JP5184033B2 - 免疫調節剤 - Google Patents

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本発明は、高い免疫調節作用を示し、且つ、水への高い溶解性を有する免疫調節剤に関する。
βグルカンは、近年その優れた生体調節機能や生理活性機能、例えば、脂質代謝改善作用、整腸作用、血糖値上昇抑制作用、コレステロール低下作用、血糖値低下作用、抗腫瘍作用、免疫調節作用、生活習慣病予防・改善作用等が解析され、その利用が注目されている素材である。
βグルカンは、多くの生物体、例えば、微生物類、担子菌類、穀物等の植物に含まれており、主にこれらの細胞壁を構成する成分として存在している(微生物によっては菌体外にβグルカンを分泌するものも知られている)。その構造は、β−1,3−グリコシド結合、β−1,4−グリコシド結合、β−1,6−グリコシド結合の少なくとも二種類以上を有するグルコースの重合体を主成分とする。
ここで、免疫調節作用とは、免疫担当細胞が、投与した分子を認識して結合させ又は細胞内に取り込むことによって細胞自身が活性化して増殖する作用、活性化した細胞が他の細胞に結合してその細胞を増殖させたり、活性化させたり、抑制する作用、あるいは、活性化された細胞がサイトカインやケモカイン等の生理活性タンパク質を産生して自身の細胞あるいは他の細胞を活性化あるいは抑制する作用のいずれかをいう。
βグルカンの場合、このような作用は、分子量に依存しており、ある一定範囲の分子量が必要であると考えられてきた。
例えば、β−1,3−グリコシド結合とβ−1,4−グリコシド結合を主体とする、β−1,3−1,4−D−グルカンの免疫調節活性は、高分子量(分子量10万超)のβグルカンに比較して、これよりも低分子化されたものが優れており、その範囲は、質量平均分子量5000〜10万、好ましくは質量平均分子量1万〜6万の範囲にあるものがよいと報告されている。(たとえば特許文献1参照)
また、β−1,3−グリコシド結合とβ−1,6−グリコシド結合を主体とする、β−1,3-1,6−D−グルカンは、これよりもさらに大きい分子量数十万以上のものが免疫調節作用があり、健康食品として利用されている。(たとえば特許文献2参照)
しかし、これらのβグルカンは水溶性が低いため飲食品や医薬品へ広く適用することができず、また、強い免疫調節作用が得られないという問題があった。
一方、このようなβグルカンの水溶性を高める目的で、β−1,3−1,4−D−グルカンを酵素処理した低分子βグルカン(例えば特許文献3参照)が提案されているが、これらのβグルカンの平均分子量が1万未満となるため、上述のように従来知られていた免疫調節作用を示す分子量範囲の下限未満であり、免疫についての調節作用は知られていなかった。
特開2001−323001号公報 特開2006−137719号公報 特開2005−307150号公報
従って、本発明の目的は、水への溶解性が高く、従来にない優れた免疫調節作用を有する免疫調節剤を提供することにある。
本発明者らは、従来から知られるβ−1,3−1,4−D−グルカンの免疫調節活性をさらに高めることを目的に鋭意検討した結果、驚くべきことに、従来知られていた分子量よりもさらに低分子量の、特定の構造のβグルカン分子にこれまで以上の極めて強い免疫調節作用を見出した。
すなわち、本発明は、質量平均分子量が500〜3000であるβ−1,3−1,4−D−グルカンを有効成分とする免疫調節剤であって、
上記質量平均分子量が500〜3000であるβ−1,3−1,4−D−グルカンが、グルコース重合度が3〜12の範囲内であるβ−1,3−1,4−D−グルカンを70質量%以上含有し、且つグルコース重合度が4〜6の範囲内であるβ−1,3−1,4−D−グルカンを20質量%以上含有することを特徴とする免疫調節剤を提供するものである。
また、本発明は、上記免疫調節剤を含有する飲食品を提供するものである。
また、本発明は、上記免疫調節剤を含有する皮膚外用剤を提供するものである。
本発明の免疫調節剤は、優れた免疫調節作用を有するものでありながら、従来の免疫調節剤に比べて水への溶解性が高いため、さまざまな形態の医薬品をはじめ、飲食品や皮膚外用剤に適用可能である。
以下に本発明の詳細についてさらに説明する。
本発明の免疫調節剤は質量平均分子量が500〜9000であるβ−1,3−1,4−D−グルカンを有効成分とするものである。
以下、本発明の免疫調節剤の有効成分である、質量平均分子量が500〜9000であるβ−1,3−1,4−D−グルカン(以下、低分子βグルカンともいう)について詳細に述べる。
上記低分子βグルカンは、その質量平均分子量が500〜9000である必要があり、好ましくは500〜4000、より好ましくは500〜3000である。
500未満や9000を超えると、高い免疫調節活性が得られず、また、9000を超えると高い水溶性が得られない問題もある。
また、上記低分子βグルカンは、グルコース重合度が3〜12の範囲内であるβ−1,3−1,4−D−グルカンの含有量が20質量%以上であることが好ましく、より好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、もっとも好ましくは80質量%以上である。
20質量%未満であると、高い免疫調節活性を示す免疫調節剤が得られないおそれがある。なお、上限については、100質量%である。
そして、上記低分子βグルカンは、グルコース重合度が3〜12の範囲内であるβ−1,3−1,4−D−グルカンのうち、1種または2種以上の重合度のβ−1,3−1,4−D−グルカンを含むものであるが、好ましくは、2種以上の重合度のβ−1,3−1,4−D−グルカンを含有するものであることが好ましく、より好ましくは3種以上の重合度のβ−1,3−1,4−D−グルカンを含有するものであることが好ましい。
なお、上限については、特に制限はないが、10種である。
また、上記低分子βグルカンは、グルコース重合度が4〜6の範囲内であるβ−1,3−1,4−D−グルカンを含有することが好ましい。その好ましい含有量は5〜100質量%、より好ましくはが20〜100質量%、さらに好ましくは60〜100質量%である。
上記低分子βグルカンは、好ましくは、天然に存在するβ−1,3−1,4−D−グルカンを加水分解することによって得られる。
上記天然に存在するβ−1,3−1,4−D−グルカンとしては、β−1,3−1,4−D−グルカンを含む穀類やその加工品が原料として適している。原料となる穀類は、ヘミセルロースを含有する穀類であればいかなるものも使用可能であり、大麦、オーツ麦、大麦ぬか、小麦胚芽、米ぬか、トウモロコシ外皮などがあるが、β−1,3−1,4−D−グルカン含有量の比較的多い大麦、オーツ麦、大麦ぬか、オーツ麦の精麦粕、大麦外皮やオーツ麦外皮が好ましい。
また、上記天然に存在するβ−1,3−1,4−D−グルカンは、加水分解前に、あらかじめβグルカンの含有量が高めるために、濃縮処理することが好ましい。
該濃縮処理としては、上記穀類やその加工品から、温水、冷水、あるいは有機溶媒等を用いた抽出処理や、上記穀類やその加工品を粉砕後分級した分画処理が挙げられる。
また、上記濃縮処理された市販のβグルカン製剤も好ましく使用することができ、例えば、食品素材として販売されている大麦ベータグルカンC60-P(β−1,3−1,4−D−グルカン濃度60質量%以上、ADEKA社製)、大麦ベータグルカンE70-S(β−1,3−1,4−D−グルカン濃度70質量%以上、ADEKA社製)、や、この他、市販のオーツ麦抽出物(β−1,3−1,4−D−グルカン含有量50質量%前後)を使用することもでき、さらにこれらを精製して、純度を高めたβグルカン材料を使用することもできる。
また、上記加水分解方法としては、加熱処理、酸やアルカリ処理、酵素処理など通常の多糖類を加水分解する方法が使用できるが、なかでも、上記低分子βグルカンを高い濃度で生成させることが可能な点で、酵素処理が最適である。
上記酵素処理で用いる酵素としては、具体的には、リケナーゼ(EC 3.2.1.73)、セルラーゼ(EC 3.2.1.4)が挙げられ、この他、エンド型のβグルカナーゼ、1,3−β−D−グルカナーゼ、1,4−β−D−グルカナーゼやこれらの複合酵素などを用いることもできる。
なお、市販の酵素製剤には、これらの活性を含んだペクチナーゼ、キシラナーゼ、ヘミセルラーゼ、細胞壁溶解酵素、抽出物の粘度低減作用を示す酵素、果汁の成分の沈降防止用酵素製剤、ビールや果汁などの粘度を低下させる目的や濾過速度を促進するための目的で使用する酵素製剤などがあり、上記低分子βグルカンを生成させる目的でこれらの酵素製剤も使用することができるが、これらの酵素製剤には、βグルカンを2糖であるセロビオース、単糖のグルコースにまで分解する活性が存在する。
従って、高い免疫調節機能を有する上記低分子βグルカンを得るためには、β−1,3−1,4−D−グルカンを重合度2以下まで加水分解しない酵素を使用することが好ましい。
これに該当する市販の酵素製剤としては、例えば、リケナーゼ(日本バイオコン社製)、セレミックス(ノボザイム社製)、グレイナーゼ(大和化成工業社製)、フィニザイム(ノボザイム社製)、セルクラスト(ノボザイム社製)、ウルトラフロL(Novozymes社製)、ビスコザイムL(Novozymes社製)、スミチームNX(新日本化学工業社製)、セルロシンT2(エイチビィアイ社製)、スミチームARS(新日本化学工業社製)が挙げられる。また、これらの酵素製剤からリケナーゼ活性を有する酵素を単離精製して使用してもよい。
なお、リケナーゼは、β−1,3−1,4−D−グルカンのβ−1,3−グリコシド結合を認識して、β−1,3−グリコシド結合のグルコピラノシルをその還元末端側に存在するβ−1,4−グリコシド結合を加水分解する酵素である。
一方、大麦やオーツ麦に含まれるβグルカンは、主にβ−1,4−グリコシド結合が2〜4個に1カ所の割合でβ−1,3−グリコシド結合が挿入された直鎖状のβ−1,3−1,4−D−グルカンであることが知られている。
従って、リケナーゼ活性を持つ酵素による加水分解処理は、大麦やオーツ麦由来のβグルカンをその分子内のβ−1,3−グリコシド結合を認識して、その還元末端側に存在するβ−1,4−グリコシド結合を加水分解するので、グルコースや2糖であるセロビオースを生成させることなく、上記低分子βグルカンを製造するために最も適している。そして得られた低分子βグルカンは、β−1、3−D−結合を還元末端側に1個だけ有し、その他は全てβ−1、4−D−結合であり、直鎖状のβ−1、3−1、4−グルカンとなり、この低分子βグルカンは、本発明の免疫調節剤の主要構成成分となる。
すなわち、上記低分子βグルカンは、大麦、オーツ麦、大麦ぬか、オーツ麦の精麦粕、大麦外皮やオーツ麦外皮を、リケナーゼ(日本バイオコン社製)、セレミックス(ノボザイム社製)、グレイナーゼ(大和化成工業社製)、フィニザイム(ノボザイム社製)、セルクラスト(ノボザイム社製)、ウルトラフロL(Novozymes社製)、ビスコザイムL(Novozymes社製)、スミチームNX(新日本化学工業社製)、セルロシンT2(エイチビィアイ社製)、スミチームARS(新日本化学工業社製)、さらには、これらの酵素製剤からリケナーゼ活性を有する酵素を単離精製して使用したもののうちの、1種又は2種以上の酵素製剤を使用して、酵素処理して得られたものであることが好ましく、さらに好ましくは、リケナーゼ(日本バイオコン社製)、及び/又はセレミックス(ノボザイム社製)を使用して酵素処理して得られたものであることが好ましい。
本発明の免疫調節剤は、上記低分子βグルカンを有効成分として含有するものであり、そのまま医薬品として使用可能であるが、本発明の効果を損なわない範囲で従来公知の賦形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、乳化剤などの添加剤と混合して、例えばペースト状、粉末状、顆粒状などの形態で製剤化してもよい。
本発明の免疫調節剤における上記低分子βグルカンの含有量は、その求められる免疫調節活性に応じ適宜設定可能であるが、好ましくは10〜100質量%、より好ましくは20〜100質量%、さらに好ましくは50〜100質量%である。
本発明の飲食品は、上記免疫調節剤を含有するものである。本発明の飲食品における上記免疫調節剤の含有量は、その目的に応じて配合量を決めればよいが、例えば飲食品中、上記低分子βグルカンが好ましくは0.01〜80質量%、より好ましくは0.5〜5質量%となる量である。
本発明の皮膚外用剤は、上記免疫調節剤を含有するものである。本発明の皮膚外用剤における上記免疫調節剤の含有量は、その目的に応じて配合量を決めればよいが、例えば皮膚外用剤中、上記低分子βグルカンが好ましくは0.01〜100質量%、より好ましくは0.05〜30質量%となる量である。
本発明の飲食品や皮膚外用剤には、本発明の効果を損なわない範囲で、従来公知の乳化剤、食品改質剤、添加剤、その他の食品添加物をはじめ、他の生理活性成分、例えば、コレステロール上昇抑制剤、血圧上昇抑制剤、血中コレステロール調節機能剤、血糖値上昇抑制作用剤、腸内細菌叢改善剤、整腸作用剤、抗ガン作用剤、抗アレルギー作用剤、消化吸収調節作用剤、老化防止剤、抗酸化剤、血行促進剤、アミノ酸、ペプチド、脂質、多糖類、オリゴ糖類、タンパク質、糖質、食物繊維、酵素成分等を配合してもかまわない。
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。尚、特に記述がない限り、実施例中の%は質量%によるものである。また、以下の実施例1〜10のうち、実施例8のサンプル8及び12並びに実施例9及び10は参考例である。
<分析例1(βグルカンの分子量測定法)>
βグルカンの分子量範囲と質量平均分子量は、ゲルろ過クロマトグラフィーを使用し測定した。その詳細な測定方法としては、以下の通りとした。
なお、ゲル濾過クロマトグラフィーにて分子量範囲が180以上3000未満であり、質量平均分子量が180以上2000以下と測定された低分子βグルカンの各重合度のβグルカン毎の含有量、及び、上記低分子βグルカンをゲル濾過クロマトグラフィーにて分画して得たサンプルの分子量については、ゲルろ過クロマトグラフィーに代えて、TOF−MSを用いて分子量確認を行った。その詳細な測定方法としては、以下の通りとした。
〔ゲルろ過クロマトグラフィーによる分子量範囲と質量平均分子量の測定〕
βグルカンの5mgをチューブに取り、1mlの蒸留水を加えて、沸騰水中で溶解させた。0.22μmのフィルターを通してHPLC用のサンプルとした。分離カラムは、HPLCゲル濾過カラムであるShodexのパックドカラムSUGAR KS−804+SUGAR KS−802(連結カラム、昭和電工社製)を用い、流速0.5ml/min.、温度50℃、検出にはRI検出器、分離溶媒は水で実施した。
分子量マーカーとしては、Shodexプルラン標準液P−82(昭和電工社製)、β−Glucan MW Standards(Megazyme社製)、D−Glucose(和光純薬)、Laminaribiose、Laminaritriose、Laminaritetraose、Laminaripentaose、LaminarihexaoseおよびLaminariheptaose(型番400485、400487、400489、400491、400493、400495 生化学工業社製)を用い、測定サンプルの溶出時間から分子量を測定した。
また、3糖の保持時間を35.3〜37.5minとし.、4糖の保持時間を34.3〜35.3min.とし、5糖の保持時間を33.5〜34.3minとし.、6糖の保持時間を32.9〜33.5min.とし、7〜12糖の保持時間を31.5〜32.9min.として、各ピークの面積値から各重合度のβグルカンの含有量を求め、さらに、その含有量から、質量平均分子量を求めた。
〔TOF−MSによる低分子βグルカン中の各分子の分子量測定〕
βグルカンの10mgをチューブに取り、1mlの水/メタノール(1:1)混合溶液を加えて溶解させ、測定試料とした。Matrixは10mgの2,5−DihydroxybenzoicAcidを1mlメタノールに溶解させて使用した。TOF−MSシステムはVoyager-DETM STR (PerSeptive Biosystems社製)を用いた。測定は、測定試料2μl、Matrix 20μlとし、測定モードはAngiotensin Reflector (Psitive)、測定分子量範囲を 3000以下とした。さらに、検出されたピーク面積値から各分子量のβグルカン含量を求めた。
<分析例2(βグルカンの確認と純度検定試験)>
〔βグルカンの確認〕
βグルカンであることの確認は、FT−IRを用いて行なった。すなわち、粉末状のサンプルを減圧乾燥機を用いて十分に乾燥させた。乾燥サンプル1mgに赤外スペクトル用KBr(キシダ化学)100mgを添加して、乳鉢で混合および微粒子化した。φ2mmの錠剤を形成し、SP1700(日本電子データム社製)を用いて測定し、解析ソフトWinspec50を用いて解析を行った。β結合の確認は898cm−1に特性吸収帯を持つことで確認し、同時にα結合(850〜860cm−1)が検出されないことを確認した。β結合を含有し、α結合が検出されないことをもって、測定したサンプルがβグルカンであること、とした。
〔β−1,3−1,4−D−βグルカンの純度検定〕
β−1,3−1,4−D−βグルカンの純度検定は、メガザイム社のβグルカン測定キットを用いて、McCleary法(酵素法)により行った。
まず、500μm(30メッシュ)のふるいにかけた各分画物の水分含量を測定し、その10mgを17mlチューブに取り、50%エタノール溶液を200μl加え、分散させた。次に4mlの20mMリン酸緩衝液(pH6.5) を加え、よく混合した後、煮沸した湯浴中にて1分間加温した。よく混合し、さらに2分間、湯浴中で加熱した。50℃に冷却後、5分間放置してから、各チューブにリケナーゼ酵素溶液(キットに付属するバイアルを20mlの20mMリン酸緩衝液で希釈、残量は凍結保存)の200μl(10U)を加え、1時間、50℃にて反応させた。チューブに200mM酢酸緩衝液(pH4.0)を、5ml加えて、静かに混合した。室温に5分間放置し、遠心分離にて上清を得た。100μlを3本のチューブに取り、1本には100μlの50mM酢酸緩衝液(pH4.0)を、他の2本には100μl(0.2U)のβグルコシターゼ溶液(キットに付属するバイアルを20mlの50mM酢酸緩衝液で希釈、残量は凍結保存)を加え、50℃にて10分間、反応させた。3mlのグルコースオキシターゼ/ペルオキシターゼ溶液を加えて、50℃にて20分間反応させ、各サンプルの510nmにおける吸光度(EA)を測定した。β−1,3-1,4−D−グルカン含有量は、次式により求めた。
β−1,3-1,4−D−グルカン(%,W/W)=(EA)×(F/W)×8.46
F=(100)/(グルコース100μgの吸光度)
W=算出された無水物質量(mg)
<分析例3 低分子βグルカンが、β−1,3−1,4−D−グルカンであることの確認試験(部分メチル‐アセチル化による結合様式解析)>
ガスクロマトグラフィーを用いて結合様式解析を行った。すなわち、十分に乾燥させた低分子βグルカンを含有するサンプル3mgに蒸留水1mlを加えて撹拌し、1Nアンモニア水を添加してアルカリ雰囲気下にした後、水素化ホウ素ナトリウムを2mg加えて室温で2時間放置した。イオン交換樹脂を用いて中和したあと濃縮・乾固させた。乾固したサンプルにDMSO 0.5mlを加えた。サンプルを溶解させた後、NaOH 60mgを加えてN2充填して密封し、室温で1時間撹拌した。ヨウ化メチル0.1mlを加えて室温で1時間、40℃で0.5時間、50℃で0.5時間、60℃で1時間撹拌した。N2を吹き付けてヨウ化メチルを除去したあと、メチル化糖をクロロホルム抽出して、濃縮した。
氷冷下で72%硫酸 0.1mlを加えて1時間放置した。蒸留水0.8mlを加えて硫酸を希釈し、100℃で4時間加熱した。炭酸バリウムを適量加えて中和し、上清はイオン交換樹脂を用いて脱塩した。濃縮したものに蒸留水1mlを加えて撹拌し、1Nアンモニア水を添加してアルカリ雰囲気下にしたあと、水素化ホウ素ナトリウムを2mg加えて室温で2時間放置した。イオン交換樹脂を用いて中和したあと濃縮・乾固させた。無水酢酸0.1mlとピリジン0.1mlを加えて100℃で2時間加熱した。蒸留水1mlを加えてよく撹拌し、濃縮した。
クロロホルム100μlを加えて溶解し、そのうち1μlをガスクロマトグラフィー分析用サンプルとした。
ガスクロマトグラフィーは、キャピラリーカラム(CP-SIL 13CB 50m×0.25mm I.D.0.25μm VARIAN社製)を用いて、キャリアガスはHe、カラム温度185℃、注入口温度250℃、検出器は水素炎イオン化検出器を用いた。
非還元末端Glcは、1位及び5位がアセチル化、2位、3位、4位及び6位がメチル化した部分メチル化グルシトール(保持時間13.5min.)、β−1,4−グリコシド結合由来Glcは、1位、4位及び5位がアセチル化、2位、3位及び6位がメチル化した部分メチルグルシトール(保持時間19.7min.)、β−1,3−グリコシド結合由来Glcは、1位、3位及び5位がアセチル化、2位、4位及び6位がメチル化した部分メチルグルシトール(保持時間18.9min.)、β−1,3−グリコシド結合還元末端Glcは、3位のみがアセチル化、1位、2位、4位、5位及び6位がメチル化した部分メチルグルシトール(19.1min.)、β−1,4−グリコシド結合還元末端Glcは、4位のみがアセチル化、した部分メチルグルシトール(20.0min.)として検出された。
〔実施例1〕
市販の大麦βグルカン(大麦から抽出したβ−1,3−1,4−D−グルカン70質量%含有、製品名:大麦ベータグルカンE70-S、ADEKA社製)の1gを、4mMクエン酸緩衝液(pH6.0)100mlに添加して、70℃で15分間加温して十分に溶解させた。室温まで冷却した後、遠心分離(8000rpm、10分間)して上清を回収し、上清を凍結、融解させて再度、遠心分離(8000rpm、10分間)を行い、沈殿を回収した。この沈殿を乾燥させ粉末とし、分析例2に従ってβ−1,3−1,4−D−グルカン純度を測定したところ、90.1%であった。この粉末を4mMクエン酸緩衝液(pH6.0)100mlに溶解させた。リケナーゼ1000U/ml(Megazyme社製)の10倍希釈液を10μl添加して、40℃で24時間インキュベートした。沸騰水浴中で10分間加熱した後、室温まで冷却して凍結乾燥してサンプル1を得た。
サンプル1を分析例2に従って測定したところ、サンプル1はβグルカンであることが確認され、また、そのβ−1,3−1,4−D−グルカン含量(純度)は89%であった。
また、分析例1に従ってゲル濾過クロマトグラフィーにて分子量測定の結果、分子量は500〜2500の範囲に検出され、質量平均分子量は880と算出された。
さらに分析例1に従い、TOF−MSにて分子量を測定した結果、単糖および2糖は検出されず、3糖は68質量%、4糖は25質量%、5糖は3質量%、6糖は1質量%、7〜12糖は3質量%であった。
〔実施例2〕
市販の大麦βグルカン(大麦から抽出したβ−1,3−1,4−D−グルカン65質量%含有、製品名:大麦ベータグルカンC60-P、ADEKA社製)の10gを、100mlの蒸留水に添加し、70℃にて加熱しながら溶解させた。溶液を室温に戻した後、遠心分離(8000rpm、10分間)にて上清を得た。上清に2倍量のエタノールを加え、一昼夜、4℃に放置後、沈殿を遠心分離(8000rpm、10分間)にて回収し、凍結乾燥させ4.8gの乾燥物―1を得た。この乾燥物のβグルカン量を分析例2に従って測定したところ、純度は88.5%であった。この乾燥物−1を用いて実施例1と同様の操作を行ない、サンプル2を得た。
サンプル2を分析例2に従って測定したところ、サンプル2はβグルカンであることが確認され、また、そのβ−1,3−1,4−D−グルカン含量(純度)は94%であった。
また、分析例1に従ってゲル濾過クロマトグラフィーにて分子量測定の結果、分子量は500〜2000の範囲に検出され、質量平均分子量は950と算出された。
さらに分析例1に従い、TOF−MSにて分子量を測定した結果、単糖および2糖は検出されず、3糖は65質量%、4糖は27質量%、5糖は4質量%、6糖は2質量%、7〜12糖は2質量%であった。
〔実施例3〕
BarleyBetaGlucan(Megazyme社製)を用いて実施例1と同様の操作を行ない、サンプル3を得た。
サンプル3を分析例2に従って測定したところ、サンプル3はβグルカンであることが確認され、また、そのβ−1,3−1,4−D−グルカン含量(純度)は96%であった。
また、分析例1に従ってゲル濾過クロマトグラフィーにて分子量測定の結果、分子量は500〜2000の範囲に検出され、質量平均分子量は720と算出された。
さらに分析例1に従い、TOF−MSにて分子量を測定した結果、単糖および2糖は検出されず、3糖は60質量%、4糖は33質量%、5糖は3質量%、6糖は1質量%、7〜12糖は1質量%であった。
〔実施例4〕
OatBetaGlucan(Megazyme社製)を用いて実施例1と同様の操作を行ない、サンプル4を得た。
サンプル4を分析例2に従って測定したところ、サンプル4はβグルカンであることが確認され、また、そのβ−1,3−1,4−D−グルカン含量(純度)は98%であった。また、分析例1に従って分析の結果、分子量は500〜2000の範囲に検出され、質量平均分子量は900と算出された。
さらに分析例1に従い、TOF−MSにて分子量を測定した結果、3糖は55質量%、4糖は34質量%、5糖は5質量%、6糖は4質量%、7〜12糖は2質量%であった。
〔実施例5〕
市販の大麦βグルカン(大麦から抽出したβ−1,3−1,4−D−グルカン70質量%含有、製品名:大麦ベータグルカンE70-S、ADEKA社製)の1gを、4mMクエン酸緩衝液(pH6.0)100mlに添加して、70℃で15分間加温して十分に溶解させた。これにセレミックス2XL 300BGU/ml(Novozymes社製)を100μl添加して50℃で24時間インキュベートした。沸騰水浴中で10分間加熱した後室温まで冷却して凍結乾燥して、サンプル5を得た。
サンプル5を分析例2に従って測定したところ、サンプル5はβグルカンであることが確認され、また、そのβ−1,3−1,4−D−グルカン含量(純度)は75%であった。
また、分析例1に従ってゲル濾過クロマトグラフィーにて分子量測定の結果、分子量は180〜2000の範囲に検出され、質量平均分子量は800と算出された。
さらに分析例1に従い、TOF−MSにて分子量を測定した結果、単糖は7.2質量%、2糖は8.3質量%、3糖は44質量%、4糖は21質量%、5糖は5質量%、6糖は2質量%、7〜12糖は4質量%であった。
〔実施例6〕
実施例2で得た乾燥物―1を用いて、実施例5と同様の操作を行ない、サンプル6を得た。
サンプル6を分析例2に従って測定したところ、サンプル6はβグルカンであることが確認され、また、そのβ−1,3−1,4−D−グルカン量(純度)を分析例2に従って測定したところ、88%であった。
また、分析例1に従ってゲル濾過クロマトグラフィーにて分子量測定の結果、分子量は180〜2500の範囲に検出され、質量平均分子量は1000と算出された。
さらに分析例1に従い、TOF−MSにて分子量を測定した結果、単糖は9質量%、2糖は5質量%、3糖は49質量%、4糖は20質量%、5糖は6質量%、6糖は3質量%、7〜12糖は5質量%であった。
〔実施例7〕
BarleyBetaGlucan(Megazyme社製)を用いて実施例5と同様の操作を行ない、サンプル7を得た。
サンプル7を分析例2に従って測定したところ、サンプル7はβグルカンであることが確認され、また、そのβ−1,3−1,4−D−グルカン量(純度)を分析例2に従って測定したところ、98%であった。
また、分析例1に従ってゲル濾過クロマトグラフィーにて分子量測定の結果、分子量は500〜2000の範囲に検出され、質量平均分子量は930と算出された。
さらに分析例1に従い、TOF−MSにて分子量を測定した結果、単糖は0質量%、2糖は0質量%、3糖は61質量%、4糖は32質量%、5糖は3質量%、6糖は2質量%、7〜12糖は2質量%であった。
サンプル1〜7に含まれる単糖(分子量180)、2糖(分子量342)、3糖(分子量504)、4糖(分子量666)、5糖(分子量828)、6糖(分子量990)、7糖〜12糖(分子量1152〜1962)の含有量を表1にまとめて示した。
Figure 0005184033
〔実施例8〕[サンプル5から、3糖、4糖、5糖、6糖、7糖〜12糖の分取]
サンプル5の1gを蒸留水10mlに溶解させた。0.22μmのフィルターを通したものを分取サンプルとした。分取条件は以下の通りとした。カラムはHPLC分取用ゲル濾過カラムであるTSK‐GEL OLIGO‐PW21.5*300(東ソー社製)を用い、分離溶媒は水を用い、流量2.0ml/min.、カラム温度40℃とし、検出にはRI検出機を用いた。フラクションコレクター(型番FC205 GILSON社製)を用いて、3糖(サンプル8)、4糖(サンプル9)、5糖(サンプル10)、6糖(サンプル11)、7糖〜12糖(サンプル12)の検出ピークを分取した。
分取サンプル700μlすなわち酵素分解生成物70mgから、3糖を22.1mg、4糖を5.7mg、5糖を1.8mg、6糖を1.1mg、7〜12糖を5.4mg回収した。上記と同様の作業を繰り返して、3糖、4糖、5糖、6糖、7糖〜12糖の分収を行い、分子量の確認と純度検定をTOF−MSにて実施した。
また、サンプル8〜12を分析例2に従って分析したところ、サンプル8〜12はβグルカンであることが確認された。
サンプル8〜12に含まれる単糖(分子量180)、2糖(分子量342)、3糖(分子量504)、4糖(分子量666)、5糖(分子量828)、6糖(分子量990)、7糖〜12糖(分子量1152〜1962)の含有量を表2にまとめて示した。
Figure 0005184033
なお、サンプル12(7糖〜12糖)の組成分析を、TOF−MS分析したところ、7糖が64.6%、8糖が10.8%、9糖が13.8%、10糖が6.2%、11糖が3.1%、12糖が1.5%の組成比であった。
〔実施例9〕
BarleyBetaGlucan(Megazyme社製)1gに4mMクエン酸Buffer(pH6.0)100mlを添加して70℃で15分間加温して十分に溶解させた。室温まで冷却した後、セレミックス2XL 300BGU/ml(Novozymes社製)を2μl添加して50℃で4時間インキュベートした。沸騰水浴中で10分間加熱した後室温まで冷却して凍結乾燥して、サンプル13を得た。
サンプル13を分析例2に従って測定したところ、サンプル13はβグルカンであることが確認され、また、そのβ−1,3−1,4−D−グルカン量(純度)を分析例2に従って測定したところ、95%であった。
また、分析例1に従ってゲル濾過クロマトグラフィーにて分子量測定の結果、分子量は500〜4500の範囲に検出され、質量平均分子量は3200と算出された。
また、ゲル濾過クロマトグラフィーにて分子量測定の結果、単糖は0質量%、2糖は0質量%、3糖は4.5質量%、4糖は2質量%、5糖は4質量%、6糖は5質量%、7〜12糖は12質量%であった。
〔実施例10〕
BarleyBetaGlucan(Megazyme社製)1gに4mMクエン酸Buffer(pH6.0)100mlを添加して70℃で15分間加温して十分に溶解させた。室温まで冷却した後、セレミックス2XL 300BGU/ml(Novozymes社製)を1μL添加して50℃で6時間インキュベートした。沸騰水浴中で10分間加熱した後室温まで冷却して凍結乾燥して、サンプル14を得た。
サンプル14を分析例2に従って測定したところ、サンプル14はβグルカンであることが確認され、また、そのβ−1,3−1,4−D−グルカン量(純度)を分析例2に従って測定したところ、94%であった。
また、分析例1に従ってゲル濾過クロマトグラフィーにて分子量測定の結果、分子量は500〜3500の範囲に検出され、質量平均分子量は2000と算出された。
また、ゲル濾過クロマトグラフィーにて分子量測定の結果、単糖は0質量%、2糖は0質量%、3糖は10.0質量%、4糖は4.3質量%、5糖は5質量%、6糖は6質量%、7〜12糖は24.1質量%であった。
〔比較例1〕
BarleyBetaGlucan(Megazyme社製)を比較サンプル1とした。比較サンプル1を分析例2に従って測定したところ、比較サンプル1はβグルカンであることが確認され、また、そのβ−1,3−1,4−D−グルカン量(純度)を分析例2に従って測定したところ、96%であった。また、分析例1に従ってゲル濾過クロマトグラフィーにて分子量測定の結果、分子量は、6万〜8万の範囲に単一のピークが認められ、質量平均分子量7万と算出された。
また、ゲル濾過クロマトグラフィーにて分子量測定の結果、単糖、2糖、3糖、4糖、5糖、6糖、7〜12糖は0質量%、7万のピークは100質量%であった。
〔比較例2〕
BarleyBetaGlucan(Megazyme社製)1gに4mMクエン酸Buffer(pH6.0)100mlを添加して70℃で15分間加温して十分に溶解させた。室温まで冷却した後、セレミックス2XL 300BGU/ml(Novozymes社製)を1μl添加して50℃で2時間インキュベートした。沸騰水浴中で10分間加熱した後室温まで冷却して凍結乾燥して、比較サンプル2を得た。
比較サンプル2を分析例2に従って測定したところ、比較サンプル2はβグルカンであることが確認され、また、そのβ−1,3−1,4−D−グルカン量(純度)を分析例2に従って測定したところ、94%であった。
また、分析例1に従ってゲル濾過クロマトグラフィーにて分子量測定の結果、分子量は3000〜3万の範囲に検出され、質量平均分子量は1万と算出された。
また、ゲル濾過クロマトグラフィーにて分子量測定の結果、単糖、2糖、3糖、4糖、5糖、6糖は0質量%、7〜12糖は3.2質量%であった。
サンプル13、14、比較サンプルに含まれる3糖(分子量504)、4糖(分子量666)、5糖(分子量828)、6糖(分子量990)、7糖〜12糖(分子量1152〜1962)の含有量、分子量範囲を表3にまとめて示した。
Figure 0005184033
サンプル8および9を分析例3にしたがって結合様式解析した結果を表4に記載した。
表4からわかるとおり、サンプル8は、非還元末端グルコース、3位にグルコシド結合を有する還元末端グルコース、及び、1位と4位にグルコシド結合を有するグルコースを含有するが、1位と3位にグルコシド結合を有するグルコース、及び、4位にグルコシド結合を有する還元末端グルコースを含有しないことから、β−1、3−D−結合を還元末端側に、β−1、4−D−結合を非還元末端側に有し、直鎖状のβ−1、3−1、4−グルカンであることが確認された。
また、サンプル9は非還元末端グルコース、3位にグルコシド結合を有する還元末端グルコース、及び、1位と4位にグリコシド結合を有するグルコースを含有するが、1位と3位にグルコシド結合を有するグルコース、及び、4位にグルコシド結合を有する還元末端グルコースを含有しないことから、β−1、3−D−結合を還元末端側に1個だけ有し、その他は全てβ−1、4−D−結合であり、直鎖状のβ−1、3−1、4−グルカンであることが確認された。
Figure 0005184033
<試験例1:免疫調節作用の評価(骨髄由来の樹状細胞からのIL-6産生量の測定)>
C57−B6マウス(オス、6週齢)を頸椎脱臼させた後、下腹部から足首まで切開して膝関節を切断、筋を除去して骨を取り出した。2%FBSを含むRPMI培地で洗浄後、両端を切断して、シリンジを用いて骨髄腔から細胞を採取した。細胞は2%FBSを含むRPMI培地で洗浄後、溶血バッファーで処理し、遠心分離で回収して、さらに新たな10%FBSを含むRPMI培地に懸濁させBD-Falconセルストレーナー(40μm)に通した。最終的に10mlの骨髄細胞浮遊液を得た。細胞数を10%FBS含有RPMI培地にて5x105cells/mlに調整し、これにGM−CSF(PEPROTECH社製)を最終濃度で20ng/mlとなるよう添加し、96ウェルプレートへ200μ分注した。37℃で7日間培養した後、各サンプルをRPMI培地に溶解し、最終濃度で50μg/mlとなるように添加して3日間培養を続けた。
なお、陽性コントロールであるLPSは、1μg/mlとなるように添加し、3日間培養を続けた。陰性コントロールは、生理食塩水、グルコース、シュークロース、マルトース、セロビオース、マルトトリオース、マルトテトラオース、ラミナリビオース、ラミナリトリオース、ラミナリテトラオースを用いた。
また、β−1,3-1,6−D−グルカンとしてアウレオバシジウム培養液から抽出したものをサンプルとして用いた。高分子β−1,3−1,4−D−グルカンとして大麦βグルカンMWスタンダード(Megazyme社製、純度97%以上、分子量35.9万)を用いた。
培養上清中に産生されたインターロイキン6(IL-6)の産生量をELISAキット(BDバイオサイエンス社製)を用いて測定した。
結果は表5に示すように、実施例1〜10で得られたサンプル1〜14を添加した細胞培養上清からリポポリサッカライド(LPS)を添加した場合と同様のIL-6の産生が認められた。他方、分子量が5000以上のβ−1,3−1,4−D−グルカン、あるいはβ−1,3-1,6−D−グルカンを添加した培養上清からは、IL-6の産生は検出されなかった。コントロールとして用いた、グルコース、シュークロース、マルトース、オリゴ糖においてもIL-6の産生は認めなかった。
以上のように、実施例1〜10で得られたサンプル1〜14はIL-6の産生促進作用を有しており、樹状細胞の活性化、抗体産生やリンパ球の活性化に寄与するものと考えられ、低分子βグルカンの免疫調節作用が確認された。
Figure 0005184033
<試験例2:免疫調節作用の評価(経口投与後、脾臓細胞からのサイトカイン産生量の測定)>
次に、サンプルをICRマウスに経口投与し、脾臓細胞からのインターロイキン12(IL-12)産生を評価した。
実施例で得られたサンプル6、比較サンプル1、比較サンプル2を5%となるようにMF飼料に添加混合し、試験飼料A(サンプル6)、B(比較サンプル1)、C(比較サンプル2)を作成した。無添加のMF飼料(オリエンタル酵母工業社製)をコントロールとした。
これら飼料を2週間、ICRマウスに自由摂取させ、各マウスより脾臓を摘出、ホモジナイザーで破砕し、RPMI培地にて洗浄、ストレーナーを通して細胞懸濁液を得た。細胞を1×106cells/mlとなるよう、10%FBSを添加したRPMI培地にて調整し、培養プレート(96ウェル)の各ウェルに200μl添加した。RPMI培地にて乳酸球菌(Enterococcus facaris)死菌体の1mg/ml溶液を調製し、その20μlを各ウェルに添加し、24時間37℃にて培養した。培養上清のインターロイキン12(IL-12)濃度をELISA測定キット(BDバイオサイエンス社製)を用いて測定した。その結果を表6にまとめて示した。
実施例6で得られたサンプル6をICRマウスに経口投与することで、脾臓中の細胞を活性化しIL-12産生を促進することが判った。
IL-12は、マクロファージの活性化によって誘導され細胞性免疫の増強に作用するサイトカインである。実施例6で得られたサンプル6をICRマウスに経口投与することによってIL-12が産生促進されることから、NK細胞の活性化やインターロイキン4(IL-4)の産生抑制に働き、その結果、感染防御能の亢進やアレルギー反応の抑制などに寄与するものと考えられ、低分子βグルカンの免疫調節作用が確認された。
Figure 0005184033

Claims (4)

  1. 質量平均分子量が500〜3000であるβ−1,3−1,4−D−グルカンを有効成分とする免疫調節剤であって、
    上記質量平均分子量が500〜3000であるβ−1,3−1,4−D−グルカンが、グルコース重合度が3〜12の範囲内であるβ−1,3−1,4−D−グルカンを70質量%以上含有し、且つグルコース重合度が4〜6の範囲内であるβ−1,3−1,4−D−グルカンを20質量%以上含有することを特徴とする免疫調節剤
  2. 上記質量平均分子量が500〜3000であるβ−1,3−1,4−D−グルカンが、β−1,3−1,4−D−グルカンを加水分解して得られたものであることを特徴とする請求項記載の免疫調節剤。
  3. 請求項1又は2に記載の免疫調節剤を含有する飲食品。
  4. 請求項1又は2に記載の免疫調節剤を含有する皮膚外用剤。
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