JP5191531B2 - グラデーション表現を有する印刷物、及び、その印刷方法 - Google Patents
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Description
前記第1印刷層の上の一部に、前記第1の色と異なる第2の色のインキで柄を印刷した第2印刷層と、
前記第2印刷層の前記柄の全面にわたって、前記第1の色のインキで構成したグラデーション表現を形成した第3印刷層と、
を含む。
以上の構成を有するので、この印刷物は、前記第2の色のインキでグラデーション表現された柄を有する。
前記第1印刷層の前記柄の全面について前記第1の色と異なる第2の色のインキで構成したグラデーション表現を形成すると共に、前記第1印刷層の前記柄を囲む周辺部について前記第2の色のインキを印刷した第2印刷層と、
を含む。
以上の構成を有するので、この印刷物は、前記第1の色のインキでグラデーション表現された柄を有する。
前記第1印刷層の上に、前記第1の色と異なる第2の色のインキで構成される柄を有する第2版で印刷して、前記第2の色のインキで構成された柄を有する第2印刷層を形成する第2印刷ステップと、
前記第2印刷層の前記柄の上に、前記第1の色のインキで構成するグラデーション表現を有する第3版で印刷して、前記第2印刷層の前記柄の上に前記第1の色のインキで構成したグラデーション表現を積層した第3印刷層を形成する第3印刷ステップと、
を含む。
以上によって、前記第2の色のインキでグラデーション表現された柄を有する印刷物を得ることができる。
前記第1印刷層の前記柄の全面について前記第1の色と異なる第2の色のインキで構成するグラデーション表現を有すると共に、前記第1印刷層の前記柄を囲む周辺部について前記第2の色のインキを地色とした第2版で印刷して、前記第1印刷層の前記柄の上に前記第2の色のインキで構成したグラデーション表現を積層すると共に、前記第1印刷層の前記柄を囲む周辺部について前記第2の色のインキを積層した第2印刷層を形成する第2印刷ステップと、
を含む。
以上によって、第1の色のインキでグラデーション表現された柄を有する印刷物を得ることができる。
<印刷物>
図1は、実施の形態1に係るグラデーション表現を有する印刷物10の平面図である。図2は、地色である第1のインキで印刷する第1版にあたる版20の平面図である。図3は、第2の色のインキによるグラデーション表現するための柄を印刷する第2版にあたる版30の平面図である。図4は、地色である第1の色によるグラデーション表現を含む第3版にあたる版40の平面図である。図5は、図1の印刷物の変形例1を印刷するための別例の第3版にあたる版40の平面図である。また、図6は、図1の印刷物の積層構造を示す概略断面図である。図7は、図1の印刷物の変形例2の積層構造を示す概略断面図である。図1に示すように、印刷物10は、地色である第1の色が均一な周辺領域12と、周辺領域12の中で左から右に向かって第2の色の濃度が100%側から0%側に変化するグラデーション表現された柄11と、を有する。この印刷物10は、被印刷物64の上に、第1版、第2版、第3版を順に刷り重ねて形成されたものである。
物体の色がどの程度異なっているかを評価する指標として、色差が広く使われている。色差は測色計を用いて容易に求められる。一般的に、L*a*b*色空間における2点(L1*、a1*、b1*)及び(L2*、a2*、b2*)間の色差ΔEは、その座標間の距離として下記式で表される。
ΔE=((L1*−L2*)2+(a1*−a2*)2+(b1*−b2*)2)1/2)
なお、本願明細書において同じ色と表現している箇所は、ΔEが1.5以下を指し、望ましくはΔEが0.5以下である。また、グラデーション表現する第2の色に対して、下地や上に重ねる第1の色との色差は、ΔEが1.5以上であることが好ましい。
絵柄を刷る紙やフィルムなどの被印刷物64の素材については、使用するインキと適合するものであれば特に限定されない。なお、グラデーション表現のハイライト部において、インキの転移性に難がある素材の被印刷物であっても、上記のような本発明の効果が得られるので使用できる場合がある。また、インキの転移性を高めるため、被印刷物64の表面にコロナ処理による改質や、受容層や易接着層を設けるなどの表面処理がされていても構わない。
印刷に当たっては印刷方式に合ったインキを用いるのが望ましい。それぞれの印刷方式に合ったインキを用いることで印刷適性が発揮されるため印刷品質面で好ましい結果が得られる。例えば、凹版印刷では凹版用インキを用いることが好ましく、孔版印刷では孔版印刷用インキを用いることが好ましい。
次に、実施の形態1に係る印刷物の印刷方法について説明する。印刷は、被印刷物64の上に第1版、第2版、第3版の順に刷り重ねて行う。つまり、意匠としては最後に第3版で印刷した側から見ることになる。
(a)被印刷物64の上に、地色である第1の色のインキが加飾部全面にわたる第1版から印刷して、第1の色のインキが加飾部全面にわたる第1印刷層63を形成する。
(b)第1印刷層63の上に、第1の色と異なる第2の色のインキで構成された柄を有する第2版から印刷して、第2の色のインキで構成された柄を有する第2印刷層62を形成する。
(c)第2印刷層62の柄の上に、第1の色のインキで構成したグラデーションを有する第3版かで印刷して、第1の色のインキで構成したグラデーションを有する第3印刷層61を形成する。
以上の各工程によって、第2の色のインキでグラデーション表現された柄を有する印刷物を得ることができる。
図2は、地色である第1の色のインキで印刷する第1版のみの版20の平面図である。第1版では、領域21と領域22の両方にセル(ないし孔)を形成する。つまり、図2の黒く塗った領域には第1の色のインキによって画線部が形成されている。この場合、セルの形状は一定の大きさのものが使用される。なお、領域21を囲む白の点線部分はその形状に沿った画線部が形成されていない部分ではなく、その上に柄が形成される位置であるため、その位置関係を明らかにするための補助的な表示である。また、領域21は網点を形成せずに0%としてもよい。つまり、その上に柄が形成される領域21については第1の色のインキによる印刷を行わなくともよい。
図3は、第2の色のインキによるグラデーション表現するための柄を印刷する第2版のみの版30の平面図である。第2版では、画線部としてセルを形成する領域は、柄又はパターンを形成する領域31の部分となる。一方、領域32にはセルを形成しない。つまり、図3の黒く塗った領域31のみに網点が形成されている。なお、領域32を囲む点線部分はその形状に沿った画線部ではなく、他の版との位置関係を明らかにするための補助的な表示である。また、従来の方法であれば、グラデーションを掛けるパターン部に形成する網点の大きさは、その濃度変化に合わせて網点の大きさを変化させる。
しかし、本発明では、グラデーションを掛ける柄又はパターンの網点の大きさを変化させず、第2版の柄又はパターンのある部分全体において網点の大きさを一定としている。
図4は、地色である第1の色によるグラデーション表現を含む第3版のみの版40の平面図である。第3版では、第2版の柄又はパターンの位置に対応する領域41、周辺領域42ともにセルを形成する。このとき、領域41については、再現したいグラデーション表現の濃度変化に応じて第1の色のインキによる網点71、72、73の大きさを変化させる(図8(a)〜(c))。網点の大きさの変化については、図1の領域11の第2の色のインキの一番濃度の濃いシャドウ部にあたる部分を、図4の領域41の第1の色のインキのハイライト部分に対応させる。逆に図1の領域11の第2の色のインキの一番濃度の薄いハイライト部にあたる部分を、図4の領域41の第1の色のインキのシャドウ部に対応させる。つまり、図1の領域11での第2の色のインキ濃度を「ポジ」とすれば、図4の領域41の第1の色のインキによる網点によって再現する濃度は「ネガ」の関係になる。
また、グラデーション柄の乗っていない地色の濃度が乗算されることで、地色とパターンとのコントラストが強まり、パターンの鮮明さを強めることもできる。
上記の第1版、第2版、及び第3版の各版は、通常の製版方式で作成できる。凹版の製版について述べると、版となるシリンダーの表面にセルを形成する方法は、大きく分けてフォトリソグラフィ方式と彫刻方式がある。
まず、フォトリソグラフィ方式とは、感光剤を塗ったシリンダーの表面にパターンを焼付け、化学処理による腐蝕でセルを形成する化学的な加工方式である。このフォトリソグラフィ式には、カメラワークの名残からのフィルムを介して絵柄を焼き付ける写真製版と、1990年に日本のシンク・ラボラトリーが開発したレーザー光線で直接焼き付けるレーザーストリーム方式の2方式があり、今日ではハンドリングの良さから後者が広く使用されている。
一方、彫刻方式とは、ダイヤモンドの針でシリンダーの表面に直接セルを刻み付けてセルを形成する物理的な加工方式である。なお、この製版方式は、1963年にドイツのHELL社が開発したヘリオクリショグラフにちなんで、ヘリオと呼ばれることもある。
なお、上記製版方式は例示であって、本発明の実施においては、製版方式による限定を受けないことはもちろんである。場合によっては、無版方式であっても印刷層を積層する工程を経れば本発明の効果を利用できる。
図5は、図1の印刷物の変形例1を印刷するための別例の第3版のみの版50の平面図である。第3版に関して、図5のように柄の領域51だけでなく、図1の領域12を印刷する周辺領域52の網点の大きさも連動させて変化させてよい。この場合にも周辺領域52の下層である第1印刷層63で地色である第1の色のインキでシャドウ部と同様の濃さで均一に印刷されているので、第3印刷層61における周辺領域52のグラデーションは印刷物としては影響しない。その一方、ヘアラインのように、特に領域11にあたる部分が狭い柄やパターンの場合に各版の高精度な位置合わせを必要としないという効果が得られるため有効である。
図7は、図1の印刷物の変形例2の積層構造を示す概略断面図である。変形例2の印刷物では、第3版による印刷時に柄の周辺領域42には絵柄を形成しない(図7の点線部分)。つまり、柄の上にのみ第1の色のインキによるグラデーション表現41を積層するが、柄以外の周辺領域42には第1のインキによる印刷を行わない。この場合にも第1版による第1印刷層63によって地色である第1の色のインキが均一に印刷されているので、実施の形態1と同様の効果を奏することができる。すなわち、第1版の第1の色のインキによる柄の周辺領域22の均一な地色によって、第1の色の大きな網点71が「ネガ」として作用する。そのため、第2の色のインキ単独の網点では通常では表現できないほど小さな網点も第1の色の大きな網点71の印刷されない部分から見える第2の色の小さな面積として表現可能である。
<印刷物>
図9は、実施の形態2に係るグラデーション表現を有する印刷物の各印刷層ごとの積層構造を示す概略断面図である。図10は、第1の色のインキによるグラデーション表現するための柄を形成する第1版のみの版30の平面図である。図11は、地色である第2の色によるグラデーション表現を含む第2版のみの版40の平面図である。
実施の形態2に係る印刷物では、実施の形態1に係る印刷物と比較すると、実施の形態1における地色である第1の色のインキで加飾部全面を印刷した第1印刷層63を設けていない点で相違する。なお、実施の形態1と実施の形態2とでは、上記相違点のため、第1の色と第2の色との表現が入れ替わっている。そのため、実施の形態2では、グラデーション表現するための柄を第1の色のインキで構成し、地色を第2の色のインキで構成している。この実施の形態2の印刷物では、被印刷物64の上に、第1の色のインキで構成された柄が印刷された第1印刷層62(実施の形態1の第2印刷層62に対応)と、第1印刷層62の柄の全面にわたって、第1の色と異なる第2の色のインキで構成したグラデーション表現が形成されると共に、第1印刷層62の柄を囲む周辺部について第2の色のインキを印刷された第2印刷層61(実施の形態1の第3印刷層61に対応)と、を含む。
次に、実施の形態2に係る印刷物の印刷方法について説明する。印刷は、被印刷物64の上に第1版、第2版の順に刷り重ねて行う。実施の形態2に係る印刷物の印刷方法では、実施の形態1に係る印刷物の印刷方法と比較すると、実施の形態1における地色である第1の色のインキで加飾部全面を印刷した第1印刷層63を設けるステップを含まない点で相違する。
(a)被印刷物64の上に、第1の色のインキで構成される柄を有する第1版で印刷して、第1の色のインキで構成された柄を有する第1印刷層62を形成する。
(b)第1印刷層62の柄31の全面について第1の色と異なる第2の色のインキで構成したグラデーション表現を有すると共に、第1印刷層62の柄31を囲む周辺部32について第2の色のインキを地色とする第2版で印刷して、第1印刷層62の柄の上に第2の色のインキで構成したグラデーション表現を形成すると共に、第1印刷層62の柄31を囲む周辺部32について第2の色のインキを積層した第2印刷層61を形成する。
以上の各工程によって、第1の色のインキでグラデーション表現された柄を有する印刷物を得ることができる。
11 グラデーション表現された柄の領域
12 地色の領域
20 第1版のみの画線部
21 第2版で柄を載せる領域
22 地色の領域
30 第2版のみの画線部(実施の形態2:第1版のみの画線部)
31 柄の領域
32 柄の周辺領域
40 第3版のみの画線部(実施の形態2:第2版のみの画線部)
41 第1の色のインキによるグラデーション表現(実施の形態2:第2の色のインキによるグラデーション表現)
42 地色である第1の色のインキを均一に印刷した領域
50 変形例1の第3版のみの画線部
61 第3印刷層(実施の形態2:第2印刷層)
62 第2印刷層(実施の形態2:第1印刷層)
63 第1印刷層
64 被印刷物
71、72、73 第1の色のインキによる網点
80 印刷物
81 グラデーション表現された柄
82 周辺領域
Claims (6)
- 被印刷物の上に、地色である第1の色のインキで加飾部全面にわたって印刷した第1印刷層と、
前記第1印刷層の上の一部に、前記第1の色と異なる第2の色のインキで柄を印刷した第2印刷層と、
前記第2印刷層の前記柄の全面にわたって、前記第1の色のインキで構成したグラデーション表現を形成した第3印刷層と、
を含み、前記第2の色のインキでグラデーション表現された柄を有する印刷物。 - 被印刷物の上の一部に、第1の色のインキで構成された柄を印刷した第1印刷層と、
前記第1印刷層の前記柄の全面について前記第1の色と異なる地色である第2の色のインキで構成したグラデーション表現を形成すると共に、前記第1印刷層の前記柄を囲む周辺部について前記第2の色のインキを印刷した第2印刷層と、
を含む、前記第1の色のインキでグラデーション表現された柄を有する印刷物。 - 前記グラデーション表現は、網点の大きさを変化させて濃淡を表現していることを特徴とする、請求項1又は2に記載の印刷物。
- 被印刷物の上に、地色である第1の色のインキを加飾部全面にわたる第1版で印刷して、前記第1の色のインキが加飾部全面にわたる第1印刷層を形成する第1印刷ステップと、
前記第1印刷層の上に、前記第1の色と異なる第2の色のインキで構成する柄を有する第2版で印刷して、前記第2の色のインキで構成された柄を有する第2印刷層を形成する第2印刷ステップと、
前記第2印刷層の前記柄の上に、前記第1の色のインキで構成するグラデーション表現を有する第3版で印刷して、前記第2印刷層の前記柄の上に前記第1の色のインキで構成したグラデーション表現を積層した第3印刷層を形成する第3印刷ステップと、
を含む、前記第2の色のインキでグラデーション表現された柄を有する印刷物の印刷方法。 - 被印刷物の上に、第1の色のインキで構成する柄を有する第1版で印刷して、前記第1の色のインキで構成された柄を有する第1印刷層を形成する第1印刷ステップと、
前記第1印刷層の前記柄の全面について前記第1の色と異なる地色である第2の色のインキで構成するグラデーション表現を有すると共に、前記第1印刷層の前記柄を囲む周辺部について前記第2の色のインキを地色とする第2版で印刷して、前記第1印刷層の前記柄の上に前記第2の色のインキで構成したグラデーション表現を積層すると共に、前記第1印刷層の前記柄を囲む周辺部について前記第2の色のインキを積層した第2印刷層を形成する第2印刷ステップと、
を含む、前記第1の色のインキでグラデーション表現された柄を有する印刷物の印刷方法。 - 前記グラデーション表現は、網点の大きさを変化させて濃淡を表現していることを特徴とする、請求項4又は5に記載の印刷物の印刷方法。
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