JP5187736B2 - 薄膜堆積方法 - Google Patents

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本発明は薄膜表面からの水分、酸素を極限までに低減させるための水分子・酸素分子排出装置を用いて水濃度及び酸素濃度を極低下させたガスにより薄膜もしくは高誘電率絶縁膜を生成するための薄膜堆積方法に関する。
近年、金属・絶縁体・半導体等の固体表面、もしくは固体内部から水を脱水除去する技術開発が進行している。特に半導体や電気・電子部品等の製造においては、製造装置の装置壁面金属からの脱水はもちろん、堆積した薄膜、特に金属や絶縁体・半導体薄膜の表面、あるいは有機EL層や液晶等に付着した水分を脱水除去するのが必須となっている。これは、残留水分が薄膜の信頼性、ひいては半導体や電気・電子部品装置の信頼性に大きく影響を及ぼすためであり、そのため半導体や電気・電子部品の製造時には十分に水分量を低下させる必要があるためである。
そこで、製造環境における脱水処理が必須となっているが、通常の室温の空気中では、表面からの脱水乾燥には長時間を要するため、大気圧よりも減圧した真空下での脱水処理乾燥が広く行われている。これは、通常よりも減圧下とすることで、水蒸気の分圧を低下させ、蒸発を促進させる効果に基づく。さらには、上記真空下で部材や膜を100〜200℃程度に加熱し、水の蒸発をより活発に促し、より短時間での脱水処理が行われている。
たとえば、半導体や電気・電子部品製造装置においては、装置を大気圧から真空排気して、水のない良質な真空を実現するには、真空下で装置を100℃〜200℃に加熱し、ステンレスもしくはアルミニウム等で構成される装置内壁部に付着した水分を加熱除去し、到達する真空度を向上させる手法が用いられる。また半導体や電気・電子部品装置の製造においても、十分に到達真空度を向上させた装置内にて、薄膜堆積、熱処理、エッチング処理を行うことにより、半導体薄膜中に含まれる残留水分を極力低減させ、水分による膜の変質、酸化や信頼性の低下を防止している。また、薄膜堆積後に、当該薄膜から水分を加熱除去することなども通常行なわれている。さらには、半導体や電気・電子部品製造装置を構成する各種部品も、あらかじめ真空槽内にて加熱脱水処理を行うことにより、十分に脱水処理を施した後に装置に組み入れられる。
このように、従来は、金属や絶縁体、半導体等の固体表面および固体内部からの水分を脱水除去するためには、通常真空装置内で材料・部材を加熱していた。しかしながら、樹脂部品なども含まれるため真空装置材料固有の耐熱性限界があり、通常は100〜200℃の加熱に留まるため、十分な脱水処理が行えないなどの制約がある。また真空度も通常は最大でも10−5Pa程度の低真空中での加熱が用いられるため、十分に水分圧が低い状態での脱水ではないため、残留水分の影響を受けてしまうという制約があった。特に従来技術では、吸着剤などを用いてガス中の脱水処理を行っても、真空装置や、乾燥ガス中の水分量を1PPB以下に低下させるのは一般に困難であった。そこで、本願発明では、ガス中の水分量を1PPB以下となる極限まで乾燥した雰囲気を、新規の手法を用いて実現させ、当該雰囲気を用いて脱水処理および半導体や電気・電子部品装置の製造を行なう環境を新規に提供することが課題となる。
一方、半導体や電気・電子部品の製造においては、特に薄膜の堆積や原料の導入時に、極限まで水分を除去する必要があるが、これまでは不純物として水分量を1PPB以下にすることが不可能であり、したがって、膜中に残留水分や酸素が存在し、装置のメンテナンスサイクルが低下するなどの課題が存在する。そこで本発明では、水分量を1PPB以下に乾燥させた環境を新規に実現させ、半導体や電気・電子部品を製造する環境を実現するのが第2の課題である。
一般に使用されている不活性ガス、窒素等の産業用途のガスには、微量ではあるが不純物として酸素を含む。このことは、あらゆる分野において酸化を防ぐ目的の工程がある場合に酸素分子が問題となる場合がある。例えば、CVD、スパッタ等による金属薄膜の作成時、金属間化合物の製造時、半導体や電気・電子部品製造工程の配線処理等で問題になることがある。
そこで、本発明は、水分子・酸素分子排出装置により水の含有量を1PPB以下、酸素分圧を10−21Pa以下、好ましくは10−29Pa以下10−35Pa以上に制御した雰囲気ガスを反応室内に流入させて、反応室内の脱水脱酸素処理を行ない、超乾燥雰囲気ガスに固体を晒すことにより、薄膜表面からの脱水、脱酸素を促進し、効果的に水分子、酸素分子を除去して、薄膜中に取り込まれる水分量並びに酸素量を極限まで低減させ、更には、超乾燥雰囲気をキャリアガスにすることにより、原料中に水分が混入することを根本的に防止することができることを目的とする。
請求項1は、水分子・酸素分子排出装置によりガス中の水濃度を1PPB以下、酸素分圧を10−21Pa以下、好ましくは10−29Pa以下10−35Pa以上に制御した雰囲気ガスを反応室内に供給して該反応室内の脱水脱酸素処理を行ない水分圧を10−10Pa以下に制御する工程と、ガス中の水濃度を1PPB以下、酸素分圧を10−21Pa以下、好ましくは10−29Pa以下10−35Pa以上に制御したキャリアガス、反応ガス、プラズマ用励起ガスを前記反応室内に供給して基板上に薄膜を堆積する工程とを備える薄膜堆積方法。
請求項2は、水分子・酸素分子排出装置によりガス中の水濃度を1PPB以下、酸素分圧を10−21Pa以下、好ましくは10−29Pa以下10−35Pa以上に制御した雰囲気ガスを反応室内に供給して該反応室内の脱水脱酸素処理を行ない水分圧を10−10Pa以下に制御する工程と、ガス中の水濃度を1PPB以下、酸素分圧を10−21Pa以下、好ましくは10−29Pa以下10−35Pa以上に制御したキャリアガス、有機金属化合物ガス、プラズマ用励起ガスを前記反応室内に供給して基板上に高誘電率の絶縁膜を堆積する工程とを備える薄膜堆積方法。
請求項3は、前記高誘電率絶縁膜の堆積後に、ガス中の水濃度を1PPB以下、酸素分圧を10−21Pa以下、好ましくは10−29Pa以下10−35Pa以上に制御したガス中で加熱処理を行なう工程をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の薄膜堆積方法。
請求項4は、前記加熱処理の後に、ガス中の水濃度を1PPB以下、酸素分圧を10−21Pa以下、好ましくは10−29Pa以下10−35Pa以上に制御した不活性ガスを用いて該堆積膜を加熱酸化する工程をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載の薄膜堆積方法。
請求項5は、前記基板は、シリコンもしくはゲルマニウムもしくはシリコンゲルマニウム混晶エピタキシャル成長基板であることを特徴とする請求項1又は2に記載の薄膜堆積方法。
薄膜表面からの脱水、脱酸素を促進し、効果的に水分子、酸素分子を除去することができ、薄膜中に取り込まれる水分量並びに酸素量を極限まで低減させることができ、更には、超乾燥雰囲気をキャリアガスにすることにより、原料中に水分が混入することを根本的に防止することができる。
図1は、半導体や電気・電子部品の薄膜を堆積するための薄膜堆積装置の概略図を示す。薄膜堆積装置は、真空反応室201、真空反応室201内に設けられたヒータ202を備える支持台と、ヒータ202上に載置されたウエハ203と、ロードロック室206および真空ポンプ205を備える。真空反応室201内のヒータ202は、薄膜の堆積や熱処理を行なう。更に、薄膜堆積装置は、原料ガス中から電気化学的に水分子及び酸素分子を排出する水分子・酸素分子排出装置204が備えられている。
水分子・酸素分子排出装置204によりガス中の水濃度を1PPB以下、酸素分圧を10−21Pa以下、好ましくは10−29Pa以下10−35Pa以上に制御した雰囲気ガスを、反応室内に流入させて、反応室内の脱水脱酸素処理を行ない水分圧を10−10Pa以下に制御する。
反応室は、有機原料シリンダ207から原料ガスが導入され、水分子・酸素分子排出装置204により水分量を1PPB以下、酸素分圧を10−21Pa以下、好ましくは10−29Pa以下10−35Pa以上の超低水分、酸素分圧下でウエハ203上に薄膜を堆積する。
図2は、半導体や電気・電子部品の薄膜をスパッタにより基板上に堆積させるための薄膜堆積装置の概略図を示す。薄膜堆積装置は、真空反応室401、真空反応室401内に設けられたヒータ402を備える支持台と、ヒータ402上に載置されたウエハ403と、ロードロック室406および真空ポンプ405を備える。ロードロック室406、および真空反応室401は1×10−10Paまで真空排気される。真空反応室401内のヒータは、薄膜の堆積や熱処理を行なう。更に、薄膜堆積装置は、原料ガス中から電気化学的に水分子及び酸素分子を排出する水分子・酸素分子排出装置404が備えられている。
薄膜堆積装置は、水分・酸素分子排出装置404よりガス中の水濃度を1PPB以下、酸素分圧を10−21Pa以下、好ましくは10−29Pa以下10−35Pa以上に制御した雰囲気ガスを、反応室内に流入させて、反応室内の脱水脱酸素処理を行ない、反応室内の水分圧を10−10Pa以下に制御する。反応室にはターゲット406が設けられ、ターゲット406にプラズマ電源407より高周波電力を印加して、スパッタによる薄膜の堆積や熱処理が行われる。
図3は、半導体や電気・電子部品をエピタキシャル成長による基板上に薄膜を堆積するための薄膜堆積装置の概略図を示す。薄膜堆積装置は、真空反応室501、真空反応室501内に設けられたヒータ502を備える支持台と、ヒータ502上に載置されたウエハ503と、ロードロック室506および真空ポンプ505を備える。真空反応室501内のヒータは、薄膜の堆積や熱処理を行なう。更に、薄膜堆積装置は、原料ガス中から電気化学的に水分子及び酸素分子を排出する水分子・酸素分子排出装置504が備えられている。
水分子・酸素分子排出装置504によりガス中の水濃度を1PPB以下、酸素分圧を10−21Pa以下、好ましくは10−29Pa以下10−35Pa以上に制御した雰囲気ガスを、反応室内に流入させて、反応室内の脱水脱酸素処理を行ない、水分圧を10−10Pa以下とする。
薄膜堆積装置は、原料シリンダ507からシリコンもしくはゲルマニウム等の原料ガスを導入し、水分子・酸素分子排出装置504により水分量を1PPB以下、酸素分圧を10−21Pa以下、好ましくは10−29Pa以下10−35Pa以上の超低水分、酸素分圧下でウエハ503上に薄膜を堆積する。
図4は、図1〜図3の水分子・酸素分子排出装置204、404、504を示す要部概略図である。水分子・酸素分子排出装置は、水及び酸素イオン伝導性を有するジルコニア製固体電解質体602と、固体電解質体602の内面及び外面に配設された金又は白金よりなるネット状の電極603、604とを備える。ジルコニア製固体電解質体602は、両端部でコパール材からなる金属製管体と銀ロウ付け固着される(図示せず)。固体電解質体の電極と管体は、内側電極を構成する。
水分子・酸素分子排出装置の内圧は、3kg/cm以下であり、通常0.1〜1.0kg/cmである。内面電極603と外面電極604間に直流電源Eから電流Iを流すと、密閉容器内に存在する水分子(HO)が、内面電極603によって水素イオンと酸素イオンに電気分解され、固体電解質602を通った後、再び酸素分子(O)として密閉容器の外部に放出するので、この密閉容器の外部に放出された酸素分子を空気等の補助気体をキャリアガスとして排気することにより、密閉容器に供給される不活性ガス中の水分子・酸素分子を低減できる。
またこの装置によれば、酸素分子(O)も固体電解質602によって電気的に還元されてイオン(O−)化されるので、水分子と同時に酸素分子も排気される。続いて、この密閉容器の外部に放出された酸素分子を空気等の補助気体をキャリアガスとして排気することにより、密閉容器に供給される不活性ガス中の酸素分子を除去して、その酸素分圧も同時に制御できる。
このように水分子・酸素分子排出装置は、固体電解質体内602に導入されたガスが固体電解質体602内中を通過する間にガス中の水分子及び酸素分子を外気に排出して、極めて低い水分ガス及び酸素ガスを生成して、固体電解質体602から真空処理装置に向けて供給する。
次に、水分子・酸素分子排出装置の動作について説明する。まず、水分量設定部によって、所望の水分量、例えば1PPBに設定する。水分量設定部によって設定された水分量に設定するための制御信号が、水分圧制御部からポンプに送られる。その制御信号によってポンプの電流Iが制御されて、ガス供給弁およびマスフローコントローラを通って水分子・酸素分子排出装置に供給されたN,Ar,He等の不活性ガス中の水分量が、水分量設定部によって設定された水分量に制御される。またこのとき同時にガス中にある酸素分子も水分子が排気される。
このように極めて低い水分量に制御された不活性ガスは、水分センサーによってその分圧がモニタされた後、真空処理装置の反応室に供給される。また真空反応室を通って排気される使用済みガスの水分圧が水分センサーによってモニタされて、そのモニタ値が水分量制御部に入力され、水分量設定部で設定値と比較される。このようにして、水分量が1PPB以下に制御された不活性ガスが供給される。なお、処理の際の圧力は、減圧下で行っても、あるいは常圧から加圧状態で行っても良く、また使用済みガスは、真空ポンプを介して装置外に排気しても、あるいは処理の間に使用済みガスを再び水分子及び酸素分子ガス排出装置に戻すような閉ループを形成してもよい。なお、水分量は、酸素イオン伝導体を用いた酸素センサーを使い、熱力学計算から求めることができる。
固体電解質体602を構成する固体電解質は、例えば、一般式(ZrO)1−x−y(In)x(Y)y(0<x<0.20、0<y<0.20、0.08<x+y<0.20)で表されるジルコニア系が利用できる。その中でも、0<x<0.20、y=0であることが望ましく、さらに、0.06<x<0.12、y=0であることがより望ましい。
固体電解質は、上記に例示したもの以外に、例えば、BaおよびInを含む複合B酸化物であって、この複合酸化物のBaの一部をLaで固溶置換したもの、特に、原子数比{La/(Ba+La)}を0.3以上としたものや、さらにInの一部をGaで置換したものや、一般式{Ln1−xSrGa1−(y+z)MgCo、ただし、Ln=La,Ndの1種または2種、x=0.05〜0.3、y=0〜0.29、z=0.01〜0.3、y+z=0.025〜0.3}で示されるものや、一般式{Ln(1−x)Ga(1−y−z)1y2z3−d、ただし、Ln=La,Ce,Pr,Nd,Smの1種または2種以上、A=Sr,Ca,Baの1種または2種以上、B=Mg,Al,Inの1種または2種以上、B=Co,Fe,Ni,Cuの1種または2種以上}で示されるものや、一般式{Ln2−xGe1−y、ただし、Ln=La,Ce,Pr,Sm,Nd,Gd,Yd,Y,Sc、M=Li,Na,K,Rb,Ca,Sr,Baの1種もしくは2種以上、L=Mg,Al,Ga,In,Mn,Cr,Cu,Znの1種もしくは2種以上}や、一般式{La(1−x)SrGa(1−y−z)MgAl、ただし、0<x≦0.2、0<y≦0.2、0<z<0.4}や、一般式{La(1−x)Ga(1−y−z)1y2z、ただし、Ln=La,Ce,Pr,Sm,Ndの1種もしくは2種以上、A=Sr,Ca,Baの1種もしくは2種以上、B=Mg,Al,Inの1種もしくは2種以上、B=Co,Fe,Ni,Cuの1種もしくは2種以上、x=0.05〜0.3、y=0〜0.29、z=0.01〜0.3、y+z=0.025〜0.3}等が採用できる。
また、シール構造の耐熱性及び水分子・酸素分子排出装置の機能向上を考慮すると、この分子排出装置を構成する固体電解質体は一本よりも複数本あることが望ましく、かつそれぞれの固体電解質体は長ければ長いほどガス排出機能が良く、加熱部分から離れたところでシール機能を持たせることができる。よって管体の耐熱性も考える必要がなくなる。しかしながら、固体電解質体は、コストや取り扱いを考慮すると、15cm〜60cmの長さを有することが望ましい。片側の各管体の長さは、3cm〜60cmであることが望ましい。
上述した固体電解質体の両端部と管体との気密性の良さが水分及び酸素分圧に強い影響を与える。イオン伝導性を発揮させるために固体電解質は、加熱される。このため、従来は、両端部はOリングや、真空機器用接着剤を用いて気密性を保つていたが、耐熱性を考えて、空冷等の措置がとられていた。しかし、十分な機密性を得ることができなかった。固体電解質体の両端部と管体との密封構造として、管体と固体電解質体を金属のロウで接合することを採用する。その結果、耐熱温度が向上するため、高い気密性を得ることができ、より低い極低酸素分圧ガスを得ることができる。
ガス導入口よりアルゴンガスを導入し、マスフローコントローラで2L/min.となるように設定した。ジルコニア管を600℃に加熱し、内外壁にある両電極間に電圧として2V印加した。なお、固体電解質体の外側にはパージガスとして空気を流した状態としておく。
続いて、排出装置内のジルコニア管を通過した水および酸素分圧を低減させたガスを水・酸素センサーに導き、水分圧および酸素分圧を測定した。なお、水分圧および酸素分圧の測定には固体電解質体の内外の酸素分圧差に伴う濃淡電池反応による起電力を用いた。このとき、約2時間で酸素分圧は10−21Pa、4時間で10−29Paから10−35Paを示した。
図1に記載した薄膜堆積装置を用いてウエハ上に高誘電率絶縁膜を堆積する方法を以下に詳述する。上述した水分子・酸素分子排出装置を使用して反応室および各配管内の水および酸素分圧を1×10−9Pa望ましくは1×10−10Pa以下に制御する。続いて、シリコン基板にSiO膜1nmを熱酸化により形成した基板を反応室内に導入し、ウエハ温度を400℃に加熱する。更に、反応室内に以下の有機金属化合物を導入する。本実施例では、テトラキスジメチルアミドハフニウムを80℃に加熱し、Nキャリアガスを100sccm流してバブリングで導入した。その際にキャリアガスN内の酸素および水分量は、それぞれ水分量1PPB以下および酸素分圧10−21Pa以下、好ましくは10−29〜10−35Paに調整した。
なお、導入する原料としては、テトラキスジメチルアミドハフニウム以外にも、テトラキスジエチルアミドハフニウム、あるいはテトラキスエチルメチルアミドハフニウムでも良い。以上の条件で、シリコン基板上に金属Hf膜が堆積した。なお、使用する基板はシリコン基板以外にもゲルマニウム基板でもよく、その場合は酸化膜を形成せずにGe基板上に直接Hfを堆積させる。XPSを用いて膜の組成を測定したところ、全く酸素の混入の無い金属Hf膜が堆積できていることが分かった。なお、成膜時に、シランガス、およびアルミ二ウムガスを同時に流して、Hf膜中にSiやAlを添加してもよく、更にはLa等のランタノイドの有機金属を微量添加しても良い。その場合は、Hfに微量のSiやAl,あるいはLa等が添加された金属が堆積された。得られた効果としては、配管内の水分が著しく低減され、その結果シリンダから発生するパーティクル数に著しい低減効果が得られた。特に原料ガスラインの寿命がおよそ数倍に延びる効果が得られた。
続いて、反応室から、大気暴露することなくウエハを取り出し、加熱炉にて金属Hfを加熱し、緻密化させた。なお、このトランスファー経路や加熱路の水分圧も、当該発明により1×10−10Pa以下に調整されている。加熱炉には水分子・酸素分子排出装置を通したNガスを100sccm流しながら600〜800℃の加熱を行った。なお、本工程は簡略化のために省略して、Hf膜の堆積の後に直ちに次に記載する酸化工程に進めても良い。続いて、酸素分圧を制御した窒素雰囲気で膜を酸化させ、Hf系高誘電率絶縁膜を形成した。その際、酸素センサーの指示値を水分子・酸素分子排出装置にフィードバックさせ、酸素分圧が10−20 気圧(以降、1気圧=101325Paとする。)となる様に調整しながらHfを堆積させたウエハを加熱したところ、ウエハ上に物理膜厚4nm,比誘電率は16の絶縁膜が形成された。すなわちSiOに換算したときの換算膜厚1nmの高誘電率絶縁膜が形成された。膜の絶縁特性を調べたところ、酸素や水分量を制御しない、通常のNを用いた場合に比べて約一桁のリーク電流低減効果が得られた。
なお酸素分圧を10−10 気圧とすると、物理膜厚8nm、比誘電率8、SiO換算膜厚4nmの絶縁膜が形成され、換算膜厚と酸素分圧には相関があることが分かった。なお、一旦物理膜厚8nm換算膜厚4nmまで増膜した絶縁膜を、本発明の水分量1PPTおよび酸素分圧10−35Paの窒素雰囲気で更に加熱したところ、膜が還元して物理膜厚4nm,SiO換算膜厚1nmまで膜厚が低減されることも明らかになった。同様に膜の絶縁特性を調べたところ、酸素や水分量を制御しない、通常のNを用いた場合に比べて約一桁以上のリーク電流低減効果が得られた。
換算膜厚2nmの堆積膜のリーク電流と、Hf膜堆積時のキャリアガス中の酸素分圧との相間を調べたところ、図5に示す様に、キャリアガス中の酸素分圧と膜のリーク電流には相関があり、酸素分圧を10−21Pa以下に、好ましくは10−29Pa以下に少なくするほど、形成した膜のリーク電流が低下するという結果が得られた。特に10−29Pa以下にした場合は、10−5[A/cm]以下に著しくリークを低減することを可能とした。
シリコン基板上に極低水分・酸素分子ガスを用いて、高品位の高誘電率の絶縁膜を堆積してMOS型電界効果トランジスタ素子の製造方法を図6を用いて説明する。図6において、まずはシリコン基板等102に、公知のリソグラフおよびエッチングを駆使してトレンチ領域101を形成して、トレンチ素子分離(シャロートレンチアイソレーション、STI)領域を形成する。これにより、個々の素子領域のみにシリコンが露出し、その廻りは絶縁膜で覆われる(図6(a))。その後、公知のイオン注入技術により、ウエル103となるドーピング層を素子領域に形成する(図6(b))。その後露出したシリコン領域に、まずは熱酸化にておよそ1nm程度の熱酸化膜104を形成し、続いて高誘電率絶縁膜105を堆積して、更に絶縁膜上にポリシリコンもしくは金属から成る膜106を積層する(図6(c))。次に、公知のゲートエッチングにより、膜をエッチングしてゲート電極107を形成する(図6(d))。続いて、エクステンションのイオン注入を行い、更に、ゲート電極107の側壁に保護膜108を堆積させる(図6(e))。再びソース・ドレイン領域109にイオン注入して形成し、最後に1050℃程度の活性化熱処理を経て、トランジスタを形成する(図6(f))。
スパッタによる高誘電率膜を堆積する方法を示す。図2のスパッタ装置を用い、あらかじめ超低水分ガスのパージにより、反応室および各配管内の水および酸素分圧を1×10−9Pa望ましくは1×10−10Pa以下に制御した反応室を準備する。アルゴンガス中の水分量1PPB以下、および酸素分圧を10−21Pa以下、好ましくは10−29〜10−35Paに制御したものを、反応室内に100sccmで導入し、圧力1Pa、電力200Wでプラズマ化し、これをターゲットとなるHf板に衝突させてスッパッタリングによりシリコン基板上にHf薄膜を堆積させた。すると膜中に酸素が全く検出されない金属Hf膜が形成された。なお、成膜中にシリコン、アルミニウム、La等のランタノイドのターゲットを同時に用いるか、あるいはHfターゲット中に当該元素を微量混入させておくと、Hfに微量のSiやAl,あるいはLa等が添加された金属が堆積された。
続いて反応室からウエハを取り出し、加熱炉にて金属Hfを加熱処理した。加熱炉には本発明の極低水分子・酸素分子排出装置を通したNガスを100sccm流しながら600〜800℃の加熱を行った。なお、本工程は簡略化のために省略して、Hf膜の堆積の後に直ちに次に記載する酸化工程に進めても良い。続いて、酸素分圧を制御した雰囲気で膜を酸化させ、Hf系高誘電率絶縁膜を形成したところ、実施例1と同様にシリコン基板上に高誘電率絶縁膜が堆積された。酸素分圧が10−20 気圧となる様に調整しながらHfを堆積させたウエハを加熱したところ、ウエハ上に物理膜厚4nm,SiO換算膜厚1nmの高誘電率絶縁膜が形成された。膜の絶縁特性を調べたところ、酸素や水分量を制御しない、通常のNを用いた場合に比べて約一桁以上のリーク電流低減効果が得られた。
なお、本発明で用いるシリコン基板としては、エピタキシャル成長基板を用いることができる。シリコン膜のエピタキシャル成長において、超低水分子・酸素分子ガスのパージにより、反応室および各配管内の水および酸素分圧を1×10−9Pa望ましくは1×10−10Pa以下に調整する。続いて、反応室内に酸化膜を除去したシリコン基板を導入し、まず真空反応室にモノシランガス乃至ジシランガスを流量100sccmで導入し、同時に本発明の水分量2PPTおよび酸素分圧10−34Paの極低水分量の窒素ガスを流量500sccmで導入し、圧力10−1Paおよび基板温度800℃でシリコンエピタキシャル膜を基板上に堆積させた。基板上に堆積される薄膜、高誘電率絶縁膜とは、基板表面もしくは基板表面に堆積された層上に堆積された膜を言う。
堆積後に膜中の酸素や水分濃度を調べたところ、シリコン膜中の水分や酸素量が顕著に減少する効果が得られ、高品かつ高耐圧のシリコン基板を提供した。またシリコン基板の代わりにゲルマニウム基板を導入してもよく、その場合は、ジシランの代わりにゲルマンを用いると、ゲルマニウム薄膜がエピタキシャル成長する。あるいは、ジシランとゲルマンを任意の割合で混合しても良く、その場合はシリコンゲルマニウム膜がシリコン基板上に堆積される。なお、基板は、その上部に高誘電率絶縁膜を堆積する用途にとどまらず、通常の酸化シリコン膜を形成して、通常のゲート絶縁膜を使用したトランジスタの作製に使用することもできるのは言うまでもない。
本発明は、半導体、液晶等の表示素子等の薄膜の形成に広く適用することが出来る。
薄膜堆積装置を示す概略図である。 スパッタによる薄膜堆積装置を示す概略図である。 エピタキシャル成長装置を示す概略図である。 水分子・酸素分子排出装置を示す概略図である。 高誘電率絶縁膜のリーク電流と、ガス中酸素分圧の関係を示す図である。 MOS型電界効果トランジスタ作製フローを示す図である。
101 素子分離
102 シリコン基板
103 ウエル
104 熱酸化膜
105 高誘電率絶縁膜
106 ゲートメタル
107 ゲート電極
108 側壁膜
109 ソース・ドレイン
201、401、501 真空反応室
202、402、502 ヒータ
203、403、503 ウエハ
204、404、504 水分子・酸素分子排出装置
205、405、505 真空ポンプ
206、406、506 ロードロック室
207、407、507 原料シリンダ
601 酸素ポンプ
602 固体電解質
603 金属外部電極
604 金属内部電極

Claims (5)

  1. 水分子・酸素分子排出装置によりガス中の水濃度を1PPB以下、酸素分圧を1−29Pa以下10−35Pa以上に制御した雰囲気ガスを反応室内に供給して該反応室内の脱水脱酸素処理を行ない水分圧を10−10Pa以下に制御する工程と、
    ガス中の水濃度を1PPB以下、酸素分圧を1−29Pa以下10−35Pa以上に制御したキャリアガス、反応ガス、プラズマ用励起ガスを前記反応室内に供給して基板上に薄膜を堆積する工程と、
    を備える薄膜堆積方法。
  2. 水分子・酸素分子排出装置によりガス中の水濃度を1PPB以下、酸素分圧を1−29Pa以下10−35Pa以上に制御した雰囲気ガスを反応室内に供給して該反応室内の脱水脱酸素処理を行ない水分圧を10−10Pa以下に制御する工程と、
    ガス中の水濃度を1PPB以下、酸素分圧を1−29Pa以下10−35Pa以上に制御したキャリアガス、有機金属化合物、プラズマ用励起ガスを前記反応室内に供給して基板上に高誘電率の絶縁膜を堆積する工程と、
    を備える薄膜堆積方法。
  3. 前記高誘電率絶縁膜の堆積後に、ガス中の水濃度を1PPB以下、酸素分圧を1−29Pa以下10−35Pa以上に制御したガス中で加熱処理を行なう工程をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の薄膜堆積方法。
  4. 前記加熱処理の後に、ガス中の水濃度を1PPB以下、酸素分圧を1−29Pa以下10−35Pa以上に制御した不活性ガスを用いて該堆積膜を加熱酸化する工程をさらに備えることを特徴とする請求項3に記載の薄膜堆積方法。
  5. 前記基板は、シリコンもしくはゲルマニウムもしくはシリコンゲルマニウム混晶エピタキシャル成長基板であることを特徴とする請求項1又は2に記載の薄膜堆積方法。
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