上記前進時接続状態および後進時接続状態に切替可能な第2クラッチ機構部を備える船舶推進ユニットにおいて、好ましくは、第2クラッチ機構部は、第1クラッチ機構部が半接続状態の場合に、前記前進時接続状態および前記後進時接続状態のいずれか一方に切り替えられるように構成されている。このように構成すれば、たとえば、第2クラッチ機構部がドッグクラッチのように互いに係合することにより駆動力が伝達されるクラッチである場合に、第1クラッチ機構部が半接続状態で、第2クラッチ機構部を前進時接続状態および後進時接続状態のいずれか一方に切り替えるように操作した場合には、第2クラッチ機構部はドッグクラッチが係合する位置まで駆動されながら、第2クラッチ機構部の切替操作が行われるので、スムーズに第2クラッチ機構部を接続することができる。また、第1クラッチ機構部が半接続状態の場合には、完全な接続状態の場合に比べて、第2クラッチ機構部が係合する際の衝撃を緩和することができる。
上記エンジンの駆動力の一部を出力軸側に伝達する半接続状態に切替可能な第1クラッチ機構部を備える船舶推進ユニットにおいて、好ましくは、第1クラッチ機構部は、複数の板状部材を有し、複数の板状部材が互いに接触された場合に第1接続状態および半接続状態に切替可能な板状クラッチを含み、第2クラッチ機構部は、複数の係合部を有し、複数の係合部が係合された場合に第2接続状態に切替可能なドッグクラッチを含む。このように構成すれば、第1クラッチ機構部に、複数の板状部材を有し、複数の板状部材が互いに接触された場合に第1接続状態および半接続状態に切替可能な板状クラッチを適用することによって、容易に、第1クラッチ機構部を第1接続状態および半接続状態で接続することができる。また、第2クラッチ機構部に、複数の係合部を有し、複数の係合部が係合された場合に第2接続状態に切替可能なドッグクラッチを適用することによって、第1接続状態および半接続状態で接続することが可能な第1クラッチ機構部と組み合わせることにより、スムーズに前進時接続状態および後進時接続状態のいずれか一方に第2クラッチ機構部を接続することができる。
この場合において、好ましくは、制御部は、第1クラッチ機構部がエンジンの駆動力を切断する第1切断状態と、第2クラッチ機構部がエンジンの駆動力を切断する第2切断状態との両方が所定時間維持された場合に、所定時間の経過後に、第1クラッチ機構部を第1接続状態に切り替える制御を行うように構成されている。このように構成すれば、所定時間経過後、第1クラッチ機構部は第1接続状態で接続されるので、ドライブ軸部が所定時間以上停止するのを抑制することができる。これにより、たとえば、ウォーターポンプなどのドライブ軸部により駆動されるユニットが所定時間以上駆動されない状態が生じるのを抑制することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態による船外機が搭載された船舶を示した斜視図である。図2〜図12は、図1に示した第1実施形態による船外機の構成を詳細に説明するための図である。図中、FWDは、船舶の前進方向を示しており、BWDは、船舶の後進方向を示している。まず、図1〜図12を参照して、第1実施形態による船舶1に搭載された船外機3の構成について説明する。
第1実施形態による船舶1には、図1に示すように、水面に浮かべられる船体2と、船体2の後部に取り付けられ、船体2を推進するための2機の船外機3と、船体2を操舵するための操舵部4と、操舵部4の近傍に配置され、船体2を前後方向に推進可能なコントロールレバー部5とが設けられている。なお、船外機3およびコントロールレバー部5は、本発明の「船舶推進ユニット」の一例である。
2機の船外機3は、それぞれ、船体2の幅方向(矢印X1方向および矢印X2方向)の中心に対して対称に配置されている。また、船外機3は、図2に示すように、エンジン30と、エンジン30の下方に延びるように配置され、エンジン30の駆動力を伝達する上側ドライブ軸部31と、上側ドライブ軸部31に伝達されたエンジン30の駆動力を低速の減速比(約1.3:約1.0)と高速の減速比(約1.0:約1.0)とに変速する変速機構部32と、上側ドライブ軸部31の軸線L1上に配置された上部クラッチ機構部33とを含んでいる。また、船外機3は、さらに、上部クラッチ機構部33の下方に延びるように配置された下側ドライブ軸部34と、下側ドライブ軸部34に伝達されたエンジン30の駆動力を前側プロペラ35aおよび後側プロペラ35bに伝達するロアー機構部36とを含んでいる。なお、上側ドライブ軸部31および下側ドライブ軸部34は、それぞれ、本発明の「ドライブ軸部」の一例である。また、前側プロペラ35aは、本発明の「第1プロペラ」および「プロペラ」の一例であり、後側プロペラ35bは、本発明の「第2プロペラ」および「プロペラ」の一例である。また、船外機3は、複数のケース部300により覆われている。これらケース部300は、樹脂または金属により形成されており、船外機3の内部を水などから保護する機能を有する。
また、コントロールレバー部5には、図3に示すように、上部クラッチ機構部33(図2参照)および後述する前後進駆動部373(図2参照)および後進駆動部374を制御する制御部51と、レバー部5aのシフト位置を検出するシフトポジションセンサ52とが内蔵されている。シフトポジションセンサ52は、レバー部5aが中立の位置に位置している場合、中立の位置よりも前方に位置している場合および中立の位置よりも後方に位置している場合のいずれのシフト位置であるかを検出する機能を有する。そして、コントロールレバー部5のレバー部5aが前方(矢印FWD方向)に回動されるのに伴って、レバー部5aが中立の位置よりも前方(矢印FWD方向)に位置しているとシフトポジションセンサ52に検知された場合に、制御部51は、後述する前後進駆動部373および後進駆動部374(図2参照)を船体2(図1参照)が前進可能なように制御するように構成されている。また、レバー部5aが前後方向に回動されていない場合(図3の実線参照)、制御部51は、後述する前後進駆動部373および後進駆動部374(図2参照)を船体2(図1参照)が前進および後進のいずれにも推進されないニュートラル(中立)状態に制御するように構成されている。また、コントロールレバー部5のレバー部5aが後方(矢印BWD方向)に回動されるのに伴って、レバー部5aが中立の位置よりも後方(矢印BWD方向)に位置しているとシフトポジションセンサ52に検知された場合に、制御部51は、後述する前後進駆動部373(図2参照)および後進駆動部374を船体2(図1参照)が後進可能なように制御するように構成されている。
また、コントロールレバー部5のレバー部5aには、セレクトボタン5bが設けられている。このセレクトボタン5bは、押圧された場合に、変速機構部32を低速の減速比および高速の減速比のいずれか一方に切り替える信号を送信する機能を有する。
次に、エンジン30、変速機構部32および上部クラッチ機構部33などの構造について説明する。エンジン30には、図2に示すように、軸線L1を中心に回転するクランク軸30aが設けられている。このエンジン30は、このクランク軸30aが回転されることにより駆動力が発生されるように構成されている。また、クランク軸30aには、上側ドライブ軸部31の上側部分が接続されている。この上側ドライブ軸部31は、軸線L1上に配置されているとともに、クランク軸30aがA方向に回転するのに伴って、軸線L1を中心にA方向に回転するように構成されている。
また、上側ドライブ軸部31の下部近傍には、オイルポンプ部301が取り付けられている。このオイルポンプ部301は、後述するオイルパン302に貯留されているオイルを汲み上げるとともに、汲み上げたオイルを船外機3内の所定の部分に供給するためにオイルに圧力を付与する機能を有する。
また、上側ドライブ軸部31の下部は、変速機構部32に接続されている。この変速機構部32は、図4に示すように、ハウジング320の内部に収容されているとともに、上側ドライブ軸部31の駆動力を減速可能な遊星歯車部321と、遊星歯車部321の回転を制御するクラッチ部322およびワンウェイクラッチ323と、上側ドライブ軸部31の駆動力が遊星歯車部321を介して伝達される中間軸324とを含んでいる。そして、変速機構部32は、クラッチ部322が接続状態である場合に、中間軸324が上側ドライブ軸部31の回転数と比べて実質的に減速されることなく回転するように構成されている。その一方、変速機構部32は、クラッチ部322が切断状態である場合には、遊星歯車部321が回転されることにより上側ドライブ軸部31の回転数よりも減速された回転数で、中間軸324が回転されるように構成されている。
上側ドライブ軸部31の下側部分には、リングギヤ325が設けられている。また、中間軸324の上部には、フランジ部材326がスプライン嵌合されている。このフランジ部材326は、リングギヤ325の内側(軸線L1側)に配置されており、フランジ部材326のフランジ部326aには、図4および図5に示すように、4つの軸部材327が固定されている。これら4つの軸部材327には、それぞれ、4つのプラネタリアギヤ328が回転可能に取り付けられており、これら4つのプラネタリアギヤ328は、それぞれ、リングギヤ325に噛合されている。また、4つのプラネタリアギヤ328は、それぞれ、軸線L1を中心に回転可能なサンギヤ329に噛合されている。このサンギヤ329は、図4に示すように、クラッチ部322の外ケース部322aと一体的に回転するように取り付けられている。
また、クラッチ部322は、湿式多板クラッチにより構成されている。クラッチ部322は、サンギヤ329と共に回転可能な外ケース部322aと、外ケース部322aの内周部分に互いに所定の間隔を隔てて配置された複数のクラッチプレート322bと、少なくとも一部が外ケース部322aの内側に配置された内ケース部322cと、内ケース部322cに取り付けられ、複数のクラッチプレート322bのそれぞれの間の空間に配置された複数のクラッチプレート322dとにより主に構成されている。そして、クラッチ部322は、外ケース部322aのクラッチプレート322bと、内ケース部322cのクラッチプレート322dとが互いに接触している場合に、外ケース部322aと内ケース部322cとが一体的に回転する接続状態になるように構成されている。その一方、クラッチ部322は、外ケース部322aのクラッチプレート322bと、内ケース部322cのクラッチプレート322dとが互いに離間している場合に、外ケース部322aと内ケース部322cとが一体的に回転しない切断状態になるように構成されている。
具体的には、外ケース部322aには、外ケース部322aの内周面に対して摺動可能なピストン部322eが配置されている。このピストン部322eは、外ケース部322aの内周面に対して摺動された際に、外ケース部322aの複数のクラッチプレート322bを、それぞれ、ピストン部322eの摺動方向に移動するように構成されている。また、外ケース部322aには、圧縮コイルばね322fが配置されている。この圧縮コイルばね322fは、ピストン部322eを、外ケース部322aのクラッチプレート322bと内ケース部322cのクラッチプレート322dとが離間する方向に付勢するように配置されている。また、ピストン部322eは、制御部51が送信するレバー部5aの位置を示す信号などに基づいて後述する下部内周保持部333のオイル通路333aを流通するオイルの圧力が上昇された際に、圧縮コイルばね322fの反力に抗して外ケース部322aの内周面に対して摺動するように構成されている。つまり、下部内周保持部333のオイル通路333aを流通するオイルの圧力を上昇および降下させることにより、外ケース部322aのクラッチプレート322bと、内ケース部322cのクラッチプレート322dとを接触および離間させることが可能となるので、クラッチ部322を接続および切断することが可能となる。
また、内ケース部322cは、4つの軸部材327の各上部が取り付けられているフランジ部材326と溶接により一体的に形成されている。つまり、フランジ部材326が回転されるのに伴って、内ケース部322cと軸部材327とは、軸線L1を中心に同時に回転されるように構成されている。
また、外ケース部322aには、円筒状に下方に延びる下部突起部322gが一体的に形成されている。この下部突起部322gの内周面には、ワンウェイクラッチ323が嵌め込まれており、ワンウェイクラッチ323は、リング部材323aにより上方に支持されている。また、ワンウェイクラッチ323の内周面には、後述する上部クラッチ機構部33のクラッチ部331の連結部材331aの外周面が嵌め込まれている。また、ワンウェイクラッチ323は、その内周面が回転しないように後述する連結部材331aがハウジング320に対して固定されている場合に、その外周面をA方向のみに回転させる機能を有する。つまり、ワンウェイクラッチ323は、その内周面が回転しないように固定されている場合に、外ケース部322aをA方向のみに回転させるように配置されている。これにより、ワンウェイクラッチ323の内周面が回転しないように固定されている場合には、外ケース部322aと一体的に回転されるサンギヤ329をA方向のみに回転させることが可能である。
ここで、第1実施形態では、変速機構部32の下側には、上部クラッチ機構部33が配置されている。なお、上部クラッチ機構部33は、本発明の「第1クラッチ機構部」の一例である。上部クラッチ機構部33は、ワンウェイクラッチ323の内周面をハウジング320に対して固定および空転するように切替可能なクラッチ部331と、ハウジング320の内周面に配置され、後述するクラッチプレート331cを保持する外周保持部332と、クラッチ部331の下部および内周面を保持する下部内周保持部333と、外周保持部332および下部内周保持部333を固定するとともに、ハウジング320の底部を構成するベース部334とにより主に構成されている。なお、クラッチ部331は、本発明の「板状クラッチ」の一例である。
クラッチ部331は、湿式多板クラッチにより構成されており、上側ドライブ軸部31の軸線L1上に配置されている。また、クラッチ部331は、エンジン30の駆動力を後述する前側プロペラ駆動軸363および後側プロペラ駆動軸364側に伝達する接続状態(第1接続状態)と、伝達されるエンジン30の駆動力を切断する切断状態(第1切断状態)とを切替可能に構成されている。また、クラッチ部331は、さらに、エンジン30の駆動力の一部を後述する前側プロペラ駆動軸363および後側プロペラ駆動軸364側に伝達する半クラッチ状態(半接続状態)に切替可能に構成されている。第1実施形態による上部クラッチ機構部33のクラッチ部331は、その上部がワンウェイクラッチ323の内周面に嵌め込まれている連結部材331aと、連結部材331aの下部に取り付けられた2枚のクラッチプレート331bと、クラッチプレート331bを挟み込むように配置され、外周保持部332に保持されたクラッチプレート331cと、下部内周保持部333のシリンダ部333bに配置され、クラッチプレート331cおよびクラッチプレート331bを移動するピストン331dとにより主に構成されている。なお、クラッチプレート331bおよびクラッチプレート331cは、それぞれ、本発明の「板状部材」の一例である。
そして、クラッチ部331は、連結部材331aに取り付けられたクラッチプレート331bと、外周保持部332に保持されたクラッチプレート331cとが互いに接触(接続)している場合に、連結部材331aが外周保持部332に対して回転しないように固定される。この場合、ワンウェイクラッチ323を、その内周面が回転しないように外周保持部332に対して固定することが可能となる。これにより、ワンウェイクラッチ323の外周面をA方向のみに回転させることが可能となるので、外ケース部322aをA方向のみに回転することが可能となる。その結果、ワンウェイクラッチ323の内周面が回転しないように固定されている場合には、外ケース部322aと一体的に回転されるサンギヤ329をA方向のみに回転させることが可能となる。
その一方、クラッチ部331は、連結部材331aに取り付けられたクラッチプレート331bと、外周保持部332に保持されたクラッチプレート331cとが互いに離間(切断)している場合に、連結部材331aが外周保持部332に対して空転される。この場合、ワンウェイクラッチ323は、その内周面が外周保持部332に対して空転されるので、ワンウェイクラッチ323の外周面は、A方向のみならずB方向にも回転される。その結果、ワンウェイクラッチ323の内周面が外周保持部332に対して空転される場合には、外ケース部322aと一体的に回転されるサンギヤ329は、A方向のみならずB方向にも回転される。この時、サンギヤ329に噛合されているプラネタリアギヤ328が回転された場合にもサンギヤ329は空転されるので、エンジン30の駆動力はフランジ部材326および軸部材327に伝達されない。
また、下部内周保持部333には、複数の圧縮コイルばね331eが取り付けられている。これら複数の圧縮コイルばね331eは、それぞれ、ピストン331dを下部内周保持部333のシリンダ部333bに対して付勢する機能を有する。また、下部内周保持部333のシリンダ部333bの底部には、オイル通路333cが形成されている。そして、ピストン331dは、制御部51が送信するレバー部5aの位置を示す信号などに基づいて下部内周保持部333のオイル通路333cを流通するオイルの圧力が上昇された際に、圧縮コイルばね331eの反力に抗して上方に移動されるように構成されている。
上記のように変速機構部32および上部クラッチ機構部33を構成することによって、上部クラッチ機構部33のクラッチ部331が接続されている場合で、かつ、変速機構部32のクラッチ部322が切断されている場合、上側ドライブ軸部31がA方向に回転するのに伴ってリングギヤ325がA方向に回転される。この際、サンギヤ329は、内周面が外周保持部332に対して固定されているワンウェイクラッチ323により、A方向とは反対のB方向に回転されないので、各プラネタリアギヤ328は、図5に示すように、軸部材327を中心にA1方向に回転されながら軸部材327と共に軸線L1を中心にA2方向に移動される。これにより、フランジ部材326(図4参照)は、軸部材327がA2方向に移動されるのに伴って、軸線L1を中心にA方向に回転される。その結果、図4に示すように、フランジ部材326にスプライン嵌合されている中間軸324を、軸線L1を中心に、上側ドライブ軸部31の回転数よりも減速された状態でA方向に回転させることが可能となる。
また、上記のように変速機構部32および上部クラッチ機構部33を構成することによって、上部クラッチ機構部33のクラッチ部331が接続されている場合で、かつ、変速機構部32のクラッチ部322が接続されている場合、上側ドライブ軸部31がA方向に回転するのに伴ってリングギヤ325がA方向に回転される。このとき、図4に示すように、クラッチ部322が接続されているため、クラッチ部322の外ケース部322aがワンウェイクラッチ323と共にA方向に回転される。これにより、サンギヤ329が軸線L1を中心にA方向に回転されるため、プラネタリアギヤ328が軸部材327を中心に実質的に回転されずに、軸部材327は、軸線L1を中心にA方向に移動される。これにより、フランジ部材326は、プラネタリアギヤ328により実質的に減速されることなく、上側ドライブ軸部31と略同じ回転数で回転される。その結果、中間軸324を、軸線L1を中心に上側ドライブ軸部31と略同じ回転数でA方向に回転させることが可能となる。
また、上部クラッチ機構部33のクラッチ部331が切断されていて、かつ、変速機構部32のクラッチ部322が切断状態の場合には、サンギヤ329が空転されるため、エンジン30の駆動力は、フランジ部材326および軸部材327に伝達されない。
また、上部クラッチ機構部33の下方には、オイルパン302が設けられている。このオイルパン302には、オイルポンプ部301により変速機構部32などに供給されるオイルが貯留されている。また、オイルパン302の下方(上部クラッチ機構部33の下流側)には、図2に示すように、上部クラッチ機構部33によりエンジン30の駆動力が下側ドライブ軸部34に伝達されている場合に駆動されるウォーターポンプ303が設けられている。このウォーターポンプ303は、水面下から水(冷却水)を汲み上げるとともに、汲み上げた水をオイルパン302およびエンジン30などに送り出す機能を有する。
次に、ウォーターポンプ303の下方に設けられたロアー機構部36の構造について説明する。
ロアー機構部36には、図6および図7に示すように、下側ドライブ軸部34の下部が配置されており、下側ドライブ軸部34の下端部近傍(下部)には、ベベルギヤ360が取り付けられている。なお、ベベルギヤ360は、本発明の「減速部」の一例である。このベベルギヤ360は、矢印FWD方向の下側に配置された前側ベベルギヤ361の歯車部361aと噛合しているとともに、矢印BWD方向の下側に配置された後側ベベルギヤ362の歯車部362aと噛合している。なお、前側ベベルギヤ361および後側ベベルギヤ362は、本発明の「減速部」の一例である。これら前側ベベルギヤ361および後側ベベルギヤ362が回転する軸線L2は、ベベルギヤ360が回転する軸線L1と直交するとともに、矢印FWD方向に延びている。また、ベベルギヤ360、前側ベベルギヤ361および後側ベベルギヤ362は、下側ドライブ軸部34の回転を減速した状態で後述する前側プロペラ駆動軸363および後側プロペラ駆動軸364に伝達可能に構成されている。
また、図7に示すように、前側ベベルギヤ361の矢印FWD方向端部には、後述するドッグクラッチ368に対して係合および離間可能なドッグ361bが設けられているとともに、前側ベベルギヤ361の矢印FWD方向の外周部には、後述するドッグクラッチ369が前後方向にスライド可能に係合されている。なお、ドッグ361bは、本発明の「係合部」の一例である。また、前側ベベルギヤ361の矢印BWD方向側の歯車部361aの軸線L2側に隣接する部分には、後述するドッグクラッチ372に対して係合および離間可能なドッグ361cが設けられている。なお、ドッグ361cは、本発明の「係合部」の一例である。また、後側ベベルギヤ362の矢印FWD方向側の歯車部362aの軸線L2側に隣接する部分には、後述するドッグクラッチ372に対して係合および離間可能なドッグ362bが設けられている。なお、ドッグ362bは、本発明の「係合部」の一例である。
また、下側ドライブ軸部34の下側には、下側ドライブ軸部34と直交(交差)する方向に延びる前側プロペラ駆動軸363および後側プロペラ駆動軸364が設けられている。なお、前側プロペラ駆動軸363は、本発明の「出力軸」および「第1出力軸」の一例であり、後側プロペラ駆動軸364は、本発明の「出力軸」および「第2出力軸」の一例である。これら前側プロペラ駆動軸363および後側プロペラ駆動軸364は、それぞれ、互いに異なる方向に回転可能に構成されている。前側プロペラ駆動軸363は、軸線L2を中心に回転するように配置されているとともに、軸線L2に沿う中空状(円筒状)に形成されている。また、前側プロペラ駆動軸363の矢印BWD方向側には、図6に示すように、上記した前側プロペラ35aが前側プロペラ駆動軸363と共に回転可能に取り付けられている。また、前側プロペラ駆動軸363の矢印FWD方向側には、後側ベベルギヤ362が前側プロペラ駆動軸363に対して空転するように配置されている。また、前側プロペラ駆動軸363の後側ベベルギヤ362が配置されている部分の矢印FWD方向側の外周部には、図7に示すように、後述するドッグクラッチ372が前後方向にスライド可能に係合されている。
また、前側プロペラ駆動軸363の軸線L2に沿った中空部363aには、後側プロペラ駆動軸364が挿入されている。この後側プロペラ駆動軸364は、前側プロペラ駆動軸363と同様、軸線L2を中心に回転するように配置されている。また、後側プロペラ駆動軸364は、図6に示すように、前後方向に前側プロペラ駆動軸363よりも大きい長さを有しており、後側プロペラ駆動軸364の矢印FWD方向端部は、前側プロペラ駆動軸363の矢印FWD方向端部よりも矢印FWD方向側に突出するように配置されているとともに、後側プロペラ駆動軸364の矢印BWD方向側端部は、前側プロペラ駆動軸363の矢印BWD方向端部よりも矢印BWD方向側に突出するように配置されている。また、後側プロペラ駆動軸364の矢印BWD方向側には、上記した後側プロペラ35bが後側プロペラ駆動軸364と共に回転可能に取り付けられている。また、後側プロペラ駆動軸364の矢印FWD方向側には、前側ベベルギヤ361が後側プロペラ駆動軸364に対して空転するように配置されている。また、図7に示すように、後側プロペラ駆動軸364の前側ベベルギヤ361が配置されている部分の矢印FWD方向側の外周部には、後述するドッグクラッチ368が前後方向にスライド可能にスプライン係合されている。
また、後側プロペラ駆動軸364の矢印FWD方向側には、軸線L2に沿った挿入穴364aが形成されている。また、後側プロペラ駆動軸364の矢印FWD方向端部近傍の外周面には、挿入穴364aと直交する貫通穴364bが形成されているとともに、後側プロペラ駆動軸364の前側プロペラ駆動軸363の矢印FWD方向端部近傍の外周面には、挿入穴364aと直交する貫通穴364cが形成されている。これら貫通穴364bおよび364cは、それぞれ、前後方向(矢印FWD方向および矢印BWD方向)に延びる長穴状に形成されている。
後側プロペラ駆動軸364の軸線L2に沿った挿入穴364aには、円筒形状の連結部材365が前後方向(矢印FWD方向および矢印BWD方向)にスライド可能に挿入されている。この連結部材365の貫通穴364bに対応する部分には、棒状の連結部材366が連結部材365に直交するように取り付けられている。この連結部材366は、後側プロペラ駆動軸364の外周面よりも外側に突出するように配置されており、連結部材365が挿入穴364aに沿ってスライドされると共に貫通穴364bを前後方向にスライドされるように構成されている。また、連結部材365の貫通穴364cに対応する部分には、棒状の連結部材367が直交するように取り付けられている。この連結部材367は、後側プロペラ駆動軸364の外周面よりも外側に突出するように配置されており、連結部材365が挿入穴364aに沿ってスライドされると共に貫通穴364cを前後方向にスライドされるように構成されている。
連結部材366には、ドッグクラッチ368とドッグクラッチ369とがそれぞれ固定されている。ドッグクラッチ368は、上記したように後側プロペラ駆動軸364に対してスライド可能で、かつ、後側プロペラ駆動軸364と共に回転可能なように後側プロペラ駆動軸364の外周面にスプライン係合により取り付けられている。つまり、ドッグクラッチ368は、常に、後側プロペラ駆動軸364と共に回転するように構成されている。また、ドッグクラッチ368の矢印FWD方向側端部には、前側ドッグ368aが設けられているとともに、ドッグクラッチ368の矢印BWD方向側端部には、後側ドッグ368bが設けられている。なお、前側ドッグ368aおよび後側ドッグ368bは、それぞれ、本発明の「係合部」の一例である。そして、ドッグクラッチ368は、図8に示すように、矢印FWD方向にスライドされる際には、前側ドッグ368aが後述する出力軸部379のドッグ379aと係合されるように構成されている。これに対して、ドッグクラッチ368は、図9に示すように、矢印BWD方向にスライドされる際には、後側ドッグ368bが前側ベベルギヤ361のドッグ361bに係合されるように構成されている。つまり、ドッグクラッチ368は、図8に示すように、後述する後進駆動部374の出力軸部379に係合された場合には、後進駆動部374の出力軸部379の回転を後側プロペラ駆動軸364に伝達する機能を有する。その一方、ドッグクラッチ368は、図9に示すように、前側ベベルギヤ361に係合された場合には、前側ベベルギヤ361の回転を直接的に後側プロペラ駆動軸364に伝達する機能を有する。なお、図7に示すように、ドッグクラッチ368が前側ベベルギヤ361および後述する出力軸部379の両方に係合されない中間位置に位置する場合には、ベベルギヤ360(エンジン30)の駆動力は、前側プロペラ駆動軸363および後側プロペラ駆動軸364に伝達されない。
また、ドッグクラッチ369は、ドッグクラッチ368の外周面を覆うように配置されており、連結部材366により、ドッグクラッチ368と共に前後方向にスライドされるように構成されている。また、ドッグクラッチ369は、上記したように前側ベベルギヤ361に対してスライド可能で、かつ、前側ベベルギヤ361と共に回転可能なように前側ベベルギヤ361の外周面にスプライン係合により取り付けられている。つまり、ドッグクラッチ369は、常に、前側ベベルギヤ361と共に回転するように構成されている。また、ドッグクラッチ369の矢印FWD方向側端部には、ドッグ369aが設けられている。なお、ドッグ369aは、本発明の「係合部」の一例である。そして、ドッグクラッチ369は、図8に示すように、矢印FWD方向にスライドされる際には、ドッグ369aが後述する入力軸部378のドッグ378aと係合されるように構成されている。この場合に対して、ドッグクラッチ369は、図9に示すように、矢印BWD方向にスライドされる際には、ドッグ369aが入力軸部378のドッグ378aから離間されるように構成されている。つまり、図8に示すように、ドッグクラッチ368は、後述する後進駆動部374の入力軸部378に係合された場合には、前側ベベルギヤ361の回転を後進駆動部374の入力軸部378に伝達する機能を有する。
また、ドッグクラッチ369の外周面には、図7に示すように、その全周に渡って溝部369bが形成されている。この溝部369bには、図7および図10に示すように、前後進切替レバー370の凸部370aが係合されており、ドッグクラッチ369は、前後進切替レバー370が回動されるのに伴って凸部370aが前後方向に移動されることにより、前後方向に移動可能に構成されている。なお、第1実施形態では、図2に示すように、前後進切替レバー370は、ケース部300に配置された図示しないアクチュエータと連動機構371を介して接続されている。そして、前後進切替レバー370は、制御部51(図3参照)が送信するレバー部5aの位置を示す信号などに基づいて図示しないアクチュエータが駆動されることにより回動される。
また、連結部材367には、ドッグクラッチ372が固定されている。ドッグクラッチ372は、上記したように前側プロペラ駆動軸363に対してスライド可能で、かつ、前側プロペラ駆動軸363と共に回転可能なように前側プロペラ駆動軸363の外周面にスプライン係合により取り付けられている。つまり、ドッグクラッチ372は、常に、前側プロペラ駆動軸363と共に回転するように構成されている。また、ドッグクラッチ372の矢印FWD方向側端部には、前側ドッグ372aが設けられているとともに、ドッグクラッチ372の矢印BWD方向側端部には、後側ドッグ372bが設けられている。なお、前側ドッグ372aおよび後側ドッグ372bは、本発明の「係合部」の一例である。そして、ドッグクラッチ372は、図8に示すように、矢印FWD方向にスライドされる際には、前側ドッグ372aが前側ベベルギヤ361のドッグ361cと係合されるように構成されている。これに対して、ドッグクラッチ372は、図9に示すように、矢印BWD方向にスライドされる際には、後側ドッグ372bが後側ベベルギヤ362のドッグ362bに係合されるように構成されている。つまり、ドッグクラッチ372は、図8に示すように、前側ベベルギヤ361に係合された場合には、前側ベベルギヤ361の回転を前側プロペラ駆動軸363に直接的に伝達する機能を有する。その一方、ドッグクラッチ372は、図9に示すように、後側ベベルギヤ362に係合された場合には、後側ベベルギヤ362の回転を前側プロペラ駆動軸363に直接的に伝達する機能を有する。なお、図7に示すように、ドッグクラッチ372が前側ベベルギヤ361および後側ベベルギヤ362の両方に係合されない中間位置に位置する場合には、ベベルギヤ360の駆動力は、前側プロペラ駆動軸363および後側プロペラ駆動軸364に伝達されない。
また、ドッグクラッチ372は、連結部材367、365および366を介してドッグクラッチ368および369と共に前後方向にスライドされるように構成されている。つまり、ドッグクラッチ372は、ドッグクラッチ368および369と同様、前後進切替レバー370が回動されるのに伴って前後方向に移動可能に構成されている。なお、第1実施形態では、連結部材365、366および367と、ドッグクラッチ368、369および372とによって、前後進駆動部373が構成されている。この前後進駆動部373は、軸線L2上に配置されているとともに、船舶1の前進時および後進時の両方で駆動される。
また、第1実施形態では、前後進駆動部373は、ドッグクラッチ368、369および372が矢印FWD方向に移動された場合に、船舶1を後進(推進)させるためにエンジン30の駆動力を前側プロペラ35aおよび後側プロペラ35bに伝達可能な後進時接続状態(第2接続状態)となるように構成されている。その一方、前後進駆動部373は、ドッグクラッチ368、369および372が矢印BWD方向に移動された場合に、船舶1を前進(推進)させるためにエンジン30の駆動力を前側プロペラ35aおよび後側プロペラ35bに伝達可能な前進時接続状態(第2接続状態)となるように構成されている。また、前後進駆動部373は、ドッグクラッチ368、369および372がいずれのドッグにも係合されない中立位置に移動された場合に、エンジン30の駆動力を切断する切断状態(第2切断状態)となるように構成されている。つまり、第1実施形態による前後進駆動部373は、図12に示すように、ニュートラル状態(第2切断状態)を介してのみ、前進接続状態および後進接続状態に切替可能に構成されている。
また、前後進駆動部373のドッグクラッチ368、369および372は、上部クラッチ機構部33が半クラッチ状態(半接続状態)の場合に、前進時接続状態(第2接続状態)および後進時接続状態(第2接続状態)のいずれか一方に切り替えられるように構成されている。具体的には、制御部51は、ユーザによりレバー部5aがニュートラル(中立)状態から矢印FWD方向または矢印BWD方向に回動された場合に、上部クラッチ機構部33を半クラッチ状態(半接続状態)に制御するとともに、ドッグクラッチ368、369および372を矢印BWD方向または矢印FWD方向に移動する制御を行うように構成されている。また、制御部51は、上部クラッチ機構部33のクラッチ部331がエンジン30の駆動力を切断する切断状態(第1切断状態)と、前後進駆動部373のドッグクラッチ368、369および372がエンジン30の駆動力を切断する切断状態(第2切断状態)とが所定時間t(約1秒)維持された場合、所定時間t経過後、上部クラッチ機構部33のクラッチ部331を接続状態(第1接続状態)に切り替える制御を行うように構成されている。
また、第1実施形態では、軸線L2上の前後進駆動部373の矢印FWD方向側には、船舶1の後進時に駆動される後進駆動部374が設けられている。なお、前後進駆動部373と後進駆動部374とは、本発明の「第2クラッチ機構部」の一例である。後進駆動部374は、軸線L2を中心に回転可能なベベルギヤ375およびベベルギヤ376と、ベベルギヤ375およびベベルギヤ376の間に配置された3つのベベルギヤ377と、ベベルギヤ375に取り付けられ、ドッグクラッチ369と接続可能に構成された入力軸部378と、ベベルギヤ376に取り付けられ、ドッグクラッチ368と接続可能に構成された出力軸部379とにより主に構成されている。
ベベルギヤ375は、入力軸部378の矢印FWD方向側の外周面にスプライン嵌合により取り付けられており、入力軸部378と共に回転可能に構成されている。この入力軸部378は、軸線L2に沿って中空状に形成されている。また、入力軸部378の矢印FWD方向側部分は、円筒形状に形成されているとともに、入力軸部378の矢印BWD方向側部分は、矢印FWD方向側部分よりも大きな外径を有するように構成されている。また、入力軸部378の矢印BWD方向端部には、ドッグ378aが設けられており、ドッグ378aは、ドッグクラッチ369のドッグ369aに対して係合および離間可能に構成されている。つまり、ベベルギヤ375は、図8に示すように、入力軸部378がドッグクラッチ369と係合されている場合には、前側ベベルギヤ361と同じ方向(R1方向)に回転されるように構成されている。
また、第1実施形態では、ベベルギヤ375には、図7および図11に示すように、3つのベベルギヤ377が噛合されている。これら3つのベベルギヤ377は、図11に示すように、それぞれ、ベベルギヤ375と直交する方向に延びる回転軸380に回転可能に支持されている。また、3つのベベルギヤ377は、図7に示すように、それぞれ、ベベルギヤ376に噛合されている。このようにベベルギヤ375、376および377を配置することによって、ベベルギヤ375が回転する方向(R1方向)に対してベベルギヤ376が回転する方向を逆方向(R2方向)にすることが可能となる。また、ベベルギヤ376は、出力軸部379の矢印FWD方向側の外周面にスプライン嵌合により取り付けられており、出力軸部379と共に回転可能に構成されている。この出力軸部379は、円筒形状に形成されているとともに、その矢印BWD方向側の一部は、入力軸部378の開口部分にベアリング381を介して入力軸部378に対して回転可能に挿入されている。また、出力軸部379の矢印BWD方向端部には、ドッグ379aが設けられている。このドッグ379aは、後側プロペラ駆動軸364の外周面よりも外側に位置するように配置されており、後側プロペラ駆動軸364の外周面よりも外側に位置するドッグクラッチ368の前側ドッグ368aに対して係合および離間可能に構成されている。
次に、ロアー機構部36内の駆動力伝達経路について詳細に説明する。まず、前後進駆動部373(ドッグクラッチ368、369および372)が矢印FWD方向に移動された際の後進時の駆動力伝達経路について詳細に説明する。
図2に示すように、エンジン30が駆動することにより、クランク軸30aがA方向に回転される。そして、エンジン30の駆動力は、変速機構部32、上部クラッチ機構部33を介して下側ドライブ軸部34に伝達され、下側ドライブ軸部34は、A方向に回転される。そして、下側ドライブ軸部34のA方向の回転は、図7に示すように、ロアー機構部36に入力される。
その後、下側ドライブ軸部34がA方向に回転されるのに伴って、下側ドライブ軸部34の下端部近傍に取り付けられたベベルギヤ360は、A方向に回転される。そして、ベベルギヤ360がA方向に回転されるのに伴って、前側ベベルギヤ361は、R1方向に回転されるとともに、後側ベベルギヤ362は、R2方向に回転される。なお、R1方向は、本発明の「第2の方向」の一例であり、R2方向は、本発明の「第1の方向」の一例である。
次に、図6および図8を参照して、前後進駆動部373(ドッグクラッチ368、369および372)が矢印FWD方向に移動されている場合において、下側ドライブ軸部34(エンジン30)の駆動力を前側プロペラ駆動軸363に伝達する駆動力伝達経路について説明する。図8に示すように、前後進駆動部373(ドッグクラッチ368、369および372)が矢印FWD方向に移動されているため、ドッグクラッチ372の前側ドッグ372aが前側ベベルギヤ361のドッグ361cに係合されている。これにより、前側ベベルギヤ361のR1方向の回転は、ドッグクラッチ372に伝達され、ドッグクラッチ372は、R1方向に回転される。ドッグクラッチ372は、前側プロペラ駆動軸363に取り付けられているので、前側プロペラ駆動軸363は、R1方向に回転される。その結果、前側プロペラ35aは、図6に示すように、R1方向に回転される。なお、この際、図8に示すように、後側ベベルギヤ362のドッグ362bには、ドッグクラッチ372の後側ドッグ372bが係合されていない。このため、後側ベベルギヤ362は、前側プロペラ駆動軸363に対して空転する。つまり、後側ベベルギヤ362のR2方向の回転は、前側プロペラ駆動軸363および後側プロペラ駆動軸364のいずれにも伝達されない。
次に、図6および図8を参照して、前後進駆動部373(ドッグクラッチ368、369および372)が矢印FWD方向に移動されている場合において、下側ドライブ軸部34(エンジン30)の駆動力を後側プロペラ駆動軸364に伝達する駆動力伝達経路について説明する。図8に示すように、前後進駆動部373(ドッグクラッチ368、369および372)が矢印FWD方向に移動されているため、ドッグクラッチ368の前側ドッグ368aが出力軸部379のドッグ379aに係合されているとともに、ドッグクラッチ369のドッグ369aが入力軸部378のドッグ378aに係合されている。
上記したように前側ベベルギヤ361がR1方向に回転されるため、ドッグクラッチ369は、前側ベベルギヤ361と同様R1方向に回転される。これにより、入力軸部378は、ドッグクラッチ369を介してR1方向に回転される。そして、入力軸部378には、ベベルギヤ375が取り付けられているので、ベベルギヤ375は、軸線L2を中心にR1方向に回転される。
そして、ベベルギヤ375のR1方向の回転は、ベベルギヤ375に噛合されている3つのベベルギヤ377に伝達される。これら3つのベベルギヤ377は、ベベルギヤ375がR1方向に回転されるのに伴って回転軸380を中心にC方向に回転される。そして、3つのベベルギヤ377のC方向の回転は、ベベルギヤ376に伝達される。このベベルギヤ376は、3つのベベルギヤ377がB方向に回転されるのに伴って軸線L2を中心にR2方向に回転される。つまり、ベベルギヤ375、376および377によって、ベベルギヤ375のR1方向の回転は、ベベルギヤ376においてR2方向に変換される。そして、ベベルギヤ376のR2方向の回転は、出力軸部379に伝達され、出力軸部379は、軸線L2を中心にR2方向に回転される。
その後、出力軸部379のドッグ379aとドッグクラッチ368の前側ドッグ368aとは係合されているので、出力軸部379のR2方向の回転は、ドッグクラッチ368に伝達される。そして、ドッグクラッチ368は、R2方向に回転され、ドッグクラッチ368が取り付けられている後側プロペラ駆動軸364は、R2方向に回転される。その結果、後側プロペラ35bは、図6に示すように、R2方向に回転される。
このように、前後進駆動部373(ドッグクラッチ368、369および372)が矢印FWD方向に移動されている場合には、前側プロペラ35aがR1方向に回転されるとともに、後側プロペラ35bがR2方向に回転される。その結果、船舶1は、矢印BWD方向に推進(後進)される。
次に、図6および図9を参照して、船舶1を前進させる際に、前後進駆動部373(ドッグクラッチ368、369および372)が矢印BWD方向に移動されている場合において、下側ドライブ軸部34(エンジン30)の駆動力を前側プロペラ駆動軸363に伝達する駆動力伝達経路について説明する。図9に示すように、前後進駆動部373(ドッグクラッチ368、369および372)が矢印BWD方向に移動されているため、ドッグクラッチ372の後側ドッグ372bが後側ベベルギヤ362のドッグ362bに係合されている。そして、上記したように後側ベベルギヤ362がR2方向に回転されるため、ドッグクラッチ372は、後側ベベルギヤ362と同様R2方向に回転される。これにより、前側プロペラ駆動軸363は、ドッグクラッチ372を介してR2方向に回転される。その結果、前側プロペラ35aは、図6に示すように、R2方向に回転される。
次に、図6および図9を参照して、前後進駆動部373(ドッグクラッチ368、369および372)が矢印BWD方向に移動されている場合において、下側ドライブ軸部34(エンジン30)の駆動力を後側プロペラ駆動軸364に伝達する駆動力伝達経路について説明する。図9に示すように、前後進駆動部373(ドッグクラッチ368、369および372)が矢印BWD方向に移動されているため、ドッグクラッチ368の後側ドッグ368bが前側ベベルギヤ361のドッグ361bに係合されている。なお、この場合、ドッグクラッチ369のドッグ369aは入力軸部378のドッグ378aに係合されない。まず、上記したように前側ベベルギヤ361がR1方向に回転されるため、ドッグクラッチ368は、前側ベベルギヤ361と同様R1方向に回転される。これにより、ドッグクラッチ368が取り付けられている後側プロペラ駆動軸364は、R1方向に回転される。その結果、後側プロペラ35bは、図6に示すように、R1方向に回転される。なお、ドッグクラッチ369は、図9に示すように、後進駆動部374の入力軸部378に係合されないので、前後進駆動部373が矢印BWD方向に移動されている場合(船舶1の前進時)には、下側ドライブ軸部34(エンジン30)の駆動力が略伝達されない。このため、後進駆動部374には、下側ドライブ軸部34(エンジン30)の駆動力が伝達されない。
このように、前後進駆動部373(ドッグクラッチ368、369および372)が矢印BWD方向に移動されている場合には、前側プロペラ35aがR2方向に回転されるとともに、後側プロペラ35bがR1方向に回転される。その結果、船舶1は、矢印FWD方向に推進(前進)される。
図13〜図16は、本発明の第1実施形態による船外機の制御部が変速機構部、上部クラッチ機構部および前後進駆動部の切替制御を行う際の処理を説明するためのフローチャートである。次に、図3、図7および図13〜図16を参照して、本発明の第1実施形態による船外機3の変速機構部32、上部クラッチ機構部33および前後進駆動部373の切替動作について詳細に説明する。
図13に示すように、ステップS1において、制御部51(図3参照)により、コントロールレバー部5のレバー部5aが回動されたか否かが判断される。そして、ステップS1において、コントロールレバー部5のレバー部5aが回動されていないと判断された場合には、ステップS1の判断が繰り返される。また、ステップS1において、コントロールレバー部5のレバー部5aが回動されたと判断された場合には、ステップS2に進む。
その後、ステップS2において、制御部51により、レバー部5aが矢印FWD方向(前進方向)側または矢印BWD方向(後進方向)側のいずれに回動されたのかが判断される。そして、ステップS2において、レバー部5aが矢印FWD方向に回動されたと判断された場合には、ステップS10に進む。また、ステップS2において、レバー部5aが矢印BWD方向に回動されたと判断された場合には、ステップS40(図16参照)に進む。
次に、ステップS2において、レバー部5aが矢印FWD方向(前進方向)に回動されたと判断された場合(ステップS10に進む場合)について説明する。
ステップS2において、制御部51により、レバー部5aが矢印FWD方向に回動されたと判断された後、ステップS10において、制御部51により、レバー部5aまたはセレクトボタン5bが低速前進および高速前進のいずれの状態にまで回動または選択されているかが判断される。そして、ステップS10において、レバー部5aまたはセレクトボタン5bが低速前進の状態に回動または選択されていると判断された場合には、図14に示すステップS20に進む。また、ステップS10において、レバー部5aまたはセレクトボタン5bが高速前進の状態に回動または選択されていると判断された場合には、図15に示すステップS30に進む。
図13に示すステップS10において、レバー部5aまたはセレクトボタン5bが低速前進の状態に回動または選択されていると判断された場合には、図14に示すように、ステップS20において、制御部51により、上部クラッチ機構部33のクラッチ部331が半クラッチ状態(半接続状態)に切り替えられる。さらに、ステップS20において、制御部51により、前後進駆動部373(ドッグクラッチ368、369および372)が矢印BWD方向に移動され、前後進駆動部373が前進時接続状態に切り替えられる。この際、第1実施形態では、上部クラッチ機構部33が半クラッチ状態で接続されているため、下側ドライブ軸部34の回転は停止することがない。これにより、前側ベベルギヤ361および後側ベベルギヤ362の回転は停止されず、前側ベベルギヤ361のドッグ361bは、ドッグクラッチ368の後側ドッグ368bと噛み合う位置に回転されるとともに、後側ベベルギヤ362のドッグ362bは、ドッグクラッチ372の後側ドッグ372bと噛み合う位置に回転される。
その後、ステップS21において、上部クラッチ機構部33のクラッチ部331は、接続状態(第1接続状態)に切り替えられ、ステップS22において、低速前進の接続状態でエンジン30の駆動力は、前側プロペラ35aおよび後側プロペラ35bに伝達される。この際、上部クラッチ機構部33は、接続状態(第1接続状態)に維持されているとともに、変速機構部32は、切断状態に維持されている。また、前後進駆動部373のドッグクラッチ368、369および372は、矢印BWD方向に移動された前進時接続状態で維持されている。
その後、ステップS23において、制御部51(図3参照)により、レバー部5aまたはセレクトボタン5bがニュートラルまたは高速前進のいずれの状態になるように回動または選択されているか否かが判断される。そして、ステップS23において、レバー部5aまたはセレクトボタン5bがニュートラルおよび高速前進のいずれの状態になるように回動または選択されていないと判断された場合には、ステップS23の判断が繰り返される。また、ステップS23において、レバー部5aまたはセレクトボタン5bがニュートラルおよび高速前進のいずれの状態になるように回動または選択されたと判断された場合には、ステップS24に進む。
そして、ステップS24において、制御部51により、レバー部5aがニュートラルおよび高速前進のいずれの状態で回動されているかが判断される。そして、ステップS24において、レバー部5aが高速前進の状態になるように回動されていると判断された場合には、ステップS25に進む。そして、ステップS25において、変速機構部32が接続状態に切り替えられ、後述するステップS32(図15参照)に進み、ステップS32において、高速前進の接続状態で、エンジン30の駆動力が前側プロペラ35aおよび後側プロペラ35bに伝達される。また、ステップS24において、レバー部5aがニュートラルの状態になるように回動されていると判断された場合には、ステップS26に進む。
そして、ステップS26において、上部クラッチ機構部33のクラッチ部331が切断状態(第1切断状態)に切り替えられ、ステップS27に進む。そして、ステップS27において、前後進駆動部373のドッグクラッチ368、369および372が中間位置に移動され、前後進駆動部373は切断状態(第2切断状態)に切り替えられる。これにより、エンジン30の駆動力は、上部クラッチ機構部33のクラッチ部331および前後進駆動部373において切断され、前側プロペラ35aおよび後側プロペラ35bに伝達されない。
その後、ステップS28において、制御部51により、上部クラッチ機構部33のクラッチ部331および前後進駆動部373の両方が切断状態で、所定時間t(約1秒)だけ維持されたか否かが判断される。そして、ステップS28において、上部クラッチ機構部33のクラッチ部331および前後進駆動部373の両方が切断状態で、所定時間t(約1秒)だけ維持されていないと判断された場合には、ステップS28の判断が繰り返される。また、ステップS28において、上部クラッチ機構部33のクラッチ部331および前後進駆動部373の両方が切断状態で、所定時間t(約1秒)だけ維持されたと判断された場合には、ステップS29に進む。
そして、ステップS29において、上部クラッチ機構部33が接続状態(第1接続状態)に切り替えられ、変速機構部32、上部クラッチ機構部33および前後進駆動部373の切替動作が終了される。
次に、ステップS10において、レバー部5aまたはセレクトボタン5bが高速前進の状態に回動または選択されていると判断された場合(ステップS30に進む場合)について説明する。
図13に示すステップS10において、制御部51により、レバー部5aまたはセレクトボタン5bが高速前進の状態に回動または選択されていると判断された後、図15に示すように、ステップS30において、制御部51により、上部クラッチ機構部33のクラッチ部331が半クラッチ状態(半接続状態)に切り替えられる。さらに、ステップS30において、制御部51により、前後進駆動部373(ドッグクラッチ368、369および372)が矢印BWD方向に移動され、前後進駆動部373が前進時接続状態に切り替えられる。この際、第1実施形態では、上部クラッチ機構部33が半クラッチ状態で接続されているため、下側ドライブ軸部34の回転は停止することがない。これにより、前側ベベルギヤ361および後側ベベルギヤ362の回転は停止されず、前側ベベルギヤ361のドッグ361bは、ドッグクラッチ368の後側ドッグ368bと噛み合う位置に回転されるとともに、後側ベベルギヤ362のドッグ362bは、ドッグクラッチ372の後側ドッグ372bと噛み合う位置に回転される。
その後、ステップS31において、上部クラッチ機構部33のクラッチ部331は、接続状態(第1接続状態)に切り替えられるとともに、変速機構部32は、接続状態に切り替えられる。そして、ステップS32において、高速前進の接続状態で、エンジン30の駆動力は、前側プロペラ35aおよび後側プロペラ35bに伝達される。この際、上部クラッチ機構部33は、接続状態(第1接続状態)に維持されているとともに、変速機構部32は、接続状態に維持されている。また、前後進駆動部373のドッグクラッチ368、369および372は、矢印BWD方向に移動された前進時接続状態で維持されている。
その後、ステップS33において、制御部51(図3参照)により、レバー部5aまたはセレクトボタン5bがニュートラルおよび低速前進のいずれの状態になるように回動または選択されているか否かが判断される。そして、ステップS33において、レバー部5aまたはセレクトボタン5bがニュートラルおよび低速前進のいずれの状態になるように回動または選択されていないと判断された場合には、ステップS33の判断が繰り返される。また、ステップS33において、レバー部5aまたはセレクトボタン5bがニュートラルおよび低速前進のいずれの状態になるように回動または選択されたと判断された場合には、ステップS34に進む。
そして、ステップS34において、制御部51により、レバー部5aまたはセレクトボタン5bがニュートラルおよび低速前進のいずれの状態で回動または選択されているかが判断される。そして、ステップS34において、レバー部5aまたはセレクトボタン5bが低速前進の状態になるように回動または選択されていると判断された場合には、ステップS35に進む。そして、ステップS35において、変速機構部32が切断状態に切り替えられ、上述したステップS22(図14参照)に進み、ステップS22において、低速前進の接続状態で、エンジン30の駆動力が前側プロペラ35aおよび後側プロペラ35bに伝達される。また、ステップS34において、レバー部5aまたはセレクトボタン5bがニュートラルの状態に回動または選択されていると判断された場合には、ステップS36に進む。
そして、ステップS36において、上部クラッチ機構部33のクラッチ部331が切断状態(第1切断状態)に切り替えられるとともに、変速機構部32が切断状態に切り替えられ、ステップS37に進む。そして、ステップS37において、前後進駆動部373のドッグクラッチ368、369および372が中間位置に移動され、前後進駆動部373は切断状態(第2切断状態)に切り替えられる。これにより、エンジン30の駆動力は、上部クラッチ機構部33のクラッチ部331および前後進駆動部373において切断され、前側プロペラ35aおよび後側プロペラ35bに伝達されない。
その後、ステップS38において、制御部51により、上部クラッチ機構部33のクラッチ部331および前後進駆動部373の両方が切断状態で、所定時間t(約1秒)だけ維持されたか否かが判断される。そして、ステップS38において、上部クラッチ機構部33のクラッチ部331および前後進駆動部373の両方が切断状態で、所定時間t(約1秒)だけ維持されていないと判断された場合には、ステップS38の判断が繰り返される。また、ステップS38において、上部クラッチ機構部33のクラッチ部331および前後進駆動部373の両方が切断状態で、所定時間t(約1秒)だけ維持されたと判断された場合には、ステップS39に進む。
そして、ステップS39において、上部クラッチ機構部33が接続状態(第1接続状態)に切り替えられ、変速機構部32、上部クラッチ機構部33および前後進駆動部373の切替動作が終了される。
次に、ステップS2において、レバー部5aが矢印BWD方向に回動されたと判断された場合(ステップS40に進む場合)について説明する。
図13に示すステップS2において、制御部51により、レバー部5aが矢印BWD方向に回動されたと判断された後、図16に示すように、ステップS40において、制御部51により、上部クラッチ機構部33のクラッチ部331が半クラッチ状態(半接続状態)に切り替えられる。さらに、ステップS40において、制御部51により、前後進駆動部373(ドッグクラッチ368、369および372)が矢印FWD方向に移動され、前後進駆動部373が後進時接続状態に切り替えられる。この際、第1実施形態では、上部クラッチ機構部33が半クラッチ状態で接続されているため、下側ドライブ軸部34の回転は停止することがない。これにより、前側ベベルギヤ361および後側ベベルギヤ362の回転は停止されず、前側ベベルギヤ361のドッグ361cは、ドッグクラッチ372の前側ドッグ372aと噛み合う位置に回転されるとともに、前側ベベルギヤ361と共に回転されるドッグクラッチ369のドッグ369aは、入力軸部378のドッグ378aと噛み合う位置に回転される。
その後、ステップS41において、上部クラッチ機構部33のクラッチ部331は、接続状態(第1接続状態)に切り替えられ、ステップS42において、後進の接続状態で、エンジン30の駆動力が前側プロペラ35aおよび後側プロペラ35bに伝達される。この際、上部クラッチ機構部33は、接続状態(第1接続状態)に維持されているとともに、変速機構部32は、切断状態に維持されている。また、前後進駆動部373のドッグクラッチ368、369および372は、矢印FWD方向に移動された後進時接続状態で維持されている。
その後、ステップS43において、制御部51(図3参照)により、レバー部5aがニュートラルの状態になるように回動されているか否かが判断される。そして、ステップS43において、レバー部5aがニュートラルの状態になるように回動されていないと判断された場合には、ステップS43の判断が繰り返される。また、ステップS43において、レバー部5aがニュートラルの状態になるように回動されたと判断された場合には、ステップS44に進む。
そして、ステップS44において、上部クラッチ機構部33のクラッチ部331が切断状態(第1切断状態)に切り替えられ、ステップS45に進む。そして、ステップS45において、前後進駆動部373のドッグクラッチ368、369および372が中間位置に移動され、前後進駆動部373は切断状態(第2切断状態)に切り替えられる。これにより、エンジン30の駆動力は、上部クラッチ機構部33のクラッチ部331および前後進駆動部373において切断され、前側プロペラ35aおよび後側プロペラ35bに伝達されない。
その後、ステップS46において、制御部51により、上部クラッチ機構部33のクラッチ部331および前後進駆動部373の両方が切断状態で、所定時間t(約1秒)だけ維持されたか否かが判断される。そして、ステップS46において、上部クラッチ機構部33のクラッチ部331および前後進駆動部373の両方が切断状態で、所定時間t(約1秒)だけ維持されていないと判断された場合には、ステップS46の判断が繰り返される。また、ステップS46において、上部クラッチ機構部33のクラッチ部331および前後進駆動部373の両方が切断状態で、所定時間t(約1秒)だけ維持されたと判断された場合には、ステップS47に進む。
そして、ステップS47において、上部クラッチ機構部33が接続状態(第1接続状態)に切り替えられ、変速機構部32、上部クラッチ機構部33および前後進駆動部373の切替動作が終了される。
第1実施形態では、上記のように、エンジン30の駆動力を前側プロペラ駆動軸363および後側プロペラ駆動軸364側に伝達する接続状態(第1接続状態)と、伝達されるエンジン30の駆動力を減少して伝達する半クラッチ状態(半接続状態)とを切替可能に構成されている上部クラッチ機構部33と、船舶1を推進させるためにエンジン30の駆動力を前側プロペラ35aおよび後側プロペラ35bに伝達する接続状態(第2接続状態)と、エンジン30の駆動力を切断する切断状態(第2切断状態)とを切替可能に構成されている前後進駆動部373(ドッグクラッチ368、369および372)とを設けることによって、上部クラッチ機構部33を半クラッチ状態(半接続状態)にした状態で前後進駆動部373(ドッグクラッチ368、369および372)を接続状態(第2接続状態)に切り替えるように操作することができる。これにより、前後進駆動部373(ドッグクラッチ368、369および372)にエンジン30の駆動力が実質的に伝達されていない状態で前後進駆動部373を接続状態(第2接続状態)に切り替えることができるので前後進駆動部373(ドッグクラッチ368、369および372)の接続状態を切り替える際の衝撃を低減することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、前後進駆動部373を、船舶1を前進させるためにエンジン30の駆動力を前側プロペラ35aおよび後側プロペラ35bに伝達可能な前進時接続状態と、船舶1を後進させるためにエンジン30の駆動力を前側プロペラ35aおよび後側プロペラ35bに伝達可能な後進時接続状態と切替可能に構成することによって、前後進駆動部373が船舶1を前進させる前進時接続状態に、前後進駆動部373の接続状態を切り替える際の衝撃を低減することができるとともに、前後進駆動部373が船舶1を後進させる後進時接続状態に、前後進駆動部373の接続状態を切り替える際の衝撃を低減することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、前後進駆動部373を、上部クラッチ機構部33が半接続状態の場合に、前進時接続状態および後進時接続状態のいずれか一方に切り替えるように構成することによって、上部クラッチ機構部33が半接続状態で、前後進駆動部373(ドッグクラッチ368、369および372)を前進時接続状態および後進時接続状態のいずれか一方に切り替えるように操作した場合には、前後進駆動部373はドッグクラッチ368、369および372が係合する位置まで駆動されながら、前後進駆動部373の切替操作が行われるので、スムーズに前後進駆動部373を接続することができる。また、上部クラッチ機構部33が半接続状態の場合には、完全な接続状態の場合に比べて、前後進駆動部373(ドッグクラッチ368、369および372)が係合する際の衝撃を緩和することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、上部クラッチ機構部33が半クラッチ状態(第1切断状態および半接続状態)の場合に、前進時接続状態および後進時接続状態のいずれか一方に切り替えるように前後進駆動部373を制御する制御部51を設けることによって、制御部51により、上部クラッチ機構部33が半クラッチ状態(第1切断状態および半接続状態)の場合に、電気的に前進時接続状態および後進時接続状態のいずれか一方に切り替えることができる。
また、第1実施形態では、上記のように、制御部51を、上部クラッチ機構部33がエンジン30の駆動力を切断する切断状態(第1切断状態)と、前後進駆動部373がエンジン30の駆動力を切断する切断状態(第2切断状態)とが所定時間t維持された場合、所定時間t経過後、上部クラッチ機構部33を接続状態(第1接続状態)に切り替える制御を行うように構成することによって、所定時間t経過後、上部クラッチ機構部33が接続されるので、下側ドライブ軸部34が所定時間t以上停止するのを抑制することができる。これにより、ウォーターポンプ303などの下側ドライブ軸部34により駆動されるユニットが所定時間t以上駆動されない状態が生じるのを抑制することができる。
また、第1実施形態では、上記のように、上部クラッチ機構部33の下方に配置され、上部クラッチ機構部33によりエンジン30の駆動力が伝達されている場合に駆動するウォーターポンプ303を設けることによって、ウォーターポンプ303は、上部クラッチ機構部33よりも低い水面に近い位置から冷却水を汲み上げることができる。
また、第1実施形態では、上記のように、下側ドライブ軸部34の下端部近傍に配置され、下側ドライブ軸部34の回転を減速した状態で前側プロペラ駆動軸363および後側プロペラ駆動軸364に伝達可能なベベルギヤ360、前側ベベルギヤ361および後側ベベルギヤ362を設けることによって、下側ドライブ軸部34の回転数を減速した状態で、前側プロペラ駆動軸363および後側プロペラ駆動軸364にエンジン30の駆動力を伝達することができる。この場合、前後進駆動部373(ドッグクラッチ368、369および372)を、減速された回転数で接続することができるので、これによっても、前後進駆動部373(ドッグクラッチ368、369および372)の切替時の衝撃を低減することができる。
(第2実施形態)
図17および図18は、本発明の第2実施形態による船外機の構成を説明するための図である。以下、図3、図12、図17および図18を参照して、本発明の第2実施形態による船外機の構成について詳細に説明する。この第2実施形態では、上記第1実施形態とは異なり、後進駆動部に2つのプロペラを設けずに、1つのプロペラを設ける例について説明する。
第2実施形態では、図17に示すように、ウォーターポンプ303の下方には、ロアー機構部66が設けられている。ロアー機構部66には、下側ドライブ軸部34の下部が配置されており、下側ドライブ軸部34の下端部近傍(下部)には、ベベルギヤ660が取り付けられている。なお、ベベルギヤ660は、本発明の「減速部」の一例である。このベベルギヤ660は、図18に示すように、矢印FWD方向の下側に配置された前側ベベルギヤ661の歯車部661aと噛合しているとともに、矢印BWD方向の下側に配置された後側ベベルギヤ662の歯車部662aと噛合している。なお、前側ベベルギヤ661および後側ベベルギヤ662は、本発明の「減速部」の一例である。これら前側ベベルギヤ661および後側ベベルギヤ662が回転する軸線L3は、ベベルギヤ660が回転する軸線L1と直交するとともに、矢印FWD方向に延びている。また、ベベルギヤ660、前側ベベルギヤ661および後側ベベルギヤ662は、下側ドライブ軸部34の回転を減速した状態で後述するプロペラ駆動軸663に伝達可能に構成されている。
また、前側ベベルギヤ661の矢印BWD方向側の歯車部661aの軸線L3側に隣接する部分には、後述するドッグクラッチ672に対して係合および離間可能なドッグ661cが設けられている。なお、ドッグ661cは、本発明の「係合部」の一例である。また、後側ベベルギヤ662の矢印FWD方向側の歯車部662aの軸線L3側に隣接する部分には、後述するドッグクラッチ672に対して係合および離間可能なドッグ662bが設けられている。なお、ドッグ662bは、本発明の「係合部」の一例である。
また、下側ドライブ軸部34の下側には、下側ドライブ軸部34と直交(交差)する方向に延びるプロペラ駆動軸663が設けられている。なお、プロペラ駆動軸663は、本発明の「出力軸」の一例である。プロペラ駆動軸663は、軸線L3を中心に回転するように配置されているとともに、プロペラ駆動軸663の矢印BWD方向側には、プロペラ65がプロペラ駆動軸663と共に回転可能に取り付けられている。また、プロペラ駆動軸663の矢印FWD方向側には、前側ベベルギヤ661および後側ベベルギヤ362がプロペラ駆動軸663に対して空転するように配置されている。また、プロペラ駆動軸663の前側ベベルギヤ661と後側ベベルギヤ662との間の外周部には、後述するドッグクラッチ672が前後方向にスライド可能にスプライン係合されている。
また、プロペラ駆動軸663の矢印FWD方向側には、軸線L3に沿った挿入穴663aが形成されている。また、プロペラ駆動軸663の前側ベベルギヤ661と後側ベベルギヤ662との間の外周面には、挿入穴663aと直交する貫通穴663bが形成されている。この貫通穴663bは、前後方向(矢印FWD方向および矢印BWD方向)に延びる長穴状に形成されている。
また、プロペラ駆動軸663の軸線L3に沿った挿入穴663aには、円筒形状の連結部材665が前後方向(矢印FWD方向および矢印BWD方向)にスライド可能に挿入されている。この連結部材665の貫通穴663bに対応する部分には、棒状の連結部材666が連結部材665に直交するように取り付けられている。この連結部材666は、プロペラ駆動軸663の外周面よりも外側に突出するように配置されており、連結部材665が挿入穴663aに沿ってスライドされると共に貫通穴663bを前後方向にスライドされるように構成されている。
連結部材666の両端部には、ドッグクラッチ672が固定されている。ドッグクラッチ672は、上記したようにプロペラ駆動軸663に対してスライド可能で、かつ、プロペラ駆動軸663と共に回転可能なようにプロペラ駆動軸663の外周面にスプライン係合により取り付けられている。つまり、ドッグクラッチ672は、常に、プロペラ駆動軸663と共に回転するように構成されている。また、ドッグクラッチ672の矢印FWD方向側端部には、前側ドッグ672aが設けられているとともに、ドッグクラッチ672の矢印BWD方向側端部には、後側ドッグ672bが設けられている。なお、前側ドッグ672aおよび後側ドッグ672bは、それぞれ、本発明の「係合部」の一例である。そして、ドッグクラッチ672は、矢印FWD方向にスライドされる際には、前側ドッグ672aが前側ベベルギヤ661のドッグ661cと係合されるように構成されている。これに対して、ドッグクラッチ672は、矢印BWD方向にスライドされる際には、後側ドッグ672bが後側ベベルギヤ662のドッグ662bに係合されるように構成されている。つまり、ドッグクラッチ672は、前側ベベルギヤ661に係合された場合には、前側ベベルギヤ661の回転(R1方向)をプロペラ駆動軸663に直接的に伝達する機能を有する。その一方、ドッグクラッチ672は、後側ベベルギヤ662に係合された場合には、後側ベベルギヤ662の回転(R2方向)をプロペラ駆動軸663に直接的に伝達する機能を有する。なお、ドッグクラッチ672が前側ベベルギヤ661および後側ベベルギヤ662の両方に係合されない中間位置に位置する場合には、ベベルギヤ660の駆動力は、プロペラ駆動軸663に伝達されない。
なお、第2実施形態では、連結部材665および666と、ドッグクラッチ672とによって、前後進駆動部673が構成されている。この前後進駆動部673は、軸線L3上に配置されているとともに、船舶1の前進時および後進時の両方で駆動される。
また、連結部材665の矢印FWD方向側部分には、移動部材667が取り付けられている。この移動部材667は、前後方向(矢印FWD方向および矢印BWD方向)に移動可能に構成されており、移動部材667が前後方向に移動されるのに伴って連結部材665を前後方向に移動させることが可能である。また、移動部材667には、前後進切替レバー670が係合されている。この前後進切替レバー670は、連動機構671を中心に回動されるように構成されているとともに、連動機構671の回動中心から離れた部分で移動部材667に係合されている。そして、移動部材667は、前後進切替レバー670が回動されるのに伴って前後方向に移動されるように構成されている。なお、第2実施形態では、図17に示すように、連動機構671は、ケース部300に配置された図示しないアクチュエータと接続されている。そして、前後進切替レバー670は、制御部51(図3参照)が送信するレバー部5a(図3参照)の位置を示す信号などに基づいて図示しないアクチュエータが駆動されることにより回動される。
また、第2実施形態では、図18に示すように、前後進駆動部673は、ドッグクラッチ672が矢印FWD方向に移動された場合に、船舶1を後進(推進)させるためにエンジン30の駆動力をプロペラ65に伝達可能な後進時接続状態(第2接続状態)となるように構成されている。その一方、前後進駆動部673は、ドッグクラッチ672が矢印BWD方向に移動された場合に、船舶1を前進(推進)させるためにエンジン30の駆動力をプロペラ65に伝達可能な前進時接続状態(第2接続状態)となるように構成されている。また、前後進駆動部673は、ドッグクラッチ672がいずれのドッグにも係合されない中立位置に移動された場合に、エンジン30の駆動力を切断する切断状態(第2切断状態)となるように構成されている。つまり、第2実施形態による前後進駆動部673は、第1実施形態による前後進駆動部373と同様、図12に示すように、ニュートラル状態(第2切断状態)を介してのみ、前進接続状態および後進接続状態に切替可能に構成されている。
また、第2実施形態では、前後進駆動部673のドッグクラッチ672は、上部クラッチ機構部33が半クラッチ状態の場合に、前進時接続状態(第2接続状態)および後進時接続状態(第2接続状態)のいずれか一方に切り替えられるように構成されている。具体的には、制御部51(図3参照)は、ユーザによりレバー部5a(図3参照)がニュートラル(中立)状態から矢印FWD方向または矢印BWD方向に回動された場合に、上部クラッチ機構部33(図17参照)を半クラッチ状態(半接続状態)に制御するとともに、ドッグクラッチ672を矢印BWD方向または矢印FWD方向に移動する制御を行うように構成されている。また、制御部51は、上部クラッチ機構部33のクラッチ部331がエンジン30の駆動力を切断する切断状態(第1切断状態)と、前後進駆動部673のドッグクラッチ672がエンジン30の駆動力を切断する切断状態(第2切断状態)とが所定時間t(約1秒)まで維持された場合、所定時間t経過後、上部クラッチ機構部33のクラッチ部331を接続状態(第1接続状態)に切り替える制御を行うように構成されている。
なお、第2実施形態のその他の構造は、上記第1実施形態と同様である。
次に、図18を参照して、船舶1を後進させる際に、前後進駆動部673(ドッグクラッチ672)が矢印FWD方向に移動されている場合において、下側ドライブ軸部34(エンジン30)の駆動力をプロペラ駆動軸663に伝達する駆動力伝達経路について説明する。図18に示すように、前後進駆動部673(ドッグクラッチ672)が矢印FWD方向に移動されているため、ドッグクラッチ672の前側ドッグ672aが前側ベベルギヤ661のドッグ661cに係合されている。これにより、前側ベベルギヤ661のR1方向の回転は、ドッグクラッチ672に伝達され、ドッグクラッチ672は、R1方向に回転される。ドッグクラッチ672は、プロペラ駆動軸663に取り付けられているので、プロペラ駆動軸663はR1方向に回転される。その結果、プロペラ65は、R1方向に回転される。なお、この際、後側ベベルギヤ662のドッグ662bには、ドッグクラッチ672の後側ドッグ672bが係合されていない。このため、後側ベベルギヤ662は、プロペラ駆動軸663に対して空転する。つまり、後側ベベルギヤ662のR2方向の回転は、プロペラ駆動軸663に伝達されない。
次に、船舶1を前進させる際に、前後進駆動部673(ドッグクラッチ672)が矢印BWD方向に移動されている場合において、下側ドライブ軸部34(エンジン30)の駆動力をプロペラ駆動軸663に伝達する駆動力伝達経路について説明する。前後進駆動部673(ドッグクラッチ672)が矢印BWD方向に移動されているため、ドッグクラッチ672の後側ドッグ672bが後側ベベルギヤ662のドッグ662bに係合されている。そして、上記したように後側ベベルギヤ662がR2方向に回転されるため、ドッグクラッチ672は、後側ベベルギヤ662と同様R2方向に回転される。これにより、プロペラ駆動軸663は、ドッグクラッチ672を介してR2方向に回転される。その結果、プロペラ65はR2方向に回転される。
第2実施形態では、上記のように、エンジン30の駆動力をプロペラ駆動軸663側に伝達する接続状態(第1接続状態)と、伝達されるエンジン30の駆動力を減少して伝達する半クラッチ状態(半接続状態)とを切替可能に構成されている上部クラッチ機構部33と、船舶1を推進させるためにエンジン30の駆動力をプロペラ65に伝達する接続状態(第2接続状態)と、エンジン30の駆動力を切断する切断状態(第2切断状態)とを切替可能に構成されている前後進駆動部673(ドッグクラッチ672)とを設けることによって、上部クラッチ機構部33を半クラッチ状態(半接続状態)にした状態で前後進駆動部373(ドッグクラッチ368、369および372)を接続状態(第2接続状態)に切り替えるように操作することができる。これにより、前後進駆動部673(ドッグクラッチ672)にエンジン30の駆動力が実質的に伝達されていない状態で前後進駆動部673を接続状態(第2接続状態)に切り替えることができるので前後進駆動部673(ドッグクラッチ672)の接続状態を切り替える際の衝撃を低減することができる。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、上記第1および第2実施形態では、船舶推進ユニットの一例としてエンジンおよびプロペラが船体の外側に配置された2機の船外機を備えた例を示したが、本発明はこれに限らず、エンジンが船体に固定されたスタンドライブ、エンジンおよびプロペラが船体に固定された船内機などを備えた他の船舶推進ユニットにも適用可能である。
また、上記第1および第2実施形態では、船外機に1つのプロペラを設けた例と2つのプロペラを設けた例とについて示したが、本発明はこれに限らず、船外機に、3つ以上のプロペラを設けるようにしてもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、上部クラッチ機構部を半クラッチ状態で接続している状態で、前後進駆動部の複数のドッグを係合する例について示したが、本発明はこれに限らず、上部クラッチ機構部を完全に切断した状態(第1切断状態)で前後進駆動部の複数のドッグを係合するようにしてもよい。なお、上部クラッチ機構部が完全な切断状態で前後進駆動部を切り替える場合には、前後進駆動部のドッグの係合時の衝撃低減効果はより大きい。
また、上記第1および第2実施形態では、変速機構部、上部クラッチ機構部および前後進駆動部を、コントロールレバー部の制御部によって制御した例について示したが、本発明はこれに限らず、変速機構部、上部クラッチ機構部および前後進駆動部を、エンジンを制御するエンジンコントロールユニット(ECU)によって制御してもよいし、コントロールレバー部の制御部とエンジンコントロールユニット(ECU)との両方によって制御してもよい。
また、上記第1および第2実施形態では、上部クラッチ機構部を変速機構部の下方に配置した例について示したが、本発明はこれに限らず、上部クラッチ機構部を変速機構部の上方に配置してもよい。また、上部クラッチ機構部を、たとえば、ウォーターポンプよりも下方の下側ドライブ軸部の下部近傍に設けるようにしてもよい。