しかしながら、上述した従来の防振装置では、樹脂部材(ベース部2)にインサート成形されるインサート材(連結金具8)が大径部と小径部とからなる筒状に形成されるので、インサート材を大径部側から引き抜く方向の外力に対しては、インサート材が樹脂部材を保持することができず、樹脂部材からインサート材が抜け易いという問題点があった。
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、インサート材が樹脂部材にインサート成形される場合に、インサート材が樹脂部材から抜けることを防止できる防振装置を提供することを目的としている。
この目的を達成するために、請求項1記載の防振装置は、車体側に取り付けられる第1取付部材と、前記第1取付部材がインサート成形される脚部および前記脚部に連続して形成される本体部を有すると共に樹脂材料から構成される連結部材と、振動発生体側に取り付けられる第2取付部材と、前記第2取付部材を前記連結部材の本体部に連結すると共にゴム状弾性体から構成される防振基体とを備えたものであり、前記第1取付部材は、前記第1取付部材の一端に設けられると共に前記車体側に連結される取付部と、前記取付部から上方傾斜する平坦状の傾斜部および前記傾斜部に連続形成される平坦状の平板部を有し、前記脚部にインサート成形される段差部と、前記傾斜部又は平板部の少なくとも一方に穿設され前記脚部に埋没される貫通孔と、を備え、前記傾斜部および平板部の前記脚部から突出する領域が前記脚部の外周を全周に亘って取り囲んでいる。
請求項2記載の防振装置は、請求項1記載の防振装置において、前記傾斜部および平板部には、それぞれ前記貫通孔が穿設されている。
請求項3記載の防振装置は、請求項1又は2に記載の防振装置において、前記取付部には、前記取付部の幅方向中央を通る仮想線上に取付孔が穿設され、前記仮想線上に前記貫通孔が配置されている。
請求項4記載の防振装置は、請求項1から3のいずれかに記載の防振装置において、前記連結部材の脚部は、対向する一対の壁面のうち一方の前記壁面に凹設される第1肉抜き部と、対向する一対の壁面のうち他方の前記壁面に凹設される第2肉抜き部と、前記第1肉抜き部および前記第2肉抜き部の間で前記平板部の貫通孔の貫通方向に延設され、前記平板部の貫通孔と前記貫通孔の貫通方向で重なるように配置されている。
請求項1記載の防振装置によれば、連結部材にインサート成形されると共に車体側に取り付けられる第1取付部材と振動発生体側に取り付けられる第2取付部材とが弾性体により連結されるので、振動発生体側で発生する振動を弾性体により吸収して振動発生体によって発生する振動が車体側に伝播されることを防止できる。
ここで、弾性体を介して第2取付部材と連結される連結部材は樹脂材料により形成されるので、連結部材を他の部材、例えばアルミ合金等で形成した場合に比べて軽量化およびコスト低減を図ることができるという効果がある。また、連結部材は、第2取付部材と連結される本体部と、その本体部と連続して形成される脚部とを備え、その脚部には第1取付部材がインサート成形されているので、第1取付部材を樹脂材料以外の部材で形成できる。よって、第1取付部材を金属で形成できるので、振動発生体の荷重を受け止める第1取付部材の剛性を確保できるという効果がある。
また、脚部にインサート成形される段差部は、取付部から上方傾斜する平坦状の傾斜部および傾斜部に連続形成される平坦状の平板部を有するので、第1取付部材を平板状に形成する場合に比べて、第1取付部材の剛性を向上できるという効果がある。
さらに、段差部は、取付部から上方傾斜する平坦状の傾斜部および傾斜部に平坦状の平板部を有するので、第1取付部材を金型にセットした場合に段差部の裏側に空間が形成される。よって、傾斜部又は平板部の少なくとも一方(段差部)に貫通孔が穿設されその貫通孔は樹脂に埋没されるので、段差部の表側に射出された樹脂は、貫通孔を通って段差部の裏側に形成された空間に射出される。
従って、段差部の表側に射出された樹脂と段差部の裏側の空間に射出された樹脂とは、貫通孔に射出された樹脂を介して互いに連結される。これにより、第1取付部材の段差部を、接着剤を用いることなく、連結部材の脚部に固着できるという効果がある。また、段差部の表側に射出された樹脂と段差部の裏側の空間に射出された樹脂とは、貫通孔に射出された樹脂を介して互いに連結されるので、貫通孔に射出された樹脂が貫通孔に引っかかり、脚部にインサート成形された第1取付部材が脚部から抜けることを防止できるという効果がある。
また、傾斜部および平板部の脚部から突出する領域が脚部の外周を全周に亘って取り囲むので、連結部材を成形する金型が第1取付部材を挟持する領域を段差部のみに限定できる。よって、連結部材を成形する金型で第1取付部材の取付部が挟持されないので、第1取付部材が寸法誤差を有する場合でも、第1取付部材の段差部の弾性変形を利用して、寸法誤差を吸収することができる。従って、第1取付部材に段差部を設けて第1取付部材の剛性を向上させた場合であっても、段差部を弾性変形させることにより、連結部材を成形する金型と段差部とを密着させることができる。結果として、金型と第1取付部材との間に隙間が形成されることを抑制できるので、かかる隙間から樹脂がリークすることを防止でき、脚部の成形性を向上できるという効果がある。
請求項2記載の防振装置によれば、請求項1記載の防振装置の奏する効果に加え、傾斜部および平板部には、それぞれ貫通孔が穿設されるので、貫通孔が分散配置される。よって、金型に樹脂を射出する場合に、傾斜部または平板部の一方のみに貫通孔が穿設される場合に比べて、傾斜部および平板部の裏側全体に樹脂を迅速且つ均一に射出することができる。従って、脚部の成形性を向上できるという効果がある。
また、上方傾斜する傾斜部および傾斜部に連続形成される平坦状の平板部のそれぞれに貫通孔が穿設されるので、傾斜部の貫通孔および平板部の貫通孔の貫通方向を異なる向きにできる。よって、傾斜部の貫通孔から傾斜部の裏側に射出される樹脂の流れ方向と平板部の貫通孔から平板部の裏側に射出される樹脂の流れ方向とを異なる方向として、第1取付部材の裏側に射出された樹脂を金型の隅々まで拡散させることができる。従って、脚部の成形性を向上できるという効果がある。
さらに、傾斜部の貫通孔および平板部の貫通孔の貫通方向が異なるので、傾斜部の表側の樹脂および傾斜部の裏側の樹脂との連結部分と、平板部の表側の樹脂および平板部の裏側の樹脂との連結部分とが異なる方向に延設される。よって、傾斜部の表側の樹脂および傾斜部の裏側の樹脂と平板部の表側の樹脂および平板部の裏側の樹脂とを異なる方向に連結できるので、脚部から第1取付部材が抜けることを防止できるという効果がある。
請求項3記載の防振装置によれば、請求項1又は2に記載の防振装置の奏する効果に加え、取付部には、取付部の幅方向中央を通る仮想線上に取付孔が穿設され、その仮想線上に貫通孔が配置されるので、車体側に取り付けられる第1取付部材の取付部の耐久性を向上できるという効果がある。
即ち、取付部の幅方向中央を通る仮想線上を含む取付部の領域は、取付孔により面積が少なくなるので、かかる領域の両側に位置する取付部の領域に比べて、剛性が弱くなる。一方、脚部には段差部がインサート成形されるので、振動発生体の荷重が脚部に負荷され、その脚部により段差部が押圧され、その段差部から取付部に振動発生体の荷重が負荷される。この場合、段差部に穿設される貫通孔の部分は脚部から直接押圧されない。
よって、段差部に穿設される貫通孔を取付部の幅方向中央を通る仮想線上に配置することにより、取付部の幅方向中央を通る仮想線上において、脚部により直接押圧されない部分を含む領域を設けることができるので、取付部の幅方向中央を通る仮想線上を含む段差部の領域は、かかる領域の両側に位置する段差部の領域と比べて、脚部によって押圧される荷重を小さくできる。従って、取付部の幅方向中央を通る仮想線上を含む取付部の領域は、その両側に位置する取付部の領域に比べて、段差部を介して負荷される振動発生体の荷重負担を少なくできるので、第1取付部材の取付部の耐久性を向上できる。
請求項4記載の防振装置によれば、請求項1から3のいずれかに記載の防振装置の奏する効果に加え、連結部材の脚部には、対向する一対の壁面のうち一方の壁面に第1肉抜き部が凹設される一方、対向する一対の壁面のうち他方の壁面に第2肉抜き部が凹設されるので、脚部の軽量化を図れるという効果がある。
また、連結部材の脚部には、第1肉抜き部および第2肉抜き部の間で平板部の貫通孔の貫通方向に延設される縦壁が平板部の貫通孔と貫通孔の貫通方向で重なるように配置されるので、縦壁側から平板部の表側に射出された樹脂の流路上に貫通孔を配置できる。よって、縦壁側から平板部の裏側に至る樹脂の流路を最短且つ直線状に形成できるので、縦壁側から平板部の表側に射出された樹脂を貫通孔から平板部の裏側に射出し易くして、脚部の成形性を向上できるという効果がある。
以下、本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1及び図2を参照して防振装置1の全体構成について説明する。図1は、本発明の第一実施の形態における防振装置1の斜視図であり、図2(a)は防振装置1の正面図であり、図2(b)は防振装置1の側面図である。
図1に示すように、防振装置1は、自動車のエンジン(図示せず)を支持固定しつつ、そのエンジンから発生する振動を車体(図示せず)へ伝達させないようにするものであり、図1に示すように、車体側に取り付けられる金具プレート20と、金具プレート20がインサート成形される脚部13及び脚部13に連続して形成される本体部11を有すると共に樹脂材料から構成される連結部材10と、エンジン側に取り付けられる内筒30と、その内筒30及び連結部材10の本体部11を連結すると共にゴム状弾性体から構成される防振基体40とで構成されている。
図2(a)及び図2(b)に示すように、金具プレート20は、上述したように、後述する脚部13にインサート成形される板材であって、段差部24を有すると共に、鉄鋼材料で構成される。なお、この金具プレート20については、図3を参照して後に詳しく説明する。
上述したように、連結部材10は樹脂により形成されるので、連結部材10を他の部材、例えばアルミ合金等で形成した場合に比べて軽量化及びコスト低減を図ることができる。また、連結部材10は、内筒30と連結される本体部11と、その本体部11と連続して形成される脚部13とを備え、その脚部13には金具プレート20がインサート成形されている。よって、金具プレート20を鉄鋼材料で形成することで、エンジンの荷重を受け止める金具プレート20の剛性を確保できる。
図2(a)に示すように、連結部材10は、本体部11と、補強リブ12と、脚部13とを有している。本体部11は、矩形の筒状に形成されている。その本体部11の内周側には、防振基体40が配置され、その防振基体40には、内筒30が加硫接着されている。具体的には、本体部11の内周面に、防振基体40の外周面が連結され、防振基体40の内周面に、内筒30の外周面が連結される。
本体部11の両端縁には、その縁に沿って、ストッパ13eが上下方向に沿って固着されている。かかるストッパ13eは、防振基体40に連なっており、エンジン側の大変位時に、エンジン側の部品(図示せず)が当接され、その変位を規制する。
本体部11の上壁は、本体部11の下壁よりも上下方向(図2(a)上下方向)に肉厚に形成され、その上壁の壁面には、複数の本体側肉抜き11aが凹設されている。これにより、本体部11の剛性を確保しつつ本体部11の軽量化を図ることができる。
図2(a)及び図2(b)に示すように、補強リブ12は、連結部材10の強度を補う部材であり、本体部11の側壁から脚部13へ延設される。
図2(a)及び図2(b)に示すように、脚部13は、本体部11の側壁及び下壁を取り囲むように本体部11の側壁及び下壁から膨出する部分であり、脚部13の下部には、金具プレート20がインサート成形されている。このように、脚部13は、本体部11の側壁と下壁とに連結されるので、本体部11へ強固に連結される。
図2(b)に示すように、脚部13は、前後の厚み寸法(内筒30の軸心方向における長さ、図2(b)左右方向の長さ)が金具プレート20に近づくに従って拡大するように形成されている。このように、脚部13の上部側における厚み寸法を、脚部13の下部における厚み寸法より短く形成することで、脚部13全体の軽量化を図ることができる。加えて、脚部13における厚み寸法が同一に形成される場合に比べて、金具プレート20がインサート成形される脚部13の下部の面積を増加させることができる。よって、脚部13と、その脚部13にインサート成形される金具プレート20とを強固に連結できる。
また、図2(a)に示すように、脚部13には、対向する一対の壁面のうち一方の壁面側(後述する一対の取付部21のうち一方の取付部21側、図2(a)紙面手前側)の壁面に第1肉抜き部14が凹設され、対向する一対の壁面のうち他方の壁面側、一対の取付部21のうち他方の取付部21側(図2(a)紙面奥側)の壁面に第2肉抜き部(図示せず)が凹設される。なお、第1肉抜き部14と第2肉抜き部とは同一形状に形成されるので、第1肉抜き部14についてのみ図示および説明し、第2肉抜き部の図示および説明は省略する。
第1肉抜き部14は、脚部13を軽量化するために脚部13に設けられる空間であって、脚部13の上部に凹設される上側第1肉抜き部14aと、脚部13の下部に凹設される下側第1肉抜き部14cと、その下側第1肉抜き部14c及び上側第1肉抜き部14aの間に配置される中間第1肉抜き部14bとで構成される。第1肉抜き部14は、上側第1肉抜き部14a、中間第1肉抜き部14b、下側第1肉抜き部14cの順に、容積が大きくなるように形成されている。
また、第1肉抜き部14及び第2肉抜き部の間には、上下方向(図2(a)及び図2(b)上下方向)に延設される縦壁13bが形成される。加えて、第1肉抜き部14及び第2肉抜き部の両側には、上下方向(図2(a)及び図2(b)上下方向)に延設される側壁13aが形成される。この側壁13a及び縦壁13bについては、図4及び図5を参照して後に詳しく説明する。
図2(a)及び図2(b)に示すように、内筒30は、エンジン側に連結される筒状部材であり、アルミ合金で構成される。防振基体40は、ゴム状弾性体で構成される。
防振基体40は、内筒30に加硫接着される連結防振基体40aと本体部11の内周面に連結される内周防振基体40bとで構成され、本体部11の上側内周面及び下側内周面に加硫される内周防振基体40bと連結防振基体40aとの間には隙間11bが形成される。よって、防振基体40は、上下方向におけるばね定数が左右方向におけるばね定数よりも小さく設定される。
次に、図3から図5を参照して金具プレート20及び金具プレート20がインサート成形される脚部13について詳しく説明する。図3(a)は金具プレート20の側面図であり、図3(b)は金具プレート20の上面図であり、図3(c)は図3(b)のIIIc−IIIc線における金具プレート20の断面図である。図4(a)は、図2(a)のIVaに示す部分における防振装置1の拡大正面図であり、図4(b)は、図4(a)のIVb―IVb線における防振装置1の拡大断面図であり、図4(c)は、図4(b)の矢印IVc方向から視た防振装置1の拡大下面図である。図5は、図2(b)のV―V線における防振装置1の拡大断面図である。
図3に示すように、金具プレート20は、一対の取付部21と、取付部21から上方傾斜する一対の平坦状の傾斜部22及び一対の傾斜部22を連結する平坦状の平板部23とを有し、脚部13(図2参照)にインサート成形される段差部24と、一対の傾斜部22及び平板部23のそれぞれに穿設され脚部13に埋没される貫通孔22a、23aとで構成されている。
図3(b)に示すように、一対の取付部21は、板状に形成され、金具プレート20の両端に設けられると共に車体側に連結される。一対の取付部21には、それぞれ取付孔21aが穿設される。その取付孔21aは金具プレート20の短辺方向(幅方向)の略中央を通る仮想線(図示せず)上であって、金具プレート20の長辺方向で後述する傾斜部22より金具プレート20の両端側に近い位置に配置されている。取付孔21aにはボルト(図示せず)が締結され、かかるボルトにより金具プレート20は車体側に固定される。
図3(a)に示すように、段差部24は、金具プレート20の中央を台形状に折り曲げて形成される突出部分であり、上述したように、取付部21から上方傾斜する一対の平坦状の傾斜部22及び一対の傾斜部22を連結する平坦状の平板部23とで構成される。よって、金具プレート20を平板状に形成する場合に比べて、金具プレート20の剛性を向上できる。
図3(a)及び図3(b)に示すように、傾斜部22は、取付部21及び後述する平板部23より金具プレート20の長辺方向で短く形成されており、その中央に真円形状の貫通孔22aが傾斜部22と直交する方向に穿設されている。平板部23は、金具プレート20の長辺方向で取付部21と略同一の長さに形成されており、その中央に真円形状の貫通孔23aが平板部23と直交する方向に穿設されている。
図3(b)及び図3(c)に示すように、一対の取付部21の取付孔21aを通る線(取付部の幅方向中央を通る仮想線)上に一対の傾斜部22及び平板部23の貫通孔22a,23aが配置される。これにより、車体側に取り付けられる金具プレート20の取付部21の耐久性を向上できる。
即ち、一対の取付孔21aを通る線上を含む取付部21の領域は、取付孔21aにより面積が少なくなるので、かかる領域の両側に位置する取付部21の領域に比べて、剛性が弱くなる。一方、脚部13には段差部24がインサート成形されるので、エンジンの荷重が脚部13に負荷され、その脚部13により段差部24が押圧され、その段差部24から取付部21にエンジンの荷重が負荷される。この場合、段差部24に穿設される貫通孔22a,23aの部分は脚部13から直接押圧されない。
よって、一対の傾斜部22及び平板部23に穿設される貫通孔22a,23aを一対の取付孔21aを通る線上に配置することにより、段差部24(一対の傾斜部22及び平板部23)の一対の取付孔21aを通る線上において、脚部13により段差部24が直接押圧されない部分を含む領域を設けることができるので、一対の取付孔21aを通る線上を含む段差部24の領域は、かかる領域の両側に位置する段差部24の領域と比べて、脚部13によって押圧される荷重を小さくできる。従って、一対の取付孔21aを通る線上を含む取付部21の領域は、その両側に位置する取付部21の領域に比べて、段差部24を介して負荷されるエンジンの荷重負担を少なくできるので、金具プレート20の取付部21の耐久性を向上できる。
図3(c)に示すように、上方傾斜する傾斜部22及び一対の傾斜部22を連結する平坦状の平板部23のそれぞれに貫通孔22a,23aが穿設されるので、傾斜部22の貫通孔22a及び平板部23の貫通孔23aの貫通方向を異なる向きにできる。
よって、傾斜部22の表側の樹脂および傾斜部22の裏側の樹脂との連結部分と、平板部23の表側の樹脂および平板部23の裏側の樹脂との連結部分とが異なる方向に延設される。よって、傾斜部22の表側の樹脂および傾斜部22の裏側の樹脂と平板部23の表側の樹脂および平板部23の裏側の樹脂とを異なる方向に連結できるので、脚部13から金具プレート20が抜けることを防止できる。
また、一対の傾斜部22及び平板部23にそれぞれ貫通孔22a,23aが穿設されるので、貫通孔22a,23aが分散配置される。よって、樹脂金型50(図6参照)に樹脂を射出する場合に、傾斜部22または平板部23の一方のみに貫通孔が穿設される場合に比べて、傾斜部22及び平板部23の裏側全体に樹脂を迅速且つ均一に射出することができる。従って、脚部13の成形性を向上できる。
図4(a)に示すように、傾斜部22及び平板部23の脚部13から突出する領域が脚部13の外周を全周に亘って取り囲んでいる。よって、連結部材10を成形する樹脂金型50(図6参照)が金具プレート20を挟持する領域を段差部24のみに限定できる。よって、連結部材10を成形する樹脂金型50で金具プレート20の取付部21が挟持されないので、金具プレート20が寸法誤差を有する場合でも、金具プレート20の段差部24の弾性変形を利用して、寸法誤差を吸収することができる。
従って、金具プレート20に段差部24を設けて金具プレート20の剛性を向上させた場合であっても、段差部24を弾性変形させることにより、連結部材10を成形する樹脂金型50と段差部24とを密着させることができる。結果として、樹脂金型50と金具プレート20との間に隙間が形成されることを抑制できるので、かかる隙間から樹脂がリークすることを防止でき、脚部13の成形性を向上できる。
また、図4(b)に示すように、第1肉抜き部14及び第2肉抜き部(図示せず)の間に形成される縦壁13bは、平板部23の貫通孔23aの貫通方向(図4(b)上下方向)に延設され、平板部23の貫通孔23aの貫通方向で貫通孔23aと重なるように配置される。よって、縦壁13b側から平板部23の表側(図4(b)平板部23の上側)に射出された樹脂の流路上に貫通孔23aを配置できる。よって、縦壁13b側から平板部23の裏側(図4(b)平板部23の上側)に至る樹脂の流路を最短且つ直線状に形成できるので、縦壁13b側から平板部23の表側に射出された樹脂を貫通孔23aから平板部23の裏側に射出し易くして、脚部13の成形性を向上できる。
段差部24は上方に突出形成されるので、段差部24の裏側に空間が形成される。かかる段差部24の裏側の空間に射出された樹脂と段差部24の表側に射出された樹脂とは、貫通孔23a(22a)に射出された樹脂を介して互いに連結される。これにより、金具プレート20の段差部24を、接着剤を用いることなく、連結部材10の脚部13に固着できる。また、段差部24の表側に射出された樹脂と段差部24の裏側の空間に射出された樹脂とは、貫通孔22a,23aに射出された樹脂を介して互いに連結されるので、貫通孔22a,23aに射出された樹脂が貫通孔22a,23aに引っかかり、脚部13にインサート成形された金具プレート20が脚部13から抜けることを防止できる。
図5に示すように、一対の側壁13aは、内筒30の軸心方向(図5紙面手前から奥方向)の中央で縦壁13bに連結されると共に、補強リブ12に連結されている。よって、連結部材10の剛性を確保できると共に、樹脂金型50(図6参照)において、補強リブ12を形成する射出空間と縦壁13bを形成する射出空間と側壁を形成する射出空間とを上下方向(図5上下方向)で重ならせて配置できる。これにより、連結部材10の成形性を向上できる。
図4(b)、図4(c)及び図5に示すように、脚部13の底面には、第3肉抜き部15が凹設される。かかる第3肉抜き部15によっても、脚部13の軽量化を図れる。また、一対の側壁13aは段差部24の貫通孔22a,23a及び第3肉抜き部15を避けた位置に配置される。
よって、一対の側壁13aでエンジン側の荷重を支持できるので、エンジン側の荷重が一対の脚部13を介して車体側に負荷される。この場合、一対の側壁13aは、貫通孔23aの貫通方向で、貫通孔22a,23aと重ならないので、一対の側壁13aの支持剛性を確保できる。
最後に、図6及び図7を参照して、金具プレート20が樹脂金型50に挟持される態様について説明する。図6(a)は、金具プレート20の上面図であり、上側金型51によって押さえられる領域がハッチングを付して示されている。図6(b)は、上側金型51及び下側金型52の拡大断面図であり、図6(a)のVIb―VIb線で切断した図に対応する。図7は、上側金型51及び下側金型52の拡大断面図であり、図6(a)のVII―VII線で切断した図に対応する。また、図7において、樹脂の射出方向が矢印で図示され、図7のXで示す部分について拡大図示されている。
図6(a)、図6(b)及び図7に示すように、連結部材10(図5参照)を形成する樹脂金型50は、右側金型51a及び左側金型51bを有すると共に金具プレート20の上側に配置される上側金型51と、金具プレート20の下側に配置される下側金型52とで構成される。
図7で示すように金具プレート20を樹脂金型50にセットした場合に段差部24の裏側に空間が形成される。よって、段差部24の表側に射出された樹脂は、貫通孔22a,23aを通って段差部24の裏側に形成された空間に射出される。この場合、図6(a)、図6(b)及び図7に示すように、上側金型51と下側金型52とにより段差部24(傾斜部22及び平板部23)の矩形状の縁のみが挟持される(図6(a)にハッチングで示す領域)。
よって、上側金型51と下側金型52とにより取付部21が挟持されないので、上側金型51と金具プレート20の取付部21との間には、隙間51cが形成され、下側金型52と金具プレート20の取付部21との間には、隙間52cが形成される。よって、台形状の段差部24の弾性変形を利用して、上側金型51と段差部24の上面とを密着させることができると共に、下側金型52と段差部24の下面とを密着させることができる。よって、樹脂金型50と金具プレート20との間に隙間が発生することを抑制できるので、樹脂金型50から樹脂がリークすることを防止できる。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施例に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、本実施の形態である防振装置1においては、金具プレート20の両端に取付部21が設けられる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、金具プレート20の一端のみに取付部21を設ける構成であっても良い。或いは、金具プレート20の両端に取付部21を設けた場合であっても、それら一対の取付部21の内の一方の取付部21のみに取付孔21aを設け、他方の取付部21は取付孔21aの穿設を省略する構成であっても良い。なお、請求項1記載の「第1取付部材の一端に設けられると共に車体側に連結される取付部」とはこれら両者の場合を含む趣旨である。
また、本実施の形態である防振装置1においては、一対の傾斜部22及び平板部23にそれぞれ貫通孔22a,23aを穿設したが、必ずしもこれに限られるものではなく、平板部23及び一対の傾斜部22のいずれか一方のみに貫通孔22a,23aが穿設されてもよい。これにより、金具プレート20の剛性を確保できる。
また、貫通孔22a,23aは真円状に形成されるが、必ずしもこれに限られるものではなく、貫通孔22a,23aを金具プレート20の長辺方向に長尺の楕円に形成してもよい。これにより、金具プレート20の剛性を確保しつつ、貫通孔23aの開口面積を拡大でき、成形性を向上できる。