JP5187603B1 - プラスチック配合物及びそれを用いた廃棄物の処理と保管容器と保管方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 複雑な手段や特殊な装置を用いず、既に普及している技術をベースに大量の廃棄物やセシウムにより汚染された廃棄物を汎用の成型機を用いて処理し、再生利用可能な形態の保管容器とすると共に、固化した状態での汚染物質の溶出を防止し、保管や管理が容易な廃棄物の処理と保管容器と保管方法を提供する。
【解決手段】 未硬化のプラスチック素材又は、混合割合がポリオレフイン系樹脂60〜80重量%、ポリエチレンテレフタレート40〜20重量%である溶融混練用廃プラスチック配合物に、洗濯用粉末合成洗剤と片栗粉の混合割合が洗濯用粉末合成洗剤10〜90重量%、片栗粉90〜10重量%の合成物を5〜15重量%添加した配合物による廃棄物の処理と保管容器。
【選択図】図1
【解決手段】 未硬化のプラスチック素材又は、混合割合がポリオレフイン系樹脂60〜80重量%、ポリエチレンテレフタレート40〜20重量%である溶融混練用廃プラスチック配合物に、洗濯用粉末合成洗剤と片栗粉の混合割合が洗濯用粉末合成洗剤10〜90重量%、片栗粉90〜10重量%の合成物を5〜15重量%添加した配合物による廃棄物の処理と保管容器。
【選択図】図1
Description
本発明は、平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震被害による大量の廃棄物や、福島第一原子力発電所から放出されたセシウム134及びセシウム137により汚染された特定一般廃棄物や指定廃棄物そして、特別管理廃棄物である焼却灰の処理と保管容器と保管方法に関するものである。
廃プラスチック配合物の製造方法に、熱可塑性樹脂を含む2種以上の廃プラスチックを含有する廃材の破砕物を加熱撹拌して熱可塑性樹脂を軟化させながら造粒する技術や、熱硬化性ポリウレタンの粉砕物を熱可塑性ポリウレタンに混合する技術や、ステアリン酸亜鉛及びステアリン酸ナトリウムを添加剤とする技術が提案されている。
放射性廃棄物を処理する方法に、形状記憶合金繊維または熱収縮性繊維をコンクリートに混合することによってプレストレスコンクリートに同等の耐久性および機械的な強さを有するコンクリートによる放射性廃棄物貯蔵容器や、イオン交換樹脂、乾燥粉体またはこれらのペレット状廃棄物あるいは放射性可燃物の焼却灰もしくは焼却灰のペレット状廃棄物の少なくとも一種からなる放射性廃棄物をセメントで固化する技術が提案されている。
特許文献1には、熱可塑性樹脂を含む2種以上の廃プラスチックを含有する廃材の破砕物を、底部と高さ方向中央部近傍に回転羽根を備えた円筒形混合・造粒装置内に装入し、加熱撹拌して熱可塑性樹脂を軟化させながら造粒することが記載されていて、混合・造粒装置としては、混合・造粒槽の内高さ(H)と内径(D)の寸法比が1:1〜3.0であるものを使用し、且つ底部の回転羽根は、円筒形混合・造粒槽の内底面に近接して回転させると共に、中央部近傍の回転羽根は、円筒形混合・造粒槽の内高さ(H)に対し1/4(H)〜2/3(H)の位置で回転させる技術が提案されている。この方法は、通常の多軸スクリュー式混練装置やニーダー型の混練装置では、複数素材に加わる剪断力と分散力が乏しく、特に繊維質素材が混入している廃材を使用すると、該繊維質素材が均一に分散し切れないで団子状の塊となって均一な混練物が得られず、2次成形用素材として実用化し得る様なものは得られ難いため、上記のような特殊な混合・造粒装置を用いた粒状の成形原料に再生する技術であり熱可塑性樹脂を含む2種以上の廃プラスチックを含有する廃材を原料とした点で優れているが、特殊な混合・造粒装置を必要とする問題点と、連続投入処理が行えない問題点がある。
特許文献2には、熱可塑性ポリウレタン成形物は、熱硬化性ポリウレタン廃棄物の粉砕物を熱可塑性ポリウレタンに混合して得られることが記載されていて、混合される熱硬化性ポリウレタン廃棄物の粉砕物の大きさは、3mm角が好ましいことが記載されている。さらに、本発明に係る熱可塑性ポリウレタンに含有される熱硬化性ポリウレタン廃棄物の粉砕物は30重量%以下が好ましいことが記載されている。本発明に係る熱硬化性ポリウレタン廃棄物の再利用方法は、熱硬化性ポリウレタン廃棄物の粉砕、熱可塑性ポリウレタンへの混合、混合物の成形の各工程からなる技術が提案されている。この方法は、熱硬化性ポリウレタン廃棄物の再利用に特化したもので他の素材を混合するのに適さない問題点がある。
特許文献3には、特定の合成樹脂材料から構成された廃棄プラスチックス或いは複数種類の互いに異なる合成樹脂材料から構成された複数の廃プラ群に少なくともステアリン酸亜鉛及びステアリン酸ナトリウムを添加材として混入させ、次いで当該廃プラを加熱溶融させ、続いて当該溶融された混合体を適宜の形状に成形加工する事を特徴とする再生合成樹脂組成物の製造方法が提案されている。この方法は、当該ステアリン酸亜鉛及びステアリン酸ナトリウム及び珪素或いは珪素化合物の他に、更にチタン、カルシウム或いはそれらの化合物及びタルクから選択された少なくとも一つの成分を含ませる事によって、熱硬化性樹脂、木屑、ペーパースラッジ、スラッジ灰、焼却灰、古紙、ガラス、ゴム、繊維屑、コーヒー屑、FRP、セラミックス、砂利石等の複数種類を同時に混合を可能にするもので、チタン或いはチタン化合物は、成形された後の当該再生樹脂製品の表面に於ける樹脂の毛羽立ちを防ぎ、樹脂の硬度を増強させる点で優れているが、添加剤が多岐にわたること、用途に応じて追加成分を選択しなければならない等の問題点がある。
特許文献4には、少なくともポリオレフィン系合成樹脂成分と、主としてセルロースを主成分とする微細塊状物とが混在している再生合成樹脂組成物であって、当該セルロースを主成分とする微細塊状物(以下単にセルロース系微細塊状物と言う)の当該再生合成樹脂組成物に於ける当該セルロース系微細塊状物と当該合成樹脂成分との混合割合が重量比で20:80〜50:50であって、且つ当該再生合成樹脂組成物中に少なくともナトリウム及び亜鉛が含まれている事を特徴とする再生合成樹脂組成物が提案されている。この方法は、セルロースを主成分とする材料からなる廃棄物を対象とし、ステアリン酸ナトリウムとステアリン酸亜鉛を所定の工程でそれぞれ独立して添加使用するものであり、他の素材を混合するのに適さない問題点がある。
特許文献5には、該コンクリートは、通常のコンクリートに埋込まれる繊維を有し、該繊維は、形状記憶合金繊維または熱収縮性繊維のいづれかであることが記載されている。次の熱処理は、塑造または流体のコンクリートの体積の全体にわたって圧縮応力を加えるのを可能にする形状を取るのをこれ等の繊維に可能にすることが記載されている。該コンクリートは、放射性廃棄物貯蔵容器の製造に適用される技術が提案されている。この方法は、プレストレスコンクリートに同等の耐久性および機械的な強さを有し、固化後のセメントが放射線の透過を阻止する能力が高いことを利用した点で優れているが、貯蔵容器使用後のコンクリートの再生利用が難しい点と水との接触に注意が必要な点と重量が低減できない問題点がある。
特許文献6には、セメント系固型化材料とイオン交換樹脂、乾燥粉体またはこれらのペレット状廃棄物あるいは放射性可燃物の焼却灰もしくは焼却灰のペレット状廃棄物の少なくとも一種からなる放射性廃棄物、またはセメント系固型化材料と混練水と放射性廃棄物とを固化容器に収容し、固化容器内に自転する攪拌翼を傾斜させて混合機固定板に取り付け、混合機固定板をロッドに取り付け、固化容器を回転自在にターンテーブル上に載置固定することが記載されている。固化容器内において、攪拌翼を高速回転でき、固化容器の底部の側面への滞留を防止でき、隈なく均一に混合することができると共に、攪拌翼自体を昇降させながら、固化容器も回転させることにより、混合物を均質な安定した固体化にできる技術が提案されている。この方法は、セメント系固型化材料による廃棄物の固体化処理を実施するもので、固化後のセメントが放射線の透過を阻止する能力が高いことを利用した点で優れているが、保管期間を過ぎた固化コンクリートの再生利用が難しい点と固化した状態で数%の溶出がある点と重量が低減できない問題点がある。
地震被害による大量の廃棄物や、セシウムにより汚染された特定一般廃棄物や指定廃棄物の処理や保管容器に関する技術提供は少なく、特許関連の技術においては、原子力発電所から発生する放射性廃棄物を処理する方法や廃プラスチック配合物の製造方法に解決の一端を見るにすぎない。
そこで本発明は、複雑な手段や特殊な装置を用いず、既に普及している技術をベースに大量の廃棄物やセシウムにより汚染された廃棄物を汎用の成型機を用いて処理し、再生利用可能な形態の保管容器とすると共に、固化した状態での汚染物質の溶出を防止し、保管や管理が容易な廃棄物の処理と保管容器と保管方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、先に提案した特開2002−59424号公報の技術をベースに鋭意研究した結果、大量の廃棄物やセシウムにより汚染された廃棄物を汎用の成型機を用いて処理し、再生利用可能な形態の廃棄物処理と保管容器に利用できることを見いだし本発明を完成した。
すなわち、請求項1に記載したプラスチック配合物は、未硬化のプラスチック素材又は、混合割合がポリオレフイン系樹脂60〜80重量%、ポリエチレンテレフタレート40〜20重量%である溶融混練用廃プラスチック配合物に、洗濯用粉末合成洗剤と片栗粉の混合割合が洗濯用粉末合成洗剤10〜90重量%、片栗粉90〜10重量%の合成物をプラスチック配合物全量に対して5〜15重量%添加し、溶融混練性の向上と潤滑効果を高めたことを特徴としている。
この発明においては、洗濯用粉末合成洗剤と片栗粉を添加剤として用いることで、後に混合される異種の廃プラスチックや熱硬化性樹脂や焼却灰や瓦礫や鉛ガラス等を混合した時に生じる、溶融温度に起因する問題点や加工品の表面に毛羽が発生する問題点を解決している。
請求項2に記載したプラスチック配合物は、混合割合がポリオレフイン系樹脂60〜80重量%、ポリエチレンテレフタレート40〜20重量%である溶融混練用廃プラスチック配合物は、プラスチック配合物全量に対して、ポリオレフイン系樹脂及びポリエチレンテレフタレートの含有量が20〜40重量%であることを特徴としている。
この発明においては、ポリオレフィン系樹脂及びポリエチレンテレフタレートの含有量を20〜40重量%とすることができ、異種の廃プラスチックや有機物を同時に大量に処理することができる。
請求項3に記載したプラスチック配合物は、異種の廃プラスチックを1種以上含むことを特徴としている。
この発明においては、ポリオレフィン系樹脂及びポリエチレンテレフタレート以外の任意に選択されたプラスチックを処理することができると共に、配合物中にポリカーボネート等のエンジニアリングプラスチックの廃プラスチックを1〜10重量%を含有すると成形物の機械的強度を上昇することができる。
請求項4に記載したプラスチック配合物は、熱硬化性樹脂を1〜10重量%含有することを特徴としている。
この発明においては、樹脂の生産量の約10%を占有する熱硬化性樹脂も含有することにより、焼却処分や埋め立て処分に頼らない処理を行うことができる。
請求項5に記載したプラスチック配合物による廃棄物の処理物は、プラスチック配合物に、セシウムから放出される放射性物質を含む焼却灰を30〜40重量%混入し、溶融温度を200〜320℃の範囲でスクリュー回転数を65〜140rpmの範囲で調整し、押出機を用いて溶融混練したプラスチック配合物を金型に注入し、金型の中で直ちに冷却し、円柱形状又は角柱形状に溶融成形することを特徴としている。
この発明においては、金型の中で急縮することによる化学反応を用いることで、成形品を高密度にし、ベータ線とガンマ線の透過を阻止する能力を向上させている。
請求項6に記載したプラスチック配合物による廃棄物の処理物は、プラスチック配合物に、放射性物質を含まない焼却灰又は、150μm以下に粉砕した瓦礫を30〜40重量%混入し、任意の形状に溶融成形することを特徴としている。
この発明の放射性物質を含まない焼却灰の処理は、特別管理廃棄物である焼却灰の処理に使用するもので、重金属や溶媒を閉じこめる能力が高いことを利用するものである。
また、150μm以下に粉砕した瓦礫を混入し、任意の形状に溶融成形することで、木材より屋外での紫外線劣化が少ない特性を利用し、公共設備等の建材や土木資材としてリサイクル処理することができる。
請求項7に記載した保管容器は、貯蔵容器本体と密閉可能な蓋で構成された外形が円形状又は角形状で、内部に請求項5記載の円柱形状又は角柱形状で溶融成形されたプラスチック配合物による廃棄物の処理物を収納する空間が設けられたプラスチック配合物で成形した保管容器において、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のプラスチック配合物を用いて貯蔵容器本体と密閉可能な蓋を溶融成形することを特徴としている。
この発明においては、請求項5の発明で溶融成形され、円柱形状又は角柱形状に固化された対象物の表面部付近から発生する阻止できない放射線を保管容器において阻止する。
請求項8に記載した保管容器は、貯蔵容器本体と密閉可能な蓋で構成された外形が円形状又は角形状で、内部に請求項5記載の円柱形状又は角柱形状で溶融成形されたプラスチック配合物による廃棄物の処理物を収納する空間が設けられたプラスチック配合物で成形した保管容器において、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のプラスチック配合物に、鉛が10〜50重量%混入された鉛ガラスを50μm以下に粉砕し、プラスチック配合物全量に対して30〜40重量%混入し、貯蔵容器本体と密閉可能な蓋を溶融成形することを特徴としている。
この発明においては、請求項5の発明で溶融成形され、円柱形状又は角柱形状に固化された対象物の表面部付近から発生する阻止できない放射線量の高い対象物を保管容器において阻止する。
請求項9に記載した保管方法は、請求項7又は請求項8記載の保管容器内の内部空間に、積層パラフィン紙で構成された別の容器を収納し、積層パラフィン紙で構成された容器内に、請求項5記載の円柱形状又は角柱形状の溶融成形されたプラスチック配合物を収納することを特徴としている。
この発明においては、積層パラフィン紙を用いて、保管容器に損傷が生じた場合に水との接触を防止する役目と、放射線量の高い対象物に対し請求項8に記載した保管容器で対応できない場合、パラフィン紙の積層数を増やし放射線の透過を阻止するものである。
以上説明したように請求項1〜請求項4の発明によれば、洗濯用粉末合成洗剤と片栗粉を添加剤として用いることで、後に混合される、異種の廃プラスチックや熱硬化性樹脂や焼却灰や瓦礫や鉛ガラス等を混合した時に発生する、溶融温度に起因する問題点や加工品の表面に毛羽が発生する問題点を解決でき、互いに相溶性がない異種の廃プラスチック同志を混合して、均一に溶融混練することができる。従って、その混練物から種々の成形物を成形することができ、焼却灰の混合以外は、それら廃プラスチックを半永久的にリサイクルして再利用することができる。
請求項5の発明によれば、金型の中で直ちに冷却して成形品を高密度にし、放射線の透過を阻止する能力を向上させた優れた効果を発揮できる。
請求項6の発明によれば、放射性物質を含まない焼却灰の処理は、特別管理廃棄物である焼却灰の処理に使用することで、重金属や溶媒を閉じこめる能力が高いことを利用することができる。また、150μm以下に粉砕した瓦礫を任意の形状に溶融成形することで、木材より屋外での紫外線劣化が小さく、ベンチ、テーブルセット、樹脂デッキ等の建材や土木資材としてリサイクルできる。
請求項7の発明によれば、請求項5の発明で溶融成形され、円柱形状又は角柱形状に固化された対象物の表面部付近から発生する阻止できない放射線が保管容器において阻止できる。
請求項8の発明によれば、請求項5の発明で溶融成形され、円柱形状又は角柱形状に固化された対象物の表面部付近から発生する、さらに放射線量の高い対象物に対しては鉛ガラスを混入することで優れた阻止効果を発揮できる。
請求項9の発明によれば、積層パラフィン紙を用いることで、保管容器に損傷が生じた場合に水との接触を防止でき、鉛ガラスの混入でも防止できない放射線をパラフィン紙の積層数を増やすことで放射線の透過を阻止する更なる阻止効果を発揮できる。
以下、本発明のプラスチック配合物及びそれを用いた廃棄物の処理と保管容器と保管方法の実施形態を、図1〜図4の保管容器の構造を示す断面図を参照又は記述により詳細に説明する。
本発明のプラスチック配合物とするには、未硬化のプラスチック素材又は、ポリオレフィン系樹脂及びポリエチレンテレフタレートを含む複合廃プラスチック混合物が用いられる。これらはポリオレフィン系樹脂を主として含む廃プラスチックとポリエチレンテレフタレートを主として含む廃プラスチックの混合物であっても良く、ポリオレフィン系樹脂とポリエチレンテレフタレートを同時に含む複合廃プラスチック混合物であっても良い。
ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、ポリヘキセン−1等が挙げられる。ポリエチレンとしては、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等が、ポリプロピレンとしては、ホモポリプロピレン、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体等がそれぞれ挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂及びポリエチレンテレフタレートを含む複合廃プラスチック混合物における、ポリオレフィン系樹脂とポリエチレンテレフタレートとの混合割合が重要であり、その割合がポリオレフィン系樹脂が60〜80重量%、ポリエチレンテレフタレートが40〜20重量%である必要がある。ポリオレフィン系樹脂の混合割合が60重量%未満であると、複合廃プラスチック混合物は均一に溶融混練することができなくなる。ポリオレフィン系樹脂の混合割合が80重量%を超えても、複合廃プラスチック混合物は均一に溶融混練することができるが、本発明は、現在廃プラスチックとして多く排出されているポリオレフィン系樹脂とポリエチレンテレフタレートを同時に処理することも目的とするものであるから、ポリオレフィン系樹脂の混合割合が80重量%を超えるようなポリオレフィン系樹脂の混合割合は適さない。
本発明の配合物は溶融混練されるものであるが、溶融混練を効率良く行わせ、得られる成形物の強度を上昇させるため、種々の添加剤を配合することができる。それら添加剤としては、発泡剤、ビスブレーカー、金属石鹸、パラフィン・ワックス類、動植物油、石油類等が挙げられる。これらの添加剤は従来使用していたもので、それぞれの特性に個性があり投入される素材に合わせた選択を行っていた。
発泡剤としては、分解性発泡剤が望ましく、分解性発泡剤としては、無機化合物の他、アゾ化合物、スルホヒドラジド化合物、ニトロ化合物、アジド化合物等の有機発泡剤が使用できる。無機化合物として重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム等が挙げられ、分解により炭酸ガスとアンモニアをを発生する。有機発泡剤は分解により窒素を発生する。発泡剤を添加することにより、溶融混練時の温度を低下することができるという効果を示す。
ビスブレーカーとしては、ゴムの加硫剤として用いられる有機過酸化物が望ましい。有機過酸化物としては、tert−ブチルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン等が好適である。ビスブレーカーの添加により、溶融混練時に廃プラスチックが流れやすくなり動力コストの低下につながるという効果を示す。
金属石鹸としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛等が挙げられ、金属石鹸やパラフィン・ワックス類を添加することにより、内部又は外部潤滑の作用をし、溶融混練時の押出機等の滑りや成形時の型離れが容易になる以外に、成形物の強度も向上する傾向を示す。
動植物油としては、大豆油、菜種油等の食料油、魚油等が、石油類としては灯油、軽油等が挙げられ、動植物油、石油類の添加により発泡剤やビスブレーカーの分散を容易にし、各樹脂の境界においてなじみが増すためか、成形物の強度が上昇する傾向を示す。
しかし本発明では、洗濯用粉末合成洗剤と片栗粉の混合割合が洗濯用粉末合成洗剤10〜90重量%、片栗粉90〜10重量%の合成物をプラスチック配合物全量に対して5〜15重量%添加し、溶融混練性の向上と潤滑効果を高めた点が異なり、発泡剤とビスブレーカーの役割を洗濯用粉末合成洗剤に、そして金属石鹸、パラフィン・ワックス類、動植物油、石油類の役割を片栗粉に肩代わりさせ、多岐にわたる複雑な選択を必要としない添加剤としている。
使用可能な洗濯用粉末合成洗剤として、主成分の界面活性剤が(20〜22%アルファスルホ脂肪酸エステルナトリウム、純石けん分(脂肪酸ナトリウム)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル)又は、(20〜22%直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル)又は、(20〜22%直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルファオレフィンスルホン酸ナトリウム)+水軟化剤(アルミノけい酸塩)、アルカリ剤(炭酸塩)、溶解促進剤(硫酸塩)を配合の粉末合成洗剤が適し、現在販売されているほとんどの洗濯用粉末合成洗剤が使用できる。
上記添加剤を用いることにより、複合廃プラスチック混合物におけるポリオレフィン系樹脂及びポリエチレンテレフタレートの含有量を20〜40重量%とするのが好適であり、本発明はポリオレフィン系樹脂及びポリエチレンテレフタレートの含有量をこのように少量にすることができ、それにより種々雑多の他の廃プラスチックや有機物を同時に大量に処理することができるという利点がある。
その他の雑多の廃プラスチックとしては、スチレン系樹脂、アクリル樹脂、アクリルニトリル共重合体系樹脂、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリアセタール、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルフォン、ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、液晶ポリマー等の熱可塑性樹脂又は、ポリビニルアルコール、ポリ乳酸、脂肪酸ポリエステル系樹脂、3−ヒドロキシ酪酸と3−ヒドロキシ吉草酸との共重合体、テレフタル酸エステル系樹脂等の生分解性樹脂又は、ポリイミド、エポキシ樹脂、ポリウレタン、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ケイ素樹脂、ジアリルフタレート樹脂等の熱硬化性樹脂等が挙げられる。上記はそれぞれ同類のプラスチック毎に例示したものであり、そのものの前後に記載されているものは、本発明において異種のプラスチックとして取り扱う。
本発明の配合物である複合廃プラスチック混合物は、ポリオレフィン系樹脂及びポリエチレンテレフタレートを含み、更に上記のプラスチック類を含んだものである。上記複合廃プラスチック混合物は、ポリオレフィン系樹脂とポリエチレンテレフタレートとを上記の混合割合範囲で含む以外、ポリオレフィン系樹脂及びポリエチレンテレフタレート以外の上記のプラスチック類から任意に選択されたプラスチックを含むものであるが、上記異種のプラスチックを1種類以上、好ましくは2種類以上、特に好ましくは3種類以上を選択してポリオレフィン系樹脂及びポリエチレンテレフタレートと混合されたものである。但し、上記廃プラスチック類の内、熱硬化性樹脂が含まれる場合、複合廃プラスチック混合物におけるその含有量を1〜10重量%とするのが好ましい。
又、上記配合物中に、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルフォン、ポリアリレート、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド等のエンジニアリングプラスチックの廃プラスチックを1〜10重量%を含有すると、得られる成形物の機械的強度を上昇することができ望ましい。
本発明の配合物は溶融混練されるものであり、ポリオレフィン系樹脂及びポリエチレンテレフタレート、更に上記のプラスチック類の混合は溶融混練の前に行っても良く、溶融混練と同時に行っても良い。ポリオレフィン系樹脂及びポリエチレンテレフタレート、更に上記のプラスチック類を混合する際には、それらのプラスチックはそのまま用いても良いが、予め押出機のホッパーに投入できる程度の大きさに粉砕ないし裁断しておくのが望ましい。特に、上記廃プラスチックの内、熱硬化性樹脂が含まれる場合、熱硬化性樹脂を0.5mm以下の大きさに粉砕しておくのが望ましい。上記プラスチック類を含む廃プラスチックは、上記プラスチック類が使用される際に通常添加される着色剤、安定剤、充填剤(粉状、繊維状等)、希釈剤、可塑剤等の数多くの添加剤を含有しているが、それら添加剤の含有により本発明の配合物は特に影響されない。
本発明の放射性物質を含む焼却灰や、放射性物質を含まない焼却灰又は、150μm以下に粉砕した瓦礫又は、50μm以下に粉砕された鉛ガラスは溶融混練されるものであり、混入するのは溶融混練の前に行っても、溶融混練と同時に行っても良い。
本発明の成形体は、上記各種配合物を溶融混練し成形することにより製造されるが、溶融混練は通常押出機を用いて行われる。溶融混練時の温度は、上記配合物の組成により変動するが、通常は200〜320℃の温度範囲である。上記配合物に粉末合成洗剤を添加すると溶融混練温度を添加しない場合に比べて30℃程度下げることができる。又、溶融混練時の押出機のスクリュー回転数は、65〜140rpmの範囲で調整することができ、特に上記配合物に熱硬化性樹脂が含まれている場合は、押出機のスクリュー回転数を65〜90rpm程度とゆっくり溶融混練するのが好ましい。
押出機により溶融混練された配合物は、溶融された状態で押出機から押出され、ペレット状、棒状等の形状に押出成形される他、金型を通して板状、ブロック状、円柱形状又は角柱形状に溶融成形することができ、パレット、トラックの床材、地表に敷設するU字溝材、防音フェンス、棚や杭、ごみ箱、植木鉢等の成形体に射出成形することができる。これら成形された成形体は、簡単に手で折れるような強度ではなく、足で踏み付けても折れないような十分な強度を有している。
本発明の成形体による廃棄物の処理は、セシウムにより汚染された廃棄物あるいは、地震被害による廃棄物に分類される。
セシウムは事故由来放射性物質で、平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により当該原子力発電所から放出されたヨウ素131(半減期8日)及びセシウム134(半減期2.1年)及びセシウム137(半減期約30年)をいう。
セシウム137から放出される放射線は、ベータ線とガンマ線であり、放射線の透過を阻止する能力が高い物質を利用して遮蔽する。
ベータ線の実体である電子では1cmのプラスチック板で十分遮蔽できる。透過力は弱く、通常は数mmのアルミ板や1cm程度のプラスチック板で十分遮蔽できる。ただし、ベータ粒子が遮蔽物によって減速する際には制動放射によりX線が発生するため、その発生したX線についての遮蔽も必要となる。遮蔽物に使われる物質の原子番号が大きくなるほど制動放射が強くなることから、ベータ線の遮蔽にはプラスチックなどの低原子番号の物質を使い、そこで発生したX線を鉛などの高原子番号の物質で遮蔽する、という二段構えの遮蔽を行う。
電磁波であるガンマ線の遮蔽には、10cmの鉛板が必要となる。その他、比重の重い物質(鉛、鉄、コンクリートなど)が使われる。一般によく利用される鉛では、10cmの厚さで約1/100−1/1000に減衰される。ガンマ線は飛程が長い上、電荷を持たないので電磁気力を使って方向を変えられないため、ガンマ線からの防護は他の放射線と比較して難しい。
本発明の成形体による放射性物質を含む焼却灰の処理は、セシウム137から放出される放射線の透過を阻止する能力が高いプラスチック配合物に、放射性物質を含む焼却灰を30〜40重量%混入し、押出機を用いて溶融混練した後に金型に注入し、金型の中で直ちに冷却しながら円柱形状又は角柱形状に溶融成形することで遮蔽する。また、金型の中で急縮することによる化学反応を用いることで、体積を変化させ成形品を高密度にし、放射線の透過を阻止する能力を向上させている。(請求項5)
請求項5の処理では能力不足の場合は、外形が円形状又は角形状で、内部に上記の円柱形状又は角柱形状の溶融成形されたプラスチック配合物を収納する空間が設けられた貯蔵容器本体と密閉可能な蓋で構成された保管容器において阻止する。(請求項7)
さらに、請求項7の処理でも能力不足の場合は、外形が円形状又は角形状で、内部に上記の円柱形状又は角柱形状の溶融成形されたプラスチック配合物を収納する空間が設けられた容器において、プラスチック配合物に、鉛が10〜50重量%混入された鉛ガラスを50μm以下に粉砕し30〜40重量%混入し、貯蔵容器本体と密閉可能な蓋で構成された保管容器において阻止する。(請求項8)
さらに、請求項8の処理でも能力不足の場合は、請求項8の保管容器内の内部空間に、積層パラフィン紙で構成された別の容器を収納し、積層パラフィン紙で構成された容器内に、請求項5に記載の円柱形状又は角柱形状の溶融成形されたプラスチック配合物を収納し、パラフィン紙の積層数を増やし放射線の透過をパラフィン紙で吸収した後、鉛ガラスによって放射線の透過を阻止すと共に、パラフィン紙により保管容器に損傷が生じた場合に水との接触を防止する役目も果たす。(請求項9)
本発明の成形体による焼却灰の処理は、特別管理廃棄物である焼却灰の処理に使用するもので、重金属や溶媒を閉じこめる能力が高いプラスチック配合物に、焼却灰を30〜40重量%混入し、円柱形状又は角柱形状に溶融成形することにより、重金属や溶媒を閉じこめる。(請求項6)
本発明の成形体による瓦礫の処理は、公共設備等の建材や土木資材としたリサイクル処理に使用するもので、150μm以下に粉砕した瓦礫を、熱硬化性樹脂を1〜10重量%含有するプラスチック配合物に対し30〜40重量%混入又は、未硬化のプラスチック素材のプラスチック配合物や、ポリオレフイン系樹脂及びポリエチレンテレフタレートの含有量が20〜40重量%であることを特徴とした溶融混練用廃プラスチック配合物に対し最大60重量%混入することを特徴としている。(請求項6、請求項2)
本発明で成形体にプラスチック配合物を使用している理由に、上記利点の他に、安価に入手できる、加工が容易、保管やハンドリングが容易、溶出水が発生しないため処分場での浄化槽が不要、既に普及している汎用の成型機を用いて復興に参加できる、再利用ができる(焼却灰の混入された成形体は除く)、最終的には燃料にできる等の利点があり、セメントで固化する技術に置き換えることができる。
本発明の成形体による放射性物質の処理試験は、セシウム137により汚染された特定一般廃棄物や指定廃棄物である焼却灰の入手が困難なため、現物での試験はできませんから、放射性物質を含む天然鉱石をセラミック原料に混練し、焼成されたセラミック製品を代品として試験を実施しました。
0.5〜2mmに粉砕され、5.13μSv/hの放射線量を放出するセラミック製品を、1〜2mmに粉砕されたプラスチック配合物に対し30重量%混入し、1.61μSv/hの放射線量を放出する混合物を得た、この混合物をスクリュー部温度が260〜280℃に設定されたL/D=32の押出機のホッパーに投入し、71rpmのスクリュー回転数で混練して配合物を得ると共に、150kg/時間の速度で押出機を用いて溶融混練した直後に金型に注入し、自然に冷めるのを待ち溶融成形し40×40×110mmの角柱形状成形物を成形した場合、角柱形状成形物の6面の測定値は最低値0.35、最高値0.40μSv/hの放射線量となった。
条件を試験例1と同様にして、押出機を用いて溶融混練した直後に金型に注入し、金型を外部から強制冷却して(金型の中で溶融物を直ちに冷却)溶融成形し40×40×110mmの角柱形状成形物を成形した場合、角柱形状成形物の6面の測定値は最低値0.21、最高値0.22μSv/hの放射線量となった。
貯蔵容器本体と密閉可能な蓋で構成された保管容器の外壁の厚みが10mmの保管容器内に、試験例1により得られた最高値0.40μSv/hの放射線量となった角柱形状成形物を内包し、角形状の保管容器の外側面を測定した結果、最高値は0.19μSv/hの放射線量となった。ちなみに、放射線原を内包しない状態での保管容器の外側面の値は0.13μSv/hの放射線量であった(バックグラウンド)。
上記の試験結果によると、1〜2mmに粉砕されたプラスチック配合物に混合するだけでも5.13μSv/hの放射線量から1.61μSv/hの放射線量に減衰し、金型を外部から強制冷却して(金型の中で溶融物を直ちに冷却)溶融成形した場合には最高値0.22μSv/hの放射線量となり、プラスチック配合物による遮蔽効果と金型の中で溶融物を直ちに冷却することによる溶融成形が価値ある物であることが実証された。
本発明の成形体による焼却灰の処理試験は、焼却灰の取り扱いが管理有資格者(特別管理廃棄物のため)を有する業者に限定されているため、現物での試験はできません。そこで試験目的達成のため重金属や溶媒を閉じこめる効果を検証することに注目すると、水を用いた試験で代行できるため、吸水率をもって溶出率に置き換える代行試験とし、コンクリートを比較対象物として行った。
比較対象物のコンクリートに対し、体積と重量が等しくなるようにプラスチック配合物に鉄粉を混入した混合物を作り、この混合物をスクリュー部温度が260〜280℃に設定されたL/D=32の押出機のホッパーに投入し、71rpmのスクリュー回転数で混練して配合物を得ると共に、150kg/時間の速度で押出機を用いて溶融混練した直後に金型に注入し、自然に冷めるのを待ち溶融成形した。
比較対象物のコンクリートと鉄粉を混入し溶融成形したプラスチック配合物の乾燥状態での重量は、コンクリート1,000gとプラスチック配合物1,000gとなるように調整した。
試験体のコンクリートと鉄粉を混入し溶融成形したプラスチック配合物を水中に24時間浸漬した後の吸水状態での重量は、コンクリート1,063.8gとプラスチック配合物1,000.3gであった。
試験結果によると、コンクリートの吸水率6.38%であり、鉄粉を混入し溶融成形したプラスチック配合物の吸水率0.03%となった。上記測定値は、試験体を水中から取り出した直後(表面に水分が付着した状態)での測定値であり、鉄粉を混入し溶融成形したプラスチック配合物は遮水効果が高く、土壌に重金属や溶媒が溶出し環境悪化を招くことを防止する改善策になり得ることが実証された。
本発明の成形体による瓦礫の処理は、150μm以下に粉砕した瓦礫を30〜40重量%混入し、任意の形状に溶融成形することで、木材より屋外での紫外線劣化が少ない特性を利用し、公共設備等のベンチ、テーブルセット、樹脂デッキ等の建材や土木資材としてリサイクル処理することができる。
本発明の内容を実施例として、先に提案した特開2002−59424号公報に記載した内容を比較例として比較検討を行った結果、下記の測定値を得た。
本発明の実施例として、廃ポリプロピレン20kg、廃高密度ポリエチレン10kg、廃低密度ポリエチレン10kg(ポリオレフィン系樹脂として40kg)、廃ポリエチレンテレフタレート20kg、廃ポリカーボネート10kg、廃ポリスチレン(一般用)10kg、廃ポリスチレン(高衝撃)10kg、廃難燃性ポリスチレン10kg、廃アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂10kg、廃難燃性アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂10kg、廃アクリルニトリル−スチレン共重合体樹脂10kg、廃ポリアミド10kg、廃ポリアセタール5kg、廃軟質塩化ビニル樹脂5kg及び予め0.5mm以下に粉砕した廃フェノール樹脂5kgからなる複合廃プラスチック混合物を粉砕したものに、洗濯用粉末合成洗剤80重量%、片栗粉20重量%の合成物を8kg加え、スクリュー部温度が260〜280℃に設定されたL/D=32の押出機のホッパーに投入し、71rpmのスクリュー回転数で混練して配合物を得ると共に、150kg/時間の速度で押出成形してペレットを得た。このペレットを用い厚さ4mmの板状成形物を成形した。
この板状成形物から長さ80mm、幅10mm、厚さ4mmの試験片を作成し、この試験片5個について、島津製作所社製、オートグラフAG−M1を用い、温度23℃、RH50%、試験速度2mm/分、支点間距離64mmの条件で曲げ強度を測定したところ、平均曲げ強度は、30.8MPaであった。
廃フェノール樹脂を含有しない複合廃プラスチック混合物を粉砕したものを用い、スクリュー回転数を108rpmとした以外は、実施例1と同様にして230kg/時間の速度でペレットを得た。このペレットを用い厚さ4mmの板状成形物を成形した。この板状成形物から作成した試験片5個について、実施例1と同様にして曲げ強度を測定したところ、平均曲げ強度は、32.0MPaであった。
先に提案した特開2002−59424号公報に記載した内容を比較例として、廃ポリプロピレン20kg、廃高密度ポリエチレン10kg、廃低密度ポリエチレン10kg(ポリオレフィン系樹脂として40kg)、廃ポリエチレンテレフタレート20kg、廃ポリカーボネート10kg、廃ポリスチレン(一般用)10kg、廃ポリスチレン(高衝撃)10kg、廃難燃性ポリスチレン10kg、廃アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂10kg、廃難燃性アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体樹脂10kg、廃アクリルニトリル−スチレン共重合体樹脂10kg、廃ポリアミド10kg、廃ポリアセタール5kg、廃軟質塩化ビニル樹脂5kg及び予め0.5mm以下に粉砕した廃フェノール樹脂5kgからなる複合廃プラスチック混合物を粉砕したものに、発泡剤としてp−トルエン・スルホニル・セミカルバジド3g、ビスブレーカーとして1,3−ビス(tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン2g、ステアリン酸カルシウム2g、菜種油11及び灯油500mlを加え、スクリュー部温度が260〜280℃に設定されたL/D=32の押出機のホッパーに投入し、71rpmのスクリュー回転数で混練して配合物を得ると共に、150kg/時間の速度で押出成形してペレットを得た。このペレットを用い厚さ4mmの板状成形物を成形した。
この板状成形物から長さ80mm、幅10mm、厚さ4mmの試験片を作成し、この試験片5個について、島津製作所社製、オートグラフAG−M1を用い、温度23℃、RH50%、試験速度2mm/分、支点間距離64mmの条件で曲げ強度を測定したところ、平均曲げ強度は、30.5MPaであった。
廃フェノール樹脂を含有しない複合廃プラスチック混合物を粉砕したものを用い、スクリュー回転数を108rpmとした以外は、比較例1と同様にして230kg/時間の速度でペレットを得た。このペレットを用い厚さ4mmの板状成形物を成形した。この板状成形物から作成した試験片5個について、実施例1と同様にして曲げ強度を測定したところ、平均曲げ強度は、31.9MPaであった。
本発明の内容を実施例として、先に提案した特開2002−59424号公報に記載した内容を比較例として比較検討を行った結果によると、新しく採用した(洗濯用粉末合成洗剤と片栗粉の混合割合が洗濯用粉末合成洗剤10〜90重量%、片栗粉90〜10重量%の合成物を5〜15重量%添加し、溶融混練性の向上と潤滑効果を高めた)添加剤を使用しても遜色のない効果を発揮できることが判明し、多岐にわたる複雑な選択を必要としない添加剤として活用できる。
また平均曲げ強度は、30.5MPa〜30.8MPaと31.9MPa〜32.0MPaと多少ではあるが改善され、発明が解決しようとする課題を実施できる。
図1に示すプラスチック配合物で成形した保管容器1は、請求項7で使用されるプラスチック配合物で成形した保管容器1を説明する物で、プラスチック配合物で成形した保管容器1の外形が円形状又は角形状で、内部に空間が設けられた貯蔵容器本体2と密閉可能な蓋3で構成されたプラスチック配合物で成形した保管容器1であり、内部空間4には放射性物質を含む焼却灰5を混入し金型の中で直ちに冷却しながら溶融成形されたプラスチック配合物6が収納される。
図2に示すプラスチック配合物で成形した保管容器7は、請求項8で使用されるプラスチック配合物で成形した保管容器7を説明する物で、プラスチック配合物で成形した保管容器7の外形が円形状又は角形状で、内部に空間が設けられ、貯蔵容器本体8と密閉可能な蓋9を溶融成形する際、鉛が10〜50重量%混入された鉛ガラス10を50μm以下に粉砕し30〜40重量%混入したプラスチック配合物で成形した保管容器7であり、内部空間11には放射性物質を含む焼却灰5を混入し金型の中で直ちに冷却しながら溶融成形されたプラスチック配合物6が収納される。
図3に示す保管容器12は、請求項9で使用される保管方法を説明する物で、保管容器12の外形が円形状又は角形状で、内部に空間が設けられ、貯蔵容器本体13と密閉可能な蓋14を溶融成形する際、鉛が10〜50重量%混入された鉛ガラス10を50μm以下に粉砕し30〜40重量%混入した保管容器12であり、積層パラフィン紙15で構成された容器内には、放射性物質を含む焼却灰5を含む溶融成形されたプラスチック配合物6が収納される。
図4に示す積層パラフィン紙15で構成された別の容器は、請求項9で使用される保管方法を説明する物で、積層パラフィン紙15で構成された容器内には、放射性物質を含む焼却灰5を混入し金型の中で直ちに冷却しながら溶融成形されたプラスチック配合物6が収納され、接合部16により密閉され防水機能を果たす。
1 プラスチック配合物で成形した保管容器
2 貯蔵容器本体
3 密閉可能な蓋
4 内部空間
5 放射性物質を含む焼却灰
6 プラスチック配合物
7 プラスチック配合物で成形した保管容器
8 貯蔵容器本体
9 密閉可能な蓋
10 鉛ガラス
11 内部空間
12 保管容器
13 貯蔵容器本体
14 密閉可能な蓋
15 積層パラフィン紙
16 接合部
2 貯蔵容器本体
3 密閉可能な蓋
4 内部空間
5 放射性物質を含む焼却灰
6 プラスチック配合物
7 プラスチック配合物で成形した保管容器
8 貯蔵容器本体
9 密閉可能な蓋
10 鉛ガラス
11 内部空間
12 保管容器
13 貯蔵容器本体
14 密閉可能な蓋
15 積層パラフィン紙
16 接合部
Claims (9)
- 未硬化のプラスチック素材又は、混合割合がポリオレフイン系樹脂60〜80重量%、ポリエチレンテレフタレート40〜20重量%である溶融混練用廃プラスチック配合物に、洗濯用粉末合成洗剤と片栗粉の混合割合が洗濯用粉末合成洗剤10〜90重量%、片栗粉90〜10重量%の合成物をプラスチック配合物全量に対して5〜15重量%添加し、溶融混練性の向上と潤滑効果を高めたことを特徴とするプラスチック配合物。
- 混合割合がポリオレフイン系樹脂60〜80重量%、ポリエチレンテレフタレート40〜20重量%である溶融混練用廃プラスチック配合物は、プラスチック配合物全量に対して、ポリオレフイン系樹脂及びポリエチレンテレフタレートの含有量が20〜40重量%であることを特徴とする請求項1に記載のプラスチック配合物。
- 上記プラスチック配合物は、異種の廃プラスチックを1種以上含むことを特徴とする請求項1〜請求項2に記載のプラスチック配合物。
- 上記プラスチック配合物は、熱硬化性樹脂を1〜10重量%含有することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のプラスチック配合物。
- 上記プラスチック配合物に、セシウムから放出される放射性物質を含む焼却灰を30〜40重量%混入し、溶融温度を200〜320℃の範囲でスクリュー回転数を65〜140rpmの範囲で調整し、押出機を用いて溶融混練したプラスチック配合物を金型に注入し、金型の中で直ちに冷却し、円柱形状又は角柱形状に溶融成形することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のプラスチック配合物による廃棄物の処理物。
- 上記プラスチック配合物に、放射性物質を含まない焼却灰又は、150μm以下に粉砕した瓦礫を30〜40重量%混入し、任意の形状に溶融成形することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のプラスチック配合物による廃棄物の処理物。
- 貯蔵容器本体と密閉可能な蓋で構成された外形が円形状又は角形状で、内部に請求項5記載の円柱形状又は角柱形状で溶融成形されたプラスチック配合物による廃棄物の処理物 を収納する空間が設けられたプラスチック配合物で成形した保管容器において、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のプラスチック配合物を用いて貯蔵容器本体と密閉可能な蓋を溶融成形することを特徴とする保管容器。
- 貯蔵容器本体と密閉可能な蓋で構成された外形が円形状又は角形状で、内部に請求項5記載の円柱形状又は角柱形状で溶融成形されたプラスチック配合物による廃棄物の処理物を収納する空間が設けられたプラスチック配合物で成形した保管容器において、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のプラスチック配合物に、鉛が10〜50重量%混入された鉛ガラスを50μm以下に粉砕し、プラスチック配合物全量に対して30〜40重量%混入し、貯蔵容器本体と密閉可能な蓋を溶融成形することを特徴とする保管容器。
- 請求項7又は請求項8記載の保管容器内の内部空間に、積層パラフィン紙で構成された別の容器を収納し、積層パラフィン紙で構成された容器内に、請求項5記載の円柱形状又は角柱形状の溶融成形されたプラスチック配合物を収納することを特徴とする保管方法。
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