JP5192117B2 - 硬化剤、硬化性組成物およびそれを硬化してなる硬化材 - Google Patents

硬化剤、硬化性組成物およびそれを硬化してなる硬化材 Download PDF

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Description

本発明は硬化剤、硬化性組成物とこれを硬化してなる硬化材である。更に詳しくは着色の少ない硬化剤、該硬化剤を含有する硬化性組成物とこれを硬化してなる硬化材である。
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する化合物、及びヒドロシリル化触媒を必須成分として含有する硬化性組成物において、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物としてトリアリルイソシアヌレートを用いたものが知られている(特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5)。また、トリアリルイソシアヌレートと1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する化合物との反応物である、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する有機系化合物は、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物の硬化剤として用いることができる(特許文献1、特許文献3、特許文献4、特許文献5)。特許文献3、特許文献4、特許文献5にはSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機化合物及び/あるいは1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する有機系化合物の原料としてトリアリルイソシアヌレートを用いた場合、光学特性が良好であり、光学用材料として有用であることが開示されている。
しかしながら、トリアリルイソシアヌレートのヒドロシリル化活性が低いために、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する化合物と反応させて1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する有機系化合物である硬化剤を製造する際にはヒドロシリル化触媒を多量に使用する必要があり、経済的ではない。また、得られた硬化剤は淡黄色に着色しており、経時で着色が強くなる傾向がある。黄色着色は光学材料用原料としては問題となり得る。
トリアリルイソシアヌレートの製造法は、シアン酸のアルカリ金属塩とハロゲン化アリルとを反応させる方法(例えば特許文献6)、シアヌル酸あるいはシアヌル酸のアルカリ金属塩とハロゲン化アリルとを反応させる方法(例えば特許文献7、特許文献8)、塩化シアヌルとアリルアルコールからトリアリルシアヌレートを製造後に異性化反応させる方法(例えば特許文献9)等が例示できる。
高純度のトリアリルイソシアヌレートを製造することは容易ではなく、トリアリルイソシアヌレートと分離が容易でない副生物が混入するため、その精製法の開発も行なわれている(例えば特許文献10、特許文献11、特許文献12、特許文献13、特許文献14、特許文献15、特許文献16)。
上述の様にトリアリルイソシアヌレート中には、その構造上ヒドロシリル化触媒の活性低下や黄色着色の原因物質となり得る含窒素化合物を不純物として含みやすい。
特許文献14に純度99.92%のトリアリルイソシアヌレートが、特許文献10、特許文献11及び特許文献15などにトリアリルイソシアヌレート中に含まれる副生物の一つとして1,3−ジアリル尿素が記載されているが、精製により得られたトリアリルイソシアヌレート中に含まれる1,3−ジアリル尿素等の含窒素不純物量に関する記載はない。また特許文献5にはトリアリルイソシアヌレートを必要に応じて精製しても良いことが記載されているが、精製除去の対象物質とその量および精製の目的に関する開示はない。トリアリルイソシアヌレート中に含有される1,3−ジアリル尿素量が、トリアリルイソシアヌレートとSiH基を有する化合物とのヒドロシリル化反応に与える影響に関する開示はされていない。
特開昭50−100 特開平9−291214 特開2002−80733 特開2002−317048 特開2003−34743 特公昭36−3985 特公昭38−21091 US2984950 特開昭58−85874 特公昭40−2556 特公昭42−9345 特公昭47−14395 特公昭47−22588 特開昭57−200371 特公昭58−22118 特開平11−255753
本発明が解決しようとする課題は、着色の少ない1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する有機系化合物、該有機系化合物を硬化剤として含有する硬化性組成物とこれを硬化してなる硬化材を提供することである。
本発明者はかかる課題を解決するために鋭意検討の結果、トリアリルイソシアヌレート(A)と1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する化合物(B)をヒドロシリル化触媒(C)の存在下に反応させることにより得られる1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する有機系化合物において(A)成分であるトリアリルイソシアヌレートに1,3−ジアリル尿素の含有量が700ppm以下であるトリアリルイソシアヌレートを用いることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、
トリアリルイソシアヌレート(A)と1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する化合物(B)をヒドロシリル化触媒(C)の存在下に反応させることにより得られる1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する有機系化合物であって、(A)成分が1,3−ジアリル尿素の含有量が700ppm以下のトリアリルイソシアヌレートである1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する有機系化合物(請求項1)であり、
(A)成分であるトリアリルイソシアヌレートが、700ppmを超える1,3−ジアリル尿素の含有量を精製処理によって700ppm以下に低減したトリアリルイソシアヌレートである請求項1に記載の1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する有機系化合物(請求項2)であり、
(A)成分であるトリアリルイソシアヌレートが、塩基性物質を除去可能な処理剤を用いた精製処理により得られたトリアリルイソシアヌレートである請求項2に記載の1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する有機系化合物(請求項3)であり、
(A)成分であるトリアリルイソシアヌレート中の1,3−ジアリル尿素の含有量が100ppm以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する有機系化合物(請求項4)であり、
(A)成分であるトリアリルイソシアヌレート中の1,3−ジアリル尿素の含有量が50ppm以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する有機系化合物(請求項5)であり、
(A)成分であるトリアリルイソシアヌレート中の1,3−ジアリル尿素の含有量が10ppm以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する有機系化合物(請求項6)であり、
トリアリルイソシアヌレート(A)と1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する化合物(B)をヒドロシリル化触媒(C)の存在下に反応させることにより得られる1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する有機系化合物(D)、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する化合物(E)を必須成分として含有する硬化性組成物であって、(D)成分が請求項1〜6項のいずれか1項に記載の1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する有機系化合物である硬化性組成物(請求項7)であり、
(E)成分であるSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する化合物の50重量%以上が、1,3−ジアリル尿素の含有量が700ppm以下のトリアリルイソシアヌレートである請求項7に記載の硬化性組成物(請求項8)であり、
(E)成分であるSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する化合物の50重量%以上が、700ppmを超える1,3−ジアリル尿素の含有量を精製処理によって700ppm以下に低減したトリアリルイソシアヌレートである請求項8に記載の硬化性組成物(請求項9)であり、
(E)成分であるSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する化合物の50重量%以上が、塩基性物質を除去可能な処理剤を用いた精製処理により得られたトリアリルイソシアヌレートである請求項9に記載の硬化性組成物(請求項10)であり、
(E)成分であるSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する化合物の50重量%以上が、1,3−ジアリル尿素の含有量が100ppm以下のトリアリルイソシアヌレートである請求項8〜10のいずれか1項に記載の硬化性組成物(請求項11)であり、
(E)成分であるSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する化合物の50重量%以上が、1,3−ジアリル尿素の含有量が50ppm以下のトリアリルイソシアヌレートである請求項8〜10のいずれか1項に記載の硬化性組成物(請求項12)であり、
(E)成分であるSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する化合物の50重量%以上が、1,3−ジアリル尿素の含有量が10ppm以下のトリアリルイソシアヌレートである請求項8〜10のいずれか1項に記載の硬化性組成物(請求項13)であり、
請求項7〜13のいずれか1項に記載の硬化性組成物を硬化させてなる硬化物(請求項14)である。
本発明により、トリアリルイソシアヌレート(A)と1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する化合物(B)をヒドロシリル化触媒(C)の存在下に反応させることにより着色の少ない1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する有機系化合物が得られ、この有機系化合物を硬化剤として含有する着色の少ない硬化性組成物とこれを硬化してなる着色の少ない硬化材が得られる。また本発明により1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する有機系化合物である硬化剤の貯蔵安定性が向上する。
以下、本発明を詳細に説明する。
((A)成分)
本発明の(A)成分は、1,3−ジアリル尿素の含有量が700ppm以下であるトリアリルイソシアヌレートである。上記含有量はガスクロマトグラフィーによる内部標準法により測定できる。
トリアリルイソシアヌレート中に1,3−ジアリル尿素が700ppmより多く含有される場合、トリアリルイソシアヌレート(A)と1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する化合物(B)をヒドロシリル化触媒(C)の存在下に反応させることにより得られる1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する有機系化合物は着色があり、貯蔵安定性の不十分なものとなる。トリアリルイソシアヌレート中に含まれる1,3−ジアリル尿素の量は好ましくは100ppm以下であり、より好ましくは50ppm以下であり、更に好ましくは10ppm以下である。
1,3−ジアリル尿素の含有量が700ppm以下であるトリアリルイソシアヌレートの製造方法は特に限定されない。
トリアリルイソシアヌレート製造中に1,3−ジアリル尿素を副生する可能性のある不純物を極力排除した原料および反応条件を選択することによっても、1,3−ジアリル尿素の含有量が700ppm以下であるトリアリルイソシアヌレートが製造できる。
またトリアリルイソシアヌレート製造時の1,3−ジアリル尿素の副生回避が容易ではなく、1,3−ジアリル尿素の含有量が700ppmを超える場合は、精製処理を行なうことにより1,3−ジアリル尿素の含有量が700ppm以下であるトリアリルイソシアヌレートが製造できる。精製処理の方法としては特に限定されず、減圧蒸留や再結晶、塩酸、硫酸水溶液等の酸性水、水酸化ナトリウム水溶液、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ性水、及び純水等の中性水の組み合わせによる洗浄や、シリカ、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、活性白土、活性炭等の吸着材による吸着処理等が例示される。トリアリルイソシアヌレートの精製は、必要であれば繰り返し、また必要であれば複数の精製法を組み合わせて、トリアリルイソシアヌレート中の1,3−ジアリル尿素の含有量が700ppm以下になるまで実施すれば良い。これらの精製処理の方法の中で塩基性物質を除去可能な処理剤(例えば、塩酸、硫酸水溶液等の酸性水、シリカ、ケイ酸アルミニウム、活性白土、活性炭等の吸着剤等)を用いた処理が好ましい。精製処理においては溶剤を用いても用いなくても良い。
((B)成分)
本発明の(B)成分は、1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有する鎖状及び/又は環状のポリオルガノシロキサンである。
1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有する鎖状及び/又は環状のポリオルガノシロキサンは具体的には、例えば
Figure 0005192117
Figure 0005192117
が挙げられる。
ここで、(A)成分との相溶性が良くなりやすいという観点から、下記一般式(I)
Figure 0005192117
(式中、Rは炭素数1〜6の有機基を表し、nは3〜10の数を表す。)で表される、1分子中に少なくとも3個のSiH基を有する環状ポリオルガノシロキサンが好ましい。
一般式(I)で表される化合物中の置換基Rは、C、H、Oから構成されるものであることが好ましく、炭化水素基であることがより好ましく、メチル基であることがさらに好ましい。
入手容易性等から、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンであることが好ましい。
上記したような各種(B)成分は単独もしくは2種以上のものを混合して用いることが可能である。
((C)成分)
次に(C)成分であるヒドロシリル化触媒について説明する。
ヒドロシリル化触媒としては、ヒドロシリル化反応の触媒活性があれば特に限定されないが、例えば、白金の単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に固体白金を担持させたもの、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、白金−オレフィン錯体(例えば、Pt(CH=CH(PPh、Pt(CH=CHCl)、白金−ビニルシロキサン錯体(例えば、Pt(ViMeSiOSiMeVi)、Pt[(MeViSiO))、白金−ホスフィン錯体(例えば、Pt(PPh4、Pt(PBu)、白金−ホスファイト錯体(例えば、Pt[P(OPh)、Pt[P(OBu))(式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、n、mは、整数を示す。)、ジカルボニルジクロロ白金、カールシュテト(Karstedt)触媒、また、アシュビー(Ashby)の米国特許第3159601号および3159662号明細書中に記載された白金−炭化水素複合体、ならびにラモロー(Lamoreaux)の米国特許第3220972号明細書中に記載された白金アルコラート触媒が挙げられる。さらに、モディック(Modic)の米国特許第3516946号明細書中に記載された塩化白金−オレフィン複合体も本発明において有用である。
また、白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh)、RhCl、RhAl、RuCl、IrCl、FeCl、AlCl、PdCl・2HO、NiCl、TiCl、等が挙げられる。
これらの中では、触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体等が好ましい。また、これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
触媒の添加量は特に限定されないが、十分な硬化性を有し、かつ硬化性組成物のコストを比較的低く抑えるため好ましい添加量の下限は、(B)成分のSiH基1モルに対して10−8モル、より好ましくは10−7モルであり、好ましい添加量の上限は(B)成分のSiH基1モルに対して10−1モル、より好ましくは10−2モルである。
また、上記触媒には助触媒を併用することが可能であり、例としてトリフェニルホスフィン等のリン系化合物、ジメチルマレエート等の1、2−ジエステル系化合物、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブチン等のアセチレンアルコール系化合物、単体の硫黄等の硫黄系化合物、トリエチルアミン等のアミン系化合物等が挙げられる。助触媒の添加量は特に限定されないが、ヒドロシリル化触媒1モルに対しての好ましい添加量の下限は、10−2モル、より好ましくは10−1モルであり、好ましい添加量の上限は10モル、より好ましくは10モルである。
((D)成分)
(D)成分は上述の(A)成分と(B)成分を(C)成分の存在下に反応させることにより得られる1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する有機系化合物であり、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する化合物(E)の硬化剤である。
(A)成分と(B)成分をヒドロシリル化触媒(C)の存在下にヒドロシリル化反応すると、通常本発明の目的とする1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する有機系化合物を複数含む混合物が得られる。
(A)成分と(B)成分をヒドロシリル化反応させる場合の(A)成分と(B)成分の混合比率は、特に限定されないが、得られる(D)成分と後述する(E)成分とのヒドロシリル化反応による硬化物の強度を考えた場合、(D)成分のSiH基が多い方が好ましいため、一般に混合する(A)成分中のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の総数(X)と、混合する(B)成分中のSiH基の総数(Y)との比が、Y/X≧2であることが好ましく、Y/X≧3であることがより好ましく、Y/X≧5が更により好ましい。また(D)成分の(E)成分との相溶性を良くしたい場合は、10≧Y/Xであることが好ましく、5≧Y/Xであることがより好ましい。
反応させる場合の(A)成分、(B)成分および触媒である(C)成分の混合の方法としては、各種方法をとることができるが、(A)成分に触媒である(C)成分を混合したものを、(B)成分に混合する方法が好ましい。(A)成分、(B)成分の混合物に触媒である(C)成分を混合する方法だと反応の制御が困難である。(B)成分と触媒である(C)成分を混合したものに(A)成分を混合する方法をとる場合は、触媒である(C)成分の存在下で(B)成分のみを加熱する時間が長くなるため、副反応による品質低下が起こりやすくなる。
反応温度としては種々設定できるが、この場合好ましい温度範囲の下限は30℃、より好ましくは50℃であり、好ましい温度範囲の上限は200℃、より好ましくは150℃である。反応温度が低いと十分に反応させるための反応時間が長くなり、反応温度が高いと実用的でない。反応は一定の温度で行ってもよいが、必要に応じて多段階あるいは連続的に温度を変化させてもよい。
反応時間、反応時の圧力も必要に応じ種々設定できる。
ヒドロシリル化反応の際に溶媒を使用してもよい。使用できる溶剤はヒドロシリル化反応を阻害しない限り特に限定されるものではなく、具体的に例示すれば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒を好適に用いることができる。溶媒は2種類以上の混合溶媒として用いることもできる。溶媒としては、トルエン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、クロロホルムが好ましい。使用する溶媒量も適宜設定できる。
その他、反応性を制御する目的等のために種々の添加剤を用いてもよい。
(A)成分と(B)成分を反応させた後に、溶媒、未反応の(A)成分、未反応の(B)成分及び/あるいは(C)成分を除去することもできる。これらの成分を除去する方法としては例えば、減圧脱揮、活性炭、ケイ酸アルミニウム、シリカゲル等による処理等が挙げられる。揮発性成分を除去することにより、揮発分を有さない1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する有機系化合物が得られるため(E)成分との硬化の場合に揮発分の揮発によるボイド、クラックの問題が生じにくい。減圧脱揮する場合には低温で処理することが好ましい。この場合の好ましい温度の上限は100℃であり、より好ましくは80℃である。高温で処理すると増粘等の変質を伴いやすい。
(D)成分には貯蔵安定性を向上させるため、触媒活性抑制剤を添加することができる。触媒活性抑制剤としては、脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機イオウ化合物、窒素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物等が挙げられ、これらを併用してもかまわない。脂肪族不飽和結合を含有する化合物として、プロパギルアルコール類、エン−イン化合物類、マレイン酸エステル類等が例示される。有機リン化合物としては、トリオルガノフォスフィン類、ジオルガノフォスフィン類、オルガノフォスフォン類、トリオルガノフォスファイト類等が例示される。有機イオウ化合物としては、オルガノメルカプタン類、ジオルガノスルフィド類、硫化水素、ベンゾチアゾール、ベンゾチアゾールジサルファイド等が例示される。窒素含有化合物としては、アンモニア、1〜3級アルキルアミン類、アリールアミン類、尿素、ヒドラジン等が例示される。スズ系化合物としては、ハロゲン化第一スズ2水和物、カルボン酸第一スズ等が例示される。有機過酸化物としては、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、過安息香酸t−ブチル等が例示される。
これらの触媒活性抑制剤のうち、抑制効果が良好で原料入手性がよいという観点からは、ベンゾチアゾール、チアゾール、ジメチルマレート、3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチン、1−エチニル−1−シクロヘキサノールが好ましい。
触媒活性抑制剤を添加する場合は、(A)成分と(B)成分の反応終了直後、減圧脱揮前、減圧脱揮後のいずれの段階で添加しても良く、添加量も種々設定できるが、使用するヒドロシリル化触媒1molに対する好ましい添加量の下限は10−1モル、より好ましくは1モルであり、好ましい添加量の上限は10モル、より好ましくは60モルである。
また、これらの触媒活性抑制剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
((E)成分)
本発明の(E)成分は、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する化合物である。SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の結合位置は特に限定されず、分子内のどこに存在してもよい。
(E)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する化合物は特に限定されず、無機系、有機系、無機/有機混合系のいずれの化合物も用いることができる。
無機系の化合物としてはシロキサン単位(Si−O−Si)を含むシリコーン系化合物が例示でき、無機/有機混合系はシリコーンとポリエーテル、ポリエステル、ポリ(メタ)アクリル酸エステルなど後述する有機重合体系化合物がブロック共重合体やグラフト共重合体として化学的に結合した化合物が例示できる。
有機系化合物は、有機重合体系の化合物と有機単量体系化合物に分類できる。
有機重合体系化合物としては例えば、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリアリレート系、ポリカーボネート系、飽和炭化水素系、不飽和炭化水素系、ポリアクリル酸エステル系、ポリアミド系、フェノール−ホルムアルデヒド系(フェノール樹脂系)、ポリイミド系の化合物を用いることができる。
また有機単量体系化合物としては例えば、フェノール系、ビスフェノール系、ベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素系:直鎖系、脂環系等の脂肪族炭化水素系:エーテル系:複素環系の化合物およびこれらの混合物等が挙げられる。
(E)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合としては特に限定されないが、下記一般式(II)
Figure 0005192117
(式中Rは水素原子あるいはメチル基を表す。)で示される基が反応性の点から好適である。また、原料の入手の容易さからは、
Figure 0005192117
で示される基が特に好ましい。
(E)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合としては、下記一般式(III)
Figure 0005192117
(式中Rは水素原子あるいはメチル基を表す。)で示される脂環式の基が、硬化物の耐熱性が高いという点から好適である。また、原料の入手の容易さからは、
Figure 0005192117
で示される脂環式の基が特に好ましい。
SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合は(E)成分の骨格部分に直接結合していてもよく、2価以上の置換基を介して共有結合していても良い。2価以上の置換基としては炭素数0〜10の置換基であれば特に限定されないが、構成元素としてC、H、N、O、S、およびハロゲンのみを含むものが好ましい。これらの置換基の例としては、
Figure 0005192117
Figure 0005192117
が挙げられる。また、これらの2価以上の置換基の2つ以上が共有結合によりつながって1つの2価以上の置換基を構成していてもよい。
以上のような骨格部分に共有結合する基の例としては、ビニル基、アリル基、メタリル基、アクリル基、メタクリル基、2−ヒドロキシ−3−(アリルオキシ)プロピル基、2−アリルフェニル基、3−アリルフェニル基、4−アリルフェニル基、2−(アリルオキシ)フェニル基、3−(アリルオキシ)フェニル基、4−(アリルオキシ)フェニル基、2−(アリルオキシ)エチル基、2、2−ビス(アリルオキシメチル)ブチル基、3−アリルオキシ−2、2−ビス(アリルオキシメチル)プロピル基、
Figure 0005192117
が挙げられる。
(E)成分の具体的な例としては、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、1,1,2,2,−テトラアリロキシエタン、ジアリリデンペンタエリスリット、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン、ジビニルベンゼン類(純度50〜100%のもの、好ましくは純度80〜100%のもの)、ジビニルビフェニル、1,3−ジイソプロペニルベンゼン、1,4−ジイソプロペニルベンゼン、およびそれらのオリゴマー、1,2−ポリブタジエン(1、2比率10〜100%のもの、好ましくは1、2比率50〜100%のもの)、ノボラックフェノールのアリルエーテル、アリル化ポリフェニレンオキサイド、
Figure 0005192117
Figure 0005192117
の他、従来公知のエポキシ樹脂のグルシジル基の一部あるいは全部をアリル基に置き換えたもの等が挙げられる。
(E)成分としては、上記のように骨格部分とアルケニル基とに分けて表現しがたい、低分子量化合物も用いることができる。これらの低分子量化合物の具体例としては、ブタジエン、イソプレン、オクタジエン、デカジエン等の脂肪族鎖状ポリエン化合物系、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン、トリシクロペンタジエン、ノルボルナジエン等の脂肪族環状ポリエン化合物系、ビニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキセン等の置換脂肪族環状オレフィン化合物系等が挙げられる。
(E)成分としては、耐熱性をより向上し得るという観点からは、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を(E)成分1gあたり0.001mol以上含有するものが好ましく、1gあたり0.005mol以上含有するものがより好ましく、0.008mol以上含有するものがさらに好ましい。
(E)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の数は、平均して1分子当たり少なくとも2個あればよいが、力学強度をより向上したい場合には2を越えることが好ましく、3個以上であることがより好ましい。(E)成分のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合の数が1分子内当たり1個以下の場合は、(D)成分と反応してもグラフト構造となるのみで架橋構造とならない。
(E)成分としては反応性が良好であるという観点からは、1分子中にビニル基を1個以上含有していることが好ましく、1分子中にビニル基を2個以上含有していることがより好ましい。また貯蔵安定性が良好となりやすいという観点からは、1分子中にビニル基を6個以下含有していることが好ましく、1分子中にビニル基を4個以下含有していることがより好ましい。
(E)成分としては、力学的耐熱性が高いという観点および原料液の糸引き性が少なく成形性、取扱い性が良好であるという観点からは、分子量が900未満のものが好ましく、700未満のものがより好ましく、500未満のものがさらに好ましい。
(E)成分としては、他の成分との均一な混合、および良好な作業性を得るためには、粘度としては23℃において1000ポイズ未満のものが好ましく、300ポイズ未満のものがより好ましく、30ポイズ未満のものがさらに好ましい。粘度はE型粘度計によって測定することができる。
(E)成分としては、着色特に黄変の抑制の観点からはフェノール性水酸基および/あるいはフェノール性水酸基の誘導体を有する化合物の含有量が少ないものが好ましく、フェノール性水酸基および/あるいはフェノール性水酸基の誘導体を有する化合物を含まないものが好ましい。本発明におけるフェノール性水酸基とはベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環等に例示される芳香族炭化水素核に直接結合した水酸基を示し、フェノール性水酸基の誘導体とは上述のフェノール性水酸基の水素原子をメチル基、エチル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、アセトキシ基等のアシル基等により置換された基を示す。
また、複屈折率が低い、光弾性係数が低い等のように光学特性が良好であるとともに耐候性が良好であるという観点からは、芳香環の(E)成分中の成分重量比が50重量%以下であるものが好ましく、40重量%以下のものがより好ましく、30重量%以下のものがさらに好ましい。最も好ましいのは芳香族炭化水素環を含まないものである。
得られる硬化物の着色が少なく、光学的透明性が高く、耐光性が高いという観点からは、(E)成分としてはビニルシクロヘキセン、ジシクロペンタジエン、トリアリルイソシアヌレート、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのジアリルエーテル、1,2,4−トリビニルシクロヘキサンが好ましく、トリアリルイソシアヌレート、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパンのジアリルエーテル、1,2,4−トリビニルシクロヘキサンが特に好ましい。
(E)成分としてはその他の反応性基を有していてもよい。この場合の反応性基としては、エポキシ基、アミノ基、ラジカル重合性不飽和基、カルボキシル基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、アルコキシシリル基等が挙げられる。これらの官能基を有している場合には得られる硬化性組成物の接着性が高くなりやすく、得られる硬化物の強度が高くなりやすい。接着性がより高くなりうるという点からは、これらの官能基のうちエポキシ基が好ましい。また、得られる硬化物の耐熱性が高くなりやすいという点においては、反応性基を平均して1分子中に1個以上有していることが好ましい。
(E)成分としては、耐熱性および透明性が高いという観点からは、下記一般式(IV)
Figure 0005192117
(式中Rは炭素数1〜50の一価の有機基を表し、それぞれのRは異なっていても同一であってもよい。)で表される化合物が好ましい。
上記一般式(IV)のRとしては、得られる硬化物の耐熱性がより高くなりうるという観点からは、炭素数1〜20の一価の有機基であることが好ましく、炭素数1〜10の一価の有機基であることがより好ましく、炭素数1〜4の一価の有機基であることがさらに好ましい。これらの好ましいRの例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、ビニル基、アリル基、グリシジル基、
Figure 0005192117
等が挙げられる。
上記一般式(IV)のRとしては、得られる硬化物の各種材料との接着性が良好になりうるという観点からは、3つのRのうち少なくとも1つがエポキシ基を一つ以上含む炭素数1〜50の一価の有機基であることが好ましく、
Figure 0005192117
で表されるエポキシ基を1個以上含む炭素数1〜50の一価の有機基であることがより好ましい。これらの好ましいRの例としては、グリシジル基、
Figure 0005192117
等が挙げられる。
上記一般式(IV)のRとしては、得られる硬化物の化学的な熱安定性が良好になりうるという観点からは、2個以下の酸素原子を含みかつ構成元素としてC、H、Oのみを含む炭素数1〜50の一価の有機基であることが好ましく、炭素数1〜50の一価の炭化水素基であることがより好ましい。これらの好ましいRの例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、ビニル基、アリル基、グリシジル基、
Figure 0005192117
等が挙げられる。
上記一般式(IV)のRとしては、反応性が良好になるという観点からは、3つのRのうち少なくとも1つが
Figure 0005192117
で表される基を1個以上含む炭素数1〜50の一価の有機基であることが好ましく、下記一般式(V)
Figure 0005192117
(式中Rは水素原子あるいはメチル基を表す。)で表される基を1個以上含む炭素数1〜50の一価の有機基であることがより好ましく、
3つのRのうち少なくとも2つが下記一般式(VI)
Figure 0005192117
(式中Rは直接結合あるいは炭素数1〜48の二価の有機基を表し、Rは水素原子あるいはメチル基を表す。)で表される有機化合物(複数のRおよびRはそれぞれ異なっていても同一であってもよい。)であることがさらに好ましい。
上記一般式(VI)のRは、直接結合あるいは炭素数1〜48の二価の有機基であるが、得られる硬化物の耐熱性がより高くなりうるという観点からは、直接結合あるいは炭素数1〜20の二価の有機基であることが好ましく、直接結合あるいは炭素数1〜10の二価の有機基であることがより好ましく、直接結合あるいは炭素数1〜4の二価の有機基であることがさらに好ましい。これらの好ましいRの例としては、
Figure 0005192117
等が挙げられる。
上記一般式(VI)のRとしては、得られる硬化物の化学的な熱安定性が良好になりうるという観点からは、直接結合あるいは2つ以下の酸素原子を含みかつ構成元素としてC、H、Oのみを含む炭素数1〜48の二価の有機基であることが好ましく、直接結合あるいは炭素数1〜48の二価の炭化水素基であることがより好ましい。これらの好ましいRの例としては、
Figure 0005192117
が挙げられる。
上記一般式(VI)のRは、水素原子あるいはメチル基であるが、反応性が良好であるという観点からは、水素原子が好ましい。
ただし、上記のような一般式(IV)で表される有機化合物の好ましい例においても、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有することは必要である。耐熱性をより向上し得るという観点からは、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に3個以上含有する有機化合物であることがより好ましい。
以上のような一般式(IV)で表される有機化合物の好ましい具体例としては、トリアリルイソシアヌレート、
Figure 0005192117
等が挙げられる。
(E)成分としてトリアリルイソシアヌレートを用いる場合、硬化性が高く着色性が低いものが得られることから、トリアリルイソシアヌレート中に含まれる1,3−ジアリル尿素の含有量は700ppm以下が好ましく、100ppm以下がより好ましく、更に好ましくは10ppm以下である。
(E)成分は、単独もしくは2種以上のものを混合して用いることが可能である。
(D)成分と(E)成分を必須成分として含有する硬化性組成物は、(D)成分からヒドロシリル化触媒を除去しない限り、ヒドロシリル化触媒を含んでいるため、新たにヒドロシリル化触媒を添加する必要は必ずしもない。しかし、硬化性を調整するためにヒドロシリル化触媒を添加しても良く、(C)成分であるヒドロシリル化触媒と同じ物が使用できる。これらの中では、触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体等が好ましい。また、これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
(D)成分と(E)成分を必須成分として含有する硬化性組成物に添加する触媒の量は特に限定されないが、十分な硬化性を有し、かつ硬化性組成物のコストを比較的低く抑えるため好ましい添加量の下限は、(D)成分のSiH基1モルに対して10−8モル、より好ましくは10−6モルであり、好ましい添加量の上限は(D)成分のSiH基1モルに対して10−1モル、より好ましくは10−2モルである。
また、上記触媒には助触媒を併用することが可能であり、例としてトリフェニルホスフィン等のリン系化合物、ジメチルマレエート等の1、2−ジエステル系化合物、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−ブチン等のアセチレンアルコール系化合物、単体の硫黄等の硫黄系化合物、トリエチルアミン等のアミン系化合物等が挙げられる。助触媒の添加量は特に限定されないが、ヒドロシリル化触媒1モルに対しての好ましい添加量の下限は、10−2モル、より好ましくは10−1モルであり、好ましい添加量の上限は10モル、より好ましくは10モルである。
本発明の組成物には保存安定性を改良する目的で、硬化性調整剤を使用することができる。硬化性調整剤としては、脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機イオウ化合物、窒素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物等が挙げられ、これらを併用してもかまわない。脂肪族不飽和結合を含有する化合物として、プロパギルアルコール類、エン−イン化合物類、マレイン酸エステル類等が例示される。有機リン化合物としては、トリオルガノフォスフィン類、ジオルガノフォスフィン類、オルガノフォスフォン類、トリオルガノフォスファイト類等が例示される。有機イオウ化合物としては、オルガノメルカプタン類、ジオルガノスルフィド類、硫化水素、ベンゾチアゾール、ベンゾチアゾールジサルファイド等が例示される。窒素含有化合物としては、アンモニア、1〜3級アルキルアミン類、アリールアミン類、尿素、ヒドラジン等が例示される。スズ系化合物としては、ハロゲン化第一スズ2水和物、カルボン酸第一スズ等が例示される。有機過酸化物としては、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、過安息香酸t−ブチル等が例示される。
これらの硬化性調整剤のうち、調整効果が良好で原料入手性がよいという観点からは、ベンゾチアゾール、チアゾール、ジメチルマレート、3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチン、1−エチニル−1−シクロヘキサノールが好ましい。
硬化性調整剤の添加量は種々設定できるが、使用するヒドロシリル化触媒1molに対する好ましい添加量の下限は10−1モル、より好ましくは1モルであり、好ましい添加量の上限は10モル、より好ましくは50モルである。
また、これらの硬化性調整剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
(D)成分と(E)成分の混合比率は、硬化物に必要な強度が失わない限り特に限定されないが、(D)成分中のSiH基の数(Y’)の(E)成分中の炭素−炭素二重結合の数(X’)に対する比において、好ましい範囲の下限はY’/X’≧0.3、より好ましくはY’/X’≧0.5、さらに好ましくはY’/X’≧0.7であり、好ましい範囲の上限は3≧Y’/X’、より好ましくは2≧Y’/X’、さらに好ましくは1.5≧Y’/X’である。好ましい範囲からはずれた場合には十分な強度が得られなかったり、熱劣化しやすくなる場合がある。
本発明の組成物には、接着性改良剤を添加することもできる。接着性改良剤としては一般に用いられている接着剤の他、例えば種々のカップリング剤、エポキシ化合物、フェノール樹脂、クマロン−インデン樹脂、ロジンエステル樹脂、テルペン−フェノール樹脂、α−メチルスチレン−ビニルトルエン共重合体、ポリエチルメチルスチレン、芳香族ポリイソシアネート等を挙げることができる。
カップリング剤としては例えばシランカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤としては、分子中に有機基と反応性のある官能基と加水分解性のケイ素基を各々少なくとも1個有する化合物であれば特に限定されない。有機基と反応性のある基としては、取扱い性の点からエポキシ基、メタクリル基、アクリル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ビニル基、カルバメート基から選ばれる少なくとも1個の官能基が好ましく、硬化性及び接着性の点から、エポキシ基、メタクリル基、アクリル基が特に好ましい。加水分解性のケイ素基としては取扱い性の点からアルコキシシリル基が好ましく、反応性の点からメトキシシリル基、エトキシシリル基が特に好ましい。
好ましいシランカップリング剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ官能基を有するアルコキシシラン類:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシラン等のメタクリル基あるいはアクリル基を有するアルコキシシラン類が例示できる。
シランカップリング剤の添加量としては種々設定できるが、[(D)成分+(E)成分]100重量部に対しての好ましい添加量の下限は0.1重量部、より好ましくは0.5重量部であり、好ましい添加量の上限は50重量部、より好ましくは25重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いと硬化物物性に悪影響を及ぼす場合がある。
エポキシ化合物としては、例えば、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、2,2’−ビス(4−グリシジルオキシシクロヘキシル)プロパン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカーボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−5,5−スピロ−(3,4−エポキシシクロヘキサン)−1,3−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、1,2−シクロプロパンジカルボン酸ビスグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート等を挙げることができる。
エポキシ化合物の添加量としては種々設定できるが、[(D)成分+(E)成分]100重量部に対しての好ましい添加量の下限は1重量部、より好ましくは3重量部であり、好ましい添加量の上限は50重量部、より好ましくは25重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いと硬化物物性に悪影響を及ぼす場合がある。
また、これらのカップリング剤、シランカップリング剤、エポキシ化合物等は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
また、本発明においてはカップリング剤やエポキシ化合物の効果を高めるために、さらにシラノール縮合触媒を用いることができ、接着性の向上および/あるいは安定化が可能である。このようなシラノール縮合触媒としては特に限定されないが、有機アルミニウム化合物および/あるいはほう酸エステルおよび/あるいはチタン系化合物が好ましい。硬化時及び高温下での着色性が低い点からほう酸エステルが好ましい。
シラノール縮合触媒を用いる場合の使用量は種々設定できるが、カップリング剤100重量部に対しての好ましい添加量の下限は0.1重量部、より好ましくは1重量部であり、好ましい添加量の上限は50重量部、より好ましくは30重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いと硬化物物性に悪影響を及ぼす場合がある。
本発明に用いられる有機アルミニウム化合物はシラノール縮合触媒として用い、接着性の向上および/あるいは安定化が可能である。
本発明に用いられる有機アルミニウム化合物としては、トリメトキシアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリノルマルプロピルアルミニウム等のアルミニウムアルコラート化合物;ナフテン酸、ステアリン酸、オクチル酸、安息香酸等のアルミニウム有機酸塩;アルミニウムエチルアセトアセトアセテートジイソプロピレート、アルミニウムエチルアセトアセトアセテートジイソブチレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムビスエチルアセトアセテートモノアセチルアセトネート、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)等のアルミニウムキレート化合物等が挙げられるが、反応性、基材との接着性・密着性の観点から、アルミニウムキレート、及びアルミニウムアルコラートが好ましく、さらにヒドロシリル化硬化反応との相性からアルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)が好ましい。又これらを併用してもよい。
本発明に用いられるほう酸エステルはシラノール縮合触媒として用い、接着性の向上および/あるいは安定化が可能である。
本発明に用いられるほう酸エステルとしては、ほう酸トリ−2−エチルヘキシル、ほう酸ノルマルトリオクタデシル、ほう酸トリノルマルオクチル、ほう酸トリフェニル、トリメチレンボレート、トリス(トリメチルシリル)ボレート、ほう酸トリノルマルブチル、ほう酸トリ−sec−ブチル、ほう酸トリ−tert−ブチル、ほう酸トリイソプロピル、ほう酸トリノルマルプロピル、ほう酸トリアリル、ほう酸トリエチル、ほう酸トリメチル、ほう素メトキシエトキサイド等が挙げられる。ほう酸エステルとしては1種類のみを用いてもよく、2種類以上を混合して用いても良い。混合は事前に行なっても良く、また硬化物作成時に混合しても良い。
揮発性の抑制、作業性の点からほう酸トリノルマルブチル、ほう酸トリイソプロピル、ほう酸トリノルマルプロピルが好ましく、ほう酸トリノルマルブチルがさらに好ましい。
高温下での着色性が低い点からほう酸トリエチルが好ましく、ほう酸トリメチルがさらに好ましい。
本発明に用いられるチタン系化合物はシラノール縮合触媒として用い、接着性の向上および/あるいは安定化が可能である。
本発明に用いられるチタン系化合物としては、テトライソプロポキシチタン、テトラブトキシチタン等のテトラアルコキシチタン類:チタンテトラアセチルアセトナート等のチタンキレート類:オキシ酢酸やエチレングリコール等の残基を有する一般的なチタネートカップリング剤が例示できる。
これらのシラノール縮合触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
また、本発明においては接着性改良効果をさらに高めるために、さらにシラノール源化合物を用いることができ、接着性の向上および/あるいは安定化が可能である。このようなシラノール源としては、例えばトリフェニルシラノール、ジフェニルジヒドロキシシラン等のシラノール化合物、ジフェニルジメトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン類等を挙げることができる。
シラノール源化合物を用いる場合の使用量は種々設定できるが、カップリング剤及び/あるいはエポキシ化合物エポキシ化合物100重量部に対しての好ましい添加量の下限は0.1重量部、より好ましくは1重量部であり、好ましい添加量の上限は50重量部、より好ましくは30重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いと硬化物物性に悪影響を及ぼす場合がある。
これらのシラノール源化合物は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
本発明においてはカップリング剤やエポキシ化合物の効果を高めるために、カルボン酸類及び/あるいは酸無水物類を用いることができ、接着性の向上および/あるいは安定化が可能である。このようなカルボン酸類、酸無水物類としては特に限定されないが、
Figure 0005192117
2−エチルヘキサン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、メチルシクロヘキサンジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、メチルハイミック酸、ノルボルネンジカルボン酸、水素化メチルナジック酸、マレイン酸、アセチレンジカルボン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、桂皮酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、およびそれらの単独あるいは複合酸無水物が挙げられる。
これらのカルボン酸類及び/あるいは酸無水物類のうち、ヒドロシリル化反応性を有し硬化物からの染み出しの可能性が少なく得られる硬化物の物性を損ない難いという点においては、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を含有するものが好ましい。好ましいカルボン酸類及び/あるいは酸無水物類としては、例えば、
Figure 0005192117
テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸およびそれらの単独あるいは複合酸無水物等が挙げられる。
カルボン酸類及び/あるいは酸無水物類を用いる場合の使用量は種々設定できるが、カップリング剤及び/あるいはエポキシ化合物エポキシ化合物100重量部に対しての好ましい添加量の下限は0.1重量部、より好ましくは1重量部であり、好ましい添加量の上限は50重量部、より好ましくは10重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いと硬化物物性に悪影響を及ぼす場合がある。
また、これらのカルボン酸類及び/あるいは酸無水物類は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
本発明の組成物には特性を改質する等の目的で、種々の熱硬化性樹脂を添加することも可能である。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、シアネートエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、ビスマレイミド樹脂等が例示されるがこれに限定されるものではない。これらのうち、接着性等の実用特性に優れるという観点から、エポキシ樹脂が好ましい。
エポキシ樹脂としては、例えば、ノボラックフェノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、2,2’−ビス(4−グリシジルオキシシクロヘキシル)プロパン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカーボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−5,5−スピロ−(3,4−エポキシシクロヘキサン)−1,3−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート、1,2−シクロプロパンジカルボン酸ビスグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート等のエポキシ樹脂を、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、水素化メチルナジック酸無水物等の脂肪族酸無水物で硬化させるものが挙げられる。これらのエポキシ樹脂あるいは硬化剤はそれぞれ単独で用いても、複数のものを組み合わせてもよい。
熱硬化性樹脂の添加量としては特に限定はないが、好ましい使用量の下限は硬化性組成物全体の5重量%、より好ましくは10重量%であり、好ましい使用量の上限は硬化性組成物中の50重量%、より好ましくは30重量%である。添加量が少ないと、接着性等目的とする効果が得られにくいし、添加量が多いと脆くなりやすい。
これらの熱硬化性樹脂は単独で用いても、複数のものを組み合わせてもよい。
熱硬化樹脂は樹脂原料及び/あるいは硬化させたものを、(D)成分及び/あるいは(E)成分に溶かして均一な状態として混合してもよいし、粉砕して粒子状態で混合してもよいし、溶媒に溶かして混合する等して分散状態としてもよい。得られる硬化物がより透明になりやすいという点においては、(D)成分及び/あるいは(E)成分に溶かして均一な状態として混合することが好ましい。この場合も、熱硬化性樹脂を(D)成分及び/あるいは(E)成分に直接溶解させてもよいし、溶媒等を用いて均一に混合してもよいし、その後溶媒を除いて均一な分散状態及び/あるいは混合状態としてもよい。
熱硬化性樹脂を分散させて用いる場合は、平均粒子径は種々設定できるが、好ましい平均粒子径の下限は10nmであり、好ましい平均粒子径の上限は10μmである。粒子系の分布はあってもよく、単一分散であっても複数のピーク粒径を持っていてもよいが、硬化性組成物の粘度が低く成形性が良好となりやすいという観点からは粒子径の変動係数が10%以下であることが好ましい。
本発明の組成物には特性を改質する等の目的で、種々の熱可塑性樹脂を添加することも可能である。熱可塑性樹脂としては種々のものを用いることができるが、例えば、メチルメタクリレートの単独重合体あるいはメチルメタクリレートと他モノマーとのランダム、ブロック、あるいはグラフト重合体等のポリメチルメタクリレート系樹脂(例えば日立化成社製オプトレッツ等)、ブチルアクリレートの単独重合体あるいはブチルアクリレートと他モノマーとのランダム、ブロック、あるいはグラフト重合体等のポリブチルアクリレート系樹脂等に代表されるアクリル系樹脂、ビスフェノールA、3,3,5−トリメチルシクロヘキシリデンビスフェノール等をモノマー構造として含有するポリカーボネート樹脂等のポリカーボネート系樹脂(例えば帝人社製APEC等)、ノルボルネン誘導体、ビニルモノマー等を単独あるいは共重合した樹脂、ノルボルネン誘導体を開環メタセシス重合させた樹脂、あるいはその水素添加物等のシクロオレフィン系樹脂(例えば、三井化学社製APEL(登録商標)、日本ゼオン社製ZEONOR(登録商標)、ZEONEX(登録商標)、JSR社製ARTON(登録商標)等)、エチレンとマレイミドの共重合体等のオレフィン−マレイミド系樹脂(例えば東ソー社製TI−PAS(登録商標)等)、ビスフェノールA、ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン等のビスフェノール類やジエチレングリコール等のジオール類とテレフタル酸、イソフタル酸、等のフタル酸類や脂肪族ジカルボン酸類を重縮合させたポリエステル等のポリエステル系樹脂(例えば鐘紡社製O−PET(登録商標)等)、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等の他、天然ゴム、EPDMといったゴム状樹脂が例示されるがこれに限定されるものではない。
熱可塑性樹脂としては、分子中にSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合及び/あるいはSiH基を有していてもよい。得られる硬化物がより強靭となりやすいという点においては、分子中にSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合及び/あるいはSiH基を平均して1分子中に1個以上有していることが好ましい。
熱可塑性樹脂としてはその他の架橋性基を有していてもよい。この場合の架橋性基としては、エポキシ基、アミノ基、ラジカル重合性不飽和基、カルボキシル基、イソシアネート基、ヒドロキシル基、アルコキシシリル基等が挙げられる。得られる硬化物の耐熱性が高くなりやすいという点においては、架橋性基を平均して1分子中に1個以上有していることが好ましい。
熱可塑製樹脂の分子量としては、特に限定はないが、(D)成分や(E)成分との相溶性が良好となりやすいという点においては、数平均分子量が10000以下であることが好ましく、5000以下であることがより好ましい。逆に、得られる硬化物が強靭となりやすいという点においては、数平均分子量が10000以上であることが好ましく、100000以上であることがより好ましい。分子量分布についても特に限定はないが、混合物の粘度が低くなり成形性が良好となりやすいという点においては、分子量分布が3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましく、1.5以下であることがさらに好ましい。
熱可塑性樹脂の配合量としては特に限定はないが、好ましい使用量の下限は硬化性組成物全体の5重量%、より好ましくは10重量%であり、好ましい使用量の上限は硬化性組成物中の50重量%、より好ましくは30重量%である。添加量が少ないと得られる硬化物が脆くなりやすいし、多いと耐熱性(高温での弾性率)が低くなりやすい。
熱可塑性樹脂としては単一のものを用いてもよいし、複数のものを組み合わせて用いてもよい。
熱可塑性樹脂は(D)成分及び/あるいは(E)成分に溶かして均一な状態として混合してもよいし、粉砕して粒子状態で混合してもよいし、溶媒に溶かして混合する等して分散状態としてもよい。得られる硬化物がより透明になりやすいという点においては、(D)成分及び/あるいは(E)成分に溶かして均一な状態として混合することが好ましい。この場合も、熱可塑性樹脂を(D)成分及び/あるいは(E)成分に直接溶解させてもよいし、溶媒等を用いて均一に混合してもよいし、その後溶媒を除いて均一な分散状態及び/あるいは混合状態としてもよい。
熱可塑性樹脂を分散させて用いる場合は、平均粒子径は種々設定できるが、好ましい平均粒子径の下限は10nmであり、好ましい平均粒子径の上限は10μmである。粒子系の分布はあってもよく、単一分散であっても複数のピーク粒径を持っていてもよいが、硬化性組成物の粘度が低く成形性が良好となりやすいという観点からは粒子径の変動係数が10%以下であることが好ましい。
本発明の組成物には充填材を添加してもよい。
充填材としては各種のものが用いられるが、例えば、石英、ヒュームシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、溶融シリカ、結晶性シリカ、超微粉無定型シリカ等のシリカ系充填材、窒化ケイ素、銀粉、アルミナ、水酸化アルミニウム、酸化チタン、ガラス繊維、炭素繊維、マイカ、カーボンブラック、グラファイト、ケイソウ土、白土、クレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、無機バルーン等の無機充填材をはじめとして、エポキシ系等の従来の封止材の充填材として一般に使用及び/あるいは提案されている充填材等を挙げることができる。
充填材としては、封止する半導体や電子材料へダメージを与え難いという観点からは、低放射線性であることが好ましい。
充填材は適宜表面処理してもよい。表面処理としては、アルキル化処理、トリメチルシリル化処理、シリコーン処理、カップリング剤による処理等が挙げられる。
この場合のカップリング剤の例としては、シランカップリング剤が挙げられる。シランカップリング剤としては、分子中に有機基と反応性のある官能基と加水分解性のケイ素基を各々少なくとも1個有する化合物であれば特に限定されない。有機基と反応性のある基としては、取扱い性の点からエポキシ基、メタクリル基、アクリル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ビニル基、カルバメート基から選ばれる少なくとも1個の官能基が好ましく、硬化性及び接着性の点から、エポキシ基、メタクリル基、アクリル基が特に好ましい。加水分解性のケイ素基としては取扱い性の点からアルコキシシリル基が好ましく、反応性の点からメトキシシリル基、エトキシシリル基が特に好ましい。
好ましいシランカップリング剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ官能基を有するアルコキシシラン類:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシラン等のメタクリル基あるいはアクリル基を有するアルコキシシラン類が例示できる。
その他にも充填材を添加する方法が挙げられる。例えばアルコキシシラン、アシロキシシラン、ハロゲン化シラン等の加水分解性シランモノマーあるいはオリゴマーや、チタン、アルミニウム等の金属のアルコキシド、アシロキシド、ハロゲン化物等を、本発明の組成物に添加して、組成物中あるいは組成物の部分反応物中で反応させ、組成物中で充填材を生成させる方法も挙げることができる。
以上のような充填材のうち硬化反応を阻害し難く、線膨張係数の低減化効果が大きいという観点からは、シリカ系充填材が好ましい。
充填材の平均粒径としては、封止材の狭い隙間への浸透性が良好となりやすいという点においては、10μm以下であることが好ましく、5μm以下であることがより好ましい。
充填材の粒径50μm以上の粒子の割合としては、封止材の狭い隙間への浸透性が良好となりやすいという点においては、1重量%以下であることが好ましく、0.1重量%以下であることがより好ましい。
充填材の粒径分布については、エポキシ系等の従来の封止材の充填材として使用及び/あるいは提案されているものをはじめ、各種設定できる。例えば、24μm以上の粒子が15重量%以上かつ1μm以下の粒子が3重量%以上となるようにしてもよい。
充填材の平均粒子径、充填材の粒径50μm以上の粒子の割合はレーザー法マイクロトラック粒度分析計を用いて測定することができる。
充填材の比表面積についても、エポキシ系等の従来の封止材の充填材として使用及び/あるいは提案されているものをはじめ、各種設定できる。例えば、4m/g以上、4m/g以下、10m/g以下等、任意に設定できる。
比表面積はBET法モノソーブ比表面積測定装置によって測定できる。
充填材のガラス化率についても、エポキシ系等の従来の封止材の充填材として使用及び/あるいは提案されているものをはじめ、各種設定できる。例えば、97%以上等、任意に設定できる。
充填材の形状としては、封止材の粘度が低くなりやすい観点からは、球状の充填材であることが好ましい。
充填材は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
充填材の添加量はとくに限定されないが、線膨張係数の低減化効果が高く、かつ組成物の流動性が良好であるという観点から、好ましい添加量の下限は全組成物中の30重量%、より好ましくは50重量%であり、好ましい添加量の上限は全組成物中の80重量%、より好ましくは70重量%である。
充填材の混合の方法としては、各種方法をとることができるが、組成物の中間原料の貯蔵安定性が良好になりやすいという点においては、(E)成分にヒドロシリル化触媒および充填材を混合したものと、(D)成分を混合する方法が好ましい。(D)成分にヒドロシリル化触媒及び/あるいは充填材を混合したものに(E)成分を混合する方法をとる場合は、ヒドロシリル化触媒存在下あるいは非存在下において(B)成分が環境中の水分及び/あるいは充填材のと反応性を有するため、貯蔵中等に変質することもある。
本発明の組成物には老化防止剤を添加してもよい。老化防止剤としては、一般に用いられている老化防止剤、たとえばクエン酸やリン酸、硫黄系老化防止剤等が挙げられる。硫黄系老化防止剤としては、メルカプタン類、メルカプタンの塩類、スルフィドカルボン酸エステル類や、ヒンダードフェノール系スルフィド類を含むスルフィド類、ポリスルフィド類、ジチオカルボン酸塩類、チオウレア類、チオホスフェイト類、スルホニウム化合物、チオアルデヒド類、チオケトン類、メルカプタール類、メルカプトール類、モノチオ酸類、ポリチオ酸類、チオアミド類、スルホキシド類等が挙げられる。
また、これらの老化防止剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
本発明の組成物にはラジカル禁止剤を添加してもよい。ラジカル禁止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−3−メチルフェノール(BHT)、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、テトラキス(メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン等のフェノール系ラジカル禁止剤や、フェニル−β−ナフチルアミン、α−ナフチルアミン、N,N’−第二ブチル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン等のアミン系ラジカル禁止剤等が挙げられる。
また、これらのラジカル禁止剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
本発明の組成物には紫外線吸収剤を添加してもよい。紫外線吸収剤としては、例えば2(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジン)セバケート等が挙げられる。
また、これらの紫外線吸収剤は単独で使用してもよく、2種以上併用してもよい。
本発明の組成物には、その他、エポキシ系等の従来の封止材の充填材として使用及び/あるいは提案されているものをはじめ、着色剤、離型剤、難燃剤、難燃助剤、界面活性剤、消泡剤、乳化剤、レベリング剤、はじき防止剤、イオントラップ剤、チクソ性付与剤、粘着性付与剤、保存安定改良剤、オゾン劣化防止剤、光安定剤、増粘剤、可塑剤、反応性希釈剤、酸化防止剤、熱安定化剤、導電性付与剤、帯電防止剤、放射線遮断剤、核剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、金属不活性化剤、熱伝導性付与剤、物性調整剤等を本発明の目的および効果を損なわない範囲において添加することができる。
本発明の組成物は溶剤に溶解して用いることも可能である。使用できる溶剤は特に限定されるものではなく、具体的に例示すれば、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒を好適に用いることができる。
溶媒としては、トルエン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、クロロホルムが好ましい。
使用する溶媒量は適宜設定できるが、用いる硬化性組成物1gに対しての好ましい使用量の下限は0.1mLであり、好ましい使用量の上限は10mLである。使用量が少ないと、低粘度化等の溶媒を用いることの効果が得られにくく、また、使用量が多いと、材料に溶剤が残留して熱クラック等の問題となり易く、またコスト的にも不利になり工業的利用価値が低下する。
これらの、溶媒は単独で使用してもよく、2種類以上の混合溶媒として用いることもできる。
本発明の組成物は、あらかじめ混合し組成物中のSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合とSiH基の一部または全部およびを反応させることによって硬化させて用いることができる。
組成物を反応させて硬化させる場合において、(D)、(E)各成分の必要量を一度に混合して反応させてもよいが、一部を混合して反応させた後残量を混合してさらに反応させる方法や、混合した後反応条件の制御や置換基の反応性の差の利用により組成物中の官能基の一部のみを反応(Bステージ化)させてから成形等の処理を行いさらに硬化させる方法をとることもできる。これらの方法によれば成形時の粘度調整が容易となる。
硬化させる方法としては、単に混合するだけで反応させることもできるし、加熱して反応させることもできる。反応が速く、一般に耐熱性の高い材料が得られやすいという観点から加熱して反応させる方法が好ましい。
硬化温度としては種々設定できるが、好ましい温度の下限は30℃、より好ましくは100℃であり、好ましい温度の上限は300℃、より好ましくは200℃である。反応温度が低いと十分に反応させるための反応時間が長くなり、反応温度が高いと成形加工が困難となりやすい。
硬化は一定の温度で行ってもよいが、必要に応じて多段階あるいは連続的に温度を変化させてもよい。一定の温度で行うより多段階的あるいは連続的に温度を上昇させながら反応させた方が歪のない均一な硬化物が得られやすいという点において好ましい。
本発明の硬化性組成物あるいは硬化物は種々の用途に用いることができる。
例えば光学材料、電子材料の他、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が使用される一般の用途が挙げられ、例えば、接着剤、塗料、コーティング剤、成形材料(シート、フィルム、FRP等を含む)、絶縁材料(プリント基板、電線被覆等を含む)、封止剤の他、他樹脂等への添加剤等が挙げられる。
本発明で言う光学材料とは、可視光、赤外線、紫外線、X線、レーザー等の光をその材料中を通過させる用途に用いる材料一般を示す。
例えば、カラーフィルター保護膜、TFT平坦化膜、基板材料のような液晶表示装置に用いられる材料や、封止剤、ダイボンド剤等の発光ダイオード(LED)に用いられる材料が挙げられる。
さらに、液晶ディスプレイ分野における基板材料、導光板、プリズムシート、偏向板、位相差板、視野角補正フィルム、偏光子保護フィルム、カラーフィルター等やそれらに用いられる各種コーティング剤、保護膜、封止剤、接着剤等も挙げられる。
また、LED表示装置に使用されるLED素子のモールド剤、LEDの封止剤、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料やそれらに用いられる各種コーティング剤、保護膜、封止剤、接着剤等も挙げられる。
また、カラーPDP(プラズマディスプレイ)の反射防止フィルム、光学補正フィルム、ハウジング材、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料等やそれらに用いられる各種コーティング剤、保護膜、封止剤、接着剤等も挙げられる。また、プラズマアドレス液晶(PALC)ディスプレイにおける基板材料、導光板、プリズムシート、偏向板、位相差板、視野角補正フィルム、偏光子保護フィルムやそれらに用いられる各種コーティング剤、保護膜、封止剤、接着剤等も挙げられる。また、有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイにおける前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料やそれらに用いられる各種コーティング剤、保護膜、封止剤、接着剤等も挙げられる。また、フィールドエミッションディスプレイ(FED)における各種フィルム基板、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料やそれらに用いられる各種コーティング剤、保護膜、封止剤、接着剤等も挙げられる。
その他、光記録分野では、VD(ビデオディスク)、CD/CD−ROM、CD−R/RW、DVD−R/DVD−RAM、MO/MD、PD(相変化ディスク)、光カード用のディスク基板材料、ピックアップレンズ、保護フィルムやそれらに用いられる各種コーティング剤、保護膜、封止剤、接着剤等も挙げられる。
光学機器分野では、スチールカメラのレンズ用材料、ファインダプリズム、ターゲットプリズム、ファインダーカバー、受光センサー部やそれらに用いられる各種コーティング剤、保護膜、封止剤、接着剤等も挙げられる。また、ビデオカメラの撮影レンズ、ファインダーやそれらに用いられる各種コーティング剤、保護膜、封止剤、接着剤等も挙げられる。また、プロジェクションテレビの投射レンズ、保護フィルムやそれらに用いられる各種コーティング剤、保護膜、封止剤、接着剤等も挙げられる。光センシング機器のレンズ用材料、各種フィルムやそれらに用いられる各種コーティング剤、保護膜、封止剤、接着剤等も挙げられる。
光部品分野では、光通信システムでの光スイッチ周辺のファイバー材料、レンズ、導波路、素子やそれらに用いられる各種コーティング剤、保護膜、封止剤、接着剤等も挙げられる。光コネクタ周辺の光ファイバー材料、フェルールやそれらに用いられる各種コーティング剤、保護膜、封止剤、接着剤等も挙げられる。光受動部品、光回路部品ではレンズ、導波路やそれらに用いられる各種コーティング剤、保護膜、封止剤、接着剤等も挙げられる。光電子集積回路(OEIC)周辺の基板材料、ファイバー材料やそれらに用いられる各種コーティング剤、保護膜、封止剤、接着剤等も挙げられる。
光ファイバー分野では、装飾ディスプレイ用照明・ライトガイド等、工業用途のセンサー類、表示・標識類等、また通信インフラ用及び家庭内のデジタル機器接続用の光ファイバーやそれらに用いられる各種コーティング剤、保護膜、封止剤、接着剤等も挙げられる。
半導体集積回路周辺材料では、LSI、超LSI材料用のマイクロリソグラフィー用のレジスト材料も挙げられる。
自動車・輸送機分野では、自動車用ヘッドランプ・テールランプ・室内ランプ等のランプ材料、ランプリフレクタ、ランプレンズ、外装板・インテリアパネル等の各種内外装品、ガラス代替品やそれらに用いられる各種コーティング剤、保護膜、封止剤、接着剤等も挙げられる。また、鉄道車輌用の外装部品、ガラス代替品やそれらに用いられる各種コーティング剤、保護膜、封止剤、接着剤等も挙げられる。また、航空機の外装部品、ガラス代替品やそれらに用いられる各種コーティング剤、保護膜、封止剤、接着剤等も挙げられる。
建築分野では、ガラス中間膜、ガラス代替品、太陽電池周辺材料やそれらに用いられる各種コーティング剤、保護膜、封止剤、接着剤等も挙げられる。
農業用では、ハウス被覆用フィルムも挙げられる。
次世代の光・電子機能有機材料としては、有機EL素子周辺材料、有機フォトリフラクティブ素子、光−光変換デバイスである光増幅素子、光演算素子、有機太陽電池周辺の基板材料、ファイバー材料、素子の封止剤やそれらに用いられる各種コーティング剤、保護膜、封止剤、接着剤等も挙げられる。
本発明で言う電子材料とは、電気・電子用途一般に用いられる材料であり、例えば、半導体周辺材料、回路基板周辺材料、液晶等の表示装置周辺材料、各種電池周辺材料等の他、有機EL(エレクトロルミネッセンス)周辺材料、光通信、光回路周辺材料、光記録周辺材料等も含む。
半導体周辺材料としては、半導体前工程に使用される層間絶縁膜、レジスト、パッシベーション膜、ジャンクションコート膜、バッファコート膜等の各種保護膜、半導体後工程に使用されるダイボンド剤、ダイボンドフィルム、アンダーフィル、異方導電性接着剤(ACP)、異方導電性フィルム(ACF)、ダイオード・水晶振動子等の接続等に用いられる導電性接着剤、熱伝導性接着剤、封止剤の他、仮止め、固定用フィルム等が挙げられる。この場合半導体とは各種のものを含み、例えば、トランジスタ、ダイオード等の素子、半導体レーザー、発光ダイオード等の発光素子、光センサー等の受光素子、太陽電池、メモリー、論理回路等のIC、LSI等が挙げられる。具体的には、コンデンサ、トランジスタ、ダイオード、発光ダイオード、IC、LSI、センサー等のダイボンド剤やポッティング、ディッピング、トランスファーモールド、コーティング、スクリーン印刷等による封止剤、IC、LSI類のCOB、COF、TAB等といったポッティング封止剤、フリップチップ等のアンダーフィル、BGA、CSP等のICパッケージ類実装時の封止剤(補強用アンダーフィル)、スタックドIC用のダイボンドフィルム、ウェハレベルCSP用の封止剤、ハンダ代替接続材料等を挙げることができる。
回路基板周辺材料としては、例えば、片面・両面・多層のリジッドプリント基板・フレキシブルプリント基板材料・ビルドアップ基板や樹脂付き銅箔の層間絶縁材、基板と銅箔の接着剤、レジスト、ビアホールの穴埋め剤、基板の保護コーティング剤、基板と素子や基板と基板や基板とケーブル等の接点保護(コーティング)剤、ソルダーレジスト等が挙げられる。基板の用途としてもマザーボード用、BGA・CSP・MCM等のインターポーザー用の他、可動部分等の接続用や液晶接続用等の周辺部品も含まれる。また、メンブレンスイッチ等に用いられる導電ペーストも挙げられる。
液晶等の表示装置周辺材料としては、例えば、基板材料、導光板、プリズムシート、偏向板、位相差板、視野角補正フィルム、接着剤、偏光子保護フィルム、反射防止フィルム、カラーフィルター、ブラックマトリックス、カラーフィルタ保護膜(平坦化膜)、TFTの保護膜(平坦化膜)等の液晶用フィルム、コーティング剤、接着剤等が挙げられる。また、次世代フラットパネルディスプレイとして期待されるカラーPDP(プラズマディスプレイ)の封止剤、反射防止フィルム、光学補正フィルム、ハウジング材、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤が挙げられる。さらに、発光ダイオード表示装置に使用される発光素子のモールド材、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤等が挙げれれる。その他、プラズマアドレス液晶(PALC)ディスプレイにおける基板材料、導光板、プリズムシート、偏向板、位相差板、視野角補正フィルム、接着剤、偏光子保護フィルム、フィールドエミッションディスプレイ(FED)における各種フィルム基板、前面ガラスの保護フィルム、前面ガラス代替材料、接着剤等が挙げられる。
各種電池周辺材料としては、例えば、太陽電池の基板材料、保護コーティング剤、封止剤、リチウムイオン電池、燃料電池等のセパレータ、封止剤、保護剤等が挙げられる。
有機EL(エレクトロルミネッセンス)周辺材料としては、基板材料、各種保護コーティング剤、保護フィルム、接着剤等が挙げられる。
光通信、光回路周辺材料としては、光電子集積回路、光スイッチ、光コネクタ等に用いられる基板材料、ファイバー材料、レンズ、導波路、封止剤、接着剤、フェルール等が挙げられる。
光記録周辺材料としては、VD(ビデオディスク)、CD/CD−ROM、CD−R/RW、DVD−R/DVD−RAM、MO/MD、PD(相変化ディスク)、光カード用等のディスク基板材料、ピックアップレンズ、保護フィルム、封止剤、接着剤等が挙げられる。
その他、次世代の光・電子機能有機材料として、有機EL素子周辺材料、有機フォトリフラクティブ素子、光−光変換デバイスである光増幅素子、光演算素子、有機太陽電池周辺の基板材料、ファイバー材料、素子の封止剤、接着剤等が挙げられる。
さらに自動車の電子部品周辺の保護剤、コーティング剤、封止剤、接着剤等も挙げられる。
その他、当該用途に用いられている他樹脂等への添加剤等も挙げられる。
本発明の封止剤を用いて半導体、電子部品、電子回路、あるいは電気接点を封止することができる。
半導体としては通常のシリコンをベースとしたもののみではなく、ガリウム、インジウム、ゲルマニウム、亜鉛等種々の金属をベースとしたものを含む。その他、有機半導体も含む。素子としてはトランジスタ、抵抗、ダイオード等の他、発光ダイオード、半導体レーザー等の発光素子や、各種センサー等の受光素子、さらには太陽電池等も含む。また、メモリー、論理回路などの各種IC、LSI等も含まれる。半導体の形状としても通常の平板状、ブロック状のものの他、薄膜状、ボール状のもの(ボールセミコンダクター)のもの等も含まれる。半導体大きさについても種々適用可能であり、例えば0.3mm角のような小さなものから、25mm角あるいは100mm角のような大型のものでもよい。その他半導体上に設けられたパッシベーション膜等の保護膜や、ハンダバンプ、金バンプ、アルミパッド等の接続部位等についても適宜設定できる。
電子部品としてはライバックトランス、コンデンサ等の他、自動車周辺電子部品、液晶周辺電子部品、電池周辺電子部品、有機EL(エレクトロルミネッセンス)周辺電子部品、光記録周辺電子部品等も含む。自動車周辺電子部品としては、例えば、イグニッションコイル、燃料供給等の各種電子制御用の電子部品、計器部品、照明部品等が挙げられる。液晶周辺電子部品としては、例えば、偏光子、カラーフィルター、TFTのトランジスタ、透明導電膜、液晶等の他、液晶表示装置も含まれる。電池周辺電子部品としては、例えば、太陽電池基板、リチウムイオン電池、燃料電池等が挙げられる。有機EL(エレクトロルミネッセンス)周辺電子部品としては、有機EL基板等が挙げられる。光記録周辺電子部品としては、VD(ビデオディスク)、CD/CD−ROM、CD−R/RW、DVD−R/DVD−RAM、MO/MD、PD(相変化ディスク)、光カード用等のディスク基板、発光部品、ピックアップレンズ、受光部品等が挙げられる。
電気回路としては、リジッドプリント基板、フレキシブルプリント基板、ビルドアップ基板の他光電子回路等が挙げられる。
電気接点としては基板とケーブルの接続点、ケーブルとケーブルの接続点あるいは基板同士の接続点、基板と素子の接続点、ケーブルと素子の接続点などが挙げられる。
封止する方法もエポキシ系等の従来の封止材の封止方法として使用及び/あるいは提案されているものをはじめ、種々の方法をとることができる。例えば、キャスティング、ポッティング、ディッピング、プレス、コーティング、あるいはスクリーン印刷によって封止することもできるし、トランスファーモールドなどのようにモールディング封止することもできる。また、ディスペンスした後隙間に浸透させる方法(アンダーフィル)によっても封止することができる。
封止時に必要に応じ各種処理を施すこともできる。例えば、封止時に発生するボイドの抑制のために封止剤あるいは一部反応させた封止剤を遠心、減圧などにより脱泡する処理などを適用することもできるし、封止した後に脱泡することもできる。
封止する際の圧力条件も種々設定でき、常圧、減圧、加圧いずれの方法も適用できる。アンダーフィル等隙間に浸透させる場合や、微細部位への浸透性を高めたい場合等には減圧で実施することが有効であることがある。圧力は一定でもよいし、必要に応じて経時的に連続あるいは段階的に変化させてもよい。
封止する場合の温度も種々設定できる。アンダーフィル等隙間に浸透させる場合や、微細部位への浸透性を高めたい場合等には加温状態で実施することが有効であることがある。この場合例えば、50℃〜200℃の温度が適用できる。温度は一定でもよいし、必要に応じて経時的に連続あるいは段階的に変化させてもよい。
以下に封止剤の具体的な例を挙げるが、本発明の封止剤はこれに限定されるものではない。
半導体の封止剤としては、コンデンサ、トランジスタ、ダイオード、発光ダイオード、IC、LSI、センサー等をキャスティング、ポッティング、ディッピング、トランスファーモールド、コーティング、スクリーン印刷等で封止するための封止剤が挙げられ、より具体的には発光ダイオード、IC、LSI、センサー等のCOB、COF、TABといったポッティング封止剤、フリップチップのアンダーフィル(キャピラリーフロータイプおよびコンプレッションフロータイプ)、BGA、CSP等のICパッケージ類実装時の封止剤(補強用アンダーフィル)、スタックドIC用の封止剤、ウェハレベルCSP用の封止剤等を挙げることができる。その他、半導体前工程に使用されるパッシベーション膜、ジャンクションコート膜、バッファコート膜等の各種保護膜も半導体の封止剤の例である。
電子部品の封止剤としては、偏向板、カラーフィルター、TFTのトランジスタ、透明導電膜、液晶表示装置の保護コーティング剤や、セルに充填した液晶の封止剤、太陽電池の保護コーティング剤、リチウムイオン電池や燃料電池の封止剤、有機EL(エレクトロルミネッセンス)の保護コーティング剤、光記録用光源、受光素子のコーティング剤や封止剤、さらに自動車の電子部品周辺の保護コーティング剤、封止剤も挙げられる。
電子回路の封止剤としては、リジッドプリント基板、フレキシブルプリント基板材料、ビルドアップ基板のソルダーレジスト、保護コーティング剤等が挙げられる。
電気接点の封止剤としては、基板と素子や基板と基板や基板とケーブル等の接点保護(コーティング)剤、ジャンクションコーティング剤等が挙げられる。
本発明の封止剤を用いて上記したような方法によって半導体を封止することによって半導体装置を製造することができる。この場合、本発明の封止剤を上記したような用途に使用し、通常の方法によって半導体装置を製造すればよい。
半導体装置とは、各種半導体を含む装置であり、例えば、一般にDIP、QFP、SOP、TSOP、PGA、CSP、BGA、PIレジンやセラミックやBTレジンやFR4等各種サブストレートを用いたFCBGA、QFN、COB、COF、TAB、ウェハレベルCSP、スタックドパッケージ、BCC、MCM、SIP等と称されるの各種ICパッケージや、発光ダイオード部品、光センサー部品、およびそれらが搭載された基板、モジュール等が挙げられる。
以下に、本発明の実施例及び比較例を示すが本発明は以下により限定されるものではない。
(製造例1)
内径95mmの減圧吸引可能な漏斗上に濾紙を装着し、シリカ(和光純薬株式会社製ワコーゲルC−200(登録商標))を80g充填した。ガスクロマトグラフィーによる内部標準法により定量した1,3−ジアリル尿素の含有量が2,800ppmである日本化成株式会社製トリアリルイソシアヌレート300gを減圧度を調整することにより約1滴/秒の速度で吸着濾過処理を2サイクル行なった。回収されたシリカ処理トリアリルイソシアヌレートは250gであり、ガスクロマトグラフィーによる内部標準法により定量した1,3−ジアリル尿素の含有量は90ppmであった。
(製造例2)
内径35mmの加圧濾過器にメンブレンフィルターを装着し、シリカ(和光純薬株式会社製ワコーゲルC−200(登録商標))を40g充填した。ガスクロマトグラフィーによる内部標準法により定量した1,3−ジアリル尿素の含有量が2,800ppmである日本化成株式会社製トリアリルイソシアヌレート370gを窒素圧約0.2MPaで加圧濾過を行なった。1回目の加圧濾過処理により得られたシリカ処理トリアリルイソシアヌレートは300gであり、ガスクロマトグラフィーによる内部標準法により定量した1,3−ジアリル尿素の含有量は520ppmであった。新たに内径35mmの加圧濾過器にメンブレンフィルターを装着し、シリカ(和光純薬株式会社製ワコーゲルC−200(登録商標))を40g充填し、1,3−ジアリル尿素の含有量520ppmのシリカ処理トリアリルイソシアヌレート290gを窒素圧約0.2MPaで加圧濾過を行なった。2回目の加圧濾過処理により得られたシリカ処理トリアリルイソシアヌレートは230gであり、ガスクロマトグラフィーによる内部標準法により定量した1,3−ジアリル尿素の含有量は140ppmであった。同様に新たなシリカを充填して加圧濾過処理を行ない、1,3−ジアリル尿素の含有量が30ppmであるシリカ3回処理トリアリルイソシアヌレート160gを得た。同様に新たなシリカを充填して加圧濾過処理を行ない、シリカ4回処理トリアリルイソシアヌレート80gを得た。このシリカ4回処理トリアリルイソシアヌレートからはガスクロマトグラフィー測定では1,3−ジアリル尿素が検出されなかった。これは検出感度より1,3−ジアリル尿素含量10ppm以下に相当する。
(実施例1)
2Lオートクレーブにトルエン510g、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン401gを入れ、気相部を窒素で置換した後、ジャケット温105℃で加熱、攪拌した。気相部を酸素含有量3%の窒素混合ガスで置換した後、製造例1で得た1,3−ジアリル尿素の含有量が90ppmであるトリアリルイソシアヌレート60g、トルエン90g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)0.038gの混合液を25分かけて滴下した。滴下終了直後およびその後30分間隔で気相部を酸素含有量3%の窒素混合ガスの置換と0.1MPaの加圧を行ない反応を継続させた。滴下終了から7.5時間後にH−NMRでアリル基の反応率が95%以上であることを確認し、冷却により反応を終了した。未反応の1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン及びトルエンを減圧留去し、無色透明の液体を得た。
本生成物の粘度は2.0Pa・sであった。本生成物のGPC測定をすると多峰性のクロマトグラムが得られたことから、混合物であることが示唆された。本生成物は、H−NMRの測定より、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンのSiH基の一部がトリアリルイソシアヌレートのアリル基と反応したもの(部分反応物B1とする)であり、8.6mmol/gのSiH基を含有していることがわかった。また、本生成物は混合物であるが、GC/MSより下記構造式を有する本発明の(D)成分を主成分として含有していることを確認した。23℃で18日間貯蔵した部分反応物B1は無色透明の液体であり、増粘率は20%であった。
Figure 0005192117
(実施例2)
2Lオートクレーブにトルエン510g、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン417gを入れ、気相部を窒素で置換した後、ジャケット温105℃で加熱、攪拌した。製造例2で得た1,3−ジアリル尿素の含有量が10ppm以下であるトリアリルイソシアヌレート60g、トルエン90g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)0.038gの混合液を25分かけて滴下した。滴下終了から1.5時間後にH−NMRでアリル基の反応率が95%以上であることを確認し、冷却により反応を終了した。本反応は気相部を酸素含有量3%の窒素混合ガスで置換することなしにアリル基の反応率95%以上を達成した。未反応の1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン及びトルエンを減圧留去し、無色透明の液体を得た。
本生成物の粘度は2.4Pa・sであった。本生成物のGPC測定をすると部分反応物B1と同様の多峰性のクロマトグラムが得られた。本生成物は、H−NMRの測定より、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンのSiH基の一部がトリアリルイソシアヌレートのアリル基と反応したもの(部分反応物B2とする)であり、8.6mmol/gのSiH基を含有していることがわかった。23℃で12日間貯蔵した部分反応物B2は無色透明のままであった。
(比較例1)
2Lオートクレーブにトルエン510g、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン401gを入れ、気相部を窒素で置換した後、ジャケット温105℃で加熱、攪拌した。気相部を酸素含有量3%の窒素混合ガスで置換した後、1,3−ジアリル尿素を2800ppm含有する日本化成株式会社製のトリアリルイソシアヌレート60g、トルエン90g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)0.38g(実施例1および2の10倍量)の混合液を25分かけて滴下した。滴下終了直後およびその後30分間隔で気相部を酸素含有量3%の窒素混合ガスの置換と0.1MPaの加圧を行ない反応を継続させた。滴下終了から5.5時間後にH−NMRでアリル基の反応率が95%以上であることを確認し、冷却により反応を終了した。尚、本反応では系中に酸素を導入しないと反応はほとんど停止する。未反応の1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン及びトルエンを減圧留去し、淡黄色透明の液体を得た。
本生成物の粘度は2.4Pa・sであった。本生成物のGPC測定をすると部分反応物B1と同様の多峰性のクロマトグラムが得られた。本生成物は、H−NMRの測定より、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンのSiH基の一部がトリアリルイソシアヌレートのアリル基と反応したもの(部分反応物B3とする)であり、8.6mmol/gのSiH基を含有していることがわかった。23℃で12日間貯蔵した部分反応物B3は黄色着色が進んでおり、増粘率は37%であった。
(実施例3)
製造例1で得た1,3−ジアリル尿素の含有量が90ppmであるトリアリルイソシアヌレート12g、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有)0.09g、ほう酸トリメチル0.15gを混合攪拌し、混合A液を調製した。実施例1で得た1,3−ジアリル尿素の含有量が90ppmであるトリアリルイソシアヌレートを原料の一成分として製造した部分反応物B1を18g、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.75g、1−エチニル−1−シクロヘキサノール0.09gを混合攪拌し、混合B液を調製した。混合A液と混合B液を混合し、攪拌/脱泡を行ない、一液混合物とした。該一液混合物を2枚のガラス板に3mm厚みのシリコーンゴムシートをスペーサーとして挟みこんで作製したセルに流し込み、熱風乾燥機中で、60℃/6時間、70℃/1時間、80℃/1時間、120℃/1時間、150℃/1時間加熱し、無色透明な硬質の成形体を得た。
(実施例4)
トリアリルイソシアヌレートとして製造例2で得た1,3−ジアリル尿素の含有量が10ppm以下であるトリアリルイソシアヌレート、部分反応物として実施例2で得た1,3−ジアリル尿素の含有量が10ppm以下であるトリアリルイソシアヌレートを原料の一成分として製造した部分反応物B2を用いた以外は実施例3と同様の方法で硬質の成形体を得た。得られた成形体は無色透明であった。
(比較例2)
トリアリルイソシアヌレートとして1,3−ジアリル尿素を2800ppm含有する日本化成株式会社製のトリアリルイソシアヌレート、部分反応物として1,3−ジアリル尿素を2800ppm含有する日本化成株式会社製のトリアリルイソシアヌレートを原料の一成分として製造した部分反応物B3を用いた以外は実施例3と同様の方法で硬質の成形体を得た。得られた成形体は淡黄色透明であった。

Claims (10)

  1. トリアリルイソシアヌレート(A)と1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する化合物(B)をヒドロシリル化触媒(C)の存在下に反応させることにより得られる1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する有機系化合物であって、(A)成分が1,3−ジアリル尿素の含有量が50ppm以下のトリアリルイソシアヌレートである、1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する有機系化合物であって、
    化合物(B)が、分子中に少なくとも2個のSiH基を有する鎖状及び/又は環状オルガノポリシロキサンである有機系化合物。
  2. (A)成分であるトリアリルイソシアヌレートが、700ppmを超える1,3−ジアリル尿素の含有量を精製処理によって50ppm以下に低減したトリアリルイソシアヌレートである請求項1に記載の1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する有機系化合物。
  3. (A)成分であるトリアリルイソシアヌレートが、塩基性物質を除去可能な処理剤を用いた精製処理により得られたトリアリルイソシアヌレートである請求項2に記載の1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する有機系化合物。
  4. (A)成分であるトリアリルイソシアヌレート中の1,3−ジアリル尿素の含有量が10ppm以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する有機系化合物。
  5. 請求項1〜4項のいずれか1項に記載の1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する有機系化合物(D)、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する化合物(E)を必須成分として含有する硬化性組成物であって、
    化合物(E)が、シロキサン単位(Si−O−Si)を含むシリコーン系化合物、シリコーンと有機重合体系化合物がブロック共重合体やグラフト共重合体として化学的に結合した化合物、ポリエーテル系重合体、ポリエステル系重合体、ポリアリレート系重合体、ポリカーボネート系重合体、飽和炭化水素系重合体、不飽和炭化水素系重合体、ポリアクリル酸エステル系重合体、ポリアミド系重合体、フェノール−ホルムアルデヒド系重合体、ポリイミド系重合体、芳香族炭化水素系単量体、脂肪族炭化水素系単量体、またはエーテル系単量体である硬化性組成物。
  6. 請求項1〜4項のいずれか1項に記載の1分子中に少なくとも2個のSiH基を有する有機系化合物(D)、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する化合物(E)を必須成分として含有する硬化性組成物であって、
    化合物(E)が、SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する化合物の50重量%以上が、1,3−ジアリル尿素の含有量が50ppm以下のトリアリルイソシアヌレートである硬化性組成物。
  7. (E)成分であるSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する化合物の50重量%以上が、700ppmを超える1,3−ジアリル尿素の含有量を精製処理によって50ppm以下に低減したトリアリルイソシアヌレートである請求項6に記載の硬化性組成物。
  8. (E)成分であるSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する化合物の50重量%以上が、塩基性物質を除去可能な処理剤を用いた精製処理により得られたトリアリルイソシアヌレートである請求項7に記載の硬化性組成物。
  9. (E)成分であるSiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する化合物の50重量%以上が、1,3−ジアリル尿素の含有量が10ppm以下のトリアリルイソシアヌレートである請求項6〜8のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
  10. 請求項5〜9のいずれか1項に記載の硬化性組成物を硬化させてなる硬化物。
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