JP5188239B2 - 高強度鋼管およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、衝撃曲げ靭性に優れる高強度鋼管およびその製造方法に関する。
自動車、自転車等の構造部材に使用する鋼管には高強度と高疲労特性が要求される。最近では構造部材に対する軽量化の要求が高くなり、構造用鋼管には薄肉化に伴う更なる高強度化が求められる状況にある。ただし、高強度化に必要なコスト上昇をできるだけ抑えることが強く望まれるところである。
鋼材の強化手法としては、固溶強化、変態組織強化、加工強化が挙げられる。このうち固溶強化および変態組織強化の場合には、それらの機構を効果的に生じさせるために特殊な合金成分を含有する鋼を採用することが必要となり、必然的に素材コストの上昇を伴う。この点、加工強化によれば、特殊な元素を添加することなく高強度化が可能であり、コスト上昇を抑える上で有利となる。特許文献1、2には、加工強化された素材鋼板を使用することによって電縫鋼管の高強度化を図る手法が開示されている。
特開2002−327245号公報 特開2005−29882号公報
自動車等の乗り物に使用する構造用鋼管では、高強度化が重要であるとともに、衝突時の衝撃を受けた際に、湾曲部に裂け疵が発生しにくい性質、すなわち「衝撃曲げ靭性」に優れることが望まれる。しかし従来の高強度鋼管においては、衝撃曲げ靭性を向上させることまでは十分考慮されておらず、例えば特許文献1、2には高強度を付与しながら衝撃曲げ靭性に優れたものを得る手法は開示されていない。
本発明は、強度レベルが高く、かつ衝撃曲げ靭性に優れた溶接鋼管を、安価な手法により提供しようというものである。
発明者らは詳細な検討の結果、フェライト結晶粒を十分に展伸させ繊維状の組織状態とした加工硬化鋼板を溶接造管して得られる高強度鋼管において、衝撃曲げ靭性が顕著に改善されることを見出した。
すなわち本発明では、質量%で、C:0.01〜0.2%、Si:1.5%以下、Mn:2%以下、P:0.05%以下、S:0.02%以下、酸可溶Al:0.005〜0.1%であり、必要に応じてさらにTi:0.15%以下、Nb:0.15%以下、Ni:1%以下、Cr:1%以下、Mo:0.3%以下、V:0.3%以下、Zr:0.3%以下の1種以上を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、下記(1)式により定まるフェライト結晶粒展伸度EFが5.0以上の未焼鈍冷延鋼板を圧延方向が長手方向となるように溶接造管してなる引張強さ980N/mm2以上の高強度鋼管が提供される。
F=N1/N2 ……(1)
ここで、
F:圧延板のフェライト結晶粒展伸度、
1:圧延方向および板厚方向に平行な断面(L断面)の顕微鏡視野において板厚方向の一定長さXの線分によって切断される結晶粒の数、ただし顕微鏡視野および線分の長さXはN1が10以上となるように設定する、
2:前記視野において圧延方向の前記長さXの線分によって切断される結晶粒の数
上記のN1およびN2は、JIS G0551:2005の附属書2(旧JIS G0552)の切断法に規定される測定方法に準拠して求めることができる。ただし、1本の線分で切断されるフェライト結晶粒の数を10個以上とする点については、N1の測定にのみ適用する。「未焼鈍冷延鋼板」は、冷間圧延後に焼鈍を受けていない状態の鋼板である。
この高強度鋼管は、例えば管の肉厚が0.6〜2.4mm、外径が22〜70mmである。
また、本発明では、上記の高強度鋼管の製造方法として、熱間圧延、スケール除去処理(例えば酸洗)、冷間圧延、溶接造管の工程により鋼管を製造するに際し、熱間圧延において熱延仕上げ温度を(Ar3点−20℃)〜(Ar3点+50℃)、仕上げ圧延最終パス終了後、巻取までの平均冷却速度を20〜100℃/秒、巻取温度を450〜600℃として前記(1)式により定まるフェライト結晶粒展伸度EFが2.0以上の熱延鋼板を作り、冷間圧延において圧延率を40〜80%として同フェライト結晶粒展伸度EFが5.0以上の冷延鋼板を作り、溶接造管において未焼鈍のままの冷延鋼板をその圧延方向が管の長手方向となるように造管する手法が提供される。
本発明によれば、引張強さ980N/mm2以上の高強度を有しながら、衝撃曲げ靭性を顕著に向上させた溶接鋼管を、安価な手法で安定して提供することが可能になった。この鋼管は、変態組織強化のDP鋼やTRIP鋼を素材とした電縫鋼管と比較して衝撃曲げ靭性に優れ、衝突時の衝撃を受けた際に湾曲部の側面に裂け疵が極めて発生しにくい。したがって、特に自動車や自転車などの乗り物に使用する構造部材に適している。
〔成分組成〕
本発明の高強度鋼管は加工強化の手法を採用するものであるから、特殊な元素を添加しないシンプルな成分組成とすることができる。ただし、必要に応じて種々の合金元素を選択的に含有させても構わない。以下、成分元素について説明する。成分組成における「%」は「質量%」を意味する。
Cは、鋼の高強度化に有効な元素であり、冷間圧延率を40%としたときに最終的な鋼管において引張強さ980N/mm2以上の強度レベルを得るためには、0.01%以上のC含有量を確保することが望ましい。しかし、多量のC含有は延性および溶接部の靭性を低下させる。種々検討の結果、C含有量は0.2%以下とする必要がある。
Siは、鋼の強度上昇に有効な元素であり、0.05%以上の含有量を確保することがより効果的である。ただし、1.5%を超えて多量にSiを含有させると、強度は上昇するが、冷間加工性および表面性状が劣化する。したがってSi含有量は1.5%以下とする。
Mnは、鋼の強度上昇に有効な元素である。しかし、Mn含有量が2%を超えると、添加量に伴い強度は上昇するものの、溶接性が著しく劣化する。また、Mnが多量に含まれると溶接部で焼入れ硬化が生じやすくなり、溶接部の加工性を劣化させ割れの原因にもなる。したがってMn含有量は2%以下とする。
Pは、高強度化に有効な合金元素であるが、0.05%を超えて含有させると低温靭性が劣化する。
Sは、多量に含有すると熱間加工性や冷間加工性を劣化させるが、0.02%以下の含有量であれば特に問題はない。
Alは、脱酸剤として添加される元素であり、十分な脱酸効果を得るためには酸可溶Alとして0.005%以上の添加が必要である。Al脱酸の効果は0.1%程度で飽和しそれ以上の添加は鋼材のコストの上昇を招く。したがって本発明では酸可溶Alの含有量を0.005〜0.1%の範囲とする。
Tiは、C、S、Nと析出物を形成し、析出強化により鋼材の高強度化に寄与する元素である。また、これらの析出物により溶接熱影響部の加工歪の回復が抑制されるとともに溶接加熱時の固溶、再析出により熱影響部の軟化が防止できる。このため必要に応じてTiを添加することができる。Ti添加量は0.01%以上とすることがより効果的である。ただし0.15%を超えて添加しても上記効果が飽和するとともに製造コストの上昇を招く。したがってTiを添加する場合は0.15%以下の範囲で行う。
Nbは、Tiと同様に炭化物を形成し、析出強化により鋼材の高強度化に寄与する。また、鋼板の金属組織を微細化して強度を向上させる。さらに溶接部においてはTiの効果と同様に析出物により溶接熱影響部の加工歪の回復が抑制されるとともに固溶、再析出により熱影響部の軟化が防止できる。このため必要に応じてNbを添加することができる。Nb添加量は0.01%以上とすることがより効果的である。ただし0.15%を超えて添加しても上記効果が飽和するとともに製造コストの上昇を招く。したがってNbを添加する場合は0.15%以下の範囲で行う。
Niは、高強度化と溶接部の靭性向上に有効な元素であり、必要に応じて添加することができる。その効果を十分に得るためには0.05%以上のNi含有量を確保することがより好ましい。ただし、ただし1%を超えて添加しても上記効果が飽和するとともに製造コストの上昇を招く。したがってNiを添加する場合は1%以下の範囲で行う。
Mo、Vは、TiやNbと同様に炭化物を形成し、析出強化により鋼材の高強度化に有効な元素である。さらに溶接部においてはTi、Nbの効果と同様に熱影響部の軟化防止に有効である。このためMo、Vの一方または双方を必要に応じて添加することができる。Mo、Vとも、それぞれ0.01%以上の含有量を確保することがより効果的である。ただし、過剰に添加しても上記効果が飽和するとともに製造コストの上昇を招く。またCrの多量添加は焼入れ性を高めて溶接部の加工性を劣化させる要因となる。種々検討の結果、Mo、Vを添加する場合はそれぞれ0.3%以下の範囲で行う。
Cr、Zrは、高強度化と溶接部の靭性向上に有効な元素である。このためCr、Zrの一方または双方を必要に応じて添加することができる。Crの場合は0.05%以上、Zrの場合は0.01%以上の含有量を確保することがより効果的である。ただし、過剰に添加しても上記効果が飽和するとともに製造コストの上昇を招く。またCrの多量添加は焼入れ性を高めて溶接部の加工性を劣化させる要因となる。種々検討の結果、Crを添加する場合は1%以下の範囲で行い、Zrを添加する場合は0.3%以下の範囲で行う。
〔繊維状組織〕
本発明の鋼管は、加工硬化した組織を有し、かつフェライト結晶粒が長手方向に伸びた繊維状組織を呈するものである。具体的には、前記(1)式により定まるフェライト結晶粒展伸度EFが5.0以上の未焼鈍冷延鋼板を造管用の素材として用いたものである。発明者らの検討によれば、前述の成分組成を有するとともに、このような繊維状組織を長手方向に持つ鋼管において、衝撃曲げ靭性が顕著に改善されることがわかった。なお、造管に供する未焼鈍冷延鋼板は、マトリクスがフェライト単相であるか、またはフェライト相+50体積%以下の第2相からなるものである。第2相の量が多くなりすぎるとフェライト結晶粒展伸度を5.0以上とすることによる衝撃曲げ靱性の改善効果が十分に発揮できない場合がある。第2相は、マルテンサイト、ベイナイト、パーライト等であるが、パーライトが多量に生成すると強度および衝撃曲げ靭性の低下を招くので、マトリクス中のパーライトの存在量は10体積%以下に抑えられていることが望ましい。
〔強度レベル〕
本発明の鋼管は、鋼管としての長手方向の引張強さが980N/mm2以上の高強度を有するものである。これより強度レベルが低いと自動車を初めとする各種構用鋼管として使用されている従来の鋼管の代替として使用することが難しい場合がある。この強度レベルは、熱延巻取温度、および冷間圧延率を調整することによって実現できる。
〔製造工程〕
本発明の高強度鋼管は、上記のように成分組成が調整された鋼を溶製し、熱間圧延、スケール除去処理(例えば酸洗)、冷間圧延、溶接造管の工程により製造することができる。
〔熱間圧延〕
熱間圧延工程では、熱延仕上げ温度を(Ar3点−20℃)〜(Ar3点+50℃)とする。(Ar3点−20℃)よりも低温になると熱間変形抵抗の変動が大きくなり、熱延鋼帯の板厚精度が低下しやすい。この場合、後工程での冷延鋼帯の板厚精度が低下する要因ともなる。一方、(Ar3点+50℃)より高温で熱延最終パスを通すと、動的再結晶が生じやすく、熱延板でのフェライト結晶粒の展伸度を安定して2.0以上とすることが難しくなる。
仕上げ圧延最終パス終了後、巻取までの平均冷却速度を20〜100℃/秒とする。平均冷却速度が20℃/秒未満ではパーライトが生成しやすくなり、目的とする強度および衝撃曲げ靭性を得ることが難しくなる。一方、100℃/秒を超えるとベイナイトの生成量が増大してフェライト相が少なくなり、フェライト結晶粒の展伸による本発明の効果が享受できないばかりか高強度となり冷延が困難となる。
巻取温度を450〜600℃とする。巻取温度が高くなるほど鋼材の強度レベルは低下する。特に600℃を超えるとパーライトの生成が著しくなり、強度が低下するだけでなく所定の展伸度が得られなくなって衝撃曲げ靭性の低下を招く。一方、巻取温度が450℃を下回ると変態組織強化により強度は著しく上昇するが、次工程の冷間圧延において冷間圧延率、板厚、強度のバランス調整が難しくなる。
以上の熱延条件の範囲で、前記(1)式により定まるフェライト結晶粒展伸度EFが2.0以上の熱延鋼板を作る。この段階で展伸度を2.0以上としておかないと、冷間圧延後に展伸度5.0以上を得るためには高い冷間圧延率を余儀なくされ、所望の製品板厚において展伸度5.0以上に調整することが難しくなりやすい。
〔冷間圧延〕
冷間圧延工程では、冷間圧延率を40〜80%とする。冷延率40%未満では鋼管にしたときの引張強さ980N/mm2以上を安定して得ることが難しい。また、フェライト結晶粒の展伸度を5.0以上とするうえでも不利となる。一方、冷延率が80%を超えると製造コストの増大を招き、好ましくない。
上記冷間圧延率の範囲で前記(1)式により定まるフェライト結晶粒展伸度EFが5.0以上の冷延鋼板を得る。すなわち、予め判っている製品板厚に応じて、冷間圧延率40〜80の範囲でフェライト結晶粒展伸度が5.0以上が得られるように、前記熱間圧延条件と冷間圧延率の組み合わせを設定することが重要である。この条件の組み合わせは、成分組成に応じて予め予備実験を行うことなどによって定めることができる。
〔造管〕
フェライト結晶粒展伸度が5.0以上の冷延鋼板をそのまま未焼鈍の状態で溶接造管に供する。その際、圧延方向すなわちフェライト結晶粒が伸びている方向が管の長手方向となるように造管する。造管は、所定幅の鋼帯をロールフォーミングによって円筒状に成形していき、鋼帯の両エッジ部同士を付き合わせて溶接する一般的な溶接造管方法が適用できる。溶接は高周波溶接、プラズマ溶接、TIG溶接などが挙げられるが、高周波溶接による電縫鋼管とすることが好ましい。このようにして得られた鋼管は、引張強さ980N/mm2以上の高強度を有し、かつ衝突曲げ靱性にも優れたものである。
表1に示す組成の鋼スラブを1240℃に加熱したのち抽出して熱間圧延した。熱延条件は表2に示すとおりとした。表2中「巻取までの冷却速度」は、熱延仕上げ温度、仕上げ圧延最終パス終了後、巻取までの平均冷却速度を意味する。表2中には各鋼のAr3点も示してある。次いで酸洗によりスケールを除去した後、表2に示す冷間圧延率にて冷間圧延を行った。冷延鋼板を一部の比較例を除き未焼鈍の鋼帯の状態で造管ラインに通板し、高周波溶接にて造管して肉厚1.0mm、外径31.8mmの電縫鋼管を得た。
Figure 0005188239
酸洗後の熱延鋼板および冷延鋼板(冷延後に焼鈍を行った例では焼鈍後の鋼板)からサンプルを採取し、板厚方向に垂直な断面について顕微鏡観察を行い、前述の方法で熱延鋼板および冷延鋼板のフェライト結晶粒展伸度を調べた。その際、圧延材のL断面を研磨およびエッチングし、板厚中心部近傍を観察した。
なお、本発明例のものはいずれもマトリクスはフェライト相が70体積%以上を占めており、第2相はベイナイトまたはマルテンサイトからなり、パーライトの量は10体積%以下であった。
得られた鋼管からJIS Z2201の11号引張試験片を作製し、引張試験を行い、降伏応力YSおよび引張強さTSを測定した。また、得られた鋼管について、以下の方法で落下衝突試験および低温落重試験を実施した。
〔落下衝突試験〕
鋼管から長さ800mmの試料を採取し、175kgの重錘を試料に取り付けた。その際、試料が水平になるように重錘を試料の両端付近に固定バンドにて取り付けた。固定バンドの間隔は600mmであり、2箇所の固定部には重錘の荷重が均等に掛かるようにしてある。溶接ビード位置は上端から180°の位置になるようにした。この重錘を取り付けた試料を、高さ11mの位置からガイドレールに沿って自由落下させ、R=150mmの逆U字型断面を持つ固定治具に試料中央部を衝突させた。試料の鋼管が衝突により曲がった際、重錘本体と試料とが接触しないように、重錘本体と試料の間には十分な間隔を設けてある。荷重−変位曲線の面積を測定することにより、衝突によって試料鋼管が吸収した吸収エネルギーを求めた。この吸収エネルギーが0.6kJ以上であれば、自動車等の構造部材に適した衝突吸収エネルギー(動的強度)を有していると判定される。
〔低温落重試験〕
鋼管から長さ900mmの試料を採取し、これを−30℃に冷却した後、直ちに、300mmの間隔で固定された2箇所の支持治具の上に水平に置き、114kgの重錘を落下距離300mmにて試料鋼管の支持治具間の中央位置に落下・衝突させた。支持治具はR=30mmの逆U字型断面を有し、重錘は衝突部に先端R=25mmのポンチを有している。溶接ビード位置は上端から0°の位置になるようにした。試験後、湾曲した試験片の側面に裂け疵が発生しておらず、かつ溶接部に割れが認められないものを○(衝突曲げ靭性;良好)、それ以外のものを×(衝突曲げ靭性;不良)と評価した。
これらの結果を表2に示す。
Figure 0005188239
表2からわかるように、本発明例の鋼管はフェライト結晶粒展伸度が5.0以上である冷延鋼板を素材に用いたことにより、低温落重試験において優れた衝突曲げ靭性を有することが確認された。鋼管の引張強さは980N/mm2以上、落下衝突試験による吸収エネルギーも0.6kJ以上が確保された。
これに対し、比較例No.10は熱延巻取温度が高すぎたことにより、熱延鋼板でのフェライト結晶粒展伸度が2.0未満となり、冷延鋼板での展伸度は5.0に達しなかった。その結果、強度レベル(引張強さ、衝突吸収エネルギー)は高いものの、低温落重試験では湾曲部に割れ疵が発生し、衝撃曲げ靭性に劣った。No.11は熱延仕上げ温度が高く、No.12は巻取までの冷却速度が遅すぎたことにより、いずれも強度レベルが不十分であった。No.13は冷間圧延率が低かったことにより、強度レベルに劣った。また、冷延鋼板での展伸度は5.0に達しなかったことから衝撃曲げ靭性にも劣った。No.14〜16は鋼組成が本発明規定範囲を外れており、低温落重試験では溶接部に割れが発生した。No.17は冷延後に焼鈍を行って、変態組織強化によって作り込んだ例であり、強度レベルは高いものの、繊維状組織となっていないために衝撃曲げ靭性に劣った。No.18は熱延仕上げ温度が高すぎたことにより、熱延鋼板でのフェライト結晶粒展伸度が2.0未満となり、冷延鋼板での展伸度は5.0に達しなかった。冷間圧延率60%で引張強さは960N/mm2程度となったが、衝撃曲げ靭性に劣った。

Claims (4)

  1. 質量%で、C:0.01〜0.2%、Si:1.5%以下、Mn:2%以下、P:0.05%以下、S:0.02%以下、酸可溶Al:0.005〜0.1%、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有し、下記(1)式により定まるフェライト結晶粒展伸度EFが5.0以上の未焼鈍冷延鋼板を圧延方向が長手方向となるように溶接造管してなる引張強さ980N/mm2以上の高強度鋼管。
    F=N1/N2 ……(1)
    ここで、
    F:圧延板のフェライト結晶粒展伸度、
    1:圧延方向および板厚方向に平行な断面(L断面)の顕微鏡視野において板厚方向の一定長さXの線分によって切断される結晶粒の数、ただし顕微鏡視野および線分の長さXはN1が10以上となるように設定する、
    2:前記視野において圧延方向の前記長さXの線分によって切断される結晶粒の数
  2. さらにTi:0.15%以下、Nb:0.15%以下、Ni:1%以下、Cr:1%以下、Mo:0.3%以下、V:0.3%以下、Zr:0.3%以下の1種以上を含有する組成を有する請求項1に記載の高強度鋼管。
  3. 管の肉厚が0.6〜2.4mm、外径が22〜70mmである請求項1または2に記載の高強度鋼管。
  4. 熱間圧延、スケール除去処理、冷間圧延、溶接造管の工程により鋼管を製造するに際し、熱間圧延において熱延仕上げ温度を(Ar3点−20℃)〜(Ar3点+50℃)、仕上げ圧延最終パス終了後、巻取までの平均冷却速度を20〜100℃/秒、巻取温度を450〜600℃として下記(1)式により定まるフェライト結晶粒展伸度EFが2.0以上の熱延鋼板を作り、冷間圧延において圧延率を40〜80%として同フェライト結晶粒展伸度EFが5.0以上の冷延鋼板を作り、溶接造管において未焼鈍のままの冷延鋼板をその圧延方向が管の長手方向となるように造管する請求項1〜3のいずれかに記載の高強度鋼管の製造方法。
    F=N1/N2 ……(1)
    ここで、
    F:圧延板のフェライト結晶粒展伸度、
    1:圧延方向および板厚方向に平行な断面(L断面)の顕微鏡視野において板厚方向の一定長さXの線分によって切断される結晶粒の数、ただし顕微鏡視野および線分の長さXはN1が10以上となるように設定する、
    2:前記視野において圧延方向の前記長さXの線分によって切断される結晶粒の数
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