JP4541715B2 - 分子吸着機能を有するシート - Google Patents

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本発明は、工業用クリーンルーム内で製造製品に影響を与えるガス、あるいはビル、住居、病院・検査施設等を始めとするあらゆる閉鎖居住空間において人間に嫌悪感を与える悪臭ガス、人間に健康被害を与えうるガスなど、問題となるガス(気体分子)、あるいは河川、湖沼水中に含有される内分泌撹乱物質、薬液中に含まれる不純物など、問題となる分子状物質を除去するために用いられるシートに関するものである。
近年の半導体の微細化、高集積化にともない、クリーンルーム中に浮遊する粒子状汚染物質だけでなく、気体状態で存在する分子状汚染物質についても問題視されてきている。分子状汚染物質も、粒子状汚染物質と同様にシリコンウエハ上に吸着して、製品歩留まりを低下させるという問題を引き起こすのである。シリコンウエハ上に吸着する分子状汚染物質の中でも、プラスチックの添加剤として用いられているフタル酸ジブチル(DBP)やフタル酸ジオクチル(DOP)等のフタル酸エステル類は、たとえその存在量が微量であっても、シリコンウエハ上に選択的に吸着することから、特に問題視されている。
また、ビル、住居、病院・検査施設等を始めとするあらゆる閉鎖居住空間で、シックビル症候群、シックハウス症候群、化学物質過敏症、内分泌撹乱物質によるホルモン異常などが近年問題となっており、その原因として建築材、家具、衣類、化粧品等から発生するガス状微量化学物質が挙げられている。さらに様々な悪臭物質に対する低減要望も市場ニーズとしてある。
従来、クリーンルーム中の分子状汚染物質や閉鎖居住空間のガス状微量化学物質や悪臭物質を除去するために、粉末状活性炭を担持させた濾材(例えば、特許文献1)や、イオン交換樹脂と活性炭の粉粒体を担持させた濾材(例えば、特許文献2)、紙支持体の少なくとも一方の面に光触媒分解能を有する酸化チタン層を担持させた紙(例えば、特許文献3)のような、吸着材、光触媒を利用したシート、濾材、エアフィルタが広く用いられている。
これら吸着材、光触媒の特徴は、空気中に存在するさまざまな気体分子を吸着あるいは分解するため、目的とする気体分子のみを重点的に除去することは非常に難しいことである。使用環境によっては目的以外の気体分子のみ吸着され、期待される性能を十分に発揮することなく寿命が来てしまうことがある。また、酸化チタン光触媒は、気体成分によっては分解後、有毒な成分へと変化し新たな問題を引き起こす場合がある。
さらに、これら吸着材、光触媒は、粉体状であることが多く、加工時や使用時にシートから脱落・飛散することを防止するため、シート基材中あるいは基材上にバインダーで接着して担持させている場合が多い。しかし、必要な接着力を確保するには相当量のバインダーが必要であるが、バインダー量を増やすとバインダーに吸着材、光触媒が覆われて吸着・分解性能が低下する大きな問題がある。
エアフィルタとして使用する場合、粉末状吸着材は、それ自体に粒子状の浮遊粉塵を除去する能力はないため、これらを用いたケミカルフィルタとは別に浮遊粉塵を除去するエアフィルタを使用する必要がある。そこで、ケミカルフィルタに粒子除去機能を持たせる目的で、活性炭繊維やイオン交換繊維等の繊維状吸着材を利用した濾材(例えば、特許文献4および特許文献5)も提案されているが、繊維状吸着材の量を増やすと十分な粉塵除去性能が得られなくなる。また、仮に十分な粉塵除去性能を持たせることが可能であっても、これら繊維状吸着材を用いて特定の分子を重点的に除去することは、前述の粉末状吸着材の場合と同様に非常に難しい。
一方、河川、湖沼水中に溶存している内分泌撹乱物質が生態系に与える影響が示唆されていること、また、薬液中に含まれる不純物、例えば医療現場で点滴等各種医療器具に使われるポリパック、チューブから溶出し人体に影響を与えうる可塑剤など、これらを液相中から選択的に除去する方法はこれまで無かった。
近年、特定の分子を選択的に捕捉する材料として、分子インプリント法を用いたポリマーが注目され、選択的分子捕捉の例が提案されている(例えば、特許文献6、特許文献7、特許文献8)。
しかし、特許文献6、8はインプリントポリマーをキャスト法でフィルム化したポリマー膜であり、この場合、ポリマー樹脂の選定段階で鋳型分子と結合可能なものが優先されるので、必ずしも後加工性や使用性に適合するものではなく、応用性、汎用性が乏しいものであった。また、特許文献7は粉体状のポリマーであり、吸着用材料、エアフィルタなど様々な用途へ展開していくには前出の脱落・飛散の問題が同様にあった。
用途が多岐に渡る気相系分子吸着用材料は、シート形状であることが大変都合良く、単板シートは押入れなどの隙間吸着剤、壁紙、カーテンなどに使用でき、また吸着面積を稼ぐためシートをジャバラに折るプリーツ加工をして使用する場合がある。さらに、シートをコルゲート加工するなどして、ハニカム状(蜂の巣状)に成型して使用する場合もある。また、液相系での吸着材料においても、シート形状であることは後加工性の観点からして有効であることは言うまでもない。
しかし、目的の分子状物質を選択的に除去し、かつ吸着材の脱落・飛散が全くなく、さらにシート形状をした分子吸着材料はこれまでに無く、この様な材料が求められている。
特開2001−317000号公報 特開2002−248308号公報 特開平8−120594号公報 特開平11−47552号公報 特開2001−300218号公報 特開2000−342943号公報 特開平11−240916号公報 特開平11−305150号公報
本発明が解決しようとする課題は、特定の分子状物質を選択的に除去し、かつ吸着材の脱落・飛散が全くなく、さらに後加工性、使用性に優れた分子吸着機能を有したシートを提供することである。
本発明者はこの課題が、分子インプリント法を利用して鋳型分子の認識部位が形成されているポリマーをシート面上に担持しているシートにおいて、前記ポリマーがエチレン−アクリル酸共重合物であり、そして前記鋳型分子がフタル酸エステルであり、該エチレン−アクリル酸共重合物のカルボキシル基が鋳型分子と水素結合することにより該鋳型分子に対する前記認識部位が形成されていることを特徴とする、分子吸着機能を有するシートによって解決できることを見出した。ここで担持とは、ポリマーがシート面上に脱落・飛散なく強固に付着した状態を言う。
本発明の有利な実施態様においては、シートが紙、不織布、織布などの繊維状構造物、特に主体繊維が極細ガラス繊維である繊維状構造物または有機質フィルムである。
この様に構成された本発明のシートによれば、特定の分子状物質を選択的に除去し、かつ吸着材の脱落・飛散が全くなく、さらに後加工性、使用性に優れた分子吸着機能を有したシートを、またこれをエアフィルタに展開した場合、粉塵除去機能にさらに気体分子吸着機能を付加させたエアフィルタ濾材を提供することができる。
発明の実施の形態
本発明を以下に更に詳細に説明する。
本発明における分子インプリント法は、ポリマーの組織化を利用した方法である。まず、鋳型分子と結合可能な官能基を有するポリマー樹脂溶液と鋳型分子を混合する。次に、この溶液から溶媒を除去することでポリマー皮膜を形成させる。この段階では、鋳型分子はポリマー皮膜中にポリマー中の官能基と結合した形で存在している。こうして得られたポリマー皮膜から鋳型分子を除去することで、ポリマー皮膜中に鋳型分子の認識部位が形成される。こうして鋳型分子を選択的に吸着除去可能なインプリントポリマー皮膜を得ることができる。
本発明は、分子状物質の選択的吸着能を有したインプリントポリマー皮膜に、同時にバインダー機能を持たせて、インプリントポリマー皮膜を所定のシート基材中あるいは基材上に担持させたものである。これまでの吸着材は、それ自身バインダー機能を持っておらずシート基材から脱落・飛散するので別にバインダーが必要であり、これが吸着性能低下の原因であった。本発明のインプリントポリマー皮膜はこの様な問題が無く、全く新規のものである。
本発明で用いられるポリマー樹脂は、エチレン−アクリル酸共重合物から構成される。アクリル酸のカルボキシル基が水素供与体または水素受容体として働き、水素受容性または水素供与性を有する鋳型分子と水素結合することにより、認識部位を形成するので、選択的吸着能を有したインプリントポリマー皮膜を容易に得ることができる。エチレン−アクリル酸共重合物は、バインダー機能が高く、前記の如くインプリントポリマー皮膜をシート基材中あるいは基材上に担持させるには非常に有効である。また、エチレン−アクリル酸共重合物は水溶液の形態もあり、これをインプリント皮膜形成に使用すれば、有機溶剤による環境負荷を大幅に軽減することができる。さらにエチレン−アクリル酸共重合物は生体適合性があるので、医療用途への展開も期待できる。本ポリマー樹脂をインプリントポリマーに使用した例はこれまでに無い。エチレン−アクリル酸共重合物のインプリントポリマーは従来どおり、キャストフィルムや粒状物としても使用できる。
本発明で使用されるエチレン−アクリル酸共重合物は、溶液状態から乾燥または貧溶媒への浸漬などの方法により固形化できるものであればよく、交互共重合体でもブロック共重合体でもよい。
捕捉対象である鋳型分子としては、クリーンルーム汚染物質であるフタル酸エステル、リン酸エステル、フェノール系化合物等や、その他、居住環境に存在しシックハウス症候群を引き起こすとして問題視されているホルムアルデヒド、あるいは河川、湖沼水中などに存在している内分泌撹乱物質等が挙げられる。
また、所定のシート基材とは、紙、織布(織物)、不織布、フィルム等、上記ポリマー樹脂と接着可能なものであれば、自由に選択することが可能であり、後加工や使用時の目的・形状などの観点から選ばれる。フィルムであれば、前記ポリマー樹脂は基材表層にポリマー膜層を形成させる。
従来のキャストフィルムで応用性、汎用性の乏しさ問題であったが、本発明のフィルムであれば、後加工性や使用性に適したフィルム基材を選べば良く、より応用性、汎用性を高くすることができる。フィルムの材質としては、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビフェニル、ポリエチレン、ポリプロピレンなど、本発明のポリマー樹脂と固着可能なあらゆる素材から選択できる。
また、紙、織布、不織布であれば、フィルム同様に基材表層のみに本発明のインプリントポリマー皮膜層を形成させる場合と、ポリマー樹脂を基材内部まで浸透させて基材全体にインプリントポリマー皮膜を形成させる場合とがある。後者の場合、インプリントポリマー皮膜をシート基材の主体繊維どうし接着するバインダーとしても使用することが可能である。即ち、紙、不織布の主体繊維、例えば、有機化合繊や無機繊維はパルプのようにそれ自体に自己接着機能が無いものが多く、繊維間を結合させるバインダーを必要とするケースが多々あるが、本発明のインプリントポリマー皮膜はバインダー機能を有するため、他のバインダーを併用しないことが可能である。これは、繊維状エアフィルタ濾材には有効で、濾材本来の繊維部での浮遊粉塵除去だけでなく、バインダー皮膜部で目的の分子を除去する特性を同時に兼ね備えた濾材をつくることが可能となる。
吸着特性の観点では、繊維状構造物の場合フィルムと異なり、繊維1本1本の表面積の総計で基材の比表面積が大きくなるので、基材全体にインプリントポリマー皮膜を形成させる方法であれば、各繊維上に皮膜層を形成させることができ、この結果、皮膜層の総表面積を大きくし分子吸着量を増加させることができる。
紙、織布、不織布など繊維構造体の主体繊維としては、無機繊維、天然繊維、有機合成繊維などの中から自由に選ぶことができ、特に極細ガラス繊維は繊維経が非常に細く、比表面積が大きいので、不織布の主体繊維として使用することはより効果的である。また、シートの通気性が低く濾過抵抗が少ないので、エアフィルタ用濾材の原材料としてはより好ましいものである。
本発明のシートの製造方法としては、特に限定はしないが、例えば、シート基材に鋳型分子とポリマー樹脂の混合溶液(以下、「バインダー液」と称する。)をロール、カーテン等の塗工処理、または浸漬、スプレー等の含浸処理を行う方法や、あるいは湿式抄造法で紙、不織布のシート形成をさせる場合、主体繊維を離解したスラリー中にバインダー液を添加シート化する方法(内添法)が挙げられる。これらは、既存の設備でも十分製造可能である。モノマーと鋳型分子の混合液からスタートする場合は、塗工、含浸方法は前述と同じであるが、その後に重合工程が必要である。次工程のポリマー皮膜を形成させる方法としては、鋳型分子が揮発しない条件において溶媒を揮発させて乾燥皮膜を形成する方法、ポリマー樹脂の溶解度が低い溶媒に浸して相転移させて皮膜を形成する方法等が挙げられる。また、ポリマー皮膜中の鋳型分子を除去する方法としては、溶媒を用いて洗浄除去する方法、減圧や加熱などにより揮発除去する方法等が挙げられる。シート基材に対するインプリントポリマー皮膜の付着量は、同皮膜の吸着特性に応じて設計される。
本発明の分子吸着機能シートは、先述のとおり、シート形状しているため加工性や使用勝手が良く、単板シートは押入れなどの隙間用吸着剤、吸着性能を有した壁紙、カーテンなどや、シートをプリーツ加工したり、ハニカム状に成型したりしてエアフィルタ用途や液相吸着用途に使用することができる。
実施例:
次に、実施例および比較例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれにより何ら限定されるものではない。
平均繊維径0.65μmの極細ガラス繊維60重量%、平均繊維径2.70μmの極細ガラス繊維35重量%、平均繊維径6μmのチョップドガラス繊維5重量%を、濃度0.5%、硫酸酸性pH2.5でパルパーで離解した。次いで、手抄筒を用いて抄紙して湿紙を得た。次に、エチレン−アクリル酸共重合物(商品名:ザイクセンA、製造元:住友精化(株))と、鋳型分子となるフタル酸ジメチル(試薬一級、製造元:和光純薬工業(株)、以下DMPと略す)を有効成分重量比で100/5となるように混合したバインダー水溶液を湿紙に付与し、その後ドライヤーで50℃×30分間乾燥した。次に、この濾材をエタノールで洗浄し、DMPを除去した。こうして、目付重量70g/m2、バインダー付着量5.5重量%の濾材を得た。
比較例1
平均繊維径0.65μmの極細ガラス繊維60重量%、平均繊維径2.70μmの極細ガラス繊維35重量%、平均繊維径6μmのチョップドガラス繊維5重量%を、実施例1と同様にして抄紙し、得られた湿紙に、エチレン−アクリル酸共重合物(商品名:ザイクセンA、製造元:住友精化(株))のみをバインダー水溶液として付与し、ドライヤーで50℃×30分間乾燥した。その後、条件を同一にするために、実施例1と同様のエタノール洗浄を行い、目付重量70g/m2、バインダー付着量5.5重量%の濾材を得た。
得られた濾材の圧力損失、捕集効率の評価は、下記の方法によって行った。
圧力損失は、有効面積100cm2の濾材に面風速5.3cm/秒で通風した時の差圧として微差圧計を用いて測定した。
DOP捕集効率は、ラスキンノズルで発生させた多分散DOP粒子を含む空気を、有効面積100cm2の濾材に面風速5.3cm/秒で通過させた時のDOP捕集効率としてレーザーパーティクルカウンターを用いて測定した。なお、対象粒径は0.3〜0.4μmとした。
吸着性能の評価は、まず、濾材とDMPを密閉したデシケーター中に共存させ、23℃×2時間静置してDMPを気相吸着させた。次いで、濾材をHe気流中で100℃および200℃で加熱して濾材からDMPを脱着させ、これを捕集濃縮し、ガスクロマトグラフ質量分析計に導入してDMP脱着量を測定し、各温度における濾材1gあたりのDMP脱着量の比較を行った。
実施例1および比較例1の評価結果を表1に示す。
Figure 0004541715
バインダーポリマーにインプリント処理を施した実施例1においては、DOP捕集効率はインプリント処理を施していない比較例1と同様に高く、エアフィルタ用濾材として十分なレベルにある。
DMP脱着量を比較すると、100℃加熱においては、実施例1と比較例1ではほとんど差がない。一方、200℃加熱においては、実施例1のインプリント処理されたものは7.0mg/gとなりDMP脱着量が比較例1のインプリント処理なしのものよりも多く、優れていることを示す。この場合において、100℃加熱での脱着量は、濾材表面に弱く吸着したDMPの量であり、また、200℃加熱での脱着量は、濾材表面に弱く吸着したDMPの量と、インプリントによって形成されたDMP認識部位に強く吸着したDMPの量の合計とみなすことができる。すなわち、実施例1で見られる100℃加熱と200℃加熱での脱着量の差3.2mg/gはDMP認識部位に強く吸着して取り込まれたDMP量を示しており、よって、インプリント法によってDMP認識部位が形成されていることを示している。
エチレン−アクリル酸共重合物(商品名:ザイクセンA、製造元:住友精化(株))と、鋳型分子となるフタル酸ジメチル(試薬一級、製造元:和光純薬工業(株))を有効成分重量比で100/5となるように混合した水溶液を、PET樹脂フィルム(商品名:ルミラーT、製造元:東レ(株)、厚さ75μm)に塗工量5g/m2となるように塗工し、その後ドライヤーで50℃×30分間乾燥した。次に、このフィルムをエタノールで洗浄し、DMPを除去し、塗工PETフィルムを得た。
比較例2:
実施例1と同様にして、エチレン−アクリル酸共重合物(商品名:ザイクセンA、製造元:住友精化(株))のみをPET樹脂フィルム(商品名:ルミラーT、製造元:東レ(株)、厚さ75μm)に塗工量5g/m2となるように塗工し、ドライヤーで50℃×30分間乾燥した。その後、条件を同一にするために、実施例2と同様のエタノールで洗浄し、塗工PETフィルムを得た。
得られた塗工PETフィルムについて、実施例1で行ったのと同様にして吸着性能の評価を行い、フィルム1m2あたりのDMP脱着量の比較を行った。
実施例2および比較例2の評価結果を表2に示す。
Figure 0004541715
実施例2についても、実施例1の場合と同様にして、DMP認識部位が形成されたことを示す、200℃で加熱した時と100℃で加熱した時の脱着量の差が確認され、比較例2よりも実施例2がDMP脱着量で優れていることを示した。

Claims (7)

  1. 分子インプリント法を利用して鋳型分子の認識部位が形成されているポリマーをシート面上に担持しているシートにおいて、前記ポリマーがエチレン−アクリル酸共重合物であり、そして前記鋳型分子がフタル酸エステルであり、該エチレン−アクリル酸共重合物のカルボキシル基が鋳型分子と水素結合することにより該鋳型分子に対する前記認識部位が形成されていることを特徴とする、分子吸着機能を有するシート。
  2. シートが紙、不織布、織布などの繊維状構造物であることを特徴とする、請求項1に記載のシート。
  3. 繊維状構造物の主体繊維が極細ガラス繊維であることを特徴とする、請求項2記載のシート。
  4. シートが有機質フィルムであることを特徴とする、請求項1記載のシート。
  5. エチレン−アクリル酸共重合物溶液と鋳型分子を混合して得られる混合溶液をシートに付着させた後、ポリマー皮膜を形成させ、次いで鋳型分子を除去し、ポリマー皮膜上に鋳型分子の認識部位を形成させたことを特徴とする、請求項1〜4記載のシート。
  6. 気相で分子吸着することを特徴とする、請求項1〜5記載のシート。
  7. 分子インプリント法を利用して鋳型分子の認識部位が形成されているポリマーにおいて、前記ポリマーがエチレン−アクリル酸共重合物であり、そして前記鋳型分子がフタル酸エステルであり、該エチレン−アクリル酸共重合物のカルボキシル基が鋳型分子と水素結合することにより該鋳型分子に対する前記認識部位が形成されていることを特徴とする、分子吸着機能を有するポリマー固形物。
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