JP5190829B2 - ペットフード及びその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明に係るドライペットフードは、犬、猫等の愛玩動物すなわちペットに給餌されるものであり、水分含有量は約8〜約10重量%である。形状は特に限定されるものではなく、例えば、ペレット状、粒状、スティック状、ドーナツ状、星形、ボーン形などといった所望の形状とすることができる。また、大きさは特に制限されるものではなく、給餌するペットの種類によって適宜変えることができる。例えば、成犬用のペレット状ドライペットフードの例では、直径約5mm、長さ約20mm程度にすると、給餌が容易で嗜好性にも優れるドライペットフードとなる。
本発明に係るドライペットフードの製造に用いられる原料は生の肉類及び穀物を含み、原料には必要に応じて他の材料を添加することができる。原料に用いられる生の肉類としては、例えば、鶏肉、豚肉、牛肉、羊肉、及びそれらの内臓肉が挙げられる。また、原料に用いられる穀物としては、例えば、大豆、とうもろこし、小麦粉、米、タピオカ、馬鈴薯デンプン粉、ふすま等が挙げられる。原料には、必要に応じて、他の材料として、魚介類を加えてもよく、腸内細菌叢の改善のための補助の添加剤として、例えば、ユッカ、ビール酵母、オリゴ糖、米糠、オカラ・ビートパルプを加えてもよく、さらに、飼料用ビタミン、飼料用ミネラルを添加してもよい。
本発明においては、生の肉類及び穀物並びに必要に応じて他の材料からなる原料に、枯草菌の一種である納豆菌及び/又は納豆近縁菌が添加される。納豆近縁菌としては、納豆菌を含む一部のバチルス(Bacillus)属細菌とその近縁種(Bacillussubtilis
var.chungkookjang、Bacillus licheniformis、Bacillusmegaterium、Bacillus anthracis、Bacillus halodurans)や、Natrialbaaegyptiaca、Hydra等を挙げることができる(例えば、非特許文献1参照)。
次いで、生の肉類及び穀物並びに必要に応じて他の材料からなる原料に納豆菌及び/又は納豆近縁菌を加えたものを混合して、納豆菌及び/又は納豆近縁菌が全体にわたって均一に分散された混合物を形成する。
生成された混合物は、次に、水分含有量が測定された後、外部の熱源によって内容物を加熱することができる加熱装置を備えた断熱仕様の発酵タンクに投入される。発酵タンクは、投入された混合物が撹拌されるように回転可能なタンクであることが好ましい。発酵をより効率的に進行させるためには、発酵前の混合物の水分含有量は約40重量%〜約45重量%であることが好ましい。発酵は、外部の熱源を用いて混合物を加熱することによって混合物の温度を短時間で上昇させる強制発酵と、熱源を用いた加熱を必要としない自然発酵との2段階で行うことが好ましい。
先の工程で生成された混合物を発酵タンクに投入し、撹拌しながら、外部の熱源による加熱装置を用いて混合物を加熱する。混合物は、納豆菌及び/又は納豆近縁菌のみが増殖できる環境が整う温度まで速やかに加熱される。加熱の設定温度は、約70℃〜約80℃が好ましく、約70℃〜約75℃がより好ましい。強制発酵の時間は、約3時間〜約6時間が好ましい。このようにすることで、発酵タンク内における納豆菌及び/又は納豆近縁菌の人工的な増殖環境を速やかに構築して、次の自然発酵工程において納豆菌及び/又は納豆近縁菌を自己増殖させて自然発酵を進行させることが可能になる。混合物の温度が設定温度に近づいて、納豆菌及び/又は納豆近縁菌が増殖し始めると、発酵熱が発生する。設定温度に到達した後、加温を停止して、強制発酵を終える。
混合物の温度が所定の温度まで上昇して外部熱源による加熱を停止した後は、撹拌を止めて、発生する発酵熱による混合物の自然発酵が行われる。発酵タンクは断熱仕様であるため、自然発酵の温度は約70℃〜約80℃が維持される。自然発酵の時間は約20時間〜約23時間であることが好ましい。自然発酵が開始してから約10時間後に、約2分〜約3分間、発酵タンクを自動的に回転させることによって、混合物を撹拌し、発酵を促すことが好ましい。納豆菌及び納豆近縁菌は、増殖するときに栄養源として原料だけではなく他の微生物も分解するため、畜産の分野においては家畜や家禽の腸内細菌叢の改善に利用されている。本発明においては、上記温度で自然発酵を行うことにより、発酵タンク内で他の微生物(乳酸菌、大腸菌、酵母など)の増殖を抑制し、好気性菌である納豆菌のみを選択的に増殖させることができる。
発酵が終了した混合物は、水分含有量が測定された後、成型が行われる。本発明においては、成型は、二軸エクストルーダを用いて行われる。上述したように、二本の回転軸を有する二軸エクストルーダは、単に押し出しのみならず、加熱、加圧、混合、撹拌、混練、剪断、搬送等などの多くの機能を有し、これらの操作を連続的かつ安定的に短時間で行うことができる点が特徴である。しかしながら、二軸エクストルーダは、生の肉類を含む原料を単にそのまま成型する場合には、一軸エクストルーダと比較すれば成型に適してはいるものの、原料として含むことができる生の肉類の量には限界があった。すなわち、生の肉類をより多く含む原料を単にそのまま二軸エクストルーダで成型すると、生の肉類の筋繊維がバレル内に滞留して焼け焦げの原因となるとともに、脂肪分が溶融してノズルでの成型性を低下させるため、製品品質が劣化し、生の肉類を多く含む混合物の成型には二軸エクストルーダを用いることができなかった。
次いで、二軸エクストルーダで成型された成型物は、例えば連続式熱風乾燥機などの乾燥機に投入される。成型物は、乾燥機内において約90℃〜約100℃で約50分〜約60分加熱、乾燥されることが好ましい。乾燥後の成型物は、水分含有量が約10重量%以下であることが好ましく、約8〜約10重量%であることがより好ましい。水分含有量をこの程度とすることにより、長期保存が可能でかつ適度に柔らかく食感のよいドライペットフードが得られる。
以下に、本発明の一実施形態に係る製造方法によって製造されたドライペットフードについて、発酵前後の混合物の成分分析によって、穀物の一部が低分子化され、単糖の含有量が増加していることを示す。本実施例における成分分析は、本出願人が製造し採取した試料を用いて財団法人日本食品分析センターによって行われた。
1(1)発酵前の混合物に含まれる果糖、ブドウ糖、ショ糖、ラフィノース及びスタキオースの含有量
発酵前の混合物に含まれる果糖、ブドウ糖、ショ糖、ラフィノース及びスタキオースの含有量は、以下の手順に従い高速液体クロマトグラフを用いて測定した。
発酵前の混合物から試料を採取し、80%エタノールを加えて、沸騰水浴中で1時間かけて加熱還流抽出した。得られた抽出混合液を100mLに定容し、ろ紙を用いてろ過した後、ろ液を濃縮して乾固した。得られた乾固物に水を加えてメンブランフィルターを用いてろ過し、高速液体クロマトグラフィーの測定に供した。
機種:LC−10ADvp [株式会社 島津製作所]
検出器:蛍光分光光度計 RF−10AXL [株式会社 島津製作所]
カラム:Wakosil 5NH2 φ4.6×250mm [和光純薬工業株式会社]
カラム温度:室温
移動相:アセトニトリル:水=75:25
流量:1mL/min
注入量:5μL
蛍光励起波長:320nm
蛍光測定波長:430nm
ポストカラム:反応液;1w/v% L−アルギニン及び3w/v%ホウ酸混合溶液
反応液流量;0.7mL/min
反応温度;150℃
<ショ糖の高速液体クロマトグラフ操作条件>
機種:LC−10ADvp [株式会社 島津製作所]
検出器:示差屈折計 RID−10A [株式会社 島津製作所]
カラム:Inertsil NH2 φ3×150mm [ジーエルサイエンス株式会社]
カラム温度:室温
移動相:アセトニトリル:水=81:19
流量:0.8mL/min
注入量:5μL
<ラフィノース及びスタキオースの高速液体クロマトグラフ操作条件>
機種:LC−10ADvp [株式会社 島津製作所]
検出器:示差屈折計 RID−10A [株式会社 島津製作所]
カラム:Inertsil NH2 φ3×150mm [ジーエルサイエンス株式会社]
カラム温度:室温
移動相:アセトニトリル:水=73:27
流量:0.5mL/min
注入量:5μL
含有量=(ピーク高さ―切片)/傾き×標準溶液のファクター×定容量×希釈率/試料採取量 式(1)
ここで、分析結果として以下の式で計算される値を用いた。
ラフィノース
分析結果={A1回目+(B1回目+B2回目)/2}/2
果糖、ブドウ糖、ショ糖、スタキオース
分析結果=(1回目+2回目)/2
発酵前の混合物に含まれるデンプンの含有量は、以下の手順に従いグルコアミラーゼを用いて測定した。
発酵前の混合物から試料を採取し、50%エタノールで低分子糖を抽出洗浄し、5分間加熱糊化した後、グルコアミラーゼ(AMYLCLUCOSIDASE, Megazyme(日本バイオコン株式会社))を加えて、37℃で2時間インキュベートした。得られた混合物を200mLに定容し、ADVANTEC No.5B(東洋濾紙株式会社)を用いてろ過し、グルコースCIIテストワコーを用いて、ろ液中のブドウ糖を定量した。当該ブドウ糖の量から、以下の式によってデンプンの含有量(%)を得た。
デンプン含有量=ブドウ糖(%)×0.9 式(2)
発酵前の混合物に含まれる水分の含有量の測定は以下の手順で行った。
発酵前の混合物から試料を採取し、乾燥助剤としてケイ砂を入れた重量既知のガラス秤量皿W1(g)に試料S(g)を秤量した。強制循環式温風乾燥機を用いて、105℃で3時間、試料を乾燥させ、シリカゲルデシケーター中で放冷した後、秤量した(W3(g))。以上の測定値を用いて、以下の式によって水分の含有量(%)を得た。
水分含有量=[{(W1+S)−W3}/S]×100 式(3)
但し、水分含有量の値は、2回の測定の平均値を採用した。試料採取量は、1回目が1.5068g、2回目が3.1897gであった。
発酵前の混合物に含まれる粗タンパク質の含有量は、以下の手順によってケルダール法により測定した。
試料S(g)をケルテックチューブに採取し、分解促進剤(硫酸銅:硫酸カリウム=1:9)10g及び濃硫酸15mLを加えて1時間加熱分解した。放冷後、イオン交換水を加え、更に水酸化ナトリウム溶液を加えて過剰アルカリ条件下で水蒸気蒸留後、KJELTEC AUTO SAMPLER SYSTEM Analyzerを用い指示薬をブロムクレゾールグリーン・メチルレッド溶液として、0.05mol/L硫酸標準溶液で滴定(VmL)した。上記の測定値を用いて、以下の式によって粗タンパク質の含有量(%)を得た
式:全窒素(%)={(V-B)×F×0.0014/S}×100及び粗タンパク質(%)=全窒素(%)×K(但し、V:本試験滴定量(mL)、B:空試験滴定量(mL)、F:0.05mol/L硫酸標準溶液の力価、0.0014:0.05mol/L硫酸標準溶液1mLに対する窒素量(g)、K:窒素・タンパク質換算係数、S:試料採取量(g))により、粗タンパク質の含有量を算出した。
全窒素(%)={(V-B)×F×0.0014/S}×100 式(4)
粗タンパク質(%)=全窒素(%)×K
ここで、
V:本試験滴定量(mL)
B:空試験滴定量(mL)
F:0.05mol/L硫酸標準溶液の力価
0.0014:0.05mol/L硫酸標準溶液1mLに対する窒素量(g)
K:窒素・タンパク質換算係数
S:試料採取量(g)
但し、粗タンパク質含有量の値は、2回の測定の平均値を採用した。試料採取量は、1回目が0.8299g、2回目が1.5713gであった。
発酵前の混合物に含まれる粗脂肪の含有量は、以下の手順により測定した。
試料(S(g))を採取し、エタノール2mL及び塩酸10mLを加え、ウォーターバス中で30〜40分間分解し、エタノール10mL及びジエチルエーテル25mLを加えてマジョニア管を用いて抽出を行った。得られた抽出層に石油エーテル25mLを加えて振とう混和し、エーテル混液層と水層に分離した。得られた水層にジエチルエーテル―石油エーテル混液を加え、さらに振とうして抽出を行い、得られたエーテル混液層を先に分離したエーテル混液層と合わせて、精製を行った。得られたエーテル混液層を回収し、重量が既知の脂肪瓶(W1(g))に入れ、溶媒を留去し、105℃で1時間乾燥を行い、シリカゲルデシケーター中で放冷して秤量した(W2(g))。上記の測定値から、以下の式を用いて粗脂肪の含有量(%)を得た。
粗脂肪(%)={(W2−W1)/S}×100 式(5)
但し、粗タンパク質含有量の値は、2回の測定の平均値を採用した。試料採取量は、1回目が1.0734g、2回目が2.0126gであった。
発酵前の混合物に含まれる粗繊維の含有量は、以下の手順で測定した。
ビーカーに試料(S(g))を採取し、水150mL及び12.5%濃硫酸20mLを加えた後、200mLに定容し、沸騰後30分経過するまで加熱した。得られた混合物の上澄み液を0.045mmふるいを有したステンレス金網を用いてろ過し、ろ液が中性を示すまで洗浄し、エタノール脱水、ジエチルエーテル脱脂を経て、もとのビーカーに戻した。更に水150mL及び12.5%水酸化ナトリウム20mLを加えた後、200mLに定容し、沸騰後30分経過するまで加熱した。得られた混合物を重量既知のろ紙(W1(g))(No.5A)を用いてろ過し、ろ液が中性を示すまで洗浄し、エタノール脱水、ジエチルエーテル脱脂を経て、135℃で2時間乾燥させ、シリカゲルデシケーター中で放冷して秤量した(W2(g))。続いて、550℃で1時間、重量既知のるつぼ(W4(g))中でろ別した固体を灰化させ、シリカゲルデシケーター中で放冷し、るつぼごと秤量した(W3(g))。上記の測定値から、以下の式を用いて粗繊維の含有量(%)を得た。
粗繊維(%)=[{(W2−W1)−(W3−W4)}/S]×100 式(6)
但し、粗繊維含有量の値は、2回の測定の平均値を採用した。試料採取量は、1回目が0.8189g、2回目が1.6486gであった。
発酵前の混合物に含まれる粗灰分含有量は、直接灰化法により以下の手順で測定した。
重量既知のるつぼ(W1(g))に試料(S(g))を採取し、予備灰化を経て、550℃にて灰化を行い、シリカゲルデシケーター中で放冷して、るつぼごと秤量した(W3(g))。上記の測定値から、以下の式を用いて粗灰分の含有量(%)を得た。
粗灰分(%)={(W3−W1)/S}×100 式(7)
但し、粗繊維含有量の値は、2回の測定の平均値を採用した。試料採取量は、1回目が1.7542g、2回目が3.8741gであった。
2(1)発酵後の混合物に含まれる果糖、ブドウ糖、ショ糖、ラフィノース及びスタキオースの含有量
発酵後の混合物に含まれる果糖、ブドウ糖、ショ糖、ラフィノース及びスタキオースの含有量の測定は、発酵前の混合物に含まれる含有量の測定(上記1(1))と同じ方法で行った。但し、ショ糖及びラフィノースについては、以下の条件で高速液体クロマトグラフ操作を行った。
<ショ糖の高速液体クロマトグラフ操作条件>
機種:LC−10ADvp [株式会社 島津製作所]
検出器:示差屈折計 RID−10A [株式会社 島津製作所]
カラム:Inertsil NH2 φ3×150mm [ジーエルサイエンス株式会社]
カラム温度:室温
移動相:アセトニトリル:水=75:25
流量:1mL/min
注入量:20μL
<ラフィノースの高速液体クロマトグラフ操作条件>
機種:DX−500 [日本ダイオネクス株式会社]
検出器:パルスアンペロメトリー検出器 [日本ダイオネクス株式会社]
カラム:Carbo Pac PA1, プラスチック管 φ4.0×250mm[日本ダイオネクス株式会社]
発酵後の混合物に含まれるデンプンの含有量の測定は、発酵前の混合物に含まれるデンプンの含有量の測定(上記1(2))と同じ方法で行った。
発酵後の混合物に含まれる水分の含有量の測定は、発酵前の混合物に含まれる水分の含有量の測定(上記1(3))と同じ方法で行った。但し、水分含有量の値は、2回の測定の平均値を採用しており、試料採取量は、1回目が1.5156g、2回目が3.0937gであった。
発酵後の混合物に含まれる粗タンパク質の含有量は、発酵後の混合物に含まれる粗タンパク質の含有量の測定(上記1(4))と同じ方法で行った。但し、試料採取量は、1.5382gであった。
発酵後の混合物に含まれる粗脂肪の含有量は、発酵前の混合物に含まれる粗脂肪の含有量の測定(上記1(5))と同じ方法で行った。但し、含有量の値は、2回の測定の平均値を採用しており、試料採取量は、1回目が1.5496g、2回目が2.1104gであった。
発酵後の混合物に含まれる粗繊維の含有量は、発酵前の混合物に含まれる粗繊維の含有量の測定(上記1(6))と同じ方法で行った。但し、含有量の値は、2回の測定の平均値を採用しており、試料採取量は、1回目が0.8681g、2回目が1.6445gであった。
発酵後の混合物に含まれる粗灰分の含有量は、発酵前の混合物に含まれる粗灰分の含有量の測定(上記1(7))と同じ方法で行った。但し、含有量の値は、2回の測定の平均値を採用しており、試料採取量は、1回目が1.5547g、2回目が3.0824gであった。
(タンパク質の必須アミノ酸への分解効果)
ここでは、本発明の一実施形態に係る製造方法によって製造されたドライペットフードについて、発酵前後の混合物の成分分析によって、タンパク質の一部が分解され、犬用必須アミノ酸18種の含有比率が増加したことを示す。本実施例における成分分析は、本出願人が製造し採取した試料を用いて財団法人日本食品分析センターによって行われた。
(アミノ態窒素量の増加)
ここでは、本発明の一実施形態に係る製造方法によって製造されたドライペットフードについて、発酵前後の混合物の成分分析によって、アミノ態窒素量が増加したことを示す。総窒素量に占めるアミノ態窒素量の割合は、原料に含まれるタンパク質の分解の程度を示す指標であり、アミノ態窒素量が多い場合には、そのドライペットフードは、より低分子化されたペプチドやアミノ酸の含有比率が高く、嗜好性や消化吸収性に優れていることを意味する。本実施例における成分分析は、本出願人が製造し採取した試料を用いて財団法人日本食品分析センターによって行われた。
(嗜好性試験)
ここでは、本発明の一実施形態に係る製造方法によって製造されたドライペットフードの嗜好性を評価した。本実施例においては、実施例4に示された混合物及び方法で製造したドライペットフード(試験食A)と、ヒルズ株式会社の「サイエンスダイエット」(試験食B)とを、それぞれ29頭の飼育犬に与え、盲検法によって嗜好試験を行った。試験食は、成分内容を明記した紙小片を貼ったビニール袋に密閉し、体重別に総内容量5g、10g、30g入り小袋として風味が損なわれないように密閉分包した状態で提供した。犬への給与量は、体重5kg未満の超小型犬には試験食A及びBをそれぞれ5gずつ、体重5kg以上15kg未満の小型犬には試験食A及びBをそれぞれ10gずつ、体重15kg以上50kg未満の大型犬及び超大型犬に対しては試験食A及びBをそれぞれ30gとした。
Claims (12)
- 生の肉類と穀物とを含む原料に納豆菌及び/又は納豆近縁菌を添加し混合して生成された混合物を好気発酵させることによって製造されたドライペットフードであって、前記混合物において、生の肉類の含有量が35重量%〜55重量%であり、穀物の含有量が35重量%〜65重量%であり、好気発酵によって前記原料の穀物の少なくとも一部が単糖まで低分子化されたことを特徴とするドライペットフード。
- 水分含有量が8〜10重量%であることを特徴とする、請求項1に記載のドライペットフード。
- 生の肉類と穀物とを含む原料を納豆菌及び/又は納豆近縁菌を用いて好気発酵させることによって前記原料の穀物の少なくとも一部が単糖まで低分子化されたドライペットフードを製造する方法であって、
冷凍保存又は冷蔵保存された生の肉類と穀物とを含む原料に納豆菌及び/又は納豆近縁菌を添加し、混合前の原料の温度を概ね維持しながら混合することによって、混合物を生成する工程であって、前記混合物において、生の肉類の含有量が35重量%〜55重量%であり、穀物の含有量が35重量%〜65重量%である、混合物を生成する工程と、
発酵タンク内において、納豆菌及び/又は納豆近縁菌以外の微生物を増殖させない温度を維持しながら前記混合物を好気発酵させる工程と、
好気発酵させた前記混合物を二軸エクストルーダによって押し出し、押し出された前記混合物をカッターによって切断して、成型物を生成する工程と、
前記成型物を乾燥機によって乾燥させる工程と、
を含むことを特徴とする方法。 - 生の肉類は冷凍された塊状の生肉であり、冷凍された塊状の生肉を破砕した後に穀物と合わせて前記原料を生成する工程をさらに含むことを特徴とする、請求項3に記載の方法。
- 混合物を生成する工程はサイレントカッターを用いて行われ、前記サイレントカッターは、混合前の原料の温度と混合後の混合物の温度との差が2℃未満となるような回転数で運転されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
- 前記混合物を好気発酵させる工程は、
前記発酵タンク内の前記混合物を熱源を用いて加熱することによって前記混合物の温度を上昇させる強制発酵工程と、
前記強制発酵工程に続いて、温度が上昇した前記混合物の自然発酵により生成される発酵熱によって前記混合物の発酵を進行させる自然発酵工程と、
を含むことを特徴とする、請求項3に記載の方法。 - 前記強制発酵工程において前記熱源を用いた加熱によって前記混合物を温度が70℃〜80℃の範囲になるまで加熱した後、前記自然発酵工程において70〜80℃の範囲で自然発酵を進行させることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
- 前記外部熱源を用いた加熱は、前記発酵タンク内に設置されたバーナによって前記混合物を直接加熱することにより行われることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
- 前記自然発酵工程の時間は20〜23時間であることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
- 前記混合物を二軸エクストルーダによって押し出す工程において、押し出しの温度及び圧力は、混合物に含まれる納豆菌及び/又は納豆近縁菌以外の微生物を死滅させるのに十分な温度及び圧力に設定されることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
- 前記温度は100℃〜130℃であり、前記圧力は0.06〜0.6MPaであることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
- 前記成型物を乾燥させる工程において、乾燥後の前記混合物の水分が8〜10重量%であることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
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