以下、適宜図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機1について説明する。
[パチンコ遊技機1の概略構成]
まず、パチンコ遊技機1の概略構成について説明する。図1は、パチンコ遊技機1の概略正面図である。図1に示されるように、パチンコ遊技機1は、遊技球が打ち出される遊技盤2と、遊技盤2を囲む枠部材3とを備えている。枠部材3は、遊技盤2の表面側(図1の紙面手前側)に遊技盤2と所定の間隔を隔てて平行に配置された透明なガラス板(不図示)を支持する部材である。
枠部材3に支持されたガラス板と遊技盤2との間には、遊技球が移動する遊技領域20が形成されている。遊技者がハンドル31を握ってレバー32を時計方向に回転させると、ハンドル31の回転角度に応じた打球力で不図示の発射装置から遊技球が発射される。発射された遊技球は、遊技領域20の上部位置へ案内され、遊技領域20に配置された不図示の遊技クギや風車等に接触することでその移動方向を変化させながら遊技盤2の表面に沿って落下する。なお、発射装置による遊技球の発射は、遊技者が停止ボタン33を操作することによって一時的に停止される。また、皿39と近接配置された取り出しボタン34(図2参照)を操作すると、皿39の下面の一部が開口されて、皿39に溜まった遊技球が皿39の下方に配置された不図示の箱へ落下する。
遊技領域20には、入賞や抽選に関する役物として、第1始動口21、第2始動口22、大入賞口23、普通入賞口24、及びゲート25が設けられている。また、遊技領域20における大入賞口23の下方には、始動口21,22、又は入賞口23,24に入らなかった遊技球を遊技領域20の外に排出する排出口26が設けられている。
第1始動口21及び第2始動口22は、第1始動口21を第2始動口22の上側として所定の間隔を隔てて上下に並んで配置されている。パチンコ遊技機1では、第1始動口21又は第2始動口22に遊技球が入賞したことを条件として、特別遊技を実行するか否かを決定するための大当たり抽選が実行される。なお、以下の説明では、第1始動口21への遊技球の入賞を契機として実行される大当たり抽選を「第1特別図柄抽選」と呼び、第2始動口22への遊技球の入賞を契機として実行される大当たり抽選を「第2特別図柄抽選」と呼び、これらの抽選を総称して「特別図柄抽選」と呼ぶものとする。
第1始動口21と第2始動口22との間には、チューリップの花を模した一対の羽根部材を有する電動チューリップ27が配置されている。電動チューリップ27は、一対の羽根部材が閉じた閉姿勢(図1参照)と、一対の羽根部材が開いた開姿勢(不図示)との間で姿勢変化可能に構成されており、不図示の電動ソレノイドが作動することによって閉姿勢から開姿勢に姿勢変化する。
電動チューリップ27の一対の羽根部材が閉姿勢の状態では、第1始動口21を構成する部材及び電動チューリップ27によって第2始動口22への遊技球の進入経路が塞がれており、遊技球が第2始動口22に入ることはない。これに対して、遊技球がゲート25を通過すると、普通図柄抽選(電動チューリップ27の開閉抽選)が実行され、この普通図柄抽選に当選すると、電動チューリップ27の一対の羽根部材が規定時間だけ開姿勢を維持した後に閉姿勢に戻る動作が規定回数行われる。このように、普通図柄抽選に当選することで、第2始動口22への遊技球の進入経路が開放されて、遊技球が第2始動口22に入賞可能となる。すなわち、第2特別図柄抽選の実行が可能な状態となる。ちなみに、普通入賞口24に遊技球が入賞した場合には抽選は実行されないが、第1始動口21や第2始動口22に遊技球が入賞した場合よりも多い賞球が払い出される。
大入賞口23は、特別図柄抽選の結果に応じて開放される。大入賞口23の開口部には、大入賞口23を開閉するプレートが配置されている。特別図柄抽選に当選していない状態では、このプレートが遊技盤2の表面と同一平面を形成する姿勢となっているために、大入賞口23に遊技球が入らない状態となっている。これに対して、特別図柄抽選に当選すると、プレートの下端側を軸としてプレートの上端側が遊技盤2の前方へ傾倒して大入賞口23が開放され、特別遊技が実行される。この特別遊技では、例えば、所定の条件(大入賞口23が開放されてから30秒を経過、又は大入賞口23への9個の遊技球の入賞)を満たすまで大入賞口23を開放してから閉塞する動作が、所定回数繰り返される。このため、特別遊技が実行されることにより、遊技者が多量の賞球を獲得することができる。
ここで、賞球の払い出しについて説明する。第1始動口21、第2始動口22、大入賞口23、及び普通入賞口24に遊技球が入って入賞すると、入賞した場所に応じた個数の賞球が払い出される。例えば、第1始動口21又は第2始動口22に遊技球が入賞すると3個の賞球が払い出され、大入賞口23に遊技球が入賞すると14個の賞球が払い出され、普通入賞口24に遊技球が入賞すると10個の賞球が払い出される。なお、遊技球がゲート25を通過しても遊技球が払い出されることはない。
図2は、パチンコ遊技機1の一部を示す概略平面図である。図1及び図2に示されるように、遊技盤2又は枠部材3には、上記ハンドル31及びレバー32の他に、各種演出を行う液晶表示器5、盤ランプ8、枠ランプ36、可動役物7、及びスピーカ35が設けられている。
図1に示されるように、遊技盤2の表面における遊技者により視認され易い位置に、各種演出のための演出画像を表示する画像表示手段としての液晶表示器5が設けられている。液晶表示器5には、例えば、特別図柄抽選の結果を報知するための装飾図柄、予告演出を行うキャラクタやアイテム、特別図柄抽選が保留されていることを示す保留表示画像、特別遊技中に払い出される賞球数等が表示される。なお、画像表示手段は、例えばEL表示器であってもよい。
盤ランプ8は、遊技者による遊技の進行に応じて発光することで光による演出を行う。枠ランプ36は、発光色、発光パターン、及び光の放射方向を変化させることで光による演出を行う。可動役物7は、例えば内蔵された発光素子を発光させながら回転することによって可動役物7自体の動きと光による演出を行う。スピーカ35は、楽曲や音声、効果音等を出力して音による演出を行う。
また、図2に示されるように、皿39と近接する位置に、遊技者が操作を行う操作手段としての演出ボタン37及び演出キー38が設けられている。演出ボタン51は、遊技者が操作情報を入力するための押ボタンである。演出キー38は、十字キーとして機能する周辺キーと、決定ボタンとして機能する中央キーとを有して構成されている。
図3は、図1における表示器4の拡大図である。表示器4は、上述した特別図柄抽選や普通図柄抽選の結果や保留数に関する情報を表示するものである。図3に示されるように、表示器4は、第1特別図柄表示器41、第2特別図柄表示器42、第1特別図柄保留表示器43、第2特別図柄保留表示器44、普通図柄表示器45、普通図柄保留表示器46、及び遊技状態表示器47を備えている。
第1特別図柄表示器41は、第1始動口21に遊技球が入賞したことを契機として変動する図柄を表示する図柄表示手段として機能するものであり、例えば7セグ表示装置で構成される。第1特別図柄表示器41は、第1始動口21に遊技球が入賞した場合に、第1特別図柄を変動表示した後にその抽選結果を示す第1特別図柄を停止表示することにより、第1特別図柄抽選の結果を報知する。第2特別図柄表示器42は、第2始動口22に遊技球が入賞したことを契機として変動する図柄を表示する図柄表示手段として機能するものであり、例えば7セグ表示装置で構成される。第2特別図柄表示器42は、第2始動口22に遊技球が入賞した場合に、第2特別図柄を変動表示した後にその抽選結果を示す第2特別図柄を停止表示することにより、第2特別図柄抽選の結果を報知する。
普通図柄表示器45は、ゲート25を遊技球が通過することに対応して変動する図柄を表示するものであり、例えばLED表示装置で構成される。普通図柄表示器45は、例えば、遊技球がゲート25を通過した場合、普通図柄を変動表示した後に、その抽選結果を示す普通図柄を停止表示する。
第1特別図柄保留表示器43は、第1特別図柄抽選を保留している回数を表示する。第2特別図柄保留表示器44は、第2特別図柄抽選を保留している回数を表示する。普通図柄保留表示器46は、普通図柄抽選を保留している回数を表示する。例えば、第1特別図柄保留表示器43、第2特別図柄保留表示器44、及び普通図柄保留表示器46は、それぞれ列設されたLED表示装置で構成され、その発光態様によって保留回数を表示する。
遊技状態表示器47は、パチンコ遊技機1の電源投入時点における遊技状態を表示する。パチンコ遊技機1には複数の遊技状態(例えば、通常遊技状態、確変遊技状態、時短遊技状態)が設定されている。そして、パチンコ遊技機1の電源投入時点においては、遊技状態表示器47によってその遊技状態が報知される。ここで、通常遊技状態は、特別図柄抽選の当選確率を上昇させず、特別図柄の変動時間の短縮も行わない通常の遊技状態である。確変遊技状態は、特別図柄抽選の当選確率を上昇させ(確率変動させ)、且つ特別図柄の変動時間を短縮させる遊技状態である。時短遊技状態は、特別図柄抽選の当選確率を上昇させることなく、特別図柄の変動時間を短縮させる遊技状態である。
[パチンコ遊技機1で行われる演出の概要]
次に、図4及び図5を参照しつつ、パチンコ遊技機1において行われる演出の概要について説明する。ここで、図4は、2つの演出パターンの演出の切り替えについて説明するための説明図である。図5は、液晶表示器5に表示される演出画像について説明するための説明図である。
一般的に、パチンコ遊技機では、特別図柄の変動表示に伴って液晶表示器等の画像表示器において演出を行うための演出パターンが、特別図柄が変動表示される時間(変動時間)毎に予め用意されている。このため、演出のストーリーの数が変動時間に応じた数に限られてしまい、演出のバリエーションが必ずしも豊富であるとは言えなかった。また、演出のバリエーションを豊富にするには、予め用意しておく演出パターンの数を増やす必要があった。
そこで、本実施形態に係るパチンコ遊技機1では、このような問題を解決してバリエーションが豊富な演出を行うために、以下のような処理が行われる。すなわち、特別図柄抽選が実行されてその抽選結果に基づいて特別図柄の変動時間が例えば120秒に設定されると、第1演出パターン及び第2演出パターンの2つの演出パターンが選択される(図4参照)。ここで、第1演出パターン及び第2演出パターンは、液晶表示器5において実行される演出のパターン(例えばリーチ演出を行う場合にはどのリーチ演出を行うか、予告を行う場合にはどのタイミングでどの予告を行うかといった演出の構成)を示すものであり、第2演出パターンは、特別図柄抽選の当選に対する信頼度が第1演出パターンよりも高いことを表す演出の演出パターンである。
第1演出パターン及び第2演出パターンが選択されると、第1特別図柄表示器41又は第2特別図柄表示器42において特別図柄の変動表示が開始されるのに伴い、第1演出パターンの演出(以下「第1演出」という。)がその視認性が相対的に高い状態で開始されると共に、第2演出パターンの演出(以下「第2演出」という。)がその視認性が相対的に低い状態で開始される(図4及び図5(A)参照)。ここで、「視認性が相対的に高い状態」とは、本実施形態では、液晶表示器5の画面50に表示される演出画像がよく見える状態を意味し、「視認性が相対的に低い状態」とは、本実施形態では、画面50に表示される演出画像が見えにくい状態、或いは見えない状態を意味する。本実施形態では、このような視認性の関係を維持した状態で2つの演出パターンの演出を実行するために、液晶表示器5の画面50が第1領域51及び第1領域51よりも狭い第2領域52という2つの領域51,52に区画されており、第1演出パターンを構成する第1演出画像が第1領域51に表示されると共に第2演出パターンを構成する第2演出画像が第2領域52に表示されるように、2つの演出パターンの演出が開始される(図5(A)参照)。
このように第1演出及び第2演出が開始されると、本実施形態に係るパチンコ遊技機1では、視認性が相対的に低い状態で実行されている演出(第2演出)の第2演出パターンを構成する予告演出(例えばステップアップ予告、セリフ予告、キャラクタ予告、背景予告、チャンス目予告、疑似連続予告、次回予告等)が開始されるよりも前のタイミング(以下「切替タイミング」という。)で、視認性が相対的に高い状態で実行されている演出が、第1演出から第2演出に切り替えられる場合がある。本実施形態では、視認性が相対的に低い状態で実行されている第2演出を構成する予告演出が、遊技者にとって良い予告演出(特別図柄抽選に当選する信頼度が相対的に高いことを表す演出)である場合に、その予告演出を切替タイミング後に大きく表示して遊技者に期待感を持たせるために、このような演出の切替処理が行われる(図4(A)、図5(A)及び(B)参照)。そして、視認性が相対的に低い状態で実行されていた第2演出が視認性が相対的に高い状態で実行される状態となった後、上述した良い予告演出(例えばカットイン予告)が、視認性が高い状態で実行される(図5(C)参照)。具体的には、第1演出パターンを構成する第1演出画像が第1領域51に表示されると共に第2演出パターンを構成する第2演出画像が第2領域52に表示される状態が、第1演出画像が画面50から消去されて第2演出画像が画面50の全体に表示される状態へと変化する。
このように、液晶表示器5は、2つの演出パターンのどちらか一方の演出をその視認性が相対的に高い状態で実行すると共に他方の演出パターンの演出をその視認性が相対的に低い状態で実行する。
一方、遊技者にとって良い予告演出ではない場合には、切替タイミング後も、第1演出をその視認性が相対的に低い状態で実行する処理が継続される。
ただし、以下のような場合には、第2演出を構成する予告演出が遊技者にとって良い予告演出であるか否かに関わらず、視認性が相対的に高い状態で実行されている演出を第1演出から第2演出に切り替える処理が行われる。すなわち、パチンコ遊技機1では、特別図柄の変動表示中に遊技球が第1始動口21又は第2始動口22に入賞すると、特別図柄抽選に必要な各種乱数(取得情報の一例)がこの始動口入賞を条件として取得されるが、これらの乱数を用いた特別図柄抽選や特別図柄の変動表示は、始動口入賞時に行われている特別図柄の変動表示が終了するまで保留されることになり、画面50には保留表示画像55(図5(D)参照)が表示される。このように特別図柄抽選及び特別図柄の変動表示が保留された場合、各種乱数に基づく大当たり判定処理及び変動パターン選択処理(図13参照)と同様の処理が、特別図柄抽選や特別図柄の変動表示開始時ではなく、各種乱数が取得された時点で行われる。すなわち、特別図柄抽選と同様の抽選処理が、特別図柄の変動表示開始時に先立って実行される。そして、この抽選処理(以下「事前判定処理」という。)が行われて例えば特別図柄抽選に当選する信頼度が相対的に高いという事前判定結果が得られた場合、視認性が相対的に高い状態で実行されている第1演出が第1演出よりも信頼度が高いことを表す第2演出に切り替えられる(図4(B)、図5(D)参照)。そして、上述した第2演出の予告演出が行われていない場合には、その予告演出がその視認性が相対的に高い状態で実行される(図5(C)参照)。
なお、本実施形態では、積極的に視認可能となるように実行されている演出が第1演出から第2演出に切り替えられた場合に、画面50全体を第1領域51として用いて第2演出画像を表示し、2つの演出の切り替え前に第1領域51に表示されていた第1演出画像を切り替え後は表示しないこととしているが(図5(B)〜(D)参照)、2つの演出の切り替え後に、第1演出画像を第2領域52に表示するようにしてもよい。すなわち、2つの領域51,52を固定した状態で、第1領域51に表示されている第1演出画像と第2領域52に表示されている第2演出画像とを入れ替えるようにしてもよい。
このように、本実施形態に係るパチンコ遊技機1は、視認性が相対的に高い状態で実行されている演出が途中で切り替わるという、予め用意されている演出パターンとは異なるパターンの演出(視認性が相対的に高い状態で実行されている第1演出パターンの演出を途中で第2演出パターンの演出に切り替える演出)を実行可能であるため、バリエーション豊富な演出を行うことができる。また、特定の事前判定結果が得られた場合には予め設定された切替タイミングとは異なるタイミングで演出の切り替えが行われるので、切替タイミングが予告演出の直前に完全に固定されている場合に比べて、興趣性の向上を図ることができる。以下、このような特徴的な演出を実現するためのパチンコ遊技機1の構成及び動作について詳細に説明する。なお、以下の説明では、視認性が相対的に高い状態で演出を実行することを「積極的に視認可能となるように実行する」と表現し、視認性が相対的に低い状態で演出を実行することを「消極的に実行する」と表現するものとする。
[パチンコ遊技機1の制御装置の構成]
遊技盤2の裏面側(図1の紙面奥側)には、賞球として払い出される遊技球を溜めておく球タンクの他に、パチンコ遊技機1の動作を制御する制御装置が設けられている。
以下、図6を参照しつつ、パチンコ遊技機1の制御装置の構成について説明する。ここで、図6は、パチンコ遊技機1の制御装置の構成例を示すブロック図である。図6に示されるように、パチンコ遊技機1の制御装置は、遊技制御部100、演出制御部130、画像音響制御部140、ランプ制御部150等を備えている。
[遊技制御部100の構成]
遊技制御部100は、CPU101、ROM102、及びRAM103を備えている。CPU101は、ROM102に記憶されたプログラムに基づいて、内部抽選や当選の判定等の払出賞球数に関連する各種の演算処理を行う。RAM103は、CPU101が上記プログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記憶する記憶領域又はデータ処理などの作業領域として使用される。
この遊技制御部100には、第1始動口スイッチ(SW)111、第2始動口スイッチ(SW)112、電動チューリップ開閉部113、ゲートスイッチ(SW)114、大入賞口スイッチ(SW)115、大入賞口制御部116、及び普通入賞口スイッチ(SW)117が接続されている。
第1始動口スイッチ111は、遊技球が第1始動口21に入賞したことを検出してその検出信号を遊技制御部100に出力する。第2始動口スイッチ112は、遊技球が第2始動口22に入賞したことを検出してその検出信号を遊技制御部100に出力する。電動チューリップ開閉部113は、電動チューリップ27の一対の羽根部材を姿勢変化させるための電動ソレノイドを作動させる。この電動チューリップ開閉部113の動作は、普通図柄抽選に当選した場合の遊技制御部100からの指示に基づいて行われる。ゲートスイッチ114は、遊技球がゲート25を通過したことを検出してその検出信号を遊技制御部100に出力する。大入賞口スイッチ115は、遊技球が大入賞口23に入賞したことを検出してその検出信号を遊技制御部100に出力する。大入賞口制御部116は、特別図柄抽選に当選した場合の遊技制御部100からの指示に基づいて、大入賞口23を開放してから閉塞するラウンドを繰り返す。この大入賞口制御部116は、大入賞口23のプレートを作動させる電動ソレノイド等を有して構成されている。普通入賞口スイッチ117は、遊技球が普通入賞口24に入賞したことを検出してその検出信号を遊技制御部100に出力する。
遊技制御部100のCPU101は、第1始動口スイッチ111からの検出信号が入力されたタイミングで取得した乱数を用いて第1特別図柄抽選を実行し、第2始動口スイッチ112からの検出信号が入力されたタイミングで取得した乱数を用いて第2特別図柄抽選を実行する。そして、特別図柄抽選に当選すると、大入賞口制御部116を介して大入賞口23の開閉を制御する。また、CPU101は、特別図柄抽選の結果に応じて決定した特別図柄抽選の当選確率の変動設定や、特別図柄の変動時間の短縮設定を示すデータ、第1始動口21又は第2始動口22に遊技球が入賞したことを通知するための情報(後述する保留コマンド)等を演出制御部130へ送信する。
CPU101は、ゲートスイッチ114から入力されたタイミングで取得した乱数を用いて普通図柄抽選を実行する。そして、この普通図柄抽選に当選すると、電動チューリップ開閉部113を介して電動チューリップ27を動作させる。
CPU101は、第1始動口スイッチ111、第2始動口スイッチ112、大入賞口スイッチ115、又は普通入賞口スイッチ117からの検出信号が入力されると、遊技球が入賞した場所に応じた所定数の賞球の払い出しを不図示の払出制御部に指示し、払出制御部からの情報に基づいて、払い出す賞球の個数を管理する。
また、遊技制御部100には、図2に例示した表示器4が接続されている。CPU101は、第1特別図柄抽選を実行すると、第1特別図柄表示器41に第1特別図柄を変動表示させた後にその抽選結果を示す第1特別図柄を停止表示させる。また、CPU101は、第2特別図柄抽選を実行すると、第2特別図柄表示器42に第2特別図柄を変動表示させた後にその抽選結果を示す第2特別図柄を停止表示させる。また、CPU101は、保留された第1特別図柄抽選の保留数を第1特別図柄保留表示器43に表示させ、第2特別図柄抽選の保留数を第2特別図柄保留表示器44に表示させる。
CPU101は、普通図柄抽選を実行すると、普通図柄表示器45に普通図柄を変動表示させてからその抽選結果を示す普通図柄を停止表示させる。また、特別図柄抽選と同様に保留される普通図柄抽選の保留数を普通図柄保留表示器46に表示させる。
CPU101は、パチンコ遊技機1の遊技状態を遊技状態表示器47に表示させる。
[演出制御部130の構成]
演出制御部130は、CPU131、ROM132、RAM133、及びRTC(リアルタイムクロック)134を備えている。CPU131は、ROM132に記憶されたプログラムに基づいて、演出を制御する際の演算処理を行う。RAM133は、CPU131が上記プログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記憶する記憶領域又はデータ処理などの作業領域として使用される。RTC134は、現時点の日時を計測する。
演出制御部130のCPU131は、遊技制御部100から送られる特別図柄抽選の結果等を示すデータや、電動チューリップ27の動作パターンを示す情報等に基づいて、演出内容を設定する。その際、演出ボタン37又は演出キー38からの操作情報の入力を受け付けて、その操作情報に応じた演出内容を設定する場合もある。CPU131は、設定した演出内容の演出の実行を指示するコマンドを画像音響制御部140及びランプ制御部150へ送信する。
[ランプ制御部150の構成]
ランプ制御部150は、CPU151、ROM152、及びRAM153を備えている。CPU151は、盤ランプ8や枠ランプ36、及び可動役物7の動作を制御する際の演算処理を行う。ROM152には、CPU151によって実行されるプログラムや各種データ等が記憶されている。RAM153は、CPU151が上記プログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記憶する記憶領域又はデータ処理などの作業領域として使用される。
ROM152には、発光パターンデータ、及び動作パターンデータが記憶されている。ここで、発光パターンデータは、枠ランプ36、盤ランプ8、可動役物7に設けられた役物ランプのそれぞれの発光パターンを示すデータである。動作パターンデータは、可動役物7の動作パターンを示すデータである。
ランプ制御部150のCPU151は、ROM152に記憶されている発光パターンデータの中から、演出制御部130から受信したコマンドに対応する発光パターンデータを読み出して、盤ランプ8、枠ランプ36、及び役物ランプの発光を制御する。また、CPU151は、ROM152に記憶されている動作パターンデータの中から、演出制御部130から受信したコマンドに対応する動作パターンデータを読み出して、可動役物7の動作を制御する。
[画像音響制御部140の構成]
図7は、画像音響制御部140の構成例を示すブロック図である。画像音響制御部140は、図7に示されるように、各種演出の実行を指示するための制御信号を生成するCPU141と、CPU141によって生成された制御信号に応じた演出を表現するための演出画像を生成するVDP(Video Display Processor)142と、CPU141によって生成された制御信号に応じた演出を実現するための音響データを生成する音響DSP(Digital Signal Processor)143とを備えている。
CPU141には、制御用ROM144及びRAM145が接続されている。制御用ROM144には、CPU141によって実行されるプログラムや各種データ等が記憶されている。RAM145は、CPU141が上記プログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記憶する記憶領域又はデータ処理などの作業領域として使用される。CPU141は、演出制御部130から受信したコマンドに基づいて、VDP142及び音響DSP143の動作を制御するための制御信号を生成して、その制御信号をVDP142及び音響DSP143に出力する。
音響DSP143には、音響用ROM146、及びSDRAM147が接続されている。音響用ROM146には、スピーカ35から出力させる楽曲や音声、効果音等に関する各種音響データが記憶されている。SDRAM147は、音響DSP143によるデータ処理等の作業領域として使用される。
音響DSP143は、CPU141から入力された制御信号に対応する音響データを音響用ROM146からSDRAM147に読み出し、その音響データに対して必要なデータ処理を行う。そして、液晶表示器5による画像表示と同期させて、又は画像表示とは非同期に、データ処理後の音響データを不図示の増幅器を介してスピーカ35に出力する。
VDP142は、CPU141から入力された制御信号に基づいて画像を描画して、液晶表示器5に出力する。このVDP142は、CPU I/F1421、デコーダ1422、ROM I/F1423、描画エンジン1424、VRAM_RS1425、VRAM_FB1426(フレームバッファ)、及び出力回路1427を備えている。
VDP142には、内部バス1428及び内部バス1429が設けられている。CPU I/F1421、デコーダ1422、ROM I/F1423、描画エンジン1424、及びVRAM_RS1425は、内部バス1428を介して通信可能に接続されている。また、描画エンジン1424、VRAM_FB1426、及び出力回路1427は、内部バス1429を介して通信可能に接続されている。
CPU I/F1421は、VDP142とCPU141とを通信可能に接続するインターフェースである。CPU141によって生成された制御信号は、CPU I/F1421を介してVDP142に入力される。ROM I/F1423は、画像用ROM148から画像データを読み出すためのインターフェースである。
画像用ROM148には、液晶表示器5に表示される演出画像を構成する素材となる素材データが記憶されている。具体的には、装飾図柄や期待度の大きさに応じた演出を行うためのキャラクタやアイテム等に関する画像データ、背景画面として表示される背景画像に関する画像データ、「リーチ」、「激アツ」等の文字に関する画像データといった、いわゆるスプライト機能を実現するための素材データが記憶されている。
VRAM_RS1425は、画像用ROM148から読み出された素材データを一時的に記憶する記憶領域又は描画エンジン1424が実行する描画処理などの作業領域として使用されるメモリである。なお、例えばMPEG2(Moving Picture Experts Group phase 2)方式で符号化された画像データが画像用ROM148から読み出される場合には、デコーダ1422によって復号された画像データが素材データとしてVRAM_RS1425に格納される。VRAM_RS1425に格納された素材データは、描画エンジン1424が行う描画処理に使用される。このため、描画処理で頻繁に使用される素材データをVRAM_RS1425にバッファリングしておくことによって、描画エンジン1424による描画処理を効率良く実行することができる。
描画手段として機能する描画エンジン1424は、CPU141からの制御信号に基づいて、液晶表示器5に表示すべき演出画像をVRAM_FB1426に描画する。具体的には、CPU141からの制御信号、及びVRAM_RS1425に格納された素材データに基づいて、各ピクセルの色を計算し、計算した色の値をVRAM_FB1426に書き込むレンダリング処理を行う。VRAM_FB1426に描画された画像は、1フレーム分の画像に対応する複数の画素データから構成されており、各画素データは、R(Red)、G(Green)、B(Blue)を示す色情報と、画素の透過度を示すアルファ値とを含んでいる。出力回路1427は、VRAM_FB1426に描画された演出画像を所定の表示タイミングで液晶表示器5に出力して、液晶表示器5に演出画像を表示させる。
[VDP142による処理]
図8は、VDP142による処理について説明するための説明図である。図8に示されるように、VRAM_FB1426は、描画エンジン1424によって描画される1フレーム分の画像をそれぞれ記憶する第1フレームバッファ1426A及び第2フレームバッファ1426Bを備えるダブルバッファ方式のメモリである。
演出制御部130によって1つの演出パターンが選択された場合、描画エンジン1424は、第1フレームバッファ1426A内の演出画像を液晶表示器5に出力している間には、次のフレームの演出画像を第2フレームバッファ1426Bに描画する。一方、第2フレームバッファ1426B内の演出画像を液晶表示器5に出力している間には、次のフレームの演出画像を第1フレームバッファ1426Aに描画する。このように、描画エンジン1424は、一方のフレームバッファから画像を出力している間に他方のフレームバッファに描画処理を行うことで、高いフレームレートで描画処理を行うことができる。
一方、演出制御部130によって第1演出パターン及び第2演出パターンの2つの演出パターンが選択された場合、描画エンジン1424は、第1フレームバッファ1426A内の合成画像を液晶表示器5に出力している間には、次のフレームの合成画像を第2フレームバッファ1426Bに描画する。一方、第2フレームバッファ1426B内の合成画像を液晶表示器5に出力している間には、次のフレームの合成画像を第1フレームバッファ1426Aに描画する。ここで、合成画像は、第1演出画像が第1領域51内に配置されると共に第2演出画像が第2領域52内に配置されるように、第1演出画像と第2演出画像とを合成した演出画像である。すなわち、描画エンジン1424は、一方の演出画像(例えば第1演出画像)の上に他方の演出画像を重ね合わせたような演出画像をVRAM_FB1426に対して描画する。
このようなVDP142による処理が行われることにより、演出制御部130によって選択された2つの演出パターンのうちの一方の演出パターンの演出画像(例えば第1演出画像)が第1領域51(図5参照)に表示されると共に、他方の演出パターンの演出画像(例えば第2演出画像)が第2領域52(図5参照)に表示されることになる。そして、切替タイミング後に第1演出画像を表示しないようにする場合には、描画エンジン1424は、第2演出画像を画面50全体に表示するための描画処理を行う。すなわち、第2演出画像を用いた描画処理を、演出制御部130によって1つの演出パターンが選択された場合と同様に行う。
[遊技制御部100による主要動作]
次に、遊技制御部100において実行される主要動作について説明する。図9は、遊技制御部100によって実行される主要動作の一例を示すフローチャートである。なお、図9以降のフローチャートに基づいて説明する遊技制御部100の処理は、ROM102に記憶されているプログラムに基づいてCPU101が発行する命令に従って行われる。
乱数更新処理(ステップS1)では、遊技制御部100のCPU101は、大当たり乱数、図柄乱数、リーチ乱数、変動パターン乱数、及び普通図柄乱数の各種乱数の更新を行う。ここで、大当たり乱数は、特別図柄抽選の当選(大当たり)又は落選(ハズレ)を決定するための乱数である。図柄乱数は、特別図柄抽選に当選した場合に、当たりの種類を決定するための乱数である。リーチ乱数は、特別図柄抽選に落選した場合に、リーチ有りの演出を行うか或いはリーチ無しの演出を行うかを決定するための乱数である。変動パターン乱数は、特別図柄が変動表示される際の変動パターンを決定するための乱数である。普通図柄乱数は、普通図柄抽選の当選又は落選を決定するための乱数である。これらの乱数は、このステップS1の処理が行われる毎に「1」ずつ加算される。そして、各抽選が行われた時点の値が後述するステップS2やステップS3の処理で取得され、ステップS4の処理やステップS5の処理で使用される。
始動口スイッチ(SW)処理(ステップS2)では、CPU101は、第1始動口スイッチ111又は第2始動口スイッチ112から検出信号が出力された場合に、特別図柄抽選の保留数を更新する処理や乱数を取得する処理等を実行する。この始動口スイッチ処理については、図11に基づいて後に詳述する。
ゲートスイッチ(SW)処理(ステップS3)では、CPU101は、ゲートスイッチ114から検出信号が出力された場合に、ステップS5の普通図柄処理に使用される普通図柄乱数を取得する処理等を行う。
特別図柄処理(ステップS4)では、CPU101は、特別図柄抽選を実行し、表示器4に特別図柄を変動表示してから特別図柄抽選の結果を示す特別図柄を停止表示するための処理を実行する。この特別図柄処理については、図13に基づいて後に詳述する。
普通図柄処理(ステップS5)では、CPU101は、ステップS3の処理で取得された普通図柄乱数がその当選値と一致するか否かを判定し、普通図柄表示器45に普通図柄を変動表示させた後に判定結果を示す普通図柄を停止表示させる処理等を行う。
大入賞口処理(ステップS6)では、CPU101は、特別図柄抽選に当選した場合に、大入賞口制御部116を介して大入賞口23の開閉を制御する。
電動チューリップ処理(ステップS7)では、CPU101は、ステップS5の普通図柄処理において普通図柄乱数がその当選値と一致すると判定した場合に、電動チューリップ開閉部113を介して電動チューリップ27を動作させる。
賞球処理(ステップS8)では、CPU101は、遊技球の入賞個数の管理及び入賞に応じた賞球の払い出しを制御する。
出力処理(ステップS9)では、CPU101は、ステップS2の始動口スイッチ処理、ステップS4の特別図柄処理、ステップS6の大入賞口処理等でRAM103にセットされた各種コマンドや演出に必要な情報を演出制御部130へ送信する。
[遊技制御部100のRAM103の構成]
次に、遊技制御部100のRAM103の構成について説明する。図10は、遊技制御部100のRAM103の構成例を示すブロック図である。図10(A)はRAM103の記憶領域109及び保留数記憶部110の構成を示し、図10(B)は記憶領域109を構成する各記憶部109A〜109Hの構成を示している。
図10(A)に示されるように、RAM103は、記憶領域109及び保留数記憶部110を有している。記憶領域109は、パチンコ遊技機1において保留可能な最大8個の保留球に対する大当たり乱数等をそれぞれ記憶するために、第1記憶部109A、第2記憶部109B、第3記憶部109C、第4記憶部109D、第5記憶部109E、第6記憶部109F、第7記憶部109G、及び第8記憶部109Hから構成されている。
これらの記憶部109A〜109Hは、図10(B)に示されるように、それぞれ、CPU101によって取得された、変動回数Nを記憶する領域、入賞始動口情報を記憶する領域、大当たり乱数を記憶する領域、図柄乱数を記憶する領域、リーチ乱数を記憶する領域、変動パターン乱数を記憶する領域、及び事前判定情報を記憶する領域を含んでいる。
変動回数Nは、第1始動口21又は第2始動口22に遊技球が入賞して獲得した特別図柄抽選の権利の合計回数を示す情報である。例えば、パチンコ遊技機1の電源が投入されてから、第1始動口21に遊技球が入賞して第1特別図柄抽選の権利を50回獲得し、第2始動口22に遊技球が入賞して第2特別図柄抽選の権利を10回獲得した場合、変動回数Nとして、これらの権利の回数を足し合わせた「60」が変動回数Nとして例えば第3記憶部109Cに記憶される。そして、この状態から更に第1始動口21に遊技球が入賞して特別図柄抽選の権利を獲得すると、「60」に「1」を加算した「61」が変動回数Nとして第4記憶部109Dに記憶される。
なお、第1始動口21に入賞した遊技球の保留数が最大保留数Umax1(本実施形態では「4」)に達した状態で第1始動口21に新たな遊技球が入賞した場合には、変動回数Nはカウントされない。また、第2始動口22に入賞した遊技球の保留数が最大保留数Umax2(本実施形態では「4」)に達した状態で第2始動口22に新たな遊技球が入賞した場合にも、変動回数Nはカウントされない。
入賞始動口情報は、同じ記憶部内に格納されている大当たり乱数、図柄乱数、リーチ乱数、及び変動パターン乱数が、遊技球が第1始動口21に入賞したことを契機として取得されたのか、或いは遊技球が第2始動口22に入賞したことを契機として取得されたのかを示す情報である。
事前判定情報は、大当たり乱数、図柄乱数、リーチ乱数、及び変動パターン乱数に基づいて、後述する事前判定処理(図12参照)で得られる情報である。事前判定情報は、具体的には、入賞始動口情報、特別図柄抽選の結果が大当たり及びハズレのいずれであるかを示す情報、大当たりであった場合にはその大当たりの種類が何であるかを示す情報、演出内容はリーチ有り演出であるかリーチ無し演出であるかを示す情報、特別図柄の変動パターン(変動時間)を示す情報、パチンコ遊技機1の遊技状態を示す情報を含む。事前判定情報は、事前判定情報を生成するための元となった大当たり乱数、図柄乱数、リーチ乱数、変動パターン乱数等と同じ記憶部内に記憶される。
図10(B)に示されている変動回数N、入賞始動口情報、大当たり乱数、図柄乱数、リーチ乱数、変動パターン乱数、及び事前判定情報の7つの情報は、第1始動口21又は第2始動口22に遊技球が入賞する毎に、第1記憶部109Aから順に記憶される。例えば第1記憶部109A〜第8記憶部109Hのいずれにも情報が記憶されていない場合、7つの情報は、第1記憶部109Aに記憶される。また、例えば第1記憶部109A〜第4記憶部109Dのそれぞれに7つの情報が既に記憶されている場合、新たに取得された7つの情報は、第5記憶部109Eに記憶される。
また、第1記憶部109Aに記憶されている乱数を取得する契機となった保留球が消化される際に、第1記憶部109Aに記憶されている7つの情報が破棄されると共に、各記憶部に記憶されている情報をシフトさせる処理がCPU101によって行われる。例えば、第1記憶部109A〜第3記憶部109Cにそれぞれ7つの情報が記憶されている状態で第1記憶部109Aに記憶されている情報に対応する保留球が消化された場合、CPU101は、第1記憶部109Aに記憶されている情報を破棄し、第2記憶部109Bに記憶されている情報を第1記憶部109Aへ移動させ、第3記憶部109Cに記憶されている情報を第2記憶部109Bへ移動させる。
図10(A)に示される保留数記憶部110には、第1特別図柄抽選の保留数U1、第2特別図柄抽選の保留数U2、及び普通図柄抽選の保留数が記憶されており、これらの保留数は、特別図柄抽選が保留される毎に、或いは特別図柄抽選や普通図柄抽選が行われる毎に適宜更新される。
[遊技制御部100による始動口スイッチ処理]
以下、図11を参照しつつ、遊技制御部100による始動口スイッチ処理について説明する。ここで、図11は、図9のステップS2における始動口スイッチ処理の詳細フローチャートである。CPU101は、図11に示されるように、第1始動口スイッチ111からの検出信号の有無に基づいて、第1始動口21に遊技球が入賞して第1始動口スイッチ111が「ON」になったか否かを判定する(ステップS21)。CPU101は、第1始動口スイッチ111が「ON」になったと判定した場合(ステップS21:YES)、第1特別図柄抽選の最大保留数Umax1をROM102から読み出し、保留数記憶部110に記憶されている第1特別図柄抽選の保留数U1が最大保留数Umax1未満であるか否かを判定する(ステップS22)。
CPU101は、保留数U1が最大保留数Umax1未満であると判定した場合(ステップS22:YES)、保留数記憶部110に記憶されている保留数U1の値を「1」加算した値に更新する(ステップS23)。そして、記憶領域109に新たに記憶される変動回数Nを「1」加算する(ステップS24)。
CPU101は、第1始動口21を示す入賞始動口情報、及びステップS24の処理で更新した変動回数Nと共に、ステップS23の処理によって保留した第1特別図柄抽選のための乱数(大当たり乱数、図柄乱数、リーチ乱数、及び変動パターン乱数)を取得して、記憶手段として機能する記憶領域109に格納する(ステップS25)。このように、CPU101は、第1始動口21又は第2始動口22への遊技球の入賞を契機として取得情報としての乱数を取得し、取得した乱数を記憶領域109に格納する。そして、CPU101は、ステップS25の処理で記憶領域109に格納された乱数を用いて、後述する事前判定処理を行う(ステップS26)。
CPU101は、第1始動口スイッチ111が「OFF」であると判定した場合(ステップS21:NO)、保留数U1が最大保留数Umax1未満ではないと判定した場合(ステップS22:NO)、又はステップS26の事前判定処理を行った場合、第2始動口スイッチ112からの検出信号の有無に基づいて、第2始動口22に遊技球が入賞して第2始動口スイッチ112が「ON」になったか否かを判定する(ステップS27)。CPU101は、第2始動口スイッチ112が「ON」になったと判定した場合(ステップS27:YES)、第2特別図柄抽選の最大保留数Umax2をROM102から読み出し、保留数記憶部110に記憶されている第2特別図柄抽選の保留数U2が最大保留数Umax2未満であるか否かを判定する(ステップS28)。
CPU101は、保留数U2が最大保留数Umax2未満であると判定した場合(ステップS28:YES)、保留数記憶部110に記憶されている保留数U2の値を「1」加算した値に更新する(ステップS29)。そして、記憶領域109に新たに記憶される変動回数Nを「1」加算する(ステップS30)。
CPU101は、第2始動口22を示す入賞始動口情報、及びステップS30の処理で更新した変動回数Nと共に、ステップS29の処理によって保留した第2特別図柄抽選のための乱数(大当たり乱数、図柄乱数、リーチ乱数、及び変動パターン乱数)を取得して記憶領域109に格納する(ステップS31)。そして、CPU101は、ステップS31の処理で記憶領域109に格納された乱数を用いて事前判定処理を行う(ステップS32)。このステップS32における事前判定処理は、ステップS26における事前判定処理と同様に行われる。
一方、第2始動口スイッチ112が「OFF」であると判定された場合(ステップS27:NO)、保留数U2が最大保留数Umax2未満ではないと判定された場合(ステップS28:NO)、又はステップS32の事前判定処理が行われた場合、始動口スイッチ処理が終了されて、図9のステップS3におけるゲートスイッチ処理に処理が進められる。
[遊技制御部100による事前判定処理]
以下、図12を参照しつつ、遊技制御部100によって行われる事前判定処理について説明する。ここで、図12は、図11のステップS26,S32における事前判定処理の詳細フローチャートである。
図11におけるステップS25の処理又はステップS31の処理が行われた後、CPU101は、RAM103に記憶されている遊技状態情報に基づいて、パチンコ遊技機1の遊技状態が、特別図柄抽選の当選確率が上昇した高確率状態であるか否かを判定する(ステップS260)。CPU101は、高確率状態であると判定した場合(ステップS260:YES)、始動口スイッチ処理で取得した特別図柄抽選の権利が、現在の高確率状態に移行してから、何回目の特別図柄抽選の権利に相当するものであるのかを判定する。すなわち、以前の遊技状態が高確率状態となる大当たりの当選が確定すると、大当たりに当選した際の変動回数Nが、基準回数Mに設定される。例えば、パチンコ遊技機1の電源が投入されてから200回目の特別図柄抽選(特別図柄の変動表示)によって、例えば高確率時短付き長当たり(例えば16R確変大当たり)に当選した場合には、RAM103に「200」というデータが記憶され、それに伴って、内部状態が高確率状態となる。したがって、パチンコ遊技機1の電源投入から201回目に行われる特別図柄抽選は、高確率状態に移行してから、1回目の特別図柄抽選に相当し、同様に、210回目に行われる特別図柄抽選は、高確率状態に移行してから、10回目の特別図柄抽選に相当することとなる。このように、始動口スイッチ処理によって取得された特別図柄抽選の権利が、高確率状態に移行してから何回目の特別図柄抽選に相当するのかを演算する。具体的には、CPU101は、変動回数Nから基準回数Mを減算して演算値Lを求める(ステップS261)。
そして、CPU101は、演算値Lが所定回数K以下であるか否かを判定する(ステップS262)。ここで、所定回数Kは、ROM102に記憶されている高確率時乱数判定テーブルに基づいて大当たり乱数が判定される上限回数である。本実施形態では、遊技状態が高確率状態となる大当たりに当選すると、それ以降の大当たり乱数の判定が48回を上限として、高確率時乱数判定テーブルに基づいて行われる。したがって、所定回数Kは、本実施形態では「48」に設定されている。このため、本実施形態では、ステップS262において、CPU101は、演算値Lが「48」以下であるか否かを判定する。すなわち、始動口スイッチ処理によって取得された大当たり乱数が、高確率時乱数判定テーブルに基づいて判定されるのか、或いは、高確率状態が終了して低確率時乱数判定テーブルに基づいて判定されるのかが、このステップS262で判定される。
例えば、パチンコ遊技機1の電源が投入されてから200回目の特別図柄抽選(変動回数N=200)によって高確率時短付き短当たり(例えば8R確変大当たり)に当選したと仮定する。その後、高確率状態になってから46回目の特別図柄抽選が実行され、未だ大当たりに当選していない状態で、変動回数N=247の保留A、変動回数N=248の保留B、変動回数N=249の保留Cに関する情報が、それぞれRAM103に記憶されたとする。この場合、基準回数Mは「200」に設定されるため、保留Aに対する演算値Lは「47」となり、保留Bに対する演算値Lは「48」となり、保留Cに対する演算値Lは「49」となる。したがって、保留A及び保留BについてはステップS262で「YES」と判定され、保留CについてはステップS262で「NO」と判定される。
CPU101は、演算値Lが所定回数K以下であると判定した場合(ステップS262:YES)、以後の遊技状態を低確率状態に変更する大当たりに係る事前判定情報が始動口スイッチ処理の開始前に記憶領域109に記憶されているか否かを判定する(ステップS263)。例えば、始動口スイッチ処理のステップS25(図11参照)において第5記憶部109E(図10参照)に乱数を記憶した場合、第1記憶部109Aから第4記憶部109Dに、例えば8R通常大当たりに係る事前判定情報が記憶されているか否かを判定する。すなわち、始動口スイッチ処理において保留された保留球よりも先に消化される保留球に、遊技状態を低確率状態に変更するものがあるか否かを判断する。なぜなら、このような保留球が先に保留されている場合には、始動口スイッチ処理で保留球が保留されたときには高確率状態であったとしても、その保留球を消化するときには低確率状態になってしまうからである。したがって、CPU101は、先の保留に通常当たりはないと判定した場合には(ステップS263:NO)、高確率時乱数判定テーブルを選択し(ステップS265)、先の保留に通常当たりがあると判定した場合には(ステップS263:YES)、低確率時乱数判定テーブルを選択する(ステップS266)。
一方、パチンコ遊技機1の現在の遊技状態が低確率状態である場合(ステップS260:NO)、すなわちパチンコ遊技機1の遊技状態が通常遊技状態又は時短遊技状態のいずれかである場合、又は演算値Lが所定回数Kを超えている場合(ステップS262:NO)、CPU101は、以後の遊技状態を高確率状態に変更する大当たりに係る事前判定情報が始動口スイッチ処理の開始前に記憶領域109に記憶されているか否かを判定する(ステップS264)。例えば、始動口スイッチ処理のステップS25(図11参照)において第6記憶部109F(図10参照)に乱数を記憶した場合、第1記憶部109Aから第5記憶部109Eに確変大当たりに係る事前判定情報が記憶されているか否かを判定する。すなわち、始動口スイッチ処理において保留された保留球よりも先に消化される保留球に、遊技状態を高確率状態に変更するものがあるか否かを判断する。なぜなら、このような保留球が先に保留されている場合には、始動口スイッチ処理で保留球が保留されたときには低確率状態であったとしても、その保留球を消化するときには高確率状態になってしまうからである。したがって、CPU101は、先の保留に高確率当たりはないと判定した場合には(ステップS264:NO)、ROM102に記憶されている低確率時乱数判定テーブルを選択し(ステップS266)、先の保留に高確率当たりがあると判定した場合には(ステップS264:YES)、高確率時乱数判定テーブルを選択する(ステップS265)。
なお、記憶領域109(図10参照)に、以後の遊技状態を高確率状態に変更する大当たりに係る事前判定情報と、以後の遊技状態を低確率状態に変更する大当たりに係る事前判定情報とが記憶されている場合、これら2つの事前判定情報のうち、後に消化される保留球に対応する事前判定情報に基づいて、ステップS263又はステップS264の処理を行う。例えば、第1記憶部109Aに8R確変大当たりに係る事前判定情報が記憶され、第3記憶部109Cに8R通常大当たりに係る事前判定情報が記憶されている場合、第3記憶部109Cに記憶されている事前判定情報に基づいて判定が行われる。このため、ステップS263の処理が行われる場合には「YES」と判定され、ステップS264の処理が行われる場合には「NO」と判定される。
このように、ステップS260〜ステップS264の処理を行うことで、始動口入賞時のパチンコ遊技機1の内部状態ではなく、特別図柄処理時(保留球消化時)の内部状態に基づいて、大当たりの事前判定を行うことが可能となる。したがって、保留球消化前に、高確率状態から低確率状態へと遊技状態が変化する場合や、逆に低確率状態から高確率状態へと遊技状態が変化する場合にも、正確な大当たり(特別図柄抽選)の事前判定結果を導き出すことができる。
ステップS265又はステップS266の処理に続き、CPU101は、高確率時乱数判定テーブル及び低確率時乱数判定テーブルのうち、選択したテーブルに基づいて、各乱数の判定を行う(ステップS267)。具体的には、CPU101は、ステップS25又はステップS31の処理で取得された大当たり乱数が、ステップS265又はステップS266の処理で選択された乱数判定テーブルに基づいて、特別図柄抽選の結果が大当たり及びハズレのいずれであるかを判定する。CPU101は、大当たりであると判定した場合にはその大当たりの種類を、大当たり乱数と一緒に取得された図柄乱数、及び乱数判定テーブルに基づいて判定する。一方、大当たり乱数が、乱数判定テーブルに格納されている乱数値(当選値)のいずれにも該当せずにハズレと判定した場合、CPU101は、大当たり乱数及び図柄乱数と一緒に取得されたリーチ乱数、及び乱数判定テーブルに基づいて、ハズレと判定した遊技球に対する特別図柄の変動表示中にリーチ有りの演出を行うのか或いはリーチ無しの演出を行うのかを判定する。
ところで、図11から明らかなように、本実施形態における事前判定処理は、特別図柄の変動表示が開始されるときではなく、第1始動口21又は第2始動口22に遊技球が入賞したときに行われる。すなわち、CPU101は、遊技球の入賞が検出されたタイミングで特別図柄抽選を実行し、この特別図柄抽選の結果がハズレである場合に、リーチ有りの演出を行うか或いはリーチ無しの演出を行うかを事前に決定する。また、CPU101は、大当たり乱数、図柄乱数、及びリーチ乱数と一緒に取得された変動パターン乱数に基づいて、保留球消化時に液晶表示器5に変動表示される特別図柄の変動パターン(変動時間)を事前判定する。
このように、CPU101は、記憶領域109(図10参照)に記憶されている乱数が予めROM102に記憶されている乱数と一致するか否か(すなわち特定の乱数であるか否か)を、特別図柄の変動表示開始時に行われる特別図柄抽選に先立って事前に判定する。
CPU101は、これらの判定の結果を示す情報等を含む事前判定情報を生成する(ステップS268)。この事前判定情報は、記憶領域109において、ステップS267の判定で使用した大当たり乱数、図柄乱数、リーチ乱数、及び変動パターン乱数が記憶されているのと同じ記憶部内に格納される。
事前判定情報を格納した後、CPU101は、演出制御部130に対して液晶表示器5への保留表示画像の追加表示を指示するために、ステップS268の処理で生成された事前判定情報を含む保留コマンドをRAM103にセット(格納)する(ステップS269)。なお、このステップS269の処理でセットされた保留コマンドは、図9のステップS9における出力処理によって演出制御部130へ送信される。
[遊技制御部100による特別図柄処理]
図13は、図9のステップS4における特別図柄処理の詳細フローチャートである。図13に示されるように、遊技制御部100のCPU101は、RAM103に記憶されている情報に基づいて、パチンコ遊技機1の現在の状態が特別遊技中(大当たり遊技中)であるか否かを判定する(ステップS41)。特別遊技中であるとCPU101によって判定された場合(ステップS41:YES)、既に何らかの大当たりを表す特別図柄が選択されて停止表示されている状態であるため、特別図柄の変動表示を開始することなく特別図柄処理が終了されて、図9のステップS5における普通図柄処理に処理が進められる。
CPU101は、特別遊技中ではないと判定した場合(ステップS41:NO)、第1特別図柄表示器41又は第2特別図柄表示器42による特別図柄の変動表示中であるか否かを判定する(ステップS42)。CPU101は、特別図柄の変動表示中ではないと判定した場合(ステップS42:NO)、保留数記憶部110に記憶されている保留数U2が「1」以上であるか否かを判定する(ステップS43)。CPU101は、保留数U2が「1」以上であると判定した場合(ステップS43:YES)、保留数記憶部110に記憶されている保留数U2を「1」減算した値に書き換える(ステップS44)。
CPU101は、保留数U2が「1」以上ではない(第2特別図柄抽選が保留されていない)と判定した場合(ステップS43:NO)、保留数記憶部110に記憶されている保留数U1が「1」以上であるか否かを判定する(ステップS45)。保留数U1が「1」以上ではないとCPU101によって判定された場合(ステップS45:NO)、特別図柄処理が終了されて、図9のステップS5における普通図柄処理に処理が進められる。一方、CPU101は、保留数U1が「1」以上であると判定した場合(ステップS45:YES)、保留数記憶部110に記憶されている保留数U1を「1」減算した値に書き換える(ステップS46)。
CPU101は、ステップS44又はステップS46の処理を行った後、大当たり判定処理を実行する(ステップS47)。具体的には、ステップS44の処理に続いてステップS47の処理を実行する場合、CPU101は、ROM102から大当たりの当選値を読み出し、第2始動口22への遊技球の入賞を契機としてステップS31(図11参照)の処理で取得されて記憶領域109(図10(A)参照)に格納された最古の大当たり乱数がこの大当たりの当選値と一致するか否かに基づいて、第2特別図柄抽選の結果が大当たりであるかハズレであるかを判定する。一方、ステップS46の処理に続いてステップS47の処理を実行する場合、CPU101は、ROM102から大当たりの当選値を読み出し、第1始動口21への遊技球の入賞を契機としてステップS25(図11参照)の処理で取得されて記憶領域109に格納された大当たり乱数がこの大当たりの当選値と一致するか否かに基づいて、第1特別図柄抽選の結果が大当たりであるかハズレであるかを判定する。
このように、CPU101は、第1始動口21又は第2始動口22への遊技球の入賞を契機として取得された乱数に基づいて、特別遊技を実行するか否かを決定するための特別図柄抽選を実行する。
第1特別図柄抽選又は第2特別図柄抽選の結果が大当たりである場合、CPU101は、複数種の大当たりのそれぞれに割り当てられた図柄乱数をROM102から読み出す。そして、上述した当選値と一致するか否かの判定に使用した大当たり乱数と一緒に取得された図柄乱数が、複数種の大当たりのいずれの大当たりに割り当てられた図柄乱数と一致するかに応じて、大当たりの種類を判定する。そして、この大当たりの種類に応じた大当たり図柄を設定情報としてRAM103にセット(格納)する。一方、大当たりの判定結果がハズレである場合には、特別図柄抽選に落選したことを表すハズレ図柄を設定情報としてRAM103にセットする。
CPU101は、ステップS47の処理によって大当たり抽選の結果に応じた大当たり図柄又はハズレ図柄を設定情報としてセットした後に、変動パターン選択処理を実行する(ステップS48)。具体的には、ステップS47の大当たり判定処理で大当たりしたと判定した場合、大当たり用の変動パターンテーブルをROM102から読み出してRAM103にセットする。一方、ハズレと判定した場合、ROM102に記憶されているリーチ乱数をRAM103に読み出し、ステップS47の大当たり判定処理に使用した大当たり乱数及び図柄乱数と一緒に取得されたリーチ乱数が、このROM102から読み出したリーチ乱数と一致するか否かに基づいて、遊技者に対して大当たりを期待させるためのリーチ演出を行うか否かを判定する。そして、リーチ演出を行うと判定した場合にはリーチ用の変動パターンテーブルをROM102から読み出してRAM103にセットし、リーチ演出を行わないと判定した場合にはハズレ用の変動パターンテーブルをROM102から読み出してRAM103にセットする。ここで、変動パターンテーブルとは、予め用意されている複数の変動パターン(変動時間10秒、30秒、60秒、90秒など)と変動パターン乱数の乱数値とを対応付けたテーブルである。
次に、CPU101は、セットした変動パターンテーブルを参照して、ステップS47の大当たり判定処理に使用した大当たり乱数及び図柄乱数と一緒に取得された変動パターン乱数に対応する特別図柄の変動パターンを選択し、選択した変動パターンを、設定情報としてRAM103にセットされる。CPU101は、このようにして変動パターンを選択することにより、特別図柄の変動時間を決定する。すなわち、変動パターンが選択されることにより、必然的に変動時間が決定されることになる。
ステップS47の大当たり判定処理及びステップS48の変動パターン選択処理を行った後、CPU101は、大当たり判定処理を行ってセットした図柄の設定情報、変動パターン選択処理を行ってセットした変動パターンの設定情報、パチンコ遊技機1の遊技状態を示す遊技状態情報等を含む変動開始コマンドを生成してRAM103にセットする(ステップS49)。この変動開始コマンドは、第1特別図柄表示器41又は第2特別図柄表示器42で行われる特別図柄の変動表示に伴って液晶表示器5で行われる装飾図柄の変動表示の開始を指示するコマンドであって、図9のステップS9における出力処理によって演出制御部130へ送信される。
ステップS49の処理に続いて、CPU101は、ステップS49の処理でセットされた変動開始コマンドに含まれている設定情報に基づいて、特別図柄の変動表示を開始し(ステップS50)、変動時間の計測を開始する(ステップS51)。この変動時間を示す情報は、RAM103に一時的に格納される。なお、ステップS50における特別図柄の変動表示は、ステップS44の処理に続いて行われる場合には第2特別図柄表示器42を用いて行われ、ステップS46の処理に続いて行われる場合には第1特別図柄表示器41を用いて行われる。
CPU101は、ステップS51の処理によって変動時間の計測を開始した場合、又は特別図柄の変動表示中であると判定した場合(ステップS42:YES)、ステップS51における変動時間の計測開始からステップS48の変動パターン選択処理で設定された変動パターンに対応する変動時間が経過したか否かを判定する(ステップS52)。変動時間が経過していないとCPU101によって判定された場合(ステップS52:NO)、特別図柄処理が終了されて、図9のステップS5における普通図柄処理に処理が進められる。
一方、CPU101は、変動時間が経過したと判定した場合(ステップS52:YES)、液晶表示器5における装飾図柄の変動表示の終了を指示する変動停止コマンドをRAM103にセットし(ステップS53)、ステップS50の処理で開始した特別図柄の変動表示を終了し(ステップS54)、計測した変動時間をリセットする(ステップS55)。なお、ステップS53の処理でセットされた変動停止コマンドは、図9のステップS9における出力処理によって演出制御部130へ送信される。
CPU101は、変動時間をリセットした後、特別図柄抽選に当選した場合に特別遊技を開始するために必要な処理等を含む停止中処理を実行する(ステップS56)。
[演出制御部130のRAM133の構成]
次に、演出制御部130のRAM133の構成について説明する。図14は、演出制御部130のRAM133の構成例を示すブロック図である。
図14に示されるように、RAM133は、記憶領域135及び保留数記憶部136を有している。記憶領域135は、パチンコ遊技機1において保留可能な最大8個の保留球に対応する事前判定情報をそれぞれ記憶するために、第1記憶部135A、第2記憶部135B、第3記憶部135C、第4記憶部135D、第5記憶部135E、第6記憶部135F、第7記憶部135G、及び第8記憶部135Hから構成されている。
上述したように、遊技制御部100においてステップS26,S32の事前判定処理が行われると、ステップS269の処理でRAM103にセットされた事前判定情報を含む保留コマンドが遊技制御部100から演出制御部130へ送信される。これに対して、演出制御部130のCPU131は、遊技制御部100から受信した保留コマンドに含まれている事前判定情報を、第1記憶部135Aから順に格納する。
また、CPU131は、第1記憶部135Aに記憶されている事前判定情報に対応する保留球が消化される際に、第1記憶部135Aに記憶されている事前判定情報を破棄すると共に、各記憶部に記憶されている情報をシフトさせる処理を実行する。例えば第1記憶部135A〜第4記憶部135Dのそれぞれに事前判定情報が記憶されている状態で第1記憶部135Aに記憶されている事前判定情報に対応する保留球が消化された場合、CPU131は、第1記憶部135Aに記憶されている事前判定情報を破棄し、第2記憶部135Bに記憶されている事前判定情報を第1記憶部135Aに移動させ、第3記憶部135Cに記憶されている事前判定情報を第2記憶部135Bに移動させ、第4記憶部135Dに記憶されている事前判定情報を第3記憶部135Cに移動させる。
なお、ここでは、事前判定情報を個別に記憶する記憶部が8つである場合について説明したが、記憶部の数は7つ未満(例えば4つ)であってもよい。
保留数記憶部136には、保留数記憶部110(図10(A)参照)と同様に、第1特別図柄抽選の保留数U1、及び第2特別図柄抽選の保留数U2が記憶されており、これらの保留数は、演出制御部130によって保留コマンドが受信される毎に、或いは特別図柄抽選が行われる毎に適宜更新される。
[演出制御部130によるタイマ割込処理]
パチンコ遊技機1の電源が投入されると、演出制御部130のCPU131は、後述するタイマ割込処理を行う周期であるCTC周期を設定する。そして、CPU131は、保留表示画像による先読み演出を実行するか否かを決定するための先読み演出実行乱数や、保留球消化時に実行される演出を決定するために用いられる演出乱数等の各種乱数を更新する乱数更新処理をCTC周期よりも短い所定周期で繰り返す。すなわち、演出制御部130は、パチンコ遊技機1が起動している間、所定周期で乱数更新処理を繰り返しつつ、CTC周期でタイマ割込処理を繰り返す。
図15は、演出制御部130によって実行されるタイマ割込処理の一例を示すフローチャートである。演出制御部130は、遊技制御部100で行われる主要動作(図9参照)と同様に、図15に示されている一連の処理を一定時間(例えば4ミリ秒)毎に繰り返し実行する。なお、図15以降のフローチャートに基づいて説明する演出制御部130で行われる処理は、ROM132に記憶されているプログラムに基づいてCPU131が発行する命令に従って行われる。
演出制御部130のCPU131は、まず、遊技制御部100からコマンドを受信した場合に、コマンド受信処理を実行する(ステップS101)。このコマンド受信処理の詳細については、図16〜18に基づいて後述する。
CPU131は、ステップS101のコマンド受信処理に続いて、演出ボタン37からの操作信号の入力の有無に基づいて、演出ボタン37が操作されたか否かを判定する(ステップS102)。CPU131は、演出ボタン37が操作されたと判定した場合(ステップS102:YES)、演出ボタン37が操作されたことを画像音響制御部140及びランプ制御部150に対して通知するための演出ボタンコマンドをRAM133にセットする(ステップS103)。この演出ボタンコマンドが画像音響制御部140及びランプ制御部150へ送信されることにより、演出ボタン37の操作入力に基づく演出上の効果を実現するための処理が行われる。
CPU131は、ステップS103の処理を行った場合、又は演出ボタン37が操作されていないと判定した場合(ステップS102:NO)、コマンド送信処理を実行する(ステップS104)。具体的には、ステップS101やステップS103の処理によってRAM133にセットされたコマンドを画像音響制御部140及びランプ制御部150へ送信する。このコマンド送信処理が行われることにより、画像表示や音声出力等による演出の実行が画像音響制御部140に対して指示され、各種ランプの点灯や可動役物7の動作による演出の実行がランプ制御部150に対して指示される。
[演出制御部130によるコマンド受信処理]
続いて、図16〜図18を参照しつつ、演出制御部130によって行われるコマンド受信処理について説明する。ここで、図16〜図18は、図15のステップS101におけるコマンド受信処理の詳細フローチャートである。
演出制御部130のCPU131は、上記ステップS269(図12参照)の処理によってセットされた保留コマンドを遊技制御部100から受信したか否かを判定する(ステップS1011)。ここで、保留コマンドを受信していないとCPU131によって判定された場合(ステップS1011:NO)、後述するステップS1030に処理が進められる。
CPU131は、保留コマンドを受信したと判定した場合(ステップS1011:YES)、その保留コマンドに含まれている事前判定情報を第1記憶部135A〜第8記憶部135Hのいずれかの記憶部に格納する(ステップS1012)。そして、CPU131は、後述するステップS1017の先読み演出抽選処理に使用される先読み演出実行乱数を取得して、RAM133に格納する(ステップS1013)。この先読み演出実行乱数は、上述した乱数更新処理が行われる毎に「1」ずつ加算され、保留コマンドが受信された時点のカウント値が先読み演出実行乱数として取得される。
CPU131は、ステップS1013の処理に続いて、保留数記憶部136に記憶されている保留数の値を「1」加算した値に更新する(ステップS1014)。具体的には、遊技制御部100から受信した保留コマンドの事前判定情報に含まれている入賞始動口情報を抽出し、その入賞始動口情報に基づいて、第1特別図柄抽選が保留されたのか、或いは第2特別図柄抽選が保留されたのかを判別する。そして、第1特別図柄抽選が保留されたと判別した場合には第1特別図柄抽選の保留数の値を「1」加算した値に書き換え、第2特別図柄抽選が保留されたと判別した場合には第2特別図柄抽選の保留数の値を「1」加算した値に書き換える。
次に、CPU131は、先読み演出抽選処理を実行するか否かを判定する(ステップS1015)。具体的には、ステップS1012の処理で記憶領域135(図14参照)に格納された事前判定情報に基づいて、その事前判定情報を含んでいた保留コマンドに対応する特別図柄抽選の保留を、先読み演出を行うか否かを決定するための抽選対象にするか否かを判定する。この判定方法としては、事前判定情報が、特別図柄抽選の結果が大当たり又は小当たりであることを示す情報と、演出内容がリーチ有り演出であることを示す情報との少なくともいずれか一方を含んでいる場合には抽選対象にすると判定し、どちらの情報も含んでいない場合には抽選対象としないと判定する方法が一例として挙げられる。
CPU131は、先読み演出抽選処理を実行すると判定した場合(ステップS1015:YES)、先読み演出抽選処理に使用する当選値をROM132から読み出し、ステップS1013の処理で取得された先読み演出実行乱数がいずれかの当選値と一致するか否かに基づいて、先読み演出を行うか否かを決定する(ステップS1016)。
続いて、CPU131は、ステップS1016の先読み演出抽選処理の結果に基づいて、先読み演出を実行するか否かを判定する(ステップS1017)。CPU131は、先読み演出を実行しないと判定した場合(ステップS1017:NO)、すなわち先読み演出実行乱数がいずれの当選値とも一致しなかった場合、又は先読み演出抽選処理を実行しないと判定した場合(ステップS1015:NO)、通常保留表示コマンドをRAM133にセットする(ステップS1018)。
この通常保留表示コマンドは、ステップS104のコマンド送信処理によって画像音響制御部140へ送信される。これに対して、画像音響制御部140のCPU141は、先読み演出を伴わない通常の表示態様の保留表示画像(例えば図5(D)に示されている保留表示画像55)を液晶表示器5に追加表示させる。
一方、CPU131は、先読み演出を実行すると判定した場合(ステップS1017:YES)、すなわち先読み演出実行乱数がいずれかの当選値と一致した場合、例えば積極的に視認可能となるように(視認性が相対的に高い状態で)実行されている演出が第1演出であるか或いは第2演出であるかを示すRAM133に記憶されている情報に基づいて、画面50上で積極的に視認可能となるように実行されている演出が第1演出であるか否かを判定する(ステップS1019)。CPU131は、積極的に視認可能となるように実行されている演出が第1演出ではないと判定した場合(ステップS1019:NO)、保留表示画像による先読み演出を行うために、特別保留表示コマンドをRAM133にセットする(ステップS1020)。なお、ステップS1019の判定処理では、積極的に視認可能となるように実行されている演出が既に第1演出から第2演出に切り替えられている場合のほか、演出パターンが1つしか選択されていない場合にも第1演出ではないと判定される。
この特別保留表示コマンドは、ステップS104のコマンド送信処理によって画像音響制御部140へ送信される。これに対して、画像音響制御部140のCPU141は、先読み演出を伴った特別な表示態様の保留表示画像(例えば通常の表示態様の保留表示画像の色や模様を変化させたもの)を液晶表示器5に追加表示させる。
CPU131は、積極的に視認可能となるように実行されている演出が第1演出であると判定した場合(ステップS1019:YES)、積極的に視認可能となるように実行されている演出を第1演出から第2演出に切り替える(ステップS1021)。具体的には、積極的に視認可能となるように実行されている第1演出の第2演出への切り替えを指示する切替コマンドをRAM133にセットする。この切替コマンドは、図15のステップS104のコマンド送信処理によって画像音響制御部140へと送信される。
これに対して、画像音響制御部140は、切替コマンドを受信すると、第1領域51に第1演出画像が表示されると共に第2領域52に第2演出画像が表示されている状態(図5(A)参照)から、第1領域51に第2演出画像が表示される状態(図5(D)参照)へと変化するように、VDP142による合成画像の描画処理を制御する。これにより、第1演出及び第2演出のうち、消極的に(視認性が相対的に低い状態で)実行されていた第2演出が積極的に実行されることになり、遊技者が良い予告演出(図5(C)参照)を容易に視認することができるようになる。
ステップS1021の処理に続いて、CPU131は、RAM133に記憶されている切替フラグが「ON」に設定されているか否かを判定する(ステップS1022)。ここで、切替フラグは、積極的に視認可能となるように実行されている演出を上述した切替タイミング(図4(A)参照)で第1演出から第2演出に切り替えると決定されたか否かを示すものであり、切り替えると決定された場合に「ON」に設定され、切り替えないと判定された場合に「OFF」に設定される。切替フラグが「ON」に設定されていないとCPU131によって判定された場合(ステップS1022:NO)、一連のコマンド受信処理が終了して図15のステップS102に処理が進められる。
一方、CPU131は、RAM133に記憶されている切替フラグが「ON」に設定されていると判定した場合(ステップS1022:YES)、切替フラグを「OFF」に設定する(ステップS1023)。このステップS1023の処理を実行するのは、積極的に視認可能となるように実行されている演出が上記ステップS1021の処理によって第1演出から第2演出に切り替えられたために、積極的に視認可能となるように実行されている第1演出を切替タイミングで第2演出に切り替える処理を行う必要がなくなったからである。
このステップS1023の処理が行われた場合、先読み演出を実行しないとCPU131によって判定された場合と同様に、上記ステップS1018に処理が進められる。
このように始動口入賞時に取得された取得情報(乱数)が特定の情報(本実施形態では、特別図柄抽選の結果が大当たり又は小当たりであることを間接的に示す乱数や、演出内容がリーチ有り演出であることを間接的に示す乱数)であると判定された場合には、そのように判定されたタイミングで、積極的に視認可能となるように実行されている演出が第1演出から第2演出に切り替えられる。この場合、特別な表示態様の保留表示画像が表示されないものの、積極的に視認可能となるように実行されている演出が第1演出から第2演出に切り替えられるので、遊技者は、この切り替えに伴う画面50上の演出の変化を視認することにより、取得情報が特定の情報であることを容易に把握して、保留球の消化に対して期待感を抱くことができる。
CPU131は、ステップS1018の処理を行った場合、ステップS1020の処理を行った場合、又は保留コマンドを受信していないと判定した場合(ステップS1011:NO)、例えば遊技制御部100から変動開始コマンドを受信してからの経過時間に基づいて、図17に示されるように、特別図柄の変動表示に伴う演出の実行中であるか否かを判定する(ステップS1030)。ここで、特別図柄の変動表示に伴う演出の実行中であるとCPU131によって判定された場合(ステップS1030:YES)、後述するステップS1051(図18参照)に処理が進められる。
CPU131は、特別図柄の変動表示に伴う演出の実行中ではないと判定した場合(ステップS1030:NO)、図13のステップS49の処理でセットされた変動開始コマンドを遊技制御部100から受信したか否かを判定する(ステップS1031)。
CPU131は、変動開始コマンドを受信したと判定した場合(ステップS1031:YES)、変動開始コマンドを解析して(ステップS1032)、その解析により特定された特別図柄の変動時間が、所定時間以上であるか否かを判定する(ステップS1033)。具体的には、CPU131は、特別図柄の変動時間が、予めROM132に記憶されている所定時間(例えば60秒)以上であるか否かを判定する。
ところで、特別図柄抽選の結果に基づいて決定された変動時間が短い場合(例えば10秒である場合)、第1演出及び第2演出の開始から切替タイミングまでの時間が必然的に短くなるため、第1演出が積極的に視認可能となるように開始されてから第2演出が積極的に視認可能となるまでの時間が非常に短くなり、その結果、効果的な演出を行えなくなるおそれがある。そこで、本実施形態では、遊技制御部100によって決定された変動時間が所定時間(例えば30秒)以上であることを条件として第1演出パターン及び第2演出パターンの2つの演出パターンを選択し、この条件が満たされない場合には1つの演出パターンを選択することとしている。
このため、CPU131は、特別図柄の変動時間が所定時間以上ではないと判定した場合(ステップS1033:NO)、変動開始コマンドに含まれている変動パターンの設定情報(図柄、変動パターン等)に基づいて、ROM132に予め記憶されている複数の演出パターンの中から、変動時間と同じ時間をかけて実行される演出の構成を示す1つの演出パターンを選択する(ステップS1034)。なお、1つの演出パターンを選択する処理は、変動開始コマンドを受信したタイミングで取得された演出乱数と、ROM132に予め記憶されている演出パターンテーブルとを用いて行うことができる。このステップS1034の処理が行われることにより、液晶表示器5に表示される装飾図柄の変動パターン、可動役物7の動作パターンや発光パターン、盤ランプ8や枠ランプ36の発光パターン、スピーカ35から出力される音声の出力パターンといった演出の内容が決定される。これに加えて、CPU131は、選択した演出パターンの信頼度に基づいて、予告を決定する(ステップS1035)。具体的には、予告を行うか否か、予告を行う場合にはどのタイミングで行うか等を決定する。なお、ここでの予告としては、ボタン操作予告、カットイン予告、ステップアップ予告、背景予告、疑似連続予告、次回予告が例として挙げられる。
一方、CPU131は、変動時間が所定時間以上であると判定した場合(ステップS1033:YES)、変動時間毎に予め設定されている複数の演出パターンの中から、第1演出パターン及び第2演出パターンの2つの演出パターンを選択する(ステップS1037)。
図19は、演出パターンの選択方法について説明するための説明図であり、特別図柄の変動パターンの種別と、特別図柄の変動時間と、演出パターンの種別と、信頼度との関係が示されている。図19に示されるように、特別図柄の変動パターン(変動時間)毎に予め複数の演出パターンが設定されている。ステップS1037において、CPU131は、変動時間と同じ時間をかけて実行される第1演出パターン及び第2演出パターンを選択する。例えば変動開始コマンドを解析した結果、特別図柄の変動パターンが「変動パターンf」であり、その変動時間が「120秒」である場合、同じ120秒をかけて実行される複数(本実施形態では3つ)の演出パターンF1〜F3の中からいずれか1つの演出パターン(例えば演出パターンF3)を第1演出パターンとして選択する。そして、残り2つの演出パターンのどちらか一方(例えば演出パターンF1)を第2演出パターンとして選択する。その際、CPU131は、第1演出パターンよりも特別図柄抽選に当選する信頼度が高いことを表す演出パターンを第2演出パターンとして選択する。なお、演出パターンの選択方法としては、例えば乱数を用いた抽選を行ってランダムに選択する方法が一例として挙げられる。
このように、CPU131は、遊技制御部100によって決定された変動時間に基づいて、変動時間毎に予め設定された複数の演出パターンの中から、2つの演出パターンを選択する。
なお、図19に示される例では、説明を容易に行うために1つの変動時間に対して2つ或いは3つの演出パターンが対応付けられている場合が例示されているが、1つの変動時間に対して4つ以上の演出パターンが予め用意されていてもよいことは言うまでもない。
CPU131は、ステップS1037の処理に続いて、選択した2つの演出パターンのそれぞれに対して予告を決定する(ステップS1038)。具体的には、演出パターンの信頼度毎に予め複数の予告演出が用意されており、CPU131は、ステップS1037の処理で選択した演出パターンに対応する信頼度に関して予め用意されている複数の予告演出の中から、1又は複数の予告演出を選択し、選択した予告演出の実行タイミングを決定する。例えばステップS1027で選択した演出パターンの信頼度が「40%」であり、信頼度「40%」に対して例えば疑似連続予告(4連)、ステップアップ予告(ステップ5)、カットイン予告(赤)、背景予告(金)の4種類の予告演出が用意されている場合、乱数を用いた抽選を行って、例えばステップアップ予告(ステップ5)、及び背景予告(金)の2つの予告演出を選択する。そして、これら2つの予告演出の実行タイミングを決定する。
なお、ステップS1034又はステップS1037の処理で選択された演出パターンに関する情報と、ステップS1035又はステップS1038の処理で決定された予告に関する情報とは、少なくとも対応する特別図柄の変動表示が終了するまでの間、演出情報としてRAM133に一時的に格納される。
ところで、消極的に実行されている第2演出の第2演出パターンを構成する予告演出を遊技者に積極的に視認させることを考えた場合、少なくともその予告演出が開始されるよりも早いタイミングで、積極的に視認可能となるように実行されている演出を第1演出から第2演出に切り替える必要がある。このため、CPU131は、ステップS1038の処理に続いて、第2演出の予告内容に基づいて、積極的に視認可能となるように実行する演出を第1演出から第2演出に切り替えるか否か、すなわち第1領域51に表示される画像を第1演出画像から第2演出画像に切り替えるか否かを決定する(ステップS1039)。具体的には、第2演出パターンを構成する予告演出が、遊技者に積極的に視認させるべきである予め設定された予告演出であるか否かに基づいて、積極的に視認可能となるように実行する演出を切り替えるか否かを決定する。
なお、演出を切り替えるか否かの判定基準はこれに限定されるものではなく、他の判定基準を採用してもよい。この判定基準としては、例えば、第2演出パターンを構成する予告演出の信頼度(特別図柄抽選に当選することに対する信頼度)が第1設定%(例えば10%)以上であるか否かという判定基準や、第2演出パターンを構成する複数の予告演出のトータルの信頼度が第2設定%(例えば15%)以上であるか否かという判定基準であってもよい。また、判定基準は液晶表示器5で行われる予告演出に関するものに限定されるものではなく、例えば第2演出パターンが可動役物7の動作を伴う演出の演出パターンであるか否かといった、液晶表示器5以外の演出実行手段に関するものであってもよい。
このように、CPU131は、VDP142及び液晶表示器5によって消極的に実行されている演出の演出パターンにおける演出内容に基づいて、演出の切り替えを行うか否かを決定する。
CPU131は、ステップS1039の処理の結果、積極的に視認可能となるように実行される演出を第1演出から第2演出に切り替えると判定した場合(ステップS1040:YES)、RAM133に記憶されている切替フラグを「ON」に設定する(ステップS1041)。切替フラグが「ON」に設定されている場合、積極的に視認可能となるように実行される演出を第1演出から第2演出に切り替える処理が必要であると判断することができる。また、切替フラグが「OFF」に設定されている場合、積極的に視認可能となるように実行される演出を第1演出から第2演出に切り替える処理は不要である、或いは第1演出から第2演出への切り替えが既に行われていると判断することができる。
CPU131は、ステップS1041の処理に続いて、切替タイミングを決定する(ステップS1042)。具体的には、RAM133に格納されている演出情報に基づいて、第2演出パターンを構成する予告演出の実行タイミングを特定し、その実行タイミングよりも所定時間前のタイミングを、切替タイミングに決定する。例えば、第2演出が開始されてから30秒を経過したタイミングで予告演出が実行される場合、第2演出の開始から28秒を経過したタイミングが、切替タイミングに決定される。このステップS1032の処理で切替タイミングが決定されると、決定された切替タイミングを示す情報(切替タイミング情報)がRAM133に格納される。なお、切替タイミング情報は、第2演出の開始から切替タイミングまでの時間を示す情報である。
そして、CPU131は、ステップS1035の処理を実行した場合、ステップS1040の処理で「NO」と判定した場合、又はステップS1042の処理を実行した場合、ステップS1034又はステップS1037の処理で選択した演出パターンの演出の開始と、ステップS1035又はステップS1038の処理で決定した予告の実行を指示する変動演出開始コマンドをRAM133にセットする(ステップS1045)。
この変動演出開始コマンドは、図15のステップS104におけるコマンド送信処理によって画像音響制御部140及びランプ制御部150へ送信される。これにより、演出制御部130で決定された演出が画像音響制御部140及びランプ制御部150によって実現されることになる。つまり、装飾図柄を変動表示する液晶表示器5、音声等を出力するスピーカ35、光による演出を行う盤ランプ8と枠ランプ36、及び光と動きによる演出を行う可動役物7によって、演出制御部130において決定された演出が開始される。
ステップS1034及びステップS1035の処理を経てステップS1045の処理が行われた場合、画像音響制御部140は、VDP142を制御して、一方のフレームバッファ(例えば第1フレームバッファ1426A)から演出画像を液晶表示器5に出力している間に他方のフレームバッファ(例えば第2フレームバッファ1426B)に演出画像の描画処理を行うという一連の処理をフレームバッファを切り替えながら繰り返し行うことにより、ステップS1034の処理で選択された演出パターンの演出及びステップS1035の処理で決定された予告を実行する。
一方、ステップS1037及びステップS1038の処理を経てステップS1045の処理が行われた場合、画像音響制御部140は、VDP142を制御して、一方のフレームバッファ(例えば第1フレームバッファ1426A)から合成画像(第1演出画像と第2演出画像とを合成した演出画像)を液晶表示器5に出力している間に他方のフレームバッファ(例えば第2フレームバッファ1426B)に合成画像の描画処理を行うという一連の処理をフレームバッファを切り替えながら繰り返し行うことにより、ステップS1037の処理で選択された演出パターンの演出及びステップS1038の処理で決定された予告演出を実行する。なお、後に詳述するが、ステップS1039の処理で演出の切り替えを行うと決定された場合には、上記ステップS1042の処理で決定された切替タイミングで、第2演出画像の表示領域が第2領域52から第1領域51に変更されるように、合成画像の描画処理が行われることになる。
CPU131は、ステップS1045の処理に続いて、変動演出開始コマンドをセットしてからの経過時間の計測を開始する(ステップS1046)。そして、CPU131は、保留数記憶部136(図14参照)に記憶されている保留数の値を「1」減算した値に更新する(ステップS1047)。ここで、変動開始コマンドにより第1特別図柄抽選の実行に伴う演出の開始が指示された場合には第1特別図柄抽選の保留数の値を「1」減算した値に書き換え、第2特別図柄抽選の実行に伴う演出の開始が指示された場合には第2特別図柄抽選の保留数の値を「1」減算した値に書き換える。
そして、CPU131は、記憶領域135に記憶されている事前判定情報のシフト処理を実行する(ステップS1048)。具体的には、今回の特別図柄の変動表示の開始に伴って消化された保留球に対応する第1記憶部161A内の事前判定情報を破棄し、第2記憶部161B以降の記憶部の情報をそれぞれ第1記憶部161A側へシフトさせる。このシフト処理については、上述した通りである。
CPU131は、特別図柄の変動表示に伴う演出の実行中であると判定した場合(ステップS1030:YES)、図18に示されるように、図13のステップS53の処理でセットされた変動停止コマンドを遊技制御部100から受信したか否かを判定する(ステップS1051)。CPU131は、変動停止コマンドを受信したと判定した場合(ステップS1051:YES)、上記ステップS1045の処理に応じて開始された演出の終了を画像音響制御部140及びランプ制御部150に対して指示するための変動演出終了コマンドをRAM133にセットする(ステップS1052)。この変動演出終了コマンドは、図15のステップS104におけるコマンド送信処理によって画像音響制御部140及びランプ制御部150へ送信される。
CPU131は、変動停止コマンドを受信していないと判定した場合(ステップS1051:NO)、RAM133に格納されている演出情報を参照して、今回の特別図柄の変動表示に伴って実行される演出に対して設定されている演出パターンが、1つであるか否かを判定する(ステップS1053)。ここで、設定されている演出パターンが1つであるとCPU131によって判定された場合(ステップS1053:YES)、一連のコマンド受信処理が終了して、図15のステップS102に処理が進められる。
一方、CPU131は、演出パターンが一つではないと判定した場合(ステップS1053:NO)、すなわち第1演出パターンと第2演出パターンとが設定されている場合、RAM133に記憶されている切替フラグが「ON」に設定されているか否かを判定する(ステップS1054)。ここで、切替フラグが「ON」に設定されていない(「OFF」に設定されている)とCPU131によって判定された場合(ステップS1054:NO)、消極的に実行していた演出を積極的に実行するような演出の切り替えを行わないと上記ステップS1039の処理で決定されたか、或いは例えば上記ステップS1021の処理によって演出の切り替えが既に完了しているので、一連のコマンド受信処理が終了して、図15のステップS102に処理が進められる。
CPU131は、切替フラグが「ON」に設定されていると判定した場合(ステップS1054:YES)、上記ステップS1042の処理で決定された切替タイミングになったか否かを判定する(ステップS1055)。具体的には、ステップS1046の処理で計測が開始された経過時間が、RAM133に記憶されている切替タイミング情報が示す時間に達したか否かを判定する。ここで、切替タイミングになっていないとCPU131によって判定された場合(ステップS1055:NO)、一連のコマンド受信処理が終了して、図15のステップS102に処理が進められる。
CPU131は、切替タイミングになったと判定した場合(ステップS1055:YES)、積極的に実行されている演出を切り替える(ステップS1056)。具体的には、積極的に実行されている第1演出の第2演出への切り替えを指示する切替コマンドをRAM133にセットする。この切替コマンドは、図15のステップS104のコマンド送信処理によって画像音響制御部140へと送信される。
これに対して、画像音響制御部140は、切替コマンドを受信すると、第1領域51に第1演出画像が表示されると共に第2領域52に第2演出画像が表示されている状態(図5(A)参照)から、第1領域51に第2演出画像が表示される状態(図5(B)参照)へと変化するように、VDP142による合成画像の描画処理を制御する。これにより、第1演出及び第2演出のうち、消極的に実行されていた第2演出が積極的に実行されることになり、遊技者が良い予告演出(図5(C)参照)を容易に視認することができるようになる。
CPU131は、演出の切り替えを行うと、RAM133に記憶されている切替フラグを「OFF」に設定して(ステップS1057)、一連のコマンド受信処理を終了する。
[本実施形態の作用効果]
以上説明したように、本実施形態によれば、仮に第1演出パターンと第2演出パターンという2つの演出パターンしか予め用意されていない場合であっても、積極的に視認可能となるように実行される演出が第1演出パターンから第2演出パターンに切り替わるという新たな演出パターンの演出の実行が可能である。この新たな演出パターンの演出は、少なくとも、選択される第1演出パターンと第2演出パターンとの組み合わせの数に応じた数だけ実行可能である。また、遊技球の始動口入賞時に取得した乱数(取得情報)を用いた事前判定の結果に応じて、積極的に視認可能となるように実行されている演出と消極的に実行されている演出とが切り替えられるので、乱数が取得される契機となる始動口21,22への遊技球の入賞タイミングによって、演出の切替タイミングが変化することになる。したがって、予め用意しておく演出パターンの数を増加させることなく、バリエーションが豊富で興趣性が高い演出を行うことができる。
また、本実施形態では、始動口入賞時に取得された乱数が特定の乱数であると判定されたタイミングで、液晶表示器5によって実行されている2つの演出パターンの演出が切り替えられる。このため、他のタイミングで演出が切り替えられる場合に比べて、特定の乱数が取得されたこと(当たりとなる可能性がある特別図柄抽選が保留されたこと)を遊技者が容易に視認することができる。
また、本実施形態では、第1領域51に第1演出画像が表示されている状態から、第1領域51に第2演出画像が表示される状態へと変化するように、VDP142による描画処理が行われる。このため、第1演出及び第2演出のいずれか一方を遊技者が積極的に視認可能となるように実行すると共に他方の演出を消極的に実行するという構成を容易に実現することができる。
[変形例]
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下の形態であってもよい。すなわち、上記実施形態では、第1演出の実行時間と第2演出の実行時間とがいずれも特別図柄の変動時間と同じ時間となるように2つの演出パターンが選択される形態について説明したが、第1演出と第2演出の実行時間は特別図柄の変動時間よりも短い時間であってもよい。また、第1演出の実行時間と第2演出の実行時間とに時間差があってもよい。
また、上記実施形態では、始動口入賞時に取得された乱数が特定の乱数であると判定されたタイミングで2つの演出パターンの演出が切り替えられる形態について説明したが、例えばこの判定タイミングに対して所定時間後(例えば1秒後)のタイミングで演出を切り替えるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、2つの演出パターンの一方の演出を積極的に実行すると共に他方の演出を消極的に実行するために、第1演出画像が画面50に大きく表示されると共に第2演出画像が画面50に小さく表示されるように合成画像を描画する場合について説明した。これに代えて、2つの演出パターンの一方の演出画像だけを画面50に表示し、他方の演出画像を画面50に表示しないようにしてもよい。また、2つの演出パターンの両方の演出画像をこれらの合成画像として画面50に表示し、2つの演出画像のどちらか一方を可動式の遮蔽部材で隠すようにしてもよい。
また、上記実施形態では、積極的に実行されている演出を第1演出から第2演出に切り替える形態について説明したが、第2演出を積極的に視認可能となるように開始すると共に第1演出を消極的に開始して、積極的に実行されている演出を第2演出から第1演出に切り替えるようにしてもよい。
また、上記実施形態では、特別図柄の変動表示中に積極的に視認可能となるように実行される演出を1回だけ切り替える形態について説明したが、例えば、積極的に視認可能となるように実行される演出を、第1演出から第2演出に切り替えてから一旦第1演出に戻し、再び第1演出から第2演出に切り替える(第1演出→第2演出→第1演出→第2演出)ようにしてもよい。
また、上記実施形態では、第1演出パターン及び第2演出パターンの2つの演出パターンを選択して積極的に視認可能となるように実行される演出を第1演出から第2演出に切り替える形態について説明したが、変動時間に基づいて3つ以上の演出パターンを選択して演出の切り替えを行うようにしてもよい。この場合、例えば画面50を1つの第1領域51と複数の第2領域52とに区画し、3つ以上の演出パターンのいずれかの演出画像が第1領域51に表示されると共に残りの演出パターンの演出画像がそれぞれ第2領域52に表示されるように合成画像の描画処理を実行し、切替タイミング後は、上記残りの演出パターンのいずれかの演出画像が第1領域51に表示されるように描画処理を行うようにすればよい。
また、上記実施形態において説明したパチンコ遊技機1の構成は単なる一例に過ぎず、他の構成であっても本発明を実現できることは言うまでもない。また、上述したフローチャートにおける処理の順序、設定値、判定に用いられる閾値等は単なる一例に過ぎず、本発明の範囲を逸脱しなければ他の順序や値であっても、本発明を実現できることは言うまでもない。
また、上記実施形態では、本発明がパチンコ遊技機に適用された場合を例に説明したが、本発明は、例えばスロットマシン等の他の遊技機にも適用可能である。