JP5187063B2 - 発光素子 - Google Patents

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Description

この発明は発光素子に関する。
特開平11−191641号公報 特開平9−293905号公報
半導体発光素子は、AlGaInPやInAlGaNなどを基本材料とする高輝度タイプのものが開発されてきたが、材料及び素子構造の長年にわたる進歩の結果、素子内部における光電変換効率が理論上の限界に次第に近づきつつある。従って、一層高輝度の素子を得ようとした場合、素子からの光取出し効率が極めて重要となる。光取出し効率を高めるために、一般的に採用されている方法として、発光素子チップの周囲を屈折率の高い樹脂によりモールドする手法を例示できる。具体的には、特許文献1のように、エポキシ樹脂で素子チップを覆った発光素子が広く知られている。この場合、素子チップの底面(第二主表面)を発光駆動端として用いるために、該底面をAgペースト等の導電性接着層を介して金属ステージに接着する一方、光取出面をなす上面(第一主表面)側は、該上面の一部を覆う光取出側電極(ボンディングパッド)に通電用のワイヤーをワイヤボールを介してボンディングし(特許文献2参照)、周囲をエポキシ樹脂等の高屈折率の樹脂で覆ってモールドする。
ところで、素子チップを樹脂でモールドした場合、多くの樹脂は発光駆動時の温度上昇や、使用環境温度の昼夜の寒暖差、あるいは真夏の直射日光照射などの影響により膨張を起す。この膨張時に、電極とこれに接合されたワイヤーボンド部との間に剪断応力が繰り返し作用し、ワイヤーボンド部が電極から剥離しやすい欠点がある。この問題を解消するために、モールドに使用する樹脂を硬質のエポキシ樹脂から可撓性に富むシリコーン樹脂に変更する試みもなされているが、樹脂変更による応力緩和には限界がある。
本発明の課題は、光取出側電極の接合強度を高め、ひいては、樹脂モールド状態で繰返し応力が作用しても、ワイヤーボンド部が電極から剥離しにくい構造の発光素子を提供することにある。
課題を解決するための手段及び発明の効果
上記の課題を解決するために、本発明の発光素子は、
化合物半導体の積層体からなり、該積層体の一方の主表面の一部が通電用の光取出側金属電極により被覆され、主表面の光取出側金属電極の周囲領域が光取出面とされるとともに、該光取出面をなす化合物半導体層である光取出側化合物半導体層の表層部において、光取出側金属電極の形成領域に凹部が分散形成され、光取出側金属電極が該凹部の内面を、その凹部の開口周囲領域とともに密着被覆してなり、凹部が前記光取出面にも分散形成されてなり、光取出面において凹部の内表面に異方性エッチング処理による面粗し突起部がさらに分散形成されてなり、凹部は複数の孔として散点状に分散形成されてなり、光取出側金属電極は、凹部内面に密着しているのと反対側の主表面に凹部に対応する形状の電極凹部を有することを特徴とする。
また、本発明の発光素子に関連する製造方法は、
化合物半導体の積層体の光取出面側となる主表面の、通電用の光取出側金属電極の形成予定領域に凹部を分散形成する凹部形成工程と、該形成予定領域にて凹部の内面及びその開口周囲領域を、光取出側金属電極により密着被覆する光取出側金属電極形成工程とをこの順で実施することが想定される。
上記本発明によると、発光素子を構成する積層体の光取出側の主表面において、光取出側金属電極の形成領域に凹部を分散形成し、該凹部の内面をその開口周囲領域とともに密着被覆する形で光取出側金属電極を形成するようにした。これにより、予め光取出側化合物半導体層の表層部に形成した凹部内に食い込む形で光取出側金属電極が形成され、密着面積が増大する結果、電極の接合強度を大幅に高めることができる。また、光取出側金属電極にワイヤーボンド部を接合してモールドし、その状態で熱サイクル等による繰り返し剪断応力が両者の間に作用しても、電極が凹部内に入り込んでいわゆるアンカー効果を生じ、剥離等を生じにくい。
凹部は複数の孔として光取出側金属電極の形成領域に散点状に分散形成することができる。これにより、凹部を光取出面に一様に形成でき、凹部の形成密度や個々の凹部の寸法の調整も容易である。このような孔は、レーザービームにより穿孔形成することができる。レーザービームの採用により、寸法や深さの揃った多数の孔を迅速に形成でき、また、ビーム出力やビーム径により個々の孔の寸法や深さも容易に調整できる。
一方、上記の凹部を乾式エッチング(例えば、イオンエッチング等)により形成することも可能である。この場合、光取出側化合物半導体層の主表面を適当なエッチングレジストで被覆し、露光・現像により凹部の形成領域に対応する窓部をパターニング形成し、その後、乾式エッチングを施すことにより、凹部を一括して形成することができる。
上記のレーザービーム穿孔ないし乾式エッチングにより凹部を形成したとき、凹部内面に変質層(化合物の組成変質層や酸化層)が残留することがある。このような変質層が形成されると、光取出側電極との密着性が阻害される場合があるので、該変質層を湿式エッチングにより除去し、その後、光取出側金属電極を形成することが望ましい。
光取出側金属電極は、凹部の深さよりも小さい厚みを有するものとして形成できる。この場合、該凹部の内面形状に倣う形で光取出側金属電極が形成されると、該光取出側金属電極の凹部内面に密着しているのと反対側の主表面に、該凹部に対応する形状の電極凹部が生ずる。そして、このような光取出側金属電極の主表面に素子通電用ワイヤーをボンディングするためのワイヤーボンド部を接合すると、該ワイヤーボンド部は上記の電極凹部を充填する形で光取出側金属電極に密着接合される。つまり、下地の化合物半導体層の凹部形状を電極表面に電極凹部として転写し、これにワイヤーボンド部の接合側部分を充填する形でボンディングを行なうことで、ワイヤーボンド部が電極凹部に、ひいては光取出側金属電極を介して光取出側化合物半導体層の凹部内に大きく食い込み、アンカー効果は一層高められる。例えば、ワイヤーボンド部をボンディング後、周知のシェアテストを実施すると、破断モードをボンド部/チップ間の界面剥離破断から、ボンド部内破断モード(例えば凹部食込部の付け根位置での破断)へ遷移させることができ、剪断接合強度が大幅に向上する。
上記の凹部は光取出面にも分散形成することができる。光取出面に形成した凹部は光取出側電極ないしワイヤーボンド部の接合強度向上には寄与しないが、光取出面の総面積が凹部を形成する分だけ増大し、光取出効率の向上を図ることができる。
この場合、凹部は、電極形成領域及びその周囲の光取出面との双方、すなわち光取出側化合物半導体層の主表面全面に形成することになる。そこで、積層体として形成された化合物半導体ウェーハの主表面の全面に凹部を分散形成し、該凹部を形成後の化合物半導体ウェーハの各素子チップとなる領域に光取出側金属電極を個別に形成し、その後、化合物半導体ウェーハを素子チップにダイシングする工程を採用すると効率的である。また、凹部をウェーハひいては素子の全面に渡って一様に形成するには、凹部を所定の配列パターンに従って形成することが当然望ましい。この場合、凹部は、光取出側化合物半導体層の主表面に対し、光取出側金属電極による被覆領域と光取出面とにまたがる所定方向に沿って配列形成される形となる。
次に、光取出面に形成する凹部の内表面には、異方性エッチング処理による面粗し突起部をさらに分散形成することができる。このような発光素子は、凹部形成工程にて凹部を光取出面にも分散形成するとともに、光取出側金属電極形成工程の終了後、該光取出側金属電極により被覆されてない光取出面の凹部の内表面に異方性エッチング処理を実施することにより面粗し突起部をさらに分散形成する異方性エッチング工程を実施して製造することができる。
上記の構成によると、光取出面を平坦に形成する場合と比較して、面粗し対象面の総面積が凹部を形成する分だけ増大し、これにさらに面粗し突起部を重畳形成することによって、面粗し突起の総形成量を増加させることができる。その結果、異方性エッチングによる面粗し処理のみを行なう従来の手法と比較して、素子の光取出面積をより拡大することができ、ひいては光取出効率の更なる向上を図ることができる。
上記のレーザービーム穿孔ないし乾式エッチングにより光取出面に凹部を形成したとき、この凹部内面に前述の変質層が残留すると、面粗しのための異方性エッチング処理が阻害される場合があるので、光取出面に凹部についても該変質層を湿式エッチングにより除去し、その後、当該凹部の内面を異方性エッチング処理することが望ましい。
面粗し突起部が、光取出面の凹部の開口周をなす領域にも分散形成することができる。また、光取出側化合物半導体層の凹部が非形成となる側面部にも、異方性エッチング処理による面粗し突起部を分散形成することができる。これにより、凹部の開口周領域ないし光取出側化合物半導体層の側面部における光取出効率をそれぞれ向上でき、素子全体の発光輝度をより高めることができる。
光取出面への凹部の形成は、前述のごとく、発光素子ウェーハ(つまり、素子チップへのダイシング前)の状態で、その主表面全面に分散形成することが効率的である。面粗し突起部を凹部の内面以外(特に、チップ側面部)にも形成したい場合は、発光素子ウェーハを素子チップにダイシング後、個々の素子チップを異方性エッチング液に浸漬して凹部の内面に異方性エッチング処理を行なうようにする効率的である。
発光素子を構成する上記の積層体は、発光層部と、該発光層部に積層されるとともに該発光層部よりも厚みの大きい電流拡散層とを含むものとして構成できる。電流拡散層の形成により、素子面内の電流拡散効果向上と層側面からの光取出効率向上とを図ることができる。この場合、この電流拡散層を光取出側化合物半導体層とすることで、十分な深さの凹部を容易に形成できる。また、面粗し突起部をさらに形成することで素子全体の発光輝度向上に大きく貢献する。
上記の発光層部は、例えは、組成式(AlGa1−xIn1−yP(ただし、0≦x≦1,0≦y≦1)にて表される化合物のうち、GaAsと格子整合する組成を有する化合物にて各々構成された第一導電型クラッド層、活性層及び第二導電型クラッド層がこの順序で積層されたダブルへテロ構造を有するものとして形成できる。また、電流拡散層は、厚さ10μm以上のGaP光取出層として形成することができる。
(AlGa1−xIn1−yP混晶(ただし、0≦x≦1,0≦y≦1;以下、AlGaInP混晶、あるいは単にAlGaInPとも記載する)により発光層部が形成された発光素子は、薄いAlGaInP活性層を、それよりもバンドギャップの大きいn型AlGaInPクラッド層とp型AlGaInPクラッド層とによりサンドイッチ状に挟んだダブルへテロ構造を採用することにより、例えば緑色から赤色までの広い波長域にて高輝度の素子を実現できる。そして、電流拡散層を、GaPにより一定以上(すなわち、10μm以上)に厚みを増加した光取出層として形成すれば、素子面内の電流拡散効果が向上するばかりでなく、層側面からの光取出量も増加するので、光取出効率をより高めることができるようになる。光取出層は、発光光束を効率よく透過させ、光取出し効率を高めることができるよう、発光光束の光量子エネルギーよりもバンドギャップエネルギーの大きい化合物半導体で形成する必要がある。特にGaPはバンドギャップエネルギーが大きく発光光束の吸収が小さいので、AlGaInP系発光素子の光取出層として好適である。
なお、本発明の適用対象となる発光素子はAlGaInP系に限定されず、例えば、GaAs系、AlGaAs系、GaP系、InAlGaN系あるいはMgZnO系等、他の種々の発光素子についても同様に本発明を適用可能である。
なお、光取出面に形成する凹部は、面粗し突起部を分散形成する場合は、凹部の凹部内空間体積を面粗し突起部の体積よりも大きく設定する必要がある。GaP光取出層に凹部を複数の孔として散点状に分散形成する場合、該孔の開口径(円形以外の開口を有する場合は、同面積の円の直径に換算した値とする)を1μm以上50μm以下、孔深さを0.5μm以上25μm以下に形成するとよい。また、異方性エッチングにより形成する面粗し突起部は、該孔の内面に平均的な高さが0.1μm以上5μm以下となるように形成するとよい。
この場合、GaP光取出層の主表面(光取出面となる)を(100)面とし、該(100)面からなるGaP光取出層の主表面に前述の凹部を分散形成した後、さらに、酢酸と弗酸と硝酸とヨウ素と水とを、その合計が90質量%以上となるように含有し、酢酸と弗酸と硝酸とヨウ素との合計質量含有率が水の質量含有率よりも高い異方性エッチング液にてエッチングすることにより面粗し突起部を形成するとよい。このような異方性エッチング液を用いることで、異方性エッチング的な原理による凹凸形成が顕著に進行し、ひいてはGaP光取出層に面粗し突起部を効率よく安価に形成することができる。酢酸と弗酸と硝酸とヨウ素と水の合計は90質量%以上であり、これ以下の含有率では面粗し突起部を効率良く形成できない。また、酢酸と弗酸と硝酸とヨウ素との合計質量含有率が水の質量含有率より低くなっても、同様に面粗し突起部を効率良く形成できない。なお、酢酸と弗酸と硝酸とヨウ素と水との合計を100質量%から差し引いた残部は、(100)面上でのGaPに対する異方性エッチング効果が損なわれない範囲内で、他の成分(例えば酢酸以外のカルボン酸等)で占められていてもよい。
異方性エッチング液は、
酢酸(CHCOOH換算):37.4質量%以上94.8質量%以下、
弗酸(HF換算):0.4質量%以上14.8質量%以下、
硝酸(HNO換算):1.3質量%以上14.7質量%以下、
ヨウ素(I換算):0.12質量%以上0.84質量%以下
の範囲で含有し、かつ、水の含有量が2.4質量%以上45質量%以下のものを採用するのがよい。いずれの成分も上記組成の範囲外になると、GaP単結晶の(100)面に対する異方性エッチング効果が十分でなくなり、GaP光取出層の第一主表面へ面粗らし突起部を十分に形成できなくなる。異方性エッチング液は、より望ましくは、
酢酸(CHCOOH換算):45.8質量%以上94.8質量%以下、
弗酸(HF換算):0.5質量%以上14.8質量%以下、
硝酸(HNO換算):1.6質量%以上14.7質量%以下、
ヨウ素(I換算):0.15質量%以上0.84質量%以下
の範囲で含有し、かつ、水の含有量が2.4質量%以上32.7質量%以下のものを採用するのがよい。すなわち、GaP単結晶の(100)面に対する異方性エッチング効果を高めるには、特に水の含有量を上記のように少なく留め、かつ、酸主溶媒の機能を水ではなく酢酸に担わせることが重要であるともいえる。
以下、本発明の実施の形態を添付の図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態である発光素子100を示す概念図である。発光素子100は、発光層部24と、該発光層部24の第一主表面側に形成されたGaP光取出層(ここではp型)20とを有する。また、発光層部24の第二主表面側にはGaP透明基板90が配置されている。発光層部24は、ノンドープ(AlGa1−xIn1−yP(ただし、0≦x≦0.55,0.45≦y≦0.55)混晶からなる活性層5を、p型(AlGa1−zIn1−yP(ただしx<z≦1)からなるp型クラッド層(第一導電型クラッド層)6とn型(AlGa1−zIn1−yP(ただしx<z≦1)からなるn型クラッド層(第二導電型クラッド層)4とにより挟んだ構造を有する。図1の発光素子100では、第一主表面側(図面上側)にp型AlGaInPクラッド層6が配置されており、第二主表面側(図面下側)にn型AlGaInPクラッド層4が配置されている。なお、ここでいう「ノンドープ」とは、「ドーパントの積極添加を行なわない」との意味であり、通常の製造工程上、不可避的に混入するドーパント成分の含有(例えば1×1013〜1×1016/cm程度を上限とする)をも排除するものではない。この発光層部24はMOVPE法により成長されたものである。n型クラッド層4及びpクラッド層6の厚さは、例えばそれぞれ0.8μm以上4μm以下(望ましくは0.8μm以上2μm以下)であり、活性層5の厚さは例えば0.4μm以上2μm以下(望ましくは0.4μm以上1μm以下)である。発光層部24全体の厚さは、例えば2μm以上10μm以下(望ましくは2μm以上5μm以下)である。
次に、GaP光取出層20(光取出側化合物半導体層)は、10μm以上200μm以下(望ましくは40μm以上200μm以下:本実施形態では例えば100μm)の厚膜に形成され、図1に示すように、その第一主表面の一部(ここでは中央部)を覆う形で光取出側金属電極9が形成され、その周囲の主表面領域が光取出面20pとされている。
GaP光取出層20の第一主表面において光取出側金属電極9の被覆領域には凹部としての孔LPが散点状に分散形成され、光取出側金属電極9が各孔LPの内面を、その開口周囲領域とともに密着被覆している。光取出側金属電極9には、ワイヤーボンド部16を介して電極ワイヤー17の一端が接合されている。また、光取出側金属電極9とGaP光取出層20との間には、AuBe合金等からなる接合合金化層9aが孔LPの内面に倣う形状に形成されている。ワイヤーボンド部16は、特許文献2に開示されているごとく、キャピラリ先端から突出するワイヤーの先端に火花放電によりワイヤーボールを形成し、これをキャピラリ先端面にて光取出側金属電極9(ボンディングパッド)に押し付けつつ、例えばサーモソニック法等により溶着することにより形成される。
GaP光取出層20(光取出側化合物半導体層)の表層部に形成した孔LP内に食い込む形で光取出側金属電極9が形成されることで、光取出側金属電極9とGaP光取出層20との密着面積が増大する結果、電極の接合強度を大幅に高めることができる。また、光取出側金属電極9にワイヤーボンド部16を接合して素子全体をモールドし、その状態で熱サイクル等による繰り返し剪断応力が両者の間に作用しても、電極が孔LP内に入り込んでいわゆるアンカー効果を生じ、剥離等を生じにくい。
図2、図3及び図4に、図1にて各破線で囲んだA部、B部及びC部の拡大模式図を示す。光取出側金属電極9は、孔LPの深さdよりも小さい厚みに形成されている。該孔LPの内面形状に倣う形で光取出側金属電極9が形成されると、該光取出側金属電極9の孔LP内面に密着しているのと反対側の主表面に、該孔LPに対応する形状の電極凹部LPFが生ずる。ワイヤーボンド部16は加熱軟化した状態で電極凹部LPFに向けて加圧され、電極凹部LPF内への塑性流動を生じつつ接合される。その結果、ワイヤーボンド部16は上記の電極凹部LPFを充填する形で光取出側金属電極9に密着接合される。つまり、下地の化合物半導体層の孔LP形状を電極表面に電極凹部LPFとして転写し、これにワイヤーボンド部16の接合側部分を充填する形でボンディングを行なうことで、ワイヤーボンド部16が電極凹部LPFひいては光取出側金属電極9を介して光取出側化合物半導体層の孔LP内に大きく食い込み、アンカー効果が一層高められる。例えば、ワイヤーボンド部16に対して周知のシェアテストを実施すると、破断モードをボンド部/チップ間の剥離破断から、孔LPより上方でのボンド部内破断モードへ遷移させることができ、剪断接合強度が大幅に向上する。孔LP形成による剪断強度向上効果を十分に高めるため、孔LPの深さdは0.5μm以上確保しておくことが有効である。
次に、図1に示すように、光取出面20pにも、光取出側電極9の被覆領域に形成したのと同様の孔LPが多数分散形成されている。孔LPは、光取出面20pと光取出側電極9の被覆領域とにまたがる形で、縦横2方向に一定間隔で格子状に配列形成されている。そして、図2及び図3に示すように、光取出面20pに開口する孔LPの内表面には、異方性エッチング処理による面粗し突起部Fが一様に分散形成されている。また、該面粗し突起部Fは、光取出面20pの孔LPの開口周をなす領域PAにも分散形成されている。さらに、図2及び図4に示すように、GaP光取出層20及びGaP透明基板90の孔LPが非形成となる側面部SSにも面粗し突起部Fが分散形成されている。
GaP光取出層20は上記のように厚く形成されることで、光取出側金属電極9を介した通電による発光駆動電流を素子面内に拡散させ、発光層部24を面内にて均一に発光させる電流拡散層としての機能を果たす。また、層側面部SSからの取出光束も増加させ、発光素子全体の輝度(積分球輝度)を高める役割を担う。GaPは活性層5をなすAlGaInPよりもバンドギャップエネルギーが大きく、発光光束の吸収が抑制されている。
そして、光取出面20pの総表面積が孔LPを形成する分だけ増大し、これにさらに面粗し突起部Fを重畳形成することによって、孔LPを形成しない場合と比較して面粗し突起部Fの総形成量が増加する。その結果、素子の光取出面積をより拡大することができ、ひいては光取出効率の更なる向上を図ることができる。また、図2及び図4に示すように、側面部SSにも同様の面粗し突起部Fが形成され、該側面からの光取出効率も向上している。なお、図3に示すように、光取出側金属電極9に被覆されている領域では、孔LPの内面に面粗し突起部Fは形成されていない。
本実施形態にてGaP光取出層20はHVPE法により成長されたものである(MOVPE法でもよい)。なお、GaP光取出層20と発光層部24との間には、GaP層からなる接続層20Jが、発光層部24に続く形でMOVPE法により形成されてなる。なお、接続層20Jは、AlGaInPからなる発光層部24と、GaP光取出層20との間で、格子定数差(ひいては混晶比)を漸次変化させるAlGaInP層としてもよい。なお、GaP光取出層20はHVPE法によるエピタキシャル成長層とする代わりに、GaP単結晶基板の貼り合わせにより形成することも可能である。
また、GaP透明基板90はGaP単結晶基板の貼り合わせにより形成されたものであり(HVPE法によるエピタキシャル成長層としてもよい:符号91は、AlGaInPからなる接続層である)、第二主表面の全面がAu電極等からなる裏面電極15にて覆われている。GaP透明基板90の結晶方位は、発光層部24と一致させてある(つまり、オフアングル角度を合わせてある)。GaP透明基板90の厚さは例えば10μm以上200μm以下である。裏面電極15は、発光層部24からGaP透明基板90を透過して到来する発光光束に対する反射層を兼ねており、光取出し効率の向上に寄与している。また、裏面電極15とGaP透明基板90との間には、両者の接触抵抗を低減するためのAuGeNi合金等からなる接合合金化層15cが散点状に分散形成されている。GaP光取出層20及びGaP透明基板90は、いずれも、ドーパント濃度が5×1016/cm以上2×1018/cm以下に調整されている(なお、接合合金化層9aの直下に、接触抵抗を高めるための高濃度ドーピング領域が形成される場合は、これを除いた領域のドーパント濃度を意味する)。
GaP光取出層20の主光取出領域(第一主表面)20pは、凹凸をならした基準平面が、GaP単結晶の(100)面とほぼ一致しており(ただし、1゜以上25゜以下(例えば15°)のオフアングルが付与されていてもよい)、面粗し突起部Fは、図5に示すように、平坦な(100)結晶主表面を後述の異方性エッチング液と接触させることにより異方性エッチングして形成したものである。また、側面部SS(図1)も同様に{100}面とほぼ一致する面となっている。
図6Aに示すように、面粗し突起部Fの外面は、GaP単結晶の化学的な異方性エッチング特性により、{111}面を主体に(突起部表面の50%以上)形成される。異方性エッチングが理想的に進行すれば、{100}面上の面粗し突起部Fは、図6Bに示すごとく面方位の異なる4つの{111}面に囲まれたピラミッド状の外観形態をなすが、実際には種々の要因により、半球状(図6B)、楕円体状(図6C)、円錐状(図6D)、キノコ状(図6E)、三角錐状(図6F)など、さまざまな突起形態が生じうる。なお、突起部の平均的な高さは例えば0.1μm以上5μm以下であり、突起部の平均間隔は0.1μm以上10μm以下である。そして、これを形成する孔LPは、例えば開口径が1μm以上50μm以下、開口深さが0.5μm以上25μm以下であり、配列間隔が0.1μm以上20μm以下である。
以下、図1の発光素子100の製造方法について説明する。
まず、図7の工程1に示すように、成長用基板として、主表面が(100)面のGaAs単結晶基板1を用意する。次に、工程2に示すように、その基板1の主表面に、n型GaAsバッファ層2を例えば0.5μmエピタキシャル成長し、さらにAlGaInP接続層91(4μm)を成長し、次いで、発光層部24として、各々(AlGa1−xIn1−yPよりなる、厚さ1μmのn型クラッド層4(n型ドーパントはSi)、厚さ0.6μmの活性層(ノンドープ)5及び厚さ1μmのp型クラッド層6(p型ドーパントはMg:有機金属分子からのCもp型ドーパントとして寄与しうる)を、この順序にてエピタキシャル成長させる。p型クラッド層6とn型クラッド層4との各ドーパント濃度は、例えば1×1017/cm以上2×1018/cm以下である。さらに、図8の工程3に示すように、p型クラッド層6上に接続層20Jをエピタキシャル成長する。
上記各層のエピタキシャル成長は、公知のMOVPE法により行なわれる。Al、Ga、In(インジウム)、P(リン)の各成分源となる原料ガスとしては以下のようなものを使用できる;
・Al源ガス;トリメチルアルミニウム(TMAl)、トリエチルアルミニウム(TEAl)など;
・Ga源ガス;トリメチルガリウム(TMGa)、トリエチルガリウム(TEGa)など;
・In源ガス;トリメチルインジウム(TMIn)、トリエチルインジウム(TEIn)など。
・P源ガス:トリメチルリン(TMP)、トリエチルリン(TEP)、ホスフィン(PH)など。
工程4に進み、p型GaPよりなるGaP光取出層20を、HVPE法により成長させる。HVPE法は、具体的には、容器内にてIII族元素であるGaを所定の温度に加熱保持しながら、そのGa上に塩化水素を導入することにより、下記(1)式の反応によりGaClを生成させ、キャリアガスであるHガスとともに基板上に供給する。
Ga(液体)+HCl(気体) → GaCl(気体)+1/2H‥‥(1)
成長温度は例えば640℃以上860℃以下に設定する。また、V族元素であるPは、PHをキャリアガスであるHとともに基板上に供給する。さらに、p型ドーパントであるZnは、DMZn(ジメチルZn)の形で供給する。GaClはPHとの反応性に優れ、下記(2)式の反応により、効率よくGaP光取出層20を成長させることができる:
GaCl(気体)+PH(気体)
→GaP(固体)+HCl(気体)+H(気体)‥‥(2)
GaP光取出層20の成長が終了したら、図9の工程5に進み、GaAs基板1をアンモニア/過酸化水素混合液などのエッチング液を用いて湿式エッチングすることにより除去する。そして、工程6に進み、GaAs基板1が除去された発光層部24の第二主表面側(接続層91の第二主表面である)に、別途用意されたn型GaP単結晶基板を貼り合わせてGaP透明基板90とし、発光素子ウェーハWを得る。
以上の工程が終了すれば、図10の工程7に示すように、発光素子ウェーハWに対し、GaP光取出層20の第一主表面にレーザービームLBを、位置を変えつつ順次照射することにより複数の孔LPを分散形成する。孔LPの配列形態は特に限定されず、格子状、千鳥状、同心円状あるいは渦巻状など各種採用でき、形成すべき孔LPの配列方向におけるレーザービームLBと発光素子ウェーハWとの相対的な移動・停止を繰り返しつつ、レーザービームLB断続的に照射することにより、所期のパターンに孔LPを配列形成できる。例えば、発光素子ウェーハWを固定し、レーザービームLBを走査移動する形で孔LPを形成する方法を例示できるが、レーザービームLBを固定し、発光素子ウェーハWを移動させてもよい。
なお、図11に示すように、レーザービームLBにより穿孔形成した孔LPの内面には、化合物組成が化学量論比からシフトした組成変質層(例えば、GaP光取出層20の場合は、P組成が学量論比よりも少なくなるP欠乏層)や酸化膜が変質層DLとして残留する場合がある。そこで、図13に示すように、該組成変質層を湿式エッチングにより除去する。エッチング液SEAとしては硫酸−過酸化水素水溶液を使用できる。具体的には、例えば濃硫酸(硫酸濃度98%):過酸化水素水(過酸化水素濃度30%):水の体積配合比率が3:1:1のものを使用でき、液温は30℃以上70℃以下に調整するのがよい。なお、酸化膜を除去するだけであれば、フッ化水素酸を用いてもよい。
図10に戻り、GaP光取出層20の第一主表面及びGaP透明基板90の第二主表面に電極パターニング用のフォトレジスト層を形成し、露光・現像により電極用の窓部をパターニングする。そして、その上から接合合金化層形成用の金属層をスパッタリングや真空蒸着法により形成し、フォトレジスト層とともに不要な蒸着金属をリフトオフし、さらに合金化の熱処理(いわゆるシンター処理)を行なうことにより、接合合金化層9a,15c(図1参照;図10では表示を省略)とする。そして、これら接合合金化層9a,15cをそれぞれ覆うように、光取出側金属電極9及び裏面電極15を形成する(工程8)。GaP光取出層20の第一主表面側では、スパッタリングないし蒸着により孔LPの内面にも一様に金属が付着し(特に、スパッタリングを用いた場合は、孔LPの内側面にも比較的均一な厚みにて金属を堆積させることができる)、孔LPの内面に倣う形状に接合合金化層9a及び光取出側金属電極9が形成される。
続いて工程9に進み、発光素子ウェーハWを2つの<100>方向に沿ってダイシングすることにより、個々の素子チップ100’にダイシングする。本実施形態では、発光素子ウェーハWの第二主表面(裏面)に柔軟性を有した樹脂製の粘着シートASを貼り付け、第一主表面側からウェーハ厚さの途中位置までハーフダイシングを行い、その後、粘着シートASを展張して素子チップ100’に分離するエキスパンド処理を行なうようにしているが、フルダイシングを行なうようにしてもよい。なお、該ダイシング時には、各素子チップの側面部に、結晶欠陥密度の比較的高い加工ダメージ層が形成され、これが後述の面粗し処理を阻害する場合がある。そこで、ダイシング後の素子チップを、前述の硫酸−過酸化水素水溶液からなるエッチング液に浸漬して上記加工ダメージ層を除去することが望ましい。
続いて、工程10に示すように、個々の素子チップ100’を異方性エッチング液EAに浸漬して異方性エッチング処理を行なう。異方性エッチング液EAは、素子チップ100’の金属電極9,15に覆われていない表面領域、具体的には、光取出面20pと側面部SSとの双方に接触する。その結果、各孔LPの内面及びその開口周囲領域と側面部SSの全体とに面粗し突起部Fが形成される。なお光取出面20及び側面部SSへの面粗し突起部Fの形成は省略することも可能である。
異方性エッチング液は、酢酸と弗酸と硝酸とヨウ素とを含有する水溶液であり、具体的には、
酢酸(CHCOOH換算):37.4質量%以上94.8質量%以下、
弗酸(HF換算):0.4質量%以上14.8質量%以下、
硝酸(HNO換算):1.3質量%以上14.7質量%以下、
ヨウ素(I換算):0.12質量%以上0.84質量%以下
の範囲で含有し、かつ、水の含有量が2.4質量%以上45質量%以下のもの、より望ましくは、
酢酸(CHCOOH換算):45.8質量%以上94.8質量%以下、
弗酸(HF換算):0.5質量%以上14.8質量%以下、
硝酸(HNO換算):1.6質量%以上14.7質量%以下、
ヨウ素(I換算):0.15質量%以上0.84質量%以下
の範囲で含有し、かつ、水の含有量が2.4質量%以上32.7質量%以下のものを採用する。液温は40℃以上60℃以下が適当である。
面粗し突起部Fの形成が終了すれば素子チップを水洗・乾燥し、さらに、ワイヤボンディングを経て図1の発光素子が完成する。
以下、本発明の発光素子の、種々の変形例について説明する。
孔LPは、図11に示すように、レーザービームLBを用いるとほぼ円状の開口形状を有するものが形成可能である。他方、図12に示すように、GaP光取出層20(光取出側化合物半導体層)をエッチングレジストERで被覆し、露光・現像により孔LPの形成領域に対応する窓部をパターニング形成し、その後、乾式エッチングを施すことにより、孔LPを一括して形成することも可能である。乾式エッチングを用いる場合も、孔LP内面には変質層DLを生ずることがあり、図13と同様に、該組成変質層を湿式エッチングにより除去することが望ましい。
この場合、窓部のパターニング形状に応じて所望の開口形態の孔LPを形成できる。図14は、方形の開口形状を有する孔LPを格子状に配列形成した例である。このとき、孔LPの内壁面が互いに直交する{100}面(すなわち、ウェーハの主表面が(100)面であれば、(010)面と(001)面)となるように、発光素子ウェーハに対する孔LPの形成方位を定めておくと、孔LPの底面及び側面がいずれも異方性エッチングに有利な{100}面となり、面粗し突起部をより顕著に形成することができる。
また、孔に代え、図15に示すように、所定間隔で配列する溝LGを凹部として形成することも可能である。図16ではこのような溝LGの組を互いに交差する2方向に格子状に形成した例を示す。溝LGも乾式エッチングによりパターニング形成できるほか、レーザービームを溝形成方向に移動させながら連続照射することにより形成してもよい。ここでも、内壁面が{100}面となるように溝LGを形成することができる。
図17は、光取出面20pへの孔LPの形成を省略した発光素子の例を示す。この場合、光取出面20p(あるいは側面部SS)には、面粗し突起部Fを形成しても、形成しなくともいずれでもよい。また、図18は、不透明基板であるGaAs基板1を敢えて除去せず、そのまま素子基板として流用した発光素子の例を示す。いずれも、その余の点については、図1の発光素子と全く同一であり、共通部に同一の符号を付与して詳細な説明は略する。
次に、図19は、発光素子ウェーハの第一主表面をなす、HVPE法により成長したGaP光取出層の主表面に、レーザービーム穿孔(レーザー出力:約100mW)により孔を同心円状の形成した例を示す光学顕微鏡撮影画像である(倍率:約100倍)。ウェーハの直径は50mmであり、左はウェーハ中心付近を、右は同じく外周付近を示す。図20は孔の一つを拡大して示すものであり、孔の開口径は約11μm、深さは約4.0μmである。
図21は、右下がGaP光取出層への孔形成(レーザー穿孔)と異方性エッチング(フロスト)とをいずれも行なわない発光素子チップ(番号4)、右上がレーザー穿孔のみを行なった発光素子チップ(番号3)、左下が異方性エッチング(フロスト)のみを行なった発光素子チップ(番号2)、左上がレーザー穿孔後、さらに異方性エッチング(フロスト)を行なった発光素子チップ(番号1)をそれぞれ示す光学顕微鏡観察画像である。レーザー穿孔により形成した孔の深さは約6.0μmであり、それぞれ、JIS−B0601(1994)に規定された方法により測定した主表面の算術平均粗さRaの値も合わせて図示している。レーザー穿孔のみを行なった発光素子チップと比較して、さらに異方性エッチング処理を追加することで、算術平均粗さRaの値が若干低くなっていることがわかる。また、異方性エッチング処理は、酢酸81.7質量%、弗酸5質量%、硝酸5質量%、ヨウ素0.3質量%、水8質量%の組成からなるエッチング液を用い、液温は例えば25℃にて150秒行なっている。
上記の番号3及び番号4の各チップに対し、金ワイヤーを用いて市販のワイヤーボンディング機(キューリンク&ソファー社:4125D)によりワイヤーボンディングを行なった。ボンディング部を形成するためのワイヤーボール径は80μmである。また、得られたボンド部は、平面視(つまり、積層体の主表面と平行な投影面に対する正射投影領域)での面積S0が5024μmである。
上記各チップのボンド部に対し、市販のシェアテスタ(Think MBS200)を用いてシェアテストを実施した。その結果、孔部を形成せずに光取出側電極9で被覆した番号4(比較例)のチップについてのシェア強度が77.9gmfであったのに対し、孔部を形成し、これを光取出側電極9で覆った番号3(実施例)のチップについてのシェア強度は79.9gmfと明らかに向上していた。また、番号4においてはボンド部がGaP光取出層との界面で剥離していたのに対し、番号3においてはボンド部内で破断が生じていた。また、番号3においては、ボンディング部の接合位置に凹部が散点状に分散形成されているため、シェア強度の剪断方向依存性が十分小さいことも確認できた。
図22は、上記の各発光素子チップを、種々の駆動電流値にて発光させたときの、発光出力PO、積分球輝度PV及び直上輝度IVの各測定結果を示す(測定値は、それぞれチップ10個の平均値にて示している)。孔形成(レーザー穿孔)と異方性エッチング(フロスト)とをいずれも行なった発光素子チップ(番号1)は、異方性エッチング(フロスト)のみを行なった発光素子チップ(番号2)と比較して、POで7.49%、PVで10.7%、IVで6.37%、それぞれ確実に改善されていることがわかった。
本発明の発光素子の第一例を示す側面断面模式図及び光取出側電極周辺の拡大平面図。 図1のA部拡大図。 同じくB部拡大図。 同じくC部拡大図。 GaP{100}面上への異方性エッチングによる面粗し突起部の形成形態を概念的に示す図。 GaP{100}面上の面粗し突起部の外形の第一例を示す斜視図。 同じく第二例を示す斜視図。 同じく第三例を示す斜視図。 同じく第四例を示す斜視図。 同じく第五例を示す斜視図。 同じく第六例を示す斜視図。 図1の発光素子の製造方法を示す工程説明図。 図7に続く工程説明図。 図8に続く工程説明図。 図9に続く工程説明図。 レーザービームにより凹部を穿孔形成する様子を示す模式図。 乾式エッチングにより凹部を穿孔形成する様子を示す模式図。 湿式エッチングにより凹部内面の変質層を除去する様子を示す模式図。 光取出面への凹部形成形態の第一変形例を示す平面図。 同じく第二変形例を示す平面図。 同じく第三変形例を示す平面図。 本発明の発光素子の第二例を示す側面断面模式図及び光取出側電極周辺の拡大平面図。 本発明の発光素子の第三例を示す側面断面模式図。 レーザービームによる凹部穿孔パターンの実例を示す画像。 図19の拡大画像。 本発明の効果確認評価に用いた試験素子を光取出面側にて撮影した光学顕微鏡画像。 図21の試験素子を用いて行なった効果確認評価の結果を示す図。
符号の説明
4 第一導電型クラッド層
5 活性層
6 第二導電型クラッド層
9 光取出側金属電極
16 ワイヤーボンド部
20 GaP光取出層
20p 光取出面
SS 側面部
24 発光層部
W 発光素子ウェーハ
F 面粗し突起部
LP 孔(凹部)
LG 溝
100 発光素子

Claims (10)

  1. 化合物半導体の積層体からなり、該積層体の一方の主表面の一部が通電用の光取出側金属電極により被覆され、前記主表面の前記光取出側金属電極の周囲領域が光取出面とされるとともに、該光取出面をなす化合物半導体層である光取出側化合物半導体層の表層部において、前記光取出側金属電極の形成領域に凹部が分散形成され、前記光取出側金属電極が該凹部の内面を、その凹部の開口周囲領域とともに密着被覆してなり、
    前記凹部が前記光取出面にも分散形成されてなり、
    前記光取出面において前記凹部の内表面に異方性エッチング処理による面粗し突起部がさらに分散形成されてなり、
    前記凹部は複数の孔として散点状に分散形成されてなり、
    前記光取出側金属電極は、前記凹部内面に密着しているのと反対側の主表面に前記凹部に対応する形状の電極凹部を有することを特徴とする発光素子。
  2. 前記孔はレーザービームにより穿孔形成されたものである請求項記載の発光素子。
  3. 前記光取出側金属電極は、前記凹部の深さよりも小さい厚みを有するとともに、該凹部の内面形状に倣う形で前記電極凹部が形成されるとともに、該光取出側金属電極の前記主表面に、素子通電用ワイヤーをボンディングするためのワイヤーボンド部が前記電極凹部を充填する形で密着接合されてなる請求項1又は2に記載の発光素子。
  4. 前記凹部の深さdが0.5μm以上とされてなる請求項記載の発光素子。
  5. 前記凹部は、前記光取出側化合物半導体層の前記主表面に対し、前記光取出側金属電極による被覆領域と前記光取出面とにまたがる所定方向に沿って配列形成されてなる請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の発光素子。
  6. 前記面粗し突起部が、前記光取出面の前記凹部の開口周縁をなす領域にも分散形成されてなる請求項又は請求項に記載の発光素子。
  7. 前記凹部は複数の孔として散点状に分散形成されてなり、
    該孔は開口径が1μm以上50μm以下、孔深さが0.5μm以上25μm以下であり、前記面粗し突起部は該孔の内面に突起高さが0.1μm以上5μm以下となるように形成されてなる請求項記載の発光素子。
  8. 前記光取出側化合物半導体層の、前記凹部が非形成となる側面部にも、異方性エッチング処理による前記面粗し突起部が分散形成されてなる請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の発光素子。
  9. 前記化合物半導体の積層体は発光層部と、該発光層部に積層されるとともに該発光層部よりも厚みの大きい電流拡散層とを含むものであり、該電流拡散層が前記光取出側化合物半導体層を構成するものである請求項1ないし請求項のいずれか1項に記載の発光素子。
  10. 前記発光層部が、組成式(AlxGa1−x)yIn1−yP(ただし、0≦x≦1,0≦y≦1)にて表される化合物のうち、GaAsと格子整合する組成を有する化合物にて各々構成された第一導電型クラッド層、活性層及び第二導電型クラッド層がこの順序で積層されたダブルへテロ構造を有するものとして形成され、
    前記電流拡散層が、厚さ10μm以上のGaP光取出層として形成されてなる請求項記載の発光素子。
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