JP5183841B2 - 内分泌攪乱作用を有するフェノール系化合物またはその構造類似体と特異的に結合するポリマーの製造方法および内分泌攪乱作用を有するフェノール系化合物またはその構造類似体の分離方法 - Google Patents

内分泌攪乱作用を有するフェノール系化合物またはその構造類似体と特異的に結合するポリマーの製造方法および内分泌攪乱作用を有するフェノール系化合物またはその構造類似体の分離方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内分泌攪乱作用を有するフェノール系化合物またはその構造類似体を、河川、湖水並びに地下水などから簡便に回収するために、内分泌攪乱作用を有するフェノール系化合物またはその構造類似体を鋳型とし、鋳型重合法により合成したポリマーを該化合物の吸着剤として使用する、ポリマーの製造方法および内分泌攪乱作用を有するフェノール系化合物またはその構造類似体の分離方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、外因性内分泌攪乱化学物質による環境汚染の実態が徐々に明らかになってきており、人体は勿論、その他の動物に対しても生殖毒性や健康への悪影響が懸念されている。外因性内分泌攪乱化学物質の一つとして有名なビスフェノールAは、エポキシ樹脂を初めとして多くの樹脂の原料として使用されているが、このビスフェノールAは上記樹脂の分解により環境中に拡散され、河川水中から多く検出されるようになっている。また、化学物質だけでなく、人間や家畜の尿に含まれ、下水処理場からの排水に含まれるエストラジオールやエストリオールのような天然女性ホルモンや、ジエチルスチルベストロールのような合成女性ホルモンも強い内分泌攪乱作用を示すことが判明している。これらの外因性内分泌攪乱物質に関する研究は現在進められているが、ダイオキシン類などの一部の化合物以外は規制値も定められていない状態で生態系へ与える影響は未知の部分が多い。しかしながら、環境中から除去する必要があることは間違いなく、早急な対策が望まれている。
【0003】
外因性内分泌攪乱作用が確認されている化合物は様々で、それら全てに共通する特徴は無いが、比較的多いのが芳香族有機化合物であり、前述のビスフェノールAやエストラジオールなどは共にフェノール系化合物に分類される。現在の技術では、内分泌攪乱作用を有するフェノール系化合物またはその構造類似体が極低濃度で含まれている水やその他の液体から、内分泌攪乱作用を有するフェノール系化合物またはその構造類似体のみを選択的に、しかも容易に除去することは極めて困難である。そこで、微量の内分泌攪乱作用を有するフェノール系化合物またはその構造類似体を除去する方法として、内分泌攪乱作用を有するフェノール系化合物またはその構造類似体と特異的に結合するポリマーを合成および使用するモレキュラーインプリント法が研究されている。
【0004】
従来のモレキュラーインプリント法では、鋳型分子と、構造内に鋳型分子と特異的に結合する部分とビニル基を併せ持つ化合物(機能性モノマー)を混合し、複合錯体を形成させ、この錯体と架橋剤を混合して重合し、ポリマーから鋳型分子を取り除く方法が多用されるが、複合錯体の形成が非共有結合性の結合からなるため、高い特異性を得ることが困難である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、あらかじめ鋳型分子と機能性モノマーを共有結合により結合させてからポリマーを合成させる方法をとれば、高い選択性が期待できる。しかしながら、この方法では重合したポリマーから鋳型分子を除去するために、幾つか制限がある。それは、鋳型分子と機能性モノマーとの結合がエステル結合などの可逆的な共有結合に限られることと、鋳型分子を取り出す際に加水分解を行うが、架橋剤にエステル結合を有する多官能性モノマーを用いると鋳型分子の結合を切る以外に、架橋剤のエステル結合も分解されてしまうため、ポリマーの形状を保てなくなるという致命的な問題があり、現在のところ有効な上記ポリマーの製造方法は確立されていない。
従って本発明の目的は、内分泌攪乱作用を有するフェノール系化合物またはその構造類似体と特異的に結合するポリマーの効率的な製造方法およびその利用方法を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的は以下の本発明によって達成される。即ち、本発明は、内分泌攪乱作用を有するフェノール系化合物またはその構造類似体と(メタ)アクリル酸クロライドとから、内分泌攪乱作用を有するフェノール系化合物またはその構造類似体のビス(メタ)アクリル酸エステルを合成し、該ビス(メタ)アクリル酸エステルと少なくとも多官能性モノマー(架橋剤)を含む重合性化合物とを混合して共重合させ、得られたコポリマーを、有機酸、無機酸、有機アルカリ性物質および無機アルカリ性物質からなる群より選ばれる、フェノールエステルを選択的に分解する触媒を用いて加水分解して、コポリマー中に内分泌攪乱作用を有するフェノール系化合物またはその構造類似体の構造に相当する空間を有するポリマーを得ることを含み、上記内分泌攪乱作用を有するフェノール系化合物またはその構造類似体が、ビスフェノールA、ビスフェノールB、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールFD、ビスフェノールAD、これらのビスフェノールのハロゲン化物または水素添加物、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ヒドロキシビフェニル、17α−エストラジオール、17β−エストラジオール、エチニルエストラジオール、ヘキサエストロール、ジエンエストロール、ジエチルスチルベストロールおよびこれらの各種置換化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、上記内分泌攪乱作用を有するフェノール系化合物またはその構造類似体のビス(メタ)アクリレート(A)と上記重合性化合物(B)との混合比が、A:B=0.5〜20:1〜10の重量比であるポリマーの製造方法を提供する。
【0007】
また、本発明は、内分泌攪乱作用を有するフェノール系化合物またはその構造類似体を含む液体と上記本発明のポリマーとを接触させ、上記液体中の内分泌攪乱作用を有するフェノール系化合物またはその構造類似体を上記ポリマーにより吸着させて分離することを特徴とする内分泌攪乱作用を有するフェノール系化合物またはその構造類似体の分離方法を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に好ましい実施の形態を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
本発明で使用する内分泌攪乱作用を有するフェノール系化合物またはその構造類似体としては、ビスフェノールA、ビスフェノールB、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールFD、ビスフェノールAD、これらのビスフェノールのハロゲン化物または水素添加物、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ヒドロキシビフェニル、17α−エストラジオール、17β−エストラジオール、エチニルエストラジール、ヘキサエストロール、ジエンエストロール、ジエチルスチルベストロール、エストロン、2,4−ジクロロフェノール、ペンタクロロフェノール、p−オクチルフェノール、ノニルフェノールおよびこれらの各種置換化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられ、これらの化合物は単独でも混合物としても使用できる。
【0009】
上記内分泌攪乱作用を有するフェノール系化合物またはその構造類似体と反応させる(メタ)アクリル酸クロライドとしては、アクリル酸クロライドまたはメタクリル酸クロライドが挙げられる。該(メタ)アクリル酸クロライドは、内分泌攪乱作用を有するフェノール系化合物またはその構造類似体1モル当たり2.0〜2.2モルの割合で使用し、内分泌攪乱作用を有するフェノール系化合物またはその構造類似体の水酸基と反応させて、内分泌攪乱作用を有するフェノール系化合物またはその構造類似体の末端に(メタ)アクリロイル基を結合させ、内分泌攪乱作用を有するフェノール系化合物またはその構造類似体を他のモノマーと共重合可能にする。(メタ)アクリロイル基との結合の際、鋳型分子が水酸基を二つ以上持つ場合は全てを(メタ)アクリロイル基と結合させる方法と、一部のみを(メタ)アクリロイル基と結合させ、残りは共有結合させないで残す方法が挙げられるが、どちらの方法でもよい。両者の反応は適当な有機溶剤中において適当な触媒を用いて常法に基づいて行なうことができる。
【0010】
本発明では、上記(メタ)アクリロイル基を有する内分泌攪乱作用を有するフェノール系化合物またはその構造類似体を他の重合性モノマーと共重合してポリマーを形成する。他の重合性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸アミド、酢酸ビニル、塩化ビニル、スチレン、その他の汎用の単官能モノマーも使用できるが、得られるコポリマーの耐薬品性、強度、硬度を高くするためには、多官能モノマーと共重合させることが好ましい。多官能性モノマーとしては、従来公知の何れの多官能性モノマーも使用できるが、反応性、取扱い容易性、コストなどを考慮すると、ジビニルベンゼンまたはその誘導体、多価アルコールのポリ(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、グリセリンなどが挙げられる。
【0011】
上記の共重合に際しては内分泌攪乱作用を有するフェノール系化合物またはその構造類似体のビス(メタ)アクリレートと多官能モノマー単独または多官能モノマーと単官能モノマーとの混合物とを混合し、適当な有機溶剤中で、アゾビスイソブチロニトリルなどの慣用の重合開始剤を用いて加熱重合または光重合によってコポリマーを得る(重合温度は低温が好ましい)。この際、内分泌攪乱作用を有するフェノール系化合物またはその構造類似体のビス(メタ)アクリレート(A)と上記モノマー(B)との混合比は、A:B=0.5〜20:1〜10の重量比で行なうことが好ましい。モノマーAの量が少なすぎると、後の加水分解後に得られるポリマーの内分泌攪乱作用を有するフェノール系化合物またはその構造類似体に対する選択的吸着性が劣り、一方、モノマーAの量が多すぎると共重合自体が円滑に進行せず、加水分解後に得られるポリマーの物理的強度、内分泌攪乱作用を有するフェノール系化合物またはその構造類似体に対する選択性が不均一になる。
【0012】
本発明においては、上記で得られたコポリマーから、内分泌攪乱作用を有するフェノール系化合物またはその構造類似体を加水分解によって切り出し、本発明で目的とするポリマーが得られる。加水分解には触媒を用いることが好ましく、触媒としては、各種の有機または無機酸、各種の有機または無機のアルカリ性物質が使用できるが、本発明の詳細な研究によれば、N−メチル−2−ジメチルアミノアセトヒドロキサミン酸が内分泌攪乱作用を有するフェノール系化合物またはその構造類似体と(メタ)アクリル酸とのエステル結合に対して高度に選択的に加水分解を進行させることを見出した。従って、本発明において上記化合物を加水分解触媒として前記コポリマーを水を含む溶媒中で加水分解することによって内分泌攪乱作用を有するフェノール系化合物またはその構造類似体のみをコポリマーから加水分解除去してコポリマー中に内分泌攪乱作用を有するフェノール系化合物またはその構造類似体に対応する空間を形成することができる。
【0013】
上記のようにして得られたポリマーを、内分泌攪乱作用を有するフェノール系化合物またはその構造類似体を含む液体と接触させることによって、上記液体中の内分泌攪乱作用を有するフェノール系化合物またはその構造類似体を上記ポリマーにより吸着させて分離することができる。この分離は内分泌攪乱作用を有するフェノール系化合物またはその構造類似体が極めて希薄な濃度であっても有効に行なうことができる。
また、本発明のインプリントポリマーは高速液体クロマトグラフィー用のカラムに充填して、鋳型分子若しくはその類似構造化合物の分析に使用でき、また、分析前処理における目的物質の選択的濃縮にも有用であり、さらにはセンサーとして目的物質の簡易検出にも使用できる。
【0014】
【実施例】
次に実施例および比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
<実施例1>
[ビスフェノールAインプリントポリマーの製造]
本実施例ではビスフェノールAを鋳型分子としてポリマーを製造した。
[製造方法]
下記構造式で表わされるビスフェノールA(5mmol)をトリエチルアミン(20mmol)を含むテトラヒドロフラン溶液に溶解し、該溶液を氷冷しながらメタクリル酸クロライド(11mmol)を滴下および混合し、さらに24時間室温で混合した。溶媒を減圧留去し、残留物を酢酸エチルに溶解し、飽和硫酸銅水溶液、純水、氷冷下飽和食塩水の順に酢酸エチル溶液を洗浄した。該溶液をカラムクロマトグラフィーで精製後、下記構造式で表わされるビスフェノールAビスメタクリル酸エステルを得た。
【0015】
Figure 0005183841
【0016】
上記のビスフェノールAビスメタクリル酸エステルとエチレングリコールジメタクリレートとを重量比1:30の割合でクロロホルムに溶解し、アゾビスイソブチロニトリルを重合開始剤として用い、5℃で18時間紫外線照射することで、ビスフェノールAインプリントポリマーを得た。該ポリマーを適当な大きさに粉砕し、その1gに対し下記構造式で表わされるN−メチル−2−ジメチルアミノアセトヒドロキサミン酸2.2gを含むアセトニトリル:水=9:1(重量比)の混合溶液を加え、3時間還流してポリマーからのビスフェノールAの切り出しを行なった。その後ポリマーを濾過し、メタノールで洗浄後、篩いで32〜63μmに粒径を揃えた。
Figure 0005183841
【0017】
<比較例1>
[鋳型分子を用いない比較ポリマーの製造方法]
鋳型分子であるビスフェノールAを添加せずに、実施例1と同様にしてポリマーを作成し、鋳型分子を用いない比較ポリマー1を得た。
【0018】
[ポリマーのビスフェノールAまたはその構造類似体に対する保持性能の評価]上記の粒径を揃えたポリマーをステンレスカラム(内径4.6mm×長さ150mm)にスラリー充填し、高速液体クロマトグラフによりビスフェノールAまたはその構造類似体への保持性能を調べた。アセトニトリル:クロロホルム=1:9(重量比)の溶離液を用意し、流速毎分1.0mL、UV検出器を用いて検出波長260nmの条件下で、濃度10mMのビスフェノールAおよびその構造類似体を各20μL注入してビスフェノールAまたはその構造類似体の保持時間を計測し、トルエンをボイドマーカーとして保持容量k’を求めた。
【0019】
なお、保持容量k’は注入した試料の保持時間をTR、トルエンの保持時間をT0で表すと、次式により求められる。
k’=(TR−T0)/T0
【0020】
ビスフェノールAを鋳型に用いて作成したポリマー、並びに鋳型を用いずに作成した比較ポリマー1のビスフェノールAに対する保持容量を求めた結果を表1に示す。
Figure 0005183841
【0021】
ビスフェノールAを鋳型として用いたポリマーと比較して、ブランクポリマーはビスフェノールAに対する保持能を殆ど示さなかった。このことから、インプリントポリマーの内部にはビスフェノールAに特異的に対応する空間が形成され、ビスフェノールAを保持したと考えられる。
【0022】
次に、ビスフェノールAを鋳型に用いて作成したポリマーのビスフェノールA及びその構造類似体に対する保持容量を求めた結果を表2に示す。
Figure 0005183841
【0023】
上記表2の結果から、ビスフェノールAを鋳型としたポリマーはビスフェノールAだけではなく、ビスフェノールAと構造が類似した4,4’−位に水酸基のついた化合物を選択的に吸着する傾向がある。このことにより本発明の目的通り、N−メチル−2−ジメチルアミノアセトヒドロキサミン酸がビスフェノールAビスメタクリレートを選択的に加水分解し、4,4’−位置に相互作用する位置にメタクリロイル基が配置されたと予想できる。
【0024】
<実施例2>
[ビスフェノールAインプリントポリマーによる試料中のビスフェノールAの分離性能の評価]
試料として河川水にビスフェノールAを1ppmの濃度で添加した溶液を作成し、実施例1で作成したインプリントポリマー1の20mgを試料溶液10mL中に添加し、室温で24時間攪拌した。反応後上澄液1mLを採取してフィルター濾過した後、高速液体クロマトグラフィーによりビスフェノールAの濃度を測定した。なお、高速液体クロマトグラフィー分析にはカラム(Shodex RSpak DE−413)、溶離液としてアセトニトリル:水=5:5(V/V)を用い、流速毎分1.0mL、カラム温度40℃にてUV検出器を用い、検出波長217nmの条件下で試料量20μLで測定を行った。
【0025】
<比較例2>
ビスフェノールAインプリントポリマーの代わりに、市販の活性炭(粉末状)を用意し、実施例2と同様にしてビスフェノールAを吸着させ、高速液体クロマトグラフィーにより濃度を測定した。
【0026】
ビスフェノールAの初期濃度に対する吸着後の濃度から、吸着率を求め表3に示した。
Figure 0005183841
表3の結果から、実施例1のインプリントポリマーはビスフェノールAを強く吸着し、ビスフェノールAを河川水などの試料中から容易に分離可能であることが示された。一方、比較例2ではビスフェノールAを少量吸着しているが、その吸着量はインプリントポリマーと比較してかなり少なく、本発明のポリマーが目的物質の特異的吸着分離剤として優れているといえる。
【0027】
<実施例3>
[17β−エストラジオールインプリントポリマーの製造]
鋳型分子を実施例1におけるビスフェノールAに代えて17β−エストラジオールを用い、他は実施例1と同様にして本発明のポリマーを得た。
【0028】
[ポリマーの17β−エストラジオールまたはその構造類似体に対する保持性能の評価]
上記の粒径を揃えたポリマーをステンレスカラム(内径4.6mm×長さ150mm)にスラリー充填し、高速液体クロマトグラフにより17β−エストラジオールまたはその構造類似体への保持性能を調べた。溶離液としてアセトニトリルを用意し、流速毎分1.0mL、UV検出器を用いて検出波長220nmの条件下で、濃度10mMの17β−エストラジオールおよびその構造類似体を各20μL注入して17β−エストラジオールまたはその構造類似体の保持時間を計測し、トルエンをボイドマーカーとして保持容量k’を求めた。
【0029】
17β−エストラジオールを鋳型に用いて作成したポリマーの17β−エストラジオールまたはその構造類似体に対する保持容量を求めた結果を表4に示す。
Figure 0005183841
【0030】
上記表4の結果から、17β−エストラジオールを鋳型としたポリマーは17β−エストラジオールだけではなく、17β−エストラジオールと構造が類似した化合物をも吸着する傾向が認められた。本発明のポリマーはエストラジオールの人工レセプターの設計にも応用可能である。
【0031】
【発明の効果】
以上の如き本発明によれば、内分泌攪乱作用を有するフェノール系化合物またはその構造類似体と特異的に結合するポリマーの効率的な製造方法、および内分泌攪乱作用を有するフェノール系化合物またはその構造類似体の分離方法を提供することができる。

Claims (3)

  1. 内分泌攪乱作用を有するフェノール系化合物またはその構造類似体と(メタ)アクリル酸クロライドとから、内分泌攪乱作用を有するフェノール系化合物またはその構造類似体のビス(メタ)アクリル酸エステルを合成し、該ビス(メタ)アクリル酸エステルと少なくとも多官能性モノマー(架橋剤)を含む重合性化合物とを混合して共重合させ、得られたコポリマーを、有機酸、無機酸、有機アルカリ性物質および無機アルカリ性物質からなる群より選ばれる、フェノールエステルを選択的に分解する触媒を用いて加水分解して、コポリマー中に内分泌攪乱作用を有するフェノール系化合物またはその構造類似体の構造に相当する空間を有するポリマーを得ることを含み、
    上記内分泌攪乱作用を有するフェノール系化合物またはその構造類似体が、ビスフェノールA、ビスフェノールB、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールFD、ビスフェノールAD、これらのビスフェノールのハロゲン化物または水素添加物、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ヒドロキシビフェニル、17α−エストラジオール、17β−エストラジオール、エチニルエストラジオール、ヘキサエストロール、ジエンエストロール、ジエチルスチルベストロールおよびこれらの各種置換化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種であり、
    上記内分泌攪乱作用を有するフェノール系化合物またはその構造類似体のビス(メタ)アクリレート(A)と上記重合性化合物(B)との混合比が、A:B=0.5〜20:1〜10の重量比であるポリマーの製造方法。
  2. 前記触媒が、N−メチル−2−ジメチルアミノアセトヒドロキサミン酸である請求項1に記載のポリマーの製造方法。
  3. 内分泌攪乱作用を有するフェノール系化合物またはその構造類似体を含む液体と請求項1または2に記載の方法により得られたポリマーとを接触させ、上記液体中の内分泌攪乱作用を有するフェノール系化合物またはその構造類似体を上記ポリマーにより吸着させて分離することを特徴とする内分泌攪乱作用を有するフェノール系化合物またはその構造類似体の分離方法。
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