより、監視リセットスイッチ125がON操作されるまで主制御装置131のCPU151における通常処理が進行しなくなり、遊技が禁止される。これらステップS1311及びステップS1312の処理を実行することにより、小役やBB役に不正に当選させようとする行為が行われ続けることを防止することができる。
その後、監視リセットスイッチ125がON操作されることにより、ステップS1312にて肯定判定し、ステップS1313において、既に実行されている第1報知処理及び第2報知処理を解除し、ステップS1314に進む。
ステップS1314では、当選回数格納エリア153c,153e及び累積遊技回数格納エリアをクリアする。その後、本異常判定処理を終了する。
以上のように異常判定処理が実行されることにより、判定対象となっている役に関して、所定の複数遊技回周期で、所定の複数遊技回分の累積当選回数について異常か否かが判定される。また、判定の基準値として基準値1と基準値2とが設定されており、それぞれの基準値による判定結果に対応させて第1異常処理や第2異常処理が実行される。さらに、基準値は役の当選確率に対応させて設定されており、さらに監視レベルに応じた基準値が設定されるようになっている。
以上詳述した第2の実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
主制御装置131のRAM153に当選回数格納エリア153c,153eを設け、遊技者への特典の付与に関わる所定の抽選役について所定遊技回数分の各累積当選回数を把握するようにした。そして、それら各累積当選回数が対応する基準値以上となった場合に異常処理を実行するようにした。これにより、不正用装置を用いて役の抽選結果を操作することで上記所定の抽選役に当選させる不正行為が行われ続けることを抑制することができる。特に、累積当選回数を、不正行為の有無を判定するための累積判定対象値として把握する構成とすることで、不正用装置を用いて役の抽選結果を操作する不正行為を直接的に監視することが可能となる。
主制御装置131のRAM153に累積遊技回数格納エリアを設け、予め定められた遊技回数毎に上記不正行為の有無の判定を行うようにした。これにより、上記不正行為を発見するための機会を確実に設けることができる。
なお、本第2の実施の形態は、上記第1の実施の形態における特徴的な構成と同一又は類似した構成を備えており、かかる構成に基づく効果は本第2の実施の形態においても同様に奏する。
(第3の実施の形態)
本実施の形態では、異常判定処理に関する構成が上記第1の実施の形態と異なっている。そこで、以下にかかる構成について詳細に説明する。なお、以下の説明では、上記第1の実施の形態との相違点を説明し、同一の構成については基本的に説明を省略する。
本実施の形態では、上記第1の実施の形態と異なり、主制御装置131のRAM153には、当選回数格納エリア153c,153eが設けられていない。代わりに、RAM153には、累積枚数格納エリアが設けられている。この累積枚数格納エリアは遊技状態に対応させて設けられており、具体的には、通常用累積枚数格納エリア及びBB用累積枚数格納エリアを有する。また、RAM153には、上記第1の実施の形態と同様に、履歴格納エリア153b,153dが設けられているが、これら履歴格納エリア153b,153dの第1エリアRA1〜第100エリアRA100の各エリアには、抽選結果の履歴情報ではなくメダルの払出枚数の履歴情報(払出履歴)が格納される。さらに、RAM153には、上記第1の実施の形態と同様に当選フラグ格納エリア153aが設けられているが、異常判定処理に関しては使用されない。代わりに、払出予定数格納エリアが使用される。つまり、本実施の形態のRAM153には、異常判定処理に関して、払出予定数格納エリア、通常用履歴格納エリア153b、通常用累積枚数格納エリア、BB用履歴格納エリア153d、BB用累積枚数格納エリアが設けられている。
また、上記第1の実施の形態では、異常判定処理は、通常処理(図16)にてステップS703の抽選処理とステップS705のリール制御処理との間のタイミングで実行される構成であったが、本実施の形態では、異常判定処理は、リール制御処理(図20)におけるステップS913の払出判定処理における一連の処理として実行される。そこで、かかる払出判定処理について図27のフローチャートに基づき説明する。
払出判定処理では、先ずステップS1401にて、今回の入賞判定処理を実行する。続くステップS1402では、入賞判定処理の結果、いずれかの役について入賞が成立したか否かを判定する。入賞が成立していない場合には、ステップS1403にてRAM153の払出予定数格納エリアに「0」をセットした後に、ステップS1411に進む。
いずれかの役について入賞が成立している場合には、ステップS1404にて入賞が成立した役が当選役と一致しているか否かを判定する。一致している場合には、そのままステップS1407に進む。一致していない場合には、ステップS1405に進み、入賞異常処理を実行する。入賞異常処理では、表示制御装置111に対して不一致エラーコマンドを送信することにより上部ランプ13を所定の態様で点灯させるとともに、外部集中端子板171を介してホール管理装置に入賞異常処理を実行した旨の不一致エラー信号を送信する。その後、ステップS1406では、リセットスイッチ123がON操作されたか否かを判定し、ON操作されるまで待機する。これにより、リセットスイッチ123がON操作されるまで主制御装置131のCPU151における通常処理が進行しなくなり、遊技が禁止される。その後、リセットスイッチ123がON操作されることにより、ステップS1406にて肯定判定し、ステップS1407に進む。
ステップS1407では、今回の入賞が再遊技入賞か否かを判定する。再遊技入賞である場合には、ステップS1408にてリプレイ処理を実行するとともに、ステップS1409にてRAM153の払出予定数格納エリアに「0」をセットした後に、ステップS1411に進む。一方、再遊技入賞でない場合には、ステップS1410にて入賞に対応したメダルの払出枚数をRAM153の払出予定数格納エリアにセットした後に、ステップS1411に進む。なお、今回の入賞がBB役入賞である場合には、ステップS1410にて払出予定数格納エリアに「0」をセットする。
その後、ステップS1411にて異常判定処理を実行するとともに、ステップS1412にて判定終了処理を実行した後に、本払出判定処理を終了する。
次に、本実施の形態における異常判定処理について図28のフローチャートに基づき説明する。
異常判定処理では、先ずステップS1501にて、遊技状態に合わせて今回の履歴格納エリア153b,153d及び累積枚数格納エリアを設定する。設定の具体的な処理は、上記第1の実施の形態におけるステップS1201の処理と同様である。
続くステップS1502では、払出予定数格納エリア及び履歴格納エリア153b,153dに格納された情報に基づいて、今回の遊技回の払出枚数(払出予定数)が100遊技回前の払出枚数と一致しているか否かを判定する。詳細には、払出予定数格納エリアに基づいて今回の払出枚数を把握する。払出枚数が「0」の場合には、ステップS1502にて否定判定する。
払出枚数が1以上の場合には、履歴格納エリア153b,153dにおける100遊技回前に対応したエリアに基づいて、100遊技回前の払出枚数を把握する。かかる100遊技回前のエリアの特定については、上記第1の実施の形態と同様である。今回の払出枚数が100遊技回前の払出枚数と一致する場合には、ステップS1502にて肯定判定する。一方、両者が一致しない場合には、ステップS1502にて否定判定する。
ステップS1502にて否定判定した場合には、ステップS1503〜ステップS1511に示す各処理を実行する。一方、ステップS1502にて肯定判定した場合には、ステップS1503〜ステップS1511に示す各処理を実行することなくステップS1512に進む。つまり、ステップS1502にて肯定判定した場合には、累積枚数格納エリアに格納される情報(以下、当該情報を累積枚数という)の調整処理、基準値比較判定処理、及び異常処理を実行しない。このように、今回の払出枚数が100遊技回前の払出枚数と一致している場合に上記各処理を実行しないのは、以下の理由による。つまり、後述するように本異常判定処理では、今回の払出枚数を累積枚数に加算するとともに、100遊技回前の払出枚数を累積枚数から減算し、その演算した累積枚数に基づいて異常の有無を判定する。この場合に、今回の払出枚数が100遊技回前の払出枚数と一致している場合には、累積枚数が変更されることはなく、基準値比較判定処理における判定結果も変更されないからである。
ステップS1503では、100遊技回前の払出枚数を累積枚数から減算する。具体的には、今回の遊技状態に対応した履歴格納エリア153b,153dから100遊技回前の払出枚数を把握する。そして、その把握した払出枚数が1以上の場合には、その値を累積枚数から減算する。
続くステップS1504では、払出予定数格納エリアを参照することにより、今回の払出枚数が「1」以上か否かを判定する。払出枚数が「0」の場合には、ステップS1505〜ステップS1510の各処理を実行することなくステップS1511に進む。つまり、払出枚数が「0」の場合には、基準値比較判定処理、及び異常処理を実行しない。一方、払出枚数が「1」以上の場合には、ステップS1505にて今回の払出枚数を累積枚数に加算した後にステップS1506に進む。
ステップS1506では、遊技状態、ベット枚数、当選確率設定値、及び監視状態設定値に基づいて基準値1及び基準値2を把握する。ここで、本実施の形態における基準値は、累積枚数をカウントする上で対象となっている遊技回数に対応させて設定されており、さらに上記第1の実施の形態と同様に、今回の当選確率に対応させて設定されている。また、本実施の形態における基準値は、上記第1の実施の形態における基準値と異なっており、払出枚数の基準値として設定されている。例えば、通常ゲームにおいて例示すると、図25(a)における当選確率設定値が「1」の場合には、基準値1は、「296」となっており、基準値2は「389」となっている。
ステップS1506にて今回の基準値1及び基準値2を把握した後は、ステップS1507及びステップS1508の各処理を実行する。すなわち、ステップS1507では、累積枚数が基準値1以上となっているか否かを判定する。また、ステップS1508では、累積枚数が基準値2以上となっているか否かを判定する。
今回の累積枚数が基準値1以上であって基準値2未満となっている場合には、ステップS1507にて肯定判定するとともにステップS1508にて否定判定し、ステップS1509に進む。ステップS1509では、第1報知処理を実行する。第1報知処理については、上記第1の実施の形態にて説明したとおりである。その後、ステップS1511に進む。また、今回の累積枚数が基準値1未満である場合には、ステップS1507にて否定判定し、ステップS1510にて第1報知処理を解除した後に、ステップS1511に進む。
ステップS1511では、今回の払出枚数の情報を、履歴格納エリア153b,153dにおける100遊技回前に対応したエリアに履歴情報として格納する。これにより、履歴格納エリア153b,153dにおいて、100遊技回前の払出枚数が消去されるとともに、今回の払出枚数の情報が履歴情報として記憶される。その後、ステップS1512にてポインタの情報を更新した後に、本異常判定処理を終了する。
一方、今回の累積枚数が基準値2以上の場合には、ステップS1507にて肯定判定するとともにステップS1508にて肯定判定し、ステップS1513に進む。ステップS1513では、第2報知処理を実行する。第2報知処理については、上記第1の実施の形態にて説明したとおりである。その後、ステップS1514では、監視リセットスイッチ125がON操作されたか否かを判定し、ON操作されるまで待機する。これにより、監視リセットスイッチ125がON操作されるまで主制御装置131のCPU151における通常処理が進行しなくなり、遊技が禁止される。これらステップS1513及びステップS1514の処理を実行することにより、小役に不正に当選させようとする行為が行われ続けることを防止することができる。
その後、監視リセットスイッチ125がON操作されることにより、ステップS1514にて肯定判定し、ステップS1515及びステップS1516の各処理を実行した後に本異常判定処理を終了する。つまり、ステップS1515では、既に実行されている第1報知処理及び第2報知処理を解除し、ステップS1516では、履歴格納エリア153b,153d及び累積枚数格納エリアをクリアする。
以上のように異常判定処理が実行されることにより、所定の複数遊技回分(100遊技回分)の累積枚数について異常か否かが判定される。特に、履歴格納エリア153b,153dを用いて累積枚数の調整を行っていることにより、累積枚数は判定に関わる遊技回に対して連続している所定の複数遊技回分のものとなる。さらに、履歴格納エリア153b,153d及び累積枚数格納エリアが遊技状態に対応させて設けられていることにより、各遊技状態に対してそれぞれ異常判定処理が実行される。また、判定の基準値として基準値1と基準値2とが設定されており、それぞれの基準値による判定結果に対応させて第1異常処理や第2異常処理が実行される。さらに、基準値は役の当選確率に対応させて設定されており、さらに監視レベルに応じた基準値が設定されるようになっている。具体的には、当選確率の設定値に応じて基準値が異なっており、当選確率の設定値が大きいほど基準値が大きい値となっている。また、監視レベルに応じて基準値が異なっており、監視レベルが低い(監視レベルが緩い)ほど基準値が大きい値となっている。
以上詳述した第3の実施の形態によれば、以下の優れた効果を奏する。
主制御装置131のRAM153に累積枚数格納エリアを設け、所定遊技回数分のメダルの累積枚数を把握するようにした。そして、累積枚数が基準値以上となった場合に異常処理を実行するようにした。これにより、不正用装置を用いて役の抽選結果を操作することで不正にメダルを払い出させる不正行為が行われ続けることを抑制することができる。特に、累積枚数を、不正行為の有無を判定するための累積判定対象値として把握することで、抽選役として複数の媒体付与役を備えた構成において、不正用装置を用いて役の抽選結果を操作して、それら媒体付与役に当選させる不正行為が行われ続けることをまとめて抑制することが可能となる。
主制御装置131のRAM153にメダルの払出履歴を記憶する履歴格納エリア153b,153dを設け、この履歴格納エリア153b,153dに記憶された払出履歴に基づいてメダルの累積枚数を把握する構成とした。これにより、繰り返し行われる各遊技回のうち、いずれの遊技回において上記不正行為の有無の判定を行ったとしても、その判定に際してはその判定に関わる遊技回から予め定められた遊技回数の範囲内における累積枚数を把握することができる。よって、上記不正行為の有無の判定を好適に行うことができる。
また、履歴格納エリア153b,153dでは、最も近い遊技回から予め定められた遊技回数の範囲内における累積枚数を把握する上で必要な遊技回数分について、各遊技回におけるメダルの払出履歴が順次記憶されるとともに、当該必要な遊技回数を超える遊技回についてのメダルの払出履歴が順次消去される。これにより、履歴格納エリア153b,153dの記憶容量が極端に増加してしまうことを抑制することができる。また、このように履歴格納エリア153b,153dの記憶容量が極端に増加してしまうことを抑制した構成において、累積枚数の加算及び減算を適宜行うようにした。よって、上記不正行為の有無の判定に際しては、その判定に関わる遊技回から予め定められた遊技回数の範囲内における累積枚数を把握することができる。
メダルの払出が行われることを、上記不正行為の有無の判定契機とした。これにより、上記不正行為を発見するための機会を多く設けることができ、上記不正行為が行われ続けることを好適に抑制することができる。
なお、本第3の実施の形態は、上記第1の実施の形態における特徴的な構成と同一又は類似した構成を備えており、かかる構成に基づく効果は本第3の実施の形態においても同様に奏する。
(他の実施の形態)
なお、上述した各実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。
(1)通常ゲームとBBゲームとの2種類の遊技状態が設定されたスロットマシン10に対して本発明を適用したが、設定されている遊技状態が上記各実施の形態とは異なるスロットマシンに対して本発明を適用してもよい。例えば、遊技状態として、再遊技の当選確率が通常ゲームよりも高くなるRTゲームを備えたスロットマシンに対して本発明を適用してもよい。かかるスロットマシンにおいて再遊技の累積当選回数を不正行為の判定対象とする場合には、再遊技の当選確率に対応させて累積当選回数と基準値との比較及び異常判定を行う必要がある。したがって、本構成では、履歴格納エリア153b,153dや、当選回数格納エリア153c,153dを、通常ゲームとRTゲームとのそれぞれに対応させて設けるのが好ましい。
(2)また、遊技状態として、遊技者の有利度合いが通常ゲームよりも低くなる不利遊技状態を備えるとともに、その不利遊技状態への移行契機が所定の抽選役(以下、当該抽選役を不利移行契機役ともいう)に当選することとしたスロットマシンに対して本発明を適用してもよい。かかるスロットマシンにおいては、不正用装置を用いて役の抽選結果を操作することにより、通常ゲームなどにて上記移行契機役に当選させないようにする不正行為が想定される。したがって、本構成では、複数遊技回における不利移行契機役の累積当選回数が下限基準値以下である場合、又は下限基準値未満である場合に、異常処理を実行するようにするのが好ましい。これにより、当該不正行為が行われ続けることを抑制することができる。
また、本構成において、下限基準値として、第1下限基準値とそれよりも値が小さい第2下限基準値とを設定するとともに、不利移行契機役の累積当選回数が第1下限基準値以下となった場合に第1異常処理を実行し、第2下限基準値以下となった場合に第2異常処理を実行する構成としてもよい。これにより、当該不正行為が行われ続けることを好適に抑制することができる。
(3)上記各実施の形態では、通常ゲーム及びBBゲームのそれぞれについて異常判定処理を実行する構成としたが、これに代えて、通常ゲームについてのみ異常判定処理を実行する構成としてもよい。この場合、履歴格納エリア153b,153dや当選回数格納エリア153c,153e等を複数設ける必要がないため、上記各実施の形態に比べ、主制御装置131のRAM153の記憶容量の削減を図ることができる。
(4)上記第1の実施の形態及び上記第2の実施の形態では、累積判定対象値を累積当選回数としたが、これに代えて、累積判定対象値を累積入賞回数としてもよい。この場合、RAM153には当選回数格納エリア153c,153eの代わりに入賞回数格納エリアを設け、判定対象となっている抽選役について入賞が成立することにより、入賞回数格納エリアに記憶された累積入賞回数を加算するようにする。そして、その累積入賞回数と予め設定された基準値とを比較することにより、不正行為の有無を判定し異常処理を実行するようにする。
(5)上記第1の実施の形態及び上記第2の実施の形態では、再遊技を判定対象の抽選役として設定しない構成としたが、これに代えて、再遊技を判定対象の抽選役として設定してもよい。この場合、判定対象となる抽選役の数を上記第1の実施の形態及び上記第2の実施の形態に比べ増加させることができ、不正用装置を用いて役の抽選結果を操作する不正行為をより好適に発見することが可能となる。スタートレバー71を不正に操作することに基づく不正行為においては、再遊技以外の所定の抽選役を不正に当選させようとする過程で、再遊技当選が複数回連続して発生する可能性があるからである。
(6)上記第3の実施の形態では、不正行為の有無の判定契機を、メダルの払出が行われることとしたが、上記第2の実施の形態のように、予め定められた遊技回数毎に不正行為の有無の判定を行う構成としてもよい。この場合、不正行為の有無の判定を行う毎に累積枚数格納エリアをクリアするようにする。
(7)上記各実施の形態では、累積当選回数や累積枚数が基準値以上となることにより、異常処理を実行するようにしたが、これに限定されることはなく、累積当選回数や累積枚数が基準値を超えることにより、異常処理を実行する構成としてもよい。また、累積当選回数や累積枚数の把握の仕方は、加算式に限定されることはなく、減算式としてもよい。
(8)上記各実施の形態では、基準値として基準値1と基準値2とを設定したが、複数段階の基準値を設定しないようにしてもよい。
(9)上記各実施の形態では、第1異常処理では報知処理を行い、第2異常処理では報知処理だけでなく遊技禁止処理を行う構成としたが、これを変更してもよい。例えば、第1異常処理及び第2異常処理のいずれにおいても報知処理を実行する構成としてもよい。但し、各異常処理において報知の態様を変更する。
(10)上記各実施の形態における各報知処理(ステップS1209やステップS1213等)に基づく報知の態様を変更してもよい。例えば、スピーカ14から所定の音や音声を出力する報知の態様としてもよく、補助表示部15にて所定の表示を行う報知の態様としてもよい。また、上部ランプ13以外のランプ部を点灯又は点滅させる報知の態様としてもよい。
(11)上記各実施の形態では、判定に関わる遊技回数を100遊技回としたが、これに限定されることはなく、100遊技回未満又は100遊技回を超える遊技回数としてもよい。
(12)上記各実施の形態では、監視状態設定値を2段階としたが、これに限定されることはなく、3段階以上であってもよい。
(13)上記各実施の形態では、主制御装置131において異常判定処理を行う構成としたが、これを変更してもよい。例えば、表示制御装置111などの他の制御装置において異常判定処理を行う構成としてもよい。
(14)上記各実施の形態では、小役入賞が成立した場合にメダルを払い出す特典を付与する構成としたが、かかる構成に限定されるものではなく、遊技者に何らかの特典が付与される構成であればよい。例えば、小役入賞が成立した場合にメダル以外の賞品を払い出す構成であってもよい。また、現実のメダル投入やメダル払出機能を有さず、遊技者の所有するメダルをクレジット管理するスロットマシンにおいては、クレジットされたメダルの増加が特典の付与に相当する。
(15)上記各実施の形態では、円筒骨格部材50の外周面に、図柄が印刷されたベルトを貼付する構成としたが、円筒骨格部材とベルトとを一体形成し、このベルトの外周面に図柄を個別に貼付する構成としてもよい。かかる場合には、この一体形成の外周面が無端状ベルトに相当する。
(16)上記各実施の形態では、状態移行図柄としての「7」図柄が有効ライン上に揃った場合にメダル払出を行わない構成としたが、メダル払出を行う構成としてもよい。
(17)上記各実施の形態では、リールを3つ並列して備え、有効ラインとして5ラインを有するスロットマシンについて説明したが、かかる構成に限定されるものではなく、例えばリールを5つ並列して備えたスロットマシンや、有効ラインを7ライン有するスロットマシンであってもよい。
(18)各リール42L,42M,42Rの図柄としては、絵、数字、文字等に限らず、幾何学的な線や図形等であってもよい。また、光や色等によって図柄を構成することも可能であるし、立体的形状等によっても図柄を構成し得るし、これらを複合したものであっても図柄を構成し得る。即ち、図柄は識別性を有した情報(識別情報)としての機能を有するものであればよい。
(19)上記各実施の形態では、スロットマシン10について具体化した例を示したが、スロットマシンとパチンコ機とを融合した形式の遊技機に適用してもよい。即ち、スロットマシンのうち、メダル投入及びメダル払出機能に代えて、パチンコ機のような球投入及び球払出機能をもたせた遊技機としてもよい。かかる遊技機をスロットマシンに代えて使用すれば、遊技ホールでは球のみを遊技価値として取り扱うことができるため、パチンコ機とスロットマシンとが混在している現在の遊技ホールにおいてみられる、遊技価値たるメダルと球との別個の取扱による設備上の負担や遊技機設置個所の制約といった問題を解消し得る。
(20)本発明を、パチンコ機に適用してもよい。例えば、遊技球が流下する遊技領域に絵柄表示装置を備えるとともに遊技球が入球可能な始動口を備え、始動口に遊技球が入球したことに基づいて絵柄表示装置における絵柄の可変表示が開始され、その可変表示結果が特定結果となった場合に大当たりなどの特別遊技状態が発生するパチンコ機に適用することができる。当該パチンコ機においては、不正に特別遊技状態を発生させようとする行為が想定されるため、本発明を適用することで、かかる不正行為が行われ続けることを阻止することが可能となる。
また、例えば特別装置の特定領域に遊技球が入ると電動役物が所定回数開放し、その電動役物内に設けられた有利口に遊技球が入球することにより、大当たりなどの特別遊技状態が発生するパチンコ機に適用することができる。当該パチンコ機であっても、特別遊技状態を発生させるか否かといった決定は制御装置において行われ、当該制御装置に対して不正を行うことで特別遊技状態を発生させようとする行為が想定される。これに対して、本発明を適用することで、かかる不正行為が行われ続けることを阻止することが可能となる。なお、当該パチンコ機に本発明を適用する場合、予め定められた時間内の入賞回数を把握し、その入賞回数が基準値に達したか否かを判定する構成とするとよい。
また、その他、特別装置の特定領域に遊技球が入ると権利が発生して大当たりとなるパチンコ機、他の役物を備えたパチンコ機、アレンジボール機、雀球等の他の遊技機にも適用できる。