JP5185645B2 - 流量計 - Google Patents

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Description

本発明は、ガス、水等の流体の流量をその流路中において測定する流量計に関するものである。
従来、ガス等の流体の流量をガス供給管等の流路中において測定する際に、既知の流路断面積に乗じて流量を求めるのに必要な流体の流速を検出する技術として、流路中に配置したヒータを交流信号により通電駆動し、このヒータから流路における流体の流れ方向に間隔をおいて配置した温度センサが、ヒータから放出される熱の伝搬速度に応じて出力する交流信号と、ヒータの通電駆動に用いる交流信号との位相差を、零点検出回路と演算制御回路で求める方法が知られている(特許文献1参照)。
また、ガスメータ等では流量センサを用いて、測定すべき流量範囲(例えば、ガスメータでは、3〜3000リットル/時など)の流量を測定するために、複数のセンサを組み合わせた方式が提案されている。例えば、流量分布上の流体の流れが異なる位置に複数個の熱式流量センサを配置し、それらの異なる位置に配置された熱式流量センサを全て略同一構造とされた駆動回路により駆動する流量計が知られている(特許文献2参照)。
このような流量計では、たとえば、狭い流路に1個、広い流路に2個の熱式流量センサを配置し、それぞれ、小流量領域、中流量領域および大流量領域の計測を行う。
特開平5−264567号公報 特開平8−184479号公報
しかしながら、上述したような従来の流量計では、広域な流量範囲を測定可能とするために複数のセンサを用いる必要があり、コスト高になってしまうという問題があった。さらに、たとえば、狭い流路に1個、広い流路に2個というように3つのセンサを用いる場合、センサの数が増えるとともに、狭い流路と広い流路の加工が必要になり、流路が大型化してしまうという問題が生じていた。
そこで本発明は、上述した問題点に鑑み、流路を複雑化することなく且つ簡単な構成で広範囲の流量を高精度に計測することができる流量計を提供することを課題としている。
上記課題を解決するためなされた請求項1記載の発明は、流体の流路S中に配置したヒータ32と、前記流路Sにおける流体の流れ方向に前記ヒータ32から間隔をおいて下流側に配置した第1の温度センサ33と、前記ヒータ32から間隔をおいて上流側に配置した第2の温度センサ34と、前記第1および第2の温度センサ33,34が出力する第1および第2の流速信号に基づいて前記流体の流量を測定する流量計であって、前記ヒータ32を正弦波状駆動信号で駆動する駆動手段15と、前記第1および第2の温度センサ33,34からの前記第1および第2の流速信号を合成して合成波流速信号を生成する合成手段9と、前記合成手段9からの前記合成波流速信号と前記正弦波状駆動信号との位相差を検出する位相差検出手段11と、前記位相差検出手段11で検出された位相差に基づいて、前記流量を算出する流量算出手段13と、を備えていることを特徴とする。
上記課題を解決するためなされた請求項2記載の発明は、請求項1記載の流量計において、前記合成手段9は、前記第1の流速信号と、重み付けされた前記第2の流速信号とを加算する重み付け加算器を含むことを特徴とする。
上記課題を解決するためなされた請求項3記載の発明は、請求項2記載の流量計におい
て、前記流体の流れ方向が正流か逆かを判別する流れ方向判別手段13をさらに備え、
前記重み付け加算器は、前記流れ方向判別手段で正流と判別された場合、前記第1の流速
信号と、重み付けされた前記第2の流速信号とを加算し、前記流れ方向判別手段で逆流と
判別された場合、前記第2の流速信号と、重み付けされた前記第1の流速信号とを加算す
ることを特徴とする。
上記課題を解決するためなされた請求項4記載の発明は、請求項1記載の流量計において、前記第1の温度センサ33からの前記流速信号を所定の増幅率で増幅して前記合成手段9へ出力する第1の増幅手段7と、前記第2の温度センサ34からの第2の流速信号を前記所定の増幅率より大きい増幅率で増幅して前記合成手段9ヘ出力する第2の増幅手段5とをさらに備えていることを特徴とする。
上記課題を解決するためなされた請求項5記載の発明は、請求項1記載の流量計において、前記ヒータ32と前記第2の温度センサ34の間隔が、前記ヒータ32と前記第1の温度センサ33の間隔よりも小さく設定されていることを特徴とする。
なお、上述の課題を解決するための手段の説明における参照符号は、以下の発明を実施するための最良の形態の説明における参照符号に対応しているが、これらは、特許請求の範囲の解釈を限定するものではない。
請求項1記載の発明の流量計によれば、流体の流路中に配置されたヒータと第1および第2の温度センサを用い、ヒータを正弦波状駆動信号で駆動し、第1および第2の温度センサで検出される第1および第2の流速信号を合成した合成波流速信号と正弦波状駆動信号の位相差を検出し、検出した位相差から流量を算出するので、従来のように流路を複雑にすることなく、簡単な構成で低速流域から高速流域までの広域にわたる流量の測定が可能となる。
請求項2記載の発明の流量計によれば、第1の流速信号と、重み付けされた第2の流速信号を合成して合成波流速信号を生成しているので、良好な流速対位相差特性を有する合成波流速信号を生成することができる。
請求項3記載の発明の流量計によれば、流体の流れ方向が逆転した場合にも、その流速、流量を測定することができる。
請求項4記載の発明の流量計によれば、第2の流速信号の増幅率を第1の流速信号の増幅率より大きく設定することにより、良好な流速対位相差特性を有する合成波流速信号を生成することができる。
請求項5記載の発明の流量計によれば、ヒータと第2の温度センサの間隔が、ヒータと前記第1の温度センサの間隔よりも小さく設定されているので、良好な流速対位相差特性を有する合成波流速信号を生成することができる。
以下、本発明に係る流量計の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1は、流量計で用いられる流速センサとしてのフローセンサの概略構成を示す説明図である。フローセンサ3は、図中断面で示すガス流路Sの内壁に配設される。フローセンサ3は、Si基板31上に形成された、マイクロヒータ32と、マイクロヒータ32に対してガスの流れ方向(X方向)の下流側に所定の間隔で形成された下流側温度センサとしての下流側サーモパイル33と、マイクロヒータ32の上流側に所定の間隔で形成された上流側温度センサとしての上流側サーモパイル34とを備えている。マイクロヒータは請求項中のヒータに相当し、下流側サーモパイルは請求項中の第1の温度センサに相当し、上流側サーモパイル34は請求項中の第2の温度センサに相当する。
このフローセンサ3は、マイクロヒータ32を駆動信号により通電駆動することでマイクロヒータ32が熱を放出し、マイクロヒータ32から伝達された熱の温度に応じた起電力がサーモパイル33,34に発生し、この起電力がサーモパイル33,34から、流路を流れるガスの流量に応じた流速信号として出力されるように構成されている。
次に、上述のフローセンサ3を用いて流路Sを流れるガスの流量を測定する、本発明の流量計の実施の形態の構成について、図2のブロック図を参照して説明する。
図2において、本発明の流量計1は、上述のフローセンサ3と、マイクロヒータ32を正弦波状の駆動信号により通電駆動させる、水晶発振器等からなる駆動回路15と、上流側サーモパイル34から出力される流速信号を増幅する増幅器5と、下流側サーモパイル33から出力される流速信号を増幅する増幅器7と、増幅器5および7によって増幅された2つの流速信号を合成する加算器9と、加算器9から出力される合成正弦波信号と駆動回路5の正弦波状駆動信号との位相差を検出し位相差検出信号を出力する位相差検出器11と、位相差検出回路11から出力される位相差検出信号から流路Sを流れるガスの流速乃至流量を演算する演算器13とを備えている。増幅器5は請求項中の第2の増幅手段に相当し、増幅器7は請求項中の第1の増幅手段に相当し、加算器9は請求項中の合成手段に相当し、位相差検出器11は請求項中の位相差検出手段に相当し、演算器13は請求項中の流量算出手段および流れ方向判別手段に相当する。
加算器9は、たとえば図3に示すように、マルチプレクサ(以下、MUXという)9aおよび9bと、オペアンプ9cと、抵抗R1〜R3とから構成されている重み付け加算器である。MUX9aは、上流側サーモパイル34からの流速信号を増幅する増幅器5の出力電圧VAが供給される第1入力X1と、下流側サーモパイル33からの流速信号を増幅する増幅器7の出力電圧VBが供給される第2入力Y1を有し、演算器13より供給される切換制御信号によって第1入力X1または第2入力Y2を選択して出力O1として出力する。MUX9bは、増幅器7の出力電圧VBが供給される第1入力X2と、増幅器5の出力電圧VAが供給される第2入力Y2を有し、演算器13より供給される切換制御信号によって第1入力X2または第2入力Y2を選択して出力O2として出力する。
MUX9aの出力O1は、抵抗R1を介してオペアンプ9cの反転入力端子に供給され、MUX9bの出力O2は、抵抗R2を介してオペアンプ9cの反転入力端子に供給される。オペアンプ9cの非反転入力端子は接地されている。オペアンプ9cの反転入力端子と出力端子の間には、抵抗R3が接続されている。重み付け加算を行うために、抵抗R1とR2の関係は、たとえば、抵抗値がR1=5×R2となるように設定され、一方の入力電圧と他方の入力電圧が1:5の関係で加算されるようになっている。
すなわち、演算器13よりの切換制御信号によりX入力選択時には、O1=X1、O2=X2となるように切り換えられて、加算器11の出力電圧Vは、下記の(1)で表される。
V=(VA/R1+VB/R2)×R3=(VA+5VB)×R/R1・・・(1)
また、演算器13よりの切換制御信号によりY入力選択時には、O1=Y1、O2=Y2となるように切り換えられて、加算器9の出力電圧Vは、下記の(2)で表される。
V=(VB/R1+VA/R2)×R3=(5VA+VB)×R/R1・・・(2)
位相差検出器11は、たとえば、上述の特開平5−264567号公報に記載の零点検出回路と演算制御回路の構成や、他の周知の構成を用いることができる。
演算器13は、たとえば、マイクロコンピュータからなり、位相差検出回路11から出力された位相差検出信号を、流路Sを流れるガスの流速に換算するための換算式に関するデータや、換算したガスの流速から流路Sを流れるガスの流量を演算するために必要な、流路Sの断面積のデータ等を、内部のメモリに記憶している。
以上の構成による流量計1では、駆動回路15が正弦波状駆動信号によりマイクロヒータ32を通電駆動すると、マイクロヒータ32から放出される熱を検出した上流側サーモパイル34が出力する流速信号(請求項中の第1の流速信号に相当)の波形は、駆動信号と同じ周波数の正弦波形となる。この上流側サーモパイル34が出力する流速信号の波形は、図5の流速対位相差特性の曲線Aに示すように、流路Sを流れるガスの流速が大きくなるほど駆動回路15の駆動信号に対する位相差が単調減少する。ただし、その振幅は、流速の増加に伴い指数関数的に減少し、S/N比が悪化するため、大きな流速まで測定することができない。
また、下流側サーモパイル33が出力する流速信号(請求項中の第2の流速信号に相当)の波形は、同様に、駆動信号と同じ周波数の正弦波形となるが、図5の流速対位相差特性の曲線Bに示すように、微小流速領域では、ある流速までは、流速の増加に伴って位相差が大きくなり、それ以上の流速範囲では流速の増加に伴って位相差が減少する。つまり、比較的低い流速に位相差の極大値を持ち、流速と一対一に対応しないので、低速流域の測定ができない。ただし、その振幅は、流速の増加に伴って増加するので、高流速領域での測定が可能である。
そこで、本発明では、加算器9にて、上流側サーモパイル34からの流速信号と下流側サーモパイル33からの流速信号を合成して合成波流速信号を生成し、生成した合成波流速信号に基づいて、低速流域から高速流域までの広域にわたる流速の測定を可能にしている。
ここで、上流側サーモパイル34および下流側サーモパイル33からの流速信号の波形を、それぞれ、Au・sin(ωt+φu)、Ad・sin(ωt+φd)(ただし、AuおよびAdは振幅、φuおよびφdは位相差)とすれば、マイクロヒータ32に供給される駆動回路15の駆動信号に対する合成波流速信号の位相差φtは、三角関数の公式より下記の(1)式で表れる。
φt=tan-1{(Au・sinφu+Ad・sinφd)/(Au・cosφu+Ad・cosφd)}・・・(1)
したがって、上記(1)式からわかるように、合成波流速信号の位相差は、足し合わせる2つの流速信号の波形の位相だけでなく、振幅によっても変化する。
上流側サーモパイル34からの流速信号の波形は、流速が大きくなるほど指数関数的に振幅が小さくなるため、合成波の流速信号の波形は、高流速になるほど下流側サーモパイル33からの流速信号の特性に近くなる。((1)式で、低流速ではAu≒Ad、高流速ではAu≪Adになる。)
その結果、合成波流速信号の波形は、図5の流速対位相差特性の曲線Cに示すように、流速の増加に対して位相差が単調減少しかつ振幅が単調増加する特性となるので、1個のフローセンサ3を用いて合成波流速信号の位相差を検出することにより、容易に低速流域から高速流域までの広域にわたる流速の測定が可能となる。
次に、上述の流速対位相差特性を確かめるために行なった実験結果を説明する。
図6は、流速ゼロから流速50m/s程度までの流速範囲で計測した流速対位相差特性を示すグラフである。曲線Aは、上流側サーモパイル34からの流速信号の特性を示し、曲線Bは、下流側サーモパイル33からの流速信号の特性を示す。サーモパイルの出力波形は、マイクロヒータ32に供給される駆動信号に対して遅れているため、位相差の値を負(マイナス)としてプロットしてある。流速が大きくなるにつれて、曲線A,Bともに駆動信号に対する位相遅れが小さくなるが、傾きは曲線Bのほうが大きい。すなわち、曲線Bのほうが検出感度が良い。
図7は、図6において丸で囲んだ低速領域における特性を拡大したグラフである。曲線Bは、0〜0.5m/sの範囲では流速の増加に対して位相差が増加し、0.5m/s以上の範囲では、位相差が減少している。なお、流速が0m/sのときの曲線AとBの位相差が異なっているのは製造上の寸法バラツキに起因するものであり、本来は同じ値になるべきものである。
したがって、図7において楕円で囲んだ部分では、1つの位相差(たとえば、星印)に対応する流速の値が2つ(丸数字1および2)存在することになり、曲線Bの位相差特性からだけでは実際の流速がどちらの値であるかを特定することができない。つまり、曲線Bは、低流速の測定ができない。
一方、曲線Aは、流速の増加に対して位相差(の絶対値)が単調減少するが、同時に振幅も極端に小さくなっていくため、S/N比が悪化し、位相差の検出が困難になる。つまり、曲線Aは高流速の測定ができない。
そこで、本発明では、流速乃至流量の測定のために、曲線Aの特性を持つ上流側サーモパイル34からの流速信号と、曲線Bの特性を持つ下流側サーモパイル33からの流速信号とを合成し、流速の変化に対して駆動信号との位相差が単調減少する特性を持つ合成波流速信号を生成し、この合成波流速信号の流速対位相差特性に基づいて、低流速から高流速までの広域の流速、流量を測定する。
図8は、流速を徐々に大きくしていったときの駆動信号の波形E、上流側サーモパイル34の流速信号の波形A、下流側サーモパイルの流速信号の波形Bおよび合成波流速信号(A+B)の波形Cを示す推移図である。
図8(A)は、流速0m/sの場合を示し、ガスの流れがないときは、波形AおよびBは等しく、合成波(A+B)の波形は、波形AおよびBの2倍の振幅となっている。図8(B)は、流速0.25m/sの場合を示し、低流速では、波形Aは位相差が減少するが、波形Bは位相差が増加している。図8(C)は、流速0.5m/sの場合を示し、波形Bの位相差が最大(ピーク)となる流速付近は、波形AおよびBの振幅はそれほど差がない。図8(D)は、流速1.25m/sの場合を示し、流速の増加と共に、波形Aは振幅が小さく、波形Bは振幅が大きくなっていく。合成波(A+B)の振幅も増加していく。図8(E)は、流速2.5m/sの場合を示す。図8(F)は、流速5m/sの場合を示し、流速の増加と共に、波形Aの振幅は非常に小さくなる。図8(G)は、流速12.5m/sの場合を示す。図8(H)は、流速25m/sの場合を示す。図8(I)は、流速50m/sの場合を示し、流速が大きくなると、振幅は、A≪B、合成波(A+B)≒Bとなる。流速が増加しても、合成波(A+B)のS/N比は悪化しない。
図9は、実験により求めた、流速範囲(0〜50m/s)の流速に対する、上流側サーモパイル34からの流速信号の曲線A、下流側サーモパイル33からの流速信号の曲線Bおよび合成波流速信号の曲線Cの位相差特性を示す。図10は、図9における低速流域の拡大図を示す。
なお、図9および図10における合成波流速信号は、下流側サーモパイル33からの流速信号に、上流側サーモパイル34からの流速信号を5倍した(すなわち、重み付けした)ものを合成した(5A+B)の流速信号である。このように、上流側サーモパイル34からの流速信号を重み付けして下流側サーモパイル33からの流速信号と合成することによって、重み付けなしの場合の合成波流速信号(A+B)の位相差特性を示す曲線Dより低流速域で感度の良好な合成波流速信号を得ることができる。
たとえば、上述のように(5A+B)とした場合、低流速においてAu×5>Adとなり、合成波流速信号の曲線Cは、(A+B)の場合よりもさらに曲線Aに近くなって0m/s付近の傾きが大きくなる。この場合でも、高流速では、Au×5+Ad≒Adとなるので、合成波流速信号の曲線Cは曲線Bに近くなり、高流速域の特性(感度)が悪くなることはほとんどない。
図9および図10からわかるように、流速0m/sから高流速の50m/sの広範囲にわたって、合成波流速信号の位相差は単調増加している。したがって、合成波流速信号を用いて低流速から高流速までの広範囲の流速を測定することができる。
次に、演算器13が実行する流量計測処理について、図4のフローチャートを参照しながら説明する。
まず、ガスの流れの方向が正流(図1のX方向)かまたは逆流(図1のX方向と反対の方向)かを判定する(ステップS1)。この判定は、たとえば、下流側サーモパイル33からの流速信号の振幅と、上流側サーモパイル34からの流速信号の振幅とを比較し、振幅の大きい方を下流とみなして正流か逆流かを判定するものである。なお、流速が低くなると両方の振幅があまり違わなくなるので、正流から逆流に判定を切り換える判定点と逆流から正流に判定を切り換える判定点とにヒステリシスを持たせるのが好適である。正流であれば、演算器13からの切換制御信号により加算器9のMUX9aおよび9bは、Y入力を選択するように切り換えられる(ステップS2)。それにより、加算器9の出力Vは、上述の(2)式で表されるように、増幅器5の出力電圧VAを5倍した5VAと、増幅器7の出力電圧VBとを加算した(5VA+VB)の合成波流速信号となって位相検出器11へ供給される。位相検出器11では、供給された(5VA+VB)の合成波流速信号と、駆動回路15の駆動信号との位相差を検出し、検出した位相差信号を演算器13へ出力する。
次に、演算器13は、位相差検出器11からの位相差信号を取り込み(ステップS4)、次いで、内部のメモリに記憶されたデータに基づいて、流路Sを流れるガスの流量を換算し(ステップS5)、次いで、正流の場合の流量値出力信号を出力する。
一方、ステップS1で逆流と判定された場合は、演算器13からの切換制御信号により加算器9のMUX9aおよび9bは、X入力を選択するように切り換えられる(ステップS3)。それにより、加算器9の出力Vは、上述の(1)式で表されるように、増幅器5の出力電圧VAと、増幅器7の出力電圧VBを5倍した電圧5VBとを加算した(VA+5VB)の合成波流速信号となって位相検出器11へ供給される。位相検出器11では、供給された(VA+5VB)の合成波流速信号と、駆動回路15の駆動信号との位相差を検出し、検出した位相差信号を演算器13へ出力する。
次に、演算器13は、位相差検出器11からの位相差信号を取り込み(ステップS4)、次いで、内部のメモリに記憶されたデータに基づいて、流路Sを流れるガスの流量を換算し(ステップS5)、次いで、逆流の場合の流量値出力信号を出力する。
このように、流体の流路中に配置されたヒータと第1および第2の温度センサを用い、ヒータを正弦波状駆動信号で駆動し、第1および第2の温度センサで検出される第1および第2の流速信号を合成した合成波流速信号と正弦波状駆動信号の位相差を検出し、検出した位相差から流量を算出するので、従来のように流路を複雑にすることなく、簡単な構成で低速流域から高速流域までの広域にわたる流量の測定が可能となる。また、流体の流れ方向が逆転した場合にも、その流速、流量を測定することができる。
以上の通り、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限らず、種々の変形、応用が可能である。
たとえば、上述の実施の形態では、重み付けを1:5としているが、これに限らず適宜な他の比率の重み付けとしても良い。
また、他の実施例として、増幅器5の増幅率を増幅器7の増幅率より大きく設定して第2の流速信号の重み付けを行っても良い。
また、増幅器5の増幅率を増幅器7の増幅率より大きく設定すると共に、流速の増加にしたがって増幅器7の増幅率が小さくなるように構成しても良い。また、上流側サーモパイル34からの第2の流速信号の位相差を検出して、その位相差の減少に比例して増幅器7の増幅率が小さくなるようにしても良い。
また、増幅器5および7の出力をそれぞれA/D変換器でA/D変換し、加算器9としてマイクロプロセッサユニット(MPU)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)等を用いてデジタル演算により重み付け加算を行っても良い。
また、上述の実施の形態のように電気的に重み付けするのではなく、フローセンサ3の設計段階において、予めマイクロヒータ32からの下流側サーモパイル33と上流側サーモパイル34の間隔を、図1に示す等間隔とせずに、上流側サーモパイル34側の間隔を下流側サーモパイル34側の間隔より小さく設計することにより、低流速域においてAu>Ad、高流速域においてAu+Ad≒Adとして、上述の重み付けの全部または一部に代えることもできる。
また、駆動回路15からの正弦波状駆動信号は、極性が正負の間で反転する駆動信号であるが、これに代えて、正弦波を正電位または負電位側に直流シフトさせて極性反転のない駆動信号としても良い。
また、上述の実施の形態では、ガスの流量を測定するガス流量計を例に取って説明したが、本発明は、ガス以外の気体や液体等、様々な流体の流速乃至流量測定について適用可能であり、また、流量を測定せずその前段階の流速のみ測定する場合についても、広く適用可能であることは言うまでもない。
本発明に係る流量計で用いられる流速センサとしてのフローセンサの概略構成を示す説明図である。 本発明に係る流量計の実施の形態を示すブロック図である。 図3の流量計における加算器の構成例を示す回路図である。 図3の流量計の流量計測処理を示すフローチャートである。 流速信号の流速対位相差特性を示すグラフである。 流速信号の流速対位相差特性を示すグラフである。 図6のグラフにおける低流速域の拡大図である。 (A)〜(I)は、流速0m/sから50m/sまでの流速に対する位相差を説明するための各種波形を示す波形図である。 流速信号の流速対位相差特性を示すグラフである。 図9のグラフにおける低流速域の拡大図である。
符号の説明
S 流路
1 流量計
3 フローセンサ
5 増幅器(第2の増幅手段)
7 増幅器(第1の増幅手段)
9 加算器(合成手段)
11 位相差検出器(位相差検出手段)
13 演算器(流量算出手段、流れ方向判別手段)
15 駆動回路(駆動手段)
32 マイクロヒータ(ヒータ)
33 下流側サーモパイル(第1の温度センサ)
34 上流側サーモパイル(第2の温度センサ)

Claims (5)

  1. 流体の流路中に配置したヒータと、前記流路における流体の流れ方向に前記ヒータから間隔をおいて下流側に配置した第1の温度センサと、前記ヒータから間隔をおいて上流側に配置した第2の温度センサと、前記第1および第2の温度センサが出力する第1および第2の流速信号に基づいて前記流体の流量を測定する流量計であって、
    前記ヒータを正弦波状駆動信号で駆動する駆動手段と、
    前記第1および第2の温度センサからの前記第1および第2の流速信号を合成して合成波流速信号を生成する合成手段と、
    前記合成手段からの前記合成波流速信号と前記正弦波状駆動信号との位相差を検出する位相差検出手段と、
    前記位相差検出手段で検出された位相差に基づいて、前記流量を算出する流量算出手段と、
    を備えていることを特徴とする流量計。
  2. 請求項1記載の流量計において、
    前記合成手段は、前記第1の流速信号と、重み付けされた前記第2の流速信号とを加算する重み付け加算器を含むことを特徴とする流量計。
  3. 請求項2記載の流量計において、
    前記流体の流れ方向が正流か逆かを判別する流れ方向判別手段をさらに備え、
    前記重み付け加算器は、前記流れ方向判別手段で正流と判別された場合、前記第1の流
    速信号と、重み付けされた前記第2の流速信号とを加算し、前記流れ方向判別手段で逆流
    と判別された場合、前記第2の流速信号と、重み付けされた前記第1の流速信号とを加算
    することを特徴とする流量計。
  4. 請求項1記載の流量計において、
    前記第1の温度センサからの前記流速信号を所定の増幅率で増幅して前記合成手段へ出力する第1の増幅手段と、前記第2の温度センサからの第2の流速信号を前記所定の増幅率より大きい増幅率で増幅して前記合成手段ヘ出力する第2の増幅手段とをさらに備えていることを特徴とする流量計。
  5. 請求項1記載の流量計において、
    前記ヒータと前記第2の温度センサの間隔が、前記ヒータと前記第1の温度センサの間隔よりも小さく設定されていることを特徴とする流量計。
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