JP5185458B1 - 変形性膝関節症矯正兼歩行補助具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】膝関節部分に作用する曲げモーメントに対応すべく、上腿部装着部品10と下腿部装着部品20を挟持し相互に滑動・回転可能にする回転機構に「はとめ型回転機構30」を採用した。また、はとめ型回転機構のはとめ筒状部分の内側空間を利用して鍔付き円筒を取替可能に嵌合して、はとめ型回転機構の回転とは別個の動きを可能にし、鍔付き円筒の鍔部分で膝関節側部を押えることにした。さらに、はとめ内側板状部分と鍔付き円筒の鍔との間隙に取替自在な間隔保持部品を設け、矯正が進んでも間隔保持部品を交換するだけで補助具がそのまま継続使用できるようにした。また、膝関節の転がり回転する回転系に対処すべく、はとめ型回転機構のはとめ筒状部分の内径相当の形状を長円等の形状とした。
【選択図】図2
Description
しかし、加齢や変形性膝関節症の進行等によって関節軟骨がすり減り、骨どうしの隙間が狭くなって膝関節は変形し、膝関節は衝撃に耐えられず、膝関節に痛みが発生する。
具合の悪いことに、すり減った関節軟骨は再生しないことから、治療が厄介である。
また、関節軟骨には女性ホルモンのエストロゲン受容体があり、女性ホルモンの働きが悪くなると関節軟骨はダメージを受けやすいと言われていることもあって、変形性膝関節症の患者には高齢の女性が多い(毎日新聞、平成24年5月28日、14面 )。
事実、巷間で見かける変形性膝関節症の人は、圧倒的に高齢女性が多い。
一旦変形性膝関節症になりはじめると、それにつれて押出し曲げモーメントが増大してくるから、変形性膝関節症は進行し、特に高齢者になると脚部筋力の衰えにつれて、変形性膝関節症の進行は顕著となる。
しかし、膝に作用する上記押出し曲げモーメントに対して、曲げモーメントに無力な布・布相当物から成るサポーターやタイツでは対抗することはできないことから、従来の布製のサポーターでは効果が無く、タイツスタイルのものでも効果は期待しがたい。
太ももの筋肉(大腿四頭筋)を鍛えるのも効果があるとされているが、高齢者には効果は望めない。
また、外部から強く締めつけ・締め上げる方式のものは、腓骨神経等を圧迫しかねないことから長時間着用すると支障が生じる怖れがある。
上記の事情の下では、特に、重度の変形性膝関節症の人の歩行に有効かつ適切な補助具は見あたらず、ましてや進行を押え・矯正に役立つと言える程の補助具は見当たらない。
脚および腰から膝に掛る力は、FTAによって、膝を外側あるいは内側に押し出そうと働く押出し曲げモーメントになるが、本願補助具は、垂直成分の力はもとより、押出し曲げモーメントに対応でき、かつ、歩行の際の脚の曲げ伸ばしに支障が少なく、変形性膝関節症の矯正機能を有し、また、着脱が簡単かつ容易にでき、装着時に補助具の締めつけ具合を容易に認識・コントロールでき、さらに、装着していることが他人に認識されにくい補助具を提供することを課題とする。
本願発明においては、上腿部に装着される部品と下腿部に装着される部品に曲げモーメントに耐えうる強度・剛性のある素材を使用し、かつ、両者を挟持し両者相互を滑動・回転可能に保持する回転機構に「はとめ型回転機構」(後述)を採用して、脚の屈伸時にも押出し曲げモーメントに対応し得る物とした。
したがって、はとめ筒状部分の内側に存在する大きな径の空間を利用して鍔付き円筒を回転可能に嵌合した構造は、鍔付き円筒には上述の負荷が作用しない構造となる。
よって、鍔付き円筒は、はとめ型回転機構とは無関係に回転することが可能である。
また、鍔付き円筒の鍔部分の形状を、膝関節側部の凹凸形状に合わせることもできる。
なお、間隔保持部品は、X脚の場合でも、事情によっては使用可能なものである。
さらに、はとめ型回転機構のはとめ筒状部分の内径相当の形状を、円の中心の軌跡が膝関節の回転中心の移動に合わせた曲線となる長円類似の図形としたことから、複雑な膝関節の回転系に一層優れた対応が可能となる。
また、膝関節の片側の矯正兼歩行補助具について説明するが、膝関節の内外両側に一体化して適用できるものである。
本願発明の補助具は、図2に示すようなもので、大きく分けると、上腿部装着部品10、下腿部装着部品20および両者を挟持し両者相互を滑動・回転可能に保持する はとめ型回転機構30で構成されていて、上腿部成型部分11および下腿部成型部分21に作用する力は、垂直成分の力および押出し曲げモーメントとなって、両者を接続する はとめ回転機構に作用することになる。
滑動を一層円滑にしかつ一層の強度・剛性を持たせるため、上腿部成型部分に補強材12を付加することもできる(図7)。
下腿部成型部分21においても同様である。
はとめ型回転機構は はとめ外側板状部分31と はとめ内側板状部分32とで、上腿部成型部分11および下腿部成型部分21を挟持し、上腿部装着部品10と下腿部装着部品20が自在に滑動できる程度の余裕を持たせて、はとめ筒状部分33で固定する。
上腿部成型部分と下腿部成型部分とはどちらが外側であってもよい。
また、はとめ外側板状部分と はとめ内側板状部分の形状は、円形である必要はなく、楕円弧を繋ぎ合わせた閉曲線図形でもよい(図8)。
なお、はとめ筒状部分33で強固に固定するには、はとめ筒状部分を2分し、相互をねじ止め・溶着等によって強固に固定する。
また、はとめ筒状部分を筒状体と止め輪34に分割し、筒状体・止め輪・はとめ外側板状部分・はとめ内側板状部分・止め輪を溶着等によって強固に固定してもよい。
さらに、はとめ筒状部分を鍔付き筒状体(図示省略)と止め輪34に分割し、鍔付き筒状体・はとめ外側板状部分・はとめ内側板状部分・止め輪を溶着等によって強固に固定してもよい。
もっとも、他の方法、例えばボールベアリング38(図7)や潤滑剤(図示省略、例えば、二硫化モリブデン)を用いてもよい。
鍔付き円筒の鍔部分の外径の大きさを適宜加減することにより適度の接触面積で膝関節側部と接触することができ、また、鍔付き円筒の鍔部分の形状を、膝関節側部の凹凸形状に合わせることもできる(図示省略)。
なお、この間隔保持部品は、O脚には特に有効であるが、X脚の場合でも、事情によっては使用可能なものである。
間隔保持部品は、交換しやすいように、2分割し、各々どうしが嵌合して円状に一体化される構造としてもよい(図示省略)。
また、はとめ内側板状部分・間隔保持部品・鍔付き円筒の鍔部分の相互の隙間に摩擦抵抗の少ない薄い膜状物を挟持させてもよく、隙間を構成する部分の面に摩擦抵抗の少ない物質をコーティングさせてもよい。
下腿部装着部品は、下腿部成型部分21と固定バンド40から成り、両者は複数箇所で固定されている(図示省略)。
また、固定バンドは通常複数本、図2の例では2本、使用され、上部の固定バンドには脚からの負荷を担う役割も持たせている。
装着する時には、鉤止部材付きファスナーの部分の端部を矩形固定具に通し、折り返して、ファスナーに押着するだけで、適度の絞め具合で、補助具は脚に装着される。
上腿部成型部分11と下腿部成型部分21には、低発泡ポリスチレン板・ポリエチレン板・塩化ビニール板・ポリエチレンテレフタレート板・ABS板等の種々の合成樹脂が使用できるが、特に、型成型性を有し、強度・剛性の高い材料、例えばスキー靴の素材として使用されている硬度 80-90程度のポリウレタン、が用いられる。さらに、この素材ポリウレタンは熱可塑性・熱成型性を有し、熱風を用いて、各人の脚形状に合わせて形状の修正が可能であることから、最適素材の一つである。
はとめ型回転機構に挟持される部分の厚さは、1.5mmないし3mm程度である。
その素材には、洗浄が容易かつ断熱性のある素材、例えばポリエステルの布・薄スポンジ、シリコンスポンジ、が着脱容易に取付けられる(図示省略)。
はとめ型回転機構のはとめ外側板状部分31・はとめ内側板状部分32は、閉曲線図形の最大径相当で50mmないし90mm程度であり、内径は20mmないし50mm程度、厚さは1.5mmないし3mm程度である。
鍔の外径は、鍔付き円筒の内径に、30mm ないし 50mm程度加算したものが使用される。
鍔付き円筒の素材としては、例えば硬質の塩化ビニール・ポリウレタン、が使用でき、膝関節側部と接触する部分の形状は膝関節側部の凹凸形状に合わせることもでき、さらに脚肌と接触する部分には脚肌を損なう怖れが少ないスポンジ状の柔らかい・耐久性にすぐれた素材、例えばシリコンスポンジ・EVAスポンジ、が使用される(図示省略)。
折り返し形式の鉤止部材付きファスナー42には、合成樹脂を素材としたものが使用される。
矩形固定具43には、合成樹脂製や金属製のものが使用される。
11 上腿部成型部分
12 補強材
20 下腿部装着部品
21 下腿部成型部分、
30 はとめ型回転機構
31 はとめ外側板状部分
32 はとめ内側板状部分
33 はとめ筒状部分
34 止め輪
35 薄い膜状物
38 ボールベアリング
40 固定バンド
41 幅広バンド
42 鉤止部材付きファスナー
43 矩形固定具
50 鍔付き円筒
60 間隔保持部品
Claims (4)
- 上腿部に装着される部品、下腿部に装着される部品および両者を挟持し両者相互を滑動・回転可能に保持する回転機構から成る変形性膝関節症の矯正補助具かつ歩行補助具であって、該回転機構が はとめ類似の機構 即ち はとめ外側板状部分・はとめ内側板状部分 および 両者を連結する はとめ筒状部分から成る機構であり、はとめ外側板状部分およびはとめ内側板状部分は、該円の径または該閉曲線図形の最大径相当は50mmないし90mm程度であり、該内径は20mmないし50mm程度であること、を特徴とする補助具。
- 請求項1記載の発明において、 はとめ筒状部分の内側空間に、鍔付き円筒を回転可能に嵌合したこと、を特徴とする補助具。
- 請求項2記載の発明において、はとめ内側板状部分と鍔付き円筒の鍔との間隙に、取替自在な間隔保持部品を設けたこと、を特徴とする補助具。
- 請求項2および請求項3記載の発明において、はとめ筒状部分の内径相当の形状が長円であること、または、円の中心の軌跡が曲線となる長円類似の図形であること、を特徴とする補助具。
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